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特表2024-507109診断検査室システムにおける障害を予測する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】診断検査室システムにおける障害を予測する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547591
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 US2022070546
(87)【国際公開番号】W WO2022170357
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/147,155
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴェク・スィング
(72)【発明者】
【氏名】ラヤル・ラジュ・プラサド・ナラム・ヴェンカット
(72)【発明者】
【氏名】イャオ-ジェン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテーシュ・ナラシマムルティ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・エス・ポラック
(72)【発明者】
【氏名】アンカー・カプール
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GB01
2G058GB10
2G058GC02
2G058GC05
2G058GD05
2G058GE09
2G058GE10
(57)【要約】
診断検査室システムにおける障害を予測する方法は、1つまたはそれ以上のセンサを提供することと、1つまたはそれ以上のセンサを使用してデータを生成することと、そのデータを、そのデータに応答して診断検査室システムにおける少なくとも1つの障害を予測するように構成される人工知能アルゴリズム内へ入力することと、人工知能アルゴリズムを使用して診断検査室システムにおける少なくとも1つの障害を予測することと、を含む。他の方法、システム、および装置も開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断検査室システムにおける障害を予測する方法であって、
1つまたはそれ以上のセンサを提供することと、
該1つまたはそれ以上のセンサを使用してデータを生成することと、
該データを、該データに応答して診断検査室システムにおける少なくとも1つの障害を予測するように構成される人工知能アルゴリズム内へ入力することと、
該人工知能アルゴリズムを使用して診断検査室システムにおける少なくとも1つの障害を予測することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
1つまたはそれ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、吸引圧を測定するように構成され、データを生成することは、吸引圧を示すデータを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つまたはそれ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、投薬圧を測定するように構成され、データを生成することは、投薬圧を示すデータを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1つまたはそれ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、電流を測定するように構成され、データを生成することは、電流を示すデータを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
1つまたはそれ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、光強度を測定するように構成され、データを生成することは、光強度を示すデータを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つまたはそれ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、光周波数を測定するように構成され、データを生成することは、光周波数を示すデータを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1つまたはそれ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、検体の画像データを生成するように構成され、データを生成することは、検体の画像データを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1つまたはそれ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、検体容器の画像データを生成するように構成され、データを生成することは、検体容器の画像データを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1つまたはそれ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、温度を測定するように構成され、データを生成することは、温度を示すデータを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
1つまたはそれ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、湿度を測定するように構成され、データを生成することは、湿度を示すデータを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
1つまたはそれ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、音を測定するように構成され、データを生成することは、音を示すデータを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
予測することは、1つまたはそれ以上のセンサからのデータを、診断検査室システムの状態を示す値のアレイへと符号化することを含み、データを入力することは、値のアレイを人工知能アルゴリズム内へ入力することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
予測することは、診断検査室システムにおける障害が既定の時間期間内に発生する確率を計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
予測することは、既定の時間期間内の診断検査室システム内のモジュールの障害の確率を計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
確率が既定の値よりも大きいことに応答して通知を生成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
予測することは、診断検査室システムのモジュール内の構成要素が、既定の時間期間内に障害を起こす確率を予測することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
予測することは、診断検査室システム内のモジュールが障害を起こす時間を予測することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
予測することは、診断検査室システム内のモジュールの構成要素が障害を起こす時間を予測することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
人工知能アルゴリズムを訓練することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
人工知能アルゴリズムは、生成ネットワークを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
診断検査室システム内のモジュールの構成要素における障害を予測する方法であって、
診断検査室システムのモジュール内に1つまたはそれ以上のセンサを提供することと、
該1つまたはそれ以上のセンサを使用してデータを生成することと、
該データを、該データに応答して構成要素の障害を予測するように構成される人工知能アルゴリズム内へ入力することと、
該人工知能アルゴリズムを使用して構成要素における障害の確率を予測することと、を含む、前記方法。
【請求項22】
診断検査室システムであって、
データを生成するように構成される1つまたはそれ以上のセンサと、
人工知能アルゴリズムを実行するように構成されるコンピュータであって、人工知能アルゴリズムは、
データを受信し、
データに応答して診断検査室システムの構成要素における少なくとも1つの障害を予測するように構成される、コンピュータと
を含む、前記診断検査室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年2月8日に出願した「APPARATUS AND METHODS OF PREDICTING FAULTS IN DIAGNOSTIC LABORATORY SYSTEMS」という表題の米国仮特許出願第63/147,155号の利益を主張するものであり、その開示は、あらゆる目的のためにその全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本開示の実施形態は、診断検査室システムにおける障害を予測する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
診断検査室システムは、検体容器内に含まれる生物検体に対して化学分析または試験を行い得る。診断検査室システムは、複数の機器および個々のモジュールを含み得る。機器の各々は、複数のモジュールを含み得、検体容器および/または検体に対して1つまたはそれ以上のプロセスおよび/または分析を実施することができる。モジュールおよび機器のうちのいくつかは、検体容器を処理する、または検体を分析する構成要素を中に含み得る。いくつかの実施形態において、第1のモジュールは、第2のモジュールにおける分析のために検体を調製する、遠心分離などのプロセスを実施することができる。第2のモジュールは、検体に対して分析を実施する1つまたはそれ以上の構成要素を含み得る。
【0004】
モジュール、またはモジュール内の構成要素が障害(例えば、故障)を起こすと、診断検査室システムが分析を実施する能力は、深刻に低減される。例えば、第1のモジュール内の構成要素が故障した場合、分析能力が低減される。モジュールの故障または低減した分析能力は、診断検査室システム全体の試験能力を低減することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
故に、診断検査室システム内の機器、モジュール、および/またはその構成要素における障害を予測する改善された方法および装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によると、診断検査室システムにおける障害を予測する方法が提供される。本方法は、1つまたはそれ以上のセンサを提供することと、1つまたはそれ以上のセンサを使用してデータを生成することと、そのデータを、そのデータに応答して診断検査室システムにおける少なくとも1つの障害を予測するように構成される人工知能アルゴリズム内へ入力することと、人工知能アルゴリズムを使用して診断検査室システムにおける少なくとも1つの障害を予測することと、を含む。
【0007】
さらなる態様において、診断検査室システム内のモジュールの構成要素における障害を予測する方法が提供される。本方法は、診断検査室システムのモジュール内に1つまたはそれ以上のセンサを提供することと、1つまたはそれ以上のセンサを使用してデータを生成することと、そのデータを、そのデータに応答して構成要素の障害を予測するように構成される人工知能アルゴリズム内へ入力することと、人工知能アルゴリズムを使用して構成要素における障害の確率を予測することと、を含む。
【0008】
別の態様において、診断検査室システムが提供される。診断検査室システムは、データを生成するように構成される1つまたはそれ以上のセンサと、人工知能アルゴリズムを実行するように構成されるコンピュータであって、人工知能アルゴリズムは、データを受信し、データに応答して診断検査室システムの構成要素における少なくとも1つの障害を予測するように構成される、コンピュータと、を含む。
【0009】
本開示のさらに他の態様、構成、および利点は、本開示を実行するために企図される最良の形態を含む、いくつかの例となる実施形態の以下の説明および例証から容易に明らかになる。本開示は、他の異なる実施形態も可能であり、そのいくつかの詳細は、本開示の範囲から全く逸脱することなく、様々な点において修正される。本開示は、クレームおよびそれらの等価物の範囲内に入るすべての修正形態、等価物、および代替形態を網羅することが意図される。
【0010】
以下に説明される図面は、例証の目的のためであり、必ずしも縮尺通りに描かれていない。したがって、図面および説明は、制限的ではなく、本質的に例証的と見なされるものとする。図面は、本開示の範囲をいかようにも制限することは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】1つまたはそれ以上の実施形態による、複数のモジュールおよび機器を含む診断検査室システムのブロック図である。
図2A】1つまたはそれ以上の実施形態による、キャリア内に位置する検体容器の側部立面図であって、検体が検体容器内に位置する、図である。
図2B】1つまたはそれ以上の実施形態による、キャリア内に位置する検体容器の側部立面図であって、遠心分離プロセスを経た検体が検体容器内に位置する、図である。
図3】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断検査室システムの機器のブロック図であって、機器が複数のモジュールを含む、図である。
図4】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断検査室システムの実施形態に含まれる品質チェックモジュールの実施形態の上部平面図である。
図5】1つまたはそれ以上の実施形態による、吸引および投薬モジュールの側部の部分断面図である。
図6】1つまたはそれ以上の実施形態による、機能している吸引システムおよび障害のある吸引システムを示す、検体を吸引するピペットアセンブリの圧力(Pa)のトレースを例証するグラフである。
図7】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断検査室システムの分析器モジュールの実施形態を描写するブロック図である。
図8】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断検査室システムにおける障害を予測する方法を描写するフローチャートである。
図9】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断検査室システム内のモジュールの構成要素における障害を予測する方法を描写するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
診断検査室システムは、患者からの検体を分析(例えば、試験)して、提供された検体内の1つまたはそれ以上の分析物または構成成分の存在および/または濃度を決定する。例えば、患者を診断する医師または他の医療提供者が、患者から採取される生物検体(例えば、検体)の分析を要請し得る。検体は、典型的には、検体容器内に収集され、医療従事者によって生成される試験オーダと一緒に診断検査室システムへ送られる。
【0013】
診断検査室システムは、検体および/または検体容器を処理して、分析(例えば、試験)のために検体容器および/または検体を調製する1つまたはそれ以上のモジュールを含み得る。1つまたはそれ以上の他のモジュールが、検体に対して分析を実施することができる。いくつかの実施形態において、第1のモジュールが、第2のモジュールによる分析のために検体または検体容器を調製し得る。例えば、第1のモジュールは、検体が第2のモジュールによる分析のための状態にあるかどうかを決定するために、検体を分析し得る。別の例において、第1のモジュールは、検体容器上のバーコードを読み取るか、または検体に対して遠心分離および/もしくはアリコートを実施することができる。第2のモジュールは、検体に対して分析を実施することができる。
【0014】
検体容器を処理するいくつかのモジュールは、例えば、その中に含まれる検体を識別し得る。そのような識別は、検体容器に取り付けられる、バーコードなどの印を読み取ることを含み得る。バーコードリーダおよび/または他の撮像デバイスが、バーコードを読み取り得、これは、試料識別情報を臨床検査情報システム(LIS)と相関させて、検体に対して実施されることになる特定の分析に関する情報を提供するために使用される。いくつかのモジュールは、検体を含む検体容器の特定のタイプを識別するために、検体容器の画像を取り込み、検体容器の形状および/またはキャップタイプを識別する撮像デバイスを含み得る。他のモジュールは、キャップを取り外すこと(キャップ除去)および他のプロセスなど、検体容器の他の処理を実施することができる。
【0015】
分析器モジュール(分析器)は、検体に対して、アッセイまたは臨床化学分析などの1つまたはそれ以上の分析または試験を実施することができる。いくつかの実施形態において、試薬および同様のものが、特定の分析物の存在および/または濃度を決定するために検体に追加される。分析器はまた、特定の抗原、タンパク質、または薬物などの他の物質の存在および/または濃度を決定し得る。いくつかの実施形態において、視覚システムが、試薬ありおよび試薬なしで検体の異なる周波数および/または蛍光発光における光吸収を決定するために使用される。
【0016】
いくつかの診断検査室システムは、中にいくつかのモジュールを含み得る1つまたはそれ以上の機器を含み得、各モジュールが、検体および検体容器に対して複数のプロセスおよび/または分析を実施することができる。
【0017】
いくつかの診断検査室システムは、長さおよび/または幅100メートルであり得、例えば、1日に数千または数万もの分析(例えば、試験)を実施することができる。これらの診断検査室システムは、診断検査室システムが検体の正確な分析ならびに/または検体および/もしくは検体容器のプレスクリーニングを提供するために、保守および較正されなければならない多くの異なるタイプのモジュールを伴って、何百ものモジュールおよび/または機器を含み得る。診断検査室システムの単一のモジュールが、障害を起こすか、または較正もしくは保守のために停止状態にされるとき、診断検査室システムの効率は減少し得、また診断検査室システムは、診断検査室システムがすべてのモジュールが意図した通りに機能している状態で動作しているときほどは多くの分析を実施することができない。
【0018】
従来の診断検査室システムを保守および/または較正する技術者は、モジュール、機器、ならびに/またはモジュールおよび機器内の構成要素を定期的に更新または交換するために予防保守スケジュールに依拠する。故に、特定のモジュール、機器、および/またはそれらの構成要素は、モジュール、機器、および/または構成要素の実際の状態に基づくのでなく、定期スケジュールに基づいて保守される。いくつかの実施形態において、モジュール、機器、および/または構成要素は、それらの推定寿命に基づいて交換され得る。しかしながら、モジュール、機器、またはそれらの構成要素が、その推定寿命の前に障害(例えば、故障)を起こす場合、診断検査室システムおよび/またはその部分の故障が発生し得る。故障は、技術者が診断検査室システムのある場所を訪問して診断検査室システムをトラブルシュートし、システム障害を解決するまで続き得る。
【0019】
予防保守スケジュールに依拠するとき、モジュール、機器、およびそれらの構成要素は、モジュール、機器、およびそれらの構成要素が完全に適切に動作している場合にさえ、デバイス故障のリスクを低減するために交換される。適切に機能しているモジュール、機器、および構成要素を交換することは、診断検査室システムを動作させる費用および効率を不必要に増加させる。
【0020】
モジュールおよび/または機器のうちの1つまたはそれ以上は、自己診断を実施し、ならびに/またはモジュールおよび機器内のセンサを監視し得る。本明細書に説明される装置および方法は、モジュールおよび/または機器の障害を予測するために検体に対して実施される、内部試験、センサデータ、および/または分析結果を分析するために、訓練されたモデルを実装する人工知能アルゴリズム(例えば、ニューラルネットワーク)を含む。人工知能アルゴリズムは、様々な入力に基づいて、どのモジュール、機器、および/または構成要素が障害を起こす可能性が高いかを予測する。いくつかの実施形態において、人工知能アルゴリズムは、特定のモジュール、機器、および/または構成要素がいつ故障するかを予測し得る。これらおよび他の方法、システム、および装置は、本明細書内の図1図9に関連してより詳細に説明される。
【0021】
これより、生物検体(検体)に対して分析(例えば、試験またはアッセイ)または他のプロセスを実施する診断検査室システム100の実施形態のブロック図を例証する図1を参照する。検体は、患者から採取された全血、血清、血漿、尿、脳脊髄液、または他の体液を含み得る。検体は、患者から収集され、トラック134上で診断検査室システム100を通じて輸送されるものとして例証される検体容器102に収納される(少数がラベル付けされる)。トラック134は、検体容器102を動かすことができる任意の好適なトラックである。特定の検体に対して実施されることになる分析を含み得る試験オーダはまた、検査室情報システム(LIS)136などから、診断検査室システム100内で受信される。試験オーダは、本明細書に説明されるように特定のプロセスおよび/または分析を実施するように特定の機器およびモジュールに指示するために処理される。
【0022】
これより、キャリア204内の検体容器102の実施形態の側部立面図を例証する図2Aを参照する。検体容器102は、検体容器102(図1)と同一または実質的に同様である。検体容器102は、チューブ206を含み、キャップ208によって蓋をされる。検体210は、チューブ206内に位置する。検体210は、診断検査室システム100(図1)によって分析されることになる任意の液体(生体液体)である。図2Aの実施形態において、検体210は、まだ遠心分離プロセスに供されていない。
【0023】
チューブ206には、ラベル212が取り付けられていてもよく、ラベル212は、バーコード214または他の識別子など、検体210に関連した情報を含み得る。いくつかの実施形態において、ラベル212は、検体210を識別する数字および/または文字を含み得る。バーコード214の画像は、診断検査室システム100内に位置する撮像デバイスのうちの1つまたはそれ以上によって取り込まれる。いくつかの実施形態において、検体210の画像はまた、本明細書に説明されるような撮像デバイスによって取り込まれる。他の実施形態において、キャップ208の画像が、撮像デバイスによって取り込まれる。いくつかの実施形態において、チューブ206、キャップ208、および/または検体210の画像が、1つまたはそれ以上の撮像デバイスによって取り込まれる。
【0024】
検体210が検体210の成分を分離するために遠心分離プロセスを経ている、検体容器102の実施形態の側部立面図である図2Bをさらに参照する。例えば、図2Aに示される検体210の実施形態は、例えば、診断検査室分析器100内のモジュール120のうちの1つによる遠心分離を経ていてもよい。遠心分離プロセスに反応して、検体210中のより重い成分は、チューブ206の底の方へ積もり、より軽い成分は、チューブ206の上部の方へ積もる。図2Bの実施形態において、検体210は、血液試料である。遠心分離プロセス中、血清または血漿210Aは、赤血球部分210Bから分離される。分離体211(例えば、ゲル分離体)は、血清または血漿210Aを赤血球部分210Bから分離し得る。
【0025】
血清または血漿210Aは、高さHSPを有するものとして例証され、分離体211は、高さHGSを有するものとして例証され、赤血球部分210Bは、高さHRを有するものとして例証される。いくつかの実施形態において、血清または血漿210Aが分析され、これは、血清または血漿210Aの少なくとも一部を吸引することを伴う。正しく吸引するために、血清または血漿210Aの高さHSPは、吸引プロセス中に測定および使用される。例えば、高さHSPは、プロセッサまたは同様のものが検体容器102内の血清または血漿210Aの体積を決定することを可能にし得る。高さHSPは、吸引プローブが血清もしくは血漿210Aの吸引を可能にするために検体容器102内へ延びる必要があり得る深さ、ならびに/または血清もしくは血漿210Aの利用可能な量に関して、情報を他のモジュールに提供するために使用される。
【0026】
再び図1を参照すると、診断検査室システム100は、分析のために検体容器102を処理および/または調製し得、ならびにその中に位置する検体に対して分析を実施することができる、複数の機器118およびモジュール120を含み得る。
【0027】
図1の実施形態において、診断検査室システム100は、第1の機器118A、第2の機器118B、第3の機器118C、および第4の機器118Dと個々に称される4つの機器118を含む。図1の実施形態において、診断検査室システム100は、複数のモジュール120を含み得、それらのうちの一部が、第1のモジュール120A、第2のモジュール120B、第3のモジュール120C、および第4のモジュール120Dとラベル付けされる。より多いまたはより少ないモジュールが存在してもよい。
【0028】
機器118は各々、2つ以上のモジュールを含み得、モジュールのうちのいくつかは、モジュール120のうちの1つまたはそれ以上によって実施される機能と同一または同様の機能を実施することができる。他の機器と同様または同一である第4の機器118Dを参照する。第4の機器118Dは、処理モジュール122Aおよび1つまたはそれ以上の分析器モジュール122Bを含み得る3つのモジュール122を含み得る。処理モジュールは、分析(例えば、試験)のために検体を調製し得、以下にさらに説明されるように、第4の機器122Dに受け入れられる検体容器102を識別し得る。分析器モジュール122Bは、以下にさらに説明されるように、検体に対して分析を実施することができる。
【0029】
診断検査室システム100は、機器118およびモジュール120およびLIS136と通信状態にある検査室コンピュータ126を含み得る。検査室コンピュータ126は、機器118およびモジュール120の近くにあるか、または離れていてもよい。検査室コンピュータ126は、プロセッサ128およびメモリ130を含み得、プロセッサ128は、メモリ130に記憶されるプログラムを実行する。メモリ130に記憶されるプログラムのうちの1つは、少なくとも1つの人工知能アルゴリズム132(AIアルゴリズム132)である。いくつかの実施形態において、本明細書に説明されるAIアルゴリズム132は、メモリ130、または、診断検査室システム100から離れたコンピュータ(図示せず)などの別のコンピュータに記憶される。
【0030】
本明細書に説明されるように、AIアルゴリズム132は、機器118および/またはモジュール120から、センサおよび/または分析データなどのデータを受信し、そのデータに応答して、以下にさらに説明されるように、診断検査室システム100の機器118および/またはモジュール120(またはそれらの構成要素)のうちの1つまたはそれ以上が、いつ障害を起こすことがあり得るかを予測する。例えば、AIアルゴリズム132は、診断検査室システム100のモジュール内の構成要素が、既定の時間期間内に障害を起こす確率を予測し得る。
【0031】
検査室情報システム(LIS)136は、検査室コンピュータ126に連結され、病院情報システム(HIS)138は、LIS136に連結される。医療従事者などが、試験オーダをHIS138内へ入力し得る。試験オーダは、特定の検体に対して行われるべき分析(例えば、試験)のタイプを示す。検体は、検体容器102内へ収集され、診断検査室システム100へ送られる。トラック134に連結される入力/出力デバイス(I/Oデバイス)におけるLIS136または他の論理は、次いで、分析および関連プロセスが特定の機器118および/またはモジュール120に対して実施されるように、分析をスケジュールし得る。いくつかの実施形態において、LIS136は、検査室コンピュータ126内に実装される。
【0032】
トラック134は、診断検査室システム100全体にわたって検体容器102を輸送するように構成される。例えば、トラック134は、検体容器102を、機器118およびモジュール120のうちの特定のものに輸送し得る。いくつかの実施形態において、キャリア204(図2A-2B)は、自己推進され、トラック134は、キャリア204が検体容器102を動かす機構を提供し得る。検体容器102は、トラック134に沿って複数方向に動き得る。
【0033】
機器318の例となる実施形態のブロック図を例証する図3をさらに参照する。機器318は、機器118(図1)のうちの1つまたはそれ以上と同一または実質的に同様である。図3の実施形態において、機器318は、検体210(図2A-2B)などの検体に対して1つまたはそれ以上の分析を実施するように構成される。機器318は、検体容器102に対してプロセスを実施するようにさらに構成される。機器318は、図3に示されるものとは別のモジュールおよび機器を含み得る。
【0034】
機器318は、検体容器102を受けるように構成され、機器318全体にわたって検体容器102および/または検体(例えば、検体210-図2A-2B)を輸送し得る。機器318は、分析のために検体を調製する、および検体に対して1つまたはそれ以上の分析を実施する、1つまたはそれ以上のモジュール336を含み得る。機器318はまた、機器318内のモジュール336の異なるものの間など、機器318全体にわたって、検体容器、試薬、検体、および/または他のものを輸送するように構成される輸送構成要素338を含み得る。輸送構成要素338は、1つもしくはそれ以上のコンベヤデバイスおよび/または1つもしくはそれ以上のロボットを含み得、それらの例は、少なくとも図4に示される。
【0035】
機器318は、温度を測定し、温度を示すデータを生成するように構成される温度センサ341Aを含み得る。温度センサ341Aは、周囲空気温度および/または機器318内の1つもしくはそれ以上の構成要素の温度を測定し得る。機器が高温で動作される場合、構成要素またはモジュール336のうちの1つまたはそれ以上は、本明細書に説明されるようにAIアルゴリズム132によって検出される、早期の、または差し迫った障害を起こすことがあり得る。機器318はまた、湿度を測定し、周囲湿度を示すデータを生成するように構成される湿度センサ341Bを含み得る。機器318が比較的高いまたは比較的低い周囲湿度で動作する場合、1つまたはそれ以上の構成要素またはモジュール336は、AIアルゴリズム132によって検出される、早期の、または差し迫った障害を起こすことがあり得る。機器318はまた、1つまたはそれ以上の構成要素の、または機器318の音を測定し、機器318内の音を示すデータを生成するように構成される音響センサ341Cを含み得る。機器318が過剰な雑音を生成する場合、1つまたはそれ以上の構成要素またはモジュール336は、AIアルゴリズム132によって検出される、早期の、または差し迫った障害を起こすことがあり得る。温度センサ341A、湿度センサ341B、および/または音響センサ341Cによって生成されるデータはまた、本明細書に説明されるようにAIアルゴリズム132を訓練するために使用される。
【0036】
輸送構成要素338は、輸送構成要素338と関連付けられた1つまたはそれ以上のパラメータを検知する輸送センサ338Aを含み得、および/またはこれと関連付けられる。いくつかの実施形態において、輸送センサ338Aは、輸送構成要素338を駆動する1つまたはそれ以上のモータ(図3には図示せず)を通って引かれる電流を測定し、引かれた電流を示すデータを出力するように構成される電流センサを含み得る。いくつかの実施形態において、輸送センサ338Aは、雑音および/または振動を測定し、雑音および/または振動を示すデータを生成するように構成される音響センサを含み得る。過剰な雑音および/または振動は、輸送構成要素338のうちの1つまたはそれ以上が障害を起こしていることを示すか、または差し迫った障害を示す。輸送センサ338Aによって生成されるデータは、AIアルゴリズム132へ入力され、機器318および/または診断検査室システム100における障害を予測するために使用される。いくつかの実施形態において、輸送センサ338Aによって生成されるデータは、AIアルゴリズム132を訓練するために使用される。
【0037】
輸送センサ338Aはまた、機器318内の物体および構成要素の場所を決定するように構成される位置センサを含み得る。例えば、機器318内での検体容器102および/またはアリコートの位置が、検知される(例えば、測定される)。輸送センサ338Aはまた、本明細書に説明されるように1つまたはそれ以上のロボット(例えば、ロボット550-図5)またはそれらの構成要素の位置を測定し得る。
【0038】
機器318は、モジュール336、および、輸送構成要素338、輸送センサ338A、および他のセンサなど、他の構成要素に命令を送信し得る、およびこれらからデータを受信し得る機器コンピュータ339を含み得る。コンピュータ339は、プロセッサ339A、および1つまたはそれ以上のプログラム339Cを記憶し得るメモリ339Bを含み得る。プログラム339Cのうちの1つまたはそれ以上は、試験のために検体を調製すること、および検体に対して分析を実行することなど、既定のプロセスを実施するように輸送構成要素338および/またはモジュール336に指示し得る。機器コンピュータ339は、検査室コンピュータ126(図1)と通信状態にある。他の実施形態において、検査室コンピュータ126および機器コンピュータ339は、単一のコンピュータ内に実装してもよい。故に、メモリ339Bおよびメモリ130は、単一のメモリとして実装してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、機器318は、トラック134(図1)などから検体容器102を受け、検体容器102をトラック134へ戻すことができる、受容モジュール340を含み得る。いくつかの実施形態において、受容モジュール340は、検体中の血清または血漿(例えば、血清または血漿210A-図2B)などの検体(例えば、検体210-図2A-2B)を受け得る(例えば、吸引する)。受容モジュール340は、処理モジュール122A(図1)と同様または同一に構成される。受容モジュール340はまた、モジュール120(図1)の1つまたはそれ以上と同様または同一である。受容モジュール340は、検体容器102を受ける、および/またはこれを戻すように構成されるモータ、ロボット、ゲート、コンベヤ、および同様のものを含み得る。
【0040】
受容モジュール340は、検体容器102および/またはその中に位置する検体を処理するように構成される構成要素を含み得る。いくつかの実施形態において、構成要素は、検体容器102上のキャップ(例えば、キャップ208-図2A-2B)を除去および/または交換し得る。いくつかの実施形態において、構成要素は、検体容器102内に位置する検体に対して遠心分離を実施して、検体中の液体を分離し得る。例えば、検体は、血清または血漿(例えば、血清または血漿210A-図2B)および凝血塊(例えば、凝血塊210B-図2B)へと分離される。構成要素は、他の機能を実施することができる。
【0041】
受容モジュール340は、受容モジュール340内の構成要素を監視するセンサ340Aを含み得る、および/またはこれと関連付けられる。例えば、センサ340Aは、遠心分離、デバイスに蓋をすること、およびこれから蓋を除去すること、ならびに同様のことが、正しく動作しているかどうかを決定し得る。センサ340Aはまた、検体容器102上のラベル(例えば、ラベル212-図2A-2B)を読み取る撮像デバイスおよび同様のものを含み得る。センサ340Aはまた、受容モジュール340内、またはその近くの検体容器102の位置を決定する、光学および磁気センサなどのセンサを含み得る。センサ340Aによって生成されるデータは、機器318および/または診断検査室システム100(図1)における1つまたはそれ以上の障害を予測するためにAIアルゴリズム132(図1)内へ入力される。データはまた、AIアルゴリズム132を訓練するためにAIアルゴリズム132に入力される。
【0042】
図3の実施形態において、機器318は、品質チェックモジュール342を含み得る。品質チェックモジュール342は、検体および/または検体容器102の画像を取り込むことができる。いくつかの実施形態において、検体および/または検体容器の画像は、本明細書に説明されるように検体および/または検体容器102の品質を決定するために取り込まれる。品質チェックモジュール342の実施形態の上部平面図を例証する図4をさらに参照する。品質チェックモジュール342は、診断検査室システム100の機器またはモジュール内で使用される撮像タイプのモジュールの単に複数の異なる実施形態のうちの1つである。品質チェックモジュール342に関連して説明されるセンサおよび他のデバイスは、診断検査室システム100の機器318またはモジュール120内の他のモジュールに実装してもよい。
【0043】
品質チェックモジュール342は、品質チェックモジュール342を通じて検体容器102(図2A-2B)、および/またはキャリア204(図2A-2B)を輸送するように構成される輸送システム450を含み得る。1つまたはそれ以上の撮像デバイス452は、検体容器102が品質チェックモジュール342内に位置するとき、検体容器102の1つまたはそれ以上の画像を取り込むことができる。図4の実施形態において、品質チェックモジュール342は、第1の撮像デバイス452A、第2の撮像デバイス452B、および第3の撮像デバイス452Cと個々に称される3つの撮像デバイス452を含む。品質チェックモジュール342は、より多いまたは少ない撮像デバイス452を含み得る。品質チェックモジュール342はまた、品質チェックモジュール342の構成要素と通信状態にあるコンピュータ454を含み得る。コンピュータ454は、構成要素を動作させ、その構成要素によって生成されるデータを受信し、および/またはそのデータを分析し得る。いくつかの実施形態において、コンピュータ454は、コンピュータ339(図3)および/または検査室コンピュータ126(図3)と通信状態にある。
【0044】
輸送システム450は、品質チェックモジュール342内外へ検体容器102を輸送するように構成される。輸送システム450はまた、品質チェックモジュール342内の撮像場所で検体容器102を停止させるように構成される。撮像場所は、撮像デバイス452のうちの1つまたはそれ以上が検体容器102および/またはその中に位置する検体の画像を取り込むことができる、品質チェックモジュール342内の場所である。輸送システム450は、モータ458によって動作されるコンベヤ456を含み得る。コンベヤ456は、品質チェックモジュール342内の検体容器102の動きを促進する任意のデバイスである。モータ458は、コンピュータ454によって生成される命令によって制御される。
【0045】
電流センサ460は、モータ458によって引かれる電流を測定するように構成され、測定した電流を示すデータを出力し得る。測定した電流は、コンピュータ454へ出力され、そこで、測定した電流は、分析され、ならびに/またはコンピュータ339および/もしくは検査室コンピュータ126(図2)へ出力される。測定した電流は、AIアルゴリズム132へ入力される。電流の変化、または既定の電流値よりも大きいもしくは小さい電流は、輸送システム450内のモータ458または他の構成要素の差し迫った障害を示す。例えば、モータ458は、モータ458に対する抗力を引き起こす内部問題を有し得、これがモータ458に過剰な電流を引かせる。過剰な電流はまた、コンベヤ456に対する抗力を示し、モータ458は、コンベヤ456に対する抗力を克服するために過剰な電流を引く。電流センサ460によって生成されるデータは、人工知能アルゴリズム132(図1)を訓練するために使用される。いくつかの実施形態において、電流は、品質チェックモジュール342内の他の構成要素から検知され、電流センサ460に関連して説明される様式で使用される。いくつかの実施形態において、測定した電流は、品質チェックモジュール342および/または診断検査室システム100内の他の構成要素における差し迫った障害を予測するために他のデータと共に使用される。
【0046】
いくつかの実施形態において、品質チェックモジュール342は、品質チェックモジュール342内の1つまたはそれ以上の構成要素内の振動を測定するように構成される振動センサ462を含み得る。振動センサ462は、コンピュータ454、コンピュータ339、および/または検査室コンピュータ126(図1)に伝送される振動データを生成し得る。振動データは、差し迫った障害を予測するため、および/または人工知能アルゴリズムを訓練するために、AIアルゴリズム132に入力される。過剰な振動は、品質チェックモジュール342における差し迫った障害を示す。例えば、消耗している構成要素および/または緩んだ構成要素は、故障の前に振動し得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、品質チェックモジュール342はまた、品質チェックモジュール342内の1つまたはそれ以上の構成要素内の音(例えば、雑音)を測定するように構成される音響センサ466を含み得る。音響センサ466は、コンピュータ454、コンピュータ339、および/または検査室コンピュータ126(図1)に伝送される雑音または音データを生成し得る。雑音データは、障害を予測するため、および/またはAIアルゴリズム132を訓練するために、AIアルゴリズム132に入力される。過剰な雑音は、品質チェックモジュール342における差し迫った障害を示す。例えば、消耗している構成要素および/または緩んだ構成要素は、それらが障害を起こす前に、過剰な雑音を発生させ得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、品質チェックモジュール342はまた、品質チェックモジュール342内の1つまたはそれ以上の構成要素内の温度を測定する温度センサ468を含み得る。温度センサ468はまた、品質チェックモジュール342内の周囲空気温度を測定し得る。温度センサ468は、コンピュータ454、コンピュータ339、および/または検査室コンピュータ126(図1)に伝送される温度データを生成し得る。温度データは、AIアルゴリズム132へ入力される。過剰な温度または低温度は、品質チェックモジュール342または診断検査室システム100(図1)内の他の構成要素における差し迫った障害を予測するために、AIアルゴリズム132によって使用される。例えば、障害を起こす寸前の構成要素は、高温または低温で動作し得る。加えて、品質チェックモジュール342が高温で動作されるとき、その中の構成要素は、早期の障害を起こすことがあり得る。温度はまた、AIアルゴリズム132を訓練するために使用される。
【0049】
いくつかの実施形態において、品質チェックモジュール342はまた、品質チェックモジュール342内の周囲空気湿度を測定するように構成される湿度センサ469を含み得る。湿度センサ469は、コンピュータ454、コンピュータ339、および/または検査室コンピュータ126(図1)に伝送される湿度データを生成し得る。湿度データは、AIアルゴリズム132へ入力される。過剰な湿度または低湿度は、品質チェックモジュール342または診断検査室システム100(図1)内の他の構成要素における差し迫った障害を予測するために、AIアルゴリズム132によって使用される。例えば、品質チェックモジュール342が高湿度で動作されるとき、その中の構成要素は、早期の障害を起こすことがあり得る。湿度データはまた、AIアルゴリズム132を訓練するために使用される。
【0050】
いくつかの実施形態において、品質チェックモジュール342は、撮像場所にあるとき検体容器102を照明するように構成される1つまたはそれ以上の照明源470を含み得る。図4の実施形態において、品質チェックモジュール342は、第1の照明源470A、第2の照明源470B、および第3の照明源470Cと個々に称される3つの照明源470を含み得る。照明源470は、例えば、コンピュータ454によって生成される命令によってオフおよびオンにされる。理想の状況では、照明源470は、既定のスペクトルを有する光の既定の強度を出力する。照明源が障害に直面するとき、光強度および/またはスペクトルは、変化し得る。
【0051】
図4に例証される実施形態において、品質チェックモジュール342は、3つの撮像デバイス452を含む。他のモジュール、および撮像モジュールの他の実施形態は、より少ないまたはより多い撮像デバイスを含み得る。撮像デバイス452は、センサ342Aのうちの1つまたはそれ以上を構成し得、撮像デバイス452によって生成される画像データは、AIアルゴリズム132のためのセンサデータとしての役割を果たし得る。撮像デバイス452は、撮像場所において検体容器102および他の物体の画像を取り込む。撮像デバイス、またはそれと関連付けられたプロセッサは、この画像を、本明細書に説明されるようにAIアルゴリズム132によって分析される画像データに変換する。
【0052】
AIアルゴリズム132は、品質チェックモジュール342および/または診断検査室システム100(図1)内の構成要素における障害を予測するために、撮像デバイス452によって生成される画像データを分析し得る。画像データはまた、検体210(図2A-2B)の分析を実施するために他のアルゴリズムによって使用される。例えば、画像データは、検体210内の分析物濃度を決定するために使用される。他の実施形態において、画像データは、検体210が分析のための状態にあるかどうかを決定するために使用される。例えば、画像データの分析は、溶血、黄疸、および/または脂肪血症のうちの少なくとも1つが検体内に存在するかどうかを決定し得る。分析はまた、検体が、今後の分析に悪影響を及ぼし得る凝血塊、気泡、または発泡体を有するかどうかを決定し得る。画像データおよび/または分析の結果は、障害を予測するため、および/またはAIアルゴリズム132を訓練するために、AIアルゴリズム132に入力される。
【0053】
いくつかの実施形態において、画像データは、高さHSP(図2)、高さHGS、および/または高さHRを識別するために使用される。高さは、血清もしくは血漿210A(図2B)および/または凝血塊210B(図2B)の体積を計算するために使用される。体積情報は、1つまたはそれ以上のモジュールの起こり得る今後の障害を決定するためにAIアルゴリズム132によって分析される。例えば、血清または血漿210Aの低い高さHSPは、遠心分離モジュールが検体を完全に遠心分離していないこと、または遠心分離デバイスが機能しなくなり始めていることを示す。高さHSP、高さHGS、および/または高さHRは、プローブまたは同様のものが血清または血漿210Aを吸引するために検体容器102内へ延び得る距離を計算するために個々に、またはまとめて使用される。高さHSP、高さHGS、および/または高さHRはまた、AIアルゴリズム132を訓練するためのデータとして使用される。
【0054】
再び図3を参照すると、機器318は、他のモジュールを含み得る。図3に例証される実施形態において、機器318は、1つまたはそれ以上のセンサ344Aを含み得る吸引および投薬モジュール344を含み得る。吸引および投薬モジュール344の実施形態のブロック図を例証する図5をさらに参照する。吸引および/または投薬モジュールの他の実施形態が、診断検査室システム100(図1)および/または機器318において使用される。
【0055】
吸引および投薬モジュール344は、機器318が、例えば、化学分析を実施することを可能にするために、検体(例えば、検体210)、試薬、および同様のものを吸引および投薬し得る。吸引および投薬モジュール344は、吸引および投薬モジュール344内でピペットアセンブリ552を動かすように構成されるロボット550を含み得る。図5の実施形態において、ピペットアセンブリ552のプローブ552Aは、試薬パケット556から試薬554を吸引するところが示される。検体容器102は、図5では、キャップ除去モジュール(図示せず)などによって取り外されるキャップ208(図2)を伴って示される。ピペットアセンブリ552はまた、検体容器102から血清または血漿210Aを吸引するように構成される。
【0056】
試薬554、他の試薬、および血清または血漿210Aの一部分は、キュベット558などの反応ベッセル内へ投薬される。キュベット558は、断面が矩形であるものとして示される。しかしながら、キュベット558は、実施されることになる分析に応じて他の形状を有し得る。いくつかの実施形態において、キュベット558は、数マイクロリットルの液体を保持するように構成される。キュベット558は、本明細書に説明されるような光分析のための光を透過させる材料で作られる。いくつかの実施形態において、材料は、例えば、180nm~2000nmのスペクトル(例えば、波長)を有する光を透過させ得る。血清または血漿210Aの一部分のみが、キュベット558内へ投薬され、血清または血漿210Aの他の部分は、他のキュベット(図示せず)内へ投薬されるということに留意されたい。加えて、他の試薬が、キュベット558内へ投薬される。
【0057】
吸引および投薬モジュール344のいくつかの構成要素は、コンピュータ560に電気的に連結される。図5の実施形態において、コンピュータ560は、プロセッサ560Aおよびメモリ560Bを含み得る。プログラム560Cは、メモリ560Bに記憶され、プロセッサ560A上で実行される。コンピュータ560はまた、メモリ560Bに記憶されるプログラム560Cなどのプログラムによって制御される位置制御器560Eおよび吸引/投薬制御器560Dを含み得る。いくつかの実施形態において、コンピュータ560およびその中の構成要素は、機器コンピュータ339(図3)および/または検査室コンピュータ126(図1)内に実装される。位置制御器560Eおよび/または吸引/投薬制御器560Dは、いくつかの実施形態において、別個のデバイス内に実装される。
【0058】
プログラム560Cは、位置制御器560Eおよび/または吸引/投薬制御器560Dなど、吸引および投薬モジュール344内の構成要素を制御および/または監視するアルゴリズムを含み得る。本明細書に説明されるように、構成要素のうちの1つまたはそれ以上は、プログラム560Cのうちの1つによって監視される1つまたはそれ以上のセンサを含み得る。まとめて図5に説明されるセンサは、センサ344A(図3)である。いくつかの実施形態において、プログラム560Cのうちの少なくとも1つは、AIアルゴリズム132(図3)などの人工知能アルゴリズムを含み得る。いくつかの実施形態において、センサによって生成されるデータは、吸引および投薬モジュール344ならびに/または診断検査室システム100(図1)内の他の構成要素における障害を予測し得るAIアルゴリズムに伝送される。
【0059】
ロボット550は、吸引および投薬モジュール344内でピペットアセンブリ552を動かすように構成される1つまたはそれ以上のアームおよびモータを含み得る。図5の実施形態において、ロボット550は、第1のモータ564とピペットアセンブリ552との間に連結されるアーム562を含み得る。第1のモータ564は、コンピュータ560に電気的に連結され、位置制御器560Eから命令を受信し得る。命令は、第1のモータ564の方向および速度に関して第1のモータ564に指示し得る。第1のモータ564は、アーム562を動かして、プローブ552Aが本明細書に説明されるように検体および/または試薬を吸引および/または投薬することを可能にするように構成される。
【0060】
第1のモータ564は、第1のモータ564によって引かれる電流を測定するように構成される電流センサ566を含み得るか、またはこれと関連付けられる。電流センサ566によって生成されるデータ(例えば、測定した電流)は、コンピュータ560に転送される。例えば、測定した電流は、AIアルゴリズム132(図3)へ入力されるデータである。AIアルゴリズム132は、吸引および投薬モジュール344ならびに/または診断検査室システム100(図1)における1つまたはそれ以上の障害を予測するために、測定した電流を入力として使用し得る。測定した電流はまた、AIアルゴリズム132を訓練するために使用される。
【0061】
第2のモータ568は、アーム562とピペットアセンブリ552との間に連結され、本明細書に説明されるように吸引および/または投薬するためにプローブ552Aを垂直方向(例えば、Z方向)に動かすように構成される。第2のモータ568は、プログラム560Cによって生成される命令に応答してプローブ552Aを動かし得る。例えば、第2のモータ568は、プローブ552Aが、検体容器102、キュベット558、および/または試薬パケット556内へ降下すること、およびそこから後退することを可能にし得る。次いで、液体が、本明細書に説明されるように吸引および/または投薬される。
【0062】
第2のモータ568は、第2のモータ568によって引かれる電流を測定するように構成される電流センサ570を含み得るか、またはこれと関連付けられる。電流センサ570によって生成されるデータ(例えば、測定した電流)は、コンピュータ560に転送される。測定した電流は、AIアルゴリズム132(図3)へ入力されるデータである。AIアルゴリズム132は、吸引および投薬モジュール344ならびに/または診断検査室システム100(図1)における1つまたはそれ以上の障害を予測するために、測定した電流を入力として使用し得る。測定した電流はまた、AIアルゴリズム132を訓練するために使用される。
【0063】
吸引および投薬モジュール344はまた、振動センサ572および位置センサ574を含み得る。図5の実施形態において、振動センサ572および位置センサ574は、ロボット550に機械的に連結される。いくつかの実施形態において、振動センサ572および/または位置センサ574は、吸引および投薬モジュール344内の他の構成要素に連結される。吸引および投薬モジュール344は、他の振動センサおよび位置センサを含み得る。
【0064】
振動センサ572は、ロボット550内の振動を測定し、振動データを測定するように構成される。振動データは、コンピュータ560に伝送され、最終的には、AIアルゴリズム132(図1)に入力されるデータであり、吸引および投薬モジュール344ならびに/または診断検査室システム100(図1)における障害を予測するために使用される。例えば、過剰な振動は、ロボット550および/または他の構成要素における差し迫った障害を示す。いくつかの実施形態において、振動データは、AIアルゴリズム132を訓練するために使用される。
【0065】
位置センサ574は、ロボット550の1つまたはそれ以上の構成要素、または、ピペットアセンブリ552などの、吸引および投薬モジュール344内の他の構成要素の位置を検知するように構成される。図5の実施形態において、位置センサ574は、アーム562、ピペットアセンブリ552、および/またはプローブ552Aの位置を測定し得、位置データを生成し得る。位置データは、コンピュータ560に伝送され、最終的には、AIアルゴリズム132(図1)に入力されるデータであり、吸引および投薬モジュール344ならびに/または診断検査室システム100(図1)における障害を予測するために使用される。例えば、一貫性のない位置データは、ロボット550および/または他の構成要素内で故障している構成要素が動いていることを示す。いくつかの実施形態において、位置データは、AIアルゴリズム132を訓練するために使用される。
【0066】
吸引および投薬モジュール344はまた、導管580に機械的に連結され、吸引/投薬制御器560Dに電気的に連結されるポンプ578を含み得る。ポンプ578は、液体を吸引するために導管580内に真空または負圧(例えば、吸引圧)を生成し得る。ポンプ578は、液体を投薬するために導管580内に正圧(例えば、投薬圧)を生成し得る。
【0067】
圧力センサ582は、導管580内の圧力を測定し、圧力データを生成し得る。いくつかの実施形態において、圧力センサ582は、吸引圧を測定し、圧力データを生成するように構成される。いくつかの実施形態において、圧力センサ582は、投薬圧を測定し、圧力データを生成するように構成される。圧力データは、時間の関数としての、および以下に図6に関連して説明されるような、圧力トレースの形態にある。圧力データは、コンピュータ560に伝送され、ポンプ578を制御するために吸引/投薬制御器560Dによって使用される。圧力データはまた、ピペットアセンブリ552および/または診断検査室システム100における1つまたはそれ以上の差し迫った障害を予測するために、AIアルゴリズム132(図1)へ入力される。圧力データはまた、AIアルゴリズム132を訓練するために使用される。
【0068】
1つまたはそれ以上の実施形態による、機能している吸引/投薬システムおよび障害のある吸引/投薬システムを示す、検体を吸引するピペットアセンブリの圧力トレースを例証する図6をさらに参照する。吸引/投薬システムは、ポンプ578、導管580、および/またはピペットアセンブリ552を含む。圧力トレース602は、吸引中に高真空を示す機能している吸引/投薬システムのトレースを例証する。圧力トレース604は、障害のある吸引/投薬システムのトレースを例証する。圧力トレース604は、低真空を示し、これは、導管580内の漏れ、弱いポンプ、ピペットアセンブリ552が検体に充分に入っていないこと、および/または他の障害を示すものであり、これらは、AIアルゴリズム132(図1)によって予測される。投薬動作の間、障害のある吸引/投薬システムは、低い圧力を有することになる。圧力トレースは、吸引および投薬モジュール344ならびに/または診断検査室システム100における障害を予測するためにAIアルゴリズム132(図1)へ入力されるデータである。圧力トレースはまた、AIアルゴリズム132を訓練するために使用される。
【0069】
再び図5を参照すると、吸引および投薬モジュール344はまた、温度センサ584および/または湿度センサ586を含み得る。温度センサ584は、吸引および投薬モジュール344内の、周囲温度などの温度を測定し得、温度データを生成し得る。湿度センサ586は、吸引および投薬モジュール344内の、周囲湿度などの湿度を測定し得、湿度データを生成し得る。温度データおよび湿度データは、コンピュータ560に転送され得、最終的には、温度および/または湿度データに少なくとも部分的に基づいて1つまたはそれ以上の障害を予測し得るAIアルゴリズム132に入力されるデータである。温度データおよび/または湿度データは、AIアルゴリズム132を訓練するために使用される。周囲温度および/または湿度は、1つまたはそれ以上の障害を早め得る。例えば、吸引および投薬モジュール344が、異常な湿度および/または温度で動作されるとき、吸引および投薬モジュール344内の特定の構成要素は、早期障害を起こすことがあり得、これはAIアルゴリズム132によって予測される。
【0070】
分析器モジュール346(図3)の実施形態を描写するブロック図を例証する図7をさらに参照する。図7に示される分析器モジュール346は、診断検査室システム100において用いられる分析器モジュールの多くの異なる実施形態のうちの1つの例である。図7に描写される分析器モジュール346は、キュベット558内の液体558Aに対して分析(例えば、光分析)を実施する。分析器モジュール346は、プロセッサ760Aと、プロセッサ760Aによって実行可能なプログラム760Cを記憶し得るメモリ760Bとを有する、コンピュータ760を含み得る。分析器モジュール346の構成要素は、プログラム760Cによって制御され、その構成要素によって生成されるデータは、プログラム760Cによって分析および/または処理される。
【0071】
分析器モジュール346は、液体558Aの1つもしくはそれ以上の画像を取り込み、液体558A、および/または液体558Aによって反射される、もしくはこれを通過する光を表す画像データを生成するように構成される撮像デバイス762を含み得る。例えば、撮像デバイス762は、キュベット558が分析器モジュール346内の撮像場所に位置するとき、撮像デバイス762が液体558Aの少なくとも一部分を取り込むことを可能にする視野762Aを有し得る。画像データは、プログラム760Cによって処理される。画像データはまた、分析器モジュール346および/または診断検査室システム100(図1)における障害を予測するためにAIアルゴリズム132(図1)に入力されるデータである。
【0072】
分析器モジュール346は、前面照明源764および背面照明源766を含み得る。前面照明源764は、撮像デバイス762に対してキュベット558の前面を照明するために前面照明パターン764Aで光を放出するように構成される。前面照明源764は、コンピュータ760に電気的に連結され、プロセッサ760Aによって実行されるプログラム760Cによって生成される命令によって動作される。いくつかの実施形態において、前面照明源764によって放出される光の強度およびスペクトルは、プログラム760Cによって制御される。液体558Aから反射される光は、撮像デバイス762によって取り込まれる。取込画像を表す画像データは、液体558A中の1つまたはそれ以上の分析物の存在および/または濃度を決定するために、コンピュータ760または別のコンピュータによって分析される。他の分析も実施される。
【0073】
背面照明源766は、背面照明光パターン766Aによって、撮像デバイス762に対してキュベット558の背面を照明するように構成される。いくつかの実施形態において、背面照明光パターン766Aは、実質的に平面である。例えば、背面照明源766は、光パネルである。背面照明光パターン766Aは、背面照明源766によって放出される光が液体558Aを通過するように提供する。背面照明源766は、コンピュータ760に電気的に連結され、プロセッサ760Aによって実行される1つまたはそれ以上のプログラム760Cによって生成される命令によって動作される。いくつかの実施形態において、背面照明源766によって放出される光の強度およびスペクトルは、1つまたはそれ以上のプログラム760Cによって制御される。液体を通過する光は、液体558Aの画像を取り込むために撮像デバイス762によって使用される。取込画像を表す画像データは、液体558A中の1つまたはそれ以上の分析物の存在および/または濃度を決定するために、コンピュータ760または別のコンピュータによって分析される。他の分析も実施される。
【0074】
いくつかの実施形態において、撮像デバイス762、撮像デバイス452(図4)、および/または他の撮像デバイスは、光強度を測定するように構成される。いくつかの実施形態において、撮像デバイス762、撮像デバイス452、および/または他の撮像デバイスは、光周波数(例えば、スペクトル)を測定するように構成される。光周波数および/または光強度は、AIアルゴリズム132へのデータ入力である。
【0075】
撮像デバイス762によって生成される画像データは、AIアルゴリズム132へ入力され、そこで、この画像データは、分析器モジュール346または診断検査室システム100(図1)内の別の構成要素における障害を予測するために使用される。液体558Aの分析はまた、分析器モジュール346または診断検査室システム100内の別の構成要素における障害を予測するために、AIアルゴリズム132によって使用される。例えば、分析が、分析物濃度上昇を一貫して示す場合、AIアルゴリズム132は、上昇が構成要素障害に起因するものであり、連続して上昇している検体内の濃度に起因するものではないことを決定する。構成要素障害は、例えば、障害のある前面照明源764、障害のある背面照明源766、障害のある撮像デバイス762、障害のある遠心分離、および診断検査室システム100(図1)内の他の構成要素またはプロセスである。
【0076】
図1および図3を参照すると、AIアルゴリズム132は、単純なルックアップテーブルではなく、むしろ、教師あり学習または教師なし学習によって訓練されるモデルを含み得る。教師あり学習は、例となる入力-出力ペアに基づいて入力を出力にマッピングする関数を学習する機械学習タスクを含む。教師あり学習は、訓練例のセットからなるラベル付き訓練データから関数を推測する。ラベル付き訓練データは、AIアルゴリズム132を訓練するために入力として使用される既知のセンサデータ(例えば、センサ出力)などの関数を含む。教師あり学習において、各例は、センサからのデータ(典型的には、ベクトル)などの入力オブジェクト、および所望の出力値(監視信号とも呼ばれる)からなるペアである。出力値は、既定の期間内に障害が発生する確率、または特定の時間に障害が発生する確率である。障害は、診断検査室システム100内の特定の構成要素、機器118、および/またはモジュール120に対するものである。
【0077】
教師あり学習アルゴリズムとして実装されるAIアルゴリズムは、訓練データを分析し、障害の新規の例をマッピングするために使用される、推測関数を作り出す。ルックアップテーブルおよび同様のものは、少なくとも推測関数を作り出さない。AIアルゴリズム132は、ルックアップテーブルおよび同様のものを使用して達成することができない不測の障害シナリオを決定し得る。したがって、AIアルゴリズム132は、訓練データおよび/または診断検査室システム100の動作中にセンサによって生成されるデータに基づいて不測の障害を予測するために、訓練データから一般論を導き出す。
【0078】
教師なし学習は、既存のラベルなし、および最小限の人間による監視ありのデータセット(例えば、センサデータ)内の以前に検出されなかったパターンを探すAIアルゴリズムを含み得る。人間によりラベルが付けられたデータを通常は利用する教師あり学習と対照的に、教師なし学習は、センサデータなどの入力に基づいた障害確率のモデリングを可能にする。
【0079】
教師なし学習において使用される2つの例となるプロセスは、主成分分析およびクラスタ分析である。クラスタ分析は、アルゴリズム関係を外挿するために共有属性を有するデータセット(例えば、センサデータ)をグループ化、またはセグメント化するために、教師なし学習において使用される。クラスタ分析は、ラベル付け、分類、またはカテゴリー化されていないデータ(例えば、センサデータ)をグループ化する。フィードバックに応答する代わりに、クラスタ分析は、データ内の共通性を識別し、各々の新規のセンサデータ内の共通性の存在または不在に基づいて障害を予測する。クラスタ分析は、AIアルゴリズム132が、共通性に入らない障害を予測することを可能にする。
【0080】
AIアルゴリズム132は、例えば、サポートベクトルマシン、線形回帰、ロジスティック回帰、ニューラルネットワーク、生成ネットワーク(例えば、深層生成ネットワーク)、および他のアルゴリズムとして実装される。AIアルゴリズムのための訓練アルゴリズムおよび/またはAIアルゴリズム132は、例えば、ベクトルマシン、線形回帰、ロジスティック回帰、ナイーブベイズ、線形判別分析、決定木、k最近傍アルゴリズム、ニューラルネットワーク(例えば、多層パーセプトロン)、リカレントニューラルネットワーク、および類似性学習を含み得る。
【0081】
AIアルゴリズム132は、様々な障害シナリオと相関したユーザ入力によって訓練される。例えば、センサのうちの1つまたはそれ以上からのデータは、診断検査室システム100および/または機器118もしくはモジュール120の状態を生成するためにAIアルゴリズム132内へ入力される。障害を起こした、または障害を起こしている構成要素は、AIアルゴリズム132を訓練するためにAIアルゴリズム132内へ入力される。いくつかの実施形態において、センサ測定値は、診断検査室システム100、機器118のうちの1つもしくはそれ以上、および/またはモジュール120のうちの1つもしくはそれ以上の状態を生成するためにAIアルゴリズム132内へ入力される。
【0082】
診断検査室システム100、機器118、および/またはモジュール120における障害もまた、AIアルゴリズム132内へ入力される。AIアルゴリズム132へ入力される障害は、障害のある1つもしくはそれ以上の機器、障害のある1つもしくはそれ以上のモジュール、ならびに/または、診断検査室システム100、機器118、および/もしくはモジュール120内の障害のある1つもしくはそれ以上の構成要素を含み得る。例えば、早期に故障している1つまたはそれ以上のモータまたは支承部は、特定の温度データと組み合わせた特定の音響センサデータに対応し得る。これらの対応する測定値は、微細であり、AIアルゴリズム132によって識別される。他の実施形態において、圧力トレース604(図6A)などの特定の圧力トレースは、ピペットアセンブリ552(図5)内の漏れを示す。他の例において、AIアルゴリズム132は、圧力センサ582によって測定される引かれる高電流と組み合わせて圧力トレース604を分析し、ポンプ578が障害を起こしていること、または障害が差し迫っていることを決定し得る。
【0083】
診断検査室システム100の動作中、センサデータは、定期的または連続的にAIアルゴリズム132に入力される。このデータは、AIアルゴリズム132に入力され、値のアレイの形態にあり、値は、センサからのデータ値である。AIアルゴリズム132は、そのデータを使用して、機器118、モジュール120、および/または診断検査室分析器100内の他の構成要素における障害を予測し得る。AIアルゴリズムはまた、そのデータを使用して、診断検査室分析器100、機器118、および/またはモジュール120の状態を決定し得る。診断検査室分析器100を保守する技術者は、構成要素の状態をAIアルゴリズム132内へ入力し得、これによりAIアルゴリズム132をさらに訓練し得る。例えば、技術者は、支承部、モータ、導管、および他の機械構成要素の状態を示し得る。技術者はまた、撮像デバイス452(図4)などの撮像デバイス、または照明源470(図4)などの照明源にほこりが存在するかどうかを示し得る。技術者はまた、撮像構成要素が整列していないかどうかを示し得る。技術者はまた、ロボット550(図5)などのロボット、およびピペットアセンブリ552などのピペットアセンブリの状態を示し得る。診断検査室システム100の状態と併せて技術者によって入力されるこのようなデータは、診断検査室システム100における障害を予測するためにAIアルゴリズム132をさらに訓練し得る。
【0084】
AIアルゴリズム132は、異なる障害予測を行い得る。これらの予測は、通知および/またはアラートの形態などで、診断検査室システム100のユーザに出力される。いくつかの実施形態において、AIアルゴリズム132は、診断検査室システム100が既定の時間期間内に障害を起こす見込み、例えば既定の確率またはリスクスコア、が存在することを予測し得る。確率が既定の値よりも大きいことに応答して、AIアルゴリズム132は、ユーザに差し迫った障害を通知し得る。例えば、AIアルゴリズム132は、診断検査室システム100が7日以内に障害を起こす85%の見込みが存在することを予測し得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、AIアルゴリズム132は、診断検査室システム100内の1つまたはそれ以上の構成要素、機器118、および/またはモジュール120に対する障害の確率を予測し得る。障害の確率は、既定の時間期間内のものである。例えば、AIアルゴリズム132は、第2の機器118Bが次の7日間で障害を起こす85%の確率が存在することを決定し得る。いくつかの実施形態において、AIアルゴリズム132は、機器118および/またはモジュール120の特定の構成要素内の障害の確率を予測し得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、AIアルゴリズム132は、特定の構成要素がいつ障害を起こすかに関する確率を予測し得る。例えば、AIアルゴリズム132は、構成要素がいつ85%よりも大きい障害を起こす見込みを有するかを予測し得る。故に、AIアルゴリズム132は、特定の構成要素がいつ障害を起こす可能性が高いかを示すリストを生成し得る。
【0087】
診断検査室システム(例えば、診断検査室システム100)における障害を予測する方法800を描写するフローチャートを例証する図8を参照する。方法800は、802において、1つまたはそれ以上のセンサ(例えば、センサ338A、340A、342A、344A、336A)を提供することを含む。方法800は、804において、1つまたはそれ以上のセンサを使用してデータを生成することを含む。方法800は、806において、データを人工知能アルゴリズム(例えば、人工知能アルゴリズム132)内へ入力することを含み、人工知能アルゴリズムは、そのデータに応答して診断検査室システムにおける少なくとも1つの障害を予測するように構成される。本方法は、808において、人工知能アルゴリズムを使用して診断検査室システムにおける少なくとも1つの障害を予測することを含む。
【0088】
診断検査室システム(例えば、診断検査室システム100)内のモジュール(例えば、モジュール120のうちの1つ、1つまたはそれ以上のモジュール336)の構成要素における障害を予測する方法900を描写するフローチャートを例証する図9を参照する。方法900は、902において、診断検査室システムのモジュール内に1つまたはそれ以上のセンサ(例えば、センサ338A、340A、342A、344A、336A)を提供することを含む。方法900は、904において、1つまたはそれ以上のセンサを使用してデータを生成することを含む。方法900は、906において、データを人工知能アルゴリズム(例えば、人工知能アルゴリズム132)内へ入力することを含み、人工知能アルゴリズムは、そのデータに応答して構成要素の障害を予測するように構成される。方法900は、908において、人工知能アルゴリズムを使用して構成要素における障害の確率を予測することを含む。
【0089】
本開示は、様々な修正形態および代替の形態の影響を受けやすいが、特定の方法および装置の実施形態が、図面において例を用いて示されており、また本明細書に詳細に説明される。しかしながら、本明細書に開示される特定の方法および装置は、本開示を制限することではなく、それと対照的に、クレームの範囲内に入るすべての修正形態、等価物、および代替形態を網羅することが意図されることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】