(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ゴムコンパウンドの強化剤としてのシリカゲル
(51)【国際特許分類】
C08L 21/00 20060101AFI20240207BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240207BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240207BHJP
C01B 33/12 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/013
C08K3/36
C01B33/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573010
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 US2022015610
(87)【国際公開番号】W WO2022173733
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523303231
【氏名又は名称】ピーキュー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リベイロ、フラビオ アーネスト
(72)【発明者】
【氏名】ドス サントス フロール、ロナルド
【テーマコード(参考)】
4G072
4J002
【Fターム(参考)】
4G072AA25
4G072BB05
4G072BB15
4G072CC10
4G072DD06
4G072DD07
4G072GG01
4G072TT01
4G072TT05
4G072TT30
4G072UU08
4J002AC001
4J002AC032
4J002AC081
4J002DA030
4J002DJ016
4J002DJ017
4J002FA096
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD020
4J002FD140
4J002FD150
4J002GN01
(57)【要約】
特許請求の範囲に記載された発明は、相関するゴムコンパウンドに関連する本質的な特性を改善するためのゴムレシピの開発に関する。シリカゲルは強化剤としてゴムコンパウンドに添加され、沈降シリカの一部を部分的に置き換える。空気圧製品の市場向けにシリカゲルを使用すると、引裂抵抗性、伸び、接着性能が改善され、濡れた表面(路面)でのタイヤの接着性が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムおよび強化充填剤を含む強化ゴムコンパウンドであって、前記強化充填剤が沈降シリカおよびシリカゲルを含む、強化ゴムコンパウンド。
【請求項2】
前記シリカゲルの範囲が、前記強化充填剤の全シリカ含量の5%~30%を構成する、請求項1に記載の強化ゴムコンパウンド。
【請求項3】
前記シリカゲルが、シリカゲル1グラム当たり1.0~1.8立方センチメートルの範囲の気孔率、シリカゲル1グラム当たり200~500平方メートルの範囲の表面積、5.5~8.5の間のpH、及び1ミクロン~100ミクロンの範囲の粒径を有する、請求項2に記載の強化ゴムコンパウンド。
【請求項4】
前記シリカゲルが、シリカゲル1グラム当たり1.0~1.8立方センチメートルの範囲の気孔率を有する、請求項1に記載の強化ゴムコンパウンド。
【請求項5】
前記シリカゲルが、シリカゲル1グラム当たり200~500平方メートルの範囲の表面積を有する、請求項1に記載の強化ゴムコンパウンド。
【請求項6】
前記シリカゲルが5.5~8.5の間のpHを有する、請求項1に記載の強化ゴムコンパウンド。
【請求項7】
前記シリカゲルが1ミクロン~100ミクロンの範囲の粒径を有する、請求項1に記載の強化ゴムコンパウンド。
【請求項8】
前記シリカゲルが、シリカゲル1グラム当たり1.0~1.8立方センチメートルの範囲の気孔率、シリカゲル1グラム当たり200~500平方メートルの範囲の表面積、5.5~8.5の間のpH、及び1ミクロン~100ミクロンの範囲の粒径を有する、請求項1に記載の強化ゴムコンパウンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年2月9日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第63/147,306号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明の技術分野
本発明は、ゴムコンパウンド(配合物)の分野に関し、より具体的には、ゴムコンパウンドの性能を改善する添加剤の分野に関する。驚くべきことに、シリカゲルは、タイヤに使用されるものなどのゴムコンパウンド中の沈降シリカの部分的および/または追加の代替物として使用されると、引裂抵抗性(耐引裂性)に関連する機械的および動的特性を改善し、より高いレベルの破断点伸びを与え、濡れた表面(路面)でのタイヤのより大きい接着性(密着性)を与えることが見出された。
【背景技術】
【0003】
タイヤの製造においては、耐スキッド性(skid resistance)、より大きい引裂抵抗性、およびより大きい破断点伸びを示す加硫ゴムコンパウンド(配合物)を使用することが望ましい。沈降シリカなどの無機充填剤は、タイヤのトレッドに使用した場合の引裂抵抗性の改善、破断点伸びの向上、および濡れた表面(路面)での接着性の向上を促進するために使用されてきた。
【0004】
ゴムコンパウンドは通常15種の成分の組み合わせからなり、これらは高せん断強度で激しく混合される。沈降シリカやカーボンブラックなどの充填剤(フィラー)は、通常、ゴムマトリックスとの相互作用によるコンパウンドの強化を促進するためにポリマーに添加され、その粒子の形状、粒径(サイズ)、表面積、および活性は、必要な強化に大きな影響を与える。
【0005】
沈降シリカは、ケイ酸ナトリウムと硫酸などの鉱酸との化学量論的組み合わせをアルカリ性媒体中で反応させる沈降法によって製造される。この方法では、直径約100nmまで上昇し、より大きな重量を持つナノメートルオーダーの一次粒子が形成され、これにより、アルカリ性媒体中での凝集によって形成される凝集体による沈殿が生じる。
【0006】
沈降シリカをゴム配合物に適用すると、ゴムの耐摩耗性、引裂抵抗性、および伸び特性が強化(補強)される。沈降シリカはまた、特定のタイヤトレッドの組成および種類、主にいわゆるグリーンタイヤにおいて、タイヤの接着性の向上および燃料消費量の削減に大きく貢献する。
【0007】
米国特許第9,034,962号は、改良された沈降シリカ強化剤を有するタイヤコンパウンドの製造に有用な、加硫可能なエラストマー組成物の製造方法に関する。加硫可能なエラストマー組成物は、相互作用性シリカ官能基を有するエラストマー、沈降シリカを含む合成鉱物充填剤、および任意選択で触媒を少なくとも25℃の温度で混合することによって調製される。この初期組成物は、ゴム100重量部当たり約5重量部未満のいずれかの種類の酸化亜鉛、硫黄または硬化剤を含む。
【0008】
米国特許第6,313,210号は、沈降シリカ組成物または沈降シリカとカーボンブラックとの混合物中に湿気安定化ポリマーを有する、強化充填剤としてシリカを含有する加硫可能なエラストマーコンパウンド、および、改良された物理的性質を有する加硫エラストマーコンパウンドを製造するためのシリカ分散加工助剤に関する。特に、当該文献の発明は、沈降シリカで強化された加硫可能なエラストマーコンパウンドであって、重合後、脱溶媒(desolvenization)前に、粘度安定化剤として有効量の長鎖アルコールとアルコキシシラン末端基との反応によって湿気により安定化されたアルコキシシラン末端ポリマーを含むコンパウンドを提供する。
【0009】
米国特許第5,804,636号は、沈降シリカを含有し、カーボンブラック含有量が低い加硫可能なゴム組成物の製造方法に関する。沈降シリカベースの強化充填剤およびシランベースのカップリング剤が追加され、後続のステップでコンパウンドの他の成分と、165℃、180℃、および110℃~160℃の間の温度で、それぞれ緊密に混合される。このようにして得られたゴム組成物は、改善された沈降シリカ分散性、一定の物理的機械的特性、およびより優れた伸縮能力を有する。この組成物は、ローリング抵抗性の低いタイヤのタイヤトレッドの製造に特に適している。
【0010】
米国特許第5,336,730号は、エラストマー、沈降シリカ、任意選択でカーボンブラック、およびジチオジプロピオン酸からなる沈降シリカ用カップリング剤から構成されたタイヤトレッドを備えたタイヤの開発について言及している。トレッドタイヤは沈降シリカで強化されている。一態様では、このタイヤトレッドは、沈降シリカおよび所定のカップリング剤、ならびに任意選択のカーボンブラックの組み合わせで強化されたゴム、特に、硫黄処理ゴム(sulfur-cured rubber)で構成される。
【0011】
米国特許第8,440,750号は、沈降シリカによるゴムの強化を論じている。その例Vは、シリカゲルもアリル処理シリカゲルもゴムの強化剤としては適さないことを報告している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
沈降シリカは特定のゴム製品に適切な強化(補強)を提供することができるが、改善された引裂抵抗性、伸び、および濡れた表面(路面)への接着性を与えることができる強化剤の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
沈降シリカをシリカゲルに完全に置き換えると、硬くなりすぎて実用に耐えないゴム組成物をもたらすことになる。しかしながら、本発明者らは、予期せぬことに、沈降シリカの部分的代替物としてシリカゲルを使用すると、特定のタイヤ用途において、改善された耐摩耗性、引裂抵抗性、伸び特性、およびより良好なタイヤ接着性(密着性)を有するゴム製品が得られることを見出した。
【0014】
ゲルタイプのシリカは、酸性媒体中でのケイ酸ナトリウムと硫酸または他の鉱酸との反応によって生成される。この反応によりヒドロゾルが形成され、この場合、ヒドロゾルはヒドロゲルと称される含水量が高いゲル状の構造体である。乾燥後のヒドロゲルは、キセロゲル(“xerogel”)と称される。乾燥シリカゲルであるキセロゲルは、ゲルプロセスの副産物である硫酸ナトリウムを除去するために処理され、その後、表面積、細孔容積、pH、形態学的構造の変化を目的とした物理化学的処理が施される。
【0015】
ゲルタイプのシリカは、通常、金属またはタンパク質の極性および吸着レベルに因って飲料および油の選択吸着剤として使用され、表面の凹凸および屈折率ゆえの高い透明性に因って塗料またはワニスの艶消し剤またはコーティング剤として使用され、透明性に因って透明プラスチックフィルムの耐ブロッキング剤として使用され、歯磨き粉の研磨剤として使用され、ならびに、吸湿性粉末の乾燥剤および/または流動化剤として使用される。
【0016】
これに関連して、ゴム組成物にシリカゲルを添加することで、これらの特性の性能をさらに高めることが提案されている。
【0017】
安全性に関する面でのタイヤの性能向上が必要とされている。驚くべきことに、沈降シリカと比較して明確に区別される独特の物理的特性を有するゲルタイプのシリカが、タイヤ市場向けのゴムコンパウンド中の沈降シリカ強化充填剤の部分的な代替品として機能し得ることが分かった。
【0018】
ゲルタイプのシリカを添加した本発明のゴムコンパウンドは、以下を含む多くの製品に使用され得る。
・軽自動車用タイヤの製造
・大型車両(heavy-duty vehicles)用タイヤの製造
・採掘用コンベヤベルト
・オフロード車用タイヤの製造
【0019】
ゲルタイプの二酸化ケイ素の添加により、沈降シリカとは異なるゴムコンパウンドの構造および表面活性が与えられる。
【0020】
ゴムコンパウンドに適用される沈降シリカは通常、シリカ1グラムあたり0.3~0.9立方センチメートルの気孔率(porosity:空隙率)レベルを有するが、一方、開発で使用されるシリカゲルの気孔率レベルはシリカ1グラムあたり1.0~1.8立方センチメートルの範囲である。さらに、沈降シリカはシリカ1グラム当たり150~190立方センチメートルの表面積を有するが、一方、本発明で使用されるシリカゲルはシリカ1グラム当たり200~500立方センチメートルの範囲の表面積レベルを有する。
【0021】
現在好ましい実施形態において、本発明は、強化充填剤として沈降シリカおよびシリカゲルの両方を含む強化ゴムコンパウンドである。全シリカ(沈降シリカおよびシリカゲル)に対するシリカゲルの比率は5%から30%の範囲である。
【0022】
本発明で使用されるシリカゲルは、シリカゲル1グラム当たり1.0~1.8立方センチメートルの範囲の多孔率、シリカゲル1グラム当たり200~500平方メートルの範囲の表面積、5.5~8.5の間のpH、および1ミクロン~100ミクロンの範囲の粒径(サイズ)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、未加硫ゴム組成物の変形の関数としてせん断弾性率の曲線を示すチャートである。
【0024】
【
図2】
図2は、本発明の第1のオプションセットと従来技術との破断点伸びの比較を示すチャートである。
【0025】
【
図3】
図3は、本発明の第2のオプションセットと従来技術との破断点伸びの比較を示すチャートである。
【0026】
【
図4】
図4は、本発明の第1のオプションセットと従来技術との引裂抵抗性の比較を示すチャートである。
【0027】
【
図5】
図5は、本発明の第2のオプションセットと従来技術との引裂抵抗性の比較を示すチャートである。
【0028】
【
図6】
図6は、本発明の第1のオプションセットと従来技術との0℃での湿潤表面における接着率(Δtan)の比較を示すチャートである。
【0029】
【
図7】
図7は、本発明の第2のオプションセットと従来技術との0℃での湿潤表面における接着率(Δtan)の比較を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されるが、いくつかの変更が可能であり、均等物をその要素で置き換えることができることは当業者には理解されよう。
【0031】
強化ゴムコンパウンドは、強化充填剤として沈降シリカおよびシリカゲルの両方を使用して調製される。好ましくは、全シリカ(沈降シリカおよびシリカゲル)に対するシリカゲルの比率は5%~30%の範囲である。好ましくは、シリカゲルは、シリカゲル1グラム当たり1.0~1.8立方センチメートルの範囲の多孔率、シリカゲル1グラムあたり200~500平方メートルの範囲の表面積、5.5~8.5の間のpH、および1ミクロン~100ミクロンの範囲の粒径(サイズ)を有する。
【実施例】
【0032】
シリカゲルの研究は、基準沈降シリカ(Zeosil 185(登録商標)粉末、ならびに中分散および高分散のZeosil 1165MP(登録商標)のそれぞれ)および/または高度に強化されたカーボンブラックN234との比較試験で実施された。
【0033】
ゴムコンパウンド配合物
ゴムコンパウンド配合物は、乗用車のタイヤトレッドに適用するために開発された。1つまたは複数の種類のシリカが、低カーボンブラック含有量(N234)と共に強化フィラーとしてのみ使用された。
【0034】
表1aおよび表1bは、シリカとその組み合わせとを比較するため、「グリーンタイヤ」(“Green Tire”)トレッドタイプについての比較配合物を示しており、ここで各サンプル(ゴム組成物)の命名法は、各配合物におけるシリカ(単数種または複数種)の種類およびphr単位(ゴム100部あたりの部)の含有量に関連している。ゲルタイプのシリカ80phrまたはゲルタイプのシリカ40phrと、高分散沈降シリカZeosil 1165 MP(登録商標)40phrとを併用したゴム組成物の試みも行われたが、配合物中でゲルタイプのシリカ含有量が高いことにより組成物の高粘度が促進され、加工不可能になったため、ゲルタイプのシリカの使用は、特定の特性の促進剤または推進剤として意図された。
【表1】
【表2】
【0035】
コンパウンドの処理
ステージ1
接線式ローター(Banbury)を使用するHaakeミキサー内でシラン化ステップに原材料を組み込み、マスターバッチを形成する。チャンバー充填率は62%、初期温度は80℃、回転速度は60rpmである。全ての投入物を加えた後、温度を上昇させ、140℃~155℃の範囲で3分間維持する。
【0036】
ステージ2
接線式ローター(Banbury)を使用するHaakeミキサー内で、充填率0.62、初期温度および回転数をそれぞれ90℃および90rpmとして、シラン化反応(140~155℃の範囲で2分間)の完了と共に、ステージ1で製造されたマスターバッチに原料を組み込む。原料は、前のステップのマスターバッチに追加された。
【0037】
ステージ2で調製された各マスターバッチを、オープンシリンダー型ミキサーMAC-COPEで加速した。シリンダー内のローラー温度を50℃とし、この混合ステップの合計時間8分間に14:17rpmのローラー速度として、これらのマスターバッチを加速した。
【0038】
表2は、成分の添加順序およびコンパウンドを作成するための累積処理時間を示す。
【表3】
【0039】
硬化特性
未加硫エラストマーコンパウンドの硬化特性は、レオメトリック曲線によって測定される。使用された装置は、ASTM D 5289-17規格に従うRPA 2000レオメーターであった。以下の試験条件が使用された:アーク±0.5°;温度160℃:時間30分、および周波数100cpm。評価されたパラメーターは次のとおりであった:硬化プロセスの始まりを特徴付けるtsl 安全時間(スコーチ);t90 トルク-時間曲線の90%のトルクに達するまでの時間;ML レオメトリック曲線のトルクの最小値を記録する最小トルク;MH 最大トルクまたは最も高いトルク、および、最大硬化速度。
【0040】
試料の調製
サンプルの物理的および機械的試験のため、圧縮下で160℃にて(t90+2)分の時点でサンプルを加硫した:150×150×2mmのプレートおよび直径16×6mmの栓(bungs)。4.2.7ショアA硬度試験を、ショアAデジタル機器にて実行した。ASTM D2240-15に従って、3層の積層引張試験片における1秒の読み取り時間で、デュロメーターサポートを利用して測定値を得た。各サンプルの結果は、標準偏差を有する5回の測定値の平均である。
【0041】
結果および注釈
表3aおよび3bは、レオメトリー性能またはレオロジー特性に関する試験の結果を示す。
【表4】
【表5】
【0042】
硬化コンパウンドの評価
これらのコンパウンドを160℃で圧縮して加硫し、密度、ショアA硬度、トラクション、引裂抵抗性、および耐摩耗性の試験の結果、ならびに0°でのtanΔに対する動的機械試験を評価した。表4aおよび4bは、標準偏差の値と共に結果の平均を示す。
【表6】
【表7】
【0043】
図1は、変形が沈降シリカを使用した通常の配合の場合と異なるかどうかを理解するために、未加硫ゴム組成物の変形の関数としてせん断弾性率曲線を示す。
【0044】
破断点伸び(AR)
平均すると、ゲル状シリカを使用したエラストマー組成物の方が伸びの値が高く、Zeosilシリカ1165MP(60)+ゲル状シリカ(20)のオプションでは、参照Zeosilシリカ1165MP80phrと比較して14.6%上回る率の伸びに達し、参照Zeosilシリカ185粉末と比較して10.9%上回る率の伸びに達した。さらに、より低いレベルのシリカを組み合わせたオプションである1165MP(50)+ゲル状シリカ(20)は、参照シリカ1165MP80phrと比較して8.5%高い率の伸びに達し、参照Zeosilシリカ185粉末と比較して4.9%高い率の伸びに達した。これに整合する形で、ゲル状シリカの付加による性能の向上は
図2にて強調して図解するとおりである。
【0045】
また、1165MP(70)+ゲル状シリカ(5)のオプションの方が伸び値が高く、参照Zeosilシリカ1165MP75phrと比較して4.3%上回る率の伸びに達した。そして、1165MP(65)+ゲル状シリカ(10)のオプションでは、参照Zeosilシリカ1165MP75phrと比較して2.4%高い伸びの結果を示した。これに整合する形で、添加剤としてのゲル状シリカの付加による性能の向上は
図3にて強調して図解するとおりである。
【0046】
引裂抵抗性
平均すると、引裂抵抗性の値は、ゲル状シリカを使用したエラストマー組成物の方が高く、1165MP(60)+ゲル状シリカ(20)のオプションでは、参照シリカ1165MP80phrと比較して13.4%上回る率の引裂抵抗性レベルに達し、そして参照Zeosilシリカ185粉末と比較して21%上回る率の引裂抵抗性レベルに達した。さらに、より少ない量のシリカを組み合わせたオプションである1165MP(50)+ゲル状シリカ(20)は、参照シリカ1165MP80phrと比較して3.2%高い率の引裂抵抗性に達し、そして参照Zeosilシリカ185粉末と比較して10.1%高い率の引裂抵抗性に達した。これに整合する形で、ゲル状シリカの付加による性能の向上は
図4にて強調して図解するとおりである。
【0047】
また、引裂抵抗性の値は、1165MP(65)+ゲル状シリカ(10)のオプションでは、参照シリカ1165MP75phrと比較して8.8%上回る率の引裂抵抗性レベルに達し、そして1165MP(70)+ゲル状シリカ(5)のオプションでは、参照Zeosilシリカ1165MP75phrより6.7%高い引裂抵抗性の結果となった。これに整合する形で、添加剤としてのゲル状シリカの付加による性能の向上は
図5にて強調して図解するとおりである。
【0048】
湿潤面での接着性能(0℃でのΔtan)
平均して、0℃でのΔtanによる湿潤表面における接着性能は、ゲル状シリカを使用するエラストマー組成物の方が高く、1165MP(60)+ゲル状シリカ(20)のオプションについて、0℃でのΔtanによる湿潤表面における接着性能が、参照シリカ1165MP80phrと比較して3.5%上回る率に達し、参照Zeosilシリカ185粉末と比較して3.4%上回る率に達した。さらに、より低いレベルのシリカを組み合わせたオプションである1165MP(50)+ゲル状シリカ(20)は、参照シリカ1165MP80phrと比較して1.5%高い率の0℃でのΔtanによる湿潤表面における接着性能に達し、参照Zeosilシリカ185粉末と比較して1.4%高い率の0℃でのΔtanによる湿潤表面における接着性能に達した。これに整合する形で、添加剤としてのゲル状シリカの付加による性能の向上は、
図6にて強調して図解するとおりである。
【0049】
また、0℃でのΔtanによる湿潤床における接着性能は、1165MP(65)+ゲル状シリカ(10)のオプションでは、参照シリカ1165MP75phrと比較して3.0%上回る率の0℃でのΔtanによる湿潤床における接着性能に達し、そして1165MP(70)+ゲル状シリカ(5)のオプションでは、参照シリカ1165MP75phrより2.2%高い接着性能の結果となった。これに整合する形で、添加剤としてのゲル状シリカの付加による性能の向上は
図7にて強調して図解するとおりである。
【0050】
上述された発明の詳細な説明は特定の明細を含むが、それらは本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、本発明の好ましい実施形態の一例として解釈されるべきである。したがって、本発明の範囲は、例説された実施形態によって決定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物によって決定されるべきである。
【国際調査報告】