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特表2024-507116ツールと、バッテリパックと、充電器とを備えるシステムにおけるバッテリパックの冷却
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  • 特表-ツールと、バッテリパックと、充電器とを備えるシステムにおけるバッテリパックの冷却 図1
  • 特表-ツールと、バッテリパックと、充電器とを備えるシステムにおけるバッテリパックの冷却 図2A
  • 特表-ツールと、バッテリパックと、充電器とを備えるシステムにおけるバッテリパックの冷却 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ツールと、バッテリパックと、充電器とを備えるシステムにおけるバッテリパックの冷却
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240208BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240208BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20240208BHJP
   H01M 10/623 20140101ALN20240208BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H01M10/613
H01M10/6563
H01M10/623
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547771
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 SE2022050114
(87)【国際公開番号】W WO2022173347
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】2150140-8
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511268591
【氏名又は名称】ハスクバーナ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】トルステニ、グレン
(72)【発明者】
【氏名】ギドフ、アンデシュ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H031
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5H031KK08
(57)【要約】
本開示は、バッテリ作動式システムであって、ツール(1)と、前記ツールのツールソケット(5)に挿入されることによって、前記ツールに給電するように構成されているバッテリパック(3)と、前記バッテリパック(3)を充電するための充電器ソケット(9)を備える充電器(7)と、を備えるバッテリ作動式システムに関する。前記バッテリパック(3)は、ハウジング(11)と、前記ハウジングにおいて第1の開口部(15)から第2の開口部(17)まで延在する冷却チャンネル(13)とを備える。前記ツール(1)は、前記バッテリパックの前記ハウジング(11)において前記第1の開口部(15)から前記第2の開口部(17)まで空気を押し進めることによって、使用中に前記バッテリパック(3)を冷却するためのファン構成(19)を備え、前記充電器(7)は、充電中に前記バッテリパック(3)を冷却するが、その代わりに前記バッテリパックの前記ハウジング(11)において前記第2の開口部(17)から前記第1の開口部(15)まで空気を押し進めるためのファン構成(21)を備える。これは、放電中に最も熱くなり得るバッテリセルが、充電中に周囲温度において冷却されることを意味し、完全な充電をより早く達成可能であることを意味する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ作動式システムであって、ツール(1)と、前記ツールのツールソケット(5)に挿入されることによって、前記ツールに給電するように構成されているバッテリパック(3)と、前記バッテリパック(3)を充電するための充電器ソケット(9)を備える充電器(7)と、を備え、
前記バッテリパック(3)は、ハウジング(11)と、前記ハウジングにおいて第1の開口部(15)から第2の開口部(17)まで延在する冷却チャンネル(13)とを備え、
前記ツール(1)は、前記バッテリパックの前記ハウジング(11)において前記第1の開口部(15)から前記第2の開口部(17)まで空気を押し進めることによって、使用中に前記バッテリパック(3)を冷却するためのファン構成(19)を備え、
前記充電器(7)は、前記バッテリパックの前記ハウジング(11)において前記第2の開口部(17)から前記第1の開口部(15)まで空気を押し進めることによって、充電中に前記バッテリパック(3)を冷却するためのファン構成(21)を備える、バッテリ作動式システム。
【請求項2】
前記バッテリパック(3)は、複数のバッテリセル(31,33,35)を備え、前記第1の開口部(15)に最も近い前記バッテリセル(35)と、前記第2の開口部(17)に最も近い前記バッテリセル(31)との両方に温度センサ(43,45)が提供されている、請求項1に記載のバッテリ作動式システム。
【請求項3】
前記ツールは、インプリメントモータを備え、前記ファン構成(19)は、前記インプリメントモータによって駆動される、請求項1又は2に記載のバッテリ作動式システム。
【請求項4】
前記ファン構成(19)は、前記インプリメントモータのシャフトに対して取り付けられている、請求項3に記載のバッテリ作動式システム。
【請求項5】
前記ツール(1)は、電動ツールである、請求項1~4のいずれか一項に記載のバッテリ作動式システム。
【請求項6】
バッテリ作動式システムの作動方法であって、前記バッテリ作動式システムは、ツール(1)と、前記ツールのツールソケット(5)に挿入されることによって、前記ツールに給電するように構成されているバッテリパック(3)と、前記バッテリパック(3)を充電するための充電器ソケット(9)を備える充電器(7)とを備え、前記バッテリパック(3)は、ハウジング(11)と、前記ハウジングにおいて第1の開口部(15)から第2の開口部(17)まで延在する冷却チャンネル(13)とを備え、前記方法は、
前記バッテリパックの前記ハウジング(11)において前記第1の開口部(15)から前記第2の開口部(17)まで空気を押し進めることによって、使用中に前記バッテリパック(3)を冷却する工程と、
前記バッテリパックの前記ハウジング(11)において前記第2の開口部(17)から前記第1の開口部(15)まで空気を押し進めることによって、充電中に前記バッテリパック(3)を冷却する工程と、を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリ作動式システムであって、ツールと、ツールのツールソケットに挿入されることによって、該ツールに給電するように構成されているバッテリパックと、該バッテリパックを充電するための充電器ソケットを備える充電器と、を備えるバッテリ作動式システムに関する。
【背景技術】
【0002】
そうしたバッテリ作動式システムは、燃焼機関を備えるツールと、コードによってコンセントに対して接続されているツールとに対する代替として広範に使用されている。それにより、柔軟で、コードレスな使用が排気物質なしで提供されている。いくつかのバッテリパックは、例えば、ツールの幾らかの連続的な使用を可能にするように使用されることが可能である。また、バッテリパックは、いくつかの様々なツールにおいて使用されることも可能である。
【0003】
係る種類のバッテリ作動式システムに関連する1つの問題は、例えば、バッテリパックが完全に充電されるか少なくとも再び使用可能になるまでの待ち時間を減少させるために、いかにして放電したバッテリパックの効率の良い充電を得るかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の1つの目的は、それゆえに、バッテリ作動式システムにおけるバッテリパックのより効率の良い充電を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
係る目的は、バッテリパックが、ハウジングと、前記ハウジングにおいて第1の開口部から第2の開口部まで延在する冷却チャンネルと、を備える冒頭に述べた種類のシステムにおいて達成される。前記ツールは、前記バッテリパックの前記ハウジングにおいて前記第1の開口部から前記第2の開口部まで空気を押し進めることによって、使用中に、前記バッテリパックを冷却するためのファン構成を備える。前記充電器は、前記バッテリパックの前記ハウジングにおいて前記第2の開口部から前記第1の開口部まで空気を押し進めることによって、充電中に前記バッテリパックを冷却するためのファン構成を備える。
【0006】
これにより、使用後にバッテリパックをより早く高い電力において充電することが可能になる。使用中に、バッテリパックの放電は、熱を発生させる。係る熱は、ツールにおけるファン構成によって冷却される。バッテリパックにおいて空気の入口に最も近いセルは、周囲空気による最も良い冷却を受ける。さらに下流のセルは、ある程度あらかじめ加熱された空気を受け取り、より低い効率でしか冷却されない。出口に最も近いセルは、それゆえに、最も高い温度におそらく達し得る。バッテリパックが充電器まで移動される時、最も熱いセルは、充電を制限し得る。充電器における空気流をツールにおける空気流に対して逆転させることで、しかしながら今度は、より熱いセルは、あらかじめ加熱された空気でなく周囲空気を受け取るので、より効率良く冷却される。それゆえに、最も熱いセルは、より効率の良い充電が行われることが可能である温度により急速に達する。それゆえに、高い電力での充電が、より急速に始まることが可能であり、全体としてより効率の良いバッテリパックの再充電をもたらす。
【0007】
前記バッテリパックは、複数のバッテリセルを備え、前記第1の開口部に最も近い前記バッテリセルと、前記第2の開口部に最も近い前記バッテリセルとの両方に温度センサが提供されていてよい。それにより、最も熱いバッテリセルの温度が、充電中と放電中との両方において決定されることができる。
【0008】
前記ツールは、インプリメントモータを備えてよく、その場合、前記ファン構成は、前記インプリメントモータによって駆動されてよく、いくつかの場合において前記インプリメントモータのシャフトに対して取り付けられていてよい。
【0009】
本開示は、バッテリ作動式システムの作動方法であって、前記バッテリ作動式システムは、ツールと、前記ツールに給電するように構成されているバッテリパックと、前記バッテリパックを充電するための充電器とを備える方法をさらに考える。前記バッテリパックは、ハウジングと、前記ハウジングにおいて第1の開口部から第2の開口部まで延在する冷却チャンネルとを備える。開示されている前記方法は、前記バッテリパックの前記ハウジングにおいて前記第1の開口部から前記第2の開口部まで空気を押し進めることによって、その使用中に前記バッテリパックを冷却する工程を備える。充電中、前記バッテリパックは、前記バッテリパックの前記ハウジングにおいて前記第2の開口部から前記第1の開口部まで空気を押し進めることによって冷却される。これにより、使用されるファン構成の場所にかかわらず、上記の利点が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】バッテリ作動式システム用バッテリパックの概略的な断面図。
図2A】バッテリ作動式電動カッターにおける使用時のバッテリパックを示す図。
図2B】充電器に挿入されているバッテリパックを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、一般的に、バッテリパックがツールにおいて断続的に使用されて、次いで、充電器において再充電されるためにツールから外される、バッテリ作動式システムに関する。係る種類のシステムは、様々な種類のツールに給電するように使用され得る複数のそうしたバッテリパックを使用してよく、電動カッターは一例にすぎない。バッテリ作動式システム用バッテリパックの一例は、図1において概略的に断面により示されている。
【0012】
バッテリパック3は、それぞれがエネルギー貯蔵ユニットとして機能する複数のバッテリセル31,33,35を囲むハウジング11を備え、該複数のバッテリセルは、充電及び放電のために充電電子部品(図示せず)を使用して並列又は直列に接続されることが可能である。バッテリパックにおけるバッテリセル31,33,35は、それらの充電及び放電中、熱を発生するので、それらの温度は、効率を改善するため、及びバッテリパックにおける電子部品及びセル自体が過度な温度よる損傷を受けることを避けるために、制限される必要がある。
【0013】
係る目的を達成するために、冷却フィーチャがバッテリパック3において提供されている。ハウジング11には、第1の開口部15と第2の開口部17とが提供されており、それらの間には、空気が第1の開口部15から第2の開口部17まで進むか、また反対に、第2の開口部17から第1の開口部15まで進むことが可能であるように、冷却チャンネル13が形成されており、それにより、バッテリセル31,33,35が周囲空気よりも高い温度である場合に、空気がバッテリセル31,33,35を通過するとともに冷却する。空気は、バッテリパック3の充電中と放電中との両方に、係る冷却チャンネル13を通して押し進められることが可能である。このとき、充電器7におけるファン構成21及びツール1におけるファン構成19は、バッテリセル31,33,35を通過する所望の冷却流を得るために使用されてよい。
【0014】
本開示では、バッテリ作動式システムの全体効率が、放電中の空気流の方向に対して充電中の空気流の方向を逆転させることによって改善される。図2Aは、バッテリ作動式電動カッター1の形態のツールにおける使用時に、そのソケット5に挿入されているバッテリパック3を示す。ツール1は、使用中にバッテリパック3を冷却するためのファン構成19を備える。電動カッターのファン構成19は、その冷却チャンネル13を通して空気を押し進めることによってバッテリパックを冷却する。次いで、空気は、バッテリパックのハウジング11において第1の開口部15から第2の開口部17まで押し進められる。すなわち、図1の図において右から左に、すなわち、示されている矢印の方向に押し進められる。これは、右側のバッテリセル35は、周囲温度の空気(バッテリパックのハウジング11に対して周囲の)が当たるので、最も効率の良い冷却を受けることを意味する。次に続くセル33,31は、空気流が、次いで、上流の1つ又は複数のセルによって加熱されるので、次第により熱くなる空気を受け取る。それゆえに、電動カッター1又は他のツールがしばらくの間給電されると、左側のバッテリセル31が右側のバッテリセル35よりも相当より熱くなり得る。バッテリパック3が充電器7のソケット9に挿入されるために移動され、充電が始まろうとしている時、バッテリセルが熱すぎると、低減された充電のみが可能になるか、適当なバッテリセル温度に達するまで充電が延期されるように、可能な充電が制限され得る。なお、電動ツールのバッテリパック3は、300Wh以上の容量を有し、2-5kWの範囲の電力をツールに供給してよい。ゆえに、非常に高いレベルの電力が取り扱われる。
【0015】
本開示では、充電器7は、また、冷却チャンネル13を通して空気を押し進めることによって、充電中にバッテリパック3を冷却するためのファン構造21も備える。図2Bは、充電器7のソケット9に挿入されているバッテリパック3を示す。冷却流の方向は、しかしながら逆転しており、バッテリパックのハウジング11において第2の開口部17から第1の開口部15まで(すなわち、図1の矢印に対して反対の方向に)伝わる。これは、最も熱いバッテリセル31が、周囲温度にある最も冷たい空気を受け取り得る一方、続くバッテリセル33,35は、冷却流において上流の1つ又は複数のバッテリセル31,33によって加熱された、より熱い空気を引き続いて受け取り得ることを意味する。しかしながら、このことは、それらのバッテリセル33,35がより低い初期温度によっておそらく冷却されるので、必ずしも問題とはならない。それにより、バッテリパック3の充電は、より早く始まることが可能である、及び/又はより高い充電電力において実行されることが可能である。
【0016】
図1に戻ると、バッテリパックは、ハウジング11において第2の開口部に最も近いバッテリセル31における温度センサ43と、第1の開口部15に最も近いバッテリセル35における温度センサ45とを備えてよい。それにより、ツールの充電中と給電中との両方において、バッテリパックに及び/又はツール若しくは充電器に位置する制御ユニット41を使用して最も高いバッテリセル温度を決定することが可能である。
【0017】
本開示は、上記の例に制限されず、添付の特許請求の範囲内で様々な手法において変更されるとともに代替されてよい。例えば、チェーンソー、リーフブロワー、トリマー等の円形電動カッターの他のいくつかのツールが考えられることが可能である。
図1
図2A
図2B
【国際調査報告】