(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】加熱システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/40 20060101AFI20240208BHJP
H05B 3/60 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H05B3/40 A
H05B3/60 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536897
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 GB2022050527
(87)【国際公開番号】W WO2022180413
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523221474
【氏名又は名称】ビアコ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】アトキンス アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】コールス レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ダイ ボブ
(72)【発明者】
【氏名】キー クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】マリツィア バリー
(72)【発明者】
【氏名】ライト ロバート
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP11
3K092QC19
3K092QC25
(57)【要約】
液体供給システムと、液体供給システムから液体を受けて、その熱を提供して、加熱流体を出力するように構成されるセルと、セルから出力された加熱流体から使用可能な仕事を取出すように構成される仕事取出システムと、を含む加熱システム。セルは、(i)加熱される液体を受ける内部部分を画定するように配置されるハウジングと、(ii)内部部分の流体に電気エネルギーを印加するように構成される複数の電極と、を含む。電極は、内部部分の前記流体とハウジングとにエネルギーを放出する1つ以上のプラズマ泡を生成して、内部部分の流体の熱を提供するために、内部部分の前記流体に電気エネルギーを印加するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱システムであって、
液体供給システムと、
前記液体供給システムから液体を受けて、その熱を提供して、加熱流体を出力するように構成されるセルと、
前記セルから出力された前記加熱流体から使用可能な仕事を取出すように構成される仕事取出システムと、
を有してなり、
前記セルは、
(i)加熱される液体を受ける内部部分を画定するように配置されるハウジングと、
(ii)前記内部部分の流体に電気エネルギーを印加するように構成される複数の電極と、
を備えて、
前記電極は、前記内部部分の前記流体と前記ハウジングとにエネルギーを放出する1つ以上のプラズマ泡を生成して、前記内部部分の前記流体の熱を提供するために、前記内部部分の前記流体に電気エネルギーを印加するように構成される、
ことを特徴とする加熱システム。
【請求項2】
(i)前記セルの少なくとも1つの動作パラメータを示す信号を受信して、(ii)前記動作パラメータに基づいて前記加熱システムの動作を制御するように構成されるコントローラ、
を有してなる、
請求項1記載の加熱システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記セル内の熱および/またはプラズマの発生が閾値レベルを超えるように、前記加熱システムの動作を制御するように構成される、
請求項2記載の加熱システム。
【請求項4】
前記加熱システムの動作の制御は、(i)前記液体供給システムによる前記セルへの液体の供給と、(ii)前記電極により印加される前記電気エネルギーと、のうち少なくとも1つを制御することを含む、
請求項2または3記載の加熱システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記セルにより提供される熱の需要について得られた指標に基づいて、前記セルへの液体の供給および/または前記電極により印加される前記電気エネルギーを制御するように構成される、
請求項4記載の加熱システム。
【請求項6】
得られた前記需要についての指標が、前記セルにより提供される熱の需要が増加したことを示す場合、前記コントローラは、(i)前記セルに供給される液体の温度と、(ii)前記セルに供給される液体の圧力と、(iii)前記セルに供給される液体の量と、(iv)前記電極により印加される電気エネルギーの量と、のうち少なくとも1つを増加させるように構成される、
請求項5記載の加熱システム。
【請求項7】
少なくとも1つの動作パラメータを示す前記信号は、前記セル内のプラズマの発生の質および/または量についての指標を含み、
前記コントローラは、前記プラズマの発生の質および/または量が選択された範囲内に維持されるように、前記加熱システムの動作を制御するように構成される、
請求項2乃至6のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項8】
プラズマの発生の質および/または量を示す前記信号は、(i)前記セルから出力される流体の圧力および/または温度と、(ii)前記セル内に存在する電磁エネルギーの量および/または種類と、(iii)1つ以上の前記電極への電力の供給に関連するチャタリングと、(iv)1つ以上の前記電極に関連する電流の流れおよび/または電圧と、(v)前記セル内の流体の流動力学と、のうち少なくとも1つの指標を含む、
請求項7記載の加熱システム。
【請求項9】
前記コントローラは、(i)複数の前記電極により印加される前記電気エネルギーに基づく前記セルへの液体の供給と、(ii)前記セルへの液体の供給に基づく複数の前記電極により印加される前記電気エネルギーと、のうち少なくとも1つを制御するように構成される、
請求項2乃至8のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項10】
少なくとも1つの動作パラメータを示す前記信号は、前記セルと、前記セル内の前記流体と、前記セルから出力された前記流体と、のうち少なくとも1つに関連する温度についての指標を含み、
前記コントローラは、温度についての前記指標が閾値レベル未満である場合に、前記セル、前記セル内の前記流体、および/または前記セルから出力された前記流体の温度を増加させるために、(i)前記電極により印加される前記電気エネルギーと、(ii)前記セルへの液体の供給と、(iii)外部ヒータと、のうち少なくとも1つを制御するように構成される、
請求項2乃至9のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項11】
前記コントローラは、温度についての前記指標が閾値レベル未満である場合に、熱の増加をもたらすために、および/または前記セルを通る液体の流量を減少させるために、前記電極により印加される前記電気エネルギーを増加させるように構成される、
請求項10記載の加熱システム。
【請求項12】
前記セルの前記ハウジングの内部表面は、入射光子を熱に変換するように配置される電磁エネルギー吸収材料を含む、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項13】
前記液体供給システムは、液体を圧力下で前記セルに供給するように構成されて、
前記セルは、流体を圧力下で前記ハウジング内に保持するように配置される、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項14】
前記液体供給システムは、前記セルの熱および/またはプラズマの発生が閾値レベル未満である場合に、液体を前記セルに供給する前に流体の熱を増加させるように構成される、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項15】
複数の前記電極は、
(i)前記内部部分の流体に印加される電流に導電経路を提供するように配置されるアノードと、
(ii)前記内部部分の前記流体を通って前記アノードから受けた電流に、前記内部部分から離れる導電経路を提供するように配置されるカソードと、
を含む、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項16】
前記内部部分の流体に向かう、または流体から離れるさらなる導電経路を提供するように配置される平衡電極、
を有してなり、
例えば、前記アノードと、前記カソードと、前記平衡電極との全ては、同一の熱膨張係数を含む、
請求項15記載の加熱システム。
【請求項17】
前記平衡電極は、前記第1電極から前記第2電極への前記導電経路から離間されて、
前記平衡電極は、例えば、前記第1電極から前記第2電極への前記導電経路から垂直に離れて延在して、
前記平衡電極は、例えば、前記第2電極よりも前記第1電極に近接するように配置される、
請求項16記載の加熱システム。
【請求項18】
前記セルは、前記アノードと前記カソードとの間に配置される抵抗素子を備えて、
前記抵抗素子は、例えば、石英を含む、
請求項15乃至17のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項19】
前記アノードと前記カソードとは、互いに同心円状に配置される、
請求項15乃至18のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項20】
前記セルに、または前記セルの一部に結合されるヒータ、
を有してなり、
前記加熱システムは、前記セルと、前記セル内部の流体と、前記セルから出力される流体と、のうち少なくとも1つに関連する温度を増加させるために、前記ヒータに印加される電気エネルギーを増加させるように構成される、
請求項1乃至19のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項21】
前記仕事取出システムは、(i)高温および/または加圧流体を物質移動するための調整器と、(ii)作動流体に熱を伝達するための熱交換器と、(iii)蒸気をベースとした電力発生システムなどの電力発生システムと、のうち少なくとも1つを備える、
請求項1乃至20のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項22】
システムであって、
そこに提供される液体を加熱するように構成されるセルであって、加熱される液体を受ける入口と、加熱流体を出力する出口と、を備えるセルと、
前記セルの流体の前記加熱を制御するために、前記セルへの電気エネルギーの印加を制御するように構成される電力管理システムと、
前記出口に結合されて、前記セルから出力された加熱流体から使用可能な仕事を取出すように構成される仕事取出システムと、
前記セルの前記入口に結合されて、(i)加熱される液体を前記セルに供給して、(ii)前記セルにより出力されて、前記仕事取出システムにより使用された加熱流体を処理するように構成される流体管理システムと、
を有してなる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項23】
加熱流体を、そこから使用可能な仕事を取出すために提供する方法であって、
加熱される液体をセルに供給する工程であって、前記セルは(i)加熱される前記液体を受ける内部部分を画定するように配置されるハウジングと、(ii)前記内部部分の流体に電気エネルギーを印加するように構成される複数の電極とを備える、供給する工程と、
1つ以上のプラズマ泡を発生させるために、前記内部部分の流体に電気エネルギーを印加するように複数の前記電極の動作を制御する工程と、
前記内部部分のプラズマ泡に関連して、入射光子を受ける前記ハウジングに応じて、前記内部部分に近接する前記ハウジングに熱を発生させる工程と、
前記内部部分の流体を伝導加熱するために、前記ハウジングを使用する工程と、
を有してなる、
ことを特徴とする方法。
【請求項24】
加熱システムの動作を制御する方法であって、
前記加熱システムは、セルを備えて、
前記セルは、(i)加熱される液体を受ける内部部分を画定するように配置されるハウジングと、(ii)前記内部部分の流体に電気エネルギーを印加するように構成される複数の電極と、を備えて、
前記方法は、
プラズマから前記内部部分の流体と前記ハウジングとにエネルギーを放出する1つ以上のプラズマ泡を生成して、前記内部部分の前記流体の熱を提供するために、前記内部部分の前記流体に電気エネルギーを印加するように前記電極の動作を制御する工程、
を有してなり、
前記電極の動作を制御する工程は、
前記セルおよび/または前記セルに関連する流体に関連する少なくとも1つの動作パラメータを示す信号を受信する工程と、
熱および/またはプラズマの発生が閾値レベル未満であることを前記動作パラメータが示す場合、「コールドスタート」モードで動作させる工程と、
熱および/またはプラズマの発生が閾値レベルを超えることを前記動作パラメータが示す場合、「通常」モードで動作させる工程と、
を含み、
前記コールドスタートモードで動作させる工程は、熱および/またはプラズマの発生が閾値レベル未満であることを前記動作パラメータが示す場合、前記セルおよび/または前記セルに関連する前記流体の温度を増加させるために、(i)前記電極により印加される前記電気エネルギーと、(ii)前記セルへの液体の供給と、(iii)外部ヒータの動作と、のうち少なくとも1つを制御する工程を備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項23または24記載の方法を実行するためにプロセッサを制御するように構成されるコンピュータプログラム命令、
を有してなる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱を発生させるシステムおよび方法の分野に関する。特に、本開示は、加熱流体を提供するためにセルを使用するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、電力および/または熱の発生は、ある種の燃料の燃焼を伴う。例えば、蒸気および/または熱水を生成するために水を加熱する燃焼プロセスでは、化石燃料が使用され得る。タービンの駆動に使用するために蒸気を発生させ得て、次いで、電気を発生させるためにこの蒸気が使用され得る。熱水は、加熱システムで使用するために生成され得て、その場合、建物に暖房を提供するために、この建物の至る所を熱水が循環する。温水を生成するために、電気ボイラーなどにおいて電気が使用され得る。このような電力および/または熱を発生させるための効率の向上をもたらすことが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の態様は独立請求項で説明されて、任意の特徴は従属請求項で説明される。本開示の態様は互いに関連して提供されてもよく、一態様の特徴が他の態様に適用されてもよい。
【0004】
一態様において、液体供給システムと、液体供給システムから液体を受けて、その熱を提供して、加熱流体を出力するように構成されたセルと、セルから出力された加熱流体から使用可能な仕事を取出すように構成された仕事取出システムと、を含む加熱システムが提供される。セルは、(i)加熱される液体を受ける内部部分を画定するように配置されたハウジングと、(ii)内部部分の流体に電気エネルギーを印加するように構成された複数の電極と、を含む。電極は、内部部分の前記流体とハウジングとにエネルギーを放出する1つ以上のプラズマ泡を生成して内部部分の流体の熱を提供するために、内部部分の前記流体に電気エネルギーを印加するように構成される。
【0005】
実施形態は、仕事が取出される高エネルギーの加熱流体の提供を可能とし得る。熱および/または電力の発生をもたらすために、この高エネルギーの加熱流体から仕事が取出され得る。実施形態は、熱および/または電力を発生させる効率的なシステムを提供し得る。セルは、プラズマセル(例えば、プラズマ発生燃料セル)を含んでもよい。
【0006】
システムは、さらに、(i)セルの少なくとも1つの動作パラメータを示す信号を受信して、(ii)前記動作パラメータに基づいて加熱システムの動作を制御するように構成されたコントローラを含んでもよい。コントローラは、セル内の熱および/またはプラズマの発生が閾値レベルを超えるように、加熱システムの動作を制御するように構成されてもよい。加熱システムの動作の制御は、(i)液体供給システムによるセルへの液体の供給と、(ii)電極により印加される電気エネルギーと、のうち少なくとも1つを制御することを含んでもよい。コントローラは、セルの少なくとも1つの動作パラメータを選択された範囲内に保持するために(例えば、セルに選択されたレベルの性能を提供するために)、動作を制御するように構成されてもよい。
【0007】
コントローラは、セルにより提供される熱の需要について得られた指標に基づいて、セルへの液体の供給および/または電極により印加される電気エネルギーを制御するように構成されてもよい。得られた需要についての指標が、セルにより提供される熱の需要が増加したことを示す場合、コントローラは、(i)セルに供給される液体の温度と、(ii)セルに供給される液体の圧力と、(iii)セルに供給される液体の量と、(iv)電極により印加される電気エネルギーの量と、のうち少なくとも1つを増加させるように構成されてもよい。例えば、そのように動作を制御することは、セルの出力の増加を促進し得る(例えば、セル内でより多くの加熱流体および/またはプラズマの発生をもたらす)。
【0008】
少なくとも1つの動作パラメータを示す信号は、セル内のプラズマの発生の質および/または量についての指標を含んでもよい。コントローラは、プラズマの発生の質および/または量が選択された範囲内に維持されるように、加熱システムの動作を制御するように構成されてもよい。例えば、コントローラは、少なくとも閾値量のプラズマの発生をもたらすように構成されてもよい。プラズマを発生させるためのこの閾値量/選択された範囲は、加熱システムに選択された加熱特性を提供するために十分なプラズマの発生が生じるように(例えば、生成された加熱流体の量が選択された範囲内となるように)選択され得る。
【0009】
プラズマの発生の質および/または量を示す信号は、(i)セルから出力される流体の圧力および/または温度と、(ii)セル内に存在する電磁エネルギーの量および/または種類と、(iii)1つ以上の電極への電力の供給に関連するチャタリングと、(iv)1つ以上の電極に関連する電流の流れおよび/または電圧と、(v)セル内の流体の流動力学と、のうち少なくとも1つの指標を含んでもよい。例えば、圧力および/または温度(例えば、セルから出力された流体の)が高いほど、プラズマの発生が増加したことを示し得る。同様に、圧力/温度の増加速度が速いほど、プラズマの発生が良好であることを示し得る。例えば、セル内の電磁気的活性、および/または電力の供給に関連するチャタリングのいずれかの増加により、プラズマの発生の増加についての指標が提供され得る。例えば、電流または電圧の急激な変化により、プラズマの発生におけるあらゆる変化についての指標が提供され得る。電流が増加し始めた場合、アークがまさに発生するという指標が供給され得る。例えば、コントローラは、電流の変化が閾値を超えた場合(または電流の変化率が閾値を超えた場合)、例えば、電流が過剰に増加している場合に、第1電極への電圧の印加を低減させるか、または停止するように構成されてもよい。例えば、電流の流れに対する抵抗の減少をもたらすアークに応じて、電圧のあらゆる降下を特定するために、例えば、電圧が監視されてもよい。例えば、セル内の流体の流れに乱流が増加するという指標により、プラズマの発生が増加するという指標が提供され得る。
【0010】
コントローラは、(i)複数の電極により印加される電気エネルギーに基づくセルへの液体の供給と、(ii)セルへの液体の供給に基づく複数の電極により印加される電気エネルギーと、のうち少なくとも1つを制御するように構成されてもよい。例えば、液体の供給および/または電気エネルギーを増加させる場合、コントローラは、他方の供給の変化に従って電気エネルギー/液体(それぞれ)の供給を制御してもよい。一方の供給の変化は、他方の供給の変化に基づいて選択されてもよい(例えば、一方の増加/減少は、他方の供給の増加/減少に比例して選択されてもよい)。少なくとも1つの動作パラメータを示す信号は、セルと、セル内の流体と、セルから出力された流体と、のうち少なくとも1つに関連する温度についての指標を含んでもよい。コントローラは、温度の指標が閾値レベル未満である場合に、セルの温度、セル内の流体の温度、および/またはセルから出力された流体の温度を増加させるために、(i)電極により印加される電気エネルギーと、(ii)セルへの液体の供給と、(iii)外部ヒータと、のうち少なくとも1つを制御するように構成されてもよい。コントローラは、温度についての指標が閾値レベル未満である場合に、熱の増加をもたらすために、および/またはセルを通る液体の流量を減少させるために、電極により印加される電気エネルギーを増加させるように構成されてもよい。
【0011】
セルのハウジングの内部表面は、入射光子を熱に変換するように配置された電磁エネルギー吸収材料を含んでもよい。ハウジングの少なくとも一部は、導電性でもよい。例えば、ハウジングの内部表面は、前記表面に入射する光子に応じて熱を発生するように構成されてもよい。ハウジング(例えば、ハウジングの内部表面)は、入射光子(例えば、および/または電子などの他の粒子)からの熱の発生に応じて、内部部分内の流体を加熱するように構成されてもよい。ハウジングは、内部部分内の流体の伝導加熱を提供するように構成されてもよい。ハウジングは金属から作製されてもよく、例えば、ハウジングは鋼鉄から作製されてもよい。ハウジングは、複数の異なる材料で形成されてもよい。1つ以上の層またはスリーブが、ハウジングに設けられてもよい。例えば、セルは、ハウジング内の内部部分に位置するスリーブを含んでもよい。スリーブは、内部部分内に収まるように配置されてもよい(例えば、スリーブは、ハウジングの内部部分に隣接して位置してもよい)。このようなスリーブは、複数設けられてもよい。各スリーブは、ハウジング/セルの他の領域に異なる吸収/伝導特性を提供するように配置されてもよい。例えば、ハウジングは第1材料(例えば、鋼鉄)で作製されてもよく、第2材料(例えば、アルミニウム)から作製されたスリーブはハウジング内に挿入されてもよい。ハウジングおよび/またはスリーブは、吸収および/または伝導をさらに促進するためのコーティングを含んでもよい。例えば、金コーティングが適用され得る。
【0012】
液体供給システムは、液体を圧力下でセルに供給するように構成されてもよい。セルは、圧力下でハウジング内に流体を保持するように配置されてもよい。例えば、ハウジングは圧力下でハウジングの内部部分を保持するように構成された1つ以上の圧縮デバイスを含んでもよく、および/または、ハウジングは内部部分の内側から加えられた圧力下における膨張に抵抗するために十分な剛性を有してもよい。液体供給システムは、液体をセルに供給する前に、液体を加熱するように構成されてもよい。液体供給システムは、セルの熱および/またはプラズマの発生が閾値レベル未満である場合、液体をセルに供給する前に、液体の熱を増加させるように構成されてもよい。システムは、セルへの液体の可変連続供給を提供するように配置されてもよい。
【0013】
複数の電極は、(i)内部部分の流体に印加される電流に導電経路を提供するように配置されたアノードと、(ii)内部部分の流体を通ってアノードから受けた電流に、内部部分から離れる導電経路を提供するように配置されたカソードと、を含んでもよい。複数の電極は、さらに、内部部分の流体に向かう、または流体から離れるさらなる導電経路を提供するように配置された平衡電極を含んでもよい。アノードとカソード(ならびに、例えば、平衡電極)とは、互いに同心円状に配置されてもよい。アノードと、カソードと、平衡電極とは、同一の熱膨張係数を有してもよい。平衡電極は、アノードとカソードとの間の導電経路から離れて配置されてもよい。例えば、アノードからカソードへの導電経路は、径方向外側にあってもよい。平衡電極は、異なる方向において(例えば、長手方向軸に沿って)、アノード/カソードからずれてもよい。平衡電極は、カソードよりもアノードに近接していてもよい。例えば、平衡電極は、アノードからカソードへの電流経路に実質的に垂直(例えば、直角)に延在してもよい(例えば、平衡電極は、アノードと平行でもよい)。
【0014】
セルはアノードとカソードとの間に配置された抵抗素子を含んでもよく、例えば、抵抗素子は石英またはホウケイ酸ガラス材料(例えば、高温および/または高圧に耐え得る高抵抗材料)を含んでもよい。抵抗素子が電気絶縁体として機能し得るように、抵抗素子は十分な電気抵抗を有してもよい。抵抗素子は、例えば、アノードとカソードとの間に電気抵抗の増加をもたらすために、アノードとカソードとの間の導電経路の間に配置されてもよい。例えば、抵抗素子はアノードから径方向外側に位置して、かつカソードから径方向内側に位置してもよい(例えば、この場合、アノードからカソードへの導電経路が径方向外側に延在する)。
【0015】
システムは、セルの1つ以上の構成要素にさらなる熱を(例えば、起動モードの間に)提供するように構成されてもよい。セルは、このような熱を提供するために、加熱素子を含んでもよい。例えば、ヒータがセルに隣接して位置してもよく、および/または、加熱素子がセルの一部の中に一体化されてもよい。ヒータは、セルの端部キャップに含まれてもよい(例えば、カートリッジヒータが、セルの端部キャップ内に設けられてもよい)。いくつかの例において、この熱は、抵抗加熱素子により提供され得る。抵抗加熱素子は、セルの一部でもよい(例えば、抵抗加熱を提供するために、アノードもしくは抵抗素子などの構成要素に、または、さらなる抵抗加熱素子もしくはセルの領域に、電圧が印加されてもよい)。このような熱は、セルと、セル内部の流体と、セルから出力される流体と、のうち少なくとも1つに関連する温度を、プラズマが促進される時点まで増加させるために提供されてもよい。例えば、熱は、泡(例えば、気泡)が現れ始めるまで提供されてもよい。
【0016】
液体供給システムは、セル内で予想される状況下で少なくとも部分的に非ニュートン性を示す、水などの流体を、セルに供給するように構成されてもよい。例えば、ここでは、液体はセル内のプラズマの急激な膨張に耐えるように構成される。システムは、さらに、セルから出力される流体を濾過するように構成されたフィルタ装置を含んでもよい。仕事取出システムは、(i)高温および/または加圧流体を物質移動させるための調整器と、(ii)作動流体に熱を伝達するための熱交換器と、(iii)蒸気をベースとした電力発生システムなどの電力発生システムと、のうち少なくとも1つを含んでもよい。セルにより生成された加熱流体は、それ自体が後続の用途に使用されてもよく、または、その代わりに、後続の用途のために1つ以上の他の流体を加熱するために使用されてもよい。例えば、セルにより生成された加熱流体は作動流体として使用されてもよく、または、セルにより生成された加熱流体は別の流体を加熱するために使用されて、次いで作動流体として使用されてもよい。システムは、各電極にDC電圧を印加するように動作可能なDC電圧源を含んでもよい。
【0017】
一態様において、セルに提供される液体を加熱するように構成されたセルであって、加熱される液体を受ける入口と、加熱流体を出力する出口と、を含むセルと、セルの流体の加熱を制御するために、セルへの電気エネルギーの印加を制御するように構成された電力管理システムと、出口に結合されて、セルから出力された加熱流体から使用可能な仕事を取出すように構成された仕事取出システムと、セルの入口に結合されて、(i)加熱される液体をセルに供給して、(ii)セルにより出力されて、仕事取出システムにより使用された加熱流体を処理するように構成された流体管理システムと、を含むシステムが提供される。
【0018】
セルは、本明細書で開示されるようなセルを含んでもよい。仕事取出システムは、本明細書に開示されるような仕事取出システムを含んでもよい。流体管理システムは、例えば、加熱される液体をセルに供給する、本明細書に開示されるような液体供給システムを含んでもよい。
【0019】
流体管理システムは、(i)加熱される液体の供給にシステムを結合する液体供給カップリングと、(ii)セルにより出力されて、仕事取出システムにより使用された加熱流体を排出する排水カップリングと、を含んでもよい。流体管理システムは、液体供給カップリングとセルの入口とに結合されたポンプを含んでもよい。ポンプは、液体を圧力下でセルに供給するように動作可能である。仕事取出システムは、熱機関を含んでもよい。セルから出力された加熱流体が熱機関を駆動できるように、セルの出口は、第1機関入口に結合されてもよい。熱機関は、機関の駆動に応じて電力を発生させるように構成された発電機に結合されてもよい。セルの出口は、第1熱交換器にも結合されてもよい。機関を通過したセルからの加熱流体が、加熱のために第1熱交換器に導かれるように、第1機関出口が第1熱交換器に結合されてもよい。第1熱交換器は、さらに機関を駆動するために、熱交換器からの流体を再加熱できるように、第2機関入口に結合されてもよい。機関は、第1機関入口と第2機関入口とを通って流入する流体に対して、異なる比率で駆動されるように配置されてもよい。機関と第1熱交換器とのうち少なくとも1つは、セルから出力された加熱流体からさらに熱を取出すように構成された第2熱交換器に結合されてもよい。
【0020】
流体管理システムは、セルから出力された加熱流体を濾過するフィルタを含んでもよい。仕事取出システムは、セルから出力された加熱流体を受けて、前記加熱流体を熱源としてまたは熱交換器内で使用するように構成された熱管理システムと、セルから出力された加熱流体を受けて、電力を発生させるために前記加熱流体を使用するように構成された電力発生システムと、のうち少なくとも1つを含んでもよい。電力発生システムは、発生した電力を電力管理システムに提供するために、電力管理システムに結合されてもよい。電力管理システムは、外部電力源に結合する外部カップリングを含んでもよい。電力管理システムは、外部電源から電力を受けるように構成されてもよく、および/または電力発生システムにより発生した電力を外部電源に提供するように構成されてもよい。
【0021】
一態様において、加熱流体から使用可能な仕事を取出すために加熱流体を提供する方法が提供される。方法は、加熱される液体をセルに供給する工程であって、セルが(i)加熱される液体を受ける内部部分を画定するように配置されたハウジングと、(ii)内部部分の流体に電気エネルギーを印加するように構成された複数の電極とを含む、工程と、1つ以上のプラズマ泡を発生させるために、内部部分の流体に電気エネルギーを印加するように複数の電極の動作を制御する工程と、内部部分のプラズマ泡に関連して、入射光子(例えば、電子も同様に)を受けるハウジングに応じて内部部分に近接するハウジングに熱を発生させる工程と、内部部分の流体を伝導加熱するために、ハウジングを使用する工程と、を含む。
【0022】
一態様において、加熱システムの動作を制御する方法が提供される。加熱システムは、(i)加熱される液体を受ける内部部分を画定するように配置されたハウジングと、(ii)内部部分の流体に電気エネルギーを印加するように構成された複数の電極と、を含むセルを含む。方法は、プラズマから内部部分の流体とハウジングとにエネルギーを放出する1つ以上のプラズマ泡を生成して、内部部分の流体の熱を提供するために、内部部分の流体に電気エネルギーを印加するように電極の動作を制御する工程を含む。電極の動作を制御する工程は、セルおよび/またはセルに関連する流体に関連する少なくとも1つの動作パラメータを示す信号を受信する工程と、熱および/またはプラズマの発生が閾値レベル未満であることを動作パラメータが示す場合、「コールドスタート」モードで動作させる工程と、熱および/またはプラズマの発生が閾値レベルを超えることを動作パラメータが示す場合、「通常」モードで動作させる工程と、を含む。コールドスタートモードで動作させる工程は、熱および/またはプラズマの発生が閾値レベル未満であることを動作パラメータが示す場合に、セルおよび/またはセルに関連する流体の温度を増加させるために、(i)電極により印加される電気エネルギーと、(ii)セルへの液体の供給と、(iii)外部ヒータの動作と、のうち少なくとも1つを制御する工程を含む。
【0023】
本開示の態様はまた、本明細書に開示される方法のいずれかを実行するために、プロセッサを制御するように構成されたコンピュータプログラム命令を含む、1つ以上のコンピュータプログラム製品を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
ここで、本開示のいくつかの例が、以下の図を参照しながら、単なる例示として説明される。
【0025】
【
図4】例示的な熱および電力発生システムのブロック図を示す。
【
図5】例示的な熱および電力発生システムの概要図を示す。
【0026】
図中では、同一の構成要素を示すために、同一の番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の実施形態は、熱および/または電力を発生させるシステムに関する。このようなシステムは、液体に熱を提供して、加熱流体を生成し得る。加熱流体は、次いで、熱および/または電力を発生させる目的のために使用され得る。加熱流体を生成するために、液体がセルに供給され得る。電気エネルギーは、セルの1つ以上の電極を介して、セルに保持された液体に印加され得る。この電気エネルギーをセル内の流体に印加することにより、セル内の気泡にプラズマ泡が形成される。各プラズマ泡は、プラズマ泡の周囲の流体よりも高い圧力/温度を有する局所的な領域となる。周囲の流体によりプラズマ泡の膨張が制限され得て、その結果、電気エネルギーがなお印加されると、これらの泡が電磁エネルギーを放出することになる。例えば、光子は、プラズマ泡内の原子(または分子)から放出され得る。次いで、これらの放出された光子は、光子が入射した物質を昇温し得る。例えば、この加熱により、セルのハウジングおよび/またはセル内の流体の熱が提供され得る。次いで、この熱の提供は、セルが熱および/または電力発生システム500で使用される加熱流体を出力することを可能にする。加熱流体は液体および/または気体を含んでもよく、場合により、加熱流体はいくらかのプラズマ物質も含んでもよい。
【0028】
ここで、
図1を参照しながら、例示的な加熱システムが説明される。
【0029】
図1は、加熱システム50の概要図を示す。加熱システム50は、液体供給システム10と、セル100と、仕事取出システム20と、を含む。セル100は、流体入口12と流体出口22とを含む。セル100は、セル100の内部部分125を画定するハウジング120を有する。また、セル100は、複数の電極を含む。複数の電極は、図示のとおり、第1電極111と第2電極112とを含む。セル100は、プラズマセル(例えば、プラズマ発生燃料セル)を含んでもよい。
【0030】
セル100のハウジング120は、内部部分125を包設する。流体入口12は、セル100の内部部分125に入る流体の流路を提供する。流体出口22は、セル100の内部部分125から出る流体の流路を提供する。セル100の内部部分125は、ハウジング120により別様に密封されてもよい。液体供給システム10は、セル100の流体入口12に結合される。仕事取出システム20は、セル100の流体出口22に結合される。液体供給システム10と流体入口12との間、および仕事取出システム20と流体出口22との間の結合は、環状流路として図示されている。しかしながら、この環状流路は単に説明のためのものであり、任意の好適な流路が提供されてもよいことが理解されよう。また、図示されていないが、仕事取出システム20は、(例えば、内部部分125に供給される液体の加熱および/または加圧を容易にするように)液体供給システム10にも結合されてもよい。
【0031】
第1電極111は、セル100の内部部分125内に少なくとも部分的に配置される。第2電極112もまた、セル100の内部部分125内に少なくとも部分的に配置され得る。第1電極と第2電極112とは、同心円状に配置される。第1電極111は、セル100の内部部分125の中心領域内に延在する。第2電極112は、第1電極111から径方向外側に配置される。第2電極112は、第1電極111と同様に円筒形でもよい。
図1に図示される例において、第1電極と第2電極112とは、同軸状に配置される。第2電極112は、ハウジング120の内部表面に隣接して位置する(しかしながら、いくつかの例において、第2電極112は、例えば、その一部を形成するようにハウジング120と一体化されてもよく、および/または、ハウジング120のある部分は、例えば、ハウジングの前記部分が導電性である場合に、第2電極112を設けてもよい)。
【0032】
第1電極111の第1端部は、ハウジング120の内部部分125の外側に位置する。第1電極111の第2端部は、第1端部の遠位にあり、ハウジング120の内部部分125内に位置する。第2電極112は、ハウジング120の内部部分125の長さの一部、または全長に沿って延在してもよい。第2電極112の少なくとも一方の端部は、セル100の内部部分125から延出してもよい。
図1には示されていないが、第1電極および/または第2電極112は、それぞれ電源に結合されてもよい。例えば、各電極は、内部部分125の外側に(例えば、ハウジング120へと)延在する一方の端部を有してもよく、この端部が電源に結合されてもよい。いくつかの例において、ハウジング120がアースを提供してもよく、第1電極111が電源のプラス端子に接続されてもよい。
【0033】
ハウジング120は、円筒形でもよい。流体入口12は、流体出口22に対してハウジング120の対向端部に配置される。第1電極と第2電極112とは、流体入口12から流体出口22に延びる軸(例えば、セル100の長手方向軸)に沿って延在する。流体出口22は、流体入口12の垂直方向上方(例えば、真上などの上)に配置されてもよい。
【0034】
液体供給システム10は、液体をセル100に供給するように配置される。液体は、流体入口12を通ってセル100に提供され得る。液体供給システム10は、液体リザーバなどの液体供給のためのカップリングを含んでもよい。液体供給システム10は、この液体のセル100への送達を制御するように構成される。例えば、供給される液体は、セル100の環境において非ニュートン挙動を示す流体を部分的または全体的に含んでもよい。液体は、水でも水溶液でもよい。
【0035】
仕事取出システム20は、セル100からの加熱流体を受けるように配置される。加熱流体は、流体出口22を通ってセル100から出力され得る。加熱流体は、液体および/または気体を含んでもよい。例えば、加熱流体は、気体と液体との組み合わせ、例えば、いくらかの水滴を含む水蒸気でもよい。流体出口22は、この加熱流体をセル100から流出させて、仕事取出システム20で使用できるように配置される。例えば、セル100内で生成された蒸気は、上昇して、流体出口22を通って出る。仕事取出システム20は、セル100から出力された加熱流体を利用するように構成される。仕事取出システム20は、この加熱流体を受けて、これを加熱流体の供給の一部として(例えば、加熱目的で)使用するように構成されてもよい。仕事取出システム20は、この加熱流体を受けて、電力を発生させるためにこの加熱流体を使用するように構成されてもよい。例えば、この加熱流体は、例えば、蒸気機関を使用することにより、発電機を駆動するために使用されてもよい。
【0036】
ハウジング120は、内部部分125を包設するように構成される。ハウジング120は、液体が加熱され得る領域を提供する内部部分125を画定するように配置される。ハウジング120の内部表面(例えば、内部部分125に面する/内部部分125を画定する)は、入射光子に応じて熱を発生するように構成されてもよい(例えば、ハウジング120は導電性でもよい)。内部表面は、内部部分125に隣接して位置するハウジング120の領域を含んでもよい。内部表面はハウジング120の一部を含んでもよく、および/または、内部表面は入射光子に応じて熱を発生させるために、内部表面に設けられた層/フィルムなどの追加の構成要素を含んでもよい。例えば、内部表面は、例えば、可視光の形態で、電磁エネルギーを吸収するように構成されてもよい。内部表面は、入射光子を受けると昇温するように構成される。内部表面は、例えば、入射光子により昇温すると、内部部分125内の流体の熱を提供するように構成される。ハウジング120は、鋼鉄などの金属から作製されてもよい。ハウジング120は、圧力下で内部部分125に流体を保持するように構成される。
【0037】
流体入口12と、内部部分125と、流体出口22とは、流体がハウジング120の内部部分125を通って流れるための流路を画定するように配置される。内部部分125は、流体入口12を通して加熱される液体を受けるように配置される。セル100は、加熱流体を提供するために、この液体を内部部分125で加熱するように配置される。流体出口22は、この加熱流体に内部部分125から離れる流路を提供するように配置される。
【0038】
第1電極111と第2電極112とは、セル100の内部部分125を通る電流流路を提供するように構成される。電極111,112の一方にはアノードが提供されてもよく、他方にはカソードが提供されてもよい。例えば、第1電極111には、セル100の内部部分125に電流をもたらすアノードが提供されてもよい。そして、第2電極112には、セル100の内部部分125から離れる電流を流すためのカソードが提供されてもよい。第1電極と第2電極112とは、互いに離間される。第1電極111は、第1電極111と第2電極112との間に電位差が存在するような電圧を受けるように配置される。第1電極111と第2電極112とは、容量的に配置される。内部部分125に流体が存在することにより、第1電極と第2電極112との間に導電経路が提供され得る。この流体により、2つの電極111,112間に電気抵抗が提供される。セル100の流体を含む第1電極と第2電極112とにより、静電容量と抵抗とを有する回路が効果的に提供され得る。第1電極111と第2電極112とは、内部部分125内の流体および/またはプラズマに電圧ストレスを提供するように構成される。
【0039】
動作中、液体供給システム10は、流体入口12を通ってセル100の内部部分125に入るように液体を供給する。この例において、液体は水であるが、他の液体が使用されてもよい。液体供給システム10は、セル100が水で満たされるように、セル100に水を供給するように動作する。これまでにセル100内にあった任意の気体は、セル100の流体出口22を通って強制的に排出され得る。その結果、セル100は、水で実質的に満たされ得る。
【0040】
電圧は、第1電極111(アノード)に印加される。この電圧により、いくらかの電流が水中に流れることになる。水には電気抵抗があるため、この電流の流れと抵抗とにより、水がいくらか加熱されることになる(例えば、I2R熱)。電圧が第1電極111に印加されると、この抵抗加熱のプロセスは継続する。内部部分125内の水の温度が上昇すると、内部部分125の水中に気体の微小気泡が形成され始める。これらの微小気泡は、セル100の内部部分125に供給された水に閉じ込められていた、放出された空気を形成する蒸気泡、またはそのような空気の泡であり得る。その結果、セル100の内部部分125の液体内にいくつかのガスのポケットが発生する。第1電極111に電圧が印加され続けると、ハウジング120の内部部分125内にプラズマ泡が発生する。これらの泡は、周囲の流体とハウジング120の内部表面とにエネルギーを放出する。次いで、これにより、内部部分125内の流体の熱が提供される。
【0041】
理論に束縛されるものではないが、第1電極111に電圧を印加することにより、第1電極と第2電極112とにより提供されるコンデンサが充電されることになる。内部部分125内の流体が昇温すると、流体の誘電率が変化し得て、これによりセル100の静電容量(例えば、第1電極111と第2電極112との間の)が変化し得る。例えば、水が使用される場合、水の誘電率は、水が昇温すると(また、次いで水が蒸気になるときに)減少する。特に、気体(例えば、蒸気)の微小気泡が内部部分125の液体内に形成され始める所に、これらの微小気泡により誘電率の低い局所的な領域が提供される。このプロセスにより、局所的な領域に誘電率の落ち込みが効果的に提供され得る。例えば、水が使用される場合、水中で形成される気泡と周囲の水との間のこの誘電率の差は、約40倍であり得る(例えば、これらの泡の単位体積当たりの静電容量は、周囲の水の静電容量の1/40であり得る)。このプロセスの間、内部部分125内の流体および/またはプラズマの体積エネルギー密度が一定に維持される。気体の泡内で誘電率が落ち込むため、この領域で静電容量が減少することになる。体積エネルギー密度が一定に維持されて、かつ静電容量が減少すると、それに応じて1メートル当たりの電圧が上昇する(例えば、E=1/2 CV2に従ってエネルギーを保存するため)。例えば、水が使用される場合、1メートル当たりの電圧は約√40倍まで上昇する。
【0042】
理論に束縛されるものではないが、電気エネルギーがなお第1電極111に印加されている状態において、(周囲の液体よりも低い密度の)これらの気体の微小気泡は、微小気泡の周囲に向かって急激に膨張しようとする。しかしながら、周囲の液体は、例えば、これらの条件下の液体が非ニュートン性であることにより、この膨張に抵抗することになる。これにより、微小気泡の温度と圧力とが急激に増加する。次いで、微小気泡の静電容量がさらに減少して(例えば、dV/drの増加を引き起こして)、それにより泡全体の電圧ストレスのさらなる増加が生じる。泡全体に十分な電圧ストレスがあることにより、イオン化が生じて、泡内にプラズマの形成がもたらされ得る。したがって、内部部分125の液体中に1つ以上のプラズマ泡が形成され得る。プラズマは、気体よりもさらに低い密度である可能性があるため、第1電極111になお電圧が印加された状態では、プラズマ泡はさらに急激に膨張しようとする。特に、このプラズマ泡の発生プロセスは急激に生じるため、各プラズマ泡が急激な膨張を促進する。次いで、これにより、セル100の内部部分125の液体に非ニュートン流体応答がもたらされる。例えば、水が使用される場合、水は、プラズマ泡が膨張しようとすることによりもたらされる圧力波の前にすぐに降伏することはない。したがって、プラズマ泡が比較的一定の体積で保持される(例えば、プラズマ泡は、単に比較的ゆっくりと膨張し得る)。プラズマの体積は比較的一定に維持される一方で、この泡内の温度と圧力とは、第1電極111に印加される電圧によりもたらされる電圧ストレスに応じて急激に上昇する。
【0043】
理論に束縛されるものではないが、プラズマ泡内のこの高準位のエネルギーに適応するために、泡内の原子(および分子)にエネルギーが吸収され得る。したがって、これらの粒子のエネルギー準位(例えば、エネルギー状態)が上昇する可能性がある。プラズマ内では、原子は原子の電子をより高い電子エネルギー準位に移動させ得て、および/または、原子の粒子のスピン状態が変化し得る。例えば、水素原子のスピン状態は、水素原子のより低エネルギーのパラ状態から、水素原子のより高エネルギーのオルト状態に変化し得る。分子はまた、より高い回転および/または振動エネルギー準位に移動し得て、ならびに/もしくは、さらにそれらの分子の分裂が生じ得る。その結果、各泡内の原子は(例えば、従来の流体/内部部分125内の流体と比較して)、不釣合いに高いエネルギー準位となる。
【0044】
理論に束縛されるものではないが、プラズマ内の高エネルギーに適応するために、プラズマから光子の放出が生じ得る。電子はより低エネルギーの電子状態に移動し得て、および/または、より低エネルギーの振動/回転/スピン状態への変化が原子/分子に生じ得る。このようにより低いエネルギー配置に戻ることにより、光子の放出が生じる(例えば、ボーア模型に従ったエネルギー準位の低下に適応するため)。この光子の放出は、比較的大規模に生じる可能性がある。水が使用される場合、この光子の放出の大部分が可視光スペクトルで生じる。
【0045】
各プラズマ泡から放出された光子は、次いで、セル100の内部部分125またはハウジング120のいずれかの流体に吸収される。このような入射光子を受けることに応じて、流体および/またはハウジング120が前記光子を吸収すると、流体および/またはハウジング120が昇温する。特にハウジング120の内部表面はこれらの光子を多く吸収して、したがって温度が増加し得る。ハウジング120の内部表面が昇温すると、次いで、この昇温により、内部部分125内の流体の伝導加熱が提供される。これにより対流電流が生じて、したがって、セル100の内部部分125内の流体に乱流の増加が生じる可能性がある。このプロセスの結果、内部部分125内の流体が昇温する。次いで、セル100の内部部分125に供給された液体の大部分が蒸発して、気体(例えば、蒸気)を提供し得る。本開示の文脈において、セル100から出る流体の一部は、セル100に提供された液体と比較して、若干従来と異なるか、または少なくともより低いエネルギー配置を有し得ることを理解されたい。これは、セル100内で生じたプラズマの発生と、それに続くエネルギー放出と、の結果である。
【0046】
この加熱流体は、次いで流体出口22を通過する。典型的に、加熱流体は蒸気の形態であり、内部部分内で生成されて、上昇して流体出口22を通って出る。次いで、加熱流体は、加熱流体から使用可能な仕事を取出すために、仕事取出システム20で使用される。例えば、この加熱流体は、電力発生および/または熱分配に使用されてもよい。
【0047】
ここで、
図2を参照しながら、本開示のさらなる例が説明される。
【0048】
図2は、加熱システム50の概要図を示す。
図1と同様に、
図2の加熱システム50は、液体供給システム10と、セル100と、仕事取出システム20と、を含む。
図2の加熱システム50のこれらの構成要素は
図1の構成要素と同様であり、例えば、
図1の加熱システム50の特徴は
図2の加熱システム50の特徴と組み合わせて使用可能である。
【0049】
液体供給システム10は、さらに、液体リザーバ14と、ヒータ16と、ポンプ18と、を含んでもよい。セル100は、流体入口12と、流体出口14と、内部部分125を画定するハウジング120と、を含む。セル100は、第1電極111と第2電極112とを含む。また、
図2に示されるように、セル100は、第3電極113と抵抗素子115とを含んでもよい。セル100は、プラズマセル(例えば、プラズマ発生燃料セル)を含んでもよい。
【0050】
加熱システム50はまた、電源30とコントローラ40とを含んでもよい。システム50の実行可能な検知機能を図示するために、複数のセンサが黒丸で図示されている。図示されるセンサは、電源センサ41と、流体入口センサ42と、第1電極センサ43と、第2電極センサ44と、第3電極センサ45と、流体出口センサ46と、内部部分センサ47と、を含む。
【0051】
液体供給システム10は、液体リザーバ14をセル100の流体入口12に結合させてもよい。液体リザーバ14は、ポンプ18および/またはヒータ16(両方とも
図2に図示される)を介して流体入口12に結合されてもよい。液体供給システム10は、セル100の内部部分125に液体を提供するように構成される。液体供給システムは、
図2に図示される液体リザーバ14などの液体の供給源から液体を供給してもよく、または、液体供給システムは、液体を供給するための液体供給、例えば、主水供給のためのカップリングを含んでもよい。
【0052】
第1電極と第2電極112とは、
図1を参照しながら前述のとおり、セル100内に配置されてもよい。さらに、第3電極113もまた、セル100の内部部分125に設けられている。第3電極113は任意であり、含まれても含まれなくてもよい。第3電極113が含まれる場合には、内部部分125の外側に第3電極113の第1端部が位置してもよく、第3電極113は第1端部から内部部分125内に位置する第2端部まで延在してもよい。第3電極113の第2端部は、内部部分125内で第1電極111の第2端部の近位に位置してもよい。第1電極111と第3電極113とは、平行でもよい(例えば、第1電極111と第3電極113とは、同軸でもよい)。第2電極112と第3電極113とは、平行(例えば、同軸)でもよい。第1電極111は、ハウジング120の第1端部の外側からハウジング120の対向端部に向かって内部部分125に延在してもよい。第3電極113は、ハウジング120の対向端部の外側から第1端部に向かって内部部分125に延在しもよい。第1電極111と第3電極113とは、これらの電極111と電極113との間で空間的に重ならない(例えば、電極のそれぞれの第2端部が接触しない/重ならない)ように、内部部分125に延在してもよい。第2電極112は、内部部分125の長さに沿って、第1端部または第1端部の外側から、対向端部または対向端部の外側まで延在してもよい。第1電極111の第2端部と第3電極113の第2端部との間の距離は、第1電極111と第2電極112との間の最短距離よりも短くてもよい。第3電極113は、第1電極と第2電極112との間で予期される電流経路から離れて位置してもよい。
【0053】
抵抗素子115もまた、内部部分125に含まれてもよい。抵抗素子115はまた、円筒形でもよい。抵抗素子115は、第1電極111(アノード)と第2電極112(カソード)との間の導電経路の電気抵抗を増加させるように配置されてもよい。抵抗素子115は、大部分の内部部分125を囲んで(例えば、アノードからカソードの実行可能な大部分の導電経路を妨害するように、内部部分の長さと幅とに沿って)延在してもよい。抵抗素子115は、第1電極111/第3電極と第2電極112との間に位置してもよい。例えば、抵抗素子115は、第1電極111/第3電極113から径方向外側に位置してもよいが、第2電極112よりも離れた径方向外側に位置できない。抵抗素子115は、内部部分125の長さの一部、または全長に沿って延在してもよい。抵抗素子115は、例えば、電流が第1電極111から第2電極112に達するように抵抗素子115を通って流れる必要があるように、第1電極111と第2電極112との間の電流流路上に配置されてもよい。抵抗素子115は、(例えば、抵抗素子115を経由しないアノードからカソードへの導電経路が実現可能となる可能性を低減するために)内部部分125の端部の一方または両方に沿って延在してもよい。
【0054】
電源30は、DC供給を含んでもよい(例えば、DCを提供するためのAC-DCコンバータが存在してもよい)。電源30は、加熱システム50の1つ以上の構成要素に結合されてもよい。
図2は、これらの実行可能ないくつかのカップリングを実線で示す。例えば、これらのカップリングは、電源30から前記構成要素への導電結合を提供するために、ある種の形態の導体を含んでもよい。電源30は、第1電極111に、および/または第2電極112もしくは第3電極113のいずれかに結合されてもよい。セル100はまた、抵抗ヒータ(例えば、カートリッジヒータ)などのヒータを含んでもよい。電源もまた、ヒータに結合されてもよい。電源30は、
図2に示されるように、(例えば、抵抗加熱を提供するために)抵抗素子115に結合され得る。しかしながら、抵抗素子が電源に結合される必要はないことを理解されたい。その代わり、第1電極111と第2電極112との間の抵抗を単に増加させるために、抵抗素子が含まれてもよい。
【0055】
コントローラ40は、各センサに結合されてもよい。コントローラ40はまた、電源30と、ヒータ16と、ポンプ18と、のうちの1つ以上に結合されてもよい。
図2は、これらのカップリングを破線で示す。これらのカップリングは、有線でも無線でもよい。
【0056】
液体供給システム10は、セル100の内部部分125に液体を供給するように構成される。コントローラ40は、液体供給システム10の動作を制御するように構成されてもよい。例えば、液体供給システム10は、セル100の内部部分125に提供される液体リザーバ14からの液体を(ヒータ16を使用して)選択的に加熱してもよく、および/または(ポンプ18を使用して)加圧してもよい。コントローラ40は、ヒータ16および/またはポンプ18の動作を制御して、セル100に供給される液体の温度および/または圧力を制御するように構成されてもよい。
【0057】
電源30は、第1電極111に電圧を印加するように(例えば、
図1を参照しながら前述のとおりの動作を提供するように)構成されてもよい。電源30はまた、第3電極113(および/または、例えば、セル100のヒータ)に電圧を印加するように構成されてもよい。電源30はまた、第2電極112から流れる電流を受けるように、第2電極112に結合されてもよい。電源30は、例えば、高圧DC電圧を使用して、選択的に電圧を印加するように構成されてもよい。コントローラ40は、電源30の動作を制御するように構成されてもよい。例えば、コントローラ40は、電源30により印加される電圧の大きさ、電圧供給のタイミング、および/または電圧が印加される構成要素のうち少なくとも1つを制御するように構成されてもよい。
【0058】
第3電極113は、能動型でも受動型でもよい。能動型である場合、第3電極113に電圧が印加される。受動型である場合、第3電極113は、内部部分125内で電流を受けるために導電性でもよいが、電源30からは電力を受けない。第3電極113は、平衡電極を設けるように構成されてもよい(例えば、平衡電極は、内部部分125内で発生する電界/電流を平衡させるために配置されてもよい)。コントローラ40は、電源30の動作を制御して、第3電極113に電圧が印加されるかどうか(および/またはどれくらい印加されるのか)を選択的に制御するように構成されてもよい。
【0059】
抵抗素子115は、(例えば、電極および/または内部部分125内の流体の抵抗と比較して)比較的抵抗が高くなるように構成されてもよい。抵抗素子115は、(アノードとカソードとの間に)電気絶縁体を効果的に提供するために十分な抵抗を有してもよい。
【0060】
例において、セルは、セルへの電圧の印加に応じて熱を提供するように構成された、例えば、抵抗(I2R)熱を提供するように構成されたヒータを含む。ヒータは、ハウジングの領域にあってもよく、または抵抗加熱を提供するように構成された別個の構成要素でもよい(例えば、端部キャップなどのハウジングの一部に一体化されてもよい)。ヒータは、内部部分125および/またはハウジング120への電圧の印加に応じて、内部部分125および/またはハウジング120の流体の熱を提供するように配置され得る。コントローラ40は、電源30の動作を制御して、ヒータに電圧が印加されるかどうか(および/またはどれほど印加されるのか)を選択的に制御するように構成されてもよい。いくつかの例において、ヒータは、抵抗素子115により提供され得る。
【0061】
コントローラ40は、セル100の動作のうち少なくとも1つの動作パラメータを示す信号を受信するように構成されてもよい。コントローラ40は、この受信信号に基づいて、加熱システム50の動作を制御するように構成されてもよい。例えば、コントローラ40は、受信信号に基づいて、ヒータ16、ポンプ18、および/または電源30のうち少なくとも1つの動作を制御するように構成されてもよい。コントローラ40は、内部部分125に供給される液体の熱および/または圧力を制御するように構成されてもよい。コントローラ40は、第1電極111、第3電極113、および/またはヒータのうちの1つ以上に電圧が印加されるかどうか、および/またはどのくらいの電圧が印加されるのかを制御するように構成されてもよい。換言すると、コントローラ40は、セル100の内部部分125への液体の供給、および/またはセル100の電極により印加される電気エネルギーを制御するように構成されてもよい。
【0062】
コントローラ40は、セル100の1つ以上の動作パラメータを示す少なくとも1つの受信信号に基づいて動作を制御するように構成されてもよい。信号は、センサの1つ以上から受信されてもよい。受信された信号の正確な性質、および/または信号を受信するセンサの性質は、限定するものと見なされないことを理解されたい。
図2には、例示的なセンサが示されており、このセンサにより、システム50の1つ以上の動作パラメータを示す情報が提供され得る。
【0063】
電源センサ41は、電源30の動作についての指標を提供するように構成されてもよい。電源センサ41は、印加される電力(例えば、電圧)の大きさについての指標を提供するように構成されてもよく、および/または、電源30により印加される信号に関する任意の関連するフィードバックを提供してもよい。例えば、電源センサ41は、電源30により印加された電圧に関連する任意のチャタリングについての指標を(例えば、第1センサに)提供するように構成されてもよい。流体入口センサ42は、内部部分125に供給される液体の少なくとも1つの特性についての指標を提供するように構成されてもよい。例えば、この指標は、供給される液体の圧力および/または温度についての指標を含んでもよい。別の例として、流体入口センサ42は、内部部分125に供給される液体の1つ以上の化学的特性についての指標(例えば、不純物/添加物などの割合のような前記液体の化学的組成を示す)を提供するように構成されてもよい。流体出口センサ46は、流体入口センサ42と同様でもよい。例えば、流体出口センサ46は、セル100から出力される流体の温度、圧力、および/または化学的組成についての指標を提供するように構成されてもよい。流体出口センサ46は、セル100から出る流体に対する任意の関連するエネルギー配置の変化(例えば、任意の追加の組成物が存在するかどうか)についての指標を提供するように構成されてもよい。
【0064】
第1電極センサ43と、第1電極センサ44と、第3電極センサ45とは、これらの電極センサに存在する関連する電気エネルギーの1つ以上の特性についての指標を提供するように構成されてもよい。センサは、関連する電極に存在する電圧および/または電流についての指標を提供してもよい。例えば、電極センサは、前記電極の電流および/または電圧が時間と共にどれほど変化するのかについての指標を提供する(例えば、電流/電圧の時間微分についての指標を提供する)ように構成されてもよい。
【0065】
内部部分センサ47は、セル100の内部部分125内の状態についての指標を提供するように構成される。内部部分センサ47は、ハウジング120の内部部分125内に位置してもよく、例えば、(
図2に示されるように)ハウジング120の内部壁に取付けられてもよい。あるいは、内部部分センサ47は、外部部分の外側に位置してもよいが、内部部分125内の状態に関するいくつかの指標を提供するように構成されてもよい。内部部分センサ47は、内部部分125内の流体の流動力学についての指標を提供するように構成されてもよく、例えば、任意の乱流があるかどうか、および/または流れがどれほどの乱流なのかについての指標を提供するように構成されてもよい。この提供には、流量計、マイクロフォン、またはその他の好適なセンサの使用が含まれる。内部部分センサ47は、内部部分125の内部に存在する電磁エネルギーについての指標(例えば、発生している電磁放射の量および/または種類についての指標)を提供するように構成されてもよい。例えば、内部部分センサ47は、そのような電磁エネルギー/電磁放射の存在を検出するために好適なアンテナを含んでもよく、および/または、セル100に存在する光についての指標を取得するように構成された、何らかの形態の(例えば、光ファイバーの一部としての)カメラを含んでもよい。内部部分センサ47は、セル100の内部で生じている活動の状態についての指標を提供するように構成されてもよい。
【0066】
動作中、
図2の加熱システム50は、
図1を参照しながら前述された加熱システム50とほとんど同じ様式で機能する。すなわち、電源30により、第1電極111に電気エネルギー(例えば、電圧)が印加されて、内部部分125の流体が加熱される。この熱は、抵抗加熱と、また、内部部分125内のプラズマ泡から放出される入射光からの熱と、によりもたらされる。さらに、第1電極と第3電極113との間、および/または、第2電極と第3電極113との間に静電容量が提供され得る。これにより、セル100の内部部分125内の電界に平衡効果が提供され得る。第3電極113は、浮遊電極として(例えば、受動状態で)提供される場合、および第3電極113に(例えば、能動状態で)電圧が印加される場合に、平衡効果を提供し得る。
【0067】
さらに、コントローラ40は、いくつかの異なる制御ループのいずれかに従って加熱システム50の動作を制御するように構成されてもよい。各制御ループは、セル100の動作パラメータを示すデータが(例えば、センサから)取得されたフィードバックループを提供してもよく、この取得データに基づいて、コントローラ40が加熱システム50の構成要素の動作を制御する。データは、任意の好適なセンサ(例えば、
図2に示される、前述のセンサのいずれか)から取得され得る。コントローラ40は、セル100の内部部分125への液体の供給を制御して(例えば、ヒータ16もしくはポンプ18を制御して)、および/または1つ以上の電極により印加される電気エネルギーを制御する(例えば、電源30により供給される電力を制御する)ように、加熱システム50の任意の好適な構成要素の動作を制御してもよい。
【0068】
ここで、4つの例示的な制御ループが説明される。第1例において、「通常」モードにおけるセル100の動作が説明されて、セル100の動作の効率の向上をもたらすために、少なくとも1つの特性が監視および/または調整される。第2例と第3例とにおいて、セル100の出力をそれぞれ増加および減少させるためのセル100の動作が説明される。第4例において、「起動」モードのときのセル100の動作が説明される。
【0069】
第1例において、加熱システム50の動作は、連続動作の通常モードで制御される。ここでは、コントローラ40は、セル100の動作パラメータを示す信号を受信するように構成されて、コントローラ40は、動作パラメータがセル100の性能に所望される範囲内で維持されるように、システム50の動作を制御するように構成される。セル100は、セルの出力として加熱流体を提供するように設計されている。動作パラメータは、したがって、セル100の出力についての指標を提供してもよい。例えば、動作パラメータは、セル100がどれほど効率的に実行されているのかについての指標、および/またはセル100により提供される熱の発生の大きさについての指標を提供してもよい(例えば、動作パラメータは、単位時間当たりのセル100により生成される加熱流体の量/温度についての指標を提供してもよい)。本開示の文脈において、セルの性能がそれ自体で決定される必要はないが、その代わりに、コントローラ40が、セルの性能についてのインジケータに基づいてセル100の動作を制御してもよいことが理解されよう。
【0070】
コントローラ40は、セルの性能についての指標を受信するように構成されてもよい。このセルの性能についての指標により、セル100の動作の状態についての指標が提供され得る。この指標は、セル100により生成される加熱流体の量/温度についての指標、および/またはセル100内に生じるプラズマの発生の質についての指標を含んでもよい。インジケータは、セル100により生成される加熱流体の温度および/または圧力に基づいてもよい(例えば、インジケータは、前記温度および/または圧力についての指標でもよい)。例えば、このような指標は、流体出口センサ46を使用して取得されてもよい。この指標は、セル100に提供される液体の温度/圧力(例えば、流体入口センサ42により感知される)と、セル100から出る加熱流体の温度/圧力(例えば、流体出口センサ46により感知される)と、の両方に基づいてもよい。この指標は、セル100により提供される熱の量(例えば、入口温度と出口温度との間の差)、および/またはセル100により提供される加熱速度に基づいてもよい。
【0071】
一例として、コントローラ40は、セル100を離れる加熱流体の温度を示す信号を受信するように構成されてもよい。加熱流体が選択された範囲外にある(例えば、上限閾値温度を超えている、および/または下限閾値温度未満である)場合、コントローラ40は、出口温度を選択された範囲内に戻すために、必要に応じて温度を増加/減少させるように加熱システム50の動作を制御してもよい。この制御は、セル100に提供された液体が閾値量を超えたかどうか、および/または閾値時間区分以内に加熱されたかどうかを、コントローラ40が判定することをさらに含んでもよい。コントローラ40は、十分な量の熱および/または十分に速い速度での熱が生じるように、加熱システム50の動作を制御してもよい。
【0072】
セル100を離れる加熱流体の温度/圧力についての指標を直接受信することに加えて、またはその代わりに、コントローラ40は、セルの性能を示す信号を受信してもよい。例えば、コントローラ40は、セル100内で生じるプラズマの発生の量および/または質を示す信号を受信してもよい。コントローラ40は、生じたプラズマの発生の量および/または質が選択された範囲内となるように、加熱システム50の動作を制御してもよい。次いで、このことにより、セル100内のプラズマの発生により最終的にセル100内の流体の熱が生じるため、セル100による加熱流体の生成の制御が機能し得る。
【0073】
コントローラ40は、センサからの受信信号に基づいて、セル100内のプラズマの発生の特性についての指標を取得するように構成されてもよい。プラズマの発生の特性についての指標は、セル100に入る流体および/またはセル100から離れる流体の温度データおよび/または圧力データに基づいて決定されてもよい。プラズマの発生の量は、熱の発生量、および/または流体が加熱される速度に基づいて決定されてもよい。例えば、加熱の速度/量が多ければ多いほど、プラズマの発生の増加が示され得る。コントローラ40は、セル100による熱の量および/または加熱速度が選択された範囲内にある場合に、プラズマの発生が選択された範囲内にあると判定するように構成されてもよい。
【0074】
プラズマの発生の量は、(例えば、内部部分センサ47を使用して)取得された、ハウジング120の内部部分125の内部の状態についての指標に基づいて決定されてもよい。内部部分125内の流体が乱流として動いているという指標は、(例えば、ハウジング120の内部部分により提供された伝導加熱が大きく、この伝導加熱により対流電流が生じることにより)より多くのプラズマが発生することを示し得る。あるいは、またはさらに、より多くの電磁エネルギーが存在する(例えば、より多くの光が見える/より多くの電磁波が検出される)という指標は、より多くのプラズマが発生することを示し得る。コントローラ40は、乱流および/または電磁エネルギー/電磁放射の量が選択された範囲内にある場合に、プラズマの発生が選択された範囲内にあると判定するように構成されてもよい。
【0075】
プラズマの発生の量は、電極のうちの1つで取得された電流および/または電圧についての指標に基づいて決定されてもよい。例えば、コントローラ40は、第1電極111に印加される電圧についての指標と、その結果として生じる第1電極111を通過した電流についての指標と、を取得(例えば、第1電極センサ43を使用して)してもよい。コントローラ40は、電圧データと電流データとを経時的に監視して、この電圧データと電流データとに基づいて、どの時点で良好なプラズマが発生するのかを判定するように構成されてもよい。例えば、コントローラ40は、電源30を制御して、第1電極111に印加される電圧を経時的に増加させてもよく、この制御により、結果として生じる電流を監視してもよい。電圧が増加すると、電流も同様に最初に増加して、その後、電圧が増加し続けるにつれて比較的安定した状態が保持される。閾電圧に到達した時点で電流の増加が始まり、電流の増加速度は、増加した電圧により増加する。コントローラ40は、電流が再び増加し始める領域で、良好なプラズマの発生が生じたことを検出するように構成されてもよい。例えば、コントローラ40は、電流が再び上昇し始める時点で、良好なプラズマの発生が生じたことを判定するように構成されてもよい。次いで、コントローラ40は、第1電極111に印加される電圧をこれ以上上昇させないように、電源30を制御してもよい。
【0076】
プラズマの発生の量は、第1電極111への電圧の印加に応じて、電源30に提供されるチャタリングについての指標に基づいて決定されてもよい。例えば、プラズマの発生により振動が生じるため、例えば、このチャタリングは、燃料内に生じたプラズマの発生についての指標を提供し得る。コントローラ40は、検出されたチャタリングが選択された範囲内にある場合に、プラズマの発生が選択された範囲内にあると判定するように構成されてもよい。
【0077】
前述の例は、動作パラメータを示す信号を判定および/または受信するようにコントローラ40が構成され得るセル100の動作パラメータを説明するものである。これらの動作パラメータのいずれかについての指標の取得に基づいて、コントローラ40は、加熱システム50の動作を制御するように構成されてもよい。取得された指標が選択された範囲外にある(例えば、上限閾値を超えている、および/または下限閾値未満である)場合、コントローラ40は、パラメータの値が選択された範囲内となるように、システム50の動作を制御してもよい。このため、コントローラ40は、セル100に供給される液体および/またはセル100内の流体に印加される電気エネルギーを制御し得る。
【0078】
コントローラ40は、少なくとも1つの動作パラメータが選択された範囲内となるように、セル100に供給される液体を制御するように構成されてもよい。液体の供給を制御することは、(i)セル100の内部部分125に供給される液体の温度を制御すること、(ii)セル100の内部部分125に供給される液体の圧力を制御すること、および/または(iii)セル100の内部部分125に供給される液体の量を選択された時間ウィンドウ内で制御すること、のうち少なくとも1つを含んでもよい。コントローラ40は、ヒータ16および/またはポンプ18の動作を制御して、セル100に供給される液体の温度および/または圧力を制御するように構成されてもよい。流体入口12は、液体を受ける1つの開口部を含んでもよく、または、例えば、液体がセルに流入する複数の入口点を提供するための複数の開口部を含んでもよい。コントローラ40は、ポンプ18の動作を制御して、セル100を通る流体の流量を制御するように、例えば、単位時間当たりでどれほどの量の流体がセル100に送達されるのかを制御するように構成されてもよい。液体供給システム10は液体の連続流をセル100に提供するように構成されてもよく、コントローラ40は液体がセル100に供給されるときの速度を制御してもよい。
【0079】
セルからの出力を増加させる必要があること(例えば、セル100がより多くの流体の熱を提供する必要があること)を動作パラメータが示す場合、コントローラ40は、(i)より高い温度でセル100に液体を提供する、(ii)より高い圧力下でセル100に液体を提供する、および/または(iii)多くの液体をセル100に提供する、のうち少なくとも1つを行うように、液体供給システム10を制御してもよい。例えば、プラズマの発生が閾値未満であることを動作パラメータが示す場合、この制御により、セル100に提供される熱および/または圧力が増加され得る。
【0080】
コントローラ40は、少なくとも1つの動作パラメータが選択された範囲内となるように、セル100の電極に印加される電気エネルギーを制御するように構成されてもよい。この制御は、(i)電圧が第1電極111に印加される時間量を制御すること、(ii)第1電極111に印加される電圧を制御すること、(iii)第2電極112に印加される電圧を制御すること、および/または(iv)ヒータに印加される電圧を制御すること、のうち少なくとも1つを含んでもよい。温度の発生を増加させる必要があること、および/またはプラズマの発生が閾値未満であることを動作パラメータが示す場合、コントローラ40は、印加されるエネルギーを増加させるように電源30を制御してもよい。例えば、プラズマおよび/または熱の発生が閾値未満である場合、コントローラ40は、ヒータおよび/または第1電極111に電圧を印加(または、より大きな電圧を印加)してもよい。
【0081】
コントローラ40は、セル100の電極により印加される電気エネルギーと、セル100への液体の供給と、の両方を制御するように構成されてもよい(例えば、この2つが同時に制御されてもよい)。コントローラ40は、コントローラ40がどのように他方を制御するのかに応じて、一方を制御してもよい。例えば、コントローラ40は、どのようにセル100への液体の供給を制御するのかに基づいて、どのようにセル100の電極により印加される電気エネルギーを制御するのか(および/またはその逆も同様に)を選択してもよい。コントローラ40は、プラズマの発生を増加させる必要があると判断した場合、ヒータおよび/または第1電極111に印加される電圧を増加させてもよく、同様に、セル100に提供される水の温度および/または圧力を増加させてもよい。コントローラ40は、加熱流体の生成を増加させる必要があると判定した場合、電極および/またはヒータに印加される電圧を増加させてもよく、同様にセル100に供給される液体の量を増加させてもよい。
【0082】
第2例と第3例とにおいて、コントローラ40は、セル100からの出力に対する需要を示す要求信号を受信するように構成される。要求信号は、セル100からより多くの、またはより少ない出力が必要であることを示し得る。例えば、この需要はセル100の効率に依存しなくてもよく、セル100は関連する動作パラメータの閾値範囲内で動作され得るが、要求信号は出力を変化させる(例えば、増加または減少させる)必要があることを示し得る。
【0083】
より少ない出力が必要であることを要求信号が示す場合に、コントローラ40は、セル100に供給される液体と、セル100の電極に印加される電気エネルギーと、を制御するように構成される。需要が減少すると、コントローラ40は、セル100への液体の供給を減少させる。例えば、コントローラ40は、セル100を通る流体流量を減少させてもよい。なお、液体は、同一の、または同様の温度および/または圧力でセル100に供給されてもよい。コントローラ40は、印加される電気エネルギーを低減させてもよい。例えば、コントローラ40は、第1電極111に印加される電圧を減少させてもよい。なお、コントローラ40は、同一の、または同様の電圧を第3電極113および/またはヒータに供給してもよい。なお、コントローラ40は、例えば、前述のとおり、総出力が減少しているにもかかわらず、プラズマの発生が選択された範囲内にあるように動作を制御してもよい。
【0084】
より多くの出力が必要であることを要求信号が示す場合、コントローラ40は、逆の方法で動作を制御してもよい。コントローラ40は、液体がセル100に供給される速度と、セル100の電極に印加される電気エネルギーの量と、を増加させてもよい。コントローラ40は、セル100を通る液体の流量がプラズマ発生閾値量(十分なプラズマの発生を生じさせるには流量が多すぎる量)を超過するのを回避するように、セル100の動作を制御するように構成されてもよい。なお、コントローラ40は、例えば、前述のとおり、総出力が増加しているにもかかわらず、プラズマの発生が選択された範囲内にあるように動作を制御してもよい。
【0085】
第4例において、コントローラ40は、システム50の動作を起動モードで制御するように構成される。例えば、セル100が最初にオンにされたとき、セルがより高い効率で動作できるようになるまでに若干の時間がかかる可能性がある。特に、セル100のハウジング120は、使用中のハウジングよりも冷えている可能性がある。コントローラ40は、起動動作条件が使用されるべきであると判定するように構成されてもよい。例えば、コントローラ40は、システム50が起動モードで動作しなければならないかどうかを判定するために、システム50の関連する構成要素(例えば、ハウジング120)の温度についての指標を取得してもよく、および/または、コントローラ40は、これまでの使用についての指標(例えば、システム50が直近で使用されていないこと)に基づいて、起動モードが使用されるべきであると判定してもよい。
【0086】
起動モードにおいて、コントローラ40は、セル100の動作を制御して、さらなる熱を提供するように構成される。コントローラ40は、第1電極111に印加される電圧を増加させて、さらなる抵抗加熱を提供してもよい。加えて、またはその代わりに、コントローラ40は、例えば、抵抗加熱を提供するために、ヒータに電圧を印加してもよい。例えば、コントローラ40は、起動モード時に、通常動作中の電圧よりも高い電圧がヒータに印加されるように、動作を制御してもよい(例えば、通常動作中のヒータに電圧が印加されなくてもよい)。例えば、コントローラ40は、ヒータの動作を制御して、起動中により多くの熱を提供するように構成されてもよい(例えば、より多くの熱エネルギーが使用されてもよい)。また、コントローラ40は、セル100/内部部分125の熱を提供するために、カートリッジヒータなどの追加のヒータの動作を制御してもよい。コントローラ40は、セル100に供給される液体がより高い温度および/または圧力となるように、ならびに/もしくは、セル100を通る流体の流量が起動モード時により低くなるように、セル100への液体の供給を制御してもよい。コントローラ40は、起動モード時に電極および/またはヒータに印加される電気エネルギーが高くなるように制御してもよい。
【0087】
コントローラ40は、起動モードを解除する時期を判定するために、セル100の少なくとも1つの動作パラメータを監視するように構成されてもよい。例えば、セル100に関連する温度についての取得された指標が閾値温度値未満のままの間、コントローラ40は、システム50の動作を起動モードにするように制御してもよい。この温度が閾値温度値を超過した時点で、コントローラ40は、通常モードの動作条件で動作させるようにシステム50の動作を制御してもよい。例えば、通常モード時において、液体の予熱は、それほど多く行われなくてもよい。コントローラ40は、十分なプラズマの発生が生じていると判定して(例えば、前述のとおりの方法で)、この判定に応じて、通常モードの動作に切り替えるように構成されてもよい。
【0088】
ここで、
図3を参照しながら、別の例示的なセル100が説明される。
図3のセル100は、前述のセルと密接に対応するものであるため、関連する構成要素の説明はここでは繰り返されない。
【0089】
図3は、セル100を示す。セル100は、第1電極111と、第2電極112と、第3電極113と、抵抗素子115と、を含む。セル100はまた、内部部分125を画定して、流体入口12と流体出口22とを有するハウジング120を含む。セル100はまた、第1端部キャップ122と、第2端部キャップ124と、圧縮デバイス126と、を含む。セル100は、プラズマセル(例えば、プラズマ発生燃料セル)を含んでもよい。
【0090】
内部部分125は、流体入口12を含むハウジング120の第1端部から、流体出口22を含むハウジング120の第2端部まで延在する。内部部分125は、円筒形でもよい。ハウジング120は、流体入口12と流体出口22とを画定することを除き、内部部分125を包設する。この例において、抵抗素子115はハウジング120の内部壁に隣接して位置しているが、他の例において、抵抗素子115は内部壁と一体化されてもよく、または壁から隔てられて、内部部分125の内側にあってもよい。また、第1端部キャップ122と第2端部キャップ124とは、抵抗素子115の一部を形成してもよく、例えば、第1端部キャップ122と第2端部キャップ124とはまた、アノードからカソードへの導電経路に対して抵抗の増加をもたらす。第2電極112は、ハウジング120の内部壁内に(例えば、内部壁と一体化されて)配置される。第1電極と第3電極113とは、少なくとも部分的に内部部分125内に配置される。第1電極111は、第1端部の外側から内部部分125に延在する。第3電極113は、第2端部の外側から内部部分125に延在する。内部部分125にあるこの2つの電極の間には、隙間が存在する。この3つの電極と抵抗素子115とは、同軸にあってもよい(例えば、この3つの電極と抵抗素子115とは、同心上にあってもよい)。
【0091】
第1端部キャップ122は、第1端部で内部部分125を包設する。第2端部キャップ124は、第2端部で内部部分125を包設する。端部キャップ122,124は、内部部分125に相当するハウジング120の一部を形成している。第1端部キャップ122は非導電性である。第2端部キャップ124は非導電性である。各端部キャップは、アノードからカソードへの導電経路に対する抵抗障壁の一部を効果的に形成し得る(例えば、端部キャップは、抵抗素子115の一部を形成してもよく、または抵抗素子115と組み合わせて機能してもよい)。各端部キャップ122,124は、流体が各端部キャップを通って流れることを可能にする1つ以上の開口部を含む。一方または両方の端部キャップは、端部キャップの中央付近に開口部を有してもよい。例えば、第1端部キャップ122の開口部は、第1電極111の近位に位置してもよい。開口部は、前記開口部を通ってアノードからカソードに導電経路が形成される可能性を阻止しながら、液体が内部部分125に流れることを促進するように配置されてもよい。第1端部キャップ122は、液体がそこを通って内部部分125に流入できる複数の異なる位置を促進するために、複数の開口部を有してもよい。圧縮デバイス126は、第1端部キャップ122に隣接するハウジング120の第1端部内に位置する。圧縮デバイス126は、バネなどの任意の好適な付勢手段を含んでもよい。
図3に図示のとおり、ハウジング120の各端部は、より厚みのある材料を有してもよい。ハウジング120の少なくとも一部は、電気接地に接続されてもよい。
図3に図示のとおり、ハウジング120の第1端部は、接地されている。端部キャップの一方または両方は、加熱素子(例えば、抵抗ヒータ)を含んでもよい。この加熱素子は、(例えば、起動中に)内部部分125内の液体に熱を提供するために使用され得る。例えば、電源30は、端部キャップ(例えば、第1端部キャップ122)でヒータに結合されてもよい。コントローラ40は、熱を提供するために、端部キャップのヒータへの電力の印加を制御するように構成されてもよい。
【0092】
第1電極111は、電極の長さに沿って延在する導体を含んでもよい。導体は、電極を提供するために、絶縁体の内部に設けられてもよい。絶縁シュラウドは、内部部分125内の電極の領域の少なくとも一部に設けられてもよい(例えば、絶縁シュラウドは、内部部分125に配置された第1電極111の端部に設けられてもよい)。例えば、電極は中心軸に沿って延在する導体を有してもよく、この場合、この導体は内部部分125に存在する導体の長さに沿って絶縁体により径方向に囲まれる(例えば、導体が全長に沿っていてもよい)。第1電極111はまた、内部部分125から離れた第1電極111の端部にキャリアを含んでもよい。キャリアは、第1端部キャップ122への取付けのためのレッジなどの適切な固定手段を含んでもよい。キャリアは、第1電極111を第1端部キャップ122に取付けて、内部部分125を密封する密封手段と取付手段とを含んでもよい。例えば、径方向に延在するフランジが密封面を提供してもよい。例えば、内部部分125を密封するために、ねじ山により端部キャップ122を電極に固定することが可能となり得る。同様の配置が第3電極113に提供されてもよく、例えば、第2端部キャップ124を含む第3電極113の配置でもよい。
【0093】
圧縮デバイス126は、ハウジング120の内部部分125に向かって第1端部キャップ122に圧力をかけるように構成される。圧縮デバイス126により、圧力下でハウジング120の内部部分125を保持することが容易になり得る。ハウジング120は、流体入口12を通って液体が内部部分125に流入して、流体出口22を通って蒸気/液体が流出できるように配置される。ハウジング120は、内部部分125が圧力下で内部に流体を含む状態で保持されることを可能にする構造支持体を提供するように配置される。例えば、ハウジング120の側壁は内部部分125の径方向の膨張に耐えるように配置されて、ハウジング120の端壁は内部部分125の長手方向の膨張に耐えるように配置される。セル100の動作は、
図1と
図2とを参照しながら前述されたものと同様であるため、ここでは再度説明されない。
【0094】
本明細書に記載の加熱システムは、より大規模な発生システムで使用されてもよい。ここで、このようなより大規模な発生システムの例は、
図4と
図5とを参照しながら説明される。
【0095】
図4は、熱および電力発生システム1000を示す。熱および電力発生システム1000は、電力管理システム200と、セル100と、熱管理システム300と、流体管理システム400と、電力発生システム500と、を含む。また、
図4には、主電源カップリング220が示される。セル100は、プラズマセル(例えば、プラズマ発生燃料セル)を含んでもよい。
【0096】
図4は、熱および電力発生システム1000の異なる構成システム間の機能的な相互関係を図示するブロック図を示す。しかしながら、この図は、特定の構造的な接続ではなく、機能的な接続を示すことを意図するものであることが理解されよう。異なる構成システムの構造的な配置は、(例えば、
図5を参照しながら後述のとおり)相互に連結されてもよいことが理解されよう。
【0097】
図4に図示のとおり、電力管理システム200は、セル100に結合される。セル100は、熱管理システム300に結合される。熱管理システム300は、電力発生システム500と流体管理システム400のそれぞれに結合される。流体管理システム400は、セル100に結合される。電力発生システム500は、電力管理システム200に結合される。この結合は、異なる構成システム間の機能的な相互関係を示すことが意図される。電力管理システム200はまた、(例えば、
図4に図示のとおり)主電源カップリング220に結合されてもよい。
【0098】
電力管理システム200は、セル100への電力の印加を制御するように構成される。電力管理システム200は、セル100の第1電極111に印加される電気エネルギー(例えば、電圧)を制御してもよい。電力管理システム200はまた、セル100の残りの電極および/またはヒータに印加される電気エネルギー(例えば、電圧)を制御してもよい。電力管理システム200はまた、圧力下および/または高温でセル100に液体を供給する任意のポンプ18および/またはヒータ16の動作を制御してもよい。したがって、電力管理システム200は、加熱流体を生成するために、セル100の動作を制御できる。
【0099】
セル100は、前述のとおり動作するように(例えば、加熱流体を生成するためにセルの内部部分125内部に電気エネルギーを印加するように)構成される。
【0100】
熱管理システム300は、セル100により生成された加熱流体を受けるように構成される。熱管理システム300は、この加熱流体を利用して、関連する熱的仕事を提供するように構成される。例えば、熱管理システム300は、例えば、建物を暖房するなどのために、この加熱流体を使用して熱を提供するように構成されてもよい。熱管理システム300は、セル100からの加熱流体から、別の構成要素および/または物質への熱伝達を提供する1つ以上の構成要素を含んでもよい。例えば、熱管理システム300は、1つ以上の熱交換器を含んでもよい。
【0101】
電力発生システム500は、セル100により生成された加熱流体を受けるように構成される。電力発生システム500は、この加熱流体を利用して、電力(例えば、電気エネルギー)を発生するように構成される。
図4は、セル100の出力が熱管理システム300に提供されて、熱管理システム300から電力発生システム500に提供されることを示す。しかしながら、本開示の文脈において、これらのシステムのうちの1つが含まれなくてもよく、または2つのシステムが同一の構成要素により提供されてもよいことが理解されよう。電力発生システム500は、加熱流体の動きに基づいて電気を発生させる1つ以上の発電機(例えば、電気を発生させるタービンを駆動するために加圧ガスを使用する)を含んでもよい。この配置はまた、(例えば、電力発生システム500の他の部分に熱を分配するための)いくつかの熱管理システムを含んでもよい。いくつかの例において、加熱流体は、熱および電力を発生させる目的のために使用され得る。次いで、熱管理システム300は、それに応じて加熱流体の分配を制御してもよい(例えば、電力発生システム500への加熱流体の分配を制御する)。例えば、前述の仕事取出システム20は、このような熱管理システム300および/または電力発生システム500を含んでもよい。
【0102】
電力発生システム500により発生した電力は、次いで電力管理システム200に供給されてもよい。例えば、電力発生システム500により発生したこの電力は、次に、セル100に電力を供給して、さらなる電力の発生をもたらすように、電力管理システム200により使用されてもよい。電力管理システム200はまた、電力を受けるために、および/または電力を主電源に伝送するために、主電源カップリング220に結合されてもよい。例えば、起動モードの間、電力管理システム200は、電力管理システム200の電力の全てを主電源から得てもよいが、起動後、主電源の電力の少なくとも一部を電力発生システム500から受けてもよい。起動後、他の箇所への分配のために、電力発生システム500により発生した電力の一部は、主電源カップリング220に提供されてもよい。
【0103】
流体管理システム400は、(例えば、液体供給システム10について前述のとおり)液体をセル100に提供するように構成される。流体管理システム400は、セル100から出力された流体を受けるように構成される。流体管理システム400は、セル100により加熱されて、それ以降に熱管理システムおよび/または電力発生システムにより使用された流体を処理するように構成されてもよい。セル100により生成された加熱流体は、高温および/または高圧であり得る。熱管理システムおよび/または電力発生システムは、この高温/高圧流体から使用可能な仕事を取出すように構成される。使用可能な仕事が取出された時点で、流体は、はるかに低い温度および圧力となり得る。例えば、流体は、高温および高圧の気体としてセル100を離れてもよく、仕事を取出すために全てが使用された時点で、再び(例えば、より低温で)液体になってもよい。流体管理システム400は、この使用済みの流体を処理するように構成される。使用済みの流体を処理することは、使用済みの流体を環境に戻すこと、および/または、例えば、セル100に提供される液体として再び使用できるように流体を処理すること(例えば、濾過すること)を含んでもよい。
【0104】
動作中、電力管理システム200は、(例えば、主電源カップリング220および/または電力発生システム500から)電力を受ける。電力管理システム200は、セル100に(例えば、第1電極111に)電気エネルギーを印加する。流体管理システム400は、セル100に液体を供給する。セル100に印加された電気エネルギーは、次いでセル100に提供された液体を加熱して、その結果としてセル100が加熱流体を出力する。この加熱流体は熱管理システム300および/または電力管理システム200により受け入れられて、この熱管理システム300および/または電力管理システム200により、加熱流体から(例えば、熱および/または電力を発生させるために)使用可能な仕事が取出される。この仕事が取出された時点で、電力発生システム500により発生したあらゆる電力が電力管理システム200に提供される。使用済み流体は流体管理システムに提供されて、流体管理システムにより、この使用済み流体が処理される。このプロセスは、熱および/または電力の発生をもたらすように、例えば、継続的に繰り返されてもよい。
【0105】
ここで、
図5を参照しながら、熱および電力発生システム1000のより具体的な例が説明される。
【0106】
図5は、熱および電力発生システム1000を示す。熱および電力発生システム1000は、セル100を含む。また、電源30と、ポンプ18と、排水管15とが含まれる。システム1000は、複数の熱交換器を含み、熱交換器は、
図5に図示のとおり、第1熱交換器301と、第2熱交換器302と、第3熱交換器303と、第4熱交換器304と、を含む。システム1000はさらに、第1駆動領域511と第2駆動領域512とを有する熱機関510と、発電機520と、を含む。セル100は、プラズマセル(例えば、プラズマ発生燃料セル)を含んでもよい。
【0107】
セル100は、2つの入力(液体および電気)を受けて、出力(加熱流体)を提供するように接続される。セル100への入力は、セル100の下部および右に示されて、出力は上部に示される。
【0108】
セル100の出力は、第1熱交換器301と熱機関510のそれぞれに結合される。出力用の流路は2つに分かれていてもよく、一方の流路は第1熱交換器301に結合されて、もう一方の流路は熱機関510に結合される。特に、セル100からの出力は、熱機関510の第1駆動領域511に結合される。熱機関510は、第1駆動領域511の機関510を駆動するための流体を受ける第1機関入口を有する。第1駆動領域511はまた、第1駆動領域511の機関510を駆動させた流体を出力する第1機関出口に結合される。第1機関出口もまた、第1熱交換器301に結合される。
【0109】
機関510はまた、第2機関入口と第2機関出口とを含む。第2機関入口は、第2駆動領域512の機関510を駆動するための流体を受けるためのものである。第2機関出口は、第2駆動領域512の機関510を駆動させた流体を出力するためのものである。第2機関入口もまた、第1熱交換器301に結合される。例えば、流体は、第1機関出口から第1熱交換器301を通って第2機関入口に流れ得る。機関510は、発電機に結合される。機関510の第1駆動領域511と第2駆動領域512のそれぞれは、発電機に結合されてもよい。第1駆動領域511と第2駆動領域512とは、異なる比率で機関510を駆動してもよい。どちらも発電機の駆動に寄与して、これにより電気を発生させ得る。
【0110】
第1熱交換器301は、第2熱交換器302に結合されてもよい。システム1000は、セル100からの加熱流体が第1熱交換器301を通って第2熱交換器302に流れるように、構成されてもよい。第2熱交換器302はまた、第3熱交換器303および/または第4熱交換器304に結合されてもよい。
【0111】
電源30は、セル100に結合される。電源30は、燃料供給に入力を提供する(例えば、セル100の電極に電気エネルギーを提供する)。電源30は、主電源から電力を受けるカップリングを含んでもよい(例えば、電源30が三相電力を受けてもよい)。電源30は、高電圧DC出力などのDC出力を提供する(例えば、AC-DC)コンバータを含んでもよい。次いで、例えば、第1電極111に印加されるように、高電圧DC出力がセル100に供給されてもよい。電源30はまた、発電機から発生した電気を受けるために、発電機に結合されてもよい。電源30は、発電機からACまたはDCを受けてもよい。電源30がACを受ける場合、(例えば、同一または異なるAC-DCコンバータを使用して)ACはDCに変換されてもよい。発電機により発生した電力の一部は、例えば、他の箇所で使用するために、主電源に提供されてもよい。
【0112】
第3熱交換器303および/またはポンプ18は、セル100への入力に結合されてもよい。セル100に供給される液体は、第3熱交換器303および/またはポンプ18を使用して加熱および/または加圧されてもよい。この加熱および/または加圧により、加熱流体の生成に使用される、セル100に入力される液体が提供され得る。セル100から出力された加熱流体は、最終的には排水管15に結合される。例えば、機関510の領域511,512の両方を通過した流体は、排水管15に提供されてもよい。同様に、熱交換器のいずれか(例えば、第2熱交換器302、第3熱交換器303、および/または第4熱交換器304)を通過した流体は、次いで排水管15に結合されてもよい。
【0113】
システム1000は、セル100により生成された加熱流体に複数の用途を提供する、例えば、加熱流体から複数の方法で仕事を取出すように配置される。システム1000は、機関510の第1駆動領域511を駆動するために、セル100から出力された高温で高圧の流体を提供するように構成される。発電機は、第1駆動領域511のこの駆動から電気を発生させるように構成される。第1熱交換器301は、機関510の第1駆動領域511を駆動させたこの流体を再加熱するように構成される。第1熱交換器301は、セル100からの加熱流体と、機関510の第1駆動領域511を駆動させた流体と、の間で熱交換するように配置される。システム1000は、機関510の第1駆動領域511を駆動させた再加熱された流体を使用して、機関510の第2駆動領域512を駆動するように構成される。機関510の第2駆動領域512は、第1駆動領域511と比較して、よりゆるやかな比率(例えば、より低いエネルギーが回転駆動に必要とされるように)を有するように構成される。第2駆動領域512を通過する流体は、第1駆動領域511よりも低い圧力でもよい。発電機は、機関510の第1駆動領域511および/または第2駆動領域512の駆動に応じて電気を発生させるように構成される。
【0114】
システム1000は、第1熱交換器301を通過した、および/または第2機関出口から出た加熱流体が、関連する場合に、さらなる加熱用途を提供するために配置される。例えば、システム1000は、この加熱流体から使用可能な熱仕事を取出すために、加熱流体を第2熱交換器302、第3熱交換器303、および/または第4熱交換器304のうちの1つ以上に送達するように配置されてもよい。これらの熱交換器302,303,304のいずれかは、そのような熱を使用する外部構成要素に結合されてもよい。システム1000は、セル100に送達される前にセルに熱を提供するために、加熱流体からの熱をセル100に供給される液体と交換するように構成してもよい。システム1000は、排水管15を使用して、残存するあらゆる流体を排出するように配置される。
【0115】
動作中、加熱流体を生成するために、液体がセル100に供給されて、電気エネルギーがセル100の電極に印加される。加熱流体は、セル100を離れて、第1熱交換器301と機関510の第1駆動領域511との両方を流れる。加熱流体は、第1駆動領域511を通って流れて、機関510と発電機とを駆動して、電力を発生させる。次いで、この流体は第1熱交換器301に流入して、第1熱交換器301において、セル100から第1熱交換器301に直接(例えば、機関510を経由せずに)移動してきた加熱流体により、流体が再加熱される。機関510を通って移動してきた流体は、次いで、再加熱された後に、第2機関駆動領域を通って流れる。この流体は、次いで、機関510と発電機とを駆動して、電気を発生させる。機関510の第2駆動領域512を通過した流体および/または機関510から離れて第1熱交換器301を通過した流体は、次いで、流体からより多くの使用可能な熱仕事を取出すために、さらに熱交換器302,303,304で使用される。次いで、この流体は、排水管15を使用して排出される。
【0116】
本明細書で説明される例は、限定するものと見なされることを意図するものではないことが、本開示の文脈において理解されよう。また、代替および/または追加の特徴が含まれてもよい。例えば、中央の第1電極111と、この第1電極111の径方向外側に位置する第2電極112とが同軸状に配置された、例えば、同心電極に対する言及がなされてきた。しかしながら、この配置は逆でもよい。あるいは、電極が同心円状に配置されている必要はない。例えば、2つの電極は、平板電極、例えば、2つの平行な平板、または平行なワイヤ、または球体などの他の平行な物体として配置されるような、代替的な方法で配置されてもよい。
【0117】
セル100の電極に対する言及が、本明細書においてなされてきた。第1電極111にはアノードが、第2電極112にはカソードが、および/または第3電極113には平衡電極が提供されてもよい。各電極が導電経路を提供してもよいこと、例えば、各電極が電極の長さに沿って延在する導体を含んでもよいことが、本開示の文脈において理解されよう。アノードは、内部部分125の外部から内部部分125への、内部部分125内の導体の遠位端に至る導電経路を提供する導体を含んでもよい。カソードは、内部部分125の中、または内部部分125に隣接したところから、内部部分125を離れる導電経路を提供する導体を含んでもよい。平衡電極は、内部部分125の外部から内部部分125への、または内部部分125内から内部部分125を離れる導電経路を提供する導体を含んでもよい。第1電極111は、第2電極112よりも第3電極113により近接して通過するように配置されてもよく、例えば、第1電極111上の点と第3電極113上の点との間の最短距離は、第1電極と第2電極112との最短距離よりも短くてもよい。例えば、第1電極と第3電極との間の最短距離は、第1電極111と第2電極112との最短距離よりはるかに短くてもよい。
【0118】
本明細書で説明された例は、1つのセルの使用に関するものである。しかしながら、複数のセルが設けられてもよいことが、本開示の文脈において理解されよう。例えば、異なるセルの動作は、加熱流体の出力を経時的に均一に提供するようにタイミングを合わせてもよい。各セルの動作タイミングは、経時的な加熱流体の総出力が比較的一定に維持されるようにずらされてもよい。例えば、各セルは経時的に変化する加熱流体の出力を有してもよく、複数のセルは組み合わされた全てのセルからの出力がいずれか1つのセル単体の出力の場合よりも均一になるように、タイミングを合わせたセルの動作を有してもよいことを理解されたい。コントローラ40は、加熱流体の均一な出力を提供するために、各セルへの液体の供給、および/または電極への電気エネルギーの印加を制御するように構成されてもよい。例えば、各セルに対して1つ以上のセンサを使用して、セルの加熱流体の出力などの動作パラメータが決定されてもよい。
【0119】
セル100への液体の供給は、経時的に連続的に起こり得るか、または個々の時間区分にのみ起こり得ることを理解されたい。コントローラ40は、セル100に液体が送達されるか否かを制御するように構成されてもよい。例えば、セル100は、流体が内部部分125に流れ込めるか否かを制御するように動作可能な流体入口弁を含んでもよく、および/または、ポンプ18の動作により、セル100に液体を送達するか否かが制御されてもよい。セル100内で流体が連続的に入れ替わってもよく、例えば、流体がセル100に絶えず提供されて、セル100から加熱流体が(例えば、流体出口22を通る気体として)連続的に離れていく。流体入力のための個々の時間区分が存在してもよく、(例えば、セル100を満たすために十分な)ある単位の液体がセル100に送達されて、次いで、加熱流体を提供するために電極に電気エネルギーが印加される間、例えば、全ての流体が流体出口22を通じて放出されるために十分に加熱された時点で、さらなる液体が提供されなくてもよい。次いで、別の単位の液体がセル100に供給されてもよい。この動作モードでは、共に動作する複数の異なるセルは、ある単位の液体が一方のセルに送達されている間に、別のセルがその別のセル内の流体に電気エネルギーを印加するようなタイミングで動作することを含んでもよいことが理解されよう。複数の異なるセル(例えば、2つより多く)は、例えば、一方のセルが加熱の終了間近であるときに、別のセルは加熱の途中であり、別のセルは加熱をちょうど開始したばかりなどとなるように、タイミングを全て互いにずらして使用されてもよいことが理解されよう。
【0120】
ハウジング120の内部表面は、電磁エネルギー吸収面であると説明されてきた。このことは、ハウジング120を提供するために使用される材料、例えば、鋼鉄の特性でもよく、および/または、(例えば、光子の放出からの)電磁エネルギーの吸収を促進するために内部表面にコーティングが提供されてもよい。電磁エネルギーの吸収は、(例えば、可視光スペクトルの)入射光子を受けて、前記光子が表面に入射することに応じて熱を発生させることを含んでもよいことが理解されよう。また、電子または他の粒子(例えば、プラズマ/プラズマ冷却プロセスから放出される荷電粒子)が、ハウジング120の内部表面に入射してもよいことが理解されよう。ハウジング120の内部表面はまた、そのような入射粒子に応じて熱を発生させるように構成されてもよい。例えば、内部表面を通って流れる電子に応じて、抵抗加熱が提供されてもよい。
【0121】
図示される例は単なる例示であり、本明細書で説明されて、特許請求の範囲に記載されるように一般化されて、取除かれて、または交換され得る特徴を含むことが、上記の説明から理解されよう。図面を全般的に参照すると、本明細書で説明されるシステムと装置との機能を示すために、概略的な機能ブロック図が使用されることが理解されよう。加えて、処理機能はまた、電子デバイスによりサポートされるデバイスにより提供されてもよい。しかしながら、機能はこのように分割される必要はなく、以下で説明されて、特許請求される以外のハードウェアの任意の特定の構造を含意すると見なされるべきではないことが理解されよう。図示される要素の1つ以上の機能は、さらに細分化されてもよく、および/または本開示の装置全体に分散されてもよい。いくつかの例において、図示される1つ以上の要素の機能は、単一の機能ユニットに統合されてもよい。
【0122】
本開示の文脈において当業者により理解されるように、本明細書で説明されるそれぞれの例は、様々な異なる方法で実装されてもよい。本開示の任意の態様の任意の特徴は、本開示の他の態様のいずれかと組み合わされてもよい。例えば、方法の態様は、装置の態様と組み合わされてもよく、装置の特定の要素の動作を参照しながら説明された特徴は、それらの特定の種類の装置を使用しない方法で提供されてもよい。加えて、それぞれの例のそれぞれの特徴は、ある他の特徴がその特徴の動作に不可欠であると明示的に言及されない限り、組み合わせて説明される特徴から分離可能であることが意図される。これらの分離可能な特徴のそれぞれは、当然のことながら、説明される例の他の特徴のいずれかと組み合わされてもよく、または本明細書で説明される他の例のいずれかの他の特徴もしくは特徴の組み合わせのいずれかと組み合わされてもよい。さらに、本発明を逸脱することなく、前述されていない等価物と変更形態とが使用されてもよい。
【0123】
本明細書で説明される方法の特定の特徴はハードウェアで実装されてもよく、装置の1つ以上の機能は方法工程で実装されてもよい。また、本明細書で説明される方法は、方法が説明される順序で実行される必要もなく、必ずしも方法が図示される順序でもないことが、本開示の文脈において理解されよう。したがって、製品または装置を参照しながら説明される本開示の態様は、方法として実装されることも意図されており、その逆も同様である。本明細書で説明される方法は、コンピュータプログラム、またはハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。コンピュータプログラムとしては、ソフトウェアと、ミドルウェアと、ファームウェアと、これらの任意の組み合わせと、が挙げられる。このようなプログラムは、信号またはネットワークメッセージとして提供されてもよく、コンピュータプログラムを非一過性形式で格納し得る有形コンピュータ可読媒体などのコンピュータ可読媒体に記録されてもよい。ハードウェアとしては、コンピュータと、携帯用デバイスと、プログラマブルプロセッサと、汎用プロセッサと、特定用途向け集積回路(ASIC)と、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)と、論理ゲートアレイと、が挙げられる。例えば、本明細書で説明されるいずれかのコントローラ40は、プロセッサを本明細書で説明される方法のいずれか1つに従って動作させるためにプログラムするように構成された、コンピュータプログラム製品により構成された汎用プロセッサなどの、任意の制御装置により提供されてもよい。コントローラ40の機能は、特定用途向け集積回路(ASIC)により、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)により、または論理ゲートの構成により、またはその他の制御装置により提供されてもよい。
【0124】
本開示の他の例と変形例とは、当業者が本開示の文脈を検討することにより明らかとなるであろう。
【国際調査報告】