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特表2024-507148溶融カーボネート燃料電池のためのフローバッフル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】溶融カーボネート燃料電池のためのフローバッフル
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20240208BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20240208BHJP
   H01M 8/14 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/2484
H01M8/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548610
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 US2021020838
(87)【国際公開番号】W WO2022173454
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】17/173,786
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025539
【氏名又は名称】エクソンモービル テクノロジー アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ハワード,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】オニール,ブランドン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ルバス,ポール ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュコウィッツ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ルー
(72)【発明者】
【氏名】ノバッコ,ローレンス ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドベック ジュニア,フランク ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,キース イー
(72)【発明者】
【氏名】ブレックス,ブライアン
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126AA26
5H126AA27
5H126BB05
5H126EE04
5H126EE29
5H126EE31
5H126JJ02
5H126JJ03
(57)【要約】
アノード及びカソードが共流及び/又は逆流条件下で作動することを可能にしながら、カソード入力ガスフローの入口側に隣接している燃料電池の側面にアノード入力ガスフローを導入することを可能にする溶融カーボネート燃料電池構成が提供される。改善されたフロー特性は、アノード又はカソードの活性領域に隣接している延長エッジシール領域にアノード又はカソードのための入力フローを迂回させ、次いで、バッフルを使用して、アノード又はカソードにわたる均等なフロー分布のために十分な圧力降下を提供することによって、共流フロー又は逆流フロー作動中に達成される。出力フローが活性領域から第2の延長エッジシール領域に出るとき、燃料電池を離れる前に、第2のバッフルを使用して、圧力降下を発生させることができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融カーボネート燃料電池スタック内の要素であって、ガスフロー入口と、前記ガスフロー入口と流体連通している第1の容積と、燃料電池アノードのアノード活性領域の少なくとも一部、燃料電池カソードのカソード活性領域の少なくとも一部、又は改質触媒を含む第2の容積であって、前記第2の容積が、前記第1の容積を介して前記ガスフロー入口と流体連通している、第2の容積と、前記第1の容積と前記第2の容積との間の入口境界に複数の入口バッフルアパーチャを含む入口バッフルであって、前記第1の容積と前記第2の容積との間の流体連通の少なくとも一部が、前記複数の入口バッフルアパーチャを通る流体フローを含み、前記入口バッフルの長さが、前記入口境界の長さの少なくとも60%を占め、前記入口バッフルの平均高さが、前記入口境界に沿った平均高さの100%以上を占め、前記複数の入口バッフルアパーチャの合計断面積が、前記入口境界における総断面積の0.5%~6.0%を占める、入口バッフルと、前記第2の容積と流体連通しているガスフロー出口と、を含む、要素。
【請求項2】
前記複数の入口バッフルアパーチャのうちの少なくとも1個が、0.25mm以上の特徴的寸法を有するか、又は前記複数の入口バッフルアパーチャの各々が、0.25mm以上の特徴的寸法を有する、請求項1に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項3】
前記複数の入口バッフルアパーチャの前記合計断面積が、前記入口境界における前記総断面積の0.5%~2.5%であるか、又は前記入口バッフルの長さが、前記入口境界の前記長さの0.05%~5.0%前記入口境界の前記長さよりも小さいか、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項4】
前記入口バッフルの前記長さが、前記入口境界の前記長さを含む、請求項1に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項5】
前記ガスフロー出口と流体連通している第3の容積であって、前記ガスフロー出口が、前記第3の容積を介して前記第2の容積と間接的に流体連通している、第3の容積と、前記第1の容積と前記第2の容積との間の出口境界に複数の出口バッフルアパーチャを含む出口バッフルであって、前記第1の容積と前記第2の容積との間の前記流体連通の少なくとも一部が、前記複数の出口バッフルアパーチャを通る流体フローを含み、前記出口バッフルの長さが、前記出口境界の長さの少なくとも60%を占め、前記出口バッフルの平均高さが、前記出口境界に沿った平均高さの100%以上を占め、前記複数の出口バッフルアパーチャの合計断面積が、前記出口境界における総断面積の0.5%~6.0%を占める、出口バッフルと、を更に含む、請求項1に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項6】
前記複数の入口バッフルアパーチャの前記合計断面積が、前記複数の出口バッフルアパーチャの前記合計断面積とは異なるか、又は1個以上の入口バッフルアパーチャが、1個以上の出口バッフルアパーチャとは異なる特徴的寸法を含むか、又は前記入口バッフルの長さが、前記出口バッフルの長さとは異なるか、又はそれらの組み合わせである、請求項5に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項7】
前記ガスフロー入口から最も遠い前記入口バッフルの一部のアパーチャが、前記入口バッフルアパーチャの前記合計断面積の25%以上を占め、前記入口バッフルの前記一部が、前記入口境界の長さの5%~20%を占める、請求項1に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項8】
前記第2の容積が、アノード活性領域及び関連するアノードフローフィールドの少なくとも一部を含み、前記第1の容積が、延長エッジシール入力チャンバの少なくとも一部を含み、前記延長エッジシール入力チャンバが、燃料電池スタックの第1の側面に隣接しており、前記ガスフロー入口が、前記燃料電池スタックの第2の側面に隣接している、請求項1に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項9】
前記ガスフロー入口が、入口フローブロッカーを更に含み、前記入口フローブロッカーが、前記入口バッフルに対して斜角で位置決めされているか、又は前記第2の容積が、出口フローブロッカーを更に含み、前記出口フローブロッカーが、前記入口バッフルに対して斜角で位置決めされているか、又はそれらの組み合わせである、請求項8に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項10】
前記第2の容積が、カソード活性領域及び関連するカソードフローフィールドの少なくとも一部を含み、前記第1の容積が、延長エッジシール入力チャンバの少なくとも一部を含み、前記延長エッジシール入力チャンバが、燃料電池スタックの第1の側面に隣接しており、前記ガスフロー入口が、前記燃料電池スタックの第2の側面に隣接している、請求項1に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項11】
前記ガスフロー入口が、入口フローブロッカーを更に含み、前記ブロッカーが、前記入口バッフルに対して斜角で位置決めされている、請求項10に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項12】
前記第2の容積が、改質触媒を含む、請求項1に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項13】
前記ガスフロー入口が、燃料電池スタックの第1の側面に隣接しており、前記ガスフロー出口が、前記燃料電池スタックの前記第1の側面に隣接している、請求項12に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項14】
前記バッフルが、第1の側面及び第2の側面を有するV字型バッフルを含み、前記第1の側面におけるアパーチャが、前記第2の側面におけるアパーチャに対して異なるアパーチャサイズ及び異なるアパーチャパターンのうちの少なくとも1つを有する、請求項12に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項15】
燃料電池スタックであって、前記燃料電池スタックのカソード入力側に隣接しているカソード入力マニホールドと、前記カソード入力側とは異なる前記燃料電池スタックのアノード入力側に隣接しているアノード入力マニホールドと、燃料電池であって、アノード入口、アノード活性領域及び関連するアノードフローフィールドを含むアノード、カソード入口、カソード活性領域及び関連するカソードフローフィールドを含むカソードであって、前記カソード入口が前記アノード入口に実質的に平行である、カソード、前記アノード及び前記カソードを分離する電解質マトリックス層を含む、燃料電池と、前記燃料電池スタックの第1の側面に隣接している延長エッジシール入力チャンバであって、前記第1の側面が、前記カソード入力側又は前記アノード入力側であり、前記延長エッジシール入力チャンバが、前記第1の側面が前記カソード入力側であるときに前記アノード入力マニホールドと流体連通しており、前記延長エッジシール入力チャンバが、前記第1の側面が前記アノード入力側であるときに前記カソード入力マニホールドと流体連通している、延長エッジシール入力チャンバと、前記延長エッジシール入力チャンバの第1の入力チャンバ容積の入口境界に複数の入口バッフルアパーチャを含み、任意選択的に、前記アノード入口に実質的に平行であり、前記複数の入口バッフルアパーチャの合計断面積が、前記入口境界における総断面積の0.5%~6.0%であり、前記第1の入力チャンバ容積が、少なくとも前記複数の入口バッフルアパーチャを介して、
a)前記アノードフローフィールド及び前記カソードフローフィールドのうちの少なくとも1つ、又は
b)前記延長エッジシール入力チャンバの第2の入力チャンバ容積であって、前記第2の入力チャンバ容積が、前記アノード入口を介して前記アノードフローフィールドと流体連通しているか、又は前記カソード入口を介して前記カソードフローフィールドと流体連通しているかのいずれかである、第2の入力チャンバ容積、と流体連通している、入口バッフルと、を含む、燃料電池スタック。
【請求項16】
前記複数の入口バッフルアパーチャの前記合計断面積が、前記入口境界における前記総断面積の0.5%~2.5%であるか、又は前記入口バッフルの長さが、前記入口境界の長さの0.05%~5.0%前記入口境界の前記長さよりも小さいか、又はそれらの組み合わせである、請求項15に記載の燃料電池スタック。
【請求項17】
前記ガスフロー入口から最も遠い前記入口バッフルの一部のアパーチャが、前記入口バッフルアパーチャの合計断面積の25%以上を占め、前記入口バッフルの前記一部が、前記入口境界の長さの5%~20%を占める、請求項15に記載の燃料電池スタック。
【請求項18】
前記複数の入口バッフルアパーチャのうちの少なくとも1個が、0.25mm以上の特徴的寸法を有するか、又は前記複数の入口バッフルアパーチャの各々が、0.25mm以上の特徴的寸法を有する、請求項15に記載の燃料電池スタック。
【請求項19】
前記燃料電池スタックの第3の側面に隣接している延長エッジシール出力チャンバと、前記延長エッジシール出力チャンバと流体連通しているガスフロー出口と、前記延長エッジシール入力チャンバの第1の出力チャンバ容積の出口境界に複数の出口バッフルアパーチャを含み、任意選択的に、前記アノード出口に実質的に平行であり、前記複数の出口バッフルアパーチャの断面積が、前記出口境界における総断面フローフィールド面積の0.5%~6.0%であり、前記第1の出力チャンバ容積が、少なくとも前記複数の出口バッフルアパーチャを介して、
c)前記アノードフローフィールド及び前記カソードフローフィールドのうちの少なくとも1つ、又は
d)前記延長エッジシール出力チャンバの第2の出力チャンバ容積であって、前記第2の出力チャンバ容積が、前記アノードフローフィールド及び前記カソードフローフィールドのうちの前記少なくとも1つと流体連通している、第2の出力チャンバ容積、と流体連通している、出口バッフルと、を更に含む、請求項15に記載の燃料電池スタック要素。
【請求項20】
前記複数の出口バッフルアパーチャの前記断面積が、前記出口境界における総断面積の0.5%~2.5%であるか、又は前記出口バッフルの長さが、前記出口境界の長さの0.05%~5.0%前記出口境界よりも小さいか、又はそれらの組み合わせである、請求項19に記載の燃料電池スタック。
【請求項21】
前記アノード入口マニホールドが、前記アノード入口マニホールドと前記延長エッジシール入力チャンバとの間の流路内に入口フローブロッカーを更に含み、前記ブロッカーが、前記入口バッフルに対して斜角で位置決めされているか、又は前記燃料電池スタックが、出口フローブロッカーを更に含み、前記ブロッカーが、前記第2の出力チャンバ容積内に少なくとも部分的に位置決めされており、前記出口バッフルに対して斜角の位置であるか、又はそれらの組み合わせである、請求項15に記載の燃料電池スタック。
【請求項22】
燃料電池を作動させるための方法であって、前記燃料電池が、アノードと、カソードと、前記アノード及び前記カソードを分離する電解質マトリックス層とを含み、前記方法が、アノード入力フローを前記燃料電池の第1の側面に隣接している延長エッジシール入力チャンバのガスフロー入口に導入することと、前記アノード入力フローの少なくとも一部を入口バッフル内の複数の入口バッフルアパーチャに通過させることであって、前記入口バッフルが、前記延長エッジシール入力チャンバの第1の入力チャンバ容積の入口境界を画定しており、任意選択的に、前記アノードのアノード入口に実質的に平行であり、前記複数の入口バッフルアパーチャの断面積が、前記入口境界における総断面積の0.5%~6.0%であり、前記第1の入力チャンバ容積が、少なくとも前記複数の入口バッフルアパーチャを介して、
a)前記アノードのアノード活性領域に関連したアノードフローフィールド、又は
b)前記延長エッジシール入力チャンバの第2の入力チャンバ容積であって、前記第2の入力チャンバ容積が前記アノードフローフィールドと流体連通している、第2の入力チャンバ容積と流体連通している、通過させることと、カソード入力フローを前記カソードのカソード入力に導入することと、溶融カーボネート燃料電池を作動させて、アノード出力フロー、カソード出力フロー、及び電気を形成することと、を含む、方法。
【請求項23】
前記アノード出力フローの少なくとも一部を出口バッフル内の複数の出口バッフルアパーチャに通過させることであって、前記出口バッフルが、延長エッジシール出力チャンバの第1の出力チャンバ容積の出口境界を画定しており、前記アノードのアノード出口に実質的に平行であり、前記複数の出口バッフルアパーチャの断面積が、前記出口境界における総断面フローフィールド面積の0.5%~6.0%であり、前記第1の出力チャンバ容積が、少なくとも前記複数の出口バッフルアパーチャを介して、
c)前記アノードフローフィールド、又は
d)前記延長エッジシール出力チャンバの第2の出力チャンバ容積であって、前記第2の出力チャンバ容積が前記アノードフローフィールドと流体連通している、第2の出力チャンバ容積と流体連通している、通過させることと、前記アノード出力フローを前記延長エッジシール出力チャンバのガスフロー出口から通過させて出すことと、を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記入口バッフルにわたる圧力降下が、0.1kPa~1.0kPaである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の入口バッフルアパーチャのうちの少なくとも1個が、0.25mm以上の特徴的寸法を有するか、又は前記複数の入口バッフルアパーチャの各々が、0.25mm以上の特徴的寸法を有する、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
溶融カーボネート燃料電池のためのバッフル構造が、そのような燃料電池を作動させる方法とともに提供される。
【背景技術】
【0002】
従来的な燃料電池スタックアセンブリは、電解質層によって分離されたアノード層及びカソード層を各々有する複数の燃料電池で形成され得る。複数の燃料電池は、燃料電池のスタックを形成するように配置され得る。各々のアノード層は、アノード入口(すなわち、燃料電池のスタックの一方の面)及び反対側のアノード出口(すなわち、スタックの反対側の面)を含み、アノード供給ガスは、アノード入口からアノード出口まで第1の方向にアノード層を通過する。同様に、各々のカソード層は、カソード入口(すなわち、スタックの別の面)及び反対側のカソード出口(すなわち、スタックの反対側の面)を含み、カソード供給ガスは、カソード入口からカソード出口まで、第1の方向に垂直である第2の方向にカソード層を通過する。アノード供給ガス及びカソード供給ガスの垂直フローは、燃料電池内の電流の二次元分布を生成する。例えば、電流は、(ガス濃度の増加に起因して)アノード入口及びカソード入口の両方に近接する角において最大であり得、(電気化学活性の低下に起因して)アノード出口及びカソード出口に近接する角において最小であり得る。次いで、電流の二次元分布は、第1の方向及び第2の方向の両方において変化し、各々の燃料電池にわたる電流の分散を低減するためにアノード及びカソード供給ガスのフローを最適化することが困難になる。
【0003】
標準的な垂直フロー又は交差フローの構成は、電池表面にわたって二次元電流を生成し、次いで、それによって、二次元熱勾配が誘導される。一方の角がフローフィールドの平均温度よりも冷たく、かつ別の角がフローフィールドの平均温度よりも熱いこの熱勾配は、熱膨脹差に起因して、多くの電池が積み重ねられている場合に問題がある。電池がもはや平面ではないため、熱い角/側面は、冷たい角/側面よりも大きく成長し、スタックの歪み、傾斜、及び曲がりを生じさせる。この歪みはまた、接触損失を誘発し、電池の異なる領域での局所的な圧縮の量を変化させ得る。スタックの高さが高いほど、この効果がより作用する。電流の一次元分布、したがって一次元温度勾配を提供するために、平行方向に流れるアノード供給ガス及びカソード供給ガスを提供する燃料電池アセンブリを提供することが有利であろう。達成される場合、スタック内の電池は、実質的に平面のままであり、それによって、接触がより良好になり、動きがより予測可能になり、かつ均一なスタック圧縮の維持に係る課題が少なくなる。
【0004】
米国特許第6,509,113号には、固体酸化物燃料電池の電極における使用のためのバッフルが記載されている。バッフルは、燃料濃度が最大であるときにアノードにアクセスすることができる燃料の量を減少させ、その一方で、燃料濃度が最小であるときにアノードへの燃料の最大曝露を可能にすると記載されている。
【0005】
米国特許出願公開第2020/0176787号には、溶融カーボネート燃料電池内のカソードのためのフローフィールドバッフル(flow field baffle)が記載されている。
【発明の概要】
【0006】
様々な態様において、提供されるバッフルを含む溶融カーボネート燃料電池スタック内の要素。燃料電池スタック要素は、ガスフロー入口を含む。燃料電池スタック要素は、ガスフロー入口と流体連通している第1の容積を更に含む。燃料電池スタック要素は、第2の容積を更に含み、第2の容積は、燃料電池アノードのアノード活性領域の少なくとも一部、燃料電池カソードのカソード活性領域の少なくとも一部、又は改質触媒を含む。第2の容積は、第1の容積を介してガスフロー入口と流体連通し得る。燃料電池スタック要素は、第1の容積と第2の容積との間の入口境界に複数の入口バッフルアパーチャを含む入口バッフルを更に含む。第1の容積と第2の容積との間の流体連通の少なくとも一部は、複数の入口バッフルアパーチャを通る流体フローに対応し得る。入口バッフルの長さは、入口境界の長さの少なくとも60%であり得る。入口バッフルの平均高さは、入口境界に沿った平均高さの100%以上であり得る。複数の入口バッフルアパーチャの合計断面積は、入口境界における総断面積の0.5%~6.0%であり得る。追加的に、燃料電池スタック要素は、第2の容積と流体連通しているガスフロー出口を含み得る。
【0007】
いくつかの態様において、燃料電池スタック要素は、溶融カーボネート燃料電池のアノード又はカソードに対応し得る。そのような態様において、第1の容積は、延長エッジウェットシールチャンバ内の容積の少なくとも一部に対応し得る。そのような態様において、第2の容積は、アノード活性領域及び関連するアノードフローフィールドの少なくとも一部、又はカソード活性領域及び関連するフローフィールドの少なくとも一部に対応し得る。いくつかの態様において、燃料電池スタック要素は、改質要素に対応し得、第2の容積は、改質触媒を含む。
【0008】
そのような燃料電池スタック要素を含む燃料電池スタックを作動させるための方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】燃料電池の概略図である。
図2】交差フロー作動のために構成された燃料電池スタックの斜視図である。
図3】例示的な実施形態による、燃料電池スタックの斜視図である。
図4A】例示的な実施形態による、燃料電池アセンブリの平面図である。
図4B】別の例示的な実施形態による、燃料電池アセンブリの平面図である。
図4C図4Aに示される燃料電池アセンブリのカソードレベルの平面図である。
図4D図4Aに示される燃料電池アセンブリのアノードレベルの平面図である。
図5】バッフル構造の例の側面図を示す。
図6】バッフル構造の別の例の側面図を示す。
図7】バッフル構造の例の斜視図を示す。
図8】延長ウェットシールとアノードガスフローの所望のフローパターンとを有する燃料電池の上面図を示す。
図9】バッフル構造の使用を伴うアノード内のアノードガスフロー方向を示す。
図10】比較バッフル構成を有するアノード内のアノードガスフロー方向を示す。
図11】別の比較バッフル構成を有するアノード内のアノードガスフロー方向を示す。
図12】比較バッフル構造を示す。
図13図12の比較バッフル構造を使用した場合の圧力降下変動を示す。
図14】別の比較バッフル構造を示す。
図15図14の比較バッフル構造を使用した場合の圧力降下変動を示す。
図16】燃料電池スタック内の要素としての改質ユニットの例の上面図を示す。
図17】バッフルのアパーチャパターンの例を示す。
図18】バッフル構成の一例を示す。
図19】バッフル構成の別の例を示す。
図20】燃料電池スタック内のカソードの平均温度プロファイルを示す。
図21図18によるバッフル構成を使用した改質ユニットを含む燃料電池スタック内のカソードの平均温度プロファイルを示す。
図22】カソードの中心線に沿った図21からのカソードの温度プロファイルを示す。
図23図19によるバッフル構成を使用した改質ユニットを含む燃料電池スタック内のカソードの平均温度プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
様々な態様において、アノード及びカソードが共流フロー及び/又は逆流フロー条件下で作動することを可能にしながら、カソード入力ガスフローの入口側に隣接している燃料電池の側面にアノード入力ガスフローを導入することを可能にする溶融カーボネート燃料電池構成が提供される。改善されたフロー特性は、アノードの活性領域に隣接している延長エッジシール領域(延長エッジシールチャンバ内)にアノード入力フローを迂回させ、次いで、バッフルを使用して、アノードにわたるアノード入力フローの均等なフロー分布のために十分な圧力降下を提供することによって、共流フロー又は逆流フロー作動中にアノード内で達成され得ることが判明した。アノード出力フローが活性領域から第2の延長エッジシール領域(第2の延長エッジシールチャンバ内)に出るとき、アノード出力フローが燃料電池を離れる前に、第2のバッフルを使用して、圧力降下を発生させることができる。必要に応じて、同様の配置を使用して、カソード入力フロー及びカソード出力フローを管理することができるであろう。
【0011】
追加的に、延長エッジシール容積間の圧力降下を管理するためにバッフルを使用する場合、フローフィールド全体を実質的に遮断するが、バッフルにわたるガスのフローを可能にするアパーチャ又は穿孔を含む中実バッフルを使用することが有益であることが更に判明した。これは、圧力降下がバッフルとフローフィールドの上部又は底部との間の隙間に基づいて制御され得る従来的なバッフル構成とは対照的である。微小な製造公差の変動に対する圧力降下の感度に起因して、圧力降下に対する改善された制御は、表面間の隙間に依存するのではなく、アパーチャを使用することによって達成され得ることが判明した。任意選択的に、入力フローの場合、増加した量の利用可能なフローフィールドを、アノード入力ガスフローが入力延長エッジシール容積に入る箇所から最も遠いバッフルの端部において提供することができる。この増加した量の利用可能なフローフィールドは、バッフルの遠端付近でより大きなアパーチャを使用することに基づき得る、及び/又はフローフィールドの全長を延長しないバッフル(フローフィールドの長さよりも最大5%短い長さのバッフルなど)を使用することによるものであり得る。任意選択的に、出力フローの場合、増加した量の利用可能なフローフィールドを、アノード出力ガスフローが出力延長エッジシール容積から出る場所から最も遠いバッフルの端部において提供することができる。
【0012】
別の更なる態様において、バッフルは、燃料電池スタック内の要素としての一体型改質ユニットへのフローを管理するためにも使用され得る。そのような態様において、改質ユニットは、3個以上の燃料電池ごとに1個の改質ユニット、又は5個以上の燃料電池ごとに1個の改質ユニット、例えば、20個の燃料電池ごとに1個までの改質ユニット、又は場合によっては更に少ない改質ユニットを有するなど、周期的に燃料電池スタック内のスタック要素として一体化され得る。燃料電池スタックへの改質ユニットの一体化は、燃料電池スタック内の隣接している及び/又は付近の要素において改質を実施することによって、燃料電池の作動中に生成された過剰な熱を少なくとも部分的に消費することができる。そのような態様において、バッフルは、改質ユニット内の熱消費パターンが、スタック内の隣接している及び/又は付近の燃料電池要素における熱生成パターンと比較的類似するように、改質ユニット内のフローパターンを調節するために使用され得る。
【0013】
燃料電池スタックの場合、スタックに出入りするガスフローを管理するための1つの選択肢は、マニホールドを使用することである。実用的な考慮事項に基づいて、アノード入力及びアノード出力フローのためのマニホールドをカソード入力及びカソード入力フローのためのマニホールドから物理的に分離することが有益であり得る。おおよそ矩形又は正方形の幾何学形状を有する燃料電池スタックの場合、マニホールドを物理的に分離する都合の良い方法は、アノード入力フロー及びアノード出力フローのためのマニホールドをカソード入力フローのためのマニホールド(及び存在する場合はカソード出力フローのためのマニホールド)とは異なる側の燃料電池スタック上に置くことであり得る。このタイプの構成は、マニホールドを燃料電池スタックに接続する際の幾何学的難点を低減又は最小化することができるが、これは、アノード内のフローの方向がカソード内のフローの方向に対しておおよそ垂直であること又は交差フローであることをもたらし得る。残念なことに、いくつかの作動条件下では、交差フロー構成で燃料電池を作動させると、燃料電池内の反応条件の不均一性がもたらされ得る。これは、機械的な問題及び/又は燃料電池の寿命の難点を潜在的に呈し得る。
【0014】
交差フロー構成の難点を回避しながらアノードマニホールド及びカソードマニホールドの物理的分離を維持する利点を維持するために、アノード内のフローの方向を変更して、アノード内の実質的に均一な変更されたフローパターンを依然として達成しながら燃料電池内の共流又は逆流フローを達成することができることが判明した。しかしながら、実質的に均一な変更されたフローパターンを達成するために、アノード入力フローの比較的均等な分布が、アノード内の所望のフロー方向に垂直な方向にアノードの全幅にわたって生じる必要があることが判明した。そうでなければ、ガスの不均等な分布がアノード内に存在するため、交差フロー構成に係る難点と同様のフローパターンの難点が残るであろう。
【0015】
本議論において、共流フロー又は逆流フローを有するように燃料電池作動を変更することは、アノード内のフローの方向の変更に基づいて説明される。アノードフローの変更は、変形形態の説明を容易にするために記載される。代わりに、カソード内のフローの方向を変更することができると理解される。
【0016】
アノードの全幅にわたるガスの実質的に均一な分布が、複数のバッフルを使用することによって部分的に達成され得ることが判明した。最初に、アノード入力フローは、燃料電池スタックに入ることができ、ブロッカーによって(入力)延長エッジシールチャンバ内に迂回され得る。次いで、延長エッジシールチャンバに入った後、ただし、アノードの活性領域に入る前に、第1のバッフルを使用して、アノード入力フローの圧力降下を発生させることができる。アノードの活性領域を出て第2の(出力)延長エッジシールチャンバに入る前に、第2のバッフルを使用して、アノード出力フローについて第2の圧力降下を発生させることができる。アノードの活性領域のいずれかの側面に十分な圧力降下があると、アノードの活性領域内で均一なフロー分布を可能にし得ることが判明した。追加的に、バッフルをアノードの活性領域の境界におおよそ位置決めすると、燃料電池の活性領域内での不均一な作動を低減又は最小化することができることが判明した。
【0017】
不均一な作動を低減又は最小化しながらガスの所望の実質的に均一な分布を達成するために、使用されるバッフルのタイプが作動に影響し得ることが更に判明した。ガスの比較的均一な分布を達成するために、延長エッジシール領域とアノードの活性領域との間の圧力降下は、0.1kPa~1.0kPaであり得る。このレベルの圧力降下の達成には、流体フローのために利用可能なフローフィールドの断面積を、バッフル位置におけるフローフィールドの総断面積の約0.5%~6.0%、又は0.5%~4.0%、又は0.5%~2.5%に減少させることが必要であり得る。バッフルの全長に沿って比較的均一なパターンのアパーチャが使用されるいくつかの態様において、バッフル位置における利用可能な断面流体フロー面積は、バッフル位置におけるフローフィールドの総断面積の0.5%~2.5%であり得る。ガス入口/出口位置から最も遠いバッフルの端部に追加的な利用可能な断面積が存在する態様において、バッフル位置における利用可能な断面積は、バッフル位置におけるフローフィールドの総断面積の0.5%~4.0%又は0.5%~6.0%であり得る。本議論において、バッフル位置における利用可能な断面流体フロー面積は、バッフルをフローフィールドに配置した後の、バッフル位置における流体フローのために開放されたままとなっている総断面フローフィールド面積のパーセンテージとして定義される。以下で更に詳細に説明されるように、総断面フローフィールド面積は、燃料電池の構成に依存し得る。いくつかの態様において、バッフルの位置における総フローフィールド断面積は、アノードコレクタ(又はカソードコレクタ)のプレート状表面と、燃料電池の構築中にアノードコレクタ(又はカソードコレクタ)に対して圧縮される反対側のセパレータプレートとの間の面積に対応し得る。
【0018】
バッフル内のアパーチャによって提供される利用可能な断面フローフィールド面積を決定するとき、V字型バッフルの場合、アパーチャのサイズ及び/又は数が、Vの2つの側面に関して異なり得ることに留意されたい。そのような態様において、V字型バッフルについての利用可能な断面フローフィールド面積は、より低い断面フローフィールド面積を有するバッフルの側面についての利用可能な断面フローフィールド面積として定義される。より一般的には、ガスフローがバッフルを完全に横断するために2個以上のアパーチャを通過する必要がある任意のタイプのバッフル形状の場合、利用可能な断面フローフィールド面積は、最低断面積に対応するアパーチャのセットについての断面積として定義される。
【0019】
流体フローのために利用可能な比較的少量の断面積に部分的に起因して、延長エッジシールチャンバとアノードとの間の圧力降下が、断面積の変動に対する比較的高い感度を有することが判明した。この比較的高い感度に起因して、その他の場合には延長エッジシールチャンバとアノードとの間の境界又は線に沿ってフローフィールド全体(すなわち、ガス流路)を占有又は充填しているアパーチャを有する中実バッフルが、改善された作動を提供することができることが判明した。この改善された作動は、バッフルが境界におけるフローフィールドの高さ未満の高さを有する構成に関連しているため、バッフルは、延長エッジシールチャンバとアノードとの間の境界に沿ったフローフィールドの断面積の大部分を占有又は充填しているが、全てではない。この改善された作動は、バッフルの全体的なサイズ及び形状の製造公差とは対照的に、バッフル内のアパーチャの製造公差を制御する改善された能力に部分的に基づいて達成され得る。
【0020】
バッフルの位置が、第1の容積と第2の容積との間の境界を画定することに留意されたい。バッフルの長さがバッフル位置における燃料電池の全長未満である態様において、境界は、バッフルを超えて延在するように画定されているため、境界は、その位置において燃料電池の全長に延在している。したがって、境界は、境界を画定するバッフルよりも長くなり得る。バッフルによって画定される境界は、延長エッジシールチャンバとアノード(又はカソード)との間の境界と同じである必要はないことに更に留意されたい。例えば、バッフルは、延長エッジシールチャンバ内に置かれ得る。入力フローの場合、これは、バッフルを通過した後に、ガスフローが、アノードの活性領域に関連したアノードフローフィールドの部分に到達する前に移動する距離を依然として有し得ることを意味するであろう。これは、バッフルにわたる圧力降下によって提供される改善されたガスフロー分布を達成する前に、アノードガスフローがアノード活性領域と相互作用し得ることを意味するため、バッフルをアノード活性領域の一部にわたって置くことはそれほど好ましくない。言い換えるなら、アノード活性領域の一部にわたってバッフルがあることは、アノード入力ガスフローが、バッフルに遭遇する前に、アノード活性領域に関連したアノードフローフィールドに入り得ることを意味するであろう。
【0021】
いくつかの態様において、バッフルは、フローフィールドの高さよりもわずかに大きな高さを最初に有する適合したバッフルに対応し得る。そのような態様において、適合したバッフルは、燃料電池のアセンブリに使用される圧力下で変形し得る。これは、バッフル内のアパーチャを除いて、バッフルがバッフル位置においてフローフィールドを完全に遮断することを依然として可能にしながら、バッフルの高さについての公差を管理することの難点を低減又は最小化することができる。
【0022】
フローフィールドについての利用可能な断面積の所望の量を提供するためにどのようにバッフルを使用するかについて、様々な選択肢が利用可能である。例えば、バッフル内のアパーチャは、均一であり得る(すなわち、実質的に同じサイズであり得る)か、又はアパーチャのサイズは、バッフル内で変動し得る。任意選択的に、アパーチャサイズの変動は、より大きなサイズ及びより小さなサイズが交互になったアパーチャ、若しくはバッフルの長さに沿って増加するアパーチャサイズなどのパターン、又は別の都合の良いパターンに従っていてもよい。より一般的には、利用可能なフローフィールド断面積の所望の量を達成するために、アパーチャサイズを選択するための任意の都合の良い方法を使用することができる。
【0023】
様々な態様において、V字型バッフルの場合、「V」の一方の側面のアパーチャは、Vの第2の側面のアパーチャからずらされ得る。Vの2つの側面においてずらされたアパーチャを使用することによって、V字型バッフルの第1の側面のアパーチャを通って入る任意のガスは、第2の側面のアパーチャを通って出る前に、バッフル内を横方向に移動する必要がある。Vの2つの側面のアパーチャがアラインメントされている場合、ガスフローの「チャネリング」が生じることがあり、その際、ガスは、横方向の動きなしに、アラインメントされたアパーチャを通過し得る。そのようなチャネリングは、バッフルにわたる圧力降下を低減することがあり、及び/又はより望ましいフローパターンを生成するためにバッフルによって提供される利点を低減することがある。バッフルの異なる側面のアパーチャは、好ましくはずらされているが、いくつかの態様において、アパーチャのサイズ及び/又はパターンは、そうではない場合、バッフルの2つの側面について同じであり得る。他の態様において、アパーチャサイズ及びアパーチャパターンのうちの少なくとも1つは、V字型バッフルの2つの側面の間で変動し得る。
【0024】
いくつかの態様において、追加的な利用可能な断面フローフィールド面積を、アノードガスフローが延長エッジシール容積に入る/これから出る位置から最も遠いバッフルの端部に提供することができる。例えば、入力延長エッジシール容積の場合、アノード入力フローは、入力延長エッジシール容積の第1の端部で入る。そのような例では、入力延長エッジシール容積とアノード活性領域との間のバッフル(任意選択的に、アノード活性領域の開始に対応するアノード入口に置かれている)は、入力延長エッジシール容積の第2の端部のバッフル位置(すなわち、延長エッジシール容積へのガス入力フローから最も遠い入口バッフル位置の一部)において、追加的な利用可能な断面フローフィールド面積を可能にし得る。この追加的な利用可能な断面フローフィールド面積は、利用可能な総断面フローフィールド面積の25%以上又は50%以上に対応し得る。追加的に又は代替的に、バッフルの最も遠い端部セクションに置かれている利用可能な断面フローフィールド面積の量は、総断面フローフィールド面積の0.1%~5.0%、又は0.1%~3.0%に対応し得る。バッフルの最も遠い端部に追加的な利用可能な断面フローフィールド面積がある態様において、バッフルの残りの部分は、バッフル位置におけるフローフィールドの総断面積の0.4%~2.5%に対応する利用可能な断面フローフィールド面積を有し得る。
【0025】
追加的な利用可能な断面フローフィールド面積を提供するためのいくつかの選択肢がある。1つの選択肢は、バッフルの長さの3.0%~20%(又は3.0%~15%、又は3.0%~10%)及び/又は入力延長エッジシール容積へのアノード入力ガスフローの入口点から最も遠いバッフル位置の長さに対応するバッフルの部分に比較的大きなアパーチャを有することであり得る。同様に、出力延長エッジシール容積については、出力延長エッジシール容積からのアノード出力ガスフローの出口点から最も遠いバッフルの部分において、比較的大きなアパーチャが含まれ得る。例として、いくつかの態様において、フローフィールドの長さ(燃料電池の内部長に対応する)は、約30インチ~40インチ(約750mm~1000mm)であり得る。そのようなフローフィールドのためのバッフルは、同様の長さを有し得る。バッフル及び/又はバッフル位置が30インチ(約750mm)の長さを有する態様において、バッフル及び/又はバッフル位置の最後の1.0インチ(約25mm)は、バッフル及び/又はバッフル位置の長さの約3.3%に対応し、その一方で、最後の6.0インチ(約150mm)は、バッフル位置のフローフィールドの長さの約20%に対応するであろう。
【0026】
別の選択肢は、バッフル位置におけるフローフィールドの全長未満のバッフルを使用することであり得る。そのような選択肢では、バッフルは、フローフィールドの長さの0.05%~5.0%、又は0.05%~3.0%、又は0.05%~1.0%、又は1.0%~5.0%、フローフィールドの全長よりも短くなり得る。そのような選択肢では、バッフル長とフローフィールドの長さとの間の差によって生成された隙間は、アノードガスフローの入力/出口位置から最も遠い延長エッジシール容積の端部に置かれ得る。一例として、フローフィールドの長さが約750mmである態様において、フローフィールドより0.05%短いバッフルは、749.6mmの長さを有するバッフルに対応するであろう。フローフィールドよりも5.0%短いバッフルは、712.5mmの長さを有するバッフルに対応するであろう。フローフィールドの全長よりもある割合で短いバッフルの場合、開放された隙間に起因する追加的な利用可能な断面フローフィールド面積の量は、バッフルとフローフィールドとの間の長さの差とおおよそ同じであることに留意されたい。したがって、フローフィールドよりも1.0%短いバッフルは、1.0%の追加的な利用可能な断面フローフィールド面積をもたらす。
【0027】
更なる別の選択肢は、減少又は最小化された量の断面フローフィールド面積を有するバッフルの初期部分(すなわち、フロー入力/出力に最も近い部分)を有することであり得る。例えば、バッフルの最初の5.0%~25%は、利用可能な断面フローフィールド面積の0.1%未満を含み得る。任意選択的に、これは、バッフルの最初の5.0%~25%にアパーチャがないことに対応し得る。
【0028】
いくつかの態様において、入力延長エッジシール容積のためのバッフルは、出力延長エッジシール容積のためのバッフルとは異なり得る。そのような態様において、任意の都合の良いタイプの差がバッフル間に存在し得る。これは、バッフルのための異なる利用可能な断面フローフィールド面積を有すること、バッフルのための異なるアパーチャサイズを有すること、バッフルのための異なるパターンのアパーチャを有すること、及び/又はバッフルの端部における利用可能な断面フローフィールド面積の量の差を有することを含み得るが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、入力バッフルと出力バッフルとの間の利用可能な断面フローフィールド面積の差は、0.1%~1.0%であり得る。いくつかの態様において、入力バッフルと出力バッフルとの間の利用可能な断面フローフィールド面積の差は、1.1%~5.0%であり得る。
【0029】
一般的な溶融カーボネート燃料電池構造
図1は、溶融カーボネート燃料電池スタックの一部の一般的な例を示す。図1に示されるスタックの部分は、燃料電池401に対応する。スタック内の隣接している燃料電池及び/又はスタック内の他の要素から燃料電池を分離するために、燃料電池は、セパレータプレート410及び411を含む。図1において、燃料電池401は、電解質442を含む電解質マトリックス440によって分離されたアノード430及びカソード450を含む。様々な態様において、カソード450は、二層(又は多層)カソードに対応し得る。アノードコレクタ420は、スタック内のアノード430と他のアノードとの間に電気的接点を提供し、その一方で、カソードコレクタ460は、燃料電池スタック内のカソード450と他のカソードとの間に同様の電気的接点を提供する。追加的に、アノードコレクタ420は、アノード430からのガスの導入及び排出を可能にし、その一方で、カソードコレクタ460は、カソード450からのガスの導入及び排出を可能にする。図1のアノードコレクタ420の形状は、湾曲した構造(プレート状表面からの湾曲した突起など)がアノードコレクタ420とアノード430又はセパレータプレート410のいずれかとの間の接触を提供するために使用され得るという概念を表すことを意図している。例えば、そのような湾曲した構造は、アノードコレクタ420内の隙間の上方に存在して、流体がアノード430に出入りすることを可能にし得る。ガスがプレート状表面を通過することを可能にする開口部を有するプレート状表面に対応する少なくとも1つの表面を有することを含む、その他の都合の良い形状が使用され得る。カソードコレクタ460は、他の都合の良い形状も使用され得るという理解の下で、湾曲した表面によって同様に表される。
【0030】
作動中、COは、Oとともにカソードコレクタ460に通される。CO及び/又はOは、燃焼デバイスからの空気又は煙道ガスなどの任意の都合の良い供給源に由来し得る。CO及びOは、多孔質カソード450内に拡散し、カソード450及び電解質マトリックス440の境界付近のカソード界面領域に移動する。カソード界面領域において、電解質442の一部は、カソード450の細孔内に存在し得る。CO及びOは、カソード界面領域の付近/その中で炭酸イオン(CO 2-)に変換され得、この炭酸イオンは、次いで、電流の生成を容易にするために、電解質442を横切って(したがって、電解質マトリックス440を横切って)輸送され得る。代替イオン輸送が生じている態様において、Oの一部は、電解質442への輸送のために、水酸化物イオン又は過酸化物イオンなどの代替イオンに変換され得る。電解質442を横切って輸送した後に、炭酸イオン(又は代替イオン)は、電解質マトリックス440及びアノード430の境界付近のアノード界面領域に到達し得る。炭酸イオンは、Hの存在下でCO及びHOに変換されて、燃料電池によって生成される電流を形成するために使用される電子を放出することができる。これは、例えば、電解質マトリックス440の細孔内に電解質442が存在すると起こり得る。H、及び/又はHを形成するのに好適な炭化水素は、アノードコレクタ420を介してアノード430に導入される。
【0031】
図2を参照すると、従来的な燃料電池スタック10は、アノード層12(図示されないが、アノード電極及びアノードフローチャンバ/集電体を含む)及びカソード層14(図示されないが、カソード電極及びカソードフローチャンバ/集電体を含む)を各々有し、燃料電池が1個ずつ互いに積み重ねられた、複数の燃料電池11(図1に示される燃料電池401など)を含む。燃料電池スタック10は、アノード供給ガスを受け取るように構成されたアノード入口側(又はスタック面)16と、アノード層12を通過した後にアノード排気を出力するように構成された反対側のアノード出口側(又はスタック面)18とを含む。アノード供給ガスは、アノード入口スタック面16に隣接してこれに対して封止された外部マニホールド(アノード入口マニホールド116)を介して提供され得る。参照目的のために、図2に示される外部マニホールドは、燃料電池スタック10から取り外されている。明確化のために記載するが、作動中に、外部マニホールド(例えば、アノード入口マニホールド116)は、対応する燃料スタック面に対して封止されるであろう。アノード排気は、アノード出口スタック面18に隣接してこれに対して封止された別の外部マニホールド(アノード出口マニホールド118)によって受け取られ得る。燃料電池スタック10は、カソード供給ガスを受け取るように構成されたカソード入口側(又はスタック面)20と、カソード層14を通過した後にカソード排気を出力するように構成された反対側のカソード出口側(又はスタック面)22とを更に含む。カソード供給ガスは、カソード入口スタック面20(カソード入口マニホールド120)に隣接してこれに対して封止された外部マニホールドを介して提供され得る。カソード排気は、カソード出口スタック面22に対して封止された別の外部マニホールド(カソード出口マニホールド122)によって受け取られ得る。いくつかの実施形態において、4つのスタック面のうちの少なくとも3つは、各々のスタック面に対して封止された外部マニホールドを有し得る。例えば、スタックは、封止されたハウジング(例えば、モジュール)に収容されていてもよく、アノード入口側、アノード出口側、及びカソード入口側は、外部マニホールドで封止されていてもよい。この例のカソード出口側は、封止されたハウジングに対して開放されていてもよい。
【0032】
図2に示される従来的な燃料電池スタック10において、アノード供給ガスは、アノード入口スタック面16からアノード出口スタック面18まで実質的に線形の方向で各々のアノード層12を通って流れる。(本明細書で言及される場合、「実質的に線形」は、ある特定の方向へのガスフローの容積の大部分を意味する。)同様に、カソード供給ガスは、カソード入口スタック面20からカソード出口スタック面22まで実質的に線形の方向でカソード層14を通って流れる。アノード供給ガス及びカソード供給ガスは、これらがスタック内にあるとき、互いに実質的に垂直に流れる(すなわち、アノード供給ガスの容積の大部分が、第1の方向に流れ、カソード供給ガスの容積の大部分が、第1の方向に実質的に垂直である第2の方向に流れる)(「交差フロー」としても知られる)。このため、電流密度は、アノード入口側16がカソード入口側20(領域I)と交わる箇所に近接した燃料電池スタック10の角で最も高くなり得、燃料電池アセンブリ11を通るアノード供給ガスフロー及びカソード供給ガスフロー各々の方向に非線形で変動する。したがって、アノードフロー及びカソードフローが実質的に平行な構成(「平行フロー」、「並行フロー」、又は「カウンターフロー」としても知られる)で燃料電池スタック10を通過するように、スタック内で互いにアノード供給ガス及びカソード供給ガスのフローを再配向することが有利であろう。
【0033】
本発明は、2種のプロセスガス混合物が互いに実質的に垂直な方向に供給されてスタックから除去される、四面燃料電池スタック内の2種のプロセスガス混合物の実質的に平行なフローを可能にする。言い換えるなら、本発明は、図2に関連して説明されているように、燃料電池スタック間のプロセスガス送達を大幅に変更することなく(すなわち、外部マニホールドを用いて)、燃料電池スタック内での実質的に平行なフローを可能にする。
【0034】
ここで図3を参照すると、燃料電池スタック200は、どのようにして、アノード供給ガスが燃料電池スタック200の角を通過してカソード供給ガスに実質的に平行に方向変換され、アノード排気がカソード排気に実質的に垂直に出力されるように再び方向変換されるかを示す。(参照を容易にするために、「A」で示される矢印は、アノードプロセスガスの流路を表し、「C」で示される矢印は、カソードプロセスガスの流路を表す)燃料電池スタック200は、アノード層208及びカソード層210を各々有し、燃料電池が、互いに積み重ねられ、鋼セパレータシート(例えば、バイポーラプレート)によって互いに分離された、複数の燃料電池アセンブリ211を含む。最上部の燃料電池アセンブリ211の上面は、その燃料電池アセンブリ内の流路を示すために取り外されていることに留意されたい。アノード電極の多孔質活性領域(アノード活性領域)213を除いて、各々の燃料電池アセンブリ211のアノード層208は、その他の場合には、単一の入口(後述の部分アノード入口216)及び単一の出口(後述の部分アノード出口218)を有する封止されたチャンバであると理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「活性領域」は、プロセスガス内の分子がそこに拡散する選択的拡散を可能にするように構成された燃料電池層(アノード、カソード)上の領域であり、すなわち、供給ガスは、活性領域内で電気化学反応を受ける。別の言い方をするなら、燃料電池のアノード及びカソードの両方の前端及び後縁は、燃料電池の上方及び下部の隣接している電池間のウェットシールに対応する狭い非活性領域を有する。供給ガスは、電気化学反応を受けることなくウェットシールを通過する。燃料電池の残りの面積は、重複しており、アノード層及びカソード層の両方に共通しており、電気化学活性を受け、「活性面積」として知られている。同様に、多孔質活性カソード電極(図示せず)とは別に、各々の燃料電池アセンブリ211のカソード層210は、その他の場合には、カソード入口226及びカソード出口228を有する封止されたチャンバである。燃料電池アセンブリ211の側壁の一部は、最上部の燃料電池アセンブリ211のカソード層を通る流路(及び最上部の燃料電池アセンブリ211の直下の燃料電池アセンブリ211のアノード層及びカソード層の流路)を示すために取り外されていることに更に留意されたい。更に、最上部の燃料電池アセンブリ211に対応する列挙された特徴を参照し得ることにも更に留意されたいが、そのような列挙された特徴は、燃料電池スタック200に含まれる他の燃料電池アセンブリ211に適用可能であり得る。
【0035】
本明細書に記載の燃料電池アセンブリ211は、電解質マトリックス層によって分離されたアノード層208及びカソード層210を含み、鋼セパレータシートは、燃料電池アセンブリの上面及び下面を形成することに留意されたい。しかしながら、他の実施形態において、第1の燃料電池アセンブリは、鋼セパレータシートによって分離されたアノード層208及びカソード層210を含み得、アノード電極は、第1の表面(例えば、上面)を形成し、カソード電極は、第2の表面(例えば、下面)を形成する。単一機能燃料電池ユニットは、第2の燃料電池アセンブリ(第1の燃料電池アセンブリと同じ構成要素を有する)が第1の燃料電池アセンブリの上部又は下部に積み重ねられ、2個の燃料電池アセンブリが電解質マトリックス層によって分離されるときに形成される。言い換えるなら、単一の燃料電池ユニットは、第1の燃料電池アセンブリのカソードが、第2の燃料電池アセンブリのアノードと連通している電解質マトリックスと連通している場合に形成される。
【0036】
図3は、3個の燃料電池アセンブリ211を示すが、本発明は、そのように限定されることはなく、燃料電池スタックは、より多くの又はより少ない燃料電池アセンブリを含み得る。各々の燃料電池アセンブリ211は、2個の延長エッジシールチャンバ236、246、すなわち、燃料電池アセンブリの第1の側面の第1の延長エッジシールチャンバ236(例えば、上流延長エッジシールチャンバ)及び燃料電池アセンブリの反対側の第2の延長エッジシールチャンバ246(例えば、下流延長エッジシールチャンバ)を含む。図3に示されるように、延長エッジシールチャンバは、燃料電池の2つの反対側の活性領域を超えて、スタック面から外側にカンチレバーを延長している。
【0037】
図2に示される燃料電池スタック10と同様に、(図3の)燃料電池スタック200は、アノード入口側(又はスタック面)212と、アノード入口側212に実質的に平行である反対側のアノード出口側(又はスタック面)214とを含む。しかしながら、アノード供給ガスが各々の燃料電池に入るための実質的に開放された面/入口を含む燃料電池スタック10のアノード入口スタック面16とは異なり、アノード入口スタック面212は、それほど開放されておらず、各々の燃料電池アセンブリ211は、第1の部分シール212a及び部分アノード入口216を含む。例示的な実施形態において、外部マニホールドは、アノード入口スタック面212(図示せず)に対して封止されており、外部マニホールド(図示せず)に提供されるアノード供給ガスは、部分アノード入口216を介して燃料電池のアノードセクションに入る。したがって、外部マニホールド及び部分アノード入口216は、アノード入口スタック面212に隣接している。同様に、アノード排気が各々の燃料電池から離れるための実質的に開放された面/出口(図示せず)を含む燃料電池スタック10のアノード出口スタック面18とは異なり、アノード出口スタック面214は、そのようには開放されておらず、各々の燃料電池アセンブリ211は、第2の部分シール214a及び部分アノード出口218を含む。したがって、部分アノード出口218は、アノード出口スタック面214に隣接している。
【0038】
燃料電池スタック200の作動中、各々のアノード層208は、例えば外部マニホールド(図示せず)を介して、燃料電池スタック200のアノード入口側212においてアノード供給ガスをアノード供給ガス供給部(すなわち、供給源)から受け取るように、かつアノード供給ガスが燃料電池スタック200内のカソード供給ガスと反応させられた後に、例えば別の外部マニホールド(図示せず)を介して、燃料電池スタック200のアノード出口側214においてアノード排気を出力するように構成されている。具体的には、各々のアノード層208は、アノード層208の上流部分において、アノード入口側212の一部のみに形成された部分アノード入口216(すなわち、アノード入口開口部)を含む。各々のアノード層208は、アノード層208の下流部分において、アノード出口側214の一部のみに形成された部分アノード出口218(すなわち、アノード出口開口部)を更に含む。
【0039】
燃料電池スタック200は、カソード入口側(又はスタック面)222と、カソード入口側222に実質的に平行である反対側のカソード出口側(又はスタック面)224とを更に含む。いくつかの実施形態において、カソード層210は、図2に示される燃料電池スタック10のカソード層14と構造が同様であり、同様に作動する。言い換えるなら、いくつかの実施形態において、カソード供給ガスは、カソード入口スタック面222からカソード出口スタック面224まで実質的に線形の方向でカソード層210を通って流れ得る。図3に示されるように、(アノード層208における)第1の延長エッジシールチャンバ236は、カソード入口226の上方でカンチレバー状であると理解されるであろう。更に、複数の第1の延長エッジシールチャンバ236は、カソード入口スタック面222に沿って一連のカンチレバー状の突起を形成している。これらのカンチレバー状の第1の延長エッジシールチャンバは、カソード入口スタック面222上のアノード208に隣接している。同様に、複数の第2の延長エッジシールチャンバ246は、カソード出口スタック面224に沿って一連のカンチレバー状の突起を形成している。これらのカンチレバー状の第2の延長エッジシールチャンバは、カソード出口スタック面224上のアノード208に隣接している。
【0040】
燃料電池スタック200の作動中、各々のカソード層210は、例えば外部マニホールド(図示せず)を介して、燃料電池スタック200のカソード入口側222においてカソード供給ガスをカソード供給ガス供給部(すなわち、供給源)から受け取るように、かつカソード供給ガスが燃料電池スタック200内のカソード供給ガスと反応させられた後に、例えば外部マニホールド(図示せず)を介して、燃料電池スタック200のカソード出口側224においてカソード排気を出力するように構成されている。具体的には、各々のカソード層210は、カソード層210の上流部分において、カソード入口側222に形成されたカソード入口226(すなわち、カソード入口開口部)を含む。各々のカソード層210は、カソード層210の下流部分において、カソード出口側224に形成されたカソード出口228(すなわち、カソード出口開口部)を更に含む。例示的な実施形態によると、カソード入口226及びカソード出口228は、実質的にカソード層210の幅全体に延在し得るが、他の例示的な実施形態によると、カソード入口226及び/又はカソード出口228は、カソード層210の幅の一部のみに沿って延在し得る。
【0041】
図3に示されるように、燃料電池及び燃料電池スタックを通る実質的に平行な流路に沿って、アノード供給ガスがアノード層208に供給され、アノード排気がアノード層208から出力される。例えば、アノード供給ガスは、アノード入口スタック面212に実質的に垂直な流線に沿って、アノード入口マニホールド(図示せず)からアノード層208に供給される。部分アノード入口216を通って供給されるアノード供給ガスは、第1の延長エッジシールチャンバ236を通ってアノード入口ダイバータ(ブロッカー又は迂回面)252で方向変換され、燃料電池アセンブリ211のアノード活性領域213に戻り、カソード供給ガスのフローと実質的に平行な流れになり、次いで、第2の延長エッジシールチャンバ246に入り、次いで、部分アノード出口218を通って出力される。活性アノードセクションを通って移動するアノードガスの一部は、アノード出力ダイバータ(別のブロッカー又は迂回面)266の第1の側面で第2の延長エッジシールチャンバ246に方向変換され、第2の延長エッジシールチャンバ246を通って移動するアノードガスは、部分アノード出力218を通ってアノード出力ダイバータ266の第2の側面で方向変換され得ると理解されるであろう。
【0042】
先の構成において、アノード排気は、燃料電池スタック200のアノード出口スタック面214に実質的に垂直に流れる流線へと迂回される。図3に更に示されるように、カソード入口スタック面222及びカソード出口スタック面224は、燃料電池スタック200のアノード入口スタック面212及びアノード出口スタック面214に実質的に垂直である。この構成において、互いに実質的に平行な流路に沿って、カソード供給ガスがカソード層210に供給され、カソード排気がカソード層210から出力される。例えば、カソード供給ガスは、カソード入口スタック面222に実質的に垂直な流線に沿って流れ、カソード排気ガスは、カソード出口スタック面224に実質的に垂直な流線に沿って流れる。例示的な実施形態によると、カソード層210を通るカソード供給ガスのフローは、反応してカソード排気に変換されると、カソード入口226とカソード出口228との間の実質的に線形の線に沿って流れる。
【0043】
図3に示される第1及び第2の延長エッジシールチャンバ236、246は、1つの長い側壁、2つのより短い側壁、上面、及び底面によって区切られた、アノード活性領域から離れて延在している台形の占有領域を有するが、本発明は、そのように限定されることはないと理解されるであろう。第1の延長エッジシールチャンバ236は、部分アノード入口216を介して供給されてアノード入口ダイバータ252によって方向変換されたアノードプロセスガスを受け入れることができ、かつそのアノードプロセスガスをアノード活性領域入口272に通してアノード活性領域213に提供することができるチャンバを囲む、任意の寸法を有し得るか、又は任意の形状であり得る。同様に、第2の延長エッジシールチャンバ246は、アノード活性領域出口274を介して供給されたアノードプロセスガスを受け入れることができ、かつそのアノードプロセスガスを部分アノード出口218に通して(アノード出力ダイバート266による方向変換を介して)提供することができるチャンバを囲む、任意の寸法を有し得るか、又は任意の形状であり得る。
【0044】
図3に示されるように、アノード入口ダイバータ252は、燃料電池スタック200のアノード入口側212及びカソード入口側222の各々に対して非垂直な角度で延在する。また、図3に示されるように、アノード入口ダイバータ252は、アノード入口側212からカソード入口側222に向かって直線的な線形で延在する。しかしながら、アノード入口ダイバータ252は、部分アノード入口216を通って第1の延長エッジシールチャンバ236に供給されるアノードプロセスガスを方向変換する限り、湾曲(凹状又は凸状)又はその他の形状であってもよい。アノード入口ダイバータ252は、アノード層208の実質的に高さ全体に沿って垂直に延在する。これは、アノード入口ダイバータ252の上方及び/又は下方のアノード供給ガスの通過を低減すること、最小化すること、又は潜在的にさえ排除することができる。しかしながら、非圧縮性の金属表面間にシールを形成することは困難であるため、いくつかの態様において、アノード供給ガスのごく一部は、アノード入口ダイバータ252の上方及び/又は下方でアノード層208内に依然として通過することができる。
【0045】
同様に、アノード出口ダイバータ266は、燃料電池スタック200のアノード出口側214及びカソード出口側224の各々に対して非垂直な角度で延在する。図3に示されるアノード入口ダイバータ252は、アノード出口側214からカソード出口側224に向かって直線的な線形で延在するが、アノード入口ダイバータ252は、部分アノード出口218を通って第2の延長エッジシールチャンバ236を通って供給されるアノードプロセスガスを方向変換する限り、湾曲(凹状又は凸状)又はその他の形状であってもよい。アノード出口ダイバータ266は、アノード層208の実質的に高さ全体に沿って垂直に延在する。アノード入口ダイバータ252と同様に、アノード出口ダイバータは、アノード出口ダイバータ266の上方及び/又は下方のアノード出口ガスの通過を低減又は最小化する。しかしながら、非圧縮性の表面間にシールを形成することは困難であるため、いくつかの態様において、アノード出口ダイバータ266の上方及び/又は下方でのアノード出口ガスのフローがいくらか生じ得る。
【0046】
図2に戻って参照すると、プロセスガスが燃料電池を通って流れるとき、そのガスの組成は、これが燃料電池を通って移動し、燃料電池内の別のプロセスガスと反応するにつれて変化すると理解されるであろう。したがって、(図2の)燃料電池スタック10を通って流れるアノードプロセスガスの組成は、スタックのアノード入口側16からアノード出口側18に移動するにつれて変化する。しかしながら、燃料電池スタック10に入るカソードプロセスガスの組成は、カソード層14の幅に沿って均一に分布している(燃料電池スタック10のアノード入口側16からアノード出口側18まで測定される)。対照的に、図3に示される実施形態の作動中、アノードプロセスガスは、(図2に示されるような)燃料電池スタック200のアノード入口側212にわたる開口部ではなく、活性アノード入口272を通してアノード活性領域213に入る。(図2の)燃料電池スタック10と同様に、カソードプロセスガスは、カソード層210の幅全体に沿って実質的に均一なフロー分布で(カソード入口側222において)燃料電池スタック200に入る(燃料電池スタック200のアノード入口側212からアノード出口側214まで測定される)。したがって、アノード活性領域213に入るアノードプロセスガスの組成及びカソード層210に入るカソードプロセスガスの組成は、燃料電池スタック200の幅にわたって実質的に均一である(燃料電池スタック200のアノード入口側212からアノード出口側214まで測定される)。以下に論じられるように、実質的に平行に(カソード入口の幅に沿って)スタックに入るプロセスガスの均一な組成分布は、スタック10のアノード入口側16及びカソード入口側20(図2の領域I)に近接しているより高い電流密度及び入口から離れたより低い電流密度の代わりに、カソード入口範囲にわたる電流密度のより均一な分布を可能にする。
【0047】
図4Aは、(a)第1の延長エッジシールチャンバ236からアノード活性領域213に入るアノード供給ガス、及び(b)アノード活性領域213から第2の延長エッジシールチャンバ246に入るアノード排気を示すために(最上部の燃料電池アセンブリ211の)アノード層208の上面が取り外された燃料電池スタック200の平面図である。燃料電池アセンブリ211のカソード層210を通るカソードプロセスガスのフローに平行な実質的に線形でアノード活性領域を横切るアノードプロセスガスのフロー(アノード供給ガスとして入り、アノード排気として出る)。上述のように、このフロー配置は、並行フローとして説明され得る。
【0048】
図4Bは、逆流方向に燃料電池アセンブリを通るアノードプロセスガスフローを示す。図4Bは、(最上部の燃料電池アセンブリ311の)アノード層308の上面を取り外した燃料電池スタック300の平面図である。燃料電池スタック200及び燃料電池アセンブリ211と同様に、アノードプロセスガスは、カソードプロセスガスが入る側に垂直なアノード入口側から燃料電池スタック300/燃料電池アセンブリ311に入り、アノードプロセスガスは、アノード入口側の反対側から出て、カソードプロセスガスは、カソード入口側の反対側から出る。アノードプロセスガスは、(燃料電池アセンブリ211の)部分アノード入口216と同様の部分アノード入口316を介して燃料電池アセンブリ311のアノード入口側に入る。しかしながら、部分アノード入口316は、燃料電池スタック300のアノード入口側とカソード出口側との間のスタック角に近接している。その一方で、(燃料電池アセンブリ211の)部分アノード入口216は、燃料電池スタック200のアノード入口側とカソード入口側との間のスタック角に近接している。燃料電池アセンブリ311に入った後に、アノードプロセスガスは、(アノード入口ダイバータ352によって)第1の延長エッジシールチャンバ326(燃料電池アセンブリ311のカソード出口側に置かれている)へと方向変換され、アノード活性領域313へと更に方向変換される。反応したアノードプロセスガスは、アノード活性領域313を出て、第2の延長エッジシールチャンバ346に入り、アノード出力ダイバート366及びアノード部分出口318に向かって方向変換される。この構成において、アノードプロセスガスは、燃料電池アセンブリ311のカソード層を通って横断するカソードプロセスガスに実質的に平行であるがこれとは反対の方向にアノード活性領域313を横断する。
【0049】
フロー構成(並行フロー又はカウンターフロー)のいずれかにおいて、アノード供給ガス及びカソード供給ガスの各々の分布は、アノード入口側からアノード出口側への方向で、燃料電池スタックにわたって実質的に横方向に均一であり、燃料電池スタックにわたる電流密度の一次元分布を提供する(カソード入口からカソード出口まで測定される)。
【0050】
図4Aに示される並行フロー構成及び図4Bに示されるカウンターフロー構成は、燃料電池スタック10(図2に示される)に関して本明細書に記載されているのと同じ外部マニホールド配置を利用することができると理解されるであろう。代替的には、カウンターフロー構成は、燃料電池スタックを通るアノードプロセスガスの方向を再調整すること(例えば、アノード入口マニホールドをアノード出口マニホールドと切り替えること)によって、又は燃料電池スタックを通るカソードプロセスガスの方向を再調整すること(例えば、カソード入口マニホールドをカソード出口マニホールドと切り替えること)によって、図4Aの実施形態で達成され得る。
【0051】
図4Cは、カソード活性領域2113を示すためにカソード電極を取り外した(燃料電池アセンブリ211の)カソード層210の平面図である。作動中、カソードプロセスガスは、カソード入口側からカソード出口側への実質的に線形の経路でカソード活性領域2113を横断する。第1のカソードエッジシール2115は、カソードプロセスガスが、燃料電池アセンブリ211のアノード入口側、例えば、アノード入口マニホールド(図示せず)に入ることを防止する。第2のカソードエッジシール2117は、カソードプロセスガスが、燃料電池アセンブリ211のアノード出口側、例えば、アノード出口マニホールド(図示せず)に入ることを防止する。
【0052】
図4Dは、(燃料電池アセンブリ211の)アノード層208の平面図であり、上面の主要部分は、アノード活性領域313及び延長エッジシールチャンバ236、246を覆っている。作動中、先に詳細に説明されるように、アノードプロセスガスは、第1の延長エッジシールチャンバ236に入り、(燃料電池アセンブリ211の)カソード入口側からカソード出口側への実質的に線形の経路でアノード活性領域313を横断する。第1のアノードエッジシール3115は、アノードプロセスガスが部分アノード入口216から第1の延長エッジシールチャンバ236及びアノード活性領域313に移動するときに、アノードプロセスガスが、燃料電池アセンブリ211のカソード入口側、例えば、カソード入口マニホールド(図示せず)に入ることを防止する。第2のアノードエッジシール3117は、アノードプロセスガスがアノード活性領域313から第2の延長エッジシールチャンバ246及びアノード部分出口218に移動するときに、アノードプロセスガスが、燃料電池アセンブリ211のカソード出口側、例えば、カソード出口マニホールド(図示せず)に入ることを防止する。
【0053】
更なる別の例示的な実施形態によると、カソード層210は、カソード入口に関連した延長エッジシールチャンバ(例えば、「カソード入口チャンバ」又は第1の延長エッジシールチャンバ236)が、カソード入口側222に隣接している(及びこれに垂直な)スタック側に配設され、カソード層210内の入口ダイバータと協働してその中のカソード供給ガスをスタックのアノード入口側212において直接的に受け取られるアノード供給ガスと実質的に平行に方向変換するように構成されるように、アノード層208と実質的に同じ手法で、及びその代わりに構成され得ると理解されたい。同様に、カソード出口に関連した延長エッジシールチャンバ(例えば、「カソード出口チャンバ」又は第2の延長エッジシールチャンバ246)は、カソード入口チャンバの反対側のスタック側に配設され得、カソード層内の出口ダイバータと協働して燃料電池スタック200からのカソード排気を方向変換するように構成され得る。
【0054】
本議論において、要素間の流体連通は、流体(気体及び/又は液体)が2個の要素間を流れる能力を指す。直接流体連通は、別の介在要素を通過することなく2個の要素間を通過することができる流体を指す。間接流体連通は、介在要素を通過することによって第1の要素から第2の要素に移動する流体を指す。例えば、図3において、部分アノード入口216は、延長エッジシールチャンバ236と直接流体連通にある。部分アノード入口216は、延長エッジシールチャンバ236を介してアノード層208と間接流体連通にある。延長エッジシールチャンバとアノードとの間の境界にバッフル構造が存在する場合、延長エッジシールチャンバは、バッフルを介してアノードと間接流体連通にあり得ることに留意されたい。代替的には、バッフルが完全に延長エッジシールチャンバ内に置かれている場合、延長エッジシールチャンバの一部は、アノードと直接流体連通にあってもよい。
【0055】
バッフル構造及び製造公差
図1~4のいずれかに示される燃料電池などの溶融カーボネート燃料電池を形成するための1つの方法は、層内に燃料電池を構築し、次いで、層を一緒に圧縮して燃料電池を封止し、所望の電気的接点を形成することである。しかしながら、所望の圧力降下を達成するためにアノード(又はカソード)フローフィールドにバッフルを追加しようとする場合、このタイプの層状構造に関与する製造公差は、難点を呈する可能性がある。
【0056】
溶融カーボネート燃料電池において、アノードフローフィールドの高さは、典型的には、1.0mm~4.0mm、又は1.0mm~3.0mm、又は1.3mm~4.0mm、又は1.3mm~3.0mmであり得る。フローフィールドの高さは、アノードコレクタ(又はカソードコレクタ)の設計に基づいて選択され得る。例えば、いくつかの態様において、アノードコレクタは、アノードコレクタを通ってアノードの細孔にガスが通過することを可能にする隙間を提供する突起を有するプレート状構造に対応し得る。次いで、セパレータプレートがアノードコレクタ上に圧縮される。そのような態様において、フローフィールドの高さは、突起の高さにおおよそ対応し得るか、又は代替的には、構成に応じて、突起の高さに加えてプレート状構造の厚さに対応し得る。いくつかの態様において、バッフルは、突起間の隙間内のプレート状構造上に存在し得る。そのような態様において、バッフルの位置におけるフローフィールドの高さは、突起の高さに対応し得る。
【0057】
様々な燃料電池層を形成するためにシート金属をどのように処理することができるかの性質における限界に起因して、アノードフローフィールドの高さは、+/-0.025mmで変動し得る。バッフルとしての使用のための中実円筒(又は他の形状)を形成する場合、バッフルのサイズは、+/-0.025mmで変動することもある。したがって、フローフィールドに所望の隙間を提供しながらバッフルを挿入しようとする場合、2つの公差の組み合わせは、隙間のサイズが0.05mmも変動し得ることを意味する。
【0058】
様々な態様において、延長エッジシール容積とアノードとの間に0.1kPa~1.0kPaの圧力降下を発生させるためにバッフルを使用することによって、アノードフローにおける改善された均一性が達成され得る。このレベルの圧力降下を達成するために、バッフルは、流体フローのための利用可能な断面積が、元々のフローフィールド断面積の0.5%~6.0%、又は0.5%~4.0%、又は0.5%~2.5%になるように、フローフィールドの断面積の94%以上をブロックする必要がある。ガス入口/出口位置から最も遠いバッフルの端部に追加的な利用可能な断面積が存在する態様において、利用可能な断面積は、フローフィールドの総断面積の0.5%~2.5%、又は0.5%~4.0%、又は0.5%~6.0%であり得る。他の態様において、バッフルの全長に沿ってフローを制限するバッフルを有することが所望であり得る。そのような他の態様において、フローフィールドの断面積の97.5%以上をブロックすることが所望であり得る。そのような他の態様において、利用可能な断面流体フロー面積は、バッフル位置におけるフローフィールドの総断面積の0.5%~2.5%であり得る。
【0059】
様々な態様において、溶融カーボネート燃料電池のフローパターン及び/又は一般的な作動は、アノードフロー及び/又はカソードフローのフローフィールドに改善されたバッフル構造を含むことによって改善され得ることが判明した。改善されたバッフル構造は、フローフィールドの全高を占め得るため、圧力降下は、バッフル内のアパーチャ(穿孔など)に基づいて管理される。これは、バッフルにわたる圧力降下が、フローフィールドの高さよりも小さいためにガスがバッフルの上方/下部に流れ得るバッフル高さに基づいて決定され得る従来的なバッフル設計とは対照的である。
【0060】
バッフルは、ステンレス鋼などのアノード入力フローの存在下で劣化しない都合の良い材料から形成され得る。アパーチャは、光化学エッチングなどのサイズ変動性の少ない技術によってバッフル内に形成され得る。光化学エッチングは、0.001インチ(0.025mm)のサイズ変動性の公差を有する。アパーチャは、穴、スロット、又は所望の断面積を有するその他の都合の良い形状に対応し得る。アパーチャを形成した後に、プレスブレーキ及びツーリングダイを使用するなどの従来的な方法を使用して、シート金属を所望のバッフル形状に形成することができる。
【0061】
バッフルは、フローフィールドの全高をブロックしながらガスフローを可能にするアパーチャの形成を可能にする任意の都合の良い形状で形成され得る。バッフルについての好適な形状の例は、組み立て中に「V」の底部がアノードに最も近くなるように配向されたV字型バッフルであり得る。剛性又は非圧縮性のバッフルの場合、バッフルは、フローフィールドと同じ高さを有し得るため、燃料電池が組み立てられたときに、(アパーチャを除いて)フローフィールドの実質的に全てがバッフルによってブロックされる。圧縮性のバッフルの場合、バッフルは、フローフィールドの高さよりも約0.1mm~0.2mm大きな高さを有し得る。燃料電池が組み立てられるとき、バッフルは、圧縮されたバッフルがフローフィールドの高さと実質的に一致するように圧縮され得る。そのような態様において、バッフル構造の上部は、燃料電池の組み立て中にバッフルの上方の層との初期接点として機能するタブ又はフランジを含み得る。例えば、V字型バッフルの場合、追加的なタブ又はフランジが、バッフルの各アームの上部に存在し得る。バッフルの圧縮性の性質は、様々な要素の熱膨脹差に起因したフローフィールドの高さの変化など、燃料電池の作動中に生じ得るフローフィールドの高さの任意の小さな変化に有益であり得ることも留意されたい。
【0062】
図5は、バッフルを通るガスのフローを管理するための複数のアパーチャを含み得るバッフルの例を示す。図5では、バッフル510は、アノードコレクタ構造501の湾曲した突起520間の隙間にある。バッフル510は、V字型バッフルとして示されるが、ガスフローを可能にするためにアパーチャの形成を可能にするその他の都合の良い形状が使用されてもよい。
【0063】
いくつかの態様において、バッフルの位置(すなわち、アノードコレクタ構造501の湾曲した突起520間の隙間)は、延長エッジシール容積とアノードの活性領域との間の界面と実質的にアラインメントされ得る。他の態様において、バッフル位置は、完全に延長エッジシール容積内にあり得る。いずれかの位置決めを使用して、バッフルは、フロー制限(すなわち、圧力降下)を提供することができるため、アノード入力フローガスは、バッフルを通過してアノードに入る前に、延長エッジシール容積全体に実質的に均一に分布している。バッフルを延長エッジシール容積とアノードの活性領域との間の界面と実質的にアラインメントすることによって、又はバッフルを完全に延長エッジシール容積内に位置決めすることによって、電流密度の変動が低減又は最小化され得る。アノード入力フローがバッフルを通過する前にアノード活性領域の実質的な部分に接触することができるようにバッフルが置かれた場合、アノード活性領域の接触した部分は、アノード活性領域の残りと比較して増加した圧力のアノード入力フローに曝露されるであろう。これは、電流密度の不均一性に寄与するであろう。アノード入力フローがバッフルを通過した後も依然として延長エッジシール容積内にあるようにバッフルを位置決めすると、バッフルを通過する前のアノード入力フローを保持するための延長エッジシール容積内の利用可能な容積が潜在的に減少され得ることに留意されたい。バッフルが延長エッジシールチャンバ内に置かれている態様において、バッフルのどちらの側のチャンバ容積の部分も、別個のチャンバ容積と呼ばれ得る。
【0064】
図5に示される例において、バッフル510の底部は、アノードコレクタ構造501のプレート状底面上にある。バッフル510の上部は、側壁540から延長しているフランジ又はタブに対応する上面512を含む。バッフル510の上面512は、セパレータプレート(図示せず)に接触するために使用される湾曲した突起520よりもわずかに高い。例えば、バッフル510の上面512は、約0.002インチ~0.01インチ(約0.04mm~0.25mm)の圧縮高さ514によって、湾曲した突起520の上面よりも高くなり得る。バッフル510の上面512は、燃料電池が組み立てられるときに、バッフルが、湾曲した突起520と同じ高さを有するように圧縮され得る。これは、バッフルが、アノード入力フローのフローフィールド530の全高と同じ高さも有し得ることを意味する。圧縮性のバッフルを使用すると、圧縮性のバッフルの上面の0.025mm(約0.001インチ)程の高さの変動が、圧縮性のバッフルの作動を実質的に変化させないため、製造公差に関連する問題を低減又は最小化することができる。代わりに、そのような高さの変動は、燃料電池アセンブリ中のバッフルの圧縮量を主に変化させる。
【0065】
代替として、非圧縮性のバッフルも使用され得る。図6は、非圧縮性のバッフル610の一例を示す。図6の非圧縮性のバッフルは、図5と同様に、湾曲した突起520間の隙間に置かれ得る。しかしながら、非圧縮性のバッフル610の側壁640の高さは、バッフル内のアパーチャを除いて、実質的にフローフィールド全体がブロックされるように、フローフィールドの高さと実質的に同じであり得る。したがって、非圧縮性のバッフル610の高さは、アノードコレクタ(又はカソードコレクタ)の底面660及び隣接しているセパレータプレート670の表面からの距離によって画定されるフローフィールド高さに対応し得る。繰り返しになるが、流体フローのための所望の断面積を提供するためにバッフル内にアパーチャを形成することができる限り、任意の都合の良い形状を非圧縮性のバッフル610に使用することができる。非圧縮性のバッフルについては、アパーチャを形成することができる限り、単一の壁の形状又は中実の形状を有するバッフルが好適であり得ることに留意されたい。
【0066】
ガスが図5又は図6に示されるバッフルなどのバッフルを通過することを可能にするために、アパーチャ(図示せず)を、バッフル510の側壁540又はバッフル610の側壁640に穴あけ加工、エッチング、又はその他の手法で形成することができる。アパーチャは、バッフル510の斜視図を示す図7に見ることができる。図7に示されるように、アパーチャ750は、バッフル510の長さに沿って実質的に均一に分布している開口部に対応する。図7のアパーチャは、フローフィールドの上部と底部とのおおよそ中間の高さに配置されているものとして示されるが、他の都合の良い高さ、及び/又は高さを変動させるためのパターンを使用してもよい。
【0067】
バッフルが圧縮され得る態様において、バッフル形状を形成するために使用されるシート金属は、約0.25mm~0.40mmの厚さを有し得る。シート金属の厚さは、バッフルがフローフィールドの高さに適合するように燃料電池製造プロセス中に圧縮されるように選択され得る。燃料電池製造プロセスは、典型的には、100kPa~200kPaの圧力下で燃料電池層を一緒にプレスすることを含み得るため、シート金属の厚さは、100kPa~200kPaの圧力下で圧縮するのに十分な薄さであるように選択され得る。
【0068】
バッフルのアパーチャは、フローフィールドの面積の0.5%~2.0%に対応する合計断面積を有し得る。個々のアパーチャの面積は、バッフルの長さに対するアパーチャの数に応じて変動し得る。これは、アパーチャのサイズを選択して製造変動性の影響を低減又は最小化することができるため、アパーチャを使用する利点のうちの1つである。アパーチャのサイズが増加するにつれて、フローフィールドについての利用可能な断面積の所望の減少は、アパーチャの数を減少させることによって維持することができる。対照的に、中実バッフルを使用する場合、バッフルとバッフルの上方の表面との間の隙間のサイズは、所望の断面積によって規定されるため、製造変動性に起因する問題を軽減するための中実バッフル構成を調整する能力はほとんど又は全くない。
【0069】
製造公差に基づいて、製造変動が個々のアパーチャの面積に実質的な影響を与えないように、0.25mm以上、又は0.5mm以上、又は0.7以上、例えば最大1.5mm(又は場合によってより大きい)の特徴的寸法を有するアパーチャを有することが有益であり得る。実質的に丸いアパーチャの場合、特徴的寸法は、直径に対応し得る。楕円形、長方形、又は矩形の形状を有するアパーチャの場合、特徴的寸法は、最短軸又は最短側に対応し得る。上述のように、光化学エッチングなどの技術は、0.025mm以下の変動を有する特徴を作製することができる。アパーチャに0.25mm以上の特徴的寸法(又は0.5mm以上又は0.7mm以上)を使用することによって、アパーチャにおける任意の製造変動は、特徴的寸法の+/-10%未満の変化をもたらす。丸いアパーチャの限定的な場合、+/-10%の特徴的寸法の変化は、おおよそ+/-20%の面積の変化に対応する。これは、バッフルの製造における変動(+/-0.025mm)と、組み立てられた燃料電池のフローフィールド高さにおける変動(+/-0.025mm)との組み合わせが、バッフルとバッフルの上方のセパレータプレートとの間の所望の隙間の最大60%以上に対応し得る、中実バッフルの状況とは対照的である。例えば、4.0mmの高さを有するアノードフローフィールドの場合、フローフィールド高さの2%に対応する隙間は、0.08mmに対応するであろう。フローフィールド高さ及びバッフル高さの合計公差変動は、0.05mmであり、このことは、バッフルとバッフルの上方のセパレータプレートとの間に形成された隙間が+/-60%も変動し得ることを意味する。
【0070】
図17は、バッフルの4つの異なるタイプのアパーチャパターンの例を示す。図17において、4つの異なるV字型バッフルのトップダウン図が示される。一般に、「V」の2つの側面のアパーチャは、アラインメントされていないため、バッフルの一方の側面のアパーチャを通過する任意のガスフローは、他方の側面のアパーチャから出る前に、バッフル内を横方向に移動する必要がある。他の態様において、「V」の2つの側面における1個以上のアパーチャをアラインメントすることができるが、これは、ガスフローのチャネリングを生じさせ得る。
【0071】
バッフル1710は、アパーチャパターンがVの2つの側面で異なるV字型バッフルに対応する。バッフル1710は、アパーチャ1712及びアパーチャ1714が直径0.032インチ(0.81mm)であるバッフルを表す。アパーチャ1714は、0.233インチ(5.9mm)互いに離間されているが、アパーチャ1712は、0.466インチ(11.8mm)互いに離間されている。
【0072】
バッフル1720は、サイズ及びアパーチャパターンがVの2つの側面で同じであるが、アパーチャが依然としてVの2つの側面の間でずらされている、V字型バッフルに対応する。バッフル1720は、アパーチャ1722が直径0.032インチ(0.81mm)であるバッフルを表す。1722は、0.466インチ(11.9mm)互いに離間されている。
【0073】
バッフル1730は、アパーチャパターンがVの2つの側面で異なるV字型バッフルに対応する。バッフル1730は、アパーチャ1732及びアパーチャ1734が直径0.030インチ(0.76mm)であるバッフルを表す。アパーチャ1734は、0.233インチ(5.9mm)互いに離間されているが、アパーチャ1732は、0.698インチ(17.7mm)互いに離間されている。
【0074】
バッフル1740は、サイズ及びアパーチャパターンがVの2つの側面で同じであるが、アパーチャが依然としてVの2つの側面の間でずらされている、V字型バッフルに対応する。バッフル1740は、アパーチャ1742が直径0.030インチ(0.76mm)であるバッフルを表す。アパーチャ1742は、0.233インチ(5.9mm)互いに離間されている。
【0075】
図17に示されるバッフル構成のガスフローに対する相対抵抗の観点において、バッフル1740は、バッフル1740がバッフルの両側を通過するガスのための利用可能な断面積の最大量を有するため、最低のガスフロー抵抗(すなわち、最低の圧力降下)を提供する。バッフル1710及び1720は、両方のバッフル内のアパーチャの領域がおおよそ同じである最低断面積側面に基づいて、同様のレベルの抵抗を提供する。バッフル1710は、Vの側面のうちの一方のバッフルの数がより多いことに基づいて、ガスフローに対してわずかにより少ない抵抗を呈することに留意されたい。バッフル1730は、ガスフローに対して最も高い抵抗を有するバッフルを表す。
【0076】
一体型改質ユニットのためのバッフル
いくつかの態様において、本明細書に記載のバッフルは、溶融カーボネート燃料電池スタックに一体化される改質ユニット内のフローパターンを管理するためにも使用され得る。本明細書に記載のバッフルは、燃料電池スタック内の燃料電池内での共流又は逆流フローを可能にし、その一方で、燃料電池にわたる改善されたフロー均一性及び/又は反応速度均一性を提供するために使用され得る。そのような共流又は逆作動中に、燃料電池内で生成される熱のパターンは、交差フロー作動中に燃料電池内で生成される熱のパターンとは異なる。改質ユニット内の熱消費で隣接している及び/又は付近の燃料電池内の熱生成パターンを利用することを可能にする一体型改質ユニット内のフローパターンを開発することが所望であろう。本明細書に記載のバッフルは、改質触媒パターンの適切な選択と組み合わせて、改質ユニット内でそのようなフローパターンを開発することを補助することができる。
【0077】
アノード及びカソード内で共流又は逆流フローを有するように燃料電池を作動させる場合、燃料電池内の熱生成の対応するパターンを共流又は逆流フローの方向に対応する軸とおおよそアラインメントすることができる。延長エッジウェットシール容積をアノード又はカソードから分離するためにバッフルを使用すると、アノード及び/又はカソード内のガス入口からガス出口に直接的に流れようとするガスの傾向を低減又は最小化することを更に補助することができる。結果として、バッフルを使用すると、共流又は逆流フローモードで作動する燃料電池内の熱生成パターンを共流又は逆流フローの方向に対応する軸と更にアラインメントすることができる。
【0078】
燃料電池内の熱生成パターンを共流又は逆流フローの軸とアラインメントすることに基づいて、燃料電池スタック内の任意の一体型改質ユニットが、燃料電池内のフローの軸とのアラインメントが増加した熱消費パターンを有することは有益であり得る。これを達成するための1つの手法は、カソードフロー又はアノードフローのいずれかのための入口面としての燃料電池スタックの同じ入口面に沿って改質するための炭化水素を導入することであり得る。
【0079】
いくつかの態様において、本明細書に記載のバッフルは、次いで、バッフルがアノード又はカソード内に位置決めされる手法と同様の方法で、改質ユニット内で使用され得る。言い換えるなら、バッフルは、改質のための炭化水素が任意の改質触媒に接触する前に入って容積の長さに沿って分布している入口容積を画定するために使用され得る。次いで、炭化水素は、バッフル内又はバッフルの端部の周りのアパーチャを通過して、改質触媒を横切って流れることができる。改質後に、改質生成物は、改質ユニットから出る前に、第2のバッフルを通過すること又はその周りを通過することができる。改質ユニットは、延長容積を含まないことに留意されたい。代わりに、改質ユニット内の入口容積及び出口容積は、燃料電池スタックの占有領域内にある。
【0080】
改質ユニット内のフローパターンを変更するためにバッフルを使用することによって、様々な対応する改質触媒パターンが改質ユニット内で好適であり得る。いくつかの態様において、比較的一定の密度の改質触媒がバッフル間の領域で使用され得る。他の態様において、改質触媒の密度が、入力バッフル付近でより低くなり、出力バッフル付近で最高値に達するまで徐々に増加するように、触媒密度の勾配が使用され得る。改質触媒パターンのための更なる他の選択肢も好適であり得る。触媒パターンは、任意の都合の良い方法で達成され得る。例えば、所望の均一な触媒密度、又は触媒密度の勾配は、所望のパターンの触媒の小粒子を改質ユニットの底面及び/又は上面に堆積させることによって達成され得る。様々な態様において、任意の都合の良いタイプの改質触媒が使用され得る。
【0081】
フローパターンの例
図8は、アノードフロー入力が共流フロー又は逆流フロー作動を可能にするように方向変換されたときの燃料電池の所望の作動の例を示す。図8において、アノードフローフィールドが上部層に対応するように燃料電池の上面断面図が示される。図8において、アノード入力フロー801は、入口容積805に導入される。入口容積805は、アノード入力フロー801を延長エッジシール領域820に方向変換するブロッカー810を含む。破線830は、アノード入力フロー801がバッフルを通過する前に延長エッジシール領域820を横切って分布することを可能にするのに十分な圧力降下を生じさせる、バッフルの位置を示す。点線832は、アノードの活性領域を表す。図8に示されるように、バッフルの位置830は、アノード入力フロー801がアノードの活性領域に到達する前にバッフルを通過するように選択される。アノード入力フロー801は、ガスフローがアノードの活性領域を通過するときに、アノードの全長にわたって実質的に均等に分布している。破線840は、アノードの活性領域にわたるガスフローの均等な分布を維持することを更に補助するための第2の圧力降下を提供する、第2のバッフルの位置を示す。ブロッカー850は、アノード活性領域からアノード出口容積860へのガスフローの直接的な通過を低減、最小化、又は防止する。代わりに、アノード出力フロー861は、第2のバッフル(位置840に置かれている)を通過して延長エッジシール領域870に入るガスによって形成される。
【0082】
様々な構成のアノードの活性領域内のガスフローパターンを試験するために、様々なアノードフローフィールド構成に空気を通過させた一連の試験を実施した。試験中に、電池を通るフローパターンは、アノードフローフィールドの底面上にジアゾ紙を有する電池を通る2つのタイプの空気フローを流すことによって決定された。フローフィールドは、約2.3mmの全高(プレート厚さ+突起高さ)を有していた。しかしながら、バッフルは、バッフル位置においてアノードコレクタの底部プレート上にあったため、バッフル位置におけるフローフィールド高さについて、プレートの厚さは含まれていない。したがって、バッフル位置において、フローフィールド高さは、約2.0mmであった。更なる添加剤を含まない空気に対応する第1の空気フローを、制御された条件下で電池に通し、電池の出口で大気に通気させた。この第1の空気フローは、電池内のフローパターンを確立するのに十分な容積を有していた。水酸化アンモニウムで飽和していた第2の空気流を、フロー試験器具へと機械加工された一連のポートにおいて導入した。水酸化アンモニウムで濃縮された微量空気は、空気が流れていた方向を示すジアゾ紙を青色にした。この微量流は、フローの1%未満であったため、フローの方向には影響しなかった。水酸化アンモニウムは、ジアゾ紙との反応によって消費されたため、一連のポートを介して微量流を導入することで、電池内の複数の箇所でフローパターンをトレースすることができた。紙にわたる水酸化アンモニウムの濃度は、フローの流れがどの程度暗く見えるかに影響した。電池の特定の領域により多くの空気フローがある場合、水酸化アンモニウムの濃度は低く、フローの流れは薄く明るく見えた。空気流がより少ない場合、水酸化アンモニウムの濃度が高いほど、フローの流れが濃く暗く見える。この技術は、一連のバッフル設計を評価するために使用され、CFD(数値流体力学)モデルは、最適化されたバッフル構成を見出すために、フロー試験の結果を使用して較正された。
【0083】
図9は、ブロッカーを使用して入力フローを延長エッジシール領域に迂回させ、アパーチャを含むバッフルを使用して0.1kPa以上の圧力降下を達成した構成からの結果を示す。図9において、入力フロー901は、ブロッカー910によって延長エッジシール領域920に迂回される。フローフィールドの全高に対応するが流体フローを可能にするためのアパーチャを含むバッフルを位置930及び940に配置した。アパーチャは、バッフルを横切る圧力降下が0.1kPa以上であるように、元々のフローフィールドの2.5%以下に対応する利用可能な断面積を提供した。図9に示されるように、これは、作動中のカソードガスフローに実質的に平行であり得るガスフローパターンをもたらした。測定されたフローパターンに基づいて、CFDシミュレーションを実施して、燃料電池の作動をモデル化した。CFDシミュレーションは、燃料電池にわたる電流密度の改善された均一性を示した。
【0084】
図9において、いくつかのフローがブロッカー910を横切って生じたことに留意されたい。これは、燃料電池を組み立てるときに、固定された高さのブロッカーの完全なシールを形成することが困難であるためである。図9に示されるように、これは、比較的低い容積のフローであったため、CFDシミュレーション中の電流密度の均一性を改善することについての問題を呈さなかった。ブロッカー950にわたる同様の低い容積のフローも観察した。
【0085】
図9の構成などの構成の利点を説明するために、一連の比較構成も調査した。図10は、第1の比較構成についてのフロー試験の結果を示す。図10において、入力フローを延長エッジウェットシール領域に方向変換するのにブロッカーを使用しなかった。代わりに、入力フロー1001は、アノード活性領域の上方に入ることが可能であった。中実(円筒形)バッフルを使用してフローフィールドの一部をブロックした。バッフルの高さは、約1.6mmであった。バッフル位置における2.0mmのフローフィールド高さと比較して、これは、フローフィールドの総断面積の約80%をブロックすることに相当する。バッフルについて使用される位置は、破線1030及び1040によって示される。図10に示されるように、バッフル位置1030及び1040は、アノード活性領域内にある。追加的に、図10に示される例において、各バッフルを横切る圧力降下が0.1kPa未満になるように、バッフルがフローフィールドの80%以下を遮断していた。図10に示されるように、バッフルにわたって十分な圧力降下がなかったため、フローパターンは、(作動中のカソードフローに平行であり得る)側面から側面へのフローよりも、アノード内の角から角へのフローを明確に示す。
【0086】
図11は、第2の比較構成についてのフロー試験の結果を示す。図11において、より大きな中実円筒形バッフルを使用したため、フローフィールドの利用可能な断面積は、元々の断面積の2.0%に減少した。ここでも、ブロッカーを使用せず、バッフルを作動中にアノードの活性領域の上方にある位置1130及び1140に配置した。図11に示されるように、流体フローのための利用可能な断面積を2.0%以下に低減することによって、0.1kPa以上の圧力降下を達成した。これは、作動中のカソードフローに実質的に平行であり得る、図11に示されるフローパターンをもたらした。しかしながら、図11に示されるように、バッフルの位置1130及び1140は、作動中のアノードの活性領域であり得るものの上方にあった。図11に示される構成を使用して燃料電池性能のCFDモデリングを実施したところ、電流密度の均一性が不十分であった。これは、依然として活性領域の上方に存在したまま第1のバッフルを通過する前に入力フローが保持されることに部分的に起因していた。同様の不均一性が、第2のバッフルの片側で観察された。
【0087】
図9~11に示されるフローの結果を使用して実施されるCFDモデリングに基づいて、ブロッカーを使用して入力フローを延長エッジシール領域に迂回させ、バッフルを使用して延長エッジシール領域からアノードの活性領域へ(又はアノード活性領域から第2の延長エッジシール領域へ)通過するガスについて0.1kPa以上の圧力降下を提供することによって、燃料電池において電流密度の実質的な改善を達成することができた。
【0088】
フロー試験中に、所望の圧力降下を達成するためにバッフルを使用することの更なる難点も判明した。製造技術における制限に基づいて、溶融カーボネート燃料電池のアノードフローフィールドの高さは、+/-0.025mmの公差を有する。中実バッフルの場合、バッフルの高さは、+/-0.025mmの同様の公差を有する。この変動は、バッフルとセパレータプレートとの間の所望の隙間についての大きさが類似していたため、製造公差の蓄積は、燃料電池の作動中にバッフルにわたる圧力降下についての実質的な変動を引き起こし得ることが判明した。
【0089】
図12は、フロー電池のアノード入力フローのフローフィールドに配置された中実円筒形バッフルの例を示す。図12は、必ずしも縮尺通りではないが、この図は、高さ1~10mm程のバッフルを使用して、高さ0.1mm程の隙間の形成を制御しようとすることに関する問題を図示している。
【0090】
この難点を更に調べるために、一連の試験を実施して、隙間高さの関数として圧力降下がどの程度変化したかを決定した。図13は、これらの試験からの結果を示す。図13に示されるように、2.0mmのフローフィールドの場合、バッフルとセパレータプレートとの間の隙間高さが0.1mm(約0.004インチ)であると、所望の圧力降下は、約0.1kPa(又は水約0.4インチ)であった。しかしながら、上記のような製造変動性に起因して、0.1mmの所望の隙間高さを有するように燃料電池を構築することは、0.05mm~0.15mm(約0.002インチ~0.006インチ)の実際の隙間をもたらし得る。図13に示されるように、これは、作動中にバッフルを横切って生じる圧力降下が約0.06kPa~0.24kPaの範囲であり得ることを意味する。これは、フローレートが、異なる燃料電池間で4倍も変動し得ることを意味するであろう。この実質的な変動性は、中実バッフルを使用して製造された燃料電池の不十分及び/又は予測不可能な性能をもたらすであろう。
【0091】
製造変動性の影響を軽減する取り組みにおいて、異なるバッフル形状を試験した。図14は、台形の形状のバッフルの一例を示し、台形の長い面が上部にある。丸いバッフルの場合、フロー収縮は、円筒の上部に対応する単一の点で生じる。対照的に、台形の形状のバッフルは、上面の幅全体に沿ってフロー制限を提供する。収縮されたフローの経路長さがより長いことに基づいて、台形の形状のバッフルは、約0.23mmのバッフルとセパレータプレートとの間の隙間高さで、又は円筒形バッフルの隙間高さの2倍超で、0.1kPaの同じ所望の圧力降下を生成することができた。しかしながら、より大きな隙間高さでも、製造公差に起因する変動は、ほぼ100%の異なる燃料電池間の圧力降下の潜在的変動を依然としてもたらした。これは、図15に示される。
【0092】
上記のように、0.25mm以上(又は0.5mm以上、又は0.7mm以上)の特徴的寸法を有するアパーチャを形成すると、20%以下のサイズ変動が生じる。追加的に、このサイズ変動の大きさは、0.5mm以上の特徴的寸法を有するアパーチャの場合には10%以下の変動を有するなど、より大きなアパーチャサイズを使用することによって更に低減され得る。対照的に、台形のバッフルであっても、製造公差に起因する隙間高さの変動は、20%超であった。したがって、流体フローのための利用可能な断面積を制御するためにアパーチャを使用することによって、燃料電池の性能を電池間でより一貫して維持することができるように、製造変動性の実質的な低減を達成することができる。
【0093】
改質ユニットの例
図16は、改質ユニットにおける使用のためのバッフル構成の一例を示す。図16において、改質ユニットのための炭化水素入力1610は、改質出口1620と同じ側の燃料電池スタックに入る。改質のための炭化水素入力が炭化水素入力1610を介して改質ユニットに入る場合、炭化水素は、最初に入口容積1630に通される。好ましくは、入口容積は、いかなる改質触媒も含有しない。これによって、炭化水素は、改質触媒との任意の反応を起こす前に、入口容積1630の長さに沿って分布することができる。次いで、炭化水素は、改質触媒1645が置かれている改質ユニットの主容積1640に入ることができる。炭化水素は、バッフル1650内のアパーチャを通過すること、又はバッフル1650の長さが入口容積1630の長さ未満である場合にはバッフル1650の端部の周りを通過することのいずれかによって、主容積に入ることができる。いくつかの態様において、バッフル1650は、入口容積1630の長さと実質的に同じ長さを有し得る。他の態様において、バッフル1650の長さは、入口容積1630の長さよりも、0.05%以上、若しくは0.5%以上、若しくは5%以上、若しくは10%以上、若しくは20%以上、例えば最大50%少ない場合があるか、又は場合によって更により高い程度でより少ない場合がある。比率として表すと、これは、入口容積の長さの0.9995倍以下、又は0.995倍以下、又は0.95倍以下、又は0.90倍以下、又は0.80倍以下、例えば、入口容積の長さの0.5倍までの長さを有するバッフルに対応する。例えば、図16に示される入力バッフル1650は、入口容積1630の長さの約60%の長さを有する。これは、バッフルが存在しない隙間又は領域1651をもたらす。出口バッフル1660は、独立して、出口容積1670の長さと同様の長さ、又は上記の値のいずれかの分だけ出口容積1670の長さよりも短い長さを有し得ることに留意されたい。
【0094】
主容積1640に入った後に、炭化水素は、触媒1645を改質してHなどの改質生成物を形成することによって少なくとも部分的に改質される。次いで、改質生成物は、出口バッフル1660内及び/又は出口バッフル1660の周りのアパーチャを通過することができる(出口バッフル1660の長さが出口容積1670の長さ未満である場合)。次いで、改質生成物は、改質出口1620を介して出口容積1670から出ることができる。出力ブロッカー構造1680が図16に示されることに留意されたい。ブロッカー構造は、主容積1640から改質出口1620までのフローを直接的に減少、最小化、又は排除するための別の構造を提供する。
【0095】
図18は、バッフル構成の一例を示す。図18に示される例では、バッフル構成は、改質スタック要素のためのバッフルとして使用される。図18において、入口バッフルの初期部分1850は、アパーチャを含まない中実ブロッカー(依然としてV字型)に対応する。入口バッフルの第2の部分1840は、図17のバッフル1740に使用されるアパーチャサイズ及びパターンを有するバッフルに対応する。初期部分1850及び第2の部分1840は、位置1801で交わっている。初期部分1850及び第2の部分1840は、初期部分1850及び第2の部分1840内にエッチングされた異なる穴パターンを有する単一のバッフルピースに対応し得ることに留意されたい。代替的には、2個以上のピースを使用してバッフルを形成してもよい。出口バッフル1841は、図17のバッフル1740に使用されるアパーチャサイズ及びパターンに対応する。中実ブロッカー1855は、改質要素のために、改質活性領域から出口への直接的フローを防止すべく使用される。
【0096】
図19は、バッフル構成の別の例を示す。図19において、入口バッフル及び出口バッフルの両方のアパーチャサイズ及びパターンにおいて変動がある。図19に示される例において、入口バッフルの初期部分1950は、アパーチャを含まない中実ブロッカーに対応する。第2の部分1930(位置1903において始まる)は、図17からのバッフル1730のアパーチャサイズ及びパターンに対応する。第3の部分1940(位置1904において始まる)は、図17からのバッフル1740のアパーチャサイズ及びパターンに対応する。出口バッフルの場合、第1の部分1931は、図17からのバッフル1730のアパーチャサイズ及びパターンに対応する。第2の部分1921(位置1912において始まる)は、図17からのバッフル1720のアパーチャサイズ及びパターンに対応する。第3の部分1941(位置1914において始まる)は、図17からのバッフル1740のアパーチャサイズ及びパターンに対応する。
【0097】
図20及び図21は、2個の燃料電池スタックの作動からの温度プロファイルを示す。図20において、スタック内の要素としていかなる改質ユニットも含んでいなかった燃料電池スタック内のカソードについての平均カソード温度プロファイルが示される。図20の燃料電池スタックを、130mA/cmの電流密度、50%の燃料利用率、及び70%のCO利用率で作動させた。カソード入力フロー中のCOの濃度は、8.4体積%であった。燃料電池を逆流フローモードで作動させた。図21の場合、同様の燃料電池スタックを使用したが、6個の燃料電池ごとに改質ユニットを挿入した。改質ユニットにおいて、図18に示されるバッフル形状を使用した。作動条件は、図21の燃料利用率が50%ではなく55%であったことを除いて、図20の場合と同じであった。しかしながら、同じ電流密度を有することに基づいて、図20及び図21は、改質ユニットを含むことが平均カソード温度プロファイルに与える影響の良好な比較を提供すると考えられる。図21に対応するスタック内の改質ユニットについてのフロー方向は、アノードフローの方向と共流であったことに留意されたい。
【0098】
図20に示されるように、一体型改質ユニットなしで作動する燃料電池スタックは、平均カソード温度プロファイルにおける実質的な温度変動量を示した。具体的には、2つの別個の領域において、平均カソード温度は660℃超であり、ピーク温度は688℃であった。図21に示されるように、燃料電池スタック内の要素としての改質ユニットを追加すると(6個の燃料電池ごとに1個の改質ユニット)、燃料電池内の590℃付近のおおよそ同じ最低温度を維持しながら、688℃から659℃へのピーク温度の低下がもたらされた。図21の温度プロファイルは、図22でより明確に見ることができ、これは、逆流フローの軸に平行である燃料電池の中心の線に沿った平均カソード温度を示す。
【0099】
図19からのバッフル構成を使用して、温度プロファイルにおける更なる改善を達成した。別の試験実行において、6個の燃料電池当たり1個の改質ユニットを有する燃料電池スタックを使用したが、改質ユニットは、図19に示されるバッフル構成を含んでいた。カソード内で生じる温度プロファイルは、図23に示される。図23に示されるように、最低温度は、依然として590℃付近であるが、最高温度は、ここでは620℃~630℃である。
【0100】
追加的な実施形態
実施形態1.溶融カーボネート燃料電池スタック内の要素であって、ガスフロー入口と、ガスフロー入口と流体連通している第1の容積と、燃料電池アノードのアノード活性領域の少なくとも一部、燃料電池カソードのカソード活性領域の少なくとも一部、又は改質触媒を含む第2の容積であって、第2の容積が、第1の容積を介してガスフロー入口と流体連通している、第2の容積と、第1の容積と第2の容積との間の入口境界に複数の入口バッフルアパーチャを含む入口バッフルであって、第1の容積と第2の容積との間の流体連通の少なくとも一部が、複数の入口バッフルアパーチャを通る流体フローを含み、入口バッフルの長さが、入口境界の長さの少なくとも60%を占め、入口バッフルの平均高さが、入口境界に沿った平均高さの100%以上を占め、複数の入口バッフルアパーチャの合計断面積が、入口境界における総断面積の0.5%~6.0%を占める、入口バッフルと、第2の容積と流体連通しているガスフロー出口と、を含む、要素。
【0101】
実施形態2.複数の入口バッフルアパーチャのうちの少なくとも1個が、0.25mm以上の特徴的寸法を有するか、又は複数の入口バッフルアパーチャの各々が、0.25mm以上の特徴的寸法を有する、実施形態1に記載の燃料電池スタック要素。
【0102】
実施形態3.複数の入口バッフルアパーチャの合計断面積が、入口境界における総断面積の0.5%~2.5%であるか、又は入口バッフルの長さが、入口境界の長さの0.05%~5.0%入口境界の長さよりも小さいか、又はそれらの組み合わせである、先の実施形態のいずれか1つに記載の燃料電池スタック要素。
【0103】
実施形態4.ガスフロー出口と流体連通している第3の容積であって、ガスフロー出口が、第3の容積を介して第2の容積と間接的に流体連通している、第3の容積と、第1の容積と第2の容積との間の出口境界に複数の出口バッフルアパーチャを含む出口バッフルであって、第1の容積と第2の容積との間の流体連通の少なくとも一部が、複数の出口バッフルアパーチャを通る流体フローを含み、出口バッフルの長さが、出口境界の長さの少なくとも60%を占め、出口バッフルの平均高さが、出口境界に沿った平均高さの100%以上を占め、複数の出口バッフルアパーチャの合計断面積が、出口境界における総断面積の0.5%~6.0%を占める、出口バッフルと、を更に含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の燃料電池スタック要素。
【0104】
実施形態5.複数の入口バッフルアパーチャの合計断面積が、複数の出口バッフルアパーチャの合計断面積とは異なるか、又は1個以上の入口バッフルアパーチャが、1個以上の出口バッフルアパーチャとは異なる特徴的寸法を含むか、又は入口バッフルの長さが、出口バッフルの長さとは異なるか、又はそれらの組み合わせである、実施形態4に記載の燃料電池スタック要素。
【0105】
実施形態6.ガスフロー入口から最も遠い入口バッフルの一部のアパーチャが、入口バッフルアパーチャの合計断面積の25%以上を占め、入口バッフルの一部が、入口境界の長さの5%~20%を占める、先の実施形態のいずれか1つに記載の燃料電池スタック要素。
【0106】
実施形態7.第2の容積が、改質触媒を含み、ガスフロー入口が、燃料電池スタックの第1の側面に隣接しており、ガスフロー出口が、任意選択的に、燃料電池スタックの第1の側面に隣接している、実施形態1~6のいずれか1つに記載の燃料電池スタック要素。
【0107】
実施形態8.第2の容積が、アノード活性領域及び関連するアノードフローフィールドの少なくとも一部を含み、第1の容積が、延長エッジシール入力チャンバの少なくとも一部を含み、延長エッジシール入力チャンバが、燃料電池スタックの第1の側面に隣接しており、ガスフロー入口が、燃料電池スタックの第2の側面に隣接している、実施形態1~6のいずれか1つに記載の燃料電池スタック要素。
【0108】
実施形態9.ガスフロー入口が、入口フローブロッカーを更に含み、入口フローブロッカーが、入口バッフルに対して斜角で位置決めされているか、又は第2の容積が、出口フローブロッカーを更に含み、出口フローブロッカーが、入口バッフルに対して斜角で位置決めされているか、又はそれらの組み合わせである、実施形態8に記載の燃料電池スタック要素。
【0109】
実施形態10.第2の容積が、カソード活性領域及び関連するカソードフローフィールドの少なくとも一部を含み、第1の容積が、延長エッジシール入力チャンバの少なくとも一部を含み、延長エッジシール入力チャンバが、燃料電池スタックの第1の側面に隣接しており、ガスフロー入口が、燃料電池スタックの第2の側面に隣接している、実施形態1~6のいずれか1つに記載の燃料電池スタック要素。
【0110】
実施形態11.ガスフロー入口が、入口フローブロッカーを更に含み、ブロッカーが、入口バッフルに対して斜角で位置決めされている、実施形態10に記載の燃料電池スタック要素。
【0111】
実施形態12.燃料電池スタックの第3の側面に隣接している延長エッジシール出力チャンバと、延長エッジシール出力チャンバの第1の出力チャンバ容積と流体連通しているガスフロー出口と、第1の出力チャンバ容積の出口境界に複数の出口バッフルアパーチャを含む出口バッフルであって、複数の出口バッフルアパーチャの断面積が、出口境界における総断面フローフィールド面積の0.5%~6.0%であり、第1の出力チャンバ容積が、第2の容積と流体連通している、出口バッフルと、を更に含む、実施形態8~11のいずれか1つに記載の燃料電池スタック要素。
【0112】
実施形態13.入口バッフルの長さが、入口境界の長さを含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の燃料電池スタック要素。
【0113】
実施形態14.バッフルが、第1の側面及び第2の側面を有するV字型バッフルを含み、第1の側面におけるアパーチャが、第2の側面におけるアパーチャに対して異なるアパーチャサイズ及び異なるアパーチャパターンのうちの少なくとも1つを有する、先の実施形態のいずれか1つに記載の燃料電池スタック要素。
【0114】
実施形態15.先の実施形態のいずれか1つに記載の燃料電池スタック要素を含む燃料電池スタックの使用であって、使用中の入口バッフルにわたる圧力降下が、任意選択的に0.1kPa~1.0kPaである、使用。
【0115】
本明細書の詳細な説明及び特許請求の範囲内の全ての数値は、示されている「約」又は「おおよそ」の値によって修飾され、当業者によって予想され得る実験誤差及び変動を考慮に入れる。
【0116】
本発明を特定の実施形態の観点で説明してきたが、これは必ずしもそのように限定されることはない。特定の条件下での作動のための好適な変更/修正は、当業者に明らかであるべきである。したがって、以下の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨/範囲内にある全てのそのような変更/修正を包含するものと解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2023-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
料電池スタックであって、
前記燃料電池スタックのカソード入力側に隣接しているカソード入力マニホールドと 前記カソード入力側とは異なる前記燃料電池スタックのアノード入力側に隣接しているアノード入力マニホールドと
前記カソード入力側及び前記アノード入力側とは異なる前記燃料電池スタックのカソード出力側に隣接しているカソード出力マニホールドと;
燃料電池であって、
前記燃料電池スタックの前記アノード入力側に置かれたアノード入口、延長エッジシール入力チャンバ、及びアノード活性領域を含むアノードと、
前記アノード入口は、前記アノード入力マニホールドと流体連通しており、前記延長エッジシール入力チャンバは、前記カソード入力側又は前記カソード出力側に置かれ、前記延長エッジシール入力チャンバは、アノード活性領域入口を介して前記アノード入力及び前記アノード活性領域と流体連通しており、前記アノード活性領域入口は、前記カソード入力側又は前記カソード出力側に置かれ、
カソード入口及びカソード活性領域を含むカソードと、
前記カソード入口は、前記アノード入口に実質的に平行であり、
前記アノード及び前記カソードを分離する電解質マトリックス層と、
前記アノード活性領域入口に隣接して置かれた入口バッフルと、を含む、燃料電池とを含み、
前記入口バッフルは、前記延長エッジシール入力チャンバと前記アノード入口との間の入口境界に、複数の入口バッフルアパーチャを含み、前記延長エッジシール入力チャンバと前記アノード入口との間の流体連通の少なくとも一部が、前記複数の入口バッフルアパーチャを通る流体フローを含み、前記入口バッフルの長さは、前記入口境界の長さの少なくとも60%を占め、前記入口バッフルの平均高さが、前記入口境界に沿った平均高さの100%以上を占め、前記複数の入口バッフルアパーチャの合計断面積が、前記入口境界における総断面積の0.5%~6.0%を占める、燃料電池スタック。
【請求項2】
前記複数の入口バッフルアパーチャのうちの少なくとも1個が、0.25mm以上の特徴的寸法を有するか、又は前記複数の入口バッフルアパーチャの各々が、0.25mm以上の特徴的寸法を有する、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項3】
前記複数の入口バッフルアパーチャの前記合計断面積が、前記入口境界における前記総断面積の0.5%~2.5%であるか、又は前記入口バッフルの長さが、前記入口境界の長さの0.05%~5.0%前記入口境界の前記長さよりも小さいか、又はそれらの組み合わせである、請求項に記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
記入口バッフルの長さ、前記入口境界の長さを含む、請求項に記載の燃料電池スタック
【請求項5】
アノード出口マニホールドと流体連通しているアノード出口、前記アノード出口は、アノードフローフィールドと流体連通している、アノード出口と
前記アノード活性領域と前記アノード出口マニホールドとの間の出口境界に複数の出口バッフルアパーチャを含む出口バッフルと、を更に含み、
前記アノード活性領域と前記アノード出口マニホールドとの間の流体連通の少なくとも一部は、前記複数の出口バッフルアパーチャを通る流体フローを含み、
前記出口バッフルの長さは、前記出口境界の長さの少なくとも60%を占め、前記出口バッフルの平均高さが、前記出口境界に沿った平均高さの100%以上を占め、前記複数の出口バッフルアパーチャの合計断面積が、前記出口境界における総断面積の0.5%~6.0%を占める、請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項6】
前記複数の入口バッフルアパーチャの前記合計断面積が、前記複数の出口バッフルアパチャの合計断面積とは異なるか、又は1個以上の入口バッフルアパチャーが、1個以上の出口バッフルアパチャとは異なる特徴的寸法を有するか、又は前記入口バッフルの長さが、前記出口バッフルの長さとは異なるか、又はそれらの組み合わせである、請求項に記載の燃料電池スタック。
【請求項7】
前記アノード入口から最も遠い前記入口バッフルの一部のアパーチャが、前記入口バッフルアパーチャの合計断面積の25%以上を占め、前記入口バッフルの前記一部が、前記入口境界の長さの5%~20%を占める、請求項に記載の燃料電池スタック。
【請求項8】
前記延長エッジシール入力チャンバが、前記燃料電池スタックに対して第1の方向でアノード入力マニホールドから前記燃料電池スタックに提供されたアノード入口ガスを受け取り、第1の方向に実質的に垂直の第2の方向で前記アノード入口に前記アノード入口ガスを出力するように構成される、請求項に記載の燃料電池スタック
【国際調査報告】