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特表2024-507151高速周期的堆積のための前駆体送達システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】高速周期的堆積のための前駆体送達システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20240208BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548616
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 US2022070611
(87)【国際公開番号】W WO2022174243
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/149,039
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518196871
【氏名又は名称】ユージェヌス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サリナス、マーティン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】サルダナ、ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】カルデロン、ビクター
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラ クマール、サントッシュ ナラヤン
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA13
4K030BA18
4K030BA38
4K030EA03
4K030JA05
4K030JA09
4K030JA10
4K030JA11
(57)【要約】
【課題】開示する技術は、全体として半導体製造に関し、より詳細には、周期的堆積における前駆体送達に関する。
【解決手段】一態様では、薄膜堆積システムは、基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバを備える。薄膜システムは、加えて、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備え、前駆体送達ラインは、前駆体源と薄膜堆積チャンバ外部の最終バルブとの間に高コンダクタンス・ライン部分を備える。高コンダクタンス・ライン部分はフロー方向に延び、高コンダクタンス・ライン部分の対向端部に接続された隣接する低コンダクタンス・ライン部分のうちどちらかの少なくとも4倍のコンダクタンスを有する。薄膜システムはさらに、高コンダクタンス・ライン部分と薄膜堆積チャンバとの間に単一の最終バルブを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバと、
前駆体送達ラインによって前記薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源であって、前記前駆体送達ラインが、前駆体源と前記薄膜堆積チャンバとの間に高コンダクタンス・ライン部分を備える、前駆体源と、を備え、
前記高コンダクタンス・ライン部分が、フロー方向に延び、前記高コンダクタンス・ライン部分の対向端部に接続された隣接する低コンダクタンス・ライン部分のうちどちらかの少なくとも4倍のコンダクタンスを有し、
前記高コンダクタンス・ライン部分と前記薄膜堆積チャンバとの間に単一の最終バルブを備える、
薄膜堆積システム。
【請求項2】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、0.5から5インチの直径を有する円筒形状を有する、請求項1に記載の薄膜堆積システム。
【請求項3】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、体積が0.3から5リットルであるような長さをさらに有する、請求項2に記載の薄膜堆積システム。
【請求項4】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、前記高コンダクタンス・ライン部分に達する前にあらかじめ気化されている、ガス前駆体又は液体前駆体を格納するように構成された一時的な中間リザーバとして機能する、請求項3に記載の薄膜堆積システム。
【請求項5】
前記高コンダクタンス・ライン部分の少なくとも一部分が、前記堆積チャンバの蓋の直上に配設される、請求項3に記載の薄膜堆積システム。
【請求項6】
前記単一の最終バルブが、前記堆積チャンバの蓋の直上に配設されたALDバルブである、請求項3に記載の薄膜堆積システム。
【請求項7】
前記システムが、前記基板を前記前駆体源内の前駆体に暴露する間、前記前駆体が、別のバルブの作動によって中断されることなく、前記前駆体源から前記高コンダクタンス・ライン部分を通って前記薄膜堆積チャンバまで連続的に流れるように、前記最終バルブが作動されるように構成される、請求項6に記載の薄膜堆積システム。
【請求項8】
前記薄膜堆積チャンバが、それぞれの基板を同じ又は異なる複数の前駆体に交互に暴露することによって、それぞれの薄膜を堆積させるようにそれぞれ構成された、複数の処理ステーションを備え、前記処理ステーションがそれぞれ、
ガス分配プレートと、
サセプタと、
前記薄膜堆積チャンバを封止する蓋と
を備える、請求項1に記載の薄膜堆積システム。
【請求項9】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、前記基板を前記前駆体源内の前駆体に暴露する間、前記前駆体が前記前駆体源から前記高コンダクタンス・ライン部分を通って前記薄膜堆積チャンバへと連続して流れるような、中間リザーバとして機能する、請求項8に記載の薄膜堆積システム。
【請求項10】
前記高コンダクタンス・ライン部分が前記前駆体源の専用リザーバとして機能する、請求項9に記載の薄膜堆積システム。
【請求項11】
薄膜堆積システムであって、
基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバと、
前駆体送達ラインによって前記薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源であって、前記前駆体送達ラインが、前駆体源と前記薄膜堆積チャンバとの間に高コンダクタンス・ライン部分を備える、前駆体源と、を備え、
前記高コンダクタンス・ライン部分が、フロー方向に延び、前記高コンダクタンス・ライン部分の両端部に接続されるとともに前記前駆体源と前記薄膜堆積チャンバとの間に配設された、隣接する低コンダクタンス・ライン部分の少なくとも4倍のコンダクタンスを有し、
前記システムが、前記基板を前記前駆体源内の前駆体に暴露する間、前記前駆体が、別のバルブの作動によって中断されることなく、前記前駆体源から前記高コンダクタンス・ライン部分を通って前記薄膜堆積チャンバまで連続的に流れるように構成された、
薄膜堆積システム。
【請求項12】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、0.5から5インチの直径を有する円筒形状を有する、請求項11に記載の薄膜堆積システム。
【請求項13】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、体積が0.3から5リットルであるような長さをさらに有する、請求項12に記載の薄膜堆積システム。
【請求項14】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、前記高コンダクタンス・ライン部分に達する前にあらかじめ気化されている、気相前駆体又は液体前駆体を格納するように構成された一時的な中間リザーバとして機能する、請求項13に記載の薄膜堆積システム。
【請求項15】
前記高コンダクタンス・ライン部分の少なくとも一部分が、前記堆積チャンバの蓋の直上に配設される、請求項13に記載の薄膜堆積システム。
【請求項16】
前記最終バルブが、前記堆積チャンバの蓋の直上に配設された単一のALDバルブである、請求項13に記載の薄膜堆積システム。
【請求項17】
前記システムが、前記基板を前記前駆体源内の前駆体に暴露する間、前記前駆体が、別のバルブによって中断されることなく、前記前駆体源から前記高コンダクタンス・ライン部分を通って前記薄膜堆積チャンバまで連続的に流れるように、前記最終バルブが作動されるように構成される、請求項16に記載の薄膜堆積システム。
【請求項18】
前記薄膜堆積チャンバが、それぞれの基板を同じ又は異なる複数の前駆体に交互に暴露することによって、それぞれの薄膜を堆積させるようにそれぞれ構成された、複数の処理ステーションを備え、前記処理ステーションがそれぞれ、
ガス分配プレートと、
サセプタと、
前記薄膜堆積チャンバを封止する蓋と
を備える、請求項11に記載の薄膜堆積システム。
【請求項19】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、前記基板を前記前駆体源内の前駆体に暴露する間、前記前駆体が前記前駆体源から前記高コンダクタンス・ライン部分を通って前記薄膜堆積チャンバへと連続して流れるような、中間リザーバとして機能する、請求項18に記載の薄膜堆積システム。
【請求項20】
前記高コンダクタンス・ライン部分が前記前駆体源の専用リザーバとして機能する、請求項19に記載の薄膜堆積システム。
【請求項21】
薄膜堆積チャンバを共有する複数の処理ステーションであって、それぞれの基板を複数の前駆体に交互に暴露することによって、それぞれの薄膜を堆積させるようにそれぞれ構成された、複数の処理ステーションを備え、前記処理ステーションがそれぞれ、
ガス分配プレートと、
サセプタと、
前記薄膜堆積チャンバを封止する蓋と、
前駆体送達ラインによって前記薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源であって、前記前駆体送達ラインが、前駆体源と前記薄膜堆積チャンバとの間に高コンダクタンス・ライン部分を備える、前駆体源と、を備え、
前記高コンダクタンス・ライン部分が、フロー方向に延び、前記高コンダクタンス・ライン部分の両端部に接続されるとともに前記前駆体源と前記薄膜堆積チャンバとの間に配設された、隣接する低コンダクタンス・ライン部分の少なくとも4倍のコンダクタンスを有する、
薄膜堆積システム。
【請求項22】
単一の最終バルブが、前記高コンダクタンス・ライン部分と前記処理ステーションの各蓋との間に配設される、請求項21に記載の薄膜堆積システム。
【請求項23】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、0.5から5インチの直径を有する円筒形状を有する、請求項21に記載の薄膜堆積システム。
【請求項24】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、体積が0.3から5リットルであるような長さをさらに有する、請求項22に記載の薄膜堆積システム。
【請求項25】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、前記高コンダクタンス・ライン部分に達する前にあらかじめ気化されている、ガス前駆体又は液体前駆体を格納するように構成された一時的な中間リザーバとして機能する、請求項24に記載の薄膜堆積システム。
【請求項26】
前記高コンダクタンス・ライン部分の少なくとも一部分が、前記堆積チャンバの蓋の直上に配設される、請求項24に記載の薄膜堆積システム。
【請求項27】
前記単一の最終バルブが、前記堆積チャンバの蓋の直上に配設されたALDバルブである、請求項24に記載の薄膜堆積システム。
【請求項28】
前記システムが、前記それぞれの基板を前記前駆体源内の前駆体に暴露する間、前記前駆体が、別のバルブの作動によって中断されることなく、前記前駆体源から前記高コンダクタンス・ライン部分を通って前記薄膜堆積チャンバまで連続的に流れるように、前記最終バルブが作動されるように構成される、請求項27に記載の薄膜堆積システム。
【請求項29】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、前記それぞれの基板を前記前駆体源内の前駆体に暴露する間、前記前駆体が前記前駆体源から前記高コンダクタンス・ライン部分を通って前記薄膜堆積チャンバへと連続して流れるような、中間リザーバとして機能する、請求項21に記載の薄膜堆積システム。
【請求項30】
前記高コンダクタンス・ライン部分が前記前駆体源の専用リザーバとして機能する、請求項29に記載の薄膜堆積システム。
【請求項31】
前駆体源と薄膜堆積チャンバ外部の最終バルブとの間の前駆体送達ラインの一部として高コンダクタンス・ライン部分を備える、薄膜堆積システムを提供することを含み、
前記高コンダクタンス・ライン部分が、フロー方向に延び、前記高コンダクタンス・ライン部分の対向端部に接続された隣接する低コンダクタンス・ライン部分のうちどちらかの少なくとも4倍のコンダクタンスを有し、
前記薄膜堆積チャンバ内の基板を複数の前駆体に複数のサイクルで交互に暴露することを含み、
前記基板を交互に暴露することが、前記高コンダクタンス・ライン部分を、前記最終バルブが閉止した状態で前記前駆体のうち第1の前駆体によって第1の圧力まで加圧することと、前記高コンダクタンス・ライン部分内の圧力が前記第1の圧力よりも10%未満低い第2の圧力を上回ったままであるように、ある持続時間の間、前記最終バルブを開放することと、を含む、
薄膜堆積方法。
【請求項32】
前記持続時間が1秒未満である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
第1の圧力が70から650Torrである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の圧力と前記第2の圧力との間の圧力降下が50Torr未満である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記複数のサイクルを通して前記高コンダクタンス・ライン部分内の平均圧力の標準偏差が10%未満である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記複数のサイクルを通して前記高コンダクタンス・ライン部分内の平均圧力のドリフトが10%未満である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、0.5から5インチの直径を有する円筒形状を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、体積が0.3から5リットルであるような長さをさらに有する、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、前記高コンダクタンス・ライン部分に達する前にあらかじめ気化されている、ガス前駆体又は液体前駆体を格納するように構成された一時的な中間リザーバとして機能する、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記高コンダクタンス・ライン部分の少なくとも一部分が、前記堆積チャンバの蓋の直上に配設される、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記最終バルブが、前記堆積チャンバの蓋の直上に配設されたALDバルブである、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記基板を前記前駆体源内の前駆体に暴露する間、前記前駆体が、別のバルブの作動によって中断されることなく、前記前駆体源から前記高コンダクタンス・ライン部分を通って前記薄膜堆積チャンバまで連続的に流れるように、前記最終バルブが作動される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記薄膜堆積チャンバが、それぞれの基板を同じ又は異なる複数の前駆体に交互に暴露することによって、それぞれの薄膜を堆積させるようにそれぞれ構成された、複数の処理ステーションを備え、前記処理ステーションがそれぞれ、
ガス分配プレートと、
サセプタと、
前記薄膜堆積チャンバを封止する蓋と
を備える、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記高コンダクタンス・ライン部分が、前記基板を前記前駆体源内の前駆体に暴露する間、前記前駆体が前記前駆体源から前記高コンダクタンス・ライン部分を通って前記薄膜堆積チャンバへと連続して流れるような、中間リザーバとして機能する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記高コンダクタンス・ライン部分が前記前駆体源の専用リザーバとして機能する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ALDバルブが、コマンド信号の終わりと前記ALDバルブのダイヤフラムの開放又は閉止の完了との間の、30ms未満の応答時間を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記ALDバルブが0.25を超えるバルブ流量係数(C)を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記前駆体のうち前記第1の前駆体を前記薄膜堆積チャンバ内へと導入することが、前記前駆体のうち前記第1の前駆体を前記薄膜堆積チャンバ内へと導入しながら、前記ALDバルブを通して不活性ガスを前記薄膜堆積チャンバ内へと連続して流すことを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記薄膜がTiN薄膜又はTiSiN薄膜を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項50】
前記複数の前駆体が、Ti前駆体、Si前駆体、及びN前駆体のうち1つ又は複数を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記基板を交互に暴露することが、前記高コンダクタンス・ライン部分を、前記最終バルブが閉止した状態で前記前駆体のうち第2の前駆体によって第3の圧力まで加圧することと、前記高コンダクタンス・ライン部分内の圧力が前記第3の圧力よりも10%未満低い第4の圧力を上回ったままであるように、ある持続時間の間、前記最終バルブを開放することと、を含む、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願の参照による組込み
本出願とともに提出された出願データ・シートにおいて国外又は国内の優先権が特定されたあらゆるすべての出願を、米国特許施行規則第1.57条に基づき、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2021年2月12日に提出された、「周期的堆積のための高コンダクタンス前駆体送達システム(HIGH CONDUCTANCE PRECURSOR DELIVERY SYSTEM FOR CYCLIC DEPOSITION)」という名称の米国仮特許出願第63/149,039号の優先権の利益を主張し、その内容全体を参照により本明細書に明示的に組み込む。
【0003】
開示する技術は、全体として半導体製造に関し、より詳細には、周期的堆積における前駆体送達に関する。
【背景技術】
【0004】
半導体デバイスの横寸法が縮小し続けるのに対応して、電極及び誘電体などの機能性薄膜の厚さの減少を含む、半導体デバイスの垂直方向寸法が減少している。半導体加工には、プロセス・フロー全体を通して堆積される様々な薄膜が関与する。様々な薄膜は、湿式及び乾式成膜法を含む、異なる技法を使用して堆積させることができる。湿式成膜方法としては、例えば、エアロゾル/噴霧成膜、ゾルゲル法、及びスピンコーティングが挙げられる。乾式成膜方法としては、物理蒸着ベースの技法、例えば物理蒸着法(PVD)及び蒸着が挙げられる。乾式成膜方法としては、加えて、前駆体及び/又は化学反応ベースの技法、例えば、化学蒸着法(CVD)、及び原子層堆積(ALD)などの周期的堆積が挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、薄膜堆積システムは、基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバを備える。薄膜システムは、加えて、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備え、前駆体送達ラインは、前駆体源と薄膜堆積チャンバとの間に高コンダクタンス・ライン部分を備える。高コンダクタンス・ライン部分はフロー方向に延び、高コンダクタンス・ライン部分の対向端部に接続された隣接する低コンダクタンス・ライン部分のうちどちらかの少なくとも4倍のコンダクタンスを有する。薄膜システムはさらに、高コンダクタンス・ライン部分と薄膜堆積チャンバとの間に単一の最終バルブを備える。
【0006】
第2の態様では、薄膜堆積システムは、基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバを備える。薄膜システムは、加えて、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備え、前駆体送達ラインは、前駆体源と薄膜堆積チャンバ外部の最終バルブとの間に高コンダクタンス・ライン部分を備える。高コンダクタンス・ライン部分はフロー方向に延び、高コンダクタンス・ライン部分の対向端部に接続された隣接する低コンダクタンス・ライン部分のうちどちらかの少なくとも4倍のコンダクタンスを有する。システムは、基板を前駆体源において前駆体に暴露する間、前駆体が、別のバルブの作動によって中断されることなく、前駆体源から高コンダクタンス・ライン部分を通って薄膜堆積チャンバまで連続的に流れるように構成される。
【0007】
第3の態様では、薄膜堆積システムは、薄膜堆積チャンバを共有する複数の処理ステーションを備える。処理ステーションはそれぞれ、ガス分配プレートと、サセプタと、薄膜堆積チャンバを封止する蓋とを備える。薄膜堆積システムは、加えて、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備え、前駆体送達ラインは、前駆体源と薄膜堆積チャンバ外部の最終バルブとの間に高コンダクタンス・ライン部分を備える。高コンダクタンス・ライン部分はフロー方向に延び、高コンダクタンス・ライン部分の対向端部に接続された隣接する低コンダクタンス・ライン部分のうちどちらかの少なくとも4倍のコンダクタンスを有する。
【0008】
第4の態様では、薄膜を堆積させる方法は、前駆体源と薄膜堆積チャンバ外部の最終バルブとの間の前駆体送達ラインの一部として、高コンダクタンス・ライン部分を備える、薄膜堆積システムを提供することを含み、高コンダクタンス・ライン部分はフロー方向に延び、高コンダクタンス・ライン部分の対向端部に接続された隣接する低コンダクタンス・ライン部分のうちどちらかの少なくとも4倍のコンダクタンスを有する。方法は、加えて、薄膜堆積チャンバ内の基板を複数の前駆体に複数のサイクルで交互に暴露することを含む。基板を交互に暴露することは、高コンダクタンス・ライン部分を、最終バルブが閉止した状態で前駆体のうち第1の前駆体によって第1の圧力まで加圧することと、高コンダクタンス・ライン部分内の圧力が第1の圧力よりも10%未満低い第2の圧力を上回ったままであるように、ある期間の間、最終バルブを開放することと、を含む。
【0009】
第5の態様では、薄膜堆積システムは、基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバを備える。薄膜堆積システムはさらに、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備える。前駆体送達ラインは、0.3Lを超える体積を有する中間前駆体リザーバとして機能する、前駆体源と薄膜堆積チャンバとの間に配設された、コンダクタンス増加部分を備える。
【0010】
第6の態様では、薄膜堆積システムは、基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバを備える。薄膜堆積システムはさらに、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備える。前駆体送達ラインは、0.5インチを超える直径を有する中間前駆体リザーバとして機能する、前駆体源と薄膜堆積チャンバとの間に配設された、コンダクタンス増加部分を備える。
【0011】
第7の態様では、薄膜堆積システムは、基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバを備える。薄膜堆積システムはさらに、前駆体の1つを薄膜堆積チャンバ内へと送達するため、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備える。前駆体送達ラインは、実質的な基板表面飽和に達するための前駆体の1つに対する暴露時間が、コンダクタンス増加部分を有さずに実質的な基板表面飽和に達するための前駆体の1つに対する暴露時間に対して、50%超過低減されるように構成された、中間前駆体リザーバとして機能するコンダクタンス増加部分を備える。
【0012】
第8の態様では、薄膜堆積システムは、基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバを備える。薄膜堆積チャンバはさらに、前駆体の1つを薄膜堆積チャンバ内へと送達するため、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備える。前駆体送達ラインは、実質的な基板表面飽和に達するための前駆体の1つに対する暴露時間が1/2秒未満であるように構成された、中間前駆体リザーバとして機能するコンダクタンス増加部分を備える。
【0013】
第9の態様では、薄膜堆積システムは、基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバを備える。薄膜堆積システムはさらに、前駆体の1つを薄膜堆積チャンバ内へと送達するため、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備える。前駆体送達ラインは、バルブを開放して前駆体の1つを薄膜堆積チャンバに導入することにより、50Torrを超過しない中間前駆体リザーバ内部の圧力降下をもたらすように構成された、中間前駆体リザーバとして機能するコンダクタンス増加部分を備える。
【0014】
第10の態様では、薄膜堆積システムは、基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバを備える。薄膜堆積システムは、前駆体の1つを薄膜堆積チャンバ内へと送達するため、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備える。前駆体送達ラインは、高アスペクト比のトレンチ又はビアの側壁の下半分に形成された薄膜の厚さと高アスペクト比のトレンチ又はビアの側壁の上半分に形成された薄膜の厚さとの比として規定される、コンダクタンス増加部分を有さずに高アスペクト比で堆積させた薄膜のステップ・カバレッジよりも10%以上高い比として規定された、2を超えるアスペクト比を有する高アスペクト比のトレンチ又はビア内に堆積させた薄膜が、ステップ・カバレッジを有するようにして構成された、中間前駆体リザーバとして機能する中間前駆体リザーバを備える。
【0015】
第11の態様では、薄膜堆積システムは、基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるようにそれぞれ構成された複数のプロセス・ステーションを備える、薄膜堆積チャンバを備える。薄膜堆積システムはさらに、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備える。前駆体送達ラインは、0.3Lを超える体積を有する中間前駆体リザーバとして機能する、コンダクタンス増加部分を備える。前駆体送達ラインは、第1の端部で前駆体源に接続され、第2の端部で、前駆体のうち1つを各プロセス・ステーション内へと送達する複数のローカル前駆体送達ラインに分割される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態による、薄膜堆積チャンバと、高コンダクタンス・ライン部分を含む前駆体送達ラインによって構成された前駆体送達システムとを含む、薄膜堆積システムを示す概略図である。
【0017】
図2A】従来の前駆体送達ラインを通して前駆体を導入するように構成された複数の処理ステーションを備える、堆積チャンバの蓋部分を示す斜視図である。
【0018】
図2B】実施形態による、高コンダクタンス・ライン部分を有する前駆体送達ラインを通して前駆体を導入するように構成された複数の処理ステーションを備える、堆積チャンバの蓋部分を示す斜視図である。
【0019】
図2C図2Bに示される堆積チャンバのための高コンダクタンス・ライン部分を有する前駆体送達ラインを示す斜視図である。
【0020】
図3】異なる体積を有する異なる高コンダクタンス・ライン部分に対して、連続暴露パルスを用いてプロセス・チャンバに送達された前駆体体積を示す実験グラフである。
【0021】
図4A】原子層堆積(ALD)バルブを開放して前駆体を薄膜プロセス・チャンバに導入する際の、高コンダクタンス・ライン部分を有さない前駆体送達ラインにおける圧力変化の実験測定値を示す図である。
図4B】原子層堆積(ALD)バルブを開放して前駆体を薄膜プロセス・チャンバに導入する際の、高コンダクタンス・ライン部分を有する前駆体送達ラインにおける圧力変化の実験測定値を示す図である。
【0022】
図5A】実施形態による、高コンダクタンス・ライン部分を有する前駆体送達ラインを用いて構成された、前駆体送達システムのためのマルチバルブ・ブロック・アセンブリを示す斜視図である。
【0023】
図5B】実施形態による、複数のALDバルブを共通のガス分配プレートに結合するように構成された、図5Aに示されるマルチバルブ・ブロックのうち1つを示す斜視図である。
【0024】
図5C】実施形態による、図5Bに示されるマルチバルブ・ブロックに結合するように構成された、ALDバルブのうち1つを示す斜視図である。
【0025】
図5D】実施形態による、図5Cに示されるものなどのALDバルブの作動と関連付けられた様々な信号を示す一例の実験チャートである。
【0026】
図6】実施形態による、前駆体送達システムを使用して前駆体を送達する一例の前駆体送達シーケンスを示す概略図である。
【0027】
図7】ビアの異なる部分において異なる厚さを有する薄膜層で裏打ちされたビアを示す概略断面図である。
【0028】
図8A】実施形態にしたがって構成された前駆体送達ラインの高コンダクタンス・ライン部分における圧力の関数として、高アスペクト比構造において測定されたステップ・カバレッジ値を示す図である。
【0029】
図8B】実施形態にしたがって構成された前駆体送達ラインを使用して実現された様々なプロセス条件に対する、高アスペクト比構造において測定されたステップ・カバレッジ値を示す図である。
【0030】
図8C】実施形態による、周期的堆積中の前駆体送達ラインの高インダクタンス・ライン部分における圧力変動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
原子層堆積(ALD)プロセスなどの周期的堆積プロセスは、高い均一性と厚さの精度を有する比較的高いアスペクト比(例えば、2:1)の構造上に、比較的共形の薄膜を提供することができる。ALDと比較して共形性及び均一性が全体的に低いが、化学蒸着法(CVD)などの連続堆積プロセスを使用して堆積させた薄膜は、より高い生産性をより少ないコストで提供することができる。ALD及びCVDは、いくつか例を挙げると、元素金属、金属化合物(例えば、TiN、TaNなど)、半導体(例えば、Si、III-Vなど)、誘電体(例えば、SiO、AlN、HfO、ZrOなど)、希土類酸化物、導電性酸化物(例えば、IrOなど)、強誘電体(例えば、PbTiO、LaNiOなど)、超伝導体(例えば、YBaCu7-x)、ならびにカルコゲニド(例えば、GeSbTe)を含む、多種多様な異なる膜を堆積させるのに使用することができる。
【0032】
原子層堆積(ALD)などの一部の周期的堆積プロセスは、基板を複数の前駆体に交互に暴露して薄膜を形成することを含む。異なる前駆体は、交互に少なくとも部分的に基板の表面を飽和し、互いに反応し、それによって薄膜を一層ずつ形成することができる。一層ずつ成長させることが可能なため、ALDは、厚さ及び組成を精密に制御することができ、そのため、導電性、共形性、均一性、バリア性、及び機械的強度など、様々な性質を精密に制御できるようにすることができる。ALDにおける堆積プロセスの性質により、ALD堆積システムの前駆体送達システムは、例えば、CVD堆積システムの前駆体送達システムと比較して、独自の問題に直面する。例えば、基板を複数の前駆体に交互に暴露させることは、比較的高速及び/又は比較的高頻度で繰り返し実施されるので、前駆体送達システム、又は前駆体送達ライン・バルブなど、システムの構成要素が、精度、スループット、信頼性、及び運用コストなど、ALD堆積プロセスの様々な態様に対して、直接又は間接的に大幅な制限を課すことになり得る。ALDによる薄膜の堆積は、異なる前駆体に交互に暴露する数サイクルから数千回ものサイクルを伴うことがあるので、基板を複数の前駆体に交互に暴露する回数、持続時間、及び頻度は、スループットに正比例する。暴露の回数、持続時間、及び頻度は次に、前駆体送達システム、又は前駆体送達ライン構成など、システムの構成要素によって制限される場合がある。特に、前駆体送達ラインのコンダクタンス、体積、及び圧力安定性は、堆積スループット、前駆体使用の効率、及び結果として得られる薄膜の品質に直接影響する場合がある。したがって、スループットを増加させるため、ならびに高いステップ・カバレッジ、共形性、及び均一性などの膜品質改善のため、高コンダクタンス、大きい体積、及び高い圧力安定性のために適合された、高速バルブ及び送達ラインを有する、改善された前駆体送達システムが必要とされている。
【0033】
高コンダクタンス前駆体送達ラインを備えた前駆体送達システム
中でも特に上述の必要性に対処するため、薄膜堆積システムは、基板を複数の前駆体に対して交互に暴露することによって、薄膜を堆積させるように構成された、薄膜堆積チャンバを備える。薄膜堆積システムはさらに、前駆体送達ラインによって薄膜堆積チャンバに接続された前駆体源を備える。前駆体送達ラインは、前駆体源と薄膜堆積チャンバとの間に配設された中間前駆体リザーバとして機能する、コンダクタンス増加部分又は高コンダクタンス・ライン部分を備える。この構成によって、プロセス・チャンバ内で基板が暴露される1サイクル当たりの前駆体の使用量を増加させることが可能になり、それによって、前駆体による実質的な基板表面飽和に達するまでの前駆体暴露時間を大幅に低減させることができる。また、この構成によって、プロセス・チャンバ内へと送達される前駆体の安定性を増加させることが可能になる。例えば、この構成によって、薄膜堆積チャンバと前駆体源との間に高コンダクタンス・バッファとして機能する中間前駆体リザーバを提供することにより、送達ライン内の圧力変動を低減させつつ使用量を増加させることが可能になる。この構成は、はるかに多量の前駆体及びパージ・ガスを使用することができる、複数のプロセス・ステーションを有するプロセス・チャンバにとって、特に有利であり得る。パージ・ガス実施形態による、前駆体送達システムによって送達される前駆体の使用量及び安定性の増加は、有利には、高アスペクト比構造の薄膜のステップ・カバレッジ及び均一性を改善することができる。
【0034】
本明細書に記載するとき、高コンダクタンス・ライン部分は、第1及び第2の端部がそれぞれ入口及び出口として機能する、フロー方向に延びる送達ライン部分を指す。高コンダクタンス・ライン部分は、両端に接続された近接するライン部分よりも大きい、長さ当たりのコンダクタンス又は体積を有する。例えば、高コンダクタンス・ライン部分は、長さが直径よりも長い円筒形状を有することができる。本発明者らは、高コンダクタンス・ライン部分のこの構成が、中を流れるガスのコンダクタンスを最適化しながら中間リザーバとして機能するという点で有利であることを見出している。例えば、入口及び出口が同じ側に配設されたリザーバ又はタンクは、リザーバとして機能することがあるが、かかる構成は中を通るガスのコンダクタンスを低下させることがある。
【0035】
本明細書に記載するとき、原子層堆積(ALD)バルブは、高精度及び高速(例えば、反応時間30ms未満)で高い流量係数(例えば、0.20を超えるC)を有するパルスの形で、前駆体をALD堆積チャンバに導入するように構成された前駆体送達バルブを指す。ALDによる薄膜の堆積は、異なる前駆体に交互に暴露する数サイクルから数千回ものサイクルを伴うことがあるので、ALDバルブの流量、速度、及び/又は頻度などのバルブ・パラメータは、堆積スループットならびに前駆体仕様の効率に直接影響する場合がある。加えて、ALDバルブの摩耗によって、予防保守サービスから次の予防保守サービスまでの間の、一部のALDシステムの耐用寿命が制限される場合がある。さらに、高温で送達される一部の前駆体によって、一部のALDシステムのスループット及び態様寿命が制限される場合がある。
【0036】
以下、実施形態は、特定の前駆体を使用して記載されることがある。例えば、TiN及び/又はTiSiNを堆積するための、TiCl、NH、及びSiClを含む特定の例の前駆体が、薄膜を堆積させる方法の薄膜堆積システムを説明するのに使用されることがある。しかしながら、実施形態はそれに限定されないことが理解され、発明の態様は、ALDなどの周期的堆積プロセスを使用して形成することができる任意の好適な薄膜を堆積させる、前駆体の任意の好適な組み合わせに適用できる。
【0037】
以下、実施形態は、例として特定の膜に対する特定の前駆体を使用して記載されることがある。例えば、TiN及び/又はTiSiNを堆積するための、TiCl、NH、及びSiClを含む特定の例の前駆体が、様々な実施形態による、薄膜堆積システム及び薄膜を堆積させる方法を説明するのに使用されることがある。しかしながら、実施形態はそれに限定されないことが理解され、発明の態様は、ALDなどの周期的堆積プロセスを使用して形成することができる任意の好適な薄膜を堆積させる、前駆体の任意の好適な組み合わせに適用できる。
【0038】
図1は、実施形態による、薄膜堆積チャンバと、高コンダクタンス・ライン部分を含む前駆体送達ラインによって構成された前駆体送達システムとを含む、薄膜堆積システムを概略的に示している。薄膜堆積システム100は、薄膜堆積チャンバ102と、複数の前駆体を堆積チャンバ102内へと送達するように構成された前駆体送達システム106とを含む。図示される堆積チャンバ102は、プロセス条件下で、支持体116、例えばサセプタ上の、基板120、例えばウェハを処理するように構成される。堆積チャンバ102は、加えて、シャワーヘッドとも呼ばれるガス分配プレート112を通して、複数の前駆体を堆積チャンバ102内へと中心で放出するノズル108を含む。ノズル108は、ガス、例えば前駆体及びパージ・ガスを混合してもよく、ガスはその後に、ガス分配プレート112によって堆積チャンバ102内へと拡散される。ガス分配プレート112は、サセプタ116上にある基板120の上で前駆体を均一に拡散させて、均一な堆積が行われるように構成される。堆積チャンバは、圧力モニタリング・センサ(P)及び/又は温度モニタリング・センサ(T)を備えてもよい。
【0039】
前駆体送達システム106は、複数の前駆体を前駆体源(120、124)から、また1つ又は複数のパージ・ガス、例えば不活性ガスをパージ・ガス源(128-1、128-2、134-1、134-2)から、プロセス・チャンバ内へと送達するように構成される。前駆体及びパージ・ガスはそれぞれ、それぞれのガス送達ラインによって堆積チャンバ102に接続される。有利には、ガス送達ラインの少なくともいくつかは、前駆体源又はパージ・ガス源と薄膜堆積チャンバ102との間の中間ガス・リザーバとして機能する、コンダクタンス増加ライン部分を備えてもよい。ガス送達ラインは、加えて、経路内に、質量流量コントローラ(MFC)132と、それぞれの前駆体を薄膜堆積チャンバ内へと導入するそれぞれの前駆体バルブとを含む。さらに有利には、バルブの少なくともいくつかは原子層堆積(ALD)バルブであることができる。ガス送達ラインは、ガス分配プレート112を通して堆積チャンバ102に接続される。
【0040】
単に例証目的のため、図1の図示される構成では、複数の前駆体は第1の前駆体及び第2の前駆体を含む。第1の前駆体は少なくとも1つの第1の前駆体源120に格納され、第2の前駆体は少なくとも1つの第2の前駆体源124に格納される。前駆体送達システム106は、第1及び第2の前駆体をそれぞれ、第1及び第2の前駆体源120、124から第1及び第2の前駆体送達ライン110、114を通して堆積チャンバ102内へと送達するように構成される。第1及び第2の前駆体送達ライン110、114はそれぞれ、高コンダクタンス・ライン部分130、134を含む。高速パージ(RP)ガスは、少なくとも2つのRPガス源128-1、128-2に格納することができる。前駆体送達システム106は、高速パージ(RP)ガスを、RPガス源128-1、128-2から、RPガス送達ライン118-1、118-2のそれぞれを通して堆積チャンバ102内へと送達するように構成される。RPガス送達ライン118-1、118-2はそれぞれ、高コンダクタンス・ライン部分138-1、138-2を含む。連続パージ(CP)ガスは、少なくとも2つのCPガス源134-1、134-2に格納することができる。前駆体送達システム106は、CPガスを、CPガス源134-1、134-2から、CPガス送達ライン114-1、114-2のそれぞれを通して堆積チャンバ102内へと送達するように構成される。
【0041】
第1及び第2の前駆体はそれぞれ、共通のガス分配プレート112に並列に接続された第1及び第2の前駆体原子層堆積(ALD)バルブ140及び144を独立して作動させることによって、第1及び第2の前駆体源120、124から送達されるように構成される。加えて、RPパージ・ガスは、共通のガス分配プレート112に並列に接続された2つのパージ・ガス原子層堆積(ALD)バルブ148-1、148-2をそれぞれ独立して作動させることによって、RPパージ・ガス源128-1、128-2から送達されるように構成される。ALDバルブ140、144、148-1、及び148-2、ならびにガス分配プレート112に接続されたそれぞれの送達ラインは、堆積チャンバ102の蓋に取り付けられてもよいマルチバルブ・ブロック・アセンブリ150(図5A)を通して、それぞれのガスをノズル108内へと供給するように配置することができる。図示される構成では、ALDバルブ140、144、148-1、及び148-2は、それぞれのガスが堆積チャンバ102内へと導入される前の最終バルブである。
【0042】
単なる例として、第1及び第2の前駆体はそれぞれ、TiCl及びNHを含むことができ、それらは、それぞれのTiCl源及びNH源からそれぞれの前駆体送達ラインを通して堆積チャンバ102内へと送達されて、例えばTiNを形成する。前駆体送達システムは、加えて、Arをパージ・ガスとして、Ar源からパージ・ガス送達ラインを通してプロセス・チャンバ内へと送達するように構成することができる。パージ・ガスは、前駆体ALDバルブを通して送達されてもよい、連続パージ(CP)ガスとして、ならびに/あるいは図1に示されるような専用パージ・ガスALDバルブを通して送達されてもよい、高速パージ(RP)ガスとして送達されてもよい。図示される前駆体送達システム100は、ArをRPガスとして、パージ・ガス源128-1、128-2から、それぞれのパージ・ガス送達ライン及びパージ・ガスALDバルブ148-1、148-2を通してプロセス・チャンバ102内へと送達するように構成することができる。
【0043】
様々な実施形態によれば、薄膜堆積システム100は、プラズマを利用しない熱ALD用に構成されている。プラズマ促進原子層体積(PE-ALD)などのプラズマ促進プロセスは、比較的低いアスペクト比を有する表面上に共形膜を形成するのに有効であり得るが、かかるプロセスは、比較的高いアスペクト比を有するビア及びキャビティ内部に膜を堆積させるのには有効ではないことがある。理論によって制限されるものではないが、これに対する1つのあり得る理由は、状況によっては、高アスペクト比のビアのより深い部分にプラズマが到達しないことがあるためである。これらの状況では、ビアの異なる部分が異なる量のプラズマに暴露されることがあり、それによって、より深い部分と比較してより厚い膜がビアノ開口部付近に堆積される(カスプ形成又はキーホール形成と呼ばれることがある)など、望ましい構造上の影響が不均一な堆積から生じる。これらの理由から、熱ALDなどの熱サイクル蒸着(thermal cyclic vapor deposition)がより有利なことがあるが、それは、かかる熱プロセスが、堆積が行われる表面の部分にプラズマが到達できることに依存しないためである。
【0044】
図示される前駆体送達システム100は、一部には、送達ラインの高コンダクタンス・ライン部分が存在することにより、堆積チャンバ102内へと送達される前駆体の流量及び安定性を増加させる。本発明者らは、安定性を犠牲にすることなく短い前駆体暴露時間を達成することが、本明細書(例えば、図2A図2B)に記載するような複数のプロセス・ステーションを有するプロセス・チャンバにとって特に困難な場合があり、それは、複数のプロセス・ステーションに送達される前駆体を組み合わせた体積が大きくなるためであることを発見している。
【0045】
図2Aは、高コンダクタンス・ライン部分及びALDバルブを含む、本明細書に開示する様々な実施形態によって特に利益を得ることができる、一例のベース堆積チャンバを示している。図2Aは、複数の処理ステーションを備える堆積チャンバ200Aの蓋部分210の斜視図を示している。各処理ステーションは、プロセス温度、プロセス圧力、及び前駆体の組み合わせを含む、独自の処理条件下で基板を処理するように構成される。図示される実施形態では、対応する蓋112-1、112-2、112-3、112-4を有する、4つの処理ステーションがある。処理ステーションは、例えば、それぞれの前駆体送達ラインを通して1つ又は複数の前駆体を送達するようにそれぞれ構成された、単一基板処理ステーションであることができる。図示されるプロセス・チャンバはマルチステーション・プロセス・チャンバであるが、本明細書に開示する実施形態はそれに限定されず、任意の好適な単一ウェハ・マルチウェハ・プロセス・チャンバで実現できることが認識されるであろう。蓋112-1、112-2、112-3、112-4の図示される上側部分は、物理的に堆積チャンバ102(図1)の外部にある。プロセス・チャンバの内部では、蓋112-1、112-2、112-3、112-4はそれぞれ、サセプタ上の基板の上で前駆体を拡散させるように構成された、シャワーヘッドとも呼ばれるガス分配プレート(図示なし)を含むか又はそれに取り付けられている。
【0046】
各処理ステーションは、例えば、図1に関して上述したのと同様の形で構成することができ、蓋112-1、112-2、112-3、112-4のそれぞれ1つを備える。図1に戻ると、MFCのそれぞれ1つの後、ガス送達ラインはそれぞれ、それぞれのマニホルド136で複数のラインへと分岐する。分岐したラインはそれぞれ、それぞれのガスを処理ステーションの1つへと供給することができる。例えば、各蓋へと供給するのは、図1に関して上述したようなガス送達ライン118-1、114-1、110、及び114に対応することができる、4つのガス・ライン、例えば1/4インチラインである。図示される堆積チャンバは、図1に関して上述したのと同様の形で、プロセス条件下で、支持体、例えばサセプタ上の基板を処理するようにそれぞれ構成された、1つ又は複数の処理ステーションを備える。
【0047】
図2Aに示されるものなど、一例のベース堆積チャンバは、高コンダクタンス・ライン部分及びALDバルブを含む、本明細書に開示する実施形態の様々な組み合わせから特に利益を得ることができ、それにより、共形性、ステップ・カバレッジ、及び均一性などの望ましい膜特性を犠牲にすることなく、各前駆体に対する暴露を大幅に短縮することができる。
【0048】
高速周期的堆積システムのための高コンダクタンス・ライン部分
本明細書に開示する高速周期的堆積を可能にする特徴の様々な組み合わせは、高コンダクタンスを有するとともに中を通る流量が大きい中間リザーバとして機能する高コンダクタンス・ライン部分を含む。図2Bは、実施形態による、高コンダクタンス・ライン部分を有する前駆体送達ラインを通して前駆体を導入するように構成された複数の処理ステーションを備える、堆積チャンバの蓋部分の斜視図を示している。堆積チャンバ200Bの蓋部分210は、様々な実施形態による、高インダクタンス・ライン部分及びALDバルブを含む様々な特徴が実現されている、図2Aに記載される蓋部分210の一例を表すことができる。明瞭にするため、図2Cは、他の構成要素なしで、図2Bに示される処理チャンバのための高コンダクタンス・ライン部分を有する前駆体送達ラインの斜視図を示している。
【0049】
堆積チャンバ200Bの図示される蓋部分210は、図2Aに関して上述した堆積チャンバ200Aの蓋部分210のベース構成要素と同様のベース構成要素を含み、簡潔にするため、それらの詳細については本明細書で繰り返さない。例えば、蓋部分の堆積チャンバ200Bは、複数の前駆体及び1つ又は複数のパージ・ガスを送達する前駆体送達システムをそれぞれ備えた、蓋112-1、112-2、112-3、112-4を含む。前駆体及びパージ・ガスはそれぞれ、それぞれのガス送達ラインによって堆積チャンバ200Bに接続される。送達ラインはそれぞれ、図1に示される薄膜堆積システムに関して上述したような、一端にあるそれぞれのガス源に接続される。他方で、送達ラインは、ALDバルブに接続された4つのローカル送達ラインに分割され、ALDバルブは次にシャワーヘッドの処理ステーションに接続される。
【0050】
図2Aに示される薄膜堆積チャンバ200Aでは、ガス送達ラインは、ガス送達ライン全体を通して一定であることができる、例えば0.25~0.5インチの直径を有する、標準的なガス・ラインであってもよい。図2Aに示される薄膜堆積チャンバのガス送達ラインとは異なり、図2Bに示されるガス送達ラインの少なくともいくつかは、様々な実施形態によれば、前駆体又はパージ・ガス源と薄膜堆積チャンバ200Bとの間の中間ガス・リザーバとして機能する、コンダクタンス増加ライン部分を備える。
【0051】
明瞭にするために図2Cと併せて図2Bを参照すると、高コンダクタンス・ライン部分は、ガス送達ラインがガスを複数の処理ステーション内へと送達するローカル送達ラインへと分岐する前の、それぞれのガス源と薄膜堆積チャンバとの間に配設される。
【0052】
図2B及び図2Cを参照すると、図示される薄膜堆積チャンバ200B及び前駆体送達システム200Cは、3つの異なる前駆体及び高速パージ・ガスを、高コンダクタンス・ライン部分を含むそれぞれのガス送達ラインを通して送達するように構成される。図1に関して上述したのと同様の形で、第1、第2、及び第3の前駆体(Prec.1、Prec.2、Prec.3)は、それぞれの第1、第2、及び第3の前駆体源(図示なし)に格納される。上述した前駆体送達システム106(図1)と同様の形で、前駆体送達システム200Cは、第1、第2、及び第3の前駆体(Prec.1、Prec.2、Prec.3)をそれぞれ、第1、第2、及び第3の前駆体源から、第1、第2、及び第3の前駆体送達ライン210、214、及び228を通して堆積チャンバ102(図1)内へと送達するように構成される。第1、第2、及び第3の前駆体送達ライン210、214、及び228はそれぞれ、それぞれの高コンダクタンス・ライン部分230、234、及び238を含む。高コンダクタンス・ライン部分230、234、及び238には、圧力モニタリング・センサ230P、234P、及び238Pがそれぞれ取り付けられている。加えて、高速パージ(RP)ガスをそれぞれのRPガス源(図示なし)に格納することができる。上述した前駆体送達システム106(図1)と同様の形で、前駆体送達システム200Cは、RPガスをRPガス源から、RPガス送達ライン218-1、218-2のそれぞれ1つを通して堆積チャンバ102(図1)内へと送達するように構成される。RPガス送達ライン218-1、218-2はそれぞれ、高コンダクタンス・ライン部分228-1、228-2を含む。
【0053】
様々な実施形態によれば、中間ガス・リザーバとして機能する高コンダクタンス送達ライン部分は、いくつかのガス送達ラインの少なくともいくつかの部分として含まれる。本発明者らは、高コンダクタンス・ライン部分の比較的高いコンダクタンスが、有利には、比較的多量のガスを流して前駆体又はパージ・ガス暴露時間を低減することを可能にすることを発見している。単なる例として、図2B及び図2Cに示される例の構成では、前駆体送達ライン210、214、及び228それぞれのための高コンダクタンス・ライン部分230、234、及び238、ならびにRPパージ・ガス送達ライン218-1及び218-3それぞれのための高コンダクタンス・ライン部分228-1及び228-2は、例えば円筒形状でフロー方向に延び、0.5インチ、1インチ、1.5インチ、2.0インチ、2.5インチ、3.0インチ、3.5インチ、4.0インチ、4.5インチ、5インチ、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を有する直径を有する。高コンダクタンス・ライン部分は、加えて、5インチ、10インチ、20インチ、50インチ、100インチ、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を超える長さを有する。このような構成で、例えば0.25インチ又は0.5インチの、標準的な直径で形成される低コンダクタンス・ライン部分に対して、高コンダクタンス・ライン部分のコンダクタンスは、様々な実施形態によれば、4、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10,000、又はこれら以上の値によって規定される範囲内の値よりも高いものであり得る。
【0054】
本発明者らはさらに、高流量のための高インダクタンスに加えて、高コンダクタンス・ライン位置は、有利には、繰り返されるか又は比較的長い暴露がもたらす圧力変動又はドリフトが比較的少なくなるように、十分な量の前駆体及びパージ・ガスを供給するように構成されることを見出している。様々な実施形態によれば、高コンダクタンス・ライン部分は、0.3L、0.5L、1.0L、1.5L、2.0L、2.5L、3.0L、3.5L、4.0L、4.5L、5.0L、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を超える体積を有する。単なる例として、図2B及び図2Cに示される実施形態では、Prec.1(例えば、TiCl)、Prec.2(例えば、SiHCl)、Prec.3(例えば、NH)、及びRP(例えば、N)のためのガス送達ラインの高コンダクタンス・ライン部分はそれぞれ、3.4L、0.56L、0.56L、及び0.4Lの体積を有する。
【0055】
有利には、本明細書に記載するような高コンダクタンス・ライン部分を含む送達ラインは、前駆体暴露の所与のパルスに対して多い前駆体使用量を送達するように構成される。実施形態によれば、送達ラインは、50sccm、1000sccm、2000sccm、4000sccm、6000sccm、8000sccm、10,000sccm、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値よりも大きい流量で、ガスを流すように構成される。有利には、比較的多い使用量は、特定の基板表面飽和レベルに達するまでの暴露時間もしくはパルス回数、又は両方を低減することができる。
【0056】
本発明者らは、本明細書に開示するような高コンダクタンス送達ラインの物理的形状及び寸法に加えて、堆積チャンバ内への入口点に対する位置付けを、有利には、前駆体の滞留時間を低減するように最適化できることを理解している。図2Bに示されるように、前駆体送達のための高コンダクタンス・ライン部分230、234、及び238、ならびにパージ・ガス送達のための高コンダクタンス・ライン部分228-1、228-2は、蓋112-1、112-2、112-3、112-4のうち少なくとも1つに重なるように、蓋部分210の上方に配設される。加えて、高コンダクタンス・ライン部分からの出口点から、所与のガスのためのそれぞれのALDブロックまでの低コンダクタンス・ライン部分(出口点からマニホルド136までの部分、及びマニホルドからALDバルブ・ブロックまでの部分を含む)の長さは、30インチ、25インチ、20インチ、15インチ、10インチ、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の距離である。
【0057】
図3は、異なる体積を有する異なる高コンダクタンス・ライン部分に対して、連続暴露パルスを用いてプロセス・チャンバに送達された前駆体体積を示す実験グラフである。測定は、一例としてTiClを使用して、図2B及び図2Cに関して上述したような高コンダクタンス・ライン部分230を含む第1の前駆体送達ライン210と同様の、前駆体送達ラインから行った。測定は、高コンダクタンス・ライン部分を含む前駆体送達ラインを最初に充填し、続いてALD堆積の複数のサイクルを適用することによって行った。測定は、1.6標準リットル毎分(SLM)、3.2SLM、及び4.4SLMの流量用に構成された送達ラインに対して行った。データを得るのに使用した実験ALDサイクルが上部に示されており、0.4秒のTiClパルス、0.05秒の高速パージ、0.2秒のNHパルス、及び0.05秒の高速パージが連続して実施された。1.6SLM、3.2SLM、及び4.4SLMの異なる流量に対して構成された前駆体送達ラインの場合、各連続パルスで送達されたガスの体積は、パルスの回数が増加するにつれて非線形的に減少している。1.6SLM、3.2SLM、及び4.4SLMの異なる流量に対して構成された前駆体送達ラインの場合、第1のパルスによって送達された前駆体の観察された体積はそれぞれ、0.4秒のパルスで、約0.27L、0.55L、及び0.76Lであった。様々な実施形態によれば、0.4秒ごとに送達されたガスの体積は、0.2L、0.4L、0.6L、0.8L、1.0L、1.2L、1.5Lを超えるか、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を有することができる。
【0058】
図4A及び図4Bはそれぞれ、原子層堆積(ALD)バルブを開放して前駆体を薄膜プロセス・チャンバに導入する際の、高コンダクタンス・ライン部分を有する、及び有さない前駆体送達ラインにおける圧力変化の実験測定値を示している。圧力変化は、図2Bに示されるような圧力モニタリング・センサ230Pを使用して、図2B及び図2Cに関してそれぞれ上述したような高コンダクタンス・ライン部分230を含む第1の前駆体送達ライン210と同様の、前駆体送達ラインから測定した。測定は、前駆体送達ライン210に一例の前駆体としてのTiClを充填し、それに接続されたALDバルブを0.1秒開放することによって行った。図示されるように、高コンダクタンス・ライン部分230が存在することで、有利には、前駆体送達ライン内の圧力降下が大幅に低減される。図4Aに示されるように、高コンダクタンス・ライン部分230がない場合、前駆体送達ライン内部の圧力降下が50Torr又は70%(71Torrから17Torrへ)を超えることができる。対照的に、バルブ、例えば、実施形態による高コンダクタンス・ライン部分230を含む前駆体送達ライン210に接続されたALDバルブを開放して、前駆体を薄膜堆積チャンバ内へと導入することで、圧力降下が大幅に低下する。図4Bに示されるように、前駆体送達ライン内部の圧力降下は、3Torr又は5%を超えない。図8Aに関して後述するように、本発明者らは、ビア又はトレンチ内に堆積される膜の高いステップ・カバレッジ値を得るために、プリチャージ圧力が重要であり得ることを示している。
【0059】
図4A及び図4Bに示されるのと同様の実験に基づいて、本発明者らは、ALDバルブを作動させる直前の高コンダクタンス・ライン部分内部の圧力、暴露中の高コンダクタンス・ライン部分内の圧力変化、高コンダクタンス・ライン部分内部の平均圧力の実行間標準偏差、及び高コンダクタンス・ライン部分内部の平均圧力の実行間圧力ドリフトのうち1つ又は複数が、ステップ・カバレッジなどの特定の膜特性に対して重要であり得ると判断している。実施形態によれば、ALDバルブを開放して基板を暴露する前の送達ライン部分内部の圧力は、40Torr、50Torr、60Torr、70Torr、80Torr、100Torr、120Torr、140Torr、160Torr、180Torr、200Torr、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値よりも上で保たれる。実施形態によれば、少なくとも部分的に、高コンダクタンス・ライン部分が存在することによって、バルブ開放時の、例えば1秒未満の、高コンダクタンス・ライン部分における圧力変化又は降下は、50Torr、40Torr、30Torr、20Torr、10Torr、5Torr、3Torr、1Torr、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値未満、あるいは70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値未満である。さらに実施形態によれば、少なくとも部分的に高コンダクタンス・ライン部分が存在することによって、高コンダクタンス・ライン部分における圧力変化の実行間標準偏差は、5Torr、4Torr、3Torr、2Torr、1Torr、0.5Torr、0.3Torr、0.1Torr、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値未満、あるいは平均値の20%、15%、10%、5%、2%、1%、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値未満である。さらに実施形態によれば、少なくとも部分的に、高コンダクタンス・ライン部分が存在することによって、高コンダクタンス・ライン部分における平均圧力の実行間ドリフトは、20Torr、15Torr、10Torr、8Torr、6Torr、4Torr、2Torr、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値未満、あるいは平均値の30%、25%、20%、15%、10%、5%、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値である。非限定的に、高アスペクト比の開口部に対するステップ・カバレッジ、及び厚さのウェハ内均一性を含む、様々なプロセス安定性及び改善された膜特性を提供することに関するこれらのパラメータのさらなる実験的検証は、図8A図8Cに対して示されている。
【0060】
有利には、実施形態による中間ガス・リザーバとして機能する高コンダクタンス・ライン部分によって、前駆体送達ライン内部の圧力を過度に増加させることなく、本明細書に記載する様々な有利な技術的効果、例えば、1つ又は複数の処理ステーションを含むプロセス・チャンバに関する高流量及び暴露時間の低減が可能になり、それによって、業界標準にしたがって安全性が改善される。実施形態によれば、コンダクタンス増加ライン部分は、650Torr、600Torr、550Torr、500Torr、450Torr、400Torr、350Torr、300Torr、250Torr、200Torr、150Torr、100Torr、50Torr、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値未満である、送達ライン内部の圧力を維持するように構成される。
【0061】
高速周期的堆積システムのためのALDバルブ
本明細書に開示するような高速周期的体積の特徴を可能にする様々な組み合わせは、さらに、本明細書に開示するようなALDバルブを含む。図2Bに戻ると、薄膜堆積チャンバ200Bは、前駆体及びパージ・ガスを送達する高コンダクタンス・ライン部分を含む送達ラインを有して構成される。高コンダクタンス・ライン部分の後、各送達ラインは、図1に関して上述したのと同様の形で、それぞれの共通マニホルド136から分岐する。前駆体及びパージ・ガスをそれぞれの処理ステーションに送達するため、堆積チャンバ200Bの蓋部分210の上には、蓋部分112-1、112-2、112-3、112-4が取り付けられる。蓋部分112-1、112-2、112-3、112-4は、マルチバルブ・ブロック250-1、250-2、250-4、250-4のそれぞれ1つの中央位置に配設されている。マルチバルブ・ブロック250-1、250-2、250-3、250-4には次に、複数のALDバルブが取り付けられており、それがさらに、高速周期的堆積を可能にすることができる。これらのマルチバルブ・ブロック250-1、250-2、250-3、250-4の例示の構成が本明細書に記載される。
【0062】
図5Aは、実施形態による、高コンダクタンス・ライン部分を有する前駆体送達ラインを用いて構成された、前駆体送達システムのためのマルチバルブ・ブロック・アセンブリの斜視図を示している。マルチバルブ・ブロック・アセンブリ250は、マルチバルブ・ブロック・アセンブリ250-1、250-2、250-3、250-4(図2B)のいずれか1つに対応することができ、同様に、図1に概略的に示されるマルチバルブ・ブロック・アセンブリ150に対応することができる。マルチバルブ・ブロック・アセンブリ250は、第1及び第2のマルチバルブ・ブロック304-1、304-2のうち1つをそれぞれ備える、2つの半分に分割される。第1及び第2のマルチバルブ・ブロック304-1、304-2にはそれぞれ、複数のALDバルブが接続されている。単なる例として、図示される実施形態では、第1のマルチバルブ・ブロック304-1は、それに接続された2つの第1の前駆体ALDバルブ140-1、140-2を通して、第1の前駆体(Prec.1)、例えばTiClを、またそれに接続された2つの第2の前駆体ALDバルブ144-1、144-2を通して、第2の前駆体(Prec.2)、例えばSiClを送達するように構成される。第1のマルチバルブ・ブロック304-1はさらに、それに接続された第1のパージ・ガスALDバルブ148-1を通して、パージ・ガス、例えばN又はArを送達するように構成される。第2のマルチバルブ・ブロック304-2は、それに接続された4つの前駆体ALDバルブ220-1、220-2、220-3、220-4を通して、第3の前駆体(Prec.3)、例えばNHを送達するように構成される。第2のマルチバルブ・ブロック304-2はさらに、それに接続された第2のパージ・ガスALDバルブ148-2を通して、パージ・ガス、例えばN又はArを送達するように構成される。このように構成されたマルチバルブ・ブロック・アセンブリ250は、実施形態にしたがって、3つの前駆体及びパージ・ガスに対して同じ前駆体を送達するように構成された、2つ以上の原子層堆積(ALD)バルブを備える。図示されるマルチブロック・アセンブリ250には10個のALDバルブが結合されている。しかしながら、実施形態はそれに限定されず、ALDバルブの数は10個よりも多い場合又は少ない場合があり得る。
【0063】
さらに図5Aを参照すると、マルチバルブ・ブロック・アセンブリ250は底部で、堆積チャンバ102(図1)の蓋の上面の中央領域に接続される。蓋の上面は物理的に堆積チャンバ102の外部にある。このような構成で、マルチバルブ・ブロック・アセンブリ250は、堆積チャンバ102内部の基板の中央領域の直上にALDバルブを位置付けるように構成される。前駆体及びパージ・ガスのALDバルブは、薄膜堆積チャンバ102の外部に配設されたマルチバルブ・ブロック・アセンブリ250に接続され、マルチブロック・アセンブリ250は、前駆体及びパージ・ガスを受け入れ、それぞれのALDバルブを通して薄膜堆積チャンバ100(図2B)内へと導入するためのハブとして機能するように構成される。プロセス・チャンバの内部で、蓋の上にはノズル108(図1)が取り付けられており、ノズルは次に、前駆体をサセプタ116(図1)上の基板120(図1)の上で拡散するように構成された、シャワーヘッドとも呼ばれるガス分配プレート112(図1)に接続される。
【0064】
図5Bは、実施形態による、並列に接続された複数のALDバルブを共通のガス分配プレートに結合するように構成された、図5Aに示されるマルチバルブ・ブロックのうち1つの斜視図を示している。マルチバルブ・ブロックは、導管又はチャネルが中に形成された固体ブロックであってもよく、薄膜堆積チャンバ102(図1図2B)の外部に配設され、また前駆体のうち第1のものを受け入れるとともに、中に規定された内部導管又はチャネルを通して前駆体及びパージ・ガスを導く、ハブとして機能する。特に、図5Bは、図5Aに示される第1のマルチバルブ・ブロック304-1の斜視図を示している。明瞭にするため、第1のマルチバルブ・ブロック304-1は、ALDバルブが取り付けられていない状態で示されている。代わりに、第1の前駆体(Proc.1)、例えばTiClを送達するように構成された、2つの第1の前駆体ALDバルブ140-1、140-2、第2の前駆体(Prec.2)、例えばSiClを送達するように構成された、2つの第2の前駆体ALDバルブ144-1、144-2、ならびに不活性ガスを送達するように構成された第1のパージ・ガスALDバルブ148-1について、取付け位置が点線の円によって示される。2つの第1の前駆体ALDバルブ140-1、140-2、及び2つの第2の前駆体ALDバルブ144-1、144-2の取付け位置はそれぞれ、入口(IN)、出口(OUT)、及び不活性ガス入口(INERT)を含む。上述したような3ポートALDバルブである前駆体ALDバルブとは異なり、上述したような2ポートALDバルブである第1のパージ・ガスALDバルブ148-1の取付け位置は、入口(IN)と出口(OUT)を含むが、不活性ガス入口は省略される。
【0065】
第1のマルチバルブ・ブロック304-1は、前駆体及びパージ・ガスを受け入れる複数のガス入力ポート308、312、316、320を含む。図示される構成では、入力ポート308及び312は、図5Aに示される構成と同様に、第1の前駆体(Prec.1)、例えばTiCl、及び第2の前駆体(Prec.2)、例えばSiClを供給するように構成される。加えて、入力ポート316、320はそれぞれ、高速パージ(RP)ガス及び連続パージ(CP)ガスとして送達するため、パージ・ガス、例えばN又はArを供給するように構成される。図示されないが、第2のマルチバルブ・ブロック304-2は、第3の前駆体(Prec.3)が2つの前駆体入力ポート308及び312内へと供給することを除いて、同様に構成されてもよい。当然ながら、入力ポートは図示される構成に限定されず、ガスの数、及びガスごとに望ましい送達ライン/ALDバルブの数に応じて、追加の入力ポート又はより少数の入力ポートがあってもよい。
【0066】
さらに図5Bを参照すると、入力ポート308、312、316、320を通って入る際、それぞれの前駆体及びパージ・ガスは、それぞれのALDバルブ内へと導入される前にそれぞれの導管を通って案内される。前駆体はそれぞれ、それぞれの入口を通って、ALDバルブ140-1、140-2、144-1、144-2のそれぞれ1つに入る。CPガスは、パージ・ガス入口(INERT)のそれぞれを通って、前駆体ALDバルブ140-1、140-2、144-1、144-2それぞれに入る。前駆体及びCPガスのそれぞれは、出口(OUT)のそれぞれを通って出て、出口導管328のそれぞれを通って移動した後、垂直方向に延びる中央導管324内へと導入されてから、中央出口332を通って第1のマルチバルブ・ブロック304-1を出て、例えばノズル108(図1)及びガス分配プレート112(図1)を通って、堆積チャンバ102(図1及び図2B)に入る。
【0067】
中央導管324は、基板120(図1)の中央領域の上に配設されてもよく、複数のALDバルブからの前駆体及びパージ・ガスを統合し、その後、例えばノズル108(図1)を通して、堆積チャンバ内へと導入してから、ガス分配プレート112(図1)によって分配するように構成される。したがって、図示される構成では、中央導管324は、前駆体及びパージ・ガスが堆積チャンバ102内へと導入される前の最終導管である。本発明者らは、中心に配設された位置及び導管の配置を含むマルチバルブ・ブロック・アセンブリ250(図5A)の構成が、高速前駆体送達時間を含む、様々な利点を実現するのに重要であり得ることを発見している。例えば、本発明者らは、基板120(図1)の表面の垂直方向上方に配設されたALDバルブの垂直位置が、1秒未満の暴露時間で基板表面を各前駆体で実質的に飽和させるのを達成するのに重要であり得ることを発見している。本明細書に記載するように、実質的な飽和とは、暴露時間を増加しても成長速度が実質的に増加しない状態を指す。例えば、様々な材料に対して、暴露時間を20%、50%、100%、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値で増加させても、1%、2%、5%、10%、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を超えて成長速度が増加しない。
【0068】
特に、さらに図5Bを参照すると、様々な設計パラメータの中で、本発明者らは、ALDバルブから中央出口332までの距離を規定する、前駆体及びパージ・ガスALDバルブの出口(OUT)の垂直位置、ならびに中央導管324の直径が、それらの組み合わせで中央導管324のコンダクタンスを規定し、ALDバルブから基板までの前駆体の滞留時間を低減するのに重要であり得ることを発見している。前駆体滞留時間を低減するため、様々な実施形態によれば、最大値が中央導管324の長さによって規定される、中央導管324の下端部を規定する、中央出口332に対する前駆体及びパージ・ガスALDバルブの出口(OUT)の垂直位置は、5インチ、4インチ、3インチ、2インチ、1インチ未満であるか、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を有する。加えて、中央導管324は、0.2インチ、0.30インチ、0.40インチ、0.50インチ、0.60インチ、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値よりも大きい直径を有する。図示される例では、中央導管324の長さは約3.7インチであり、前駆体ALDバルブ140-1、140-2、144-1、及び144-2それぞれの出口は、中央出口332の約2.0インチ以内に配設される。高速パージ(RP)を導入するための第1のパージALDバルブ148-1のOUTは、前駆体ALDバルブ140-1、140-2、144-1、及び144-2の上方に配設されるので、第1のパージALDバルブ148-1のOUTはそれよりも遠い、中央出口332の約4インチ以内に配設される。加えて、中央導管324は0.375インチの直径を有する。
【0069】
本発明者らはさらに、ALDバルブの出口(OUT)から中央導管324までのコンダクタンスを規定する、出口導管328の長さ、及び出口導管328の直径が、それらの組み合わせで出口導管328のコンダクタンスを規定し、やはりALDバルブから基板までの前駆体の滞留時間を低減するのに重要であり得ることを発見している。前駆体滞留時間を低減するため、様々な実施形態によれば、出口導管328は、2インチ、1.5インチ、1インチ、0.5インチ、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を有するように設計することができる。加えて、出口導管328は、0.10インチ、0.20インチ、0.30インチ、0.40インチ、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値よりも大きい直径を有する。図示される例では、出口導管328の長さ及び直径はそれぞれ、0.86インチ及び0.216インチである。
【0070】
さらに図5Bを参照すると、本発明者らはさらに、入力ポート308、312、316、320と中央出口332との間の導管の全長におけるベンドの数を少なく保って、導管全体のコンダクタンスを改善し、それによって基板のコンダクタンス及び基板へのガス送達時間を改善できることを発見している。様々な実施形態によれば、ベンドの数は、3つ、2つ、又は1つ以下である。図示される例では、入力ポート308、312、316、320と中央出口332との間の導管の全長それぞれにおけるベンドの数は4つ以下であり、入力ポート308、312、316、320とALDバルブ140-1、140-2、144-1、144-2、148-1のINそれぞれとの間のベンドは2つ又は3つ、ALDバルブのOUTそれぞれと中央出口332との間のベンドは1つである。
【0071】
さらにまた、本発明者らはさらに、マルチバルブ・ブロック250の中央垂直軸、中央導管324、及び/又は中央出口332(図5B)を、堆積チャンバの蓋及び/又は基板の中央位置に緊密に位置合わせして、ガス滞留時間及び/又は基板へのガス送達時間を最小限に抑えるのが有利であることを発見している。様々な実施形態によれば、マルチバルブ・ブロック250の中央垂直軸、中央導管324、及び/又は中央出口332(図5B)、ならびに堆積チャンバの蓋及び/又は基板の中央位置の横方向オフセットは、2インチ、1インチ、0.5インチ、0.25インチ以下であるか、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を有する。
【0072】
さらに図5Bを参照すると、このように構成された、同じガス(前駆体又はパージ・ガス)を送達するように構成された複数のALDバルブは、入力ポート308、312、316、320の共通する1つに上流で共通して接続することができる。個々の入口導管へと分岐し、それぞれのALDバルブ内へと供給した後、各ガスは、共通の中央導管324を通して堆積チャンバ102(図1図2B)内へと送達される。このように構成された、第1のマルチバルブ・ブロック304-1に接続された2つ以上の原子層堆積(ALD)バルブは、有利には、同じガスを堆積チャンバ内へと同時に又は順次供給するように構成される。
【0073】
図5Cは、実施形態による、図5Bに示されるマルチバルブ・ブロックに結合するように構成された、ALDバルブのうち1つの斜視図を示している。図示されるALDバルブ350は、実施形態による、図5A及び図5Bに関して上述した、第1の前駆体ALDバルブ140-1、140-2、第2の前駆体ALDバルブ144-1、144-2、及びパージ・ガスALDバルブ148-1のうち1つを表すことができる。図示されるALDバルブ350は、図5Bに示されるものなど、マルチバルブ・ブロックに結合された上部354及び下部358に分割される。上部354及び下部358は、上部354及び下部358を空気圧で結合する結合部分362によって接続される。図示されるALDバルブ350は、加えて、温度感知及び/又は制御のための熱電対ユニット366を含む。上部354は、他の様々な構成要素の中で、ソレノイド・パイロット・バルブを含む、空気圧アクチュエータ・アセンブリを含む。下部358は、他の様々な構成要素の中で、バルブ本体、バルブ・ダイヤフラム、及びバルブ・シートを含む、バルブ本体部を含む。バルブ・ダイヤフラムの位置は位置センサによってモニタリングすることができる。このような構成で、ALDバルブ350は、パイロット式のダイヤフラム・ソレノイド・バルブとして構成することができる。本明細書に記載するように、パイロット式ソレノイド・バルブは、バルブ・ポートの上にある媒質の差圧を使用してバルブを開閉するソレノイド・バルブを指す。パイロット式のダイヤフラム・ソレノイド・バルブは、ダイヤフラムの直上の小さいチャンバを使用して、バルブの動作を支援する。プロセス流体は、入口ポートの小さいオリフィスを通ってチャンバに入ることが可能にされ、常時閉バルブ内で、ダイヤフラムを圧縮し、シートに力がかかって閉止シールを維持する。電流がパイロット・ソレノイドに印加されると、ダイヤフラムはばね圧に対抗して上方に引っ張られ、チャンバ内のパイロット流体が入口ポートのオリフィスを通して押し戻され、入口ポートでバルブ本体を通る主流に再合流する。パイロット式のダイヤフラム・ソレノイド・バルブは、高速(30ミリ秒未満の応答時間)で動作することができる。加えて、パイロット式のダイヤフラム・ソレノイド・バルブは、比較的多い流量を提供することができ、直動ソレノイド・バルブと比較して、より高い圧力及び温度範囲、より少ない消費電力で動作することができる。
【0074】
図5Dは、実施形態による、図5Cに示されるものなどのALDバルブの作動と関連付けられた様々な信号を示す一例の実験チャートである。実験チャートは、例として、バルブ・コントローラからALDバルブに電子的に送られるコマンド信号に対応する曲線370-1と、ソレノイド・パイロット・バルブの電気的プロファイルに対応する曲線370-2と、ダイヤフラム位置に対応する曲線370-3と、電子位置センサ信号に対応する曲線370-4とを示している。動作の際、曲線370-1に示されるように、コマンド信号がバルブ・コントローラによって与えられると、曲線370-2に示されるように、パイロット・バルブが作動される。ソレノイド・パイロット・バルブが完全に開くと、ダイヤフラムがその位置を変更し、曲線370-3に示されるように、バルブが開く。図5Dに示されるように、センサによって検証されるバルブの開放とパイロット・バルブの開放との間の持続時間は、作動速度を規定する。バルブが完全に開いた後、位置センサは、ダイヤフラムの位置を感知し、バルブがその開放を完了していると判断する。本明細書に規定するように、ALDバルブの応答時間は、図5Dに示されるように、コマンド信号がバルブ・コントローラからALDバルブに電子的に送られた時間から、ダイヤフラム位置センサによって感知されるような、ALDバルブが完全に開放又は閉止される時間までにかかる時間に対応する。図示されるALDバルブの場合、作動速度は5ms未満、応答時間は15ms未満である。
【0075】
上述したように、本明細書に開示する前駆体送達システムは、従来の薄膜堆積システムよりもはるかに多い、高コンダクタンス・ライン部分及びALDバルブを通る前駆体の流量を可能にするので、ALDサイクル時間を大幅に減少させることができる。加えて、本発明者らは、本明細書に開示する他の様々な改善によって、ALDサイクルの持続時間を低減できることを発見している。
【0076】
本発明者らは、ALDバルブの出口(OUT)と基板との間の距離(バルブ・基板間距離)を低減することが、十分な実質的表面飽和及び/又はALDサイクル時間に必要な時間をさらに低減するのに、有利であり重要であり得ることを発見している。したがって、実施形態によれば、実施形態によるALDバルブは、各処理ステーションの蓋部分の直上に配設され、処理ステーションは次いで対応するサセプタの上に配設される。ALDバルブは、例えば、基板(図1)の主表面に対して、30インチ、25インチ、20インチ、15インチ、10インチ、5インチ、3インチ、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内、あるいは50cm、40cm、30cm、20cm、10cm、5cm、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の距離以内に配設される。バルブ・基板間距離は、前駆体ALDバルブの出口(OUT)と中央導管324(図5B)の下端部を規定する中央出口332(図5B)との間の垂直距離と、中央出口332から基板表面までの垂直距離との合計であることができる。
【0077】
本発明者らは、ALDバルブのアクチュエータとパイロット・バルブのソレノイドとの間の配管の配置が、ALDバルブ応答時間にさらに影響し得ることを発見している。特に、本発明者らは、配管の長さを低減することで、有利にはバルブ応答時間が低減することを発見している。本発明者らは、上部354(図5C)にあるALDバルブのアクチュエータ・アセンブリと、下部358(図5C)にあるバルブ本体部との間の、直径1/8インチ又は1/4インチであり得る配管の長さ、より詳細には、例えば、アクチュエータ・アセンブリ内のソレノイドと本体のダイヤフラムとの間の距離を低減することによって、応答時間をさらに低減できることを発見している。実施形態によれば、この距離は、5インチ、4インチ、3インチ、2インチ、1インチ、0.5インチ未満、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を有するか、あるいは10cm、8cm、6cm、4cm、2cm、1cm、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値である。例えば、長さを36インチから3インチに低減することによって、応答時間を最大10ms低減できることが見出された。
【0078】
このように構成された、実施形態によるALDバルブは、ALDシステムの従来のバルブと比較して大幅に改善された、作動速度及び応答時間で動作するように構成される。様々な実施形態によれば、ALDバルブの作動速度は、10ms、5ms、4ms、3ms、2ms、またこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値未満に低減することができ、応答時間は、30ms、25ms、20ms、15ms、10ms、5ms、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値未満に低減することができる。これらの値は、例えば、50~90psigの作動圧力で達成することができる。
【0079】
本発明者らはまた、所与の圧力降下に対して流量を増加して応答時間を向上させるように、バルブ係数を最適化すべきであることを見出している。様々な実施形態によれば、ALDバルブは、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を超えるバルブ流量係数(C)を有する。
【0080】
一部の状況下では、実施形態によるALDバルブは、有利には、高温で動作させるように構成される。例えば、前駆体、例えば気化した液体の前駆体を、高温で堆積チャンバ内へと導入することが望ましい場合、対応するALDバルブ及び/又はマルチバルブ・ブロックを、例えば、マルチバルブ・ブロック内への導入ポイントにおける前駆体温度に一致させるように、室温よりも高い温度まで加熱するのが有利なことがある。様々な実施形態によれば、ALDバルブは、80℃、100℃、150℃、200℃、250℃、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の温度を超えるバルブ温度で動作するように構成される。特に、図5Cに戻ると、下部358はバルブ本体部を加熱するヒータを含んでもよい。これらの実施形態では、加熱が、アクチュエータ・アセンブリの動作に対する悪影響を有すること、例えば、作動速度の反復性を低減させることがあるので、結合部分362は、上部354に対する加熱効果を低減する断熱ハウジング部分を含んでもよい。
【0081】
様々な実施形態によれば、ALDバルブはそれぞれ、交換又は修理前に、200万、500万、1000万、2000万、5000万、1億、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を超える、開閉サイクルを行うように構成されてもよい。単一のALDバルブが所与の前駆体に使用されるとき、かかるサイクル回数の後に予防保守が実施されてもよい。有利には、所与の前駆体を導入するのに2つ以上のバルブが交互に使用された場合、ウェハごとの処理を基準にしたALDバルブの寿命を比例的に増加させることができる。予防保守又はチャンバ開放の間の持続時間を増加させることで、大幅に生産性を向上するとともに生産コストを低減できることが認識されるであろう。
【0082】
高速周期的堆積を使用する高ステップ・カバレッジを用いた共形のTiN系薄膜堆積
本明細書に開示するような前駆体送達ラインに、中間前駆体リザーバとして機能する高コンダクタンス・ライン部分を提供することによって、実施形態による前駆体送達システムは、有利には、プロセス・チャンバへと送達される前駆体の速度及び安定性を改善する。前駆体の使用量及び安定性の増加は、有利には、薄膜を堆積させる様々な有利な方法を可能にする。様々な実施形態によれば、薄膜を堆積させる方法は、薄膜堆積チャンバ内の基板を複数の前駆体に交互に暴露することを含む。基板を暴露することは、前駆体の1つを、前駆体のうち1つを供給するようにそれぞれ構成された前駆体送達ラインを通して、薄膜堆積チャンバ内に導入することを含む。基板を交互に暴露することは、前駆体のうち第1のものを用いて、最終バルブ、例えばALDバルブが閉止した状態で、高コンダクタンス・ライン部分を第1の圧力まで加圧することを含む。その後、最終バルブがある持続時間にわたって開放され、それにより、高コンダクタンス・ライン部分内の圧力が降下するが、その降下は従来のシステムと比べて比較的小さい。例えば、高コンダクタンス・ライン部分内の圧力は、第1の圧力よりも10%未満低いか又は図4Bに関して上述した他の任意の値の分低い、第2の圧力を上回ったままである。上述したように、方法を実施する際、本発明者らは、ALDバルブを作動させる直前の高コンダクタンス・ライン部分内部の圧力、暴露中の高コンダクタンス・ライン部分内の圧力変化、高コンダクタンス・ライン部分内部の平均圧力の実行間標準偏差、及び高コンダクタンス・ライン部分内部の平均圧力の実行間圧力ドリフトのうち1つ又は複数が、ステップ・カバレッジなどの特定の膜特性に対して重要であり得ると判断している。
【0083】
図6は、単なる例として、いくつかの実施形態による、前駆体送達システムを使用して1つ又は複数の前駆体を送達する一例の前駆体送達シーケンスを示している。第1及び第2の前駆体入口は、上述したように配置された高コンダクタンス・ライン部分を含む、第1及び第2の前駆体送達ラインに接続される。ALDサイクルは、基板を第1の前駆体に暴露する第1のサブサイクルと、基板を第2の前駆体に暴露する第2のサブサイクル戸を含む。上述したように、前駆体ALDバルブはそれぞれ3ポート・バルブであり、いくつかの実現例では、基板を第1の前駆体及び/又は第2の前駆体に暴露した状態で、連続パージ(CP)ガス、例えば不活性ガスがALDバルブに流されてもよい。図示される実施形態では、第1及び第2のサブサイクルはそれぞれさらに、不活性ガスによる高速パージ(RP)と、それに続く第1及び第2の前駆体それぞれの一方又は両方に対する暴露とを含む。高速パージは、上述したようなパージALDバルブを使用して実施されてもよい。高速パージは連続パージよりも大きい。
【0084】
有利には、第1及び第2の前駆体の一方又は両方は、上述したような、コンダクタンス増加ライン部分及びALDバルブを含む前駆体送達ラインのそれぞれを通して、薄膜堆積チャンバ内へと導入されてもよい。有利には、飽和レベルに達するための暴露時間は、第1及び第2の前駆体の一方又は両方に対して実質的に低減することができる。例えば、いくつかの実施形態によれば、所与の前駆体に関して、従来のガス送達ラインを使用して飽和レベルに達するための暴露時間に対して、暴露時間を、20%、40%、60%、80%、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を超えて低減させることができる。表面飽和レベルは、例えば、堆積速度に基づいて推論することができる。つまり、所与の前駆体に関して従来の前駆体送達ラインを使用するALDプロセスに対して、20%、40%、50%、60%、80%、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を超えて前駆体への暴露時間を低減しながら、実質的に同じ厚さを達成することができる。
【0085】
実施形態によれば、第1及び第2の前駆体の一方又は両方の暴露時間は、1.0秒、0.8秒、0.6秒、0.4秒、0.2秒、0.1秒、0.05秒、0.01秒、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値未満であることができる。薄膜堆積システムは、基板の表面が暴露時間内で飽和レベルに、例えば、40%、60%、80%、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の範囲を超える飽和レベルに実質的に達するような流量で、第1及び第2の前駆体の一方又は両方を、実施形態による前駆体送達ラインを通して導入するように構成される。高速パージが前駆体への暴露に続く実施形態では、第1及び第2のサブサイクルの一方又は両方の持続時間は、1.0秒、0.8秒、0.6秒、0.4秒、0.2秒、0.1秒、0.05秒、0.01秒、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値未満であることができる。第1及び第2の前駆体の一方又は両方の暴露時間を低減することによって、対応する第1及び第2のサブサイクルの一方又は両方の持続時間が低減されてもよく、それによってALDサイクル時間全体が低減される。実施形態によれば、ALDサイクル全体の持続時間は、2.0秒、1.5秒、1.0秒、0.85秒、0.5秒、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値未満である。
【0086】
図6は、単なる例として、TiCl及びNHを使用して、TiNの周期的堆積又はALDのための前駆体を送達する、1つの特定の例の前駆体送達シーケンスを示している。図示される上側の暴露サイクルは、本明細書に記載する高コンダクタンス・ライン部分及びALDバルブを使用して実現することができる暴露サイクルに対応することができ、第1の前駆体ALDバルブ140-1、140-2(図5A)を通したTiCl暴露サイクルを表すことができる。同様に、図示される下側の暴露サイクルは、第2の前駆体ALDバルブ144-1、144-2(図5A)を通したNH暴露サイクルに対応することができる。図1又は図2Bに関して上述したものと同様のプロセス・ステーションを採用することができる。例えば、プロセス・ステーションは、2つの第1の前駆体ALDバルブ140-1、140-2(図5A)を通してTiClを、4つの第2の前駆体ALDバルブ220-1、220-2、220-3、220-4(図5A)を通してNHを送達するように構成されてもよい。また、前駆体ALDバルブ140-1、140-2、220-1、220-2、220-3、220-4(図5A)はそれぞれ、連続パージ(CP)ガス、例えば不活性ガスを連続して流すように構成される。プロセス・ステーションはまた、高速パージ(RP)ガス、例えば不活性ガスを、2つのパージ・ガスALDバルブ148-1、148-2を通して送達するように構成されてもよい。図示される表は、所与の処理ステーションに対する典型的なパラメータ、及び異なるALDバルブに対するフロー条件を示している。この例では、それぞれのサブサイクル中に、2つの前駆体ALDバルブ140-1、140-2を通して同時にTiClを、4つの前駆体ALDバルブ220-1、220-2、220-3、220-4を通して同時にNHを、また2つのパージ・ガスALDバルブ148-1、148-2のうち1つを通してNを送達することによって、TiCl及びNHそれぞれに対して220sccm及び8000sccmの流量を達成することができる。パージ・ガスALDバルブ148-1、148-2それぞれに対する5000sccmの流量と組み合わせて、合計ALDサイクル時間1.05秒に対して、TiCl暴露サブサイクル時間0.5秒、及びNH暴露サブサイクル時間0.35秒を達成することができる。
【0087】
有利には、2つ以上の前駆体ALDバルブを通して比較的多量の前駆体及びCPガスを流すことによって、堆積チャンバのポンプ給送力を低減することなく、比較的高いチャンバ圧力を達成することができる。本発明者らは、例えば、高アスペクト比構造の比較的高い面積密度から派生して、基板が比較的大きい表面積を有するとき、平面基板もしくはパターニングされていない基板、又は比較的小さい表面積もしくは高アスペクト比構造の低い面積密度を有する基板上に形成された、薄膜の特性決定に基づいて開発されたALDプロセス・レシピを使用して、暴露表面を薄膜でコーティングすることで、暴露表面の異なる部分において異なる特性を有する薄膜をもたらすことができることを発見している。例えば、上述したような共形性又はステップ・カバレッジは、比較的高い面積密度を有する基板における高アスペクト比構造では、大幅に悪いことがある。暴露表面の異なる部分で同じく異なることがある他の特性は、いくつか挙げると、膜の化学量論、表面粗さ、電気抵抗率、膜密度を含む。いかなる理論にも束縛されないが、特性の均一性が低い1つの理由は、平面基板に対して基板の暴露表面積が大幅に増加していることであり得る。暴露表面積の増加により、暴露表面の異なる部分が異なる大きさの前駆体のフラックスを受け取ることがあり、それにより、異なる量の前駆体が暴露表面の異なる部分上に吸着されることがある。単なる単純な例として、300mmの半導体基板が、1×1010以上のトランジスタをそれぞれ有する数百個のダイ上に形成されており、各トランジスタが、10~100nmの直径及び1~100のアスペクト比を有する1つ又は複数のビアを有する場合、薄膜の堆積中に前駆体に暴露された表面積は、対応するパターニングされていない基板の表面積10、100、1000以上を超えることができる。加えて、暴露表面の異なる部分におけるローカル堆積条件は異なってもよい。例えば、深いトレンチ又はビア内部のローカル圧力は、深いトレンチ又はビア外部の領域と比較して異なってもよく、例えば低くてもよい。加えて、真空条件下では、ガス分子はトレンチ又はビアの側壁とより多く衝突するので、深いトレンチ又はビアの上部分は、より大きいフラックスにさらされないようにより多量の前駆体分子を吸着してもよい。
【0088】
本明細書に記載する様々な実施形態によれば、中でも特に、より高い堆積圧力を利用することによって、本発明者らは、いくつかを挙げると、共形性、ステップ・カバレッジ、膜の化学量論、表面粗さ、電気抵抗率、及び膜密度を含む、様々な物理的特性に関してより高い均一性で、暴露表面の異なる部分にTiN、TiSiN、及び/又はTiAlNを含む薄膜を形成するのに、本明細書に記載する堆積方法が特に有利であることを発見している。したがって、本明細書に開示する堆積方法にしたがって形成された、TiN、TiSiN、及び/又はTiAlNを含む薄膜は、これらの物理的特性の1つ以上に対して、ローカル(例えば、トレンチ又はビア内)レベル及び全体(例えば、ウェハ内)レベルの両方で、より高い均一性を有する。したがって、実施形態による堆積方法は、表面トポグラフィを備える基板上に、TiN、TiSiN、及び/又はTiAlNを含む薄膜を形成するのに特に有利であり、それによって、1つ又は複数の蒸着サイクルに暴露された半導体基板の表面積と、対応するパターニングされていない半導体基板の表面積の比は、2、5、10、20、50、100、200、500、1000を超えるか、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内もしくはそれ以上の比を有する。
【0089】
あるいは、又は加えて、実施形態による堆積方法はさらに、1ミクロン、500nm、200nm、100nm、50nm、20nm未満、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値の開口幅、5、10、20、50、100、200、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を超えるアスペクト比、ならびに表面積が上述したような平面基板よりも大きいような面積密度を有する、高アスペクト比構造を備える基板上に薄膜を形成するのに特に有利である。かかるトポグラフィを有する基板は、50%、60%、70%、80%、90%、95%超過、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値以上を有する上述したようなステップ・カバレッジで、実施形態によるTiN、TiSiN、及び/又はTiAlNを含む薄膜で共形的にコーティングされてもよい。上述したように、本発明者らは、高アスペクト比構造の比較的高い面積密度を有する基板を共形的にコーティングするためのプロセス条件が、これらの結果を達成するように実施形態にしたがって最適化されてもよいことを見出している。本発明者らは、これらの結果が、中でも特に、いくつか挙げると、基板の暴露中の反応チャンバ圧力又は前駆体の部分圧力、堆積速度、反応チャンバ内へと導入される前駆体の温度又は圧力、前駆体の流量、及び暴露時間を制御することによって、達成されてもよいことを発見している。
【0090】
本発明者らは、実施形態にしたがって、高アスペクト比構造の比較的高い面積密度を有する基板をコーティングする際、2つ以上の前駆体ALDバルブを同時に作動することによって達成される、比較的高い合計又は部分圧力が、共形性及びステップ・カバレッジの改善につながり得ることを発見している。いかなる理論にも束縛されないが、かかる改善は、中でも特に、高アスペクト比のビア又はトレンチ内部の前駆体のローカルで低減された部分圧力の影響を少なくすることと関連付けられてもよい。実施形態によれば、所与のサブサイクル中に基板を暴露している間の、個々の前駆体(例えば、Ti前駆体、N前駆体、ならびに/あるいはSi及び/又はAl)のうちいずれかの合計又は部分圧力は、1.0~3.0Torr、3.0~5.0Torr、5.0~7.0Torr、7.0~9.0Torr、9.0~11.0Torr、11.0~13.0Torr、13.0~15.0Torr、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の圧力であってもよい。Ti前駆体、N前駆体、ならびに/あるいはSi及び/又はAl前駆体への暴露それぞれにおいて、それぞれの前駆体は、反応チャンバ内のガス分子の合計量のうち1~2%、2~5%、5~10%、10~20%、20~50%、50~100%、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内のパーセンテージを構成することができる。本発明者らは、一部の状況下で、合計又は部分圧力がこれらの値の外である場合、中でも特に、ステップ・カバレッジが低下し始めることがあることを発見している。実験で観察されている例示の高いステップ・カバレッジが図8Bに示される。
【0091】
本発明者らは、一部には、比較的高い合計又は部分圧力で堆積するために比較的多量の前駆体を反応チャンバに送達しつつ、比較的高いスループットを可能にするため、反応チャンバ内への前駆体の流量は、平面基板及び/又は低(例えば、<1)アスペクト比構造の基板上に薄膜を形成するプロセス条件で使用されるよりも大幅に高い流量であるべきであることを発見している。高流量は次いで、前駆体を反応チャンバ内へと導入する前に、前駆体の温度又は圧力の一方もしくは両方を増加することによって達成されてもよい。例えば、製造条件下で液状の前駆体の場合、前駆体のボトルは、蒸気発生率を増加させるため、室温よりも高い温度、例えば、30~60℃、60~80℃、80~100℃、100~120℃、120~150℃、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の温度まで加熱されてもよい。これらの範囲のうち低いボトル温度及び高いボトル温度はそれぞれ、部分的には、前駆体の蒸気圧及び前駆体の分解温度に基づいて決定されてもよい。例として、TiClは約60~80℃まで加熱されてもよい。他方で、製造条件下でガス状の前駆体の場合、ガス・ライン圧力を増加して、比較的小さい表面積もしくは平面の基板及び/又は低(例えば、<1)アスペクト比構造の基板上に薄膜を形成するのに使用されるガス・ライン圧力よりもはるかに高い値まで送達圧力を増加することによって、高流量が達成されてもよい。本明細書に記載する様々な利点を達成する比較的高い流量は、中でも特に、ポンプ給送速度、暴露時間、及びリアクタの体積に応じて決まり得ることが認識されるであろう。大きい表面積及び/又は高アスペクト比構造を有する基板上に薄膜を堆積させるように適合された流量を達成するため、他のパラメータの中でも特に、前駆体の温度及び/又は圧力を調節して、Ti、N、Si、及びAl前駆体それぞれの流量が、例えば、100~1000標準立方センチメートル毎分(sccm)、1000~2000sccm、2000~5000sccm、5000~10,000sccm、10,000~15,000sccm、15,000~20,000sccm、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値以上であることができるようにすることができる。好適な流量は、中でも特に、リアクタの体積に応じて決まり得、これらの流量のうちいくつかは、約1~2リットルの体積を有する単一のウェハ・リアクタに適していることがあることが認識されるであろう。
【0092】
表1A及び表1Bは、単なる例として、TiN膜を堆積させるための一例のプロセス・シーケンスに対するALDサイクル全体の改善を示している。表1Aは、図2Aに関して上述したものなどの薄膜堆積システムで実現されるレシピ・シーケンスを示し、表1Bは、TiCl、NH、及びArそれぞれに対する高コンダクタンス・ライン部分を有するガス送達ラインを含む、図2Bに関して上述したものなどの、高コンダクタンス・ライン部分及びALDバルブを含む薄膜堆積システムで実現されるレシピ・シーケンスを示している。2つのレシピ・シーケンスは、同等のステップ・カバレッジで、同様の1サイクル当たりの使用量及び1サイクル当たりの厚さを達成する。示されるように、表1Aに示されるレシピ・シーケンスのALDサイクルは約4.3秒続くが、それに対する表1Bのレシピ・シーケンスのALDサイクルは約0.85秒続き、これは合計サイクル時間内で4分の1以下に低減されることを表す。さらに、TiClパルス、TiClパージ、NHパルス、及びNHパージの持続時間はそれぞれ、約4分の1、10分の1、3分の1、7分の1に低減された。
【表1A】
【表1B】
【0093】
上述したように、実施形態による前駆体送達システムは、実施形態にしたがって構成された、中間ガス・リザーバとして機能する高コンダクタンス・ライン部分をALDバルブと併せて提供することによって、ガス送達ライン内の圧力変動を低減して使用量の増加を可能にする。この構成は、複数のプロセス・ステーションを有するプロセス・チャンバに特に有利であり得る。スループットに加えて、この構成によって送達される前駆体の使用量及び安定性の増加は、有利には、高アスペクト比構造内に堆積される薄膜のステップ・カバレッジの増加につながる。
【0094】
高アスペクト比構造に関する共形性の1つの基準は、本明細書ではステップ・カバレッジと呼ばれる。高アスペクト比構造は、例えば、ビア、ホール、トレンチ、キャビティ、又は同様の構造であってもよい。実例として、図7は、高アスペクト比構造上に形成された薄膜の共形性を規定及び/又は測定するいくつかの例示の測定基準を例証するため、一例の高アスペクト比構造516が形成された半導体構造500を概略的に示している。図示される高アスペクト比構造516は、異なる部分では異なる厚さを有する薄膜512、例えば、実施形態にしたがって堆積させたTiN層で裏打ちされている。本明細書に記載するように、高アスペクト比構造は、1を超えるアスペクト比、例えば、高アスペクト比構造516の深さ又は高さ(H)を開口領域における幅(W)で割ったものとして規定される比を有する。図示される例では、高アスペクト比構造516は、高アスペクト比構造516の下面が下にある半導体504を露出させるようにして、半導体基板504上に形成された、誘電体層508、例えば金属間誘電体(ILD)層を通して形成されたビアである。薄膜512は、高アスペクト比構造516の異なる表面を異なる厚さでコーティングすることができる。本明細書に記載するように、高アスペクト比で形成された薄膜の共形性を規定又は測定する1つの測定基準は、ステップ・カバレッジと呼ばれる。ステップ・カバレッジは、高アスペクト比構造の下部又は底部領域における薄膜の厚さと、高アスペクト比構造の上部又は頂部領域における薄膜の厚さとの比として規定されてもよい。上部又は頂部領域は、開口部の頂部から測定した、Hの比較的浅い深さ、例えば0~10%又は0~25%における、高アスペクト比構造の領域であってもよい。下部又は底部領域は、開口部の頂部から測定した、Hの比較的深い深さ、例えば90~100%又は75~100%における、高アスペクト比構造の領域であってもよい。いくつかの高アスペクト比構造では、ステップ・カバレッジは、高アスペクト比構造の底面に形成された薄膜512Aと、上部又は頂部側壁表面に形成された薄膜512Cとの厚さの比によって、規定又は測定されてもよい。しかしながら、いくつかの高アスペクト比構造は、十分に規定された底面、又は小さい曲率半径を有する底面を有さなくてもよいことが認識されるであろう。これらの構造では、ステップ・カバレッジは、高アスペクト比構造の下部又は底部側壁表面に形成された薄膜512Bと、上部又は頂部側壁表面に形成された薄膜512Cとの厚さの比によって、より一貫して規定又は測定されてもよい。
【0095】
実施形態による前駆体送達システムは、少なくとも部分的に、前駆体送達ライン内部の比較的安定した圧力によって、高アスペクト比構造におけるステップ・カバレッジの実質的な改善をもたらす。ALDバルブを備えた高コンダクタンス・ライン部分を有するガス送達ラインを用いることによって、1、2、5、10、20、50、100、200、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を超えるアスペクト比を有する高アスペクト比構造は、70%、80%、90%、95%を超える、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を有する、本明細書で規定されるようなステップ・カバレッジを有する、実施形態によるTiN膜などの薄膜で共形的にコーティングされてもよい。このように得られたステップ・カバレッジ値は、高コンダクタンス・ライン部分がないガス送達ラインを有する同等の薄膜堆積システムを使用して得られる、対応するステップ・カバレッジ値を、5%、10%、15%、20%、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値の分上回る改善を表す。
【0096】
表2は、単なる例として、ALDバルブに結合された前駆体送達ラインに高コンダクタンス・ライン部分を含むガス送達システムを使用して達成される、ステップ・カバレッジの改善を示している。表2では、最初の2列は、図2Aに関して上述したものなどの薄膜堆積システムで実現されるレシピ・シーケンスを示し、3列目は、TiCl、NH、及びArそれぞれに対する高コンダクタンス・ライン部分ならびにALDバルブを有する前駆体送達ラインを含む、図2Bに関して上述したものなどの薄膜堆積システムで実現されるレシピ・シーケンスを示している。3つのレシピ・シーケンスは同様の厚さを達成する。1列目及び3列目の直接比較可能なレシピ・シーケンスによって示されるように、前駆体送達ラインの高コンダクタンス・ライン部分を用いて実現されるレシピ・シーケンスのALDサイクルは、ステップ・カバレッジの実質的な改善(>14%)を達成する。
【表2】
【0097】
図8Aは、上述の実施形態にしたがってALDバルブを開放する前の、実施形態にしたがって構成された前駆体送達ラインの高コンダクタンス・ライン部分におけるプリチャージ圧力の関数として、高アスペクト比構造内に堆積させたTiN薄膜の測定されたステップ・カバレッジ値を示している。全体の堆積条件は、図6に関して上述したものと同様であることができる。図示されるように、ALDバルブを開放する前に高コンダクタンス・ライン部分内部の圧力を増加させることで、ステップ・カバレッジが改善する。驚くことに、約62Torr超過の高コンダクタンス・ライン部分圧力で、ステップ・カバレッジの劇的な改善が観察された。
【0098】
図8Bは、実施形態にしたがって構成された高コンダクタンス・ライン部分及びALDバルブを含む前駆体送達システムを使用して、様々なプロセス条件に対して高アスペクト比構造内に堆積させたTiN薄膜の測定されたステップ・カバレッジ値を示している。試験された変数は、基板とガス分配プレート(シャワーヘッド)との間のギャップ距離(G)、NH暴露時間(N)、TiCl暴露時間(T)、及びTiCl温度(T)を含む。サンプルHP-5を除いて、試験されたサンプルはすべて、約80%以上の平均ステップ・カバレッジを示した。
【0099】
図8Cは、実施形態による、TiNの周期的堆積中の前駆体送達ラインの高インダクタンス・ライン部分における圧力変動を示している。トレースは、各ピークが暴露を表す別個の実行に対応する。トレースはそれぞれ、毎秒20回超過のTiCl暴露をキャプチャする。図示されるように、複数のサイクル中の約43Torrの平均圧力に対して、標準偏差は約1%未満の約0.4Torrであった。高コンダクタンス・ライン部分及びALDバルブを含む前駆体送達システムは、高圧安定性を可能にし、それが次いで、高アスペクト比構造内に堆積される薄膜のステップ・カバレッジを改善する。加えて、平均圧力のドリフトは約4Torr未満である。
【0100】
用途
本明細書に記載する様々な実施形態にしたがって、異なる暴露圧力を使用して形成されたTiN又はTiSiNを含む薄膜は、特に、基板が、本明細書に開示するようなTiN又はTiSiN層の様々な有利な特性から利益を得ることができる、比較的高アスペクト比の構造及び/又は非金属表面を備える場合、様々な用途で使用することができる。例示の用途としては、ビア、ホール、トレンチ、キャビティ、あるいは1、2、5、10、20、50、100、200、又はこれらの値のいずれかによって規定される範囲内の値を超える、アスペクト比、例えば深さを頂部幅で割ったものとして規定される比を有する、同様の構造における堆積が挙げられる。
【0101】
例として図7は、高濃度でドープされていてもよい活性半導体基板領域上に形成された接点構造、例えばソース又はドレイン接点に対する、拡散バリアに関連する用途を概略的に示している。半導体デバイス500の一部分が示されており、デバイスは基板504を含み、その基板上に、誘電体層508、例えば、酸化物又は窒化物などの誘電材料を含む中間層又は金属間誘電体(ILD)層が形成される。様々なドープされた領域、例えばソース及びドレイン領域を含む、基板504の様々な領域に接点を形成するために、ビア又はトレンチが誘電体層508を通って形成されてもよい。ビア又はトレンチは、様々な非金属表面、例えば、基板表面、例えばシリコン基板表面を含む暴露された底面、ならびにビアの誘電体側壁を暴露してもよい。ビアの底面及び側面は、TiN又はTiSiN層で共形的にコーティングすることができる。その後、裏打ちされたビアに、金属、例えばW、Al、又はCuを充填して、接点プラグ516を形成してもよい。例えば、ビアは、例えばWFを使用して、CVDによってタングステンを充填されてもよい。
【0102】
実施形態にしたがって形成されたバリア層512は、様々な理由で有利であり得る。特に、ALDによって形成されるバリア層512の共形の性質により、その後の金属充填プロセス中にピンチ・オフする傾向が実質的に低減されてもよい。加えて、上述したように、バリア層512は、その全体にわたる材料輸送、例えば、基板504からのドーパント(B、P)の外方拡散、ならびに接点プラグ形成プロセスからの反応剤、エッチング剤、及び金属(例えば、F、Cl、W、もしくはCu)の内方拡散を、有効に妨害することができる。バリア効果は、表面粗さを低減し、ステップ・カバレッジを増加させることによって向上してもよい。さらに、実施形態にしたがって得られる層ごとの成長モードが、バリア層512全体の接触抵抗を低減してもよい。さらに、膜粗さが低減されることにより、望ましいバリア機能を依然として果たしながら比較的薄いバリア層512が形成されてもよく、それが接触抵抗のさらなる低減につながる。
【0103】
本明細書に開示する様々な実施形態にしたがって形成されるTiN又はTiSiN層の他の用途としては、いくつか挙げると、凹状基板に形成される導電性構造(例えば、埋込み電極もしくはライン)、電極(例えば、DRAMキャパシタ電極もしくはゲート電極)、上位金属レベルのための金属化バリア(例えば、Cu接点/ラインのためのビア/トレンチ内のバリア)、三次元メモリ及びシリコン貫通ビア(TSV)のための高アスペクト比垂直ロッド電極又はビアが挙げられる。
【0104】
本発明について特定の実施形態を参照して本明細書に記載してきたが、これらの実施形態は、本発明を限定する働きをするものではなく、例示の目的で説明されている。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく修正及び改善を行うことができることが、当業者には明白となるであろう。
【0105】
本明細書に開示する様々な実施形態のかかる単純な修正及び改善は、開示する技術の範囲内にあり、開示する技術の特定の範囲は添付の請求項によってさらに規定される。
【0106】
上記において、実施形態のいずれか1つのいずれかの特徴を、実施形態の他のいずれか1つの他の任意の特徴と組み合わせるか、又は置き換えることができる。
【0107】
文脈によって別段の明らかな必要性がない限り、明細書及び請求項全体を通して、「備える(comprise、comprising)」、「含む(include、including)」などは、排他的又は徹底的な意味ではなく包括的な意味で、つまり「~を含むがそれに限定されない」という意味で解釈されるべきである。「結合された」という語は、一般に本明細書で使用されるとき、直接接続されるか、あるいは1つ又は複数の中間要素を用いて接続されてもよい、2つ以上の要素を指す。同様に、「接続された」という語は、一般に本明細書で使用されるとき、直接接続されるか、あるいは1つ又は複数の中間要素を用いて接続されてもよい、2つ以上の要素を指す。加えて、「本明細書において」、「上記」、「下記」という語、及び同様の意味の語は、本明細書で使用されるとき、本出願のいずれか特定の部分ではなく本出願全体を指すものとする。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する上記の詳細な説明における語はそれぞれ、複数又は単数も含んでもよい。2つ以上の項目のリストを参照する際の「又は」という語は、その語が、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目のすべて、及びリスト内の項目の任意の組み合わせという解釈すべてを包含する。
【0108】
さらに、中でも特に、「can」、「could」、「might」、「may」、「e.g.」、「例えば(for example)」、「など(such as)」などの本明細書で使用する条件付き言語は、別段の具体的な規定がない限り、又は使用される文脈内で別の理解がされない限り、一般に、特定の実施形態は、特定の特徴、要素、及び/又は状態を含むが、他の実施形態は含まないということを伝達するものとする。したがって、かかる条件付き言語は、一般に、特徴、要素、及び/又は状態が、いずれかの形で1つもしくは複数の実施形態に必要であること、あるいはこれらの特徴、要素、及び/又は状態が、任意の特定の実施形態に含まれるか又は実施されるべきであることを示唆するものとする。
【0109】
特定の実施形態について記載してきたが、これらの実施形態は、単なる例として提示されており、本発明の範囲を限定しようとするものではない。実際には、本明細書に記載する新規な装置、方法、及びシステムは、多様な他の形態で具体化されてもよく、さらに、本明細書に記載する方法及びシステムの形態において、本開示の趣旨から逸脱することなく、様々な省略、置換、及び変更が行われてもよい。例えば、特徴は所与の配置で提示されているが、代替実施形態は、異なる構成要素及び/又はセンサ・トポロジーを用いて同様の機能性を実施してもよく、いくつかの特徴は、削除、移動、追加、分割、結合、及び/又は修正されてもよい。これらの特徴はそれぞれ、様々な異なる形で実現されてもよい。上述した様々な実施形態の要素及び動作の任意の好適な組み合わせは、さらなる実施形態を提供するように組み合わされてもよい。上述した様々な特徴及びプロセスは、互いに独立して実現されてもよく、又は様々な形で組み合わされてもよい。本開示の特徴のすべての可能な組み合わせ及び下位組み合わせは、本開示の範囲内にあるものとする。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図8C
【国際調査報告】