(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】時空間信号追跡のためのマルチチャネルアレイセンサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20240207BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240207BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61B5/022 400H
A61B5/11
A61B5/02 310V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573012
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 US2022015823
(87)【国際公開番号】W WO2022173831
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523304021
【氏名又は名称】ヴェナ バイタルズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、レイ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】リー、ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】リム、フイ エング
(72)【発明者】
【氏名】チャウダーリ、アキル
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA09
4C017AB02
4C017AC02
4C017AC40
4C017BC07
4C017FF08
4C038VA04
4C038VB23
4C038VB32
(57)【要約】
本発明は、変位、動き、環境的影響、及び他の電気信号を追跡する能力を有するセンサアレイの使用を通じた血圧測定、並びに先述の追跡に基づいた再較正を対象とする。本発明は、複数のセンサを含むセンサアレイを含み得、各々のセンサは、1つ以上のパラメータを測定する能力を有し得る。システムは更に、センサアレイに通信可能に結合された電子ボードを含み得る。電子ボードは、センサアレイからコンピューティングデバイスに複数のパラメータ測定値を送信する能力を有し得、コンピューティングデバイスは、複数のパラメータ測定値に基づいて、センサアレイへの変化を検出する能力を有する。センサアレイへの変化は、ベースライン測定値と比較して、少なくとも第1のセンサからの増加したパラメータ読み取り値及び少なくとも第2のセンサからの減少したパラメータ読み取り値を測定することによって検出され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定された信号を追跡し、前記測定された信号を調節するために時空間データを利用するシステム(100)であって、
a.複数のセンサを含むセンサアレイ(200)であって、各々のセンサ(201)は、1つ以上のパラメータを測定する能力を有する、センサアレイ(200)と、
b.前記センサアレイ(200)からコンピューティングデバイス(400)に、複数のパラメータ測定値を送信するための、前記センサアレイ(200)に通信可能に結合された電子ボード(300)と、
c.前記複数のパラメータ測定値に基づいて、前記センサアレイ(200)への変化を検出するための、前記電子ボード(300)に通信可能に結合された前記コンピューティングデバイス(400)と、を備え、
前記センサアレイ(200)への前記変化は、ベースライン測定値と比較して、前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサからの増加したパラメータ読み取り値又は減少したパラメータ読み取り値を測定することによって検出され、
前記コンピューティングデバイス(400)は、前記複数のパラメータ測定値から時空間データセットを導出し、前記時空間データセット内の雑音又は妨害を検出し、前記複数のパラメータ測定値に基づいて、前記雑音又は妨害に関して前記ベースライン測定値を調節する能力を有する、
システム(100)。
【請求項2】
前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサは、圧力センサ、電磁気センサ、静電容量センサ、抵抗センサ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記複数のセンサの各々のセンサ(201)によって測定された前記1つ以上のパラメータは、キャパシタンス測定値、レーダ測定値、光測定値、又はそれらの組み合わせを含むグループから選択された電気又はアナログ-デジタル信号である、請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記コンピューティングデバイス(400)は更に、前記キャパシタンス測定値を血圧測定値に変換する能力を有する、請求項3に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記センサアレイ(200)を外部表面に取り付けるための、前記センサアレイ(200)に接続された取り付けコンポーネントを更に備え、前記取り付けコンポーネントは、ストラップ及び接着剤を含むグループから選択される、請求項4に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記外部表面は、患者の皮膚の部分上に配置された外科用包帯など、動脈又は別の層を覆う前記患者の皮膚の部分である、請求項5に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記電子ボード(300)は、低エネルギーBluetooth送信を通じて前記コンピューティングデバイス(400)に前記複数のパラメータ測定値を送信する、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記電子ボード(300)は更に、前記複数のパラメータ測定値から、雑音、クリープ、ヒステリシス、動き、又はそれらの組み合わせを差し引くための適応的フィルタを含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記コンピューティングデバイス(400)は更に、前記複数のセンサのうちの第1のセンサと前記複数のセンサのうちの第2のセンサとの間のパルス遷移時間を測定する能力を有する、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記コンピューティングデバイス(400)は更に、前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサによって収集されたパルス波を分析する能力を有する、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項11】
測定された信号を追跡し、前記測定された信号を調節するために時空間データを利用するシステム(100)であって、
a.複数のセンサを含むセンサアレイ(200)であって、各々のセンサ(201)は、1つ以上のパラメータを測定する能力を有する、センサアレイ(200)と、
b.前記センサアレイ(200)に通信可能に結合された電子ボード(300)であって、前記電子ボード(300)は、
i.第1の通信コンポーネント(301)と、
ii.コンピュータ可読命令を実行する能力を有する第1のプロセッサ(302)と、
iii.コンピュータ可読命令を含む第1のメモリコンポーネント(303)であって、前記コンピュータ可読命令は、
A.前記センサアレイ(200)から、複数のパラメータ測定値を受信することと、
B.前記第1の通信コンポーネント(301)によって、前記複数のパラメータ測定値を送信することと、を含む、第1のメモリコンポーネント(303)と、を含む、
電子ボード(300)と、
c.前記電子ボード(300)に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス(400)であって、前記コンピューティングデバイス(400)は、
i.第2の通信コンポーネント(401)と、
ii.コンピュータ可読命令を実行する能力を有する第2のプロセッサ(402)と、
iii.コンピュータ可読命令を含む第2のメモリコンポーネント(403)であって、前記コンピュータ可読命令は、
A.前記第2の通信コンポーネント(401)によって、前記電子ボード(300)から、第1の複数のパラメータ測定値及び第2の複数のパラメータ測定値を受信することと、
B.前記第1の複数のパラメータ測定値に基づいて、ベースライン測定値を確立することと、
C.前記第2の複数のパラメータ測定値から時空間データセットを導出することと、
D.前記時空間データセット内の雑音又は妨害を検出することと、
E.前記第2の複数のパラメータ測定値に基づいて、前記雑音又は妨害に関して前記ベースライン測定値を調節することと、を含み、
前記センサアレイ(200)への前記変化は、ベースライン測定値と比較して、前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサからの増加したパラメータ読み取り値又は減少したパラメータ読み取り値を測定することによって検出される、
第2のメモリコンポーネント(403)と、を含む、
コンピューティングデバイス(400)と、を備えた、
システム(100)。
【請求項12】
前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサは、圧力センサ、電磁気センサ、静電容量センサ、抵抗センサ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記複数のセンサの各々のセンサ(201)によって測定された前記1つ以上のパラメータは、キャパシタンス測定値、レーダ測定値、光測定値、又はそれらの組み合わせを含むグループから選択された電気又はアナログ-デジタル信号である、請求項12に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記第2のメモリコンポーネント(403)は更に、前記キャパシタンス測定値を血圧測定値に変換する命令を含む、請求項13に記載のシステム(100)。
【請求項15】
前記センサアレイ(200)を外部表面に取り付けるための、前記センサアレイ(200)に接続された取り付けコンポーネントを更に備えた、請求項14に記載のシステム(100)。
【請求項16】
前記外部表面は、患者の皮膚の部分上に配置された外科用包帯など、動脈又は別の層を覆う前記患者の皮膚の部分である、請求項15に記載のシステム(100)。
【請求項17】
前記電子ボード(300)は、低エネルギーBluetooth送信を通じて前記コンピューティングデバイス(400)に前記複数のパラメータ測定値を送信する、請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項18】
前記電子ボード(300)は更に、前記複数のパラメータ測定値から、雑音、クリープ、ヒステリシス、動き、又はそれらの組み合わせを差し引くための適応的フィルタを含む、請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項19】
前記第2のメモリコンポーネント(403)は更に、前記複数のセンサのうちの第1のセンサと前記複数のセンサのうちの第2のセンサとの間のパルス遷移時間を測定するためのコンピュータ可読命令を含む、請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項20】
前記第2のメモリコンポーネント(403)は更に、前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサによって収集されたパルス波を分析するためのコンピュータ可読命令を含む、請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項21】
測定された信号を追跡し、雑音及び妨害に対して前記測定された信号を調節するために時空間データを利用する方法であって、
a.複数のセンサを含むセンサアレイ(200)によって、第1の複数のパラメータ測定値を測定することであって、
前記複数のセンサの各々のセンサ(201)は、1つ以上のパラメータを測定する能力を有する、測定することと、
b.前記センサアレイ(200)によって、第2の複数のパラメータ測定値を測定することと、
c.前記センサアレイ(200)に通信可能に結合された電子ボード(300)によって、前記電子ボード(300)に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス(400)に、前記第1の複数のパラメータ測定値及び前記第2の複数のパラメータ測定値を送信することと、
d.前記コンピューティングデバイス(400)によって、前記第1の複数のパラメータ測定値に基づいて、ベースライン測定値を確立することと、
e.前記第2の複数のパラメータ測定値から時空間データセットを導出することと、
f.前記時空間データセット内の雑音又は妨害を検出することと、
g.前記第2の複数のパラメータ測定値に基づいて、前記雑音又は妨害に関して前記ベースライン測定値を調節することであって、
前記センサアレイ(200)への前記変化は、ベースライン測定値と比較して、前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサからの増加したパラメータ読み取り値又は減少したパラメータ読み取り値を測定することによって検出される、調整することと、を含む、
方法。
【請求項22】
前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサは、圧力センサ、電磁気センサ、静電容量センサ、抵抗センサ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記コンピューティングデバイス(400)によって、前記複数のキャパシタンス測定値を血圧測定値に変換することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記センサアレイ(200)に接続された取り付けコンポーネントによって、前記センサアレイ(200)を外部表面に取り付けることを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記外部表面は、患者の皮膚の部分上に配置された外科用包帯など、動脈又は別の層を覆う前記患者の皮膚の部分である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記電子ボード(300)は、低エネルギーBluetooth送信を通じて前記コンピューティングデバイス(400)に前記複数のパラメータ測定値を送信する、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
適応的フィルタによって、前記複数のパラメータ測定値から、雑音、クリープ、ヒステリシス、動き、又はそれらの組み合わせをフィルタリングすることを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記コンピューティングデバイス(400)によって、前記複数のセンサのうちの第1のセンサと前記複数のセンサのうちの第2のセンサとの間のパルス遷移時間を測定することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記コンピューティングデバイス(400)によって、前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサによって収集されたパルス波を分析することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
測定された信号を追跡し、雑音及び妨害に対して前記測定された信号を調節するために時空間データを利用するシステム(100)であって、
a.複数のセンサを含むセンサアレイ(200)であって、各々のセンサ(201)は、1つ以上のパラメータを測定する能力を有する、センサアレイ(200)と、
b.前記センサアレイ(200)に通信可能に結合された電子ボード(300)であって、前記電子ボード(300)は、
i.第1の通信コンポーネント(301)と、
ii.コンピュータ可読命令を実行する能力を有する第1のプロセッサ(302)と、
iii.コンピュータ可読命令を含む第1のメモリコンポーネント(303)であって、前記コンピュータ可読命令は、
A.前記センサアレイ(200)から、複数のパラメータ測定値を受信することと、
B.前記第1の通信コンポーネント(301)によって、前記複数のパラメータ測定値を送信することと、を含む、
第1のメモリコンポーネント(303)と、を含む、
電子ボード(300)と、
c.前記電子ボード(300)に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス(400)であって、前記コンピューティングデバイス(400)は、
i.第2の通信コンポーネント(401)と、
ii.コンピュータ可読命令を実行する能力を有する第2のプロセッサ(402)と、
iii.コンピュータ可読命令を含む第2のメモリコンポーネント(403)であって、前記コンピュータ可読命令は、
A.前記第2の通信コンポーネント(401)によって、前記電子ボード(300)から、第1の複数のパラメータ測定値及び第2の複数のパラメータ測定値を受信することと、
B.前記第1の複数のパラメータ測定値に基づいて、ベースライン測定値を確立することと、
C.前記第2の複数のパラメータ測定値から時空間データセットを導出することと、
D.前記時空間データセット内の雑音又は妨害を検出することと、
E.前記第2の複数のパラメータ測定値に基づいて、前記雑音又は妨害に関して前記ベースライン測定値を調節することであって、
前記センサアレイ(200)への前記変化は、ベースライン測定値と比較して、前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサからの増加したパラメータ読み取り値又は減少したパラメータ読み取り値を測定することによって検出される、調整することと、
F.前記複数のセンサのうちの第1のセンサと前記複数のセンサのうちの第2のセンサとの間のパルス遷移時間を測定することと、
G.前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサによって収集されたパルス波を分析することと、を含む、
第2のメモリコンポーネント(403)と、を含む、
コンピューティングデバイス(400)と、を備えた、
システム(100)。
【請求項31】
前記複数のセンサのうちの1つ以上のセンサによって収集された前記パルス波を分析することは更に、前記パルス波から、振幅、位相、周波数、収縮期血圧、拡張期血圧、重複隆起、収縮期ピークと拡張期ピークとの間の時間差、収縮期ピークと拡張期ピークとの間の血圧変化の割合、収縮期ピークと拡張期ピークとの間の最小血圧変化、心拍数、心拍数変動、又はそれらの組み合わせを抽出することを含む、請求項30に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月9日に出願された米国仮特許出願第63/147,396号の利益を主張し、その明細書は、参照によってその全体で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、信号への変化を追跡する能力を有するセンサアレイの使用を通じた血圧測定、及び先述の追跡に基づいた再較正を対象とする。
【背景技術】
【0003】
血圧モニタリングの分野では、患者の血圧を導出するために、1つ以上のパラメータがセンサによって測定される。対象物(橈骨動脈など)からパラメータ(キャパシタンス、レジスタンス、電流、電圧、光信号、レーダ、超音波など)をモニタするとき、いずれかの方向(x、y、若しくはz軸)における参照に対するその対象物の移動、又は機械的、電磁気的、温度、生理学的、環境的、若しくは他のソースからの妨害は、捕捉されるデータに影響を及ぼすことがあり、不正確さを生じさせる。この動き、変位、又は妨害が発生しているときを検出し、どの程度発生しているかを検出し、モニタリングパラメータにおいてそれらを適切に説明することが必要である。従来のシステムは、レーダ、超音波、光、加速度計、ジャイロスコープ、又は目的のセンシングパラメータとは異なる他のセンシングパラメータなど、妨害の程度を直接測定するための第2のセンシングパラメータを教示している。第2のセンシングパラメータの使用は、より多くのエネルギー及びリソースの使用を必要とし、従来のシステムを全体的により侵略的にさせ、血圧測定値に影響を与えない因子を測定し得る。したがって、目的のセンシングパラメータを単独で測定することによって、変位、動き、及び他の妨害パラメータを検出する能力を有する血圧モニタリングシステムに対する必要性が現在存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、独立請求項において規定されるように、単一のセンシングパラメータを測定することによって、センサへの変化を検出することを可能にするシステム及び方法を提供することである。発明の実施例は、独立請求項において与えられる。本発明の実施例は、それらが相互に排他的でない場合に、相互に自由に組み合わせることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、測定された生理学的信号を追跡し、雑音に対して測定された生理学的信号を調節するために時空間データを利用するシステムを特徴とする。いくつかの実施例では、システムは、センサアレイを含み得る。センサアレイは、複数のセンサを含み得、各々のセンサは、1つ以上のパラメータを測定する能力を有し得る。いくつかの実施例では、複数のセンサの各々のセンサは、圧力センサ(例えば、歪みセンサ)、光センサ(例えば、赤外線、可視光)、超音波センサ、レーダセンサ、時空間センサ、又はそれらの組み合わせを含み得る。各々のセンサは加えて、時空間特性を測定する能力を有し得る。複数のセンサの各々のセンサによって測定された1つ以上のパラメータは、キャパシタンス測定値、レジスタンス測定値、電流測定値、電圧測定値、レーダ測定値、光測定値、超音波測定値、又はそれらの組み合わせを含むグループから選択された電気又はアナログ-デジタル信号であり得る。システムは更に、センサアレイに通信可能に結合された電子ボードを含み得る。電子ボードは、センサアレイからコンピューティングデバイスに複数のパラメータ測定値を送信する能力を有し得る。システムは更に、コンピューティングデバイスを含み得る。コンピューティングデバイスは、複数のパラメータ測定値に基づいて、センサアレイへの変化を検出する能力を有し得る。センサアレイへの変化は、ベースライン測定値と比較して、複数のセンサの少なくとも第1のセンサからの増加したパラメータ読み取り値及び複数のセンサの少なくとも第2のセンサからの減少したパラメータ読み取り値を測定することによって検出され得る。ベースライン測定値は、電子ボードによって受信された初期の複数のパラメータ測定値に基づいて、コンピューティングデバイスによって確立され得る。
【0006】
本発明は、測定された生理学的信号を追跡し、雑音に対して測定された生理学的信号を調節するために時空間データを利用する方法を特徴とする。いくつかの実施例では、方法は、複数のセンサを含むセンサアレイが、第1の及び第2の複数のパラメータ測定値を測定することを含み得る。複数のセンサの各々のセンサは、1つ以上のパラメータを測定する能力を有し得る。いくつかの実施例では、複数のセンサの各々のセンサは、圧力センサ、時空間センサ、又はそれらの組み合わせを含み得る。複数のセンサの各々のセンサによって測定された単一のパラメータは、キャパシタンス測定値、レジスタンス測定値、電流測定値、電圧測定値、レーダ測定値、光測定値、超音波測定値、又はそれらの組み合わせを含むグループから選択された電気又はアナログ-デジタル信号であり得る。方法は更に、センサアレイに通信可能に結合された電子ボードが、コンピューティングデバイスに第1の及び第2の複数のパラメータ測定値を送信することを含み得る。方法は更に、コンピューティングデバイスが、第1の複数のパラメータ測定値に基づいて、ベースライン測定値を確立することを含み得る。方法は更に、コンピューティングデバイスが、第2の複数のパラメータ測定値に基づいて、センサアレイへの変化を検出することを含み得る。方法は更に、コンピューティングデバイスが、センサアレイへの変化に基づいて、ベースライン測定値を調節することを含み得る。センサアレイへの変化は、ベースライン測定値と比較して、複数のセンサの少なくとも第1のセンサからの増加したパラメータ読み取り値及び複数のセンサの少なくとも第2のセンサからの減少したパラメータ読み取り値を測定することによって検出され得る。
【0007】
本発明の一意且つ発明的な技術的特徴の1つは、時空間データの使用を通じた複数のセンサからの雑音の調節である。発明をいずれの理論又は機構に限定することを望むことなく、本発明の技術的特徴は、多種多様な雑音タイプの排除に起因する、複数のセンサへの変化のより正確な測定を有利に提供する。現在知られている従来の参照又は作業は、本発明の一意な発明的な技術的特徴を有さない。
【0008】
例えば、雑音に対してセンサからの信号を調節する従来のシステムは、冗長センシングの方法を教示している。冗長センシング方法では、2つ以上の同様のセンサが存在し、1つのセンサは、信号及び雑音を測定すると共に、他のセンサは、雑音のみを測定する。いくつかの適用では、一次信号を結果としてもたらす、一次信号から雑音信号を差し引くことができることが可能である。しかしながら、一次センサを含む全てのセンサにわたって測定された雑音が異なる規模を有する状況が存在する。このケースでは、冗長センシングの方法は非効率である。
【0009】
更に、本発明の発明的な技術的特徴は直観的ではない、理由は、それが直観的ではないことが、発明的な技術的特徴が驚くべき結果に貢献するからであることである。当業者は、雑音がセンサにわたって規模において可変である場合(雑音に起因して、1つの信号が上がり、1つの信号が下がる状況を含む)、それが実装する価値がある目的の信号に影響を及ぼす雑音をフィルタアウトするために時空間情報を利用することが非常に困難であると決めるであろう。驚くべきことに、本発明は、大量の又は可変の規模である場合でさえ、雑音を識別することが可能である時空間メッシュを実装し、従来のシステムよりも正確な最終信号を提供するために目的の信号からそれをフィルタリングすることが可能である。したがって、本発明の発明的な技術的特徴は、驚くべき結果に貢献しており、直観的ではない。
【0010】
文脈、本明細書、及び当業者の知識から明白であるように、いずれかのそのような組み合わせに含まれる特徴が相互に不一致でないことを仮定して、本明細書で説明されるいずれかの特徴又は特徴の組み合わせは、本発明の範囲内に含まれる。本発明の追加の利点及び態様は、以下の詳細な説明及び請求項において明白である。
【0011】
本発明の特徴及び利点は、添付図面と共に提示される以下の詳細な説明を考慮して明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】参照ポイントに対する対象物の変位を識別及び追跡する、本発明のシステムの概略を示す図である。
【
図2】参照ポイントに対する対象物の変位を識別及び追跡する、本発明の方法のフローチャートである。
【
図3A】センサに対する対象物の変位の実例を示す図である。
【
図3B】複数のセンサに対する対象物の変位の実例を示す図である。
【
図3C】複数のセンサに対する対象物の変位の代替的な実例を示す図である。
【
図4】本発明のシステムにおいて実装することができるマルチチャネルセンサアレイの写真である。
【
図5】本発明のセンサの複数の実施例を示す図である。各々のセンサ内で、合計で4つのセンシング要素のための2つの多重化センサの2つの組がある。
【
図6】本発明のセンサの複数の代替的な実施例を示す図であり、各々の実施例は、マルチプレクサを含む。
【
図7】センサアレイによって提供される信号の雑音、クリープ、ヒステリシス、動き、温度、電磁気信号、内在的センサ雑音(例えば、センサドリフト)、又はそれらの組み合わせをフィルタアウトする、本発明のシステムにおいて実装され得る適応的フィルタの概略を示す図である。
【
図8A】拡張期状態にある(ビートの間にある)橈骨動脈を測定する本発明のシステムにおいて実装され得る歪みセンサを示す図である。
【
図8B】収縮期状態にある(ポンプで吸い上げられる血液)橈骨動脈を測定する本発明のシステムにおいて実装され得る歪みセンサを示す図である。
【
図9A】本発明のシステムのコンポーネントの写真である。
【
図9B】患者に対して使用中の本発明のシステムのプロトタイプの写真である。
【
図10A】本発明のセンサアレイから収集された複数の信号のグラフであり、その両方が、測定された信号及び各々の個々のセンサの空間位置を示す、三次元時空間グラフに個々に組み合わされる。
【
図10B】本発明のセンサアレイから収集された複数の信号のグラフであり、その両方が、測定された信号及び各々の個々のセンサの空間位置を示す、三次元時空間グラフに個々に組み合わされる。
【
図10C】本発明のセンサアレイから収集された複数の信号のグラフであり、その両方が、測定された信号及び各々の個々のセンサの空間位置を示す、三次元時空間グラフに個々に組み合わされる。
【
図10D】本発明のセンサアレイから収集された複数の信号のグラフであり、その両方が、測定された信号及び各々の個々のセンサの空間位置を示す、三次元時空間グラフに個々に組み合わされる。
【
図11A】マルチチャネルセンサを使用したベースライン補正の後の時間にわたる動脈ライン信号のグラフである。
【
図11B】補正された信号の収縮期/拡張期血圧を示す元の、補正されていない信号及びラインを有する
図11Aと同一のグラフである。
【
図12】複数のセンサによって網羅される特定のエリアにわたる動脈活動を追跡するために、複数のセンサにわたるパルス遷移時間を測定する実例のグラフである。
【
図13】本発明のセンサによって収集された動脈信号に対して実行されたパルス波分析の実例のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、本明細書で言及される特定の要素に対応する要素のリストである。
100 検出システム
200 センサアレイ
201 センサ
300 電子ボード
301 第1の通信コンポーネント
302 第1のプロセッサ
303 第1のメモリコンポーネント
400 コンピューティングデバイス
401 第2の通信コンポーネント
402 第2のプロセッサ
403 第2のメモリコンポーネント
【0014】
本発明は、それを直接測定するために異なるセンシングパラメータを使用する必要なく、変位又は動きの程度を間接的に測定するように本発明を可能にする、参照ポイントのアレイとしての役割を果たすために、元の単一のパラメータセンサのアレイを適用する。本発明は加えて、温度、電磁気、又はいずれかの他の環境的パラメータを検出し、複数のパラメータ測定値から収集された信号に対するそれらの影響を分析し、パラメータ測定値からこの雑音を差し引いて、より正確な最終生成物を可能にすることが可能である。この技術は、システムが、アレイ上の各々のポイントからの信号変化を同時に追跡して、対象物が移動したかどうか又は変位したかどうかを判定することを可能にする。次いで、アレイにわたる検出された信号変化を転換して、実の生理学的に生じた信号変化からの変位及び区別する変位が生じた信号変化の方向及び規模を推測するために、アルゴリズムに基づくアプローチが使用される。本発明は、センサのアレイを使用し、センサのアレイは、独立して動き/変位を測定せず、異なるタイプのセンサ(光センサ、加速度計、若しくはジャイロスコープ)を統合する必要なく動き/変位を測定する方法でそれらを適用する。変位が発生しているかどうかを推測し、異なるセンサの間で変位の実際の規模を三角測定し、それに従って信号を再設定又は再較正するために、センサのアレイの全体を使用することができる。センサアレイは、少なくとも2つの個々のセンサを含み得る。いくつかの実施例では、センサアレイは、6~10個のセンサを含む。各々のセンサのサイズは、2ミリメートル~3ミリメートル×2ミリメートル~3ミリメートルであり得る。
【0015】
本発明は、測定された生理学的信号を追跡し、雑音に対して測定された生理学的信号を調節するために時空間データを利用するシステム(100)を特徴とする。いくつかの実施例では、システム(100)は、センサアレイ(200)を含み得る。センサアレイ(200)は、複数のセンサを含み得、各々のセンサ(201)は、1つ以上のパラメータを測定する能力を有し得る。いくつかの実施例では、複数のセンサの各々のセンサは、キャパシタンス、レジスタンス、電流、及び/若しくは電圧を測定する能力を有する圧力センサ、光、レーダ、及び/若しくは超音波信号を測定する能力を有する時空間センサ、又はそれらの組み合わせを含み得る。複数のセンサの各々のセンサによって測定された単一のパラメータは、キャパシタンス測定値、レジスタンス測定値、電流測定値、電圧測定値、レーダ測定値、光測定値、超音波測定値、又はそれらの組み合わせを含むグループから選択された電気又はアナログ-デジタル信号であり得る。システム(100)は更に、センサアレイ(200)に通信可能に結合された電子ボード(300)を含み得る。電子ボード(300)は、センサアレイ(200)からコンピューティングデバイス(400)に複数のパラメータ測定値を送信する能力を有し得る。いくつかの実施例では、電子ボード(300)は、低エネルギーBluetooth送信を通じてコンピューティングデバイス(400)に複数のパラメータ測定値を送信し得る。システム(100)は更に、コンピューティングデバイス(400)を含み得る。コンピューティングデバイス(400)は、複数のパラメータ測定値に基づいて、センサアレイ(200)への変化を検出する能力を有し得る。センサアレイ(200)への変化は、移動(例えば、変位)、環境的特徴(例えば、温度)、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0016】
センサアレイ(200)への変化は、ベースライン測定値と比較して、複数のセンサのうちの1つ以上のセンサからの増加したパラメータ読み取り値又は減少したパラメータ読み取り値を測定することによって検出され得る。ベースライン測定値は、電子ボード(300)によって受信された初期の複数のパラメータ測定値に基づいて、コンピューティングデバイス(400)によって確立され得る。コンピューティングデバイス(400)は、複数のパラメータ測定値から時空間データセットを導出し、時空間データセット内の雑音を検出し、複数のパラメータ測定値に基づいて、雑音に関してベースライン測定値を調節する能力を有し得る。いくつかの実施例では、コンピューティングデバイス(400)は更に、測定値を血圧測定値に変換する能力を有し得る。いくつかの実施例では、測定値は、キャパシタンス測定値、レジスタンス測定値、電流測定値、電圧測定値、レーダ測定値、光測定値、超音波測定値、又はそれらの組み合わせを含むグループから選択された電気又はアナログ-デジタル信号を含み得る。いくつかの実施例では、システム(100)は更に、センサアレイ(200)を外部表面に取り付けるための、センサアレイ(200)に接続された取り付けコンポーネントを含み得る。取り付けコンポーネントは、ストラップ及び接着剤を含むグループから選択され得る。外部表面は、患者の皮膚の部分上に配置された外科用包帯など又は外科用包帯を含む、頸動脈、橈骨動脈、又は皮膚の表面の近くのいずれかの他の動脈若しくは別の層を覆う皮膚の部分であり得る。いくつかの実施例では、電子ボード(300)は更に、複数のパラメータ測定値から、雑音、クリープ、ヒステリシス、動き、温度、電磁気信号、内在的センサ雑音(例えば、センサドリフト)、又はそれらの組み合わせをフィルタリングするための適応的フィルタを含み得る(
図8を参照)。いくつかの実施例では、各々のセンサは加えて、内在的雑音を経験し得、各々の個々のセンサ自体がドリフトする場合があることを意味する。マルチチャネルセンサを有することは、目的の信号からこの内在的雑音を区別することを支援することができる。いくつかの実施例では、センサアレイは、個々のセンサを伸ばし又は圧迫した結果としての全てのセンサにおける共通信号変化を検出し、センサアレイから受信された複数の信号からの共通信号変化によって生じた雑音を差し引くことによって、個々のセンサの内在的雑音をフィルタリングする能力を有し得る。共通信号変化は、変位の結果であり得る。センサアレイは加えて、同様の方法で、温度影響、電磁気雑音、又は何らかの方法においてセンサアレイの全てのセンサに影響を及ぼすいずれかの他の変化(増加した若しくは減少したパラメータ読み取り値)をフィルタアウトする能力を有し得る。いくつかの実施例では、雑音は、1つ以上のセンサによってピックアップされた雑音又は妨害を含み得る。
【0017】
いくつかの実施例では、コンピューティングデバイス(400)は更に、複数のセンサのうちの第1のセンサと複数のセンサのうちの第2のセンサとの間のパルス遷移時間(PTT:pulse transit time)を測定する能力を有し得る。この実例は、
図13において見ることができる。PTTは、遍在する血圧モニタリングのための基準を提供する。PTTは、圧力波が2つの動脈サイトの間を移るための時間遅延であり、近位動脈波形と遠位動脈波形との間の相対的タイミングから単純に推定することができる。PTTは、BPに逆に関連することが多い。コンピューティングデバイス(400)は更に、複数のセンサのうちの1つ以上のセンサによって収集されたパルス波を分析する能力を有し得る。パルス波分析は、1つのパルス波形/心臓サイクル内の特定の特徴を抽出する技術である。従来から、パルス波は、通常は光測定値(PPG)から、1D信号に適用される。しかしながら、本発明は、1D信号よりも潜在的に正確であることができる、3Dパルス波分析を実行することが可能である。空間的情報を収集せず、したがって、1D信号を生成するだけである従来システムとは逆に、これは、本発明の複数のセンサによって収集された空間的情報に起因する。
【0018】
ここで
図1を参照して、本発明は、測定された生理学的信号を追跡し、雑音に対して測定された生理学的信号を調節するために時空間データを利用するシステム(100)を特徴とする。いくつかの実施例では、システム(100)は、複数のセンサを含むセンサアレイ(200)を含み得る。各々のセンサ(201)は、1つ以上のパラメータを測定する能力を有し得る。いくつかの実施例では、複数のセンサの各々のセンサは、キャパシタンス、レジスタンス、電流、及び/若しくは電圧を測定する能力を有する圧力センサ、光、レーダ、及び/若しくは超音波信号を測定する能力を有する時空間センサ、又はそれらの組み合わせを含み得る。複数のセンサの各々のセンサによって測定された単一のパラメータは、キャパシタンス測定値、レジスタンス測定値、電流測定値、電圧測定値、レーダ測定値、光測定値、超音波測定値、又はそれらの組み合わせを含むグループから選択された電気又はアナログ-デジタル信号であり得る。システム(100)は更に、センサアレイ(200)に通信可能に結合された電子ボード(300)を含み得る。いくつかの実施例では、電子ボード(300)は、第1の通信コンポーネント(301)と、コンピュータ可読命令を実行する能力を有する第1のプロセッサ(302)と、コンピュータ可読命令を含む第1のメモリコンポーネント(303)と、を含み得る。コンピュータ可読命令は、センサアレイ(200)から複数のパラメータ測定値を受信することと、第1の通信コンポーネント(301)によって、複数のパラメータ測定値を送信することと、を含み得る。いくつかの実施例では、電子ボード(300)は、低エネルギーBluetooth送信を通じて、コンピューティングデバイス(400)に複数のパラメータ測定値を送信し得る。システム(100)は更に、電子ボード(300)に通信可能結合されたコンピューティングデバイス(400)を含み得る。コンピューティングデバイス(400)は、第2の通信コンポーネント(401)と、コンピュータ可読命令を実行する能力を有する第2のプロセッサ(402)と、コンピュータ可読命令を含む第2のメモリコンポーネント(403)と、を含み得る。コンピュータ可読命令は、第2の通信コンポーネント(401)によって、電子ボード(300)から、第1の複数のパラメータ測定値及び第2の複数のパラメータ測定値を受信することを含み得る。コンピュータ可読命令は更に、第1の複数のパラメータ測定値に基づいて、ベースライン測定値を確立することを含み得る。コンピュータ可読命令は更に、複数のパラメータ測定値から時空間データセットを導出することと、時空間データセット内の雑音を検出することと、複数のパラメータ測定値に基づいて、雑音に関してベースライン測定値を調節することと、を含み得る。いくつかの実施例では、時空間データセットは、時空間メッシュを含む。時空間メッシュは、センサアレイから複数のパラメータ測定値を受け付け、センサアレイの個々のセンサの間でデータを推定するために補間を利用することによって生成され得る。補間されたデータは、パラメータ測定値内のパターンを識別し、それに従って、それらのパターンと一致するようにセンサ読み取り値を調節し、よって、雑音を説明するために使用され得る。
【0019】
センサアレイ(200)への変化は、ベースライン測定値と比較して、複数のセンサのうちの1つ以上のセンサからの増加したパラメータ読み取り値又は減少したパラメータ読み取り値を測定することによって検出され得る。いくつかの実施例では、第2のメモリコンポーネント(403)は更に、測定値を血圧測定値に変換するための命令を含み得る。いくつかの実施例では、測定値は、キャパシタンス測定値、レジスタンス測定値、電流測定値、電圧測定値、レーダ測定値、光測定値、超音波測定値、又はそれらの組み合わせを含むグループから選択された電気又はアナログ-デジタル信号を含み得る。いくつかの実施例では、システム(100)は更に、センサアレイ(200)を外部表面に取り付けるための、センサアレイ(200)に接続された取り付けコンポーネントを含み得る。取り付けコンポーネントは、ストラップ及び接着剤を含むグループから選択され得る。外部表面は、患者の皮膚の部分上に配置された外科用包帯など又は外科用包帯を含む、頸動脈、橈骨動脈、又は皮膚の表面の近くのいずれかの他の動脈若しくは別の層を覆う皮膚の部分であり得る。いくつかの実施例では、電子ボード(300)は更に、複数のパラメータ測定値から、雑音、クリープ、ヒステリシス、動き、温度、電磁気信号、内在的センサ雑音(例えば、センサドリフト)、又はそれらの組み合わせをフィルタリングするための適応的フィルタを含み得る(
図8を参照)。
【0020】
いくつかの実施例では、第1の通信コンポーネント(301)は、センサアレイ(200)と電子ボード(300)との間の有線接続、センサアレイ(200)と電子ボード(300)との間の無線接続を含み得、その結果、センサアレイ(200)は、無線送信機を含み、電子ボード(300)は、無線受信機を含む。無線接続は、Bluetooth、LoRa、無線周波数、又はいずれかの他の種類の無線通信タイプを含み得る。いくつかの実施例では、第2の通信コンポーネント(401)は、電子ボード(300)とコンピューティングデバイス(400)との間の有線接続、電子ボード(300)とコンピューティングデバイス(400)との間の無線接続を含み得、その結果、電子ボード(300)は、無線送信機を含み、コンピューティングデバイス(400)は、無線受信機を含む。無線接続は、Bluetooth、LoRa、無線周波数、又はいずれかの他の種類の無線通信タイプを含み得る。
【0021】
ここで
図2を参照して、本発明は、測定された生理学的信号を追跡し、雑音に対して測定された生理学的信号を調節するために時空間データを利用する方法を特徴とする。いくつかの実施例では、方法は、複数のセンサが、第1の複数のパラメータ測定値を測定することを含む、センサアレイ(200)を含み得る。複数のセンサの各々のセンサ(201)は、1つ以上のパラメータを測定する能力を有し得る。いくつかの実施例では、複数のセンサの各々のセンサは、キャパシタンス、レジスタンス、電流、及び/若しくは電圧を測定する能力を有する圧力センサ、光、レーダ、及び/若しくは超音波信号を測定する能力を有する時空間センサ、又はそれらの組み合わせを含み得る。複数のセンサの各々のセンサによって測定された単一のパラメータは、キャパシタンス測定値、レジスタンス測定値、電流測定値、電圧測定値、レーダ測定値、光測定値、超音波測定値、又はそれらの組み合わせを含むグループから選択された電気又はアナログ-デジタル信号であり得る。方法は更に、センサアレイ(200)によって、第2の複数のパラメータ測定値を測定することを含み得る。方法は更に、センサアレイ(200)に通信可能に結合された電子ボード(300)が、コンピューティングデバイス(400)に、第1の複数のパラメータ測定値及び第2の複数のパラメータ測定値を送信することを含み得る。方法は更に、コンピューティングデバイス(400)が、第1の複数のパラメータ測定値に基づいて、ベースライン測定値を確立することを含み得る。方法は更に、コンピューティングデバイス(400)によって、複数のパラメータ測定値から時空間データセットを導出することと、時空間データセット内の雑音を検出することと、複数のパラメータ測定値に基づいて、雑音に関してベースライン測定値を調節することと、を含み得る。
【0022】
センサアレイ(200)への変化は、ベースライン測定値と比較して、複数のセンサのうちの1つ以上のセンサからの増加したパラメータ読み取り値又は減少したパラメータ読み取り値を測定することによって検出され得る。いくつかの実施例では、方法は更に、コンピューティングデバイス(400)が、測定値を血圧測定値に変換することを含み得る。いくつかの実施例では、測定値は、キャパシタンス測定値、レジスタンス測定値、電流測定値、電圧測定値、レーダ測定値、光測定値、超音波測定値、又はそれらの組み合わせを含むグループから選択された電気又はアナログ-デジタル信号を含み得る。いくつかの実施例では、方法は更に、センサアレイ(200)に接続された取り付けコンポーネントによって、センサアレイ(200)を外部表面に取り付けることを含み得る。取り付けコンポーネントは、ストラップ及び接着剤を含むグループから選択され得る。外部表面は、患者の皮膚の部分上に配置された外科用包帯など又は外科用包帯を含む、頸動脈、橈骨動脈、又は皮膚の表面の近くのいずれかの他の動脈若しくは別の層を覆う皮膚の部分であり得る。いくつかの実施例では、方法は更に、適応的フィルタが、複数のパラメータ測定値から、雑音、クリープ、ヒステリシス、動き、温度、電磁気信号、内在的センサ雑音(例えば、センサドリフト)、又はそれらの組み合わせをフィルタリングすることを含み得る(
図8を参照)。
【0023】
本発明は、測定された生理学的信号を追跡し、雑音に対して測定された生理学的信号を調節するために時空間データを利用するシステム(100)を特徴とする。いくつかの実施例では、システム(100)は、複数のセンサを含むセンサアレイ(200)を含み得る。各々のセンサ(201)は、1つ以上のパラメータを測定する能力を有し得る。システムは更に、センサアレイ(200)に通信可能に結合された電子ボード(300)を含み得る。いくつかの実施例では、電子ボード(300)は、第1の通信コンポーネント(301)と、コンピュータ可読命令を実行する能力を有する第1のプロセッサ(302)と、コンピュータ可読命令を含む第1のメモリコンポーネント(303)と、を含み得る。いくつかの実施例では、コンピュータ可読命令は、センサアレイ(200)から、複数のパラメータ測定値を受信することと、第1の通信コンポーネント(301)によって、複数のパラメータ測定値を送信することと、を含み得る。システム(100)は更に、電子ボード(300)に通信可能結合されたコンピューティングデバイス(400)を含み得る。いくつかの実施例では、コンピューティングデバイス(400)は、第2の通信コンポーネント(401)と、コンピュータ可読命令を実行する能力を有する第2のプロセッサ(402)と、コンピュータ可読命令を含む第2のメモリコンポーネント(403)と、を含み得る。いくつかの実施例では、コンピュータ可読命令は、第2の通信コンポーネント(401)によって、電子ボード(300)から、第1の複数のパラメータ測定値及び第2の複数のパラメータ測定値を受信することと、第1の複数のパラメータ測定値に基づいて、ベースライン測定値を確立することと、第2の複数のパラメータ測定値に基づいて、センサアレイ(200)への変化を検出することと、センサアレイ(200)への変化に基づいて、ベースライン測定値を調節することと、を含み得る。センサアレイ(200)への変化は、ベースライン測定値と比較して、複数のセンサの少なくとも第1のセンサからの増加したパラメータ読み取り値及び複数のセンサの少なくとも第2のセンサからの減少したパラメータ読み取り値を測定することによって検出され得る。コンピュータ可読命令は更に、複数のセンサのうちの第1のセンサと複数のセンサのうちの第2のセンサとの間のパルス遷移時間を測定することと、複数のセンサのうちの1つ以上のセンサによって収集されたパルス波を分析することと、を含み得る。複数のセンサのうちの1つ以上のセンサによって収集されたパルス波を分析することは更に、パルス波から、振幅、位相、周波数、収縮期血圧、拡張期血圧、重複隆起、収縮期ピークと拡張期ピークとの間の時間差、収縮期ピークと拡張期ピークとの間の血圧変化の割合、収縮期ピークと拡張期ピークとの間の最小血圧変化、心拍数、心拍数変動、又はそれらの組み合わせを抽出することを含み得る。
【0024】
ここで
図9Aを参照して、センサアレイのセンサは、圧力センサを含み得る。圧力センサは、圧力センサが表面(患者の動脈の上の皮膚)に取り付けられることを可能にする取り付けコンポーネントを含み得る。取り付けコンポーネントは、接着剤、ストラップ、又は表面と接触して適切な位置にセンサが安定化されることを可能にするいずれかの他のコンポーネントを含み得る。圧力センサは更に、取り付けコンポーネントの最上部に配置された第1のセンサコンポーネントを含み得、第1のセンサコンポーネントは、第1のポリマ層と、第1のポリマ層の最上部に配置された第1の導電薄膜層と、第1の導電薄膜層の最上部に配置された誘電層と、を含む。第1のポリマ層は、シリコンエラストマを含み得る。第1の導電薄膜層は、金、白金、銅、又はいずれかの他の導電性材料を含み得る。誘電の定義は、電気を伝導する必要なしに電場を生じさせることができるいずれかの材料を記述する。これは、誘電層が、2つの電極の間の伝導を防止するための不動態及び絶縁層であることを意味する。いくつかの実施例は、空気、パリレン、シリコン、セラミック(すなわち、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びシリコンに埋め込まれた銀ナノ粒子などの更なる複合体(銀粒子が電気を導電するための浸透閾値を克服しない限り)を含む。圧力センサは更に、1つ以上の弾性リッジによって第1のセンサコンポーネントに接続された第2のセンサコンポーネントを含み得、その結果、第1のセンサコンポーネントと第2のセンサコンポーネントとの間に空気の隙間が存在する。1つ以上の弾性リッジは、第1のセンサコンポーネントを下回る圧力に応答して移動し得る。いくつかの実施例では、
図9Bに見られるように、第1のセンサコンポーネントは加えて、第1のセンサコンポーネントを下回る圧力に応答して移動し得る。第2のセンサコンポーネントは、第2の導電薄膜層と、第2の導電薄膜層の最上部に配置された第2のポリマ層と、を含み得る。第2のポリマ層は、シリコンエラストマを含み得る。第2の導電薄膜層は、金、白金、銅、又はいずれかの他の導電性材料を含み得る。
【0025】
センサアレイのセンサは、圧力センサ、電磁気センサ(例えば、光センサ、超音波センサ、レーダセンサ)、静電容量センサ、抵抗センサ、又はそれらの組み合わせを含み得る。各々のセンサは加えて、各々のセンサの主要な機能を補助し得る、温度計、加速度計、ジャイロスコープ、磁気計、生体インピーダンスセンサ、又はそれらの組み合わせを含み得る。現在特許請求される発明は、変位を測定し、変位読み取り値に影響を与える妨害を検出する能力を有し得ることに留意されよう。本発明によって測定される変位の非限定的な実例は、体全体を通じたパルスの移動など、センサのアレイに対する動脈の移動、又は動脈が1つのエリア内で拡張し、別のエリア内で引き下がるときに測定によって検出された波伝播データを含む。本発明によって検出される妨害の非限定的な実例は、同様に1つ以上のセンサに影響を与える環境的雑音(例えば、温度、電磁気)、表面地形によって生じた雑音(例えば、センサアレイの各々のセンサが異なる傾きで置かれること)、及び1つ以上のセンサにわたって移動する勾配雑音を含む。本発明は、センサアレイから受信された信号内のそれらの妨害を検出し、複数のセンサからそれらをフィルタリングするために時空間データを使用し、よって、従来のシステムによって達成されるよりも少ない雑音により、より正確な最終生成物を結果として生じさせる能力を有する。
【0026】
少なくとも1つのプロセシング回路に、1つ以上のオペレーションを実行させる命令は、「コンピュータ可読」である。物理記憶媒体(メモリコンポーネント)は、RAM及び他の揮発性タイプのメモリ;ROM、EEPROM、及び他の不揮発性タイプのメモリ;CD-ROM、CD-RW、DVD-ROM、DVD-RW、及び他の光学ディスク記憶装置、;磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶デバイス;並びに少なくとも1つのプロセシング回路によってアクセス及び処理することができるコンピュータ実行可能命令を記憶することができるいずれかの他の有形媒体を含む。伝送媒体は、汎用コンピュータ又は特殊目的コンピュータによって受信されることになるコンピュータ実行可能命令を、ネットワークを通じて搬送する信号を含むことができる。
【0027】
本発明の好ましい実施例を図示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲を超えない変更が行われ得ることが当業者にとって容易に明らかであろう。したがって、発明の範囲は、以下の請求項によってのみ限定されることになる。いくつかの実施例では、本特許出願において提示される図面は、角度、寸法の比などを含む、縮尺に合わせて描かれている。いくつかの実施例では、図面は代表的なものにすぎず、請求項は、図面の寸法によって限定されない。いくつかの実施例では、フレーズ「を含む(comprising)」を使用して本明細書に説明される発明の説明は、「から実質的に成る(consisting essentially of)」又は「から成る(consisting of)」と説明され得る実施例を含み、したがって、フレーズ「から実質的に成る(consisting essentially of)」又は「から成る(consisting of)」を使用して本発明の1つ以上の実施例を特許請求するための記載要件が満たされる。
【0028】
以下の請求項において記載される参照符号は、本特許出願の説明を容易にするだけのためのものであり、例示的であり、請求項の範囲を、図面内の対応する参照符号を有する特定の特徴に限定することを何ら意図していない。
【国際調査報告】