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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】酸素化溶媒臭気物質除去組成物
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20240208BHJP
   C09K 15/08 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A61L9/01 K
C09K15/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536190
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2020137609
(87)【国際公開番号】W WO2022126597
(87)【国際公開日】2022-06-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(72)【発明者】
【氏名】シェン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ、ジエン
(72)【発明者】
【氏名】デュアン、シュユ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ホンイン
(72)【発明者】
【氏名】ジー、ジン
【テーマコード(参考)】
4C180
4H025
【Fターム(参考)】
4C180AA05
4C180BB01
4C180BB08
4C180BB09
4C180EB08Y
4C180EB15X
4C180EB41Y
4H025AA16
4H025AA17
4H025AA18
(57)【要約】
アルコールアミンを含む酸素化溶媒のための臭気除去組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素化溶媒のための臭気除去組成物であって、以下の構造:
【化1】

を有する少なくとも1種のアルコールアミンを含み、式中、R、R、及びRは、H、アルキルアミン、又はC1~C8の範囲の直鎖若しくは分岐鎖状の炭素鎖を有するヒドロキシルアルキル基であり、R4は、C1~C8の範囲の直鎖若しくは分岐鎖状の炭素鎖を有するアルキルアミン又はヒドロキシルアルキル基である、酸素化溶媒のための臭気除去組成物。
【請求項2】
前記組成物が、少なくとも1種の酸化防止剤を更に含む、請求項1に記載の酸素化溶媒のための臭気除去組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤である、請求項2に記載の酸素化溶媒のための臭気除去組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のアルコールアミンが、アミノエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、又はトリス-(ヒドロキシル-メチル)アミノ-メタンである、請求項1に記載の酸素化溶媒のための臭気除去組成物。
【請求項5】
臭気除去組成物の使用によって酸素化溶媒中の臭気を制御する方法であって、前記臭気除去組成物が、以下の構造:
【化2】

を有する少なくとも1種のアルコールアミンを少なくとも含み、式中、R、R、及びRは、H、アルキルアミン、又はC1~C8の範囲の直鎖若しくは分岐鎖状の炭素鎖を有するヒドロキシルアルキル基であり、Rは、C1~C8の範囲の直鎖若しくは分岐鎖状の炭素鎖を有するアルキルアミン又はヒドロキシルアルキル基である、方法。
【請求項6】
前記組成物が、少なくとも1種の酸化防止剤を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種の酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アルコールアミンが、アミノエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、又はトリス-(ヒドロキシル-メチル)アミノ-メタンである、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、1種又は2種以上の酸素化溶媒の前記臭気を制御するために使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記酸素化溶媒が、R-O-(CHRCHR)O)nRの構造を有し、式中、Rは、C1~C9の直鎖又は分岐鎖状アルキル基の範囲であるか、又はフェニル基であり、R及びRは、H又はC1~C2アルキルであり、RがC1~C2である場合には、RはHであり、RがC1~C2である場合には、RはHであり、Rは、Hであり、nは、1~6の整数である、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、臭気物質除去剤及び酸素化溶媒中の臭気を制御する方法に関し、臭気物質除去剤は、少なくともアミノアルコールを含む。
序論
【0002】
消費者は、屋内及び屋外の空気の品質に対する認識及び関心を増大させている。ますます多くのコーティング配合物が水性配合物に切り替えられてきたが、コーティング製造業者を、より少ないVOC(揮発性有機化合物、volatile organic compound)放出及びより低い臭気を伴うコーティングを供給するように駆り立てる明確な市場ニーズがある。VOC放出に関するより制限的な規制もまた、より低臭気のコーティングに対する要求を増加させている。
【0003】
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(dipropylene glycol mono butyl ether、DPnB)及びジプロピレングリコールモノブチルエーテル(dipropylene glycol mono methyl ether、DPM)は、水性木材コーティングにおいて一般的に使用される酸素化溶媒の2つの例である。これらのグリコールエーテル溶媒が、より低い臭気を有することが、強く求められている。しかしながら、DPnB及びDPMは現在、最終組成物中にいくらかの不純物を含有することが多い。これらの不純物は、高いVOC放出に寄与し、溶媒の蒸発中に強い臭気を誘発し得る。追加的に、これらの不純物の量は、酸化に起因して加熱条件下で更に増加し得、それにより、より高いVOC放出及びより強い臭気に寄与し得る。
【0004】
一般に、酸素化溶媒生成物中の不純物としては、アルデヒド、ケトン、酸、エステル、及びそれらの誘導体などが挙げられる。これらの不純物は、アルコール(溶媒製造において原料として使用される)から導入され得るか、アルコキシル化プロセス中に生成され得るか、又は貯蔵中の酸化によって形成され得る。この酸化は、多くの分解生成物のうちの1つとして形成されるホルムアルデヒド(VOC)によるアルコキシレート鎖の分解をもたらすより高い温度で加速され得る。
【0005】
これらのすべての理由などから、臭気制御パッケージ及び酸素化溶媒中の臭気を制御する方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、概して、酸化防止剤とともに、酸素化溶媒中の臭気物質含有量を効果的に低減するアミノアルコール臭気物質除去剤に関する。本発明の実施形態はまた、臭気除去組成物の使用によって、酸素化溶媒中の臭気を制御する方法に関する。本発明の実施形態はまた、臭気除去組成物を含む酸素化溶媒に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、臭気物質除去剤、及び酸素化溶媒中の臭気及び揮発性化学化合物(VOC)を制御する方法に関する。一実施形態では、臭気物質除去剤は、酸素化溶媒中の臭気物質含有量を効果的に低減するために、酸化防止剤とブレンドされるアミノアルコールであり得る。この臭気物質除去剤は、より低い用量で臭気物質を低減するように作用し、向上した性能を伴う容易な処理条件を可能にし得る。
【0008】
臭気除去組成物は、アミノアルコールを含む。一実施形態における、臭気除去組成物中に使用されるアミノアルコールの一般構造が、以下に示されており、
【0009】
【化1】

式中、R、R、及びRは、H、アルキルアミン、又はC1~C8の範囲の直鎖又は分岐鎖状の炭素鎖を有するヒドロキシルアルキル基であり得る。Rは、C1~C8の範囲の直鎖又は分岐鎖状の炭素鎖を有するアルキルアミン又はヒドロキシルアルキル基であり得る。使用され得るアミノアルコールの例としては、いくつかの実施形態では、ジエタノールアミン(diethanolamine、DEA、CAS#:111-42.2)又はアミノエチルエタノールアミン(aminoethyl ethanolamine、AEEA、CAS#:111-41-1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
臭気除去組成物はまた、少なくとも1種の酸化防止剤を含み得る。酸化防止剤としては、合成ビタミンE(d,l-a-トコフェロール、CAS#:10191-41-0)及び没食子酸プロピル(CAS#:121-79-9)などのフェノール系酸化防止剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0011】
酸素化溶媒中の臭気の低減は、いくつかの異なる方法によって達成され得る。例えば、一実施形態では、臭気物質除去剤及び酸化防止剤は、溶媒が生成された後に、酸素化溶媒中に直接添加され得る。臭気物質除去剤のプロセス後添加は、現在の溶媒製造プロセスにほとんど影響がないことを意味するので、これは、注目に値し、有利である。これにより、より低い臭気の酸素化溶媒を達成するための費用効果が高く、影響が少ない手段が、提供される。
【0012】
一実施形態では、酸素化溶媒中の臭気を制御する方法は、(a)以下の式:R-O-(CHRCHR)O)nRを有する酸素化溶媒を提供することであって、式中、Rは、C1~C9の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基の範囲であるか、又はフェニル基であり、R及びRは、H又はC1~C2アルキルであり、RがC1~C2である場合、RはHであり、RがC1~C2である場合、RはHであり、Rは、Hであり、nは、1~6の整数である、提供することと、(b)少なくとも1種のアルコールアミンを酸素化溶媒に添加することであって、少なくとも1種のアルコールアミンが、以下の構造:
【0013】
【化2】

を有し、式中、R、R、及びRは、H、アルキルアミン、又はC1~C8の範囲の直鎖又は分岐鎖状の炭素鎖を有するヒドロキシルアルキル基であり、Rは、C1~C8の範囲の直鎖又は分岐鎖状の炭素鎖を有するアルキルアミン又はヒドロキシルアルキル基である、添加することと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1種の酸化防止剤を酸素化溶媒に添加することを更に含む。酸化防止剤としては、合成ビタミンE(d,l-a-トコフェロール、CAS#:10191-41-0)及び没食子酸プロピル(CAS#:121-79-9)などのフェノール系酸化防止剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0014】
一実施形態では、臭気除去組成物は、各々、組成物の総重量に基づいて、0.001~1重量パーセントの本明細書に記載のアミノアルコール、0~1重量パーセントの少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤、1重量パーセント未満の水、及び90重量パーセント超の酸素化溶媒を含む。別の好ましい実施形態では、臭気除去組成物は、各々、組成物の総重量に基づいて、0.001~0.25重量パーセントの本明細書に記載のアミノアルコール、0~0.25重量パーセントの少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤、0.5重量パーセント未満の水、及び95重量パーセント超の酸素化溶媒を含む。更に別の好ましい実施形態では、臭気除去組成物は、各々、組成物の総重量に基づいて、0.001~0.1重量パーセントの本明細書に記載のアミノアルコール、0.001~0.1重量パーセントの少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤、0.3重量パーセント未満の水、及び98重量パーセント超の酸素化溶媒を含む。
【0015】
酸素化溶媒としては、以下の式:R-O-(CHRCHR)O)nRを有する溶媒であって、式中、Rは、C1~C9の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基の範囲であるか、又はフェニル基であり、R及びRは、H又はC1~C2アルキルであり、RがC1~C2である場合、RはHであり、RがC1~C2である場合、RはHであり、Rは、Hであり、nは、1~6の整数である、溶媒、が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0016】
酸素化溶媒の更に他の例としては、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル(Dow Chemicalから入手可能なDOWANOL(商標)DPM Glycol Ether及びDOWANOL(商標)DPnB Glycol Ether)並びにブタノール開始型エトキシ化溶媒(Dow Chemicalから入手可能なButyl CARBOTOL(商標))が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0017】
本発明は、新たに生成された酸素化溶媒のバッチから臭気を除去するために利用され得、長期間貯蔵された酸素化溶媒を処理するために使用され得る。貯蔵された酸素化溶媒は、それ自体強い臭気物質である環状エーテル2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン(2,4-dimethyl-1,3-dioxolane、DMD)、2-エチル-4-メチル-1,3-ジオキソラン(2-ethyl-4-methyl-1,3-dioxolane、EMD)、又はトリオキソカンなどのより多くの臭気分子を生成する傾向がある。DMD及びEMDは、貯蔵中のプロピレングリコール及びアセトアルデヒド又はプロピオンアルデヒドの誘導体化によって形成され得る。本発明は、酸素化溶媒に添加されて、これらの臭気物質を長期間にわたって軽減することができる。
【0018】
本発明の別の実施形態では、以下に示されるアミノアルコールは、酸素化溶媒が存在する必要なしに、酸化防止剤と組み合わされ得、
【0019】
【化3】

式中、R、R、及びRは、H、アルキルアミン、又はC1~C8の範囲の直鎖又は分岐鎖状の炭素鎖を有するヒドロキシルアルキル基であり得る。Rは、C1~C8の範囲の直鎖又は分岐鎖状の炭素鎖を有するアルキルアミン又はヒドロキシルアルキル基であり得る。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態はまた、臭気除去組成物を含む酸素化溶媒に関する。いくつかの実施形態では、そのような酸素化溶媒は、
以下の式:R-O-(CHRCHR)O)nRを有する酸素化溶媒であって、式中、Rは、C1~C9の直鎖又は分岐鎖状アルキル基の範囲であるか、又はフェニル基であり、R及びRは、H又はC1~C2アルキルであり、RがC1~C2である場合、RはHであり、RがC1~C2である場合、RはHであり、Rは、Hであり、nは、1~6の整数である、酸素化溶媒と、
(a)以下の構造:
【0021】
【化4】

を有する少なくとも1種のアルコールアミンであって、式中、R、R、及びRは、H、アルキルアミン、又はC1~C8の範囲の直鎖又は分岐鎖状の炭素鎖を有するヒドロキシルアルキル基であり、Rは、C1~C8の範囲の直鎖又は分岐鎖状の炭素鎖を有するアルキルアミン又はヒドロキシルアルキル基である、アルコールアミンと、を含む。いくつかの実施形態では、酸素化溶媒は、少なくとも1種の酸化防止剤を更に含む。酸化防止剤としては、合成ビタミンE(d,l-a-トコフェロール、CAS#:10191-41-0)及び没食子酸プロピル(CAS#:121-79-9)などのフェノール系酸化防止剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、酸素化溶媒は、各々、組成物の総重量に基づいて、0.001~1重量パーセントのアミノアルコール、0~1重量パーセントの少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤、1重量パーセント未満の水、及び90重量パーセント超の酸素化溶媒を含む。別の実施形態では、酸素化溶媒は、各々、組成物の総重量に基づいて、0.001~0.25重量パーセントの本明細書に記載のアミノアルコール、0~0.25重量パーセントの少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤、0.5重量パーセント未満の水、及び95重量パーセント超の酸素化溶媒を含む。更に別の実施形態では、酸素化溶媒は、各々、組成物の総重量に基づいて、0.001~0.1重量パーセントのアミノアルコール、0.001~0.1重量パーセントの少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤、0.3重量パーセント未満の水、及び98重量パーセント超の酸素化溶媒を含む。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態を、これより以下の実施例において詳細に考察する。
【実施例
【0023】
以下の実施例は、本開示の臭気除去組成物などの有効性を試験するものである。
【0024】
I.材料
【0025】
【表1】
【0026】
II.臭気除去試験
試験方法
特定量のアミノアルコール及び/又は酸化防止剤を、室温で、ある量の所与の溶媒(約20mL)に添加する(試験したすべての成分組成については、表2を参照)。実施例は、以下の試験結果において、本発明の実施例を表す接尾辞「IE」によって示される(例えば、IE-M7)。アミノアルコール及び/又は酸化防止剤(若しくは、いずれか)を含有しない他の比較例もまた、試験の各ラウンドのために調製され、以下の結果において「CE」接尾辞で示される(例えば、CE-M1)。
【0027】
次いで、アミノアルコール及び/若しくは酸化防止剤と溶媒との混合物(又は比較例)を、300RPMで2時間、振とう台上に保持して、均質な外観を得る。この振とうが完了したら、次に、混合物を室温で48時間維持し、次いで、ヘッドスペースGC-MS分析、SPME PFBHA誘導体化GC-MS法、及びSPME GC-MS法など、様々な形態の臭気物質試験に供する。これらの試験方法の各々の詳細を以下に列挙する。試験のこの部分についての結果を表3及び表4に見出すことができる。臭気物質除去剤の用量は、アミノアルコールと酸化防止剤とを組み合わせることによって最適化することもできる。試験のこの部分についての結果を表5及び表6に見出すことができる。老化した酸素化溶媒に対する臭気物質除去能力も試験することができ、試験のこの部分についての結果を表7及び表8に示す。EOベースの酸素化溶媒に対する臭気物質除去能力も試験することができ、試験のこの部分についての結果を表9に示す。
【0028】
ヘッドスペースGC-MS法:
ヘッドスペースGC-MS機器:7697Aヘッドスペースオートサンプラーを備えた7890Aガスクロマトグラフ、5975C質量分析計。GCカラム:SOLGEL-ワックス(sn.1297586B08、p/n054787)、30m×250μm×0.25μm。キャリアガス:1.0mL/分の一定流量のヘリウムキャリアガス。GCオーブンプログラム:50℃で5分間保持、10℃/分で250℃まで昇温させ、3分間保持。MSDパラメータ(スキャンモード):MSソース温度:230℃、MSクォード温度:150℃、Acq.モード:スキャン、質量29~400ダルトン。ヘッドスペースオーブン条件:130℃で15分間加熱。試料調製:20~30mgの試料を、分析のために20mLヘッドスペースバイアルに入れた。1回の試験でいくつかの試料を3部構成で調製し、平均結果を報告した。標準としてトルエンを用いて、すべてのVOCを、半定量した。アセトニトリル(acetonitrile、ACN)中で調製されたトルエン溶液(500μg/g)の4μLのアリコートをヘッドスペースバイアルに注入し、トルエンピーク面積を半定量に使用した。
【0029】
SPMEオンファイバー誘導体化法:
SPMEオンファイバー誘導体化法を用いて、アセトアルデヒドの存在の分析を行った。SPMEオンファイバー誘導体化法パラメータは、以下の通りであった。ヘッドスペースGC-MS機器:7697Aヘッドスペースオートサンプラーを備えた7890Aガスクロマトグラフ、5975C質量分析計。GCカラム:DB-5、30m×250μm×0.25μm。キャリアガス:1.0mL/分の一定流量のヘリウムキャリアガス。MSDパラメータ(スキャンモード):MSソース温度:230℃、MSクォード温度:150℃、Acq.モード:スキャン、質量29~400ダルトン。オーブンプログラム:50℃で3分間、次いで15℃/分で180℃まで、0分間。試料調製:0.5gの試料を20mLヘッドスペースバイアルに添加した。アルデヒド標準:各アルデヒド(各々1ppm)の混合物2μLを、様々なアルデヒドの定量化のために、20mLヘッドスペースバイアルに注入した。
【0030】
SPMEオンファイバー誘導体化パラメータは、以下の通りであった。
・SPME繊維タイプ:65μmPDMS-DVB(Supleco.Co.ltd、57321-U)
・オンファイバー誘導体化:5分、50℃
・誘導体化剤:O-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン塩酸塩(PFBHA・HCl、99+%)。20mLヘッドスペースバイアル中1mL(17mg/mL)。
・インキュベーション時間:5分、60℃。
・抽出:5分、60℃。
【0031】
SPME(固相マイクロ抽出、solid phase micro-extraction)GC-MS法:
SPME GC-MS分析は、質量分析検出器(Agilent5975C MSD)と結合したAgilent6890ガスクロマトグラフ上で実施した。GC条件を下表に記載する。参照標準(各々5ppm、ポリオール8010中で調製)によって半定量化を実施した。
【0032】
オーブンプログラム:初期温度:50℃(オン)、最大温度:325℃、初期時間:4.00分、平衡時間:0.50分。ランプ:速度(16)最終(250)温度(2)実行時間:18.50分 周囲温度:25℃。SPME条件:Supleco Co.ltdからのPDMS/DVB SPME繊維、インキュベーション温度:75℃、インキュベーション時間:5.00分、抽出時間:30分。
【0033】
Agilent19091S-433、HP-5MS、5%Phenyl Methyl Silox、30m×250μm、膜厚0.25μm、モード:定圧、圧力:7.6522psi、公称初期流量:1mL/分、平均速度:36.445cm/秒。
【0034】
MS SCAN及びSIMパラメータ:DMD/EMD定量化:分解能:低グループ開始時間:2.30、プロット1イオン:72.00グループ内のイオン/ドウェル(質量、ドウェル)(質量、ドウェル)(質量、ドウェル)(59.00、30)(72.00、30)(87.00、30)。トリオキソカン定量化:分解能:低、グループ開始時間:8.00、プロット1イオン:101.00、グループ内のイオン/ドウェル(質量、ドウェル)(質量、ドウェル)(質量、ドウェル)(59.00、30)(101.00、30)(130.00、30)。
【0035】
【表2】
【0036】
結果
【0037】
【表3】
【0038】
注:単位は、PPM((ヘッドスペースGC-MS法による)であり、LOQ(定量下限、limit of quantification)は、約0.1ppm(非常に低いレベル)である。
【0039】
【表4】
【0040】
注:単位は、PPM((ヘッドスペースGC-MS法による)であり、LOQは、約0.1ppm(非常に低いレベル)である。
【0041】
【表5】
【0042】
注:単位は、PPM((ヘッドスペースGC-MS法による)であり、LOQは、約0.1ppm(非常に低いレベル)である。
【0043】
【表6】
【0044】
注:単位は、PPM((ヘッドスペースGC-MS法による)であり、LOQは、約0.1ppm(非常に低いレベル)である。
【0045】
【表7】
【0046】
注:単位は、PPM(ヘッドスペースGC-MS法による)であり、LOQは、約0.1ppm(非常に低いレベル)である。単位は、μg/m(SPMEオンファイバー誘導体化法による)であり、LOQは、約1.0μg/mである;単位はPPM(SPME(固相マイクロ抽出)GC-MS法による)であり、LOQは、0.005ppmである。DMD/EMD/トリオキソカンは、貯蔵中にプロピレングリコール及びアセトアルデヒド又はプロピオンアルデヒドの誘導体化として通常形成される環状エーテルである。
【0047】
【表8】
【0048】
注:単位は、PPM(ヘッドスペースGC-MS法による)であり、LOQは、約0.1ppm(非常に低いレベル)である。単位は、μg/m(SPMEオンファイバー誘導体化法による)であり、LOQは、約1.0μg/mである;単位はPPM(SPME(固相マイクロ抽出)GC-MS方による)であり、LOQは、0.005ppmである。DMD/EMD/トリオキソカンは、貯蔵中にプロピレングリコール及びアセトアルデヒド又はプロピオンアルデヒドの誘導体化として通常形成される環状エーテルである。
【0049】
【表9】

注:単位は、PPMである((ヘッドスペースGC-MS法による)。
【0050】
III.変色試験
試験方法
一連の実験において、添加剤を有しない約20mLのニートDOWANOL(商標)DPMを、比較例1(CE-M17)として室温で保存する。添加剤を有しないDPM試料を、比較例2(CE-M18)として54℃で保存する。DEA、AEEA、又はトリス-アミンを有するDPM試料を、実施例(IE-M19、IE-M20、又はIE-M21)としてマークする。SVE又はPGを含有する試料を、それぞれCE-M22及びCE-M3としてマークする。次に、DOWANOL(商標)DPnB及び上述の添加剤を有する試料も調製し、同様に標識するが、それらの名称において「M」の代わりに「B」で標識する(表10参照)。表10に、試験したすべての成分組成を列挙する。
【0051】
様々な添加剤の存在下での試料のカラーエボリューションをモニターするために、次に、色データを測定する。色測定は、カラーテスターUltra Scan VIS USVIS2052を用いて実施する。各試料測定について、試料セルを脱イオン水及びエタノールで洗浄し、圧縮空気を吹き付けることによって乾燥させる。次に、約15mLの溶媒を試験セルに注ぎ、試験機に入れて参照試料と比較する。このようにして実施した試験の結果を以下の表11A及び表11Bに列挙する。
【0052】
【表10】
【0053】
結果
【0054】
【表11】

注:色単位は、Pt-Coである。
【0055】
【表12】

注:色単位は、Pt-Coである。
【0056】
IV.論述
DOWANOL(商標)DPM(表3)及びDOWANOL(商標)DPnB(表4)中の臭気物質除去結果に基づいて、DEA(IE-M3並びにIE-B3)及びAEEA(IE-M4並びにIE-B4)は、ブランク対照比較例(CE-M1及びCE-B1)と比較して、臭気物質不純物の除去において驚くほど良好に機能した。
【0057】
表5及び表6のヘッドスペースGC-MSの分析結果に基づいて、アミノアルコール単独、及びアミノアルコールと酸化防止剤との組み合わせは、臭気物質除去効率の予想外の改善を実証した(IE-M8、IE-M9、IE-M10、IE-M11、IE-B8、IE-B9、IE-B10、IE-B11)。1つの注目すべき例が、DPM中のDEA及びSVEであり、これらは、アミノアルコールと酸化防止剤との間で強い相乗効果を示した(IE-M11)。
【0058】
表7及び表8における老化試料の分析結果に基づいて、54℃で3ヶ月間保存した後、臭気物質不純物含量は、DPM及びDPnBの両方について有意に増加した。注目すべきことに、AEEA(IE-M14及びIE-B14)は、13週間後にDPM及びDPnB中の非常に低い量のアルデヒド含有量を維持した。AEEAと酸化防止剤とを組み合わせることの相乗的改善もまた、これらの試験(IE-M16及びIE-B16)において観察された。追加的に、これらの実施例について、強い環状エーテル(DMD/EMD/トリオキソカン)除去性能が、観察された。
【0059】
表9のデータに基づいて、アミノアルコール、又はアミノアルコールと酸化防止剤とのブレンドは、EOベースの溶媒と協働する(IE-BC2及びIE-BC4)。
【0060】
54℃で13週間の老化後のDOWANOL(商標)DPM(表11A)及びDOWANOL(商標)DPnB(表11B)中の添加剤の色安定性結果に基づいて、添加剤を有するDPM及びDPnB試料は、没食子酸プロピルを含有する試料(CE-M23及びCE-B23)を除いて、有意な色変化を示さなかった(IE-M19~CE-M22及びIE-B19~CEB22)。
【国際調査報告】