(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】乳房検査用圧縮デバイス及び乳房検査用診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/04 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
A61B6/04 509B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573495
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 IB2022051145
(87)【国際公開番号】W WO2022175785
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102021000003593
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523312082
【氏名又は名称】シンクロニス メディカル ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】SINCRONIS MEDICAL S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Enrico Ferri 6,20092 Cinisello Balsamo(Milano)Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(72)【発明者】
【氏名】ジェンナーリ,ダニーロ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093DA06
4C093ED21
(57)【要約】
乳房検査圧縮デバイスであって、少なくとも一部が光を通す材料から作成され、乳房(101)の下部領域と接触するように構成された、平面(2a)を画定する支持要素(2)と、少なくとも一部が透明の材料から作成され、乳房(101)の上部領域を圧縮するように構成された、少なくとも1つの弾性で変形可能な壁(4)を含む、実質的な箱状本体(3)であって、前記弾性壁(4)は、平面(2a)の反対側にある、箱状本体(3)と、乳房(101)の寸法及び形状に応じて支持要素(2)に対して本体(3)自体を動かすための、箱状本体(3)の位置付け手段(9)とを含む、デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳房検査用圧縮デバイスであって、
少なくとも一部が光を通す材料から作成された平面(2a)であって、乳房(101)の下部領域と接触するように構成された平面(2a)を画定する支持要素(2)と、
少なくとも一部が透明の材料から作成された実質的な箱状本体(3)であって、前記乳房(101)の上部領域を圧縮するように構成された少なくとも1つの弾性で変形可能な壁(4)を含み、前記弾性壁(4)は前記平面(2a)の反対側にある、箱状本体(3)と、
前記乳房(101)の寸法及び形状に応じて前記支持要素(2)に対して前記本体(3)自体を動かすための前記箱状本体(3)の位置付け手段(9)とを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記弾性壁(4)は、加圧流体の作用を受けて変形するように構成された膜(5)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記箱状本体(3)は、前記膜(5)の反対側の、硬質で透明材料から作成された平面壁(6)と、硬質材料から作成され、それぞれが前記膜(5)と前記平面壁(6)との間に挟まれた2つの側壁(7)とを含むことを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記箱状本体(3)は、前記平面壁(6)と前記膜(5)と前記2つの側壁(7)との間に画定されたチャンバ(8)を内部に含み、前記チャンバ(8)は、加圧流体の供給源(102)と流体連通するように構成されることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記箱状本体の前記位置付け手段(9)は、前記箱状本体(3)の対応する側壁(7)にヒンジで取り付けられ且つ前記支持要素(2)と摺動可能に関連した、少なくとも1つの接続部(10)を含むことを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記位置付け手段(9)は、対応するそれぞれの側壁(7)にそれぞれがヒンジで取り付けられた1対の接続部(10)を含み、各接続部(10)は、前記乳房(101)の寸法に応じて患者の体に対して遠ざかる/近づく方向(A)に沿って、前記平面(2a)上を摺動するための滑材(11)を更に含むことを特徴とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
各接続部(6)は、それぞれの前記滑材(11)と一体化された第1の要素(12)と、前記それぞれの側壁(7)にヒンジで取り付けられた第2の要素(13)とを含み、前記第2の要素(12)は、前記患者の体に対して近づく/遠ざかる前記滑材(11)の前記摺動方向(A)に垂直なその第1の軸(X)を中心に前記第1の要素(12)に対して回転するために、前記第1の要素(13)に回転可能に関連付けられていることを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
各要素(12、13)は板の形に作成され、前記第1及び第2の要素(12、13)は、第1のピン(14)により前記患者の体に近い端部で接続され、前記第2の要素(13)は、前記第1の要素(12)内に設けられた第1の弓状空洞(15a)内に挿入された第2のピン(15)を更に有し、前記第2の要素(13)は、前記第1の弓状空洞(15a)内で前記第2のピン(15)を摺動させるために、前記第1のピン(15)を中心に回転することを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記箱状本体(3)は、前記第1の軸(X)に平行で且つ前記滑材(11)の前記摺動方向(A)に垂直なその第2の軸(Y)を中心に前記第2の要素(13)に対して回転するために、前記第2の要素(13)に回転可能に関連付けられていることを特徴とする、請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第2の要素(13)及び前記対応する側壁(7)は、第3のピン(16)によって前記患者の体から遠い端部で接続され、前記側壁(7)は、前記第2の要素(13)内に設けられた第2の弓状空洞(17a)内に挿入可能な第4のピン(17)を更に有し、前記箱状本体(3)は、前記第2の弓状空洞(17a)内で前記第4のピン(17)を摺動させるために前記第3のピン(16)を中心に回転することを特徴とする、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記箱状本体(3)の前記位置付け手段(9)は、前記箱状本体(3)のそれぞれの側壁(7)にヒンジで取り付けられ且つ前記平面(2a)の両側に配置されたそれぞれの棒(20)に摺動可能に関連付けられた、少なくとも1対のフランジ(21)を含むことを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項12】
各フランジ(21)は、前記乳房(101)の位置及び大きさに応じて、患者の体に対して遠ざかる/近づく方向(A)に沿って、前記棒(20)上を摺動するための滑材(11)を含むことを特徴とする、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、1対のピン(24)を含み、そのそれぞれは、前記本体(3)のそれぞれの側壁(7)から突起し、前記フランジ(21)内に設けられたそれぞれの溝(23)の内側に延在することを特徴とする、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記本体(3)は、前記ピン(24)の長手方向延長部によって画定された軸(X)を中心に回転可能であり、前記面(2)に対して近づく/遠ざかる前記溝(23)によって画定された方向(B)に沿って摺動可能であることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記平面壁(6)及び前記膜(5)は、可視、赤外線及びX線スペクトルの光放射を通す材料から作成されることを特徴とする、請求項3~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
乳房検査用診断装置であって、
加圧流体の供給源(102)と、
照明システム(103)と、
前記照明システム(103)の反対の画像取得デバイス(104)とを含み、
当該装置は、請求項1~15のいずれか一項に記載の圧縮デバイス(1)を含むことを特徴とする、装置。
【請求項17】
前記照明システム(103)は、前記乳房(101)に向かって、前記平面(2a)を通して光ビームを向けるために、前記乳房(101)の反対側の前記支持要素(2)に配置されることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
加圧流体の前記供給源(103)は、前記チャンバ(8)自体に前記加圧流体を分配し、前記乳房(101)上に前記膜(5)を広げるための、前記箱状本体(3)の前記チャンバ(8)と流体連通することを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記画像取得デバイス(104)は、前記壁(6)自体及び前記膜(5)を通して画像を取得するために、前記乳房(101)の反対側の前記平面壁(6)に配置されることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記画像取得デバイス(104)は、光学及び/又はX線カメラ及び/又は超音波を含むことを特徴とする、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の乳房を検査するための圧縮デバイス、並びに前記デバイスを含む診断装置に関する。より詳細には、本発明は、乳癌の初期検出のための画像取得を行う検査中に、患者の乳房を圧縮して位置付けるためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
乳房の圧縮は、そのような検査を効率的に行うことができるための基本的なステップである。
【0003】
事実、光学撮像技術の分野で、圧縮は、腫瘍によって生成された血管新生の血管網の循環を遮断するので、デオキシヘモグロビンの成長が刺激され、特定周波数の光の照明を用いて検出される。
【0004】
加えて、圧縮は、光学又はX線検査から生じる画像のより良好な詳細を確保する(及びマンモグラフィ検査の場合に必要であった電磁波の量を低減する)ために、患者の乳房の厚さを低減することに関与する。
【0005】
画像取得段階は、分析される領域を動かないように保つことによって改善されることにも留意するべきである。この文脈で、患者の乳房の圧縮には、収集される画像の品質を向上させるために、ファイルが患者の乳房をブロックして固定化する必要がある。
【0006】
使用する光学分析技法に関しては、患者の乳房は640nmの赤色光で照明される一方で、光源の反対側のカメラによって検出される光減衰値は、毛細血管内のデオキシヘモグロビンの濃度の変化に対応する。これにより、分析される組織の密度に関わらず、「血管新生」領域、すなわち腫瘍細胞に栄養を与えるために発生した異常血管新生の領域の検出が可能になる。
【0007】
この技法の適用の例として、文献、米国特許第6,587,578号明細書は、乳房支持デバイスが使用され且つ固定支持部と圧縮システムの一部である可撓性膜との間に配置される、拡散光マンモグラフィ(Diffuse Optical Mammography)システム(DFOM)を記載している。具体的には、膜が患者の乳房の上に置かれ、外部膨張システムが、膜を押して患者の乳房と直接接触させて、わずかな圧力を提供する。デバイスは扱いにくく、管理が複雑である。
【0008】
その上、当技術分野で公知のデバイスは、乳房の形状への適合性について重大な欠点を有する。事実、圧縮デバイス(膨張式膜)は、乳房の大きさ及び形態に効率的に適合できない。
【0009】
この状況では、調整システムがないと、圧縮作用が無効になり、その結果、診断検査の信頼性に不都合を生じる。
【0010】
加えて、膜が患者の乳房に対して不適正に位置付けられる(例えば胸骨の正面から遠過ぎる、又は近過ぎる)場合、圧縮作用は特に痛む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従って前述の欠点を解決することができる、乳房検査用圧縮デバイス及び乳房検査用診断装置を提供することである。
【0012】
具体的には、本発明の目的は、極めて多様で乳房の大きさ及び形状に適合可能な、乳房検査用圧縮デバイスを提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、適用が容易で、構造が単純で、撮像のための診断作用を最適化するために、患者の乳房を効率的に圧縮できる、圧縮デバイスを提供することである。
【0014】
本発明の尚別の目的は、乳房の表面全体を均一的に圧縮することができ、従って具体的には患者に苦痛をもたらすことなく快適である、圧縮デバイスを提供することである。
【0015】
本発明の最後の目的は、X線並びに光学技術に基づいたシステムと共に使用され、超音波の使用と互換性があるように構成された圧縮デバイスを含む、乳房検査診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、これら及び他の目的は、少なくとも一部が光を通す材料から作成された平面であって、乳房の下部領域と接触するように構成された平面を画定する支持要素と、少なくとも一部が透明の材料から作成された実質的な箱状本体であって、乳房の上部領域を圧縮するように構成された少なくとも1つの弾性で変形可能な壁を含み、前記弾性壁は平面の反対にある、箱状本体と、乳房の大きさ及び形状に応じて支持要素に対して前記本体を動かすための箱状本体の位置付け手段とを含む、乳房検査用圧縮デバイスによって達成される。
【0017】
これらの目的は、加圧流体の供給源と、照明システムと、前記照明システムの反対側の画像取得デバイスとを含む、乳房検査診断装置によって更に達成され、装置は、上記のような圧縮デバイスを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の更なる特徴及び利点は、従属請求項に開示されている。
【0019】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に例のみとして示された、その実践的な実施形態の以下の詳述から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による、乳房検査を促進するためのデバイスの斜視図を示す。
【
図2】
図1のデバイスの構造的詳細の分解部分図を示す。
【
図3a-3b】本発明による、
図1の圧縮デバイスを具備した、乳房検査診断装置のそれぞれの作動ステップを示す。
【
図4】本発明の第2の実施形態による、乳房検査用圧縮デバイスの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面を参照すると、本発明による乳房検査用圧縮デバイスは、集合的に参照番号1とみなされる。デバイス1は、好都合なことに、
図3a及び3bに概略的に示された、本発明の主題でもある、乳房診断装置100内で使用される。
【0022】
具体的には、
図1及び4により良く示されるように、圧縮デバイス1は、少なくとも一部が光を通す材料から作成された平面2aを画定する支持要素2を含む。平面2aは、患者の乳房101の下部領域と接触するように構成される。事実、使用中に、患者は、
図3a及び3bに最も良く示されるように、平面2a上に自身の乳房101を載せる。
【0023】
デバイス1は、少なくとも一部が透明材料から作成された実質的な箱状本体3であって、少なくとも1つの弾性で変形可能な壁4を含む箱状本体3を更に含む。前記弾性壁4は、平面2aの向かい側にあり、好都合なことに患者の乳房101の上部領域を圧縮するように構成される。このようにして、
図3a及び3bを再度参照すると、患者の乳房101上の弾性壁4の圧縮作用に起因して、患者の乳房101は平面2aに対して圧縮される。
【0024】
デバイス1は、本体3を支持要素2に対して動かし、そのようにして弾性壁4の位置を患者の乳房101の大きさ及び形状に適合させるために、箱状本体3の位置付け手段9も含む。
【0025】
換言すると、位置付け手段9は、箱状本体3全体を動かし、弾性壁4を患者の乳房101の上部領域上で十分に支持するために箱状本体3を正しい方向に置くことができる。
【0026】
好都合なことに、弾性壁4は、押圧流体の作用を受けて変形するように構成された透明膜5を含む。
【0027】
好ましくは、膜5は、空気を通さず、可視、赤外線及びX線スペクトルの光放射を通す、軟質材料から作成される。
【0028】
更に、膜5は、好ましくは患者の乳房101と接触した時に摩擦力を発生するように、完全に平滑ではない材料から作成される。
【0029】
添付図面を参照すると、膜5によって形成された弾性壁4は、本体3から外方に凸状に向く弓状輪郭を有する。
【0030】
単に例のみとして示された、この人間工学的構成は、患者の乳房101との接触、並びに圧縮中に患者の乳房101の粘着及び保持作用を解剖学的に向上させる。
【0031】
この文脈では、弾性壁4の形状、並びに箱状本体3全体の形状及び寸法が、特定の使用に依存して、あらゆる型からなることが可能であることを思い起こすべきである。
【0032】
図1、2及び4を参照すると、箱状本体3は、膜5の反対側の平面壁6であって、硬質材料から作成され、好ましくは可視、赤外線及びX線スペクトルの光放射を通す平面壁6を含む。平面壁6は、好ましくはそれぞれの主要側面が膜5の縁部で係合される、長方形輪郭を有する。
【0033】
このようにして、平面壁6は、膜5と協働して、患者の乳房101に目視によりアクセスできる窓を確立する。
【0034】
箱状本体3は、硬質材料から作成された2つの側壁7も含み、そのそれぞれは、膜5と平面壁6との間に挟まれる。
【0035】
より詳細には、
図2及び4を参照すると、各側壁7は、平面壁6のそれぞれの小さい側面と関連した直線側面7a及び膜5の縁部と係合した弓状側面7bを画定する、実質的な弓状形状を有する。
【0036】
こうして生成された箱状本体3は、平面壁6と膜5と2つの側壁7との間に内部チャンバ8を有する。
【0037】
チャンバ8は、加圧流体の供給源102(
図3a及び3b)と流体連通するように構成される。好都合なことに、加圧流体(好ましくは空気)は、膜5を広げ、患者の乳房101(
図3b)上に圧縮作用を行うために膜5を外方に変形させるために、チャンバ8の内側に送り込まれる。
【0038】
上記のように、箱状本体3は、平面2aの上で本体3を支持する位置付け手段9の作用により、患者の乳房101上に適正に膜5を位置付けるように動かされる。
【0039】
図1及び2により良く示された本発明の第1の実施形態によれば、手段9は、対応する側壁7にヒンジで取り付けられ且つ支持要素上を摺動する少なくとも1つの接続部10を含む。
【0040】
好ましくは、1対の接続部10が提供され、各部10がそれぞれの側壁7にヒンジで取り付けられる。更に各部10は、患者の体に対して遠ざかる/近づく方向Aに沿って平面2a上を摺動するための(
図3a及び3bに概略的に示された)滑材11を含む。
【0041】
この目的で、滑材11のためのそれぞれの摺動ガイドは、支持要素2の縁部上に提供される。
【0042】
図2を具体的に参照すると、各接続部10は、それぞれの滑材11と一体の第1の要素12、及びそれぞれの側壁3にヒンジで取り付けられた第2の要素13から構成されることに留意するべきである。
【0043】
第1の要素12は、三角形の輪郭を有する板の形に作成され、三角形において、隣辺を画定する基部は、滑材11に係合され、斜辺を画定する傾斜側面は、患者に向かって方向付けられる。方向Aに沿って動く間、第1の要素12はその幾何学的配置を変えないことに留意されたい。
【0044】
第2の部材13は、長方台形の輪郭を有する板の形である。しかし、要素が、それらの特定の使用及びデバイス1の全寸に従って、あらゆる構成を有することができることを明示するべきである。
【0045】
第2の要素13は、滑材11の摺動方向Aに垂直なその第1のX軸を中心に、第1の部材12に対して回転するために、第1の部材12に回転可能に関連付けられている。
【0046】
この目的で、要素12及び13は、X軸に沿って延在する第1の枢軸14によって、患者の体に近い端部で(2つの要素12及び13の角度は一致する)相互に枢動される。
【0047】
加えて、第2の要素13は、第1の要素12に設けられた第1の弓状空洞15aの中に挿入された第2のピン15を有する。このようにして、第2の要素13は、第1の弓状空洞15aの内側を第2のピン15が摺動することにより、第1のピン14を中心に回転する。
【0048】
更に、箱状本体3は、第1のX軸に平行で且つ滑材11の摺動方向Aに垂直なその第2のY軸を中心に、第2の要素13に対して回転するために、第2の要素13に回転可能に関連付けられている。
【0049】
具体的には、
図2を参照すると、第2の部材13及び対応する側壁7は、第3のピン16により患者の体に遠い端部で接続される。
【0050】
この場合も、側壁7は、第2の要素13内に設けられた第2の弓状空洞17aの中に挿入可能な第4のピン17も有する。
【0051】
好都合なことに、この構成では、箱状本体3は、第2の弓状空洞17aに沿って第4のピン17を摺動させるために、Y軸に沿って長手方向に延在する第3のピン16を中心に回転する。
【0052】
この状況では、デバイス1は、膜5を支持する箱状本体3を大きく動かすことができることに留意するべきである。
【0053】
本体3の複数の自由度によって画定されたこの動きにより、方向Aに沿った摺動を用いて、膜5を患者の乳房101に対して近付ける/遠ざけることを可能にする。同時に、X軸を中心に第1の要素12に対して第2の要素13を回転させることにより、患者の乳房101に対して膜5を上昇/下降させることができる。
【0054】
再度、Y軸を中心に第2の要素13に対して本体3を回転させることにより、本体3を傾けることができる。この本体3の動きにより、膜5の幾何学的配置を患者の乳房101の形状に適合させることにより、膜5を位置付けることが可能になる。
【0055】
図4に示された本発明の第2の実施形態によれば、滑材11は、適切な支持棒20内で方向Aに沿って摺動可能である。
【0056】
棒20は、次いで当技術分野で公知の支持枠によって支持され、それ故に本明細書には開示されず、示されていない。
【0057】
各棒20は、オペレータが把持するように適切に形状された締付ネジ22も有し、これにより本体3を方向Aに沿って適位置に係止することができる。より詳細には、締付ネジは、棒20内に形成された溝内に挿入される。このようにして、ネジは、本体3を方向Aに沿って動かすことにより、溝の中に摺動する。一旦適正な位置が見つかると、ネジ22は、患者の乳房101に対して適所に本体3を係止するために締結される。
【0058】
棒20の内側には、デバイス1の他の部分がより良く見えるように、
図4に示されていない平面2aがある。
【0059】
更に、本体3の膜5も、チャンバ8及び壁6の内部がより良く見えるように、
図4に示されていない。
【0060】
この実施形態では、位置付け手段9は、それぞれの滑材11とそれぞれが関連した1対のフランジ21を含む。
【0061】
各フランジ21は、垂直な、従って方向Aに横方向の溝23を有する。
【0062】
この状況では、本体3は、それぞれの溝23を通過する適切な回転ピン24を用いて、フランジ21の両側に係合される。
【0063】
具体的には、各ピン24は、それぞれの側壁7から溝23を通って延在する。
【0064】
このようにして、本体3は、ピン24の長手方向の展開によって画定されたX軸を中心に回転可能である。加えて、本体3は、方向Bに沿って、つまり面2aに対して向かって/遠ざかって、高さを調整可能な方法で摺動する。方向Bに沿った摺動は、それぞれの溝23に沿ってピン24を摺動させることによって達成される。
【0065】
加えて、各ピンは、フランジ21に関して予め設定した位置に本体3を拘束して、溝に対してピン24の位置を係止することができる、溝23から外方に突起する係止ハンドル24aを有する。
【0066】
換言すると、ハンドル24aをピン24の上にねじ込むことにより、本体3を解放し、X軸を中心に本体3を回転させ、患者の乳房101の位置及び大きさにより、方向Bに沿って本体3を上昇/下降させることができる。一旦本体3が位置付けられると、ハンドル24aをねじ込むことにより、本体3を設定位置に永久的に拘束する。
【0067】
上に記載されたデバイス1は、好都合なことに本発明の一部も乳房検査診断装置100内で使用される。
【0068】
図3a及び3bに概略的に示された装置100は、箱状本体3のチャンバ8と流体連通した加圧流体、好ましくは空気の供給源102を含む。この目的で、供給ダクトは、乳房上に膜5を広げることにより、加圧流体をチャンバ8内に分配するために提供される。
【0069】
換言すると、チャンバ8の内側の過剰圧力は、膜5を外方に変形させることにより、患者の乳房101が平面2aに対して圧縮される。
【0070】
供給源102は、診断画像の取得及び処理に従って構成可能な一時的な傾向で、流体(空気/ガス)をチャンバ8の中に導入することも可能にする。
【0071】
加えて、供給源102は、チャンバ8内に届くように圧力を調節できることに加えて、設定圧力の安定化を可能にし、検査の間中変わらないように保ち、患者の微小移動(呼吸による移動など)に対して補償する。
【0072】
装置100は、患者の乳房101の反対側の支持要素2に配置された照明システム103を更に含む。具体的には、照明システム103は、乳房の下部領域に向かって光ビームを向けるために、支持要素2の下に置かれる。
【0073】
この状況で、平面2aを作成した透明材料は、患者の乳房101に向かって光を通すことを可能にすることに留意するべきである。
【0074】
更に、装置100は、照明システム103の反対側の画像取得デバイス104を含む。
【0075】
より詳細には、画像取得デバイス104は、壁6及び膜5によって画定された透明「窓」を通して画像を取得するような方法で、患者の乳房101の反対側の平面壁6に配置される。
【0076】
本発明によれば、画像取得デバイス104は、乳房101の診断検査を行うために、あらゆる適切な型であってもよい。
【0077】
例えば、画像取得デバイス104は、光学カメラ又はX線装置から構成されてもよい。
【0078】
最後に、装置100は、診断画像の取得を促進して助長するために、患者の乳房を圧縮するように構成された、上記のデバイス1を含む。
【0079】
実際には、患者の乳房101は、次いで平面2a上に置かれる。
【0080】
この状況で、患者は、面2aの外縁と同一平面に自身の乳房の窪みを置かれる。
【0081】
その後、デバイス1は、関連した自由度を使用して接近するので、膜5は、膜5の下に完全にある患者の乳房101と一部が接触する。
【0082】
換言すると、本体3は、方向Aに沿って、X軸及びY軸を中心に動かされる。
【0083】
一旦適切な位置が見つかると、デバイス1は、検査を進めるために(当技術分野で公知であり、それ故に本明細書に開示されていない、係止システムを用いて)拘束される。
【0084】
供給源102は、次いで加圧流体を本体3のチャンバ8の中に導入するように活性化される。
【0085】
結果として、膜5は、患者の乳房101に対して広げられる。このようにして、容積を増加させることにより、膜5は、徐々に適位置に置かれ、患者の乳房101を胸に向かって、次いで平面2aに向かって次第に圧縮することにより、膜5を延ばす。
【0086】
供給源102のサーボ弁(コピーレフトであるので、本明細書には開示されず又は示されない)は、呼吸などの小さい動きに直面した時であっても、所望の圧力及びその結果生じる変形に達して維持していることを確認する。
【0087】
膜5が患者の乳房101に接着することにより、摩擦による固定効果も生じるので、患者が動くことは不可能ではないが難しい。
【0088】
このようにして、患者の乳房101に診断を提供する画像取得デバイス104は、活性化される。
【0089】
好都合なことに、デバイス1は、器官の快適で完全な固定を確保し、信頼できる検査の実行を可能にする。
【0090】
更に、膜5によって患者の乳房101上に加えられた圧力により、毛細血管の微小循環が瞬間的に遮断され、その結果、デオキシヘモグロビンが形成される。その現象は、健康な毛細血管よりも血管新生の毛細血管において顕著であり、それは、毛細血管を詰まらせるために必要な圧力がより低く且つ弾性が低いことに起因し、そのことは、デオキシヘモグロビンの濃度がより高く、酸素化回復時間がより長いことを示唆する。従って、初期腫瘍に栄養を与えることに特化した血管網が存在する可能性についての重要な情報が提供される。
【0091】
従って腫瘍に栄養を与える血管網を探すことにより、腫瘍を検出することができ、これは腫瘍自体よりはるかに広範囲で識別することができる。
【0092】
好都合なことに、デバイス1は、異なる診断方法(光学及び/又はX線)を使用するデバイスと互換性があり、超音波方法論とデバイス1の統合を促進する。
【0093】
更に、デバイス1は、特に使いやすく、あまり高額ではなく、構造が単純であり、検査の全段階において、この間中、効率的で制御可能な圧縮を可能にする。
【0094】
加えて、調整の異なる段階で、デバイス1は、患者の乳房101及び胴に適合可能である。それに応じて、圧縮作用全体が無痛であり、当技術分野で公知の圧縮システムより快適である。
【0095】
最後に、デバイス1は、光学検査の最後に超音波プローブで患者の乳房101に直接接近することが可能になり、患者の乳房101を上面2a上に位置付けたままにする、超音波スキャナの使用と互換性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】米国特許第6,587,578号明細書
【国際調査報告】