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特表2024-507122酸化物ベースのサブナノおよびナノフィラメント、ナノフィラメント・ベースの二次元薄片およびメソポーラス粉末のボトムアップで拡張可能な合成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】酸化物ベースのサブナノおよびナノフィラメント、ナノフィラメント・ベースの二次元薄片およびメソポーラス粉末のボトムアップで拡張可能な合成
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/907 20170101AFI20240208BHJP
   C01B 13/32 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C01B32/907
C01B13/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548178
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022070644
(87)【国際公開番号】W WO2022174264
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/148,348
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/167,197
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/171,293
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/275,631
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515015252
【氏名又は名称】ドレクセル ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】バドル、フセイン オー.
(72)【発明者】
【氏名】バルスーム、ミシェル ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4G042
4G146
【Fターム(参考)】
4G042DA01
4G042DD01
4G146MA19
4G146MB03
4G146MB04
4G146MB17A
4G146MB21
4G146NA04
4G146NA11
4G146NB18
4G146PA02
(57)【要約】
提供されるのは、ボトムアップ・アプローチによって、二元および三元チタン炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、シリサイドを、第四級アンモニウム溶液に適度な温度で浸漬することによって、場合によっては2D薄片に自己集合するナノフィラメントに変換する方法である。得られた薄片は、断面がナノフィラメントで構成されるC含有アナターゼベースの層となり、そのナノフィラメントの中には、場合によっては数ミクロンの長さのものもある。これらの材料から作られた電極は、エネルギー・システムで良好な性能を発揮した。この材料はまた、一部のがん細胞の生存能力を低下させる。また、メソポーラス材料、装置、関連方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、複数の金属酸化物サブナノフィラメントおよび/またはナノフィラメントと、任意に炭素の量とを含む、組成物。
【請求項2】
請求項1記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントの少なくとも一部が、約3~約50Åの範囲の幅を有する、組成物。
【請求項3】
請求項2記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントの少なくとも一部が、約7~約20Åの範囲の平均幅を有する、組成物。
【請求項4】
請求項1記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントが非円形断面を規定する、組成物。
【請求項5】
請求項4記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントが、1より大きく約10までの断面アスペクト比を規定する、組成物。
【請求項6】
請求項5記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントが、約2~約5の断面アスペクト比を規定する、組成物。
【請求項7】
請求項1記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントが、約10~約100Åの範囲の平均断面積を有する、組成物。
【請求項8】
請求項1記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントの少なくとも一部が、1nm~約25μmの範囲の長さを有する、組成物。
【請求項9】
請求項8記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントの少なくとも一部が、1nm~約1μmの範囲の長さを有する、組成物。
【請求項10】
請求項1記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントが複数の薄片で構成される、組成物。
【請求項11】
請求項7記載の組成物において、前記複数のナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントの少なくとも一部が共通の平面にある、組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載の組成物であって、薬学的に許容される担体をさらに含む、組成物。
【請求項13】
請求項1記載の組成物であって、がん細胞に対して致死的な1つ以上の物質をさらに含む、組成物。
【請求項14】
請求項1記載の組成物であって、結合剤をさらに含む、組成物。
【請求項15】
請求項14記載の組成物において、前記結合剤がポリマーを含む、組成物。
【請求項16】
請求項1記載の組成物において、前記ナノフィラメントが、バルクまたはナノアナターゼのXRDパターンと比較して、約38°および約55°2シータに減少した(104)および(105)ピークを示すXRDパターンを示す、組成物。
【請求項17】
装置であって、請求項1記載の組成物を含む装置。
【請求項18】
請求項17記載の装置であって、前記装置は電極を含む、装置。
【請求項19】
請求項17記載の装置であって、前記装置はエネルギー貯蔵装置であることを特徴とする、装置。
【請求項20】
請求項18記載の装置において、前記電極は請求項1記載の組成物を含む、装置。
【請求項21】
請求項17記載の装置において、前記装置はディスペンサーを含み、前記ディスペンサーは請求項1記載の組成物をその中に配置するものである、装置。
【請求項22】
請求項17記載の装置を操作する工程を含む、方法。
【請求項23】
方法であって、前記方法は、
一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程を含み、
前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、
前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、
前記接触させる工程は、ナノフィラメント状生成物を生じさせるのに十分な条件下で行われる、
方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、前記条件は、約5時間~約1週間において0~100℃の温度を含む、方法。
【請求項25】
請求項23記載の方法において、ナノフィラメント状生成物を生じさせるように、一元、二元、三元またはそれ以上のホウ化物を第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程を含む、方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、前記二元ホウ化物が1つまたはそれ以上のチタンホウ化物を含む、方法。
【請求項27】
請求項23記載の方法において、前記第四級アンモニウム塩および/または塩基が、水酸化アンモニウム、ハロゲン化アンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、前記水酸化第四級アンモニウムが、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAOH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)、それらのアミン誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項29】
請求項27記載の方法において、前記第四級アンモニウム塩が、第四級アンモニウム塩化物、第四級アンモニウム臭化物、第四級アンモニウムヨウ化物、第四級アンモニウムフッ化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項30】
請求項23記載の方法であって、前記生成物を濾過する工程をさらに含む、方法。
【請求項31】
請求項23記載の方法であって、金属塩および/または他の水溶性金属化合物で前記生成物を洗浄する工程をさらに含む、方法。
【請求項32】
請求項23記載の方法であって、金属塩および/または水溶性金属化合物で前記生成物を洗浄する工程をさらに含み、前記金属塩は任意に、硫酸金属、硝酸金属、クロム酸金属、酢酸金属、炭酸金属、過マンガン酸金属、または水酸化金属、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項33】
請求項32記載の方法において、前記金属塩中の金属が、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Cd、Ta、またはW、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項34】
請求項32記載の方法において、前記金属塩が、LiCl、KCl、NaCl、CsCl、LiF、KF、NaF、LiOH、KOH、NaOH、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項35】
請求項32記載の方法において、前記金属塩が、CrCl、MnCl、FeCl、FeCl、CoCl、NiCl、MoCl、FeSO、(NHFe(SO、CuCl、CuCl、ZnClまたはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項36】
請求項23記載の方法において、前記生成物が請求項1記載の組成物である、方法。
【請求項37】
請求項23記載の方法において、前記ナノフィラメント状生成物が、ナノまたはバルクアナターゼのXRDパターンと比較して、約38°および約55°2シータに減少した(104)および(105)ピークを示す二次元XRDパターンを示す、方法。
【請求項38】
方法であって、前記方法は、
粒子状TiOを第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程を含み、
前記接触させる工程は、アナターゼナノ粒子生成物の生成に十分な条件下で行われるものであり、
前記ナノ粒子生成物は、任意に約2nm~約1000nm、任意に約10~約100nmの直径を有する少なくともいくつかのナノ粒子を有する、
方法。
【請求項39】
請求項38記載の方法において、前記第四級アンモニウム塩および/または塩基が、水酸化アンモニウム、ハロゲン化アンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項40】
請求項38記載の方法において、前記第四級アンモニウム塩基が、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAOH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)、それらのアミン誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項41】
請求項38記載の方法において、前記第四級アンモニウム塩が、塩基と共に、第四級アンモニウム塩化物、第四級アンモニウム臭化物、第四級アンモニウムヨウ化物、第四級アンモニウムフッ化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項42】
請求項38記載の方法であって、生成物を濾過する工程をさらに含む、方法。
【請求項43】
請求項38に従って製造されたアナターゼナノ粒子の集団を含む、組成物。
【請求項44】
方法であって、請求項38に従って製造されたアナターゼナノ粒子の集団でTiOを置換する工程を含む、方法。
【請求項45】
方法であって、前記方法は、
一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程を含み、
前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、
前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、
前記接触させる工程は、任意に振盪しながら行われ、および、
前記接触させる工程は、メソポーラス粒子を生じさせるのに十分な条件下で行われる、
方法。
【請求項46】
方法であって、前記方法は、
一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程を含み、
前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、
前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、
前記接触させる工程は任意に振盪しながら行われ、および、前記接触させる工程は、その後に少なくとも1つの塩で洗浄され、メソポーラス粒子を生じさせるのに十分な条件下で行われる、
方法。
【請求項47】
方法であって、前記方法は、
一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程を含み、
前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、
前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、
前記接触させる工程は振盪しながら、約50~約95℃の温度で行われ、次いでLiClで洗浄され、メソポーラス粒子が生じる、
方法。
【請求項48】
請求項45~47のいずれか1つに従って製造されたメソポーラス粒子を含む組成物。
【請求項49】
メソポーラス粒子を含む組成物であって、前記メソポーラス粒子がチタンを含み、前記メソポーラス粒子が、ナノまたはバルクアナターゼのXRDパターンと比較して、約38°および約55°2シータ(2θ)に減少した(104)および(105)ピークを示すXRDパターンを示す、組成物。
【請求項50】
請求項48記載の組成物であって、治療薬をさらに含む、組成物。
【請求項51】
請求項49記載の組成物であって、治療薬をさらに含む、組成物。
【請求項52】
方法であって、前記方法は、治療薬を対象に送達することを含み、前記治療薬は、請求項48記載の組成物中に含まれるものである、方法。
【請求項53】
方法であって、前記方法は、治療薬を対象に送達することを含み、前記治療薬は、請求項49記載の組成物中に含まれるものである、方法。
【請求項54】
電極であって、前記電極は、請求項48記載の組成物を含む、電極。
【請求項55】
電極であって、前記電極は、請求項49記載の組成物を含む、電極。
【請求項56】
装置であって、前記装置は、請求項48記載の組成物を含む、装置。
【請求項57】
装置であって、前記装置は、請求項49記載の組成物を含む、装置。
【請求項58】
請求項56または請求項57記載の装置において、前記装置はエネルギー貯蔵装置である、装置。
【請求項59】
方法であって、請求項57記載の装置を操作する工程を含む、方法。
【請求項60】
方法であって、請求項58記載の装置を操作する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許出願第63/148,348号(2021年2月11日出願)、米国特許出願第63/167,197号(2021年3月29日出願)、米国特許出願第63/171,293号(2021年4月6日出願)、および米国特許出願第63/275,631号(2021年11月4日出願)の優先権および利益を主張する。前述の出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、1Dおよび2D材料の分野、および金属酸化物ベースのナノ材料の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
一次元(1D)および二次元(2D)材料には、3D対応物にはない利点がある。歴史的に、バルクでの2D材料の合成の出発点は、粘土、グラファイト、あるいは最近ではMAX相のような層状固体がほとんどであった。非層状固体からバルクで2D固体を合成するという考えは、困難/不可能と考えられてきた。従って、2D固体、特に非層状固体からバルクで合成されるそのような固体に対するニーズがある。ほとんどの1Dナノフィラメントは水中で安定ではない。したがって、1D固体、特に水中で安定な固体が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
開示された技術の一例として、我々はボトムアップ・アプローチにより、10種類の二元および三元チタン炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、およびシリサイドを、例えば25~85℃の範囲の温度で水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液に浸漬することにより、2D薄片に変換した。X線回折、密度汎関数理論、X線光電子、電子エネルギー損失、ラマン、X線吸収端近傍構造分光、透過型および走査型電子顕微鏡画像、選択領域回折に基づき、得られた薄片はC含有アナターゼベース層であり、その断面は(いくつかの実施形態では)≒6x10Åナノフィラメントで構成され、その一部は数ミクロンの長さであると結論付けた。これらのフィルムの一部から作られた電極は、リチウムイオンおよびリチウム硫黄システムで良好な性能を示した。これらの材料はまた、がん細胞の生存率を低下させるので、生物医学的応用の可能性を示している。非層状の安価な前駆体(例えばTiC、TiB、TiNなど)を用いて、1D体からなる2次元(2D)材料を常温に近い条件で合成することは、パラダイムシフトであり、研究および応用の新しくエキサイティングな道を開くことは間違いない。
【0005】
記載された長年のニーズを満たすために、本開示は、複数の金属酸化物(例えば、金属酸化物ベース)ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメント、ならびに任意に炭素の量を含む、組成物を提供する。(本明細書に記載されているように、ナノフィラメントはチタンを含むことができる。)そのような組成物の例は、"Bottom-up, scalable synthesis of anatase nanofilament-based two-dimensional titanium carbo-oxide flakes", Badr et al., Materials Today (2021)に見出され、その全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
また、装置が提供され、この装置は、本開示による組成物、例えば、態様1~16のいずれか1つによる組成物を含む。
【0007】
本開示による装置、例えば態様16による装置を操作する工程を含む、方法がさらに開示される。
【0008】
また、一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程であって、前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、前記接触させる工程は、ナノフィラメント状生成物を生じさせるのに十分な条件下で行われる、接触させる工程を含む方法が開示される。
【0009】
また、粒子状TiOを第四級アンモニウム塩と接触させる工程を含み、前記接触させる工程は、アナターゼナノ粒子生成物を生じさせるのに十分な条件下で行われ、前記ナノ粒子生成物は、任意に、少なくともいくつかのナノ粒子が、約2nm~約1000nm、任意に約10nm~約100nmの直径を有する、方法も開示される。
【0010】
さらに、本開示に従って、例えば態様38~42の1つに従って製造されたアナターゼナノ粒子の集団を含む、組成物が提供される。
【0011】
また、TiOを、本開示に従って、例えば態様38~42のいずれか1つに従って製造されたアナターゼナノ粒子の集団で置換する工程を含む方法も開示される。
【0012】
また、一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程であって、前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、前記接触させる工程は、任意に振盪しながら行われ、および、前記接触させる工程は、メソポーラス粒子を生じさせるのに十分な条件下で行われる、接触させる工程を含む方法が開示される。
【0013】
また、一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程であって、前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、前記接触させる工程は任意に振盪しながら行われ、および、前記接触させる工程は、その後に少なくとも1つの塩で洗浄され、メソポーラス粒子を生じさせるのに十分な条件下で行われる、接触させる工程を含む方法が開示される。
【0014】
一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程であって、前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、前記接触させる工程は任意に振盪しながら、約50~約95℃の温度で行われ、次いでLiClで洗浄され、メソポーラス粒子が生じる、接触させる工程を含む方法がさらに開示される。
【0015】
また、本開示に従って、例えば、態様45~47のいずれか1つに従って製造されたメソポーラス粒子も提供される。
【0016】
さらに、メソポーラス粒子を含む組成物であって、前記メソポーラス粒子がチタンを含み、前記メソポーラス粒子が、ナノまたはバルクアナターゼのXRDパターンと比較して、約38°および約55°2シータ(2θ)に減少した(104)および(105)ピークを示すXRDパターンを示す、組成物が提供される。
【0017】
また、対象への治療薬の送達を行うことを含む方法であって、前記治療薬は、本開示による、例えば、態様48~49のいずれか1つによる組成物中に含まれるものである、方法が提供される。
【0018】
また、対象への治療薬の送達を行うことを含む方法であって、前記治療薬は、本開示による、例えば、態様48~49のいずれか1つによる組成物中に含まれるものである、方法が開示される。
【0019】
さらに、電極が提供され、前記電極は、本開示による、例えば、態様48~49のいずれか1つによる組成物を含む。
【0020】
また、装置であって、前記装置は、本開示による、例えば、態様48~49のいずれか1つによる組成物を含む、装置が開示される。
【0021】
また、方法であって、前記方法は、本開示による、例えば、態様52~53のいずれか1つによる装置を操作する工程を含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
この特許又は出願のファイルには、少なくとも1つのカラー図面/写真が含まれている。本特許又は特許出願公開のカラー図面/写真付き写しは、請求及び必要な手数料の支払に基づき、国内官庁から提供される。
【0023】
必ずしも縮尺通りに描かれていない図面において、同様の数字は、異なる図において同様の構成要素を表すことができる。異なる文字の接尾辞を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なる例を表すことができる。図面は、本明細書で議論される様々な態様を、限定ではなく例として一般的に示す。図面において:
【0024】
図1図1A~1D 作製プロセス、走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真、および密度汎関数理論(DFT)構造。(図1A)作製プロセスの概略図、(図1B)TiC由来の濾過フィルム(FF)の典型的な断面SEM顕微鏡写真。右下隅にある未消化のTiC粒子を着目のこと。挿入図は典型的なコロイド懸濁液の写真を示している。(図1C)XRDと選択領域回折(SAD)の結果に最もよく適合する、TiO化学構造を有する4層のTi層2Dアナターゼベースの構造の等角側面図。青、オレンジ、赤、黒の球は、それぞれTi、2-および3-配位O、Cを表す。左側の垂直矢印はおおよその寸法を示す。(図1D)[200](上)方向と[110](下)方向に成長するナノフィラメント(nfs)の上面図。挿入図(図1D)は、Ti層数の関数として、実験LP(破線)とDFT予測(実線)を比較している。我々の座標系はcとdの左下に示されており、バルクアナターゼの座標系ではない。
図2図2A~2D 2D材料の特性評価。(図2A)透過モードでの濾過処理された垂直配向TiAlC-由来フィルムの対数スケールのXRDパターン。挿入図は水平配向フィルムのパターンを示す。5°2θピークはカプトンテープによるものである。青い四角はTEM-SADパターンから求めた2θの位置である(表3)。(図2B)示された前駆体から得られたFFのラマンスペクトル。80℃で2日間処理された一番上のTiBを除き、すべての粉末は50℃で3日間加熱され、エタノールと水で洗浄された。すべてのピークはアナターゼに属する。[15](図2C)5つの粒子から測定したコア損失電子エネルギー損失分光法(EELS)データ。グラフは、~280eVのエネルギー損失における炭素-Kエッジ、~450eVのエネルギー損失におけるチタン-L3,2ピーク、および~530eVのエネルギー損失における酸素-Kエッジを示している。すべてのスペクトルはTiエッジのピーク強度に正規化され、明瞭にするために垂直方向に分離されている。(図2D)アナターゼ、TiAlC、TiCおよびTiClの結果と合わせたTiC由来フィルムのXANES結果。いずれのTiC試料もTMAH中、50℃で3日反応させた。挿入図はX線吸収端近傍構造(XANES)の導関数を示す。
図3図3A~3D 炭化チタン(TCO)薄片の形態。(図3A)横方向サイズが4μmを超えるTCO薄片の典型的な透過型電子顕微鏡(TEM)画像。右上の挿入図に赤で囲んだ領域のSADを示す。2つの円弧は[110]方向と[200]方向に沿った繊維構造を示している。下部の挿入図は左上隅の高倍率拡大図で、円弧に沿った方向にほつれたナノフィラメントを示している。(図3B)幅が≒10Åである個々のフィラメントを示す走査型透過電子顕微鏡(STEM)。下部の挿入図は、大きな中央のTiAlC粒子から化学的に「引き出された」ナノフィラメントを示している。(図3C)TMAH中で80℃、3日間加熱し、水で洗浄したTiC由来のTCO自己組織化ナノフィラメントの原子間力顕微鏡(AFM)。(図3D)(図3C)と同じであるが、コロイド懸濁液を500倍に希釈し、スライドガラス上にドロップキャストした後である。挿入図は(図3D)の青線に対応する高さプロファイルを示す;最も細いフィラメントの高さは≒1.5nmである。
図4図4A~4D (図4A)様々な前駆体由来のフィルムのTaucプロット。破線はアーバッハテール吸収によるベースラインのモデル化;実線は線形部分にフィットする。充放電曲線(図4B)20mAg-1でリチウムイオン電池(LIB)で試験したときのTiAlC由来の電極材料の電圧プロファイル。挿入図は0.1mV s-1 でのサイクリック・ボルタモグラムを示す。(図4C)リチウム-硫黄(Li-S)電池でさまざまな電流速度で試験したときのTCOカソードの充放電曲線。(図4D)がん細胞(本文参照)の生存率。値は平均値±SD(n=3)を示す;*p<0.05。
図5図5A~5F (図5A)TiSiC、(図5B)TiAlC、(図5C)TiSbP、(図5D)TiN、(図5E)TiB、および(図5F)TiSiから開始して作成され、エタノールおよびLiCl洗浄後のFFの断面のSEM顕微鏡写真。挿入図は、対応するコロイド懸濁液とFFを示す。
図6図6A~6C 親TiC、TiAlC、TiSiC前駆体(黒線)からのFF(図6A)、エタノールで洗浄した後、超音波処理なしのそれらから派生した2D TCO膜(それぞれ赤、青、および緑の曲線)のX線回折図(明瞭化のため垂直方向にシフト)。(図6B)エタノール、次いでLiCl溶液で洗浄した後のTiC(赤、下)、TiAlC(青、中)、およびTiSiC(緑、上)由来フィルム。(図6C)エタノール、次いでLiCl溶液で洗浄した後のTiB(赤、下)、TiN(青、中)、およびTiSi(緑、上)由来フィルム。
図7図7A~7B (図7A)透過モードで垂直配向膜からXRDパターンを得るために使用したセットアップ。挿入図は、垂直アルミニウム試料ホルダーにテープ留めしたドロップキャストフィルム付きカプトンテープを示す。(図7B)示された前駆体に由来する、垂直配向したエタノール洗浄FFのXRDパターン(明瞭化のため垂直方向にシフト)。カプトンテープのパターンも示す。アスタリスクは未反応前駆体に属するピークを示す。1つのケースを除き、前駆体は材料と方法のセクションに記載されているように、TMAH溶液中で50℃、3日間加熱した。1つのケースでは、TiC粉末を50℃のTMAHに11日間浸漬した(青、上)。XRD特性評価のため、1~1.5mlのコロイド懸濁液をピペットでカプトンテープにドロップキャストし、風乾した。5°の黒い縦線はカプトンテープに由来する。青い線は、アナターゼベースの2D構造への目のガイドである。
図8図8A~8F (図8A)および(図8B)TiC由来薄片の典型的なTEM像(50℃、3日間)(図8C)(図8A)と同じであるが、TiCは80℃で3日間加熱され、TCO薄片の繊維状性質が強調されている。(図8D)アモルファスTCOバックグラウンドから結晶化するナノフィラメント。挿入図は、幅2~3nm、長さ数ミクロンの結晶性ナノフィラメントの高解像度画像を示している。前のケースでは、反応生成物は水洗された。(図8E)粉砕されたFFから捕捉されたTiSiC由来の薄片(50℃で3日間、エタノールで洗浄)。(図8F)TiAlC相から化学的に「引き出された」ように見えるナノフィラメント(中央の暗い粒子)(50℃、3日間、エタノールと水で洗浄)。挿入図は赤丸で囲まれた領域のSADパターンを示す。fの挿入図は、かすかなリング(TCOによる)とMAX相スポットの両方を示す。
図9図9A~9B (図9A)TiC由来材料のTEMおよび(図9B)AFM顕微鏡写真(80℃で5日間加熱し、水で洗浄)。AFM試料は、希釈後の初期懸濁液からスライドガラス上にスピンコートされた。
図10図10A~10B (図10A)6層アナターゼ構造。スラブ厚さは≒8Å。(図10B図1Cに示した4層構造のフォノン状態密度。
図11図11 Ti 2p領域(第1列)、C 1s領域(第2列)、O 1s領域(第3列)およびフェルミ端(第4列)のLiCl洗浄後のXPSスペクトルは、TiC-(第1行、上部)、TiAlC-(第2行)、TiSiC-(第3行)、TiN-(第4行)、TiB-(第5行)、およびTiOベースの(第6行)フィルムから得られた。ピークフィットと結果は表4と表7にまとめられている。縦の破線は目のガイドである。
図12図12A~12B (図12A)TiAlC-ベースおよび(図12B)TiSiC-ベースのフィルター膜のTi 2p領域(第1列)、C 1s領域(第2列)、O 1s領域(第3列)、およびフェルミ端(最後の列)における処理の関数としてのXPSスペクトル。破線の縦線は目のためのガイドである。特にTiピークの位置は、TiAlCの場合、フィルムの洗浄に使用した溶液や、Ar中で800℃に加熱した後でも影響を受けないようである(青の上のスペクトルとその下のaのスペクトルを比較)。
図13図13A~13E TiC(黒、下)、TiAlC(赤、下から2番目)、TiSiC(青、下から3番目)、TiN(緑、上から3番目)、TiB(紫、上から2番目)、およびTiO(黄、上)粉末に由来するTCO FFの(図13A)N 1sおよび(図13B)Cl 2p領域のXPSスペクトル、(図13C)TiSiC由来FFのSi 2pスペクトル、(図13D)TiAlC由来FFのAl 2pスペクトル、(図13E)TiB由来FFのB 1sスペクトル。すべての試料は、濾過前にエタノールとLiClで洗浄し、XPS分析前に真空乾燥した。
図14図14A~14B (図14A)全試料について、Ar中800℃まで10℃/分で昇温したときの熱重量プロット。エタノール標識試料はエタノールで洗浄し、LiCl標識試料はまずエタノールで洗浄し、次にLiCl溶液で洗浄した。(図14B)空気中で800℃まで加熱したTiC由来のフィルム。c)bの質量分析結果。≒400℃までは、放出されるガスのほとんどは水である。400℃を超えるとCOが放出される。黒い破線の縦線は目へのガイドである。
図15図15 Ar中で800℃に加熱したLiCl洗浄濾過膜のXRD回折図のリートベルト解析。χの値を図に示す。結果は表8にまとめた。紫の線は、赤のフィットと黒の実験結果の差を示す。
図16図16A~16B (図16A)図に示した時間と温度でTMAH中で加熱したTiO由来材料のXRD回折パターン。2Dアナターゼでは、(104)ピークと(105)ピークは存在せず、63°ピークは60°の方向にシフトしている。(図16B)20nmのアナターゼナノ粒子のTEM。挿入図は、得られたTiOナノ粒子の高倍率画像とSADパターンを示す。
図17図17A~17D リチウムイオン電池の電極材料としてのTiAlCベースのTCOの電気化学的性能。(図17A)開回路電位における電気化学インピーダンス分光法ナイキストプロット、(図17B)比容量対サイクル数および比電流を示す。(図17C)比電流100mA g-1の比電流における電圧プロファイル。(図17D)cに示したセルの比容量とクーロン効率対サイクル数。
図18図18A~18B Li-SセルにおけるTiCベースのFF電極の電気化学的特性:(図18A)CV曲線、(図18B)0.2℃におけるサイクル安定性。S負荷は0.8mgである。容量は、フェードするまでの約300サイクルにおいて、多かれ少なかれ≒1000mAh/gで一定であった。
図19図19は、本開示による例示的なメゾスコピック材料の画像を提供する。
図20】表1は、本研究で使用した例示的な粉末と試薬の提供元を提供する。
図21】表2は、例示的な前駆体、Ti:TMAHのモル比、および合成条件をまとめたものである。
図22】表3は、図2aに示したXRDパターンから得られた層間間隔(d)値と対応する回折角(2θ)、および5つの異なる試料から得られた7つの異なるSADパターンから得られた値との比較をまとめたものである。親TiCに由来するすべてのサンプルは50℃に加熱され、その後エタノールと水で洗浄された。
図23】表4は、図11に示したXPS結果のフィッティングの要約である。
図24】表5は、図2cに示したEELS測定から推測される5つの異なる薄片の化学組成を提供する。最後の行は、O、C、Nの合計Xが存在する可能性のある化学反応を示している。薄片は、TiC粉末をTMAH中で、50℃で3日間加熱して作成した濾過フィルムを乾式摩擦することによって調製され、その後エタノールで洗浄された。
図25】表6は、EDS測定から推定された、異なる前駆体からの薄片数の化学組成を示している。最後の行は、これらの試料の考えられるTi:O比を示している。SEM-EDS測定は、TMAHと50℃で72時間反応させ、エタノール、次いでLiCl溶液で洗浄した前駆体TiAlC、TiSiC、TiGaC粉末から作製された濾過フィルムの断面から得た。TEM-EDS測定は、粉末を50℃で72時間TMAHと反応させ、エタノールで洗浄することによって作製されたTiSiCおよびTiB由来の濾過フィルムを乾式摩擦することによって調製された試料に対して行われた。
図26】表7は、図11に示した≒459eVピーク下のTi領域と≒530eVピーク下のO領域から得られたTi:O化学を提供する。
図27】表8は、Ar中で800℃に加熱した後の濾過フィルムのリートベルト分析の要約である。対応するXRDパターンは図15にプロットされている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、所望の実施形態の以下の詳細な説明およびそこに含まれる例を参照することにより、より容易に理解され得る。
【0026】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先する。好ましい方法および材料は以下に記載されているが、本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を、実施または試験において使用することができる。本明細書に記載された全ての刊行物、特許出願、特許およびその他の文献は、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書に開示された材料、方法、および実施例は、例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
【0027】
単数形の「a」、「an」、「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形の参照を含む。
【0028】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、実施形態「からなる(consisting of)」および「本質的にからなる(consisting essentially of)」を含み得る。本明細書で使用される用語「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含む(contain(s))」、およびそれらの変形は、命名された成分/工程の存在を必要とし、他の成分/工程の存在を許容する、オープンエンドの経過的な句、用語、または単語であることが意図される。しかしながら、このような記載は、組成物又はプロセスを、列挙された成分/工程「からなる」及び「本質的にからなる」とも記載しているものと解釈されるべきであり、これは、列挙された成分/工程を、そこから生じる可能性のある不純物とともに許容し、他の成分/工程を除外するものである。
【0029】
本明細書で使用する場合、「約(about)」及び「または約(at or about)」という用語は、問題の量又は値が、ほぼ又はほぼ同じ他の値を指定した値であり得ることを意味する。本明細書で使用される場合、別段の指示または推論がない限り、それは±10%の変動で示される公称値であることが一般的に理解される。この用語は、類似の値が特許請求の範囲に記載された同等の結果または効果を促進することを伝えることを意図している。すなわち、量、サイズ、配合物、パラメータ、および他の量および特性は、正確ではなく、正確である必要はないが、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、および当業者に公知の他の要因を反映して、所望に応じて近似値および/またはより大きくまたはより小さくすることができると理解される。一般に、量、サイズ、処方、パラメータ、または他の量もしくは特性は、そのように明示されているか否かにかかわらず、「約」または「概算」である。定量的な値の前に「約」が使用される場合、特に別段の記載がない限り、パラメータには特定の定量的な値自体も含まれると理解される。
【0030】
反対の指示がない限り、数値は、同じ有効数字に減じたときに同じである数値、および数値を決定するために本願明細書に記載されているタイプの従来の測定技術の実験誤差未満だけ記載値と異なる数値を含むと理解されるべきである。
【0031】
本明細書に開示されるすべての範囲は、言及される終点を包含し、終点とは独立している(例えば、「2グラムと10グラムの間、およびすべての中間値は、2グラム、10グラム、およびすべての中間値を含む」)。本明細書に開示される範囲の終点および任意の値は、正確な範囲または値に限定されず、これらの範囲および/または値に近似する値を含むように十分に不正確である。すべての範囲は、組み合わせ可能である。
【0032】
本明細書で使用されるように、近似的な表現は、それが関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用することができる。したがって、「約」や「実質的に」などの用語によって修正される値は、場合によっては、指定された正確な値に限定されないことがある。少なくとも場合によっては、近似的な表現は、値を測定する機器の精度に対応することができる。また、修飾語「約」は、2つの端点の絶対値によって定義される範囲を開示するものと考えるべきである。例えば、「約2から約4まで」という表現は、「2から4まで」という範囲も開示する。用語「約」は、示された数値のプラスマイナス10%を指すことができる。例えば、「約10%」は9%から11%の範囲を示すことができ、「約1」は0.9から1.1を意味することができる。「約」の他の意味は、四捨五入など文脈から明らかであるため、例えば「約1」は0.5~1.4を意味することもできる。さらに、用語「含む(comprising)」は、用語「含む(including)」のオープンエンドな意味を有すると理解されるべきであるが、用語「からなる(consisting)」のクローズドな意味も含む。例えば、成分AおよびBを含む組成物は、A、Bおよび他の成分を含む組成物であり得るが、AおよびBのみからなる組成物であり得る。本明細書で引用されるあらゆる文書は、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【0033】
TiOを前駆体とした場合を除き、すべてのケースで2D薄片が得られた。TiC由来のフィルムの典型的な断面走査型電子顕微鏡(SEM)画像(図1b)は、FFの2次元的性質を明確に示している。この顕微鏡写真は、未消化のTiC粒子(右下)と薄片の両方を示している点で特に明瞭である。濃度が10g/Lのコロイド懸濁液を図1bの挿入図に示す。他のフィルムのSEM画像を図5に示す。FFの色は薄い灰色から濃い灰色まで様々であった。これらの薄片が非層状前駆体から合成でき、構造的にも化学的にも類似したFFが得られるという事実は、ボトムアップ・アプローチの強力な証拠である。我々の解釈では、TMAHは前駆体を溶解し、TMAH/水におけるCおよびOと自発的に反応して自己組織化ナノフィラメントからなる2D薄片を形成するTi原子を放出する、ほぼ普遍的な溶媒として働く(下記参照)。このように、TMAHの役割は、溶媒と鋳型形成剤の2つである。
【0034】
エタノール洗浄後のTiAlC由来フィルムのX線回折(XRD)パターン(図2aの挿入図)は、2D材料の典型的なものである。[7,9]他の前駆体から得られた乾燥FFのXRDパターンを図6に示す。ほとんどの場合、前駆体に関連するピークがないことは注目に値する。基礎構造を知るために、垂直配向FFのXRDパターン(図2a)を得た。[14](図7a参照)。これは、TiAlCを50℃で3日間加熱した後、エタノールと水で洗浄した後に得られたものである。赤い縦線は次のようにして得られた:まず、水平配向フィルムからc格子定数LPを計算した(図2aの挿入図)。次に、図1cに示した構造を用いて、すべてのピークの位置を計算した。l指数がゼロでない面はすべて消去し、赤線が残った。密度汎関数理論(DFT)で生成されたLPと実験的なLP(図1dの挿入図)がよく一致していることから、4 Ti層アナターゼベースの2D材料を扱っていることが裏付けられた(後述)。他の前駆体から得られた他の垂直配向フィルムのパターンを図7bに示す。すべてのケースで、同じ角度のピークが得られた。これは、前駆体の化学的性質が、LPを含む形成された構造を変化させないことを示しているため、極めて重要であり、いくら強調しても強調しすぎることはない。
【0035】
TiC、TiSiC、およびTiAlC由来の薄片の透過型電子顕微鏡(TEM)画像から、横方向のサイズ>1μmである2D薄片の存在が明らかになった(図3a、図8)。一部の領域で後者の選択領域回折(SAD)を行った結果、3つの主要なリングが得られた(図8bとcの挿入図を参照)。リングのd-間隔を2θ値に変換すると(図2aの青い四角)、XRDピークとよく一致することがわかり、SADパターンが代表的であることが確認された(より詳しい結果は表3を参照)。さらに興味深いことに、他の領域では2組の円弧(図3aおよび図8aの挿入図)が観察された。円弧の1つはナノフィラメントの長軸が[110]方向にあることを示し、もう1つは[200]方向にあることを示している。これらの間の角度は、挿入図とメイン顕微鏡写真の両方に示されている。これらは、左上のシートの端に見られるほつれた繊維と同じ方向である。円弧が観察された場所は限られている。3つのリングが観察された領域は、より偏在しており、これは、あらゆる方向を向いている小さいnfsの存在を示唆している。同様に、現段階では、真にアモルファスな領域の存在を否定することはできない。
【0036】
走査型透過電子顕微鏡(STEM)顕微鏡写真(図3b)は、試料の繊維状の性質をはっきりと示している。個々のナノフィラメントの幅は≒1nmと推定される。その厚さは≒5.9Åであるため、断面がおよそ6x10Åで、長さがマイクロメートルになるナノフィラメントを扱っていることになる(図3bの挿入図と図8cを参照)。その他のTEM顕微鏡写真を図8に示す。これらのナノフィラメントの理論表面積は、≒1500m/gであることに着目する。
【0037】
図3cと図9は、ガラス上にスピンコートしたTiC由来の試料(80℃で5日間、水で洗浄)のTEMと原子間力顕微鏡(AFM)マップである。生成物の繊維状の性質と自己整列の傾向は明らかである。同じ懸濁液を500倍に希釈してドロップキャストすると、個々のナノフィラメントが分離した(図3d)。図3dの青線に沿ったAFMトレースは、最小のリボンの厚さまたは高さは≒1.5nmであることを示している(図3dの挿入図)。
【0038】
フィラメントあたりのTi層数を決定するために、第一原理計算を用いてLPを予測した。このために、エネルギーが最も低いアナターゼ(101)表面[16]が上部と下部の境界となる、2-(図示せず)、4-(図1c)、および6-Ti層(図10a)からなる3つのスーパーセル構造について緩和計算を行った。(我々の座標系はアナターゼの座標系と異なることに注意;ここではc軸が積層方向である。SMの結晶学のセクションを参照)。次に、TiO2-2x(xは0.25またはTiC)の全体的な化学組成を得るために、スラブ中心で2個のO原子を1個のC原子で置き換えた。これは構造上のCを考慮し、構造を動的に安定させるためである(図10b)。他のすべての構成では動的不安定性が生じた。図1dの挿入図に示すように、3つの構造のb軸のLPは、特にDFT計算が0Kで行われたことを考えると、実験値とよく一致している。しかし、Ti層の数が4または6に増えると、a-LPの大きな増加が観察され、実験値に近づく(図1dの挿入図の青い曲線)。4層と6層のアナターゼの厚さは、それぞれ≒5.9Åと≒8Åである。TMAカチオンの直径は4.5~6Åの範囲である[17,18]。下限を用いると、4層と6層構造のフィラメント間のd間隔は、それぞれ10.4Åと12.5Åとなる。上限を用いると、4層構造のd間隔(11.9Å)が得られ、XRDから得られた11.5のd間隔とよく一致する(図2aと図6aの挿入図)。つまり、実験値は4層構造と一致しており、6層構造は厚すぎる。
【0039】
多くのFFのラマン分光法(図2b)は、前駆体の化学的性質に関係なく、すべてのピークがアナターゼに属することを示している。[15,19]
【0040】
薄片の化学的性質を解明するために、X線光電子分光(XPS)法による包括的な研究が行われた(図11~13および表4)。TiとOの結合エネルギーは、前駆体の化学的性質(図11)、洗浄プロトコル、あるいはAr中で800℃に加熱した場合(図12a)には弱い関数であることがわかった。このことは、すべてのフィルムの化学的類似性を改めて裏付けている。ボトムアップ・アプローチのさらなる証拠は、小さなSiピークを示すTiSiC由来フィルムを除き、他のすべてのXPSスペクトルが、出発前駆体に関係なく、Ti、C、Oの3元素のみで構成されていることである(図13)。
【0041】
議論したように、薄片中のC含有量を定量化することはできなかった。いくつかのTiCベースの薄片のEELSは、Ti:C:Oの原子比が≒1:1:1であることを示した(図2cと表5)。これらの薄片には少量の窒素が含まれていたが、簡易化のためここでは無視する。SEMとTEMの両方のEDSで、Ti:O比が≒1.0であることが確認されたことに注意することが重要である(表6)。この比に基づいて、もしCが構造中に存在しなければ、Tiの酸化状態は≒+2でなければならないが、これは、TiC由来のフィルムのTi KエッジにおけるX線吸収端近傍構造(XANES)測定(図2d)が、平均酸化状態(AOS)が+3から+4の間であることを示していることからも裏付けられる。すべての場合において、XPSにおけるO:Ti比は1よりも3に近かった(表7)。
【0042】
化学的性質と薄片の形態をよりよく理解するために、選択したフィルムについてAr中で800℃までの熱重量分析(TGA)を行った。結果を図14aに示す。TiO由来のフィルムを特筆すべき例外として、他のすべての場合において、LiClで洗浄したフィルムを加熱すると、2つの主要な重量減少現象が見られた。ひとつは≒200℃の前、もうひとつは≒300℃またはそれ以上の温度である。TiB、TiCおよびTiSiC由来フィルムでは、後者が非常に急激である。ほとんどの場合、≒300℃での重量損失は約4%であった。TiAlCおよびTiN由来フィルムの300℃以上での重量損失はより拡散しているが、それでも合計は≒4%であった。300℃での重量減少の鋭さは、空気中で800℃に加熱したTiCフィルムの図14bでよくわかる。この実験では、TGAに質量分析計が装備され、その結果が図14cに示されている。400℃まで放出されたガスは水だけであった。1つ目はおそらく弱く結合した層間水であり、2つ目はLiイオンと結合した水和水である可能性がある。原子番号の高い化学種がないことは、LiCl洗浄工程がTMAカチオンやその他の反応生成物の層間空間を除去したことを間接的に証明している。当然のことながら、エタノールのみで洗浄したフィルムの重量損失はより大きかった(図14aの赤い曲線)。
【0043】
TGA実行後、得られた粉末のXRDパターンを得た(図15)。XRDパターンのリートベルト解析の結果、表8に示す値が得られた。すべてのケースで、2つの主要な相が同定された:チタン酸リチウム、LT、相-Li1.33Ti1.67とルチルまたはアナターゼ。TiAlC、TiSiC、TiCの場合、TiO/LTAのモル比は≒7:3;TiBの場合、その比は1:1に近く;TiOの場合、LTはほとんどない。Liの含有量が高いほど、フィルム中のTi3+の割合が高くなることに注意されたい。したがって、我々のアプローチは、多くの用途で考慮されるTi3+/Ti4+比を調整するために使用することができる。
【0044】
エタノールのみで洗浄し、Ar中でフィルムを800℃まで加熱しても、Li含有相は得られなかった。したがって、LT相の存在は、層間のカチオン(TMA、および/またはプロトン)が、MXeneの研究を非常に彷彿とさせる方法で、LiCl洗浄工程中にLiと交換されたことを示唆している。[20,21]TiO由来の試料は、LiClで洗浄した後でも、わずかにリチウム化されただけであった(表8)。この試料のTGA(図14aの黒い曲線)も同じ理由で外れ値である。カチオン交換は、層状複水酸化物を扱っている可能性を排除する。XPSにClシグナルが存在しない(図13b参照)ことも、この結論を裏付けている。
【0045】
EELS、XANES、DFTおよびTGAの結果に基づけば、薄片の化学的性質はZδ(Ti4+1-δ(Ti3+δ2-2xで与えられ、x<1.0であると仮定するのが妥当である。Zは、Tiの酸化状態が<4+であることを説明するカチオンである。そうでなければ、酸化状態の減少はカチオンによってバランスがとれなければならない。この結論は、ナノフィラメントに欠陥がないことを前提としており、非常にあり得ないシナリオであることに注意する。多くのフィルムが濃い灰色から黒色であるという事実は、バンドギャップにおける欠陥状態の存在を強く示唆している。
【0046】
全体的な状況はさらに複雑である。たとえば、領域によっては、Ti:X比(X=O+C+N)が1に近づくところもある(表5のスポット1および5参照)。我々が扱っているのは、必ずしも均質ではなく、解読に多くの作業を必要とする、非常に複雑なシステムであることをここに認める。これらのコメントにもかかわらず、薄片の構造と構造中のCの存在に関する我々の結論は依然として有効である。
【0047】
特性について論じる前に、ナノフィラメントと2D層の形成に関わるメカニズムについて論じることが有益である。Chenらは、チタン酸テトラ-n-ブチルとTMAHから出発して、TMAHの存在が有機カチオンを提供し、Ti-オクタヘドラ重縮合プロセスを補助し、指示することで、観察された矩形ナノ結晶アナターゼ粒子の規則的な配列が得られたと結論づけた。[15]Tanらは、TiClを125℃で水熱処理した。[19]反応時間が1時間と4時間の場合、彼らのXRDパターンは、60°2θ付近の(240)の位置以外は、図2aと同じであった。反応時間を12時間、24時間と長くすると、2D材料はバルクアナターゼに変換された。彼らは、TMAHがTi八面体を2D層に組み立てるのを助けると同時に、得られたシートを挿入するというモデルを提案した。TMA分子がより安定するのに十分低い温度で作業しているため[22]、我々の材料がバルクアナターゼに変化しないことを除けば、このメカニズムがここでも当てはまらないと考える理由はない。最後に、これまでの全ての研究とは異なり、TMAHは低エネルギー(00l)面をキャップするだけではなく[19]、成長方向に垂直な第二の面もキャップしなければならない。これにより、成長が一つの次元に限定される状況が生まれる。図3bと図8fの挿入図は、フィラメントが前駆体から化学的に「引き出され」、重縮合プロセスが(特定の理論に縛られることなく)その界面で起こる可能性を示唆している。一旦ナノフィラメントが形成されると、それらは自己集合して2D薄片になる必要がある。図8dは、特定の領域において、ナノフィラメントがどのように自己整列して「結晶」領域を形成するかを示すスナップショットである。
【0048】
TiCとMAX相から得られたフィルムは導電性で、導電率は0.01~0.05S/cmの範囲であったが、TiO、TiBから得られたものはそうではない。これらの導電率は、2,000~25,000S/cmの範囲にあるMXeneよりもおよそ5~6桁低いが、典型的な酸化物、特に層状チタン酸塩の一般的なバージョン、すなわちレピドクロサイトよりも明らかに高い桁である[23-25]。導電率は常に存在するわけではなく、現在調査中の未知の変数が作用していることを示唆している。
【0049】
電子構造を明らかにするため、200nmから800nmの紫外可視光吸収スペクトルを測定した。すべてのフィルムのTaucプロット(図4a)は、間接バンドギャップEの明確なサインを示すとともに、サブギャップ状態間の遷移に起因する顕著なアーバッハテールを示した。修正されたTauc法を使用して、無秩序に関連するアーバッハテール状態の寄与からバンド間遷移をデコンボリューションした場合[26]、間接バンドギャップは4eVの範囲に収まると結論づけられた。この値は、アナターゼで報告された中で最高値であるが、寸法が小さくなるにつれてEが増加することと一致する。[27]Liao et al.[28]は、2-Ti層状2Dアナターゼ薄片についてE≒3.6eVを予測および確認した。我々の薄片は、≒6x10Åナノフィラメントで構成されているため、Eはさらに高い。この記録的なTiOのE値は、間接的に我々のナノフィラメントの極端な寸法を裏付けるものであるため、いくら強調してもしすぎることはない。3.3eVにおいて、我々のTiOベースのナノ粒子のEは、予想通りバルクアナターゼのEに近いことに注意されたい(図4a)。
【0050】
興味深いことに(そして、特定の理論や実施形態に縛られることなく)、ここでは、Li濃度から推測されるTi3+の含有量とアーバッハテールとの間には、一部の人が示唆したような相関関係はない[29]。従って、このテールと導電性は点欠陥に起因すると暫定的に結論づけた。EELS測定の一部では、Tiの割合が0.5に近づいており(表5)、O/C空孔が形成されていることを示唆している。このコメントはともかく、これらのフィルムの一部が導電性を示すことがある理由を理解するには、さらなる研究が必要である。
【0051】
応用の可能性を検討するため、リチウムイオン電池(LIB)とリチウム硫黄電池(Li-S)において、われわれの2D薄片の性能を探った。結果はそれぞれ図4bとcに示すとおりで、いずれの場合も有望な結果が得られた。詳細な考察はSMにある(図17と18参照)。LIBの場合、1.64Vと2.1Vにリチウム化ピークと脱リチウム化ピークがないことから(図4bの挿入図)、この電極がTiOでも層状チタン酸塩でもないことが確認された[30,31]。さらに、この電極のクーロン効率は、200サイクル後で≒99.3%であり(図17d)、非常に効率的な電気化学サイクルを反映していた。
【0052】
LiアノードとTiC由来のTCOカソードを持つリチウム硫黄(Li-S)コインセルを組み立て、サイクルを行った。結果を図4cに示し、SMで詳述する。
【0053】
これらの結果は、得られた材料の2D性質とその可能性を確認するために含まれている。しかしながら、これらの結果は、得られたものをよりよく理解することで大きく向上させることができる。これらのコメントはともかく、そのメカニズムや関与などを理解するためには、本稿の範囲を明らかに超えた、より多くの研究が必要であることをここに認める。しかしながら、これらの材料は、特にLi-Sカソードとして大きな可能性を示していることは言うまでもない。例えば、図18bに示すように、容量は、フェードするまで≒1000mAh/gで約300サイクルにわたって一定であった。
【0054】
最後に、TCOの多用途性をさらに実証するために、生物医学的応用の可能性を探ったところ、実際にがん治療に利用できることがわかった(図4d)。ここでは、マウス4T1乳がん細胞とB16-F10メラノーマ細胞を、異なる濃度のTiC由来TCOで24時間処理した後、MTTアッセイを用いて生存率を測定した。200μg/mlの濃度で、TCO粒子はがん細胞の死を誘導することができ、B16-F10メラノーマ細胞よりも4T1乳がん細胞により効果的であった。従って、本開示による組成物をがん含有試料に投与することができ、この投与によりがん細胞の死滅を誘導することができる。
【0055】
結論
【0056】
我々は、ナノフィラメントから構成される2Dチタンカーボ-オキシドフィルムを作製するための、シンプルで安価、比較的高収率、常温近傍、完全に拡張可能、ワンポット、ボトムアップ・アプローチを発見した。11の異なる層状および非層状のチタンベースの前駆体粉末をTMAH中で異なる温度(25℃~85℃)で様々な時間加熱することにより、そのうちの10種類をアナターゼベースの2D薄片に変換し、実質的なC含有量を持つ≒6x10Åナノフィラメントに構成した。いくつかのフィルムは色が濃く、導電性のものもあり、導電率は0.01~0.05S/cmの範囲であった。しかし、アーバッハテールと、全体のLi含有量から推測されるTi3+の割合との間には相関関係が見られなかったため、導電性の原因は還元された酸化状態ではなく、おそらく点欠陥であると結論付けた。TCOはLIBおよびLi-S電池の電極として良好な性能を示した。また、バイオメディカルへの応用も期待できる。
【0057】
材料と方法
【0058】
フィルムの加工
【0059】
この合成プロセスでは、室温(RT)から85℃の範囲の温度で、24時間から1週間の期間、ホットプレート上で加熱されるポリエチレンジャー内の25wt%TMAHに前駆体粉末を浸漬することを伴う。TMAHとの反応後、(TiSbP、TiBおよびTiOを除く)暗黒色の沈殿物が得られ、これを回収し、エタノールで洗浄した後、振盪し、透明な上清が得られるまで3500rpmで何サイクルも遠心分離した。上清が透明になったら、脱イオン水30mLを洗浄した生成物に加え、5分間振盪した。超音波処理を行わず、3500rpmで0.5時間遠心分離した後、安定したコロイド懸濁液が得られた。未反応の粉末は沈殿した。次いで、このコロイドを真空濾過し、FFを生成し、その一部を特徴付けた。
【0060】
場合によっては、LiCl溶液で洗浄する追加の工程を実施し、生成した薄片を特性評価した。上記で得られた黒色コロイド懸濁液に5M LiCl溶液を加えた。その結果、脱凝集が起こった。沈殿物を振盪し、5000rpmの遠心分離を3サイクル行い、脱イオン水で洗浄した。LiCl/脱イオン水洗浄をpH≒7になるまで繰り返した。次に、洗浄した沈殿物を、Arを流しながら冷浴中で1時間超音波処理し、5分間振盪した後、3500rpmで10分間遠心分離した。コロイド懸濁液を濾過し、FFを得た。次に、FFを真空チャンバー内で一晩乾燥させた後、さらに特性評価を行った。
【0061】
少数の場合において、TMAHとTiCの反応から生成した黒色スラリーを、溶媒を加えずにそのまま遠心分離(5000rpm、5分間)し、上清をデカントし、沈殿物を20mLの脱イオン水に懸濁し、5分間振盪した後、3500rpmで30分間遠心分離した。生成した黒色コロイド懸濁液をXRD(図示せず)とTEM検査に使用した。
【0062】
収率は、前駆体から供給されたモル数に対する、生成したアナターゼ様構造中のTiのモル数(簡易化のためTiOのモル質量を使用)の割合として計算した。例えば、TiCとTiAlCの収率は、それぞれ19%と28%である。一般的に、収率は出発前駆体によって≒20%のオーダーである。コロイド懸濁液の固形負荷は10g/Lのオーダーである。
【0063】
X線回折、XRD
【0064】
空気乾燥した試料のXRDパターンは、粉末回折装置(Rigaku SmartLab)を用いて、2~65°2θ範囲のCu Kα線を用い、0.02°のステップサイズと1秒/ステップのドエルタイムで、Bragg-Brentano幾何学で取得した。また、透過モードで垂直配向フィルムのXRDパターンも得た。
【0065】
ラマン分光法、RS
【0066】
ラマン散乱スペクトルは、多数の前駆体のFFから、大気中300Kで収集した(図2b)。試料に3.75mWのパワーを照射し、スポット径~0.5μmに集光した532-nmレーザーを用いてプローブした。散乱光は幾何学的後方散乱で集められ、電荷結合検出器アレイ(Horiba XploRA,Edison NJ)を備えた単軸モノクロメーターを用いて分散および検出された。
【0067】
X線光電子分光法、XPS
【0068】
XPSは分光器(VersaProbe 5000, Physical Electronics,チャナッセン,ミネソタ州)を用いて行った。スポットサイズ200μmの単色Al-Kα X線を用いた。通過エネルギー23.5eV、エネルギーステップ0.05eV、ステップタイム0.5秒で高分解能スペクトルを収集した。1回のスキャンの繰り返し回数は10回であった。XPSスペクトルは、主要なC-Cピークを、285.0eVに設定して校正した。非対称のガウス/ローレンツ線形状を用いてピークをフィットさせた。バックグラウンドはShirleyアルゴリズムを用いて決定した。すべての試料はカーボンテープでXPSステージにマウントした。
【0069】
走査型電子顕微鏡、SEM
【0070】
顕微鏡写真と元素組成は、エネルギー分散型X線分光器(EDS、Oxford EDS,Oxfordshire,英国)を装備したSEM(Zeiss Supra 50 VP,Carl Zeiss SMT AG、Oberkochen,ドイツ)を用いて得た。報告されているEDS値は、加速電圧15 kV、滞留時間60秒で、ランダムに選択した領域を低倍率で少なくとも2回測定した平均値である。
【0071】
原子間力顕微鏡、AFM
【0072】
フィラメントと薄片の厚さは、AFM(Bruker Nano SurfacesによるMultimode 8 AFM)を用いて測定した。ピークフォースタッピングAFMイメージングモードを適用し、表面形態と高さプロファイルを取得した。スキャンはScanAsyst-Air窒化ケイ素プローブを用い、走査速度0.6Hzで行った。トポグラフィ画像は256*256ピクセルの解像度で記録され、Nano Scope Analysisソフトウェアで解析された。
【0073】
透過型電子顕微鏡、TEM
【0074】
TEMイメージングと電子回折パターンは、JEOL JEM2100F電界放射型TEMを用いて収集した。TEMは200keVで作動し、画像解像度は0.2nmであった。画像と回折パターンはGatan USC1000 CCDカメラで収集した。走査型透過電子顕微鏡(STEM)は、300kVで動作する単色化および二重Cs補正されたFEI Titan3 60-300で実行された。
【0075】
電子エネルギー損失分光法、EELS
【0076】
STEM-EELSスペクトルは、Gatan GIF Quantum ERSポストカラムイメージングフィルターを使用し、0.25 eV/チャンネルエネルギー分散、収集半角55mradで1秒ずつ取得した100スペクトルを平均することにより取得した。存在するエッジの元素定量は、Digital Micrographの内蔵機能を用いて行った。
【0077】
X線吸収端近傍構造、XANES
【0078】
Ti Kエッジ等方性XANESスペクトルは、HELIOS-II型ヘリカルアンジュレータ(HU-52)の第一高調波によって供給される円偏光X線を用いて、フィルムの法線から54°の位置で記録された。X線ビームは、一対のSi(111)結晶を備えた固定出口二重結晶モノクロメーターを用いて単色化した。総蛍光収量信号は、後方散乱ジオメトリーに取り付けられたSiフォトダイオードによって収集された。スペクトルは自己吸収の影響を補正した。試料は、厚さ≒1mmの圧縮粉末ペレットであった。等方性XANESスペクトルは、吸収エッジの遥か上方でエッジジャンプが単一になるように正規化した。光子エネルギースケールは、4965.6eVに設定されたTiフィルムの吸収スペクトルにおけるピーク前の最大値を用いて較正された。スポットサイズは0.4x0.3mmであった。実験はグルノーブルの欧州放射光施設(ESRF)ID12ビームラインで行った。
【0079】
電気抵抗率
【0080】
電気抵抗率測定は、4点プローブ装置(Loresta-AX MCP-T370、日東精工、日本)を用いて室温で行い、電気伝導率値に変換した。
【0081】
熱重量分析、TGA
【0082】
TGA分析には熱天秤(TA Instruments Q50,デラウェア州ニューキャッスル)を使用した。FFの小片(≒20mg)をサファイアるつぼに入れ、Arを10mL/分でパージしながら、10℃/分で800℃まで加熱した。ある実験では、質量分析計に取り付けた熱天秤を使用した。これらの測定では、40Vのイオン化ポテンシャルで動作する質量分析計(TA instruments Discovery Series)と組み合わせた熱分析計(TA instruments,SDT 650,Discovery Series)を使用した。試料は、0.5時間室温に保持した後、50mL/分の乾燥圧縮空気流下、10℃/分の速度で800℃まで加熱した。試料からのキャリアガスと発生ガスを、1~100原子質量単位の範囲でスキャンして測定した。各m/z(質量/電荷比)のイオン電流は、初期試料重量で正規化された。
【0083】
UV-vis.
【0084】
UV-VISスペクトルは分光光度計(Evolution 300 UV-Visible,Thermo Scientific)を用いて記録した。測定は、石英スライド上にコーティングされた厚さ1~10μmのフィルムに対して透過モードで実行された。
【0085】
DFT計算
【0086】
第一原理計算は、Vienna ab initio simulation package(VASP)を用いて行った。[32]プロジェクター増強波動法(PAW)を、600eVの運動エネルギーカットオフまで拡張した平面波基底とともに用いた。交換相関効果は、Perdew,Burke,and Ernzerhof(PBE)関数を用いた一般化勾配近似で記述した[33]。ブリュアンゾーンの積分は、0.05eVのスミア幅でガウス・スミア法を用いて行った。使用した擬ポテンシャルの電子配置は、C:[He]2S2P、O:[He]2s2p、Ti_sv:[Ne]3s3p3d4sである。計算スーパーセルは、スラブモデルを用いて様々なアナターゼ(101)原子層から構成され、スーパーセルのa軸とb軸に沿って周期性を持つように構築された。スーパーセルの形状と原子位置は、各原子にかかる力が<5meV/Åになるまで緩和した。スラブに垂直な周期像間の相互作用を排除するために、スーパーセルのc軸(新しい座標系)に沿って15Åの真空領域を追加した。構造最適化のために、第一ブリュアンゾーンは16x6x1のk点サンプリングで、フォノン計算には8x3x1のスーパーセルと2x2x1のk点サンプリングを用いた。
【0087】
電気化学測定
【0088】
リチウムイオン電池、LIB
【0089】
LIB材料としての電極材料としてのTCOの電気化学的性能を評価するため、Li金属に対するハーフセル構成でTCOを試験した。TCA作用電極は、結合剤および炭素添加剤を含む活物質のスラリーを、炭素被覆銅箔上にドロップキャストすることで作製した。スラリーは、40.0mgの活物質、5.0mgのポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF、Sigma Aldrich、米国)結合剤N-メチル-2-ピロリジノン(NMP、99.5%、Acros Organics、Extra Dry over Molecular Sieve、ドイツ)溶媒、および5.0mgのカーボンブラックを混合して調製した。調製した電極を60℃で一晩乾燥させた。電極の質量負荷は~1.2~1.5 mg/cmであった。2電極CR2032型コインセルを、OおよびHO<0.1ppmのAr充填グローブボックス内で組み立てた。対極にはLi金属箔を用いた。エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)3:7(重量比)の1M LiPFとガラス繊維をそれぞれ電解液とセパレーターとして使用した。電気化学ワークステーション(BioLogic VMP3)とサイクラー(Landt CT2001A,)を用いて、Li/Liに対して0.001~3.0Vのカットオフ電気化学電圧ウィンドウでCVとガルバノスタティック充放電試験を行った。電気化学ワークステーション(BioLogic VMP3)を用いて、周波数100kHz~10mHzの電気化学インピーダンス分光測定を行った。
【0090】
硫黄リチウム電池
【0091】
Li-S電池における硫黄ホストとしてのTCOの性能を評価するため、スラリーを用いた方法でTCO/S正極を作製した。簡単に説明すると、35wt%の真空乾燥TCO、35wt%の硫黄、S、20wt%の導電性カーボン(Alfa Aesar,Super P)、および10wt%のバッテリーグレードPVDF結合剤(MTI Corp.)を混合してスラリーを調製した。混合物が均一になるまで材料を乳鉢と乳棒で手動により粉砕した。その後、N-メチル-2-ピロリドン(TCI、米国)を、スラリーに必要な目に見える粘度と均一性が達成されるまでゆっくりと添加した(~25分)。その後、スラリーを、ドクターブレード(MTI Corp.,米国)を用いてアルミニウム箔上に20μmの厚さでキャストした。キャスト後、スラリーを密閉ヒュームフードに2時間保持した後、真空オーブンに移し、50℃で12時間乾燥させた。
【0092】
乾燥したTCO/Sカソードを穴あけパンチ(直径11mm)で切断し、円盤状にした。その後、電極の重量を測定し、Arを充填したグローブボックス(MBraun Lab star,O<1ppm,およびHO<1ppm)に移した。TCO/Sカソード、直径15.6mm、厚さ450μmのLiディスクアノード(Xiamen TMAX Battery Equipment)、3層セパレーター(Celgard 2325)、ステンレス鋼バネと2つのスペーサー、電解液を用いて、CR2032(MTI CorporationおよびXiamen TMAX Battery Equipment)コイン型Li-Sセルを組み立てた。1,2-ジメトキシエタンと1,3-ジオキソランを体積比1:1で混合した1M LiTFSiと1wt%のLiNOを含む電解液を購入し(TMAX Battery Equipment,中国)、メーカーによると微量の酸素と水分を含んでいた(HO<6ppmおよびO<1ppm)。電気化学実験を行う前に、組み立てたコインセルを開回路電位で10時間静止させた。サイクリックボルタンメトリーは、ポテンショスタット(Biologic VMP3)を用いて、Li/Liに対して、電圧1.8~2.6V間を0.1mV.s-1のスキャン速度で実行された。長期サイクル安定性試験は、バッテリーサイクラー(Neware BTS 4000)を用いて、電圧1.8~2.6Vの間の様々なCレート(ここで、1C=1675mAh.g-1)で行った。Li-Sセルは2分間コンディショニングされた。0.1Cと0.2Cでサイクルを行った後、0.5Cで長時間サイクルを行った。
【0093】
生物学的試験
【0094】
処理の1日前、4T1およびB16-F10細胞を96ウェルプレートに10000個/ウェルの密度で添加した。この細胞を、10%ウシ胎児血清と100IU/mLペニシリン/ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640培地中、37℃/5% COで24時間培養した。その後、10μg/mL、50μg/mL、200μg/mLの濃度のTiC系TCOで処理した。24時間の処理後、チアゾリルブルーテトラゾリウムブロマイド(MTT)アッセイをメーカーのプロトコルに従って行った。570nmと630nmの吸光度を測定した。相対細胞生存率は、未処理細胞の吸光度と比較することで求めた。すべての測定は三重で行った。データは二元配置分散分析(two-way ANOVA)とTukeyの事後検定を用いて解析した。
【0095】
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【0128】
補足開示
【0129】
LiCl洗浄の理由
【0130】
2D材料のイオン交換とコロイド安定性に関する先行研究に基づいて[1-9]、以下の理由でLiCl洗浄工程を実施した。
【0131】
TMAカチオンを層間から取り除くため。TMAカチオンによって非導電性フィルムが形成されるケースもあったため、これは有用であった。
【0132】
層間に交換可能な陽イオンが存在することを証明するため。もし交換可能な陽イオンが存在しない場合、Liイオンが層間に挿入されることはなかっただろう。
【0133】
濾過されたフィルムFFをAr中で800℃に加熱した後、得られた結晶相の割合を知ることで、Ti3+の含有量を推定することができた。
【0134】
X線回折
【0135】
驚くことではないが、水平配向のフィルムのX線回折、XRDでは、その根本的な構造を明らかにすることはできなかった。代わりに、Ghidiuら[10]と同様のセットアップを用いて、垂直配向フィルムのパターンを得た。フィルムを得るために、1~3mlのコロイド懸濁液を、ピペットを使って、スライドガラスに取り付けたカプトンテープ上にドロップキャストした(図7aの挿入図)。3層のコロイド懸濁液をドロップキャストし、塗布の間に乾燥を行った。乾燥は、ペトリ皿内の室温、RTでファンを使って行った。ドロップキャストした試料は、両面テープを使って垂直な試料ホルダーに固定された(図7a)。次に、試料ホルダーは、試料を通る信号が最大になるようにアライメントされた。
【0136】
結晶学
【0137】
ここで用いている座標系は、バルクアナターゼの座標系ではなく、図1cの左下に示した座標系であることに注意されたい。我々のレシピに従うと、成長したnfsベースの2D薄片は、バルクアナターゼ(すなわち、アナターゼ座標系)の最低エネルギー面である(110)に沿って優先的に配向する。2Dの文献と整合させるため、我々の系では、薄片の積層方向はc軸に沿っている。つまり、我々の座標系では、これは(00l)平面である。
【0138】
透過型電子顕微鏡、TEM
【0139】
TEM像は、整列した領域が全体のごく一部であることを示している。かなりの割合で、ナノフィラメントは整列しておらず、薄片の平面内でランダムに配向している。このことは、選択領域回折パターン(SAD)でも確認され、ほとんどの薄片で回折リングが見られた。
【0140】
電子エネルギー損失分光法、EELS
【0141】
TMAOH中で50℃、3日間加熱後、エタノール洗浄したTiC系薄片について、5種類の粒子のEELSスペクトルを測定した。図2cは、~280eVのエネルギー損失における炭素-Kエッジ、~450eVのエネルギー損失におけるチタン-L3,2ピーク、および~530eVのエネルギー損失における酸素-Kエッジを含む。すべてのスペクトルはチタンエッジのピーク強度で規格化されている。厚い粒子は急峻なバックグラウンドを示し、それはスペクトルの低エネルギーでより容易に見られる。一番上と一番下のスペクトルは、真ん中の3つの粒子に比べて強度が明らかに低い。5つの粒子のうち、上部と下部のスペクトルはほぼ同量のCを含むが、中央の3つ(2、3および4)の化学組成はTi:C:O原子比≒1:1:1で一貫している。すべてのスペクトルは、~400eVのエネルギー損失でN-Kのわずかな量(図示していない)も示している。本稿では、この少量のNは無視する。これらのスペクトルの結果を表5にまとめた。C-損失ピークの強度が電子ビーム照射下で時間と共に変化しなかったことから、Cは構造のバックボーンにあると推定される。
【0142】
重要なことは、2つの粒子が著しく高い比率のTiを含んでいたことである。1つのケースでは、Tiの原子割合は0.5に近い。これは、プロセス中にTi原子が平均酸化状態+2まで化学的に還元されることを示唆している。
【0143】
ここで、様々なピークの強度は、ビーム下での長時間の照明によっても変化しなかったため、Cは構造内から発生すると推定されることに留意されたい。さもなければ汚染された試料に由来する可能性がある。TEMチャンバー内で500℃に加熱しても、Ti/C比は変化しなかった。
【0144】
X線吸収端近傍構造、XANES、
【0145】
XANES実験は、ESRFビームラインID12において、Ti由来フィルムのTi Kエッジで行った。遷移金属のK吸収端におけるXANESスペクトルは、非占有4p状態への双極子遷移が支配的であり、通常、4p-3d混成状態への遷移に関連する構造化プレエッジピークを伴う。[11]吸収端のエネルギー位置、特にプレエッジピークは、一般的に吸収原子の酸化状態と配位と関連している。我々のTCO膜のXANESスペクトル(図2d)を、Ti4+(アナターゼ)、TiC、TiAlCおよびTi3+(TiCl)の参照化合物のスペクトルと比較すると、TCOフィルムの平均的なTi酸化状態は3+と4+の間であることがわかる。これらの結果は、我々の材料が純粋なアナターゼ、すなわちCを含まないアナターゼではないことを明確に示している。
【0146】
共有結合と3dカウントの両方が、TiのKエッジXANESスペクトルのエネルギーシフトにつながる可能性がある。前者のメカニズムは主にメインエッジで現れる。しかし、メインエッジ以下の弱い特徴(4極子遷移1s->3dから生じる)のエネルギー位置は、3d占有の効果によって支配される。4964eVから4968eVのエネルギー範囲におけるXANESスペクトルの一次微分(図2dの挿入図)を比較すると、TiC中のTiの酸化状態は参照化合物であるTiClと同様に3+に近いことが明らかである。それとは逆に、TiCOはTi3+とTi4+の両方の状態を含んでおり、その微分スペクトルには2つのピークがあり、これらのピークのエネルギー位置はTiClのピークとTiOの最初のピークと一致している。
【0147】
X線光電子分光法、XPS
【0148】
全フィルムの典型的なXPSスペクトルを図11に比較する。ピークをフィッティングし、結果を表4にまとめた。フィルムのTi:O比を表7にまとめた。後者は、≒459eVピークのTiピークと≒530eVピークのOピークの面積から求めた。この比はおよそ1:3である。
【0149】
C 1sスペクトル(図11の第2列)には3つのピークがあり、最大のピークは結合エネルギー(BE)≒285eVを中心とし、2つの小さなピークは≒286.5eVと288.5eVを中心とする。これらはそれぞれ、文献で一般的に報告されているC-C、C-OH、-COOH BEと一致する。[12]我々は最近、MXenesにおいて、C原子が6個のTi 原子で囲まれている場合のBEが282eVであることを示した。[13]ここでは、282eVにピークは見られず、Cが6個のTi原子で囲まれていないことと一致する。我々の構造では、Cは4つのTi原子と結合しているため、それらのBEが282eVよりも高いのは驚くべきことではない。慎重に検討した結果、我々のTCOのCピークは偶発的なC-Cピークと重なると結論した。
【0150】
図11に示すように、Ti 2p3/2のBEは処理の弱い関数である。例えば、エタノール洗浄後、LiCl処理後、さらには800℃までのTGA処理後のBEは、いずれも同程度であり、したがって、これらのフィルムで得られた値は、すべての処理条件におけるすべてのBEを代表しているとみなすことができる。フィルムを空気中で加熱すると、XPSスペクトルはシフトした(図示していない)。
【0151】
図13は、Siシグナルが観測されたTiSiCの場合を除き(図13c)、他のフィルムはすべてTi、O、Cの3元素のみで構成されていることを示している。また、層間にはClが存在せず、二層水酸化物を扱っていないことが確認された(図13b)。
【0152】
熱重量分析、TGA
【0153】
エタノールとLiClで洗浄した試料をTGAに入れ、Ar中で800℃に加熱した。結果を図14に示す。TiO由来フィルムとエタノール洗浄フィルム(図14aの2つの外れ値)を特筆すべき例外として、全体の重量減少は約15%であった。TiC由来のLiCl洗浄フィルムをAr中で1回行ったところ、Ar中で加熱した場合と同じ結果が得られた。ただしこの場合、TGAは質量分析計に接続されており、400℃までに発生した唯一のガスは水であることが示された(図14bおよびc)。その温度を超えると、若干のCOが発生した。
【0154】
TiOが外れ値である理由は、XRDとTEM(図16)によって、この場合に形成されるのは2D構造ではなく、ナノアナターゼ粒子であることを示したからである。この時点で、アナターゼと我々の2D薄片のXRD回折パターンを比較することは有益である。後者では(104)と(105)のピークは存在せず、アナターゼの63°2θのピークは60°2θにかなり近くシフトしている(図16a)。
【0155】
TGAで800℃に加熱した試料のリートベルト分析
【0156】
TGAでAr中800℃に加熱したFFのXRDパターンのリートベルト分析(RA)の結果(図15)を切り出し、様々な相の分率を定量化した。結果を表8に示す。ほとんどの場合、得られた相はチタン酸リチウム、LTA、Li1.33Ti1.66およびアナターゼまたはルチル、TiOであった。ほとんどのχの値は<2であり、適合度は非常に良好であった。TiOから得られたフィルムは層状でないため、LTA体積分率が最も低いことに留意されたい。
【0157】
原子間力顕微鏡、AFM
【0158】
2D薄片の寸法と構成をよりよく理解するために、2D薄片とナノリボンのAFM研究を行った。図3cとdに示す結果から、得られた2D薄片が自己整列したナノフィラメントで構成されていることが確認された。
【0159】
ナノフィラメントを得るために、TiC粉末をTMAH中で80℃、5日間加熱した。このコロイド懸濁液をスライドガラス上に1000rpmで10秒間スピンコートしたところ、AFMによって、フィラメントがほぼ同じ方向に整列した、紛れもない繊維構造が観察された(図3c)。このコロイド懸濁液を500倍に希釈し、基板上にドロップキャストした。その結果、フィラメントが分離した(図3d)。図3dに示す青い線を横切ってAFMをトレースすると、得られたプロファイルは、最も細い繊維の厚さは≒1.5nmであることを示した(図3dの挿入図)。
【0160】
リチウムイオン電池、LIB
【0161】
リチウムイオン二次電池では、CR2032型コインセルを作製し、TiAlC由来の電極の電気化学的性能を調べた。0.001~3.0V対Li/Liの電圧領域において、0.1mVs-1の走査速度で得られたサイクリックボルタンメトリー(CV)曲線(図4bの挿入図)は、MXeneの文献にある曲線と非常によく似ている。[14,15]
【0162】
本稿の図4bは、比電流20mAg-1におけるガルバノスタティック充放電電圧プロフィールを示しており、初期リチウム化比容量は714mAhg、初期脱リチウム化比容量は265mAhg-1である。最初のリチウム化過程での比容量損失は、0.85V以下の固体電解質間相(SEI)層形成と他の不可逆反応に起因すると考えられる。[16]比容量は2サイクル後に安定する。安定したリチウム化比容量210mAhgと脱リチウム化比容量209mAhg-1は、5サイクル後も維持される。図17aは、電極の電気化学インピーダンス分光法をプロットしたもので、低いシステム抵抗(4Ω)と小さな電荷移動抵抗(18Ω)を示し、観察された電気化学的性能を裏付けている。速度処理能力の結果を図17bに示す。500mAg-1では、~110mAhg-1の可逆容量を維持できる。1000mAg-1でも、~80mAhg-1の可逆容量が達成でき、20mAg-1に戻すと、容量は~180mAhg-1まで回復した。図17cおよびdに示すように、調製したままのTCO電極は、100mAg-1の比電流で優れたサイクル安定性能を示した。この電極は、200サイクルで155mAhg-1の比容量を示した。さらに、この電極のクーロン効率は30サイクル後で≒98.9%であり、非常に効率的な電気化学サイクルを反映している。
【0163】
硫黄リチウム、Li-S電極
【0164】
図18aは、0.1mV-s-1の走査速度で、1.8~2.6V(対Li/Li)範囲の典型的なCV曲線をプロットしたものである。CV曲線は、2つの鋭く明確なカソードピークと1つのアノードピークを示している。2.3Vの最初のカソードピークは、長鎖多硫化リチウム(LiPs)へのS還元(12)に起因し、2番目のピークは、その後のLiPのLi6/LiSへの還元に関連している。[17]最初のアノードピークの後のピークシフトは、LiPが12に再堆積する間の核生成/再組織化によるものであると考えられる。図4cは、CV結果と一致する典型的な放電プラトーを示している。TCO/S複合電極は、0.1、0.2、0.5Cレートでそれぞれ1300、1200、1050mAhg-1の容量を示した。このような高容量は、LiPと結合する可能性のある表面活性部位と組み合わせて、TiCOの導電性と関連している可能性がある。カソードの長期安定性を評価するため、0.83mgcm-2のS負荷で0.5Cサイクルを行った。図14bによると、セルの初期容量は~1300mAhg-1で、最初の5サイクル後には~1000mAhg-1に安定する。この初期容量の低下は、0.1℃と0.2℃の低レートでの2つのコンディショニング・サイクルに関連している。複合材料は、≒300サイクル後に~1000mAhg-1の容量を示し、約100%の保持率を示した。容量は300サイクル後に低下する。これらの値は、カソードがTCO薄片と市販のS粉末を乳鉢と乳棒を使ってスラリー状に混合した物であることを考えると、素晴らしいものである。
【0165】
メゾスコピック材料
【0166】
50gのTiB粉末を500mLの25%TMAH溶液に入れ、80℃で3日間ポリエチレン瓶中にて加熱し、機械式ラボシェーカーで振盪した。シェーカーで3日後、得られた懸濁液を沈降させ、液体をデカントした。次に500mLのエタノールを加え、懸濁液を沈降させ、液体をデカントした。エタノール洗浄を合計3回繰り返した。
【0167】
上澄み液をデカンテーションした後、得られた沈殿物を500mLの5M LiCl水溶液で4時間、室温で洗浄した。2回目の水洗浄の後、上清をデカンテーションし、灰色の沈殿物を得た。この沈殿物を40℃で一晩乾燥させた後、手動で粉砕して微粉末にした。
【0168】
粉末のXRDパターンは、d間隔9.4Aの低角度のピーク、25°と48°に2Dアナターゼに対応する非基底ピークを示した。(104)と(105)のピークは消失していた。未反応のTiB2前駆体に属する低強度のピークがいくつか残っていた。得られた粉末のSEM顕微鏡写真(図19)を見ると、およそ10μmの大きさのよく分離したメソポーラス粒子が均一に分布していた。メソポーラス粒子は、長さ数ミクロン、直径100nm以下のリガメントで構成され得る。メソポーラス粒子は、例えば薬物送達、エネルギー貯蔵、装置などに使用することができる。一例として、治療薬をメソポーラス粒子に結合させることができ(例えば、吸着、インターカレーションなど)、治療薬を結合させた粒子を対象に導入し、治療薬を対象に送達することができる。
【0169】
参考文献と注釈
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【0187】
態様
【0188】
以下の態様は例示であり、本開示の範囲または添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0189】
態様1.組成物であって、複数の酸化物ベースのナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントと、任意に炭素の量とを含む、組成物。(本明細書に記載されるように、前記ナノフィラメントはチタンを含むことができる)。前記組成物は、粉末微粒子が酸化物ベースのナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントを含むメソポーラス粉末として存在することができる。
【0190】
態様2.態様1の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントの少なくとも一部が、約3~約50Åの範囲の幅を有する、組成物。前記幅は、例えば、約3~約50Å、約5~約45Å、約7~約40Å、約9~約35Å、約12~約30Å、約15~約20Å、およびすべての中間値および組み合わせであり得る。
【0191】
前記組成物は、懸濁液中、例えば溶液中またはインク中で構成されることができ、このインクは印刷可能である。インクに関しては、インクは、基材に噴霧、印刷、または他の方法で塗布することができる。インクは、溶媒、結合剤などを含むことができる。
【0192】
態様3.態様2記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントの少なくとも一部が、約7~約20Åの範囲の平均幅を有する、組成物。
【0193】
態様4.態様1~3のいずれか1つに記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントは非円形断面を規定する、組成物。
【0194】
態様5.態様4記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントが、1より大きく約10までの断面アスペクト比を規定する、組成物。例えば、断面アスペクト比は、1.1~10、1.5~9、1.8~8、2.2~7、2.5~6、2.8~5、またはさらには3.2~4であり得る。
【0195】
態様6.態様5記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントが、約2~約5の断面アスペクト比を規定する、組成物。
【0196】
態様7.態様1~6のいずれか1つに記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントは、約10~約100Åの範囲の平均断面積を有する、組成物。例えば、平均断面積は、約10~約100Å、約15~約90Å、約20~約80Å、約30~約70Å、約40~約60Å、または約50Åの範囲とすることができる。
【0197】
態様8.態様1~7のいずれか1つに記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントの少なくとも一部が、1nm~約25μmの範囲の長さを有する、組成物。長さは、例えば、約1nm~約25μm、約10nm~約20μm、約50nm~約10μm、約100nm~約5μm、または約250nm~約2μmであり得る。
【0198】
態様9.態様8記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントの少なくとも一部が、1nm~約1μmの範囲の長さを有する、組成物。
【0199】
態様10.態様1~9のいずれか1つに記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントが複数の薄片で構成され;前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントが薄片に自己集合し得る、組成物。特定の理論または実施形態に束縛されることなく、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントは、平面内で整列することができ;薄片は、整列したナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントの2つ以上の層を含むことができ、これにより、ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメント層の整然とした積層である薄片を提供することができる。ナノフィラメントは、自己整列することができる。
【0200】
態様11.態様7記載の組成物において、前記複数の薄片の少なくとも一部が共通の平面にある、組成物。薄片は、積層方向に沿って良好に積層され得る。ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントは、2D材料の典型的なXRDパターン、すなわち、1つのファミリーの平面のみが回折するXRDパターンをもたらし得る。特定の理論または実施形態に束縛されることなく、ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントは、2D薄片に自己集合することができる。
【0201】
態様12.態様1~11のいずれか1つに記載の組成物であって、薬学的に許容される担体をさらに含む、組成物。
【0202】
態様13.態様1~12のいずれか1つに記載の組成物であって、がん細胞に対して致死的である1つ以上の材料をさらに含む、組成物。
【0203】
態様14.態様1~13のいずれか1つに記載の組成物であって、結合剤をさらに含む、組成物。このような結合剤は、例えば、接着剤、粘着剤、または他のマトリックス材料であり得る。
【0204】
態様15.態様14記載の組成物において、前記結合剤がポリマーを含む、組成物。
【0205】
態様16.態様1~15のいずれか1つに記載の組成物において、前記ナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントが、ナノまたはバルクアナターゼのXRDパターンと比較して、約38°および約55°2シータ(2θ)に減少した(104)および(105)ピークを示すXRDパターンを示す、組成物。開示されたナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントは、いくつかの実施形態において、バルクアナターゼのラマンスペクトルに非常に類似したラマンスペクトルを示すことができるが、本明細書に記載されるように、XRDスペクトルに関してはバルクアナターゼとは異なることができる。
【0206】
態様17.装置であって、前記装置が態様1~16のいずれか1つに記載の組成物を含む、装置。
【0207】
態様18.態様17記載の装置であって、前記装置が電極を含む、装置。
【0208】
態様19.態様17記載の装置であって、前記装置がエネルギー貯蔵装置として特徴付けられる、装置。このような装置は、例えば、電池、スーパーキャパシタなどであることができる。装置は、再充電可能であり得るが、使い捨て可能であり得る。このような装置は、モバイルコンピューティング装置、モバイル通信装置、コンピューティング装置、照明装置、信号送信装置、信号受信装置で構成することができる。
【0209】
態様20.態様18記載の装置において、前記電極が、態様1~16のいずれか1つに記載の組成物を含む、装置。
【0210】
態様21.態様17記載の装置であって、前記装置がディスペンサーを含み、前記ディスペンサーは、態様1~16のいずれか1つに記載の組成物をその中に配置する、装置。ディスペンサーは、例えば、注射器、ノズルなどであり得る。このようなディスペンサーは、(例えば、態様1~16のいずれか1つによる)組成物を、対象(例えば、ヒト患者)および/または患者から得られた試料に送達するために使用され得る。このような試料は、例えば、血液試料であり得る。
【0211】
態様22.方法であって、態様17記載の装置を操作する工程を含む、方法。
【0212】
態様23.方法であって、前記方法は、一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程であって、前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、前記接触させる工程は、ナノフィラメント状(および/またはサブナノフィラメント状)生成物を生じさせるのに十分な条件下で行われる、接触させる工程を含む方法。前記生成物は、2D薄片に自己組織化することができる。
【0213】
例示的な炭化物としては、例えば、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化鉄を含む。窒化物の例としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化カルシウム、窒化セリウム、窒化ユウロピウム、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化ランタン、窒化リチウム、窒化マグネシウム、窒化ニオブ、窒化ケイ素、窒化ストロンチウム、窒化タンタル、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化亜鉛、窒化ジルコニウムを含む。
【0214】
ホウ化物の例としては、例えば、二ホウ化アルミニウム、十二ホウ化アルミニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ホウ化バリウム、六ホウ化カルシウム、六ホウ化セリウム、ホウ化クロム(III)、ホウ化コバルト、ホウ化二ニッケル、六ホウ化エルビウム、四ホウ化エルビウム、二ホウ化ハフニウム、ホウ化鉄、四ホウ化鉄、六ホウ化ランタン、二ホウ化マグネシウム、ホウ化ニッケル、二ホウ化ニオブ、ホウ化オスミウム、ホウ化プルトニウム、二ホウ化レニウム、ホウ化ルテニウム、六ホウ化サマリウム、十二ホウ化スカンジウム、ホウ化ケイ素、六ホウ化ストロンチウム、ホウ化タンタル、二ホウ化チタン、ホウ化三ニッケル、ホウ化タングステン、二ホウ化ウラン、ホウ化イットリウム、二ホウ化ジルコニウムなどを含む。
【0215】
リン化物の例としては、例えば、リン化アルミニウムガリウム、リン化アルミニウムガリウム、リン化アルミニウム、リン化ビスマス、リン化ホウ素、リン化カドミウム、一リン化カルシウム、リン化カルシウム、一リン化炭素、リン化コバルト(II)、リン化銅(I)、リン化ジスプロシウム、リン化エルビウム、リン化ユウロピウム(III)、フェロホスホル、リン化ガドリニウム、リン化ガリウムヒ素、リン化ガリウムインジウムヒ素アンチモン、リン化ガリウム、リン化ホルミウム、リン化インジウムヒ素アンチモン、リン化ガリウム、リン化ホルミウム、インジウムガリウムヒ素リン、インジウムガリウムリン、リン化インジウム、リン化鉄、リン化ランタン、リン化リチウム、リン化ルテチウム、リン化ネオジム、リン化ニオブ、炭化リン、塩化リン、リン化ケイ化物、リン化プルトニウム、リン化プラセオジム、リン化サマリウム、リン化スカンジウム、リン化ナトリウム、リン化ストロンチウム、リン化テルル化物、リン化テルビウム、リン化ツリウム、リン化チタン(III)、一リン化ウラン、リン化イッテルビウム、リン化イットリウム、二リン化亜鉛、亜鉛カドミウムリン化ヒ素、リン化亜鉛を含む。
【0216】
アルミナイドの例としては、例えば、マグネシウムアルミナイド、チタンアルミナイド、鉄アルミナイド、ニッケルアルミナイドを含む。
【0217】
シリサイドの例としては、例えば、ニッケルシリサイド、ナトリウムシリサイド、マグネシウムシリサイド、プラチナシリサイド、チタンシリサイド、タングステンシリサイド、およびモリブデンシリサイドが含まれる。
【0218】
特定の理論または実施形態に束縛されることなく、チタンを含む、一元、二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイドが特に好適である。同様に、チタンスポンジは、開示された技術で使用するためのチタン金属の特に好適な形態であると考えられる。例えば、本明細書に記載されるように、ナノフィラメント状(またはサブナノフィラメント状)生成物を生じさせるように、本明細書に記載されるように、チタンスポンジを第四級アンモニウム塩と接触させることができる。
【0219】
態様24.態様23記載の方法において、前記条件は、約0.5時間から約1、2、3、4、または5週間において、0~100℃、200℃、または300℃の温度を含む、方法。温度は、曝露時間中一定とすることもできるが、例えば、上昇および/または下降させるなど、変化させることもできる。温度は、例えば、約0~約300℃、約5~約95℃、約10~約90℃、約15~約85℃、約20~約80℃、約25~約75℃、約30~約70℃、約35~約65℃、約40~約60℃、約45~約55℃、または約50℃とすることができる。100~200℃の温度も適している。温度は曝露中に変化させることができるが(例えば、第一の温度に曝露した後に第二の温度に曝露する)、これは必須要件ではない。曝露は、例えば、温度および/または曝露時間を設定する予めプログラムされたスケジュールに従って行うことができる。曝露温度は、例えば、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約90℃、約95℃、あるいは約100℃とすることができる。
【0220】
前記条件は、いくつかの実施形態では、約20~約300℃の温度と、約0.5時間から約2、3、4、あるいは5週間の曝露を含む。前記条件は、約100~約200℃の温度と、約1時間~約1週間の曝露を含み得る。温度は、曝露時間中一定であり得るが、変化させることもでき、例えば、上昇および/または低下させることもできる。温度は、例えば、約100~約200℃、約105~約195℃、約100~約190℃、約115~約185℃、約120~約180℃、約25~約175℃、約130~約170℃、約135~約165℃、約140~約160℃、約145~約155℃、または約150℃とすることができる。温度は曝露中に変化させることができるが(例えば、第一の温度に曝露した後に第二の温度に曝露する)、これは必須要件ではない。曝露は、例えば、温度および/または曝露時間を設定する予めプログラムされたスケジュールに従って行うことができる。曝露温度は、例えば、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約190、約195であり得る。本方法は、閉鎖系、例えば圧力容器内で実施することができる。圧力は大気圧とすることができるが、大気圧未満とすることもでき、あるいは大気圧以上とすることもでき、例えば、1気圧(101.325kPa)を超える圧力から約10気圧(1013.250kPa)の圧力とすることができる。
【0221】
曝露期間(これは「反応時間」と呼ぶことができる)は、例えば、約1時間~約7日間、約5時間~約6日間、約15時間~約5日間、約20時間~約4日間、約24時間~約3日間、または約2日間であることができる。しかし、いくつかの例として、曝露は、12時間~約72時間、約15時間~約70時間、約18時間~約64時間、約24時間~約60時間、約30時間~約55時間、約33時間~約52時間、約37時間~約48時間、約40時間~約45時間、およびすべての中間値および範囲の亜組み合わせであり得る。
【0222】
態様25.態様23記載の方法において、一元、二元、三元、またはそれ以上のホウ化物(Tiを含み得る)を、生成物を生じさせるように第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程を含み、この生成物はナノフィラメント性および/またはサブナノフィラメント性であり得る、方法。
【0223】
態様26.態様25記載の方法において、前記二元ホウ化物が1つ以上のチタンホウ化物を含む、方法。
【0224】
態様27.態様23~26のいずれか1つに記載の方法において、前記第四級アンモニウム塩および/または塩基が、水酸化アンモニウム、ハロゲン化アンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【0225】
態様28.態様27記載の方法において、前記水酸化第四級アンモニウムが、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAOH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)、アンモニウムヒドロキシド(NHOH)、それらのアミン誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【0226】
態様29.態様27記載の方法において、前記第四級アンモニウム塩が、第四級アンモニウム塩化物、第四級アンモニウム臭化物、第四級アンモニウムヨウ化物、第四級アンモニウムフッ化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。第四級アンモニウム塩と第四級アンモニウム塩基のいずれか一方または両方を使用できることは理解されるべきである。
【0227】
態様30.態様23~29のいずれか1つに記載の方法であって、前記生成物を濾過する工程をさらに含む、方法。
【0228】
態様31.態様23~30のいずれか1つに記載の方法であって、金属塩および/または他の水溶性金属化合物で前記生成物を洗浄する工程をさらに含む、方法。
【0229】
前記金属塩は、ハロゲン化金属塩、例えば、ハロゲン化Li、ハロゲン化Na、ハロゲン化K、ハロゲン化Rb、ハロゲン化Cs、ハロゲン化Fr、ハロゲン化Be、ハロゲン化Mg、ハロゲン化Ca、ハロゲン化Sr、ハロゲン化Ba、ハロゲン化Ra、ハロゲン化Mn、ハロゲン化Fe、ハロゲン化Ni、ハロゲン化Co、ハロゲン化Cu、ハロゲン化Zn、ハロゲン化Mo、ハロゲン化Nb、ハロゲン化W、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0230】
態様32.態様23~31のいずれか1つに記載の方法において、前記金属塩および/または水溶性金属化合物で前記生成物を洗浄する工程をさらに含む、方法。前記金属塩は、任意に、金属硫酸塩、硝酸塩、クロム酸塩、酢酸塩、炭酸塩、過マンガン酸塩、または金属水酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0231】
態様33.態様32記載の方法において、前記塩中の前記金属が周期表から本質的に任意の金属であり得る、方法。しかしいくつかの非限定的な例として、前記金属塩中の前記金属は、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Cd、Ta、またはW、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。金属塩は、例えば、LiCl、KCl、NaCl、LiF、KF、NaF、LiOH、KOH、NaOH、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0232】
態様34.態様32~33のいずれか1つに記載の方法において、前記金属塩が、LiCl、KCl、NaCl、LiF、CsCl、KF、NaF、LiOH、KOH、NaOH、またはそれらの任意の組み合わせである、方法。
【0233】
態様35.態様32~33のいずれか1つに記載の方法において、前記金属塩が、CrCl、MnCl、FeCl、FeCl、CoCl、NiCl、MoCl、FeSO、(NHFe(SO、CuCl、CuCl、ZnClまたはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【0234】
態様36.態様23~35のいずれか1つに記載の方法において、前記生成物が、態様1~16のいずれか1つに記載の組成物である、方法。
【0235】
態様37.態様23~36のいずれか1つに記載の方法において、前記ナノフィラメント状(および/またはサブナノフィラメント状)生成物が、ナノまたはバルクアナターゼのXRDパターンと比較して、約38°および約55°2シータ(2θ)に減少した(104)および(105)ピークを示すXRDパターンを示す、方法。本明細書の他の箇所に記載されているように、開示されたナノフィラメントおよび/またはサブナノフィラメントは、いくつかの実施形態において、バルクアナターゼのラマンスペクトルに類似したラマンスペクトルを示し得るが、本明細書に記載されているように、XRDスペクトルに関してはバルクアナターゼとは異なり得る。
【0236】
態様38.方法であって、前記方法は、
【0237】
粒子状TiOを第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程であって、
【0238】
前記接触させる工程は、アナターゼナノ粒子生成物の生成に十分な条件下で行われるものである、接触させる工程を含み、
【0239】
前記ナノ粒子生成物は、任意に、少なくともいくつかのナノ粒子が約2nm~約1000nm、任意に約10nm~約100nmの直径を有する、方法。
【0240】
ナノ粒子生成物は、例えば、加熱、さらなる反応などによって、さらに処理することができる。さらなる処理は、生成物を粗くするために、例えば、より大きなサイズの粒子、例えば、約0.1~約0.7μm、または約0.2~約0.5μmを生じさせるために行うことができる。
【0241】
本開示のアナターゼ生成物を製造するための開示された方法は、TiO(顔料グレードのTiOを含む)の代替物を提供し、また、そのようなTiO、特に顔料グレードのTiOを製造するための既存のプロセスに対する改善を提供する。
【0242】
より具体的には、現在、顔料グレードのTiOを製造するには、低品位のTiOから始め、その低品位のTiOを高温で塩素化してTiOをTiClに変換し、後者を酸化する。開示された方法は、この面倒な既存のプロセスを改善するものである。
【0243】
前記接触させる工程は、約20℃~約80℃、または約25℃~約75℃、または約30℃~約70℃、または約35℃~約65℃、または約40℃~約60℃、または約45℃~約55℃、さらには約50℃で行うことができる。前記接触させる工程は、例えば、約5分~約5時間、約10分~約4.5時間、約15分~約4時間、約20分~約3.5時間、約30分~約3時間、約45分~約2時間、またはそれらの任意の組み合わせもしくは部分範囲内とすることができる。
【0244】
態様39.態様38記載の方法において、前記第四級アンモニウム塩および/または塩基は、水酸化アンモニウム、ハロゲン化アンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【0245】
態様40.態様38記載の方法において、前記第四級アンモニウム塩基は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAOH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)、それらのアミン誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【0246】
態様41.態様38記載の方法において、前記第四級アンモニウム塩は、第四級アンモニウム塩化物、第四級アンモニウム臭化物、第四級アンモニウムヨウ化物、第四級アンモニウムフッ化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。本明細書の他の箇所に記載されているように、第四級アンモニウム塩および第四級アンモニウム塩基のいずれか一方または両方を使用することができる。
【0247】
態様42.態様38~41のいずれか1つに記載の方法において、前記生成物を濾過する工程をさらに含む、方法。
【0248】
態様43.態様38~42のいずれか1つに従って製造されたアナターゼナノ粒子の集団を含む、組成物。このようなナノ粒子は、約200nm~約600nm、例えば、約200nm~約600nm、約225nm~約575nm、約250nm~約550nm、約275nm~約525nm、約300nm~約500nm、約325nm~約475nm、約350nm~約450nm、約375nm~約425nm、またはさらには約400nmのサイズ範囲とすることができる。
【0249】
態様44.態様38~42のいずれか1つに従って製造されたアナターゼナノ粒子の集団でTiOを置換する工程を含む、方法。例として、従来のTiOを本開示に従って、例えば、態様38~42のいずれか1つに従って、アナターゼナノ粒子で置換することによって、従来のTiOで通常製造される顔料を配合することができる。
【0250】
態様45.方法であって、前記方法は、一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程であって、前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、前記接触させる工程は、任意に振盪しながら行われ、および、前記接触させる工程は、メソポーラス粒子を生じさせるのに十分な条件下で行われる、接触させる工程を含む、方法。
【0251】
態様46.方法であって、前記方法は、一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程であって、前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、もしくはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、前記接触させる工程は任意に振盪しながら行われ、および、前記接触させる工程は、その後に少なくとも1つの塩で洗浄され、メソポーラス粒子を生じさせるのに十分な条件下で行われる、接触させる工程を含む、方法。
【0252】
態様47.方法であって、前記方法は、一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイド、またはチタン金属を、第四級アンモニウム塩および/または塩基と接触させる工程であって、前記一元、二元、三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイド、またはチタン金属は、任意に非水溶性であり、前記非水溶性の二元、または三元、またはそれ以上の炭化物、窒化物、ホウ化物、リン化物、アルミナイド、またはシリサイドは、任意に遷移金属を含み、前記遷移金属は、任意にチタンを含み、前記接触させる工程は任意に振盪しながら、約50~約95℃の温度で行われ、次いでLiClで洗浄され、メソポーラス粒子が生じる、接触させる工程を含む、方法。
【0253】
態様48.請求項45~47のいずれか1つに従って製造されたメソポーラス粒子を含む組成物。
【0254】
メソポーラス粒子は、ナノまたはバルクアナターゼのXRDパターンと比較すると、約38°および約55°2シータ(2θ)に減少した(104)および(105)ピークを示すXRDパターンを示すことができる。開示されたメソポーラス粒子は、いくつかの実施形態において、バルクアナターゼのラマンスペクトルに非常に類似したラマンスペクトルを示すことができるが、本明細書に記載されるように、XRDスペクトルの点でバルクアナターゼとは異なることもできる。
【0255】
態様49.メソポーラス粒子を含む組成物であって、前記メソポーラス粒子はチタンを含み、前記メソポーラス粒子は、ナノアナターゼまたはバルクアナターゼのXRDパターンと比較して、約38°および約55°2シータ(2θ)に減少した(104)および(105)ピークを示すXRDパターンを示す、組成物。開示されたメソポーラス粒子は、いくつかの実施形態において、バルクアナターゼのラマンスペクトルに非常に類似したラマンスペクトルを示すことができるが、本明細書に記載されるように、XRDスペクトルの点でバルクアナターゼとは異なることもできる。
【0256】
態様50.請求項48~49のいずれか1つに記載の組成物であって、治療薬をさらに含む、組成物。
【0257】
態様51.方法であって、対象への治療薬の送達を行うことを含む方法であって、前記治療薬は、請求項48~49のいずれか1つに記載の組成物中に含まれる、方法。
【0258】
態様52.電極であって、前記電極は、請求項48~49のいずれか1つに記載の組成物を含む、電極。
【0259】
態様53.装置であって、前記装置が請求項48~49のいずれか1つに記載の組成物を含む、装置。
【0260】
態様54.請求項52記載の装置であって、前記装置がエネルギー貯蔵装置である、装置。
【0261】
態様55.方法であって、請求項52~53のいずれか1つに記載の装置を操作する工程を含む方法。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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【国際調査報告】