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特表2024-507087フレキシブルな終端部を有するバリスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】フレキシブルな終端部を有するバリスタ
(51)【国際特許分類】
   H01C 1/142 20060101AFI20240208BHJP
   H01C 7/112 20060101ALI20240208BHJP
   H01C 17/00 20060101ALI20240208BHJP
   H01C 17/28 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H01C1/142
H01C7/112
H01C17/00 100
H01C17/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546313
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2022013505
(87)【国際公開番号】W WO2022164747
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/144,057
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523271583
【氏名又は名称】キョーセラ・エーブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パラニアッパン・ラビンドラナータン
(72)【発明者】
【氏名】マリアンヌ・ベロリニ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ダブリュー・カーク
【テーマコード(参考)】
5E028
5E032
5E034
【Fターム(参考)】
5E028AA10
5E028BA04
5E028BB11
5E028CA02
5E028CA12
5E028DA01
5E028JA13
5E032BA04
5E032BA05
5E032BB11
5E032CA02
5E032CC11
5E034CA10
5E034CB05
5E034CC02
5E034CC20
5E034DA07
5E034DB20
5E034DC01
5E034DC03
5E034DC05
5E034DC09
5E034DC10
5E034DE19
5E034EA10
5E034EB04
5E034ED08
(57)【要約】
バリスタは、長手方向に垂直であるZ方向に積層された複数の誘電体層を含むモノリシック本体を含み得る。モノリシック本体は、第1の端部と、長手方向において第1の端部から離間した第2の端部とを有することができる。第1の外部端子は第1の端部に沿って配設され得る。第2の外部端子は第2の端部に沿って配設され得る。第1の複数の電極は、第1の外部端子と接続することができ、また、第1の端部からモノリシック本体の第2の端部に向かって延びることができる。第2の複数の電極は、第2の外部端子と接続することができ、また、第2の端部からモノリシック本体の第1の端部に向かって延びることができる。第1の外部端子または第2の外部端子のうちの少なくとも1つは導電性ポリマー組成を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に垂直であるZ方向に積層された複数の誘電体層を備え、第1の端部と、前記長手方向において前記第1の端部から離間した第2の端部とを有する、モノリシック本体と、
前記第1の端部に沿って配設された第1の外部端子と、
前記第2の端部に沿って配設された第2の外部端子と、
前記第1の外部端子と接続され、前記第1の端部から前記モノリシック本体の前記第2の端部に向かって延びる、第1の複数の電極と、
前記第2の外部端子と接続され、前記第2の端部から前記モノリシック本体の前記第1の端部に向かって延びる第2の複数の電極と、
を備え、
前記第1の外部端子または前記第2の外部端子のうちの少なくとも1つが導電性ポリマー組成を含む、バリスタ。
【請求項2】
前記バリスタが、非線形である抵抗曲線に従う抵抗を呈する、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項3】
1,000Hzの動作周波数、約23℃の温度、および25%の相対湿度において、0.0ボルトのDCバイアスおよび0.5ボルトの二乗平均正弦波信号で、50pF未満の静電容量を呈する、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項4】
1,000Hzの動作周波数、約23℃の温度、および25%の相対湿度において、0.0ボルトのDCバイアスおよび0.5ボルトの二乗平均正弦波信号で、100pFよりも大きい静電容量を呈する、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項5】
約8,000ボルトの5,000回以上の静電放電衝撃後の前記バリスタの絶縁破壊電圧が、前記バリスタの初期絶縁破壊電圧の約0.9倍よりも大きい、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項6】
10×1000μsの電流波でテストされたとき、前記バリスタが、少なくとも約0.05J/mmの単位活性体積当たりの過渡エネルギー能力を有する、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項7】
前記複数の誘電体層が酸化亜鉛を含む、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項8】
前記複数の誘電体層が、コバルト、ビスマス、プラセオジミウム、またはマンガンのうちの少なくとも1つの酸化物を含む、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項9】
前記複数の誘電体層が、約1ミクロンから約100ミクロンに及ぶ平均粒子サイズを含む、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項10】
前記導電性ポリマー組成がエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項11】
前記導電性ポリマー組成が導電性粒子を含む、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項12】
前記導電性粒子が銀を含む、請求項11に記載のバリスタ。
【請求項13】
前記導電性ポリマー組成が、約23℃および20%の相対湿度で、ASTM D638-14に従ってテストされたとき、約3GPaよりも小さいヤング率を有する、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項14】
前記導電性ポリマー組成が、約23℃および20%の相対湿度で、ASTM B193-16に従ってテストされたとき、約0.01オームcmよりも小さい体積抵抗率を呈する、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項15】
機械的故障なしに、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけられたとき、少なくとも約60秒の間、約5mmよりも大きい偏位に耐えることができる、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項16】
少なくとも約60秒の間、約5mmの偏位で、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけられた後に、約5%よりも小さい、漏れ電流の変化を呈する、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項17】
少なくとも約60秒の間、約5mmの偏位で、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけられた後に、約5%よりも小さい、静電容量の変化を呈する、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項18】
少なくとも約60秒の間、約5mmの偏位で、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけられた後に、約5%よりも小さい、絶縁破壊電圧の変化を呈する、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項19】
少なくとも約3000サイクルの間、JESD22 Method JA-104に従う温度サイクルテストにかけられた後に、約5%よりも小さい、絶縁破壊電圧の変化を呈する、請求項1に記載のバリスタ。
【請求項20】
バリスタを形成する方法であって、
それぞれ第1の複数の誘電体層上に第1の複数の電極を形成するステップと、
第2の複数の誘電体層上に第2の複数の電極を形成するステップと、
前記第1の複数の電極がモノリシック本体の第1の端部から延びるように、また、前記第2の複数の電極が前記モノリシック本体の第2の端部から延びるように、前記モノリシック本体を形成するために、長手方向に垂直であるZ方向に前記第1の複数の誘電体層と前記第2の複数の誘電体層とを積層するステップと、
前記モノリシック本体の前記第1の端部に沿って、前記第1の複数の電極と接続された第1の外部端子を形成するステップと、
前記モノリシック本体の前記第2の端部に沿って、前記第2の複数の電極と接続された第2の外部端子を形成するステップと、
を含み、
前記第1の外部端子または前記第2の外部端子のうちの少なくとも1つが導電性ポリマー組成を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それの全体が参照により本明細書に組み込まれる、出願日が2021年2月1日である米国仮特許出願第63/144,057号の出願利益を主張する。
【0002】
本主題は、一般に、回路板上に取り付けられるように適応された電子構成要素に関し、より詳細には、バリスタおよびバリスタアレイに関する。
【背景技術】
【0003】
バリスタなど、多層セラミックデバイスは、一般に、複数の積層された誘電電極層によって構築される。製造中、層は、しばしば、プレスされて、垂直方向に積層された構造に形成され得る。多層セラミックデバイスはアレイ中に単一の電極または複数の電極を含み得る。
【0004】
バリスタは、電圧依存性の非線形抵抗器であり、サージ吸収電極、避雷器、および電圧安定器として使用されている。バリスタは、たとえば、敏感な電気的構成要素と並列に接続され得る。バリスタの非線形抵抗反応は、しばしば、クランピング電圧として知られているパラメータによって特徴づけられる。印加電圧がバリスタのクランピング電圧未満である場合、バリスタは、一般に、極めて高い抵抗を有し、したがって、開回路同様に作用する。しかしながら、バリスタが、それのクランピング電圧よりも大きい電圧にさらされると、バリスタの抵抗は低減され、それによりバリスタは、短絡回路により似た形で作用し、より大きい電流を流す。この非線形応答は、電流サージをそらし、および/または電圧スパイクが敏感な電子構成要素を損傷させるのを防ぐために使用され得る。
【0005】
バリスタは著しい機械的応力および/または熱応力を受けることがある。バリスタは、プリント回路板など、基板に表面実装され得る。基板が曲がるかまたはたわむと、バリスタは破損するかまたは基板から切断されることがある。熱変動により、バリスタおよび/または基板が膨張および収縮し、それにより、バリスタの損傷または故障が同様に生じることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、バリスタは、長手方向に垂直であるZ方向に積層された複数の誘電体層を備えるモノリシック本体を含み得る。モノリシック本体は、第1の端部と、長手方向において第1の端部から離間した第2の端部とを有することができる。第1の外部端子は第1の端部に沿って配設され得る。第2の外部端子は第2の端部に沿って配設され得る。第1の複数の電極は、第1の外部端子と接続することができ、また、第1の端部からモノリシック本体の第2の端部に向かって延びることができる。第2の複数の電極は、第2の外部端子と接続することができ、また、第2の端部からモノリシック本体の第1の端部に向かって延びることができる。第1の外部端子または第2の外部端子のうちの少なくとも1つは導電性ポリマー組成を含み得る。
【0007】
本開示の別の実施形態によれば、バリスタを形成する方法は、それぞれ第1の複数の誘電体層上に第1の複数の電極を形成するステップと、第2の複数の誘電体層上に第2の複数の電極を形成するステップと、第1の複数の電極がモノリシック本体の第1の端部から延びるように、また、第2の複数の電極がモノリシック本体の第2の端部から延びるように、モノリシック本体を形成するために、長手方向に垂直であるZ方向に第1の複数の誘電体層と第2の複数の誘電体層とを積層するステップと、モノリシック本体の第1の端部に沿って、第1の複数の電極と接続された第1の外部端子を形成するステップと、モノリシック本体の第2の端部に沿って、第2の複数の電極と接続された第2の外部端子を形成するステップとを含み得る。第1の外部端子または第2の外部端子のうちの少なくとも1つが導電性ポリマー組成を含み得る。
【0008】
当業者に向けられる、本主題の最良の形態を含む、本主題の十分な授権開示が本明細書に記載されており、本明細書では添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の態様による、コンプライアント層(compliant layer)を含むバリスタの一実施形態の断面図を示す図である。
図2】本開示の態様による、アンカータブを含むバリスタの別の実施形態の断面図を示す図である。
図3】本開示の態様による、浮遊電極を含むバリスタの別の実施形態の断面図を示す図である。
図4】本開示の態様による、バリスタを形成するための方法のフローチャートである。
図5】ANSI Standard C62.1に従ってバリスタをテストするための電流波を示す図である。
図6】本開示の態様による、バリスタの電圧応答曲線を示す図である。
図7】AEC-Q200-005に従ってボードフレックステスト(board flex test)を行うための試験アセンブリを示す図である。
図8】本開示による、例示的なバリスタの断面図を示す図である。
図9図8のバリスタのエリアの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付の図面全体にわたる参照符号の繰り返し使用は、本主題の同じまたは類似する特徴、電極、またはステップを表すものである。
【0011】
本開示は例示的な実施形態の説明にすぎず、本主題のより広い態様を限定するものではなく、そのより広い態様は例示的な構成において実施されることが当業者によって理解されるべきである。
【0012】
一般に、本開示は、フレキシブルな終端部を有するバリスタを対象とする。バリスタの終端部は、構成要素が受ける応力を低減するためにそれぞれのコンプライアント層を含み得る。コンプライアント層は導電性ポリマー組成を含むことができ、導電性ポリマー組成はポリマーと分散した導電性粒子とを含み得る。
【0013】
特に、本発明は、単一のモノリシック本体内に交互する誘電体層と電極層とを含んでいるバリスタを対象とする。バリスタのモノリシック本体は、長手方向に垂直であるZ方向に積層された複数の誘電体層を備えるモノリシック本体を含み得、モノリシック本体は、第1の端部と、長手方向において第1の端部から離間した第2の端部とを有する。たとえば、バリスタのモノリシック本体は、直方体形状など、平行六面体形状を有し得る。
【0014】
バリスタは、第1の端部に沿って配設された第1の外部端子と、モノリシック本体の第2の端部に沿って配設された第2の外部端子とを含み得る。第1の複数の電極は、第1の外部端子と接続することができ、また、第1の端部からモノリシック本体の第2の端部に向かって延びることができる。第2の複数の電極は、第2の外部端子と接続することができ、また、第2の端部からモノリシック本体の第1の端部に向かって延びることができる。第1の外部端子または第2の外部端子のうちの少なくとも1つは導電性ポリマー組成を含み得る。導電性ポリマー組成は、第1の外部終端部および/または第2の外部終端部のコンプライアント層であり得る。
【0015】
導電性ポリマー組成は1つまたは複数の好適なポリマー材料を含み得る。例としては、たとえば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂などがある。エポキシ樹脂は特に好適である。好適なエポキシ樹脂の例としては、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂およびビフェニル型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂などがある。ポリマーは熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含み得る。
【0016】
導電性ポリマー組成は導電性粒子を含み得、導電性粒子は、ポリマー内に(たとえば、ポリマーマトリクスとして)分散し得、また、コンプライアント層の導電率を改善し得る。導電性粒子は、銀、金、銅など、金属であり得るか、またはそのような金属を含み得る。たとえば、導電性粒子は、銀、銅、金、ニッケル、スズ、チタン、または他の導電性金属であり得るか、またはそれらを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、コンプライアント層は、銀充填ポリマー、ニッケル充填ポリマー、銅充填ポリマーなどを含み得る。
【0017】
しかしながら、他の実施形態では、導電性粒子は、アルミニウムの酸化物(たとえば、アルミナ)および/またはアルミニウムの窒化物など、導電性セラミック材料を含み得る。追加の例としては、チタンなど、他の金属の酸化物または窒化物がある。いくつかの実施形態では、導電性粒子は基材の上に導電性材料の層を含み得る。たとえば、導電性粒子は卑金属(たとえば、銅)の上に貴金属(たとえば、銀、金など)の層を含み得る。
【0018】
導電性粒子は、約10W/(m・K)よりも大きい熱伝導率、いくつかの実施形態では約20W/(m・K)よりも大きい熱伝導率、いくつかの実施形態では約50W/(m・K)よりも大きい熱伝導率、いくつかの実施形態では約100W/(m・K)よりも大きい熱伝導率、いくつかの実施形態では約200W/(m・K)よりも大きい熱伝導率、いくつかの実施形態では約200W/(m・K)よりも大きい熱伝導率を有し得る。
【0019】
コンプライアント層は、約23℃および20%の相対湿度で、ASTM D638-14に従ってテストされたとき、約3GPaよりも小さいヤング率(Young’s modulus)、いくつかの実施形態では約1GPaよりも小さいヤング率、いくつかの実施形態では約500MPaよりも小さいヤング率、いくつかの実施形態では約100MPaよりも小さいヤング率、いくつかの実施形態では約50MPaよりも小さいヤング率、いくつかの実施形態では約15MPaよりも小さいヤング率を有し得る。
【0020】
コンプライアント層は低い電気抵抗を呈し得る。たとえば、コンプライアント層は、ASTM B193-16に従ってテストされた、約0.01オームcmよりも小さい体積抵抗率、いくつかの実施形態では約0.001オームcmよりも小さい体積抵抗率、いくつかの実施形態では約0.0001オームcm以下の体積抵抗率を呈し得る。
【0021】
外部終端部のコンプライアント層は、導電性ポリマー組成の厚膜層を形成するためにモノリシック本体を導電性ポリマー組成溶液に浸漬することによって形成され得る。
【0022】
外部終端部は、モノリシック本体とコンプライアント層との間に形成された基層を含み得る。たとえば、基層はモノリシック本体のそれぞれの端部の上に形成され得、コンプライアント層はそれぞれの基層の上に形成され得る。基層は様々な好適な導電性材料を含み得る。たとえば、基層は、銅、ニッケル、スズ、銀、金などを含み得る。基層は、基層材料の厚膜層を形成するためにモノリシック本体を溶液に浸漬することによって形成され得る。しかしながら、他の実施形態では、基層は、以下で説明するように、たとえば、好適なめっきプロセスを使用して形成され得る。
【0023】
1つまたは複数のめっきされた層がコンプライアント層の上に形成され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、第1のめっきされた層がコンプライアント層の上に形成され得る。第2のめっきされた層が第1のめっきされた層の上に形成され得る。第1および第2のめっきされた層は、ニッケル、スズ、銅など、様々な好適な導電性金属を含み得る。たとえば、一実施形態では、第1のめっきされた層はニッケルを含み得る。第2のめっきされた層はスズを含み得る。
【0024】
めっきされた層は、電気めっきおよび無電解めっきを含む様々なめっき技法によって形成され得る。たとえば、最初に、材料の初期層を堆積するために無電解めっきが採用され得る。めっき技法は、次いで、材料のより高速な蓄積を可能にし得る電気化学めっきシステムに切り替えられ得る。
【0025】
めっき溶液は、めっきされた終端部を形成するために採用される、導電性金属など、導電性材料を含んでいる。そのような導電性材料は、上述の材料のいずれかであるか、または当技術分野で一般に知られているいずれかであり得る。たとえば、めっき溶液は、めっきされた層および外部端子がニッケルを含むように、スルファミン酸ニッケル浴溶液または他のニッケル溶液であり得る。代替的に、めっき溶液は、めっきされた層および外部端子が銅を含むように、銅酸浴溶液または他の好適な銅溶液であり得る。
【0026】
さらに、めっき溶液は、当技術分野で一般に知られている他の添加剤を含み得ることを理解されたい。たとえば、添加剤は、めっきプロセスを支援することができる他の有機添加剤および媒質を含み得る。さらに、添加剤は、所望のpHでめっき溶液を採用するために採用され得る。一実施形態では、完全なめっき被覆、およびバリスタとリードタブの露出した前端とへのめっき材料のボンディングを支援するために、溶液中に抵抗低減添加剤が採用され得る。
【0027】
バリスタは、所定の時間量の間、めっき溶液に暴露、液浸、または浸漬させられ得る。そのような暴露時間は、必ずしも限定されないが、めっきされた端子を形成するために、十分なめっき材料が堆積するのを可能にするために十分な時間量の間であり得る。この点について、時間は、交互する誘電体層と電極層とのセット内のそれぞれの電極層の所与の極性のリードタブの所望の露出した隣接する前端間の連続接続の形成を可能にするのに十分であるべきである。
【0028】
一般に、電解めっきと無電解めっきとの違いは、電解めっきが、外部電源を使用することなどによって、電気バイアスを採用することである。電解めっき溶液は、一般に、高電流密度範囲、たとえば、(9.4ボルトで定格された)10から15amp/ftを受けることがある。接続は、めっきされた端子の形成を必要とするバリスタへの負の接続と、同じめっき溶液中の固体材料(たとえば、Cuめっき溶液中のCu)への正の接続とで形成され得る。すなわち、バリスタは、めっき溶液の極性と反対の極性にバイアスされる。そのような方法を使用すると、めっき溶液の導電性材料は、電極層のリードタブの露出した前端の金属に引きつけられる。
【0029】
バリスタをめっき溶液に液浸または暴露する前に、様々な前処理ステップが採用され得る。そのようなステップは、リードタブの前端へのめっき材料の付着を触媒する、加速させる、および/または向上させることを含む、様々な目的のために行われ得る。
【0030】
さらに、めっきまたは任意の他の前処理ステップの前に、初期洗浄ステップが採用され得る。そのようなステップは、電極層の露出したリードタブ上に形成する酸化物蓄積を取り除くために採用され得る。この洗浄ステップは、内部電極または他の導電性要素がニッケルから形成されているとき、酸化ニッケルの蓄積を取り除くことを支援するのに特に役立ち得る。部品洗浄は、酸性洗浄剤を含むものなど、事前洗浄槽への十分な浸漬によって実施され得る。一実施形態では、暴露は、約10分程度など、所定の時間の間であり得る。洗浄はまた、代替的に、化学研磨または遠心仕上げ(harperizing)ステップによって実施され得る。
【0031】
さらに、導電性材料の堆積を促進するために、電極層のリードタブの露出した金属前端を活性化させるステップが実行され得る。活性化は、パラジウム塩、(マスクまたはレーザを介した)写真パターニングされたパラジウム有機金属前駆体、スクリーン印刷されたまたはインクジェット堆積されたパラジウム化合物への浸漬、あるいは電気泳動パラジウム堆積によって達成され得る。パラジウムベースの活性化は、単に、ニッケルまたはそれの合金から形成された露出したタブ部分についての活性化とともにしばしばうまく作用する活性化溶液の例として、現在開示していることを諒解されたい。しかしながら、他の活性化溶液も利用され得ることを理解されたい。
【0032】
また、上述の活性化ステップの代わりに、またはそれに加えて、バリスタの電極層を形成するとき、活性化ドーパントが導電性材料に導入され得る。たとえば、電極層がニッケルを含み、活性化ドーパントがパラジウムを含むとき、パラジウムドーパントがニッケルインク、または電極層を形成する組成中に導入され得る。そうすることによりパラジウム活性化ステップがなくなり得る。さらに、有機金属前駆体など、上記活性化方法のうちのいくつかは、バリスタの全体にセラミックな本体への付着を増強するためのガラス形成剤の同時堆積にも向いていることを諒解されたい。上記で説明したように活性化ステップが取られると、終端めっきの前および後に、露出した導電性部分に微量の活性剤材料がしばしば残ることがある。
【0033】
さらに、めっき後の後処理ステップも採用され得る。そのようなステップは、材料の付着を強化するおよび/または向上させることを含む、様々な目的のために行われ得る。たとえば、めっきステップを実行した後に、加熱(またはアニーリング)ステップが採用され得る。そのような加熱は、焼成、レーザにかけること、UV暴露、マイクロ波暴露、アーク溶接などによって行われ得る。
【0034】
外部端子は、約35μm以上など、約50μm以上など、約75μm以上など、約25μm以上の総平均厚さを有し得る。たとえば、外部端子は、約35μmから約125μmなど、約50μmから約100μmなど、約25μmから約150μmの平均厚さを有し得る。
【0035】
外部終端部は、約150μm以下など、約125μm以下など、約100μm以下など、約80μm以下など、約200μm以下の最大厚さを有し得る。外部終端部は、約35μm以上など、約50μm以上など、約75μm以上など、約25μm以上の最大厚さを有し得る。たとえば、外部終端部は、約35μmから約125μmなど、約50μmから約100μmなど、約25μmから約150μmの最大厚さを有し得る。
【0036】
基層は、約3μmから約125μm以上に及ぶ平均厚さ、いくつかの実施形態では約5μmから約100μmに及ぶ平均厚さ、いくつかの実施形態では約10μmから約80μmに及ぶ平均厚さを有し得る。コンプライアント層は、約3μmから約125μm以上に及ぶ平均厚さ、いくつかの実施形態では約5μmから約100μmに及ぶ平均厚さ、いくつかの実施形態では約10μmから約80μmに及ぶ平均厚さを有し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、本開示の態様によるバリスタはまた、低い静電容量を呈し得る。たとえば、バリスタは、1,000Hzの動作周波数、約23℃の温度、および25%の相対湿度において、0.0ボルトのDCバイアスおよび0.5ボルトの二乗平均正弦波信号で、約50ピコファラド(「pF」)未満の静電容量を有し得る。たとえば、いくつかの実施形態では、バリスタは、上記の条件において約45pF未満の静電容量、いくつかの実施形態では約40pF未満の静電容量、いくつかの実施形態では約10pF未満の静電容量を有し得、いくつかの実施形態では、バリスタは、上記の条件において約5pF未満の静電容量、いくつかの実施形態では約2pF未満の静電容量、いくつかの実施形態では約1pF未満の静電容量を有し得る。たとえば、いくつかの実施形態では、バリスタは、約0.1pFから約50pFに及ぶ静電容量、いくつかの実施形態では約0.1pFから約10pFに及ぶ静電容量、いくつかの実施形態では約0.7pFから約5pFに及ぶ静電容量、いくつかの実施形態では約0.1pFから約1pFに及ぶ静電容量を有し得る。
【0038】
本開示の態様によるバリスタはまた、他の静電容量値を呈し得る。たとえば、バリスタは、1,000Hzの動作周波数、約23℃の温度、および25%の相対湿度において、0.0ボルトのDCバイアスおよび0.5ボルトの二乗平均正弦波信号で、約50pFよりも大きい静電容量を有し得る。たとえば、いくつかの実施形態では、バリスタは、上記の条件において約75pFよりも大きい静電容量、いくつかの実施形態では約100pFよりも大きい静電容量、いくつかの実施形態では約200pFよりも大きい静電容量、いくつかの実施形態では約300pFよりも大きい静電容量、いくつかの実施形態では約400pFよりも大きい静電容量、いくつかの実施形態では約500pFよりも大きい静電容量を有し得る。さらなる例として、バリスタは、上記の条件において約1000pFよりも大きい静電容量、いくつかの実施形態では約1500pFよりも大きい静電容量、いくつかの実施形態では約2000pFよりも大きい静電容量、いくつかの実施形態では約2500pFよりも大きい静電容量、いくつかの実施形態では約3000pFよりも大きい静電容量、いくつかの実施形態では約3500pFよりも大きい静電容量を有し得る。たとえば、いくつかの実施形態では、バリスタは、約50pFから約3500pFに及ぶ静電容量、いくつかの実施形態では約75pFから約3250pFに及ぶ静電容量、いくつかの実施形態では約90pFから約3000pFに及ぶ静電容量を有し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、バリスタは低い漏れ電流を呈し得る。たとえば、約30ボルトの動作電圧における漏れ電流は約10マイクロアンペア(μA)未満であり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、約30ボルトの動作電圧における漏れ電流は、0.01μAから約5μAに、いくつかの実施形態では約0.005μAから約1μAに、いくつかの実施形態では約0.05μAから約0.15μAに及び、たとえば、0.1μAであり得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、バリスタは、10×1000μsの電流波でテストされたとき、少なくとも約0.05J/mmの単位活性体積当たりの過渡エネルギー能力、いくつかの実施形態では少なくとも約0.1J/mmの単位活性体積当たりの過渡エネルギー能力、いくつかの実施形態では少なくとも約0.2J/mmの単位活性体積当たりの過渡エネルギー能力、いくつかの実施形態では少なくとも約1.0J/mmの単位活性体積当たりの過渡エネルギー能力を有し得る。バリスタの単位活性体積当たりの過渡エネルギー能力は、バリスタの過渡エネルギー能力をバリスタの活性体積で除算することによって決定され得る。バリスタの活性体積は、活性電極の面積×活性電極の数×活性電極間の誘電体層の厚さとして定義され得る。
【0041】
本開示の態様によれば、バリスタは、近くのまたは接続された電気的構成要素を損傷させることから電圧スパイクをそらし、および/または現在の電圧をそらすことができる、非線形の抵抗反応を呈し得る。たとえば、バリスタは、バリスタの絶縁破壊電圧を下回る、バリスタにわたって印加された電圧に対して比較的低い電流を与えるように構成することができる。印加された電圧が絶縁破壊電圧を超えて増加すると、バリスタは、バリスタを通るより大きい相対電流を促進し得、それにより、バリスタにわたる電圧スパイクを防止または低減し、それによって近くのまたは隣接する構成要素に対する電圧スパイクを防止または低減することができる。
【0042】
たとえば、バリスタは、バリスタの絶縁破壊電圧よりも小さい第1の電圧範囲にわたって非線形である第1の抵抗曲線に従う抵抗を呈し得、また、絶縁破壊電圧範囲よりも大きい第2の電圧範囲にわたってほぼ線形である第2の抵抗曲線に従う抵抗を呈し得る。
【0043】
バリスタは非線形応答を呈し得る。バリスタにわたる単位長さ当たりの電圧は、バリスタを通る単位面積当たりの電流に対して変動することがある。事前絶縁破壊電圧範囲にわたって、バリスタは、一般に、第1の応答曲線を呈し、絶縁破壊電圧範囲よりも小さい非線形電圧範囲にわたって第2の応答曲線を呈し得る。すなわち、バリスタは、一般に、以下の関係にほぼ従う電圧を呈し得る。
【0044】
【数1】
【0045】
式中、Vは電圧を表し、Iは電流を表し、Cは定数であり、αは非線形領域において以下のように定義される。
【0046】
【数2】
【0047】
事前絶縁破壊電圧範囲では、単位長さ当たりの電圧は、一般に、バリスタを通る単位面積当たりの電流に対して、非線形領域においてよりも速く増加する。絶縁破壊電圧範囲よりも大きい上向きの電圧範囲にわたって、バリスタは、一般に、単位長さ当たりの電圧が、一般に、バリスタを通る単位面積当たりの電流に対して、非線形領域においてよりも速く増加する、第3の応答曲線を呈し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示の態様によるバリスタは、性能の実質的な劣化なしに反復的な静電放電衝撃に耐えることが可能であり得る。たとえば、約8,000ボルトの5,000回以上の静電放電衝撃後のバリスタの絶縁破壊電圧は、バリスタの初期絶縁破壊電圧の約0.9倍よりも大きくなり得、いくつかの実施形態では初期絶縁破壊電圧の約0.95倍よりも大きくなり得、いくつかの実施形態では初期絶縁破壊電圧の約0.98倍よりも大きくなり得る。
【0049】
誘電体層は、単一構造を形成するために一緒にプレスされ、焼結され得る。誘電体層は、たとえば、チタン酸バリウム、酸化亜鉛などの任意の好適な誘電体材料、または任意の他の好適な誘電体材料を含み得る。たとえば、誘電体材料の電圧依存性抵抗を生じるかまたは強化する、様々な添加剤が誘電体材料中に含まれ得る。たとえば、いくつかの実施形態では、添加剤は、コバルト、ビスマス、マンガン、プラセオジミウムの酸化物、またはそれらの組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、ガリウム、アルミニウム、アンチモン、クロム、チタン、鉛、バリウム、ニッケル、バナジウム、スズの酸化物、またはそれらの組合せを含み得る。誘電体材料は、約0.5モルパーセントから約3モルパーセントに及ぶ添加剤、いくつかの実施形態では約1モルパーセントから約2モルパーセントに及ぶ添加剤をドープされ得る。誘電体材料の平均粒子サイズは誘電体材料の非線形性質に寄与し得る。いくつかの実施形態では、平均粒子サイズは、約1ミクロンから100ミクロンに及び、いくつかの実施形態では約2ミクロンから80ミクロンに及び得る。
【0050】
本開示のバリスタは、機械的応力を受けたとき、優れた強度および耐久性を呈し得る。たとえば、バリスタは、機械的故障なしに、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけられたとき、少なくとも約60秒の間、約3mmよりも大きい偏位に、いくつかの実施形態では約5mmよりも大きい偏位に、いくつかの実施形態では約7mmよりも大きい偏位に、いくつかの実施形態では9mmよりも大きい偏位に、いくつかの実施形態では約10mmよりも大きい偏位に耐えることができる。
【0051】
そのような機械的応力によってバリスタの様々な性能特性が受ける影響を最小にすることができる。たとえば、バリスタは、少なくとも約60秒の間、約3mmの偏位で、いくつかの実施形態では約5mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約7mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では9mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約10mmよりも大きい偏位で、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけられた後に、約5%よりも小さい、漏れ電流の変化を呈し得る。いくつかの実施形態では、バリスタは、少なくとも約60秒の間、約3mmの偏位で、いくつかの実施形態では約5mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約7mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では9mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約10mmよりも大きい偏位で、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけられた後に、約4%よりも小さい、約3%よりも小さい、または約2%よりも小さい、漏れ電流の変化を呈し得る。
【0052】
別の例として、バリスタは、少なくとも約60秒の間、約3mmの偏位で、いくつかの実施形態では約5mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約7mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では9mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約10mmよりも大きい偏位で、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけられた後に、約5%よりも小さい、静電容量の変化を呈し得る。いくつかの実施形態では、バリスタは、少なくとも約60秒の間、約3mmの偏位で、いくつかの実施形態では約5mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約7mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では9mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約10mmよりも大きい偏位で、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけられた後に、約4%よりも小さい、約3%よりも小さい、または約2%よりも小さい、静電容量の変化を呈し得る。
【0053】
別の例として、バリスタは、少なくとも約60秒の間、約3mmの偏位で、いくつかの実施形態では約5mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約7mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では9mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約10mmよりも大きい偏位で、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけられた後に、約5%よりも小さい、絶縁破壊電圧の変化を呈し得る。いくつかの実施形態では、バリスタは、少なくとも約60秒の間、約3mmの偏位で、いくつかの実施形態では約5mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約7mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では9mmよりも大きい偏位で、いくつかの実施形態では約10mmよりも大きい偏位で、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけられた後に、約4%よりも小さい、約3%よりも小さい、約2%よりも小さい、約1%よりも小さい、約0.50%よりも小さい、または約0.20%よりも小さい、静電容量の変化を呈し得る。
【0054】
本開示のバリスタは、熱応力を受けたとき、優れた耐久性を呈し得る。たとえば、バリスタは、電気的または光学的故障なしに、JESD22 Method JA-104に従う温度サイクルテストにかけられたとき、約1000よりも多い温度サイクルに、いくつかの実施形態では約2000よりも多い温度サイクルに、いくつかの実施形態では約3000よりも多い温度サイクルに耐えることができる。
【0055】
そのような熱応力によってバリスタの様々な性能特性が受ける影響を最小にすることができる。たとえば、バリスタは、少なくとも約1000サイクルの間、いくつかの実施形態では少なくとも約2000サイクルの間、いくつかの実施形態では少なくとも約3000サイクルの間、JESD22 Method JA-104に従う温度サイクルテストにかけられた後に、約5%よりも小さい、絶縁破壊電圧の変化を呈し得る。いくつかの実施形態では、バリスタは、少なくとも約1000サイクルの間、いくつかの実施形態では少なくとも約2000サイクルの間、いくつかの実施形態では少なくとも約3000サイクルの間、JESD22 Method JA-104に従う温度サイクルテストにかけられた後に、約2%よりも小さい、絶縁破壊電圧の変化を呈し得る。さらに他の実施形態では、バリスタは、少なくとも約1000サイクルの間、いくつかの実施形態では少なくとも約2000サイクルの間、いくつかの実施形態では少なくとも約3000サイクルの間、JESD22 Method JA-104に従う温度サイクルテストにかけられた後に、約1%よりも小さい、約0.90%よりも小さい、約0.70%よりも小さい、約0.50%よりも小さい、または約0.30%よりも小さい、絶縁破壊電圧の変化を呈し得る。
【0056】
次に、多層バリスタの例示的な実施形態を詳細に参照する。次に図面を参照すると、図1は、本開示の態様による多層バリスタ100の一実施形態の断面図を示す。バリスタ100は、第1の端部104と、長手方向108において第1の端部104から離間した第2の端部106とを有するモノリシック本体102を含み得る。モノリシック本体102は、第1の端部104からモノリシック本体102の第2の端部106に向かって延びる第1の複数の電極110を含み得る。第2の複数の電極112が第2の端部106からモノリシック本体102の第1の端部104に向かって延び得る。第2の複数の電極112は第1の複数の電極110と交互配置され得る。モノリシック本体102は、長手方向108において、第1の端部104と第2の端部106との間に本体長さ118を有し得る。
【0057】
バリスタ100は、第1の端部104に沿って配設され、第1の複数の電極110と接続された、第1の外部端子140を含み得る。バリスタ100は、第2の端部106に沿って配設され、第2の複数の電極112と接続された、第2の外部端子142を含み得る。第1の外部端子140は第1のコンプライアント層144を含み得る。第1のコンプライアント層144は第1の基層146の上に形成され得る。第1の外部端子140の第1の基層146は第1の複数の電極110と電気的に接続され得る。
【0058】
バリスタ100は、第2の端部106に沿って配設され、第2の複数の電極112と接続された、第2の外部端子142を含み得る。第2の外部端子142は第2のコンプライアント層145を含み得る。第2のコンプライアント層145は第2の基層147の上に形成され得る。第2の外部端子142の第2の基層147は第2の複数の電極112と電気的に接続され得る。
【0059】
コンプライアント層144、145は、たとえば、上記で説明したように、ポリマーと導電性粒子とを含み得る導電性ポリマー組成を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーはエポキシ樹脂であり得るか、またはエポキシ樹脂を含み得る。導電性粒子は、銀、金、銅など、金属であり得るか、またはそのような金属を含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、基層146、147は、厚膜層を形成するためにモノリシック本体102を浸漬することによって形成され得る。他の実施形態では、基層146、147は(たとえば、電解めっきまたは無電解めっきを使用して)めっきされ得る。
【0061】
1つまたは複数のめっきされた層148がコンプライアント層146、147の上に形成され得る。たとえば、第1の外部端子140のめっきされた層148は、コンプライアント層146、147の上に形成された第1のめっきされた層と、第1のめっきされた層の上に形成された第2のめっきされた層とを含み得る。第1のめっきされた層および(存在する場合)第2のめっきされた層は様々な好適な金属から形成され得る。たとえば、第1のめっきされた層はニッケルを含み得る。第2のめっきされた層はスズを含み得る。
【0062】
図2は、本開示の態様による、多層バリスタ200の別の実施形態の断面図を示す。多層バリスタ200は一般に図1の多層バリスタ100のように構成され得る。図2の参照番号は概して図1の参照番号と対応し得る。多層バリスタ200は、さらに、モノリシック本体202の第1の端部204にある第1の複数のアンカータブ254、および/またはモノリシック本体202の第2の端部206にある第2の複数のアンカータブ256を含み得る。
【0063】
アンカータブ254、256は、基層246、247のためのめっき(たとえば、無電解めっき)のための核形成ポイントとして働き得る。たとえば、アンカータブ254、256は安全で信頼できる外部めっきの形成を促進することができる。一般に内部電気接続を与えないアンカータブは、外部終端接続性の強化、機械的完全性の向上、およびめっき材料の堆積のために設けられ得る。
【0064】
図3は、本開示の態様による、多層バリスタ300の別の実施形態の断面図を示す。図3の参照番号は概して図1の参照番号と対応し得る。多層バリスタ300は、さらに、1つまたは複数の浮遊電極358を含み得る。たとえば、第1の複数の電極310は、一般に、第2の複数の電極312のそれぞれの電極312とZ方向360において整合させられ得る。浮遊電極358は、電極310、312のそれぞれの整合させられたペアと交互配置され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、バリスタには浮遊電極がないことがあることを理解されたい。
【0065】
図4は、バリスタを形成する方法400の簡略フローチャートである。本方法は、(402)において、それぞれ第1の複数の誘電体層上に第1の複数の電極を形成するステップと、第2の複数の誘電体層上に第2の複数の電極を形成するステップとを含み得る。方法400は、(404)において、第1の複数の電極がモノリシック本体の第1の端部から延びるように、また、第2の複数の電極がモノリシック本体の第2の端部から延びるように、モノリシック本体を形成するために、長手方向に垂直であるZ方向に第1の複数の誘電体層と第2の複数の誘電体層とを積層するステップを含み得る。方法400は、(406)において、たとえば、本明細書で説明するように、導電性ポリマー複合体を含む少なくとも1つの外部端子を形成するステップを含み得る。
【0066】
適用例
本明細書で開示するバリスタは多種多様なデバイスに適用され得る。たとえば、バリスタは無線周波数アンテナ/増幅回路において使用され得る。バリスタはまた、レーザドライバ、センサ、レーダー、無線周波数識別チップ、近距離通信、データライン、Bluetooth、オプティクス、イーサネット、および任意の好適な回路を含む様々な技術に適用され得る。
【0067】
本明細書で開示したバリスタは、特に自動車産業にも適用され得る。たとえば、バリスタは、自動車適用例における上記で説明した回路のいずれにおいても使用され得る。そのような適用例の場合、受動電気的構成要素は厳しい耐久性および/または性能要件を満たす必要があり得る。たとえば、AEC-Q200規格はいくつかの自動車適用例を規制している。本開示の態様によるバリスタは、たとえば、AEC-Q200-002パルステストを含む、1つまたは複数のAEC-Q200テストを満足することが可能であり得る。
【0068】
超低静電容量バリスタは特にデータ処理および送信技術に適用され得る。たとえば、本開示の態様は、約1pF未満の静電容量を呈するバリスタを対象とする。そのようなバリスタは、たとえば、高周波数データ送信回路における信号ひずみの最小化に寄与し得る。
【0069】
本開示は以下の例を参照すればより良く理解され得る。
【0070】
テスト方法
以下のセクションは、様々なバリスタ特性を決定するための、バリスタをテストするための例示的な方法を与える。
【0071】
過渡エネルギー能力
バリスタの過渡エネルギー能力は、Frothingham社のFEC CV300Bなど、波形発生器および/またはパルス発生器を使用して測定され得る。バリスタは10×1000μsの電流波を受けることがある。ピーク電流値は、バリスタが(たとえば、過熱によって)故障することなしに放散することが可能である最大エネルギーを決定するために経験的に選択され得る。例示的な電流波が図5に示されている。電流(垂直軸502)は時間(水平軸504)に対してプロットされている。電流は、ピーク電流値506まで増加し、次いで減衰する。(垂直点線505によって示された)「上昇」時間期間は、(t=0における)電流パルスの開始から、電流が(水平点線508によって示された)ピーク電流値506の90%に達するときまでである。(垂直点線510によって示された)「減衰時間(decay time)」は、(t=0における)電流パルスの開始から、電流が(水平点線512によって示された)ピーク電流値506の50%に戻るときまでである。10×1000μsパルスの場合、「上昇」時間は10μsであり、減衰時間は1000μsである。
【0072】
バリスタを通るパルスの間、電圧がバリスタにわたって測定され得る。図6は、バリスタを通る電流(水平軸602)に対するバリスタにわたる電圧(垂直軸604)の例示的なプロットを示す。
【0073】
バリスタ100の過渡エネルギー処理能力は、バリスタ100を通ったエネルギーの量を計算することによって決定され得る。より詳細には、過渡エネルギー定格は、パルスの間の時間に対して測定された電流と測定された電圧との積を積分することによって計算され得る。
E=∫IVdt
式中、Eは、バリスタによって放散される総エネルギーであり、Iは、バリスタを通る瞬時電流であり、Vはバリスタにわたる瞬時電圧であり、tは時間を表す。
【0074】
代替的に、Frothingham社のFEC CV300Bなど、波形発生器および/またはパルス発生器を使用して、2msの固定の持続時間の方形電流パルスをバリスタに印加することができる。バリスタを通る電流およびバリスタにわたる電圧は、上記で説明したように検出することができる。バリスタによって吸収される総エネルギー(ジュール)は、上記で説明したように、測定された電流および電圧に基づいて決定することができる。印加された方形電流パルスの電流振幅は、バリスタの活性体積に基づいて決定することができる。バリスタの活性体積は、活性電極の面積×活性電極の数×活性電極間の誘電体層の厚さとして定義することができる。
【0075】
バリスタの過渡エネルギー能力を決定する上記の方法のうちのいずれかによって、バリスタの単位活性体積当たりの過渡エネルギー能力は、バリスタの過渡エネルギー能力をバリスタの活性体積で除算することによって決定することができる。バリスタは、10×1000μsの電流波でテストされたとき、少なくとも約0.05J/mmの単位活性体積当たりの過渡エネルギー能力、いくつかの実施形態では少なくとも約0.1J/mmの単位活性体積当たりの過渡エネルギー能力、いくつかの実施形態では少なくとも約0.2J/mmの単位活性体積当たりの過渡エネルギー能力、いくつかの実施形態では少なくとも約1.0J/mmの単位活性体積当たりの過渡エネルギー能力を有し得る。
【0076】
さらに、バリスタの静電放電能力を決定するために、一連の反復的な静電放電衝撃が加えられ得る。たとえば、5,000回以上の8,000ボルトの静電放電衝撃がバリスタに印加され得る。バリスタの絶縁破壊電圧は、(以下で説明するように)この一連の衝撃の間に一定の間隔で測定され得る。静電放電衝撃後のバリスタの絶縁破壊電圧を測定し、衝撃の前の初期絶縁破壊電圧と比較することができる。
【0077】
絶縁破壊電圧
バリスタの絶縁破壊電圧は、Keithley 2400シリーズのソースメジャーユニット(SMU)、たとえば、Keithley 2410-C SMUを使用して測定され得る。定義によれば、絶縁破壊電圧はバリスタの低い現在の電圧である。一般に、絶縁破壊電圧は1ミリアンペア(mA)の電流で測定される。
【0078】
クランピング電圧
クランピング電圧は、遷移電圧、またはバリスタの導通の開始である。バリスタは、たとえばANSI Standard C62.1に従って、8/20μs電流波を受け得る。一般に、クランピング電圧は1アンペア(A)、5A、または10Aの電流で測定される。
【0079】
ピーク電流
ピーク電流は、8/20μsパルスで測定された、バリスタが耐えることができる最大電流である。例示的な電流パルスが図5に示されている。電流(垂直軸502)は時間(水平軸504)に対してプロットされている。電流は、ピーク電流値506まで増加し、次いで減衰し得る。(垂直点線505によって示された)「上昇」時間期間は、(t=0における)電流パルスの開始から、電流がピーク電流値506の(水平点線508によって示された)90%に達するときまでであり得る。「上昇」時間は8μsであり得る。(垂直点線510によって示された)「減衰時間」は、(t=0における)電流パルスの開始から、ピーク電流値506の(水平点線512によって示された)50%までであり得る。「減衰時間」は20μsであり得る。クランピング電圧は、電流波の間のバリスタにわたる最大電圧として測定される。
【0080】
図6を参照すると、バリスタにわたる単位面積当たりの電流(水平軸602)はバリスタを通る単位長さ当たりの電圧(垂直軸604)に対してプロットされている。事前絶縁破壊電圧範囲612にわたって、バリスタは、一般に、第1の応答曲線を呈し、絶縁破壊電圧範囲606よりも小さい非線形電圧範囲にわたって第2の応答曲線を呈し得、理想的バリスタは、一般に、以下の関係にほぼ従う電圧を呈し得る。
【0081】
【数3】
【0082】
式中、Vは電圧を表し、Iは電流を表し、Cは定数であり、αは非線形領域614において以下のように定義される。
【0083】
【数4】
【0084】
事前絶縁破壊電圧範囲612において、単位長さ当たりの電圧は、一般に、バリスタを通る単位面積当たりの電流に対して、非線形領域614においてよりも大きい割合で増加する。絶縁破壊電圧606よりも大きい上向きの電圧範囲616にわたって、バリスタは、一般に、単位長さ当たりの電圧が、一般に、バリスタを通る単位面積当たりの電流に対して、非線形領域614においてよりも大きい割合で増加する、第3の応答曲線を呈し得る。
【0085】
静電容量
バリスタの静電容量は、0.0ボルト、1.1ボルト、または2.1ボルトのDCバイアス(0.5ボルトの二乗平均正弦波信号)で、Keithley 3330 Precision LCZメーターを使用して測定され得る。動作周波数は1,000Hzである。温度は室温(約23℃)であり、相対湿度は25%である。
【0086】
ボードフレックステスト
本開示の態様によるバリスタの曲げコンプライアンスを決定するために、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストを行うことができる。図7は、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストを行うための試験アセンブリ700を示す。バリスタ702は、第1の支持体706と第2の支持体708との間で支持された部材704に取り付けることができる。バリスタ702は、バリスタ702の第1の端子710および第2の端子712において、部材704にはんだ付けするか、または別のやり方で固定することができる。器具714は、矢印716によって示されているように、部材704を下方に曲がらせるために、部材704に対して下方に押し付けることができる。器具714は、部材704の中心における部材704の最大偏位に達するまで、一定の割合(たとえば、1mm/秒)で下方に移動することができる。最大偏位は2mmから12mmに及び得る。支持体706、708は広がり距離(spanning distance)718だけ離間することができる。広がり距離718は90mmであり得る。
【0087】
温度サイクルテスト
本開示の態様によるバリスタの高温限界および低温限界に対する抵抗を決定するために、JESD22 Method JA-104に従う温度サイクルテストを行うことができる。バリスタはプリント回路板(PCB)にはんだ付けすることができ、バリスタおよびPCBは温度テストチャンバ中に配設される。各サイクルについて、温度テストチャンバ内の温度は、-55℃の低温限界から125℃の高温限界まで変動させることができ、温度は15分間低温限界に保持され、温度は15分間高温限界に保持され、一方の温度限界から他方の温度限界への遷移時間は1分未満である。サイクルは、少なくとも1000サイクル、少なくとも2000サイクル、少なくとも3000サイクルなどの間繰り返され得る。静電容量、クランピング電圧、絶縁破壊電圧、および漏れ電流など、バリスタの様々なパラメータを、たとえば、250サイクル、500サイクル、1000サイクル、2000サイクル、3000サイクルなどの温度サイクルテストの間に周期的に測定することができる。
【0088】
(実施例)
当技術分野で知られているように、電子デバイスのケースサイズは4桁のコード(たとえば、XXYY)として表され得、最初の2桁(XX)はミリメートル(または1000分の1インチ)でのデバイスの長さであり、最後の2桁(YY)はミリメートル(または1000分の1インチ)でのデバイスの幅である。たとえば、一般的なメートル法のケースサイズは、2012、1608、および0603を含み得る。
【0089】
ケースサイズ0603の5つのバリスタのグループ、ケースサイズ0805の5つのバリスタのグループ、ケースサイズ1206の5つのバリスタのグループ、およびケースサイズ1210の15個のバリスタのグループを作製し、ボードフレックステストおよび図7に関して上記で説明したように、AEC-Q200-005に従うボードフレックステストにかけた。広がり距離718は90mmであり、器具714は、最大偏位12mmに達するまで、1mm/秒の一定の割合で下方に移動した。
【0090】
以下の表1-4は、曲げの前および後のバリスタの各々についてのテストされた静電容量値を記載している。「静電容量偏差(%)」は、ボードフレックステストの前および後に検出された静電容量値間のパーセント偏差が、ケースサイズ0603バリスタの各々については1.5%未満、ケースサイズ0805バリスタの各々については2.5%未満、ケースサイズ1206バリスタの各々については1.1%未満、およびケースサイズ1210バリスタの各々については4%未満変動したことを示す。同様に、表は、ボードフレックステストの前および後に検出された絶縁破壊電圧(V)と、それらの間のパーセント偏差とを示す。以下に示すように、ボードフレックステストの前および後の絶縁破壊電圧は、ケースサイズ0603バリスタの各々については0.15%未満、ケースサイズ0805バリスタの各々については0.35%未満、ケースサイズ1206バリスタの各々については1%未満、およびケースサイズ1210バリスタの各々については0.70%未満変動した。最後に、ボードフレックステストの前および後の各バリスタについての、定格電圧(I)における漏れ電流が記載されている。以下に示すように、ボードフレックステストの前および後の各バリスタについての漏れ電流値は、ケースサイズ0603バリスタの各々については4.5%未満、ケースサイズ0805バリスタの各々については2%未満、ケースサイズ1206バリスタの各々については4.5%未満、およびケースサイズ1210バリスタの各々については4.5%未満偏移した。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
上記の表に示されているように、ボードフレックステストによって引き起こされる性能特性の変化が小さいことは、バリスタが曲げテストにより著しい影響を受けなかったこと、および使用中に著しい曲げに耐えることができることを示す。
【0096】
ケースサイズ0603の20個のバリスタのグループ、ケースサイズ0805の20個のバリスタのグループ、ケースサイズ1206の20個のバリスタのグループ、およびケースサイズ1210の20個のバリスタのグループを作製し、温度サイクルテストに関して上記で説明したように、JESD22 Method JA-104に従う温度サイクルテストにかけた。低温限界は-55℃であり、高温限界は125℃であった。各サイクルについて、PCBにはんだ付けされたそれぞれのバリスタがそれの中に配置された温度テストチャンバ内の温度は、低温限界と高温限界との間で遷移され、温度は15分間低温限界および高温限界の各々に保持され、低温限界と高温限界との間の遷移時間は1分未満であった。
【0097】
テストしたバリスタのいずれも、最高1000温度サイクル、最高2000温度サイクル、または最高3000温度サイクルの温度サイクルテスト中に電気的または光学的/観測可能な故障を経験しなかった。比較として、本明細書で説明する少なくとも1つの外部端子を有しない(たとえば、導電性ポリマー組成をもつ少なくとも1つの外部端子を有しない)バリスタの対照グループを、本明細書で説明する温度サイクルテストに従ってテストし、対照グループは、温度サイクルテスト中に故障を経験した。たとえば、それのいずれも、本明細書で説明するように形成された少なくとも1つの外部端子を有しない、ケースサイズ0603のバリスタの対照グループは、3000温度サイクルで5%の故障率を有した。それのいずれも、本明細書で説明するように形成された少なくとも1つの外部端子を有しない、ケースサイズ0805のバリスタの対照グループは、3000温度サイクルで15%の故障率を有した。それのいずれも、本明細書で説明するように形成された少なくとも1つの外部端子を有しない、ケースサイズ1206のバリスタの対照グループは、3000温度サイクルで5%の故障率を有した。それのいずれも、本明細書で説明するように形成された少なくとも1つの外部端子を有しないケースサイズ1210のバリスタの対照グループは、3000温度サイクルで10%の故障率を有した。
【0098】
以下の表5-8は、温度サイクルテストの前に検出された絶縁破壊電圧(V)(初期V)、1000サイクル後、2000サイクル後、および3000サイクル後に検出された絶縁破壊電圧(V)、ならびに初期絶縁破壊電圧とサイクル後測定値の各々との間のパーセント偏差を記載している。以下に示すように、1000サイクル前および後の絶縁破壊電圧は、ケースサイズ0603バリスタの各々については0.50%未満、ケースサイズ0805バリスタの各々については0.70%未満、ケースサイズ1206バリスタの各々については1.00%未満、およびケースサイズ1210バリスタの各々については0.50%未満変動した。2000サイクル前および後の絶縁破壊電圧は、ケースサイズ0603バリスタの各々については0.50%未満、ケースサイズ0805バリスタの各々については0.80%未満、ケースサイズ1206バリスタの各々については2.60%未満、およびケースサイズ1210バリスタの各々については0.90%未満変動した。さらに、3000サイクル前および後の絶縁破壊電圧は、ケースサイズ0603バリスタの各々については0.90%未満、ケースサイズ0805バリスタの各々については1.50%未満、ケースサイズ1206バリスタの各々については0.40%未満、およびケースサイズ1210バリスタの各々については0.50%未満変動した。
【0099】
【表5】
【0100】
【表6】
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】
上記の表に示されているように、温度サイクルテストによって引き起こされる絶縁破壊電圧の変化が小さいことは、バリスタが温度サイクルテストにより著しい影響を受けなかったこと、および使用中に著しい温度サイクリングに耐えることができることを示す。
【0104】
図8は例示的なバリスタのうちの1つの断面図800を示す。図9図8のエリア802の拡大図である。バリスタ800は、モノリシック本体808のそれぞれの端部に第1の外部端子804と第2の外部端子806とを含む。図9を参照すると、第1の外部端子804は、バリスタのセラミック本体808の上に形成され、セラミック本体808と直接接触している、銀基層810を含む。銀基層810は約60ミクロンの厚さを有する。第1の外部端子804は、銀基層810の上に形成され、銀基層810と直接接触している、銀エポキシのコンプライアント層812を含む。コンプライアント層812は、(最も薄いポイントにおける)約20ミクロンから(最も厚いポイントにおける)約90ミクロンに及ぶ厚さを有する。ニッケルのめっきされた層814がエポキシ銀層812の上に形成される。スズのめっきされた層816がニッケルのめっきされた層814の上に形成される。
【0105】
本発明のこれらおよび他の改変および変形は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者によって実施され得る。さらに、様々な実施形態の態様が全体的にも部分的にも交換され得ることを理解されたい。さらに、上記の説明は、例にすぎず、そのような添付の特許請求の範囲においてそのようにさらに記載される本発明を限定するものではないことを、当業者は諒解しよう。
【符号の説明】
【0106】
100 多層バリスタ
102 モノリシック本体
104 第1の端部
106 第2の端部
108 長手方向
110 第1の複数の電極
112 第2の複数の電極
118 本体長さ
140 第1の外部端子
142 第2の外部端子
144 第1のコンプライアント層
145 第2のコンプライアント層
146 第1の基層
147 第2の基層
148 めっきされた層
200 多層バリスタ
202 モノリシック本体
204 第1の端部
206 第2の端部
246、247 基層
254 第1の複数のアンカータブ
256 第2の複数のアンカータブ
300 多層バリスタ
310 第1の複数の電極
312 第2の複数の電極
358 浮遊電極
360 Z方向
502 垂直軸
504 水平軸
506 ピーク電流値
602 水平軸
604 垂直軸
700 試験アセンブリ
702 バリスタ
704 部材
706 第1の支持体
708 第2の支持体
710 第1の端子
712 第2の端子
718 広がり距離
800 バリスタ
804 第1の外部端子
806 第2の外部端子
808 モノリシック本体
810 銀基層
812 コンプライアント層
814 ニッケルのめっきされた層
816 スズのめっきされた層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】