(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】電気化学システム用のリアルタイム能動的測定方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/392 20190101AFI20240208BHJP
G01R 31/367 20190101ALI20240208BHJP
G01R 31/389 20190101ALI20240208BHJP
G01R 31/374 20190101ALI20240208BHJP
G01R 31/3842 20190101ALI20240208BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240208BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240208BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G01R31/392
G01R31/367
G01R31/389
G01R31/374
G01R31/3842
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/02 H
H02J7/00 Y
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544559
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2022013930
(87)【国際公開番号】W WO2022169652
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521291286
【氏名又は名称】リジュール インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ルデュック,ヒューゴ
(72)【発明者】
【氏名】オカムラ,ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】ケユネ-ニョンビ,エル
(72)【発明者】
【氏名】フィン,ケニー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,スティーブン
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA07
2G216BA23
2G216BA34
2G216BA35
2G216BA44
2G216BA56
2G216BA59
2G216CB14
2G216CB15
2G216CB51
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA04
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF51
5H030FF52
(57)【要約】
本明細書では、能動的測定値をすばやくリアルタイムで評価し、再充電可能な電気化学貯蔵システムのバランスを能動的にとるためのシステム及び方法が提供される。本明細書で提供される特定のシステム及び方法は、バッテリの集合の中の特定の電気化学素子に個別に電気的に対処するために明らかにされる。本明細書で提供される特定のシステム及び方法は、電気化学素子の集合の中の特定の電気化学素子に個別に電気的に対処するために明らかにされる。本明細書で提供される特定のシステム及び方法は、バッテリセル及び/又はバッテリモジュール及び/又はバッテリパックの集合の中の1つ又は複数のバッテリセルを分析するために明らかにされる。本明細書で提供される特定のシステム及び方法は、電気化学素子の集合の中の1つ又は複数の電気化学素子を分析するために明らかにされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定をスケジューリングするための方法であって、
(a)少なくとも2つの電気化学素子を提供すること、又は提供したことと、
(b)アクティブパラメータ及び素子選択器(APAES)に、
(1)受動的電流測定値(I
p)、
(2)システムコントローラからの非同期出力、
(3)電圧分布計算器からの出力(V
d)、
(4)アクティブパラメータ分布計算器からの出力(Z
d)、
(5)温度モデルからの出力(T
d)、又は
(6)(1)、(2)、(3)、(4)、及び/又は(5)の組み合わせ、
を入力することと、
(c)前記APAESから、
(1)アクティブパラメータ出力(D’)、及び
(2)選択された電気化学素子(Y’)、
を生成することと、
(d)D’及びY’をアクティブパラメータアクチュエータ及び計算器に入力することと、
(e)Y’から少なくとも1つのアクティブパラメータ出力(Z
m)を生成するために、アクティブパラメータ測定を行うこと、又は行ったことと、
(f)第2のアクティブパラメータ分布(Z
d’)を生成するために、Z
mをアクティブパラメータ分布計算器に入力することと、
(g)V
d、Z
d、及びT
dを健全度(SOH)モデルに入力することと、
(h)前記SOHモデルからSOHモデル出力(SOH
d)を生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(e)は、電気化学インピーダンス分光法(EIS)、パルス試験、ハイブリッドパルス電力特性評価(HPPC)、定電流間欠滴定法(GITT)、定電圧間欠滴定法(PITT)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される測定によってY’を分析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Z
mはインピーダンス測定値である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Z
mはEISによって測定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記分析は放電パルスと充電パルスの両方を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
Y’の前記温度、電圧、又はインピーダンスを測定することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つの電気化学素子は、モジュール又はパック内のバッテリセルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つの電気化学素子は直列である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの電気化学素子は並列である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記リアルタイムアクティブパラメータ及び素子選択器は、フィルタを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記フィルタは、カルマンフィルタ、拡張カルマンフィルタ(EKF)、線形同時確率分布推定、又は非線形同時確率分布推定である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記APAESから、選択されたY’を生成することは、
(i)極大電圧(V)、極小V、平均V、若しくは中央V、
(j)極大温度(T)、極小T、中央T、
(k)極大インピーダンス(Z)、極小Z、若しくは中央Z、又は
(l)(i)、(j)、及び/又は(k)の組み合わせ
の関数としてなされる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
(k)は、周波数の関数であるか、又は事前設定された周波数群の関数である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(k)は、周波数の関数であるか、又は可変的な周波数群の関数である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
(m)V
dは、測定電圧(V
m)又は受動的に決定された電圧(V
p)を電圧分布計算器に入力することによって生成され、
(n)Z
mは、有効電圧測定値(V
a)若しくは有効電流測定値(I
a)、又はその両方、及びT
dを、アクティブパラメータアクチュエータ及び計算器に入力することによって生成され、
(o)T
dは、受動的に測定された温度(T
p)及びZ
d、又はZ
d’を温度モデルに入力することによって生成され、
(p)Z
d又はZ
d’は、Z
mをアクティブパラメータ分布計算器に入力することによって生成され、
(q)SOH
dは、測定又は決定された健全度(SOH)をSOHモデルに入力することによって生成される、
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
V
m又はV
pは、セル電圧、モジュール電圧、パック電圧、又はそれらの組み合わせから選択され、
Z
mは、インピーダンス、リアクタンス、前記少なくとも2つの電気化学素子のうちの1つ又は複数のモデルからの等価回路素子、又はそれらの組み合わせから選択され、
T
dは、電気化学素子表面温度、電気化学素子内部温度、モジュール温度、又はそれらの組み合わせから選択され、
SOH
dは、Z
d、T
d、V
d、I
p、又はそれらの組み合わせをSOHモデルに入力することによって、電気化学素子に対して決定される、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
等価回路素子は、インピーダンス、抵抗、リアクタンス、インダクタンス、静電容量、定位相素子、ワールブルグ素子、電圧、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記等価回路素子は、電圧素子(V
x)、抵抗素子(R
0)、インピーダンス素子(R
x)、容量素子(C
x)、インダクタンス素子(L
x)、修正されたインダクタンス素子(L
y)、定位相素子(CPE
x)、ワールブルグ素子(W
x)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
Z
m又はZ
dを内部温度計算器に入力することによってT
dを生成することをさらに含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
測定電圧(V
m)、測定電流(I
m)、又はその両方に対して、高速フーリエ変換関数、又は時間領域信号から離散周波数を計算する同等の関数を使用して、インピーダンス測定値Z
mを生成することを含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
1秒、10秒、30秒、1分、90秒、2分、150秒、3分、5分、10分又は20分ごとに少なくとも1回、Z
mを生成することを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
1~5秒、1~15秒、1~30秒、1~45秒、1~60秒、1~120秒、1~240秒、1~500秒、又は1~5,000秒ごとに少なくとも1回、Z
mを生成することを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
1~2分、1~5分、1~10分、1~15分、1~20分、1~25分、1~30分、1~35分、又は1~45分ごとに少なくとも1回、Z
mを生成することを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
Z
d、V
d、T
d、I
p、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つをフィルタに入力することによって、充電状態(SOC)を生成することをさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記フィルタは、カルマンフィルタ、拡張カルマンフィルタ(EKF)、線形同時確率分布推定、又は非線形同時確率分布推定である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
最小化関数を使用して、前記少なくとも2つの電気化学素子のうちの2つ以上の間でSOCのバランスを能動的にとることを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
Z
m、Z
d、V
d、I
p、SOC、SOC
d、SOH、SOH
d、又はそれらの組み合わせの関数として、1つ又は複数の温度ルックアップテーブル(LUT)を選択することを含み、前記LUTは、既知のSOC又はSOHを有する電気化学素子に対して前もって生成される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
Z
m、Z
d、V
d、I
p、SOC、SOC
d、T、Td、又はそれらの組み合わせの関数として、1つ又は複数のSOHルックアップテーブル(LUT)を選択することを含み、前記LUTは、既知の温度又はSOCを有する電気化学素子に対して前もって生成される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
(z)前記少なくとも2つの電気化学素子のうちの2つ以上の間の温度勾配をEIS測定パラメータの関数として決定すること、
(aa)拡張自己補正モデルを使用して、前記勾配によって特性評価される前記電気化学素子のうちの1つ又は複数の前記温度に基づいて開路電圧(OCV)LUTを推定すること、
(ab)前記OCV LUTに基づいて、前記少なくとも2つの電気化学素子のうちの1つ又は複数のSOCを生成すること、
(ac)最小化関数を使用して、前記少なくとも2つの電気化学素子のうちの前記1つ又は複数のバランスを能動的にとること、
(ad)(z)、(aa)、(ab)、及び/又は(ac)の組み合わせ
をさらに含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
最小化関数を使用することは、SOC
dのσ、V
dのσ、及び/又はSOH
dのσを減少させることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか一項に記載のステップを実装するための手段を含む、測定をスケジューリングするためのシステム。
【請求項32】
最小化関数を使用して、2つ以上の電気化学素子の間でSOC、電圧(V)、SOH、又は3つすべてのバランスを能動的にとるための方法であって、
(a)少なくとも2つの電気化学素子を提供すること、又は提供したことと、
(b)アクティブパラメータ及び素子選択器(APAES)から選択された電気化学素子(Y’)を生成することと、
(c)Y’のアクティブパラメータ(Z
m)として、EISから得られたインピーダンス測定値を提供すること、又は提供したことと、
(d)Z
m、充電状態(SOC)、健全度(SOH)、又はそれらの組み合わせの関数として、1つ又は複数の温度ルックアップテーブル(LUT)を提供すること、又は提供したことと、
(e)前記1つ又は複数のLUTを使用してY’の温度を推定することと、
(f)前記1つ又は複数のLUTを使用してY’の健全度(SOH)を推定することと、
(g)ステップ(e)及び(f)における前記推定SOH及び推定温度に基づいて、モジュールOCV LUTを選択することと、
(h)ステップ(g)で選択された前記OCV LUTに基づいて、前記2つ以上の電気化学素子のうちの少なくとも2つについて、予測されるSOC、V、又はその両方を生成することと、
(i)最小化関数を使用して、前記2つ以上の電気化学素子について、SOC、V、又はその両方のバランスを能動的にとることと、
を含む、方法。
【請求項33】
ステップ(a)~(i)を繰り返すことを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記LUTは、既知のSOC及び/又はSOHを有する電気化学素子に対して前もって生成される、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
1つ又は複数のLUTを使用してOCVを推定することをさらに含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
最小化関数を使用することは、SOC
dのσ、V
dのσ、又はSOH
dのσを減少させることを含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
リアルタイムで電気化学貯蔵システムを分析し、バランスをとるための方法であって、
(a)電気化学素子の少なくとも2つ以上の分布を決定計算器に入力することによって、前記決定計算器からの出力として、前記電気化学素子の集合の中の少なくとも1つの電気化学素子を選択することであって、前記分布は、
(1)電圧分布計算器からの出力(V
d)、
(2)アクティブパラメータ分布計算器からの出力(Z
d)、
(3)温度モデルからの出力(T
d)、又は
(4)それらの組み合わせ
の関数であることと、
(b)Z
dを使用して、前記選択された電気化学素子のSOC、SOH、又はVを生成することと、
(c)前記電気化学素子のうちの2つ以上について、SOC、SOH、V、又はそれらの組み合わせのバランスを能動的にとることと、
(d)ステップ(a)、(b)、及び(c)を少なくとも1回繰り返すことと、
を含む方法。
【請求項38】
少なくとも1つの電気化学素子における警告、エラー、又は故障を特定することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの電気化学素子における安全事象を特定することを含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
故障又は安全事象を有すると特定された電気化学素子のバランスを能動的にとらないことを含む、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
最小化関数を使用して、前記電気化学素子のうちの2つ以上についてSOCのバランスを能動的にとることを含む、請求項37~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
最小化関数を使用することは、SOC
dのσ、V
dのσ、及び/又はSOH
dのσを減少させることを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ハードウェアで実行されたときに請求項1~42のいずれか一項に記載の方法を行う命令でエンコードされた、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項44】
請求項1~42のいずれか一項に記載の方法を行うように構成された、コンピュータプログラム製品。
【請求項45】
(b)アクティブパラメータ及び素子選択器(APAES)に、
(1)受動的電流測定値(I
p)、
(2)システムコントローラからの非同期出力、
(3)電圧分布計算器からの出力(V
d)、
(4)アクティブパラメータ分布計算器からの出力(Z
d)、
(5)温度モデルからの出力(T
d)、又は
(6)(1)、(2)、(3)、(4)、及び/又は(5)の組み合わせ、
を入力することと、
(c)前記APAESから、
(1)アクティブパラメータ出力(D’)、及び
(2)選択された電気化学素子(Y’)、
を生成することと、
(d)D’及びY’をアクティブパラメータアクチュエータ及び計算器に入力することと、
(e)Y’から少なくとも1つのアクティブパラメータ出力(Z
m)を生成するために、アクティブパラメータ測定を行うこと、又は行ったことと、
(f)第2のアクティブパラメータ分布(Z
d’)を生成するために、Z
mをアクティブパラメータ分布計算器に入力することと、
(g)V
d、Z
d、及びT
dを健全度(SOH)モデルに入力することと、
(h)前記SOHモデルからSOHモデル出力(SOH
d)を生成することと、
を行うための記憶されたプログラム命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項46】
(b)アクティブパラメータ及び素子選択器(APAES)から選択された電気化学素子(Y’)を生成することと、
(c)Y’のアクティブパラメータ(Z
m)として、EISから得られたインピーダンス測定値を提供すること、又は提供したことと、
(d)Z
m、充電状態(SOC)、健全度(SOH)、又はそれらの組み合わせの関数として、1つ又は複数の温度ルックアップテーブル(LUT)を提供すること、又は提供したことと、
(e)前記1つ又は複数のLUTを使用してY’の温度を推定することと、
(f)前記1つ又は複数のLUTを使用してY’の健全度(SOH)を推定することと、
(g)ステップ(e)及び(f)における前記推定SOH及び推定温度に基づいて、モジュールOCV LUTを選択することと、
(h)ステップ(g)で選択された前記OCV LUTに基づいて、前記2つ以上の電気化学素子のうちの少なくとも2つについて、予測されるSOC、V、又はその両方を生成することと、
(i)最小化関数を使用して、前記2つ以上の電気化学素子について、SOC、V、又はその両方のバランスを能動的にとることと、
を行うための記憶されたプログラム命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項47】
(a)電気化学素子の少なくとも2つ以上の分布を決定計算器に入力することによって、前記決定計算器からの出力として、前記電気化学素子の集合の中の少なくとも1つの電気化学素子を選択することであって、前記分布は、
(1)電圧分布計算器からの出力(V
d)、
(2)アクティブパラメータ分布計算器からの出力(Z
d)、
(3)温度モデルからの出力(T
d)、又は
(4)それらの組み合わせ
の関数であることと、
(b)Z
dを使用して、前記選択された電気化学素子のSOC、SOH、又はVを生成することと、
(c)前記電気化学素子のうちの2つ以上について、SOC、SOH、V、又はそれらの組み合わせのバランスを能動的にとることと、
(d)ステップ(a)、(b)、及び(c)を少なくとも1回繰り返すことと、
を行うための記憶されたプログラム命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[1] 本出願は、2021年2月5日に出願された米国仮特許出願第63/146,348号の利益及び優先権を主張するものであり、この米国仮特許出願の内容全体が、すべての目的で全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
政府権利の陳述
[2] 本発明は、国立科学財団により授与された、契約番号1842957号に基づく政府支援でなされた。政府は本発明においてある一定の権利を有する。
【0003】
分野
[3] 本開示は、電気化学素子、例えばリチウムイオン二次バッテリ又はトラクションバッテリ、及び関連する電気化学貯蔵管理システム、例えばバッテリ管理システムに関する。
【背景技術】
【0004】
背景
[4] 充電式バッテリにおける健全度及び充電状態を迅速且つ正確に評価することに対する満たされていないニーズがある。また、バッテリセル及びバッテリモジュールの集合の中から1つ又は複数のバッテリセルを分析することに対する満たされていないニーズもある。本明細書では、関連分野におけるこれらの問題及び他の問題に対する解決策を明らかにする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
[5] 1つの実施例では、測定をスケジューリングするための方法であって、(a)少なくとも2つの電気化学素子を提供すること、又は提供したことと、(b)アクティブパラメータ及び素子選択器(APAES)に、
(1)受動的電流測定値(Ip)、
(2)システムコントローラからの非同期出力、
(3)電圧分布計算器からの出力(Vd)、
(4)アクティブパラメータ分布計算器からの第1の出力(Zd)、
(5)温度モデルからの出力(Td)、又は
(6)(1)、(2)、(3)、(4)、及び/又は(5)の任意の組み合わせ、
を入力することと、
(c)APAESから、
(1)アクティブパラメータ出力(D’)、及び
(2)選択された電気化学素子(Y’)、
を生成することと、
(d)D’及びY’をアクティブパラメータアクチュエータ及び計算器に入力することと、(e)Y’から少なくとも1つのアクティブパラメータ出力(Zm)を生成するために、アクティブパラメータ測定を行うこと、又は行ったことと、(f)第2のアクティブパラメータ分布(Zd’)を生成するために、Zmをアクティブパラメータ分布計算器に入力することと、(g)Vd、Zd’、及びTdを健全度(SOH)モデルに入力することと、(h)SOHモデルからSOHモデル出力(SOHd)を生成することと、を含む、方法を本明細書で明らかにする。
【0006】
[6] 第2の実施例では、最小化関数を使用して、2つ以上の電気化学素子の間で充電状態(SOC)、電圧(V)、又はその両方のバランスを能動的にとるための方法であって、(a)少なくとも2つの電気化学素子を提供すること、又は提供したことと、(b)アクティブパラメータ及び素子選択器(APAES)から、選択された電気化学素子(Y’)を生成することと、(c)Y’のアクティブパラメータ(Zm)として、EISから得られたインピーダンス測定値を提供すること、又は提供したことと、(d)Zm、充電状態(SOC)、健全度(SOH)、又はそれらの組み合わせの関数として、1つ又は複数の温度ルックアップテーブル(LUT)を提供すること、又は提供したことと、(e)LUTを使用してY’の温度を推定することと、(f)LUTを使用してY’の健全度(SOH)を推定することと、(g)ステップ(e)及び(f)における推定SOH及び推定温度に基づいて、モジュール開路電圧(OCV)LUTを選択することと、(h)ステップ(g)で選択されたOCV LUTに基づいて、2つ以上の電気化学素子のうちの少なくとも2つについて、予測されるSOC、V、又はその両方を生成することと、(i)最小化関数を使用して、2つ以上の電気化学素子について、SOC、V、又はSOHのうちの少なくとも1つのバランスを能動的にとることと、を含む、方法を本明細書で明らかにする。
【0007】
[7] 第3の実施例では、リアルタイムでバッテリを分析し、バッテリのバランスをとるための方法であって、(a)電気化学素子の少なくとも2つ以上の分布を決定計算器に入力することによって、決定計算器からの出力として、電気化学素子の集合の中の少なくとも1つの電気化学素子を選択することであって、分布は、
(1)電圧分布計算器からの出力(Vd)、
(2)アクティブパラメータ分布計算器からの出力(Zd)、
(3)温度モデルからの出力(Td)、又は
(4)それらの組み合わせ
の関数であることと、
(b)EISを使用して、選択された電気化学素子のSOC、SOH、又はVを生成することと、(c)電気化学素子のうちの2つ以上について、SOC、SOH、V、又はそれらの組み合わせのバランスを能動的にとることと、(d)ステップ(a)、(b)、及び(c)を少なくとも1回繰り返すことと、を含む、方法を本明細書で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
【
図1】[8]バッテリモジュール用のバッテリ管理システム(BMS)監視ボードの略図を示す。
【
図2】[9]温度監視及び/又は健全度(SOH)推定を目的として、リアルタイムシステムにおいて能動的測定システムを使用するための方法を示す。
【
図3】[10]バッテリセル電圧対充電状態(%)のプロットを示す。
【
図4】[11]本明細書で明らかにした受動的測定と能動的測定の両方を使用するリアルタイム方法の略図を示す。
【
図5】[12]被試験デバイス(DUT)について、時間の関数として交流(AC)電流(I)及びAC電圧(V)のプロットを示す。
【
図6】[13]DUTのヘルツ(Hz)プロットにおける各周波数点に対する電気化学インピーダンス分光法の出力プロットを示す。
【
図7】[14]能動的測定システムの出力に基づいて、電気化学素子のバランシングを目的として最小化関数を使用するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
I.定義
[15] 本明細書で使用するとき、「電気化学セル」という語句は、アノード、カソード、セパレータ、及び電解質を含むことが多い電気化学エネルギー貯蔵デバイスの最低共通因子を指す。電気化学セルは、接触端子(集電体としても知られる)を含むこともある。アノードは、負電極と呼ばれることもある。カソードは、正電極と呼ばれることもある。
【0010】
[16] 本明細書で使用するとき、「電気化学素子」という語句は、電気化学セル、バッテリセル、又はバッテリセルの集合の構成要素を指す。電気化学素子は、集電体、アノード(又は負電極)、カソード(又は正電極)、電解質、又はセパレータを含み得る。電気化学素子は、単にカソードのみを含むこともある。電気化学素子は、単にアノードのみを含むこともある。電気化学素子は、バッテリセルを含むこともある。電気化学素子は、バッテリモジュールを含むこともある。電気化学素子は、バッテリストリング若しくはバッテリパック、又は直列若しくは並列に関連付けられた電気化学素子の任意の結合体を含むこともある。別途明示的に指定しない限り、電気化学素子はバッテリセルを指し、バッテリセルは少なくともカソード、アノード、電解質、及びセパレータを含む。
【0011】
[17] 本明細書で使用するとき、「Y’から少なくとも1つのアクティブパラメータ出力(Z
m)を選択する」という語句は、被試験デバイス(DUT)からアクティブパラメータを測定するための決定を生成することを指し、この決定においてDUTは決定アルゴリズムに基づいて選択された。例えば、「Y’から少なくとも1つのアクティブパラメータ出力(Z
m)を選択することは、
図1に示すようにセル112b上のインピーダンスを測定することを決定することを含み得る。
【0012】
[18] 本明細書で使用するとき、「アクティブパラメータ及び素子選択器(APAES)」という語句は、入力に基づいて決定を下すソフトウェアの機能又は部分を指す。これらの決定は、例えば、インピーダンス、リアクタンス、電流、又は電圧など、どのアクティブパラメータを測定すべきかを含む。これらの決定は、電気化学素子の集合の中のどの電気化学素子を測定すべきかをも含む。例えば、
図1は、並列又は直列に構成されたバッテリセル(112a)、(112b)~(112N)の集合を示す。APAESは、測定のためにこれらのセルの1つ又は複数をアドレス指定する決定を生成する。入力は、温度、電圧、電流、又は下記のような他のアクティブパラメータ測定を含み得る。
【0013】
[19] 本明細書で使用するとき、「システムコントローラからの非同期出力」は、所与のプロセスステップに対する入力に依存しない、システムコントローラによって生成される信号を指す。例えば、電気化学素子を燃焼していると特定する火災又は安全警告信号は、システムコントローラからの非同期出力の非限定的な例である。
【0014】
[20] 本明細書で使用するとき、「電圧分布計算器」という語句は、測定された電圧(Vm)入力に基づいて、対象とするDUT電気化学素子間の電圧値の分布について決定を下すソフトウェアの機能又は部分を指す。
【0015】
[21] 本明細書で使用するとき、「アクティブパラメータ分布計算器」という語句は、アクティブパラメータ入力に基づいて、対象とするDUT電気化学素子間のアクティブパラメータ値の分布について決定を下すソフトウェアの機能又は部分を指す。
【0016】
[22] 本明細書で使用するとき、「アクティブパラメータ分布計算器からの出力(Zd)」という語句は、アクティブパラメータ分布計算器によって生成される分布を指す。例えば、出力は、一連の対象DUTに対するアクティブパラメータの空間分解能であり得る。
【0017】
[23] 本明細書で使用するとき、「アクティブパラメータ分布(Zd又はZd’)」という語句は、アクティブパラメータ値を電気化学素子と関連付けるソフトウェアの機能又は部分からの出力を指す。いくつかの実施例では、Zdは、測定された各電気化学素子に対するアクティブパラメータ値の空間分布である。
【0018】
[24] 本明細書で使用するとき、「アクティブパラメータ出力(D’)」という語句は、アクティブパラメータのリストからの特定のアクティブパラメータを指す。例えば、D’は、インピーダンスであり得るが、インピーダンス、リアクタンス、電圧、電流、又は容量から選択された可能性がある。
【0019】
[25] 本明細書で使用するとき、「アクティブパラメータアクチュエータ及び計算器」という語句は、アクティブパラメータ、測定温度、又はSOH、SOC、若しくは温度モデルからの出力などであるがこれらに限定されない入力に基づいて、対象DUT電気化学素子に対してどのアクティブパラメータを測定すべきかについての決定を下すソフトウェアの機能又は部分を指す。
【0020】
[26] 本明細書で使用するとき、「温度モデル」という語句は、電気化学素子の温度と、その電気化学素子に対して測定され得るアクティブパラメータとを関連付ける、すでに取得されたデータに基づく関数である。
【0021】
[27] 本明細書で使用するとき、「温度モデルからの出力(Td」という語句は、温度モデルを使用して、電気化学素子の温度と、その電気化学素子に対して測定され得るアクティブパラメータとを関連付けるときに生成される値を指す。
【0022】
[28] 本明細書で使用するとき、「健全度(SOH)モデル」は、電気化学素子のSOHと、その電気化学素子に対して測定され得るアクティブパラメータとを関連付ける、すでに取得されたデータに基づく関数である。
【0023】
[29] 本明細書で使用するとき、「SOHdは、測定又は決定された健全度(SOH)をSOHモデルに入力することによって生成される」という語句は、ソフトウェアの機能又は部分がSOH値を電気化学素子と関連付けるプロセスを指す。いくつかの実施例では、SOHdは、測定された各電気化学素子に対するSOH値の空間分布である。
【0024】
[30] 本明細書で使用するとき、「内部温度計算器」という語句は、アクティブパラメータ、測定温度、又はSOH、SOC、若しくは温度モデルからの出力などであるがこれらに限定されない入力に基づいて、電気化学素子の内部温度についての決定を下すソフトウェアの機能又は部分を指す。
【0025】
[31] 本明細書で使用するとき、「モジュール」という用語は、直列及び/又は並列構成の組み合わせで一緒に接続された複数の電気化学セルを指す。
【0026】
[32] 本明細書で使用するとき、「パック」という用語は、直列及び/又は並列構成の組み合わせで一緒に接続された複数のセルを指し、バッテリシステムの構造及び構成によっては、直列及び/又は並列構成の組み合わせで一緒に接続された複数のモジュールを指すこともある。パックは、そうでないと指定しない限り、モジュールの組み合わせを指す。パックは複数のバッテリストリングの組み合わせを指すこともあり、ここでストリングはモジュールの組み合わせであり得る。何らかの直列及び/又は並列構成で一緒に電気的に接続された複数の電気化学素子は、電気化学貯蔵システムと呼ばれることがある。
【0027】
[33] 本明細書で使用するとき、「電気化学貯蔵管理システム」という用語は、電気化学貯蔵システムを監視、制御、及び保護する、通常は電子的なハードウェア及びソフトウェアシステムを指す。
【0028】
[34] 本明細書で使用するとき、「インピーダンス測定値」という語句は、1つ又は複数の周波数における周期的又は非周期的励磁信号を介した電気化学セル、モジュール、又はパックの交流(AC)インピーダンスの測定値を指す。
【0029】
[35] 本明細書で使用するとき、「電圧データプロセッサ」という語句は、複数の電圧測定値を未加工又は処理された形態で集約するソフトウェア機能を指す。
【0030】
[36] 本明細書で使用するとき、「温度データプロセッサ」という語句は、複数の温度測定値を未加工又は処理された形態で集約するソフトウェア機能を指す。
【0031】
[37] 本明細書で使用するとき、「インピーダンスデータプロセッサ」という語句は、複数のインピーダンス測定値を未加工又は処理された形態で集約するソフトウェア機能を指す。
【0032】
[38] 本明細書で使用するとき、「決定計算器」という語句は、入力に基づいて決定を下すソフトウェアの機能又は部分を指す。
【0033】
[39] 本明細書で使用するとき、「能動的特性評価」という語句は、電気化学セル特性評価を目的として、被試験デバイス(DUT)に外部励磁を使用し、その外部励磁に対する応答を測定することを指す。例としては、電気化学インピーダンス分光法(EIS)、パルス試験、ハイブリッドパルス電力特性評価(HPPC)、定電流間欠滴定法(GITT)、及び定電圧間欠滴定法(PITT)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
[40] 本明細書で使用するとき、「受動的特性評価」という語句は、電気化学素子の特性評価を目的として、DUT上で受動的測定を使用することを指す。例としては、電気化学素子の電圧、圧力又は温度を測定することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
[41] 本明細書で使用するとき、「受動的電圧測定(Vp)」という語句は、電気化学素子の特性評価又は監視を目的とした、DUT上の電圧の受動的測定を指す。
【0036】
[42] 本明細書で使用するとき、「受動的電流測定(Ip)」という語句は、電気化学素子の特性評価又は監視を目的とした、DUT上の電流の受動的測定を指す。
【0037】
[43] 本明細書で使用するとき、「受動的温度測定(Tp)」という語句は、電気化学素子の特性評価又は監視を目的とした、DUT上の温度の受動的測定を指す。Tpは通常、電気化学素子の表面温度を指し、受動的温度検知デバイスがDUTの表面に設置される。受動的温度検知デバイスの一例は、サーミスタである。受動的温度検知デバイスの別の例は、サーミスタである。システムは、少なくとも1つの受動的温度検知デバイスを含み得る。
【0038】
[44] 本明細書で使用するとき、「電気化学インピーダンス分光法(EIS)」という語句は、非直流電気信号を使用してDUTを励磁し、結果として生じる電気化学素子からの応答信号を測定する試験技術を指す。励磁信号には単一周波数が含まれることがあり、又は複数の周波数が含まれることがある。また、励磁信号には直流成分が含まれることもある。次に、励磁信号と応答信号の組み合わせは、DUTのインピーダンスを計算するために使用される。
【0039】
[45] 本明細書で使用するとき、「パルス試験」という語句は、励磁に対するデバイスの応答を測定することを目的として、DUTに一方向電力パルス励磁信号を駆動することを指す。定電流パルスが使用される場合、DUTの電圧応答が測定される。定電圧パルスが使用される場合、DUTの電流応答が測定される。
【0040】
[46] 本明細書で使用するとき、「ハイブリッドパルス電力特性評価(HPPC)」という語句は、励磁に対するDUTの応答を測定することを目的として、DUTに一連の充電及び/又は放電電力パルス励磁信号を駆動することを含む分析試験を指す。
【0041】
[47] 本明細書で使用するとき、「定電流間欠滴定法(GITT)という語句は、電流パルスに対するDUT応答を測定することを通じてDUTの特性を評価することを目的として、DUTに一連の電流パルスを駆動し、各電流パルスの後にいくらかの休止時間を設けることを指す。
【0042】
[48] 本明細書で使用するとき、「定電圧間欠滴定法(PITT)という語句は、電圧パルスに対するDUT応答を測定することを通じてDUTの特性を評価することを目的として、DUTに一連の電圧パルスを駆動し、各電圧パルスの後にいくらかの休止時間を設けることを指す。
【0043】
[49] 本明細書で使用するとき、「等価回路素子」という語句は、何らかの構成で一緒に接続された電気回路素子の組み合わせであって、これらの電気回路素子の挙動が物理現象のそれと等価又は代表的であるものを指す。
【0044】
[50] 本明細書で使用するとき、「内部温度」という語句は、電気化学素子の表面温度又は周囲温度と対照的に、電気化学素子の内部の温度を指す。
【0045】
[51] 本明細書で使用するとき、「周囲温度」という語句は、環境の周囲の温度を指す。
【0046】
[52] 本明細書で使用するとき、「表面温度」という語句は、そのデバイスの表面で測定されたデバイスの温度を指す。
【0047】
[53] 本明細書で使用するとき、「最小化関数」という語句は、2つの関数(例えば、予測関数と測定関数、目標SOC差と測定SOC差、目標電圧差と測定電圧差、又は目標SOH差と測定SOH差)の出力間の差を減少させるソフトウェア最適化関数を指し、また、2つの関数の2つの出力間の差を増加させる同様の最大化関数にも適用される。予測関数と測定関数との差は、本明細書ではσと呼ばれる。場合によっては、σは標準偏差及び分散などの一般的な統計パラメータを含むこともある。
【0048】
II.システム
[54] 本開示で同様に明らかにする方法を実装するためのシステムを本明細書で明らかにする。例示的なシステムを
図1で明らかにする。
【0049】
[55] いくつかの実施例で、実質的に
図1に示すようなシステムを本明細書で明らかにする。
【0050】
[56]
図1は、能動的測定システム(100)の一実施形態を示す。この能動的測定システム(100)は、電気化学バッテリセルを含むモジュール用のバッテリ管理システム(BMS)ボードとして使用することができる。BMSボードは、受動的測定検知ブロック(102)を含む。受動的測定検知ブロック(102)の1つの機能は、電気化学素子電圧、電気化学素子電流、電気化学素子表面温度、電気化学素子周囲温度、電気化学素子圧力、又はそれらの組み合わせなどであるがこれらに限定されない、受動的測定値を測定及び監視することである。ボードは、能動的測定制御及び検知ブロック(104)を含む。能動的測定制御及び検知ブロック(104)の1つの機能は、能動的測定を行う電気式又は電気機械式アクチュエータを制御することである。能動的測定制御及び検知ブロック(104)の別の機能は、能動的測定を解釈可能なアナログ又はデジタル信号に変換することである。ボードは、能動的測定システムのすべての側面を管理するシステムコントローラ(106)を含む。ボードは、追加のセンサ又は回路を含み得る補助測定(108)及び補助回路(110)を含む。受動的測定検知ブロック(102)及び能動的測定制御及び検知ブロック(104)は、ハードウェア又はソフトウェアフィルタを内蔵することができる。フィルタは、アナログ又はデジタルの方法で実現することができる。アナログ又はデジタルのフィルタリング方法は、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、ノッチフィルタ、有限インパルス応答フィルタ、無限インパルス応答フィルタ、マルチレートフィルタ、適応フィルタ、又は信号中の不要なノイズを排除する他のそのような方法を含み得る。フィルタリング方法はまた、異常値検出方法及び異常検出方法も含み得る。
【0051】
[57] 能動的測定システムは、能動的測定を行い、被試験デバイス-電気化学素子(112)の受動的測定を監視する。電気化学素子(112)は、並列又は直列に構成されたN個の素子(112a)、(112b)~(112N)を含む。電気化学素子の測定値は、能動的測定システム(100)が電気化学素子(112)に電気的に接続してアクセスするための手段を表すケーブル及びコネクタ(114)を通して取り込まれる。直列接続された電気化学素子は、スタックグランドGNDスタックを基準として、電圧Vスタックを作成する。
【0052】
[58] 本開示で同様に明らかにする方法を実装するためのシステムを本明細書で明らかにする。例示的なシステムを
図4で明らかにする。
【0053】
[59]
図4は、リアルタイム能動的測定システム(400)の一実施形態を示す。システムは、電圧分布計算器(402)を含む。電圧分布計算器(402)の1つの機能は、受動的電圧測定値(V
p)を入力として分析することによって電圧分布(V
d)を生成することである。V
dは、モジュール内の一群の電気化学セル間の電圧の空間分布を表すことができる。V
dは、パック内の一群のモジュール間の電圧の空間分布を表すことができる。システムは、温度モデル計算器(404)を含む。温度モデル計算器(404)の1つの機能は、受動的温度測定値(T
p)を入力として分析することによって温度分布(T
d)を生成することである。T
dは、モジュール内の一群の電気化学セル間の温度の空間分布を表すことができる。T
dは、パック内の一群のモジュール間の温度の空間分布を表すことができる。温度モデル計算器(404)の別の機能は、入力としてのアクティブパラメータ(Zd)によって温度分布(Td)を生成することである。温度モデル計算器(404)の別の機能は、受動的温度測定値(T
p)及びアクティブパラメータ(Z
d)を入力として分析することによって温度分布(T
d)を生成することである。システムは、アクティブパラメータ及び素子選択器(408)を含む。アクティブパラメータ及び素子選択器(408)の1つの機能は、アクティブパラメータ出力(D’)と、選択された電気化学素子(Y’)とを生成することである。Y’は、一群の電気化学素子の中の1つの電気化学素子である。例えば、電気化学素子は、
図1に示すように、素子(112a)又は(112b)~(112N)のうちのいずれか1つであってもよい。システムは、D’、Y’、及びT
dを入力として使用し、これらの入力を分析してアクティブパラメータ(Z
m)を生成するために使用される、アクティブパラメータアクチュエータ及び計算器(406)を含む。システムは、非同期コントローラ及び安全オーバライド(410)も含む。非同期コントローラ及び安全オーバライドの1つの機能は、安全でない状況が判断されたときにシステムを停止することである。例えば、システムコントローラは、火災を検出し、システムを停止するための信号を送信することがあり、この場合、送信される信号は、システムコントローラから送信される非同期信号になる。システムは、アクティブパラメータ分布計算器(412)を含む。アクティブパラメータ分布計算器(412)の1つの機能は、測定されたアクティブパラメータ(Z
m)を入力として使用して、アクティブパラメータ分布(Z
d)を生成することである。システムは、健全度(SOH)モデル(414)を含む。SOHモデル(414)の1つの機能は、測定されたアクティブパラメータ分布(Z
d)を入力として使用して、健全度出力(SOH
d)を生成することである。
【0054】
III.方法
[60] いくつかの実施例で、実質的に
図2に示すような方法を本明細書で明らかにする。
【0055】
[61] 他のいくつかの実施例で、実質的に
図4に示すような方法を本明細書で明らかにする。
【0056】
[62] 1つの実施例では、測定をスケジューリングするための方法であって、(a)少なくとも2つの電気化学素子を提供すること、又は提供したことと、(b)アクティブパラメータ及び素子選択器(APAES)に、
(1)受動的電流測定値(Ip)、
(2)システムコントローラからの非同期出力、
(3)電圧分布計算器からの出力(Vd)、
(4)アクティブパラメータ分布計算器からの第1の出力(Zd)、
(5)温度モデルからの出力(Td)、又は
(6)(1)、(2)、(3)、(4)、及び(5)の任意の組み合わせ、
を入力することと、
(c)APAESから、
(1)アクティブパラメータ出力(D’)、及び
(2)選択された電気化学素子(Y’)、
を生成することと、
(d)D’及びY’をアクティブパラメータアクチュエータ及び計算器に入力することと、(e)Y’から少なくとも1つのアクティブパラメータ出力(Zm)を生成するために、アクティブパラメータ測定を行うこと、又は行ったことと、(f)第2のアクティブパラメータ分布(Zd’)を生成するために、Zmをアクティブパラメータ分布計算器に入力することと、(g)Vd、Zd’、及びTdを健全度(SOH)モデルに入力することと、(h)SOHモデルからSOHモデル出力(SOHd)を生成することと、を含む、方法を本明細書で明らかにする。
【0057】
[63] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、ステップ(e)は、電気化学インピーダンス分光法(EIS)、パルス試験、高パルス電力特性評価(HPPC)、定電流間欠滴定法(GITT)、定電圧間欠滴定法(PITT)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される測定によってY’を分析することを含む。
【0058】
[64] 前述のいずれかを含む他のいくつかの実施例で、Zmはインピーダンス測定値である。
【0059】
[65] 前述のいずれかを含む他の実施例で、ZmはEISによって測定される。
【0060】
[66] 前述のいずれかを含む特定の他の実施例で、分析は放電パルスと充電パルスの両方を含む。
【0061】
[67] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、Y’の温度、電圧、又はインピーダンスを測定することを含む。
【0062】
[68] 前述のいずれかを含む他のいくつかの実施例で、少なくとも2つの電気化学素子は、モジュール内のセルである。
【0063】
[69] 前述のいずれかを含む他の実施例で、少なくとも2つの電気化学素子は直列である。
【0064】
[70] 前述のいずれかを含む特定の他の実施例で、少なくとも2つの電気化学素子は並列である。
【0065】
[71] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、リアルタイムアクティブパラメータ及び素子選択器は、フィルタを含む。
【0066】
[72] 前述のいずれかを含む他のいくつかの実施例で、フィルタはカルマンフィルタ(KF)である。
【0067】
[73] 前述のいずれかを含む他の実施例で、フィルタは拡張カルマンフィルタ(EKF)である。
【0068】
[74] 前述のいずれかを含む他のいくつかの実施例で、フィルタは線形又は非線形の同時確率分布推定である。
【0069】
[75] 前述のいずれかを含む特定の他の実施例で、方法は、APAESから、選択されたY’を生成することが、
(i)極大電圧(V)、極小V、若しくは中央V、
(j)極大温度(T)、極小T、中央T、若しくは特定の電気化学素子、
(k)極大インピーダンス(Z)、極小Z、若しくは中央Z、又は
(l)(i)、(j)、若しくは(k)の組み合わせ
の関数としてなされることを含む。
【0070】
[76] いくつかの実施例で、極大値、極小値、平均値、又は中央値は、電気化学素子に対するものである。他のいくつかの実施例で、極大値、極小値、又は中央値は、電気化学素子の集合に対するものである。いくつかの実施例で、極大値、極小値、又は中央値は、バッテリセルに対するものである。他のいくつかの実施例で、極大値、極小値、又は中央値は、バッテリセルの集合に対するものである。いくつかの実施例で、極大値、極小値、又は中央値は、モジュールに対するものである。いくつかの実施例で、極大値、極小値、又は中央値は、モジュールの集合に対するものである。他のいくつかの実施例で、極大値、極小値、又は中央値は、パックに対するものである。
【0071】
[77] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、(k)は、周波数の関数であるか、又は事前設定された周波数群の関数である。
【0072】
[78] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、(k)は、周波数の関数であるか、又は可変的な周波数群の関数である。
【0073】
[79] 前述のいずれかを含む特定の他の実施例で、
(m)Vdは、測定電圧(Vm)又は受動的に決定された電圧(Vp)を電圧分布計算器に入力することによって生成され、
(n)Zmは、有効電圧測定値(Va)若しくは有効電流測定値(Ia)、又はその両方、及びTdをアクティブパラメータアクチュエータ及び計算器に入力することによって生成され、
(o)Tdは、受動的に測定された温度(Tp)及びZd、又はZd’を温度モデルに入力することによって生成され、
(p)Zd又はZd’は、Zmをアクティブパラメータ分布計算器に入力することによって生成され、又は、
(q)SOHdは、測定又は決定された健全度(SOH)をSOHモデルに入力することによって生成される。
【0074】
[80] 前述のいずれかを含む特定の他の実施例で、
(m)Vdは、測定電圧(Vm)又は受動的に決定された電圧(Vp)を電圧分布計算器に入力することによって生成され、
(n)Zmは、有効電圧測定値(Va)若しくは有効電流測定値(Ia)、又はその両方、及びTdをアクティブパラメータアクチュエータ及び計算器に入力することによって生成され、
(o)Tdは、受動的に測定された温度(Tp)及びZd、又はZd’を温度モデルに入力することによって生成され、
(p)Zd又はZd’は、Zmをアクティブパラメータ分布計算器に入力することによって生成され、
(q)SOHdは、測定又は決定された健全度(SOH)をSOHモデルに入力することによって生成される。
【0075】
[81] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、
Vm又はVpは、セル電圧、モジュール電圧、パック電圧、又はそれらの組み合わせから選択され、
Zmは、インピーダンス、リアクタンス、少なくとも2つの電気化学素子のうちの1つ又は複数のモデルからの等価回路素子、又はそれらの組み合わせから選択され、
Tpは、電気化学素子温度又は電気化学素子温度の組み合わせから選択され、又は、
SOHdは、Zd、Td、Vd、Ip、又はそれらの組み合わせをSOHモデルに入力することによって、電気化学素子に対して決定される。
【0076】
[82] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、
Vm又はVpは、セル電圧、モジュール電圧、パック電圧、又はそれらの組み合わせから選択され、
Zmは、インピーダンス、リアクタンス、少なくとも2つの電気化学素子のうちの1つ又は複数のモデルからの等価回路素子、又はそれらの組み合わせから選択され、
Tpは、電気化学素子温度又は電気化学素子温度の組み合わせから選択され、
SOHdは、Zd、Td、Vd、Ip、又はそれらの組み合わせをSOHモデルに入力することによって、電気化学素子に対して決定される。
【0077】
[83] 前述のいずれかを含む特定の実施例で、等価回路素子は、インピーダンス、抵抗、リアクタンス、インダクタンス、静電容量、定位相素子、ワールブルグ素子、電圧、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0078】
[84] 前述のいずれかを含む特定の他の場合、等価回路素子は、電圧素子(Vx)、抵抗素子(R0)、インピーダンス素子(Rx1)、容量素子(Cx1)、インダクタンス素子(Lx)、修正されたインダクタンス素子(Ly)、定位相素子(CPEx)、ワールブルグ素子(Wx)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0079】
[85] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、Zm又はZdを内部温度計算器に入力することによってTpを生成することを含む。
【0080】
[86] 前述のいずれかを含む特定の他の場合、方法は、測定電圧(Vm)、測定電流(Im)、又はその両方に対して、高速フーリエ変換関数、又は時間領域信号から離散周波数を計算する同等の関数を使用して、インピーダンス測定値Zmを生成することを含む。
【0081】
[87] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、1秒、10秒、30秒、1分、90秒、2分、150秒、3分、5分、10分又は20分ごとに少なくとも1回、Zmを生成することを含む。
【0082】
[88] 前述のいずれかを含む特定の実施例で、方法は、1~5秒、1~15秒、1~30秒、1~45秒、1~60秒、1~120秒、1~240秒、1~500秒、又は1~5,000秒ごとに少なくとも1回、Zmを生成することを含む。
【0083】
[89] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、1~2分、1~5分、1~10分、1~15分、1~20分、1~25分、1~30分、1~35分、又は1~45分ごとに少なくとも1回、Zmを生成することを含む。
【0084】
[90] 前述のいずれかを含む特定の他の場合、方法は、Zd、Vd、Td、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つをフィルタに入力することによって、充電状態分布(SOCd)を生成することを含む。
【0085】
[91] 前述のいずれかを含む特定の実施例で、フィルタはカルマンフィルタ(KF)である。
【0086】
[92] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、フィルタは拡張カルマンフィルタ(EKF)である。
【0087】
[93] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、フィルタは線形又は非線形の同時確率分布推定である。
【0088】
[94] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、Zm、Zd、Vd、Ip、SOC、SOCd、SOH、SOHd、又はそれらの組み合わせの関数として、1つ又は複数の温度ルックアップテーブル(LUT)を選択することを含み、LUTは、既知のSOC又はSOHを有する電気化学素子に対して前もって生成される。
【0089】
[95] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、Zm、Zd、Vd、Ip、SOC、SOCd、T、Td、又はそれらの組み合わせの関数として、1つ又は複数のSOHルックアップテーブル(LUT)を選択することを含み、LUTは、既知の温度又はSOCを有する電気化学素子に対して前もって生成される。
【0090】
[96] 前述のいずれかを含む特定の他の場合、方法は、最小化関数を使用して、少なくとも2つの電気化学素子のうちの2つ以上の間でSOCのバランスを能動的にとることを含む。いくつかの実施例では、SOCのバランスをとる。他のいくつかの実施例では、電圧(V)のバランスをとる。特定の実施例では、電流(I)のバランスをとる。特定の他の実施例では、容量のバランスをとる。
【0091】
[97] 前述のいずれかを含む特定の他の場合、方法は、最小化関数を使用して、少なくとも2つの電気化学セルのうちの2つ以上の間でSOCのバランスを能動的にとることを含む。いくつかの実施例では、SOCのバランスをとる。他のいくつかの実施例では、Vのバランスをとる。特定の実施例では、Iのバランスをとる。特定の他の実施例では、容量のバランスをとる。
【0092】
[98] 前述のいずれかを含む特定の他の場合、方法は、最小化関数を使用して、少なくとも2つのバッテリセルのうちの2つ以上の間でSOCのバランスを能動的にとることを含む。いくつかの実施例では、SOCのバランスをとる。他のいくつかの実施例では、Vのバランスをとる。特定の実施例では、Iのバランスをとる。特定の他の実施例では、容量のバランスをとる。
【0093】
[99] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、最小化関数を使用して、少なくとも2つのモジュールのうちの2つ以上の間でSOCのバランスを能動的にとることを含む。
【0094】
[100] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、最小化関数を使用して、少なくとも2つのパックのうちの2つ以上の間でSOCのバランスを能動的にとることを含む。
【0095】
[101] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、
(z)少なくとも2つの電気化学素子のうちの2つ以上の間の温度勾配をEIS測定パラメータの関数として決定すること、
(aa)拡張自己補正モデルを使用して、勾配によって特性評価される電気化学素子のうちの1つ又は複数の温度に基づいてOCV LUTを推定すること、
(ab)OCV LUTに基づいて、少なくとも2つの電気化学素子のうちの1つ又は複数のSOCを生成すること、
(ac)最小化関数を使用して、少なくとも2つの電気化学素子のうちの1つ又は複数のバランスを能動的にとること、又は、
(ad)(z)、(aa)、(ab)、又は(ac)の組み合わせ
を含む。
【0096】
[102] 前述のいずれかを含む特定の他の場合、方法は、
(ad)少なくとも2つの電気化学素子のうちの2つ以上の間の温度勾配をEIS測定パラメータの関数として決定すること、
(ae)等価回路モデルを使用して、勾配によって特性評価される電気化学素子のうちの1つ又は複数の温度に基づいてOCV LUTを推定すること、
(af)OCV LUTに基づいて、少なくとも2つの電気化学素子のうちの1つ又は複数のSOCを生成すること、及び
(ag)最小化関数を使用して、少なくとも2つの電気化学素子のうちの1つ又は複数のバランスを能動的にとること
を含む。
【0097】
[103] 前述のいずれかを含む特定の他の場合、方法は、最小化関数を使用することがSOCdのσを減少させることを含むことを含んだ。
【0098】
[104] 他のいくつかの実施例では、最小化関数を使用して、2つ以上の電気化学素子の間で充電状態(SOC)、電圧(V)、又はその両方のバランスを能動的にとるための方法であって、(a)少なくとも2つの電気化学素子を提供すること、又は提供したことと、(b)アクティブパラメータ及び素子選択器(APAES)から、選択された電気化学素子(Y’)を生成することと、(c)Yのアクティブパラメータ(Zm)として、EISから得られたインピーダンス測定値を提供すること、又は提供したことと、(d)Zm、充電状態(SOC)、健全度(SOH)、又はそれらの組み合わせの関数として、1つ又は複数の温度ルックアップテーブル(LUT)を提供すること、又は提供したことと、(e)1つ又は複数のLUTを使用してY’の温度を推定することと、(f)1つ又は複数のLUTを使用してY’の健全度(SOH)を推定することと、(g)ステップ(e)及び(f)における推定SOH及び推定温度に基づいて、モジュールOCV LUTを選択することと、(h)ステップ(g)で選択されたOCV LUTに基づいて、2つ以上の電気化学素子のうちの少なくとも2つについて、予測されるSOC、V、又はその両方を生成することと、(i)最小化関数を使用して、2つ以上の電気化学素子について、SOC、V、又はその両方のバランスを能動的にとることと、を含む、方法も本明細書で明らかにする。
【0099】
[105] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、ステップ(a)~(i)を繰り返すことを含む。
【0100】
[106] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、LUTは、既知のSOC又はSOHを有する電気化学素子に対して前もって生成される。
【0101】
[107] 前述のいずれかを含む特定の他の場合、方法は、1つ又は複数のLUTを使用してOCVを推定することを含む。
【0102】
[108] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、SOC、電圧、又はSOHのσを減少させる最小化関数を使用することを含む。
【0103】
[109] いくつかの実施例で、測定のスケジューリングと能動的バランシングの両方が行われる場合、測定が行われる電気化学素子は、バランスをとる複数の2つ以上の電気化学素子とは異なる割合であってもよい。電気的に接続されたバッテリモジュールの集合を含むリチウムバッテリシステムの一実施例で、バッテリモジュールが電気的に接続されたバッテリセルの集合を含む場合、バッテリセルに対して能動的測定を行うことができる一方、バッテリモジュールに対して能動的バランシング方法を行うことができる。
【0104】
[110] 特定の他の場合、リアルタイムでバッテリを分析し、バッテリのバランスをとるための方法であって、
(a)電気化学セルの少なくとも2つ以上の分布を決定計算器に入力することによって、決定計算器からの出力として、電気化学セルのモジュールの中の少なくとも1つの電気化学セルを選択することであって、分布は、
(1)電圧分布計算器からの出力(Vd)、
(2)アクティブパラメータ分布計算器からの出力(Zd)、
(3)温度モデルからの出力(Td)、又は
(4)それらの組み合わせ
の関数であることと、
(b)EISを使用して、選択された電気化学素子のSOC、SOH、又はVを生成することと、
(c)電気化学素子のうちの2つ以上について、SOC、SOH、V、又はそれらの組み合わせのバランスを能動的にとることと、
(d)ステップ(a)、(b)、及び(c)を少なくとも1回繰り返すことと、
を含む方法を本明細書で明らかにする。
【0105】
[111] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、少なくとも1つの電気化学素子における故障を特定することを含む。
【0106】
[112] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、少なくとも1つの電気化学素子における安全事象を特定することを含む。
【0107】
[113] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、故障又は安全事象を有すると特定された電気化学素子のバランスを能動的にとらないことを含む。
【0108】
[114] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、最小化関数を使用して、電気化学素子のうちの2つ以上についてSOCのバランスを能動的にとることを含む。
【0109】
[115] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、SOCdのσを減少させることを含む最小化関数を使用することを含む。
【0110】
[116] 前述を含む特定の他の場合、方法は、電圧のσを減少させることを含む最小化関数を使用することを含む。
【0111】
[117] 前述のいずれかを含むいくつかの実施例で、方法は、SOHのσを減少させることを含む最小化関数を使用することを含む。
【0112】
[118] 測定をスケジューリングするための方法であって、(a)少なくとも2つの電気化学素子を提供すること、又は提供したことと、(b)電圧分布計算器からの出力(Vd)、インピーダンス分布計算器からの出力(Zd)、及び温度分布計算器からの出力(Td)を分布計算器に入力することと、(c)分布計算器からの出力として分布D’を生成することと、(d)D’を決定計算器に入力することと、(e)決定計算器からの出力として、測定すべき少なくとも1つの電気化学素子を選択することと、を含む方法を本明細書で明らかにする。
【0113】
[119] 測定をスケジューリングするための方法であって、(a)少なくとも2つの電気化学セルを提供すること、又は提供したことと、(b)電圧分布計算器からの出力(Vd)、インピーダンス分布計算器からの出力(Zd)、及び温度分布計算器からの出力(Td)を分布計算器に入力することと、(c)分布計算器からの出力として分布D’を生成することと、(d)D’を決定計算器に入力することと、(e)決定計算器からの出力として、測定すべき少なくとも1つの電気化学セルを選択することと、を含む方法を本明細書で明らかにする。
【0114】
[120] 特定の実施例で、本明細書の方法は、ステップが列挙されている順序で行われる。
【0115】
IV.コンピュータプログラム
[121] また、特定の実施例で、ハードウェアで実行されるとき、本明細書で明らかにされた方法を行う命令でエンコードされた非一時的コンピュータ可読媒体を本明細書で明らかにする。
【0116】
[122] また、特定の実施例で、本方法、本明細書で明らかにされた方法を行うように構成されたコンピュータプログラム製品を本明細書で明らかにする。
【実施例】
【0117】
V.実施例
[123] 使用されるバッテリサンプルは、さまざまなソースから購入されたバッテリセル及びバッテリモジュールを含む。これらは、公称電圧7.4V及び容量60Ahのリチウムマンガン酸化物(LMO)化学作用の中古日産リーフ第1世代バッテリモジュールを含む。日産リーフ第1世代バッテリモジュールは、2直列2並列構成で電気的に接続された合計4つのパウチセルを含む。試験に使用されるバッテリサンプルはまた、公称電圧3.7V及び容量3000mAhのニッケルマンガンコバルト(NMC)化学作用の、Samsungの18650円筒型セルも含む。試験に使用されるバッテリサンプルはまた、公称電圧12.8V及び容量138AhのValence提供のリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリモジュールも含む。これらのLFPバッテリモジュールは、直列及び並列構成の組み合わせで電気的に接続された300個を超える18650型円筒形セルを含む。上記は、説明したシステム及び方法を使用することができる電気化学素子の実施例である。
【0118】
[124] いくつかの機器を使用して電気化学インピーダンス分光法を行った。そのような機器の1つが、Gamry Potentiostat Interface 5000Eであり、それは最大5V及び最大3.5ArmsのEIS電流で電気化学セルにEISを行うことができる。試験中に使用する別のそのような機器は、最大数百ボルト及び最大10Armsの電気化学素子にEISを行うことができるReJoule, Incによって開発された製品である。
【0119】
[125] 電子装置及びプリント回路基板(PCB)アセンブリは、ReJouleが開発した。
【0120】
実施例1
[126] この実施例は、
図4で例示した方法の実装を明示する。例示的な実装を
図2で明らかにする。
【0121】
[127] この実施例では、
図2にも示すように、実装は、ステップ202で始まり、受動的測定値を集めることを含む。これらの受動的測定値は、電気化学素子表面温度、電気化学素子電圧、及び電気化学素子電流を含む。ステップ202は、最新のパラメータをチェックすることも含む。
【0122】
[128] 最新の値がチェックされるパラメータには、受動的温度測定値(Tp)、受動的電圧測定値(Vp)、又は受動的電流測定値(Ip)が含まれるが、これらに限定されない。一例では、Tp、Vp、及びIpは、モジュールに関して測定される。別の例では、Tp、Vp、及びIpは、バッテリセルに関して測定される。さらに別の例では、Tp、Vp、及びIpは、電気化学素子に関して測定される。最新の値がチェックされるパラメータには、電圧分布(Vd)、温度分布(Td)、又はアクティブパラメータ分布(Zd)も含まれることがあるが、これらに限定されない。最新の値がチェックされるパラメータには、測定されたアクティブパラメータ(Zm)又は健全度分布(SOHd)も含まれることがあるが、これらに限定されない。Vd、Td、Zd、Zm、及びSOHdは、モジュール、バッテリセル、電気化学素子、又はそれらの組み合わせに関して測定することができる。
【0123】
[129] ステップ204は、受動的温度測定値を温度モデル(404)ブロックに入力することを含む。ステップ204は、受動的電圧測定値を電圧分布(402)ブロックに入力することも含む。ステップ204は、パラメータを更新することも含む。
図4に示すように、ステップ204は、V
pを電圧分布(402)に入力して電圧分布(V
d)を生成することによって遂行することができる。
図4に示すように、ステップ204は、T
pを温度モデル(404)に入力して温度分布(T
d)を生成することによって遂行することができる。
【0124】
[130] ステップ206は、ステップ202及び204に基づいて、能動的温度測定又は能動的容量測定が可能であるかどうかを決定することを含む。例えば、Tdが、非ゼロの有限値を有する電気化学素子と関連付けられた位置を含むとき、能動的温度測定が可能である。例えば、Tdが、ゼロ値を有する電気化学素子と関連付けられた位置を含むとき、能動的温度測定は不可能である。例えば、Vdが、有限で安定した値を有する電気化学素子と関連付けられた位置を含むとき、能動的容量測定が可能である。例えば、Vdが、無限又は不安定な値を有する電気化学素子と関連付けられた位置を含むとき、能動的容量測定は不可能である。不安定な値の一例は、電圧測定値が短時間内に複数のピーク又は谷を有するときである。不安定な値の別の例は、電圧測定値が無限、ゼロ、又は負の値を有するときである。不安定な値の別の例は、電圧測定値が短期間内に極端な変化を見るときであり、極端な電圧変化は、適用例ごとに定義することができる。例えば、極端な変化は、1秒の時間フレーム内で1V未満の変化を含無可能性がある。追加の基準が、ステップ202及び204に基づいて、能動的温度測定又は能動的容量測定が可能であるかどうかを決定するために使用される意思決定アルゴリズムに含まれてもよい。
【0125】
[131] ステップ208は、能動的温度測定又は能動的容量測定のいずれかの選択を生成することを含む。ステップ208は、ステップ202、204、及び206に基づいて、対象被試験デバイス(DUT)を選択することも含む。例えば、ステップ202及び204で、Vdは、最小値を有する電気化学素子と関連付けられた位置を含むことができ、4.1Vに近い値を有する他の電気化学素子と関連付けられた一連の他の位置を含むことができる。基準に基づいて、最大電圧値を有する電気化学素子を対象DUTとして選択することができる。基準に基づいて、能動的温度測定値又は能動的容量測定値のいずれかの選択が生成されることになる。
【0126】
[132] ステップ210は、ステップ208で生成された能動的温度測定値又は能動的容量測定値のいずれかの選択からフィルタパラメータを更新することを含む。パラメータは、能動的測定周波数範囲、能動的測定波形の数、能動的測定の継続時間、能動的測定センサ感度、能動的測定の大きさ、能動的測定中の電気化学素子の電圧範囲、能動的測定中の最大受動的電流変化、能動的測定中の受動的電流変化率、能動的測定中の受動的温度測定範囲、及び能動的測定を中断させる可能性のあるあらゆる安全基準を含み得る。
【0127】
[133] ステップ212は、選択された対象DUTに対して、能動的温度測定又は能動的容量測定のいずれかを行うことを含む。例えば、能動的容量測定は、システム内の他の電気化学素子と比較して最小電圧を有する選択された対象DUTに対して行うことができる。
【0128】
[134] ステップ212の一例では、この特定の実施例ではバッテリモジュール内のバッテリセルであるDUTにAC電圧パルスが印加される。DUTの電流(I
DUT)及び電圧(V
DUT)応答は、
図5のように観察及び記録される。I
DUTとV
DUTとの位相差を代表的な図面である
図5にΦとして示す。I
DUTとV
DUTとの振幅の差は、
図5に|I
DUT|及び|V
DUT,ac|の絶対値の大きさの差として示す。印加パルスに対するDUTの応答は、電気化学インピーダンス分光分析のために通常なされるように、実数インピーダンスの関数としての虚数インピーダンスとして
図6のようにプロットすることができる。
図6は、日産リーフ第1世代バッテリモジュールに対してGamry INterface 5000Eポテンショスタットを使用して生成した。
【0129】
[135] ステップ214は、能動的温度測定値又は能動的容量測定値のいずれかをフィルタリングすることを含む。フィルタリングは、アナログ又はデジタルの方法で実現することができる。アナログ又はデジタルのフィルタリング方法は、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、ノッチフィルタ、有限インパルス応答フィルタ、無限インパルス応答フィルタ、マルチレートフィルタ、適応フィルタ、又は信号中の不要なノイズを排除する他のそのような方法を含み得る。フィルタリング方法はまた、異常値検出方法及び異常検出方法も含み得る。
【0130】
[136] ステップ214の後、ステップ214の結果が合格として適格であるかどうかについて決定がなされる。ステップ214の結果が合格として適格でない場合、ステップ204が繰り返され、その後に上記のようにステップ206、208、210、212、及び214が続く。ステップ214の結果が合格として適格である場合、次のステップはステップ216である。合否基準は、測定の信号対雑音比、測定信号の全高調波歪、サンプル内の最大及び最小信号範囲、測定期間中の電気化学素子受動的測定の変化、及び異常値の存在などのメトリクスに対する合否閾値を含み得る。
【0131】
[137] ステップ216は、ステップ208がそれぞれ能動的温度測定又は能動的容量測定の選択を生成するかどうかの関数として、DUTに対するフィルタリングされたインピーダンス測定値を温度モデル404又はSOHモデル412に入力することを含む。
【0132】
[138] ステップ218は、ステップ216で選択されたように、DUTに対するフィルタリングされたインピーダンス測定値を処理することを含む。
【0133】
[139] ステップ216は、ステップ208がそれぞれ能動的温度測定又は能動的容量測定の選択を生成するかどうかの関数として、DUTに対するアクティブパラメータ測定(例えば、能動的インピーダンス測定分布Zd)を温度モデル404又はSOHモデル412に入力することを含み得る。
【0134】
[140] ステップ218は、ステップ216で選択されたように、DUTに対するアクティブパラメータ測定を処理することを含む。
【0135】
[141]
図2に示すように、ステップ218の後、実装は終了する。しかしながら、別の実装がその後繰り返されることがある。
【0136】
実施例2
[142] この実施例は、最小化関数を使用して、2つ以上の電気化学素子間でSOCd、Vd、SOHd、又は3つすべてのバランスを能動的にとる方法の実装を明示する。
【0137】
[143] この実施例では、
図7にも示すように、最小化関数の実装は、ステップ702で始まり、実施例1からのDUTに対して能動的測定を行うことを含む。
【0138】
[144] ステップ702の一例では、能動的温度測定が行われる。
【0139】
[145] 他のいくつかの例では、ステップ702で能動的容量測定が行われる。
【0140】
[146] 他のいくつかの例では、何らかのエラー又は障害状態によりアクティブパラメータ計算器が測定を拒絶するため、ステップ702で能動的測定が完了しない。この例では、最小化関数の実装は、更新されないシステムパラメータを用いてステップ704に継続することができ、又は実装は、能動的測定が完了するまでステップ702を繰り返すことができる。
【0141】
[147] ステップ702を行った後、ステップ704でSOCd、SOHd、Td、及びVdなどの電気化学素子分布が更新され、ステップ706で平均値、中央値、最大値、最小値、及びσなどの測定値に対する統計量が計算される。
【0142】
[148] ステップ708は、ステップ702、ステップ704、及びステップ706から情報を取得して、SOC、電圧、又はSOHの点で他の電気化学素子と最も異なる電気化学素子(112)ブロックである新しい対象DUTを特定することを含む。
【0143】
[149] ステップ710は、対象DUTに注入する、又は対象DUTから除去する電荷量を計算することを含む。
【0144】
[150] 別の例では、ステップ710は、対象DUTに対して充電若しくは放電、又はその両方を行うための電力レベル及び継続時間を計算することを含む。
【0145】
[151] 別の例では、ステップ710は、対象DUTに対して充電若しくは放電、又はその両方を行うための電流レベル及び継続時間を計算することを含む。
【0146】
[152] 他の何らかの例で、ステップ710は、達成すべき目標SOCσを計算することを含む。
【0147】
[153] 他の何らかの例で、ステップ710は、達成すべき目標電圧σを計算することを含む。
【0148】
[154] 他の何らかの例で、ステップ710は、達成すべき目標SOHσを計算することを含む。
【0149】
[155] ステップ712は、ステップ710からの計算された命令に基づいて、電荷を対象DUTの中に、又は対象DUTから外に方向づけることを含む。電気化学素子間のこの電力転送は、バランシングと呼ばれることが多い。電力転送の行為は、DC-DCコンバータ、DC-ACコンバータ、線形電力調整器、又はDC電気化学素子からの電力を別の形態の電力に変換し得る他のそのようなシステムなどの電子システムを含み得る。
【0150】
[156] いくつかの例では、ステップ712で電力を変換する行為は、能動的測定制御及び検知(104)ブロックを伴うことがある。能動的測定制御及び検知(104)ブロックは、1つの電気化学素子(112)から別の電気化学素子(112)への電力変換を行うことができる。他の何らかの例で、能動的測定制御及び検知(104)ブロックは、単一電気化学素子(112)から、直列結合、並列構成、又は直列及び並列構成の組み合わせで電気的に接続された複数の電気化学素子への電力変換を行うこともできる。
【0151】
[157] いくつかの例では、ステップ712は、わずか1ミリ秒~数秒だけの短い電力のバーストを含み得る。他のいくつかの例では、ステップ712は、ステップ710で設定された目標命令に到達するために、1秒~数時間のより長い継続時間を表す一連の電力バーストを含み得る。より長時間にわたるバランシングの場合、全体的なバランシングは、電気化学素子への電力流が中断される可能性がある他のアクティビティによって割り込まれる可能性がある。長時間にわたるバランシングに割り込む可能性のある事象は、外部からの高い充電若しくは放電事象、周囲温度の大きな変動、電気化学素子の最小若しくは最大電圧レベルの違反、又は電気化学素子の状態の変化につながる可能性のある他のそのような事象を含み得る。これらの事象は、電気化学素子パラメータを更新するために能動的測定を行うようにシステムに促すこともある。
【0152】
[158] 他のいくつかの例では、ステップ712は、バランシング機能を行いながら能動的測定を行うために、200からの命令を組み合わせることができる。
【0153】
実施例3
[159] この実施例は、最小化関数を使用して、2つ以上の電気化学素子間でSOCd、Vd、SOHd、又は3つすべてのバランスを能動的にとり、警告、障害状態、故障、又は安全事象をリアルタイムで特定する方法の実装を明示する。
【0154】
[160] 能動的温度測定は、複数の電気化学素子が一緒に電気的に接続された電気化学貯蔵システム上で行われる。能動的温度測定から、電気化学貯蔵管理システムは、電気的に接続された複数の電気化学素子内の少なくとも1つの電気化学素子が異常高温事象を経験していると決定する。異常高温は、所定の高温閾値として定義することができる。別の例では、異常高温は、複数の電気化学素子の測定又は予測温度の平均値又は中央値と比較して統計的に有意である、少なくとも1つの電気化学素子の測定又は予測温度として定義することもできる。異常高温は、高C率高速充電事象中、高D率放電事象中、何らかの非ゼロ電流事象中、又はゼロ電流事象中に検出される可能性がある。
【0155】
[161] 一例では、電気化学貯蔵管理システムがこの異常高温を検出したとき、電気化学貯蔵システムが動作を停止して障害発生状態に入るように、故障フラグが設定される。障害発生状態では、電気化学貯蔵システムは、負荷への充電又は放電エネルギーをそれ以上受け入れることはできず、障害発生状態がリセットされるまで、システムは、意図した目的のためにそれ以上使用することができない。
【0156】
[162] 他のいくつかの例では、電気化学貯蔵管理システムがこの異常高温を検出したとき、警告フラグが設定され、オペレータ又は上位レベルの管理システムに通報される。警告フラグが設定されたとき、電気化学貯蔵システムは、負荷への充電又は放電エネルギーを受け入れても受け入れなくてもよく、警告フラグがリセットされるまで、システムは、意図した目的のために使用されても使用されなくてもよい。
【0157】
[163] この例では、電気化学貯蔵管理システムは、警告フラグ又は障害フラグが設定されたとき、バランシング動作を行っている最中であり得る。電気化学貯蔵管理システムは、バランシング動作を継続することを選んでもよく、又は電気化学貯蔵管理システムは、バランシング動作を終了することを選んでもよい。
【0158】
実施例4
[164] OCV LUTを生成するために使用されるグラフの一例が
図3にある。
図3は、NMCの公称電圧3.7VのSamsung 18650セルを使用して生成した。
図3は、試験したリチウムイオンバッテリセル電気化学素子についてOCVとSOCとの関連を示す。この例では、リチウムイオンバッテリセルが電気化学素子であった。このプロットは、最初に定電流定電圧(CC-CV)法を使用してバッテリセルを最大充電まで充電し、ここでCC-CV電流及び電圧はバッテリ製造業者によって決定され、その後、完全に充電されたバッテリセルを一定温度でC/20の低い放電率で放電することによって生成した。電気化学素子の電流及び電圧は、実験データを記録するために一定の時間間隔で監視することができる。セルの経時的な容量を記録して、製造業者の容量定格を基準にして電圧に対するセルの相対的SOC%を決定することができる。電気化学素子の最小動作電圧は、SOC曲線の低電圧端に表され、電気化学素子の最大動作電圧は、SOC曲線の高電圧端に表される。
【0159】
[165] 上述の実施形態及び実施例は、単に例示にすぎず、非限定的であることを意図している。当業者は、特定の化合物、材料及び手順の多数の均等物を、日常的な実験だけを使用して、認識することになり、又は確認することができるようになる。そのような均等物はすべて、適用範囲内にあるとみなされ、添付の特許請求の範囲に包含される。
【国際調査報告】