(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ハイブリッドアメボサイト溶解物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/57 20060101AFI20240208BHJP
C12N 5/07 20100101ALI20240208BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240208BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240208BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240208BHJP
C12N 9/64 20060101ALI20240208BHJP
C12Q 1/37 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C12N15/57
C12N5/07 ZNA
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N9/64 Z
C12Q1/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547657
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022016185
(87)【国際公開番号】W WO2022174082
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505350260
【氏名又は名称】チャールズ リバー ラボラトリーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウェインライト,ノーマン,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ツチヤ,マサカズ
(72)【発明者】
【氏名】ダブチャック,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン,フォスター,ティー.
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ06
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4B065BD02
4B065BD15
4B065BD18
4B065CA24
4B065CA27
4B065CA46
(57)【要約】
本発明は、概して、ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物(天然成分及び組換え成分の両方を含む)、並びに試料中のエンドトキシンの検出及び/又は定量におけるその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物であって、前記組成物が:
(i)天然カブトガニアメボサイト溶解物;並びに
(ii)組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素
を含む、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、組換えカブトガニ因子B及び組換えカブトガニプロ凝固酵素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物であって、前記組成物が:
(i)天然カブトガニ因子C;
(ii)天然カブトガニ因子B;
(iii)天然カブトガニプロ凝固酵素;並びに
(iv)組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素
を含む、組成物。
【請求項4】
前記組成物が、組換えカブトガニ因子B及び組換えカブトガニプロ凝固酵素を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物であって、前記組成物が:
(i)カブトガニ因子C;
(ii)カブトガニ因子B;及び
(iii)カブトガニプロ凝固酵素;
を含み、
(a)カブトガニ因子Cに対するカブトガニ因子Bの比が、天然カブトガニアメボサイト溶解物におけるカブトガニ因子Cに対するカブトガニ因子Bの比よりも大きく、及び/又は(b)カブトガニ因子Cに対するカブトガニプロ凝固酵素の比が、天然カブトガニアメボサイト溶解物におけるカブトガニ因子Cに対するカブトガニプロ凝固酵素の比よりも大きい、組成物。
【請求項6】
カブトガニ因子Cに対するカブトガニ因子Bの比が、天然カブトガニアメボサイト溶解物におけるカブトガニ因子Cに対するカブトガニ因子Bの比よりも大きく、及びカブトガニ因子Cに対するカブトガニプロ凝固酵素の比が、天然カブトガニアメボサイト溶解物におけるカブトガニ因子Cに対するカブトガニプロ凝固酵素の比よりも大きい、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が組換えカブトガニ因子Cを含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、約0.05~約1U/mLの組換えカブトガニ因子Bを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、約0.1~約0.5U/mLの組換えカブトガニ因子Bを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、約0.05~約2,000U/mLの組換えプロ凝固酵素を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、約50~約200U/mLの組換えプロ凝固酵素を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、エンドトキシンの検出において天然カブトガニアメボサイト溶解物と実質的に同じ感度を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、エンドトキシンの検出において天然カブトガニアメボサイト溶解物よりも高い感度を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記カブトガニのアメボサイト溶解物が、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)又はタキプレウス(Tachypleus)アメボサイト溶解物である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記カブトガニ因子Bが、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)又はタキプレウス(Tachypleus)因子Bである、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記カブトガニプロ凝固酵素が、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)又はタキプレウス(Tachypleus)プロ凝固酵素である、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記カブトガニ因子Cが、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)又はタキプレウス(Tachypleus)因子Cである、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組換えカブトガニ因子B及び/又は前記組換えカブトガニプロ凝固酵素が、哺乳動物細胞において発現される、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記哺乳動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)又はヒト胚性腎臓(HEK)細胞である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組換え因子B及び/又は前記組換えプロ凝固酵素が、前記天然カブトガニアメボサイト溶解物中に存在する前記因子B及び/又は前記プロ凝固酵素とは異なるグリコシル化を有する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
エンドトキシン検出試薬を調製するための方法であって、組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素を天然カブトガニアメボサイト溶解物に添加することを含む、方法。
【請求項22】
前記方法が、組換えカブトガニ因子B及び組換えカブトガニプロ凝固酵素を、前記天然カブトガニアメボサイト溶解物に添加することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
天然カブトガニアメボサイト溶解物のエンドトキシン感受性を増加させるための方法であって、前記天然カブトガニアメボサイト溶解物に、組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素を添加し、それによって、前記天然カブトガニアメボサイト溶解物の前記エンドトキシン感受性を増加させることを含む、方法。
【請求項24】
前記方法が、組換えカブトガニ因子B及び組換えカブトガニプロ凝固酵素を、前記天然カブトガニアメボサイト溶解物に添加することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
エンドトキシンを検出するのに必要な天然カブトガニアメボサイト溶解物の量を減少させるための方法であって、(i)前記天然カブトガニアメボサイト溶解物を希釈することと;(ii)前記希釈された天然カブトガニアメボサイト溶解物に組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素を添加して、ハイブリッドアメボサイト溶解物を生成することとを含む、方法。
【請求項26】
前記方法が、前記希釈された天然カブトガニアメボサイト溶解物に組換えカブトガニ因子B及び組換えカブトガニプロ凝固酵素を添加することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ハイブリッドアメボサイト溶解物が、エンドトキシンの検出において前記天然カブトガニアメボサイト溶解物と実質的に同じか、又はより高い感度を有する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、又は配列番号16の配列を含む、単離された核酸。
【請求項29】
プロモーターに作動可能に連結された請求項28に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項30】
請求項29に記載の発現ベクターを含む宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)。
【請求項31】
組換えカブトガニ因子Cタンパク質の製造方法であって:
(a)グリコシルトランスフェラーゼ酵素を除去するように操作された宿主細胞において、前記組換えカブトガニ因子Cをコードする核酸配列を発現させることと;
(b)前記宿主細胞で発現された前記組換え因子Cを精製することと
を含む、方法。
【請求項32】
前記宿主細胞がHEK293又はCHO細胞である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記グリコシルトランスフェラーゼがN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼである、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
請求項31~33のいずれか一項に記載の方法によって製造される、組換えカブトガニ因子Cタンパク質。
【請求項35】
前記因子Cが(α-2,3)-結合末端シアル酸を含まない、請求項34に記載の組換え因子C。
【請求項36】
エンドトキシン検出試薬を調製する方法であって、請求項34又は35に記載の組換えカブトガニ因子Cを、組換えカブトガニ因子B及び組換えカブトガニプロ凝固酵素を含む組成物に混合することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年2月12日に出願された米国仮特許出願第63/148,916号の利益及び優先権を主張し、その開示は、全目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
[0002] 本発明は一般に、試料中のエンドトキシンを検出及び/又は定量するための方法及び組成物に関する。より詳細には、本発明は、ハイブリッドアメボサイト溶解物(天然成分及び組換え産生成分を含む)、並びに試料中のエンドトキシンを検出及び/又は定量するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 例えば、グラム陰性菌による微生物汚染は、重篤な病気を引き起こすことがあり、場合によっては、ヒトにおいて死に至ることさえある。特定の産業、例えば、製薬、医療機器、及び食品産業の製造業者は、それらの製品がさもなければレシピエントの健康を損なうであろうレベルの微生物汚染物質を含まないことを検証するために、正確な基準を満たさなければならない。これらの産業は、特定の基準、例えば、米国食品医薬品局(USFDA)又は環境保護庁によって課された基準を満たすために、そのような微生物汚染物質の存在について頻繁で、正確で、高感度の試験を必要とする。例として、USFDAは、その製品が検出可能なレベルのグラム陰性菌エンドトキシンを含まないことを確立するために、医薬品及び侵襲性医療機器の特定の製造業者を必要とする。
【0004】
[0004] さらに、人々がグラム陰性菌に感染すると、細菌は発熱を誘発する細菌エンドトキシンを産生及び分泌し得る。細菌エンドトキシンはヒトにとって危険であり、致命的でさえあり得る。感染症の症状は、軽症例では発熱から、死亡まで様々であり得る。適切な医療処置を迅速に開始するためには、通常、エンドトキシンの存在、及び可能であれば、患者におけるエンドトキシンの濃度を、可能な限り早期に同定することが重要である。
【0005】
[0005] 今日まで、試験試料中のエンドトキシンの存在及び/又は量を検出するために、様々なアッセイが開発されてきた。アッセイの1つのファミリーは、甲殻類、例えば、カブトガニの血リンパから調製された血球溶解物を使用する。これらのアッセイは、典型的には、何らかの方法で、血球溶解物がエンドトキシンに曝露されたときに生じる凝固カスケードを利用する。現在好ましい血球溶解物は、カブトガニ、例えば、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)、カブトガニ(Tachypleus tridentatus)、ミナミカブトガニ(Tachypleus gigas)、及びマルオカブトガニ(Carcinoscorpius rotundicauda)の血リンパから生成されるアメボサイト溶解物(AL)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] これらのアッセイは、カブトガニから採取された血液を使用し、これは、この実施の生態学的持続可能性に対する懸念をもたらした。しかしながら、今日まで、完全合成又は組換えアメボサイト溶解物試薬は、性能において天然アメボサイト溶解物に匹敵するものではない(Dubczak et al. (2021) Eur. J. Phrm. Sci. 159:105716)。したがって、天然由来のアメボサイト溶解物と同じレベルの感度及び精度でエンドトキシンを適切に検出しながら、カブトガニ集団の負担を軽減する新しい試薬が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
[0007] 本発明は、部分的には、ハイブリッドアメボサイト溶解物を生成するための組換え因子B及び/又は組換えプロ凝固酵素の天然アメボサイト溶解物、例えば、希釈された天然アメボサイト溶解物への添加が、試料中のエンドトキシンを検出するのに必要な天然アメボサイト溶解物の量を減少させることができ、その一方で、エンドトキシンに対する天然アメボサイト溶解物の感度及び/又は活性を維持するか、又はある場合には、それを超えることさえできるという発見に基づく。さらに、本明細書に記載されるハイブリッドアメボサイト溶解物は、天然に存在するエンドトキシンを検出する際に、完全組換え試薬よりも優れており、天然アメボサイト溶解物に匹敵するか、又はそれよりも優れていることが発見された。
【0008】
[0008] したがって、一態様では、本発明は、ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物を提供する。この組成物は、天然カブトガニアメボサイト溶解物を含む。この組成物はまた、組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素を含む。
【0009】
[0009] 別の態様では、本発明は、ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物を提供する。この組成物は、天然カブトガニ因子C、天然カブトガニ因子B、及び天然カブトガニプロ凝固酵素を含む。この組成物はまた、組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素を含む。
【0010】
[0010] 別の態様では、本発明は、ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物を提供する。この組成物は、カブトガニ因子C、カブトガニ因子B、及びカブトガニプロ凝固酵素を含み、(a)カブトガニ因子Cに対するカブトガニ因子Bの比は、天然カブトガニアメボサイト溶解物におけるカブトガニ因子Cに対するカブトガニ因子Bの比よりも大きく、及び/又は(b)カブトガニ因子Cに対するカブトガニプロ凝固酵素の比は、天然カブトガニアメボサイト溶解物におけるカブトガニ因子Cに対するカブトガニプロ凝固酵素の比よりも大きい。
【0011】
[0011] 前述のハイブリッドアメボサイト溶解物組成物のいずれかの特定の実施形態では、組成物は、組換えカブトガニ因子Cを含まない。
【0012】
[0012] 前述のハイブリッドアメボサイト溶解物組成物のいずれかの特定の実施形態では、組成物は、約0.05~約1U/mL、例えば、約0.1~約0.5U/mLの組換えカブトガニ因子Bを含む。
【0013】
[0013] 前述のハイブリッドアメボサイト溶解物組成物のいずれかの特定の実施形態では、組成物は、0.05~約2,000U/mL、例えば、約50~約200U/mLの組換えプロ凝固酵素を含む。
【0014】
[0014] 前述のハイブリッドアメボサイト溶解物組成物のいずれかの特定の実施形態では、組成物は、エンドトキシンの検出において、天然カブトガニアメボサイト溶解物と実質的に同じ又はより高い感度を有する。特定の実施形態において、組成物は、4℃で3、4、5、6、7、又は8時間保存した場合、実質的に同じ活性を保持する。
【0015】
[0015] 前述のハイブリッドアメボサイト溶解物組成物のいずれかの特定の実施形態では、カブトガニアメボサイト溶解物は、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)アメボサイト溶解物である。特定の実施形態では、カブトガニ因子Bは、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子Bである。特定の実施形態では、カブトガニプロ凝固酵素は、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)プロ凝固酵素である。特定の実施形態では、カブトガニ因子Cは、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子Cである。
【0016】
[0016] 前述のハイブリッドアメボサイト溶解物組成物のいずれかの特定の実施形態では、カブトガニアメボサイト溶解物は、タキプレウス(Tachypleus)アメボサイト溶解物である。特定の実施形態では、カブトガニ因子Bは、タキプレウス(Tachypleus)因子Bである。特定の実施形態では、カブトガニプロ凝固酵素は、タキプレウス(Tachypleus)プロ凝固酵素である。特定の実施形態では、カブトガニ因子Cは、タキプレウス(Tachypleus)因子Cである。
【0017】
[0017] 前述のハイブリッドアメボサイト溶解物組成物のいずれかの特定の実施形態では、組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素は、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)又はヒト胎児腎臓(HEK)細胞において発現される。特定の実施形態では、組換え因子B及び/又は組換えプロ凝固酵素は、天然カブトガニアメボサイト溶解物中に存在する因子B及び/又はプロ凝固酵素とは異なるグリコシル化を有する。
【0018】
[0018] 別の態様では、本発明は、エンドトキシン検出試薬を調製するための方法を提供する。この方法は、組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素を、天然カブトガニアメボサイト溶解物に添加することを含む。
【0019】
[0019] 別の態様では、本発明は、天然カブトガニアメボサイト溶解物のエンドトキシン感受性を増加させるための方法を提供する。この方法は、天然カブトガニアメボサイト溶解物に組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素を添加し、それによって天然カブトガニアメボサイト溶解物のエンドトキシン感受性を増加させることを含む。
【0020】
[0020] 別の態様では、本発明は、エンドトキシンを検出するのに必要な天然カブトガニアメボサイト溶解物の量を減少させるための方法を提供する。この方法は、(i)天然カブトガニアメボサイト溶解物を希釈することと;(ii)希釈された天然カブトガニアメボサイト溶解物に組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素を添加して、ハイブリッドアメボサイト溶解物を生成することとを含む。
【0021】
[0021] 前述の方法のいずれかの特定の実施形態では、本方法は、組換えカブトガニ因子Cを天然カブトガニアメボサイト溶解物又は希釈された天然カブトガニアメボサイト溶解物に添加することを含まない。
【0022】
[0022] 前述の方法のいずれかの特定の実施形態では、本方法は、約0.05~約1U/mL、例えば、約0.1~約0.5U/mLの組換えカブトガニ因子Bを、天然カブトガニアメボサイト溶解物又は希釈された天然カブトガニアメボサイト溶解物に添加することを含む。
【0023】
[0023] 前述の方法のいずれかの特定の実施形態では、本方法は、0.05~約2,000U/mL、例えば、約50~約200U/mLの組換えプロ凝固酵素を、天然カブトガニアメボサイト溶解物又は希釈された天然カブトガニアメボサイト溶解物に添加することを含む。
【0024】
[0024] 前述の方法のいずれかの特定の実施形態では、本方法は、天然カブトガニアメボサイト溶解物と実質的に同じか、又はそれより高いエンドトキシン検出における感度を有する組成物をもたらす。
【0025】
[0025] 前述の方法のいずれかの特定の実施形態では、カブトガニアメボサイト溶解物は、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)アメボサイト溶解物である。特定の実施形態では、カブトガニ因子Bは、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子Bである。特定の実施形態では、カブトガニプロ凝固酵素は、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)プロ凝固酵素である。特定の実施形態では、カブトガニ因子Cは、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子Cである。
【0026】
[0026] 前述の方法のいずれかの特定の実施形態では、組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素は、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)又はヒト胎児腎臓(HEK)細胞において発現される。特定の実施形態では、組換え因子B及び/又は組換えプロ凝固酵素は、天然カブトガニアメボサイト溶解物中に存在する因子B及び/又はプロ凝固酵素とは異なるグリコシル化を有する。
【0027】
[0027] 本発明のこれら及び他の態様及び特徴は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲に記載されている。
【0028】
図面の説明
[0028] 本発明は、以下の図面を参照してより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】[0029]アメボサイトに存在する凝固系の概略図である。
【
図2】[0030]速度論的発色アッセイ(KCA)における示されたLAL試薬の相対活性を示す棒グラフである。
【
図3】[0031]速度論的発色アッセイ(KCA)における示されたLAL試薬の相対活性を示す棒グラフである。
【
図4】[0032]速度論的発色アッセイ(KCA)における示されたLAL試薬の開始時間をエンドトキシン濃度の関数として示す線グラフである。
【
図5A】[0033]速度論的比濁アッセイ(KTA)におけるハイブリッドLAL試薬の開始時間をエンドトキシン濃度の関数として示す線グラフである。
【
図5B】[0033]示されたエンドトキシン濃度でハイブリッドLAL試薬を用いたゲル血餅形成を示す表である。
【
図6A】[0034]速度論的比濁アッセイ(KTA)におけるハイブリッドLAL試薬の開始時間をエンドトキシン濃度の関数として示す線グラフである。
【
図6B】[0034]示されたエンドトキシン濃度でハイブリッドLAL試薬を用いたゲル血餅形成を示す表である。
【
図7】[0035]速度論的発色アッセイ(KCA)における示されたTAL試薬の開始時間をエンドトキシン濃度の関数として示す線グラフである。
【
図8A】[0036]本明細書に記載のハイブリッド溶解物を用いてアッセイを実施するのに有用な例示的なカートリッジの斜視図における概略図である。
【
図8B】[0036]本明細書に記載のハイブリッド溶解物を用いてアッセイを実施するのに有用な例示的なカートリッジの上面図における概略図である。
【
図8C】[0036]本明細書に記載のハイブリッド溶解物を用いてアッセイを実施するのに有用な例示的なカートリッジの側面図における概略図である。
【
図8D】[0036]本明細書に記載のハイブリッド溶解物を用いてアッセイを実施するのに有用な例示的なカートリッジの端面図における概略図である。
【
図9】[0037]反応速度論的発色アッセイ(KCA)における示された試薬の開始時間をエンドトキシン濃度の関数として示す線グラフである。
【
図10】[0038]速度論的発色アッセイ(KCA)における示された試薬の開始時間をエンドトキシン濃度の関数として示す線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
[0039] 本発明は、部分的には、組換え因子B及び/又は組換えプロ凝固酵素を天然アメボサイト溶解物に添加して、ハイブリッドアメボサイト溶解物を生成することにより、試料中のエンドトキシンを検出するのに必要な天然アメボサイト溶解物の量を減少させることができ、一方で、アメボサイト溶解物の感度及び/又は活性を維持し、又はある場合には、増加させることさえできるという発見に基づく。さらに、本明細書に記載されるハイブリッドアメボサイト溶解物は、天然に存在するエンドトキシンを検出する際に、完全組換え試薬よりも優れており、天然アメボサイト溶解物に匹敵するか、又はそれよりも優れていることが発見された。
【0031】
[0040] 本発明の様々な特徴及び態様は、以下でより詳細に論じられる。
【0032】
I.ハイブリッドアメボサイト溶解物
[0041] 本発明は、部分的には、1つ以上の天然成分(例えば、天然カブトガニアメボサイト溶解物、天然カブトガニ因子C、天然カブトガニ因子B、及び/又は天然カブトガニプロ凝固酵素)及び1つ以上の組換え成分(例えば、組換えカブトガニ因子B、組換えカブトガニプロ凝固酵素、及び/又は組換えカブトガニ因子C)を含むハイブリッドアメボサイト溶解物組成物に関する。
【0033】
[0042] 一態様では、本発明は、(i)天然カブトガニアメボサイト溶解物、並びに(ii)組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素:を含むハイブリッドアメボサイト溶解物組成物を提供する。
【0034】
[0043] 一態様では、本発明は、(i)天然カブトガニ因子C、(ii)天然カブトガニ因子B、(iii)天然カブトガニプロ凝固酵素、並びに(iv)組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素:を含むハイブリッドアメボサイト溶解物組成物を提供する。
【0035】
[0044] 一態様では、本発明は、(i)カブトガニ因子C、(ii)カブトガニ因子B、及び(iii)カブトガニプロ凝固酵素:を含むアメボサイト溶解物組成物であって、(a)カブトガニ因子Cに対するカブトガニ因子Bの比が、天然カブトガニアメボサイト溶解物におけるカブトガニ因子Cに対するカブトガニ因子Bの比よりも大きく、及び/又は(b)カブトガニ因子Cに対するカブトガニプロ凝固酵素の比が、天然カブトガニアメボサイト溶解物におけるカブトガニ因子Cに対するカブトガニプロ凝固酵素の比よりも大きいアメボサイト溶解物組成物を提供する。カブトガニ因子Cに対するカブトガニ因子Bの比、又はカブトガニ因子Cに対するカブトガニプロ凝固酵素の比は、酵素活性の比を指し得ることが理解される。酵素活性は、当技術分野で公知の方法によって(例えば、本明細書の以下の実施例1に記載されるように)測定され得る。或いは、カブトガニ因子Cに対するカブトガニ因子Bの比、又はカブトガニ因子Cに対するカブトガニプロ凝固酵素の比は、タンパク質量の比を指し得る。タンパク質量は、例えば、ウェスタンブロット、ELISA、又は280nmでの紫外線(UV)吸収を含む、当技術分野で公知の任意の方法によって測定することができる。
【0036】
[0045] 特定の実施形態では、ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物は、組換えカブトガニ因子Cを含まない。
【0037】
[0046] 特定の実施形態では、ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物は、対応する天然カブトガニアメボサイト溶解物と実質的に同じか、又はそれより高い微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)に対する感度を有する。例えば、ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物は、対応する天然カブトガニアメボサイト溶解物の感度の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、又は少なくとも400%を有し得る。アメボサイト溶解物の感度は、例えば、本明細書の以下の実施例2に記載されるように、速度論的発色アッセイ法(KCA)を含む、当技術分野で公知の任意の方法によってアッセイすることができる。
【0038】
[0047] 特定の実施形態では、参照天然アメボサイト溶解物よりも少ない粗溶解物を含む(例えば、参照天然アメボサイト溶解物の粗溶解物の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%を含む)ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物は、参照天然カブトガニアメボサイト溶解物と、微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)に対して実質的に同じか、又はより高い感度を有する。例えば、ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物は、参照天然カブトガニアメボサイト溶解物の感度の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、又は少なくとも400%を有し得る。特定の実施形態では、ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物は、(i)存在する粗溶解物の量、及び(ii)任意の組換えタンパク質の存在又は非存在を除いて、参照天然アメボサイト溶解物と実質的に同じである。アメボサイト溶解物の感度は、例えば、本明細書の以下の実施例2に記載されるように、速度論的発色アッセイ法(KCA)を含む、当技術分野で公知の任意の方法によってアッセイすることができる。
【0039】
[0048] 特定の実施形態では、ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物は、4℃で少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12時間、又は3、4、5、6、7、若しくは8時間保存した場合、実質的に同じ活性を保持する。
【0040】
A.天然カブトガニアメボサイト溶解物
[0049]
図1に示すように、血リンパの凝固系は、哺乳動物血液凝固系と同様に、エンドトキシン媒介経路(因子C経路)及び(1→3)-Β-Dグルカン媒介経路(因子G経路)を含む少なくとも2つの凝固カスケードを含む。
【0041】
[0050] 細菌エンドトキシンがLALと接触すると、エンドトキシンは、因子C、因子B、及びプロ凝固酵素と称される3つのセリンプロテアーゼ酵素前駆体を含み得る、当技術分野で因子C経路と称される一連の酵素反応を開始する(
図1参照)。簡潔に述べると、エンドトキシンに曝露されると、エンドトキシン感受性因子である因子Cが活性化される。その後、活性化された因子Cは因子Bを加水分解及び活性化し、その後、活性化された因子Bはプロ凝固酵素を活性化して凝固酵素を生成する。その後、凝固酵素は、特異的部位、例えば、コアギュロゲン、無脊椎動物、フィブリノゲン様凝固性タンパク質のArg
18-Thr
19及びArg
46-Gly
47を加水分解して、コアギュリンゲルを生成する。例えば、米国特許第5,605,806号を参照されたい。
【0042】
[0051] 酵母及びカビなどの微生物によって産生される(1→3)-Β-Dグルカン及び他のアメボサイト溶解物反応性グルカンも、当技術分野において因子G経路と称される異なる酵素経路を介して、アメボサイト溶解物の凝固カスケードを活性化することができる(
図1参照)。因子Gは、(1→3)-β-Dグルカン又は他のLAL反応性グルカンによって活性化されるセリンプロテアーゼ酵素前駆体である。例えば、(1→3)-β-Dグルカンに曝露されると、因子Gが活性化されて活性化因子Gを生成する。その後、活性化因子Gはプロ凝固酵素を凝固酵素に変換し、その際、凝固酵素はコアギュロゲンをコアギュリンに変換する。
【0043】
[0052] 本明細書で使用される場合、用語「天然カブトガニアメボサイト溶解物」は、カブトガニから抽出されたアメボサイトからの細胞内容物の溶解、押し出し、又は抽出によって生成される任意の溶解物又はその画分(例えば、因子C媒介カスケードの成分)を意味すると理解される。特定の状況下では、天然アメボサイト溶解物は、例えば、カブトガニから抽出されたアメボサイトからの細胞内容物の溶解、押し出し、又は抽出によって生成された(例えば、
図1に示されるよう)酵素カスケードの天然に存在する成分を含む。組換え酵素前駆体又はその機能的断片(例えば、組換え因子B、組換え因子C又は組換えプロ凝固酵素)を含まない天然カブトガニアメボサイト溶解物は、例えば、組換え酵素前駆体又はその機能的断片(例えば、組換え因子B、組換え因子C又は組換えプロ凝固酵素)による天然アメボサイト溶解物の補充によって、本明細書に記載されるハイブリッド溶解物を生成するために使用され得る。溶解物中に存在する、又は溶解物と混合される成分に応じて、それは、エンドトキシン、例えば、グラム陰性菌エンドトキシン及び/又はグルカン、例えば、酵母若しくはカビによって産生される(1→3)-β-Dグルカンの存在下で血餅を産生し得る。好ましいアメボサイト溶解物は、リムルス(Limulus)属に属するカブトガニ、例えば、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)、タキプレウス(Tachypleus)属に属するカブトガニ、例えば、カブトガニ(Tachypleus tridentatus)及びミナミカブトガニ(Tachypleus gigas)、並びにカルシノスコルピウス(Carcinoscorpius)属に属するカブトガニ、例えば、マルオカブトガニ(Carcinoscorpius rotundicauda)に由来することができる。
【0044】
[0053] 特定の実施形態では、天然カブトガニアメボサイト溶解物は、天然因子C、天然因子B、及び天然プロ凝固酵素のそれぞれを含む。
【0045】
B.天然カブトガニアメボサイト溶解物の作製方法
[0054] 粗溶解物は、Levin et al. (1968) Thromb. Diath. Haemorrh. 19: 186に修正を加えて、又は1990年以前の“Clinical Applications of the Limulus Amebocyte Lysate Test” CRC PRESS 28-36及び159-166、並びに米国特許第4,322,217号に記載された方法を用いて生成することができる。他の溶解物は、例えば、米国特許第6,270,982号及び6,391,570号に記載されているものを含み得る。特定の実施形態では、粗溶解物は、本明細書の以下の実施例1に記載されるように生成される。
【0046】
[0055] 米国特許第6,391,570号及び第6,270,982号に記載されている方法により生成された因子G枯渇溶解物のように、溶解物から因子G活性を除去することによってエンドトキシン特異的溶解物を生成することが可能である。また、溶解物は、因子G活性の特定の阻害剤又はモジュレーター、例えば、特定の洗浄剤、糖類、多糖類、並びに米国特許第5,155,032号;第5,179,006号;第5,318,893号;第5,474,984号;第5,641,643号;及び第6,270,982号に記載されている他の試薬を添加することによって、因子G活性を枯渇させることができると企図される。エンドトキシン特異的溶解物は、細菌エンドトキシンと反応することができる溶解物であるが、(1→3)-Β-Dグルカンに対する反応性は、エンドトキシン特異的溶解物が調製された粗溶解物に対して少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%枯渇している。
【0047】
[0056] 例えば、エンドトキシンに対する血球溶解物の感受性を高めるための方法は、限定するものではないが、粗血球溶解物を老化させること、pHを調整すること、二価カチオンの濃度を調整すること、コアギュロゲンの濃度を調整すること、クロロホルム抽出、並びに血清アルブミン、生体適合性緩衝液及び/又は生物学的洗浄剤を添加することを含むことができる。
【0048】
[0057] 当業者には明らかなように、血球溶解物のプロ凝固酵素の活性化を促進することが知られている二価金属塩、及び凝固酵素を不活性化し得る極端なpHを回避するための緩衝液が、好ましくは溶解物に含まれる。アメボサイト溶解物系に適合すると当技術分野で理解されている任意の緩衝液及び塩を使用することができる。典型的な製剤添加剤としては、限定するものではないが、約6.0~約8.0の最終pHを与えるための、約100~300mMのNaCl、約10~100mMの二価カチオン(例えば、Mg2+)、生体適合性緩衝液、例えば、トリス(トリス(ヒドロキシ)アミノメタン)を挙げることができ、溶解物が凍結乾燥される場合、糖、例えば、マンニトール又はデキストランを挙げることができる。適切な製剤添加剤の選択はまた、日常的な実験によって決定され得ることが企図される。
【0049】
C.因子B
[0058] 本明細書で使用される場合、用語「因子B」は、因子Cによる切断時に活性化されることが可能であり、且つプロ凝固酵素を切断(例えば、酵素的に切断)して活性凝固酵素を形成することが可能である酵素前駆体又はその機能的断片を指す。因子Bという用語は、野生型因子B配列に対して1つ以上のアミノ酸置換、欠失、若しくは挿入を有する変異体、及び/又は因子Bを含む融合タンパク質若しくは複合体を含む。本明細書で使用される場合、因子Bの「機能的断片」という用語は、対応する完全長の天然に存在する因子Bの酵素活性の、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%を保持する完全長因子Bの断片を指す。因子Bの酵素活性は、例えば本明細書の以下の実施例1に記載されるように、発色基質H-D-Leu-Thr-Arg-pNAの切断を測定することを含む、当技術分野で公知の任意の方法によってアッセイすることができる。特定の実施形態では、機能的断片は、完全長の天然に存在する因子Bに存在する少なくとも100、150、200、250、300、350、360、370、380、又は390個の連続するアミノ酸を含む。
【0050】
[0059] 任意のカブトガニ因子B、例えば、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)、カブトガニ(Tachypleus tridentatus)、ミナミカブトガニ(Tachypleus gigas)、及びマルオカブトガニ(Carcinoscorpius rotundicauda)因子Bを本発明の実施において使用することができると企図される。
【0051】
[0060] 例示的なアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子BをコードするDNA配列を配列番号4に示す。例示的なアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子Bアミノ酸配列を配列番号5及び6に示す。配列番号5は成熟型であるが、配列番号6は残基1~25としてシグナル配列を含む。例示的なカブトガニ(Tachypleus tridentatus)因子BをコードするDNA配列を配列番号13に示す。例示的なカブトガニ(Tachypleus tridentatus)因子Bアミノ酸配列を配列番号14及び15に示す。配列番号14は成熟型であるが、配列番号15は残基1~22としてシグナル配列を含む。特定の実施形態では、因子Bは、配列番号5、配列番号6、配列番号14、若しくは配列番号15のアミノ酸配列、又は配列番号5、配列番号6、配列番号14、若しくは配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、若しくは少なくとも99.8%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0052】
[0061] 配列同一性は、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の範囲内である様々な方法で決定され得る。プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn及びtblastxによって使用されるアルゴリズムを使用するBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)分析(Karlin et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268; Altschul (1993) J. Mol. Evol. 36, 290-300; Altschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402、参照により組み込まれる)は、配列類似性検索のために調整される。配列データベースの検索における基本的な問題の議論については、全体が参照により組み込まれるAltschul et al. (1994) Nature Genetics 6:119-129を参照されたい。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。ヒストグラム、記述、アライメント、予測(すなわち、データベース配列に対する一致を報告するための統計的有意性閾値)、カットオフ、行列、及びフィルターの検索パラメーターは、デフォルト設定にある。blastp、blastx、tblastn、及びtblastxによって使用されるデフォルトスコアリング行列は、BLOSUM62行列である(参照により全体が組み込まれるHenikoff et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-10919)。4つのblastnパラメーターは、以下のように調整され得る:Q=10(ギャップ生成ペナルティ);R=10(ギャップ拡張ペナルティ);wink=1(クエリに沿ったwink.sup.th位置ごとにワードヒットを生成する);及びgapw=16(ギャップアライメントが生成されるウィンドウ幅を設定する)。等価Blastpパラメーター設定は、Q=9;R=2;wink=1;及びgapw=32であってもよい。検索は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)BLAST Advanced Optionパラメーターを使用して行うこともできる(例えば、-G、ギャップを開くためのコスト[整数]:デフォルト=ヌクレオチドの場合は5/タンパク質の場合は11;-E、ギャップを拡張するためのコスト[整数]:デフォルト=ヌクレオチドの場合は2/タンパク質の場合は1;-q、ヌクレオチドミスマッチに対するペナルティ[整数]:デフォルト=-3;-r、ヌクレオチドマッチに対する報酬[整数]:デフォルト=1;-e、期待値[実数]:デフォルト=10;-W、ワードサイズ[整数]:デフォルト=ヌクレオチドの場合は11/メガブラストの場合は28/タンパク質の場合は3;-y、ビットでのブラスト拡張のためのドロップオフ(X):デフォルト=blastnの場合は20/その他の場合は7;-X、ギャップアライメントのためのXドロップオフ値(ビット);デフォルト=全てのプログラムに15、blastnには適用されない;及び-Z、ギャップアライメントのための最終Xドロップオフ値(ビット);blastnの場合は50、他の場合は25)。ペアワイズタンパク質アライメントのためのClustalWもまた使用され得る(デフォルトパラメーターは、例えば、Blosum62行列及びギャップ開始ペナルティ=10及びギャップ拡張ペナルティ=0.1を含み得る)。GCGパッケージバージョン10.0で利用可能な配列間のBestfit比較は、DNAパラメーターGAP=50(ギャップ生成ペナルティ)及びLEN=3(ギャップ拡張ペナルティ)を使用し、タンパク質比較における同等の設定は、GAP=8及びLEN=2である。
【0053】
[0062] 特定の実施形態では、因子Bは、野生型因子B配列又は本明細書に開示される因子B配列に対する保存的置換を含む。本明細書で使用される場合、用語「保存的置換(conservative substitution)」は、構造的に類似するアミノ酸による置換を指す。例えば、保存的置換は、以下の群内のものを含み得る:Ser及びCys;Leu、Ile、及びVal;Glu及びAsp;Gln及びAsn;Lys、Arg及びHis;Phe、Tyr、及びTrp。保存的置換はまた、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)アルゴリズム、BLOSUM置換行列(例えば、BLOSUM 62行列)、又はPAM置換:p行列(例えば、PAM 250行列)によって定義され得る。
【0054】
[0063] 特定の実施形態では、因子Bは組換え因子Bである。本明細書で使用されるように、タンパク質又はポリペプチドに言及する場合、用語「組換え」は、組換え核酸、例えば、組換えDNA技術によって産生されるタンパク質又はポリペプチドを指し、一般に、タンパク質又はポリペプチドをコードするDNA又は他の核酸は、適切な発現ベクターに挿入され、これは次いで宿主細胞に導入されて、宿主細胞内で異種タンパク質を産生する。
【0055】
[0064] 特定の実施形態では、因子Bは天然因子Bである。本明細書で使用されるように、タンパク質又はポリペプチド(例えば、天然因子B)に言及する場合、用語「天然」は、組換え手段、例えば、組換えDNA技術を使用することによって産生されるタンパク質又はポリペプチドとは対照的に、天然源に由来するタンパク質又はポリペプチドを指す。天然タンパク質又はポリペプチド(例えば、因子B)は、単離することができる。本明細書で使用される場合、用語「単離された」は、それらの天然に存在する環境とは異なる環境にある分子又は生物学的若しくは細胞性材料を指す。用語「単離された」は、天然源中に存在する、他のDNA若しくはRNA、又はタンパク質若しくはポリペプチド、又は細胞若しくは細胞小器官、又は組織若しくは器官からそれぞれ分離された、核酸、例えばDNA若しくはRNA、又はタンパク質若しくはポリペプチド、又は細胞若しくは細胞小器官、又は組織若しくは器官を包含する。
【0056】
[0065] 企図される組成物は、例えば、約0.01~約5U/mL、約0.01~約3U/mL、約0.01~約1U/mL、約0.01~約0.9U/mL、約0.01~約0.8U/mL、約0.01~約0.7U/mL、約0.01~約0.6U/mL、約0.01~約0.5U/mL、約0.01~約0.4U/mL、約0.01~約0.3U/mL、約0.01~約0.2U/mL、約0.01~約0.1U/mL、約0.01~約0.075U/mL、約0.01~約0.05U/mL、約0.05~約5U/mL、約0.05~約3U/mL、約0.05~約1U/mL、約0.05~約0.9U/mL、約0.05~約0.8U/mL、約0.05~約0.7U/mL、約0.05~約0.6U/mL、約0.05~約0.5U/mL、約0.05~約0.4U/mL、約0.05~約0.3U/mL、約0.05~約0.2U/mL、約0.05~約0.1U/mL、約0.05~約0.075U/mL、約0.075~約5U/mL、約0.075~約3U/mL、約0.075~約1U/mL、約0.075~約0.9U/mL、約0.075~約0.8U/mL、約0.075~約0.7U/mL、約0.075~約0.6U/mL、約0.075~約0.5U/mL、約0.075~約0.4U/mL、約0.075~約0.3U/mL、約0.075~約0.2U/mL、約0.075~約0.1U/mL、約0.1~約5U/mL、約0.1~約3U/mL、約0.1~約1U/mL、約0.1~約0.9U/mL、約0.1~約0.8U/mL、約0.1~約0.7U/mL、約0.1~約0.6U/mL、約0.1~約0.5U/mL、約0.1~約0.4U/mL、約0.1~約0.3U/mL、約0.1~約0.2U/mL、約0.2~約5U/mL、約0.2~約3U/mL、約0.2~約1U/mL、約0.2~約0.9U/mL、約0.2~約0.8U/mL、約0.2~約0.7U/mL、約0.2~約0.6U/mL、約0.2~約0.5U/mL、約0.2~約0.4U/mL、約0.2~約0.3U/mL、約0.3~約5U/mL、約0.3~約3U/mL、約0.3~約1U/mL、約0.3~約0.9U/mL、約0.3~約0.8U/mL、約0.3~約0.7U/mL、約0.3~約0.6U/mL、約0.3~約0.5U/mL、約0.3~約0.4U/mL、約0.4~約5U/mL、約0.4~約3U/mL、約0.4~約1U/mL、約0.4~約0.9U/mL、約0.4~約0.8U/mL、約0.4~約0.7U/mL、約0.4~約0.6U/mL、約0.4~約0.5U/mL、約0.5~約5U/mL、約0.5~約3U/mL、約0.5~約1U/mL、約0.5~約0.9U/mL、約0.5~約0.8U/mL、約0.5~約0.7U/mL、約0.5~約0.6U/mL、約0.6~約5U/mL、約0.6~約3U/mL、約0.6~約1U/mL、約0.6~約0.9U/mL、約0.6~約0.8U/mL、約0.6~約0.7U/mL、約0.7~約5U/mL、約0.7~約3U/mL、約0.7~約1U/mL、約0.7~約0.9U/mL、約0.7~約0.8U/mL、約0.8~約5U/mL、約0.8~約3U/mL、約0.8~約1U/mL、約0.8~約0.9U/mL、約0.9~約5U/mL、約0.9~約3U/mL、約0.9~約1U/mL、約1~約5U/mL、約1~約3U/mL、又は約3~約5U/mLの因子B(例えば、組換え因子B)を含むことができる。因子Bの酵素活性は、例えば、本明細書の実施例1に記載されるように、例えば、発色基質H-D-Leu-Thr-Arg-pNAの切断を測定することを含む、当技術分野で公知の任意の方法によってアッセイすることができる。本明細書で使用される場合、因子B活性の1単位(U)は、1分当たり1マイクロモルの基質(例えば、H-D-Leu-Thr-Arg-pNA)の変換を触媒する酵素の量として定義される。
【0057】
D.プロ凝固酵素
[0066] 本明細書で使用される場合、用語「プロ凝固酵素」は、活性化因子Bによる切断時に活性化することができ、且つコアギュロゲンを切断(例えば、酵素的に切断)してコアギュリンを形成することができる、酵素前駆体又はその機能的断片を指す。プロ凝固酵素という用語は、野生型プロ凝固酵素配列に対して1つ以上のアミノ酸置換、欠失、若しくは挿入を有する変異体、及び/又はプロ凝固酵素を含む融合タンパク質若しくは複合体を含む。本明細書で使用される場合、プロ凝固酵素の「機能的断片」という用語は、例えば、対応する完全長の天然に存在するプロ凝固酵素の酵素活性の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%を保持する、完全長プロ凝固酵素の断片を指す。プロ凝固酵素の酵素活性は、例えば、本明細書の実施例1に記載されるように、例えば、発色基質Ac-Ilu-Glu-Gly-Arg-pNAの切断を測定することを含む、当技術分野で公知の任意の方法によってアッセイすることができる。特定の実施形態では、機能的断片は、完全長の天然に存在するプロ凝固酵素中に存在する少なくとも100、150、200、250、300、320、330、340、350、360、又は370個の連続するアミノ酸を含む。
【0058】
[0067] 任意のカブトガニ因子プロ凝固酵素、例えば、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)、カブトガニ(Tachypleus tridentatus)又はマルオカブトガニ(Carcinoscorpius rotundicauda)プロ凝固酵素が、本発明の実施において使用され得ることが企図される。
【0059】
[0068] 例示的なアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)プロ凝固酵素をコードするDNA配列を配列番号7に示す。例示的なアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)プロ凝固酵素アミノ酸配列を配列番号8及び9に示す。配列番号8は成熟型であるが、配列番号9は残基1~28としてシグナル配列を含む。例示的なカブトガニ(Tachypleus tridentatus)プロ凝固酵素をコードするDNA配列を配列番号16に示す。例示的なカブトガニ(Tachypleus tridentatus)プロ凝固酵素アミノ酸配列を配列番号17及び18に示す。配列番号17は成熟型であるが、配列番号18は残基1~21としてシグナル配列を含む。特定の実施形態では、プロ凝固酵素は、配列番号8、配列番号9、配列番号17、若しくは配列番号18のアミノ酸配列、又は配列番号8、配列番号9、配列番号17、若しくは配列番号18のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、若しくは少なくとも99.8%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、プロ凝固酵素は、野生型プロ凝固酵素配列又は本明細書に開示されるプロ凝固酵素配列に対する保存的置換を含む。
【0060】
[0069] 特定の実施形態では、プロ凝固酵素は、組換えプロ凝固酵素である。特定の実施形態では、プロ凝固酵素は、天然プロ凝固酵素、例えば、単離された天然プロ凝固酵素である。
【0061】
[0070] 企図される組成物は、例えば、約0.01~約3,000U/mL、約0.01~約2,500U/mL、約0.01~約2,000U/mL、約0.01~約1,500U/mL、約0.01~約1,000U/mL、約0.01~約500U/mL、約0.01~約400U/mL、約0.01~約300U/mL、約0.01~約200U/mL、約0.01~約100U/mL、約0.01~約50U/mL、約0.01~約20U/mL、約0.01~約10U/mL、約0.01~約5U/mL、約0.01~約2U/mL、約0.01~約1U/mL、約0.01~約0.5U/mL、約0.01~約0.1U/mL、約0.1~約3,000U/mL、約0.1~約2,500U/mL、約0.1~約2,000U/mL、約0.1~約1,500U/mL、約0.1~約1,000U/mL、約0.1~約500U/mL、約0.1~約400U/mL、約0.1~約300U/mL、約0.1~約200U/mL、約0.1~約100U/mL、約0.1~約50U/mL、約0.1~約20U/mL、約0.1~約10U/mL、約0.1~約5U/mL、約0.1~約2U/mL、約0.1~約1U/mL、約0.1~約0.5U/mL、約0.5~約3,000U/mL、約0.5~約2,500U/mL、約0.5~約2,000U/mL、約0.5~約1,500U/mL、約0.5~約1,000U/mL、約0.5~約500U/mL、約0.5~約400U/mL、約0.5~約300U/mL、約0.5~約200U/mL、約0.5~約100U/mL、約0.5~約50U/mL、約0.5~約20U/mL、約0.5~約10U/mL、約0.5~約5U/mL、約0.5~約2U/mL、約0.5~約1U/mL、約1~約3,000U/mL、約1~約2,500U/mL、約1~約2,000U/mL、約1~約1,500U/mL、約1~約1,000U/mL、約1~約500U/mL、約1~約400U/mL、約1~約300U/mL、約1~約200U/mL、約1~約100U/mL、約1~約50U/mL、約1~約20U/mL、約1~約10U/mL、約1~約5U/mL、約1~約2U/mL、約2~約3,000U/mL、約2~約2,500U/mL、約2~約2,000U/mL、約2~約1,500U/mL、約2~約1,000U/mL、約2~約500U/mL、約2~約400U/mL、約2~約300U/mL、約2~約200U/mL、約2~約100U/mL、約2~約50U/mL、約2~約20U/mL、約2~約10U/mL、約2~約5U/mL、約5~約3,000U/mL、約5~約2,500U/mL、約5~約2,000U/mL、約5~約1,500U/mL、約5~約1,000U/mL、約5~約500U/mL、約5~約400U/mL、約5~約300U/mL、約5~約200U/mL、約5~約100U/mL、約5~約50U/mL、約5~約20U/mL、約5~約10U/mL、約10~約3,000U/mL、約10~約2,500U/mL、約10~約2,000U/mL、約10~約1,500U/mL、約10~約1,000U/mL、約10~約500U/mL、約10~約400U/mL、約10~約300U/mL、約10~約200U/mL、約10~約100U/mL、約10~約50U/mL、約10~約20U/mL、約20~約3,000U/mL、約20~約2,500U/mL、約20~約2,000U/mL、約20~約1,500U/mL、約20~約1,000U/mL、約20~約500U/mL、約20~約400U/mL、約20~約300U/mL、約20~約200U/mL、約20~約100U/mL、約20~約50U/mL、約50~約3,000U/mL、約50~約2,500U/mL、約50~約2,000U/mL、約50~約1,500U/mL、約50~約1,000U/mL、約50~約500U/mL、約50~約400U/mL、約50~約300U/mL、約50~約200U/mL、約50~約100U/mL、約100~約3,000U/mL、約100~約2,500U/mL、約100~約2,000U/mL、約100~約1,500U/mL、約100~約1,000U/mL、約100~約500U/mL、約100~約400U/mL、約100~約300U/mL、約100~約200U/mL、約200~約3,000U/mL、約200~約2,500U/mL、約200~約2,000U/mL、約200~約1,500U/mL、約200~約1,000U/mL、約200~約500U/mL、約200~約400U/mL、約200~約300U/mL、約300~約3,000U/mL、約300~約2,500U/mL、約300~約2,000U/mL、約300~約1,500U/mL、約300~約1,000U/mL、約300~約500U/mL、約300~約400U/mL、約400~約3,000U/mL、約400~約2,500U/mL、約400~約2,000U/mL、約400~約1,500U/mL、約400~約1,000U/mL、約400~約500U/mL、約500~約3,000U/mL、約500~約2,500U/mL、約500~約2,000U/mL、約500~約1,500U/mL、約500~約1,000U/mL、約1,000~約3,000U/mL、約1,000~約2,500U/mL、約1,000~約2,000U/mL、約1,000~約1,500U/mL、約1,500~約3,000U/mL、約1,500~約2,500U/mL、約1,500~約2,000U/mL、約2,000~約3,000U/mL、約2,000~約2,500U/mL、又は約2,500~約3,000U/mLのプロ凝固酵素(例えば、組換えプロ凝固酵素)を含むことができる。プロ凝固酵素の酵素活性は、例えば、本明細書の以下の実施例1に記載されるように、例えば、発色基質Ac-Ilu-Glu-Gly-Arg-pNAの切断を測定することを含む、当技術分野で公知の任意の方法によってアッセイすることができる。本明細書で使用される場合、プロ凝固酵素活性の1単位(U)は、1分当たり1マイクロモルの基質(例えば、Ac-Ilu-Glu-Gly-Arg-pNA)の変換を触媒する酵素の量として定義される。
【0062】
E.因子C
[0071] 本明細書で使用される場合、用語「因子C」は、エンドトキシンによって活性化されることができ、且つ因子Bを切断(例えば、酵素的に切断)して活性化因子Bを形成することができる酵素前駆体、又はその機能的断片を指す。因子Cという用語は、野生型因子C配列に対して1つ以上のアミノ酸置換、欠失、若しくは挿入を有する変異体、及び/又は因子Cを含む融合タンパク質若しくは複合体を含む。本明細書で使用される場合、因子Cの「機能的断片」という用語は、例えば、対応する完全長の天然に存在する因子Cの酵素活性の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%を保持する完全長因子Cの断片を指す。因子Cの酵素活性は、例えば、本明細書の実施例1に記載のように、発色基質Z-Val-Pro-Arg-pNAの切断を測定することを含む、当技術分野で公知の任意の方法によってアッセイすることができる。特定の実施形態では、機能的断片は、完全長の天然に存在する因子Cに存在する少なくとも100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1,000個の連続するアミノ酸を含む。
【0063】
[0072] 任意のカブトガニ因子C、例えばアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)、カブトガニ(Tachypleus tridentatus)、ミナミカブトガニ(Tachypleus gigas)、及びマルオカブトガニ(Carcinoscorpius rotundicauda)因子Cを本発明の実施において使用することができると企図される。
【0064】
[0073] 例示的なアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子CをコードするDNA配列を配列番号1に示す。例示的なアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子Cアミノ酸配列を配列番号2及び3に示す。配列番号2は成熟型であるが、配列番号3は残基1~25としてシグナル配列を含む。例示的なカブトガニ(Tachypleus tridentatus)因子CをコードするDNA配列を配列番号10に示す。例示的なカブトガニ(Tachypleus tridentatus)因子Cアミノ酸配列を配列番号11及び12に示す。配列番号11は成熟型であるが、配列番号12は残基1~21としてシグナル配列を含む。特定の実施形態では、因子Cは、配列番号2、配列番号3、配列番号11、若しくは配列番号12のアミノ酸配列、又は配列番号2、配列番号3、配列番号11、若しくは配列番号12のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、若しくは少なくとも99.8%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、因子Cは、野生型因子C配列又は本明細書に開示される因子C配列に対する保存的置換を含む。
【0065】
[0074] 特定の実施形態では、因子Cは、組換え因子Cである。特定の実施形態では、因子Cは、天然因子C、例えば、単離された天然因子Cである。
【0066】
[0075] 特定の実施形態では、エンドトキシン検出試薬として、単独で、又は他のカブトガニタンパク質(例えば、因子B、プロ凝固酵素、及び/又は因子C、天然に供給されるか組換えにより産生されるかにかかわらず)と組み合わせて使用するための組換えカブトガニ因子Cは、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)又はヒト胎児腎臓(HEK)細胞において発現される。特定の実施形態では、組換え因子Cは、天然カブトガニアメボサイト溶解物中に存在する因子Cと比較した場合、又は異なる発現宿主細胞中で組換えにより産生された因子Cと比較した場合、異なってグリコシル化される(例えば、1つ以上の異なるグリコシル基又はグリコシル化パターンを有する)。非限定的な例として、因子Cは(α-2,3)-結合末端シアル酸を欠く因子Cタンパク質を産生するGnTI-HEK細胞(例えば、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnTI)活性を有さないHEK細胞)などの遺伝子編集細胞株において組換えにより産生され得る。このような容易に入手可能な遺伝子編集細胞株の使用は、均質にグリコシル化された組換えタンパク質の高収率発現のために望ましい場合がある。
【0067】
F.組換えタンパク質を作製する方法
[0076] 当技術分野で公知の組換えタンパク質を生成するための方法。例えば、目的のタンパク質(例えば、本明細書に開示されるような因子B、プロ凝固酵素及び/又は因子C)をコードするDNA分子は、化学的に又は組換えDNA方法論によって合成することができる。目的のタンパク質をコードする得られたDNA分子を、例えば発現制御配列を含む他の適切なヌクレオチド配列に連結して、所望のタンパク質をコードする従来の遺伝子発現構築物(すなわち、発現ベクター)を生成することができる。規定された遺伝子構築物の生成は、当技術分野における日常的な技術の範囲内である。
【0068】
[0077] 所望のタンパク質(例えば、本明細書に開示されるような因子B、プロ凝固酵素及び/又は因子C)をコードする核酸は、発現ベクターに組み込む(連結する)ことができ、これは、従来のトランスフェクション又は形質転換技術によって宿主細胞に導入することができる。例示的な宿主細胞は、大腸菌(E. coli)細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚性腎臓293(HEK 293)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、及び骨髄腫である。形質転換された宿主細胞は、宿主細胞が目的のタンパク質をコードする遺伝子を発現することを可能にする条件下で増殖させることができる。
【0069】
[0078] 特定の発現及び精製条件は、使用される発現系に応じて変化するであろう。例えば、遺伝子が大腸菌(E. coli)で発現される場合、遺伝子は最初に、適切な細菌プロモーター、例えば、Trp又はTac、及び原核生物シグナル配列の下流に操作された遺伝子を配置することによって、発現ベクターにクローニングされる。発現されたタンパク質は分泌され得る。発現されたタンパク質は、フランスプレス又は超音波処理による細胞の破壊後に回収することができる屈折体又は封入体に蓄積することができる。次いで、屈折体を可溶化し、タンパク質を当技術分野で公知の方法によって再折り畳み及び/又は切断することができる。
【0070】
[0079] 操作された遺伝子が真核宿主細胞、例えば、CHO又はHEK細胞において発現される場合、それは、最初に、適切な真核プロモーター、分泌シグナル、ポリA配列、及び終止コドンを含む発現ベクターに挿入される。場合により、ベクター又は遺伝子構築物は、エンハンサー及びイントロンを含み得る。遺伝子構築物は、従来の技術を用いて真核宿主細胞に導入することができる。
【0071】
[0080] 目的のポリペプチド又はタンパク質(例えば、本明細書に開示されるような因子B、プロ凝固酵素及び/又は因子C)は、そのようなポリペプチド又はタンパク質をコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を、ポリペプチド又はタンパク質の発現を可能にする条件下で増殖させる(培養する)ことによって産生され得る。発現後、ポリペプチドは当技術分野で公知の技術、例えば、アフィニティータグ、例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)又はヒスチジンタグを用いて回収及び精製又は単離することができる。
【0072】
[0081] 配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、又は配列番号16の配列を含む単離された核酸が、本明細書において提供される。これらの配列は、適切な発現ベクターにスプライシングされ、標準的な組換えDNA方法論を用いて所望の発現宿主において使用するためのプロモーターに作動可能に連結され得る。また、そのような発現ベクターを含む発現宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)も提供され、次いでこれを使用して、前述の核酸配列の1つ以上によってコードされるタンパク質を発現させることができる。組換え因子B、プロ凝固酵素及び因子Cを作製するための例示的な方法は、本明細書の実施例1に記載されている。
【0073】
[0082] 一実施形態において、カブトガニ組換え因子Cタンパク質を生成する方法が本明細書に提供され、この方法は:(a)組換えカブトガニ因子Cをコードする核酸配列を、グリコシルトランスフェラーゼ酵素(例えば、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ)を除去するように操作された宿主細胞(例えば、HEK293細胞又はCHO細胞)において発現させることと、(b)宿主細胞において発現された組換え因子Cを精製することとを含む。また、そのような方法によって生成される組換えカブトガニ因子Cタンパク質(例えば、(α-2,3)-結合末端シアル酸を含まない因子Cタンパク質)も提供される。得られた組換えカブトガニ因子Cは、そのような組換え因子Cを組換えカブトガニ因子B及び組換えカブトガニプロ凝固酵素を含む組成物と混合することによって、エンドトキシン検出試薬(例えば、ハイブリッド溶解物)を調製するために使用することができる。
【0074】
[0083] 組換え発現されたポリペプチド又はタンパク質は、対応する天然ポリペプチド又はタンパク質と比較して、異なる分子量を有し得、及び/又は異なってグリコシル化され得ることが理解される。同様に、第1の宿主細胞型において組換え発現されるタンパク質又はポリペプチドは、第2の異なる宿主細胞型において発現される対応するタンパク質又はポリペプチドと比較して、異なる分子量を有し得、及び/又は異なってグリコシル化され得る。哺乳動物宿主細胞において生成される組換えタンパク質のグリコシル化は、例えば、Lis et al. (1993) Eur. J. Biochem. 218:1-27, Parodi (2000) Annu. Rev. Biochem. 69:69-93、Viswanathan et al. (2005) Biochem. 44:7526-7534、Tomiya et al. (2004) Glycoconjugate Journal 21: 343-360、Tomiya et al. (2003) Acc. Chem. Res. 36:613-620、Gerngros (2004) Nat. Biotechnol. 22:1409-1414、及びDemain et al. (2009) Biotechnology Advances 27:297-306に記載されている。
【0075】
G.ハイブリッド溶解物を作製する方法
[0084] ハイブリッドアメボサイト溶解物は、本明細書に開示される天然及び組換え成分を組み合わせることによって生成され得る。
【0076】
[0085] 本発明は、微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)に対する天然カブトガニアメボサイト溶解物の感受性を増加させるため、及び/又は微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)を検出するために必要な天然カブトガニアメボサイト溶解物の量を減少させるための、微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)検出試薬の調製方法を提供する。この方法は、組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素を、天然カブトガニアメボサイト溶解物に添加することを含む。特定の実施形態では、本方法は、天然カブトガニアメボサイト溶解物を希釈することを含む。例えば、企図される方法は、天然カブトガニアメボサイト溶解物を希釈して、希釈されたカブトガニアメボサイト溶解物を生成することと;希釈された天然カブトガニアメボサイト溶解物に、組換えカブトガニ因子B及び/又は組換えカブトガニプロ凝固酵素を添加することとを含む。特定の実施形態では、天然カブトガニアメボサイト溶解物は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、700%、800%、900%、又は1,000%希釈される。
【0077】
[0086] ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物は、好ましくは無菌である。滅菌は任意の適切な方法、例えば、滅菌ろ過膜を通したろ過によって達成することができる。組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥及び再構成の前又は後にフィルター滅菌を行うことができる。
【0078】
[0087] ハイブリッドアメボサイト溶解物組成物は、凍結乾燥などによって、固体表面(バイアル、カートリッジ、又は12ウェル若しくは96ウェルプレートなど)上で乾燥させることもできる。乾燥の前に、1つ以上の添加剤が、場合によりハイブリッドアメボサイト溶解物と混合される。例えば、再可溶化剤及び/又は剥離防止剤が含まれ得る。再可溶化剤は、単独で、又は別の再可溶化剤と組み合わせて、ハイブリッドアメボサイト溶解物が流体試料に曝露された際に、ハイブリッドアメボサイト溶解物の1つ以上の成分の再可溶化を促進する薬剤である。再可溶化剤はまた、好ましくは、溶解物をその乾燥形態で安定化させる。混合物中に提供される再可溶化剤は、アッセイ中の試薬の安定性及びそれらの溶解を促進する。再可溶化剤には、例えば、1つ以上の糖、塩、又はそれらの組み合わせが含まれる。好ましい糖再可溶化剤としては、例えば、マンニトール、マンノース、ソルビトール、トレハロース、マルトース、デキストロース、スクロース、及び他の単糖又は二糖が挙げられる。混合物に含まれる剥離防止剤は、試薬をさらに安定化し、乾燥溶解物の剥離を低減する。剥離防止剤はまた、好ましくは、溶解物をその乾燥形態で安定化させる。好ましい剥離防止剤としては、例えば、1つ以上のポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、マンニトール、デキストラン、及びタンパク質、例えば、血清アルブミンが挙げられる。ポリビニルアルコール又はポリプロピレングリコールなどの発泡防止剤もまた含まれ得る。塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、及びHEPES緩衝液などの塩及び/又は緩衝液もまた含まれ得る。他の種類の緩衝液、例えば、TRIS-HCl緩衝液、TES、MOPS、PIPES、BES、MOPSO、DIPSO、MOBS、TAPSO、HEPPSO、POPSO、TEA、EPPS、トリシン、及びリン酸塩を使用することができ、pH7~pH8の緩衝能を有する他の緩衝液も、これが反応のための好ましいpH範囲であるため、同様であり得る。試料と混合した後、組成物の目標pHは、好ましくは7.3~8.0である。
【0079】
[0088] 約4℃~約40℃、より好ましくは約10℃~約35℃、より好ましくは約15℃~約30℃の温度、及び約0%~約30%、より好ましくは約2%~約20%、より好ましくは約4%~約10%の相対湿度を有する環境下で、混合物を導管の表面上に乾燥させることができる。好ましくは、温度は約25℃であり、相対湿度は約5%である。乾燥は、好ましくは約10分~約8時間、より好ましくは約1時間、温度調節された乾燥チャンバ中で行われる。
【0080】
[0089] 別の実施形態では、混合物は、凍結乾燥(lyophilization)又は凍結乾燥(freeze-drying)によって、例えば、0℃未満、例えば、約-75℃~約-10℃、より好ましくは約-30℃~約-20℃の温度で導管の表面上に乾燥される。
【0081】
II.検出方法及び試料調製の考慮事項
[0090] 本明細書に開示されるハイブリッドアメボサイト溶解物は、微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)を検出するための様々なアッセイにおいて使用することができる。本発明は、試料中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在及び/又は量を検出する方法を提供する。この方法は、ハイブリッドアメボサイト溶解物(例えば、本明細書に開示されるハイブリッドアメボサイト溶解物)を試料(例えば、エンドトキシンを含むことが疑われる試料)と接触させることと、ハイブリッドアメボサイト溶解物を試料と反応させて検出可能な生成物(例えば、ゲル、濁度の増加、又は着色若しくは発光生成物)を生成させることと、検出可能な生成物を検出すること(例えば、視覚的に、又は光学検出器の使用によって)とを含む。
【0082】
[0091] 本明細書に開示されるハイブリッドアメボサイト溶解物は、例えば、エンドポイントアッセイ又は速度論的アッセイを用いて、微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)を検出するために使用することができる。例示的なエンドポイントアッセイには、エンドポイント発色アッセイ又はエンドポイント比濁アッセイが含まれる。例示的な速度論的アッセイには、速度論的比濁アッセイ、一段階速度論的アッセイ、又は多段階速度論的アッセイが含まれる。アッセイのそれぞれは、以下でより詳細に論じられる。さらに、アッセイは特定のアッセイ形式で、例えば、カートリッジ中で、又はプレート、例えば、96ウェルプレートのウェル中で実施されるように改変され得ることが理解される。
【0083】
A.速度論的アッセイ
[0092] 例示的な速度論的アッセイには、多段階速度論的アッセイ、一段階速度論的アッセイ、及び速度論的比濁アッセイが含まれる。
【0084】
(i)多段階速度論的アッセイ
[0093] 多段階速度論的アッセイ(例えば、米国特許第7,329,538号に記載されている)は、試験される試料を一定量のハイブリッドアメボサイト溶解物と組み合わせて、試料-ハイブリッドアメボサイト溶解物混合物を生成することによって開始される。次いで、混合物を所定の期間インキュベートする。次いで、混合物を基質、例えば、発色基質又は蛍光基質と接触させて、試料-ハイブリッドアメボサイト溶解物-基質混合物を生成する。その後、予め選択された光学特性の変化(例えば、吸光度値の特定の変化又は透過率値の特定の変化)を測定する。
【0085】
[0094] アッセイは、特定の量の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)がアッセイに導入されたときに、予め選択された光学特性の変化が生じる時間を測定することによって較正することができる。試験試料によって生成された結果を、1つ以上の既知量の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)によって生成された結果と比較することによって、試験試料中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在又は量を検出することが可能である。
【0086】
[0095] 多段階速度論的アッセイは、カートリッジ形式で行うことができると理解される。カートリッジは、好ましくは光学検出器、例えば、米国特許第Des390,661号に示され、記載されているような手持ち式光学検出器と共に使用される。
【0087】
[0096] 例として、
図8A~8Dに示すように、カートリッジ1は、例えば、成形可能な生体適合性材料から作製された実質的に平面状のハウジングを有する。ハウジングは任意の材料から作製することができるが、透明及び/又は半透明のガラス又はポリマーが好ましい。好ましいポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル、光学グレードのポリマー、又は光学セルが実質的に透明であるような任意のプラスチックが挙げられる。ハウジングは、少なくとも1つの流体入口ポート4と、少なくとも1つの光学セル6と、流体入口ポート4と光学セル6との間に流体流連通を提供するための流体接触表面を有する少なくとも1つの導管8とを含む。光学セル6の唯一の要件は、それが、試験される試料を収容することができる空隙を画定し、光学セル6の一部が光に対して透明であることである。カートリッジ1はまた、カートリッジ1をポンプに取り付けるための、流体入口ポート4及び光学セル6と流体流連通する少なくとも1つのポンプポート12を有することができる。次いで、ポンプは、ポンプポート12を介して負圧を与えて、試料を流体入口ポート4から光学セル6に引き寄せることができる。ハイブリッドアメボサイト溶解物は、導管8の流体接触表面の第1の領域14上に配置され、その結果、試料が流体入口ポート4に適用されると、試料は領域14を横断し、光学セル6に向かって移動するにつれて、ハイブリッドアメボサイト溶解物を試料中に可溶化又は再構成する。
【0088】
[0097] 導管8の流体接触表面の第2の領域16は、第1の領域14から離間し、第1の領域14の下流にある。この構成では、ハイブリッドアメボサイト溶解物は第1の領域14に配置され、発色又は蛍光基質は第2の領域16に配置され、その結果、試料が領域14のハイブリッドアメボサイト溶解物と接触した後、試料-溶解物混合物が導管8を横断し、領域16の基質と接触する。次いで、試料-溶解物-基質混合物が導管8を横断して光学セル6に至る。
【0089】
[0098] カートリッジは、必要な試験のタイプ及び/又は数に従って設計及び使用することができる。例えば、単一の試料は、例えば、研究室での使用のために、又は医療機器及びバイオ医薬品試験のために、例えば、二重又は三重で試験することができる。或いは、2つ以上の異なる試料を個々に試験することができる。カートリッジは、好ましくは、1回の使用後に廃棄される使い捨てカートリッジである。カートリッジは、典型的には、マルチウェルプレートで実施される従来のエンドポイント発色アッセイ又は速度論的発色アッセイにおいて使用されるよりも、試料当たり約20~100倍少ない血球溶解物を使用し、したがって、より安価で環境に優しい試験を提供する。
【0090】
[0099]
図8Aを参照すると、例示的なカートリッジ1において多段階速度論的アッセイを実施するために、試料は最初に、例えばポンプ作用によって、ハイブリッドアメボサイト溶解物を含む第1の領域14に移動され、そこで試料は混合され、所定の期間インキュベートされる。次いで、試料-ハイブリッドアメボサイト溶解物混合物を、例えばポンプ作用によって、基質、例えば発色又は蛍光基質を含む第2の領域16に移動させ、そこでそれを可溶化する。次いで、試料-基質混合物は、光学特性の測定のために、光学セル6に移動される。混合及びインキュベーション工程に必要な時間間隔は、目的の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)濃度範囲に対する最適な特異性及び感受性のために予めプログラムされる。
【0091】
[00100] 多段階アッセイは上述のタイプのカートリッジで実施することができるが、例えば、マイクロタイタープレートのウェル内など、様々な他の形式で使用することもできる。このタイプのアッセイでは、目的の試料をハイブリッドアメボサイト溶解物と組み合わせ、所定の期間インキュベートする。次いで、所定の期間の後、発色又は蛍光基質をウェルに添加する。混合後、予め選択された光学特性の変化が生じる時間を測定する。次いで、結果を1つ以上の標準値と比較して、試料中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在又は量を測定することができる。
【0092】
[00101] ウェルタイプの形式では、好ましくはロボットなどの自動システムを使用して、試料及び試薬をウェルのそれぞれに添加し、プレートをマイクロプレートリーダーによって処理し、該マイクロプレートリーダーは、各ウェルの吸光度を繰り返して順次読み取るようにプログラムすることができる。
【0093】
(ii)一段階速度論的アッセイ
[00102] 一段階速度論的アッセイ、例えば一段階発色アッセイは、米国特許第5,310,657号に記載されている。簡潔に述べると、速度論的発色アッセイは、(i)ハイブリッドアメボサイト溶解物を、分析される試料及び基質、例えば発色基質と同時に可溶化する工程と、(ii)得られた混合物を、約0°~約40℃、好ましくは約25°~約40℃の温度で、所定の時間範囲にわたってインキュベートする工程と、(iii)従来の分光光度計を用いて、熱量変化が予め選択された値に達するのに必要な時間、又は熱量測定読取値の変化を測定する工程とを含む。
【0094】
[00103] このタイプのアッセイは、多段階速度論的アッセイと同様に、カートリッジ又はウェルタイプの形式で実施することができる。多段階速度論的アッセイについて上述したものと同様のカートリッジを、一段階速度論的アッセイにおける使用のために改変することができる。
図8Aを参照すると、発色又は蛍光基質は、例えば、ハイブリッドアメボサイト溶解物と一緒に第1の領域14で導管8の表面に適用される。カートリッジ1において速度論的アッセイを実施するために、
図8Aを参照して、試料は、例えばポンプ作用によって、ハイブリッドアメボサイト溶解物及び基質の両方を含む導管8の第1の領域14に移動され、ここでそれらは、例えば、順方向ポンプ作用と逆方向ポンプ作用との間のサイクルによって可溶化される。次いで、試料-ハイブリッドアメボサイト溶解物-基質混合物を光学セル6に移動させて、光学検出器によって試料の光学特性、例えば、吸光度又は透過率特性を測定する。検出器は、各光学特性が例えば、光透過率の5%の低下を示すのにどれくらいの時間がかかるかを決定することができる。複数のアッセイ、例えば、2つのアッセイからの結果を平均することができる。
【0095】
[00104] アッセイは、特定の量の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)がアッセイに導入されたときに、予め選択された光学特性の変化が生じる時間を測定することによって較正することができる。試験試料によって生成された結果を、既知量の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)による1つ以上の結果と比較することによって、試験試料中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在又は量を測定することが可能である。
【0096】
[00105] このタイプのアッセイ形式は、様々な他の形式、例えば、マイクロタイタープレートのウェル内で使用することができる。このタイプのアッセイでは、目的の試料を、ハイブリッドアメボサイト溶解物及び発色又は蛍光基質と混合する。混合後、予め選択された光学特性の変化が生じる時間を測定する。次いで、その結果を標準値と比較して、目的の試料中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在又は量を測定することができる。
【0097】
(iii)速度論的比濁アッセイ
[00106] 速度論的比濁アッセイは、(i)ハイブリッドアメボサイト溶解物を分析される試料と可溶化する工程と、(ii)得られた混合物を、約0°~約40℃、好ましくは約25°~約40℃の温度で、所定の時間範囲にわたってインキュベートする工程と、(iii)凝固によって引き起こされる濁度変化が、濁度の変化における予め選択された値又は比のいずれかに達するまでに必要な時間を、従来の凝固計、比濁計、又は分光光度計を使用して測定する工程とを含むことができる。
【0098】
[00107] このタイプのアッセイは、先のアッセイと同様に、カートリッジ又はウェルタイプの形式で実施することができる。多段階又は一段階の速度論的アッセイについて上述したものと同様のカートリッジを、速度論的比濁アッセイにおける使用のために改変することができる。
図8Aを参照すると、発色又は蛍光基質を第1の領域14又は第2の領域16のいずれにも適用する必要はない。
【0099】
[00108]
図8Aを参照すると、カートリッジ1において速度論的比濁アッセイを実施するために、試料は、例えば、ハイブリッドアメボサイト溶解物を含む導管8の第1の領域14に移動され、ここで試料は、例えば、順方向ポンプ作用と逆方向ポンプ作用との間のサイクルによって可溶化される。次いで、試料-溶解物混合物は、例えば、光学検出器を使用して試料-溶解物混合物の吸光度又は透過率特性を測定することによって、光学特性、例えば、濁度を測定するために、光学セル6に移動される。検出器は、各光学特性が例えば、光透過率の5%の低下を示すのにどれくらいの時間がかかるかを決定することができる。複数のアッセイ、例えば、2つのアッセイからの結果を平均することができる。
【0100】
[00109] アッセイは、特定の量の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)がアッセイに導入されたときに、予め選択された光学特性の変化、例えば、濁度が生じる時間を測定することによって較正することができる。試験試料によって生成された結果を、既知量の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)による1つ以上の結果と比較することによって、試験試料中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在又は量を測定することが可能である。
【0101】
[00110] このタイプのアッセイ形式は、様々な他の形式、例えば、マイクロタイタープレートのウェル内で使用することができる。このタイプのアッセイでは、目的の試料をハイブリッドアメボサイト溶解物と混合する。混合後、予め選択された光学特性の変化、例えば濁度が生じる時間を測定する。次いで、その結果を標準値と比較して、目的の試料中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在又は量を測定することができる。
【0102】
B.エンドポイントアッセイ
[00111] 例示的なエンドポイントアッセイとしては、エンドポイント発色又は蛍光アッセイ及びエンドポイント比濁アッセイが挙げられる。
【0103】
(i)エンドポイント発色又は蛍光アッセイ
[00112] エンドポイント発色又は蛍光アッセイは、(i)ハイブリッドアメボサイト溶解物を分析される試料と可溶化する工程と、(ii)得られた混合物を、約0°~約40℃、好ましくは約25°~約40℃の温度で、所定の時間インキュベートする工程と、(iii)基質、例えば発色又は蛍光基質を、インキュベートされた試料-ハイブリッドアメボサイト溶解物混合物と接触させる工程と、(iv)場合により反応阻害剤、例えば酢酸を添加する工程と、(v)例えば熱量変化により、基質から生成される物質を酵素活性によって測定する工程とを含むことができる。
【0104】
[00113] このタイプのアッセイは、カートリッジ又はウェルタイプの形式で実施することができる。エンドポイント発色アッセイ又は蛍光アッセイがカートリッジ1(
図8A参照)中で実施される場合、試料は、例えば、ハイブリッドアメボサイト溶解物を含む導管8の第1の領域14に移動され、ここで試料は、例えば、順方向ポンプ作用と逆方向ポンプ作用との間のサイクルによって可溶化される。所定のインキュベーション期間の後、試料-ハイブリッドアメボサイト溶解物混合物は、次いで、例えばポンプ作用によって、発色又は蛍光基質を含む導管8の第2の領域16に移動され、ここでそれは、例えば、順方向及び逆方向ポンプ作用の間のサイクルによって可溶化される。次いで、試料-ハイブリッドアメボサイト溶解物-基質混合物は、場合により、反応阻害剤を含む第3の領域に移動される。その後、試料-ハイブリッドアメボサイト溶解物-基質混合物は、光学検出器による試料の光学特性、例えば、吸光度又は透過率特性の測定のために、光学セル6に移動される。しかしながら、カートリッジ中でエンドポイント発色又は蛍光アッセイを実施する場合、反応阻害剤を使用して反応を停止する必要がないことが企図される。このタイプのアッセイの下で、最終的な光学的読取値(エンドポイント読取値)を所定の時間に記録する。
【0105】
[00114] アッセイは、特定の量の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)がアッセイに導入されたときに、光学特性、例えば、吸光度又は透過率を測定することによって較正することができる。試験試料によって生成された結果を、既知量の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)による1つ以上の結果と比較することによって、試験試料中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在又は量を測定することが可能である。
【0106】
[00115] 議論されるように、このタイプのアッセイ形式は、様々な他の形式、例えば、マイクロタイタープレートのウェル内で使用することができる。このタイプのアッセイでは、目的の試料をハイブリッドアメボサイト溶解物と混合し、予め選択された期間インキュベートする。次いで、発色基質又は蛍光基質を混合物に添加し、試料を別の期間インキュベートする。次いで、反応阻害剤、例えば、酢酸を試料に添加し、試料の光学特性、例えば、吸光度又は透過率を測定する。次いで、その結果を標準値と比較して、目的の試料中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在又は量を測定することができる。
【0107】
(ii)エンドポイント比濁アッセイ
[00116] エンドポイント比濁アッセイは、(i)ハイブリッドアメボサイト溶解物を分析される試料と可溶化する工程と、(ii)得られた混合物を、約0°~約40℃、好ましくは約25°~約40℃の温度で、所定の時間インキュベートする工程と、(iii)場合により反応阻害剤、例えば酢酸を添加する工程と、(iv)凝固の結果としての濁度の増加を、存在する場合、従来の凝固計、比濁計、又は分光光度計を用いて測定する工程とを含むことができる。
【0108】
[00117] エンドポイント比濁アッセイは、カートリッジタイプの形式で実施することができる。
図8Aを参照すると、試料はカートリッジ1に適用され、例えば、血球溶解物を含む導管8の第1の領域14に移動され、ここで試料は、例えば、順方向ポンプ作用と逆方向ポンプ作用との間のサイクルによって可溶化される。次いで、試料-溶解物混合物は、光学検出器を使用した光学特性、例えば濁度の測定のために光学セル6に移動される。複数のアッセイ、例えば、2つのアッセイからの結果を平均することができる。
【0109】
[00118] アッセイは、例えば、特定の量の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)がアッセイに導入されたときに、予め選択された時間における濁度を測定することによって較正することができる。試験試料によって生成された結果を、既知量の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)による1つ以上の結果と比較することによって、試験試料中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在又は量を測定することが可能である。
【0110】
[00119] このタイプのアッセイ形式はまた、他の形式、例えば、マイクロタイタープレートのウェル内で実行することができる。このタイプのアッセイでは、目的の試料をハイブリッドアメボサイト溶解物と混合し、予め選択された期間インキュベートする。次いで、阻害剤の添加によって反応を停止させることができる。次いで、試料の光学特性、例えば濁度を、予め選択された時点で測定する。次いで、その結果を標準値と比較して、目的の試料中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在又は量を測定することができる。
【0111】
C.検体採取及び調製の考慮事項
[00120] 一般に、試験される試料を回収、保存、又は別様に接触するように使用される材料、及び試験試薬は、微生物汚染を含まない必要があり、例えば、発熱物質を含まない必要がある。材料は、例えば、250℃で30分間加熱することによって、発熱材料を含まないようにされ得る。脱発熱物質材料をその後の環境汚染から保護するために、適切な予防措置を講じるべきである。
【0112】
[00121] ハイブリッドアメボサイト溶解物は、目的の試料、例えば流体、例えば哺乳動物に局所的若しくは全身的に、例えば非経口的に投与される流体、又は、例えば、血液、リンパ液、尿、血清、血漿、腹水、肺アスピラント(aspirant)などを含む感染について試験される体液中の微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)の存在又は量を測定するために使用され得る。さらに、アッセイは、表面上に存在する微生物汚染物質(例えば、エンドトキシン)を検出するために使用され得る。例えば、目的の表面をスワブし、次いでスワブを液体中に導入するか、又は液体中に溶解する。次いで、液体を本明細書に記載のようにアッセイすることができる。
【0113】
[00122] 本明細書を通して、組成物が特定の成分を有する、含む(including)、若しくは含む(comprising)として記載される場合、又はプロセス及び方法が特定の工程を有する、含む(including)、若しくは含む(comprising)として記載される場合、さらに、列挙された成分から本質的になる、若しくはそれからなる本発明の組成物が存在し、列挙された処理工程から本質的になる、若しくはそれからなる本発明によるプロセス及び方法が存在することが企図される。
【0114】
[00123] 本出願では、要素又は成分が列挙された要素又は成分のリストに含まれる及び/又はそれらから選択されると言われる場合、要素又は成分は、列挙された要素若しくは成分のうちのいずれか1つであり得るか、又は要素若しくは成分は、列挙された要素若しくは成分のうちの2つ以上からなる群から選択され得ることを理解するべきである。
【0115】
[00124] さらに、本明細書に記載される組成物又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書において明示的であるか又は暗示的であるかにかかわらず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な方法で組み合わせることができることを理解するべきである。例えば、特定の化合物が参照される場合、その化合物は、文脈から他に理解されない限り、本発明の組成物の様々な実施形態及び/又は本発明の方法において使用することができる。換言すれば、本出願内では、実施形態は、明確で簡潔な出願を書き及び描くことができるように説明及び描写されてきたが、実施形態は、本教示及び本発明から逸脱することなく、様々に組み合わせるか、又は分離することができることが意図及び理解されるであろう。例えば、本明細書に記載及び描写される全ての特徴は、本明細書に記載及び描写される本発明の全ての態様に適用可能であり得ることが理解されるであろう。
【0116】
[00125] 冠詞「a」及び「an」は、文脈が不適切でない限り、冠詞の文法的対象の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本開示で使用される。例として、「an要素」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0117】
[00126] 用語「及び/又は」は、特に示さない限り、「及び」又は「又は」のいずれかを意味するために本開示で使用される。
【0118】
[00127] 表現「のうちの少なくとも1つ」は、文脈及び使用から他に理解されない限り、その表現の後の列挙された対象のそれぞれを個々に、及び列挙された対象のうちの2つ以上の様々な組み合わせを含むことを理解するべきである。3つ以上の列挙された対象に関連する表現「及び/又は」は、文脈から他に理解されない限り、同じ意味を有すると理解するべきである。
【0119】
[00128] 用語「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(contain)」、「含む(contains)」、又は「含む(containing)」の使用は、特に他に明記されず、又は文脈から他に理解されない限り、例えば、オープンエンド且つ非限定的であり、列挙されていない追加の要素又は工程を排除しないとして一般に理解されるべきである。
【0120】
[00129] 用語「約」の使用が定量的な値の前である場合、本発明は、特に他に明記しない限り、特定の定量的な値自体も含む。本明細書で使用される場合、用語「約」は、特に示さない限り、又は文脈から推測されない限り、公称値からの±10%の変動を指す。
【0121】
[00130] 工程の順序又は特定の動作を実行するための順序は、本発明が動作可能なままである限り、重要ではないことを理解するべきである。さらに、2つ以上の工程又は動作は同時に実行されてもよい。
【0122】
[00131] 本明細書の様々な箇所で、変数又はパラメーターは、群又は範囲で開示される。説明はそのような群又は範囲のメンバーのあらゆる個々のサブコンビネーションを含むことが特に意図される。例えば、0~40の範囲の整数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、及び40を個々に開示することを特に意図し、1~20の範囲の整数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20を個々に開示することを特に意図する。
【0123】
[00132] 本明細書における任意の及び全ての例、又は例示的な言語、例えば、「など」又は「含む」の使用は、単に本発明をより良く例示することを意図しており、特許請求されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言語も、特許請求されていない要素を本発明の実施に不可欠なものとして示すものと解釈されるべきではない。
【0124】
[00133] 一般的な事項として、パーセンテージを特定する組成は、特に指定されない限り、重量基準である。
【0125】
[00134] 特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本明細書で使用される略語は、化学及び生物学の分野におけるそれらの従来の意味を有する。
【実施例】
【0126】
実施例
[00135] 以下の実施例は単なる例示であり、本発明の範囲又は内容を限定することを決して意図するものではない。
【0127】
実施例1
[00136] この実施例は、組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子C、因子B、及びプロ凝固酵素の調製を記載する。
【0128】
[00137] アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子C、因子B及びプロ凝固酵素をコードするDNA配列(哺乳動物細胞における発現のために最適化されたコドン使用を有する)を、発現プラスミドBD609(ATUM)にクローニングした。アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子CをコードするDNA配列を配列番号1に示す(対応するアミノ酸配列を配列番号3に示す)。アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子BをコードするDNA配列を配列番号4に示す(対応するアミノ酸配列を配列番号6に示す)。アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)プロ凝固酵素をコードするDNA配列を配列番号7に示す(対応するアミノ酸配列を配列番号9に示す)。発現プラスミドを、FreeStyle 293 Expression System(Thermo Fisher)を用いてHEK-293細胞にトランスフェクトして、安定なクローン細胞株を生成した。
【0129】
[00138] 発現及び精製のために、HEK-293細胞を解凍し、フラスコ中のFreeStyle 293 Expression Mediaに添加した。細胞を37℃、5~7%CO2で120rpmで増殖させ、24~72時間ごとに継代した。細胞が所望の体積及び密度に達したら、それらを使用して、WAVEバイオリアクター中で合計20Lの培養物を播種した。72時間後、4,000×gで15分間遠心分離、続いて滅菌ろ過によって上清を回収した。上清を2L未満に濃縮し、タンジェンシャルフローろ過(TFF、GE Life Sciences)によって緩衝液交換した。TFF系を、20mM NaClを含む20mM Tris-HCl緩衝液pH 8.0で平衡化した。
【0130】
[00139] エンドトキシン曝露を緩和するために、使用した全ての材料は単回使用であった。注射用水を全ての緩衝液に使用し、全ての緩衝液は使用日に作製した。
【0131】
[00140] 各組換えタンパク質の量を、以下の条件下で活性(U/mL)に関してアッセイした。組換え因子C(rFC)を、エンドトキシン(大腸菌(E. coli)O55:B5由来の1μg/mLリポ多糖(List Labs))を加え、37℃で30分間インキュベートすることにより活性化した。次いで、合成基質Z-Val-Pro-Arg-pNAの切断を、37℃で405nmの吸光度をモニターすることによって測定した。組換え因子B(rFB)を、活性化rFCを加え、37℃で1時間インキュベートすることによって活性化した。次いで、合成基質H-D-Leu-Thr-Arg-pNAの切断を、37℃で405nmの吸光度をモニターすることによって測定した。組換えプロ凝固酵素(rPCE)を、活性化rFBを加え、37℃で1時間インキュベートすることによって活性化した。次いで、合成基質Ac-Ilu-Glu-Gly-Arg-pNAの切断を、37℃で405nmの吸光度をモニターすることによって測定した。活性の1単位を、1分当たり1マイクロモルの基質の変換を触媒した酵素の量として定義した。
【0132】
実施例2
[00141] この実施例は、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子C、因子B、及び/又はプロ凝固酵素の粗リムルス(Limulus)アメボサイト溶解物(LAL)への添加と、得られたエンドトキシン検出活性を記載する。
【0133】
[00142] 粗LALは、概してLevin et al. (1968) Thromb. Diath. Haemorrh. 19:186に記載されているように調製した。簡潔に述べると、カブトガニから血リンパを採取した。得られた血リンパ液を遠心分離して、アメボサイトペレットを作製した。次いで、アメボサイトを再採取し、再リンスし、再遠心分離した。2回目のリンス及び採取工程の後、得られたアメボサイトを浸透圧ショックにより溶解し、得られた粗アメボサイト溶解物をさらに使用するまで2~8℃で保存した。
【0134】
[00143] 組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子C(rFC)、因子B(rFB)、及びプロ凝固酵素(rPCE)を、実施例1に記載のように調製した。典型的なLALエンドトキシン検出試薬は、20%粗LAL、適切な/適合性の二価カチオン、洗浄剤、凍結乾燥用の賦形剤、及び基質(Ac-Ilu-Glu-Gly-Arg-pNA)を含む。表1に示すように、減少した量の粗LAL(例えば、10%又は5%)、及び追加の組換えタンパク質を含むLALエンドトキシン検出試薬を生成した。
【0135】
【0136】
[00144] 速度論的発色アッセイ法(KCA)を用いてエンドトキシンを検出した。簡潔に述べると、0.1mLのLAL試薬を、RSE(US参照標準エンドトキシン)を含む試料0.1mLと混合した。エンドトキシンとLAL試薬との反応は、LAL試薬中のAc-Ilu-Glu-Gly-Arg-pNA基質の切断及び結果として生じる発色シグナルをもたらし、これは405nmでの吸光度によって測定することができる。LAL試薬の活性を、開始時間(405nmで特定の吸光度(OD 0.05)に達するに達するまでの時間量によって測定した。開始時間を0.02~20EU/mLのRSEで測定し、各濃度での開始時間の対数プロットを用いて標準曲線を作成した。
【0137】
[00145] 0.2EU/mLのRSEでの開始時間を、異なる試薬について比較した。結果を
図2に示す。
図2の活性は、未希釈の(20%)粗LALを含むLAL試薬に対するものであり、すなわち、
図2の100%活性は、未希釈の(20%)粗LALを含むLAL試薬の活性(0.2EU/mLのRSEについての開始時間、上記のように計算)に対応する。
【0138】
[00146] 試薬番号0(希釈(10%)粗LALを含み、追加の組換えタンパク質を含まない)は、未希釈(20%)粗LALを含む試薬に対して25%の活性を示した。rFc単独の添加(試薬番号1)は、相対活性を増加させなかった。rFB単独(試薬番号2)の添加は、相対活性を増加させた。しかしながら、相対活性の最大の増加は、rFB及びrPCEの両方の添加後に観察された。特定の試薬(試薬番号4~6)については、相対活性は100%より大きかった。換言すれば、これらの試薬は、希釈された粗LALを含んでいたにもかかわらず、未希釈の粗LALを有する対応する試薬よりも大きいエンドトキシン検出活性を示した。
【0139】
[00147] まとめると、これらの結果は、天然アメボサイト溶解物(例えば、天然LAL)へのrFB及び/又はrPCEの添加が、アメボサイト溶解物の感受性を維持しながら、又は場合によってはそれを増加させながら、エンドトキシンを検出するのに必要な天然アメボサイト溶解物の量を減少させることができることを示す(例えば、KCAアッセイにおいて)。
【0140】
実施例3
[00148] この実施例は、粗リムルス(Limulus)アメボサイト溶解物(LAL)への様々な量の組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子Bの添加、及び得られたエンドトキシン検出活性への影響を記載する。
【0141】
[00149] 組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子B(rFB)及びプロ凝固酵素(rPCE)を実施例1に記載のように調製し、粗LALを実施例2に記載のように調製し、LAL試薬活性を概して実施例2に記載されるようにアッセイした。
【0142】
[00150] 表2に示すように、希釈粗LAL、rPCE、及び様々な量のrFBを含むLAL試薬を生成した。使用したrFB量は、0、0.2、及び0.4U/mLであった。
【0143】
[00151] 結果を
図3及び表3に示す。
図3は、同じエンドトキシン濃度における試薬番号1(未希釈(20%)粗LALを含み、組換えタンパク質を含みないLAL試薬)の活性に対する示された試薬の活性を示し、すなわち、
図3の所与のエンドトキシン濃度についての100%活性は、同じエンドトキシン濃度での試薬番号1の活性に対応する。表3は、各試薬について示されたエンドトキシン濃度での開始時間を示す。
【0144】
[00152]
図3及び表3に示すように、rPCE単独の添加は、試薬番号2(希釈粗LAL及びrPCEを含む)が試薬番号1(未希釈粗LALを含み、rPCEを含まない)と同等の活性を有するので、活性を増加させた。しかしながら、活性の最大の増加は、試薬番号3及び4に見られるように、rFB及びrPCEの両方の添加後に観察され、これは、試薬番号1と比較して実質的に増加した活性を有した。活性の増加は概して、添加されたrFBの量に比例した。
【0145】
【0146】
【0147】
[00153] まとめると、これらの結果は、天然アメボサイト溶解物(例えば、天然LAL)へのrFB及び/又はrPCEの添加が、アメボサイト溶解物の感受性を維持しながら、又は場合によってはそれを増加させながら、エンドトキシンを検出するのに必要な天然アメボサイト溶解物の量を減少させることができることを示す(例えば、KCAアッセイにおいて)。
【0148】
実施例4
[00154] この実施例は、希釈粗LAL及び組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子B(rFB)及びプロ凝固酵素(rPCE)を含む凍結乾燥LAL試薬の調製を記載する。
【0149】
[00155] rFB及びrPCEを実施例1に記載のように調製し、粗LALを実施例2に記載のように調製した。希釈粗LAL、rPCE、及びrFBを含むLAL試薬を、表4に示すように生成し、凍結乾燥した。
【0150】
[00156] LAL試薬活性を、概して実施例2に記載されるようにアッセイした。結果を
図4及び表5に示す。
図4は、試薬について示された各エンドトキシン濃度での開始時間を示し、表5は、
図4に示したデータを当てはめて得られた回帰曲線の情報を示す。全ての製剤は、エンドトキシンに対して用量依存性応答を示した。
【0151】
【0152】
【0153】
[00157] これらの結果は、ハイブリッドアメボサイト溶解物(例えば、希釈粗LAL、rFB、及び/又はrPCEを含む)が、凍結乾燥後に活性を維持することを示す。
【0154】
実施例5
[00158] この実施例は、希釈粗LAL、組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子B(rFB)、及び組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)プロ凝固酵素(rPCE)を含むLAL試薬の調製、並びに速度論的比濁アッセイ(KTA)又はゲル凝固アッセイにおけるそれらの使用を記載する。
【0155】
[00159] rFB及びrPCEを実施例1に記載のように調製し、粗LALを実施例2に記載のように調製した。0.5U/mL rFB、100U/mL rPCE、及び19%粗LAL(典型的なKTA LAL試薬中の粗溶解物の約半量である)を含むLAL試薬を生成した。KTA及びゲル凝固アッセイを、米国薬局方(USP)に記載されているように、細菌エンドトキシン試験に従って実施した。
【0156】
[00160] KTAアッセイの結果を
図5Aに示し、ゲル凝固アッセイの結果を
図5Bに示す。試薬は、KTAアッセイにおいてRSEに対する用量依存性応答を示し、ゲル凝固アッセイにおいて0.015EU/mLのエンドポイントを示した。
【0157】
[00161] まとめると、これらの結果は、組換えタンパク質(例えば、rFB及び/又はrPCE)の天然アメボサイト溶解物(例えば、天然LAL)への添加が、アメボサイト溶解物の感受性を維持しながら、エンドトキシンを検出するのに必要な天然アメボサイト溶解物の量を減少させることができることを示す(例えば、KTA又はゲルクロットアッセイにおいて)。
【0158】
実施例6
[00162] この実施例は、さらに希釈された粗LAL、組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子B(rFB)、及び組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)プロ凝固酵素(rPCE)を含むLAL試薬の調製、並びに速度論的比濁アッセイ(KTA)又はゲル凝固アッセイにおけるそれらの使用を記載する。
【0159】
[00163] rFB及びrPCEを実施例1に記載のように調製し、粗LALを実施例2に記載のように調製した。0.5U/mL rFB、100U/mL rPCE、及び12%粗LAL(典型的なKTA LAL試薬中の粗溶解物の量の約30%である)を含むLAL試薬を生成した。LAL試薬活性を、概して実施例5に記載されるようにアッセイした。
【0160】
[00164] KTAアッセイの結果を
図6Aに示し、ゲル凝固アッセイの結果を
図6Bに示す。LAL試薬は、KTAアッセイにおいてRSEに対する用量依存性応答を示したが、このゲル凝固アッセイにおいてエンドポイントを達成しなかった。
【0161】
[00165] まとめると、これらの結果は、組換えタンパク質(例えば、rFB及び/又はrPCE)の天然アメボサイト溶解物(例えば、天然LAL)への添加が、アメボサイト溶解物の感受性を維持しながら、エンドトキシンを検出するのに必要な天然アメボサイト溶解物の量を減少させることができることを示す(例えば、KTAにおいて)。
【0162】
実施例7
[00166] 水試料中のエンドトキシンを含む天然環境エンドトキシン(NEE)は、大腸菌(E. coli)から調製されたRSEなどの精製エンドトキシンとは異なり、組換え因子C試薬及び組換えLALを含む組換え試薬に対して低い反応性を示すことが多い(Dubczak et al. (2021) Eur. J. Phrm. Sci. 159:105716)。この実施例は、希釈粗LAL、組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子B(rFB)、及び組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)プロ凝固酵素(rPCE)を含むLAL試薬の調製、並びにNEEの検出におけるそれらの使用を記載する。
【0163】
[00167] この実施例では、以下の試薬を試験した:(i)20U/mL rFC、0.3U/mL rFB、及び350U/mL rPCEを含む完全組換えLAL(「rLAL」)、(ii)希釈(10%)粗LAL、0.1U/mL rFB、及び100U/mL rPCEを含むハイブリッドLAL(「ハイブリッド」)、(iii)第1の市販の組換え因子C(PyroGene、Lonza、「rFC #1」)、(iv)第2の市販の組換え因子C(EndoZyme、BioMerieux、「rFC #2」)、(v)第1の市販の天然LAL試薬(Endochrome-K、Charles River)、及び(vi)第2の市販の天然LAL試薬(Kinetic QCL、Lonza)。rLAL及びハイブリッドについては、rFc、rFB及びrPCEを実施例1に記載のように調製し、粗LALを実施例2に記載のように調製し、活性を概して実施例2に記載のようにアッセイした。全ての市販の試薬は、製造業者の説明書に従って使用した。
【0164】
[00168] 市販の天然LAL試薬(Endochrome-K及びKinetic QCL)を陽性対照として使用した。Endochrome-K及びKinetic QCLの両方を用いて114の水試料中のNEEを検出し、これら2つの値の平均を100%に設定した。rLAL、ハイブリッド、rFC #1及びrFC #2もまた、同じ114の水試料中のNEEの検出に使用し、結果をEndochrome-K及びKinetic QCLを用いて得られたものと比較した。薬局方における細菌エンドトキシン試験(BET)の基準によれば、各試薬は、それが2倍以下(すなわち、50%~200%の範囲)しか異ならない場合、Endochrome-K及びKinetic QCL平均と一致すると考えられた。結果を表6に示す。
【0165】
【0166】
[00169] 表6に示すように、ハイブリッド溶解物は、天然LAL試薬(Endochrome-K及びKinetic QCL)と96.5%の一致を示したが、rLAL、rFC #1、及びrFC #2は高い失敗率を示した。特に、rFC #1及びrFC #2試薬は、80%超の低い側の値で失敗し、これらの試薬を使用する場合の潜在的な偽陰性の高い割合を示唆した。
【0167】
[00170] まとめると、これらの結果は、ハイブリッドアメボサイト溶解物試薬(例えば、希釈粗LAL、rFB、及び/又はrPCEを含む)が、天然LAL試薬に匹敵するレベルでNEEを検出することができ、完全組換え試薬と比較してNEEを検出するのに優れていることを示す。
【0168】
実施例8
[00171] この実施例は、粗タキプレウス(Tachypleus)アメボサイト溶解物(TAL)への組換えカブトガニ(Tachypleus tridentatus)因子B及び/又はプロ凝固酵素の添加、並びに得られるエンドトキシン検出活性を記載する。
【0169】
[00172] 組換えカブトガニ(Tachypleus tridentatus)因子B(rFB)及びプロ凝固酵素(rPCE)を、実施例1に記載のものと同じクローニング、発現、及び精製方法を用いて調製した。カブトガニ(Tachypleus tridentatus)因子BをコードするDNA配列を配列番号13に示す(対応するアミノ酸配列を配列番号15に示す)。カブトガニ(Tachypleus tridentatus)プロ凝固酵素をコードするDNA配列を配列番号16に示す(対応するアミノ酸配列を配列番号18に示す)。
【0170】
[00173] 市販のTAL試薬(Zhanjiang A & C Biological Ltd、中国)をLAL試薬水で再構成し、80mM HEPES緩衝液(pH 7.6)、1.6% NaCl、20mM MgSO4、及び1mM Ac-Ilu-Glu-Gly-Arg-pNAを含む緩衝液で2倍に希釈した。この試薬を「100% TAL」と称する。「50% TAL-ハイブリッド」と称されるハイブリッド試薬を、100% TALを2倍に希釈し、0.1U/mL rFB及び100U/mL rPCEを添加することによって調製した。「50% TAL」と称される対照試薬も、いずれの組換えタンパク質も添加せずに100% TALを2倍に希釈することによって調製した。
【0171】
[00174] 100% TAL、50% TAL、及び50% TAL-ハイブリッドを、KCAアッセイ(概して、実施例2に記載されるような)で試験した。結果を
図7に示す。示されるように、50% TALの感度は、100% TALよりも低かった(50% TALが100% TALの感度の25%を有する)。しかしながら、50% TAL-ハイブリッドは、100% TALと同様の感度を示した(50% TAL-ハイブリッドが100% TALの感度の79%を有する)。
【0172】
[00175] 100% TAL、50% TAL、rLAL(実施例7に記載されるような)及び50% TAL-ハイブリッドも、実施例7の水試料の1つにおいてNEEを検出するために使用した。結果を表7に示す。100% TALを用いて測定したエンドトキシン値を100%に設定した。示されるように、50% TAL-ハイブリッドは100% TALに匹敵する活性を有し、50% TAL又はrLALを超える活性を有した。
【0173】
【0174】
[00176] まとめると、これらの結果は、天然アメボサイト溶解物(例えば、天然TAL)へのrFB及び/又はrPCEの添加が、アメボサイト溶解物の感受性を維持しながら、又は場合によってはそれを増加させながら、エンドトキシンを検出するのに必要な天然アメボサイト溶解物の量を減少させることができることを示す(例えば、KCAアッセイにおいて)。
【0175】
実施例9
[00177] この実施例は、組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子B、及び/又はプロ凝固酵素の粗タキプレウス(Tachypleus)アメボサイト溶解物(TAL)への添加、並びに得られるエンドトキシン検出活性を記載する。
【0176】
[00178] 組換えアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)因子B(rFB)及びプロ凝固酵素(rPCE)を、実施例1に記載のように調製した。市販のTAL試薬(Zhanjiang A & C Biological Ltd、中国)をLAL試薬水で再構成し、80mM HEPES緩衝液(pH 7.6)、1.6% NaCl、20mM MgSO4、及び1mM Ac-Ilu-Glu-Gly-Arg-pNAを含む緩衝液で2倍に希釈した。この試薬を「100% TAL」と称する。「50% TAL-rLPハイブリッド」と称されるハイブリッド試薬を、100% TALを2倍に希釈し、0.1U/mLアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)rFB及び100U/mLアメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)rPCEを添加することによって調製した。「50% TAL」と称される対照試薬も、いずれの組換えタンパク質も添加せずに100% TALを2倍に希釈することによって調製した。
【0177】
[00179] 100% TAL、50% TAL、及び50% TAL-rLPハイブリッドを、KCAアッセイ(概して、実施例2に記載されるような)において試験した。結果を
図9に示す。示されるように、50% TALの感度は、100% TALよりも低かった(50% TALが100% TALの感度の38%を有する)。しかしながら、50% TAL-rLPハイブリッドは100% TALよりも高い感度を示した(50% TAL-rLPハイブリッドが100% TALの感度の113%を有する)。
【0178】
[00180] 100% TAL、50% TAL、rLAL(実施例7に記載されるような)及び50% TAL-rLPもまた、実施例7の水試料の1つにおいてNEEを検出するために使用した。結果を表8に示す。100% TALを用いて測定したエンドトキシン値を100%に設定した。示されるように、50% TAL-rLPは、50% TAL又はrLALと比較して改善された活性を有した。
【0179】
【0180】
[00181] まとめると、これらの結果は、天然アメボサイト溶解物(例えば、天然TAL)へのrFB及び/又はrPCE(例えば、リムルス(Limulus)rFB及び/又はrPCE)の添加が、アメボサイト溶解物の感受性を維持しながら、又は場合によってはそれを増加させながら、エンドトキシンを検出するのに必要な天然アメボサイト溶解物の量を減少させることができることを示す(例えば、KCAアッセイにおいて)。
【0181】
実施例10
[00182] この実施例は、粗リムルス(Limulus)アメボサイト溶解物(LAL)への組換えカブトガニ(Tachypleus tridentatus)因子B及び/又はプロ凝固酵素の添加、並びに得られるエンドトキシン検出活性を記載する。
【0182】
[00183] 組換えカブトガニ(Tachypleus tridentatus)因子B(rFB)及びプロ凝固酵素(rPCE)を、実施例8に記載のように調製した。粗LALを実施例2に記載のように調製した。この試薬は、「100% LAL」と称される。「50% LAL-rTハイブリッド」と称されるハイブリッド試薬を、100% LALを2倍に希釈し、0.1U/mLのカブトガニ(Tachypleus tridentatus)rFB及び100U/mLのカブトガニ(Tachypleus tridentatus)rPCEを添加することによって調製した。「50% LAL」と称される対照試薬も、いずれの組換えタンパク質も添加せずに100% LALを2倍に希釈することによって調製した。
【0183】
[00184] 100% LAL、50% LAL、及び50% LAL-rTハイブリッドを、KCAアッセイ(概して、実施例2に記載されるような)において試験した。結果を
図10に示す。示されるように、50% LALの感度は、100% LALよりも低かった(50% LALが100% LALの感度の77%を有する)。しかしながら、50% LAL-rTハイブリッドは、100% LALよりも高い感度を示した(50% LAL-rTハイブリッドが100% LALの感度の129%を有する)。
【0184】
[00185] 100% LAL、50% LAL、rLAL(実施例7に記載されるような)及び50% LAL-rTハイブリッドも、実施例7の水試料の1つにおいてNEEを検出するために使用した。結果を表9に示す。100% LALを用いて測定したエンドトキシン値を100%に設定した。示されるように、50% LAL-rTハイブリッドは100% LALに匹敵する活性を有し、50% LAL又はrLALを超える活性を有した。
【0185】
【0186】
[00186] まとめると、これらの結果は、天然アメボサイト溶解物(例えば、天然LAL)へのrFB及び/又はrPCE(例えば、カブトガニ(Tachypleus tridentatus)rFB及び/又はrPCE)の添加が、アメボサイト溶解物の感受性を維持しながら、又は場合によってはそれを増加させながら、エンドトキシンを検出するのに必要な天然アメボサイト溶解物の量を減少させることができることを示す(例えば、KCAアッセイにおいて)。
【0187】
参照による組み込み
[00187] 本明細書で言及される特許及び科学文献のそれぞれの開示全体は、全目的のために参照により組み込まれる。
【0188】
均等物
[00188] 本発明は、その趣旨又は本質的特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することができる。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載される本発明を限定するのではなく、全ての点で例示的であると考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等の意味及び範囲内に入る全ての変更は、その中に包含されることが意図される。
【0189】
【0190】
【0191】
[00191] 配列番号3(太字で示す残基1~25は、シグナル配列を表す)
【化3】
【0192】
【0193】
【0194】
[00194] 配列番号6(太字で示す残基1~25は、シグナル配列を表す)
【化6】
【0195】
【0196】
【0197】
[00197] 配列番号9(太字で示す残基1~28は、シグナル配列を表す)
【化9】
【0198】
【0199】
【0200】
[00200] 配列番号12(太字の残基1~21は、シグナル配列を表す)
【化12】
【0201】
【0202】
【0203】
[00203] 配列番号15(残基1~22は、シグナル配列を表す)
【化15】
【0204】
【0205】
【0206】
[00206] 配列番号18(残基1~21は、シグナル配列を表す)
【化18】
【配列表】
【国際調査報告】