IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローバル エンバイロ ホールディング プライベート リミテッドの特許一覧

特表2024-507017タイヤリサイクルのための方法及び装置
<>
  • 特表-タイヤリサイクルのための方法及び装置 図1
  • 特表-タイヤリサイクルのための方法及び装置 図2
  • 特表-タイヤリサイクルのための方法及び装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】タイヤリサイクルのための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/40 20220101AFI20240208BHJP
   H05H 1/30 20060101ALI20240208BHJP
   H05H 1/32 20060101ALI20240208BHJP
   B09B 101/80 20220101ALN20240208BHJP
【FI】
B09B3/40 ZAB
H05H1/30
H05H1/32
B09B101:80
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532587
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 SG2022050007
(87)【国際公開番号】W WO2023132784
(87)【国際公開日】2023-07-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522214358
【氏名又は名称】グローバル エンバイロ ホールディング プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL ENVIRO HOLDING PTE. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】パスカロフ, ジョージ
【テーマコード(参考)】
2G084
4D004
【Fターム(参考)】
2G084AA20
2G084CC02
2G084CC04
2G084CC13
2G084CC23
2G084DD03
2G084GG02
2G084GG07
4D004AA11
4D004BA03
4D004BA06
4D004CA04
4D004CA27
4D004CA43
4D004CB50
(57)【要約】
タイヤリサイクルの方法は、(a)アークプラズマトーチ及び高周波(RF)プラズマトーチを備えるハイブリッドプラズマトーチが、第1の方向にプラズマジェットを生成するステップと、(b)廃タイヤを粉砕して得られたゴム粉末を第1の方向とは反対の第2の方向にプラズマジェット内に導入して、ゴム粉末のプラズマ熱分解による合成ガス(シンガス)を得るステップと、(c)ステップ(b)の後に残った未熱分解ゴム粉末を低周波(LF)誘導加熱器で加熱して、カーボンブラックを得るステップと、(d)得られたシンガスの一部をハイブリッドプラズマトーチによってプラズマガスとして使用するステップとを含む。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤリサイクルの方法であって、
(a)アークプラズマトーチ及び高周波(RF)プラズマトーチを備えるハイブリッドプラズマトーチを使用して第1の方向にプラズマジェットを生成するステップと、
(b)廃タイヤを粉砕して得られたゴム粉末を前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記プラズマジェット内に導入して、前記ゴム粉末のプラズマ熱分解による合成ガス(シンガス)を得るステップと、
(c)前記ステップ(b)の後に残った未熱分解ゴム粉末を低周波(LF)誘導加熱器で加熱して、カーボンブラックを得るステップと、
(d)前記得られたシンガスの一部を前記ハイブリッドプラズマトーチによってプラズマガスとして使用するステップと
を含む、タイヤリサイクルの方法。
【請求項2】
発電のために前記シンガスを収集するステップをさらに含む、請求項1に記載のタイヤリサイクルの方法。
【請求項3】
タイヤ製造のために前記カーボンブラックを収集するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載のタイヤリサイクルの方法。
【請求項4】
前記第2の方向と前記第1の方向との間の角度が、0°~45°の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤリサイクルの方法。
【請求項5】
(e)タービンが前記得られたシンガスから電気を生成するステップをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤリサイクルの方法。
【請求項6】
前記ステップ(e)で生成した電気の一部が、当該方法に電力を供給するために使用される、請求項5に記載のタイヤリサイクルの方法。
【請求項7】
タイヤリサイクルのための装置であって、
ガス出口を有する反応室と、
前記反応室内に設けられ、前記反応室内に第1の方向にプラズマジェットを生成するように構成されたハイブリッドプラズマトーチであって、アークプラズマトーチ及び高周波(RF)プラズマトーチを備える、ハイブリッドプラズマトーチと、
前記反応室と粉末導入器との間で流体連通する少なくとも1つの供給管であって、廃タイヤを粉砕して得られたゴム粉末のプラズマ熱分解によって合成ガス(シンガス)を得るために、前記ゴム粉末を前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記プラズマジェット内に導入する少なくとも1つの供給管と、
前記反応室と流体連通する低周波(LF)誘導加熱器であって、カーボンブラックを得るために前記反応室から該LF誘導加熱器内に流入した未熱分解ゴム粉末を加熱するLF誘導加熱器と
を備え、
前記ハイブリッドプラズマトーチが、前記得られたシンガスの一部をプラズマガスとして使用する、タイヤリサイクルのための装置。
【請求項8】
前記第2の方向と前記第1の方向との間の角度が、0°~45°の範囲である、請求項7に記載のタイヤリサイクルのための装置。
【請求項9】
前記ガス出口と流体連通するシンガス収集器をさらに備える、請求項7又は8に記載のタイヤリサイクルのための装置。
【請求項10】
前記シンガス収集器が、前記シンガスを発電に使用するように構成されたタービンを備える、請求項9に記載のタイヤリサイクルのための装置。
【請求項11】
当該装置が、前記得られたシンガスから生成した電気の一部によって電力を供給される、請求項10に記載のタイヤリサイクルのための装置。
【請求項12】
前記LF誘導加熱器と流体連通するカーボンブラック収集チャネルをさらに備える、請求項7~11のいずれか一項に記載のタイヤリサイクルのための装置。
【請求項13】
前記LF誘導加熱器が、少なくとも1つの導管を備え、前記少なくとも1つの導管が、該導管の周りに設けられたLF誘導コイルを有する、請求項7~12のいずれか一項に記載のタイヤリサイクルのための装置。
【請求項14】
前記導管が、下向きの角度で前記反応室から外側に延びる、請求項7~13のいずれか一項に記載のタイヤリサイクルのための装置。
【請求項15】
前記導管が、それ自体の長手方向軸線を中心に回転可能である、請求項13~14のいずれか一項に記載のタイヤリサイクルのための装置。
【請求項16】
前記導管に沿った材料の移動を容易にするために前記導管内に回転可能に設けられたオーガをさらに備える、請求項13~15のいずれか一項に記載のタイヤリサイクルのための装置。
【請求項17】
前記導管が誘導加熱可能な材料で作られる、請求項13~16のいずれか一項に記載のタイヤリサイクルのための装置。
【請求項18】
前記オーガが誘導加熱可能な材料で作られ、前記導管が、前記LF誘導コイルが前記導管を誘導加熱することなく前記オーガを誘導加熱することを可能にする材料で作られ、前記導管が断熱を提供して、前記導管を通る前記オーガからの熱損失を最小限に抑える、請求項16に記載のタイヤリサイクルのための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、合成ガス及びカーボンブラックを生成するタイヤリサイクルのための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]本発明の背景技術に関する以下の説明は、本発明の理解を容易にすることのみを意図している。説明は、言及された資料のいずれかが本発明の優先日の時点で任意の管轄権において公開されていたか、公知であったか、又は当業者の共通の一般知識の一部であったことの確認又は承認ではないことを理解されたい。
【0003】
[0003]世界中の都市及び産業では、炉内で廃タイヤを燃焼させたり、スクラップタイヤの陸上置き場所を増やしたりする通常の方法の代わりに、それらの廃タイヤ管理問題に対する環境に優しい解決策が模索されている。提案されている解決策の1つは、酸素(又は任意のハロゲン)の非存在下での高温での有機材料の熱化学的分解を含む熱分解システムを使用することである。
【0004】
[0004]現在のプラズマ熱分解システムの大部分は、通常は消耗性炭素で作られた2つの電極を使用するプラズマアーク技術を使用し、これらの電極に電気を通すことにより、それらの間に高温アークプラズマを生成する。これらの電極は頻繁な交換を必要とし、電極設計はその構成及びパラメータにおいて制限される。このような方法はまた、廃棄物の生成を通じて健康及び環境上の危険をもたらす。別のプラズマ熱分解システムは、高周波(RF)プラズマトーチを使用する。しかしながら、RFプラズマシステムは、特別なプラズマガスとしてアルゴン及び窒素の使用を必要とし、アルゴンガスの高コストは、タイヤの熱分解にRFプラズマを使用するコストを上昇させる。
【発明の概要】
【0005】
[0005]第1の態様によれば、タイヤリサイクルの方法が提供され、本方法は、
(a)アークプラズマトーチ及び高周波(RF)プラズマトーチを備えるハイブリッドプラズマトーチが、第1の方向にプラズマジェットを生成するステップと、
(b)廃タイヤを粉砕して得られたゴム粉末を第1の方向とは反対の第2の方向にプラズマジェット内に導入して、ゴム粉末のプラズマ熱分解による合成ガス(シンガス)を得るステップと、
(c)ステップ(b)の後に残った未熱分解ゴム粉末を低周波(LF)誘導加熱器で加熱してカーボンブラックを得るステップと、
(d)得られたシンガスの一部をハイブリッドプラズマトーチによってプラズマガスとして使用するステップと、
を含む。
【0006】
[0006]本方法は、発電のためにシンガスを収集するステップをさらに含んでもよい。
【0007】
[0007]本方法は、タイヤ製造のためにカーボンブラックを収集するステップをさらに含んでもよい。
【0008】
[0008]本方法は、得られたシンガスから電気を生成するタービンをさらに含んでもよい。
【0009】
[0009]生成した電気の一部は、本方法に電力供給を行うために使用されてもよい。
【0010】
[0010]第2の態様によれば、タイヤリサイクルのための装置が提供され、本装置は、ガス出口を有する反応室と、反応室内に設けられ、反応室内に第1の方向にプラズマジェットを生成するように構成されたハイブリッドプラズマトーチであって、アークプラズマトーチ及び高周波(RF)プラズマトーチを備える、ハイブリッドプラズマトーチと、反応室と粉末導入器との間で流体連通し、廃タイヤを粉砕して得られたゴム粉末を第1の方向とは反対の第2の方向にプラズマジェット内に導入して、ゴム粉末のプラズマ熱分解によって合成ガス(シンガス)を得るための少なくとも1つの供給管と、反応室と流体連通し、反応室から低周波誘導加熱器内に流入した未熱分解ゴム粉末を加熱してカーボンブラックを得る低周波(LF)加熱器と、を備え、ハイブリッドプラズマトーチは、得られたシンガスの一部をプラズマガスとして使用する。
【0011】
[0011]本装置は、ガス出口と流体連通するシンガス収集器をさらに備えてもよい。
【0012】
[0012]シンガス収集器は、シンガスを発電に使用するように構成されたタービンをさらに備えてもよい。
【0013】
[0013]本装置は、得られたシンガスから生成した電気の一部によって電力を供給されてもよい。
【0014】
[0014]本装置は、LF誘導加熱器と流体連通するカーボンブラック収集チャネルをさらに備えてもよい。
【0015】
[0015]LF誘導加熱器は、導管(tubular conduit)の周りに設けられたLF誘導コイルを有する少なくとも1つの導管を備えてもよい。
【0016】
[0016]導管は、下向きの角度で反応室から外向きに延在してもよい。
【0017】
[0017]導管は、それ自体の長手方向軸線を中心に回転可能であってもよい。
【0018】
[0018]本装置は、導管に沿った材料の移動を容易にするために導管内に回転可能に設けられたオーガをさらに備えてもよい。
【0019】
[0019]導管は、誘導加熱可能な材料で作られてもよい。
【0020】
[0020]あるいは、オーガは誘導加熱可能な材料で作られてもよく、導管は、LF誘導コイルが導管を誘導加熱することなくオーガを誘導加熱することを可能にする材料で作られ、導管は断熱を提供して、導管を通るオーガからの熱損失を最小限に抑える。
【0021】
[0021]両方の態様について、第2の方向と第1の方向との間の角度は、0°~45°の範囲である。
【0022】
[0022]本発明が完全に理解され、容易に実用に供され得るように、ここで、本発明の例示的な実施形態のみを非限定的な例として説明するものとし、その説明は、添付の例示的な図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】タイヤリサイクル及びガス生成の方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
図2】タイヤリサイクル及びガス生成のための装置の例示的な実施形態の概略図である。
図3図2の装置の導管の例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0023]本書を通して、そうでないことが示されていない限り、「備える(comprising)」、「からなる(consisting of)」、「有する(having)」などの用語は、網羅的でないものとして、又は換言すれば「限定されないが、~を含む」を意味するものとして解釈されるべきである。
【0025】
[0024]さらに、本明細書を通して、文脈上別段の要求がない限り、「含む(include)」という単語又は「含む(includes)」若しくは「含む(including)」などの変形は、記載された整数又は整数群を含むが、任意の他の整数又は整数群を除外しないことを意味すると理解されたい。
【0026】
[0025]他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本明細書の主題が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0027】
[0026]タイヤリサイクルのための方法(100)及び装置200の例示的な実施形態を、図1図3を参照して以下に説明する。
【0028】
[0027]装置200は、ハイブリッドプラズマトーチ220が設けられた反応室210を備える。図2に示す例示的な実施形態では、ハイブリッドプラズマトーチ220は、反応室210内の中央に設けられる。ハイブリッドプラズマトーチ220は、アークプラズマトーチ221及び高周波(RF)プラズマトーチ222を備え、ゴム粉末30を熱分解するために第1の方向91(110)にプラズマジェット223を生成する。アークプラズマトーチ221は、例えば、DCプラズマトーチを備えてもよい。プラズマジェット223の生成は、プラズマガス224をアークプラズマトーチ221に通過させ、アークプラズマトーチ221を通過したプラズマガス224をRFプラズマトーチ222によって提供されるRFフィールドにさらすことによって達成される。高温プラズマジェット223は、プラズマガス224を電気アーク(アークプラズマトーチ221によって提供される)及びRF誘導コイル(RFプラズマトーチ222によって提供される)の両方に通過させることによって形成されるので、ゴム粉末熱分解の効率を高めるために、形成されたプラズマジェット223を制御するために異なるプラズマガスが使用されてもよい。
【0029】
[0028]方法(100)では、廃タイヤを粉砕することから得られたゴム粉末30が、プラズマジェット223内に第1の方向91(120)とは反対の第2の方向92に導入され、それにより、プラズマジェット223に対する導入されたゴム粉末30の逆流が効果的に存在する。第2の方向92と第1の方向91との間の角度は、0°~45°の範囲であってもよい。例えば、第2の方向92と第1の方向91との間の角度が0°である場合、これは、導入されたゴム粉末30の流れの方向がプラズマジェット223の流れの方向と正反対であることを意味する。このようにして、実質的に反対方向に流れるプラズマジェット223とゴム粉末30との間の熱交換の増加により、ゴム粉末30の熱分解が効率的に達成される。この粉末供給方法は、より小さい粒子とより大きい粒子の両方が自動的にプラズマジェット233内で異なる滞空時間及び処理時間を有し、それによって熱分解をより均一かつ効率的にするので、粒径に敏感ではない。
【0030】
[0029]プラズマジェット223内へのゴム粉末30の導入は、装置200に設けられた少なくとも1つの供給管230を介して行われてもよく、供給管230は、反応室210と粉末30導入器(図示せず)との間で流体連通している。ゴム粉末30がプラズマジェット223によって熱分解されると、主に一酸化炭素及び水素を含む合成ガス(シンガス)が得られる。二酸化炭素及び長鎖炭化水素も存在し得る。得られたシンガスは、反応室210に設けられたガス出口240を介して反応室210から排出される。図2に示す装置200の例示的な実施形態では、ガス出口240は、反応室210の上部に設けられてもよい。
【0031】
[0030]反応室210内では、酸素欠乏かつ高熱の雰囲気中でゴム粉末30の熱分解が行われ、これにより、ダイオキシン、フラン、及び他の有害な副生成物の生成が防止される。また、得られるシンガスの組成は、熱分解の反応温度だけでなく、プロセス滞留時間、プラズマガスの種類及びキャリアガスの種類によっても影響を受ける。これらのパラメータを変化させることにより、方法(100)及び装置200は、ある範囲の量の様々な出力成分を生成する能力を提供する。
【0032】
[0031]明らかに、プラズマジェット223に導入されたゴム粉末30のすべてが熱分解されるわけではない。方法(100)及び装置200では、残った未熱分解ゴム粉末31を装置200の低周波(LF)誘導加熱器250で加熱して(130)、カーボンブラック32を得る。LF誘導加熱器250は、好ましくは、反応室210と流体連通する少なくとも1つの導管251と、導管251の周囲に設けられたLF誘導コイル252とを備える。LF誘導コイル252は、LF発生器253に接続されている。LF誘導加熱器250の周波数は、1kHz~500kHzであってもよく、使用される電力は、10kW~5MWであってもよい。
【0033】
[0032]図1及び図2に示す方法(100)及び装置200の例示的な実施形態では、プラズマジェット223が生成する第1の方向91は、垂直上方である。ゴム粉末30は、プラズマジェット223内に垂直に対して約20°の角度で下方に導入される。残りの未熱分解ゴム粉末31は、図2の矢印39で示すように、最初に上方に進み、次に下方に進む移動軌跡をたどる。LF誘導加熱器250の導管251は、反応室210から下向きの角度で外向きに延在して、未熱分解ゴム粉末31がLF誘導加熱器250内に重力引っ張りの下で流れることを可能にする。これにより、流動浴が形成され、装置200内の未熱分解ゴム粉末31の滞留時間の変動が可能になり、増加する。滞留時間の増加は、プラズマトーチ220を出る重油を長鎖炭化水素ガスに分解し、それにより、廃タイヤからエネルギーを生成するときに得られるシンガスの発熱量を増加させる。
【0034】
[0033](1つ又は複数の)導管251内では、通過する気体、液体及び固体を加熱するために放射及び対流が起こり、導管251内の温度は900°C以上にもなり得る。第1の例示的な実施形態では、導管251は、ステンレス鋼又は炭素鋼などの誘導加熱することができる適切な材料で作られてもよく、セラミック、グラファイト又は任意の他の磁性材料でコーティングして誘導を生じさせてもよい。導管251は、導管251の誘導加熱の効率を高めるために、それ自体の長手方向軸線を中心にさらに回転可能であってもよい。
【0035】
[0034]いくつかの実施形態では、装置200は、導管251に沿った未熱分解ゴム粉末31及び得られたカーボンブラック32などの材料の移動を容易にするために、導管251内に回転可能に設けられた幅広の螺旋ブレード又は羽根258を有するシャフト256を備える、図3に示すようなオーガ254をさらに備えてもよい。
【0036】
[0035]装置200の第2の例示的な実施形態では、オーガ254は、磁性材料などの誘導加熱可能な材料で作られてもよく、一方、導管251は、導管251を誘導加熱することなく、LF誘導コイル252からの電磁場がオーガ254を誘導加熱することを可能にする誘電材料などの材料で作られ、すなわち、導管251自体は、LF誘導コイル252からの電磁場に対してトランスペアレントである。第2の例示的な実施形態では、導管251の材料はまた、好ましくは断熱性であり、それにより、オーガ254の誘導加熱によって発生したすべての熱は、周囲への熱損失を最小限に抑えて導管251内に留まり、それにより、未熱分解ゴム粉末31をカーボンブラック32に変換するための誘導加熱効率を最大化する。
【0037】
[0036]いくつかの実施形態では、LF誘導加熱器250は、未熱分解ゴム粉末31のカーボンブラック32へのより効率的な変換のために、各々がLF誘導コイル252を備えた上述の導管251を複数備えてもよい。そのような実施形態では、各導管251には、その中に回転可能なオーガ254が設けられても設けられなくてもよい。
【0038】
[0037]方法(100)及び装置200において、得られたシンガスの一部は、ハイブリッドプラズマトーチ220によってプラズマガス224として使用される(140)。残りのシンガスは、電気を生成するために、冷却され、精製され、タービン(ガスタービン又は蒸気タービンであってもよい)に供給されてもよい。いくつかの実施形態では、システムが自立するように、方法(100)及び装置200に電力を供給するために生成した電気の一部を使用してもよい。残りの生成した電気は、販売されてもよく、他の用途のために導かれてもよい。
【0039】
[0038]方法(100)によって得られたカーボンブラック32は、LF誘導加熱器250と流体連通するカーボンブラック収集チャネル260を介してLF誘導加熱器250から導かれ、将来的に新しいタイヤを製造するための構成要素として回収されてもよい。
【0040】
[0039]上述のハイブリッド高温プラズマと低周波誘導加熱との組み合わせを使用して、ゴム粉末熱分解及びシンガス生成の効率が劇的に改善される。得られたシンガスの一部をハイブリッドプラズマトーチ220内のプラズマガスとして使用することにより、高価なアルゴン又は他の希ガスが必要とされないため、プラズマ発生のコストが大幅に削減される。エネルギーに関して、方法(100)及び装置200はまた、得られたシンガスから生成した電気の一部を使用して装置200及び方法(100)に電力を供給することによって自立させることができる。
【0041】
[0040]上記の説明では、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明から逸脱することなく、設計、構成、及び/又は動作の詳細の多くの変形が可能であることは、当業者には理解されよう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】