(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】脈管アクセスのための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
A61M25/00 542
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548790
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022070668
(87)【国際公開番号】W WO2022178506
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523304917
【氏名又は名称】アイ-ブイ アクセス テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ソロモン,クリント
(72)【発明者】
【氏名】レスコウィッチ,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】サットン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘール,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンツラー,ジェイコブ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267AA12
4C267BB02
4C267BB04
4C267CC08
4C267HH20
(57)【要約】
カテーテルを通る流体の流れを選択的に制御して、患者の体内に配置されたカテーテルの近位端からの流体の漏出を防止する、能力が改善された弁アセンブリである。このような改善されたカテーテル弁アセンブリは、弁を通して医療器具を繰り返し挿入および除去した後の流体の漏出もまた防止する。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と、側面と、コネクタ部とを有する雄ルアーと共に使用するように構成された弁アセンブリであって、前記弁アセンブリが、
近位端内に前記雄ルアーを受け入れるように構成されたハブと、
前記ハブ内のチャンバに結合され、遠端のバリア層および壁部を備える弁と、を備え、
前記壁部が、前記バリア層から前記弁の近端に向かって近位方向に延び、前記壁部の内部に弁キャビティを画定しており、前記バリア層が、前記バリア層を通って延びている少なくとも1つのスリットを有し、
前記弁キャビティ内の前記壁部の表面と、前記弁の前記遠端の前記バリア層に隣接する前記チャンバの表面との間で測定されるオフセット距離が、前記バリア層の厚さよりも小さく、
前記弁が、前記ハブ内に配置されるように構成されており、前記壁部が前記ハブ内の前記チャンバの表面に係合するようになっており、
前記バリア層が、流体圧力ではなく弾性変形によって変形するように構成されており、前記雄ルアーの前記弁キャビティへの挿入により、前記雄ルアーの前記遠位端が、前記バリア層を変形させ、前記少なくとも1つのスリットを開いて前記バリア層を通る流体の流れを可能にする一方、前記雄ルアーの前記側面が前記弁キャビティの内部で前記壁部に係合して、前記壁部を前記チャンバの前記表面に係合させるようになっている、弁アセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのスリットが、前記バリア層に複数のリーフレットを形成している、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスリットの周囲が、前記バリア層に限定されており、前記複数のリーフレットが前記壁部まで延びないようになっている、請求項2に記載の弁アセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスリットが分岐しており、前記複数のリーフレットが少なくとも3つのリーフレットを含むようになっている、請求項2に記載の弁アセンブリ。
【請求項5】
前記複数のリーフレットの各々の厚さが同じである、請求項2に記載の弁アセンブリ。
【請求項6】
前記壁部の外面全体が、前記チャンバの内面に接触している、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項7】
前記壁部の外面全体が、均一な外径を有する円筒形状を有する、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項8】
前記弁の前記近端にフランジ部をさらに備える、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項9】
前記弁が、軸線方向に前記ハブ内に埋め込まれている、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項10】
前記フランジ部が、前記弁の外面上に隆起面を含む、請求項8に記載の弁アセンブリ。
【請求項11】
前記壁部が、少なくとも1つ以上の間隙を含み、少なくとも1つ以上の脚を形成している、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1つ以上の脚が、前記弁の軸線方向長さに沿って部分的に延びている、請求項11に記載の弁アセンブリ。
【請求項13】
前記弁の前記近端が、前記ハブの近位端と面一である、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項14】
前記フランジ部の近位端が、前記ハブの前記近位端を越えて延びている、請求項8に記載の弁アセンブリ。
【請求項15】
前記フランジ部が、前記ハブの前記近位端を部分的に覆っている、請求項14に記載の弁アセンブリ。
【請求項16】
前記弁内に配置されたインサートをさらに備え、
前記インサートが、前記雄ルアーを受け入れるように構成されている、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項17】
前記弁内に配置された隆起面をさらに備え、
前記雄ルアーの挿入時に、前記隆起面が前記雄ルアーによって押されて前記弁を開くように構成されている、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項18】
前記弁に結合されたインサートをさらに備え、
前記インサートが、第1の材料を含み、前記弁が、第2の材料を含み、
前記第1の材料と前記第2の材料とが、異なる構造特性を含む、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項19】
前記第1の材料が、第1のデュロメータ硬度を有し、前記第2の材料が、前記第1のデュロメータ硬度よりも小さい第2のデュロメータ硬度を有し、前記第2の材料が前記第1の材料よりも大きい弾性を備えるようになっている、請求項18に記載の弁アセンブリ。
【請求項20】
前記インサートが、前記弁の第2の嵌合面に結合される第1の嵌合面を備え、前記弁キャビティの第1の部分が、前記インサートによって形成されたインサートキャビティに隣接しており、
前記弁キャビティのルアー面が、前記インサートキャビティのルアー面から滑らかに遷移している、請求項18に記載の弁アセンブリ。
【請求項21】
遠位端と、側面と、コネクタ部とを有する雄ルアーと共に使用するように構成された弁アセンブリであって、前記弁アセンブリが、
近位端内に前記雄ルアーを受け入れるように構成されたハブと、
前記ハブ内のチャンバに結合され、遠端のバリア層および壁部を備える弁と、を備え、
前記壁部が、前記バリア層から前記弁の近端に向かって近位方向に延び、前記壁部の内部に弁キャビティを画定しており、前記バリア層が、前記バリア層を通って延びている少なくとも1つのスリットを有し、前記壁部の外面全体が、前記ハブの内面に接触しており、
前記弁キャビティ内の前記壁部の表面と、前記弁の前記遠端の前記バリア層に隣接する前記チャンバの表面との間で測定されるオフセット距離が、前記バリア層の厚さよりも小さく、
前記弁が、前記ハブ内に配置されるように構成されており、前記壁部が前記ハブ内の前記チャンバの表面に係合するようになっており、
前記雄ルアーの前記弁キャビティへの挿入により、前記雄ルアーの前記遠位端が前記少なくとも1つのスリットを開いて前記バリア層を通る流体の流れを可能にする一方で、前記雄ルアーの前記側面が前記弁キャビティの内部で前記壁部に係合して、前記壁部を前記チャンバの前記表面に係合させる、弁アセンブリ。
【請求項22】
前記弁が、軸線方向に前記ハブ内に埋め込まれている、請求項21に記載の弁アセンブリ。
【請求項23】
前記弁の近位端が、前記ハブの前記近位端と面一である、請求項21に記載の弁アセンブリ。
【請求項24】
遠位端と、側面と、コネクタ部とを有する雄ルアーと共に使用するように構成された弁アセンブリであって、前記弁アセンブリが、
近位端内に前記雄ルアーを受け入れるように構成されたハブと、
前記ハブ内のチャンバに結合され、遠端のバリア層および壁部を備える弁であって、前記壁部の外面全体が、均一な外径を有する円筒形状を有する、弁と、を備え、
前記壁部が、前記バリア層から前記弁の近端に向かって近位方向に延び、前記壁部の内部に弁キャビティを画定しており、前記バリア層が、前記バリア層を通って延びている少なくとも1つのスリットを有し、
前記弁キャビティ内の前記壁部の表面と、前記弁の前記遠端の前記バリア層に隣接する前記チャンバの表面との間で測定されるオフセット距離が、前記バリア層の厚さよりも小さく、
前記弁が、前記ハブ内に配置されるように構成されており、前記壁部が前記ハブ内の前記チャンバの表面に係合するようになっており、
前記雄ルアーの前記弁キャビティへの挿入により、前記雄ルアーの前記遠位端が前記少なくとも1つのスリットを開いて前記バリア層を通る流体の流れを可能にする一方で、前記雄ルアーの前記側面が前記弁キャビティの内部で前記壁部に係合して、前記壁部を前記チャンバの前記表面に係合させる、弁アセンブリ。
【請求項25】
前記弁が、軸線方向に前記ハブ内に埋め込まれている、請求項24に記載の弁アセンブリ。
【請求項26】
前記弁の近位端が、前記ハブの前記近位端と面一平面上である、請求項24に記載の弁アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月19日出願の米国仮特許出願第63/151,562号の本出願であるとともに、2021年5月4日出願の米国特許出願第17/307,766号の継続出願である。これは、2020年10月19日出願の米国特許出願第17/074,231号の一部継続出願であり、これは、2019年10月31日出願の米国特許出願第16/670,291号(現在の米国特許第10,850,069号)の継続出願であり、これは、2019年7月24日出願の米国特許出願第16/520,813号(現在は放棄)の継続出願であり、これは、2018年6月11日出願の米国特許出願第16/004,970号(現在の米国特許第10,406,326号)の継続出願であり、これは、2017年8月31日出願の米国仮特許出願第62/552,663号の優先権を主張する。本出願はまた、2021年2月19日出願の米国仮特許出願第63/151,562号の本出願でもある。上記特許出願のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医療デバイスを通る流体の流れを選択的に制御して、患者の体内に配置されたそのデバイスの近位端からの流体の漏出を防止する、能力が改善された弁アセンブリに関する。このような改善された弁アセンブリは、脈管デバイスのためにまたは他のデバイスのために使用され得る、カテーテル導入器、チューブ、ライン、ポートなどの医療器具を、弁を通して繰り返し挿入および除去した後の流体の漏出もまた防止する。弁アセンブリはまた、針(例えば、瘻針)、血液透析回路、栄養チューブ、排尿カテーテル、または任意の他の好適な手段のための接続部としても使用されてもよい。
【背景技術】
【0003】
カテーテルは、医師が患者に対して流体の注入または除去を行うことを可能にする。例えば、カテーテルは、生理食塩水、治療物質、および/または栄養流体などの流体を患者に注入することを可能にする導管として機能することができる。あるいは、カテーテルは、特定の医療処置の必要に応じて、血液または他の体液などの流体を抜き取ることができる。医師がカテーテルを血管内に位置決めしようとする場合、医師は、カテーテル内に戻る血液の流れ(「フラッシュバック」)を探して、カテーテルの開口部が血管内に配置されていることを確認することになる。様々なカテーテル挿入処置や手技の数は多く、カテーテル配置時にカテーテル内で針、拡張器、スタイレット、またはその他の医療器具を使用する場合もある。
【0004】
カテーテルのハブ(またはカテーテル内に配置された医療デバイス)は、適切に配置されると、アダプタ(典型的にはルアーフィッティング)に結合され、カテーテルの流体源またはリザーバへの流体結合を可能にすることができる。しかしながら、カテーテルとリザーバとの間の接続が偶発的に解除された場合、患者が出血するか、または空気が混入して塞栓症を引き起こす可能性があり、これらは両方とも患者の生命を脅かす可能性がある。偶発的な接続解除は、嵌合部品がしっかりと締め付けられていない場合に起こり得る。嵌合部品はまた、患者の動き、望ましくない身動き、または他の患者の干渉により緩む可能性がある。さらに、患者が何らかの血液媒介性病原体(例えば、HIV、肝炎など)を有する場合、介護者に対する血液曝露は死を招く可能性がある。したがって、カテーテルを挿入するためには、アクセス点が衛生的に保たれていることが必要である。カテーテルの挿入からアダプタの結合までの間に体液がカテーテルを通して流出する可能性があり、アダプタの結合のためにおよび/またはカテーテルを通して挿入された医療デバイスの除去のためにカテーテルを取り扱う必要がある医師にとって不衛生な状態を引き起こす。介護者は、嵌合接続を行うまでの間、血流を減らすために開いている接続ポートを指で覆うことがよくある。血液は細菌増殖の媒体となる可能性があるため、カテーテル挿入時の曝露により感染機会が高まる可能性がある。
【0005】
したがって、感染のリスクもまた低減する、制御された流体の流れを可能にする弁アセンブリが依然として必要とされている。また、介護者が接続部を適切に洗浄し、接続部に残った血液を拭き取る時間を確保するために、出血を遅らせる弁も依然として必要とされている。また、カテーテルの挿入時、除去時、または交換時に、介護者の血液曝露を最小化する弁も依然として必要とされている。弁アセンブリを以下に説明する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載された図示および変形例は、本発明の方法およびデバイスの例を提供することを意図する。特定の実施形態の態様の組合せまたは特定の実施形態の組合せは、本開示の範囲内であることが企図される。本明細書に記載される弁アセンブリは、カテーテルアセンブリに限定されず、任意のチューブアセンブリ、特に医療用チューブに使用することができる。
【0007】
遠位端と、側面と、コネクタ部とを有する雄ルアーと共に使用するように構成された弁アセンブリが提供される。アセンブリは、弁アセンブリが、カテーテルハブ内に収まる、カテーテルアセンブリの一部として使用することができる。ただし、弁アセンブリは、任意のアセンブリ、特に、流体圧力ではなく弁変形により弁が開くアセンブリに使用することができる。このようなアセンブリは、医療用アセンブリを含むが、これに限定されない。便宜上、以下の例をカテーテルアセンブリに関連して説明する。カテーテルは、カテーテルハブおよび弁を備え得る。カテーテルハブは、近位端内に雄ルアーを受け入れるように構成され得る。弁は、カテーテルハブ内のチャンバに結合することができ、遠端のバリア層、および壁部を備え得る。壁部は、バリア層から弁の近端に向かって近位方向に延び得る。壁部は、その内部に弁キャビティを画定し得る。バリア層は、バリア層を通って延びている少なくとも1つのスリットを有し得る。オフセット距離は、弁キャビティ内の壁部の表面と、遠位端において弁の遠端のバリア層に隣接するチャンバの表面との間で測定され得る。オフセット距離は、バリア層の厚さ未満であり得る。弁は、カテーテルハブ内に配置されるように構成され得、壁部がカテーテルハブ内のチャンバの表面に係合し得る。雄ルアーを弁キャビティに挿入することにより、雄ルアーの遠位端が、少なくとも1つのスリットを開いてバリア層を通る流体の流れを可能にし得る。雄ルアーの側面は、弁キャビティの内部で壁部を係合し得、壁部をチャンバの表面に係合させる。
【0008】
少なくとも1つのスリットは、バリア層に複数のリーフレットを形成し得る。少なくとも1つのスリットの周囲は、バリア層に限定され得、リーフレットが壁部まで延びないようになっている。少なくとも1つのスリットは分岐され得、複数のリーフレットが少なくとも3つのリーフレットを含むようになっている。複数のリーフレットの各々の厚さは、同じであり得る。壁部の外面全体は、カテーテルハブの内面に接触し得る。壁部の外面全体は、均一な外径を有する円筒形状を有し得る。
【0009】
弁アセンブリは、弁の近部にフランジ部をさらに備え得る。フランジは、カテーテルハブのチャンバから延び出ており、カテーテルハブの外部の近位面に係合し得、ここで、雄ルアーのコネクタ部が、フランジ部をカテーテルハブの近位面に対して直接係合し得る。フランジの外径は、カテーテルハブの外部の近位面の外径以下とし得る。フランジは、カテーテルハブのチャンバ内の凹部内に配置され得る。フランジは、カテーテルハブの外部の近位面内の凹部内に配置され得る。弁は、軸線方向にカテーテルハブ内に埋め込まれ得る。壁部は、少なくとも1つ以上の間隙を含み、少なくとも1つ以上の脚を形成し得る。弁アセンブリは、弁内に配置されたインサートをさらに備え得る。インサートは、雄ルアーを受け入れるように構成され得る。弁アセンブリは、弁内に配置された隆起面をさらに備え得る。隆起面は、雄ルアーの挿入時に雄ルアーによって押されて弁を開くように構成され得る。
【0010】
本開示は、2012年1月31日発行の米国特許第8105288号、2013年11月26日発行の米国特許第8591469号、2017年10月03日発行の米国特許第9775973号、2017年3月28日発行の米国特許第9604035号、2020年11月10日発行の米国特許第10828465号、2020年1月16日公開の米国特許出願公開第20200016375(A1)号、2021年2月4日公開の米国特許出願公開第20210031009(A1)号、2020年3月23日出願の米国仮特許出願第62/993,493号、2020年6月10日出願の米国仮特許出願第63/037,496号、および2020年6月11日出願の米国仮特許出願第63/037,841号の同一出願人による特許および出願に関連し、その各々の全体が参照により組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図のそれぞれは、本発明をより良く理解するために態様および変形例を図式的に示したものである。図に示した態様からの本発明の変形例も企図される。
【
図1A】カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁の例を示す。
【
図1B】カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁の例を示す。
【
図1C】カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁の例を示す。
【
図1D】カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁の例を示す。
【
図1E】カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁の例を示す。
【
図1F】カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁の例を示す。
【
図1G】カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁の例を示す。
【
図1H】カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁の例を示す。
【
図1I】カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁の例を示す。
【
図1J】カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁の例を示す。
【
図1K】カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁の例を示す。
【
図3A】カテーテルハブのチャンバの壁内の凹部内に配置された弁を有する、カテーテル-弁アセンブリの別の変形例の断面図を示す。
【
図3B】カテーテルハブのチャンバの壁内の凹部内に配置された弁を有する、カテーテル-弁アセンブリの別の変形例の断面図を示す。
【
図4A】バリア層の厚さに対して減少した壁厚を示す、カテーテルハブのチャンバ内にある弁の追加的部分断面図を示す。
【
図4B】バリア層の厚さに対して減少した壁厚を示す、カテーテルハブのチャンバ内にある弁の追加的部分断面図を示す。
【
図5A】カテーテルチューブを通して流体を送達するためにチャンバ内に配置された弁に挿入されているルアーフィッティングを有するカテーテル弁アセンブリの断面図を示す。
【
図5B】カテーテルチューブを通して流体を送達するためにチャンバ内に配置された弁に挿入されているルアーフィッティングを有するカテーテル弁アセンブリの断面図を示す。
【
図5C】カテーテルチューブを通して流体を送達するためにチャンバ内に配置された弁に挿入されているルアーフィッティングを有するカテーテル弁アセンブリの断面図を示す。
【
図5D】カテーテルチューブを通して流体を送達するためにチャンバ内に配置された弁に挿入されているルアーフィッティングを有するカテーテル弁アセンブリの断面図を示す。
【
図5E】カテーテルチューブを通して流体を送達するためにチャンバ内に配置された弁に挿入されているルアーフィッティングを有するカテーテル弁アセンブリの断面図を示す。
【
図5F】カテーテルチューブを通して流体を送達するためにチャンバ内に配置された弁に挿入されているルアーフィッティングを有するカテーテル弁アセンブリの断面図を示す。
【
図5G】カテーテルチューブを通して流体を送達するためにチャンバ内に配置された弁に挿入されているルアーフィッティングを有するカテーテル弁アセンブリの断面図を示す。
【
図6A】種々のフランジ構成を有する弁を有するカテーテルアセンブリの追加的変形例の部分断面図を示す。
【
図6B】種々のフランジ構成を有する弁を有するカテーテルアセンブリの追加的変形例の部分断面図を示す。
【
図6C】種々のフランジ構成を有する弁を有するカテーテルアセンブリの追加的変形例の部分断面図を示す。
【
図6D】種々のフランジ構成を有する弁を有するカテーテルアセンブリの追加的変形例の部分断面図を示す。
【
図7A】本明細書に記載されるカテーテルアセンブリと共に使用するための改善された弁の追加例を示す。
【
図7B】本明細書に記載されるカテーテルアセンブリと共に使用するための改善された弁の追加例を示す。
【
図7C】本明細書に記載されるカテーテルアセンブリと共に使用するための改善された弁の追加例を示す。
【
図7D】本明細書に記載されるカテーテルアセンブリと共に使用するための改善された弁の追加例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明をより良く理解するために、以下の実施形態の説明を参照されたい。この実施形態の説明は、添付図面と関連付けて読まれるべきであり、図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本明細書に開示された主題の特定の態様を示し、本明細書と共に、開示された実施形態に関連する原理の一部を説明するのに役立つ。
【0013】
本明細書で使用されるように、「a」または「an」という用語は、1つまたは2つ以上として定義される。本明細書で使用されるように、「複数」という用語は、2つまたは2つより大きいとして定義される。本明細書で使用されるように、「別の」という用語は、少なくとも2番目以降として定義される。本明細書で使用されるように、「含む(including)」および/または「有する(having)」という用語は、備える(comprising)(すなわち、オープンランゲージ)として定義される。本明細書で使用されるように、「結合されている」という用語は、必ずしも直接的ではなく、また必ずしも機械的に結合されているものではないが、接続されていると定義される。
【0014】
本明細書全体を通して、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「特定の実施形態」、および「ある実施形態」または同様の用語への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所でこのような表現が登場しても、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で制限なく組み合わされ得る。
【0015】
図1A~
図1Cは、カテーテルまたは他の医療デバイス/導入器と共に使用するための改善された弁を示す。典型的には、このようなカテーテル130は、(以下の
図5A~
図5Gに説明されるような)雄ルアーと共に使用される。カテーテル130は、開放近位端を画定している近位面138を有する、チャンバ140を有するカテーテルハブ134を含む。チャンバ140は、カテーテルに結合されたカテーテルチューブ132と流体連通している。このチューブは、チャンバ140と流体連通している1つ以上の管腔を含む。弁または隔壁弁190は、遠位端にバリア層(または隔壁)192を含む。バリア層192は、1つ以上のスリット194を有することができる。図示された変形例は、3つのリーフレット構造体197またはフラップを形成している3つのスリット194を有するバリア層192を示す。しかしながら、弁190の変形例には、任意の数のリーフレットを形成している任意の数のスリットが含まれる。バリア層192は、一般に、カテーテル挿入/注入処置中に一般的に遭遇する血液、薬剤、および他の流体への曝露に適合する可撓性または半可撓性材料を含む。
【0016】
図1Bに示されるように、弁は、バリア層192から近位方向に延びて弁キャビティ199を画定している壁部196を含む。
図1A、
図1Bに示す変形例では、弁190は、弁190の近位端において壁196の周りに形成されたフランジ部198を含む。フランジ部198は、カテーテルハブ134の近位面138に接触して密閉するために、壁部196の直径よりも大きい直径を有する。弁190の変形例は、弁190を取り囲むフランジ部198を含む。あるいは、フランジ部198は、開口部または仕切り部を含み、壁の周囲で円周方向に連続しないようになっていてもよい。
【0017】
図1Cは、弁190がカテーテルハブ134に結合され、フランジ部198が、カテーテルハブ134の近位面138に係合してハブ134のチャンバ140の外側になったことを示す。弁190の壁部196は、チャンバの表面に係合する。チャンバ140の壁は、直角であってもよく、または任意のルアーテーパ角を備えてもよい。同様に、弁の壁は、外部および/または内部(例えば、キャビティ199を画定している面)にテーパ角を備えてもよい。弁190は、様々な箇所でカテーテルに固定することができる。例えば、本アセンブリの変形例には、接着剤または接合材を使用してフランジ部198においてのみカテーテルハブ134に固定される弁190が含まれ、ここでは、壁部196はチャンバ140の壁に対して単に配置されるだけである。代替的に、またはこれと組み合わせて、弁190は、外壁部196においてカテーテルハブ134に固定することができる。別の変形例では、弁190は、カテーテルハブ134内に単に圧入されてもよい。当業者に既知の任意の数の特徴(例えば、ポケット、リブ、弁またはチャンバの表面の摩擦抵抗の増加など)を使用して、カテーテルハブ134内への弁190の着座を容易にしてもよい。
【0018】
図1A~
図1Cに示される弁190の変形例はまた、壁部196よりも厚いバリア層192を有する弁190を示す。スリット194面の壁をより厚くすることで、密閉面が増加することが判明した。例えば、スリット194に沿って壁192の厚みが増すことにより、スリット194は、医療デバイスの挿入によって変形したままになるのではなく、閉じた位置に戻ることが可能になる(例えば、
図5Bおよび
図5C参照)。
図1A~
図1Cに示す相対的に薄い壁部196は、弁キャビティ199の内径とハブチャンバ140の内壁142との間のオフセット距離を減少させる。このオフセットを減少させることで、長手方向軸線に沿って十分な深さまで雄ルアーを挿入して、弁190の壁196によって妨害されることなく、弁のバリア層192においてスリット194を開くことが可能になる。例えば、弁がカテーテルハブのチャンバ140内に配置されたときに、雄ルアーをキャビティ199内に挿入できるほど弁キャビティ199の内径が十分に大きくなるように、弁190の壁196の厚さが選択される必要がある。しかしながら、弁壁196が薄すぎる場合、弁は、破損(例えば、亀裂または分裂)のリスクが高まる可能性があり、あるいは薄い壁だと、弁を形成する際に製造上の困難が生じる可能性がある。バリア層192よりも薄い側壁196を有する弁190の変形例により、材料厚さが増加して相対的により剛性になったスリット194層192が可能になり、スリット194が完全に閉じることが可能になり、スリットがその元の状態に戻って弁を閉じる可能性が高まる。この場合も、側壁196よりも厚いバリア層192(すなわち、スリット194が形成された壁)を有することにより、弁が閉じる能力を高める一方、より薄い側壁により、雄ルアーをキャビティ199に挿入することが可能になる。いくつかの変形例では、厚さの差により、弁の変形が壁部ではなく隔壁で生じることも可能になる。
【0019】
図1Dおよび
図1Eは、インサート170を有するカテーテル-弁アセンブリの別の変形例の斜視図および断面図を示す。
図1Dに示されるように、インサート170を弁190内に配置することができる。インサート170は、より軟質のデュロメータ硬度材料から作製され得る弁190と比較して、相対的に硬質のデュロメータ硬度材料から作製され得る。そのデュロメータ硬度材料は、カテーテルハブ134および雄ルアー52に使用されているものと同じ材料であってもよい。インサート170は、雄ルアー52を受け入れるための標準的なルアーテーパを有する。したがって、雄ルアー52は、弁190に取り付けられると、硬質デュロメータ硬度材料内に摺動し、硬質デュロメータ硬度材料に嵌まり込む。例えば、いくつかの変形例では、インサート170および弁190の両方が、同じデュロメータ硬度材料を含んでもよいが、各構成要素は、処理、コーティング、添加剤などを介して異なる特性を有し得る。
【0020】
あるいは、
図1Fおよび
図1Gに見られるように、インサート170は、弁190の背面に対してまたはカテーテルハブ134の背面138に対して配置されるインサートフランジ174を含むことができる。インサートフランジ174は、弁190のフランジ部198に一致するようにまたはそれを覆うように構成することができ、流体の漏出を防止するために確実な接続をもたらす。
図1A~
図1C、
図2A~
図4B、および
図6A~
図6Dに示されるカテーテル-弁アセンブリの構成は、インサート170を備えることができることを理解されたい。
図1Hは、
図1Gに示されたものと同様のデバイスを示すが、弁190およびインサート170が、カテーテルハブ134の近位面138内に埋め込まれている。追加的変形例では、弁190およびインサート170は、カテーテルハブ134内に埋め込まれてもよい。
【0021】
図1I~
図1Kは、別の変形例を示し、弁190が、インサート170に接合されて、十分に硬質であるように選択されたデュロメータ硬度領域と遠位側の相対的により弾性の高い領域とを有する弁アセンブリを形成している。上述したように、追加的変形例は、弁部とは異なる任意の数の特性(デュロメータ硬度の違いを含むが、これに限定されない)を有するインサート170を含む。
図1Jは、カテーテルハブ134、弁190、およびインサート170の部分断面分解図を示し、インサート170が、弁190内の嵌合形状180に着座する嵌合形状175を含むことができることを示している。弁アセンブリの代替的変形例としては、端部と端部が接した構成で、かつ段差または嵌合面なく、弁と接合されたインサートを含むことができる。
図1Kは、組み立てられたインサート170/弁190の断面図を示し、両構成要素は、それぞれのルアーテーパ面178、181を含み、接合されたアセンブリ170/190内に連続的なルアーテーパを提供する。本明細書で説明されるように、弁190は、弁キャビティ199を形成する側壁196の最大幅よりもバリア層/隔壁192が厚いという構成を含むことができる。
【0022】
弁とインサートとは、接着剤、溶接、熱成形、または異種材料を互いに接合することを可能にする任意の他の接合プロセスを使用して接合することができる。さらに、一方または両方の構成要素は、カテーテルチャンバ140の壁に密閉接合することができる。本明細書に記載されるように、インサートは、第1の材料を含むことができ、弁は、第2の材料を含むことができ、第1の材料と第2の材料とが異なる構造特性を含む。一変形例では、材料は、異なるデュロメータ硬度ポリマーから形成され、弁には、インサートよりも大きい弾性がもたらされる。さらに、アセンブリの変形例には、滑らかなまたは連続的なルアー面が含まれる(弁キャビティ/インサートキャビティを形成するルアーの表面に段差または不連続部がないことを意味する)。
【0023】
図2Aおよび
図2Bは、カテーテルハブ134内において使用するための弁190の別の変形例の別の断面図を示す。示されるように、弁190のこの変形例は、弁の近位端191にフランジ部材を含まない。この変形例では、弁190の外壁196に突出部がない。加えて、弁190は、カテーテルハブ134のチャンバ140内に配置されることができ、弁190の近位端191が、カテーテルハブ134の後面138と面一である。代替的変形例では、ハブ134の後面138から突出する近位端191(図示せず)が含まれる。上述したように、弁190は、弁壁196の厚さ195が、1つ以上のスリット194を含むバリア層192の厚さ193未満である構成を含むことができる。
図2Bは、
図2Aに示されたものと同様の弁190の変形例を示し、弁190は、カテーテルハブ134のチャンバ内に距離180だけ軸線方向に埋め込まれている。
【0024】
図3Aおよび
図3Bは、カテーテルハブ134のチャンバ140の壁142内の凹部144内に配置された弁190を有するカテーテル-弁アセンブリの別の変形例の断面図を示す。示されるように、弁190は、カテーテルハブ134のチャンバ140内に配置される。
図3Aおよび
図3Bの両方は、弁190の近位端191がハブ134の後端138から間隔が空いている弁190を図示しているが、アセンブリの変形例には、弁が凹部144内に配置される、本明細書に説明される弁構成のいずれかを含むことができる。
【0025】
図3Aおよび
図3Bは、側壁196が(上述したように)バリア壁192の厚さよりも薄い厚さを有する弁190を示す。しかしながら、壁142内に配置された凹部144内に弁190を配置することにより、弁キャビティ199の内径を弁チャンバ140の内径に近づけることができる(以下に説明する)。
図3Aは、弁壁196をチャンバ壁142に平行に配置する凹部144を示す。代替的に、
図3Bは、部分的に弁壁196を越えて延びている凹部144を示す。
【0026】
図4Aおよび
図4Bは、バリア層の厚さに関するカテーテルハブ134のチャンバ140内の弁190の追加的部分断面図を示す。示されるように、カテーテルハブ134のチャンバ140は、弁190のバリア層192に隣接する内径146を有する。
図4Aは、バリア壁192(すなわち、ルアーまたは他のデバイスの挿入時に開く壁)の厚さ193が弁190の側壁の厚さ195よりも大きい構成を示す。これにより、カテーテルハブ134の内径146に対してキャビティ199の内径188を増加させることができ、それによって、雄ルアー(図示せず)を十分に挿入して弁を開くことも可能になる。増加した内径188により、内部キャビティ199の内径188の表面とカテーテルハブ134のチャンバ140の壁142の表面との間のオフセット距離を最小化することが可能になる。オフセット距離は、通常、半径方向(すなわち、壁に対して垂直)に測定される。
図4Bは、側壁196の厚さ195がバリア層192の厚さ193に近いかまたは等しい、弁190のさらなる変形例を示す。ただし、
図4Bに示される変形例は、カテーテルハブ134内に凹部144を含んでいる。この凹部144により、カテーテルハブ134のチャンバ140の内径146に対して弁キャビティ199の内径188を増加させることが可能になり、雄ルアーの挿入が可能になる。
【0027】
図5A~
図5Dは、ルアーフィッティング50の一例を提供するためのカテーテル弁アセンブリ130の断面図を示し、このルアーフィッティング50は、カテーテルチューブ132を通して流体を送達するために弁アセンブリ130のチャンバ140内に配置された弁190に挿入される。図示された例は、近位端191がカテーテルハブ134の近位面138と面一である弁190を示す。しかしながら、本明細書に開示された弁の変形例のいずれもが本開示の範囲内であることが企図される。示されるように、ルアーフィッティング50は、カテーテルハブ134のねじ部と係合するねじ部を含む。アセンブリの変形例は、ねじ部のないフィッティングを含むことができる。いずれにしても、ルアーフィッティングの雄ルアー52は、カテーテルハブ134および弁190に挿入される。
【0028】
図5Bは、雄ルアー52を弁190のキャビティに挿入したところを示す。
図5Bに示されるように、雄ルアー52の側面が弁の壁部196に係合するにつれて、壁部196は、カテーテルチャンバ140の表面に対して圧縮される。バリア層192に対して雄ルアー52をさらに軸線方向に前進させると、バリア層192内のスリット194によって形成されたリーフレット197が遠位方向に開かれ、弁190を通る流体の流れが可能になる。
図5Bに示される変形例では、雄ルアー52は、リーフレット197を開いた位置へと曲折させる。いくつかの変形例では、
図5Dに示されるように、弁190のキャビティ内への雄ルアー52の挿入により、雄ルアー52の遠位端を完全に開いた位置にさせ、一方で、雄ルアー52の側面は、弁190の壁部196に係合する。しかしながら、代替的変形例では、リーフレット197が曲折するだけで十分な流体の流れが可能になる。
【0029】
図5Cに示される変形例では、弁190は、可撓性および弾性のある材料から製作され、雄ルアー52の挿入により、弁隔壁192が伸張して変形し、リーフレット197が開くようになっている。このような変形例では、弁190の壁196は、ハブの内部に接着されてもよい。代替的または追加的に、フランジ198(
図1Aに示す)を使用して、壁を所定の位置に接着または挟持して、弁隔壁192が、その通常の形状で前方に移動するのではなく、伸張するようにすることができる。雄ルアーが弁を変形させる変形例では、弁は、流体圧力ではなく弾性変形によって動作する。したがって、ルアー52が除去されると、隔壁192の厚さおよび弾性により、弁は閉じた位置に戻ることが可能になる。さらに、弁が物理的変形によって開くので、閉じた弁は、弁に当たって流れる流体の圧力によって引き起こされる漏れの影響を受けない。
【0030】
最終的に、ルアーフィッティング50のコネクタ部54が、カテーテルハブ134の近位面138に係合する。カテーテルハブ134からルアーフィッティング50を除去すると、スリットによって形成された弁のリーフレット197は、閉じた状態に戻る。
【0031】
図5Eは、弁が材料インサートを含むアセンブリの別の変形例を示す。例えば、壁とフランジとが、硬質の内部上部と軟質の外壁および上部とに分割され、弁190の伸張に必要な固定を可能にするように設けられている。
【0032】
図5Fおよび
図5Gは、突出部182を有するカテーテル-弁アセンブリの別の変形例の断面図を示す。突出部182は、隔壁192の壁上のリングなどの隆起面、または雄ルアー52を受け入れるように配置された1つまたは複数の突出部とすることができ、これは、弁190の開放を補助する。突出部182が隔壁192の表面上のリングである変形例では、リングは、スリットを有するように(すなわち、隣接し合う部分を有するように)構成されることができ、リングが弁190の異なるリーフレット197を横切っていると、分離が可能である。
図5Gに見られるように、雄ルアー52は、弁190に挿入されることができ、突出部182を遠位方向に押すことができ、弁190を伸張させ、弁を襞状に開かせる。
【0033】
さらに、突出部182は、
図1D~
図1Gに記載されるインサート170と組み合わせて使用されてもよい。そのような構成では、雄ルアー52は、インサート170の硬質テーパ面に押し込まれると停止することになる。したがって、弁の軟質材料をカテーテルハブ134またはインサート170の硬質材料を覆うように成形して、軟質弁の近位基部を固定するのを補助することができる。この固定は、雄ルアー52の挿入によって弁が伸張して寸法的に薄くなるときに重要であり得る。弁190は、約2mm以上伸張することができる。弁リーフレット197は、雄ルアー52が挿入されると、伸張されて開き、ある点まで折り畳まれる。雄ルアー52を除去した後、リーフレット197は、その元のサイズおよび密閉位置に戻る。
【0034】
図6A~
図6Dは、種々のフランジ198構成を有する弁190を有するカテーテルアセンブリ130の追加的変形例の部分断面図を示す。
図6Aは、カテーテルハブ134の後面138に配置された凹部148内に配置されたフランジ198を示す。示されるように、弁190の近位端191は、カテーテルハブ134の後面138を越えて延びている。
図6Bは、フランジ198がハブ134の後面138に配置された凹部148内に配置されるが、弁190の近位端191がハブ134の後面138と面一である別の変形例を示す。
図6Cおよび
図6Dは、弁190の外面上に外縁部を備えるフランジ198を示す。
図6Cでは、フランジ198は、カテーテルハブ134内に配置された凹部148内に配置され、弁190の近位端191もまたハブ134の後面138から埋め込まれるようになっている。
図6Dは、弁190の近位端191がハブ134の後面138を越えて延びているが、フランジ191が後面138を完全には覆っていない、同様のフランジ198を示す。
【0035】
図7A~
図7Dは、本明細書に記載されるカテーテルアセンブリ130と共に使用するための改善された弁の追加例を示す。
図7Aに示されるように、弁190は、カテーテル130のハブ134内に着座しており、遠位端においてバリア層(または隔壁)192を含み、このバリア層192は、リーフレット197を画定する1つ以上のスリット194を含んでいる。弁は、バリア層192から近位方向に延びている壁196を含む。この変形例では、壁196は、セグメント化されたフランジ198まで延びている多数の脚186に分割されている。図示される変形例では、4つの脚186を示しているが、弁190の代替的変形例では、任意の数の脚(例えば、1つ以上)を含むことができ、脚は、円周方向に弁を覆うように延びてはおらず、間隙を残している。
図7Bは、フランジなしで終端する脚186を有する、弁190の同様の変形例を示す。
図7Cは、弁190の例を示しており、壁196は、弁の周囲で円周方向に延びているが、軸線方向長さに沿っては部分的にのみ延びており、脚186が弁190の残りの距離に沿って延びている。
図7A~
図7Cに示される弁のフランジ198、脚186および/または壁196は、カテーテルハブのチャンバの凹部(例えば、上記の144または148を参照)内に配置され、弁の内径をカテーテルチャンバの壁と部分的にまたは完全に整列させることができる。7Dに示されるカテーテル-弁アセンブリの変形例に関して、インサート170は、
図7Dに示されるような脚172を有することができる。インサート170とカテーテルハブ134との間にバリアを形成するために、インサート170が、脚186同士の間の間隙を埋めることができる。インサート170が弁190内に配置されると、脚186が密閉されて、脚186を通して流体が漏出するのを防止することができる。追加的変形例では、インサート170は、任意の数の、弁190とは異なる特性を有することができる。インサート170の脚172は、挿入されると、弁190の脚との間に生じ得る任意の間隙を最小化することになる。
【0036】
開示された実施形態の前述の説明は、当業者が誰でも本発明を作成または使用することを可能にするために提供される。これらの実施形態に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかになるであろうが、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用することができる。例えば、実施形態の様々な構成要素に対しては多種多様な材料を選択することができる。したがって、本発明の範囲を示すために、添付の特許請求の範囲ならびに前述の説明を参照して、本実施形態は、すべての点で例示的であって限定的なものではないと考えられることが望まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と、側面と、コネクタ部とを有する雄ルアーと共に使用するように構成された弁アセンブリであって、前記弁アセンブリが、
近位端内に前記雄ルアーを受け入れるように構成されたハブと、
前記ハブ内のチャンバに結合され、遠端のバリア層および壁部を備える弁と、を備え、
前記壁部が、前記バリア層から前記弁の近端に向かって近位方向に延び、前記壁部の内部に弁キャビティを画定しており、前記バリア層が、前記バリア層を通って延びている少なくとも1つのスリットを有し、
前記弁キャビティ内の前記壁部の表面と、前記弁の前記遠端の前記バリア層に隣接する前記チャンバの表面との間で測定されるオフセット距離が、前記バリア層の厚さよりも小さく、
前記弁が、前記ハブ内に配置されるように構成されており、前記壁部が前記ハブ内の前記チャンバの
前記表面に係合するようになっており、
前記バリア層が、流体圧力ではなく弾性変形によって変形するように構成されており、前記雄ルアーの前記弁キャビティへの挿入により、前記雄ルアーの前記遠位端が、前記バリア層を変形させ、前記少なくとも1つのスリットを開いて前記バリア層を通る流体の流れを可能にする一方、前記雄ルアーの前記側面が前記弁キャビティの内部で前記壁部に係合して、前記壁部を前記チャンバの前記表面に係合させるようになっている、弁アセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのスリットが、前記バリア層に複数のリーフレットを形成している、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスリットの周囲が、前記バリア層に限定されており、前記複数のリーフレットが前記壁部まで延びないようになっている、請求項2に記載の弁アセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスリットが分岐しており、前記複数のリーフレットが少なくとも3つのリーフレットを含むようになっている、請求項2に記載の弁アセンブリ。
【請求項5】
前記複数のリーフレットの各々の厚さが同じである、請求項2に記載の弁アセンブリ。
【請求項6】
前記壁部の外面全体が、前記チャンバの
前記表面に接触している、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項7】
前記壁部の外面全体が、均一な外径を有する円筒形状を有する、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項8】
前記弁の前記近端にフランジ部をさらに備える、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項9】
前記弁が、軸線方向に前記ハブ内に埋め込まれている、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項10】
前記フランジ部が、前記弁の外面上に隆起面を含む、請求項8に記載の弁アセンブリ。
【請求項11】
前記弁の前記近端が、前記ハブの近位端と面一である、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項12】
前記フランジ部の近位端が、前記ハブの前記近位端を越えて延びている、請求項8に記載の弁アセンブリ。
【請求項13】
前記フランジ部が、前記ハブの前記近位端を部分的に覆っている、請求項
12に記載の弁アセンブリ。
【請求項14】
前記弁内に配置されたインサートをさらに備え、
前記インサートが、前記雄ルアーを受け入れるように構成されている、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項15】
前記弁内に配置された隆起面をさらに備え、
前記雄ルアーの挿入時に、前記隆起面が前記雄ルアーによって押されて前記弁を開くように構成されている、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【国際調査報告】