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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】生物分解性の多成分ポリマー繊維
(51)【国際特許分類】
   D01F 1/10 20060101AFI20240208BHJP
   D01F 6/92 20060101ALI20240208BHJP
   D01F 6/90 20060101ALI20240208BHJP
   D01F 8/14 20060101ALI20240208BHJP
   D03D 15/292 20210101ALI20240208BHJP
   D03D 15/283 20210101ALI20240208BHJP
   D04H 1/4382 20120101ALI20240208BHJP
   D04H 1/4282 20120101ALI20240208BHJP
   D04H 1/541 20120101ALI20240208BHJP
【FI】
D01F1/10
D01F6/92 307A
D01F6/90 321B
D01F8/14
D03D15/292 ZBP
D03D15/283
D04H1/4382
D04H1/4282
D04H1/541
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023542896
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2022050774
(87)【国際公開番号】W WO2022152867
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/137,901
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/143,247
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523266877
【氏名又は名称】インドラマ ベンチャーズ パブリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリント ソーレン
(72)【発明者】
【氏名】デサイ プラシャント
(72)【発明者】
【氏名】ペデルセン ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】エルグネイ ファティ
(72)【発明者】
【氏名】チューシェン リー
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン ディーアン
(72)【発明者】
【氏名】カーター ニック
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】グートマン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】グラッサー ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ダーリンガー ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】ブレッヒ ベルント
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルハルト ペーター
【テーマコード(参考)】
4L035
4L041
4L047
4L048
【Fターム(参考)】
4L035AA05
4L035BB31
4L035EE20
4L035JJ01
4L041AA08
4L041BA02
4L041BA05
4L041BA21
4L041BC20
4L041BD11
4L041CA06
4L041CA15
4L041CB06
4L041DD21
4L041EE20
4L047AA14
4L047AA15
4L047AA17
4L047AA21
4L047AA27
4L047AA29
4L047AB10
4L047BA08
4L047BA21
4L047CA19
4L047CB10
4L047EA01
4L048AA20
4L048AA21
4L048AA24
4L048AA27
4L048AA28
4L048AA30
4L048AA34
4L048AA42
4L048AB01
4L048AB11
4L048AC00
4L048AC18
4L048CA00
(57)【要約】
本発明は、有利な物理的特性を有する生物分解性の多成分ポリマー繊維、特に二成分繊維、その製造方法、及びその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1種の成分A及び少なくとも1種の成分Bを含み、
(ii)前記成分Aが熱可塑性ポリマーAを含み、
(iii)前記成分Bが熱可塑性ポリマーBを含む、多成分ポリマー繊維であって、
(iv)前記成分Aは、前記多成分繊維の生物分解性を高める少なくとも1種の添加剤Aを更に有し、かつ前記成分Bは、前記多成分繊維の生物分解性を高める添加剤Bを有しないか、又は、
(v)前記成分Bは、前記多成分繊維の生物分解性を高める少なくとも1種の添加剤Bを更に有し、かつ前記成分Aは、前記多成分繊維の生物分解性を高める添加剤Aを有しないか、又は、
(vi)前記成分Aは、少なくとも1種の添加剤Aを更に有し、かつ前記成分Bは、少なくとも1種の添加剤Bを更に有し、これらは一緒になって前記多成分繊維の生物分解性を高めるが、但し、(i)前記熱可塑性ポリマーA及び前記熱可塑性ポリマーBが同一である場合、前記添加剤A及び前記添加剤Bは異なり、又は(ii)前記添加剤A及び前記添加剤Bが同一である場合、熱可塑性ポリマーA及び熱可塑性ポリマーBは異なることを特徴とする、多成分ポリマー繊維。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、以下の群:
(i)アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-(ジエン)-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-メタクリレートコポリマー、アクリロニトリル-メチルメタクリレートコポリマー、塩素化アクリロニトリル、ポリエチレン-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレンコポリマー、セルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、水和セルロース、カルボキシメチルセルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エチレン-アクリル酸コポリマー、エチレン-ブチルアクリレートコポリマー、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー、エチレン-エチルアクリレートコポリマー、エチレン-メタクリレートコポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリフルオロエチレン-プロピレン、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエンスチレンコポリマー、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレンコポリマー、メチルセルロース、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド6-3-T、ポリアミド6-テレフタル酸コポリマー、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミドMXD6、ポリアミドPDA-T、ポリアミド、ポリアリールエーテル、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアリールアミド、ポリアミノ-ビス-マレイミド、ポリアリレート、ポリブテン-1、ポリブチルアクリレート、ポリベンズイミダゾール、ポリ-ビス-マレイミド、ポリオキサジアゾベンズイミダゾール、ポリブチルテレフタレート、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリエステルカーボネート、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエチレンオキシド、ポリアリールエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリイソシアヌレート、ポリイミドスルホン、ポリメタクリルイミド、ポリメタクリレート、ポリ-4-メチルペンテン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリフェニルオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-イソプレンコポリマー、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、スチレン-無水マレイン酸-ブタジエンコポリマー、スチレンメチルメタクリレートコポリマー、スチレン-メチルスチレンコポリマー、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル-エチレンコポリマー、塩化ビニル-メタクリレートコポリマー、塩化ビニル-無水マレイン酸コポリマー、塩化ビニル-マレイミドコポリマー、塩化ビニル-メチルメタクリレートコポリマー、塩化ビニル-オクチルアクリレートコポリマー、塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル-塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル-塩化ビニリデン-アクリロニトリルコポリマー、及び/又は、
(ii)合成バイオポリマー、
から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項3】
前記合成バイオポリマーは、ポリオールと、脂肪族及び/又は芳香族のジカルボン酸又はそれらの誘導体(無水物、エステル)とから重縮合によって製造される1種以上の脂肪族、芳香脂肪族のポリエステル又はコポリエステルであってもよく、ここで、前記ポリオールは置換又は非置換であってもよく、かつ前記ポリオールは直鎖状ポリオール又は分岐鎖状ポリオールであってもよいことを特徴とする、請求項2に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項4】
(i)前記ポリオールは、2個~8個の炭素原子を含み、(ii)前記脂肪族ジカルボン酸は、2個~12個の炭素原子を含む脂肪族ジカルボン酸及び5個~10個の炭素原子を含む脂環式ジカルボン酸によって形成される群から選択される置換又は非置換の直鎖状又は分岐鎖状の非芳香族ジカルボン酸を含み、ここで、前記脂環式ジカルボン酸は、環内にヘテロ原子を含んでいてもよく、(iii)前記芳香族ジカルボン酸は、6個~12個の炭素原子を含む芳香族ジカルボン酸によって形成される群から選択される置換又は非置換の芳香族ジカルボン酸を含み、ここで、これらのカルボン酸は、芳香族環内に及び/又は置換基内にヘテロ原子を含んでいてもよく、(iv)前記置換された芳香族ジカルボン酸は、ハロゲン、C~C10アリール、及びC~Cアルコキシから選択される1個~4個の置換基を含むことを特徴とする、請求項3に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項5】
前記合成バイオポリマーは、少なくとも4個の炭素原子の繰返単位を有する脂肪族ポリエステル、例えばポリヒドロキシバレレート及びポリヒドロキシブチレート-ヒドロキシバレレートコポリマー等のポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、フランジカルボン酸、並びにサクシネートベースの脂肪族ポリマー(例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、及びポリエチレンサクシネート)によって形成される群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。具体的な例は、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンマロネート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンオキサレート、ポリプロピレンマロネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンマロネート、ポリブチレンサクシネート、並びにこれらの化合物のブレンド及びコポリマーから選択され得る。
【請求項6】
前記合成バイオポリマーは、乳酸(PLA)、ヒドロキシ脂肪酸(PHF)(ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)としても知られる)、特にヒドロキシブタン酸(PHB)の繰返単位を含む脂肪族ポリエステル、並びにサクシネートベースの脂肪族ポリマー、例えばポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、及びポリエチレンサクシネート)であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、-125℃~200℃の範囲内、特に-125℃~100℃の範囲内のガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、120℃~285℃の範囲内、特に150℃~270℃の範囲内、特に好ましくは175℃~270℃の範囲内の溶融温度を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、ポリ乳酸(PLA)及びそれらのコポリマー、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル(PHF)及びそれらのコポリマー、並びに前記ポリマーのブレンドによって形成される群から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項10】
少なくとも前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、溶融紡糸可能な合成バイオポリマーによって形成される群から選択され、ここで、バイオベースの出発材料からの重縮合物及び重合物が特に好ましいことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項11】
前記多成分ポリマー繊維は、前記成分Aがコアを形成し、かつ前記成分Bがシェルを形成し、かつ成分Aにおける前記熱可塑性ポリマーの融点は、成分Bにおける前記熱可塑性ポリマーの融点より少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃高いことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項12】
前記繊維は、(i)前記成分Aにおいて少なくとも1種の添加剤Aを有するか、又は(ii)前記成分Bにおいて少なくとも1種の添加剤Bを有するか、又は(iii)前記成分Aにおいて少なくとも1種の添加剤を有し、かつ前記成分Bにおいて少なくとも1種の添加剤Bを有するが、但し、前記添加剤A及び前記添加剤Bは異なっているか、又は少なくとも1種の添加剤Aが前記成分Aにおいて存在し、かつ少なくとも1種の添加剤Bが前記成分Bにおいて存在する限り、前記熱可塑性ポリマーA及び前記熱可塑性ポリマーBが異なる場合に、前記添加剤A及び前記添加剤Bは同一であってもよいことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項13】
前記添加剤A及び前記添加剤Bは、以下の群:
(i)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaO、
(ii)脂肪族ポリエステル、
(iii)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、
(iv)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、
(v)特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒、
(vi)金属化合物、特に遷移金属化合物、及びそれらの塩、
(vii)不飽和カルボン酸又はそれらの無水物/エステル/アミド、
(viii)合成ゴム、天然ゴム、
(ix)炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、
並びに上述の物質の混合物、
から選択されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項14】
前記添加剤Aは、前記成分Aの総重量に対して、好ましくは0.005重量%から20重量%の間、特に好ましくは0.01重量%から5重量%の間の前記成分Aの割合を有し、かつ前記添加剤Bは、前記成分Bの総重量に対して、好ましくは0.005重量%から20重量%の間、特に好ましくは0.01重量%から5重量%の間の前記成分Bの割合を有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項15】
前記繊維は、連続繊維、好ましくはステープルファイバーであるか、又は連続フィラメントであり、好ましくは二成分繊維であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項16】
前記繊維は、前記添加剤A及び/又は前記添加剤Bを含まない多成分繊維と比較して高められた生物分解性を有し、かつ前記生物分解性は、以下の群:
(i)ASTM D5338-15(2021)(プラスチック材料の好気的生分解を、好熱温度を取り入れた制御された堆肥化条件下で判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5338-15R21)ASTM International、ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン、2015年、www.astm.org)、
(ii)ASTM D6400-12(自治体又は産業施設で好気的に堆肥化されるように設計されたプラスチックの表示に関する標準規格)(DOI:10.1520/D6400-12)、
(iii)ASTM D5511(ASTM D5511-11 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5511-11)及びASTM D5511-18 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法;(DOI:10.1520/D5511-18))、
(iv)ASTM D6691(ASTM D6691-09 規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-09)及びASTM D6691-17、規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-17))、
(v)ASTM D5210-92(下水汚泥の存在下での嫌気的分解)(DOI:10.1520/D5210-92)、
(vi)PAS 9017:2020(プラスチック-屋外地上環境におけるポリオレフィンの生分解-規格)、ISBN 978 0 539 17478 6;2021-10-31、
(vii)ASTM D5988(ASTM D5988-12 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-12)、ASTM D5988-18 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-18)、ASTM D5988-03 堆肥化後のプラスチック材料又は残留プラスチック材料の土壌における好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-03))、
(viii)EN 13432:2000-12 包装-堆肥化及び生分解を通して回収可能な包装についての要件-包装の最終引き渡しのための試験スキーム及び評価基準;ドイツ語版 EN 13432:2000(DOI:10.31030/9010637)、
(ix)ISO 14855-1:2013-04(DOI:10.31030/1939267)及びISO 14855-2:2018-07(ICS 83.080.01)制御された堆肥化条件下でのプラスチック材料の好気的究極生分解性の判定(発生した二酸化炭素の分析による方法)、
(x)EN 14995:2007-03-プラスチック-堆肥化可能性の評価(DOI:10.31030/9730527)、又は、
(xi)ISO 17088:2021-04(堆肥化可能なプラスチックについての規格)(ICS 83.080.01)、
から選択される少なくとも1つの方法に従って判定されることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項17】
(i)成分Aが繊維のコアを形成し、かつ成分Bが繊維のシェルを形成し、
(ii)前記コアにおける前記成分Aが、熱可塑性ポリマーAを含み、
(iii)前記成分Bが、熱可塑性ポリマーBを含み、
(iv)前記コア内の前記成分Aにおける前記熱可塑性ポリマーの融点が、前記シェル内の前記成分Bにおける前記熱可塑性ポリマーの融点より少なくとも5℃高く、好ましくは前記融点が、少なくとも10℃高い、コア/シェル構造を有する二成分繊維であって、
(v)前記成分Aは、前記成分Bよりも高い生物分解性を有し、好ましくは、前記成分Aは、少なくとも1種の添加剤Aを有するか、又は、
(vi)前記成分Bは、前記成分Aよりも高い生物分解性を有し、好ましくは、前記成分Bは、少なくとも1種の添加剤Bを有することを特徴とする、二成分繊維。
【請求項18】
前記生物分解性は、以下の群:
(i)ASTM D5338-15(2021)(プラスチック材料の好気的生分解を、好熱温度を取り入れた制御された堆肥化条件下で判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5338-15R21)ASTM International、ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン、2015年、www.astm.org)、
(ii)ASTM D6400-12(自治体又は産業施設で好気的に堆肥化されるように設計されたプラスチックの表示に関する標準規格)(DOI:10.1520/D6400-12)、
(iii)ASTM D5511(ASTM D5511-11 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5511-11)及びASTM D5511-18 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法;(DOI:10.1520/D5511-18))、
(iv)ASTM D6691(ASTM D6691-09 規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-09)及びASTM D6691-17、規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-17))、
(v)ASTM D5210-92(下水汚泥の存在下での嫌気的分解)(DOI:10.1520/D5210-92)、
(vi)PAS 9017:2020(プラスチック-屋外地上環境におけるポリオレフィンの生分解-規格)、ISBN 978 0 539 17478 6;2021-10-31、
(vii)ASTM D5988(ASTM D5988-12 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-12)、ASTM D5988-18 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-18)、ASTM D5988-03 堆肥化後のプラスチック材料又は残留プラスチック材料の土壌における好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-03))、
(viii)EN 13432:2000-12 包装-堆肥化及び生分解を通して回収可能な包装についての要件-包装の最終引き渡しのための試験スキーム及び評価基準;ドイツ語版 EN 13432:2000(DOI:10.31030/9010637)、
(ix)ISO 14855-1:2013-04(DOI:10.31030/1939267)及びISO 14855-2:2018-07(ICS 83.080.01)制御された堆肥化条件下でのプラスチック材料の好気的究極生分解性の判定(発生した二酸化炭素の分析による方法)、
(x)EN 14995:2007-03-プラスチック-堆肥化可能性の評価(DOI:10.31030/9730527)、又は、
(xi)ISO 17088:2021-04(堆肥化可能なプラスチックについての規格)(ICS 83.080.01)、
から選択される少なくとも1つの方法に従って判定されることを特徴とする、請求項17に記載の二成分繊維。
【請求項19】
前記添加剤A及び/又は前記添加剤Bは、(i)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaO、(ii)脂肪族ポリエステル、(iii)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、(iv)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(v)特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒、(vi)炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物によって形成される群から選択されることを特徴とする、請求項17又は18に記載の二成分繊維。
【請求項20】
前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、少なくとも1種のポリエステルを含むが、但し、前記ポリエステルは、前記添加剤A及び/又は前記添加剤Bが脂肪族ポリエステルである場合に芳香脂肪族のポリエステル又はコポリエステルであることを特徴とする、請求項17、18、又は19に記載の二成分繊維。
【請求項21】
前記添加剤A及び/又は前記添加剤Bは、
A)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaOと、特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒との組合せ、
B)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類と、炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物との組合せ、
C)脂肪族ポリエステルと、糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、又は炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロースとの組合せ、
D)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、及びそれらの混合物、
によって形成される群から選択されることを特徴とする、請求項17~20のいずれか一項に記載の二成分繊維。
【請求項22】
テキスタイル布帛を製造するための、請求項1~16のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維、又は請求項17~21のいずれか一項に記載の二成分繊維の使用。
【請求項23】
請求項1~16のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維、又は請求項17~21のいずれか一項に記載の二成分繊維を含むテキスタイル布帛。
【請求項24】
前記テキスタイル布帛は、好ましくはステープルファイバーに基づく不織布、特にウェットレイド不織布又はドライレイド不織布であり、ここで、前記不織布は、好ましくは熱融着によってコンソリデートされていることを特徴とする、請求項23に記載のテキスタイル布帛。
【請求項25】
前記テキスタイル布帛、特に不織布は、10g/mから500g/mの間、好ましくは25g/m~450g/m、特に30g/m~300g/mの目付を有することを特徴とする、請求項23又は24に記載のテキスタイル布帛。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有利な物理的特性を有する生物分解性ポリマー繊維、その製造方法、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー繊維、すなわち合成ポリマーを基礎とする繊維は工業的に大規模に製造される。これに関して、溶融紡糸法を使用して基本合成ポリマーを加工する。このために、熱可塑性ポリマー材料を溶融し、液体状態で押出機によってスピニングビームに供給する。このスピニングビームから、溶融材料をいわゆる紡糸口金に供給する。紡糸口金は、通常、繊維の個々のキャピラリー(フィラメント)が押し出される複数の孔を備えた紡糸口金プレートを含む。溶融紡糸法に加えて、紡糸繊維の製造には湿式紡糸法又は溶剤紡糸法も使用される。ここでは、溶融物の代わりに、合成ポリマーの高粘性溶液を、細孔を有するダイを通して押し出す。同じポリマー溶融物流が同時に並行して多数の個々の紡糸口金に導入される場合、当業者はこれを多重紡糸プロセスと呼ぶ。
【0003】
このように製造されたポリマー繊維はテキスタイル用途及び/又は技術用途に使用される。これらの用途においては、例えば圧延機での延伸によって繊維の後加工を問題なく行うことができるように、ポリマー繊維が高い機械的強度を有することが有利である。また、ポリマー繊維は、特に不織布の形態の場合、低い熱収縮を有することも有利である。
【0004】
それぞれの最終用途のための、又は必要な中間処理工程、例えば延伸及び/又は捲縮のためのポリマー繊維の改質又は装備は、通常、作製されたポリマー繊維又は処理されるポリマー繊維の表面に適用される適切な柔軟剤又は仕上げ糊を適用することによって行われる。
【0005】
更なる改質の可能性は、例えばポリマーの主鎖及び/又は側鎖に難燃性コモノマーを組み込むことによる、ポリマー骨格自体の化学的改質である。
【0006】
さらに、添加剤、例えば帯電防止剤若しくは着色顔料を、溶融した熱可塑性ポリマーに導入しても、又は多重紡糸プロセスの間にポリマー繊維に導入してもよい。
【0007】
最近、一方では上記の要件を満たすのみならず良好な生物分解性を示し、他方では変更を殆ど又は全く必要としないため既存のプロセス及び装置をなおも使用することができる繊維系の開発が急増している。
【0008】
最近、一方では上記の要件を満たすのみならず、好ましくは少なくとも部分的に持続可能な原材料から製造することができ、他方では変更を殆ど又は全く必要としないため既存のプロセス及び装置をなおも使用することができる繊維系の開発が更に急増している。
【0009】
生物分解性の繊維においては、様々な要因により影響される分解プロセスの時系列的順序のため、製品の最大耐用年数と、予想される生物分解が起こる期間との間の関係性は、しばしば不十分であり、十分に制御することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、生物分解性を意図される最終用途に合わせることができ、また既存の繊維の後加工にも適合可能なポリマー繊維を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、分解に関して互いに異なる挙動を示す2つの成分を使用することにより、繊維の分解挙動を制御することを可能にする。
【0012】
上記の必要性は、本発明による多成分ポリマー繊維によって満たされ、ここでポリマー繊維は、
(i)少なくとも1種の成分A及び少なくとも1種の成分Bを含み、
(ii)成分Aが熱可塑性ポリマーAを含み、
(iii)成分Bが熱可塑性ポリマーBを含み、
(iv)成分Aは、多成分繊維の生物分解性を高める少なくとも1種の添加剤Aを更に有し、かつ成分Bは、多成分繊維の生物分解性を高める添加剤Bを有しないか、又は、
(v)成分Bは、多成分繊維の生物分解性を高める少なくとも1種の添加剤Bを更に有し、かつ成分Aは、多成分繊維の生物分解性を高める添加剤Aを有しないか、又は、
(vi)成分Aは、少なくとも1種の添加剤Aを更に有し、かつ成分Bは、少なくとも1種の添加剤Bを更に有し、これらは一緒になって多成分繊維の生物分解性を高めるが、但し、(i)熱可塑性ポリマーA及び熱可塑性ポリマーBが同一である場合、添加剤A及び添加剤Bは異なり、又は(ii)添加剤A及び添加剤Bが同一である場合、熱可塑性ポリマーA及び熱可塑性ポリマーBは異なることを特徴とする。
【0013】
本発明の文脈において、多成分繊維の生物分解性を高めることは、この多成分繊維が、添加剤A及び/又は添加剤Bを含まない多成分繊維と比較してより素早く分解されることを意味し、ここで、その判定は、(i)ASTM D5338-15(2021)(プラスチック材料の好気的生分解を、好熱温度を取り入れた制御された堆肥化条件下で判定するための標準試験法(Standard Test Method for Determining Aerobic Biodegradation of Plastic Materials Under Controlled Composting Conditions, Incorporating Thermophilic Temperatures)(DOI:10.1520/D5338-15R21)ASTM International、ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン、2015年、www.astm.org)、(ii)ASTM D6400-12(自治体又は産業施設で好気的に堆肥化されるように設計されたプラスチックの表示に関する標準規格(Standard Specification for Labeling of Plastics Designed to be Aerobically Composted in Municipal or Industrial Facilities))(DOI:10.1520/D6400-12)、(iii)ASTM D5511(ASTM D5511-11 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法(Standard Test Method for Determining Anaerobic Biodegradation of Plastic Materials Under High-Solids Anaerobic Digestion Conditions)(DOI:10.1520/D5511-11)及びASTM D5511-18 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法;(DOI:10.1520/D5511-18))、(iv)ASTM D6691(ASTM D6691-09 規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(Standard Test Method for Determining Aerobic Biodegradation of Plastic Materials in the Marine Environment by a Defined Microbial Consortium or Natural Sea Water Inoculum)(DOI:10.1520/D6691-09)及びASTM D6691-17、規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-17))、(v)ASTM D5210-92(下水汚泥の存在下での嫌気的分解(Anaerobic Degradation in the Presence of Sewage Sludge))(DOI:10.1520/D5210-92)、(vi)PAS 9017:2020(プラスチック-屋外地上環境におけるポリオレフィンの生分解-規格(Plastics - Biodegradation of polyolefins in an open-air terrestrial environment - Specification))、ISBN 978 0 539 17478 6;2021-10-31、(vii)ASTM D5988(ASTM D5988-12 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(Standard Test Method for Determining Aerobic Biodegradation of Plastic Materials in Soil)(DOI:10.1520/D5988-12)、ASTM D5988-18 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-18)、ASTM D5988-03 堆肥化後のプラスチック材料又は残留プラスチック材料の土壌における好気的生分解を判定するための標準試験法(Standard Test Method for Determining Aerobic Biodegradation in Soil of Plastic Materials or Residual Plastic Materials After Composting)(DOI:10.1520/D5988-03))、(viii)EN 13432:2000-12 包装-堆肥化及び生分解を通して回収可能な包装についての要件-包装の最終引き渡しのための試験スキーム及び評価基準(Packaging - Requirements for packaging recoverable through composting and biodegradation - Test scheme and evaluation criteria for the final acceptance of packaging);ドイツ語版 EN 13432:2000(DOI:10.31030/9010637)、(ix)ISO 14855-1:2013-04(DOI:10.31030/1939267)及びISO 14855-2:2018-07(ICS 83.080.01)制御された堆肥化条件下でのプラスチック材料の好気的究極生分解性の判定(発生した二酸化炭素の分析による方法)(Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic materials under controlled composting conditions (Method by analysis of evolved carbon dioxide))、(x)EN 14995:2007-03-プラスチック-堆肥化可能性の評価(Plastics - Evaluation of compostability)(DOI:10.31030/9730527)、又は(xi)ISO 17088:2021-04(堆肥化可能なプラスチックについての規格(Specifications for compostable plastics))(ICS 83.080.01)の群から選択される少なくとも1つの方法に従って実施される。
【0014】
(ステープルファイバー)紡糸プロセスを使用して加工する場合に、本発明による多成分ポリマー繊維を、通常トウとして堆積し、引き続き、通常の方法を使用して圧延機で延伸した後に、後処理する。さらに、トウを直接加工することもできるため、いわゆる缶内のトウの堆積を完全に又は部分的に省略することができる。
【0015】
(フィラメント)紡糸プロセスを使用して加工する場合に、本発明による多成分ポリマー繊維を、紡糸口金から出た直後に冷却し、延伸し、集束ベルト上で堆積させるか、又はボビンに巻き付けることができる。さらに、フィラメントを、特に0.5から3の間の延伸比で延伸して更に加工して、分子鎖の配向を高めることができる。さらに、フィラメントをテクスチャー化することが可能である。
【0016】
成分A及び成分Bについての異なる生物分解性の組合せは、これらの多成分ポリマー繊維から得られる製品の生物分解性を設計し、カスタマイズすることができることを意味する。
【0017】
本発明による多成分ポリマー繊維から、テキスタイル布帛(Textile fabrics)、例えば不織布を製造することができる。テキスタイル布帛、特に不織布を、熱融着を使用してコンソリデートさせる(consolidated)場合に、成分Aにおける熱可塑性ポリマーの融点が成分Bにおける熱可塑性ポリマーの融点より少なくとも5℃高いことが有利である。この実施形態において、多成分ポリマー繊維は、好ましくは、成分Aがコアを形成し、かつ成分Bがシェルを形成する二成分繊維である。特に好ましくは、成分Aにおける熱可塑性ポリマーの融点は、成分Bにおける熱可塑性ポリマーの融点より少なくとも10℃高い。
【0018】
熱融着の間に、繊維同士は接触点又は交差点で接合される。熱可塑性ポリマーBと添加剤Bとから形成された成分Bが、熱可塑性ポリマーAと添加剤Aとから形成された成分Aよりも高い生物分解性を有する場合、繊維の接触点又は交差点が最初に一緒に分解され、テキスタイル布帛、例えば不織布はより素早く崩壊し、その結果、全体的な分解性が高まる。
【0019】
さらに、非常に素早く生物分解可能な成分Aと、少なくとも1種の更なる成分Bとを含み、成分Bが成分Aよりも低い生物分解速度を有する多成分繊維を提供することが可能である。このように、繊維の段階的な生物分解を達成することができることから、例えば機械的故障の警告、生物分解が進行した繊維の比較的高い残留安定性といった技術的利点がもたらされる。
【0020】
コアがシェルと同心であってもよく、シェルに対して偏心であってもよいコア/シェル構造に加えて、多成分繊維における成分の更なる可能な配置は、サイドバイサイド構造、マトリックス-フィブリル構造、及びスライスオブケーキ(slice-of-cake)構造又はオレンジスライス(orange-slice)構造である。
【0021】
さらに、熱可塑性ポリマーA及び任意に添加剤Aから製造される非常に素早く生物分解可能なコア(成分A)と、熱可塑性ポリマーBと添加剤Bとから製造される同等に生物分解可能なシェル(成分B)とが組み合わされることで、成分Bが既に生物分解された場合にのみ成分Aが生物分解される多成分ポリマー繊維、特に二成分ポリマー繊維を提供することが可能である。これは、成分Bが十分な程度まで分解されるとすぐに始まる分解を促進することが意図される。
【0022】
したがって、更なる態様において、本発明は、
(i)成分Aが繊維のコアを形成し、かつ成分Bが繊維のシェルを形成し、
(ii)コアにおける成分Aが、熱可塑性ポリマーAを含み、
(iii)成分Bが、熱可塑性ポリマーBを含み、
(iv)コア内の成分Aにおける熱可塑性ポリマーの融点が、シェル内の成分Bにおける熱可塑性ポリマーの融点より少なくとも5℃高く、好ましくは融点が、少なくとも10℃高い、コア/シェル構造を有する二成分繊維であって、
(v)成分Aは、成分Bよりも高い生物分解性を有し、好ましくは、成分Aは、少なくとも1種の添加剤Aを有するか、又は、
(vi)成分Bは、成分Aよりも高い生物分解性を有し、好ましくは、成分Bは、少なくとも1種の添加剤Bを有することを特徴とする、二成分繊維を提供する。
【0023】
より高い生物分解性は、
(i)ASTM D5338-15(2021)(プラスチック材料の好気的生分解を、好熱温度を取り入れた制御された堆肥化条件下で判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5338-15R21)ASTM International、ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン、2015年、www.astm.org)、
(ii)ASTM D6400-12(自治体又は産業施設で好気的に堆肥化されるように設計されたプラスチックの表示に関する標準規格)(DOI:10.1520/D6400-12)、
(iii)ASTM D5511(ASTM D5511-11 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5511-11)及びASTM D5511-18 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法;(DOI:10.1520/D5511-18))、
(iv)ASTM D6691(ASTM D6691-09 規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-09)及びASTM D6691-17、規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-17))、
(v)ASTM D5210-92(下水汚泥の存在下での嫌気的分解)(DOI:10.1520/D5210-92)、
(vi)PAS 9017:2020(プラスチック-屋外地上環境におけるポリオレフィンの生分解-規格)、ISBN 978 0 539 17478 6;2021-10-31、
(vii)ASTM D5988(ASTM D5988-12 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-12)、ASTM D5988-18 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-18)、ASTM D5988-03 堆肥化後のプラスチック材料又は残留プラスチック材料の土壌における好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-03))、
(viii)EN 13432:2000-12 包装-堆肥化及び生分解を通して回収可能な包装についての要件-包装の最終引き渡しのための試験スキーム及び評価基準;ドイツ語版 EN 13432:2000(DOI:10.31030/9010637)、
(ix)ISO 14855-1:2013-04(DOI:10.31030/1939267)及びISO 14855-2:2018-07(ICS 83.080.01)制御された堆肥化条件下でのプラスチック材料の好気的究極生分解性の判定(発生した二酸化炭素の分析による方法)、
(x)EN 14995:2007-03-プラスチック-堆肥化可能性の評価(DOI:10.31030/9730527)、又は、
(xi)ISO 17088:2021-04(堆肥化可能なプラスチックについての規格)(ICS 83.080.01)、
によって形成される群から選択される少なくとも1つの方法に従って判定される。
【0024】
したがって、本発明による二成分繊維をあらゆる意図された目的及びあらゆる環境に合わせることができる。
【0025】
成分Aは成分Bよりも高い生物分解性を有するため、最初に、生物分解性から保護するシェル成分Bが生物分解され、これが分解された後に成分Aが分解される。こうして、通常は操作することができないほど高い生物分解性を有する材料を成分Aとして使用することができる。それというのも、それらの高い生物分解性は、これらが不安定又は不適当であると見なされることを意味するからである。保護シェルは遅延作用を有する場合もある、すなわち、シェルが最初は少なくとも生物分解性を減速させ、特定の使用時間又は使用期間の後に素早い生物分解が起こる。
【0026】
したがって、例えば、成分AがASTM D5338-15又はASTM D6400又はASTM D5988による高い生物分解性を有するが、最初はシェルによって保護されている本発明による1種の二成分繊維を有するテキスタイル布帛を農業において使用することができる。この種類のテキスタイル布帛は、意図された使用後に制御された堆肥化によって処分することができる。
【0027】
本発明の更なる利点は、一方で、例えば農業において意図通りに使用することができる本発明による二成分繊維を有するテキスタイル布帛が提供され得るが、これは処分が不適切な場合には河川を介して海洋に至る場合がある。このため、ASTM D6691による高い生物分解性を有する成分Aを使用することが有利である。通常、不適切な処分により保護シェルが破損又は損傷されるため、例えば海洋環境においては制御された生物分解性が保証される。
【0028】
成分Bは成分Aよりも高い生物分解性を有するため、最初にシェル成分Bが分解され、本発明による二成分繊維を有するテキスタイル布帛のより素早い崩壊がもたらされる。このように、例えば、それらの意図された使用後に、衛生用品を家庭用廃棄物又は下水処理場において制御された方式で堆肥化することができる。
【0029】
このように、段階的な生物分解を達成することができることから、例えば機械的故障の合図、生物分解が進行した場合の繊維の比較的高い残留安定性といった技術的利点がもたらされる。
【0030】
本発明による二成分繊維は、有限長繊維、例えばいわゆるステープルファイバーであっても、又は連続繊維(フィラメント)であってもよい。上述のステープルファイバーの長さには臨界的な制限は存在しないが、概して、これらは2mm~200mm、好ましくは3mm~120mm、特に好ましくは4mm~60mmである。
【0031】
本発明による二成分繊維、好ましくはステープルファイバーの個々の線密度は、好ましくは0.5dtexから30dtexの間、特に0.7dtex~13dtexである。一部の用途には、0.5dtexから3dtexの間の線密度及び10mm未満、特に8mm未満、特に好ましくは6mm未満、特に好ましくは5mm未満の繊維長が特に適している。
【0032】
繊維の総断面積に対するコアの断面積の割合は20%から90%の間であり、繊維の総断面積に対するシェルの断面積の割合は80%から10%の間である。
【0033】
成分A及び成分Bの断面積の比も繊維の生物分解性挙動の微調整に寄与し得る。
【0034】
特に好ましい二成分ポリマー繊維は、添加剤A及び/又は添加剤Bが、(i)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaO、(ii)脂肪族ポリエステル、(iii)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(iv)特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒、(v)炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物の群から選択されるものである。
【0035】
特に好ましい二成分ポリマー繊維は、熱可塑性ポリマーA及び/又は熱可塑性ポリマーBが少なくとも1種のポリエステルを含み、かつ添加剤A及び/又は添加剤Bが(i)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaO、(ii)脂肪族ポリエステル、(iii)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(iv)特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒、(v)炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物の群から選択されるものである。上述の脂肪族ポリエステルは、それらの化学的性質の点で、熱可塑性ポリマーA及び熱可塑性ポリマーBのポリエステルとは区別される、すなわち、熱可塑性ポリマーA及び熱可塑性ポリマーBのポリエステルは、ポリオール及び脂肪族及び/又は芳香族ジカルボン酸又はそれらの誘導体(無水物、エステル)から重縮合によって製造された芳香脂肪族のポリエステル又はコポリエステルである。
【0036】
特に好ましい添加剤A及び/又は添加剤Bは、少なくとも2種の物質を含み、ここで、好ましい組合せは、
A)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaOと、特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒との組合せ、
B)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類と、炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物との組合せ、
C)脂肪族ポリエステルと、任意に、糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、又は炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物との組合せ、
である。
【0037】
熱可塑性ポリマーAとしての部分芳香族「芳香脂肪族」ポリエステル又はコポリエステルに最も好ましい添加剤Aは、少なくとも、
塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaOと、好ましくは特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒との組合せ、並びに、
脂肪族ポリエステル、特に側鎖炭素原子を有しない脂肪族ポリエステルと、任意に、(i)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(ii)炭水化物、特にデンプン及び/又は(iii)セルロース、及びそれらの混合物との組合せ、
を含有している。
【0038】
上述の特に好ましい二成分ポリマー繊維のうち、熱可塑性ポリマーAがポリエステルであり、かつ熱可塑性ポリマーBがポリマーAにおけるポリエステルとは異なるポリエステルであり、好ましくはコポリエステルであるものが好ましく、添加剤A及び添加剤Bは、それぞれ独立して、
塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaOと、好ましくは特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒との組合せ、並びに、
脂肪族ポリエステル、特に側鎖炭素原子を有しない脂肪族ポリエステルと、任意に、(i)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(ii)炭水化物、特にデンプン及び/又は(iii)セルロース、及びそれらの混合物との組合せ、
の組合せから選択される。
【0039】
特に好ましい二成分ポリマー繊維は、熱可塑性ポリマーBがポリオレフィン、特にポリプロピレンポリマーであり、これが添加剤Bとして、少なくとも(i)金属化合物、特に遷移金属化合物、及びそれらの塩、好ましくは、少なくとも2種の化学的に異なる遷移金属化合物、並びに(ii)不飽和カルボン酸又はそれらの無水物/エステル/アミドと、好ましくは合成ゴム及び/又は天然ゴムとの組合せを含み、かつ任意に(iii)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(iv)炭水化物、特にデンプン及び/又は(v)セルロース、及びそれらの混合物を更に含むものである。さらに、フェノール系酸化防止剤の安定剤及びCaOが存在し得る。
【0040】
成分Aにおける添加剤A及び成分Bにおける添加剤Bの量によって、生物分解性を微調整することができる。添加剤の量は、通常、成分A又は成分Bの総量に対して、0.005重量%から20重量%の間、特に好ましくは0.01重量%から5重量%の間である。
【0041】
上記の添加剤の中でも、特に、(i)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、(ii)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、並びに(iii)炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物、並びに上述の組合せA)、B)、又はC)が適している。それというのも、ASTM D6691による、又はASTM D5338-15、ASTM D6400、若しくはASTM D5988によるそれらの分解性を具体的に調整することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【発明を実施するための形態】
【0043】
熱可塑性ポリマー
本発明により使用されるポリマーは熱可塑性ポリマーである。
【0044】
本発明において使用される「熱可塑性ポリマー」という用語は、特定の温度範囲、好ましくは25℃~350℃の範囲において変形することができる合成材料(熱可塑性プラスチック)を意味する。この手順は可逆的である、すなわち、熱可塑性ポリマーは、いわゆる熱分解を引き起こす過熱によって材料が過度に損傷されない限り、再三の冷却及び加熱によって又は機械的負荷下での材料の成形によって、何度でも粘性状態にすることができる。これが、熱可塑性ポリマーと、熱硬化性樹脂及びエラストマーとの間の違いである。
【0045】
本発明により使用される熱可塑性ポリマーは、好ましくは、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-(ジエン)-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-メタクリレートコポリマー、アクリロニトリル-メチルメタクリレートコポリマー、塩素化アクリロニトリル、ポリエチレン-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレンコポリマー、セルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、水和セルロース、カルボキシメチルセルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エチレン-アクリル酸コポリマー、エチレン-ブチルアクリレートコポリマー、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー、エチレン-エチルアクリレートコポリマー、エチレン-メタクリレートコポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリフルオロエチレン-プロピレン、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエンスチレンコポリマー、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレンコポリマー、メチルセルロース、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド6-3-T、ポリアミド6-テレフタル酸コポリマー、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミドMXD6、ポリアミドPDA-T、ポリアミド、ポリアリールエーテル、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアリールアミド、ポリアミノ-ビス-マレイミド、ポリアリレート、ポリブテン-1、ポリブチルアクリレート、ポリベンズイミダゾール、ポリ-ビス-マレイミド、ポリオキサジアゾベンズイミダゾール、ポリブチルテレフタレート、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリエステルカーボネート、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエチレンオキシド、ポリアリールエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリイソシアヌレート、ポリイミドスルホン、ポリメタクリルイミド、ポリメタクリレート、ポリ-4-メチルペンテン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリフェニルオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-イソプレンコポリマー、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、スチレン-無水マレイン酸-ブタジエンコポリマー、スチレンメチルメタクリレートコポリマー、スチレン-メチルスチレンコポリマー、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル-エチレンコポリマー、塩化ビニル-メタクリレートコポリマー、塩化ビニル-無水マレイン酸コポリマー、塩化ビニル-マレイミドコポリマー、塩化ビニル-メチルメタクリレートコポリマー、塩化ビニル-オクチルアクリレートコポリマー、塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル-塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル-塩化ビニリデン-アクリロニトリルコポリマーによって形成される群から選択されるポリマーである。
【0046】
熱可塑性ポリマーの中でも、溶融紡糸可能な合成バイオポリマーが好ましく、特に好ましくはバイオベースの出発材料から製造される重縮合物及び重合物である。
【0047】
本発明において使用される「合成バイオポリマー」という用語は、主に生物由来の原材料(持続可能な原材料)からなる物質を指す。これにより、合成バイオポリマーは、原料が再生可能(例えば、バイオPE/グリーンPE)でない限り、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、及びポリ塩化ビニル(PVC)等の従来の鉱油ベースの物質又はプラスチックとは区別される。
【0048】
好ましい実施形態において、本発明による多成分繊維は、生物分解性の合成バイオポリマーから製造され、ここで、「生物分解性」という用語は、例えば、(i)ASTM D5338-15(2021)(プラスチック材料の好気的生分解を、好熱温度を取り入れた制御された堆肥化条件下で判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5338-15R21)ASTM International、ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン、2015年、www.astm.org)、(ii)ASTM D6400-12(自治体又は産業施設で好気的に堆肥化されるように設計されたプラスチックの表示に関する標準規格)(DOI:10.1520/D6400-12)、(iii)ASTM D5511(ASTM D5511-11 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5511-11)及びASTM D5511-18 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法;(DOI:10.1520/D5511-18))、(iv)ASTM D6691(ASTM D6691-09 規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-09)及びASTM D6691-17、規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-17))、(v)ASTM D5210-92(下水汚泥の存在下での嫌気的分解)(DOI:10.1520/D5210-92)、(vi)PAS 9017:2020(プラスチック-屋外地上環境におけるポリオレフィンの生分解-規格)、ISBN 978 0 539 17478 6;2021-10-31、(vii)ASTM D5988(ASTM D5988-12 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-12)、ASTM D5988-18 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-18)、ASTM D5988-03 堆肥化後のプラスチック材料又は残留プラスチック材料の土壌における好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-03))、(viii)EN 13432:2000-12 包装-堆肥化及び生分解を通して回収可能な包装についての要件-包装の最終引き渡しのための試験スキーム及び評価基準;ドイツ語版 EN 13432:2000(DOI:10.31030/9010637)、(ix)ISO 14855-1:2013-04(DOI:10.31030/1939267)及びISO 14855-2:2018-07(ICS 83.080.01)制御された堆肥化条件下でのプラスチック材料の好気的究極生分解性の判定(発生した二酸化炭素の分析による方法)、(x)EN 14995:2007-03-プラスチック-堆肥化可能性の評価(DOI:10.31030/9730527)、又は(xi)ISO 17088:2021-04(堆肥化可能なプラスチックについての規格)(ICS 83.080.01)によって形成される群から選択される少なくとも1つの方法に従って特定され、試験され、及び/又は判定され得る。
【0049】
本発明の文脈における好ましい合成バイオポリマーは、ポリオールと、脂肪族及び/又は芳香族のジカルボン酸又はそれらの誘導体(無水物、エステル)とから重縮合によって製造される脂肪族、芳香脂肪族のポリエステル又はコポリエステルであり、ここで、ポリオールは置換又は非置換であってもよく、ポリオールは直鎖状ポリオール又は分岐鎖状ポリオールであってもよい。
【0050】
好ましいポリオールは、2個~8個の炭素原子を含むポリオール、2個~8個の炭素原子を含むポリアルキレンエーテルグリコール、及び4個~12個の炭素原子を含む脂環式ジオールである。使用することができるポリオールの非限定的な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコールが挙げられる。好ましいポリオールとしては、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、イソソルビトール、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
【0051】
好ましい脂肪族ジカルボン酸としては、2個~12個の炭素原子を含む脂肪族ジカルボン酸及び5個~10個の炭素原子を含む脂環式ジカルボン酸によって形成される群から選択される置換又は非置換の直鎖状又は分岐鎖状の非芳香族ジカルボン酸が挙げられ、ここで、脂環式ジカルボン酸は、環内にヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0052】
置換された非芳香族ジカルボン酸は、典型的には、ハロゲン、C~C10アリール、及びC~Cアルコキシから選択される1個~4個の置換基を含む。脂肪族及び脂環式ジカルボン酸の非限定的な例としては、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、3-シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸が挙げられる。
【0053】
好ましい芳香族ジカルボン酸としては、6個~12個の炭素原子を含む芳香族ジカルボン酸によって形成される群から選択される置換又は非置換の芳香族ジカルボン酸が挙げられ、ここで、これらのカルボン酸は、芳香族環内に及び/又は置換基内にヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0054】
置換された芳香族ジカルボン酸は、典型的には、ハロゲン、C~C10アリール、及びC~Cアルコキシから選択される1個~4個の置換基を含み得る。芳香族ジカルボン酸の非限定的な例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、及びフランジカルボン酸が挙げられる。
【0055】
上述の脂肪族ジカルボン酸はまた、上述の芳香族ジカルボン酸と一緒になってコポリマー又はターポリマーの形態であってもよく、非限定的な例は、ポリブチレン-アジペート-テレフタレート及びバイオベースのPTAである。
【0056】
本発明の文脈における特に好ましい合成バイオポリマーは、少なくとも4個の炭素原子の繰返単位を有する脂肪族ポリエステル、例えばポリヒドロキシバレレート及びポリヒドロキシブチレート-ヒドロキシバレレートコポリマー等のポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、フランジカルボン酸、並びにサクシネートベースの脂肪族ポリマー(例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、及びポリエチレンサクシネート)である。具体的な例は、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンマロネート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンオキサレート、ポリプロピレンマロネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンマロネート、ポリブチレンサクシネート、並びにこれらの化合物のブレンド及びコポリマーから選択することができる。
【0057】
特に、好ましい合成バイオポリマーは、乳酸(PLA)、ヒドロキシ脂肪酸(PHF)(ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とも指定される)、特にヒドロキシブタン酸(PHB)の繰返単位を含む脂肪族ポリエステル、並びにサクシネートベースの脂肪族ポリマー、例えばポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、及びポリエチレンサクシネートである。
【0058】
「脂肪族ポリエステル」は、典型的に少なくともおよそ50モル%、好ましくは少なくともおよそ60モル%、特に好ましくは少なくともおよそ70モル%、特に好ましくは少なくとも95モル%の脂肪族モノマーを有するポリエステルを意味すると理解されるべきである。
【0059】
さらに、本発明の文脈においては、-125℃を超える、有利には-30℃を超える、好ましくは30℃を超える、特に好ましくは50℃を超える、特に70℃を超えるガラス転移温度を有する熱可塑性ポリマーが極めて有利である。本発明のより特に好ましい実施形態の文脈においては、ポリマーのガラス転移温度は、-125℃~200℃の範囲内、特に-125℃~100℃の範囲内である。
【0060】
熱可塑性合成バイオポリマーの中でも、ガラス転移温度は、好ましくは20℃を超え、有利には25℃を超え、好ましくは30℃を超え、特に好ましくは35℃を超え、特に40℃を超える。本発明のより特に好ましい実施形態の文脈においては、ポリマーのガラス転移温度は、35℃~55℃の範囲内、特に40℃~50℃の範囲内である。
【0061】
特に好ましいポリエステルは、少なくとも70℃のガラス転移温度を有するPET、40℃~70℃の範囲内のガラス転移温度を有するPLA、並びに-40℃~-62℃の範囲内のガラス転移温度を有するPHA及びPHB、並びに-45℃~45℃の範囲内のガラス転移温度を有するPBS及びPBSA等のPBSコポリマー、並びに-75℃~45℃の範囲内のガラス転移温度を有するポリカプロラクトンである。
【0062】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは、通常、ジクロロ酢酸中の溶液について25℃で測定された0.4(dl/g)~1.4(dl/g)の固有粘度(IV)に相当する分子量を有する。
【0063】
特に好ましいポリエステルは、好ましくは狭い分布を有するポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって又は末端基滴定によって求められた少なくとも20000g/molの数平均分子量(Mn)を有するPET、PEN、PLA、PBS、PEIT等のポリエステルである。更に良好には、これらのポリマーの多分散性は少なくとも1.7である。
【0064】
特に関心が持たれるポリエステルは、250℃から260℃の間の融点を有するPET等のポリエステルである。
【0065】
特に関心が持たれるポリエステルは、(80%:43J/g;100%結晶/理論値):115J/gの溶融エンタルピーを有するPET等のポリエステルである。
【0066】
特に関心が持たれるポリエステルは、少なくとも125℃の結晶化温度及び少なくとも31J/gの結晶化エンタルピー(125℃)を有するPET等のポリエステルである。
【0067】
特に関心が持たれるポリエステルは、例えばTrevira(商標)T298等のTrevira GmbHから市販されているポリエステルである。
【0068】
特に好ましいポリアミドは、30℃~80℃の範囲内、特に35℃~65℃の範囲内、特に好ましくは50℃~60℃の範囲内のガラス転移温度を有し、ここで、これらの値は、特にPA6.6及びPA6に向けられる。
【0069】
特に関心が持たれるポリアミドは、好ましくは狭い分布を有するポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって又は末端基滴定によって求められた少なくとも10000g/molの数平均分子量(Mn)を有するPA6.6及びPA6等のポリアミドである。
【0070】
特に関心が持たれるポリアミドは、170℃から280℃の間、より好ましくは200℃から260℃の間の融点を有するPA6.6及びPA6等のポリアミドである。特に関心が持たれるポリアミドは、190℃の結晶溶融エンタルピー(100%結晶)を有するPA6.6及びPA6等のポリアミドである。
【0071】
特に関心が持たれるポリアミドは、204℃の軟化温度を有するPA6.6及びPA6等のポリアミドである。
【0072】
ナイロン、パーロン、又はグリロン等の市販のポリアミドに特に関心が持たれる。
【0073】
特に関心が持たれるポリオレフィンは、ポリエチレン(PE)ホモポリマー又はポリプロピレン(PP)ホモポリマー、及び少なくとも50mol%のエチレン繰返単位及び/又はプロピレン繰返単位を含むコポリマー又はターポリマー等のポリオレフィンである。
【0074】
特に関心が持たれるポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン-1(PB-1)、エチレン-オクテンコポリマー、ステレオブロックPP、オレフィンブロックコポリマー、プロピレン-ブタンコポリマーである。
【0075】
特に好ましいポリオレフィンは、-100℃~-35℃の範囲内のガラス転移温度を有するPE及び-10℃~-5℃の範囲内のガラス転移温度を有するPPである。
【0076】
特に関心が持たれるポリエチレンは、120℃から135℃の間の融点を有するポリエチレン、及び158℃から170℃の間の融点を有するポリプロピレンである。
【0077】
特に関心が持たれるポリエチレンは、290J/gの結晶溶融エンタルピー(100%結晶)を有するポリエチレン、及び190J/gの結晶溶融エンタルピーを有するポリプロピレンである。
【0078】
LDPE(PE Aspun 6834、Dow)、HDPE(SKGCのMK 910)、BraskemのHSP165G等のPP(Braskem)等の市販のポリオレフィンに特に関心が持たれる。
【0079】
更なる適切なポリマーは、50℃を超える、有利には少なくとも75℃、好ましくは150℃を超える溶融温度を有するポリマーである。特に好ましくは、溶融温度は120℃~285℃の範囲内、特に150℃~270℃の範囲内、特に好ましくは175℃~270℃の範囲内である。
【0080】
これに関して、ポリマーのガラス転移温度及び溶融温度は、好ましくは、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。
【0081】
本発明による特に好ましい合成バイオポリマーは、乳酸、ヒドロキシ酪酸、コハク酸、グリコール酸、及び/又はフランジカルボン酸、好ましくは乳酸及び/又はグリコール酸、特に乳酸の繰返単位を含む、いわゆるバイオポリマーに基づく熱可塑性重縮合物である。これに関して、ポリ乳酸が特に好ましい。
【0082】
本発明において、ポリエステルアミド、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリ乳酸に基づくターポリマー、ポリブチレンサクシネート、PEF等のポリアルキレンフラノエート、ポリグリコール酸、ポリアルキレンカーボネート(ポリエチレンカーボネート等)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、又はポリヒドロキシブチレート-ヒドロキシバレレートコポリマー(PHBV)等のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)等のポリエステル等の多岐にわたる高融点合成バイオポリマー(110℃から270℃の間、好ましくは140℃から270℃の間、より好ましくは180℃から270℃の間の融点)を使用することができる。
【0083】
「ポリ乳酸」(PLA)という用語は、本明細書においては乳酸単位から構成されるポリマーを意味すると理解されるべきである。このようなポリ乳酸は、通常、乳酸の縮合によって製造されるが、適切な条件下でのラクチドの開環重合によっても得られる。
【0084】
本発明による特に好適なポリ乳酸としては、ポリ(グリコリド-co-L-ラクチド)、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(L-ラクチド-co-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)及びポリ(ジオキサノン)が挙げられる。一例として、このタイプのポリマーは、Boehining Ingelheim Pharma KG(ドイツ連邦共和国)からResomer(商標)GL 903、Resomer(商標)L 206 S、Resomer(商標)L 207 S、Resomer(商標)L 209 S、Resomer(商標)L 210、Resomer(商標)L 210 S、Resomer(商標)LC 703 S、Resomer(商標)LG 824 S、Resomer(商標)LG 855 S、Resomer(商標)LG 857 S、Resomer(商標)LR 704 S、Resomer(商標)LR 706 S、Resomer(商標)LR 708、Resomer(商標)LR 927 S、Resomer(商標)RG 509 S、及びResomer(商標)X 206 Sの商品名、Biomer, Inc.(ドイツ連邦共和国)からBiomer(商標)L9000の商品名で市販されている。他の適切なポリ乳酸ポリマーは、Natureworks, LLC(米国ミネソタ州ミネアポリス)から市販されている。
【0085】
本発明の目的に特に有利なポリ乳酸は、特にポリ-D-乳酸、ポリ-L-乳酸、又はポリ-D,L-乳酸である。
【0086】
「ポリ乳酸」という表現は一般に、ポリ(L-乳酸)、ポリ(D-乳酸)、ポリ(DL-乳酸)等の乳酸のホモポリマー、それらの混合物、及び主成分として乳酸を含み、低い割合の、好ましくは10モル%未満の共重合可能なコモノマーを含むコポリマーを指す。
【0087】
更なる適切な材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリアルキレンカーボネート(ポリエチレンカーボネート等)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、及びポリヒドロキシブチレート-ヒドロキシバレレートコポリマー(PHBV)に基づくコポリマー又はターポリマーである。
【0088】
特に好ましい実施形態において、バイオポリマーは、もっぱら乳酸に基づく熱可塑性重縮合物である。
【0089】
本発明により使用されるポリ乳酸は、好ましくは最低500g/mol、好ましくは最低1000g/mol、特に好ましくは最低5000g/mol、適切には最低10000g/mol、特に最低25000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。一方、数平均は、好ましくは最高1000000g/mol、適切には最高500000g/mol、有利には最高100000g/mol、特に最高50000g/molである。最低10000g/mol~500000g/molの範囲内の数平均分子量が、本発明の文脈において特に有利であることが判明した。
【0090】
好ましい乳酸ポリマー、特にポリ-D-乳酸、ポリ-L-乳酸、又はポリ-D,L-乳酸の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは750g/mol~5000000g/molの範囲内、好ましくは5000g/mol~1000000g/molの範囲内、特に好ましくは10000g/mol~500000g/molの範囲内、特に30000g/mol~500000g/molの範囲内であり、これらのポリマーの多分散性は範囲1.5~5で有利である。
【0091】
25℃、0.1%のポリマー濃度におけるクロロホルム中で測定された、特に適切な乳酸ポリマー、特にポリ-D-乳酸、ポリ-L-乳酸、又はポリ-D,L-乳酸の固有粘度は、0.5dl/g~8.0dl/gの範囲内、好ましくは0.8dl/g~7.0dl/gの範囲内、特に1.5dl/g~3.2dl/gの範囲内である。
【0092】
さらに、30℃、0.1%のポリマー濃度におけるヘキサフルオロ-2-プロパノール中で測定された、特に適切な乳酸ポリマー、特にポリ-D-乳酸、ポリ-L-乳酸、又はポリ-D,L-乳酸の固有粘度は、1.0dl/g~2.6dl/gの範囲内、特に1.3dl/g~2.3dl/gの範囲内である。
【0093】
特に関心が持たれるのは、50℃から65℃の間のガラス転移温度を有するポリ乳酸である。
【0094】
特に関心が持たれるのは、155℃から180℃の間の融点を有するポリ乳酸である。
【0095】
特に関心が持たれるのは、NatureWorksのPLA 6202D等の市販のポリ乳酸である。
【0096】
本発明の文脈において使用される「ポリヒドロキシ脂肪酸エステル」(PHF)という用語は、好ましくは、以下のポリマー:ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)(PHP)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(PHB、P3HB)、ポリ(3-ヒドロキシバレレート)(PHV)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHHx)、ポリ(3-ヒドロキシヘプタノエート)(PHH)、ポリ(3-ヒドロキシオクタノエート)(PHO)、ポリ(3-ヒドロキシノナノエート)(PHN)、ポリ(3-ヒドロキシデカノエート)(PHD)、ポリ(3-ヒドロキシウンデカノエート)(PHUD)、ポリ(3-ヒドロキシドデカノエート)(PHDD)、ポリ(3-ヒドロキシテトラデカノエート)(PHTD)、ポリ(3-ヒドロキシペンタデカノエート)(PHPD)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサデカノエート)(PHHxD)、及び上述のポリマーのブレンドを意味すると理解されるべきである。上述のホモポリマーに加えて、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-co-3-ヒドロキシブチレート)(P3HP-3HB)、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-co-4-ヒドロキシブチレート)(P3HP-4HB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)(P(3HB-4HB))、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBV-HHx)等のポリヒドロキシ脂肪酸エステルコポリマー、及び上述のコポリマーのブレンドを、上述のホモポリマーと一緒に又はそれとともに使用することができる。
【0097】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは市販されており、例えば、Mirel、Biomer P 209、Biopol、Aonilex X、Proganicである。
【0098】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは、好ましくは、-2℃~62℃の範囲内のガラス転移温度を有する。
【0099】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは、好ましくは、100℃~177℃の範囲内の溶融温度を有する。
【0100】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは、好ましくは、ISO 1133-1:2011に従って決定された5g/10分~10g/10分(190℃、2.16kg)のメルトフローインデックス(MFI)を有する。
【0101】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは、好ましくは少なくとも200000ダルトン、特に少なくとも220000ダルトン、特に好ましくは少なくとも250000ダルトンで、最高3000000ダルトンまで、特に2500000ダルトンまで、特に好ましくは2000000ダルトンまでの数平均分子量(Mn)を有する。
【0102】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは、通常、数平均分子量(Mn)の約2倍、好ましくは3倍の質量平均分子量(Mw)を有する。
【0103】
「サクシネートベースの脂肪族ポリマー」という用語は、以下の一般式:
【化1】
(式中、R、R、R、Rは、2個~20個の炭素原子からなる直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素残基を表す)を有するポリマーを意味すると理解されるべきである。
【0104】
これに関する例は、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、及びポリエチレンサクシネートである。
【0105】
本発明により使用される熱可塑性のサクシネートベースの脂肪族ポリマーは市販されており、例えば、Bionolle 1000、BioPBSである。
【0106】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、好ましくは、-45℃~45℃の範囲内のガラス転移温度を有する。
【0107】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、好ましくは、70℃~90℃の範囲内の結晶化温度を有する。
【0108】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、好ましくは、60℃~180℃の範囲内の溶融温度を有する。
【0109】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、好ましくは、ISO 1133-1:2011に従って決定された5g/10分~10g/10分(190℃、2.16kg)のメルトフローインデックス(MFI)を有する。
【0110】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、好ましくは少なくとも20000ダルトン、特に少なくとも30000ダルトン、特に好ましくは少なくとも35000ダルトンで、最高140000ダルトンまで、特に120000ダルトンまで、特に好ましくは110000ダルトンまでの数平均分子量(Mn)を有する。
【0111】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、好ましくは、数平均分子量(Mn)の約2倍、好ましくは3倍の質量平均分子量(Mw)を有する。
【0112】
ポリカプロラクトン(PCL)は、本発明の意味の範囲内の合成バイオポリマーである。
【0113】
特に関心が持たれるのは、-45℃から45℃の間のガラス転移温度を有するポリカプロラクトンである。
【0114】
特に関心が持たれるのは、70℃から90℃の間の結晶化温度を有するポリカプロラクトンである。
【0115】
特に関心が持たれるのは、60℃から180℃の間の融点を有するポリカプロラクトンである。
【0116】
特に関心が持たれるのは、70J/g~145J/gの溶融エンタルピーを有するポリカプロラクトンである。
【0117】
特に関心が持たれるのは、好ましくは狭い分布を有するポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって又は末端基滴定によって求められた少なくとも20000ダルトン~140000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有するポリカプロラクトンである。
【0118】
特に関心が持たれるのは、Resomer C 209等の市販のポリカプロラクトンである。
【0119】
熱可塑性ポリマーA
熱可塑性ポリマーAは、熱可塑性ポリマーの上述の群から選択される。
【0120】
熱可塑性ポリマーAの中でも、溶融紡糸可能な合成バイオポリマーが好ましく、特に好ましくはバイオベースの出発材料から製造される重縮合物及び重合物である。合成バイオポリマーは、合成バイオポリマーの上述の群から選択される。
【0121】
好ましい合成バイオポリマーは、ポリオールと、脂肪族及び/又は芳香族のジカルボン酸又はそれらの誘導体(無水物、エステル)とから重縮合によって製造される脂肪族、芳香脂肪族のポリエステル又はコポリエステルであり、ここで、ポリオールは置換又は非置換の直鎖状又は分岐鎖状のポリオールであってもよい。
【0122】
好ましいポリオールは、2個~8個の炭素原子を含むポリオール、2個~8個の炭素原子を含むポリアルキレンエーテルグリコール、及び4個~12個の炭素原子を含む脂環式ジオールである。使用することができるポリオールの非限定的な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコールが挙げられる。好ましいポリオールとしては、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、イソソルビトール、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
【0123】
好ましい脂肪族ジカルボン酸としては、2個~12個の炭素原子を含む脂肪族ジカルボン酸及び5個~10個の炭素原子を含む脂環式ジカルボン酸によって形成される群から選択される置換又は非置換の直鎖状又は分岐鎖状の非芳香族ジカルボン酸が挙げられ、ここで、脂環式ジカルボン酸は、環内にヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0124】
置換された非芳香族ジカルボン酸は、典型的には、ハロゲン、C~C10アリール、及びC~Cアルコキシから選択される1個~4個の置換基を含む。脂肪族及び脂環式ジカルボン酸の非限定的な例としては、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、3-シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸が挙げられる。
【0125】
好ましい芳香族ジカルボン酸としては、6個~12個の炭素原子を含む芳香族ジカルボン酸によって形成される群から選択される置換又は非置換の芳香族ジカルボン酸が挙げられ、ここで、これらのカルボン酸は、芳香族環内に及び/又は置換基内にヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0126】
置換された芳香族ジカルボン酸は、典型的には、ハロゲン、C~C10アリール、及びC~Cアルコキシから選択される1個~4個の置換基を含み得る。芳香族ジカルボン酸の非限定的な例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、及びフランジカルボン酸が挙げられる。
【0127】
上述の脂肪族ジカルボン酸はまた、上述の芳香族ジカルボン酸と一緒になってコポリマー又はターポリマーの形態であってもよく、非限定的な例は、例えばポリブチレン-アジペート-テレフタレート及びバイオベースのPTAである。
【0128】
熱可塑性ポリマーAの中でも、好ましい溶融紡糸可能な合成バイオポリマーは、少なくとも4個の炭素原子の繰返単位を有する脂肪族ポリエステル、例えば、ポリヒドロキシバレレート及びポリヒドロキシブチレート-ヒドロキシバレレートコポリマー等のポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、フランジカルボン酸、並びにサクシネートベースの脂肪族ポリマー(例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、及びポリエチレンサクシネート)である。具体的な例は、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンマロネート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンオキサレート、ポリプロピレンマロネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンマロネート、ポリブチレンサクシネート、並びにこれらの化合物のブレンド及びコポリマーから選択することができる。
【0129】
特に、好ましい合成バイオポリマーは、乳酸(PLA)、ヒドロキシ脂肪酸(PHF)(ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)としても知られる)、特にヒドロキシブタン酸(PHB)の繰返単位を含む脂肪族ポリエステル、並びにサクシネートベースの脂肪族ポリマー、例えばポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、及びポリエチレンサクシネートである。
【0130】
「脂肪族ポリエステル」は、典型的に少なくともおよそ50モル%、好ましくは少なくともおよそ60モル%、特に好ましくは少なくともおよそ70モル%、特に好ましくは少なくとも95モル%の脂肪族モノマーを有するポリエステルを意味すると理解されるべきである。
【0131】
熱可塑性ポリマーAの中でも、-125℃を超える、有利には-30℃を超える、好ましくは30℃を超える、特に好ましくは50℃を超える、特に70℃を超えるガラス転移温度を有する熱可塑性ポリマーが好ましい。特に好ましい実施形態の文脈においては、ポリマーのガラス転移温度は、-125℃~200℃の範囲内、特に-125℃~100℃の範囲内である。
【0132】
熱可塑性ポリマーAの中でも、好ましい熱可塑性合成バイオポリマーは、ガラス転移温度が、好ましくは20℃を超え、有利には25℃を超え、好ましくは30℃を超え、特に好ましくは35℃を超え、特に40℃を超えるバイオポリマーである。特に好ましい実施形態の文脈においては、ポリマーのガラス転移温度は、35℃~55℃の範囲内、特に40℃~50℃の範囲内である。
【0133】
特に好ましいポリエステルは、少なくとも70℃のガラス転移温度を有するPET、40℃~70℃の範囲内のガラス転移温度を有するPLA、-40℃~-62℃の範囲内のガラス転移温度を有するPHA及びPHB、並びに-45℃~45℃の範囲内のガラス転移温度を有するPBS及びPBSA等のPBSコポリマー、並びに-75℃~45℃の範囲内のガラス転移温度を有するポリカプロラクトンである。
【0134】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは、通常、ジクロロ酢酸中の溶液について25℃で測定された0.4(dl/g)~1.4(dl/g)の固有粘度(IV)に相当する分子量を有する。
【0135】
特に関心が持たれるポリエステルは、好ましくは狭い分布を有するポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって又は末端基滴定によって求められた少なくとも20000g/molの数平均分子量(Mn)を有するPET、PEN、PLA、PBS、PEIT等のポリエステルである。更に良好には、これらのポリマーの多分散性は少なくとも1.7である。
【0136】
特に関心が持たれるポリエステルは、250℃から260℃の間の融点を有するPET等のポリエステルである。
【0137】
特に関心が持たれるポリエステルは、(80%:43J/g;100%結晶/理論値):115J/gの溶融エンタルピーを有するPET等のポリエステルである。
【0138】
特に関心が持たれるポリエステルは、少なくとも125℃の結晶化温度及び少なくとも31J/gの結晶化エンタルピー(125℃)を有するPET等のポリエステルである。
【0139】
特に関心が持たれるポリエステルは、例えばTrevira(商標)T298等のTrevira GmbHから市販されているポリエステルである。
【0140】
特に好ましいポリアミドは、30℃~80℃の範囲内、特に35℃~65℃の範囲内、特に好ましくは50℃~60℃の範囲内のガラス転移温度を有し、ここで、これらの値は、特にPA6.6及びPA6に向けられる。
【0141】
特に関心が持たれるポリアミドは、好ましくは狭い分布を有するポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって又は末端基滴定によって求められた少なくとも10000g/molの数平均分子量(Mn)を有するPA6.6及びPA6等のポリアミドである。
【0142】
特に関心が持たれるポリアミドは、170℃から280℃の間、より好ましくは200℃から260℃の間の融点を有するPA6.6及びPA6等のポリアミドである。特に関心が持たれるポリアミドは、190℃の結晶化溶融エンタルピー(100%結晶)を有するPA6.6及びPA6等のポリアミドである。
【0143】
特に関心が持たれるポリアミドは、204℃の軟化温度を有するPA6.6及びPA6等のポリアミドである。
【0144】
ナイロン、パーロン、又はグリロン等の市販のポリアミドに特に関心が持たれる。
【0145】
特に関心が持たれるポリオレフィンは、ポリエチレン(PE)ホモポリマー又はポリプロピレン(PP)ホモポリマー、及び少なくとも50mol%のエチレン繰返単位及び/又はプロピレン繰返単位を含むコポリマー又はターポリマー等のポリオレフィンである。
【0146】
特に関心が持たれるポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン-1(PB-1)、エチレン-オクテンコポリマー、ステレオブロックPP、オレフィンブロックコポリマー、プロピレン-ブタンコポリマーである。
【0147】
特に好ましいポリオレフィンは、-100℃~-35℃の範囲内のガラス転移温度を有するPE及び-10℃~-5℃の範囲内のガラス転移温度を有するPPである。
【0148】
特に関心が持たれるポリエチレンは、120℃から135℃の間の融点を有するポリエチレン、及び158℃から170℃の間の融点を有するポリプロピレンである。
【0149】
特に関心が持たれるポリエチレンは、290J/gの結晶化溶融エンタルピー(100%結晶)を有するポリエチレン、及び190J/gの結晶化溶融エンタルピーを有するポリプロピレンである。
【0150】
特に関心が持たれるのは、LDPE(PE Aspun 6834、Dow)、HDPE(SKGCのMK 910)、PP(Braskem)等の市販のポリオレフィンである。
【0151】
更なる適切なポリマーは、50℃を超える、有利には少なくとも75℃、好ましくは150℃を超える溶融温度を有するポリマーである。特に好ましくは、溶融温度は120℃~285℃の範囲内、特に150℃~270℃の範囲内、特に好ましくは175℃~270℃の範囲内である。
【0152】
これに関して、ポリマーのガラス転移温度及び溶融温度は、好ましくは、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。
【0153】
本発明による特に好ましい合成バイオポリマーは、乳酸、ヒドロキシ酪酸、コハク酸、グリコール酸、及び/又はフランジカルボン酸、好ましくは乳酸及び/又はグリコール酸、特に乳酸の繰返単位を含む、いわゆるバイオポリマーに基づく熱可塑性重縮合物である。これに関して、ポリ乳酸が特に好ましい。
【0154】
本発明において、ポリエステルアミド、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリ乳酸に基づくターポリマー、ポリブチレンサクシネート、PEF等のポリアルキレンフラノエート、ポリグリコール酸、ポリアルキレンカーボネート(ポリエチレンカーボネート等)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、又はポリヒドロキシブチレート-ヒドロキシバレレートコポリマー(PHBV)等のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)等のポリエステル等の多岐にわたる高融点合成バイオポリマー(110℃から270℃の間、好ましくは140℃から270℃の間、より好ましくは180℃から270℃の間の融点)を使用することができる。
【0155】
「ポリ乳酸」(PLA)という用語は、乳酸単位から構成されるポリマーを意味すると理解されるべきである。このようなポリ乳酸は、通常、乳酸の縮合によって製造されるが、適切な条件下でのラクチドの開環重合によっても得られる。
【0156】
本発明による特に好適なポリ乳酸としては、ポリ(グリコリド-co-L-ラクチド)、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(L-ラクチド-co-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)及びポリ(ジオキサノン)が挙げられる。一例として、このタイプのポリマーは、Boehringer Ingelheim Pharma KG(ドイツ連邦共和国)からResomer(商標)GL 903、Resomer(商標)L 206 S、Resomer(商標)L 207 S、Resomer(商標)L 209 S、Resomer(商標)L 210、Resomer(商標)L 210 S、Resomer(商標)LC 703 S、Resomer(商標)LG 824 S、Resomer(商標)LG 855 S、Resomer(商標)LG 857 S、Resomer(商標)LR 704 S、Resomer(商標)LR 706 S、Resomer(商標)LR 708、Resomer(商標)LR 927 S、Resomer(商標)RG 509 S、及びResomer(商標)X 206 Sの商品名、Biomer, Inc.(ドイツ連邦共和国)からBiomer(商標)L9000の商品名で市販されている。他の適切なポリ乳酸ポリマーは、Natureworks, LLC(米国ミネソタ州ミネアポリス)から市販されている。
【0157】
本発明の目的に特に有利なポリ乳酸は、特にポリ-D-乳酸、ポリ-L-乳酸、又はポリ-D,L-乳酸である。
【0158】
「ポリ乳酸」という表現は一般に、z.y(L-乳酸)、ポリ(D-乳酸)、ポリ(DL-乳酸)等の乳酸のホモポリマー、それらの混合物、及び主成分として乳酸を含み、低い割合の、好ましくは10モル%未満の共重合可能なコモノマーを含むコポリマーを指す。
【0159】
更なる適切な材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリアルキレンカーボネート(ポリエチレンカーボネート等)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、及びポリヒドロキシブチレート-ヒドロキシバレレートコポリマー(PHBV)に基づくコポリマー又はターポリマーである。
【0160】
特に好ましい実施形態において、バイオポリマーは、もっぱら乳酸に基づく熱可塑性重縮合物である。
【0161】
本発明により使用されるポリ乳酸は、好ましくは最低500g/mol、好ましくは最低1000g/mol、特に好ましくは最低5000g/mol、適切には最低10000g/mol、特に最低25000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。一方、数平均は、好ましくは最高1000000g/mol、適切には最高500000g/mol、有利には最高100000g/mol、特に最高50000g/molである。最低10000g/mol~500000g/molの範囲内の数平均分子量が、本発明の文脈において特に有利であることが判明した。
【0162】
好ましい乳酸ポリマー、特にポリ-D-乳酸、ポリ-L-乳酸、又はポリ-D,L-乳酸の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは750g/mol~5000000g/molの範囲内、好ましくは5000g/mol~1000000g/molの範囲内、特に好ましくは10000g/mol~500000g/molの範囲内、特に30000g/mol~500000g/molの範囲内であり、これらのポリマーの多分散性は範囲1.5~5で有利である。
【0163】
25℃、0.1%のポリマー濃度におけるクロロホルム中で測定された、特に適切な乳酸ポリマーのポリ-D-乳酸、ポリ-L-乳酸、又はポリ-D,L-乳酸の固有粘度は、0.5dl/g~8.0dl/gの範囲内、好ましくは0.8dl/g~7.0dl/gの範囲内、特に1.5dl/g~3.2dl/gの範囲内である。
【0164】
さらに、30℃、0.1%のポリマー濃度におけるヘキサフルオロ-2-プロパノール中で測定された、特に適切な乳酸ポリマー、特にポリ-D-乳酸、ポリ-L-乳酸、又はポリ-D,L-乳酸の固有粘度は、1.0dl/g~2.6dl/gの範囲内、特に1.3dl/g~2.3dl/gの範囲内である。
【0165】
特に関心が持たれるのは、50℃から65℃の間のガラス転移温度を有するポリ乳酸である。
【0166】
特に関心が持たれるのは、155℃から180℃の間の融点を有するポリ乳酸である。
【0167】
特に関心が持たれるのは、NatureWorksのPLA 6202D等の市販のポリ乳酸である。
【0168】
本発明の文脈において使用される「ポリヒドロキシ脂肪酸エステル」(PHF)という用語は、以下のポリマー:ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)(PHP)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(PHB、P3HB)、ポリ(3-ヒドロキシバレレート)(PHV)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHHx)、ポリ(3-ヒドロキシヘプタノエート)(PHH)、ポリ(3-ヒドロキシオクタノエート)(PHO)、ポリ(3-ヒドロキシノナノエート)(PHN)、ポリ(3-ヒドロキシデカノエート)(PHD)、ポリ(3-ヒドロキシウンデカノエート)(PHUD)、ポリ(3-ヒドロキシドデカノエート)(PHDD)、ポリ(3-ヒドロキシテトラデカノエート)(PHTD)、ポリ(3-ヒドロキシペンタデカノエート)(PHPD)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサデカノエート)(PHHxD)、及び上述のポリマーのブレンドを意味すると理解されるべきである。上述のホモポリマーに加えて、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-co-3-ヒドロキシブチレート)(P3HP-3HB)、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-co-4-ヒドロキシブチレート)(P3HP-4HB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)(P(3HB-4HB))、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBV-HHx)等のポリヒドロキシ脂肪酸エステルコポリマー、及び上述のコポリマーのブレンドを、上述のホモポリマーと一緒に又はそれとともに使用することができる。
【0169】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは市販されており、例えば、Mirel、Biomer P 209、Biopol、Aonilex X、Proganicである。
【0170】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは、好ましくは、-2℃~62℃の範囲内のガラス転移温度を有する。
【0171】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは、好ましくは、100℃~177℃の範囲内の溶融温度を有する。
【0172】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは、好ましくは、ISO 1133-1:2011に従って決定された5g/10分~10g/10分(190℃、2.16kg)のメルトフローインデックス(MFI)を有する。
【0173】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは、好ましくは少なくとも200000ダルトン、特に少なくとも220000ダルトン、特に好ましくは少なくとも250000ダルトンで、最高3000000ダルトンまで、特に2500000ダルトンまで、特に好ましくは2000000ダルトンまでの数平均分子量(Mn)を有する。
【0174】
本発明により使用される熱可塑性ポリヒドロキシ脂肪酸エステルポリマーは、通常、数平均分子量(Mn)の約2倍、好ましくは3倍の質量平均分子量(Mw)を有する。
【0175】
「サクシネートベースの脂肪族ポリマー」という用語は、以下の一般式:
【化2】
(式中、R、R、R、Rは、2個~20個の炭素原子からなる直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素残基を表す)を有するポリマーを意味すると理解されるべきである。
【0176】
これに関する例は、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、及びポリエチレンサクシネートである。
【0177】
本発明により使用される熱可塑性のサクシネートベースの脂肪族ポリマーは市販されており、例えば、Bionolle 1000、BioPBSである。
【0178】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、好ましくは、-45℃~45℃の範囲内のガラス転移温度を有する。
【0179】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、好ましくは、70℃~90℃の範囲内の結晶化温度を有する。
【0180】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、好ましくは、60℃~180℃の範囲内の溶融温度を有する。
【0181】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、好ましくは、ISO 1133-1:2011に従って決定された5g/10分~10g/10分(190℃、2.16kg)のメルトフローインデックス(MFI)を有する。
【0182】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、好ましくは少なくとも20000ダルトン、特に少なくとも30000ダルトン、特に好ましくは少なくとも35000ダルトンで、最高140000ダルトンまで、特に120000ダルトンまで、特に好ましくは110000ダルトンまでの数平均分子量(Mn)を有する。
【0183】
本発明により使用される熱可塑性サクシネートポリマーは、通常、数平均分子量(Mn)の約2倍、好ましくは3倍の質量平均分子量(Mw)を有する。
【0184】
ポリカプロラクトン(PCL)は、本発明の意味の範囲内の合成バイオポリマーである。
【0185】
特に関心が持たれるのは、-45℃から45℃の間のガラス転移温度を有するポリカプロラクトンである。
【0186】
特に関心が持たれるのは、70℃から90℃の間の結晶化温度を有するポリカプロラクトンである。
【0187】
特に関心が持たれるのは、60℃から180℃の間の融点を有するポリカプロラクトンである。
【0188】
特に関心が持たれるのは、70J/g~145J/gの溶融エンタルピーを有するポリカプロラクトンである。
【0189】
特に関心が持たれるのは、好ましくは狭い分布を有するポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって又は末端基滴定によって求められた少なくとも20000ダルトン~140000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有するポリカプロラクトンである。
【0190】
特に関心が持たれるのは、Resomer C 209等の市販のポリカプロラクトンである。
【0191】
熱可塑性ポリマーB
熱可塑性ポリマーBは、熱可塑性ポリマーの上述の群から選択され、熱可塑性ポリマーBの好ましい実施形態は、上記の熱可塑性ポリマーAの好ましい実施形態に対応する。
【0192】
好ましい実施形態において、少なくとも熱可塑性ポリマーA及び/又は熱可塑性ポリマーBは、溶融紡糸可能な合成バイオポリマーによって形成される群から選択され、ここで、バイオベースの出発材料からの重縮合物及び重合物が特に好ましい。熱可塑性ポリマーA及び熱可塑性ポリマーBの両方が溶融紡糸可能な合成バイオポリマーによって形成される群から選択される限り、化学的性質及び/又は融点に関して異なるバイオポリマーを選択することが好ましい。この実施形態において、多成分ポリマー繊維は、好ましくは、成分Aがコアを形成し、かつ成分Bがシェルを形成する二成分繊維である。特に好ましくは、成分Aにおける熱可塑性ポリマーの融点は、成分Bにおける熱可塑性ポリマーの融点より少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃高い。
【0193】
添加剤A及び添加剤B
添加剤A及び添加剤Bは、本発明による多成分ポリマー繊維、特に本発明による二成分繊維の生物分解性を高める。それというのも、これらの添加剤は、熱可塑性ポリマーA及び/又は熱可塑性ポリマーBの生物分解性を高めるからである。
【0194】
本発明による多成分ポリマー繊維、特に好ましい二成分繊維は、(i)成分Aにおいて少なくとも1種の添加剤Aを含むか、又は(ii)成分Bにおいて少なくとも1種の添加剤Bを含むか、又は(iii)成分Aにおいて少なくとも1種の添加剤Aを含み、かつ成分Bにおいて少なくとも1種の添加剤Bを含む。少なくとも1種の添加剤Aが成分Aにおいて存在し、かつ少なくとも1種の添加剤Bが成分Bにおいて存在する場合に、添加剤A及び添加剤Bは異なり、又は少なくとも1種の添加剤Aが成分Aにおいて存在し、かつ少なくとも1種の添加剤Bが成分Bにおいて存在する場合に、熱可塑性ポリマーA及び熱可塑性ポリマーBが異なるのであれば、添加剤A及び添加剤Bは同一であってもよい。この段落の文脈における「異なる」という用語は、物質が少なくともその化学的性質に関して、又はそれらの物理的性質に関して、又はそれらの濃度に関して異なることを意味する。
【0195】
特に、添加剤A及び添加剤Bは、
塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaO、
脂肪族ポリエステル、好ましくは側鎖炭素原子を有しない脂肪族ポリエステル、好ましくはポリカプロラクトン、
脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、
糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、
特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒、
金属化合物、特に遷移金属化合物、好ましくは少なくとも2種の遷移金属化合物、及びそれらの塩、
不飽和カルボン酸又はそれらの無水物/エステル/アミド、
合成ゴム、天然ゴム、
炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、
並びに上述の物質の混合物、
である。
【0196】
熱可塑性ポリマーA及び/又は熱可塑性ポリマーBが少なくとも1種のポリエステルを含み、かつ添加剤A及び/又は添加剤Bが(i)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaO、(ii)脂肪族ポリエステル、(iii)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、(iv)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(v)特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒、(vi)炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物の群から選択される、多成分ポリマー繊維、特に二成分ポリマー繊維が好ましい。
【0197】
特に好ましい二成分ポリマー繊維は、熱可塑性ポリマーA及び/又は熱可塑性ポリマーBが少なくとも1種のポリエステルを含み、かつ添加剤A及び/又は添加剤Bが(i)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaO、(ii)脂肪族ポリエステル、(iii)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、(iv)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(v)特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒、(vi)炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物の群から選択されるものである。上述の脂肪族ポリエステルは、それらの化学的性質の点で、熱可塑性ポリマーA及び熱可塑性ポリマーBのポリエステルとは区別される、すなわち、熱可塑性ポリマーA及び熱可塑性ポリマーBのポリエステルは、ポリオールと、脂肪族及び/又は芳香族ジカルボン酸又はそれらの誘導体(無水物、エステル)とから重縮合によって製造された芳香脂肪族のポリエステル又はコポリエステルである。
【0198】
特に好ましい添加剤A及び/又は添加剤Bは、少なくとも2種の物質を含み、ここで、好ましい組合せは、
A)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaOと、特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒との組合せ、
B)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類と、炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物との組合せ、
C)脂肪族ポリエステルと、任意に、糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、又は炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物との組合せ、
D)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、
である。
【0199】
熱可塑性ポリマーAとしての部分芳香族「芳香脂肪族」ポリエステル又はコポリエステルに最も好ましい添加剤Aは、少なくとも、
塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaOと、特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒との組合せ、並びに、
脂肪族ポリエステル、特に側鎖炭素原子を有しない脂肪族ポリエステルと、任意に、(i)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(ii)炭水化物、特にデンプン及び/又は(iii)セルロース、(iv)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、及びそれらの混合物との組合せ、
を含有している。
【0200】
上述の特に好ましい二成分ポリマー繊維の中で、熱可塑性ポリマーAがポリエステルであり、かつ熱可塑性ポリマーBがポリマーAにおけるポリエステルとは異なるポリエステルであり、好ましくはコポリエステルであり、かつ添加剤A及び添加剤Bが、それぞれ独立して、
塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaOと、特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒との組合せ、並びに、
脂肪族ポリエステル、特に側鎖炭素原子を有しない脂肪族ポリエステルと、任意に、(i)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(ii)炭水化物、特にデンプン及び/又は(iii)セルロース、(iv)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、及びそれらの混合物との組合せ、
の組合せから選択されるものが好ましい。
【0201】
特に好ましい実施形態において、上述の脂肪酸エステルは存在し、任意に存在しない。
【0202】
熱可塑性ポリマーA及び/又は熱可塑性ポリマーBが少なくとも1種のポリオレフィンを含み、かつ添加剤A及び/又は添加剤Bが(i)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(ii)金属化合物、特に遷移金属化合物、及びそれらの塩、(iii)不飽和カルボン酸又はそれらの無水物/エステル/アミド、(iv)合成ゴム及び/又は天然ゴム、(v)炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物の群から選択される、多成分ポリマー繊維、特に二成分ポリマー繊維が好ましい。ポリオレフィンに特に好ましいのは、(a)遷移金属化合物及び(b)不飽和カルボン酸又はそれらの無水物と、特に好ましくは(c)合成ゴム及び/又は天然ゴム、及び(d)デンプンとの組合せを含む添加剤A及び/又は添加剤Bである。
【0203】
特に好ましい二成分ポリマー繊維は、熱可塑性ポリマーBがポリオレフィン、特にポリプロピレンポリマーであり、これが添加剤Bとして、少なくとも(i)金属化合物、特に遷移金属化合物、及びそれらの塩、好ましくは、少なくとも2種の化学的に異なる遷移金属化合物、並びに(ii)不飽和カルボン酸又はそれらの無水物/エステル/アミドと、好ましくは合成ゴム及び/又は天然ゴムとの組合せを含み、かつ任意に(iii)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(iv)炭水化物、特にデンプン及び/又は(v)セルロース、及びそれらの混合物を更に含むものである。さらに、フェノール系酸化防止剤の安定剤及びCaOが存在し得る。
【0204】
熱可塑性ポリマーA及び/又は熱可塑性ポリマーBが少なくとも1種のポリアミドを含み、かつ添加剤A及び/又は添加剤Bが(i)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaO、(ii)脂肪族ポリエステル、(iii)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、(iv)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(v)特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒、(vi)金属化合物、特に遷移金属化合物、及びそれらの塩、(vii)不飽和カルボン酸又はそれらの無水物/エステル/アミド、(viii)合成ゴム及び/又は天然ゴム、(ix)炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物の群から選択される、多成分ポリマー繊維、特に二成分ポリマー繊維が好ましい。
【0205】
添加剤Aは、好ましくは、成分Aの総量に対して0.005重量%から20重量%の間、特に好ましくは0.01重量%から5重量%の間の、成分Aに対する割合で存在する。
【0206】
添加剤Bは、好ましくは、成分Bの総量に対して0.005重量%から20重量%の間、特に好ましくは0.01重量%から5重量%の間の、成分Bに対する割合で存在する。
【0207】
成分中の添加剤の低い重量割合だけでなく、可能な限り一様な分布も得るために、添加剤をいわゆるマスターバッチの形態で押出機においてポリマー材料に添加することが好ましい。
【0208】
「マスターバッチ」という用語は、紡糸プロセスの間にポリマー溶融物に添加される造粒物を意味すると理解されるべきである。これに関して、造粒物はポリマー担体材料及び少なくとも1種の添加剤を有する。
【0209】
少量の添加剤をポリマーに添加することを可能にするするために、マスターバッチ中の1種以上の添加剤の濃度を調整することが好ましい。好ましくは、紡糸プロセスにおけるマスターバッチの投入量は0.1重量%から30重量%の間、特に好ましくは0.5重量%から15重量%の間である。
【0210】
熱融着
熱融着に適した熱可塑性ポリマー、特にコポリマー及びブレンド、特に熱可塑性バイオポリマーは、高い度合いの融解エンタルピー及び結晶化エンタルピーを有するものである。通常、ポリマーBは、これらがおよそ25ジュール/グラム(「J/g」)を超える、特に好ましくは35J/gを超える、特に50J/gを超える結晶化度又は融解潜熱(デルタHf)を有するように選択される。溶融潜熱(ΔHf)、結晶化潜熱(ΔHC)、及び結晶化温度の決定は、示差走査熱量測定法(「DSC」)によって、特にASTM D-3418(ASTM D3418-15、示差走査熱量測定法によるポリマーの転移温度並びに融解エンタルピー及び結晶化エンタルピーについての標準試験法(Standard Test Method for Transition Temperatures and Enthalpies of Fusion and Crystallization of Polymers by Differential Scanning Calorimetry)、ASTM International、ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン、2015年、www.astm.org)に従って行われる。
【0211】
熱可塑性プラスチックA及び熱可塑性プラスチックBへの更なる添加剤
上記の熱可塑性ポリマー、コポリマー、及びブレンド、特に上記のバイオポリマーは、とりわけ酸化防止剤等の通常の添加剤を有する。
【0212】
更なる通常の添加剤は、顔料、安定剤、界面活性剤、ワックス、流動促進剤、固体溶媒、可塑剤、及び他の材料、例えば、熱可塑性組成物の加工性を改善するのに添加される核剤である。
【0213】
本発明による多成分繊維、特に本発明による二成分繊維は、少なくとも90重量%が上記の熱可塑性ポリマー、コポリマー、ブレンド、特に熱可塑性バイオポリマーから構成されており、典型的には、特にシェル中に、およそ10重量%未満、好ましくはおよそ8重量%未満、特に好ましくはおよそ5重量%未満の添加剤を有する。
【0214】
本発明による多成分繊維、特に本発明による二成分繊維は、連続繊維、例えばいわゆるステープルファイバーであっても、又は連続繊維(フィラメント)であってもよい。
【0215】
多成分繊維の製造
トウへと紡糸した後に、本発明による多成分繊維、特に二成分繊維をともに合わせて、原則として既知の方法を使用して圧延機において後処理し、特に延伸し、任意にまた捲縮又はテクスチャー化する。
【0216】
(フィラメント)紡糸プロセスの後に加工する場合に、本発明による多成分ポリマー繊維を、紡糸口金から出た直後に冷却し、延伸し、集束ベルト上で堆積させるか、又は好ましくはボビンに巻き付ける。更なる工程としては、特に、フィラメントの延伸、テクスチャー化、及び熱接合が挙げられる。
【0217】
本発明による多成分繊維、特に本発明による二成分繊維の製造は当業者に知られる方法及び装置を使用して行われ、これらは文献、例えばFourne(Synthetische Fasern[合成繊維];1995年、第4章及び第5.2章)に記載されている。
【0218】
不織布の製造には多数の製造方法が利用可能である。スパンボンドの製造においては、ステープルファイバー製造の中間工程は行われない。特に、多成分繊維を、紡糸口金を出た直後に、好ましくは空気流によって撹乱を加えることで、これらを不織布として堆積させる。スパンボンドの製造は当業者に知られており、文献、例えばFourne(Synthetische Fasern[合成繊維];1995年、第5.5章)に記載されている。
【0219】
分散性を改善するのに、又は第2の紡糸ユニットにおける、特にヤーンへの更なる加工のために、繊維はステープルファイバーの形態であることが好ましい。上記ステープルファイバーの長さは原則として限定されないが、概して、2mm~200mm、好ましくは3mm~120mm、特に好ましくは4mm~60mmである。
【0220】
本発明による多成分繊維、特に本発明による二成分繊維、好ましくはステープルファイバーの個々の線密度は、0.5dtexから30dtexの間、好ましくは0.7dtex~13dtexである。一部の用途には、0.5dtexから3dtexの間の線密度及び10mm未満、特に8mm未満、特に好ましくは6mm未満、特に好ましくは5mm未満の繊維長が特に適している。
【0221】
本発明による多成分繊維、特に本発明による二成分繊維は、好ましくは、それぞれ110℃で測定された0%~10%、好ましくは0%超~8%の範囲内の低い熱風熱収縮を有する。
【0222】
本発明によるポリマー繊維の製造は、原則として通常の方法を使用して行われる。最初に、ポリマーを必要に応じて乾燥させ、押出機に供給する。次に、適切な紡糸口金を備えた通常の装置を使用して溶融材料を紡糸する。マススループット及び紡糸口金出口プレートからのキャピラリーの引き取り速度は、所望の線密度を有する繊維が製造されるように設定される。
【0223】
形成される繊維は、様々な形状、例えば、円形、楕円形、星形、ドッグボーン形、バーベル形、キドニー形、三角形又は多角形、クローバーの葉形、馬蹄形、レンズ形、ロッド形、歯車形、雲形、x字形、y字形、o字形、u字形を有してよく、このリストに限定されるものではなく、他の適切な断面も可能である。
【0224】
本発明に従って製造された繊維フィラメントを集束してヤーンにした後に、更にはトウにする。トウを最初に缶内に堆積させて、更なる加工を行う。缶内に一時的に貯蔵されているトウを取り出し、大きなケーブルトウを製造する。
【0225】
本発明は、既知の方法によって製造されたケーブルトウの後処理にも関係し、通常、これは、従来の圧延機及び特殊な延伸を使用して10ktex~600ktexである。ケーブルトウの延伸又は延伸装置への送り込み速度は、好ましくは10m/分~110m/分(送り込み速度)である。これに関して、延伸を助けるがその後の特性に悪影響を及ぼさない他の調製物を適用することもできる。
【0226】
延伸を単一工程で行うことができ、又は任意に二段階延伸プロセスを使用して行うことができる(これに関しては、例えば、米国特許第3,816,486号を参照)。延伸前及び延伸中に、従来の方法を使用して1種以上の仕上げ剤を適用することができる。
【0227】
本発明による延伸は、特にバイオポリマーが使用される場合に1.2から6.0の間、好ましくは2.0から4.0の間の延伸比で行われ、ここで、トウを延伸する際の温度は、好ましくは30℃から100℃の間である。したがって、延伸は、延伸されるトウについてのガラス転移温度の範囲内で行われる。本発明による延伸は、蒸気の存在下で、すなわち、いわゆるスチームボックス内で行われるため、繊維はスチームボックス内で延伸される。スチームボックスは、通常3barの圧力下で運転される。
【0228】
蒸気の存在下で上述の温度範囲において延伸することにより、繊維の熱収縮を低減し、特定の方式で制御することができる。
【0229】
トウは延伸前に、好ましくは24ktex~360ktexである。
【0230】
延伸を一段階又は多段階で行うことが好ましく、ここで、延伸ユニットのゴデットは異なる温度であってよく、延伸ユニット間の延伸比が異なっていてもよい。好ましくは、スチームボックスは少なくとも2つの延伸ユニットの間に配置され、すなわち繊維を延伸する地点はスチームボックス内又はスチームボックスの近くにある。全てのゴデット(通常、延伸ユニットにつき7つ)の温度は30℃~250℃である。全ての延伸は、好ましくは、少なくとも部分的に又は全体的にスチームボックス内で行われる。好ましくは、スチームボックスは3barの蒸気圧で運転される。
【0231】
延伸を冷間で行ってもよく、ここで、「冷間」とは室温(およそ20℃~35℃)を意味する。
【0232】
それぞれの延伸の実施だけでなく圧延機についての全てのパラメータの選択も、ポリマー及び/又は繊維の最終用途に応じて行われる。
【0233】
延伸された繊維の任意の捲縮/テクスチャー化のために、自体既知の捲縮機を用いた従来の機械的捲縮方法を使用することができる。好ましくは、スタッファーボックス等の、蒸気支援による繊維捲縮用の機械的デバイスが使用される。しかしながら、他の方法を使用して、例えば三次元捲縮された繊維を含む捲縮された繊維を得ることができる。捲縮を実施するのに、トウを最初に通常は50℃~100℃、好ましくは70℃~85℃、特に好ましくはおよそ78℃までの範囲内の一定温度にし、1.0bar~6.0bar、特に好ましくはおよそ2.0barのトウ送り込みロールについての圧力、0.5bar~6.0bar、特に好ましくは1.5bar~3.0barの捲縮ボックス内の圧力で、1.0kg/分から2.0kg/分の間、特に好ましくは1.5kg/分の速度の蒸気を用いて処理する。
【0234】
滑らかな繊維又は任意に捲縮された繊維を炉内で又は熱気流中で緩和させ及び/又は固定する場合に、これも130℃の最高温度で行われる。
【0235】
ステープルファイバーを製造するのに、滑らかな繊維又は任意に捲縮された繊維を取り出した後に、切断し、フロックとして堆積させて、圧縮されたベールにする。本発明のステープルファイバーを、好ましくは、緩和の下流にある機械的切断デバイスで切断する。様々な種類のトウを製造するのに切断を省略することができる。これらの種類のトウを未切断の形態で堆積し、ベールに圧縮する。
【0236】
本発明による繊維が捲縮された実施形態にある場合、捲縮の程度は、好ましくは1cm当たり少なくとも2捲縮(アーチ型捲縮)、好ましくは1cm当たり少なくとも3捲縮、好ましくは1cm当たり3捲縮~1cm当たり9.8捲縮、特に好ましくは1cm当たり3.9捲縮~1cm当たり8.9捲縮である。テキスタイル布帛の製造用途においては、1cm当たりおよそ5捲縮~5.5捲縮の捲縮度の値が特に好ましい。ウェットレイド法を使用してテキスタイル布帛を製造する場合、捲縮度を個別に設定する必要がある。
【0237】
コアにおいて熱可塑性ポリマーAとしてのポリエチレンテレフタレート(PET)及び添加剤Aを有し、かつシェル(シース)において熱可塑性ポリマーBとしてのポリプロピレン(PP)及び添加剤Bを有するコア/シェル(=コア/シース)型の二成分繊維を製造するのに典型的な設定としては、以下が挙げられる:
PET原材料を、典型的には180℃までの温度で最大4時間~6時間乾燥させ、典型的には、ポリプロピレン(PP)は乾燥させる必要はない;
溶融押出を、典型的には1本以上のスクリューを備えた押出機で行う;
二成分紡糸口金の構成は、シェル(シース)材料としてPPを有し、かつコア成分としてPETを有して同心又は偏心である;
コアについての押出機の溶融温度は、典型的にはPETの場合は250℃~300℃の範囲内であり、シース材料については、典型的にはPPの場合は220℃~270℃の範囲内である;
シェル(シース)及びコアの両方のための押出機の供給口で添加剤を1重量%から3重量%の間のレベルにて、典型的にはマスターバッチの形態で添加する;
繊維急冷は、典型的にはクロスフローであり、空気温度は、典型的には18℃~24℃の範囲内である;
典型的な繊維のドローダウン速度は800m/分~1300m/分の範囲内である;
繊維の延伸は、最大4の延伸比及び110℃~130℃のヒートセットでの1段階又は2段階の延伸であり得る。
【0238】
コアにおいて熱可塑性ポリマーAとしてのポリエチレンテレフタレートポリマー(PET)及び添加剤Aを有し、かつシェル(シース)において熱可塑性ポリマーBとしてのポリエチレンテレフタレートコポリマー(coPET)及び添加剤Bを有するコア/シェル(=コア/シース)型の二成分繊維を製造するのに典型的な設定としては、以下が挙げられる:
PET原材料を、典型的には180℃までの温度で最大4時間~6時間乾燥させる;
溶融押出を、典型的には1本以上のスクリューを備えた押出機で行い、1つの押出機はシェル(シース)材料(coPET)用であり、1つの押出機はコア材料(PET)用である;
二成分紡糸口金の構成は、シェル(シース)材料としてcoPETを有し、かつコア成分としてPETを有して同心又は偏心である;
押出機の溶融温度は、典型的には250℃~300℃の範囲内である;
シェル(シース)及びコアの両方のための押出機の供給口で添加剤を1重量%から3重量%の間のレベルにて、典型的にはマスターバッチの形態で添加する;
繊維急冷は、典型的にはクロスフロー又はインフロー又はラジアルアウトフローであり、空気温度は、典型的には18℃~50℃の範囲内である;
典型的な繊維のドローダウン速度は400m/分~1800m/分、好ましくは1400m/分の範囲内である;
繊維の延伸は、最大4.5、具体的には2.5~3.5の延伸比、最大80℃の仕上げ槽温度、蒸気槽が存在する場合はその前の最大70℃、具体的には30℃のゴデット温度、及び最大80℃の引き伸ばす地点の後の温度、典型的には熱風炉内の最大190℃の温度でのヒートセットでの1段階又は2段階の延伸であり得る。
【0239】
本発明による繊維からテキスタイル布帛を製造することができ、これらも本発明の主題を構成する。
【0240】
テキスタイル布帛
本明細書の文脈において使用される「テキスタイル布帛」という用語は、その最も広い意味で解釈されるべきである。したがって、これらは、布帛を製造する技術を使用して製造された、本発明による繊維を含むあらゆる構造物であってもよい。このようなテキスタイル布帛の例は、好ましくは熱融着によって製造されたステープルファイバーに基づく不織布、特にウェットレイド不織布又はドライレイド不織布である。不織布の他の例は、好ましくはステープルファイバーに基づくカード式不織布若しくはエアレイド式不織布、又はメルトブロー法及び/又はスパンボンドフィラメント法を使用して製造された不織布である。特に繊維又は不織布が低い線密度を有する場合には、メルトブローン法(例えば、「Complete Textile Glossary」、Celanese Acetate LLC、2000年以降、又は「Chemiefaser-Lexikon」、Robert Bauer、第10版、1993年に記載される)及びエレクトロスピニング法が最も適している。
【0241】
スパンボンドフィラメント法を使用して不織布を製造するのに、紡糸したての繊維、好ましくは紡糸したての二成分繊維を集束コンベヤ上で集束して、これらを特定の厚さまで積層し、こうしてスパンボンド不織布を得ることができる。例えば、エンボスローラーを使用するホットエンボス法を使用して又は既知のニードリング/ウォータージェット法を使用して不織布を更に交絡させることで、スパンボンド不織布を更にコンソリデートさせることができる。より高融点の成分及びより低融点の成分を有する二成分繊維が使用される場合に、不織布をより低融点の成分を使用する熱融着によってコンソリデートさせる。
【0242】
上述の熱融着の場合に、二成分繊維/多成分繊維を含むテキスタイル布帛を、多成分繊維のより低融点の成分(例えば、シェル)の溶融温度よりも高いが、より高融点の成分(例えば、コア)の溶融温度よりも低い温度に空気を加熱するのに使用される1つ以上の加熱ゾーンを備えた炉、例えば通気式乾燥機へと供給する。この加熱された空気はテキスタイル布帛、典型的には不織布を通って流れ、その結果、より低融点の成分が溶融し、繊維間に接合を形成して、布帛を熱的に安定化する。
【0243】
典型的には、熱融着炉を流れる空気は100℃~およそ180℃の範囲内の温度である。炉内の滞留時間はおよそ180秒以下である。しかしながら、熱融着炉のパラメータは、使用されるポリマーの種類及び材料の厚さに応じたものであることが理解されるべきである。
【0244】
固定式又は回転式のホーン及び回転式のパターン化エンボスローラーを使用する超音波コンソリデーション技術を使用することもできる。このような技術の例は、米国特許第3,939,033号、米国特許第3,844,869号、米国特許第4,259,399号、米国特許第5,096,532号、米国特許第5,110,403号、及び米国特許第5,817,199号(これらは、引用することによりそれらの全体があらゆる目的について本明細書の一部をなす)に記載されている。代替技術として、不織布を熱的にスポット溶接して、布帛に非常に多くの小さな個別の接合点を設けることもできる。この方法は、概して、例えば、パターンが刻印されたローラーと第2の接合ローラー等の2つの加熱ローラー間に布帛を案内することを含む。刻印されたローラーは、ウェブがその表面全体にわたって接合されないようにパターン化されており、第2のローラーは平滑であっても、又はパターン化されていてもよい。
【0245】
機能的理由及び/又は美観的理由から、刻印されたローラー用に多岐にわたるパターンが開発されている。接合パターンの例としては、限定されるものではないが、米国特許第3,855,046号、米国特許第5,620,779号、米国特許第5,962,112号、米国特許第6,093,665号、米国意匠特許第428,267号及び米国意匠特許第390,708号(これらは、引用することによりそれらの全体があらゆる目的について本明細書の一部をなす)に記載されるものが挙げられる。
【0246】
テキスタイル布帛の目付、特に不織布の目付は、10g/mから500g/mの間、好ましくは25g/m~450g/m、特に30g/m~300g/mである。
【0247】
本発明による多成分繊維から、特に本発明による二成分繊維から製造されるテキスタイル布帛、特に不織布を、カレンダーローラーを使用する既知の方式で製造することができ、又は炉内で熱的にコンソリデートさせることができる。
【0248】
本発明による多成分繊維から製造されるテキスタイル布帛、例えば不織布は、通常、成分の異なる融点による熱融着によって製造される。これにより、繊維同士は接触点又は交差点で接合される。熱可塑性ポリマーBと添加剤Bとから製造された成分Bが、熱可塑性ポリマーAと添加剤Aとから製造された成分Aよりも高い生物分解性を有する限り、繊維の互いの接触点又は交差点が最初に分解され、テキスタイル布帛、例えば不織布はより素早く崩壊し、その結果、全体的な分解性が高まる。
【0249】
本明細書において、テキスタイル布帛、特に不織布は、多成分繊維に加えて、意図された目的に応じて更に他の繊維を含み得る。この点に関して、国際公開第2007/107906号に記載される「フィラー繊維」が特に強調されるべきである。国際公開第2007/107906号に記載される「フィラー繊維」も本発明の主題の部分を形成し、本発明の一部をなす。
【0250】
テキスタイル布帛としては、他の繊維材料、化学繊維、好ましくは綿又はセルロース繊維等の天然繊維、羊毛等の動物起源の繊維、又は他の生物分解性繊維と混合することができる上述の生物分解性ポリマー材料の繊維が挙げられる。このような異なる繊維を混合すると、繊維の勾配を有するテキスタイル布帛を製造することができる。セルロース繊維の例としては、針葉樹クラフトパルプ繊維が挙げられる。針葉樹クラフトパルプ繊維は、針葉樹から得られ、限定されるものではないが、セコイア、アカスギ、ツガトウヒ、ダグラスモミ、真性スプルース(true spruces)、マツ(例えば、サザンパイン)、トウヒ(例えば、クロトウヒ)、それらの組合せ等のような北方針葉樹種、西洋針葉樹種、及び南方針葉樹種等のセルロース繊維が挙げられる。本発明においては、北方針葉樹クラフトパルプ繊維を使用することができる。本発明において使用するのに適した別のセルロース材料は、主に針葉樹繊維を含む漂白硫酸塩木材セルロース材料である。本発明においては、より小さな平均長を有する繊維を使用することもできる。短い平均長を有する適切なセルロース材料繊維の例は、広葉樹クラフトパルプ繊維である。広葉樹クラフトパルプ繊維は落葉樹から誘導され、限定されるものではないが、ユーカリ、カエデ、ブナ、ポプラ等のようなセルロース材料繊維が挙げられる。柔軟性を増し、光沢を増し、不透明度を増し、シートの細孔構造を変化させてその吸収性を高めるには、ユーカリのクラフトパルプ繊維が特に好ましい場合がある。典型的には、セルロース材料繊維は、不織布のおよそ30重量%~およそ95重量%、幾つかの実施形態においては、およそ40重量%~およそ90重量%、幾つかの実施形態においては、およそ50重量%~およそ85重量%を占める。
【0251】
さらに、超吸収性材料が不織布に含まれていてもよい。超吸収性材料は、水中で膨潤し、0.9重量%の塩化ナトリウムを含む水溶液中でその重量の20倍、場合によってはその重量の少なくとも30倍を吸収することができる材料である。超吸収性材料は、天然の、合成の、及び変性された天然のポリマー及び材料であってもよい。合成超吸収性ポリマーの例としては、ポリ(アクリル酸)及びポリ(メタクリル酸)のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ビニルエーテル)、無水マレイン酸とビニルエーテル及びα-オレフィンとのコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルモルホリノン)、ポリ(ビニルアルコール)、並びにそれらの混合物及びコポリマーが挙げられる。他の超吸収性材料としては、加水分解されたアクリロニトリルグラフト化デンプン、アクリル酸グラフト化デンプン、メチルセルロース、キトサン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の天然ポリマー及び変性された天然ポリマー、並びにアルギン酸塩、キサンタンガム、イナゴマメガム等のような天然ゴムが挙げられる。天然の超吸収性ポリマー及び完全合成又は部分合成の超吸収性ポリマーの混合物も本発明において有用であり得る。超吸収性材料が使用される場合、超吸収性材料は、不織布のおよそ30重量%~およそ95重量%、幾つかの実施形態においては、およそ40重量%~およそ90重量%、幾つかの実施形態においては、およそ50重量%~およそ85重量%を占める。
【0252】
本発明のテキスタイル布帛、特に上述の不織布を、例えば、おむつ、トレーニングパンツ、吸収性下着、失禁用品、女性用生理用品、限定されるものではないが(例えば、衛生タオル)、水着、ベビー用ワイプ等のようなボディケア用の、例えば吸収性物品、衣類、窓材、下敷き、ベッドプロテクター、包帯、吸収性布、及び医療用ワイプ等の医療用吸収性物品、食品産業用ワイプ、衣料品等のような吸収性物品において使用することができる。この種類の吸収性物品の製造に適した材料及び方法は当業者に知られている。典型的には、吸収性物品は、実質的に液体不透過性の層(例えば、外側シェル)と、液体透過性の層(例えば、身体に面する層)と、バリア層等と、吸収性コアとを備えている。本発明における不織布を、液体不透過性層、液体透過性層、及び/又は吸収性層のうちの1つ以上として使用することができる。
【0253】
本発明のテキスタイル布帛、特に上記の不織布は、上述の用途に限定されず、例えば、衛生、医療、個人保護、家庭用(繊維詰め物等)、衣類、モビリティ/輸送(自動車、電車、航空機、船舶)、エンジニアリング(断熱)、農業、包装、濾過、及びあらゆる使い捨て用途等のあらゆる用途に使用することができる。
【0254】
試験方法:
本明細書において特段の指定がない限り、以下の測定又は試験方法を使用した:
【0255】
線密度:
線密度の決定を、DIN EN ISO 1973に従って行った。
【0256】
生物分解性
判定、試験、及び規格は、(i)ASTM D5338-15(2021)(プラスチック材料の好気的生分解を、好熱温度を取り入れた制御された堆肥化条件下で判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5338-15R21)ASTM International、ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン、2015年、www.astm.org)、(ii)ASTM D6400-12(自治体又は産業施設で好気的に堆肥化されるように設計されたプラスチックの表示に関する標準規格)(DOI:10.1520/D6400-12)、(iii)ASTM D5511(ASTM D5511-11 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5511-11)及びASTM D5511-18 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法;(DOI:10.1520/D5511-18))、(iv)ASTM D6691(ASTM D6691-09 規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-09)及びASTM D6691-17、規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-17))、(v)ASTM D5210-92(下水汚泥の存在下での嫌気的分解)(DOI:10.1520/D5210-92)、(vi)PAS 9017:2020(プラスチック-屋外地上環境におけるポリオレフィンの生分解-規格)、ISBN 978 0 539 17478 6;2021-10-31、(vii)ASTM D5988(ASTM D5988-12 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-12)、ASTM D5988-18 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-18)、ASTM D5988-03 堆肥化後のプラスチック材料又は残留プラスチック材料の土壌における好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-03))、(viii)EN 13432:2000-12 包装-堆肥化及び生分解を通して回収可能な包装についての要件-包装の最終引き渡しのための試験スキーム及び評価基準;ドイツ語版 EN 13432:2000(DOI:10.31030/9010637)、(ix)ISO 14855-1:2013-04(DOI:10.31030/1939267)及びISO 14855-2:2018-07(ICS 83.080.01)制御された堆肥化条件下でのプラスチック材料の好気的究極生分解性の判定(発生した二酸化炭素の分析による方法)、(x)EN 14995:2007-03-プラスチック-堆肥化可能性の評価(DOI:10.31030/9730527)、又は(xi)ISO 17088:2021-04(堆肥化可能なプラスチックについての規格)(ICS 83.080.01)によって形成される群から選択される少なくとも1つの方法に従うものであった。
【0257】
数平均分子量及び質量平均分子量(Mn/Mw)
狭い分布を有する適切なポリマー標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー、特にDIN 55672(ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC))を使用した決定。
【0258】
固有粘度
25℃、0.1%のポリマー濃度におけるクロロホルム中でのGPCを介した測定による決定。
【0259】
ガラス転移温度及び溶融温度
特に、DIN EN ISO 11357-2:2020-08(プラスチック-示差走査熱量測定(DSC)-パート2:ガラス転移温度及びガラス転移に関連するステップ高の決定(Determination of glass transition temperature and the step height related to glass transition))に従うガラス転移温度の決定。
【0260】
特に、DIN EN ISO 11357-3:2018-07(プラスチック-示差走査熱量測定(DSC)-パート3:溶融及び結晶化の温度及びエンタルピーの決定(Determination of the temperatures and enthalpies of melting and crystallization))に従う溶融温度の決定。
【0261】
以下のプロトコルを使用した示差走査熱量測定(DSC)による決定:
DSC測定を窒素下で実施し、インジウムに対して較正した。窒素流量は50mL/分であり、繊維の重量は2mg~3mgの範囲内である。
【0262】
温度は10K/分で-50℃から210℃までの範囲であり、その後5分間等温にし、最後に10K/分で-50℃にまで戻る。
【0263】
概して、最終温度は常に、予想される最高の融点よりもおよそ50℃高かった。
【0264】
DSC測定をTA/WatersのモデルQ100を使用して実施した。
【0265】
溶融粘度
溶融粘度を、GoettfertのRheo Tester 1000を使用して、およそ190℃から280℃の間のポリマーに適した温度で決定した。
【0266】
特に、ASTM D2196-20(回転粘度計による非ニュートン材料のレオロジー特性についての標準試験法(Standard Test Methods for Rheological Properties of Non-Newtonian Materials by Rotational Viscometer))の使用。
【0267】
見掛け粘度
この決定を、国際公開第2007/070064号に記載のように実施した。
【0268】
メルトフローインデックス
ASTM試験法D1238-13(ASTM D1238-13、押出プラストメーターによる熱可塑性プラスチックのメルトフローレートについての標準試験法(Standard Test Method for Melt Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer)、ASTM International、ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン、2013年、www.astm.org)に従う又はDIN EN ISO 1133-1:2012-03(プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の決定-パート1:標準試験法(Plastics - Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and the melt volume flow-rate(MVR) of thermoplastics - Part 1: Standard test method))及びDIN EN ISO 1133-2:2012-03(プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の決定-パート2:時間-温度履歴及び/又は水分に感受性の材料についての手順(Plastics - Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and the melt volume flow-rate(MVR) of thermoplastics - Part 2: Procedure for materials which are sensitive to time-temperature history and/or to moisture))に従う決定。メルトフローインデックスは、例えば2160グラムの力を、例えば190℃で、例えば10分間にわたって加えたときに、押出レオメーターの開口部(例えば、0.0825インチの直径)を通して押し出すことができるポリマーの重量(グラム単位)である。
【0269】
溶融潜熱
溶融潜熱(ΔHf)、結晶化潜熱(ΔHC)、及び結晶化温度の決定を、示差走査熱量測定法(「DSC」)を使用してASTM D-3418(ASTM D3418-15、示差走査熱量測定法によるポリマーの転移温度並びに融解エンタルピー及び結晶化エンタルピーについての標準試験法、ASTM International、ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン、2015年、www.astm.org)又はDIN EN ISO 11357(プラスチック-示差走査熱量測定法(DSC))に従って行った。
【0270】
熱収縮
試料ケーブルトウから12本の繊維(試験片)を作製した。これらを片方の端部でピンセットを用いて端子ブロックに挟着し、もう片方の端部に捲縮除去用の重り(decrimping weight)を固定した。2.2dtexの線密度を有するコア/シェル型の二成分繊維を用いて測定を実施した。捲縮除去用の重りは190mgであった。
【0271】
試験片を備えた端子ブロックを、試験片が予張力下で支持台内に自由に吊り下げられるように支持台に固定した。ここで、選択された出発長さ(通常の場合は150mm)を各繊維にマークした。これを、支持台におけるマーキング線及び試験片に適用されたマーキング点を用いて行った。マークした後に、塞がれた端子ブロックを持ち上げてプレート上に置き直した。ここで、捲縮除去用の重りを取り外し、繊維の自由端を第2の端子ブロックへと挟着した。2つの端子ブロックにまたがる試験片を、張力をかけずにワイヤーフレーム内で吊り下げた。このワイヤーフレームを、正確な処理温度(通常の温度は200℃、110℃、80℃である)に予熱された収縮炉の中央に導入した。5分間の処理時間の後に、ワイヤーフレームを炉から取り出した。端子ブロックを少なくとも30分間冷却した後に、試験片を備えた端子ブロックをフレームから取り外し、繊維をプレート上に置き直した。その後、再測定(back measurement)を行うことができた。このために、試験片にもう一度捲縮除去用の重りを負荷し、支持台に吊り下げた。再測定のために、マーキング点のそれぞれの上端がマーキング線に被り得るように、支持台の調整可能なマーキング線を位置決めした。次いで、個々の繊維ごとにマーク間の長さを支持台上のカウンターから1/10mmの精度で読み取ることができた。
【0272】
長さ変化の計算:長さ変化[%]=(初期長さ[mm]-測定長さ[mm])/(初期長さ[mm])×100%
【0273】
12本の全ての試験片の平均値を使用した。
【0274】
ここで、以下の実施例によって本発明を説明するが、これは決してその範囲を限定するものではない。
【実施例
【0275】
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を、以下の特性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から紡糸する:
【0276】
PETの場合、溶融押出を、280℃~290℃の温度で1本以上のスクリューを備えた押出機によって行う。
【0277】
添加剤Aを押出機の供給口で2重量%のレベルのマスターバッチ投入量にて加える。このマスターバッチは、担体としてのPETポリエステルと、脂肪族ポリエステル及びCaCOを含む添加剤とからなる。
【0278】
繊維急冷を交差流及び40℃の空気温度によって行い、繊維のドローダウン速度は1400m/分である。紡糸繊維の繊度は5.4dtexである。
【0279】
繊維の延伸を最大4の延伸比での1段階又は2段階の延伸によって行い、最終的なdtexは2.5dtexである。ヒートセットを110℃~130℃で行う。
【0280】
製造された繊維を38mmの長さを有するステープルファイバーに切断する。
【0281】
製造された繊維をASTM D5511に従って試験し、208日後に結果を得る:
【0282】
【表1】
【0283】
生分解をコントロールと対比して図1に示す。
【0284】
実施例2
ポリエチレンテレフタレート(PET)をコア(熱可塑性ポリマーA)として有し、ポリプロピレン(PP)をシェル(シース)(熱可塑性ポリマーB)として有する二成分繊維を、以下の特性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂及びポリプロピレン(PP)樹脂から紡糸する:
【0285】
溶融押出を、PETの場合は270℃の温度で1本以上のスクリューを備えた押出機によって行い、PPの場合は250℃の温度で1本以上のスクリューを備えた別の押出機によって行う。
【0286】
添加剤AをPETに押出機の供給口で2重量%のレベルのマスターバッチ投入量にて加える。このマスターバッチは、担体としてのPETポリエステルと、脂肪族ポリエステル及びCaCOを含む添加剤とからなる。
【0287】
添加剤BをPPに押出機の供給口で2重量%のレベルのマスターバッチ投入量にて加える。このマスターバッチは、担体としてのPPと、遷移金属化合物及び不飽和カルボン酸を含む添加剤とからなる。
【0288】
繊維急冷を交差流及び20℃の空気温度によって行い、繊維のドローダウン速度は1000m/分である。紡糸繊維の繊度は5.4dtexである。
【0289】
繊維の延伸を最大4の延伸比での1段階又は2段階の延伸によって行い、最終的なdtexは2.5dtexである。ヒートセットを110℃~130℃で行う。
【0290】
製造された繊維を38mmの長さを有するステープルファイバーに切断し、熱融着によって不織布を製造する。
【0291】
こうして製造された不織布をコントロールとして密封した真空バッグ内に保持し、こうして製造された別の不織布を60℃及び60%の相対湿度で1年間(365日)にわたって試験する。
【0292】
分解をコントロールと対比して図2a~図2eに示す。PPシースの分解がはっきりと目に見えるようになる。図2eは、裂け目(fraction)の形状がPETに典型的なキノコ形から材料が脆くなったことを示す形状へと明らかに変化していることから、PETコアの分解を示している。この試験では、機械的試験機によって繊維に再現的に(規定の速度で)軸方向の応力を加えた。
【0293】
この二成分繊維のコアは、ASTM D5511に従って分解が実証済みの実施例1に記載される繊維と同じ材料組成(ポリマー及び添加剤)を有している。
【0294】
実施例3
ポリエチレンテレフタレート(PET)をコア(熱可塑性ポリマーA)として有し、コポリエチレンテレフタレート(coPET)をシェル(シース)(熱可塑性ポリマーB)として有する二成分繊維を、以下の特性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂及びコポリエチレンテレフタレート(coPET)樹脂から紡糸する:
【0295】
溶融押出を、PETの場合は290℃の温度で1本以上のスクリューを備えた押出機によって行い、coPETの場合は280℃の温度で1本以上のスクリューを備えた別の押出機によって行う。
【0296】
添加剤AをPETに押出機の供給口で2重量%のレベルのマスターバッチ投入量にて加える。このマスターバッチは、担体としてのPETポリエステルと、脂肪族ポリエステル及びCaCOを含む添加剤とからなる。
【0297】
添加剤BをcoPETに押出機の供給口で2重量%のレベルのマスターバッチ投入量にて加える。この添加剤Bは添加剤Aと同一である。
【0298】
繊維急冷を交差流及び35℃の空気温度によって行い、繊維のドローダウン速度は1200m/分である。紡糸繊維の繊度は5.4dtexである。
【0299】
繊維の延伸を最大4.5の延伸比での1段階又は2段階の延伸によって行い、最終的なdtexは2.5dtexである。ヒートセットを80℃で行う。
【0300】
製造された繊維を38mmの長さを有するステープルファイバーに切断し、熱融着によって不織布を製造する。
【0301】
得られた繊維は、課せられた全ての要件を満たす。この二成分繊維のコアは、ASTM D5511に従って分解が実証済みの実施例1に記載される繊維と同じ材料組成(ポリマー及び添加剤)を有している。シースは、コポリエステルの融点がコアのポリエステルよりも低いという点で異なることから、この繊維を熱融着不織布用に使用することが可能となる。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
【手続補正書】
【提出日】2022-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1種の成分A及び少なくとも1種の成分Bを含み、
(ii)前記成分Aが熱可塑性ポリマーAを含み、
(iii)前記成分Bが熱可塑性ポリマーBを含む、多成分ポリマー繊維であって、
(iv)前記成分Aは、前記多成分繊維の生物分解性を高める少なくとも1種の添加剤Aを更に有し、かつ前記成分Bは、前記多成分繊維の生物分解性を高める添加剤Bを有しないか、又は、
(v)前記成分Bは、前記多成分繊維の生物分解性を高める少なくとも1種の添加剤Bを更に有し、かつ前記成分Aは、前記多成分繊維の生物分解性を高める添加剤Aを有しないか、又は、
(vi)前記成分Aは、少なくとも1種の添加剤Aを更に有し、かつ前記成分Bは、少なくとも1種の添加剤Bを更に有し、これらは一緒になって前記多成分繊維の生物分解性を高めるが、但し、(i)前記熱可塑性ポリマーA及び前記熱可塑性ポリマーBが同一である場合、前記添加剤A及び前記添加剤Bは異なり、又は(ii)前記添加剤A及び前記添加剤Bが同一である場合、熱可塑性ポリマーA及び熱可塑性ポリマーBは異なり、
前記繊維は、前記添加剤A及び/又は前記添加剤Bを含まない多成分繊維と比較して高められた生物分解性を有し、かつ前記生物分解性は、以下の群:
(i)ASTM D5338-15(2021)(プラスチック材料の好気的生分解を、好熱温度を取り入れた制御された堆肥化条件下で判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5338-15R21)ASTM International、ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン、2015年、www.astm.org)、
(ii)ASTM D6400-12(自治体又は産業施設で好気的に堆肥化されるように設計されたプラスチックの表示に関する標準規格)(DOI:10.1520/D6400-12)、
(iii)ASTM D5511(ASTM D5511-11 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5511-11)及びASTM D5511-18 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法;(DOI:10.1520/D5511-18))、
(iv)ASTM D6691(ASTM D6691-09 規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-09)及びASTM D6691-17、規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-17))、
(v)ASTM D5210-92(下水汚泥の存在下での嫌気的分解)(DOI:10.1520/D5210-92)、
(vi)PAS 9017:2020(プラスチック-屋外地上環境におけるポリオレフィンの生分解-規格)、ISBN 978 0 539 17478 6;2021-10-31、
(vii)ASTM D5988(ASTM D5988-12 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-12)、ASTM D5988-18 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-18)、ASTM D5988-03 堆肥化後のプラスチック材料又は残留プラスチック材料の土壌における好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-03))、
(viii)EN 13432:2000-12 包装-堆肥化及び生分解を通して回収可能な包装についての要件-包装の最終引き渡しのための試験スキーム及び評価基準;ドイツ語版 EN 13432:2000(DOI:10.31030/9010637)、
(ix)ISO 14855-1:2013-04(DOI:10.31030/1939267)及びISO 14855-2:2018-07(ICS 83.080.01)制御された堆肥化条件下でのプラスチック材料の好気的究極生分解性の判定(発生した二酸化炭素の分析による方法)、
(x)EN 14995:2007-03-プラスチック-堆肥化可能性の評価(DOI:10.31030/9730527)、又は、
(xi)ISO 17088:2021-04(堆肥化可能なプラスチックについての規格)(ICS 83.080.01)、
から選択される少なくとも1つの方法に従って判定されることを特徴とする、多成分ポリマー繊維。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、以下の群:
(i)アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-(ジエン)-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-メタクリレートコポリマー、アクリロニトリル-メチルメタクリレートコポリマー、塩素化アクリロニトリル、ポリエチレン-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレンコポリマー、セルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、水和セルロース、カルボキシメチルセルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エチレン-アクリル酸コポリマー、エチレン-ブチルアクリレートコポリマー、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー、エチレン-エチルアクリレートコポリマー、エチレン-メタクリレートコポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリフルオロエチレン-プロピレン、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエンスチレンコポリマー、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレンコポリマー、メチルセルロース、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド6-3-T、ポリアミド6-テレフタル酸コポリマー、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミドMXD6、ポリアミドPDA-T、ポリアミド、ポリアリールエーテル、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアリールアミド、ポリアミノ-ビス-マレイミド、ポリアリレート、ポリブテン-1、ポリブチルアクリレート、ポリベンズイミダゾール、ポリ-ビス-マレイミド、ポリオキサジアゾベンズイミダゾール、ポリブチルテレフタレート、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリエステルカーボネート、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエチレンオキシド、ポリアリールエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリイソシアヌレート、ポリイミドスルホン、ポリメタクリルイミド、ポリメタクリレート、ポリ-4-メチルペンテン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリフェニルオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-イソプレンコポリマー、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、スチレン-無水マレイン酸-ブタジエンコポリマー、スチレンメチルメタクリレートコポリマー、スチレン-メチルスチレンコポリマー、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル-エチレンコポリマー、塩化ビニル-メタクリレートコポリマー、塩化ビニル-無水マレイン酸コポリマー、塩化ビニル-マレイミドコポリマー、塩化ビニル-メチルメタクリレートコポリマー、塩化ビニル-オクチルアクリレートコポリマー、塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル-塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル-塩化ビニリデン-アクリロニトリルコポリマー、及び/又は、
(ii)合成バイオポリマー、
から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項3】
前記合成バイオポリマーは、ポリオールと、脂肪族及び/又は芳香族のジカルボン酸又はそれらの誘導体(無水物、エステル)とから重縮合によって製造される1種以上の脂肪族、芳香脂肪族のポリエステル又はコポリエステルであってもよく、ここで、前記ポリオールは置換又は非置換であってもよく、かつ前記ポリオールは直鎖状ポリオール又は分岐鎖状ポリオールであってもよいことを特徴とする、請求項2に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項4】
(i)前記ポリオールは、2個~8個の炭素原子を含み、(ii)前記脂肪族ジカルボン酸は、2個~12個の炭素原子を含む脂肪族ジカルボン酸及び5個~10個の炭素原子を含む脂環式ジカルボン酸によって形成される群から選択される置換又は非置換の直鎖状又は分岐鎖状の非芳香族ジカルボン酸を含み、ここで、前記脂環式ジカルボン酸は、環内にヘテロ原子を含んでいてもよく、(iii)前記芳香族ジカルボン酸は、6個~12個の炭素原子を含む芳香族ジカルボン酸によって形成される群から選択される置換又は非置換の芳香族ジカルボン酸を含み、ここで、これらのカルボン酸は、芳香族環内に及び/又は置換基内にヘテロ原子を含んでいてもよく、(iv)前記置換された芳香族ジカルボン酸は、ハロゲン、C~C10アリール、及びC~Cアルコキシから選択される1個~4個の置換基を含むことを特徴とする、請求項3に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項5】
前記合成バイオポリマーは、少なくとも4個の炭素原子の繰返単位を有する脂肪族ポリエステル、例えばポリヒドロキシバレレート及びポリヒドロキシブチレート-ヒドロキシバレレートコポリマー等のポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、フランジカルボン酸、並びにサクシネートベースの脂肪族ポリマー(例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、及びポリエチレンサクシネート)によって形成される群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。具体的な例は、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンマロネート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンオキサレート、ポリプロピレンマロネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンマロネート、ポリブチレンサクシネート、並びにこれらの化合物のブレンド及びコポリマーから選択され得る。
【請求項6】
前記合成バイオポリマーは、乳酸(PLA)、ヒドロキシ脂肪酸(PHF)(ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)としても知られる)、特にヒドロキシブタン酸(PHB)の繰返単位を含む脂肪族ポリエステル、並びにサクシネートベースの脂肪族ポリマー、例えばポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、及びポリエチレンサクシネート)であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、-125℃~200℃の範囲内、特に-125℃~100℃の範囲内のガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、120℃~285℃の範囲内、特に150℃~270℃の範囲内、特に好ましくは175℃~270℃の範囲内の溶融温度を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、ポリ乳酸(PLA)及びそれらのコポリマー、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル(PHF)及びそれらのコポリマー、並びに前記ポリマーのブレンドによって形成される群から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項10】
少なくとも前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、溶融紡糸可能な合成バイオポリマーによって形成される群から選択され、ここで、バイオベースの出発材料からの重縮合物及び重合物が特に好ましいことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項11】
前記多成分ポリマー繊維は、前記成分Aがコアを形成し、かつ前記成分Bがシェルを形成し、かつ成分Aにおける前記熱可塑性ポリマーの融点は、成分Bにおける前記熱可塑性ポリマーの融点より少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃高いことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項12】
前記繊維は、(i)前記成分Aにおいて少なくとも1種の添加剤Aを有するか、又は(ii)前記成分Bにおいて少なくとも1種の添加剤Bを有するか、又は(iii)前記成分Aにおいて少なくとも1種の添加剤を有し、かつ前記成分Bにおいて少なくとも1種の添加剤Bを有するが、但し、前記添加剤A及び前記添加剤Bは異なっているか、又は少なくとも1種の添加剤Aが前記成分Aにおいて存在し、かつ少なくとも1種の添加剤Bが前記成分Bにおいて存在する限り、前記熱可塑性ポリマーA及び前記熱可塑性ポリマーBが異なる場合に、前記添加剤A及び前記添加剤Bは同一であってもよいことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項13】
前記添加剤A及び前記添加剤Bは、以下の群:
(i)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaO、
(ii)脂肪族ポリエステル、
(iii)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、
(iv)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、
(v)特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒、
(vi)金属化合物、特に遷移金属化合物、及びそれらの塩、
(vii)不飽和カルボン酸又はそれらの無水物/エステル/アミド、
(viii)合成ゴム、天然ゴム、
(ix)炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、
並びに上述の物質の混合物、
から選択されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項14】
前記添加剤Aは、前記成分Aの総重量に対して、好ましくは0.005重量%から20重量%の間、特に好ましくは0.01重量%から5重量%の間の前記成分Aの割合を有し、かつ前記添加剤Bは、前記成分Bの総重量に対して、好ましくは0.005重量%から20重量%の間、特に好ましくは0.01重量%から5重量%の間の前記成分Bの割合を有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項15】
前記繊維は、連続繊維、好ましくはステープルファイバーであるか、又は連続フィラメントであり、好ましくは二成分繊維であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維。
【請求項16】
(i)成分Aが繊維のコアを形成し、かつ成分Bが繊維のシェルを形成し、
(ii)前記コアにおける前記成分Aが、熱可塑性ポリマーAを含み、
(iii)前記成分Bが、熱可塑性ポリマーBを含み、
(iv)前記コア内の前記成分Aにおける前記熱可塑性ポリマーの融点が、前記シェル内の前記成分Bにおける前記熱可塑性ポリマーの融点より少なくとも5℃高く、好ましくは前記融点が、少なくとも10℃高い、コア/シェル構造を有する二成分繊維であって、
(v)前記成分Aは、前記成分Bよりも高い生物分解性を有し、好ましくは、前記成分Aは、少なくとも1種の添加剤Aを有するか、又は、
(vi)前記成分Bは、前記成分Aよりも高い生物分解性を有し、好ましくは、前記成分Bは、少なくとも1種の添加剤Bを有し、
前記生物分解性は、以下の群:
(i)ASTM D5338-15(2021)(プラスチック材料の好気的生分解を、好熱温度を取り入れた制御された堆肥化条件下で判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5338-15R21)ASTM International、ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン、2015年、www.astm.org)、
(ii)ASTM D6400-12(自治体又は産業施設で好気的に堆肥化されるように設計されたプラスチックの表示に関する標準規格)(DOI:10.1520/D6400-12)、
(iii)ASTM D5511(ASTM D5511-11 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5511-11)及びASTM D5511-18 高固体嫌気的消化条件下でのプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験法;(DOI:10.1520/D5511-18))、
(iv)ASTM D6691(ASTM D6691-09 規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-09)及びASTM D6691-17、規定の微生物コンソーシアム又は天然海水接種による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D6691-17))、
(v)ASTM D5210-92(下水汚泥の存在下での嫌気的分解)(DOI:10.1520/D5210-92)、
(vi)PAS 9017:2020(プラスチック-屋外地上環境におけるポリオレフィンの生分解-規格)、ISBN 978 0 539 17478 6;2021-10-31、
(vii)ASTM D5988(ASTM D5988-12 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-12)、ASTM D5988-18 土壌におけるプラスチック材料の好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-18)、ASTM D5988-03 堆肥化後のプラスチック材料又は残留プラスチック材料の土壌における好気的生分解を判定するための標準試験法(DOI:10.1520/D5988-03))、
(viii)EN 13432:2000-12 包装-堆肥化及び生分解を通して回収可能な包装についての要件-包装の最終引き渡しのための試験スキーム及び評価基準;ドイツ語版 EN 13432:2000(DOI:10.31030/9010637)、
(ix)ISO 14855-1:2013-04(DOI:10.31030/1939267)及びISO 14855-2:2018-07(ICS 83.080.01)制御された堆肥化条件下でのプラスチック材料の好気的究極生分解性の判定(発生した二酸化炭素の分析による方法)、
(x)EN 14995:2007-03-プラスチック-堆肥化可能性の評価(DOI:10.31030/9730527)、又は、
(xi)ISO 17088:2021-04(堆肥化可能なプラスチックについての規格)(ICS 83.080.01)、
から選択される少なくとも1つの方法に従って判定されることを特徴とする、二成分繊維。
【請求項17】
前記添加剤A及び/又は前記添加剤Bは、(i)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaO、(ii)脂肪族ポリエステル、(iii)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、(iv)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、(v)特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒、(vi)炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物によって形成される群から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の二成分繊維。
【請求項18】
前記熱可塑性ポリマーA及び/又は前記熱可塑性ポリマーBは、少なくとも1種のポリエステルを含むが、但し、前記ポリエステルは、前記添加剤A及び/又は前記添加剤Bが脂肪族ポリエステルである場合に芳香脂肪族のポリエステル又はコポリエステルであることを特徴とする、請求項16又は17に記載の二成分繊維。
【請求項19】
前記添加剤A及び/又は前記添加剤Bは、
A)塩基性アルカリ及び/又はアルカリ土類化合物(水中に溶解されてpH>7)、特に炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、特に好ましくはCaCO、及びアルカリ性添加剤、特に好ましくはCaOと、特に塩基性条件下でのエステル交換用の触媒との組合せ、
B)糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類と、炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロース、及びそれらの混合物との組合せ、
C)脂肪族ポリエステルと、糖類、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類、又は炭水化物、特にデンプン及び/又はセルロースとの組合せ、
D)脂肪酸エステル、好ましくはC~C40-アルキルステアレート、より好ましくはC~C20-アルキルステアレート、最も好ましくはエチルステアレート、及びそれらの混合物、
によって形成される群から選択されることを特徴とする、請求項1618のいずれか一項に記載の二成分繊維。
【請求項20】
テキスタイル布帛を製造するための、請求項1~15のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維、又は請求項1619のいずれか一項に記載の二成分繊維の使用。
【請求項21】
請求項1~15のいずれか一項に記載の多成分ポリマー繊維、又は請求項1619のいずれか一項に記載の二成分繊維を含むテキスタイル布帛。
【請求項22】
前記テキスタイル布帛は、好ましくはステープルファイバーに基づく不織布、特にウェットレイド不織布又はドライレイド不織布であり、ここで、前記不織布は、好ましくは熱融着によってコンソリデートされていることを特徴とする、請求項21に記載のテキスタイル布帛。
【請求項23】
前記テキスタイル布帛、特に不織布は、10g/mから500g/mの間、好ましくは25g/m~450g/m、特に30g/m~300g/mの目付を有することを特徴とする、請求項21又は22に記載のテキスタイル布帛。
【国際調査報告】