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特表2024-507069高温転圧加工方法及びその加工装置並び適用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】高温転圧加工方法及びその加工装置並び適用
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/80 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
C04B41/80 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544217
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 CN2022111119
(87)【国際公開番号】W WO2023138035
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210054643.9
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523273923
【氏名又は名称】武漢位錯科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】譚 池
(57)【要約】
【要約】高温転圧加工方法及びその加工装置並び適用を開示し、当該装置には、力賦与コンポーネント、転圧コンポーネント、温度制御コンポーネントと載物コンポーネントを含み;温度制御コンポーネントには、温度制御ボックスと支持台を含み、支持台は温度制御ボックスの内部空洞の中に配置され;載物コンポーネントには、水平方向に設置された運搬車、伝動棒と第1のモータが含まれ、伝動棒の一端は運搬車の側面に接続され、他端は温度制御ボックスの壁を貫通した後第1のモータの回転軸に接続され、第1のモータは運搬車の水平方向の移動を制御するために使用され;力賦与コンポーネントは垂直方向に沿って配置され、且つその底部は温度制御ボックスを貫通した後、転圧コンポーネントに接続され、転圧コンポーネントの底部は運搬車上の加工する試料に当接する。本発明は、各構成要素の協調配置により、試料の表面に精密な高温転圧加工を行うことができ、転圧処理後の試料は、機械的特性と電気的特性が大幅に向上し、熱伝導率が大幅に低下し、同時に、加工中の亀裂の発生も回避される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温転圧加工方法であって、
加工する試料を所定温度に加熱し、所定温度を維持し、前記試料の加工する表面に所定圧力を加えながら周期的に往復転圧し;
所定時間に達するまで前記試料を転圧した後、室温まで冷却し、表面に残留圧縮応力層を有する試料を得て;
前記試料は前記所定温度で亀裂が発生することなく塑性変形し、前記所定圧力、所定時間は、試料の表面に形成される残留圧縮応力層の厚さに適合するステップを含む
ことを特徴とする高温転圧加工方法。
【請求項2】
高温転圧加工装置であって、力賦与コンポーネント、転圧コンポーネント、温度制御コンポーネントと載物コンポーネントを含み;
前記温度制御コンポーネントは、温度制御ボックスと前記温度制御ボックスの内部空洞の中に配置される支持台を含み;
前記載物コンポーネントには、水平方向に設置された運搬車、伝動棒と第1のモータが含まれ、前記伝動棒の一端は運搬車の側面に接続され、他端は前記温度制御ボックスの壁を貫通した後、前記第1のモータの回転軸に接続され、前記第1のモータは前記運搬車の水平方向の移動を制御するために使用され;
前記力賦与コンポーネントは垂直方向に沿って配置され、且つその底部は前記温度制御ボックスを貫通した後、前記転圧コンポーネントに接続され、前記転圧コンポーネントの底部は前記運搬車上の加工する試料に当接して、加工する試料を高温転圧するために使用され;
前記高温転圧加工装置は請求項1に記載の高温転圧加工方法を実行するために使用される
ことを特徴とする高温転圧加工装置。
【請求項3】
前記力賦与コンポーネントには、同軸に設置された力賦与ターンテーブル、第1の力伝達棒、力センサー、第2の力伝達棒、第3の力伝達棒、第2のモータ超音波トランスデューサおよび水冷コンポーネントを含み;
前記第1の力伝達棒の一端は前記力賦与ターンテーブルの中心に接続され、前記第1の力伝達棒の他端は前記第2の力伝達棒の頂部に同軸に接続され、前記力センサーは前記第1の力伝達棒にスリーブされるように取り付けられ;
第2の力伝達棒は筒状構造を有し、前記第3の力伝達棒の一端は前記第2の力伝達棒の底部を貫通した後、前記第2のモータの回転軸に接続され、前記第3の力伝達棒の他端は前記温度制御ボックスを貫通した後、前記転圧コンポーネントに接続され;
前記超音波トランスデューサは、前記第3力伝達棒にスリーブで取り付けられ、第2力伝達棒の近くに配置され、前記水冷コンポーネントは第3力伝達棒にスリーブで付けられ、前記超音波トランスデューサと温度制御ボックスの間に配置され;
前記第2のモータは、前記第3の力伝達棒を制御して、前記転圧コンポーネントを軸方向に沿って回転運動するように駆動する
請求項1に記載の高温転圧加工装置。
【請求項4】
前記超音波トランスデューサは外部の超音波制御コンポーネントと電気接続され、前記超音波制御コンポーネントはパワーアンプと信号発生器を含み、前記パワーアンプは前記信号発生器、超音波トランスデューサにそれぞれ電気接続され;
前記信号発生器は電圧信号を出力して、前記パワーアンプに伝送し、前記パワーアンプは電圧信号を増幅した後前記超音波トランスデューサに伝送し、超音波振動は前記超音波トランスデューサから発せられ、前記第3力伝達棒を介して前記圧延コンポーネントに伝達される
請求項2に記載の高温圧延加工装置。
【請求項5】
前記転圧コンポーネントはボール固定部材といくつかのボールを含み、前記ボール固定部材の頂部は、前記第3の力伝達棒の前記第2の力伝達棒から離れた一端に接続され、前記ボール固定部材の底部にはいくつかの前記ボールが動き可能に嵌め込まれ、いくつかの前記ボールは、前記運搬車上の加工する試料に当接し、加工する試料に対して高温転圧を実行し;
高温転圧する場合、前記ボールの硬度は加工する試料の硬度より高い
請求項2に記載の高温転圧加工装置。
【請求項6】
前記高温転圧加工装置は、更にフレーム機構を含み、前記フレーム機構はいくつかの支持棒、第1の固定部材、第2の固定部材、温度制御ボックス支持部材及びベースを含み;
前記いくつかの支持棒はいずれも垂直方向に沿って配置され、前記第1の固定部材、第2の固定部材、温度制御ボックス支持部材及びベースはいずれも水平に配置され、且ついずれも前記支持棒に垂直するように固定接続され;
前記第1の固定部材は前記力賦与ターンテーブルと力センサーとの間に配置され、且つ前記第1の力伝達棒は前記第1の固定部材の中部を動き可能に貫通し;
前記第2の固定部材は第2のモータに固定接続され、第2の力伝達棒、第3の力伝達棒は両方とも前記第2の固定部材の中部を動き可能に貫通し;
前記温度制御ボックス支持部材は、前記温度制御ボックスの底部、支持台の底部と接続されている
請求項2に記載の高温転圧加工装置。
【請求項7】
前記載物コンポーネントは更にモータ制御ボックス及び制御ボックス支持部材を含み、前記モータ制御ボックスは前記第1のモータと電気接続されており、前記第1のモータの回転速度及び回転方向を制御し、前記運搬車のスライド速度を制御するために使用され;
前記制御ボックス支持部材は支持棒と接続されており、前記第1のモータ及びモータ制御ボックスを支持するために使用される
請求項6に記載の高温転圧加工装置。
【請求項8】
前記温度制御コンポーネントは、更に温度制御装置を含み、前記温度制御装置は前記温度制御ボックスと電気接続しており、前記温度制御ボックスの内部空洞温度を制御するために使用される
請求項1に記載の高温転圧加工装置。
【請求項9】
前記高温転圧加工装置は更にガス制御ボックスとガス貯蔵タンクを含む雰囲気供給機構を含み、ガス制御前記ガス制御ボックスは、パイプラインを介して前記ガス貯蔵タンク、温度制御ボックスの内部空洞とそれぞれ連通し、前記ガス制御ボックスは前記ガス貯蔵タンクにおける作動ガス輸出の流量と流速を制御するために使用される
請求項1に記載の高温転圧加工装置。
【請求項10】
前記高温転圧加工装置がセラミックスや半導体材料の表面を強靱化し、材料の電気的及び熱的特性を改善するために使用される
ことを特徴とする請求項2ないし9のいずれかに記載の高温転圧加工装置の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料加工の分野に関し、特に高温転圧加工方法および加工装置並びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、低靭性材料の強靱化方法には、主に粒子強靱化、繊維ウィスカー強靱化、相変態強靱化、残留応力強靱化などが含まれ、セラミック材料を例にとると、セラミック材料は破壊靱性が低く、加工や使用中に材料表面に微小亀裂が入りやすく、使用中に亀裂が発生し、拡大する可能性があり、材料の信頼性が大きく低下になる。先行技術では、セラミックス材料の機械的改質方法の一つとして、化学処理、熱処理、ショットピーニング等によりセラミックス表面に残留圧縮応力層を導入する方法が知られ、その中で、化成処理によって導入できる残留圧縮応力層は非常に薄く、材料の強化効果は限られており、材料自体の他の特性に影響を与える;熱処理やショットピーニング技術により、一部の材料のみが改質でき、プロセスの安定性に影響を受け、処理プロセス中に材料表面に新たな亀裂欠陥が発生しやすくなり、材料の機械的特性のばらつきが大きくなる。したがって、低靱性材料の場合、既存の強靱化方法では元の材料を変更せずに亀裂の発生を回避することは困難であるため、低靱性材料に対しては、上記の既存の問題を解決する普遍的な加工方法を提案する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術による低靱性材料の表面処理効果が低いという問題を解決するための高温転圧加工方法及びその加工装置並び適用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の技術問題を解決するために、加工する試料を所定温度に加熱し、所定温度を維持し、試料の加工する表面に所定圧力を加えながら所定スライド周期で往復転圧し;所定時間に達するまで試料を転圧した後、室温まで冷却し、表面に残留圧縮応力層を有する試料を得て;試料は所定温度で亀裂が発生することなく塑性変形し、所定圧力、所定時間は、試料の表面に形成される残留圧縮応力層の厚さに適合するステップを含む高温転圧加工方法を第1の解決策として提供する。
【0005】
本発明は、上記の技術問題を解決するために、力賦与コンポーネント、転圧コンポーネント、温度制御コンポーネントと載物コンポーネントを含み;温度制御コンポーネントは、温度制御ボックスと支持台を含み、支持台は温度制御ボックスの内部空洞の中に配置され;載物コンポーネントには、水平方向に設置された運搬車、伝動棒と第1のモータが含まれ、伝動棒の一端は運搬車の側面に接続され、他端は温度制御ボックスの壁を貫通した後、第1のモータの回転軸に接続され、第1のモータは運搬車の水平方向の移動を制御するために使用され;力賦与コンポーネントは垂直方向に沿って配置され、且つその底部は温度制御ボックスを貫通した後、転圧コンポーネントに接続され、転圧コンポーネントの底部は運搬車上の加工する試料に当接して、加工する試料を高温転圧するために使用される高温転圧加工装置を第2の解決策として提供し;当該高温転圧加工装置は前記第1の解決策における高温転圧加工方法を実行するために使用される。
【0006】
好ましくは、力賦与コンポーネントには、同軸に設置された力賦与ターンテーブル、第1の力伝達棒、力センサー、第2の力伝達棒、第3の力伝達棒、第2のモータ、超音波トランスデューサ、および水冷コンポーネントを含み;第1の力伝達棒の一端は力賦与ターンテーブルの中心に接続され、第1の力伝達棒の他端は第2の力伝達棒の頂部に同軸に接続され、力センサーは第1の力伝達棒にスリーブされるように取り付けられ;第2の力伝達棒は筒状構造を有し、第3の力伝達棒の一端は第2の力伝達棒の底部を貫通した後、第2のモータの回転軸に接続され、第3の力伝達棒の他端は温度制御ボックスを貫通した後、転圧コンポーネントに接続され;超音波トランスデューサは、第3の力伝達棒にスリーブで取り付けられ、且つ第2の力伝達棒の近くに配置され、水冷コンポーネントは第3の力伝達棒にスリーブされるように付けられ、超音波トランスデューサと温度制御ボックスの間に配置され;第2のモータは、第3の力伝達棒を制御して、転圧コンポーネントを軸方向に沿って回転運動するように駆動する。
【0007】
好ましくは、超音波トランスデューサは外部の超音波制御コンポーネントと電気接続され、超音波制御コンポーネントはパワーアンプと信号発生器を含み、パワーアンプは信号発生器、超音波トランスデューサにそれぞれ電気接続され;信号発生器は電圧信号を発送して、パワーアンプに伝送し、パワーアンプは電圧信号を増幅した後、超音波トランスデューサに伝送し、超音波振動は超音波トランスデューサから発せられ、第3の力伝達棒を介して転圧コンポーネントに伝達される。
【0008】
好ましくは、転圧コンポーネントはボール固定部材といくつかのボールを含み、ボール固定部材の頂部は、第3の力伝達棒の第2の力伝達棒から離れた一端に接続され、ボール固定部材の底部にはいくつかのボールが動き可能に嵌め込まれ、いくつかのボールは、運搬車上の加工する試料に当接し、加工する試料に対して高温転圧を実行し;高温転圧する場合、ボールの硬度は加工する試料の硬度より高くなっている。
【0009】
好ましくは、高温転圧加工装置は、更にフレーム機構を含み、フレーム機構はいくつかの支持棒、第1の固定部材、第2の固定部材、温度制御ボックス支持部材及びベースを含み;いくつかの支持棒はいずれも垂直方向に沿って配置され、第1の固定部材、第2の固定部材、温度制御ボックス支持部材及びベースはいずれも水平に配置され、且ついずれも支持棒に垂直するように固定接続され;第1の固定部材は力賦与ターンテーブルと力センサーとの間に配置され、且つ第1の力伝達棒は第1の固定部材の中部を動き可能に貫通し;第2の固定部材は第2のモータに固定接続され、且つ第2の力伝達棒、第3の力伝達棒はいずれも第2の固定部材の中部を動き可能に貫通し;温度制御ボックス支持部材は、温度制御ボックスの底部、支持台の底部と接続されている。
【0010】
好ましくは、載物コンポーネントは更にモータ制御ボックス及び制御ボックス支持部材を含み、モータ制御ボックスは第1のモータと電気接続されて、第1のモータの回転速度及び回転方向を制御し、運搬車のスライド速度を制御するために使用され;制御ボックス支持部材は支持棒と接続されており、第1のモータ及びモータ制御ボックスを支持するために使用される。
【0011】
好ましくは、温度制御コンポーネントは、更に温度制御装置を含み、温度制御装置は温度制御ボックスと電気接続して、温度制御ボックスの内部空洞温度を制御するために使用される。
【0012】
好ましくは、高温転圧加工装置は更にガス制御ボックスとガス貯蔵タンクを含む雰囲気供給機構を含み、ガス制御ガス制御ボックスは、パイプラインを介してガス貯蔵タンク、温度制御ボックスの内部空洞とそれぞれ連通し、ガス制御ボックスはガス貯蔵タンクにおける作動ガス輸出の流量と流速を制御するために使用される。
【0013】
本発明は、上記の技術問題を解決するために、上記第2の解決策における高温転圧加工装置の使用である第3の解決策を提供し:、当該高温転圧加工装置がセラミックスや半導体材料の表面を強靱化し、材料の電気的及び熱的特性を改善するために使用される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は:従来技術の状況とは異なり、本発明は、高温転圧加工方法及びその加工装置と適用を提供し、力賦与コンポーネント、転圧コンポーネント、温度制御コンポーネントと載物コンポーネント協調配置により、加工する試料の表面に精密な高温転圧加工を行うことができ、転圧処理後の試料は、機械的特性と電気的特性が大幅に向上し、熱伝導率が大幅に低下し、同時に、加工過程中の亀裂の発生も効果的に回避する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における高温転圧材料加工装置の一実施形態の構造概略図
図2図1におけるA領域の詳細構成図
図3】本発明実施例1におけるアルミナセラミック板の加工効果図
図4】本発明の改良された転圧コンポーネントの三次元構造の概略図
図5】本発明の改良された転圧コンポーネントの円筒状試料外壁を高温転圧処理する概略図
図6】本発明の改良された転圧コンポーネントの円筒状試料内壁を高温転圧処理する概略図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例における技術的解決策は、本発明の実施例を参照して以下に明確かつ完全に説明されるが、明らかに、説明される実施例は本発明の実施例の一部にすぎず、すべてではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な努力を支払わずに、当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に属する。
【0017】
本発明の第1の解決策について、本発明が提案する高温転圧加工方法は加工する試料を所定温度に加熱し、所定温度を維持し、試料の加工する表面に所定圧力を加えて所定スライド周期で往復転圧し;所定時間に達するまで試料を転圧した後、室温まで冷却し、表面に残留圧縮応力層を有する試料を得て;試料は所定温度で亀裂が発生することなく塑性変形し、所定圧力、所定時間は、試料の表面に形成される残留圧縮応力層の厚さに応じて設定されるステップを含む。
【0018】
本発明の第2の解決策について、図1及び図2を参照すると、本発明における高温転圧加工装置は、力賦与コンポーネント1、転圧コンポーネント2、温度制御コンポーネント3と載物コンポーネント4及びフレーム機構5を含み;温度制御コンポーネント3は、温度制御ボックス31と支持台32を含み、支持台32は温度制御ボックス31の内部空洞の中に配置され、温度制御コンポーネント3を使用して内部空洞の温度を制御し;載物コンポーネント4には、水平方向に設置された運搬車41、伝動棒42と第1のモータ43が含まれ、運搬車41は支持台32の上に配置され、伝動棒42の一端は運搬車41の側面に接続され、他端は温度制御ボックス31の側壁を貫通した後、第1のモータ43の回転軸に接続され、第1のモータ43は運搬車41の水平方向の移動を制御するために使用され;力賦与コンポーネント1は垂直方向に沿って配置され、且つその底部は温度制御ボックス31を貫通した後、転圧コンポーネント2に接続され、転圧コンポーネント2の底部は運搬車41上の加工する試料7に当接して、加工する試料7を高温転圧するために使用され、試料7の表面に対する塑性加工が終了し、室温まで温度を下げると、試料表面には、従来の方法よりも厚い残留圧縮応力層が形成されて、更に材料の強度、硬度、破壊靱性、耐摩耗性などの材料の機械的特性を向上させるとともに、加工過程中の亀裂の発生を効果的に防止できる。以下、本発明における高温転圧加工装置の各構成要素について詳細に説明する。
【0019】
具体的には、力賦与コンポーネント1には、同軸に設置された力賦与ターンテーブル11、第1の力伝達棒12、力センサー13、第2の力伝達棒14、第3の力伝達棒15、第2のモータ16、超音波トランスデューサ17、および水冷コンポーネント18を含み;第1の力伝達棒12の一端は力賦与ターンテーブル11の中心に接続され、第1の力伝達棒12の他端は第2の力伝達棒14の頂部に同軸に接続され、力センサー13は第1の力伝達棒12にスリーブされて取り付けられ、加えられた力の大きさをリアルタイムで測定するために使用され;第2の力伝達棒14は筒状構造を有し、第3の力伝達棒15の一端は第2の力伝達棒14の底部を貫通した後、第2のモータ16の回転軸に接続され、第3の力伝達棒15の他端は温度制御ボックス31を貫通した後、転圧コンポーネント2に接続され;超音波トランスデューサ17は、第3の力伝達棒15にスリーブされて取り付けられ、且つ第2の力伝達棒14の近くに配置され、水冷コンポーネント18は第3の力伝達棒15にスリーブされて取り付けられ、超音波トランスデューサ17と温度制御ボックス31の間に配置され、水冷コンポーネント18を使用して温度制御ボックス31の内部空洞の温度を遮断し、高温伝導が超音波トランスデューサ17の通常の動作に影響を与えるのを防ぐ。
【0020】
力賦与コンポーネント1において、力賦与ターンテーブル11を回転させることにより、加工する試料7に加える力を調整し、第2のモータ16によって、第3の力伝達棒15が、転圧コンポーネント2を軸方向に沿って回転運動するように駆動して、転圧コンポーネント2が試料7の表面を均一に転圧できるようにする。
【0021】
本実施形態では、超音波トランスデューサ17は汎用のランジュバン型圧電セラミック振動子を採用しており、そのコア素子はPZT圧電セラミックスP8で構成されている;超音波トランスデューサ17は外部の超音波制御コンポーネント171と電気接続され、超音波制御コンポーネント171はパワーアンプ171aと信号発生器171bを含み、パワーアンプ171aは信号発生器171b、超音波トランスデューサ17とそれぞれ電気接続されており;信号発生器171bは電圧信号を発送して、パワーアンプ171aに伝送し、パワーアンプ171aは電圧信号を増幅した後超音波トランスデューサ17に伝送し、超音波振動は超音波トランスデューサ17から発せられ、第3の力伝達棒15を介して転圧コンポーネント2に伝達されて、したがって、転圧コンポーネント2が試料7の表面を転圧する際に、微小な超音波振動を補助として、試料7の表面をより滑らかに転圧することができる。
【0022】
具体的には、転圧コンポーネント2はボール固定部材21といくつかのボール22を含み、ボール固定部材21の頂部は、第3の力伝達棒15の第2の力伝達棒14から離れた一端に接続され、ボール固定部材21の底部には、いくつかのボール22が動き可能に嵌め込まれ、いくつかのボール22は、運搬車41上の加工する試料7に当接し、加工する試料7に対して高温転圧を実行する。本実施形態で使用されるボール転圧方式では、好ましくは、ボール22として窒化ケイ素ボール、炭化ケイ素ボール、炭化ホウ素ボール、ホウ化ケイ素ボールなどの高温硬ボールを使用し;他の実施形態では、試料7は、ローラー転圧などの他の方法で試料7に対して転圧を実行してもよいが、ここでは限定されない。
【0023】
具体的に、フレーム機構5はいくつかの支持棒51、第1の固定部材52、第2の固定部材53、温度制御ボックス支持部材54及びベース55を含み、フレーム機構5を使用して、力賦与コンポーネント1、転圧コンポーネント2、温度制御コンポーネント3、および載物コンポーネント4を支持し固定させ;いくつかの支持棒51はいずれも垂直方向に沿って配置され、第1の固定部材52、第2の固定部材53、温度制御ボックス支持部材54及びベース55はいずれも水平に配置され、且ついずれも支持棒51に垂直するように固定接続され;第1の固定部材52は力賦与ターンテーブル11と力センサー13との間に配置され、且つ第1の力伝達棒12は第1の固定部材52の中部を動き可能に貫通し、第1の固定部材52を使用して、第1の力伝達棒12が垂直方向のみに運動するように制限し;第2の固定部材53は第2のモータ16に固定接続され、且つ第2の力伝達棒14、第3の力伝達棒15はいずれも第2の固定部材53の中部を動き可能に貫通し、第2の固定部材53を利用して第2のモータ16を固定しながら、第2の力伝達棒14および第3の力伝達棒15が垂直方向のみに運動するように制限し;温度制御ボックス支持部材54は、温度制御ボックス31の底部、支持台32の底部と接続されており、温度制御ボックス31及び支持台32を固定するために使用される。
【0024】
具体的に、載物コンポーネント4は更にモータ制御ボックス44及び制御ボックス支持部材45を含み、モータ制御ボックス44は第1のモータ43と電気接続されており、第1のモータ43の回転速度及び回転方向を制御し、運搬車41のスライド速度を制御するために使用され、モータ制御ボックス44の制御下で、運搬車41は、一方向のスライド運動または往復スライド運動を行うことができるが、運搬車41のスライド運動方式は、試料転圧のニーズと密接に関連しており、実際ニーズに応じて適合的に設定する必要があるため、ここでは限定されない。制御ボックス支持部材45は支持棒51と接続され、第1のモータ43及びモータ制御ボックス44を支持するために使用される。
【0025】
具体的に、温度制御コンポーネント3は、更に温度制御装置33を含み、温度制御装置33は温度制御ボックス31と電気接続しており、温度制御ボックス31の内部空洞温度を制御するために使用される。本実施形態では、温度制御装置33は、温度センサー、変圧器、電磁継電器、PID制御回路及び表示メータ等から構成され、温度センサーにより温調ボックス31内の温度を収集し、電磁継電器を利用して電気パルスを制御し、PID制御回路は加熱プロセスを制御し、表示メータは温度制御ボックス内の温度をリアルタイムで表示できて、温度制御ボックス31の内部空洞の温度の精密な制御を実現でき;他の実施形態では、実際のニーズに応じて適切な温度制御装置を設計できるが、ここでは限定されない。
【0026】
具体的に、高温転圧加工装置は更に雰囲気供給機構6も含み、雰囲気供給機構6はガス制御ボックス61とガス貯蔵タンク62を含み、ガス制御ボックス61は、パイプラインを介してガス貯蔵タンク62、温度制御ボックス31の内部空洞とそれぞれ連通し、ガス制御ボックス61はガス貯蔵タンク62における作動ガス輸出の流量と流速を制御するために使用される。本実施形態において雰囲気供給機構6を追加した主な理由は、一部の試料材料を高温で加工する場合、保護ガス環境で加工する必要があるためであり、雰囲気供給機構6を使用するか否かは、実際の加工ニーズに応じて適応的に選択でき、ここでは限定されない。
【0027】
さらに、上記第1の解決策における高温転圧加工方法に基づいて、高温転圧加工装置の具体的な動作過程を説明する。当該高温転圧加工装置がセラミックスや半導体材料の表面を強靱化し、材料の電気的及び熱的特性を改善するために使用され、シート状材料を例に挙げると、具体的な適用には以下のステップを含む。
(1)加工する試料を運搬車の上に置き、所定温度まで0.5~5℃/分間の速度で上昇するように温度制御ボックスを制御する。ここで、加工する試料は前記所定温度下にあり、亀裂が発生せずに、塑性変形が発生するという条件を満たす必要があり、即ち、具体的な試料の材質に応じて適切な所定温度を選択する必要があるが、ここでは所定温度の具体的な数値は限定されない。
【0028】
(2)所定温度を維持し、所定圧力を加えるように力賦与コンポーネントを制御し、且つ転圧コンポーネントが所定の回転速度で回転するように制御し、同時に、所定スライド周期で往復運動するように運搬車を制御し;ここで、所定回転速度は10~60r/分間であり、所定スライド周期は1分間である。
【0029】
(3)所定時間に達するまで加工する試料を転圧した後、温度制御ボックスを2℃/分間の速度で室温まで冷却し、表面に残留圧縮応力層を有する試料を得て;所定圧力、所定時間は試料の表面に形成される残留圧縮応力層の厚さに適合する。
【0030】
セラミック材料に対して表面強靱化するプロセスでは、所定温度、所定回転速度及び所定スライド周期が制限されており、上記の装置を採用して、高温低速転圧の方式により、高温環境下で試料の表面を往復転圧し、転位核形成、移動、原子移動、粒子再組織化などの物理的過程を通じて、試料を室温まで冷却後に、表面に残留圧縮応力層が形成するようにし;従来のショットピーニングの強靭化方式は速度が高く、衝撃が大きく、セラミックス表面を破壊しやすいことに対して、本発明では、試料に静圧を加えることで従来の技術の欠点を良好に克服でき、全体の強靱化プロセスは遅いため、強靱化プロセス中にセラミック表面構造の破壊を回避できる。さらに、実験研究により、試料の表面に形成される残留圧縮応力層の厚さの主な影響要因は所定圧力と所定時間であり、具体的な影響要因には転圧コンポーネントの転圧接触面積及び超音波トランスデューサの出力周波数が含まれ、上記の影響要因を調整することにより、残留圧縮応力層の厚さと転位密度の精密な制御を実現でき、具体的には、実際のニーズに応じて適応プロセスパラメータを選択する必要があり、ここでは限定されない。
【0031】
なお、本発明はシール状材料の加工方式を詳細に説明しているが、上記高温転圧加工方法は、さらに軸面や穴状などの様々な構造の形態の試料の表面にも類似に加工して、残留圧縮応力層を形成できる。図4~6を参照すると、ここでは、上記高温転圧加工装置に対する適応的な改良を示し、主に円筒状試料8の加工に適応するための転圧コンポーネントの改良を表し、当該実施形態では、転圧コンポーネントは、転圧棒23、転圧ボール24とボールシャフト25から構成され、転圧棒23の端部の片側には、転圧ボール24を回転させるための溝が設けられ、ボールシャフト25は転圧ボール24を貫通した後、両端が転圧棒に接続されて、転圧ボール24が転圧棒23の側面の溝にわずかに突出するようにして、円筒状試料8の外壁または内壁に高温転圧操作ができるが、具体的な操作プロセスは前記と同様であるため、ここでは繰り返さない。したがって、上記高温転圧加工方法はシール状材料の加工に限定されず、他の表面構造形態の試料の加工も可能であり;実際の加工試料の表面形態に応じて加工パラメータや装置を調整できるが、ここでは一つずつ列挙しない。
【0032】
以下、上記高温転圧加工装置の加工効果について具体例を挙げて詳しく説明する。
【0033】
実施例1
本実施例では、加工する試料7の材質はアルミナセラミックスであり、ボール22として炭化珪素ボールが選択された。まず、試料7を運搬車41の上に置き、温度制御装置33を制御して、温度制御ボックス31の内部空洞温度が所定温度まで5℃/分間の速度で上昇するように制御し;所定の温度に達した後、力センサー13を利用して試料7が受けている力をリアルタイムにモニタリングし、力賦与ターンテーブル11を回転させて、加えられる力を所定圧力に調整し;同時に、水冷コンポーネント18を始動し、温度制御ボックス31の高温伝導が超音波トランスデューサ17に影響を与えるのを防ぐ。次に、第2のモータ16を始動して、第3の力伝達棒15が転圧コンポーネント2を軸方向に沿って回転運動するように駆動して、いくつかのボール22は試料の表面上で均一に転動し、転動速度は0から60r/分まで徐々に上昇し;同時に、第1のモータ43を始動して、伝動棒42が運搬車41を水平方向に往復運動するように駆動して、試料7の転圧面積を拡大し;同時に、信号発生器171bを始動して、電圧信号が発送され、パワーアンプ171aに伝送されて電圧信号が増幅され、その後超音波トランスデューサ17に伝達されて、超音波トランスデューサ17から超音波振動が発生され、第3の力伝達棒15を介して転圧コンポーネント2に伝達されることで、転圧中に試料7に同期して超音波振動を加え、転圧面をより平滑にした。転圧が所定時間に達した後、温度制御ボックスを2℃/分間の速度でゆっくりと室温まで冷却されて、転圧処理が完了し、得られた試験片の加工効果は図3に示すとおりである。
【0034】
本実施例では、所定温度を800~1000℃の範囲内に設定し、所定圧力を100N、所定時間を4時間とし、800℃、900℃、1000℃の3つの所定温度点で上記の高温転圧処理及び試験を実施し、試験結果を表1に示し、試験結果では、処理したアルミナセラミックスの表面粗さが大幅に改善され、Raが3μmから0.4μmに低減され、曲げ強度が約17%向上し、硬度が約10%向上し、破壊靱性が50%以上向上し、耐摩耗性も大幅に向上し、且つ亀裂は発生しなかった。これは、上記の高温転圧加工装置を使用してイオン、共有結合材料に対して表面処理することで、材料の強度、硬度、破壊靱性、耐摩耗性などの機械的特性を向上させることができ、同時に、加工中の亀裂の発生を効果的に回避できることを証明する。同時に、「所定温度800~1000℃、所定圧力100N、所定時間4時間」の設定パラメータがアルミナセラミックに対して良好な処理効果を有することも示した。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例2
本実施例では、加工する試料7の材質はジルコニアセラミックスであり、高温転圧処理プロセスは実施例1と同様であるが、主な違いは処理パラメータを調整したことであり;具体的には、所定温度は800~1200℃、所定圧力は100N、所定時間は4時間とし、800℃、1000℃、1200℃の3つの所定温度点で上記の高温転圧処理及び試験を実施し、試験結果は表2に示すとおりであり、試験結果では、処理後の表面粗さが大幅に改善され、曲げ強度が約25%向上し、硬度が約5%向上し、破壊靱性が26%以上向上し、耐摩耗性も大幅に向上したが、且つ亀裂は発生しなかった。これは、上記の高温転圧加工装置を使用してイオン、共有結合材料に対して表面処理することで、材料の強度、硬度、破壊靱性、耐摩耗性などの機械的特性を向上させることができ、同時に、加工中の亀裂の発生を効果的に回避できることを証明する。同時に、「所定温度800~1200℃、所定圧力120N、所定時間4時間」の設定パラメータがジルコニアセラミックに対して良好な処理効果を有することも示した。
【0037】
【表2】
【0038】
実施例3
本実施例では、加工する試料7の材質はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT5)であり、高温転圧処理プロセスは実施例1と同様であるが、主な違いは処理パラメータを調整したことであり;具体的には、所定温度は800~1000℃、所定圧力は50N、所定時間は4時間とし、800℃、900℃、1000℃の3つの所定温度点で上記の高温転圧処理及び試験を実施し、試験結果は表3に示すとおりであり、試験結果では、処理後の表面粗さが大幅に改善され、曲げ強度が約17%向上し、硬度が約4.5%向上し、破壊靱性が22%以上向上し、耐摩耗性も大幅に向上し、且つ亀裂は発生しなかった。これは、上記の高温転圧加工装置を使用してイオン、共有結合材料に対して表面処理することで、材料の強度、硬度、破壊靱性、耐摩耗性などの機械的特性を向上させることができ、同時に、加工中の亀裂の発生を効果的に回避できることを証明する。同時に、「所定温度800~1000℃、所定圧力50N、所定時間4時間」の設定パラメータがチタン酸ジルコン酸鉛(PZT5)に対して良好な処理効果を有することも示した。
【0039】
【表3】
【0040】
実施例4
本実施例では、加工する試料7の材質はチタン酸バリウムセラミックス(BTO)であり、高温転圧処理プロセスは実施例1と同様であるが、主な違いは処理パラメータを調整したことであり;具体的には、所定温度は800~1000℃、所定圧力は40N、所定時間は4時間とし、800℃、900℃、1000℃の3つの所定温度点で上記の高温転圧処理及び試験を実施し、試験結果は表3に示すとおりであり、試験結果では、処理後の表面粗さが大幅に改善され、曲げ強度が約18%向上し、硬度が約14%向上し、破壊靱性が36%以上向上し、耐摩耗性も大幅に向上し、且つ亀裂は発生しなかった。これは、上記の高温転圧加工装置を使用してイオン、共有結合材料に対して表面処理することで、材料の強度、硬度、破壊靱性、耐摩耗性などの機械的特性を向上させることができ、同時に、加工中の亀裂の発生を効果的に回避できることを証明する。同時に、「所定温度800~1000℃、所定圧力40N、所定時間4時間」の設定パラメータがチタン酸バリウムセラミックス(BTO)に対して良好な処理効果を有することも示した。
【0041】
【表4】
【0042】
また、実施例1で加工した試料について電気試験及び熱試験を行ったところ、上記転圧処理後のアルミナセラミックスの導電率は28%増加し、熱伝導率は16%減少したことが判明し、イオン、共有結合材料の表面処理後は材料の電気特性および熱伝導率も改善できるため、電気特性および熱伝導率の改善ニーズに応じて適切な転圧加工パラメータを設計することも可能であり、具体的には、材料の導電率また熱伝導率は試料表面に形成される残留圧縮応力層の厚さ及び転位密度に応じて予め設定することであり、ここでは、特に制限はない。
【0043】
従来技術の状況とは異なり、本発明は、高温転圧加工方法およびその加工装置および使用を提供し力賦与コンポーネント、転圧コンポーネント、温度制御コンポーネントと載物コンポーネントの協調配置により、加工する試料表面に精密な高温転圧加工ができ、そして、転圧処理後の試料の機械的および電気的特性は大幅に向上し、熱伝導率が大幅に低下すると同時に、加工中の亀裂の発生も効果的に回避し;また、材料の電気特性や熱伝導率もニーズに応じて調整できる。
【0044】
以上説明した実施例は、本発明が実施される態様を表現したものに過ぎず、その説明は、より具体的かつ詳細であるが、本発明の特許の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者にとって、本発明の思想から逸脱することなく、多くの変形および改良が可能であり、これらも本発明の保護範囲に含まれる。したがって、本発明の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に基づく。
【符号の説明】
【0045】
1-力賦与コンポーネント、11-力賦与ターンテーブル、12-第1の力伝達棒、13-力センサー、14-第2の力伝達棒、15-第3の力伝達棒、16-第2のモータ、17-超音波トランスデューサ、171-超音波制御コンポーネント、171a-パワーアンプ、171b-信号発生器、18-水冷コンポーネント、2-転圧コンポーネント、21-ボール固定部材、22-ボール、23-転圧棒、24-転圧ボール、25-ボールシャフト、3-温度制御コンポーネント、31-温度制御ボックス、32-支持台、33-温度制御装置、4-載物コンポーネント、41-運搬車、42-伝動棒、43-第1のモータ、44-モータ制御ボックス、45-制御ボックス支持部材、5-フレーム機構、51-支持棒、52-第1の固定部材、53-第2の固定部材、54-温度制御ボックス支持部材、55-ベース、6-雰囲気供給機構、61-ガス制御ボックス、62-ガス貯蔵タンク、7-試料、8-円筒状試料

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
実施例2
本実施例では、加工する試料7の材質はジルコニアセラミックスであり、高温転圧処理プロセスは実施例1と同様であるが、主な違いは処理パラメータを調整したことであり;具体的には、所定温度は800~1200℃、所定圧力は120N、所定時間は4時間とし、800℃、1000℃、1200℃の3つの所定温度点で上記の高温転圧処理及び試験を実施し、試験結果は表2に示すとおりであり、試験結果では、処理後の表面粗さが大幅に改善され、曲げ強度が約25%向上し、硬度が約5%向上し、破壊靱性が26%以上向上し、耐摩耗性も大幅に向上したが、且つ亀裂は発生しなかった。これは、上記の高温転圧加工装置を使用してイオン、共有結合材料に対して表面処理することで、材料の強度、硬度、破壊靱性、耐摩耗性などの機械的特性を向上させることができ、同時に、加工中の亀裂の発生を効果的に回避できることを証明する。同時に、「所定温度800~1200℃、所定圧力120N、所定時間4時間」の設定パラメータがジルコニアセラミックに対して良好な処理効果を有することも示した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
実施例3
本実施例では、加工する試料7の材質はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT5)であり、高温転圧処理プロセスは実施例1と同様であるが、主な違いは処理パラメータを調整したことであり;具体的には、所定温度は800~1000℃、所定圧力は50N、所定時間は4時間とし、800℃、900℃、1000℃の3つの所定温度点で上記の高温転圧処理及び試験を実施し、試験結果は表4に示すとおりであり、試験結果では、処理後の表面粗さが大幅に改善され、曲げ強度が約17%向上し、硬度が約4.5%向上し、破壊靱性が22%以上向上し、耐摩耗性も大幅に向上し、且つ亀裂は発生しなかった。これは、上記の高温転圧加工装置を使用してイオン、共有結合材料に対して表面処理することで、材料の強度、硬度、破壊靱性、耐摩耗性などの機械的特性を向上させることができ、同時に、加工中の亀裂の発生を効果的に回避できることを証明する。同時に、「所定温度800~1000℃、所定圧力50N、所定時間4時間」の設定パラメータがチタン酸ジルコン酸鉛(PZT5)に対して良好な処理効果を有することも示した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温転圧加工方法であって、
加工する試料を所定温度に加熱し、所定温度を維持し、この温度で前記加工する試料より硬度が高いボールを使用し、前記試料の加工する表面に所定圧力を加えながら周期的に往復転動転圧し;
所定時間に達するまで前記試料を転圧した後、室温まで冷却し、表面に残留圧縮応力層を有する試料を得て;
前記試料は前記所定温度で亀裂が発生することなく塑性変形し、前記所定圧力、所定時間は、試料の表面に形成される残留圧縮応力層の厚さに適合するステップを含む
ことを特徴とする高温転圧加工方法。
【請求項2】
高温転圧加工装置であって、力賦与コンポーネント、転圧コンポーネント、温度制御コンポーネントと載物コンポーネントを含み;
前記温度制御コンポーネントは、温度制御ボックスと前記温度制御ボックスの内部空洞の中に配置される支持台を含み;
前記載物コンポーネントには、水平方向に設置された運搬車、伝動棒と第1のモータが含まれ、前記伝動棒の一端は運搬車の側面に接続され、他端は前記温度制御ボックスの壁を貫通した後、前記第1のモータの回転軸に接続され、前記第1のモータは前記運搬車の水平方向の移動を制御するために使用され;
前記力賦与コンポーネントは垂直方向に沿って配置され、且つその底部は前記温度制御ボックスを貫通した後、前記転圧コンポーネントに接続され、前記転圧コンポーネントの底部は前記運搬車上の加工する試料に当接して、加工する試料を高温転圧するために使用され;
前記高温転圧加工装置は請求項1に記載の高温転圧加工方法を実行するために使用される
ことを特徴とする高温転圧加工装置。
【請求項3】
前記力賦与コンポーネントには、同軸に設置された力賦与ターンテーブル、第1の力伝達棒、力センサー、第2の力伝達棒、第3の力伝達棒、第2のモータおよび水冷コンポーネントを含み;
前記第1の力伝達棒の一端は前記力賦与ターンテーブルの中心に接続され、前記第1の力伝達棒の他端は前記第2の力伝達棒の頂部に同軸に接続され、前記力センサーは前記第1の力伝達棒にスリーブされるように取り付けられ;
第2の力伝達棒は筒状構造を有し、前記第3の力伝達棒の一端は前記第2の力伝達棒の底部を貫通した後、前記第2のモータの回転軸に接続され、前記第3の力伝達棒の他端は前記温度制御ボックスを貫通した後、前記転圧コンポーネントに接続され
記第2のモータは、前記第3の力伝達棒を制御して、前記転圧コンポーネントを軸方向に沿って回転運動するように駆動する
請求項2に記載の高温転圧加工装置。
【請求項4】
前記転圧コンポーネントはボール固定部材といくつかのボールを含み、前記ボール固定部材の頂部は、前記第3の力伝達棒の前記第2の力伝達棒から離れた一端に接続され、前記ボール固定部材の底部にはいくつかの前記ボールが動き可能に嵌め込まれ、いくつかの前記ボールは、前記運搬車上の加工する試料に当接し、加工する試料に対して高温転圧を実行し;
高温転圧する場合、前記ボールの硬度は加工する試料の硬度より高い
請求項2に記載の高温転圧加工装置。
【請求項5】
前記高温転圧加工装置は、更にフレーム機構を含み、前記フレーム機構はいくつかの支持棒、第1の固定部材、第2の固定部材、温度制御ボックス支持部材及びベースを含み;
前記いくつかの支持棒はいずれも垂直方向に沿って配置され、前記第1の固定部材、第2の固定部材、温度制御ボックス支持部材及びベースはいずれも水平に配置され、且ついずれも前記支持棒に垂直するように固定接続され;
前記第1の固定部材は前記力賦与ターンテーブルと力センサーとの間に配置され、且つ前記第1の力伝達棒は前記第1の固定部材の中部を動き可能に貫通し;
前記第2の固定部材は第2のモータに固定接続され、第2の力伝達棒、第3の力伝達棒は両方とも前記第2の固定部材の中部を動き可能に貫通し;
前記温度制御ボックス支持部材は、前記温度制御ボックスの底部、支持台の底部と接続されている
請求項2に記載の高温転圧加工装置。
【請求項6】
前記載物コンポーネントは更にモータ制御ボックス及び制御ボックス支持部材を含み、前記モータ制御ボックスは前記第1のモータと電気接続されており、前記第1のモータの回転速度及び回転方向を制御し、前記運搬車のスライド速度を制御するために使用され;
前記制御ボックス支持部材は支持棒と接続されており、前記第1のモータ及びモータ制御ボックスを支持するために使用される
請求項5に記載の高温転圧加工装置。
【請求項7】
前記温度制御コンポーネントは、更に温度制御装置を含み、前記温度制御装置は前記温度制御ボックスと電気接続しており、前記温度制御ボックスの内部空洞温度を制御するために使用される
請求項2に記載の高温転圧加工装置。
【請求項8】
前記高温転圧加工装置は更にガス制御ボックスとガス貯蔵タンクを含む雰囲気供給機構を含み、ガス制御前記ガス制御ボックスは、パイプラインを介して前記ガス貯蔵タンク、温度制御ボックスの内部空洞とそれぞれ連通し、前記ガス制御ボックスは前記ガス貯蔵タンクにおける作動ガス輸出の流量と流速を制御するために使用される
請求項2に記載の高温転圧加工装置。
【請求項9】
前記高温転圧加工装置がセラミックスや半導体材料の表面を強靱化し、材料の電気的及び熱的特性を改善するために使用される
ことを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載の高温転圧加工装置の使用。
【国際調査報告】