(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】MRI磁場補正デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
A61B5/055 341
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574754
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2022053380
(87)【国際公開番号】W WO2022179863
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511025226
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ デクス-マルセイユ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE D’AIX-MARSEILLE
【住所又は居所原語表記】Jardin du Pharo, 58, Bld Charles Livon, F-13284 Marseille cedex 07, France
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】523319586
【氏名又は名称】マルチウェーブ・イメージング・エスアエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タニア・デル・ソコロ・ヴェルガラ-ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】メグドゥーダ・ベナマラ
(72)【発明者】
【氏名】エロディ・ジョルジェ・パリ
(72)【発明者】
【氏名】レッドハ・アブデッダイム
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ジョマン
(72)【発明者】
【氏名】マルク・デュボワ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・エノク
(72)【発明者】
【氏名】ジャメル・ベラウー
(72)【発明者】
【氏名】トリフォン・アントナカキス
(72)【発明者】
【氏名】フランク・コバール
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ベンダハン
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096CC38
4C096CC40
(57)【要約】
磁気共鳴画像法において無線周波磁場を補正するための補正デバイス(1)であって、磁気共鳴画像検査中、患者の身体の領域上に配置されることが意図されており、基板と、前記基板上に少なくとも1つの導体トラック(11)とを含み、前記少なくとも1つの導体トラック(11)は、少なくとも1つの反応性電気部品(12)により互いに接続されている少なくとも2つのセグメント(S1;S2)を含む、補正デバイス(1)が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴画像法において無線周波磁場を補正するための補正デバイス(1)であって、磁気共鳴画像検査中、患者の身体の領域上に配置されることが意図されており、基板と、前記基板上に互いに平行に配設されている、細長い形状のいくつかの導体トラック(11)とを含み、各導体トラック(11)は、少なくとも1つの反応性電気部品(12)により互いに接続されている少なくとも2つのセグメント(S1;S2)を含む、補正デバイス(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの反応性電気部品(12)はコンデンサまたはインダクタである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの反応性電気部品(12)はコンデンサであり、前記コンデンサの容量値は1pF~1nFである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの反応性電気部品(12)は、1nH~1μHの値を有するインダクタである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
少なくとも1つの前記導体トラックは1~15個のセグメントを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記セグメント(S1;S2)は直線的であり、互いに整列されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの反応性電気部品(12)は、前記トラックの2つのセグメント(S1;S2)の隣接した端部において、前記導体トラックにはんだ付けされている表面実装部品である、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスは無線周波数波発生デバイスによって電力を供給されず、パッシブシステムを構成している、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記導体トラック(11)の全ては同じ長さ(L)を有する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記導体トラック(11)の全ては同数のセグメント(S1;S2)、特に2つのセグメントを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
異なる前記導体トラックの対応するセグメント(S1;S2)は同じ長さ(l)を有し、同じ前記導体トラック(11)内の前記セグメント(S1;S2)は、特に同一の長さである、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
少なくとも1つの前記導体トラック(11)は金属、特に銅で作製されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記基板は熱可塑性ポリマーで作製されており、特に少なくとも1つのエポキシ樹脂の合成物またはポリイミドを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイスと、前記デバイスを受容することが意図されている保護カバーとを含むアセンブリであって、前記保護カバーは、特に、熱可塑性材料、特に熱可塑性ポリマーで作製されている、アセンブリ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の、および磁気共鳴画像検査中に患者の身体の領域上に配置されることが意図されている、無線周波磁場補正デバイス(1)を製造する方法であって、少なくとも1つの導体トラック(11)が基板上にプリントされており、前記少なくとも1つの導体トラック(11)は、少なくとも1つの反応性電気部品(12)により互いに接続されている少なくとも2つのセグメント(S1;S2)に切り分けられている、方法。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載の無線周波磁場補正デバイス(1)の使用方法であって、磁気共鳴画像法により検査される患者の身体の領域の上におよび/または下に少なくとも1つの補正デバイス(1)を配置するステップを含む、使用方法。
【請求項17】
前記領域は、特に、骨盤、腹部、心臓、脳、もしくは頸部領域、または関節、特に膝、足首、肘、肩、もしくは手首である、請求項16に記載の使用方法。
【請求項18】
第1の補正デバイス(1)は、検査される前記患者の身体の前記領域上に配置されており、第2の補正デバイス(1)は、検査される前記患者の身体の前記領域の下に配置されており、前記第1のデバイスの前記反応性電気部品は前記第2のデバイスの前記反応性電気部品とは異なる、請求項17に記載の使用方法。
【請求項19】
前記磁気共鳴画像検査中に実施される静磁場の強度は1.5T、3T、または7Tに等しい、請求項16から18のいずれか一項に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴画像法(MRI)に使用されることが意図されている磁場補正デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
MRI内で必要とされる静磁場B0を生成する非常に強力な磁石の使用は、無線周波(RF)信号の測定の信号対雑音比(SNR)の著しい上昇を可能にする。SNRの上昇は、画像を得るのに必要な時間の短縮およびより優れた空間分解能をもたらす。
【0003】
特に1.5Tまたは3Tに等しい磁場を有する医療用MRI装置には、励磁のRFすなわち無線周波、磁場、またはB1+場といった、研究される核へ送信するのに使用される「ボディアンテナ(body antenna)」と呼ばれるボリュームアンテナが備え付けられている。このアンテナの目的は、放射線科医により使用されるMRI画像の質を確実にするために、完全に均一な信号を生成することである。
【0004】
しかし、信号のこの均一性は、特に骨盤、心臓、または腹部のMRIの場合に実施されるような、広いすなわち30×30cm2よりも広い視野上での検査中に保証されないことが知られている。
【0005】
関節(足首、膝、手首、肘、肩)または上半身(頸部領域および頭蓋領域)などの人間の身体の他の領域は、励磁のRF磁場の均一性に関して問題を引き起こさない。しかし、より高い信号強度を受信するためにRF磁場受信率(reception modulus)を改善することは興味深い。信号のこの増加は、一定の収集時間での画像の空間分解能の改善または同一空間分解能に対する収集時間の短縮を可能にする。
【0006】
米国特許第7,639,011号は、MRI検査において患者の上に配置するために構成されているRF磁場分布補正デバイスを開示している。このデバイスは、支持体上に平行に配置されている導電性双極子ストリップを含む。
【0007】
米国特許出願公開第2015/196225号は、胸部の下に配置されるMRI診断ツール用のアンテナ素子を説明しており、該アンテナ素子は、RF磁場の増幅のために選択される、導体トラックとコンデンサとの組合せを含み得る。
【0008】
米国特許出願公開第2011/137589号は、RF磁場内の不均一を抑制するための導電トラックを含むパネルを開示している。
【0009】
英国特許出願公開第2580011号は、MRIシステム内で無線周波信号の磁場を集中させるためのデバイスを開示している。該デバイスは、マトリクス内に配置されている複数の導体素子を含む。デバイスは、各々が2つの導体素子の対間に接続されている半導体を含み得る。これらの半導体は外部電源を必要とする。
【0010】
CN102723608は、基板上に配設されている微細構造を含むメタマテリアルを開示している。これらの微細構造は、開リングを形成する導線と、該導線と直列に接続されているインダクタンスパッチとを含む。
【0011】
米国特許出願公開第2010/213941号は、検査される物体内で磁気共鳴を励磁する、または検出するためのアンテナを開示している。該アンテナは、少なくとも1つのライン共振器と、少なくとも1つのコンデンサにより中断されている導電ループとを含む。本文献は、磁気波発生デバイスに接続されるアクティブシステムに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第7,639,011号
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/196225号
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/137589号
【特許文献4】英国特許出願公開第2580011号
【特許文献5】CN102723608
【特許文献6】米国特許出願公開第2010/213941号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
MRI画像の取得を改善し、特に広い視野上で実施される検査の場合に該MRI画像の質を確実にする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
補正デバイス
第1の態様によれば、本発明は、磁気共鳴画像法における磁場を補正するための補正デバイスに関し、磁気共鳴画像検査中に患者の身体の領域上に配置されることが意図されており、基板と、該基板上に配設されている少なくとも1つのトラックとを含み、該少なくとも1つの導体トラックは、少なくとも1つの反応性電気部品(reactive electrical component)により互いに接続されている少なくとも2つのセグメントを含む。
【0015】
本発明は、MRI内での臨床検査の状況に完全に適応する平坦で微細な可撓性の構造を使用することにより、無線周波磁場の均一化の問題を解決することを可能にする。反応性電気部品は、単数または複数の金属トラックの共鳴周波数を補正すること、および共鳴のQ値を減少させること、およびしたがってMRI検査中に生成されるRF磁場を修正することを可能にする。
【0016】
「反応性電気部品」は、該部品が、電力消費または外部電源なしに、電流の通過に対して反応することを意味すると理解されるべきである。
【0017】
本発明において、デバイスは、無線周波数波発生デバイスによって電力を供給されず、したがってパッシブシステムを構成している。その動作中、デバイスには、もっぱら電磁誘導現象により生成される電流が横断する。
【0018】
また、本発明は、認可された限度未満の比吸収率(SAR)を維持しながら、残部に影響を及ぼすことなく、人間の身体の少なくとも一部におけるMRI測定の信号対雑音比を上昇させることを可能にする。
【0019】
送信アンテナおよび1つまたは複数の受信アレイを使用するMRI測定中、患者によってデバイスが装着された場合、本発明によるデバイスは、強い磁場を有するMRIでは通常は信号がない領域内で、より良好なコントラストを有する画像を得ることを可能にする。これらの低信号領域は、特に、3Tの磁場を用いた、骨盤、腹部、または心臓のMRI検査の場合に見出される。
【0020】
反応性電気部品
反応性電気部品はコンデンサであることが好ましい。
【0021】
変形形態において、反応性電気部品はインダクタである。
【0022】
接続されるセグメントの長さがMRI信号の半波長よりも長いかまたはそれに等しい場合、反応性電気部品はコンデンサであることが好ましい。そうでなければ、反応性電気部品はインダクタであることが好ましい。
【0023】
コンデンサの場合、コンデンサの容量値は1pF~1nFであることが好ましい。
【0024】
インダクタの場合、その値は1nH~1μHであることが好ましい。
【0025】
コンデンサまたはインダクタの静電容量の選択は、端から端まで配置されているセグメントの長さおよびセグメントの数と関連している。
【0026】
少なくとも1つの反応性電気部品は、電子的に調節可能な、例えば適切な電子回路を活用して調節可能な、静電容量またはインダクタンス値を有し得る。
【0027】
少なくとも1つの反応性電気部品は、トラックの2つのセグメントの隣接した端部で導体トラックにはんだ付けされている表面実装部品であり得る。
【0028】
トラックおよびセグメント
少なくとも1つの導体トラックは1つ~15個のセグメントを含む。セグメントの数を増やすことは、導体トラック上で流れる電流の増幅の分布を制御することを可能にする。この態様は、標的とされた領域に対して、本発明によるデバイスのサイズを適合させることを可能にする。
【0029】
セグメントは直線的で、互いに整列されていることが好ましい。
【0030】
デバイスは、特に細長い形状の、基板上に互いに平行に配置されているいくつかの導体トラックを含み得る。これらのトラックは相互接続されていないことが好ましい。
【0031】
導体トラックの全ては同じ長さを有し得る。
【0032】
導体トラックの全ては同数のセグメント、特に2つのセグメントを含み得る。
【0033】
異なる導体トラックの対応するセグメントは同じ長さを有することが好ましく、同じ導体トラック内のセグメントは特に同一の長さである。「対応するセグメント」という用語は、異なる金属トラックの同じN番目のセグメントを意味すると理解されるべきであり、Nは、各金属トラックが沿って延在する長手方向軸に従って数えられる、1よりも大きく金属トラックのセグメントの総数よりも小さい整数である。
【0034】
少なくとも1つの導体トラックは金属、好ましくは非磁性の、特に銅、銀または真鍮で作製されていることが好ましい。本発明の好適な実施形態では、少なくとも1つの導体トラックは銅で作製されている。
【0035】
デバイスは1つ~30個の導体トラック、特に15個のトラックを含み得る。
【0036】
少なくとも1つのトラックの幅は1mm~25mmであり、特に12.5mmに等しいことが好ましい。
【0037】
縁部と縁部との間で測定される各導体トラック間の間隔は1mm~100mmであり、特に50mmに等しいことが好ましい。
【0038】
少なくとも1つのトラックの厚さは0.005mm~0.2mmであることが好ましい。
【0039】
少なくとも1つのトラックの長さは0.1m~1m、さらにより良くは60cm~85cmであり、特に70cmに等しいことが好ましい。
【0040】
基板
基板の厚さは0.01mm~1.6mmであり、特に0.4mmに等しいことが好ましい。
【0041】
基板は可撓性であることが好ましい。このことは、全体的なデバイスの可撓性を確実にする。基板は熱可塑性ポリマーで作製され、特に少なくとも1つのエポキシ樹脂合成物またはポリイミドを含み、特にカプトン(Kapton)(登録商標)で作製されていることが可能である。基板は、その損失角δがtan(δ)<0.025である低損失材料で作製されていることが好ましい。
【0042】
アセンブリ
また、本発明は、本発明によるデバイスと、特に熱可塑性材料で、特に熱可塑性ポリマーで作製されており、該デバイスを受容することが意図されている保護カバーとを含むアセンブリに関する。
【0043】
カバーは、医療および病院の用途のための安全衛生規則に適合するポリマー含浸織物を含み得る。
【0044】
製造法
また、本発明は、本発明による、かつ磁気共鳴画像検査中に患者の身体の領域上に配置されることが意図されている磁場補正デバイスを製造する方法に関し、本方法では、少なくとも1つの導体トラックが基板上にプリントされ、該少なくとも1つの導体トラックは、少なくとも1つの反応性電気部品により互いに接続されている少なくとも2つのセグメントに切り分けられる。
【0045】
トラックの数、セグメントの数、少なくとも1つのトラックの幅、長さおよび/もしくは厚さ、各導体トラック間の間隔、ならびに/または反応性電気部品、特に単数または複数のコンデンサの場合の容量値は、検査される患者の身体の領域の視野および/または磁気共鳴画像検査中に実施される静磁場の値に基づいて選択され得る。
【0046】
これらの選択は単数または複数の導体トラックの特定の共振周波数を決定し、それは、MRI装置、特にMRI画像法の場合にMRIスキャナにより使用されるラーモア(Larmor)周波数よりも、数パーセントだけ僅かにより高いように固定されることが有利である。スキャナにより使用される周波数は事前に決定され得る: f0 = γB0であり、ここで、f0は周波数、γは核の磁気回転比(例えば水素では、42.6MHz/Tesla)、B0はスキャナの磁場の強度である。
【0047】
デジタルシミュレーションツール、例えば有限要素法による電磁場シミュレーションのツールが、身体の標的領域に基づくデバイスの上述の特性を最適化することを可能にする。無線周波アンテナおよび人間の身体の標準モデルがこれらのシミュレーションにおいて使用される。デジタルツールの使用は、複雑で不均一な環境である人間の身体内での電磁波の伝播を最もよく説明することを可能にする。
【0048】
使用方法
本発明は、本発明による磁場補正デバイスの使用方法にさらに関し、磁気共鳴画像法により検査される患者の身体の領域の上におよび/または下に少なくとも1つの補正デバイスを配置するステップを含む。
【0049】
領域は、骨盤、腹部、心臓、脳、もしくは頸部領域、または関節、特に膝、足首、肘、肩、もしくは手首とであり得る。
【0050】
第1の補正デバイスは、検査される患者の身体の領域上に配置されることが可能であり、第2の補正デバイスは、検査される患者の身体の領域の下に配置されることが可能である。第1のデバイスの反応性電気部品は、第2のデバイスの反応性電気部品とは異なる可能性がある。
【0051】
磁気共鳴画像検査中に実施される静磁場の強度は1.5T、3T、および7Tに等しい可能性がある。
【0052】
デバイスに関して前述されている特性は本方法に適用され、逆の場合も同じである。
【0053】
本発明は、以下の記載を読み、それに付随する図を検討すると、よりよく理解されるであろう。これらの図は単に例として提供されており、本発明をいかなる形でも制限しない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図2A】本発明によるデバイスを使用することなく、ボディアンテナによる人間のシミュレーションモデルのファントムM内で得られるB
1+場の分布の図である。
【
図2B】
図1に示されているデバイスが使用された場合の、
図2AのB
1+場の分布の図である。
【
図3】本発明によるデバイスの使用の例の図である。
【
図4A】本発明によるデバイスを使用しない、信号対雑音比の矢状断面図である。
【
図4B】
図1に示されているデバイスが使用された場合の、
図4Aによる信号対雑音比の矢状断面図である。
【
図5】
図4Aおよび
図4Bの画像の中心において水平線上に取られた信号対雑音比のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、3Tに等しい磁場を用いた、骨盤領域および腹部領域のMRI検査のために使用される本発明によるデバイス1の例を図示する。
【0056】
図示されている例では、デバイス1は銅で作製されており、縁部から縁部まで1.25cm離間されており、1.25cmに等しい幅wの、かつ0.01cmに等しい厚さの、15の金属トラック11を含む。トラック11は70cmに等しい長さを有する。
【0057】
これらのトラック11は、15個の反応性電気部品12、すなわち記載されている例では静電容量10pFのコンデンサにより互いに接続されている2つのセグメントS1、S2に切り分けられている。
【0058】
記載されている例では、トラック11は、0.04cmに等しい厚さを有する、FR-4(難燃性4)樹脂基板上に配設されている。デバイスは、特にDartexの、例えば熱可塑性ポリマーで縫い付けられ、作製されている、適切な大きさのカバーにより保護され得る。
【0059】
B
1+場の均一化のデジタル研究
図2Aは、3Tに等しい磁場のための陽子のラーモア周波数に対応する、128MHzでの人間のシミュレーションモデルのファントムM内のボディアンテナを使用して得られるB
1+場の分布を示す。
【0060】
図2Aに図示されているように、低強度を示す暗い領域を見て分かるように、ボディアンテナ単独で、非均一なRF磁場をもたらす。
【0061】
図1の実施形態による2つの補正デバイスは、次いで、ファントムMの上方および下方に配置される。
図2Bに図示されているように、B
1+無線周波磁場の強度および均一性における著しい改善が、次いで、観察される。
【0062】
B1+無線周波磁場の均一性は、一方で、観察領域の至る所で均一な傾斜角を保証することを可能にし、それにより、最終的なMRI画像におけるコントラストの均一性が保証される。該傾斜角は、MRI取得順序全ての間に使用されるパラメータである。傾斜角は、プローブされた核の平均磁化と静磁場B0の軸とにより形成される角度のことである。傾斜角の値は、増幅、および送信アンテナにより生成される無線周波パルスの継続時間により固定される。
【0063】
他方、B1+無線周波磁場の強度の全体的な増大は、より良好な有効性をもって傾斜角を制御する、すなわちより小さい電力が発電機により供給されることを可能にする。下記の表に示されているように、比吸収率の観点から、電磁の安全性に関しては、患者にとってこの態様は必須である。
【0064】
比吸収率のデジタル研究
下記の表は、
図1による補正デバイスの使用の3つの例における、比吸収率(SAR)の実験を示す。「背」および「胃」の事例は、単一補正デバイスの片側使用に相当し、「二重」の事例は、
図2Bに示されているように、2つのデバイスの組合せ使用に相当する。「参照」欄は、本発明による補正デバイスを用いない参照事例を指定する。
【0065】
同一入力電力に関して、全体的、すなわちファントムMの全体に亘って平均化されるか、または局所的、すなわち組織の10gに亘って平均化されるかのどちらかの、2つのSAR要因が、本発明による1つまたは2つの補正デバイスの追加により低減されることが、3つの事例において言及される。
【0066】
【0067】
信号対雑音比の実験研究
信号対雑音比の研究は最終的なMRI画像の質のために重要であり、あまりに低い信号対雑音比が、医師による診断の困難さまたは不可能性の原因となる。また、信号対雑音比の顕著な増大が、高い閾値が到達された場合、測定を加速することを可能にする。
【0068】
記載されている例では、測定は、人間の腹部の類似物を示す、水で満たされた、40×40×20cm3のサイズを有する20-L容器を含むファントムを使用して、3Tに等しい磁場を有するMRIスキャナ上で実施される。MRIスキャナのボディアンテナにより信号送信が実施され、2つの多チャンネルアンテナアレイすなわち背面アレイおよび腹面アレイにより、信号受信が実施される。
【0069】
本研究は、点で描いた体積はジェリー缶を含む測定領域を示し、該測定体積と接触している陰影付きパネルは本発明による2つのデバイスの配置を示す
図3に図示されているように、参照測定に相当する、本発明によるデバイスを使用しない構成と、受信アレイ(図示せず)とファントムの表面との間に挿入された2つの補正デバイスを用いた「二重」構成と呼ばれるものとにおいて、それぞれに実施された2つの測定を比較した。
【0070】
図4Aおよび
図4Bは、得られる信号対雑音比の矢状断面図を示す。
【0071】
図5は、
図4Aおよび
図4Bの画像の中心において水平線上に取られた信号対雑音比のグラフを示す。
【0072】
本発明による補正デバイスの挿入後、信号対雑音比の著しい改善が、全体的なグラフに沿って、かつより全体的に区域の至る所で、観察される。
【0073】
本発明は、前述されている例に限定されない。
【0074】
例えば、トラック、セグメント、反応性電気部品、および基板に関する他の特徴が想像され得る。
【符号の説明】
【0075】
1 デバイス、補正デバイス、第1の補正デバイス、第2の補正デバイス
11 金属トラック、導体トラック
12 反応性電気部品
B0 静磁場
L (導体トラックの)長さ
l (セグメントの)長さ
M ファントム
S1、S2 セグメント
δ 損失角
【国際調査報告】