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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】トルソ装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 23/04 20060101AFI20240208BHJP
   A47B 19/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A47B23/04 A
A47B19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547263
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 US2022014681
(87)【国際公開番号】W WO2022169736
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】17/169,385
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523293507
【氏名又は名称】ゼーノフ プロダクツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼーノフ,アンドルー
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053TC11
3B053TD04
(57)【要約】
トルソ装置は、本体を備え、該本体は、一体的なフロント部材とリア部材との間に設けられ、ユーザの胴体を配置するための中央開口部を有する。フロント部材は上面(テーブル面)を有し、フロント部材およびリア部材は、ユーザの胴体に接触するための表面領域を備える。フロント部材およびリア部材は、ユーザの胴体に対して圧縮力を付与するように構成されている。フロント部材およびリア部材の表面領域と圧縮力により、ユーザが中央開口部に位置した際に、ユーザに対してフロント部材が所望の位置、たとえば、ユーザが座った姿勢から立った姿勢に移動する場合、および/または、ユーザが歩いている場合において、ユーザの胴体に対して垂直となる位置、あるいは、ユーザが立っている床面に対して平行となる位置に保持され、これにより、所定の作業や活動に便利なテーブル面が容易に利用可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体を備え、該本体は、フロント部材と該フロント部材と一体で、かつ、該フロント部材に対向するリア部材との間に設けられた中央開口部を有するトルソ装置であって、
前記フロント部材は、弛緩状態で前記リア部材に向けて内側に付勢された閉鎖端を有し、前記中央開口部は、人間のユーザの胴体を配置でき、かつ、前記閉鎖端を、前記弛緩状態から該閉鎖端が前記リア部材から離れる起動状態とすることにより、前記ユーザの胴体を該中央開口部に進入させることが可能となるように構成されており、
該トルソ装置は、前記ユーザの胴体が前記中央開口部にある場合に、該ユーザの胴体に対して圧縮力を付与するように構成されており、
前記フロント部材および前記リア部材は、前記ユーザの胴体が前記中央開口部にある場合に、該ユーザの胴体のうちの隣接する部位と接触する表面領域を有するように構成されており、
前記表面領域の接触と前記圧縮力により、前記ユーザが着座位置から起立位置まで移動するとき、あるいは、前記ユーザが歩いているときに、該トルソ装置の位置が維持され、該トルソ装置の前記位置は、前記ユーザの手または腕による追加的な支持がなくても維持され、かつ、前記トルソ装置が前記位置にあるときに、前記フロント部材は、前記ユーザの胴体に対してほぼ垂直に、および/または、該ユーザが立っている、あるいは、歩いている床面に対してほぼ平行に延在する、
トルソ装置。
【請求項2】
前記リア部材は、該リア部材から所定の距離だけ上方に延在する延長要素を有しており、該延長要素は、前記胴体の背部と接触する表面領域を増加させ、前記中央開口部にある前記胴体に対する前記フロント部材の下方への動きを防止する、請求項1に記載のトルソ装置。
【請求項3】
前記フロント部材および前記リア部材は、第1の弾性材料および第2の弾性材料からそれぞれ構成され、前記第1の弾性材料は、前記第2の弾性材料よりも高い密度を有する、請求項1に記載のトルソ装置。
【請求項4】
前記フロント部材は、前記第1の弾性材料からなる主部と、前記第2の弾性材料からなる副部とを備える、請求項3に記載のトルソ装置。
【請求項5】
前記第1の弾性材料は、前記フロント部材の下面から上方に向かって延在し、該フロント部材の前記下面から上面までの厚さの大半を占めている、請求項4に記載のトルソ装置。
【請求項6】
前記本体は、前記リア部材の側部から外側に延在し、前記フロント部材には取り付けられていない、側部要素をさらに備え、該側部要素は、前記弛緩状態にある場合に、前記フロント部材の外側面に沿って伸長する、請求項1に記載のトルソ装置。
【請求項7】
上面、側部要素、および後縁を有するフロント部材と、
前記フロント部材と一体で、該フロント部材から前記側部要素に沿って延在し、前記フロント部材の前記後縁と対向するように伸長する前縁を有するリア部材と、
を備え、
中央開口部が、前記フロント部材の前記後縁、前記フロント部材の前記側部要素、および、前記リア部材の前縁の間に形成されており、
前記フロント部材の前記後縁および前記リア部材の前記前縁は、前記中央開口部に位置するユーザの胴体の隣接部位と接触するように構成された表面領域をそれぞれ有しており、
前記フロント部材は、前記リア部材から分離している端部を有し、該端部は、弛緩状態にあるときに前記リア部材に隣接する前記中央開口部内に位置し、
前記リア部材は、該リア部材から前記フロント部材の外面に沿って外側に伸長する側部要素を有しており、
前記ユーザの胴体が前記中央開口部に位置しているときに、前記フロント部材および前記リア部材の前記表面領域が前記胴体と接触し、かつ、該トルソ装置が、前記ユーザの胴体に圧縮力を付与して、前記フロント部材の前記上面が前記ユーザの胴体に対してほぼ垂直に保持され、あるいは、前記ユーザが立っているときに該ユーザが立っている床面に平行に保持されるように、前記ユーザ上にある該トルソ装置の位置を維持する、
トルソ装置。
【請求項8】
前記圧縮力は、0.2ft・lb(0.27N・m)以上である、請求項7に記載のトルソ装置。
【請求項9】
前記圧縮力は、0.4ft・lb(0.54N・m)以上である、請求項7に記載のトルソ装置。
【請求項10】
前記リア部材に接続され、該リア部材から所定の距離だけ上方に延在する延長要素をさらに備え、
前記延長要素は、前記ユーザの胴体の背部と接触する追加の表面領域を提供し、該トルソ装置の上下方向の剛性を増加させて、前記フロント部材の前記上面の前記ユーザの胴体に対する下方への動きを防止する、
請求項7に記載のトルソ装置。
【請求項11】
前記リア部材の下面から前記延長要素の上面までの高さは、前記フロント部材の前記上面と前記フロント部材の下面との間の厚さの少なくとも1.5倍である、請求項10に記載のトルソ装置。
【請求項12】
前記フロント部材は、第1の弾性材料および第2の弾性材料から構成され、前記第1の弾性材料は、前記第2の弾性材料よりも高い密度を有し、該フロント部材は、前記第1の弾性材料からなる主部を備える、請求項7に記載のトルソ装置。
【請求項13】
前記リア部材は、前記第1の弾性材料および第2の弾性材料を含む前記フロント部材と同一の構造を有する、請求項12に記載のトルソ装置。
【請求項14】
前記フロント部材は、前記第1の弾性材料を少なくとも60%含む、請求項12に記載のトルソ装置。
【請求項15】
前記フロント部材は、前縁から後縁に向かって変化する厚さを有する、請求項7に記載のトルソ装置。
【請求項16】
前記フロント部材は、前記上面から所定の距離だけ上方に向かって突出し、前記フロント部材の前縁または後縁の一方または両方に隣接して配置されるリップ要素を備える、請求項7に記載のトルソ装置。
【請求項17】
人間のユーザの胴体に装着されるように構成されたトルソ装置であって、
該トルソ装置は、本体を備え、該本体は、上面を有するフロント部材と、該フロント部材に対向するリア部材と、前記フロント部材と前記リア部材の両方と一体であり、前記フロント部材と前記リア部材との間に伸長する第1の側部要素と、および、前記リア部材から伸長し、かつ、前記第1の側部要素に対向する第2の側部要素とを備え、
前記フロント部材は、前記リア部材から分離していて、弛緩状態において、前記リア部材に隣接して配置される端部を有しており、
前記フロント部材および前記リア部材を起動状態として、前記フロント部材の前記端部を前記リア部材から離間させることによって、前記フロント部材と前記リア部材との間に、ユーザの胴体をその中に位置させることができる開口部が形成され、
前記フロント部材および前記リア部材は、前記開口部にある前記ユーザの胴体のうちの隣接部位と接触する表面領域を有しており、かつ、前記ユーザの胴体に圧縮力を付与し、
前記圧縮力は、0.2ft・lb(0.27N・m)以上であり、
前記圧縮力と前記表面領域とが協働して、前記フロント部材の前記上面が前記ユーザの胴体に対してほぼ垂直に保持される、あるいは、前記ユーザが立っている床面に平行に保持されるように、前記ユーザ上にある該トルソ装置の位置を維持する、
トルソ装置。
【請求項18】
前記弛緩位置において、前記第2の側部要素全体が、前記フロント部材の前記端部の外側面に沿って延在する、請求項17に記載のトルソ装置。
【請求項19】
前記リア部材は、該リア部材から所定の距離だけ上方に向かって延在する延長要素をさらに備え、該延長要素は、前記ユーザの胴体の背部と接触する前記表面領域を増加させ、該トルソ装置の垂直方向の剛性を高め、前記ユーザの胴体に対する前記フロント部材の上面の下方への動きを防止する、請求項18に記載のトルソ装置。
【請求項20】
前記フロント部材は、第1の弾性材料および第2の弾性材料から構成され、前記第1の弾性材料は、前記第2の弾性材料よりも高い密度を有し、前記フロント部材は、前記第1の弾性材料からなる主部を備える、請求項19に記載のトルソ装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本願は、2021年2月5日に同じ発明の名称を用いて出願された米国特許出願第17/169385号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容はすべて参照により本願に含められる。
【0002】
(著作権)
本明細書における開示の一部には、著作権保護の対象となる内容が含まれる。著作権所有者は、特許商標庁に特許出願あるいは登録された特許文書または特許開示の複製に対しては異議を唱えることはないが、それ以外の場合にはすべての著作権を留保する。
【0003】
(技術分野)
本明細書に開示される装置は、人間のユーザが使用するテーブル面あるいは水平面に関する。より具体的には、該装置は、ユーザにより装着され、テーブル面あるいは水平面の構造を備え、ユーザが座った状態、立った状態、あるいは、歩いている状態において、所定の活動を容易とするテーブル面を提供する。
【背景技術】
【0004】
テーブルあるいは水平支持部材または要素の使用は当該技術分野では公知であり、これらは、人間のユーザがテーブルを使用できるように位置することによって使用可能となる独立型の物品の形態で提供される。典型的には、テーブルあるいは水平支持部材は、ユーザがその近くで椅子などに座ることにより、その上面を所定の活動や作業を実行するために使用できるように構成されている。また、ユーザがその近くで立った姿勢を採ることにより、その上面を所定の活動や作業のために使用できるよう、高さのある独立した物品として構成されたスタンディングテーブルも公知である。
【0005】
このような公知のテーブルおよび水平支持部材または要素は、たとえば、ユーザが歩いている、あるいは、ある場所から別の場所に移動するといった移動時や、ユーザが立っている状態においても、テーブル、水平支持要素、あるいは水平面を利用できるといった、モバイル化した今日におけるニーズには、応えていない。シッティングテーブルあるいはスタンディングテーブルのいずれであっても、ユーザが近くまで移動する、あるいは、近くに位置することが必要な従来のテーブルはもはや使い勝手がよいとはいえない。ユーザが移動している、あるいは、立ち止まったり立ったままでいたりする場合であっても、テーブルがユーザとともに移動して、そのテーブル面や水平面を便利に利用できることが所望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ユーザが移動している場合、あるいは、ユーザがテーブル位置などの特定の場所に位置取ることをしない場合であっても、テーブル面や水平支持面がユーザの使い勝手がよい場所に常に位置することにより、所定の作業や活動を実行できるという、今日のユーザの高まるニーズに応える装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示されているトルソ装置は、本体を備え、該本体は、フロント部材とリア部材との間に設けられた中央開口部を有する。前記フロント部材および前記リア部材は、前記フロント部材の開放端に沿った一体の単一構造からなる。前記フロント部材は、閉鎖端を有する。前記フロント部材は後方縁を有し、前記リア部材は、前記フロント部材の前記後方縁に対向する前方縁を有する。前記フロント部材の前記後方縁および前記リア部材の前記前方縁は、ユーザの胴体が前記中央開口部に位置する場合に該ユーザの胴体のうちの隣接部位に接触するように構成された表面領域を、それぞれ有する。該装置が弛緩状態にある場合、すなわち、ユーザの胴体が前記中央開口部に位置していない場合、前記フロント部材の前記閉鎖端は、前記リア部材に向かって内側に付勢されて、前記フロント部材が前記リア部材に隣接していない場合でも、該リア部材に接触する。
【0008】
前記中央開口部は、人間の胴体を配置できるように構成されており、前記閉鎖端を前記リア部材から離して、前記弛緩状態から起動状態まで移動させることにより、前記中央開口部へのユーザの胴体の移動を可能とする開放通路が形成される。前記ユーザの胴体が前記中央開口部の内側に位置した状態では、前記フロント部材および前記リア部材の前記表面領域が前記ユーザの胴体のうちの隣接部位と接触し、かつ、該ユーザの胴体に圧縮力を付与する。前記表面領域の接触および前記圧縮力の組合せにより、前記ユーザが座った状態から立った状態に移動する、および/または、立った状態にある、および/または、歩いている状態にある場合でも、該ユーザの胴体に対して該トルソ装置が所望の位置に維持される。該所望の位置は、該ユーザの手および/または他の要素あるいは部材によって支持されることなく、前記フロント部材が、前記人間の胴体に対して実質的に垂直に、あるいは、該ユーザが立っている床面に実質的に平行に延在する状態である。
【0009】
一例では、前記所望の位置は、前記ユーザが座った姿勢から立った姿勢に移動する際、および、該ユーザが歩行している際に、前記表面領域の接触と前記圧縮力との組合せによって、保持される。
【0010】
一例では、前記圧縮力は、約0.2ft・lb(フィート重量ポンド=約0.27N・m)以上、好ましくは約0.4ft・lb(=約0.54N・m)以上である。
【0011】
一例では、前記ユーザに対する該トルソ装置の所望の位置は、該ユーザの腕あるいは手を使用することなく、かつ、他の固定要素あるいは固定手段を使用することなく、達成される。
【0012】
一例では、前記リア部材は、該リア部材から所定の距離だけ上方に伸長する延長要素を備える。該延長要素は、前記中央開口部の内側にいるユーザの胴体の背中部に対する追加の表面領域による接触を提供するように構成されており、かつ、該トルソ装置に上下方向の剛性を向上させて、前記中央開口部の内側にある前記ユーザの胴体に対する前記フロント部材の下方への動きを抑制する。
【0013】
一例では、前記延長要素により、前記リア部材の下面から前記延長要素の上面までの高さが、前記フロント部材の上面から該フロント部材の下面までの厚さの少なくとも1.5倍となる。
【0014】
一例では、前記フロント部材の厚さは、前縁から後縁に向かって変化することが可能である。
【0015】
一例では、前記フロント部材は、該フロント部材の上面から所定の距離だけ上方に突出し、かつ、前記前縁および前記後縁の一方あるいは両方に隣接するリップ要素を有する。
【0016】
一例では、前記フロント部材および前記リア部材は、第1の弾性材料および第2の弾性材料によりそれぞれ構成され、かつ、第1の弾性材料は、第2の弾性材料よりも大きな密度を有する。
【0017】
一例では、前記フロント部材は、主として第1の弾性材料を備え、副として第2の弾性材料を備える。
【0018】
一例では、前記第1の弾性材料は、前記フロント部材の下面から上方に向けて、該フロント部材の前記下面と上面との間の厚さ方向の大半にわたって延在する。
【0019】
一例では、前記リア部材は、前記フロント部材と同じ構成で、第1の弾性材料および第2の弾性材料を備える。
【0020】
本概要は、詳細な説明においてさらに記述される概念のうちの選択された概念を紹介するために提供される。本概要は、本開示の内容の主要なまたは本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、本開示の内容の範囲を制限するために使用されることを意図するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本開示のトルソ装置の1例の第1の側からの正面斜視図である。
図2図2は、図1に示したトルソ装置の第2の側からの正面斜視図である。
図3図3は、図1に示したトルソ装置の第1の側からの背面斜視図である。
図4図4は、図1に示したトルソ装置の第2の側からの背面斜視図である。
図5図5は、図1に示したトルソ装置の背面斜視図である。
図6図6は、スロープ状または傾斜した上面を備える、本開示のトルソ装置の1例の一部の断面図である。
図7図7は、上面縁リップを備える、本開示のトルソ装置の1例の一部の断面図である。
図8図8は、内面カバーを備える、図1に示したトルソ装置の第1の側からの正面斜視図である。
図9図9は、外面カバーを備える、図1に示したトルソ装置の第1の側からの正面斜視図である。
図10図10は、図9に示したトルソ装置の第2の側からの正面斜視図である。
図11図11は、図9に示したトルソ装置の第2の側からの正面斜視図である。
図12図12は、ショルダーストラップを備える、本開示のトルソ装置の1例の模式的な斜視図である。
図13図13は、ユーザが歩行位置にある場合における、該トルソ装置の使用を示す模式図である。
図14図14は、ユーザが起立位置にある場合における、該トルソ装置の使用を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示のトルソ装置について、添付の図面を参照して説明するが、同じ要素には同じ参照番号が付されている。
【0023】
本開示のトルソ装置は、概して、本体を備え、該本体は、フロント部材、リア部材、該リア部材の一方側から前記フロント部材に向けて横方向に伸長し、該フロント部材とは別体の第1側部要素、および、前記リア部材の他方側から横方向に伸長し、前記フロント部材と一体である第2側部要素を有する。すなわち、前記フロント部材および前記リア部材は、第2側部要素を介して一体の単一構造からなる。
【0024】
かかる構成により、中央開口部が、前記フロント部材および前記リア部材との間に形成され、該中央開口部は、人間のユーザの胴体またはウエストの周りにフィットするサイズを有する。このため、前記胴体に対して所望の圧縮力あるいは圧迫力が付与され、該トルソ装置を身に付けた際に、該トルソ装置をその水平位置、たとえば、床面と平行に、および/または、該ユーザの胴体に対して垂直に、維持することが可能となる。
【0025】
該トルソ装置は、第1側部要素と前記フロント部材のうちの隣接部分を接続する、固定用または調整用のストラップを備えることができ、これにより前記ユーザは、その胴体またはウエストの周りに、該トルソ装置をよりぴったりとフィットさせることが可能となる。
【0026】
前記フロント部材は、前記ユーザの胴体の前部および側部と接触する表面領域を提供するのに十分な厚さを有する後縁を備え、これにより、該ユーザが身に付けている状態で、該フロント部材が下方に移動することが防止される。
【0027】
前記リア部材は、該リア部材から所定の距離だけ上方に伸長し、前記ユーザの胴体の背部と接触するための所定の追加的な表面領域を提供する延長要素を有しており、これにより、前記フロント部材の上面が所望の水平位置に維持され、かつ、該ユーザが身に付けている状態で、該トルソ装置が不用意に下方に移動することが防止される。
【0028】
一例では、前記フロント部材は、前記ユーザが座っている、歩いている、あるいは、立っている状態において、該ユーザの前側で容易に利用できる所定の上面を有する大きさとなっており、これにより、該ユーザは、水平面が存在することにより可能となる所定の作業あるいは活動、たとえば、ラップトップあるいはタブレットを用いて作業する、ゲームをする、釣りをする、書く、裁縫をする、食事する、読書するなどの行為を、自分の位置を変更する、たとえば、独立したテーブルの上面やその他の独立した水平面のあるところまで、立ってから歩くなどして移動することなく、実行することが可能となる。
【0029】
図1は、本開示の一例のトルソ装置10を示す。トルソ装置10は本体11を備え、本体11はフロント部材12を有する。フロント部材12は、上下方向に配され、かつ、フロント部材12の前側に沿って横方向に伸長する前縁14を有する。一例では、前縁14は、前縁14の中間点16から両側に向けて横方向あるいは水平方向に伸長し、かつ、フロント部材12の後方に湾曲する、湾曲面を有する。一例では、前縁14は、第1の側18に向けて、中間点16から後方にリア部材20まで伸長して、リア部材20と一体となっている。一例では、前縁14は、該装置の逆側である第2の側22に向けて、中間点16から後方に端部(閉鎖端)24まで伸長する。端部24は、リア部材20とは分離して接続されていない。
【0030】
フロント部材の前縁14は、外側に向かって凸状に湾曲する形状を有する。図示の例では、前縁14は湾曲形状を有するが、前縁14は異なる形状を有することができ、異なる形状を有する場合も、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0031】
フロント部材12は、上下方向に配され、かつ、前縁14とは反対側のフロント部材12の後側に沿って、前縁14の端部24から開放端28まで、横方向または水平方向に伸長する後縁26を有する。開放端28は、リア部材20と一体であり、フロント部材12とリア部材20との一体的な接続を構成する。一例では、後縁26は、内側向けて凹状に湾曲する形状を有する。これにより、後縁26は、人間の胴体あるいはウエストの前部に対してフィットする。
【0032】
フロント部材12は、上面(テーブル面)30およびその反対側に下面32を有する。上面30および下面32は、フロント部材12の前縁14および後縁26の頂部および底部のそれぞれに沿って概ね水平方向に互いに平行に伸長する。
【0033】
フロント部材12は、ユーザの胴体の前部および側部と接触するように配置された際に、トルソ装置、たとえばフロント部材12の不用意な下方への移動を防止できる程度の所定の表面領域を提供できる、上面30と下面32との間の厚さを有する。これにより、ユーザが立っている、あるいは、歩いている場合でも、上面がユーザの胴体に対して垂直に維持される(および/または、ユーザが立っている、あるいは歩いている床面に平行に維持される)ように、ユーザに装着されている装置が所望の位置に保持される。
【0034】
また、フロント部材12は、ユーザが特定の作業や活動、たとえば、ラップトップを用いて作業する、読書する、テーブル面で作業する、食事するなどの行為を実行することができる程度の所望の剛性を提供できる厚さを有する。さらに、後述するように、フロント部材12が所定の厚さを有することにより、一体であるリア部材20との協働、および、フロント部材12およびリア部材20の形状や素材との協働によって、トルソ装置を装着するユーザの胴体に対して所望の圧迫力あるいは圧縮力を付与することが可能となる。このような圧迫力あるいは圧縮力とフロント部材12の表面領域およびユーザの胴体との接触領域との組合せによって、フロント部材12がユーザの胴体に対して垂直になる、および/または、ユーザが立ったり歩いたりする床面に平行になるように、フロント部材12が所望の位置に維持される。
【0035】
一例では、フロント部材12の厚さは、約5.08cm(約2インチ)以上であり、約7.62cm~約20.32cm(約3インチ~約8インチ)であることが好ましく、約10.16cm~約15.24cm(約4インチ~約6インチ)であることがより好ましい。好ましい実施形態では、約12.7cm(約5インチ)である。フロント部材12の厚さの実測値は、フロント部材12の材料の種類や剛性、および/または、ユーザが実行する特定の作業や活動に応じて、例示した寸法から変動することがあるが、かかる厚さの変動が生ずる場合も、本開示の範囲に含まれる。
【0036】
フロント部材12が概ね一定の厚さを有する例について説明したが、フロント部材12は、ユーザの特定の作業または活動の内容に応じて、あるいは、その実行を容易化するために必要とされる、所定の特徴および/または機能を提供するために、一定でない厚さを有するなどの異なる構成を採ることもできる。
【0037】
図6は、トルソ装置10のフロント部材12の一例についての中間点16(図1参照)に沿った断面図を示す。本例では、フロント部材12は、前縁14から後縁26に向かって傾斜するように、上面30と下面32との間の厚さが異なるまたは変化するように構成されている。このような厚さの変化は、中間点16の片側または両側の所定の距離にあるフロント部材の一部のみに沿って延在してもよいし、あるいは、フロント部材12の全体に沿って延在してもよい。
【0038】
一例では、傾斜または厚さの変化量は、約0.635cm(1/4インチ)以上であり、好ましくは約1.27cm~約12.7cm(約1/2インチ~約5インチ)であり、より好ましくは約1.778cm~約10.16cm(約3/4インチ~約4インチ)である。好ましい実施例では、約2.54cm~約5.08cm(約1インチ~約2インチ)である。
【0039】
かかる例では、フロント部材12の上面が内側に傾斜しているため、上面30上に配置された物品または物体が、前縁14から転がり落ちるなどして、トルソ装置から容易に脱落することなく、後縁26およびユーザに向かって内側に確実に移動させることができる点で有利である。
【0040】
かかる実施形態では、後縁26では、ユーザに対するフロント部材12の位置を保持できるだけの所定の表面領域が維持される。また、フロント部材の上下方向の厚さが一定でない態様を図示したが、その厚さが段階的にあるいは傾斜面を有しない状態で変化する態様についても、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0041】
後述するように、トルソ装置のフロント部材12は、単一の材料層により構成されることもできるが、2つ以上の材料層により構成することもできる。図6は、フロント部材12が2つの材料層、具体的には、上部材料層34と下部材料層36から構成されている一例を示す。この例では、フロント部材12の傾斜する特徴は、傾斜する上面30および水平な下面38を有する上部材料層34により達成されている。上部材料層34の下面38は、均一な厚さを有する下部材料層36のうちの下面38と対向する水平な上面40と接合している。
【0042】
フロント部材12の厚さが一定ではないトルソ装置の特定の実施例について説明および図示したが、これは参考例として提供された構成の一例にすぎず、本開示のトルソ装置に他の構成を適用することもできる。たとえば、フロント部材12の中間点16に沿って測定した場合に、後縁26から前縁14に向かって、すなわち、図6に図示した場合と逆の方向に、その厚さが減少するように傾斜した構成も、特定の作業および/または活動に好適とされる場合がある。したがって、フロント部材12の厚さが一定でないトルソ装置のすべての構成は、本開示の範囲に含まれる。
【0043】
別の例では、トルソ装置10は、傾斜形状ではなく、厚さが一定ではないフロント部材12の上面を有する構成が適用される。図7は、中間点16(図1参照)に沿って切り取られた、トルソ装置10のフロント部材12の一例の断面図を示す。この例では、フロント部材12は、リップ要素42を備える。リップ要素42は、上面30から所定の距離だけ外側に突出し、前縁14から、あるいは、前縁14に隣接する部分から、所定の距離だけ後縁26に向かって伸長する。
【0044】
リップ要素42は、中間点16の片側または両側から所定の距離だけ伸長するようにフロント部材12の一部のみに沿って伸長してもよいし、あるいは、フロント部材12の全体に沿って伸長してもよい。リップ要素42は、ユーザの特定の作業および/または活動の内容に応じて、たとえば、丸い上部、平坦な上部、または尖った上部などの異なる構成を採ることができる。
【0045】
一例では、リップ要素42は、上面30からの高さは、約0.635cm(約1/4インチ)以上であり、好ましくは約2.54cm~約12.7cm(約1インチ~5インチ)、より好ましくは約1.905cm~約10.16cm(約3/4インチ~約4インチ)である。好ましい実施例では、約2.54cm~約5.08cm(約1インチ~約2インチ)である。
【0046】
かかる例では、フロント部材12の上面30にリップ要素42が備えられているため、上面30上に配置された物品または物体が使用中にトルソ装置から容易に脱落することなく、リップ要素42と後縁26と接触するユーザの胴体との間において上面30上に確実に位置させることができる点で有利である。後述するように、トルソ装置のフロント部材12は、単一の材料層により構成されることもできるし、あるいは、2つ以上の材料層から構成されることもできる。
【0047】
図6に示した構造と同様に、図7は、フロント部材12が2つの材料層、具体的には、上部材料層34および下部材料層36から構成されている例を示している。この例では、リップ要素42は、かかるリップ要素42、上面30、および、水平な下面38を有する上部材料層34により達成されている。上部材料層34の下面38は、一定の厚さを有する下層36のうちの下面38に対向する平坦で水平な上面40に接合されている。
【0048】
リップ要素42を有するトルソ装置の特定の実施例について説明および図示したが、あくまでも参考例として提供された一例であって、本開示のトルソ装置に他の構成を適用することも可能である。たとえば、ユーザの特定の作業および/または活動により適合するように、後縁26から、あるいは、後縁26に隣接する部分から、上方に伸長するように配置され、かつ、フロント部材12の上面30からユーザのウエストの前部に向かって徐々に上向きに移行するリップ要素をトルソ装置に設けることにより、フロント部材12の後縁26とユーザの胴体との間で接触する表面領域を増大させて、ユーザに対するトルソ装置の位置をより良好に保持できるようにすることもできる。
【0049】
代替的に、フロント部材12の前縁14および後縁26のそれぞれに、あるいは、それぞれに隣接する部分に、複数のリップ要素を設けることも可能である。代替的な構成の本開示のトルソ装置に係るいくつかの例では、1以上のリップ要素が備えられる。したがって、フロント部材12から伸長する1以上のリップ要素を有するトルソ装置の構成はいずれも本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0050】
さらに、図示しないが、本開示のトルソ装置は、たとえば図6に示した勾配や厚さなどが一定でないフロント部材と、たとえば図7に示したフロント部材のリップ要素との両方の組合せを含むように構成されることもできる。したがって、そのような特徴のすべての組合せも、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0051】
図1に示すように、フロント部材12は、前縁14と後縁26との間に水平方向の幅を有しており、該幅は測定位置によって変化する。図示したように、フロント部材12の幅は、端部24の最小値から増大して中間点16で最大値に達し、中間点16から、リア部材20と一体である開放端28に向かって幅が減少する。
【0052】
一例では、中間点16におけるフロント部材12の幅は、約7.62cm(約3インチ)以上であり、好ましくは約10.16cm~約40.64cm(約4インチ~約16インチ)であり、より好ましくは約15.24cm~約30.48cm(約6インチ~約12インチ)である。好ましい実施形態では、約22.86cm(約9インチ)である。
【0053】
中間点16におけるフロント部材12の幅の実測値は、ユーザの特定の作業および/または活動の内容に応じて、例示した寸法とは異なる場合があり、このような寸法の変動についても、本開示の範囲に含まれる。また、フロント部材12の幅は、ユーザの胴体に対するトルソ装置の位置を保持するために、使用中においてユーザの胴体に加えられる所定の圧迫量または圧縮量に応じても変化する。
【0054】
フロント部材12は、上面30に沿って中間点16に対して垂直方向に測定した場合に得られる、水平方向における最大長さを有する。フロント部材の長さと幅は協働して、ユーザの胴体に対する所望の圧迫力または圧縮力を提供し、これにより、ユーザに対するトルソ装置の位置を適切に保持し、上面30上におけるユーザの作業および/または活動の実行が可能となる。
【0055】
一例では、前縁14と後縁26との間におけるフロント部材12の最大長さは、約35.56cm(14インチ)以上であり、好ましくは約40.64cm~約66.04cm(約16インチ~約26インチ)であり、より好ましくは約45.72cm~約60.96cm(約18インチ~約24インチ)である。好ましい実施形態では、最大長さは、約50.8cm(約20インチ)である。
【0056】
上述したフロント部材12の長さ寸法は、参照のためであって、本開示のトルソ装置は、ユーザの胴体に加えられる内側への所定の圧迫量または圧縮量、および/または、ユーザの特定の作業および/または活動の内容に応じて、異なるサイズを採ることができる。このような異なるサイズのトルソ装置も、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0057】
一例では、トルソ装置10のフロント部材12の上面30は、上面の一部として形成されて一体化された1つ以上の任意の表面上の特徴を備えることができる。このような表面上の特徴は、トルソ装置の使用時にユーザが特定の作業および/または活動を容易に実行できるようにするために、その形状およびサイズ、および/または、その配置が選定される。たとえば、かかる表面上の特徴は、ラップトップやタブレットを保持または支持するのを補助するよう構成された、1つ以上の突部の形態を採る。あるいは、上面30は、特定のユーザ装置または要素の使用を容易にするよう機能する、別個の要素との接触、接続、または取り付けに対応するよう構成されることもできる。
【0058】
したがって、形状、サイズ、および/または配置にかかわらず、フロント部材12の上面30に備えられた表面上の特徴または他の要素はすべて、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0059】
トルソ装置10のリア部材20は、フロント部材12の開放端28と一体的に接続している部分から横方向または水平方向に伸長して、フロント部材12と一体的な構造を備え、フロント部材12の後縁26に対向するように伸長して、ユーザ開口部(開口キャビティ)46を形成する。
【0060】
ユーザ開口部(中央開口部)46は、フロント部材12の後縁26、フロント部材12の開放端28、およびリア部材20の垂直方向に配置された前縁48の間に形成または画定される。ユーザ開口部46は、フロント部材12の端部24とリア部材20との間に形成された開口通路を介してアクセスされる。
【0061】
一例では、リア部材20の前縁48は、ユーザの胴体またはウエストが開口部46の位置にある場合に、ユーザの胴体の背部に実質的に幅方向にわたって接触できるように、平坦または平面状に構成されている。
【0062】
一例では、リア部材20の前縁48の平面部に沿って測定した場合の水平方向の長さは、ユーザ開口部46に沿って、約25.4cm(約10インチ)以上であり、好ましくは約30.48cm~約45.72cm(約12インチ~約18インチ)であり、より好ましくは約33.02cm~約40.64cm(約13インチ~約16インチ)である。好ましい実施形態では、水平方向の長さは、約35.56cm(約14インチ)である。
【0063】
リア部材20の前縁48の水平方向の長さの実測値は、ユーザとの所望の接触領域に応じて、例示した寸法とは異なる場合があり、そのような寸法の変動についても、本開示の範囲にある。
【0064】
図2および図3は、トルソ装置10と、フロント部材12の前縁14の端部24と、リア部材20に対するフロント部材12の端部24の配置関係を例示する。図示のように、リア部材20は、フロント部材12の開放端28とは反対側にあるリア部材20の一端に位置する側部要素50を備える。側部要素50は、リア部材20の前縁48と一体であり、リア部材20の前縁48から端部52まで所定の距離だけ横方向または水平方向に伸長する。
【0065】
リア部材20の側部要素50は、フロント部材12の端部24の外面に隣接し、側部要素50に隣接および対向するが、側部要素50とは結合していないフロント部材12の前縁14に向かって内側に湾曲する湾曲形状を有する。一例では、側部要素50の上面53と下面54の間の厚さが、フロント部材12の前縁14の隣接および対向する部分の厚さとほぼ同じであり、これにより、ユーザが装置を装着している際に、側部要素50とフロント部材12の前縁14との間の連続性が提供される。
【0066】
本開示のトルソ装置の特徴は、開放端28を介したフロント部材12およびリア部材20の一体的な構造と、ユーザの胴体が開口部46に配置されると所望の圧迫力または圧縮力を付与する開口部46を形成する、フロント部材12およびリア部材20の対向する表面の構成と、ユーザの胴体に接触する所望の量の表面領域を提供することであり、これらが協働して、たとえば、ユーザが座った状態から立ち上がったり、歩いたり、立った状態になるなど、ユーザが動いている場合でも、フロント部材12がユーザの胴体に対して実質的に垂直方向に維持され、もってトルソ装置が所望の位置に維持される。このため、ユーザの手または他の要素または部材による追加的な支持を必要とすることなく、ユーザに対するトルソ装置の所望の位置を維持することが可能となっている。
【0067】
一例では、ユーザの胴体が開口部46に配置されている場合に、開口部46の内側にあるユーザの胴体の約75%以上、好ましくは約85%以上と接触し、ユーザの胴体と接触する表面領域と、ユーザの胴体に対する圧迫力または圧縮力とによって、トルソ装置を所望の位置に維持することが可能となっている。
【0068】
図1および図2に示すように、弛緩状態にある場合、トルソ装置10のフロント部材12の端部24は、後縁26に向かって内側に偏っているため、リア部材20の前縁48に対して接触するか、リア部材20の前縁48から約1.27cm~約2.54cm(約0.5インチ~約1インチ)程度の小さな距離だけ間隔を開けて、リア部材20の側部要素50の内側に配置される。このため、弛緩状態にある場合には、側部要素50は、端部24から離れて、フロント部材12の前面に沿って伸長する。
【0069】
フロント部材12の端部24がリア部材20に向けて内側に偏っている状態とともに、フロント部材12の端部24がリア部材20の側部要素50の内側に配置されていること、および、フロント部材12の後縁26の湾曲表面がリア部材20の前縁48に対向していることにより、開口部46の内側にユーザが位置すると、該ユーザの胴体に適切な圧迫力または圧縮力がかかるとともに、ユーザの胴体とトルソ装置との間に適切な表面領域の接触が達成される。このため、ユーザが歩いたり立ったりといった動作を行っている間においても、トルソ装置の位置がユーザの胴体上で、フロント部材12が胴体に対して垂直となる状態、および/または、ユーザが立ったり歩いたりしている床面と平行となるように、適切に維持される。
【0070】
本開示のトルソ装置の特徴は、ユーザがその腕や手をトルソ装置の位置を維持したり調整したりするために使用することなく、トルソ装置のユーザに対する適切な位置が保持されることにある。
【0071】
一例では、トルソ装置は、フロント部材12の端部24とリア部材20とが弛緩状態から互いに離れるように移動する際の力を決定するために測定可能に構成される。測定は、フロント部材12の位置を固定位置に維持し、リア部材20を弛緩状態よりフロント部材12から離れるように移動させることにより実行される。引張力ゲージはリア部材20のうちの側部要素50がリア部材20の前縁48から伸長する部分に取り付けられる。リア部材20が弛緩状態から移動するにしたがって、引張力ゲージにより力が測定される。
【0072】
リア部材20がフロント部材12から離れるように引っ張られると、以下のような力が、リア部材20の固定されたフロント部材12に対する角度(すなわち固定されたフロント部材12の長さに沿った軸に対する角度)の関数として測定される。たとえば、角度が約1度~約4度では、約0.2ft・lb(foot-pound;フィート重量ポンド、約0.27N・m)であり、約10度~約15度では、約0.3ft・lb(約0.41N・m)であり、約20度~約30度では、約0.4ft・lb(約0.54N・m)であり、約40度~約50度では、約0.5ft・lb(約0.68N・m)であり、約51度~約60度では、約0.6ft・lb(約0.81N・m)であり、約62度~約74度では、約0.7ft・lb(約0.95N・m)であり、約75度~約80度では、約0.8ft・lb(約1.08N・m)であり、約81度~約84度では、0.9ft・lb(約1.22N・m)であり、約85度~約87度では、1.0ft・lb(約1.36N・m)であり、約88度~約90度では、1.1ft・lb(約1.49N・m)である。
【0073】
この力の測定情報に基づけば、フロント部材12の端部24を弛緩状態から約5.08cm~約10.16cm(約2インチ~約4インチ)の距離だけリア部材20の前縁48から移動させるために必要とされる力の閾値は、少なくとも0.2ft・lb(約0.27N・m)である。この距離では、ユーザは開口部46にアクセスすることはできない。端部24を弛緩状態から約30.48cm(約12インチ)の距離だけ前縁48から移動させるのに必要な力の閾値は、少なくとも0.4ft・lb(約0.54N・m)である。この距離は、ユーザを開口部46にアクセスさせるには十分な距離である。
【0074】
この測定情報に基づけば、トルソ装置は、開口部46に位置する使用者の胴体に対して、少なくとも0.2ft・lb(約0.27N・m)、好ましくは約0.3ft・lb~約0.8ft・lb(約0.41N・m~約1.08N・m)、より好ましくは約0.4ft・lb~約0.7ft・lb(約0.54N・m~約0.95N・m)の圧縮力を付与することができる。
【0075】
本例のトルソ装置は、好適な測定と好適な弾性材料の使用を前提とすると、上記のような力の測定値を得ることができるが、トルソ装置のサイズの相違や、弾性材料の種類の相違に起因して、異なる力の測定値が得られる場合もある。異なる力の測定値やこれに基づく異なる圧縮力についても、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0076】
図3および図5は、延長要素56を備えたトルソ装置10の一例およびリア部材20を示す。延長要素56は、図1および図2に図示したリア部材の前縁48の平面部に沿って、横方向または水平方向に伸長する。その伸長長さは、約25.4cm(約10インチ)以上、好ましくは約30.48cm~約45.72cm(約12インチ~約18インチ)、より好ましくは約33.02cm~約40.64cm(約13インチ~約16インチ)である。好ましい実施形態では、その伸長長さは、約35.56cm(約14インチ)である。延長要素56は、リア部材20の前縁48から上方に向かって、所定の距離だけ延在する。
【0077】
リア部材20の前縁48と協働して、延長要素56は、ユーザの胴体の背部に接触して、適切な程度の表面領域を提供し、たとえばユーザが座った状態から立ち上がったり、歩いたり、あるいは立っている状態でいるなど、ユーザが動いている場合に、ユーザに対するトルソ装置の位置を維持することを可能にする。
【0078】
さらに、延長要素56およびその存在に基づくユーザの胴体の上方への接触領域の増加により、フロント部材12が下方に垂れてしまうことが防止され、さらに、ユーザの胴体に対するフロント部材12の適切な垂直方向への配置が維持される。
【0079】
一例では、延長要素56は、垂直方向に配向され、リア部材20の前縁48と同様の拡がりを有する前縁58(図1および図2を参照)を有し、リア部材20に沿った均一の垂直面を構成する。これにより、リア部材20と延長要素56は、上述したような機能を発揮する。代替的な実施形態として、延長要素56は、その前縁58を、リア部材20の前縁48のその他の部分に対して内側あるいは外側に位置させるようにして、提供される機能の程度を調整することを可能に構成することもできる。
【0080】
一例では、延長要素56を含むリア部材20の全体の垂直方向の高さ(リア部材20の下面60と延長要素56の上面62の間の距離)は、約15.24cm(約6インチ)以上であり、好ましくは約17.78cm~約35.56cm(約7インチ~約14インチ)であり、より好ましくは約20.32cm~約33.02cm(約8インチ~約13インチ)である。好ましい実施形態では、この高さは約22.86cm(約9インチ)である。
【0081】
この高さの実測値は、フロント部材12および/またはリア部材20の厚さに応じて、および/または、トルソ装置に適用される材料に応じて、例示した寸法と異なる場合がある。このような寸法の変動についても本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。たとえば、特定の実施形態では、上述のように測定されるリア部材20および延長要素56の合計高さは、フロント部材12の厚さの少なくとも1.5倍であり、好ましくは少なくとも2倍である。他の特定の実施形態では、リア部材20および延長要素56の合計高さは、上記のような改善された機能を十分に発揮するためには、約30.48cm(約12インチ)以上である。
【0082】
図3および図4に示すように、一例では、延長要素56の前縁58と垂直方向に配された後縁64と間の幅は、リア部材20の幅(リア部材20の前縁48と後縁66との間で測定される幅)と同様である。一例では、リア部材20の側部要素50は、リア部材20と同じ幅を有する。一例では、延長要素56の幅は、少なくとも約1.27cm(約1/2インチ)であり、好ましくは、約1.95cm~約10.16cm(約3/4インチ~約4インチい)であり、より好ましくは約2.54cm~約7.62cm(約1インチ~約3インチ)である。好ましい実施形態では、この幅は、約5.08cm(約2インチである)。
【0083】
この幅の測定値は、他の要素または特徴の寸法および形状、および/または、特定の構造の材料などの要因に応じて、例示した寸法とは異なる場合があり、そのような寸法の変動についても、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0084】
本開示のトルソ装置は、表面領域、摩擦面、剛性、圧縮力、および/または、ユーザが装着したときの快適さの好適なバランスをもたらす、および/または、ユーザの作業および/または活動の実行に公的な機能性を提供することを可能とするために、異なる材料により構成されることができる。一例では、トルソ装置は、フォームやスポンジなどの弾性変形可能な弾性材料により形成されることが好ましい。このような弾性材料は、圧縮力により変形してユーザの胴体に対する比較的高い摩擦面を構成することができ、表面領域および圧縮力という特徴に加えて、使用時にトルソ装置を好適な位置に保持することを促進することを可能とする。
【0085】
一例では、トルソ装置は、摩擦面と剛性と使用時のユーザに対する快適さに関するバランスに優れたフォーム材料により構成される。フォーム材料の種類や密度は、トルソ装置の特定の構造に応じて変更可能である。たとえば、トルソ装置が単一のフォーム材料により構成される場合、フォーム材料は、摩擦面および剛性のレベルとの間の調和を図るとともに、ユーザに快適さを付与するといった観点から選定される必要がある。単一のフォーム材料を適用する場合、好適なフォーム材料としては、硬さレートが30/36ILDであり、密度レートが2.0(約32.0kg/m)であるフォーム材料が挙げられる。
【0086】
ただし、このような単一のフォーム材料による構成として、独立気泡フォームなどの他のフォーム材料を適用することも可能である。本開示のトルソ装置は、特定の種類の弾性材料により構成することが可能であるが、その構造の一部または全部に空気が充填された膨張可能な構造を採用し、上述したような表面領域、圧迫力あるいは圧縮力、および剛性による機能を提供できるように構成することも可能である。
【0087】
一例では、トルソ装置は、2以上の異なるフォーム材料により構成されることもできる。図5に示すトルソ装置10は、少なくとも2つの異なるフォーム材料を用いて形成されている。トルソ装置10は、フロント部材12およびリア部材20の下面から延在する第1のフォーム材料70と、第1のフォーム材料70からフロント部材12の上面30まで延在する第2のフォーム材料72とを備える。
【0088】
一例では、第1のフォーム材料70は、第2のフォーム材料72とは異なる密度を有する。好ましい実施形態では、第1のフォーム材料70は、第2のフォーム材料72よりも大きな密度を有し、不撓性、剛性、および摩擦面の好ましい増強が図られる。上面30を構成する第2のフォーム材料72は、ユーザの特定の作業および/または活動を可能とする、好ましいレベルの柔らかさや快適さを提供することを可能とする。
【0089】
第1のフォーム材料70を構成するのに好適なフォーム材料は、約30~約100のショアA硬さ、および、約10kg/m~約30kg/mの密度を有する。好適な例としては、第1のフォーム材料70は、約80のショアA硬さと、約20kg/mの密度を有する。第2のフォーム材料72を構成するのに好適なフォーム材料は、約15~約50のショアA硬さ、および、約5kg/m~約25kg/mの密度を有する。好適な例としては、第2のフォーム材料72は、約35のショアA硬さと、約18kg/mの密度を有する。
【0090】
一例では、第1のフォーム材料70は、延長要素を含まないフロント部材およびリア部材の厚さの50%以上を構成し、第2のフォーム材料72は、延長要素を含まない厚さの50%以下を構成する。一例では、第1のフォーム材料は、厚さ全体の約55%~95%、および、厚さ全体の約65%~90%であることが好ましい。好ましい実施形態では、厚さ全体の約80%を形成し、第2フォーム材料が、延長要素を含まない残りの厚さを形成する。一般に、トルソ装置は、摩擦面も提供すると同時に、より高い硬さと剛性を提供するために、より高密度のフォーム材料をより多く含むことが望ましい。これらはすべて、使用中に装置がユーザに対して所望の位置に維持されることを確実にするために好適である。本開示のトルソ装置を形成するために使用される第1のフォーム材料70および第2のフォーム材料72の実測量または割合は、使用される2つの異なるフォーム材料の特定の異なる特性に応じて変化し、そのような変動も、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0091】
トルソ装置が2つの異なるフォーム材料70および72から形成される上述のような例では、延長要素56は、2つの異なるフォーム材料70および72のうちの1つから形成されてもよく、あるいは、第1および第2のフォーム材料の両方の密度とは異なる密度を有する第3のフォーム材料から形成されてもよい。たとえば、延長要素56は、第1のフォーム材料70の密度より高い密度を有するフォーム材料から形成されてもよいし、または、延長要素56は、第1および第2のフォーム材料の密度の間にある密度を有するフォーム材料から形成されてもよいし、または、延長要素は、第2のフォーム材料72の密度より低い密度を有するフォーム材料から形成されてもよい。
【0092】
一例では、第1および第2のフォーム材料がそれぞれ上述した特定の密度特性を有する場合、延長要素56は、向上した快適性およびなじみ性をユーザに提供する目的で、比較的低い密度を有する第2のフォーム材料72から形成される。あるいは、延長要素56は、第2のフォーム材料の密度より高く、第1のフォーム材料の密度より低い密度を有する第3のフォーム材料から形成され、これによって、ある程度の柔軟性および快適性を提供しながらも、ウエストへのサポートを向上させることができる、中程度の硬さを提供する。
【0093】
2つ以上の異なるフォーム材料から形成されるトルソ装置の特定の例について開示したが、本開示のトルソ装置は、上述したものとは異なる種類のフォーム材料から形成されてもよく、および/または、上述したものとは異なる種類のフォーム材料を異なる比率で使用して形成されてもよい。たとえば、トルソ装置は、上述した目的と同一または同様の目的および/または機能を達成するために、上述したような膨張可能な構造を有していてもよく、そのように形成され構成されたトルソ装置のそのような実施形態はすべて、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。本開示のトルソ装置を形成するために使用される、複数の異なるフォーム材料は、たとえば、モールド成形や接着組立プロセスなどの従来の方法によって、形成および組み合わせることができる。
【0094】
図8は、トルソ装置の少なくとも一部の上に配置された任意の内面カバー80を備える、本開示のトルソ装置10の一例を示す。一例では、内面カバー80は、その下にあるフォーム材料を保護する目的で、耐湿性または防湿性の材料から形成される。内面カバー80を形成するために有用かつ適切な材料には、耐湿性または防湿性の特性を有し、透明または非透明であるプラスチックおよび他の種類のポリマーからなるフィルム材料が含まれる。
【0095】
一例では、内面カバー80は、フロント部材12に嵌合するように構成され、好ましい実施形態では、内面カバー80は、フロント部材12の全体に嵌合あるいは全体を覆うよう構成される。一例では、内面カバー80は、開放端82および閉鎖端84を有するスリーブの形態として提供される、取り外し可能な要素であり、開放端82は、図1に示したフロント部材12の前縁14の開放端28の周囲に嵌合するよう構成され、閉鎖端84は、図1に示したフロント部材の端部24の周囲に嵌合するよう構成される。
【0096】
内面カバー80は、開放端82から内面カバー80の底部に沿って部分的な長さだけ伸長する、ジッパー付き接続部86を含む。内面カバー80のジッパー付き接続部86は、内面カバー80がフロント部材12に取り付けられる前に、2つのジッパー部となるようジッパーが開けられ、これによって、フロント部材12の開放端28と、中間点16に隣接するフロント部材12の大部分とを、内面カバー80内に収容可能にする。内面カバー80をフロント部材12に取り付け、内面カバー80の開放端82をフロント部材12の開放端28の周囲に配置させ、2つのジッパー部を係合させてジッパーを締めることにより、フロント部材12は、内面カバー80によって覆われ、保護される。このように、内面カバー80は、必要に応じて清掃または交換する目的で取り外し可能に構成される。
【0097】
一例では、内面カバー80は、成形など従来の工程によって製造される。内面カバー80の特定の構成を図示および開示したが、その下にあるトルソ装置のフォーム素材を湿気から保護するという同一または同様の目的のために、内面カバーを異なる構成とすることもできる。このような異なる内面カバーの構成はすべて、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。さらに、トルソ装置のフロント部材12を湿気から保護する機能を有する内面カバー80を開示したが、内面カバーまたは追加的な内面カバーの使用は、リア部材20を湿気から保護する目的で構成または製造されてもよく、そのような内面カバーまたは追加的な内面カバーの使用についても、本開示の範囲に含まれる。
【0098】
図9は、その上に配置される外面カバー90を備えた、本開示のトルソ装置10の一例を示す。一例では、外面カバー90は、使用中にユーザの胴体と接触するトルソ装置の表面領域に対して所望の摩擦面を提供できるように、トルソ装置の外側面を構成するのに適した材料から形成される。外面カバー90を形成するための適切な材料には、繊維、布地、プラスチック、ポリマー、およびこれらの組み合わせなどの材料が含まれる。一例では、外面カバー90は、繊維材料から形成される。
【0099】
一例では、外面カバー90は、トルソ装置に嵌合できるよう構成される。好ましい実施形態では、トルソ装置全体、すなわち、図1に示したようなフロント部材12およびリア部材20の両方に嵌合する。このような好ましい実施形態では、外面カバー90は、トルソ装置の外面を形成する機能だけでなく、後述するように、取付位置/固定位置および取付機構/固定機構を提供する機能をも有する。一例では、外面カバー90は、フロント部材12および延長要素56を含むリア部材20の両方の上面、前縁、および後縁に嵌合するように縫製された上部、および、フロント部材12およびリア部材20の下面に嵌合するように構成された下面を有する。
【0100】
フロント部材12の前縁14と下面32との交差点におけるフロント部材12の縁部(図1参照)と、リア部材20の後縁66と下面60との交差点におけるリア部材20の縁部(図4参照)とに沿って、外面カバー90にジッパー付き接続部92が設けられ、上部と底部とを接続するために使用される。外面カバー90は、フロント部材12の前縁14の端部24(図1参照)を収容するよう構成された第1閉鎖端94と、リア部材20の側部要素50(図1参照)を収容するよう構成された第2閉鎖端96とを含む。ジッパー付き接続部92は、第1閉鎖端94と第2閉鎖端96との間に伸長し、フロント部材12およびリア部材20の残部に外面カバー90を取り付ける前に、2つのジッパー部となるようジッパーを開けることによって、トルソ装置を収容することが可能となる。
【0101】
一例では、外面カバー90は、使用される材料の種類に応じて、従来の工程によって製造され、たとえば、繊維材料から形成される場合には、外面カバー90は縫製工程によって製造される。外面カバー90の特定の構成を図示および開示したが、外面カバーは、上述した同一または同様の目的のために異なる構成とすることもでき、そのような異なる外面カバーの構成はすべて、本開示の範囲に含まれる。
【0102】
図9図11は、外面カバー90が取り付けられた状態にある、本開示のトルソ装置10を示す。外面カバー90は、第1取付要素98を含むように構成されている。第1取付要素98は、たとえば、トルソ装置の表面領域および圧縮力を提供する機構に追加して、ユーザのウエストの回りにトルソ装置を固定するためのさらなる機構を付与して、トルソ装置の利便性を向上させる。
【0103】
第1取付要素98は、リア部材20の側部要素50(図1参照)を覆うように配置される外面カバー90の側端面100に接続される。一例では、第1取付要素98は、布地のループ104の一端に取り付けられた雄型スナップ接続部材102の形態で提供され、布地のループ104の他端は、外面カバー90に取り付けられる。一例では、布地のループ104は、外面カバー90に縫い付けられる。
【0104】
外面カバー90は、フロント部材12の前縁14の長さ方向の一部に沿って伸長し、フロント部材12の端部24(図1参照)から所定の距離だけ離れて配置される取付位置106を含むよう構成される。
【0105】
第2取付要素108は、布地ループ112の一端に取り付けられた雌型スナップ接続部材110の形態で提供され、布地のループ112は、それに取り付けられたある程度の長さの布地のベルト114を備える。一例では、布地のベルト114は、取付位置106との接続を可能とするために所望の長さを有するよう構成されており、雄型スナップ接続部材102と雌型スナップ接続部材110とを係合させることによって、トルソ装置10をユーザの胴周りにさらにしっかりと固定して取り付けることを可能としている。
【0106】
一例では、取付位置106は、布地のベルト114のベルクロ(登録商標)材料と着脱可能に構成されたベルクロ(登録商標)材料を備える。
【0107】
このような構成により、まず、内側に湾曲するフロント部材12の端部24をユーザがリア部材20の側部要素50から遠ざけるように付勢することによって、ユーザはその胴体またはウエストをフロント部材12とリア部材20との間の空間である開口部46に挿入することが可能となる。その結果、トルソ装置10はユーザに装着される。ユーザのウエストが開口部46に配置されると、トルソ装置10は、上述したように、ユーザに対して付勢された位置に弾性的に戻り、歩行中または起立中にトルソ装置10のフロント部材12の位置をユーザの胴体に対して垂直に維持するために、たとえば十分な圧縮力をユーザに対して付与する。
【0108】
任意で、雄型スナップ部材102および雌型スナップ部材110を互いに接続することによって、トルソ装置10をユーザに対してさらにしっかりと固定することが可能となる。布地ベルト114の取付位置がまだ確立されていない場合には、布地ベルト114を取付位置106に取り付ける前に、雄型スナップ部材102および雌型スナップ部材110を結合することができる。この場合、ユーザは、所望する確実なフィット感が得られる位置において、布地ベルト114を取付位置106に対して取り付ける。
【0109】
あるいは、ユーザがすでにトルソ装置10を装着したことがある場合には、布地ベルト114が、所望する確実なフィット感が得られる位置において取付位置106にすでに取り付けられている状態とすることもできる。この場合、ユーザは、トルソ装置10をさらにしっかりと固定するために、雄型スナップ接続部材102および雌型スナップ接続部材110を結合するだけでよい。
【0110】
このように、本開示のトルソ装置の特徴は、トルソ装置をさらにユーザに固定し、たとえば、使用中にユーザが着席位置から起立位置に移動したり、歩行したり、あるいは起立しているなど、ユーザが動いている場合にもトルソ装置の位置がずれないことをさらに確実にする機能にある。特定の種類の接続部材と、外面カバーへの接続部材の取り付けを開示したが、ユーザがトルソ装置を装着することを可能にし、トルソ装置をユーザのウエストの回りにさらに固定する任意の取り付けを形成するよう機能する他の取付機構も、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0111】
図9は、トルソ装置の外面カバー90に対して、任意の取付要素116を使用した例である。一例では、任意の取付要素116は、ユーザのために、トルソ装置10に対してある程度の機能性を促進または追加するために必要に応じて構成される。一例では、取付要素116は、その中に備品を収容するためのバッグまたはポケットの形態とし構成される。一例では、取付要素116は、たとえばフロント部材12の前縁14(図1参照)の一部に沿って、ユーザがアクセスしやすい位置に取り付けられる。一例では、取付要素116は、外面カバー90を構成する材料などにより形成されるバッグからなる。取付要素116は、外面カバーとの永久的または着脱可能な接続を提供するために、たとえば縫い付け、ボタン、ベルクロ(登録商標)などの従来の接続手段によって、外面カバーに取り付けられる。
【0112】
例示的な任意の取付要素116について、特定の構成を有するよう具体的に説明および図示したが、同一または同様の機能を果たすために、異なる取付要素を構成することもでき、外面カバーとともに使用される取付要素のそのような異なる構成はすべて、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0113】
図12は、外面カバー90を備え、外面カバー90に接続された一対の任意のストラップ120をさらに備える、トルソ装置10を示す。一例では、ストラップ120は、トルソ装置10を使用する際に、トルソ装置にさらなる垂直方向の支持を提供するために、ユーザの肩の上に配置または装着するのに有用な適切な材料で形成される。ストラップ120を形成するための適切な材料には、布地の、繊維、皮革、プラスチック、ポリマーなどの材料が含まれる。一例では、ストラップ120は、繊維または布地のベルトなどの布地のまたは繊維材料から形成される。
【0114】
一例では、それぞれのストラップ120は、リア部材20の後縁66に沿った取付位置から、延長要素56の上部を越えて、フロント部材12の前縁14に沿った取付位置122まで伸長している。一例では、取付位置122は、たとえば縫い付けなどによってストラップ120を外面カバー90に永久的に取り付けるよう構成されてもよいし、または、たとえばボタンやベルクロ(登録商標)などによってストラップ120を外面カバー90に取り外し可能に取り付けるように構成されてもよい。
【0115】
一例では、それぞれのストラップ120は、フロント部材12から所定の長さだけ伸長する前部124と、リア部材20から所定の長さだけ伸長する後部126とを含む。バックル、雄型および雌型スナップ接続部材などの形態である取付要素128は、ストラップの前部124および後部126の間に着脱可能な取り付けを形成する目的、および/または、ストラップ120の長さを調整して、ユーザが着用する際に任意のフィット感を提供する目的で、ストラップの前部124および後部126の一端または両端に取り付けられる。
【0116】
このように構成されたストラップ120は、ユーザが装着した場合にトルソ装置に対して所望の程度の垂直方向の支持を提供する。必要に応じて、ストラップ120は、ユーザなどにある程度のプライバシーを提供するために、図示しないカバーを、たとえばユーザの前のストラップの一部上に配置することができるよう構成される。ストラップ120の特定の構成について説明し図示したが、同一または同様の目的のために異なる構成のストラップを開発することもでき、そのような異なるストラップの構成はすべて、本開示のトルソ装置の範囲に含まれる。
【0117】
図13および図14は、ユーザによるトルソ装置10の使用を示した図である。具体的には、図13は、ユーザによる歩行中のトルソ装置10の使用を示し、フロント部材12、リア部材20、および延長要素56により提供される接触表面領域と、トルソ装置のフロント部材12およびリア部材20によってユーザの胴体に付与される圧縮力とが協働して、フロント部材12がユーザの胴体に対して実質的に垂直、あるいはユーザが歩行する床面130に対して平行に伸長し、ユーザに対してトルソ装置10が所望の配置位置に維持されている状態を示す。
【0118】
図14は、ユーザによる起立中のトルソ装置10の使用を示し、フロント部材12、リア部材20、および延長要素56により提供される接触表面領域と、フロント部材12およびリア部材20によってユーザの胴体に付与される圧縮力とが協働して、フロント部材12がユーザの胴体に対して実質的に垂直、あるいはユーザが歩行する床面130に対して平行に伸長し、ユーザに対してトルソ装置10が所望の位置に維持される状態を示す。本例では、トルソ装置10は、ラップトップコンピュータ132をフロント部材12の上面30上に支持するよう使用されている。
【0119】
図面を参照しつつ、本開示のトルソ装置のさまざまな実施形態について説明を行った。実施形態の説明は、あくまでも例示する目的でなされたものであり、本開示のトルソ装置の範囲を限定するものではない。したがって、特許請求の範囲から離れることなく、当業者は、本開示のトルソ装置に対してさまざまな変更を施すことが可能である。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】