(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】放熱素材、これを含む組成物、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 21/064 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
C01B21/064 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546207
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 KR2022016099
(87)【国際公開番号】W WO2023120923
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0184508
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0121905
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0135470
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516060196
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ セラミック エンジニアリング アンド テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】Korea Institute of Ceramic Engineering and Technology
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】イ スンヒョプ
(72)【発明者】
【氏名】ユン ギョンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム ユンジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ スヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ミンホ
(57)【要約】
放熱素材が提供される。1次粒子が凝集した2次粒子を含む充填フィラーを有する前記放熱素材において、高分子樹脂マトリックス内の前記充填フィラーは、熱発生部及び熱吸収部の間の熱伝導のための熱界面層を形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次粒子を用意するステップと、
前記1次粒子、バインダー、分散剤、及び溶媒を混合して、分散溶液を製造するステップと、
前記分散溶液にホウ素ソース及び窒素ソースを投入し、溶解させて、ベースソースを製造するステップと、
前記ベースソースを噴霧して液滴を製造し、液滴を乾燥して、複数の前記1次粒子が凝集した1次凝集粒子と、前記ホウ素ソース及び前記窒素ソースが反応した中間体粒子とを含む予備2次粒子を製造するステップと、
前記予備2次粒子を焼結して2次粒子を製造し、複数の前記2次粒子を高分子樹脂と混合して、放熱素材を製造するステップとを含み、
前記溶媒は、純水、超純水、クロロホルム、クロロベンゼン、酢酸、アセトン、アセトニトリル、アニリン、ベンゼン、ベンゾニトリル、ベンジルアルコール、ブロモベンゼン、ブロモホルム、1-ブタノール、2-ブタノール、二硫化炭素、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、デカリン、ジブロモメタン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールエーテル、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、N、N-ジメチルホルムアミド、エタノール、エチルアミン、エチルベンゼン、エチレングリコールエーテル、エチレングリコール、エチレンオキシド、ホルムアルデヒド、ギ酸、グリセロール、ヘプタン、ヘキサン、ヨードベンゼン、メシチレン、メタノール、メトキシベンゼン、メチルアミン、メチレンブロマイド、メチレンクロライド、メチルピリジン、モルホリン、ナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、オクタン、ペンタン、ペンチルアルコール、フェノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ピリジン、ピロール、ピロリジン、キノリン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、テトラリン、テトラメチルエチレンジアミン、チオフェン、トルエン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、トリエチルアミン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、1,3,5-トリメチルベンゼン、m-キシレン、o-キシレン、p-キシレン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、又は、メチルピロリドンのうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする放熱素材の製造方法。
【請求項2】
前記ベースソースを製造するステップにおいて、前記分散溶液に投入される前記ホウ素ソース:前記窒素ソースの割合は、7:1以上14:1以下に制御されることを特徴とする、請求項1に記載の放熱素材の製造方法。
【請求項3】
前記2次粒子は、前記予備2次粒子が1100℃以上1500℃未満の温度で焼結して製造されることを特徴とする、請求項1に記載の放熱素材の製造方法。
【請求項4】
前記2次粒子が製造される過程において、前記予備2次粒子が焼結されることによって、前記中間体粒子は、前記1次凝集粒子と同じ相を有するように形成されることを特徴とする、請求項1に記載の放熱素材の製造方法。
【請求項5】
更に、前記1次粒子を用意するステップの後、前記分散溶液を製造するステップの前に、前記1次粒子を表面処理して、前記1次粒子の表面に存在する窒素基を第1の機能基に置換するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の放熱素材の製造方法。
【請求項6】
請求項1により製造された前記放熱素材を用意するステップと、
前記放熱素材を用いて熱界面層を製造するために、前記放熱素材を提供し、圧力を加え、前記2次粒子の圧縮強度を超える荷重で複数の前記2次粒子を圧縮するステップを含むことを特徴とする、熱界面層の製造方法。
【請求項7】
複数の前記2次粒子のうち、少なくとも一部は崩壊して、複数のピースに分けられ、
崩壊しない複数の前記2次粒子及び複数の前記ピースが、前記熱界面層内で互いに混合して共存することを特徴とする、請求項6に記載の熱界面層の製造方法。
【請求項8】
1次粒子が凝集した2次粒子を含む充填フィラーを有する放熱素材であって、
前記充填フィラーは、熱発生部及び熱吸収部の間の熱伝導のための熱界面層を形成し、
前記充填フィラーは、窒化ホウ素(BN)、カーボン(C)、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド、酸化ベリリウム(BeO)、リン化ホウ素(BP)、窒化アルミニウム(AlN)、硫化ベリリウム(BeS)、ヒ化ホウ素(BAs)、シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)、リン化アルミニウム(AlP)、又は、リン化ガリウム(GaP)のうち、少なくともいずれか1つを含み、
前記1次粒子は、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノフレーク、ナノニードル、ナノファイバー、ナノドット、ナノシート、ナノリボン、ナノプレート、ナノスフェア、ナノホーン、ナノコーン、又は、ナノスクロールのうち、少なくともいずれか1つの形状を有することを特徴とする放熱素材。
【請求項9】
前記2次粒子は、複数の1次粒子が凝集した1次凝集粒子と、複数の前記1次凝集粒子の間に配置された中間体粒子とを含むことを特徴とする、請求項8に記載の放熱素材。
【請求項10】
前記1次粒子は、六方晶系結晶構造の窒化ホウ素を含み、
前記1次凝集粒子は、六方晶系結晶構造の窒化ホウ素の複数の凝集体で、球状であることを特徴とする、請求項9に記載の放熱素材。
【請求項11】
前記中間体粒子は、前記1次凝集粒子と同じ相を有し、球状であることを特徴とする、請求項9に記載の放熱素材。
【請求項12】
前記2次粒子は、前記1次粒子に対して、前記中間体粒子の含量が増加することによって、BET比表面積が減少することを特徴とする、請求項9に記載の放熱素材。
【請求項13】
前記2次粒子に対するXRD分析において、2次相及び異種素材相の分率が1%以下であることを特徴とする、請求項9に記載の放熱素材。
【請求項14】
前記2次粒子を水に分散させ、20KHz及び200Wの条件で超音波処理する場合、粒度最大ピークが80%超に維持されることを特徴とする、請求項9に記載の放熱素材。
【請求項15】
高分子樹脂マトリックスと、
前記高分子樹脂マトリックスと混合した第1の充填フィラーとを含み、
前記第1の充填フィラーは、複数の1次粒子が凝集した2次粒子を含み、
前記高分子樹脂マトリックスは、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のうち、少なくともいずれか1つを含み、
前記第1の充填フィラーは、放熱素材であり、窒化ホウ素(BN)、カーボン(C)、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド、酸化ベリリウム(BeO)、リン化ホウ素(BP)、窒化アルミニウム(AlN)、硫化ベリリウム(BeS)、ヒ化ホウ素(BAs)、シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)、リン化アルミニウム(AlP)、又は、リン化ガリウム(GaP)のうち、少なくともいずれか1つを含み、
前記1次粒子は、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノフレーク、ナノニードル、ナノファイバー、ナノドット、ナノシート、ナノリボン、ナノプレート、ナノスフェア、ナノホーン、ナノコーン、又は、ナノスクロールのうち、少なくともいずれか1つの形状を有し、
前記高分子樹脂は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂ナイロン、ポリイソプレン、ポリジシクロペンタジエン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキシド、シリコン、ポリケトン、アラミド、セルロース、ポリイミド、レーヨン、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルピロリドン、ポリシアノアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアリレンエチニレン、ポリフェニレンエチニレン、ポリチオフェン(Polythiophene)、ポリアニレン、ポリピロール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリメチルメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、又は、ポリスチレンブタジエンスチレン共重合体のうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする組成物。
【請求項16】
前記2次粒子は、複数の1次粒子が凝集された1次凝集粒子と、複数の前記1次凝集粒子の間に配置された中間体粒子とを含むことを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記2次粒子のサイズは、1~10μmであり、
前記2次粒子のBET比表面積は、20m
2/g未満であることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記2次粒子の孔隙率は、1~30%であることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記第1の充填フィラーは、10~80vol%であることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
更に、第2の充填フィラーを含み、
前記第2の充填フィラーは、カーボン(炭素)、カーボンブラック、CNT、黒鉛、アルミニウムフレーク、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、銅、無水ホウ酸、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ステンレススチール、又は、炭化ケイ素、酸化イットリウム、酸化ボロン、又は、酸化ジルコニウムのうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、放熱素材、これを含む組成物、及びその製造方法に関し、より詳しくは、複数の1次粒子が凝集した2次粒子を含む放熱素材、これを含む組成物、及びその製造方法に関する。
【0002】
本発明は、以下の研究開発課題の結果物として導出されている。
【0003】
-課題固有番号:1711155761
-課題番号:2020M3H4A3106409
-部署名:科学技術情報通信部
-課題管理(専門)機関名:韓国研究財団
-研究事業名:ナノ・素材技術開発(R&D)
-研究課題名:マイクロLED多機能接合素材用高熱伝導率フィラー素材開発
-寄与率:1/1
-課題実行機関名:韓国セラミックス技術院
-研究期間:2022-01-01~2022-12-31
-総研究期間:2020-08-24~2024-12-31
【背景技術】
【0004】
マイクロLED、パワーデバイスなど、高電力が消耗し、熱が多く発生する部品を始めとした様々な電子素子のサイズが小さくなることで、発生する熱を外部に放出して温度を維持することが重要な問題となっている。
【0005】
効率よく熱を放出するために、熱伝導性に優れている金属基板基盤の高放熱回路基板など、放熱技術が適用されているが、熱が発生する電子素子及び部品と外部放熱部品の間を連結する高分子基盤である接合層の熱伝導性に限界がある。
【0006】
高分子複合材料の高い熱伝導率を達成するためには、多量のフィラーが入ることになるが、このような場合は、加工条件が厳しくなり、製品の物理的性質が阻害する問題が発生する。
【0007】
高分子基盤のボンディング、熱界面(TIM-thermal interface material)、封止、アンダーフィルなど、様々な応用で熱伝導率の問題が発生しており、これを解消するために、熱伝導率の高いフィラーを挿入した複合体を用いている。
【0008】
複合体の応用分野によって挿入されるフィラーのサイズ及び分率などの微調整が必要であり、一例として、3Dナンドメモリ、ディスプレイ用発光素子接合などの応用では、軽薄化により、10μm以下、望ましくは、1~5μmオーダーの複合体が活用され、内部に存在するフィラーは、10μm以下、望ましくは、1~5μmオーダーが必要である。
【0009】
複合体に入るフィラーの主要特性としては、高い熱伝導性、形状(高分子の分散性、フロー性を妨害しない形状)、高分子樹脂内分散度などがあり、このような特性を向上させるための様々な放熱素材が開発されている。
【0010】
例えば、韓国公開特許第10-2021-0073257号公報には、熱伝導性炭素素材粉末を、飽和脂肪酸及びC1乃至C4のアルコールからなる混合溶媒に混合した混合液を、湿式用ペレッタイジョに入れて、グレニュルタイプの熱伝導性炭素素材のマスタ配置を取得し、前記グレニュルタイプの熱伝導性炭素素材マスタ配置30乃至60重量%、及び熱可塑性樹脂40乃至70重量%を混合し、押田器により押出成形物をペレッ化した、熱伝導性高分子複合材の製造方法が開示されている。
【0011】
また、例えば、韓国登録特許第10-1797671号公報には、グラファイト粉末と銀粉末を所定の割合で混合して、混合粉末を製造する第1のステップと、所定のガス雰囲気下で前記混合粉末にマイクロ波を照射して、銀-カーボンナノ複合体を形成する第2のステップとを含み、前記第1のステップの前に、前記グラファイト粉末をマイクロ波処理又はプラズマ処理より選択されるいずれか1つの方法で前処理するステップを更に含むことを特徴とし、前記第2のステップにおいて、マイクロ波を照射することで、前記グラファイト粉末は剥離されてグラフェンを形成し、前記グラフェンは、前記銀粉末と反応して、前記グラフェン表面で銀粒子がナノ粒子に成長した構造の銀-カーボンナノ複合体を形成することを特徴とし、前記第2のステップにおいて照射されるマイクロ波により、前記混合粉末は、400乃至1700℃の温度で自体加熱されて、銀-カーボンナノ複合体を形成することを特徴とし、前記銀-カーボンナノ複合体の熱拡散度は、140乃至170mm2/Sであり、ビッカース硬さ(Vickers hardness)は、70乃至140HVであることを特徴とする放熱素材用銀-カーボンナノ複合体の製造方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、放熱素材、これを含む組成物、及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、高分子樹脂内で、分散性及びフロー性が向上した放熱素材及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、球状度が向上した放熱素材及びその製造方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、伝熱経路が増加した放熱素材及びその製造方法を提供することにある。
【0016】
また、本発明の更に他の目的は、製造工程が簡素で、且つ、大量生産が容易な放熱素材及びその製造方法を提供することにある。
【0017】
本発明の更に他の目的は、1次粒子が凝集した2次粒子を有する放熱素材及びその製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明の更に他の目的は、機能化した1次粒子を用いて、凝集した2次粒子を有する放熱素材及びその製造方法を提供することにある。
【0019】
本発明の更に他の目的は、充填率を向上させることができる放熱素材及びその製造方法を提供することにある。
【0020】
本発明の更に他の目的は、熱伝導率が向上した放熱素材及びその製造方法を提供することにある。
【0021】
本発明の更に他の目的は、焼結温度を減少させる放熱素材の製造方法を提供することにある。
【0022】
本発明の目的は、前述したことに限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記目的を達成するために、本発明は、放熱素材の製造方法を提供する。
【0024】
前記放熱素材の製造方法は、1次粒子を用意するステップと、前記1次粒子、バインダー、分散剤、及び溶媒を混合して、分散溶液を製造するステップと、前記分散溶液にホウ素ソース及び窒素ソースを投入し、溶解させて、ベースソースを製造するステップと、前記ベースソースを噴霧して液滴を製造し、液滴を乾燥して、複数の前記1次粒子が凝集した1次凝集粒子と、前記ホウ素ソース及び前記窒素ソースが反応した中間体粒子とを含む予備2次粒子を製造するステップと、前記予備2次粒子を焼結して2次粒子を製造し、複数の前記2次粒子を高分子樹脂と混合して、放熱素材を製造するステップとを含み、前記溶媒は、純水、超純水、クロロホルム(Chloroform)、クロロベンゼン(chlorobenzene)、酢酸(acetic acid)、アセトン(Acetone)、アセトニトリル(Acetonitrile)、アニリン(aniline)、ベンゼン(benzene)、ベンゾニトリル(benzonitrile)、ベンジルアルコール(Benzyl Alcohol)、ブロモベンゼン(Bromobenzene)、ブロモホルム(Bromoform)、1-ブタノール(1-butanol)、2-ブタノール(2-butanol)、二硫化炭素(Carbon disulfide)、四塩化炭素(CARBON TETRACHLORIDE)、シクロヘキサン(Cyclohexane)、シクロヘキサノン(Cyclohexanone)、デカリン(Decalin)、ジブロモメタン(Dibromomethane)、ジエチレングリコール(Diethylene glycol)、ジエチレングリコールエーテル(Diethylene glycol ether)、ジエチルエーテル(Diethyl ether)、ジメトキシメタン(Dimethoxymethane)、N、N-ジメチルホルムアミド(N、N-Dimethylformamide)、エタノール(ethanol)、エチルアミン(Ethylamine)、エチルベンゼン(ethylbenzene)、エチレングリコールエーテル(Ethylene Glycol Ether)、エチレングリコール(Ethylene Glycol)、エチレンオキシド(ethylene oxide)、ホルムアルデヒド(formaldehyde)、ギ酸(formic acid)、グリセロール(glycerol)、ヘプタン(heptane)、ヘキサン(Hexane)、ヨードベンゼン(iodobenzene)、メシチレン(mesitylene)、メタノール(methanol)、メトキシベンゼン(methoxybenzene)、メチルアミン(Methylamine)、メチレンブロマイド(METHYLENE BROMIDE)、メチレンクロライド(methylene chloride)、メチルピリジン(Methylpyridine)、モルホリン(MORPHOLINE)、ナフタレン(Naphthalene)、ニトロベンゼン(Nitrobenzene)、ニトロメタン(nitromethane)、オクタン(Octane)、ペンタン(Pentane)、ペンチルアルコール(Pentyl alcohol)、フェノール(Phenol)、1-プロパノール(1-propanol)、2-プロパノール(2-propanol)、ピリジン(pyridine)、ピロール(pyrrole)、ピロリジン(Pyrrolidine)、キノリン(quinoline)、1,1,2,2-テトラクロロエタン(1,1,2,2-Tetrachloroethane)、テトラクロロエチレン(Tetrachloroethylene)、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran)、テトラリン(tetralin)、テトラメチルエチレンジアミン(Tetramethylethylenediamine)、チオフェン(Thiophene)、トルエン(Toluene)、1,2,4-トリクロロベンゼン(1,2,4-Trichlorobenzene)、1,1,1-トリクロロエタン(1,1,1-Trichloroethane)、1,1,2-トリクロロエタン(1,1,2-Trichloroethane)、トリクロロエチレン(Trichloroethene)、トリエチルアミン(Triethylamine)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(Triethylene glycol dimethyl ether)、1,3,5-トリメチルベンゼン(1,3,5-trimethylbenzene)、m-キシレン(m-xylene)、o-キシレン(o-xylene)、p-キシレン(p-xylene)、1,2-ジクロロベンゼン(1,2-Dichlorobenzene)、1,3-ジクロロベンゼン(1,3-Dichlorobenzene)、1,4-ジクロロベンゼン(1,4-Dichlorobenzene)、又は、メチルピロリドン(Methyl pyrrolidone)のうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0025】
前記ベースソースを製造するステップにおいて、前記分散溶液に投入される前記ホウ素ソース:前記窒素ソースの割合は、7:1以上、14:1以下に制御される。
【0026】
前記2次粒子は、前記予備2次粒子が1100℃以上1500℃未満の温度で焼結して製造される。
【0027】
前記2次粒子が製造される過程において、前記予備2次粒子が焼結されることによって、前記中間体粒子は、前記1次凝集粒子の同じ相(phase)を有するように形成される。
【0028】
更に、前記1次粒子を用意するステップの後、前記分散溶液を製造するステップの前に、前記1次粒子を表面処理して、前記1次粒子の表面に存在する窒素基を第1の機能基に置換するステップを含む。
【0029】
前記目的を達成するために、本発明は、熱界面層の製造方法を提供する。
【0030】
前記熱界面層の製造方法は、前記により製造された前記放熱素材を用意するステップと、前記放熱素材を用いて熱界面層を製造するために、前記放熱素材を提供し、圧力を加えて、前記2次粒子の圧縮強度を超える荷重で複数の前記2次粒子を圧縮するステップを含む。
【0031】
複数の前記2次粒子のうち、少なくとも一部は崩壊して、複数のピース(piece)に分けられ、崩壊しない複数の前記2次粒子、及び複数の前記ピースが前記熱界面層内で互いに混合して、共存する。
【0032】
前記目的を達成するために、本発明は、放熱素材を提供する。
【0033】
1次粒子が凝集した2次粒子を含む充填フィラーを有する放熱素材であって、前記充填フィラーは、熱発生部及び熱吸収部の間の熱伝導のための熱界面層を形成し、前記充填フィラーは、窒化ホウ素(boron nitride、BN)、カーボン(carbon、C)、炭化ケイ素(silicon carbide、SiC)、ダイヤモンド(diamond)、酸化ベリリウム(beryllium oxide、BeO)、リン化ホウ素(boron phosphide、BP)、窒化アルミニウム(aluminum nitride、AlN)、硫化ベリリウム(beryllium sulfide、BeS)、ヒ化ホウ素(boron arsenide、BAs)、シリコン(silicon、Si)、窒化ガリウム(gallium nitride、GaN)、リン化アルミニウム(aluminum phosphide、AlP)、又は、リン化ガリウム(gallium phosphide、GaP)のうち、少なくともいずれか1つを含み、前記1次粒子は、ナノ粒子(nano particle)、ナノチューブ(nano tube)、ナノフレーク(nano flake)、ナノニードル(nano needle)、ナノファイバー(nano fiber)、ナノドット(nano dot)、ナノシート(nano sheet)、ナノリボン(nano ribbon)、ナノプレート(nano plate)、ナノスフェア(nano sphere)、ナノホーン(nano horn)、ナノコーン(nano cone)、又は、ナノスクロール(nano scroll)のうち、少なくともいずれか1つの形状を有することを含む。
【0034】
前記2次粒子は、複数の1次粒子が凝集した1次凝集粒子、及び複数の前記1次凝集粒子の間に配置された中間体粒子とを含む。
【0035】
第9の項において、前記1次粒子は、六方晶系結晶構造の窒化ホウ素を含み、前記1次凝集粒子は、六方晶系結晶構造の窒化ホウ素の複数の凝集体で、球(sphere)形状である。
【0036】
前記中間体粒子は、前記1次凝集粒子と同じ相(phase)を有し、球(sphere)形状である。
【0037】
前記2次粒子は、前記1次粒子に比して前記中間体粒子の含量が増加することにつれ、BET比表面積が減少する。
【0038】
前記2次粒子に対するXRD分析において、2次相(phase)及び異種素材相(phase)の分率が1%以下である。
【0039】
前記2次粒子を水に分散させ、20KHz及び200Wの条件で超音波処理する場合、粒度最大ピークが80%超に維持される。
【0040】
前記目的を達成するために、本発明は、放熱組成物を提供する。
【0041】
前記放熱組成物は、高分子樹脂マトリックスと、前記高分子樹脂マトリックスと混合した第1の充填フィラーとを含み、前記第1の充填フィラーは、複数の1次粒子が凝集した2次粒子を含み、前記高分子樹脂マトリックスは、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のうち、少なくともいずれか1つを含み、前記第1の充填フィラーは、放熱素材であり、窒化ホウ素(boron nitride、BN)、カーボン(carbon、C)、炭化ケイ素(silicon carbide、SiC)、ダイヤモンド(diamond)、酸化ベリリウム(beryllium oxide、BeO)、リン化ホウ素(boron phosphide、BP)、窒化アルミニウム(aluminum nitride、AlN)、硫化ベリリウム(beryllium sulfide、BeS)、ヒ化ホウ素(boron arsenide、BAs)、シリコン(silicon、Si)、窒化ガリウム(gallium nitride、GaN)、リン化アルミニウム(aluminum phosphide、AlP)、又は、リン化ガリウム(gallium phosphide、GaP)のうち、少なくともいずれか1つを含み、
前記1次粒子は、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノフレーク、ナノニードル、ナノファイバー、ナノドット、ナノシート、ナノリボン、ナノプレート、ナノスフェア、ナノホーン、ナノコーン、又は、ナノスクロールのうち、少なくともいずれか1つの形状を有し、前記高分子樹脂は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂ナイロン、ポリイソプレン(Polyisoprene)、ポリジシクロペンタジエン(poly dicyclopentadiene)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene)、ポリフェニレンスルファイド(Polyphenylene Sulfide)、ポリフェニレンオキシド(Polyphenyleneoxide)、シリコン(silicon)、ポリケトン(Polyketone)、アラミド(Aramid)、セルロース(cellulose)、ポリイミド(polyimide)、レーヨン(rayon)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(Polymethyl Methacrylate)、ポリ塩化ビニリデン(Polyvinylidenechloride)、ポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene fluoride)、ポリウレタン(polyurethane)、ポリイソブチレン(Polyisobutylene)、ポリクロロプレン(Polychloroprene)、ポリブタジエン(polybutadiene)、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl chloride)、ポリ酢酸ビニル(Polyvinyl acetate)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエステル(polyester)、ポリビニルピロリドン(Polyvinyl Pyrrolidone)、ポリシアノアクリレート(poly Cyanoacrylate)、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)、ポリアミド(polyamide)、ポリアリレンエチニレン(polyarylene ethynylene)、ポリフェニレンエチニレン(polyphenylene ethynylene)、ポリチオフェン(Polythiophene)、ポリアニレン(polyaniline)、ポリピロール(polypyrrole)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene terephthalate)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、芳香族ポリアミド(Aromatic Polyamide)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリフェニレンスルファイド(Polyphenylene Sulfide)、ポリスルホン(polysulfone)、ポリエーテルスルホン(Polyethersulphone)、ポリエーテルイミド(Polyetherimide)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone)、ポリアリレート(Polyarylate)、ポリメチルメチルアクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(poly(acrylonitrile-butadiene-styrene)、又は、ポリスチレンブタジエンスチレン共重合体(Poly(styrene-butadiene-styrene))のうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0042】
前記2次粒子は、複数の1次粒子が凝集された1次凝集粒子、及び複数の前記1次凝集粒子の間に配置された中間体粒子とを含む。
【0043】
前記2次粒子のサイズは、1~10μmであり、前記2次粒子のBET比表面積は、20m2/g未満である。
【0044】
前記第1の充填フィラーは、10~80vol%である。
【0045】
更に、前記第1の充填フィラーの他、第2の充填フィラーを含み、前記第2の充填フィラーは、カーボン(炭素)、カーボンブラック、CNT、黒鉛、アルミニウムフレーク、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、銅、無水ホウ酸(Boric anhydride)、炭酸マグネシウム(Magnesium carbonate)、酸化亜鉛(Zinc oxide)、酸化ケイ素(Silicon oxide)、酸化アルミニウム(Aluminum oxide)、ステンレススチール、又は、炭化ケイ素(Silicon carbide)、イットリウムオキシド(Yttrium(III)oxide)、酸化ボロン(Boron oxide)、又は、酸化ジルコニウム(Zirconium oxide)のうち、少なくともいずれか1つを含む。
【発明の効果】
【0046】
本発明によると、1次粒子、バインダー、分散剤、及び溶媒を混合して分散溶液を製造し、前記分散溶液にホウ素ソース及び窒素ソースを投入し、溶解させて、ベースソースを製造し、前記ベースソースを噴霧して液滴を製造し、液滴を乾燥して、複数の前記1次粒子が凝集された1次凝集粒子と、前記ホウ素ソース及び前記窒素ソースが反応した中間体粒子を含む予備2次粒子とを製造し、前記予備2次粒子を焼結して、2次粒子を製造することができる。
【0047】
前記ベースソースを製造する前に、前記1次粒子の表面に第1の機能基が結合され、前記第1の機能基の結合により、前記1次粒子は、前記ソース溶液内で高い分散度を有し、これにより、前記ソース溶液の液滴を用いて製造された前記2次粒子の球状度が向上することは言うまでもなく、前記2次粒子の焼結を促進することができる。
【0048】
また、前記2次粒子の球状度が向上して、前記2次粒子が高分子樹脂内で高いフロー性及び分散線を有し、高分子樹脂マトリックス内で前記2次粒子の充填率を向上することができる。
【0049】
また、前記中間体粒子により、前記2次粒子を製造するための焼結温度を減少することができる。
【0050】
また、前記2次粒子を用いて、熱界面層を製造する過程において、前記2次粒子が崩壊する。これにより、前記熱界面層内には、崩壊しない前記2次粒子、及び前記2次粒子が崩壊して生成された複数のピースが混合して共存し、これにより、伝熱経路が拡大生成され、且つ、前記熱界面層内の充填率が向上し、前記2次粒子との接触により、素子の界面が損傷することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1に係る放熱素材の製造方法を説明するためのシーケンス図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1に係る放熱素材の表面処理過程を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1に係る放熱素材の表面処理過程を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1に係る放熱素材の製造方法を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例1に係る放熱素材の製造方法により製造された放熱素材を用いて、熱界面層を製造する過程を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例1に係る放熱素材の製造方法により製造された放熱素材を用いて、熱界面層を製造する過程を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例1の変形例による放熱素材の製造方法により製造された放熱素材を用いて、熱界面層を製造する過程を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例2による放熱素材の製造方法を説明するためのシーケンス図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例2による放熱素材の製造方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例2による放熱素材の製造方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本発明の実験例1により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【
図12】
図12は、本発明の実験例1により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【
図13】
図13は、本発明の実験例1により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【
図14】
図14は、本発明の実験例1により製造された2次粒子の表面処理による接触角を測定した写真である。
【
図15】
図15は、本発明の実験例2-1乃至実験例2-6により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【
図16】
図16は、本発明の実験例3-1乃至実験例3-4により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【
図17】
図17は、本発明の実験例4-1乃至実験例4-3により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【
図18】
図18は、本発明の実験例1により製造された2次粒子のSEM画像及びXRD分析グラフである。
【
図19】
図19は、本発明の実験例1により製造された2次粒子のSEM画像及びXRD分析グラフである。
【
図20】
図20は、本発明の実験例1により製造された予備2次粒子の超音波分散後のSEM写真である。
【
図21】
図21は、本発明の実験例1により製造された2次粒子の超音波分散後の粒度割合を分析したグラフである。
【
図22】
図22は、本発明の実験例5により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【
図23】
図23は、一般のメラミン二ホウ酸塩の結晶形状を撮影したSEM写真である。
【
図24】
図24は、ほう酸及びメラミンの混合割合を異にして製造された実験例5による2次粒子を撮影したSEM写真である。
【
図25】
図25は、ほう酸及びメラミンの混合割合を異にして製造された実験例5による2次粒子を撮影したSEM写真である。
【
図26】
図26は、本発明の実験例5による2次粒子を製造する過程で形成されるほう酸を撮影したSEM写真である。
【
図27】
図27は、本発明の実験例5による2次粒子を製造する過程で形成されるメラミンを撮影したSEM写真である。
【
図28】
図28は、本発明の実験例6による2次粒子の製造過程で形成される中間体粒子の熱処理温度によるXRD特性を説明するための図である。
【
図29】
図29は、本発明の実験例6による2次粒子のXRD特性を説明するための図である。
【
図30】
図30は、本発明の実験例6による2次粒子のBET比表面積を説明するための図である。
【
図31】
図31は、本発明の実験例6による2次粒子のpore volumeを説明するための図である。
【
図32】
図32は、本発明の実験例6による2次粒子の超音波衝撃に対するPSA特性を説明するための図である。
【
図33】
図33は、本発明の実験例6による2次粒子の超音波衝撃に対するPSA特性を説明するための図である。
【
図34】
図34は、本発明の実験例6による2次粒子の超音波衝撃に対するPSA特性を説明するための図である。
【
図35】
図35は、本発明の実験例6による2次粒子の超音波衝撃に対するPSA特性を説明するための図である。
【
図36】
図36は、本発明の実験例6による2次粒子をエポキシ樹脂に分散した場合の粘度特性を説明するための図である。
【
図37】
図37は、本発明の実験例6による2次粒子がエポキシ樹脂に分散した状態を撮影したSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳しく説明する。しかし、本発明の技術思想は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化することもできる。むしろ、ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底的で完全となるように、また、当業者に本発明の思想が十分伝達されるように提供される。
【0053】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素上にあるとする場合、それは、他の構成要素上に直接形成されるか、又は、それらの間に第3の構成要素が介在されることもできることを意味する。また、図面において、形状及びサイズは、技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。
【0054】
また、本明細書の様々な実施例において、第1、第2、第3などの用語が多様な構成要素を記述するために使用されているが、これらの構成要素が、このような用語により限定されてはいけない。これらの用語は、単に、ある構成要素を他の構成要素と区別するために使われている。そこで、いずれか1つの実施例において、第1の構成要素として言及したものが、他の実施例では、第2の構成要素として言及されることもできる。ここで説明され例示される各実施例は、その相補的な実施例も含む。また、本明細書において、「及び/又は」は、前後に並べた構成要素のうち、少なくとも1つを含む意味として使用されている。
【0055】
明細書において、単数の表現は、文脈上、明白に異なることを意図しない限り、複数の表現をも含む。また、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、構成要素、又はこれらを組み合わせたことが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、構成要素、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を排除することと理解されてはいけない。また、本明細書において、「連結」は、複数の構成要素を間接的に連結すること、及び直接的に連結することをいずれも含む意味として使用される。
【0056】
また、下記で本発明を説明することに当たり、関連する公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を濁していると判断される場合は、その詳細な説明は、省略する。
【0057】
図1は、本発明の実施例1に係る放熱素材の製造方法を説明するためのシーケンス図であり、
図2及び
図3は、本発明の実施例1に係る放熱素材の表面処理過程を説明するための図であり、
図4は、本発明の実施例1に係る放熱素材の製造方法を説明するための図である。
【0058】
図1乃至
図4に示しているように、1次粒子110を用意する(S110)。
【0059】
一実施例によると、前記1次粒子110は、六方晶系結晶構造の窒化ホウ素(boron nitride、BN)である。又は、他の実施例によると、前記1次粒子110は、カーボン(carbon、C)、炭化ケイ素(silicon carbide、SiC)、ダイヤモンド、酸化ベリリウム(beryllium oxide、BeO)、リン化ホウ素(boron phosphide、BP)、窒化アルミニウム(aluminum nitride、AlN)、硫化ベリリウム(beryllium sulfide、BeS)、ヒ化ホウ素(boron arsenide、BAs)、シリコン(silicon、Si)、窒化ガリウム(gallium nitride、GaN)、リン化アルミニウム(aluminum phosphide、AlP)、又は、リン化ガリウム(gallium phosphide、GaP)のうち、少なくともいずれか1つである。
【0060】
また、一実施例によると、前記1次粒子110は、
図2に示しているように、フレーク(flake)及び/又はプレート(plate)形状を有する。
【0061】
又は、他の実施例によると、前記1次粒子110は、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノフレーク、ナノニードル、ナノファイバー、ナノドット、ナノシート、ナノリボン、ナノプレート、ナノスフェア、ナノホーン、ナノコーン、又は、ナノスクロールのうち、少なくともいずれか1つの形状を有する。
【0062】
前述したように、前記1次粒子110が六方晶系結晶構造の窒化ホウ素である場合、前記1次粒子110は、バルクタイプの窒化ホウ素から剥離された状態で提供される。
【0063】
後述するように、複数の前記1次粒子110が凝集されて、2次粒子150が形成される。この場合、前記1次粒子110のサイズが小さいほど、前記2次粒子150の球状度が向上し、これにより、前記2次粒子150が高分子樹脂内にフロー性及び分散性を向上することができる。一方、前記1次粒子110のサイズが小さすぎる場合、前記1次粒子110間の界面が伝熱の抵抗として作用して、熱伝導特性が低下することになる。
【0064】
本発明の実施例によると、前記2次粒子150のサイズは、1~10μm又は1~5μmであり、前記1次粒子110は、3軸のうち、少なくとも2軸又は3軸の全体方向に、前記2次粒子150のサイズと比較して、1~10%のサイズである。具体的に、例えば、前記1次粒子110のサイズは、厚さ約10nm以下、及び面方向に約70nmであるか、又は、厚さ約30nm以下、及び面方向に約200nmである。
【0065】
一実施例によると、前記1次粒子110に対して表面処理が行われる。前述したように、例えば、前記1次粒子110が窒化ホウ素である場合、前記1次粒子110の表面に、
図2に示しているように、複数の窒素基(N-termination)が提供される。この場合、前記1次粒子110の表面の窒素基は、表面処理過程により、第1の機能基112に置換される。例えば、前記第1の機能基112は、水酸化基(OH)であり、窒素基を前記第1の機能基112に置換する過程は、塩基性溶液(例えば、NaOH)に前記1次粒子110を浸漬させた後、乾燥する方法で行われる。
【0066】
または、他の実施例によると、空気中で前記1次粒子110を熱処理(例えば、1,000℃)し、酸性溶液(例えば、硫酸、硝酸、リン酸など)に浸漬し、塩基性溶液(例えば、NaOH、KOHなど)に浸漬した後、酸化剤(例えば、KMnO4、又はH2O2など)で酸化させる方法で、窒素基を、前記第1の機能基112(水酸化基)に置換する。
【0067】
または、これとは異なり、他の実施例によると、前記1次粒子110の表面の窒素基を置換させる前記第1の機能基112は、水素基(-H)である。この場合、後述するエポキシシランの代わりに、エポキシチオール(epoxy thiol)などのようなチオール分子が用いられる。
【0068】
具体的に、
図3に示しているように、窒化ホウ素の窒素基末端の少なくとも一部が、前記第1の機能基112(水酸化基)に置換される。
【0069】
もし、前述したこととは異なり、前記1次粒子110に対する表面処理が行われず、前記1次粒子110の表面に多量の窒素基が存在する場合、前記1次粒子110を用いて製造されたソース溶液内で、前記1次粒子110が互いに凝集して分散度が低下し、これにより、前記1次粒子110が凝集して形成された前記2次粒子150の球状度が低下する。これに加えて、後続する焼結過程において、焼結が円滑に行われない。
【0070】
一方、前述したように、本発明の実施例によると、前記1次粒子110の11表面の窒素基は、表面処理過程により、前記第1の機能基112(例えば、水酸化基)に置換される。これにより、前記1次粒子110が、前記ソース溶液内で高い分散性を有し、これにより、前記1次粒子110が凝集して形成された前記2次粒子150の球状度が増加され、且つ、後続する焼結過程において、前記第1の機能基112により焼結過程が促進される。
【0071】
前記1次粒子110に対する表面処理過程が終了した後、前記1次粒子110、バインダー、分散剤、及び溶媒を混合して、ソース溶液を製造する(S120)。
【0072】
例えば、前記バインダーは、ポリビニルアルコールである。又は、前記バインダーは、ポリエチレングリコール(PEG、poly ethylene glycol)、メチルセルロース(MC、methyle cellulose)、ポリアクリル酸(PAA、polyacrylic acid)、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)、又は、ポリアクリルアミド(Polyacrylamide)のうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0073】
例えば、前記分散剤は、アンモニウムポリメタクリルレート(Ammonium polymethacrylate)水溶液である。又は、前記分散剤は、水系分散剤として、ポリカルボン酸系(アクリル酸系、メタクリル酸系、共重合体)、リン酸塩、リン酸錯塩系、アリールスルホン酸、アミン系のうち、少なくともいずれか1つを含む。具体的に、前記分散剤は、燐酸カルシウム塩、マグネシウム塩、親水性シリカ、疎水性シリカ、又は、コロイダルシリカのうち、少なくともいずれか1つを含む無機分散剤を含むか、又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリビニルアルコール、アルキルセルロース、又は、ポリビニルピロリドンのうち、少なくともいずれか1つを含む非イオン性高分子分散剤を含むか、又は、ポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、ポリビニルアミンN-オキシド、ポリビニルアンモニウム塩、ポリジアルキルジアリルアンモニウム塩、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸塩、ポリスルホン酸塩、又は、ポリアミノアルキルアクリル酸塩のうち、少なくともいずれか1つを含むイオン性高分子分散剤を含む。
【0074】
例えば、前記溶媒は、純水又は超純水である。又は、前記溶媒は、クロロホルム、クロロベンゼン、酢酸、アセトン、アセトニトリル、アニリン、ベンゼン、ベンゾニトリル、ベンジルアルコール、ブロモベンゼン、ブロモホルム、1-ブタノール、2-ブタノール、二硫化炭素、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、デカリン、ジブロモメタン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールエーテル、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、N、N-ジメチルホルムアミド、エタノール、エチルアミン、エチルベンゼン、エチレングリコールエーテル、エチレングリコール、エチレンオキシド、ホルムアルデヒド、ギ酸、グリセロール、ヘプタン、ヘキサン、ヨードベンゼン、メシチレン、メタノール、メトキシベンゼン、メチルアミン、メチレンブロマイド、メチレンクロライド、メチルピリジン、モルホリン、ナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、オクタン、ペンタン、ペンチルアルコール、フェノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ピリジン、ピロール、ピロリジン、キノリン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、テトラリン、テトラメチルエチレンジアミン、チオフェン、トルエン、1,2,4-卜リクロロベンゼン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、トリエチルアミン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、1,3,5-トリメチルベンゼン、m-キシレン、o-キシレン、p-キシレン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、又は、メチルピロリドンのうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0075】
または、例えば、前記溶媒は、非水系分散剤(溶剤系分散剤)として、アルコールエステル系(グリセリン)、ポリエーテル系、アミン系、スルホン酸系、又は、カチオン系のうち、少なくともいずれか1つを含む。具体的に、前記溶媒は、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、メチルタウリン酸塩、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノルアミド、又は、アルキルグルコシドのうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0076】
前記ソース溶液内で前記1次粒子110の割合は、1~10wt%であり、前記分散剤の割合は、0.1~1wt%であり、前記バインダーの割合は、0.1~5wt%である。
【0077】
前記ソース溶液のゼータ電位(zeta potential)が最大値を有するように、前記ソース溶液内の前記1次粒子110の割合、前記溶媒、及び前記分散剤の割合が制御されることができる。
【0078】
ついで、
図1及び
図4に示しているように、前記ソース溶液を噴霧させて、液滴130を製造し、前記液滴130を乾燥して、複数の前記1次粒子110が凝集した予備2次粒子140を製造する(S130)。
【0079】
前記ソース溶液は、超音波振動子を用いて、前記液滴130の状態で噴霧される。又は、前記ソース溶液は、スプレーを用いて、前記液滴130の状態で噴霧される。
【0080】
前記液滴130内には、複数の前記1次粒子110が存在し、前記液滴130のサイズによって、前記予備2次粒子140のサイズを制御することができる。前記液滴130は、10μm以下、3μm以下に調節され、この場合、前記予備2次粒子140の平均サイズは、約2μmである。
【0081】
前記予備2次粒子140は、遠心分離機を用いて取得された後、洗浄される。
【0082】
ついで、
図1及び
図4を参照すると、前記予備2次粒子140を焼結して、2次粒子150を製造し、複数の前記2次粒子150を高分子樹脂と混合して、放熱素材を製造する(S140)。すなわち、前記放熱素材は、前記高分子樹脂を含むマトリックス内に、前記予備2次粒子140が焼結された前記2次粒子150が分散したことを含む。
【0083】
前記予備2次粒子140を焼結するステップは、不活性ガス雰囲気で、前記予備2次粒子140を熱処理する方法で行われる。例えば、不活性ガスは、窒素ガスであり、1500℃以上の温度で、2時間以上、焼結される。
【0084】
前述したように、前記1次粒子110の表面に、前記第1の機能基112(例えば、水酸化基)が提供され、これにより、前記予備2次粒子140を焼結する過程において、前記第1の機能基112が焼結助剤として作用する。これにより、前記予備2次粒子140が容易に焼結され、結果として、前記予備2次粒子140内の前記1次粒子110の間の界面接合性が向上し、前記予備2次粒子140が焼結して製造された前記2次粒子150の熱伝導率が向上し、前記2次粒子150の圧縮強度が向上する。
【0085】
一実施例によると、前記予備2次粒子140を熱処理する温度によって、前記2次粒子150の圧縮強度が制御される。具体的に、前記予備2次粒子140を熱処理する温度が増加するほど、前記2次粒子150の圧縮強度が増加する。例えば、前記2次粒子150の圧縮強度は、5MPa以下、より具体的に、0.2~2MPaである。
【0086】
これにより、後述するように、前記放熱素材を用いて熱界面層を製造するステップにおいて、前記2次粒子150の少なくとも一部が容易に崩壊し、これにより、前記熱界面層内に複数の伝熱経路が生成されて、熱伝導率が向上し、且つ、前記熱界面層に接触した伝熱層及び熱吸収層の損傷を最小化することができる。
【0087】
前記2次粒子150を前記高分子樹脂と混合する前に、前記2次粒子150を表面処理して、前記2次粒子150の表面に第2の機能基を結合させるステップと、高分子溶液に前記2次粒子150を浸漬して、前記2次粒子150の表面に高分子基を結合させるステップとが更に行われる。例えば、前記第2の機能基は、水酸化基であり、前記高分子基は、エポキシ基である。この場合、例えば、塩基性溶液(例えば、NaOH)に前記2次粒子150を浸漬して、前記第2の機能基が前記2次粒子150の表面に結合され、エポキシシラン溶液に前記2次粒子150を浸漬して、高分子基が前記2次粒子150の表面に結合される。
【0088】
以後、複数の前記2次粒子150を前記高分子樹脂と混合して、前記放熱素材として製造される。
【0089】
本発明の実施例により製造された前記2次粒子150は、前記高分子樹脂と共に用いられる充填フィラーであり、前記2次粒子150が高い球状度(例えば、70%以上)を有することができる。これにより、前記2次粒子150は、前記高分子樹脂マトリックス内で、高いフロー性と分散性を有し、これにより、高い分率で、前記2次粒子150が、前記高分子樹脂マトリックス内に提供される。換言すると、前記2次粒子150が高い球状度を有するほど、前記高分子樹脂マトリックス内で高いフロー性及び分散性を有し、これにより、前記高分子樹脂マトリックス内で、前記2次粒子150の分率が向上する。
【0090】
例えば、前記高分子樹脂は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂ナイロン、ポリイソプレン、ポリジシクロペンタジエン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキシド、シリコン、ポリケトン、アラミド、セルロース、ポリイミド、レーヨン、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルピロリドン、ポリシアノアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアリレンエチニレン、ポリフェニレンエチニレン、ポリチオフェン、ポリアニレン、ポリピロール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリメチルメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、又は、ポリスチレンブタジエンスチレン共重合体のうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0091】
また、前記2次粒子150は、1~10μmの粒度分布を有し、1~5μmで1つの最大ピークを有する。
【0092】
また、前記2次粒子150に対するXRD分析において、2次相及び異種素材相の分率が1%以下である。例えば、前記1次粒子110が六方晶系窒化ホウ素である場合、前記2次相は、キュービック窒化ホウ素、菱面体晶窒化ホウ素、又は、ウルツ鉱窒化ホウ素のうち、少なくともいずれか1つであり、前記異種素材は、無水ホウ酸、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウムのうち、少なくともいずれか1つである。
【0093】
換言すると、前記2次粒子150に対するXRD分析において、前記2次粒子150は、実質的に99%超の六方晶系窒化ホウ素を含み、1%以下のキュービック窒化ホウ素、菱面体晶窒化ホウ素、又は、ウルツ鉱窒化ホウ素を含む。これにより、前記放熱素材を用いて製造された前記熱界面層の熱伝導特性が向上する。
【0094】
前記高分子樹脂の種類によって、前記2次粒子150の表面処理のために用いられる物質が制御される。前記高分子樹脂がエポキシ樹脂である場合、前記2次粒子150は、エポキシシラン、アミノシラン、メルカブトシラン、又は、イソシアネートシランのうち、少なくともいずれか1つを用いて、表面処理され、前記高分子樹脂がウレタン樹脂の場合、前記2次粒子150は、エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、メルカブトシラン、又は、イソシアネートシランのうち、少なくともいずれか1つを用いて、表面処理され、前記高分子樹脂がポリイミド樹脂の場合、前記2次粒子150は、エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、又は、イソシアネートシランのうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0095】
また、前述したように、前記高分子樹脂と共に、前記2次粒子150が用いられる場合、前記2次粒子150(第1の充填フィラー)の他に、更なる充填フィラー(第2の充填フィラー)が更に用いられる。例えば、前記第2の充填フィラーは、カーボン(炭素)、カーボンブラック、CNT、黒鉛、アルミニウムフレーク、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、銅、無水ホウ酸、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は、ステンレススチールのうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0096】
前記2次粒子150は、前記高分子樹脂と混合せず、固体のペレット(pellet)の形状に提供されることもできる。この場合、前記2次粒子150をモールド内に提供し、圧着して、前記ペレットが製造される。
【0097】
図5及び
図6は、本発明の実施例1に係る放熱素材の製造方法により製造された放熱素材を用いて、熱界面層を製造する過程を説明するための図である。
【0098】
図5及び
図6に示しているように、
図1乃至
図4で説明した前記2次粒子150を、放熱素材/充填フィラーとして活用し、熱発生部210及び熱吸収部220の間に、熱界面層が形成される。
【0099】
高分子樹脂を含む高分子樹脂マトリックス160内に、複数の前記2次粒子150が配置され、前記熱発生部210及び前記熱吸収部220に圧力を加えて、前記熱界面層が形成される。
【0100】
もし、
図5に示しているように、前記2次粒子150の圧縮強度が過度に高くて、前記熱界面層が形成される過程で、前記2次粒子150が崩壊しない場合、前記2次粒子150と接触する前記熱発生部210の界面、及び前記2次粒子150と接触する前記熱吸収部220の界面にクラックが発生するなど、界面が損傷する。
【0101】
更に、崩壊することなく、形状を維持している前記2次粒子150によってのみ、伝熱経路が形成され、前記熱発生部210及び前記熱吸収部220の間の伝熱経路の生成に限界があり、前記熱界面層の体積に比して、前記2次粒子150の充填率を向上させることに限界がある。
【0102】
しかし、本発明の実施例による前記2次粒子150は、凝集体の形状を維持し、前記熱界面層の形成過程で容易に崩壊する圧縮強度を有する。これにより、前記2次粒子150を用いて製造された前記放熱素材を用いて、前記熱界面層を製造するステップにおいて、
図6に示しているように、前記2次粒子150の圧縮強度を超える荷重で、前記放熱素材内の前記2次粒子150が容易に圧縮されて、前記2次粒子150の少なくとも一部が崩壊する。
【0103】
これにより、崩壊した前記2次粒子150から、複数のピース152(piece)が生成され、複数の前記ピース152及び崩壊しない前記2次粒子150が、前記熱界面層内で互いに混合して共存する。
【0104】
複数の前記ピースは、前記1次粒子110が凝集されたもの、又は、前記1次粒子110である。
【0105】
荷重を与える過程で崩壊される前記2次粒子150により、前記2次粒子150と接触する前記熱発生部210の界面及び前記熱吸収部220の界面の損傷を防止することができ、且つ、前記2次粒子150の崩壊で生成された複数の前記ピース152により、前記熱吸収部220と前記熱発生部210の間で伝熱経路が更に生成されて、前記熱界面層の熱伝導性が向上する。
【0106】
また、複数の前記ピース152及び崩壊しない前記2次粒子150が前記熱界面層内に共存して、実質的に互いに異なるサイズを有するフィラーが、前記熱界面層内に存在することと同様な効果が得られ、結果として、前記熱界面層の充填率が向上する。
【0107】
図7は、本発明の実施例1の変形例による放熱素材の製造方法により製造された放熱素材を用いて、熱界面層を製造する過程を説明するための図である。
【0108】
図7に示しているように、
図1乃至
図4で説明された前記2次粒子150を、放熱素材/充填ピラーとして活用して、
図5及び
図6で説明したように、熱発生部210及び熱吸収部220の間に熱界面層が形成される。
【0109】
具体的に、前記熱発生部210及び前記熱吸収部220の間にガイドテンプレート170が提供される。前記ガイドテンプレート170の内部空間は、空いている。すなわち、前記ガイドテンプレート170は、前記熱発生部210及び前記熱吸収部220の縁に隔壁を提供し、内部空間は、オープン(open)可能である。
【0110】
前記ガイドテンプレート170の空いている内部空間の間に、前記高分子マトリックス160と、前記高分子マトリックス160に分散した前記2次粒子150とを含む前記放熱素材が塗布され、以後、前記熱発生部210及び前記熱吸収部220に圧力を加えて、前記熱界面層が形成される。
【0111】
前記ガイドテンプレート170は、前記熱界面層が形成される過程で、前記放熱素材の前記2次粒子150が外部に多量流出することを防止し、高い圧縮強度を有し、前記ガイドテンプレート170の厚さが、前記熱界面層の厚さと実質的に一致することができる。すなわち、前記熱発生部210及び前記熱吸収部220に提供される圧力により、前記ガイドテンプレート170の厚さ分、前記放熱素材が圧着される。
【0112】
この場合、前記ガイドテンプレート170の厚さは、前記2次粒子150の径及び厚さよりも薄く、前記ガイドテンプレート170は、前記2次粒子150よりも高い圧縮強度を有する。これにより、前記熱界面層が形成される過程で与えられる圧力により、前記2次粒子150が容易に崩壊し、これにより、前記2次粒子150の崩壊により生成された複数の前記ピース152により、前記熱吸収部220と前記熱発生部210の間で伝熱経路が更に生成されて、前記熱界面層の熱伝導性が向上し、前記熱界面層の充填率を向上することができる。
【0113】
図8は、本発明の実施例2による放熱素材の製造方法を説明するためのシーケンス図であり、
図9及び
図10は、本発明の実施例2による放熱素材の製造方法を説明するための図である。
【0114】
図8乃至
図10に示しているように、1次粒子110を用意する(S210)。
【0115】
一実施例によると、前記1次粒子110は、六方晶系結晶構造の窒化ホウ素(boron nitride、BN)である。又は、他の実施例によると、前記1次粒子110は、カーボン(C)、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド、酸化ベリリウム(BeO)、リン化ホウ素(BP)、窒化アルミニウム(AlN)、硫化ベリリウム(BeS)、ヒ化ホウ素(BAs)、シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)、リン化アルミニウム(AlP)、又は、リン化ガリウム(GaP)のうち、少なくともいずれか1つである。
【0116】
また、一実施例によると、前記1次粒子110は、
図2に示しているように、フレーク(flake)及び/又はプレート(plate)形状を有する。
【0117】
又は、他の実施例によると、前記1次粒子110は、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノフレーク、ナノニードル、ナノファイバー、ナノドット、ナノシート、ナノリボン、ナノプレート、ナノスフェア、ナノホーン、ナノコーン、又は、ナノスクロールのうち、少なくともいずれか1つの形状を有する。
【0118】
前述したように、前記1次粒子110が六方晶系結晶構造の窒化ホウ素である場合、前記1次粒子110は、多量の窒化ホウ素から剥離した状態に提供される。
【0119】
後述するように、複数の前記1次粒子110が凝集して、2次粒子150が形成される。この場合、前記1次粒子110のサイズが小さいほど、前記2次粒子150の球状度が向上し、これにより、前記2次粒子150が高分子樹脂内にフロー性及び分散性を向上することができる。一方、前記1次粒子110のサイズが過度に小さいと、前記1次粒子110間の界面が伝熱の抵抗として作用して、熱伝導特性が低下する。
【0120】
本発明の実施例によると、前記2次粒子150のサイズは、1~10μm、又は、1~5μmであり、前記1次粒子110は、3軸のうち、少なくとも2軸又は3軸の全体方向に、前記2次粒子150のサイズと比較して、1~10%である。具体的に、例えば、前記1次粒子110は、厚さ約10nm以下、及び面方向に約70nmであるか、又は、厚さ約30nm以下及び面方向に約200nmである。
【0121】
一実施例によると、前記1次粒子110に対して、表面処理が行われる。前述したように、例えば、前記1次粒子110が窒化ホウ素である場合、前記1次粒子110の表面に、
図2における複数の窒素基(N-termination)が提供される。この場合、前記1次粒子110の表面の窒素基は、表面処理過程により、第1の機能基112に置換される。例えば、前記第1の機能基112は、水酸化基(OH)であり、窒素基を前記第1の機能基112に置換する過程は、塩基性溶液(例えば、NaOH)で前記1次粒子110を浸漬させた後、乾燥する方法で行われる。
【0122】
又は、他の実施例によると、空気中で、前記1次粒子110を熱処理(例えば、1,000℃)し、酸性溶液(例えば、硫酸、硝酸、リン酸など)に浸漬し、塩基性溶液(例えば、NaOH、KOHなど)に浸漬した後、酸化剤(例えば、KMnO4、又はH2O2など)で酸化させる方法により、窒素基を、前記第1の機能基112(水酸化基)に置換する。
【0123】
又は、前記とは異なり、他の実施例によると、前記1次粒子110の表面の窒素基を置換させる前記第1の機能基112は、水素基(-H)である。この場合、後述するエポキシシランの代わりに、エポキシチオール(epoxy thiol)などのようなチオール分子が用いられる。
【0124】
具体的に、
図3に示しているように、窒化ホウ素の窒素基末端の少なくとも一部が、前記第1の機能基112(水酸化基)に置換される。
【0125】
もし、前記とは異なり、前記1次粒子110に対する表面処理が行われず、前記1次粒子110の表面に多量の窒素基が存在する場合、前記1次粒子110を用いて製造されたソース溶液内で、前記1次粒子110が互いに凝集して分散度が低下し、これにより、前記1次粒子110が凝集して形成された前記2次粒子150の球状度が低下する。更に、後続する焼結過程で、焼結が円滑に行われない。
【0126】
一方、前述したように、本発明の実施例によると、前記1次粒子110の表面の窒素基は、表面処理過程により、前記第1の機能基112(例えば、水酸化基)に置換される。これにより、前記1次粒子110が、前記ソース溶液内で高い分散性を有し、これにより、前記1次粒子110が凝集して形成された前記2次粒子150の球状度が増加し、且つ、後続する焼結過程で、前記第1の機能基112により焼結過程が促進される。
【0127】
前記1次粒子110に対する表面処理過程が終了した後、前記1次粒子110、バインダー、分散剤、及び溶媒を混合して、分散溶液を製造する(S220)。前記分散溶液内において、前記1次粒子110の割合は、1~40wt%であり、前記分散剤の割合は、0.1~1wt%であり、前記バインダーの割合は、0.1~5wt%である。
【0128】
前記分散溶液のゼータ電位(zeta potential)が最大値を有するように、前記ソース溶液内の前記1次粒子110の割合、前記溶媒、及び前記分散剤の割合が制御される。
【0129】
例えば、前記バインダーは、ポリビニルアルコールである。又は、前記バインダーは、ポリエチレングリコール(PEG)、メチルセルロース(MC)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリロニトリル、又は、ポリアクリルアミドのうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0130】
例えば、前記分散剤は、アンモニウムポリメタクリルレート水溶液である。又は、前記分散剤は、水系分散剤として、ポリカルボン酸系(アクリル酸系、メタクリル酸系、共重合体)、燐酸塩、リン酸錯塩系、アリールスルホン酸、アミン系のうち、少なくともいずれか1つを含む。具体的に、前記分散剤は、燐酸カルシウム塩、マグネシウム塩、親水性シリカ、疎水性シリカ、又は、コロイダルシリカのうち、少なくともいずれか1つを含む無機分散剤を含むか、又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリビニルアルコール、アルキルセルロース、又は、ポリビニルピロリドンのうち、少なくともいずれか1つを含む非イオン性高分子分散剤を含むか、又は、ポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、ポリビニルアミンN-オキシド、ポリビニルアンモニウム塩、ポリジアルキルジアリルアンモニウム塩、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸塩、ポリスルホンン酸塩、又は、ポリアミノアルキルアクリル酸塩のうち、少なくともいずれか1つを含むイオン性高分子分散剤を含む。
【0131】
例えば、前記溶媒は、純水又は超純水である。又は、前記溶媒は、クロロホルム、クロロベンゼン、酢酸、アセトン、アセトニトリル、アニリン、ベンゼン、ベンゾニトリル、ベンジルアルコール、ブロモベンゼン、ブロモホルム、1-ブタノール、2-ブタノール、二硫化炭素、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、デカリン、ジブロモメタン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールエーテル、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、N、N-ジメチルホルムアミド、エタノール、エチルアミン、エチルベンゼン、エチレングリコールエーテル、エチレングリコール、エチレンオキシド、ホルムアルデヒド、ギ酸、グリセロール、ヘプタン、ヘキサン、ヨードベンゼン、メシチレン、メタノール、メトキシベンゼン、メチルアミン、メチレンブロマイド、メチレンクロライド、メチルピリジン、モルホリン、ナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、オクタン、ペンタン、ペンチルアルコール、フェノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ピリジン、ピロール、ピロリジン、キノリン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、テトラリン、テトラメチルエチレンジアミン、チオフェン、トルエン、1,2,4-卜リクロロベンゼン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、トリエチルアミン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、1,3,5-トリメチルベンゼン、m-キシレン、o-キシレン、p-キシレン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、又は、メチルピロリドンのうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0132】
又は、例えば、前記溶媒は、非水系分散剤(溶剤系分散剤)として、アルコールエステル系(グリセリン)、ポリエーテル系、アミン系、スルホン酸系、又は、カチオン系のうち、少なくともいずれか1つを含む。具体的に、前記溶媒は、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、メチルタウリン酸塩、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノルアミド、又は、アルキルグルコシドのうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0133】
ついで、前記分散溶液に、ホウ素ソース及び窒素ソースを投入し、溶解させて、ベースソースを製造する(S230)。例えば、前記ホウ素ソースは、ほう酸を含み、前記窒素ソースは、メラミンを含む。
【0134】
前記ベースソースを噴霧させて液滴を製造し、前記液滴を乾燥して、予備2次粒子140を製造する(S240)。一実施例によると、前記予備2次粒子140は、複数の前記1次粒子が凝集した1次凝集粒子120と、前記ホウ素ソース及び前記窒素ソースが反応した中間体粒子130とを含む。例えば、前記中間体粒子130は、メラニン二ホウ酸塩である。
【0135】
前記ベースソースが噴霧された液滴は、急激に乾燥して、前記予備2次粒子として製造され、前記ベースソース内の前記ホウ素ソース及び前記窒素ソースの重量割合によって、前記中間体粒子130の形状を制御する。
【0136】
一実施例によると、前記ホウ素ソース及び前記窒素ソースの重量割合によって、前記中間体粒子130の形状を制御する。具体的に、前記ホウ素ソース及び前記窒素ソースの重量割合が1:1である場合、前記中間体粒子130は、柱状であり、前記ホウ素ソース及び前記窒素ソースの重量割合が1:1~7:1の場合、表面に凹凸構造を有する球(sphere)状であり、前記ホウ素ソース及び前記窒素ソースの重量割合が7:1~14:1の場合、球状である。
【0137】
前記ベースソースは、超音波振動子を用いて、前記液滴状態に噴霧される。又は、前記ベースソースは、スプレーを用いて、前記液滴状態に噴霧される。
【0138】
前記液滴内には、複数の前記1次粒子110が存在し、前記液滴のサイズによって、前記予備2次粒子140のサイズを制御する。前記液滴は、10μm以下、又は3μm以下に調節され、この場合、前記予備2次粒子140の平均サイズは、約2μmである。
【0139】
前記予備2次粒子140は、遠心分離機を用いて取得された後、洗浄される。
【0140】
前記予備2次粒子140を焼結して、2次粒子150を製造し、複数の前記2次粒子150を高分子樹脂と混合して、放熱素材を製造する(S250)。すなわち、前記放熱素材は、前記高分子樹脂を含むマトリックス内に、前記予備2次粒子140が焼結された前記2次粒子150が分散したことを含む。
【0141】
前記予備2次粒子140を焼結するステップは、不活性ガス雰囲気で、前記予備2次粒子140を熱処理する方法で行われる。例えば、不活性ガスは、窒素ガスであり、1100℃以上1500℃未満の温度で、2時間以上、焼結される。
【0142】
前記予備2次粒子140が熱処理される過程で、前記中間体粒子130は、前記1次凝集粒子120と同じ相(phase)を有するように形成される。具体的に、前記中間体粒子130は、900℃以上の温度で反応して、前記1次凝集粒子120と同じh-BN相を形成する。
【0143】
また、前記中間体粒子130により、前記2次粒子150は、相対的に低い温度で製造される。具体的に、前記中間体粒子130を有することなく、前記1次凝集粒子120からなる予備2次粒子を焼結して、2次粒子を製造する場合、1100℃程度の相対的に低い温度では、前記1次凝集粒子120間の結合及び焼結が容易に行われず、微細な衝撃で2次粒子が崩れ、1500℃以上の高い熱処理温度が求められる。しかし、これとは異なり、前記1次凝集粒子120及び前記中間体粒子130からなる相が、予備2次粒子140を焼結して、前記2次粒子150を製造する場合、前記中間体粒子130により、前記1次凝集粒子120間の結合及び焼結が容易に行われるので、相対的に低い温度である1100℃程度の温度でも、前記2次粒子150を容易に製造することができる。
【0144】
前述したように、前記1次粒子110の表面に、前記第1の機能基112(例えば、水酸化基)が提供され、これにより、前記予備2次粒子140を焼結する過程で、前記第1の機能基112が焼結助剤として作用する。これにより、前記予備2次粒子140が容易に焼結され、結果として、前記予備2次粒子140内の前記1次粒子110間の界面接合性が向上し、前記予備2次粒子140が焼結して製造された前記2次粒子150の熱伝導率が向上し、前記2次粒子150の圧縮強度が向上する。
【0145】
一実施例によると、前記予備2次粒子140を熱処理する温度によって、前記2次粒子150の圧縮強度が制御される。具体的に、前記予備2次粒子140を熱処理する温度が増加するほど、前記2次粒子150の圧縮強度が増加する。例えば、前記2次粒子150の圧縮強度は、5MPa以下、より望ましくは、0.2~2MPaである。
【0146】
これにより、後述するように、前記放熱素材を用いて熱界面層を製造するステップにおいて、前記2次粒子150の少なくとも一部が容易に崩壊し、これにより、前記熱界面層内に複数の伝熱経路が生成されて、熱伝導率が向上し、且つ、前記熱界面層に接触した伝熱層及び熱吸収層の損傷を最小化することができる。
【0147】
前記2次粒子150を前記高分子樹脂と混合する前に、前記2次粒子150を表面処理して、前記2次粒子150の表面に第2の機能基を結合させるステップと、高分子溶液に前記2次粒子150を浸漬して、前記2次粒子150の表面に高分子基を結合させるステップとが更に行われる。例えば、前記第2の機能基は、水酸化基であり、前記高分子基は、エポキシ基である。この場合、例えば、塩基性溶液(例えば、NaOH)に前記2次粒子150を浸漬して、前記第2の機能基が、前記2次粒子150の表面に結合され、エポキシシラン溶液に前記2次粒子150を浸漬して、高分子基が前記2次粒子150の表面に結合される。
【0148】
以後、複数の前記2次粒子150を前記高分子樹脂と混合して、前記放熱素材として製造する。
【0149】
本発明の実施例により製造された前記2次粒子150は、前記高分子樹脂と共に用いられる充填フィラーであって、前記2次粒子150が高い球状度(例えば、70%以上)を有することができる。これにより、前記2次粒子150は、前記高分子樹脂マトリックス内で、高いフロー性と分散性を有し、これにより、高い分率で、前記2次粒子150が前記高分子樹脂マトリックス内に提供される。換言すると、前記2次粒子150が高い球状度を有するほど、前記高分子樹脂マトリックス内で、高いフロー性及び分散性を有し、これにより、前記高分子樹脂マトリックス内で、前記2次粒子150の分率を向上することができる。
【0150】
例えば、前記高分子樹脂は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂ナイロン、ポリイソプレン、ポリジシクロペンタジエン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキシド、シリコン、ポリケトン、アラミド、セルロース、ポリイミド、レーヨン、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルピロリドン、ポリシアノアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアリレンエチニレン、ポリフェニレンエチニレン、ポリチオフェン、ポリアニレン、ポリピロール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリメチルメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、又は、ポリスチレンブタジエンスチレン共重合体のうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0151】
また、前記2次粒子150は、1~10μmの粒度分布を有し、1~5μmの範囲で1つの最大ピークを有する。
【0152】
また、前記2次粒子150に対するXRD分析において、2次相及び異種素材相の分率が1%以下である。例えば、前記1次粒子110が六方晶系窒化ホウ素である場合、前記2次相は、キュービック窒化ホウ素、菱面体晶窒化ホウ素、又は、ウルツ鉱窒化ホウ素のうち、少なくともいずれか1つであり、前記異種素材は、無水ホウ酸、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウムのうち、少なくともいずれか1つである。
【0153】
言い換えると、前記2次粒子150に対するXRD分析において、前記2次粒子150は、実質的に99%超の六方晶系窒化ホウ素を含み、1%以下のキュービック窒化ホウ素、菱面体晶窒化ホウ素、又は、ウルツ鉱窒化ホウ素を含む。これにより、前記放熱素材を用いて製造された前記熱界面層の熱伝導特性を向上することができる。
【0154】
前記高分子樹脂の種類により、前記2次粒子150の表面処理のために用いられる物質を制御することができる。前記高分子樹脂がエポキシ樹脂である場合、前記2次粒子150は、エポキシシラン、アミノシラン、メルカブトシラン、又は、イソシアネートシランのうち、少なくともいずれか1つを用いて表面処理され、前記高分子樹脂がウレタン樹脂である場合、前記2次粒子150は、エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、メルカブトシラン、又は、イソシアネートシランのうち、少なくともいずれか1つを用いて表面処理され、前記高分子樹脂がポリイミド樹脂である場合、前記2次粒子150は、エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、又は、イソシアネートシランのうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0155】
また、前述したように、前記高分子樹脂と共に前記2次粒子150が用いられる場合、前記2次粒子150(第1の充填フィラー)の他に、更なる充填フィラー(第2の充填フィラー)が更に用いられる。例えば、前記第2の充填フィラーは、カーボン(炭素)、カーボンブラック、CNT、黒鉛、アルミニウムフレーク、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、銅、無水ホウ酸、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は、ステンレススチールのうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0156】
前記2次粒子150は、前記高分子樹脂と混合することなく、固体のペレット(pellet)形状に提供されることもできる。この場合、前記2次粒子150をモールド内に提供し圧着して、前記ペレットを製造する。
【0157】
以下、本発明の具体的な実験例による特性評価結果について説明する。
【0158】
(実験例1による放熱素材の製造)
1次粒子として、厚さ約10nm以下及び面方向に約70nmサイズの第1のh-BNナノフレーク、また、厚さ約30nm以下及び面方向に約200nmサイズの第2のh-BNナノフレークを用意した。
【0159】
前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレークの表面処理のために、前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレークを、60℃の5MのNaOH溶液に18時間の間、浸漬して、前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレーク表面の窒素基(N-termination)を水酸化基(OH-termination)に置換し、水に対する分散度を向上させ、2次粒子の球状度を向上させた。また、このような表面改質は、後続する焼結過程で、前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレークの焼結を促進することができる。
【0160】
表面処理が終了した前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレークをそれぞれ別に、分散剤及びバインダーと共に溶媒に分散させて、ソース溶液を製造した。溶媒としては、水が用いられ、分散剤は、アンモニウムポリメタクリルレート水溶液(Darvan-C)、バインダーは、PVAを用い、前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレークは、5wt%、分散剤は、0.5wt%、及びバインダーは、1.25wt%に制御した。
【0161】
前記ソース溶液を噴霧乾燥して、球状の予備2次粒子を製造した。具体的に、前記ソース溶液を液滴のサイズを10μm以下となるように制御して噴霧し、乾燥して、球状の前記予備2次粒子を製造した。
【0162】
以後、遠心分離器を用いて、3回洗浄し、1500℃の窒素雰囲気で、2時間焼結して、2次粒子を製造した。
【0163】
焼結工程の後、前記2次粒子は、60℃の5MのNaOHに18時間浸漬して、水酸化基を有するように表面処理し、80℃のエポキシシラン溶液に4時間浸漬して、エポキシ基を有するように表面処理した。
【0164】
図11乃至
図13は、本発明の実験例1により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【0165】
図11乃至
図13に示しているように、前述した実験例1により製造された2次粒子に対して、SEM写真を撮影した。
図11は、70nmサイズの1次粒子を用いて、平均サイズ約2μmに製造された2次粒子を撮影したSEM写真(高配率)であり、
図12は、200nmサイズの1次粒子を用いて、平均サイズ約2μmに製造された2次粒子を撮影したSEM写真であり、
図13は、70nmサイズの1次粒子を用いて、平均サイズ2μmに製造された2次粒子を撮影したSEM写真(低倍率)である。
【0166】
図11乃至
図13から、相対的に小サイズの1次粒子を用いた場合、相対的に大サイズの1次粒子を用いた場合と比較して、2次粒子が高い球状度を有することが分かり、2次粒子内の気孔が少ないことが確認できる。
【0167】
図14は、本発明の実験例1により製造された2次粒子の表面処理による接触角を測定した写真である。
【0168】
図14に示しているように、70nmサイズの1次粒子を用いて、平均サイズ約2μmに製造された2次粒子の接触角を測定した。
図14の(a)は、焼結直後、2次粒子の接触角を測定したものであり、
図14の(b)は、NaOHを用いて処理された2次粒子の接触角を測定したものであり、
図14の(c)は、エポキシシランを用いて処理された2次粒子の接触角を測定したものである。
【0169】
図14から、焼結直後、2次粒子の接触角が22.8°と高く測定されたが、NaOHを用いて水酸化基を結合させた場合、高い親水性を有することが分かる。以後、エポキシシランを用いてエポキシ基を結合させた場合、再度接触角がやや増加して、14.6°と測定されたことが確認できる。
【0170】
(実験例2-1による2次粒子の製造)
実験例1で説明した第1の-h-BNナノフレークを用意し、実験例1と同様な方法で2次粒子を製造し、ソース溶液内の1次粒子の割合を5wt%に制御し、前記ソース溶液のスプレー噴霧に際して、ガス流量を550~600L/h、ポンプレートを15%(100%時、30ml/min)、入口温度を150℃に制御して、実験例2-1による2次粒子を製造した。
【0171】
(実験例2-2による2次粒子の製造)
実験例2-1と同様な方法で2次粒子を製造し、ソース溶液内の1次粒子の割合を3wt%に制御した。
【0172】
(実験例2-3による2次粒子の製造)
実験例2-1と同様な方法で2次粒子を製造し、ソース溶液内の1次粒子の割合を2wt%に制御した。
【0173】
(実験例2-4による2次粒子の製造)
実験例2-1と同様な方法で2次粒子を製造し、ソース溶液内の1次粒子の割合を1.5wt%に制御した。
【0174】
(実験例2-5による2次粒子の製造)
実験例2-1と同様な方法で2次粒子を製造し、ソース溶液内の1次粒子の割合を1.3wt%に制御した。
【0175】
(実験例2-6による2次粒子の製造)
実験例2-1と同様な方法で2次粒子を製造し、ソース溶液内の1次粒子の割合を1wt%に制御した。
【0176】
実験例2-1乃至実験例2-6による2次粒子の製造条件は、下記表1の通りである。
【0177】
【0178】
図15は、本発明の実験例2-1乃至実験例2-6により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【0179】
図15から、1次粒子の含量が5wt%と1wt%の場合、2次粒子のサイズが平均1μm以上差があることが分かる。また、ソース溶液内に存在するh-BNナノフレーク粒子がムラなく分散することはできず、濃度が高いほど、吐出される液滴間の存在する濃度差が生じて、2次粒子の粒度の均一度が低下することが確認できる。
【0180】
また、1次粒子の含量が5wt%の条件で、D50は8μmであり、1次粒子の含量が1wt%の条件で、D50は3μmであると確認された。
【0181】
(実験例3-1による2次粒子の製造)
実験例2-1と同様な方法で製造された2次粒子を用意した。
【0182】
(実験例3-2による2次粒子の製造)
実験例3-1と同様な方法で2次粒子を製造し、前記ソース溶液のスプレー噴霧時のガス流量を、500~550L/hに制御した。
【0183】
(実験例3-3による2次粒子の製造)
実験例3-1と同様な方法で2次粒子を製造し、前記ソース溶液のスプレー噴霧時のガス流量を、450~500L/hに制御した。
【0184】
(実験例3-4による2次粒子製造)
実験例3-1と同様な方法で2次粒子を製造し、前記ソース溶液のスプレー噴霧時のガス流量を、400~450L/hに制御した。
【0185】
実験例3-1乃至実験例3-4による2次粒子の製造条件は、下記表2の通りである。
【0186】
【0187】
図16は、本発明の実験例3-1乃至実験例3-4により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【0188】
図16に示しているように、ガス流量が高くなることにつれ、吐出される力が高くなり、噴出する液滴のエネルギーが高くなる。また、噴射される液滴の速度が早くなるほど、液滴のサイズが小さくなり、これにより、固まる顆粒のサイズが小さくなる。
【0189】
図16から、550~600L/hのガス流量条件に比して、400~450L/hのガス流量条件の場合、平均サイズが1μmまで差があることが分かる。すなわち、ガス流量の制御から、前記2次粒子のサイズを制御できることが分かる。
【0190】
(実験例4-1による2次粒子の製造)
実験例2-1と同様な方法で製造された2次粒子を用意した。
【0191】
(実験例4-2による2次粒子の製造)
実験例3-1と同様な方法で2次粒子を製造し、入口温度を170℃に制御した。
【0192】
(実験例4-3による2次粒子の製造)
実験例3-1と同様な方法で2次粒子を製造し、入口温度を190℃に制御した。
【0193】
実験例4-1乃至実験例4-3による2次粒子の製造条件は、下記表3の通りである。
【0194】
【0195】
図17は、本発明の実験例4-1乃至実験例4-3により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【0196】
図17から、温度が増加するほど、顆粒のサイズが大きくなることに対して、球状度が低下することが分かる。これは、温度が増加するほど、飛散される液滴の表面張力が減って、球状を維持することができず、急激な乾燥により、顆粒内の溶媒が急激に蒸発して、液滴の構造を崩壊するためである。
【0197】
図18及び
図19は、本発明の実験例1により製造された2次粒子のSEM画像及びXRD分析グラフである。
【0198】
図18及び
図19に示しているように、前述した実験例1により、第1のh-BNナノフレークを用いて、製造された2次粒子のSEM写真を撮影し、XRD分析を行った。
【0199】
図18及び
図19から、2次相(phase)及び異種素材相(phase)の分率が1%以下であることが分かる。すなわち、2次粒子粉末は、99%超の六方晶系窒化ホウ素からなり、1%以下のキュービック窒化ホウ素、菱面体晶窒化ホウ素、又はウルツ鉱窒化ホウ素を含むことが分かる。
【0200】
図20は、本発明の実験例1により製造された予備2次粒子の超音波分散後のSEM写真であり、
図21は、本発明の実験例1により製造された2次粒子の超音波分散後の粒度割合を分析したグラフである。
【0201】
図20及び
図21に示しているように、実験例1により、第1のh-BNナノフレークを用いて、予備2次粒子を製造し、焼結前の前記予備2次粒子及び焼結後の2次粒子を水で分散させ、20KHz及び200Wの条件で超音波処理を行った。
【0202】
図20から、焼結前の前記予備2次粒子の場合、顆粒及び凝集形状が崩れて、多数の前記予備2次粒子が再度1次粒子に戻ることが分かる。
【0203】
一方、焼結過程が行われた前記2次粒子の場合、0秒、10秒、30秒、及び60秒で超音波処理を行う場合、最大粒度のピーク値が多少減少しているが、時間が経過することにつれ、減少量が顕著に減少することが確認でき、60秒を経過した後にも、約74%のオーダーに維持することが確認できる。
【0204】
すなわち、前記2次粒子の製造過程で提供される焼結助剤により、前記1次粒子が高い凝集力で凝集されて、前記2次粒子を形成し、これによって、超音波衝撃にも前記2次粒子が崩壊せず、40~90%水準の最大粒度ピーク値を維持することが確認できる。これにより、製造過程及び/又は流通過程で、前記2次粒子が崩壊せず、球の形状を維持することができ、これにより、前記2次粒子は、高分子マトリックス内で高い分散性及びフロー性を有することができる。
【0205】
実験例1で説明した1次粒子(約70nmサイズの第1のh-BNナノフレーク)、溶媒(水)、及び分散剤(アンモニウムポリメタクリルレート水溶液)が混合したソース溶液から、前記1次粒子及び前記分散剤の割合によるゼータ電位を、下記の表4乃至表6のように測定した。
【0206】
下記の表4乃至表6から、分散剤の割合が0.45wt%超0.55wt%未満の条件で、ゼータ電位が最大値を有することが確認でき、ゼータ電位の最大値は、1次粒子の割合が減少することにつれ、増加することが確認できる。
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
前述したゼータ電位の測定のための例示において、分散剤の割合を0.5wt%に固定し、バインダーの割合によるゼータ電位を、下記の表7乃至表9のように測定した。
【0211】
下記の表7乃至表9から、バインダーが添加される場合、ゼータ電位の最大値が多少減少することが確認でき、バインダーの割合が1.20wt%超1.30wt%未満の条件で、ゼータ電位が最大値を有することが確認できる。
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
(実験例5による2次粒子の製造)
蒸溜水にほう酸(H3BO3)、メラミン(C3H6N6)、及び分散剤を注入して撹拌し、反応させた。前記分散剤の量は、1wt%以上を用い、前記分散剤は、darvan-cを用い、前記撹拌に対して、80℃の温度条件で、24時間以上撹拌して、溶液内にほう酸及びメラミンイオンを十分分散させた。
【0216】
撹拌された反応溶液に、バインダーを注入し、更に撹拌した。バインダーとして、PVAを用いた。更なる撹拌は、90℃の温度条件で、30分以上、施した。
【0217】
水に分散した溶液を超音波方式で噴霧乾燥して、予備2次粒子を製造し、予備2次粒子を1500℃以上の温度条件で焼結して、2次粒子を製造した。
【0218】
図22は、本発明の実験例5により製造された2次粒子を撮影したSEM写真である。
【0219】
図22に示しているように、前述した実験例5により製造された2次粒子に対して、SEM写真を撮影した。
図22から、球状粒子のサイズは、D50を基準に、約1~2μmであることが分かる。
【0220】
図23は、一般のメラミン二ホウ酸塩の結晶形状を撮影したSEM写真である。
【0221】
図23に示しているように、前記実験例5により2次粒子を製造する過程で、溶液に溶けていた前駆体の組み合わせが反応して析出された化合物であるメラミン二ホウ酸塩に対して、SEM写真を撮影した。
【0222】
図23から分かるように、メラミン二ホウ酸塩は、柱状の結晶構造を有し、一般の析出において、1次円構造の柱状の粒子に乾燥することが確認できた。
【0223】
図24及び
図25は、ほう酸及びメラミンの混合割合を異にして製造された実験例5による2次粒子を撮影したSEM写真である。
【0224】
図24及び
図25に示しているように、ほう酸及びメラミンの混合割合を異にして、前記実験例5による2次粒子を製造した後、製造された粒子に対して、SEM写真を撮影した。具体的に、
図24は、ほう酸及びメラミンが1:1の重量割合で混合した写真を示し、
図25の上写真は、ほう酸及びメラミンが7:1~14:1の重量割合で混合した写真を示し、
図25の下写真は、ほう酸及びメラミンが1:1~7:1の重量割合で混合した写真を示している。
【0225】
図24から、ほう酸及びメラミンが1:1の重量割合で混合された場合、2次粒子が短い柱状を有することが分かる。これとは異なり、
図25から、ほう酸及びメラミンが1:1~7:1の重量割合で混合された場合、2次粒子が収縮したブドウ皮の形状を有することが確認でき、ほう酸及びメラミンが7:1~14:1の重量割合で混合された場合、2次粒子が球状を有することが確認できた。
【0226】
図26は、本発明の実験例5による2次粒子を製造する過程で形成されるほう酸を撮影したSEM写真であり、
図27は、本発明の実験例5による2次粒子を製造する過程で形成されるメラミンを撮影したSEM写真である。
【0227】
図26に示しているように、前記実験例5による2次粒子を製造する過程で噴霧乾燥されたほう酸に対して、SEM写真を撮影し、
図27に示しているように、前記実験例5による2次粒子を製造する過程で噴霧乾燥されたメラミンに対して、SEM写真を撮影した。
図26から、噴霧乾燥されたほう酸は、中空球状を有し、
図27から、噴霧乾燥されたメラミンは、Solid球状を有することが分かる。
【0228】
(実験例6による2次粒子の製造)
1次粒子として、厚さ約10nm以下、及び面方向に約70nmサイズの第1のh-BNナノフレーク、また、厚さ約30nm以下、及び面方向に約200nmサイズの第2のh-BNナノフレークを用意した。
【0229】
前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレークの表面処理のために、前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレークを、60℃の5MのNaOH溶液で18時間の間、浸漬し、前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレーク表面の窒素基(N-termination)を、水酸化基(OH-termination)に置換して、水に対する分散度を向上させ、2次粒子の球状度を向上させた。また、このような表面改質は、後続する焼結過程で、前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレークの焼結を促進することができる。
【0230】
表面処理が終了した前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレークをそれぞれ別に、分散剤及びバインダーと共に溶媒に分散させ、分散溶液をそれぞれ製造した。溶媒としては水が用いられ、分散剤は、アンモニウムポリメタクリルレート水溶液(Darvan-C)、及びバインダーは、PVAを用いており、前記第1のh-BNナノフレーク及び前記第2のh-BNナノフレークは、40wt%、分散剤は、0.5wt%、及びバインダーは、1.25wt%に制御した。
【0231】
前記分散溶液にほう酸(H3BO3)、及びメラミン(C3H6N6)を投入し溶解させて、ベースソースを製造した。ほう酸及びメラミンは、7:1以上14:1以下の重量割合に投入した。
【0232】
前記ベースソースを噴霧乾燥して、球状の予備2次粒子を製造した。具体的に、前記ベースソースを、液滴のサイズを10μm以下となるように制御して噴霧し、乾燥して、球状の前記予備2次粒子を製造した。前記予備2次粒子は、複数の1次粒子が凝集された1次凝集粒子、及びほう酸とメラミンが反応して生成された中間体粒子で構成された。
【0233】
以後、遠心分離器を用いて、3回洗浄し、1100℃の窒素雰囲気で、2時間焼結して、2次粒子を製造した。
【0234】
図28は、本発明の実験例6による2次粒子の製造過程で形成される中間体粒子の熱処理温度によるXRD特性を説明するための図である。
【0235】
図28に、前記実験例6による2次粒子の製造過程中、ほう酸とメラミンの反応により形成される中間体粒子に対して、熱処理温度によるXRD(X-ray diffraction)特性を示す。
【0236】
図28から、中間体粒子が900℃以上の温度で反応されて、h-BN相を形成することが分かる。
【0237】
図29は、本発明の実験例6による2次粒子のXRD特性を説明するための図である。
【0238】
図29に、前記実験例6による2次粒子の製造過程中、1次粒子に比して中間体粒子の含量が異なるように制御して、複数のサンプルを製造した後、それぞれに対するXRD特性を示す。具体的に、MD0は、1次粒子に比して中間体粒子の含量を0wt%に制御して製造された2次粒子を示し、MD1は、1次粒子に比して中間体粒子の含量を1wt%に制御して製造された2次粒子を示し、MD5は、1次粒子に比して中間体粒子の含量を5wt%に制御して製造された2次粒子を示し、MD10は、1次粒子に比して中間体粒子の含量を10wt%に制御して製造された2次粒子を示し、MD15は、1次粒子に比して中間体粒子の含量を15wt%に制御して製造された2次粒子を示す。
【0239】
図29から、前記複数のサンプルはいずれも、h-BN単一相を有することが分かる。
【0240】
図30は、本発明の実験例6による2次粒子のBET比表面積を説明するための図である。
【0241】
図30に示しているように、前記実験例6による2次粒子の製造過程中、1次粒子に比して中間体粒子の含量が異なるように制御して、複数のサンプルを製造した後、それぞれに対するBET比表面積を測定して示す。MD0~MD15は、
図29で説明した通りである。測定されたBET比表面積は、下記の表10によりまとめられる。
【0242】
【0243】
図30及び表10から、中間体粒子の含量が増加することにつれ、2次粒子のBET比表面積が減少することが分かる。
【0244】
図31は、本発明の実験例6による2次粒子のpore volumeを説明するための図である。
【0245】
図31に、前記実験例6による2次粒子の製造過程中、1次粒子に比して中間体粒子の含量が異なるように制御して、複数のサンプルを製造した後、それぞれに対するpore volumeを測定して示している。MD0~MD15は、
図29で説明した通りである。測定されたpore volumeは、下記の表11によりまとめられる。
【0246】
【0247】
図31及び表11から、中間体粒子の含量が増加することにつれ、2次粒子のpore volumeが減少することが分かる。
【0248】
図32乃至
図35は、本発明の実験例6による2次粒子の超音波衝撃に対するPSA特性を説明するための図である。
【0249】
図32乃至
図35に、前記実験例6による2次粒子の製造過程中、1次粒子に比して中間体粒子の含量が異なるように制御して、複数のサンプルを製造した後、それぞれに対して超音波衝撃に対するPSA特性を測定して示している。MD0~MD15は、
図29で説明した通りである。
【0250】
図32乃至
図35から、中間体粒子がない場合(MD0)、1100℃の熱処理でh-BN 1次粒子間の結合又は焼結が行われないため、超音波衝撃により、2次粒子がすぐ崩れることに対して、中間体粒子が含まれる場合、80%以上維持されることが確認できた。すなわち、前記実験例6による2次粒子を水に分散させ、20KHz及び200Wの条件で超音波処理する場合でも、粒度最大ピークが80%超に維持されることが分かる。
【0251】
図36は、本発明の実験例6による2次粒子をエポキシ樹脂に分散した場合の粘度特性を説明するための図である。
【0252】
図36に、前記実験例6による2次粒子の製造過程中、1次粒子に比して中間体粒子の含量が異なるように制御して、複数のサンプルを製造した後、それぞれをエポキシ樹脂に分散し、粘度を測定して示す。MD0及びMD1は、
図29で説明した通りである。
【0253】
図36から、中間体粒子がない場合(MD0)、エポキシ樹脂内で2次粒子がいずれも崩れて粘度が急激に増加することに対して、中間体粒子がある場合(MD1)、ニュートン流体特性(粘度がrpmによらず、維持される特性)を有することが確認できた。
【0254】
図37は、本発明の実験例6による2次粒子がエポキシ樹脂に分散した状態を撮影したSEM写真である。
【0255】
図37に、前記実験例6による2次粒子の製造過程中、1次粒子に比して中間体粒子の含量が異なるように制御して、複数のサンプルを製造した後、それぞれをエポキシ樹脂に分散し、分散状態をSEM撮影して示している。上側は、MD0を撮影した写真であり、下側は、MD1を撮影した写真である。MD0及びMD1は、
図29で説明した通りである。
【0256】
図37から、中間体粒子がない場合(MD0)、エポキシ樹脂内で2次粒子がいずれも崩れることに対して、中間体粒子がある場合(MD1)、形状を維持することが確認できた。
【0257】
以上、本発明を好適な実施例を用いて詳しく説明したが、本発明の範囲は、特定の実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲により解析されるべきである。また、当該技術分野における通常の知識を有するものであれば、本発明の範囲から逸脱しない範囲内で、様々な修正と変形が可能であることを理解されるだろう。
【産業上の利用可能性】
【0258】
本発明の実施例による放熱素材、これを含む組成物、及びその製造方法は、放熱産業に適用可能である。
【国際調査報告】