IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイロンボックス エス.アール.エル.の特許一覧

特表2024-507070エレベータまたは昇降機の運搬システム
<>
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図1
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図2
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図3
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図4
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図5
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図6
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図7
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図8
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図9
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図10
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図11
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図12
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図13
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図14
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図15
  • 特表-エレベータまたは昇降機の運搬システム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】エレベータまたは昇降機の運搬システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/04 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B66B7/04 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544472
(86)(22)【出願日】2022-02-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 IB2022051499
(87)【国際公開番号】W WO2022180499
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021000004625
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518411844
【氏名又は名称】アイロンボックス エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジロット,アドリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】セサレッティ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】パロッタ,ロレンツォ アンドレア
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305BD31
(57)【要約】
例えば搭乗者用キャビンまたは荷重支持プラットフォームなど、運搬のための可動構造物(12)と、誘導部(14)と、可動構造物(12)に一体化され、かつ摺動軸(Y)に沿って誘導部(14)に摺動可能に連結された、スキッド(MC1、MC2、MC3)と、を備えた、エレベータなどの移動及び/または運搬システムを説明する。スキッド(MC1、MC2、MC3)は、可動構造物(12)を誘導部(14)に、安全で摺動可能に連結するよう構成され、誘導部に接触したセンタリング部材(46、50、61)を備える。摺動摩擦を減衰させるために、スキッドは、誘導部(14)に接触せずに、センタリング部材に加えられた外部の荷重に対抗する力(F)を生成するための、手段またはデバイス(46、52、62)を備える。荷重の反作用力は、誘導部において反発または誘引し、かつセンタリング部材において外部の荷重によって加えられた力に対して、反対方向に導かれる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータなどの、移動及び/または運搬システムであって、
例えば搭乗者用キャビンまたは荷重支持プラットフォームなど、運搬するための可動構造物(12)と、
誘導部(14)と、
前記可動構造物(12)に一体化され、かつ摺動軸(Y)に沿って前記誘導部(14)に摺動可能に連結された、スキッド(MC1、MC2、MC3)と、
を備え、
前記スキッド(MC1、MC2、MC3)は、前記可動構造物(12)を前記誘導部(14)に、安定して摺動可能に連結するよう構成され、前記スキッド(MC1、MC2、MC3)は、
前記誘導部と接触したセンタリング部材(46、50、61)と、
前記誘導部(14)に接触することなく、前記センタリング部材に付与された外部の荷重に対抗する力(F)を生成するための、手段またはデバイス(46、52、62)と、
を備え、
荷重の反作用力は、
前記誘導部で反発または誘引し、
前記センタリング部材に、外部の荷重によって加えられた力に対して、反対方向に導く、
システム。
【請求項2】
前記荷重の反作用力(F)を生成するための前記手段またはデバイスは、空気圧的、静電的、または磁気的に荷重の反作用力を生成するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スキッドは、前記誘導部の長手方向軸(Y)を通過する面に対して直交する方向に沿って導かれた、荷重の反作用力(F)を用いて、前記誘導部を誘引または反発するための、補助的な磁界生成器(52、62)を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記補助的な磁界生成器(52、62)は、前記スキッドに連結された前記誘導部に対して動くことができるよう、前記スキッドに可動で取り付けられる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記スキッドは、前記スキッドに連結された前記誘導部と、前記補助的な磁界生成器(52、62)との間の相対的距離を設定するための、調整部材を備える、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
前記スキッドは、
強磁性材料で作られ、前記摺動軸(Y)に対して平行に延びた直線空洞(34)を有し、かつ前記誘導部(14)に跨って取り付け可能な、本体(30)と、
前記本体(30)内で閉じる磁束を生成するための、磁束生成器(32)と、
を備え、
前記本体(30)は、前記磁束生成器(32)によって生成された磁束を運ぶための、磁気回路を画定し、それによって磁束は前記直線空洞(34)を横切り、前記誘導部(14)の両側部にぶつかって、前記直線空洞(34)の対向した壁からそれぞれ出入りすることで、前記スキッドと前記誘導部との間に連結力を生成して、前記誘導部を、前記直線空洞(34)の内側における安定した挿入高さに保持し、
前記荷重の反作用力は、実質的に前記連結力に対して直交する、
請求項1~5の内いずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記スキッドは、前記誘導部に対して前記磁束生成器(32)及び/または前記磁束生成器(32)を含んだ磁気回路の一部に対して変位させるための、手段またはデバイス(46)を備え、それによって前記変位は、前記誘導部の部分における、前記磁界に対して反応する側部に加えられた、前記直線空洞内の磁力を不均衡にする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記スキッド(MC3)は、前記スキッドにおける外部の荷重を測定するための、センサ(94)を備え、荷重は、前記摺動軸(Y)に対して直交して、前記スキッドにおける前記誘導部(14)によって加えられた力から構成される、請求項1~7の内いずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
電子回路を備え、前記電子回路は、
前記センサ(94)からの信号を検出するよう、及び
前記センサによって発せられた値を、例えばゼロもしくは実質的にゼロである基準値にするか、または基準値に維持するよう、前記荷重の反作用力の大きさを調整するために、前記荷重の反作用力を生成するための前記手段またはデバイスを駆動するよう、
構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記スキッドは、前記荷重の反作用力を生成する前記手段を動かすための、駆動部またはアクチュエータを備え、及び
前記電子回路は、前記アクチュエータに接続されて前記アクチュエータを駆動することで、電気信号によって前記荷重の反作用力の大きさを変化させる、
請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に、エレベータまたは荷物用エレベータなど、積載物のための垂直または傾斜した移動運搬システムのスキッド、及びこのスキッドを備えたシステム、に関する。このスキッドは、例えば直線的に、軸に沿って積載物を運ぶ可動構造物を、摺動可能に誘導して動かすよう構成され、好ましくは磁気浮揚される。
【背景技術】
【0002】
本明細書で例として捉える、例えば中国特許出願公開第103332552(A1)号明細書を参照すると、エレベータキャビンのための摺動スキッドに、磁石を利用することが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第103332552(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書の図1は、エレベータの一般的構造を示す。キャビン12を、キャビン12と一体化されたスキッド10を介して、誘導部14に連結することによって、Y軸に沿って垂直かつ平行の誘導部14上を移動させることができる。キャビン12の運動は、例えば引き綱及びカウンタウェイトの公知のシステムによって成される。
【0005】
誘導部14がキャビン12の中間になく、3つの側からキャビン12の接近を可能にする、所謂「椅子型」エレベータ(図2)で特に感じられる課題は、キャビン12の重量及び/または変化する荷重(搭乗者の数)がモーメントMを生じさせ、それは誘導部14上のスキッド10を押圧して、誘導部14上のキャビン12を傾ける傾向にあることである。次にモーメントMは、スキッド10における摩擦を増加させ、スキッド10の性能を損ねる。一般的にこの課題は、荷重の重心が誘導部に対して整合されていない全ての場合に生じる。
【0006】
図1のシステムにおける別の課題は、センタリング、すなわちキャビン12を誘導部14の間で中心に保持しなければならないことである。単一の誘導部について、この課題は一般に、例えば脱離を避けて、誘導部上にスキッドを維持することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、エレベータなど、積載物の移動及び/または運搬システムに関し、
搭乗者用キャビンまたは荷重支持プラットフォームなど、積載物を移動させるための可動構造物と、
例えば垂直または傾斜した誘導部と、
可動構造物に一体化され、誘導部に摺動可能に連結されて、可動構造物を誘導部に安定かつ摺動可能に連結するよう構成された、スキッドと、
を備える。
【0008】
このシステムは、例えば可動構造物の中心に位置された単一の誘導部、または2つの離された平行誘導部を備え得る。それらは、水平に対して垂直または傾斜し得る。
【0009】
可動構造物は、例えばエレベータの搭乗者用キャビン、または品物のための積載プラットフォームであり、スキッドも、エレベータのカウンタウェイトを誘導するために適用され得る。
【0010】
スキッドはセンタリング部材を備える。それは、誘導部に、詳細には誘導部における2つの反対側の両側部に同時に接触する。センタリング部材は、例えば(ホイール及び/または摺動部品によって)誘導部上を摺動及び/または転がり、誘導部上のスキッドをセンタリングする役割を担う。センタリング部材は、外部の荷重を受けるので、誘導部との摩擦を生じさせる。
【0011】
センタリング部材における摩擦の課題を解決するために、一方または各々のスキッドは、誘導部に接触することなく、センタリング部材に荷重の反作用力を生成する手段またはデバイスを備える(図2参照)。この荷重の反作用力は、それぞれの誘導部で反発または誘引し、外部の荷重によってセンタリング部材に課せられた力に対して、反対方向に向けられる。
【0012】
荷重の反作用力は、荷重に対して反対方向に、センタリング部材に作用し、それによって最終的な摩擦力は低下する。なぜなら、センタリング部材の接触力は、荷重及び荷重の反作用力によって課せられた力の、代数和によって決められるためである。
【0013】
換言すると、荷重の反作用力は、センタリング部材における荷重に対して反対方向に作用し、及び/または、それを減少させることによって、このような荷重に対抗する。荷重の減少は、センタリング部材に、より小さい摩擦を、かつ摺動軸Yに沿ったスキッドの良好な動的性能を、もたらす。2つの誘導部を伴い、荷重の反作用力は、可動構造物にモーメントを生じさせるために適用され、図2のモーメントMによって定められたものとは反対方向に、誘導部を含んだ面と平行な軸の周りに回転させる傾向となる。このように、荷重の反作用力は、スキッドを外部の荷重から解放することによって、荷重によるモーメントMを相殺、または反対に作用することができる。
【0014】
荷重の反作用力は、好ましくは、
誘導部の長手方向軸に直交する面に対して平行する方向に沿って、及び/または
誘導部(2つの場合)を含んだ面に対して直交する方向に沿って、
導かれる。
【0015】
スキッドまたはセンタリング部材自体は、異なるトポロジーを有することができる。例えば、非常に単純なトポロジーは、単に摺動キャスタ、低摩擦の摺動面、または空圧浮揚式スキッドを想定する。
【0016】
スキッドの好ましいトポロジーは磁気浮揚式であり、可動構造物を誘導部に安定して摺動可能に連結するよう適応された、連結力、反発力、または誘引力を、誘導部において磁気的に生成するよう構成され、例えばスキッドが誘導部から外れるのを防止し、及び/または誘導部におけるスキッドの押し込みを防止することを想定する。
【0017】
2つの平行で垂直の誘導部の場合、誘導部間のセンタリングの課題を解決するために、システムは、
可動構造物と一体化され、かつそれぞれが誘導部の1つに摺動可能に連結された、2つの磁気浮揚式スキッドを備え、
一方または各スキッドは、連結力、反発力、または誘引力を、それぞれの誘導部に磁気的に生成するよう構成され、この力は、
他方のスキッドによって生成されたものと等しく、かつ反対方向であり、
2つのスキッドが接合する方向に沿って導かれ、
スキッドによって生成された連結力は、可動構造物を誘導部に対してセンタリングするよう適応され、可動構造物を誘導部間の中間点にとどめ得る。
【0018】
誘導部に連結力を展開するために、1つのみのスキッドで十分となり得る場合でも、各スキッドが、それぞれの誘導部を押し、及び/または誘引することが好ましく、スキッドによって生成された、整合された連結力の構成は、誘導部間における構造物のセンタリングを定める。
【0019】
このような位置からの逸脱が、一方または各スキッドの連結力を、可動構造物を平常位置に戻すよう変化させるという事実のおかげで、好ましくは、スキッドによって生成された連結力は、誘導部間における可動構造物の位置を、安定した均等な状況に定める。
【0020】
傾斜した運搬システムについて、垂直力は、傾動モーメント、及びさらには可動構造物の重量による荷重の垂直成分も相殺し得る。この事例ではない場合、好ましくは、システムは4つのスキッド、すなわち2つの上部及び2つの下部スキッドを備え、2つずつそれぞれの誘導部で整合される。この場合、2つの上部スキッドは、下部スキッドによって生成された荷重の反作用力に対して、反対方向の荷重の反作用力を生成することになる。
【0021】
上記の、2つの課題の一方または各々のための、前述の技術的解決策に相関して、スキッドの実際の構成は、必須ではないが、磁気浮揚式スキッドの好ましい構造は、他の機能的利点及び構造的利点をもたらし得る。好ましい構造において、スキッドの一方または各々は、
強磁性材料で作られ、スキッドの摺動軸に対して平行に延びた直線空洞が設けられ、かつ誘導部に跨って取り付け可能な、本体と、
空洞における対向した壁に、それぞれ出入りすることによって、本体で閉じて、誘導部の側部にぶつかる磁束を生成するための、磁束生成器と、
を備える。
【0022】
同様に誘導部は、(例えば強磁性材料で作られた)磁界の反応部分を備え、それは例えば基部から片持ち梁式に突出する。この反応部分は、スキッドが誘導部に対して移動するとき、摺動軸に対して平行の空洞に相関的に摺動するために、直線空洞(または中空チャネル)に摺動可能に取り付けられる。
【0023】
特に、上記の反応部分は、摺動軸に対して直交する面で見ると、きのこ形状の断面を有する(空洞の対向した壁を出入りする磁界によってぶつかる部分、すなわち基部から最も離れた部分において、より大きい寸法または幅であり、基部に最も近い部分において、より小さい寸法または幅である)。このように、反応部分の磁界によって生成された連結力は、反応部分が、長手方向軸に対して直交して、空洞の内側における安定点から離れて移動し、そこから出るか、またはそこにさらに入る傾向があるときに増加する。次に連結力は、UまたはCの壁に対して平行する方向に沿って導かれ、かつ空洞の底部に向かって導かれる。
【0024】
漏洩を最小に抑えるために、好ましくは磁束生成器は、磁束が直線空洞を横断するように、磁束を搬送するよう構成された磁気回路内に取り付けられる。より好ましくは、生成器は、上記の直線空洞を画定するよう構成された磁気回路に取り付けられる。詳細には、強磁性材料で作られた本体に取り付けられる。
【0025】
好ましくは、強磁性材料で作られた本体は、摺動軸に沿って実質的に一定のUまたはC形状の断面を有する本体である。次に直線空洞は、UまたはCの凹面によって画定され、空洞の対向した壁は、UまたはCにおける平行の脚部の内壁で構成される。
【0026】
特に、荷重の反作用力は、直線空洞を半分に分割して、かつ誘導部または空洞の長手方向軸を通過する(仮想)面に対して、外部の方向(すなわち1点のみの幾何学的入射)に沿って導かれる。垂直誘導部のための、この優先的な方向は、荷重の反作用力を、2つの対向したスキッドによって展開された2つの誘導部間におけるセンタリング力に対して、実質的に直交させる。荷重の反作用力と、上記の仮想面との間における、90°未満の傾斜も可能である。
【0027】
特に、荷重の反作用力は、UまたはCの平行の内面に対して実質的に垂直方向を有するか、または上記の本体によって形成された直線空洞の対向した平行の内面に対して、実質的に垂直方向を有する。
【0028】
特に、荷重の反作用力は、UまたはCの平行の壁間に展開する連結力の方向に対して、実質的に垂直方向を有する。この連結力は、UまたはCにおける平行壁に対して実質的に平行であり、誘導部をUまたはCの空洞内に維持するよう作用する。
【0029】
荷重の反作用力を生成する手段またはデバイスは、様々な有利な実施形態を有し、それらは単独または組み合わせで実装され得る。
【0030】
変形において、荷重の反作用力を生成する手段またはデバイスは、空気圧で荷重の反作用力を生成するよう構成される。例えば、上記の手段は、加圧流体(例えば空気)生成器を備え、それは誘導部に対抗して搬送され、(2つ存在する場合は)2つの誘導部を含んだ面に対して直交する方向に導かれた力を用いて、誘導部に対して押圧するよう搬送される。または、加圧流体生成器は、流体を吸引して、誘導部を減圧によって誘引し、誘導部に誘引力を、(2つ存在する場合は)2つの誘導部を含んだ面に対して直交する方向に導くよう加える。
【0031】
変形において、荷重の反作用力を生成する手段またはデバイスは、静電気的に荷重の反作用力を生成するよう、すなわち電荷の誘引力または反発力を介して、構成される。例えば、上記の手段は、誘導部を、静電力を介して押し出すか、または誘引するために、静電気が帯電した面を備える。
【0032】
より好ましい変形において、荷重の反作用力を生成する手段またはデバイスは、磁気的に、すなわち磁界を介して生成された誘引力または反発力によって、荷重の反作用力を生成するように構成される。
【0033】
磁気的手段によって生成された荷重の反作用力は、いくつかの方法で生成され得る。
【0034】
好ましい変形において、スキッドは、誘導部に対して、磁束生成器を含んだ磁気回路の一部を変位させる手段またはデバイスを備え、それによって、この変位は、誘導部の反応部分の両側部に加えられた、直線チャネルにおける磁力を、不均衡にする。次に、反応部分の一方の側部は、より大きい力を伴って空洞に存在する磁界によって、誘引される。この、より大きい横力は、荷重の反作用力を構成し、かつスキッド及びセンタリング部材における横荷重を緩和する。
【0035】
特に、スキッドは、磁束生成器を含んだ磁気回路の一部、例えば強磁性体材料の一部または磁束生成器自体を、スキッドの摺動軸に対して相対的かつ直交して、誘導部の反応部分に対して、変位させるための手段またはデバイスを備える。この変位は、誘導部の反応部分の両側部に加えられた、直線チャネルにおける磁力を不均衡にし、それによって空洞の内壁に最も近い反応部分の側部は、チャネルに存在する大きい力を伴う磁界によって誘引される。この、より大きい横力は、荷重の反作用力を構成し、かつセンタリング部材における横荷重を緩和する。
【0036】
より好ましい変形において、スキッドは、強磁性材料で作られた本体、磁束生成器、または磁気回路の上記の部分を、スキッドの摺動軸に対して直交する、誘導部の反応部分に対して、相対的に変位させるための手段またはデバイスを備える。この変位は、誘導部の反応部分の両側部において、上記の本体のUまたはCの壁によって加えられた力を不均衡にし、それによって、UまたはCの内壁に最も近い反応部分の側部は、UまたはCのチャネルに存在する大きい力を伴う磁界によって誘引される。この、より大きい横力は、荷重の反作用力を構成し、かつセンタリング部材における横荷重を緩和する。
【0037】
例えば、スキッドは、ホイールまたはボタンなどの押圧体で構成され、誘導部に接触して、誘導部の反応部分を本体に対して相対的に変位させる。したがって、例えば基部または本体の支持プレートと一体化された押圧体の位置を調整することによって、上記の本体と、スキッドの摺動軸に対して直交する反応部分との間における相対的位置を、調製することができ、したがって荷重の反作用力の大きさを、調整することができる。さらに好ましい変形において、押圧体は、センタリング部材に取り付けられる。
【0038】
さらに好ましい変形において、スキッドは、例えば手動で圧縮部材の位置を設定するための、調整部材を備える。
【0039】
別の、より好ましい変形において、荷重の反作用力を生成する手段またはデバイスは、スキッドに取り付けられた補助的な磁界生成器を備え、誘導部の長手方向軸に対して直交する面に平行する方向か、(2つ存在する場合は)2つの誘導部を含んだ面に対して直交する方向か、またはUもしくはCの平行壁に対して直交する方向か、に導かれた力を用いて、誘導部を誘引または反発する。
【0040】
さらに好ましい変形において、補助的な磁界生成器は、スキッドに可動に取り付けられ、このスキッドに連結された誘導部に対して動くこと、例えばスキッドの摺動軸に対して直交して動くこと、またはUもしくはCの平行壁に対して直交する方向に動くこと、を可能にし、それによって荷重の反作用力の大きさを調整することができる。
【0041】
小型化のために、好ましくは補助的な磁界生成器は、強磁性材料で作られた本体上、または本体の中に可動に取り付けられる。
【0042】
さらに好ましい変形において、スキッドは、スキッドに連結された誘導部と、補助的な磁気生成器との間の相対的距離を定めるための、調整部材を備え、それによって荷重の反作用力の大きさを定める。
【0043】
調整部材は、有利な変形を有し得る。
【0044】
第1の簡単な変形において、調整部材は、スキッドと荷重の反作用力を生成する手段との間に連結され、この調整部材は、荷重の反作用力を生成するための手段を押すか、または引張るよう適応される。例えば、調整部材はネジであり、対応したネジ山によって、スキッド、及び荷重の反作用力を生成する手段の中に、ネジで止められる。
【0045】
第2の変形において、調整部材は、連結式の平行四辺形構造であり、
荷重の反作用力を生成する手段から成る、側部と、
スキッド、例えば上記の本体の固定部分から成る、反対側の側部と、
誘導部と相関して、例えば直交して、荷重の反作用力を生成する手段を移動できるよう、上記の両側部を接続した、2本の剛性アームと、
から形成される。
【0046】
好ましくは、スキッドは基部または支持プレートを備え、強磁性材料で作られた本体は、基部または支持プレートに対して、強磁性材料で作られた本体の中心線を通過する軸の周りで振動するよう取り付けられる。中心線を通過するこの軸は、
誘導部を含んだ面、またはスキッドの摺動軸に対して直交する面に含まれた面、に対して平行であり、
それによって強磁性材料で作られた本体は、中心線を通過する軸の周りで振動でき、特徴は、スキッドが誘導部の小さい不規則性に、動的に対応することを可能にする。
【0047】
変形において、強磁性材料で作られた本体は、基部または支持プレート、またはより好ましくは強磁性材料で作られた本体を含んだハウジング部材、のいずれかに対して、中心線を通過する軸の周りにヒンジ留めされる。好ましくはハウジング部材は同様に、基部または支持プレートに対して、中心線を通過する軸の周りで、振動して取り付けられる。
【0048】
誘導部によってセンタリング部材に加えられる力、すなわちスキッドの摩擦を生じさせる荷重、を測定できることは、有利である。これは、例えば安全チェック、維持管理、もしくは荷重の反作用力を生成する手段の効率をチェックするため、または荷重の反作用力を生成する手段によって生成された力を、設定中に手動で良好に調整するため、に使うことができる。
【0049】
荷重の反作用力の大きさを、センタリング部材に付与された、測定された力に応じて変化させるために、センタリング部材に付与された力を測定し、次に上記の調整部材に、及び/または、荷重の反作用力を生成する手段に、直接作用することは特に有利である。これは、例えばセンタリング部材に付与された力、したがってこのような力を生じさせる摩擦力を、ゼロまたは最小まで減少させるために、荷重の反作用力を自動的にフィードバック制御することを可能にする。
【0050】
好ましくは、次にスキッドにおいて、強磁性材料で作られた本体は、基部または支持プレートに対して、強磁性材料で作られた本体の端部を通過する軸の周りで、ヒンジで取り付けられ、
端部を通過する上記の軸は、
誘導部を含んだ面、またはスキッドの摺動軸に対して直交する面に含まれた面、に対して平行であり、
それによって、強磁性材料で作られた本体は、端部を通過する軸の周りでヒンジ留めされ、特徴は、強磁性材料で作られた本体が、誘導部の長手方向軸に対してある程度の自由度を維持するのを可能にする。
【0051】
特に、強磁性材料で作られた本体は、ハウジング部材にヒンジで取り付けられる。ハウジング部材のスキッドにおける準備によって、2つの前述の通過軸が同時に実装されることに留意されたい。
【0052】
次に基本的に、強磁性材料で作られた本体は、誘導部を含んだ面に対して平行の軸の周り、または摺動軸に直交する面に対して平行な軸の周りで、拘束されないことになる。この特徴は、センタリング部材の静荷重、ならびに、強磁性材料で作られた本体及び/またはセンタリング部材における荷重の反作用力の最終的な実際の効果、の両方を検出することを可能にする。
【0053】
さらに好ましい変形において、スキッドは、誘導部によってスキッドに付与された、摺動軸に直交する力を測定するため、特に誘導部によって、(直接的または他の部品の介在によって)センタリング部材に付与された力を測定するための、センサを備える。
【0054】
このセンサは、例えば荷重セル、歪みゲージ、または圧力センサとし得る。
【0055】
圧力センサまたは荷重セルの場合、上記の利点を得るために、
強磁性材料で作られた本体と誘導部の反応部分との間、及び/または
スキッドのセンタリング部材と誘導部の反応部分との間、及び/または
強磁性材料で作られた本体と、(もしあれば)ハウジング部材との間、
の圧力(力)を検出するために、スキッドに設定することができる。
【0056】
より好ましい変形において、スキッドもしくはエレベータ、またはシステムは、(例えばマイクロプロセッサベースの)電気回路を備え、それは、
センサからの信号を検出するため、ならびに
このセンサによって発せられた値を、例えばゼロもしくは実質的にゼロである基準値にするか、または基準値に維持するよう、荷重の反作用力の大きさを調整するために、荷重の反作用力を生成する手段またはデバイス、及び/または調整部材を駆動するため、
にプログラムされるか、または(例えばアナログ電子基板で)構成される。
【0057】
荷重の反作用力の大きさは、例えば荷重の反作用力を生成する手段が電磁石である場合、電気信号によって制御され得る。そのとき、荷重の反作用力の調節は、電気信号を介して電子回路によって成される。
【0058】
または、荷重の反作用力の大きさは、機械的な変位によって制御可能とし得る。すなわち、誘導部における荷重の反作用力は、誘導部と、荷重の反作用力を生成する手段との間の、相対的位置に依存する。さらに好ましい変形において、スキッドもしくはエレベータ、またはシステムは、荷重の反作用力を生成する手段、及び/または調整部材を動かすためのアクチュエータを備える。このアクチュエータは、例えば回転モータまたはリニアモータなどの電気式である。
【0059】
さらに好ましい変形において、上記の電子回路は、アクチュエータに接続されてアクチュエータを駆動し、間接的に、電気信号を介して、荷重の反作用力の大きさを駆動する。
【0060】
本発明の第2の態様は、上記で提示したように、例えばエレベータまたは荷物用エレベータのための、スキッドに関する。
【0061】
本発明の第3の態様は、可動の耐荷構造物に取り付けられたスキッドと、スキッドが摺動軸に沿って摺動でき、その一方でセンタリング部材を通して中央にとどまる誘導部と、の間の摩擦を軽減させる、第1の方法に関し、
センタリング部材に外部で加えられた力は、誘導部に接触することなく、それぞれの誘導部における反発または誘引の荷重に対抗する力(例えば図2の力F参照)を生成することによって低減され、この力は、センタリング部材に外部から加えられた力に対して反対方向に、かつ
誘導部の長手方向軸に直交する面に対して平行する方向に、及び/または
(2つ存在する場合は)2つの誘導部を含んだ面に対して直交して、
導かれる。
【0062】
2つの誘導部を伴い、荷重の反作用力は、可動構造物にモーメントを生じさせるように作用し、図2のモーメントMによって定められたものとは反対方向に、誘導部を含んだ面と平行な軸の周りに、誘導部の面に対して傾かせる傾向がある。
【0063】
第1の方法における好ましいステップは、荷重の反作用力を、空圧的に、電磁的に、または磁気的に(すなわち誘導部と電磁界との相互作用を利用して、荷重の反作用力を作り出して)、生成することを想定する。
【0064】
第1の方法における好ましいステップは、磁気回路の一部、及び/または磁束生成器を、誘導部の反応部分に対して相対的に変位させることによって、磁気的に荷重の反作用力を生成することを想定し、それによって、誘導部の反応部分の両側部における磁界によって加えられた合力を作り出し、誘導部の反応部分を、チャネルの内壁に向けて誘引する。
【0065】
第1の方法における、より好ましいステップは、強磁性材料で作られた上記の本体、またはその一部を、スキッドの摺動軸に対して直交して、誘導部の上記の反応部分に対して相対的に変位させることによって、磁気的に荷重の反作用力を生成することを想定し、それによって、誘導部の反応部分の両側部における磁界によって加えられた、UまたはCの空洞内の合力を作り出し、誘導部の反応部分を、UまたはCの内面に誘引する。
【0066】
第1の方法における、より好ましい別の変形は、誘導部を誘引または反発させるため、スキッドに取り付けられた補助的な磁界生成器を介して、磁気的に荷重の反作用力を生成することを想定し、特に、誘導部を含んだ面に対して直交する方向、及び/またはUもしくはC形状の空洞の内面に対して直交する方向、に導かれた力を伴う。
【0067】
より好ましい変形において、補助的な磁界生成器は、スキッドに連結された誘導部に対して、例えばスキッドの摺動軸に対して直交するよう変位され、それによって荷重の反作用力の大きさを調整する。
【0068】
第1の方法における、より好ましい別のステップは、センサを用いて、誘導部によってセンタリング部材に付与された力、すなわち摩擦を生じさせる荷重を測定することを想定する。特に第1の方法において、上記の付与された力が測定され、次に荷重の反作用力の大きさは、センタリング部材において外部で付与された力をゼロまたは減少させるために、例えば電子フィードバック回路によって、測定した付与された力に応じて変化される。
【0069】
本発明の第4の態様は、上述のようにスキッドを制御する第2の方法に関連し、
接触することなく、センタリング部材における荷重の反作用力をスキッド内で生成するステップを伴い、それぞれの誘導部における反発または誘引である力を有し、この力は、
センタリング部材における外部の荷重力に対して反対方向に、
かつ誘導部の長手方向軸に直交する面に対して平行に、ならびに/または(2つ存在する場合は)2つの誘導部を含んだ面に対して直交して導かれ、
センタリング部材において誘導部の両側部によって付与された力を、減少させる。
【0070】
このように、センタリング部材における荷重によるモーメントは、スキッドを荷重から解放し、摩擦力を低減させてスキッドの摺動特性を向上させることで、相殺することができる。
【0071】
本発明の第5の態様は、上述のようにスキッドを制御する方法に関連し、
センサからの信号を検出して、センタリング部材、または例えば強磁性材料で作られた本体における誘導部(またはその反応部分)の両側部によって付与された力を判断するステップと、
上記の付与された力を、例えばゼロもしくは実質的にゼロである基準値にするか、または基準値に維持するために、荷重の反作用力の大きさを調整するステップと、
を伴う。
【0072】
第4及び第5の態様において、生成された力は、第3の態様におけるもののように生成することができる。
【0073】
磁束を生成するための生成器または手段、及び補助的な磁界生成器、の両方は、例えば1つもしくは複数の電磁石、または1つもしくは複数の永久磁石など、様々な実施形態を有し得る。
【0074】
誘導部は、例えばレールであり、必ずしも厳密に直線である必要はない。
【0075】
上記の荷重の反作用力は、必要に応じて、センタリング部材における摩擦を増加させるために減少させてもよく、スキッドをブレーキとして利用する。
【0076】
本発明の第6の態様は、上記の可動の耐荷構造物と、スキッドが摺動軸に沿って摺動でき、その一方でセンタリング部材によって中心にとどまる、上記の誘導部と、に取り付けられた上記のスキッドを制動するための方法に関する。センタリング部材に外部で付与された力は、誘導部に接触することなく、上記の荷重の反作用力(例えば図2の力F参照)を調整する(すなわち減少させる)ことによって増加される。
【0077】
制動のための方法は、本発明の、他の態様のために上記で定義した変形の全てで共有される。
【0078】
荷重の反作用力は、移動システムの最初の設定中に工場において設定することができ、または移動システムの動作中のリアルタイムで調整することができる。例えば、荷重に対抗するために、スキッドの一方または各々によって展開された力は、特に、システムの荷重の変化を補うために、他のスキッドから独立して調整され得る(例えば、搭乗者がキャビンの内側に移動し、ならびに/または、キャビン内の搭乗者の数及び/もしくは位置が変化する、エレベータを考慮する)。
【0079】
本発明の利点は、添付の図面を参照して、スキッドの好ましい実施形態における以下の説明から、より明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】エレベータキャビンの概略立面図である。
図2】エレベータキャビンの概略側面図である。
図3】上から見たスキッドの第1の変形を示す図である。
図4図3のスキッドにおける、IV-IV面に沿った断面図である。
図5図3のスキッドの三次元図である。
図6図3のスキッドにおける、VI-VI面に沿った断面図である。
図7】第2のスキッドの、分解組立三次元図である。
図8】組み立てられた、第2のスキッドの三次元図である。
図9】摺動軸に対して直交する面における、第2のスキッドの断面図である。
図10】第3のスキッドの、分解組立三次元図である。
図11】組み立てられた、第3のスキッドの三次元図である。
図12】第3のスキッドの側面図である。
図13】XIII-XIII面に沿った、第3のスキッドの断面図である。
図14図4の概略断面図である。
図15】第5のスキッドの三次元図である。
図16】誘導部に連結された、第5のスキッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図面では、等しい番号は、等しいかまたは概念的に類似の部品を示す。記号N及びSは、それぞれ北磁極及び南磁極を表わし、材料内で囲まれた矢印は磁束線を表わす。
【0082】
図5は、摺動軸Yに沿って直線誘導部14を摺動する2つのスキッドMC1を例示する。図1及び図2において、スキッドMC1は、上部スキッド及び下部スキッドに相当する。好ましくは、システムは、誘導部14に各々で2対のスキッドMC1を備えるが、図1及び図2のように、簡略化のために1つのみのスキッドが表わされる。
【0083】
誘導部14はT形状の断面を有し、平坦な支持基部22及び基部22から片持ち梁式に突出した誘導部分24を伴う。好ましくは、誘導部20全体は、例えば鉄などの強磁性材料で作られるか、または少なくとも誘導部分24は、磁界に反応する材料、例えば鉄などの強磁性材料で作られる。例えば、誘導部14は、エレベータに関連して使用される従来の誘導部であってもよい。
【0084】
スキッドMC1は、プレート40に取り付けられた本体30を備える。
【0085】
本体30は、U形状の断面を有し、その内側に、Uの両端部でY軸に平行してそれぞれ配置された、磁石32が取り付けられる。このように本体30は、中空の直線チャネル34を画定し、それはUの一方の端部から出て他方から入る磁界の全てのequiverse線によって横切られる。
【0086】
部分24はチャネル34の中に挿入されるので、力線は、部分24の側部の面に、直角にぶつかる。
【0087】
好ましくは、部分24はきのこ形状の断面を有する。すなわちY軸に直交する面で見ると、断面は、狭い茎部26及び広い頭部28を有する。換言すると、この断面は、頭部28でより大きく、茎部26(基部22に最も近い部分)でより狭い。
【0088】
茎部26と頭部28との間の部分間の不連続性は、切り立った段差状のものでもよく、または傾斜のような緩やかなものでもよい。この形状は、磁気連結力が、部分24とスキッドMC1との間で展開するのを保証し、スキッドMC1及び誘導部14を、Yに直交する同じ相対的距離において維持する傾向がある。実際、荷重のために頭部28がUの両端部に対して不整合となる傾向があるとき、磁気の引き戻し力が展開され、Y軸に直交するよう導かれて、頭部28をUの中心に戻す。
【0089】
頭部28の任意の位置的な摂動は、U及び頭部28によって形成された、磁気回路の磁気抵抗における変化を必然的に伴い、システムを最低の磁気抵抗構成にもたらす磁気反力を生成する。次に均衡位置に達し、そこでスキッドのセンタリング磁力は、誘導部における摂動、及び/または、Y軸に対して垂直方向に、頭部28をチャネル34から引き出す傾向のある荷重、もしくは頭部28をチャネル34の中に押し込む傾向のある荷重、の均衡を保つ。
【0090】
チャネル34の両端部は、2対のそれぞれ対向したセンタリング部材44である。センタリング部材44の各対は、誘導部14に追随するよう、部分28において一定にかすめるようにサイズが決められる。
【0091】
センタリング部材44において、外部の荷重は、スキッドMC1の摺動に対抗する摩擦を生成する。
【0092】
スキッドMC1は、部分24で反発または誘引し、誘導部14を含んだ面に対して直交する方向に導かれた荷重の反作用力F、すなわち例において、チャネル34を長手方向に分割する仮想面に対して直交する荷重の反作用力F、を生成する手段を備える。
【0093】
力Fは、より小さい摩擦でスキッドが摺動できるよう、スキッドを外部の荷重から解放するために、センタリング部材44における荷重に対抗するために使用される。
【0094】
この目的のため、部材44の一方または各々には、チャネル34に面したプレッサ46が設けられ、それは頭部28をかすめ、直線的に摺動することによって(部材44の体積から多少突出して)頭部28を側方に押すことができる。
【0095】
次に、プレッサ46の直線位置を調整することによって、頭部28を押す力を調整することができる。プレッサ46と、その関連部材44との間の相対的位置を、例えば閉塞用ネジ48によって固定することができる。
【0096】
図14に概略で例示された変形MC4は、同じ原理で作動する。ここで、強磁性材料で作られた本体100は、UまたはC形状の断面を有し、内側に磁石102を収容するよう構成される。磁石102は、例えばUまたはCそれぞれの両端部において、Y軸に平行に配置され、Uの一方の壁を出て他方の対向した壁に入る、全てのequiverse磁界線によって横切られる中空の直線チャネル34を画定する。
【0097】
磁石102の1つまたは各々は、本体100に直線的に可動に取り付けられ(方向W)頭部28に対するチャネル34の内側の距離を変化させる。このように、スキッドMC1で生成された同じ力Fが、プレッサ46によって得ることができる。頭部28は静止したままであるが、磁石102を伴うチャネル34の側壁は、頭部28に近付くよう動かされる。
【0098】
例えば、磁石102は、摺動ブロック104に取り付けられ得る。摺動ブロック104の、本体100に対する相対的位置は、例えばネジ、またはネジ切りダボ106を回すことによって、変更され得る。
【0099】
図7は、スキッドMC1のために説明したように、Y軸に沿って直線誘導部14を摺動可能な、スキッドMC2を例示する。好ましくは、システムは誘導部14において各々で2対のスキッドMC2を備えるが、図1及び図2のように、簡略化のために1つのみのスキッドが表わされる。
【0100】
スキッドMC2は、やはりU形状の断面を有する本体30を備え、磁石32はその中に取り付けられ、中空の直線チャネル34に、スキッドMC1のために説明したような磁界を生成する。MC2スキッドによって生成された磁界の、誘導部14との相互作用は、スキッドMC1のものと同じである。
【0101】
スロットが付いた誘導及びセンタリングキャップ50は、好ましくはチャネル34の両端部に取り付けられ、誘導部14との連結を向上させる。
【0102】
スキッドMC2は、荷重の反作用力Fを生成する手段について、別の実施形態を備える。
【0103】
本体30に可動に取り付けられるのは、チャネル34に対して横断方向の(かつY軸に対して直交する)極性軸を有する磁界を生成することができる、磁石52である。例えば、磁石52の磁界は、チャネル34を横切るか、または侵入し、誘導部分24の側方の面に直交またはほぼ直交してぶつかる、力線を備える。このように、軌道または誘導部14を誘引または反発することによって、磁石52は、誘導部14におけるスキッドMC2を、Y軸に対して直交して、誘引または反発することができる。
【0104】
力Fの大きさは、誘導部14に対する磁石52の相対的位置を変化させることによって、調整することができる。例においては、磁石52は、Y軸に対して直交する方向に移動可能である。
【0105】
このような移動を実現する方法は、チャネル34の隣におけるハウジングの内側で、例えばネジ54によって、磁石52を本体30に固定して取り付けることであり、ネジ54のネジ止めの程度で、上記の相対的位置を直線的に較正する。
【0106】
図7及び図8は、スキッドを誘導部に、より良好に動的に適応させるための、任意選択の技術的解決策も示す。
【0107】
この目的のため、本体30またはスキッドは、エレベータが、誘導部14の長手方向軸に対して揺れるか、または傾くことができるよう、エレベータに対して連結される。
【0108】
図8の例において、本体30の中央線部分58は、キャビン12に一体化された支持部60に、X軸の周りにヒンジ留めまたは枢動される。X軸は、誘導部14を含んだ面に対して平行であり、使用中に水平である。
【0109】
このように、本体30はX軸の周りを独立して振動することができ、誘導部14における小さい変形に追従する。
【0110】
図10は、スキッドMC1及びMC2のために説明したように、Y軸に沿って直線誘導部14を摺動可能な、スキッドMC3を例示する。好ましくは、システムは誘導部14において各々で2対のスキッドMC3を備えるが、図1及び図2のように、やはり簡略化のために、ここでは1つのみのスキッドが表わされる。
【0111】
スキッドMC3は、やはりU形状の断面を有する本体30を備え、磁石32はその中に取り付けられ、中空の直線チャネル34に、スキッドMC1及びMC2のために言及したような磁界を生成する。スキッドMC3によって生成された磁界の、誘導部14との相互作用は、スキッドMC1及びMC2のものと同じである。
【0112】
スロットが付いた誘導及びセンタリングブラケット61は、好ましくはチャネル34の両端部に取り付けられ、誘導部14との連結を向上させる。
【0113】
スキッドMC3は、荷重の反作用力Fを生成する手段について、別の実施形態を備える。
【0114】
本体30において、磁石を備えたブロック62が可動で取り付けられ、それは、スキッドMC2の磁石52のために言及したように、チャネル34に対して横断方向の(かつY軸に対して直交する)極性軸を伴う磁界を生成することができる。
【0115】
力Fの大きさは、誘導部14に対するブロック62の相対的位置を変化させることによって、調整することができる。
【0116】
スキッドMC3は、磁気ブロック62の位置的調整のための異なるシステムを実行する。
【0117】
本体30は、U形状の断面、すなわち2箇所で90°で共に配置され、68、70、72で示された3つの壁によって形成された断面を有する剛性ハウジング66の中に、収容される。磁石62は、2つの等しい剛性アーム74(図12参照)によって、壁72の内面における2つの異なる点においてヒンジ留めされ、それによって壁72の内面全体と、2つの剛性アーム74と、磁気ブロック62と、は連結式の平行四辺形を形成する。この構造のおかげで、ブロック62はハウジング66及び本体30に対して、チャネル34から近付くよう、または離れるよう(Wの方向)に移動することができ、その一方でY軸に対して平行を保つ。磁気ブロック62の位置は、例えばハウジング60の中にネジ止めされてブロック62の基部を係合するネジ(図9に類似した構造)によって、しっかりと固定可能である。
【0118】
スキッドMC3も、スキッドが誘導部14に動的に適応するのを可能にする、MC2のために説明したような、任意選択の解決策を備える。すなわち本体30またはスキッドは、エレベータが誘導部14の手方向軸に対して揺れるか、または傾くことができるよう、エレベータに連結される。
【0119】
例において、ハウジング66の中央線部分78は、キャビン12に一体化された支持部60に、X軸の周りにヒンジ留めまたは枢動される。X軸は、誘導部14を含んだ面に対して平行であり、使用中に水平である。
【0120】
このように、本体30はX軸の周りを独立して振動することができ、誘導部14における小さい変形に追随する。
【0121】
磁石52、62の数及び/または配置を、例示されたものとは変えてもよい。
【0122】
スキッドMC3は、力Fを生成する手段によって生成された力Fを検出するため、好ましくは動的に制御するために有用である、別の任意選択の技術的解決策を備える。
【0123】
この目的のため、本体30は、ハウジング66に可動で連結される。例において、本体30の端部分88は、X軸に対して平行のX2軸の周りに、ハウジング66の端部分90に対してヒンジ留めまたは枢動される。ハウジング66の、端部分90の反対側にある第2の端部分92において、本体30のハウジング66によって付与された力、及び/または本体30がハウジング66に対して押す力、を感知できるセンサ94が取り付けられる。センサ94は、例えば荷重セルである。
【0124】
センサ94によって発せられた信号を読み取ることによって、キャビン12におけるモーメントM、すなわちスキッドMC3における外部の荷重の大きさを計算/判断することが可能であり、データはシステムを制御し、かつ診断するために非常に有用である。
【0125】
ハウジング66の存在が、X軸及びX2軸を同時に実現するのを可能にする。
【0126】
より好ましい変形において、スキッドMC3もしくはエレベータの基板に位置されるか、または遠隔である、電子制御ユニット(図示せず)は、
センサ94によって発せられた信号を読み取るよう、及び
キャビン12におけるモーメントMの大きさを計算/判断するよう、
プログラムされる。データは、システム診断のために最も有用である。
【0127】
好ましい変形において、スキッドは駆動部またはアクチュエータ(図示せず)を備え、荷重の反作用力を生成する手段を動かす。例えば、スキッドMC3は、駆動部またはアクチュエータ(図示せず)を備え、磁気ブロック62を動かし得る。
【0128】
さらにより好ましい変形において、センサ94の使用及び荷重の反作用力Fの調節は、例えばアクチュエータによって、または電磁石を駆動することによって組み合わされ、それによってスキッドは、荷重が変化したときにモーメントMを自動的に相殺するために、(力Fを生成する手段によって発生した)力Fを動的に調整できる。特に、電子制御ユニットは、
センサ94の信号を読み取るステップと、
センサ94によって発せられた信号をゼロにするか、または基準値にもたらす、特定の力Fを生成するために、力Fを生成する手段を駆動するステップ、または力Fを生成する手段によって生成された力Fに影響を与えるアクチュエータを駆動するステップと、
を伴うフィードバック制御を実施するよう、プログラムされる。
【0129】
図15及び図16は、誘導部14のためのスキッドMC5の、追加の変形を示す。
【0130】
スキッドMC5は、プレート140に取り付けられた本体130を備える。
【0131】
本体130は、U形状の断面を有し、その内部に、Uの両端部にY軸に平行してそれぞれ配置された、磁石132(数個のみが示される)が取り付けられる。このように本体130は、チャネル34のような、中空の直線チャネル134を画定する。MC5スキッドによって生成された磁界の、誘導部14との相互作用は、スキッドMC1のものと同じである。
【0132】
誘導及びセンタリングの細長い本体150は、好ましくはチャネル134の両端部に取り付けられ、誘導部14との連結を向上させる。
【0133】
スキッドMC5は、荷重の反作用力Fを生成する手段について、別の実施形態を備える。
【0134】
チャネル134に対して横断方向の(かつY軸に対して直交する)極性軸を有する磁界を生成できる磁石152は、本体130に可動で取り付けられる。例えば、磁石152の磁界は、チャネル134を横切るか、または侵入し、誘導部分24の側方の面に直交またはほぼ直交してぶつかる、力線を備える。このように、軌道または誘導部14を誘引または反発することによって、磁石152は、誘導部14におけるスキッドMC5を、Y軸に対して直交して、誘引または反発することができる。
【0135】
力Fの大きさは、誘導部14に対する磁石152の相対的位置を変化させることによって、調整することができる。
【0136】
例において、磁石152は、Y軸に対して直交する方向に移動可能である。この移動を実現する方法は、例えば、磁石152を摺動ブロック504に取り付けることであり、摺動ブロック504の、本体130に対する相対的位置は、例えばネジまたはネジ切りダボ506を回ることによって変化させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】