(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ロボットアームを試料チューブキャリアと位置合わせする装置および方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548600
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 US2022070606
(87)【国際公開番号】W WO2022174240
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】イャオ-ジェン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ラヤル・ラジュ・プラサド・ナラム・ヴェンカット
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・エス・ポラック
(72)【発明者】
【氏名】アンカー・カプール
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS06
3C707ES03
3C707ET08
3C707HS27
3C707KT02
3C707KT06
3C707LT11
3C707LW12
(57)【要約】
自動試料分析システムにおけるロボットアームの位置合わせのための装置は、ロボットアームと、試料チューブキャリアと、複数の光学構成要素(たとえば、1つまたはそれ以上のカメラを含む)と、コントローラとを含む。コントローラは、光学構成要素から受け取られる画像を処理して、試料チューブキャリアを基準とする第1のマーカの第1組の座標を判定し、ロボットアームを基準とする第2のマーカの第2組の座標を判定するように動作可能である。コントローラはさらに、第1および第2の組の座標間の過度のオフセットに応答して、ロボットアームおよび/または試料チューブキャリアの位置を調節するように動作可能である。いくつかの実施形態において、位置決めツールは、その上に第1および第2のマーカを含む。自動試料分析システムにおいてロボットアームを試料チューブキャリアと位置合わせする方法も他の態様と同様に提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動試料分析システムにおけるロボットアームの位置合わせのための装置であって:
試料チューブを保持しそれを動かすように構成されたロボットアームと;
試料チューブを保持するように構成された試料チューブキャリアと;
ロボットアームによって保持され、ロボットアームによって動かされ、試料チューブキャリアに保持されるように構成された、位置決めツールと;
複数の光学構成要素と;
ロボットアームおよび複数の光学構成要素に動作可能に接続されているコントローラとを含み、該コントローラは:
試料チューブキャリアに保持されている位置決めツールの、複数の光学構成要素から受け取られる画像を処理して、位置決めツール上の第1の点の座標を判定し;
ロボットアームによって保持されている位置決めツールの、複数の光学構成要素から受け取られる画像を処理して、位置決めツール上の第2の点の座標を判定し;
第2の点の座標が第1の点の座標からの所定の偏差を超えることに応答して、ロボットアームによって保持されているかまたは試料チューブキャリアに保持されている位置決めツールの動きを引き起こす
ように動作可能である、前記装置。
【請求項2】
複数の光学構成要素は複数のカメラを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数の光学構成要素は、1つまたはそれ以上のプリズムまたは鏡と、唯一のカメラとを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
位置決めツールは、筒状であり、異なる幾何形状または色のコントラストを有するセクションを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
位置決めツール上の第1の点または第2の点は、幾何形状の変化または色のコントラストの変化が起こる、2つのセクションの交差部分にある、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
位置決めツール上の第1の点と第2の点とは同じ点である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
ロボットアームの位置合わせのための装置であって:
試料チューブを保持するように構成されており、第1のマーカをその上に有する、試料チューブキャリアと;
試料チューブを保持しそれを動かすように構成されており、第2のマーカをその上に有するグリッパを含む、ロボットアームと;
複数の光学構成要素と;
ロボットアームおよび複数の光学構成要素に動作可能に接続されているコントローラとを含み、該コントローラは:
複数の光学構成要素から受け取られる試料チューブキャリアの画像を処理して、第1のマーカの座標を判定し;
複数の光学構成要素から受け取られるグリッパの画像を処理して、第2のマーカの座標を判定し;
第2のマーカの座標が第1のマーカの座標からの所定の偏差を超えることに応答して、ロボットアームを介したグリッパの動きまたは可動トラックを介した試料チューブキャリアの動きを引き起こす
ように動作可能である、前記装置。
【請求項8】
第1のマーカは、試料チューブキャリアに取り付けられた物理的物品であるか、または第2のマーカは、グリッパに取り付けられた物理的物品である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
物理的物品は、点光源またはステッカである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
第1のマーカは、グリッパ上の幾何形状の変化もしくは色のコントラストの変化が起こる点にあるか、または第2のマーカは、試料チューブキャリア上の幾何形状の変化もしくは色のコントラストの変化が起こる点にある、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
自動試料分析システムにおいてロボットアームを位置合わせする方法であって:
試料チューブキャリアを基準とする第1のマーカの箇所を識別することと;
ロボットアームを基準とする第2のマーカの箇所を識別することと;
複数の光学構成要素およびコントローラを使用して、第1のマーカの箇所の座標を判定することと;
複数の光学構成要素およびコントローラを使用して、第2のマーカの箇所の座標を判定することと;
第2のマーカの箇所の座標が第1のマーカの箇所の座標からの所定の偏差を超えることに応答して、コントローラを介してロボットアームまたは試料チューブキャリアの位置を調節することと
を含む、前記方法。
【請求項12】
複数の光学構成要素は複数のカメラを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数の光学構成要素は、1つのカメラと、1つまたはそれ以上のプリズムまたは鏡とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
第1のマーカの箇所を識別することは、試料チューブキャリアに保持されている位置決めツール上の第1のマーカの箇所を識別することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
第1のマーカの箇所を識別することは、位置決めツールが幾何形状または色のコントラストの変化を有する、試料チューブキャリアに保持されている位置決めツール上の点において第1のマーカの箇所を識別することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第2のマーカの箇所を識別することは、ロボットアームによって保持されている位置決めツール上の第2のマーカの箇所を識別することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
第2のマーカの箇所を識別することは、位置決めツールが幾何形状または色のコントラストの変化を有する、ロボットアームによって保持されている位置決めツール上の点において第2のマーカの箇所を識別することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ロボットアームによっておよび試料チューブキャリアに保持されるように構成された位置決めツールを用意することをさらに含み、位置決めツールは、様々な幾何形状または色のコントラストを有するセクションを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
第1のマーカの箇所を識別することは、試料チューブキャリア上の第1のマーカの箇所を識別することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
第2のマーカの箇所を識別することは、ロボットアーム上の第2のマーカの箇所を識別することを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年2月11日出願の「APPARATUS AND METHODS FOR ALIGNING A ROBOTIC ARM WITH A SAMPLE TUBE CARRIER」という名称の米国特許仮出願第63/148,533号の利益を主張するものであり、その文献の開示全体をあらゆる目的で参照によって組み入れる。
【0002】
本開示は、ロボティクスによって生物学的液体容器を輸送するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
医療試験および処理において、ロボティクスの使用によって、生物学的液体試料(たとえば、血液、尿など)への曝露もしくはそれとの接触を最小限に抑えることができ、かつ/または生産性を向上させることができる。たとえば、一部の自動試験処理システム(本明細書では以下で「自動試料分析システム」と呼ぶ)では、生物学的液体容器(たとえば、本明細書では以下で「試料チューブ」と呼ぶ、試験チューブ、バイアルなど)を、自動試料分析システム内の試料チューブキャリアとの間でおよび試験箇所または処理箇所との間で輸送することができる。
【0004】
試料チューブを保持するように構成されたグリッパを有することができるロボットアームの位置合わせが不正確であると、ロボットアームの位置決めが不正確になる可能性があり、そのことが、グリッパと試料チューブとの間、ならびに/または試料チューブと試料チューブキャリアおよび/もしくは自動試料分析システム内の他の構造との間に衝突または詰まりを引き起こす恐れがある。さらに、ロボットアームの位置合わせ不良によって、グリッパによる試料チューブの持上げ動作および載置動作が調和しなくなる場合があり、そのことが、不要な試料こぼれの一因となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、自動試料分析システムにおいて試料チューブキャリアなどの物体を基準とするロボットアームの位置決めの正確さを改善する方法および装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態において、試料チューブを保持しそれを動かすように構成されたロボットアームを含む自動試料分析システムにおけるロボットアームの位置合わせのための装置が提供される。本装置はまた:試料チューブを保持するように構成された試料チューブキャリアと;ロボットアームによって保持され、ロボットアームによって動かされ、試料チューブキャリアに保持されるように構成された、位置決めツールと;複数の光学構成要素と;コントローラとを含む。コントローラは、試料チューブキャリアに保持されている位置決めツールの、複数の光学構成要素から受け取られる画像を処理して、位置決めツール上の第1の点の座標を判定するように動作可能である。コントローラはやはり、ロボットアームによって保持されている位置決めツールの、複数の光学構成要素から受け取られる画像を処理して、位置決めツール上の第2の点の座標を判定するように動作可能である。コントローラはさらに、第2の点の座標が第1の点の座標からの所定の偏差を超えることに応答して、ロボットアームによって保持されているかまたは試料チューブキャリアに保持されている位置決めツールの動きを引き起こすように動作可能である。
【0007】
いくつかの実施形態において、試料チューブを保持するように構成されており、第1のマーカをその上に有する、試料チューブキャリアを含む、ロボットアームの位置合わせのための別の装置が提供される。本装置は、試料チューブを保持しそれを動かすように構成されており、第2のマーカをその上に有するグリッパを含む、ロボットアームも含む。本装置はさらに、複数の光学構成要素と、ロボットアームおよび複数の光学構成要素に動作可能に接続されているコントローラとを含む。コントローラは、複数の光学構成要素から受け取られる試料チューブキャリアの画像を処理して、第1のマーカの座標を判定するように動作可能である。コントローラはやはり、複数の光学構成要素から受け取られるグリッパの画像を処理して、第2のマーカの座標を判定するように動作可能である。コントローラはさらに、第2のマーカの座標が第1のマーカの座標からの所定の偏差を超えることに応答して、ロボットアームを介したグリッパの動きまたは可動トラックを介した試料チューブキャリアの動きを引き起こすように動作可能である。
【0008】
いくつかの実施形態において、自動試料分析システムにおいてロボットアームを位置合わせする方法が提供される。本方法は、試料チューブキャリアを基準とする第1のマーカの箇所を識別することと、ロボットアームを基準とする第2のマーカの箇所を識別することと、複数の光学構成要素およびコントローラを使用して第1のマーカの箇所の座標を判定することと、複数の光学構成要素およびコントローラを使用して第2のマーカの箇所の座標を判定することと、第2のマーカの箇所の座標が第1のマーカの箇所の座標からの所定の偏差を超えることに応答して、コントローラを介してロボットアームまたは試料チューブキャリアの位置を調節することとを含む。
【0009】
本発明を実行するために企図される最良の形態を含むいくつかの例示的な実施形態および実装形態の以下の詳細な説明および例示から、本開示のさらなる他の態様、構成、および利点が容易に明らかになるであろう。本開示は、他の様々な実施形態も可能であり、そのいくつかの詳細は、本開示の範囲からまったく逸脱することなく様々な点で修正できる。たとえば、以下の説明は自動試料分析システムに関するものであるが、本ロボットアーム位置合わせ装置および方法は、ロボティクスによって扱われる物体の高精度の載置が望まれる、ロボティクスを採用する他のシステムに容易に適用できる。本開示は、特許請求の範囲内にあるすべての修正例、等価物、および代替例を含むものである(さらに以下を参照)。
【0010】
以下で説明する図面は、例示を目的とし、必ずしも原寸に比例して描かれているとは限らない。したがって、図面および明細書は、本質的に例示であり、限定的ではないと解釈するべきである。図面は、本発明の範囲を決して限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書で提供される実施形態によるロボットアーム位置合わせ装置の概略側面図を示す。
【
図2】本明細書で提供される実施形態による、
図1のロボットアーム位置合わせ装置において使用できる、光学構成要素機構の概略平面図を示す。
【
図3】本明細書で提供される実施形態による、
図1のロボットアーム位置合わせ装置において使用できる光学構成要素の様々な機構の単純化した概略図を示す。
【
図4】本明細書で提供される実施形態による、
図1のロボットアーム位置合わせ装置において使用できる光学構成要素の様々な機構の単純化した概略図を示す。
【
図5】本明細書で提供される実施形態による、
図1のロボットアーム位置合わせ装置において使用できる光学構成要素の様々な機構の単純化した概略図を示す。
【
図6】本明細書で提供される実施形態による、
図1のロボットアーム位置合わせ装置において使用できる光学構成要素の様々な機構の単純化した概略図を示す。
【
図7】本明細書で提供される実施形態による、
図1のロボットアーム位置合わせ装置において使用できる光学構成要素の様々な機構の単純化した概略図を示す。
【
図8】本明細書で提供される実施形態による、
図1のロボットアーム位置合わせ装置において使用できる光学構成要素の様々な機構の単純化した概略図を示す。
【
図9】本明細書で提供される実施形態による、
図8の光学構成要素機構によって取り込みできる画像を示す。
【
図10】
図10Aおよび
図10Bは、本明細書で提供される実施形態による位置決めツールの平面図および左側面図をそれぞれ示す。
【
図11】本明細書で提供される実施形態による別の位置決めツールの平面図を示す。
【
図12】本明細書で提供される実施形態による、異なるバックパネルを有する位置決めツールの画像をそれぞれ示す。
【
図13】本明細書で提供される実施形態による、異なるバックパネルを有する位置決めツールの画像をそれぞれ示す。
【
図14】本明細書で提供される実施形態による、異なるバックパネルを有する位置決めツールの画像をそれぞれ示す。
【
図15】
図15A、
図15B、および
図15Cは、本明細書で提供される実施形態による、ロボットアームによって保持された位置決めツールの異なる角度から取り込まれた画像をそれぞれ示す。
【
図16】本明細書で提供される実施形態による、位置決めツールおよび2つのカメラの単純化した側面概略図を示す。
【
図17】本明細書で提供される実施形態による、自動試料分析システムにおいてロボットアームを位置合わせする方法のフローチャートを示す。
【
図18】本明細書で提供される実施形態による、参照マーカをそれぞれその上に有するロボットアームおよび試料チューブキャリアの画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載されている実施形態は、たとえば検査(品質チェック)、分析、および/または輸送のために、ロボットアームによって担持される試料チューブ(すなわち、生物学的液体容器、たとえば、試験チューブ、バイアルなど)を、自動試料分析システム中でおよびそれを通して、試料チューブキャリアの所定の点に高精度で載置できるように、自動試料分析システムにおいてロボットアームを試料チューブキャリアと位置合わせするための装置および方法を提供する。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態に従ってロボットアームの位置合わせを行うために、光学ベースの手法が用いられる。複数の光学構成要素(たとえば、2つ以上のカメラまたは唯一のカメラ、ならびに1つまたはそれ以上の鏡および/またはプリズム)を、自動試料分析システムにおける指定の箇所(たとえば、システムの中心箇所)に配置でき、その箇所では試料チューブが試料チューブキャリアに受け入れられることが予期される。試料チューブキャリアを基準としてまたはそれに第1の参照マーカを「取り付ける」ことができ、ロボットアームを基準としてまたはそれに第2の参照マーカを「取り付ける」ことができる。
【0014】
すなわち、第1の参照マーカは、物理的マーカ(たとえば、点光源、または識別可能な形状および/もしくは色を有するステッカ)でよく、その物理的マーカは、複数の光学構成要素によって取り込まれた画像において識別可能な、試料チューブキャリアにまたは試料チューブキャリアを基準とする構造体に貼付できる。その代わりに、第1の参照マーカは、試料チューブキャリア上または試料チューブキャリアを基準とする構造体上の選択された箇所でよく、選択された箇所での幾何形状または色のコントラストの変化によって、複数の光学構成要素によって取り込まれる画像において識別可能である。
【0015】
同様に、第2の参照マーカは、物理的マーカ(たとえば、点光源または識別可能な形状および/もしくは色を有するステッカ)でよく、その物理的マーカは、複数の光学構成要素によって取り込まれる画像において識別可能な、ロボットアームにまたはロボットアームを基準とする構造体に貼付できる。その代わりに、第2の参照マーカは、ロボットアーム上またはロボットアームを基準とする構造体上の選択された箇所でよく、選択された箇所での幾何形状または色のコントラストの変化によって、複数の光学構成要素によって取り込まれる画像において識別可能である。
【0016】
いくつかの実施形態において、試料チューブキャリアにおよびロボットアームによって保持されるように構成された独自設計の位置決めツールが、第1および第2の参照マーカを含むことができる。第1および第2の参照マーカは、複数の光学構成要素および3次元(3D)座標系を使用して位置特定可能かつ追跡可能であるように構成されている。試料チューブキャリアの所定の点に試料チューブを高精度で載置するために、第1および第2の参照マーカの座標間のシステム判定される3Dオフセットを使用して、ロボットアームを試料チューブキャリアと位置合わせするようにロボットアームの運動および/または可動トラックに取り付けられた試料チューブキャリアの運動をガイドすることができる。
【0017】
有利なことに、光学ベースの手法は、公知の位置合わせ方法と比べて正確さおよび信頼性を高めることができる。その公知の方法とは、ロボットアームがロボットアームによって保持されたワークピースを円形穴構造に挿入しようとする動きを調節する、衝突センサフィードバックを採用した試行錯誤の機械的手法に依拠するものである。光学ベースの手法は、ロボットアームと試料チューブキャリアとの間の相対的な座標の差を直接的に推定する非接触システムである。その結果、関連するハードウェアコンポーネントの機械的公差への依存、および機械的衝突が繰り返されることによる機械的部材の劣化および交換が回避される。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態によれば、
図1~
図18と関連して以下でさらに詳細に説明するように、光学ベースの手法を使用して自動試料分析システムにおいてロボットアームを試料チューブキャリアと位置合わせする装置および方法が、本明細書で提供される。
【0019】
図1は、1つまたはそれ以上の実施形態によるロボットアーム位置合わせ装置100を示す。ロボットアーム位置合わせ装置100は、ロボット102と、試料チューブキャリア104と、コントローラ106と、複数の光学構成要素108とを含む。ロボット102は自動試料分析システムにおいて使用でき、その自動試料分析システムは、1つまたはそれ以上の診断機、臨床分析器、遠心分離機、または他の処理もしくは試験の機械もしくはステーションを含むことができる。ロボット102はロボットアーム103を含み、ロボットアーム103は、試料チューブ110(想像線で示されている)を保持し、それを3つの次元(たとえば、X、Y、およびZ、ここでZは
図1に示されているように紙面に垂直である)で動かすように構成されている。ロボットアーム103は、試料チューブ110を第1の箇所(たとえば、ステージング箇所)から第2の箇所(たとえば、検査箇所、試験箇所、または処理箇所)に動かすことができる。いくつかの実施形態において、ロボット102は回転モータ102Rを含むことができ、回転モータ102Rは、回転方向θ(換言すると、X方向およびZ方向の組み合わせ)においてロボットアーム103を所望の角度方向に回転させるように構成することができる。ロボット102は垂直モータ102Vを含むこともでき、垂直モータ102Vは、直立材102Uを垂直方向に(たとえば、図示のように±Y方向に沿って)動かすように構成することができる。いくつかの実施形態において、ロボットアーム103は、第1の部材103A、第2の部材103B、およびグリッパ103Gを含むことができる。ロボット102はさらに、並進モータ102Tを含むことができ、並進モータ102Tは、第2の部材103Bおよびグリッパ103Gを水平方向に(たとえば、図示のように±X方向に沿って)動かすように構成することができる。3D運動(たとえば、X、Y、θ運動;X、Y、Z運動;または他の組み合わせの運動)をもたらすための他の適切なロボットモータおよび機構を設けることができる。位置エンコーダおよび/または回転エンコーダ(図示せず)などによるそれぞれの運動の程度に関する適切なフィードバック機構を設けることができる。したがって、ロボット座標系は、X、Y、θ、もしくはX、Y、Z、もしくは任意のサブセット、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0020】
グリッパ103Gは、試料チューブなどの物体を掴むように構成可能であり、2つ以上のグリッパフィンガ103F1および103F2を含むことができ、それらのグリッパフィンガは、互いに対向し、相対的に可動でよい。グリッパフィンガ103F1および103F2は、作動機構103Mによって開閉するように駆動可能であり、作動機構103Mは電気、空気、または液圧によるサーボモータでよい。グリッパフィンガ103F1および103F2の把持動作を引き起こすための他の適切な機構を使用することができる。グリッパ103Gはグリッパ回転モータ103Rを含むこともでき、グリッパ回転モータ103Rは、必要に応じてグリッパフィンガ103F1および103F2を高精度で回転可能に方向付けするために、グリッパ103Gを、より具体的にはグリッパフィンガ103F1および103F2を、グリッパ回転軸103Xを中心に回転させるように構成されている。グリッパフィンガ103F1および103F2の回転方向に関する情報をコントローラ106にフィードバックするために、回転エンコーダ(図示せず)を含むことができる。他のタイプのグリッパも使用することができる。
【0021】
ロボット102は、試料チューブキャリア104の中および外に試料チューブ110を動かすように構成することができる。試料チューブキャリア104は、試料チューブキャリアベース104Bに配置された試料チューブレセプタクル104Rを含むことができる。試料チューブキャリア104は、可動トラック112上に取り付けられてよく、可動トラック112は、自動試料分析システム内の様々な箇所に試料チューブを輸送するように構成することができる。
【0022】
コントローラ106は、マイクロプロセッサ、処理回路(A/Dコンバーター、アンプ、フィルタなどを含む)、メモリ、駆動回路、およびフィードバック回路を含むことができ、それらは、ロボット102およびその様々な構成要素(たとえば、回転モータ102R、並進モータ102T、垂直モータ102V、作動機構103M、およびグリッパ回転モータ103R)の作動方法を制御するように構成されており、そのように動作可能である。コントローラ106はまた、光学構成要素108の作動方法を制御し、光学構成要素108ならびに様々なエンコーダおよびセンサ(図示せず)からの入力を処理するように構成可能であり、そのように動作可能にできる。いくつかの実施形態において、コントローラ106は、光学構成要素108から受け取られる画像における第1および第2の参照マーカを識別するように訓練された機械学習アルゴリズムを含むことができる。
【0023】
光学構成要素108は、いくつかの実施形態において、2つのカメラ108C1および108C2を含むことができ、それらのカメラは、(試料チューブキャリア104上のまたはそれを基準とする)第1の参照マーカおよび(ロボットアーム103上のまたはそれを基準とする)第2の参照マーカの画像を様々な角度で取り込むために、システムの中心箇所101の周りに配置されている。カメラ108C1および108C2は、たとえば、画素化される画像を取り込むことができる従来のデジタルカメラ、電荷結合素子(CCD)、光検出器アレイ、1つまたはそれ以上のCMOSセンサなど、明確なデジタル画像を取り込むための任意の適切なデバイスでよい。コントローラ106は、カメラ108C1および108C2から受け取られる画像を処理して、それぞれの第1および第2の参照マーカの3D位置座標を判定し、次いで、それらの位置座標間の3Dオフセットに基づいて、試料チューブキャリア104とのロボットアーム103の位置合わせを行うことができ、そのため、以下でより詳細に説明するように、試料チューブ110を高精度で位置決めでき、ロボットアーム103によって試料チューブキャリア104から試料チューブ110を持ち上げることができる。他の実施形態は、2つよりも多いもしくは少ないカメラおよび/または他の光学構成要素機構を有することができ、それらは、
図2~
図8に関連して以下に説明するように、ロボットアーム位置合わせ装置100において使用できる。
【0024】
図2は、1つまたはそれ以上の実施形態によるロボットアーム位置合わせ装置100において使用できる光学構成要素機構208を示す。光学構成要素機構208は、3つのカメラ208C1、208C2、および208C3を含み、それらのカメラは、可動トラック112に取り付けられた試料チューブキャリア104の試料チューブレセプタクル104Rを受けるために、システムの中心箇所201の周りで互いからほぼ等間隔に(たとえば、約120度離れて)離隔配置されてよい。試料チューブレセプタクル104Rは、ロボット102によってアクセス可能である(
図2に不図示)。カメラ208C1、208C2、および208C3の作動方法は、コントローラ106によって制御可能であり、コントローラ106は、カメラ208C1、208C2、および208C3から画像を受け取り、それらの画像を処理することもできる。
【0025】
光学構成要素機構208は、バックパネル214A、214B、および214Cを含むこともでき、それらのバックパネルは、カメラ208C1、208C2、および208C3に対向するようにそれぞれ位置決めされ、試料チューブレセプタクル104Rがそれぞれの対のカメラとバックパネルとの間に位置する。いくつかの実施形態において、バックパネル214A、214B、および214Cの1つまたはそれ以上は、コントローラ106によって制御されるアクティブ照明パネル(たとえば、白色光源)でよい。いくつかの実施形態において、バックパネル214A、214B、および214Cの1つまたはそれ以上は、パッシブ反射パネルまたはフロント照明を有する単に暗いもしくは黒いバックグラウンドのパネルでよい。他の実施形態において、バックパネル214A、214B、および214Cは、他の適切なタイプのバックグラウンドまたはバックライトを提供することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、光学構成要素機構208はハウジング216を含むことができ、ハウジング216は、外部からの光源の影響を最小限に抑えるために、試料チューブキャリア104を少なくとも部分的に囲繞するかまたはカバーすることができる。ハウジング216は、試料チューブキャリア104が可動トラック112を介してハウジング216に進入できそこから退出できるように、1つまたはそれ以上のドア216Dを含むことができる。いくつかの実施形態において、ハウジング216の天井(図示せず)は、ロボット102による試料チューブキャリア104へのアクセスを提供するように開口部を含むことができる。
【0027】
光学構成要素機構208は、カメラ208C1、208C2、および208C3を介して、試料チューブキャリア104上のまたはそれを基準とする第1の参照マーカおよびロボットアーム103上のまたはそれを基準とする第2の参照マーカの3つの画像を(それぞれ異なる角度から)取り込むために使用することができる。
【0028】
図3~
図8は、1つまたはそれ以上の実施形態によるロボットアーム位置合わせ装置100において使用できる他の光学構成要素機構を示す。たとえば、
図3に示されているように、複数のカメラを使用する代わりに、光学構成要素機構308は、唯一のカメラ308Cおよび鏡308Mを含むことができ、それらを使用して、対象物308Jに取り付けられた1つまたはそれ以上のマーカの2つの画像を(それぞれ異なる角度から)取り込むことができる。同様に、
図4は、やはり唯一のカメラ408Cおよび2つ折りの鏡408Mを含むことができる光学構成要素機構408を示し、それらを使用して、対象物408Jに取り付けられた1つまたはそれ以上のマーカの2つの画像を(それぞれ異なる角度から)取り込むことができる。
図5は、唯一のカメラ508Cならびに2つの鏡508M1および508M2を含むことができる光学構成要素機構508を示し、それらを使用して、対象物508Jに取り付けられた1つまたはそれ以上のマーカの2つの画像を(それぞれ異なる角度から)取り込むことができる。
図6は、唯一のカメラ608Cならびに4つの鏡608M1、608M2、608M3、および608M4の機構を含むことができる光学構成要素機構608を示し、それらを使用して、対象物608Jに取り付けられた1つまたはそれ以上のマーカの2つの画像を(それぞれ異なる角度から)取り込むことができる。
図7は、唯一のカメラ708Cならびに3つの鏡708M1、708M2、および708M3の機構を含むことができる光学構成要素機構708を示し、それらを使用して、対象物708Jに取り付けられた1つまたはそれ以上のマーカの2つの画像を(それぞれ異なる角度から)取り込むことができる。さらに、
図8は、プリズム808Pおよび唯一のカメラ808Cを含むことができる光学構成要素機構808を示し、それらを使用して、対象物808Jの1対の下位画像を(それぞれ異なる角度から)取り込むことができる。具体的には、プリズム808Pに入る光線が分岐され、カメラ808Cのレンズ808Lに入り、カメラ808Cのセンサ面808Sに2つの画像818-Lおよび818-Rを(それぞれ異なる角度から)作成する。光線P2-2およびP1-2によって表される光線によって画像818-Lが作成され、光線P1-1およびP2-1によって表される光線によって画像818-Rが作成される。さらに示されているように、
図9はカメラ808Cによって取り込まれた左の画像918-Lおよび右の画像918-Rを示し、画像はそれぞれ異なる角度でプリズム808Pによって作成される。プリズム808Pがない場合は、左の画像918-Lおよび右の画像918-Rを取り込むために、2つのカメラが必要になる(1つがカメラ808Cの左側に位置決めされ、1つがカメラ808Cの右側に位置決めされる)。1つもしくはそれ以上のカメラ、1つもしくはそれ以上の鏡、および/または1つもしくはそれ以上のプリズムを用いる、他の光学構成要素機構が可能である。
【0029】
いくつかの実施形態において、ロボットアーム位置合わせ装置100は、
図10Aおよび
図10Bに示されている位置決めツール1000を含むこともできる。位置決めツール1000は、試料チューブ(たとえば、試料チューブ110)と類似の筒状構造を有することができ、その筒状構造は、ロボットアームグリッパ(たとえば、ロボットアームグリッパ103G)によって保持され、動かされ、試料チューブキャリア(たとえば、試料チューブキャリア104)に受け入れられ、それによって保持されることが可能である。位置決めツール1000は、複数のセクションS1、S2、S3、S4、およびS5を有することができ、それらのセクションはそれぞれ、隣接するセクションとは異なる幾何形状(たとえば、異なる長さおよび/または直径)を有することができる。たとえば、セクションS2およびS4はそれぞれ、セクションS1、S3、およびS5の直径D1よりも小さい直径D2を有することができ、いくつかの実施形態において、直径D1は約16mm(±0.25mm)でよく、直径D2は約12mm(±0.25mm)でよい。いくつかの実施形態において、位置決めツール1000は、約110mm(±0.5mm)の全長Lを有することができる。セクションS1およびS4はそれぞれ、約5.0mm(±0.5mm)のそれぞれの長さL1およびL4を有することができ、セクションS5は、約32.5mm(±0.5mm)の長さL5を有することができる。位置決めツール1000の他の適切な数のセクションおよび寸法が可能である。
【0030】
位置決めツール1000には、第1の参照マーカおよび第2の参照マーカが「取り付けられ」ていてよい(たとえば、その上で識別される)。第1の参照マーカ1020(
図10Aで「X」によって表されている)は、幾何形状の変化が起こるセクションS2とS3との交差部分の中心点にあってよい。第1の参照マーカ1020は、位置決めツール1000の底部から長さL345の位置にあってよく、その長さL345はいくつかの実施形態において約70.0mm(±0.5mm)である。第1の参照マーカ1020は、試料チューブキャリアにおける目標位置を確立するために、位置決めツール1000が試料チューブキャリア104などの試料チューブキャリアに受け入れられ、それに保持されているときに使用できる。第2の参照マーカ1022(
図10Aでやはり「X」によって表されている)は、幾何形状の変化が起こるセクションS4とS5との交差部分の中心点にあってよい。第2の参照マーカ1022は、位置決めツール1000の底部から長さL5の位置にあってよい。第2の参照マーカ1022は、目標位置に対してロボットアーム103の位置を位置合わせするために位置決めツール1000がロボットアーム103(およびグリッパ103G)によって保持されているときに使用できる。位置決めツール1000上で第1および第2の参照マーカ1020および1022に関する他の適切な箇所が可能な場合がある。いくつかの実施形態において、位置決めツール1000が試料チューブキャリアにおよびロボットアーム103によって保持されているときに、単一の参照マーカ(たとえば、参照マーカ1022)が視認可能である(すなわち、光学構成要素によって撮像できる)場合は、その単一の参照マーカを使用することができる。このような実施形態では、位置決めツール1000では、セクションの幾何形状の変化を少なくすることができる。
【0031】
第1および第2の参照マーカを識別するために位置決めツール上のセクションの幾何形状の変化を用いることに加えてまたはその代わりに、いくつかの実施形態において、
図11に示されているように、第1および第2の参照マーカを識別するために位置決めツール上の色のコントラストの変化を用いることができる。
【0032】
図11は、1つまたはそれ以上の実施形態によるロボットアーム位置合わせ装置100において使用できる位置決めツール1100を示す。位置決めツール1100も、試料チューブ(たとえば、試料チューブ110)と類似の筒状構造を有することができ、その筒状構造は、ロボットアームグリッパ(たとえば、ロボットアームグリッパ103G)によって保持され、動かされ、試料チューブキャリア(たとえば、試料チューブキャリア104)に受け入れられ、それによって保持されることが可能である。位置決めツール1100は、複数のセクションS1’、S2’、S3’、S4’、およびS5’を有することができ、それらのセクションはそれぞれ、隣接するセクションとは異なる色のコントラスト(たとえば、黒色または白色)を有することができる。「ステッカリング(stickering)」(すなわち、明るい白色および/または黒色のステッカを貼付すること)を使用して、位置決めツール1100に色のコントラストを生み出すことができる。いくつかの実施形態において、位置決めツール1100は、場合により、位置決めツール1000と同じ数および寸法のセクションを有するように構築することができる。他の実施形態において、第1および第2の参照マーカを識別するために色のコントラストの変化だけに依拠することで、位置決めツール1100は、他のセクション構成を有してよく、または様々な幾何形状を有する任意のセクションを含まなくてよい。
【0033】
位置決めツール1100には、第1の参照マーカ1120および第2の参照マーカ1122が「取り付けられ」ていてよい(たとえば、その上で識別される)。第1の参照マーカ1120(
図11で黒色/白色の「X」によって表されている)は、色のコントラストの変化および幾何形状の変化の両方が起こるセクションS2’とS3’との交差部分の中心点にあってよい。いくつかの実施形態において、第1の参照マーカ1120は、位置決めツール1100の底部から、位置決めツール1000の長さL345に等しいかまたは実質的に等しい長さの位置にあってよい。第1の参照マーカ1120は、試料チューブキャリアにおける目標位置を確立するために、位置決めツール1100が試料チューブキャリア104などの試料チューブキャリアに受け入れられ、それに保持されているときに使用できる。第2の参照マーカ1122(
図11でやはり黒色/白色の「X」によって表されている)は、色のコントラストの変化および幾何形状の変化の両方が起こるセクションS3’とS4’との交差部分の中心点にあってよい。いくつかの実施形態において、第2の参照マーカ1122は、位置決めツール1100の底部から、位置決めツール1000の長さL5に等しいかまたは実質的に等しい長さの位置にあってよい。第2の参照マーカ1122は、目標位置に対してロボットアーム103の位置を位置合わせするために位置決めツール1100がロボットアーム103(およびグリッパ103G)によって保持されているときに使用できる。位置決めツール1100上で第1および第2の参照マーカ1120および1122に関する他の適切な箇所が可能な場合がある。いくつかの実施形態において、位置決めツール1100が試料チューブキャリアにおよびロボットアーム103によって保持されているときに、単一の参照マーカ(たとえば、参照マーカ1122)が視認可能である(すなわち、光学構成要素によって撮像できる)場合は、その単一の参照マーカを使用することができる。このような実施形態では、位置決めツール1100では、色のコントラストおよびセクションの幾何形状の変化を少なくすることができる。
【0034】
セクションの幾何形状の変化および色のコントラストの変化の両方を有する位置決めツール1100は、(位置決めツール1000のような)セクションの幾何形状の変化もしくは色のコントラストの変化、またはその両方によって、第1および第2の参照マーカ1120および1122を識別するために有利に使用できる。
【0035】
代替的な実施形態において、位置決めツールがロボットアームグリッパ(たとえば、ロボットアームグリッパ103Gなど)によって保持されているときに、ロボットアーム位置合わせ装置100の光学構成要素機構にあるすべてのカメラで底部先端点が視認可能である場合は、位置決めツールの底部先端点(たとえば、位置決めツール1000の底部先端点1024および/または位置決めツール1100の底部先端点1124)を、第2の参照マーカ1022および/または1122の代わりに使用することができる。
【0036】
位置決めツール1000および1100はそれぞれ、
図12~
図14に示されているように、複数のバックパネルセットアップ(たとえば、アクティブ照明バックパネル、パッシブ反射バックパネル、またはフロント照明を有するかもしくは有しない単に暗いバックグラウンドのバックパネル)と共に働くように有利に構成されている。
【0037】
図12は、1つまたはそれ以上の実施形態による、暗いバックグラウンドのバックパネル1214を使用して光学構成要素機構(たとえば、光学構成要素機構108または208など)のカメラを使用して取り込まれた、試料チューブレセプタクル1204Rに受け入れられている位置決めツール1100の画像1200を示す。代替的に、位置決めツール1000を、暗いバックグラウンドのバックパネル1214と共に使用することもできる。図示のように、第1の参照マーカ1220は、色のコントラストの変化またはセクションの幾何形状の変化によって、画像1200において識別可能である。
【0038】
図13は、1つまたはそれ以上の実施形態による、パッシブ反射バックパネル1314を使用して光学構成要素機構(たとえば、光学構成要素機構108または208など)のカメラを使用して取り込まれた、試料チューブレセプタクル1304Rに受け入れられている位置決めツール1100の画像1300を示す。代替的に、位置決めツール1000を、パッシブ反射バックパネル1314と共に使用することもできる。図示のように、第1の参照マーカ1320は、色のコントラストの変化またはセクションの幾何形状の変化によって、画像1300において識別可能である。
【0039】
図14は、1つまたはそれ以上の実施形態による、アクティブ照明(たとえば、白色光源)バックパネル1414を使用して光学構成要素機構(たとえば、光学構成要素機構108または208など)のカメラを使用して取り込まれた、試料チューブレセプタクル1404Rに受け入れられている位置決めツール1100の画像1400を示す。代替的に、位置決めツール1000を、アクティブ照明バックパネル1414と共に使用することもできる。図示のように、第1の参照マーカ1420は、セクションの幾何形状の変化によって、画像1400において識別可能である。アクティブ照明バックパネル1414を使用して取り込まれる画像がアクティブ照明によって位置決めツール上の色のコントラストの変化を低下させる可能性があるため、セクションの幾何形状の変化なしの位置決めツールはアクティブ照明バックパネル1414と共に使用するべきではないことに留意されたい。
【0040】
いくつかの実施形態において、
図1のロボットアーム位置合わせ装置100によって行われるロボットアームの位置合わせは、試料チューブキャリア104に位置決めツール(たとえば、位置決めツール1000または1100)を載置することを含むことができる。位置合わせ不良の場合にロボット102が高精度には載置できないが、位置決めツールを、オペレータによって手動でまたはロボット102によって自動で試料チューブキャリア104に載置できる。試料チューブキャリア104は、光学構成要素の視野内にある、システムの中心箇所、たとえば、
図1のシステムの中心箇所101または
図2のシステムの中心箇所201などに位置決めされるかまたは動かされる。光学構成要素108(または208、308、408、508、608、708、および808のうちの1つ)は、試料チューブキャリア104に保持された位置決めツールの複数の画像を、それぞれ異なる角度から取り込むことができる。それらの複数の画像は、コントローラ106によって処理されて、位置決めツール上のセクションの幾何形状の変化または色のコントラストの変化を検出することによって第1の参照マーカ(たとえば、第1の参照マーカ1020、1120、1220、1320、または1420)を識別することができる。次いで、コントローラ106は、(任意の適切な公知の方法を使用して)三角測量を行って、第1の参照マーカの3D箇所(光学構成要素座標系の3D座標によって表される)を判定することができる。判定された第1の参照マーカの3D座標は、ロボットアーム103を位置合わせ予定の目標位置として使用することができる。
【0041】
ロボットアームの位置合わせは、ロボットアーム103に位置決めツールを保持させることによって継続できる。位置決めツールは、ロボット102によって収納箇所で持ち上げ可能であるか、またはオペレータによって手動でグリッパ103Gに連結可能である。コントローラ106は、ロボットアーム103を目標箇所に動かすことができ、光学構成要素108(または208、308、408、508、608、708、および808のうちの1つ)は、ロボットアーム103によって保持されている位置決めツールの複数の画像をそれぞれ異なる角度から取り込むことができる。たとえば、
図15A、
図15B、および
図15Cは複数の画像を示し、それらの画像は、
図2の光学構成要素機構208によって取り込むことができる。画像1500Aはカメラ208C1によって取り込まれたものでよく、画像1500Bはカメラ208C3によって取り込まれたものでよく、画像1500Cはカメラ208C2によって取り込まれたものでよい。異なる角度で取り込まれた各画像は、グリッパ1503Gを有するロボットアームによって保持されている位置決めツール1100を示す。画像1500A、1500B、および1500Cは、コントローラ106によって処理することができる。コントローラ106は、画像1500Aにおける第2の参照マーカ1522A、画像1500Bにおける第2の参照マーカ1522B、および画像1500Cにおける第2の参照マーカ1522Cの箇所を識別することができる。次いで、コントローラ106は、(やはり任意の適切な公知の方法を使用して)三角測量を行って、光学構成要素座標系における第2の参照マーカの3D座標を判定することができる。次いで、コントローラ106は、第1および第2の参照マーカの座標間の3Dオフセットを判定することができる。3Dオフセットが所定の偏差を超える場合は、ロボットアーム103は、システムの中心箇所201(すなわち、目標箇所)における試料チューブキャリア104との位置合わせ不良であると見なすことができる。
【0042】
次いで、コントローラ106によって、ロボットアーム103は、判定された3Dオフセットの偏差に基づいて位置決めツール1100を新たな箇所まで動かすことができる。たとえば、判定された3Dオフセットが所定の偏差をX方向に+2mm、Y方向に-3mm、Z方向に-1mm超える場合に、コントローラ106によって、ロボットアームは、位置決めツール1100をX方向に-2mm、Y方向に+3mm、Z方向に+1mm動かすことができる。いくつかの実施形態において、X、Y、およびZ方向の1つにおいてロボットアームが並進運動できない可能性がある場合に、コントローラ106はさらに、判定されたX、Y、およびZ座標の偏差に基づいて、ロボットアームの(たとえば、
図1に示されているような±角度方向θに沿った)角度回転運動の等価の量を計算できることに留意されたい。いくつかの実施形態において、追加的にまたは代替的に、判定された3Dオフセットの偏差およびロボットアームの運動能力に基づいて必要に応じて、コントローラ106によって可動トラック112が試料チューブキャリア104を動かすことができる。
【0043】
ロボットアーム103および/または試料チューブキャリア104の新たな位置で、再び画像を取り込み、それを処理し、新たな3Dオフセットが判定される。そのプロセスは、ロボットアームが試料チューブキャリアと位置合わせされたと見なされる、3Dオフセットが所定の偏差を超えなくなるときまで、繰り返し継続できる。
【0044】
三角測量プロセスによって位置決めツール上の参照マーカの真の中心点から高さの偏差がわずかに生じる場合があることに留意されたい。こうした偏差は、真の中心から距離Rの位置にある位置決めツールの表面において参照マーカを検出することで生じ、ここでRは、参照マーカが取り付けられているセクションの半径である。
図16は、2つのカメラ光学構成要素機構によって撮像される第2の参照マーカ1622に生じる可能性がある高さの偏差を示す。図示のように、カメラ1608C1による位置決めツール1100(下側部分だけが示されている)の画像は、第2の参照マーカ1622Aを取り込むことができ、位置決めツール1100の異なる角度からの画像は、第2の参照マーカ1622Bを取り込むことができる。第2の参照マーカ1622は、カメラ1608C1の光学的中心1626から測定される高さH’を有する真の中心点でよい(カメラ1608C2の光学的中心も基準点として使用できる)。しかし、カメラ1608C1および1608C2によって取り込まれた画像に基づいた、コントローラ106による第2の参照マーカ1622の三角測量は、三角測量による第2の参照マーカ1622Tに関する3D座標をもたらす可能性があり、この座標は、カメラ1608C1および1608C2の光学的中心1626から測定される高さHを有する。いくつかの実施形態において、コントローラ106は、その高さの偏差を計算によって修正するように構成することができる:
【0045】
H’=H×(D-R)/D
【0046】
ここで、Dは、三角測量による第2の参照マーカ1622Tと、カメラの視線方向1628に沿った光学的中心1626との間の距離である。
【0047】
図17は、1つまたはそれ以上の実施形態による、自動試料分析システムにおいてロボットアームを位置合わせする方法1700を示す。工程ブロック1702で、方法1700は、試料チューブキャリアを基準とする第1のマーカの箇所を識別することによって開始できる。たとえば、第1のマーカの箇所は、
図10Aに示されているようなセクションS2とS3との交差部分にある第1の参照マーカ1020、または
図11に示されているようなセクションS2’とS3’との交差部分にある第1の参照マーカ1120でよい。代替的に、第1のマーカの箇所は、1つまたはそれ以上の実施形態に従って、第1の参照マーカ1820を作成する点光源または白色ステッカを試料チューブキャリア1804上に施すことによって
図18の画像1800に示されているような試料チューブキャリア1804上で直接的に識別可能である。
【0048】
工程ブロック1704で、方法1700は、ロボットアームを基準とする第2のマーカの箇所を識別することを含むことができる。たとえば、第2のマーカの箇所は、
図10Aに示されているようなセクションS4とS5との交差部分にある第2の参照マーカ1022、または
図11に示されているようなセクションS3’とS4’との交差部分にある第2の参照マーカ1122でよい。代替的に、第2のマーカの箇所は、1つまたはそれ以上の実施形態に従って、第2の参照マーカ1822を作成する点光源または白色ステッカをグリッパ1803Gに施すことによって
図18の画像1800に示されているようなロボットアーム1803のグリッパ1803G上で直接的に識別可能である。
【0049】
工程ブロック1706で、方法1700は、複数の光学構成要素およびコントローラを使用して第1のマーカの箇所の座標を判定することを含むことができ、工程ブロック1708で、方法1700は、複数の光学構成要素およびコントローラを使用して第2のマーカの箇所の座標を判定することを含むことができる。たとえば、
図1に示されているように、ロボットアーム位置合わせ装置100の光学構成要素108およびコントローラ106を使用して、第1および第2のマーカの箇所それぞれの複数の画像を取り込み、それを処理し、光学構成要素座標系におけるそれぞれの座標を判定することができる。
【0050】
工程ブロック1710で、方法1700は、第2のマーカの箇所の座標が第1のマーカの箇所の座標からの所定の偏差を超えることに応答して、コントローラを介してロボットアームおよび/または試料チューブキャリアの位置を調節することを含むことができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、方法1700はさらに、ロボットアームによっておよび試料チューブキャリアに保持されるように構成された位置決めツールを用意することを含む工程ブロック(図示せず)を含むことができ、位置決めツールは、様々な幾何形状または色のコントラストを有するセクションを含み、第1および第2のマーカの箇所は、幾何形状の変化または色のコントラストの変化が起こる、位置決めツール上のそれぞれの点においてそれぞれ識別される。
【0052】
本開示は様々な修正形態および代替形態が可能であるが、特定の方法および装置の実施形態が図面に一例として示されており、本明細書に詳細に記載されている。しかし、本明細書に開示されている特定の方法および装置は本開示も以下の特許請求の範囲も限定するものではないことを理解されたい。
【国際調査報告】