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特表2024-507170カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造、特にスルフィドベースのイオン伝導性構造を備える固体電解質材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造、特にスルフィドベースのイオン伝導性構造を備える固体電解質材料
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/06 20060101AFI20240208BHJP
   C01B 25/14 20060101ALI20240208BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALN20240208BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240208BHJP
   H01M 4/62 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
H01B1/06 A
C01B25/14
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548811
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022016064
(87)【国際公開番号】W WO2022174011
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/148,155
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523304696
【氏名又は名称】アンプセラ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デュ・フイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エメリー・ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】スミン・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チェン
【テーマコード(参考)】
5G301
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5G301CA02
5G301CA04
5G301CA05
5G301CA07
5G301CA08
5G301CA12
5G301CA16
5G301CA17
5G301CA19
5G301CA23
5G301CA30
5G301CD01
5H029AM12
5H029HJ02
5H029HJ20
5H050DA13
5H050EA15
5H050HA02
5H050HA17
(57)【要約】
リチウム、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄及びカリウムのうちの1種又は複数;硫黄、酸素、セレン及びテルルのうちの1種又は複数;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;並びにカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造に組み込まれた過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を含むカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造を備える、固体電解質材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄及びカリウムのうちの1種又は複数;
硫黄、酸素、セレン及びテルルのうちの1種又は複数;
ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;並びに
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造に組み込まれた、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種
を含むカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造
を備える、固体電解質材料。
【請求項2】
過剰量のカルコゲンが、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の欠損内に配置されている、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項3】
過剰量のカルコゲンが、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の格子間内に配置されている、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項4】
過剰量のカルコゲンが、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造内の超格子積層欠陥の形態で存在する、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項5】
過剰量のカルコゲナイドが、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造内のカルコゲナイド層の形態で存在する、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項6】
過剰量のカルコゲナイドが、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造内の複数のカルコゲナイド層の超格子積層欠陥の形態で存在する、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項7】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造が、X線回折パターンにおいて、過剰量のカルコゲナイドに対応する可視(111)ピークを有する、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項8】
過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性未満である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項9】
過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性の半分未満である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項10】
過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性の4分の1未満である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項11】
過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性のおよそ10分の1である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項12】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-7S/cm未満である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項13】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-8S/cm未満である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項14】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-9S/cm未満である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項15】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-10S/cm未満である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項16】
過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも高い、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項17】
過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも10%高い、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項18】
過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも20%高い、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項19】
過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも30%高い、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項20】
過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも40%高い、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項21】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.2mA/cm超である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項22】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.4mA/cm超である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項23】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.6mA/cm超である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項24】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.8mA/cm超である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項25】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、1.0mA/cm超である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項26】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、2.0mA/cm超である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項27】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、3.0mA/cm超である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項28】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、4.0mA/cm超である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項29】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、5.0mA/cm超である、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項30】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造が、リチウムを含む、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項31】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造が、硫黄を含む、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項32】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造が、リンを含む、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項33】
過剰量のカルコゲンが、過剰量の硫黄を含む、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項34】
過剰量のカルコゲナイドが、過剰量の硫化リチウムを含む、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項35】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造が、アルジロダイト構造を有する、請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項36】
アルジロダイト構造が、2種以上のハロゲンを有する、請求項35に記載の固体電解質材料。
【請求項37】
リチウム;
任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた、硫黄;
ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;並びに
スルフィドベースのイオン伝導性構造に組み込まれた、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種
を含むスルフィドベースのイオン伝導性構造
を備える、固体電解質材料。
【請求項38】
過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性構造の欠損内に配置されている、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項39】
過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性構造の格子間内に配置されている、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項40】
過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性構造内の超格子積層欠陥の形態で存在する、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項41】
過剰量の硫化リチウムが、スルフィドベースのイオン伝導性構造内の硫化リチウム層の形態で存在する、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項42】
過剰量の硫化リチウムが、スルフィドベースのイオン伝導性構造内の複数の硫化リチウム層の超格子積層欠陥の形態で存在する、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項43】
スルフィドベースのイオン伝導性構造が、X線回折パターンにおいて、過剰量のカルコゲナイドに対応する可視(111)ピークを有する、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項44】
過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性未満である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項45】
過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性の半分未満である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項46】
過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性の4分の1未満である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項47】
過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性のおよそ10分の1である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項48】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-7S/cm未満である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項49】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-8S/cm未満である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項50】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-9S/cm未満である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項51】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-10S/cm未満である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項52】
過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも高い、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項53】
過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも10%高い、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項54】
過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも20%高い、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項55】
過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも30%高い、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項56】
過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも40%高い、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項57】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.2mA/cm超である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項58】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.4mA/cm超である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項59】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.6mA/cm超である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項60】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.8mA/cm超である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項61】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、1.0mA/cm超である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項62】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、2.0mA/cm超である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項63】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、3.0mA/cm超である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項64】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、4.0mA/cm超である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項65】
スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、5.0mA/cm超である、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項66】
スルフィドベースのイオン伝導性構造が、リンを含む、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項67】
スルフィドベースのイオン伝導性構造が、アルジロダイト構造を有する、請求項37に記載の固体電解質材料。
【請求項68】
アルジロダイト構造が、2種以上のハロゲンを有する、請求項67に記載の固体電解質材料。
【請求項69】
リチウム;
任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた、硫黄;
ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;
1種又は複数のハロゲン;並びに
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造に組み込まれた過剰量の硫黄
を含むスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造
を備える、固体電解質材料。
【請求項70】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、一般式:Li12-m-xm+(6-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超である)を有する、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項71】
nが、0<n≦1の範囲である、請求項70に記載の固体電解質材料。
【請求項72】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、一般式:Li18-2m-x m+(9-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超である)を有する、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項73】
nが、0<n≦1の範囲である、請求項72に記載の固体電解質材料。
【請求項74】
過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の欠損内に配置されている、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項75】
過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の格子間に配置されている、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項76】
過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造内の超格子積層欠陥の形態で存在する、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項77】
過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性未満である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項78】
過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性の半分未満である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項79】
過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性の4分の1未満である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項80】
過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性のおよそ10分の1である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項81】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-7S/cm未満である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項82】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-8S/cm未満である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項83】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-9S/cm未満である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項84】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-10S/cm未満である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項85】
過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも高い、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項86】
過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも10%高い、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項87】
過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも20%高い、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項88】
過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも30%高い、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項89】
過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも40%高い、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項90】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.2mA/cm超である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項91】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.4mA/cm超である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項92】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.6mA/cm超である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項93】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.8mA/cm超である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項94】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、1.0mA/cm超である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項95】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、2.0mA/cm超である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項96】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、3.0mA/cm超である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項97】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、4.0mA/cm超である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項98】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、5.0mA/cm超である、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項99】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、リンを含む、請求項69に記載の固体電解質材料。
【請求項100】
アルジロダイト構造が、2種以上のハロゲンを有する、請求項99に記載の固体電解質材料。
【請求項101】
リチウム;
任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた、硫黄;
ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;
1種又は複数のハロゲン;並びに
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造に組み込まれた過剰量の硫黄
を含むスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造
を備える、固体電解質材料。
【請求項102】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、一般式:Li12-m-x+2nm+(6-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超である)を有する、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項103】
nが、0<n≦20の範囲である、請求項102に記載の固体電解質材料。
【請求項104】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、一般式:Li18-2m-x m+(9-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超である)を有する、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項105】
nが、0<n≦20の範囲である、請求項104に記載の固体電解質材料。
【請求項106】
過剰量の硫化リチウムが、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造内の硫化リチウム層の形態で存在する、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項107】
過剰量の硫化リチウムが、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造内の複数の硫化リチウム層の超格子積層欠陥の形態で存在する、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項108】
過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性未満である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項109】
過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性の半分未満である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項110】
過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性の4分の1未満である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項111】
過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性のおよそ10分の1である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項112】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-7S/cm未満である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項113】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-8S/cm未満である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項114】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-9S/cm未満である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項115】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-10S/cm未満である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項116】
過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも高い、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項117】
過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも10%高い、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項118】
過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも20%高い、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項119】
過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも30%高い、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項120】
過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも40%高い、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項121】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.2mA/cm超である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項122】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.4mA/cm超である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項123】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.6mA/cm超である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項124】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.8mA/cm超である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項125】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、1.0mA/cm超である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項126】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、2.0mA/cm超である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項127】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、3.0mA/cm超である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項128】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、4.0mA/cm超である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項129】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、5.0mA/cm超である、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項130】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、リンを含む、請求項101に記載の固体電解質材料。
【請求項131】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、2種以上のハロゲンを含む、請求項101に記載の固体電解質材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月11日に出願された米国仮特許出願第63/148,155号の優先権を主張し、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、固体電解質(solid state electrolyte)材料の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造は、二次電池、特に固体電池のための固体電解質材料の可能性のある候補である。しかしながら、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造には依然として課題がある。例えば、金属デンドライトの成長は、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造を貫通して電池のショートにつながることがある。
【0004】
したがって、当業者は、固体電解質材料の分野における研究及び開発を続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、固体電解質材料は、リチウム、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄及びカリウムのうちの1種又は複数;硫黄、酸素、セレン及びテルルのうちの1種又は複数;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;並びにカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造に組み込まれた過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を含むカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造を備える。
【0006】
別の実施形態において、固体電解質材料は、リチウム;任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた、硫黄;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;並びにスルフィドベースのイオン伝導性構造に組み込まれた過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を含むスルフィドベースのイオン伝導性構造を備える。
【0007】
なお別の実施形態において、固体電解質材料は、リチウム;任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた、硫黄;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;1種又は複数のハロゲン;並びにスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造に組み込まれた過剰量の硫黄を含むスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造を備える。
【0008】
なお別の実施形態において、固体電解質材料は、リチウム;任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた、硫黄;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;1種又は複数のハロゲン;並びにスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造に組み込まれた過剰量の硫化リチウムを含むスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造を備える。
【0009】
本開示の固体電解質材料の他の実施形態は、以下の詳細な説明、添付の図面及び添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本明細書のスタッフされたスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造についてのX線回折パターンを示す図である。
図1B】公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイトについてのX線回折パターンを示す図である。
図2】スタッフされたアルジロダイト及び公称化学量論のアルジロダイトについてのHebb-Wagner分極曲線を示すグラフである。
図3A】スタッフされたアルジロダイト配合物についての対称リチウム-リチウムサイクリング曲線を示すグラフである。
図3B】公称化学量論アルジロダイト形成についての対称リチウム-リチウムサイクリング曲線を示すグラフである。
図4】標準ユニットセル及び積層欠陥層を有するユニットセルの模式図である。
図5】2つの隣接する標準ユニットセル及び積層欠陥を有する2つの隣接する標準ユニットセルの模式図である。
図6】2つの隣接する標準ユニットセル及び積層欠陥を有する2つの隣接する標準ユニットセルの模式図である。
図7】標準ユニットセル及び積層欠陥を有するユニットセルの模式図である。
図8】2つの隣接する標準ユニットセル及び積層欠陥を有する2つの隣接する標準ユニットセルの模式図である。
図9】2つの隣接する標準ユニットセル及び積層欠陥を有する2つの隣接する標準ユニットセルの模式図である。
図10】本明細書のスタッフされたアルジロダイトを固体電解質層として使用する固体電池の模式図である。
図11】本明細書のスタッフされたアルジロダイトを固体電解質層として使用する固体リチウム金属電池の模式図である。
図12】本明細書のスタッフされたアルジロダイトを固体電解質層として使用する、アノードレス(anodeless)固体電池の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造は、二次電池、特に固体電池のための固体電解質材料の可能性のある候補である。しかしながら、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造には依然として課題がある。例えば、硫黄欠損(vacancy)は、アルジロダイト構造の電子伝導性を増加させえ、アルジロダイト構造を貫通して電池のショートにつながることがある金属デンドライトの成長がもたらされる。硫黄欠損はまた、アルジロダイトを電解質として使用する電池の電気化学ウィンドウを制限しえ、エネルギー密度が限定される。電池性能は、アルジロダイト中の硫黄欠損に過剰量の硫黄を充填することによって強化することができる。本明細書は、これら及び他の課題に対処して、改善された固体電解質材料をもたらすカルコゲナイドベース及びスルフィドベースのイオン伝導性構造を提供することに関する。
【0012】
本明細書は、リチウム、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄及びカリウムのうちの1種又は複数;硫黄、酸素、セレン及びテルルのうちの1種又は複数;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;並びにカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造に組み込まれた過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を含み、スタッフされた構造と呼ばれるものを形成するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造を備える、固体電解質材料に関する。
【0013】
典型的には、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造は、反応性金属イオンのリチウム、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄及びカリウムのうちの1種を有する。好ましい例では、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造は、反応性金属イオンのリチウムを有する。好ましい例では、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造は、硫黄のみを有するか、又は酸素、セレン及びテルルと組み合わせた硫黄を有するスルフィドベースであってもよい。
【0014】
本明細書はまた、リチウム;任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた、硫黄;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;並びにスルフィドベースのイオン伝導性構造に組み込まれた過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を含み、スタッフされた構造と呼ばれるものを形成するスルフィドベースのイオン伝導性構造を備える、固体電解質材料に関する。スルフィドベースのイオン伝導性構造は、硫黄のみを有していても、又は酸素、セレン及びテルルと組み合わせて硫黄を有していてもよい。
【0015】
ある態様において、カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性構造は、ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種を有していてもよい。別の態様において、カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性構造は、ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの2種を有していてもよい。別の態様において、カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性構造は、ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの3種以上を有していてもよい。
【0016】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造において、過剰量のカルコゲンは、硫黄、酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せであってもよい。好ましい例では、過剰量のカルコゲンは、過剰量の硫黄である。本明細書の過剰量のカルコゲン又は過剰量の硫黄は、カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性構造との混合物であるのとは反対に、カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性構造に組み込まれている。ある態様において、過剰量のカルコゲン又は過剰量の硫黄は、構造の欠損内に配置された形態で構造に組み込まれていてもよい。加えて又は代わりに、過剰量のカルコゲン又は過剰量の硫黄は、構造の格子間内に配置された形態で構造に組み込まれていてもよい。加えて又は代わりに、過剰量のカルコゲン又は過剰量の硫黄は、構造内の超格子積層欠陥の形態で構造に組み込まれていてもよい。
【0017】
カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造において、過剰量のカルコゲナイドは、リチウム、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄及びカリウムのうちの1種又は複数と、硫黄、酸素、セレン及びテルルのうちの1種又は複数とのカルコゲナイドであってもよい。一例では、カルコゲナイドは、硫黄、酸素、セレン及びテルルのうちの1種又は複数を有するリチウムである。別の例では、カルコゲナイドは、硫黄を有するリチウム、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄及びカリウムのうちの1種又は複数である。好ましい例では、カルコゲナイドは、硫化リチウムである。
【0018】
本明細書の過剰量のカルコゲナイド又は過剰量の硫化リチウムは、カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性構造との混合物であるのとは反対に、カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性構造に組み込まれている。ある態様において、過剰量のカルコゲナイド又は過剰量の硫化リチウムは、構造内のカルコゲナイド又は硫化リチウム層の形態で構造に組み込まれていてもよい。別の態様において、過剰量のカルコゲナイド又は過剰量の硫化リチウムは、構造内の複数のカルコゲナイド又は硫化リチウム層の超格子積層欠陥の形態で存在していてもよい。カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性構造は、X線回折パターンにおいて過剰量のカルコゲナイド又は過剰量の硫化リチウムに対応する可視(111)ピークを有することによって特徴付けることができる。或いは、そのような構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)又は高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)を使用して観察することができる。
【0019】
ある態様において、カルコゲナイドベースの(例えば、スルフィドベースの)イオン伝導性構造に組み込まれた過剰量のカルコゲン(例えば、硫黄)及び過剰量のカルコゲナイド(例えば、硫化リチウム)のうちの少なくとも1種は、図2に示される通り、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性を低下させうる。ある態様において、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造に組み込まれた過剰量のカルコゲン(例えば、硫黄)及び過剰量のカルコゲナイド(例えば、硫化リチウム)のうちの少なくとも1種は、図3に示される通り、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度を増加させうる。本明細書は理論により制限されるものではないが、電子伝導性の低下及び/又は臨界電流密度の増加は、カルコゲナイドベースの(例えば、スルフィドベースの)イオン伝導性構造中の過剰量のカルコゲナイド(例えば、硫化リチウム)又は過剰量のカルコゲン(例えば、硫黄)積層欠陥に起因しうると考えられる。過剰量のカルコゲナイド(例えば、硫化リチウム)の場合、1つ又は複数のカルコゲナイド(例えば、硫化リチウム)積層欠陥は、バルク材料を通した電子移動を防止するバリア層として役立ちうる。過剰量のカルコゲン(例えば、硫黄)の場合、1つ又は複数の空カルコゲナイド(例えば、硫化リチウム)積層欠陥は、カルコゲン(例えば、硫黄)の低電子伝導性と組み合わせて、バルク材料を通した電子移動を制限しうる。しかしながら、電子伝導性の低下及び/又は臨界電流密度の増加の他の機序が、加えて又は代わりに存在しうる。別の態様において、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造に組み込まれた過剰量のカルコゲン(例えば、硫黄)及び過剰量のカルコゲナイド(例えば、硫化リチウム)の少なくとも1種は、リチウム金属(又はナトリウム金属、アルミニウム金属、マグネシウム金属、鉄金属若しくはカリウム金属)との化学安定性を増加させることがあり、これは、臨界電流密度の強化への寄与因子でありうる。過剰量のカルコゲナイド(例えば、硫化リチウム)及びカルコゲン(例えば、硫黄)の両方の場合、過剰量の材料は、リチウム金属表面で不動態化層を形成しえ、より安定な固体電解質界面層が形成する。なお別の態様において、より低い電子伝導性及びより高い臨界電流密度は、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造のリチウム(又はナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄若しくはカリウム)デンドライトの抑制能を強化しえ、固体金属電池のより長いサイクル寿命が可能になる。
【0020】
いくつかの態様において、過剰量のカルコゲン(例えば、硫黄)及び過剰量のカルコゲナイド(例えば、硫化リチウム)のうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースの(例えば、スルフィドベースの)イオン伝導性構造は、過剰量のカルコゲン(例えば、硫黄)及び過剰量のカルコゲナイド(例えば、硫化リチウム)のうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースの(例えば、スルフィドベースの)イオン伝導性構造と比較することができる。ある態様において、本明細書のカルコゲナイドベースの(例えば、スルフィドベースの)イオン伝導性構造の電子伝導性は、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性未満、好ましくは、公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性の半分未満、より好ましくは4分の1未満である。例えば、本明細書の発明者らは、図2に示される通り、電子伝導性が公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性のおよそ10分の1である本明細書のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造を実現した。別の態様において、本明細書のカルコゲナイドベースの(例えば、スルフィドベースの)イオン伝導性構造の臨界電流密度は、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも高く、好ましくは少なくとも10%高く、より好ましくは少なくとも20%高く、より好ましくは少なくとも30%高く、より好ましくは少なくとも40%高い。例えば、本明細書の発明者らは、図3に示される通り、臨界電流密度が公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも40%高い本明細書のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造を実現した。
【0021】
ある態様において、カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性構造は、アルジロダイト構造又は非アルジロダイト構造を有していてもよい。カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性非アルジロダイト構造は、比較的高い室温イオン伝導性(例えば、10-5S/cm以上)を有し、好ましくは、元素リチウム、硫黄及びリン(又はリンと非リン元素との混合物)を含有するべきである。例としては、チオ-LISCON Li10GeP12+n(式中、nは、過剰量の硫黄に対応し、n>0である)が挙げられる。別の例としては、チオ-LISCON Li10+2nGeP12+n(式中、nは、過剰量の硫化リチウムに対応し、n>0である)が挙げられる。加えて又は代わりに、カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性非アルジロダイトは、元素リチウム、硫黄、リン(又はリンと非リン元素の混合物)及び1種又は複数のハロゲンを含有する。例としては、Li9.54Si1.741.4411.7+nCl0.3(式中、nは、過剰量の硫黄に対応し、n>0である)が挙げられる。別の例としては、Li9.54+2nSi1.741.4411.7+nCl0.3(式中、nは、過剰量の硫化リチウムに対応し、n>0である)が挙げられる。過剰量のカルコゲン又は過剰量のカルコゲナイドが構造に組み込まれた非アルジロダイト構造についての他の式は、当業者には明らかとなろう。
【0022】
本明細書はまた、リチウム;任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた、硫黄;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;1種又は複数のハロゲン;並びにスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造に組み込まれた過剰量の硫黄を含むスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造を備える、固体電解質材料に関する。
【0023】
一例では、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造は、一般式:Li12-m-xm+(6-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)を有していてもよい。
【0024】
別の例では、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造は、一般式:Li18-2m-x m+(9-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)を有していてもよい。
【0025】
別の例では、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造は、一般式:Li24-3m-x m+(12-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)を有してもいてよい。
【0026】
過剰量のカルコゲン又は過剰量の硫黄が構造に組み込まれたカルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造についての他の式は、当業者には明らかとなろう。
【0027】
本明細書はまた、リチウム;任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた、硫黄;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;1種又は複数のハロゲン;並びにスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造に組み込まれた過剰量の硫化リチウムを含むスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造を備える、固体電解質材料に関する。
【0028】
一例では、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造は、一般式:Li12-m-x+2nm+(6-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)を有していてもよい。
【0029】
別の例では、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造は、一般式:Li18-2m-x+2n m+(9-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超であり、好ましくは0<n≦20の範囲である)を有していてもよい。
【0030】
別の例では、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造は、一般式:Li24-3m-x+2n m+(12-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超であり、好ましくは0<n≦20の範囲である)を有していてもよい。
【0031】
過剰量のカルコゲナイド又は過剰量の硫化リチウムが構造に組み込まれたカルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造についての他の式は、当業者には明らかとなろう。
【0032】
本明細書全体を通して、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が参照されるが、本明細書における原理は、カルコゲナイドベースの構造及び非アルジロダイト構造に当てはまる。
【0033】
本明細書のアルジロダイト配合物は、公称化学量論の構造を有するアルジロダイト配合物よりも低い電子伝導性を有しうる。アルジロダイトの電子伝導性のそのような低下は、図2のHebb-Wagner分極曲線において示される。
【0034】
本明細書のアルジロダイト配合物は、公称化学量論の構造を有するアルジロダイト配合物よりも高い臨界電流密度を有しうる。本明細書のアルジロダイトの臨界電流密度のそのような強化は、図3の対称リチウム-リチウムサイクリング曲線において示される。
【0035】
電子伝導性の低下及び臨界電流密度の増加は、アルジロダイト結晶構造中の過剰量のLiS又は過剰量のスルフィド積層欠陥に起因しうる。過剰量のLiSの場合、1つ又は複数のLiS積層欠陥は、バルク材料を通した電子移動を防止するバリア層として役立ちうる。過剰量のスルフィドの場合、1つ又は複数の空リチウム-スルフィド積層欠陥は、硫黄の低電子伝導性と組み合わせて、バルク材料を通した電子移動を制限しうる。
【0036】
本明細書のアルジロダイト配合物は、リチウム金属との化学安定性が公称化学量論の構造を有するアルジロダイト配合物よりも高くなりえ、これは、図3における臨界電流密度の強化への寄与因子でありうる。過剰量のLiS及びスルフィドの両方の場合、過剰量の材料は、リチウム金属表面で不動態化層を形成しえ、より安定な固体電解質界面層が形成される。
【0037】
より低い電子伝導性及びより高い臨界電流密度の組合せにより、公称化学量論の構造を有するアルジロダイト配合物のリチウムデンドライトの抑制能を上回って、本明細書のアルジロダイト配合物のリチウムデンドライトの抑制能を強化することができ、固体リチウム金属電池のより長いサイクル寿命が可能になる。
【0038】
ある態様において、本明細書のカルコゲナイドベースの(例えば、スルフィドベースの)イオン伝導性構造(アルジロダイト構造)の電子伝導性は、10-7S/cm未満、好ましくは10-8S/cm未満、より好ましくは10-9S/cm未満、より好ましくは10-10S/cm未満である。別の態様において、カルコゲナイドベースの(例えば、スルフィドベースの)イオン伝導性構造の臨界電流密度は、0.2mA/cm超、好ましくは0.4mA/cm超、より好ましくは0.6mA/cm超、より好ましくは0.8mA/cm超、より好ましくは1.0mA/cm超、より好ましくは2.0mA/cm超、より好ましくは3.0mA/cm超、より好ましくは4.0mA/cm超、より好ましくは5.0mA/cm超である。
【0039】
図1Aは、本明細書のスタッフされたスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造についてのX線回折パターンである。図1Bは、公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイトについてのX線回折パターンである。図1Aは、27°において(111)-硫化リチウムピークに対応する単一硫化リチウムピークを示す。単一硫化リチウムピークは、複数の硫化リチウムピークが存在することが予期されるであろう過剰量の前駆体とは反対に、超格子積層欠陥の形態の硫化リチウムの統合を更に示す。或いは、そのような構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)又は高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)を使用して観察することができる。
【0040】
図2:公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト(すなわち、標準アルジロダイト配合物)(図2の上側)の電子伝導性を上回る、本明細書のスタッフされたアルジロダイト(図2の下側)配合物についての電子伝導性の一桁の大きさの低下を示す、0.3Vの定電圧におけるHebb-Wagner分極曲線。評価は、250mgの固体電解質材料(厚さ0.1mm)を使用し、PEEK型スプリットセル(1.13cm)において、330MPaの圧力下、室温で行った。3.8×10-8及び4.4×10-7S/cmの電子伝導性値を、それぞれ、スタッフされたアルジロダイト及び標準又は公称化学量論のアルジロダイト配合物について記録した。
【0041】
図3A及び図3B:(図3A)スタッフされたアルジロダイト配合物及び(図3B)その公称化学量論のアルジロダイト形成についての対称リチウム-リチウムサイクリング曲線。評価は、リチウム/マグネシウム合金電極を使用し、20MPaの圧力下、室温で行った。スタッフされたアルジロダイト配合物は、その公称化学量論のアルジロダイト配合物の臨界電流密度(0.7mA/cm)を上回って強化された臨界電流密度(1mA/cm)を示した。
【0042】
図4:一般式Li7-xPS6-xClを有する標準アルジロダイトのユニットセル(2)の模式図(図中、Aはリン-硫黄(P-S)平面であり、Bはリチウム-スルフィド(Li-S)平面であり、Cはリン-硫黄-リチウム-塩化物(P-S-Li-Cl)平面である)。過剰量のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B*)は、高温及び/又は高圧処理を使用してB及びC平面間で形成し(4)、一般式Li9-xPS7-xClを有するスタッフされたアルジロダイトを形成することができる。スタッフされたアルジロダイトは、一般式Li7-x+2nPS6-x+nCl(式中、nは、ユニットセル内部の積層欠陥層の数である)を有する、B及びC平面間に形成された2つ以上のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(6)。或いは、1つ又は複数のLi-S積層欠陥層は、A及びB平面間に形成されてもよい。なお別の代替物において、1つ又は複数のLi-S積層欠陥層は、A及びB平面間、並びにB及びC平面間の両方で形成されてもよい。
【0043】
代替例では、図4は、一般式Li10MP12を有するチオ-LISCON固体電解質のユニットセル(2)を表しえ、図中、Aはリン混合金属-硫黄((P/M)-S)平面(式中、Mは、Si、Ge、Sn、As等であってもよい)であり、Bはリチウム-硫黄(Li-S)平面であり、Cは金属-リン-硫黄-リチウム(M-P-S-Li)平面である。過剰量のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B*)は、高温及び/又は高圧処理を使用してB及びC平面間で形成し(4)、一般式Li12MP13を有するスタッフされたチオ-LISCONを形成することができる。スタッフされたチオ-LISCONは、一般式Li10+2nMP12+n(式中、nは、ユニットセル内部の積層欠陥層の数である)を有する、B及びC平面間に形成された2つ以上のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(6)。
【0044】
図5:一般式Li7-xPS6-xClを有する標準アルジロダイトの2つの隣接するユニットセル(i及びii)(8)の模式図(図中、Aはリン-硫黄(P-S)平面であり、Bはリチウム-スルフィド(Li-S)平面であり、Cはリン-硫黄-リチウム-塩化物(P-S-Li-Cl)平面である)。過剰量のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B*)は、高温及び/又は高圧処理を使用して、ユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成し(10)、一般式Li9-xPS7-xClを有するスタッフされたアルジロダイトを形成することができる。スタッフされたアルジロダイトは、一般式Li7-x+2nPS6-x+nCl(式中、nは、ユニットセル間の積層欠陥層の数である)を有する、ユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成された2つ以上のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(12)。
【0045】
代替例では、図5は、一般式Li10MP12を有するチオ-LISCON固体電解質のユニットセル(8)を表しえ、図中、Aはリン混合金属-硫黄((P/M)-S)平面(式中、Mは、Si、Ge、Sn、As等であってもよい)であり、Bはリチウム-硫黄(Li-S)平面であり、Cは金属-リン-硫黄-リチウム(M-P-S-Li)平面である。過剰量のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B*)は、高温及び/又は高圧処理を使用して、ユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成し(10)、一般式Li12MP13を有するスタッフされたチオ-LISCONを形成することができる。スタッフされたチオ-LISCONは、一般式Li10+2nMP12+n(式中、nは、ユニットセル間の積層欠陥層の数である)を有する、ユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成された2つ以上のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(12)。
【0046】
図6:一般式Li7-xPS6-xClを有する標準アルジロダイトの2つの隣接するユニットセル(i及びii)(8)の模式図(図中、Aはリン-硫黄(P-S)平面であり、Bはリチウム-スルフィド(Li-S)平面であり、Cはリン-硫黄-リチウム-塩化物(P-S-Li-Cl)平面である)。過剰量のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B*)は、高温及び/又は高圧処理を使用して、両方のユニットセルのA及びB平面間、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成し(14)、一般式Li9-xPS7-xClを有するスタッフされたアルジロダイトを形成することができる。スタッフされたアルジロダイトは、一般式Li7-x+2nPS6-x+nCl(式中、nは、ユニットセル内部及びユニットセル間の積層欠陥層の数である)を有する、両方のユニットセルのA及びB平面間、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成された2つ以上のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(16)。或いは、1つ又は複数のLi-S積層欠陥層は、両方のユニットセルのB及びC平面間、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間で形成されうる。別の代替物において、1つ又は複数のLi-S積層欠陥層は、両方のユニットセルのA及びB平面間並びにB及びC平面間の両方、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間で形成されてもよい。
【0047】
代替例では、図6は、一般式Li10MP12を有するチオ-LISCON固体電解質のユニットセル(8)を表しえ、式中、Aはリン混合金属-硫黄((P/M)-S)平面(式中、Mは、Si、Ge、Sn、As等であってもよい)であり、Bはリチウム-硫黄(Li-S)平面であり、Cは金属-リン-硫黄-リチウム(M-P-S-Li)平面である。過剰量のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B*)は、高温及び/又は高圧処理を使用して、両方のユニットセルのA及びB平面間、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間で形成し(14)、一般式Li12MP13を有するスタッフされたチオ-LISCONを形成することができる。スタッフされたチオ-LISCONは、一般式Li10+2nMP12+n(式中、nは、ユニットセル内部及びユニットセル間の積層欠陥層の数である)を有する、両方のユニットセルのA及びB平面間、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成された2つ以上のリチウム-硫黄(Li-S)積層欠陥層(B**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(16)。
【0048】
図7:一般式Li7-xPS6-xClを有する標準アルジロダイトのユニットセル(2)の模式図(図中、Aはリン-硫黄(P-S)平面であり、Bはリチウム-スルフィド(Li-S)平面であり、Cはリン-硫黄-リチウム-塩化物(P-S-Li-Cl)平面である)。空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V*)は、高温及び/又は高圧処理を使用して、B及びC平面間で形成し(18)、一般式Li7-xPS7-xClを有するスタッフされたアルジロダイトを形成することができる。スタッフされたアルジロダイトは、一般式Li7-xPS6-x+nCl(式中、nは、ユニットセル内部の積層欠陥層の数である)を有する、B及びC平面間に形成された2つ以上の空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(20)。或いは、1つ又は複数のVLi-S積層欠陥層は、A及びB平面間に形成されてもよい。なお別の代替物において、1つ又は複数のVLi-S積層欠陥層は、A及びB平面間、並びにB及びC平面間の両方で形成されてもよい。
【0049】
代替例では、図7は、一般式Li10MP12を有するチオ-LISCON固体電解質のユニットセル(2)を表しえ、図中、Aはリン混合金属-硫黄((P/M)-S)平面(式中、Mは、Si、Ge、Sn、As等であってもよい)であり、Bはリチウム-硫黄(Li-S)平面であり、Cは金属-リン-硫黄-リチウム(M-P-S-Li)平面である。空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V*)は、高温及び/又は高圧処理を使用してB及びC平面間で形成し(18)、一般式Li10MP13を有するスタッフされたチオ-LISCONを形成することができる。スタッフされたチオ-LISCONは、一般式Li10MP12+n(式中、nは、ユニットセル内部の積層欠陥層の数である)を有する、B及びC平面間に形成された2つ以上の空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(20)。
【0050】
図8:一般式Li7-xPS6-xClを有する標準アルジロダイトの2つの隣接するユニットセル(i及びii)(8)の模式図(図中、Aはリン-硫黄(P-S)平面であり、Bはリチウム-スルフィド(Li-S)平面であり、Cはリン-硫黄-リチウム-塩化物(P-S-Li-Cl)平面である)。空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V*)は、高温及び/又は高圧処理を使用して、ユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成し(22)、一般式Li7-xPS7-xClを有するスタッフされたアルジロダイトを形成することができる。スタッフされたアルジロダイトは、一般式Li7-xPS6-x+nCl(式中、nは、ユニットセル間の積層欠陥層の数である)を有する、ユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成された2つ以上の空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(24)。
【0051】
代替例では、図8は、一般式Li10MP12を有するチオ-LISCON固体電解質のユニットセル(8)を表しえ、図中、Aはリン混合金属-硫黄((P/M)-S)平面(式中、Mは、Si、Ge、Sn、As等であってもよい)であり、Bはリチウム-硫黄(Li-S)平面であり、Cは金属-リン-硫黄-リチウム(M-P-S-Li)平面である。空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V*)は、高温及び/又は高圧処理を使用して、ユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成し(22)、一般式Li10MP13を有するスタッフされたチオ-LISCONを形成することができる。スタッフされたチオ-LISCONは、一般式Li10MP12+n(式中、nは、ユニットセル間の積層欠陥層の数である)を有する、ユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成された2つ以上の空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(24)。
【0052】
図9:一般式Li7-xPS6-xClを有する標準アルジロダイトの2つの隣接するユニットセル(i及びii)(8)の模式図(図中、Aはリン-硫黄(P-S)平面であり、Bはリチウム-スルフィド(Li-S)平面であり、Cはリン-硫黄-リチウム-塩化物(P-S-Li-Cl)平面である)。空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V*)は、高温及び/又は高圧処理を使用して、両方のユニットセルのA及びB平面間、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成し(26)、一般式Li7-xPS7-xClを有するスタッフされたアルジロダイトを形成することができる。スタッフされたアルジロダイトは、一般式Li7-xPS6-x+nCl(式中、nは、ユニットセル内部及びユニットセル間の積層欠陥層の総数である)を有する、両方のユニットのA及びB平面間、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成された2つ以上の空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(28)。或いは、1つ又は複数のVLi-S積層欠陥層は、両方のユニットセルのB及びC平面、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成されてもよい。別の代替物において、1つ又は複数のVLi-S積層欠陥層は、両方のユニットセルのA及びB平面間並びにB及びC平面間、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間で形成されてもよい。
【0053】
代替例では、図9は、一般式Li10MP12を有するチオ-LISCON固体電解質のユニットセル(8)を表しえ、図中、Aはリン混合金属-硫黄((P/M)-S)平面(式中、MはSi、Ge、Sn、As等であってもよい)であり、Bはリチウム-硫黄(Li-S)平面であり、Cは金属-リン-硫黄-リチウム(M-P-S-Li)平面である。空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V*)は、高温及び/又は高圧処理を使用して、両方のユニットセルのA及びB平面、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面間で形成し(26)、一般式Li10MP13を有するスタッフされたチオ-LISCONを形成することができる。スタッフされたチオ-LISCONは、一般式Li10MP12+n(式中、nは、ユニットセル内部及びユニットセル間の積層欠陥層の総数である)を有する、両方のユニットセルのA及びB平面間、並びにユニットセルiのC平面とユニットセルiiのA平面との間に形成された2つ以上の空リチウム-硫黄(VLi-S)積層欠陥層(V**)を含有する超格子様積層欠陥を更に含んでもよい(28)。
【0054】
図10:スタッフされたアルジロダイトを固体電解質層(30)として使用する固体電池であって、電解質層が、正電流コレクタ(34)上に形成された複合カソード層(32)と、負電流コレクタ(38)上に形成された複合アノード層(36)とを分離する、固体電池の模式図。複合カソード層(32)は、陰極液の形態のスタッフされたアルジロダイトを含有していてもよい。複合アノード層(36)は、陽極液の形態のスタッフされたアルジロダイトを含有していてもよい。
【0055】
図11:スタッフされたアルジロダイトを固体電解質層(30)として使用する固体リチウム金属電池であって、電解質層が、正電流コレクタ(34)上に形成された複合カソード層(32)と、負電流コレクタ(38)上に形成されたリチウム金属アノード層(40)とを分離する、固体リチウム金属電池の模式図。複合カソード層(32)は、陰極液の形態のスタッフされたアルジロダイトを含有していてもよい。
【0056】
図12:スタッフされたアルジロダイトを固体電解質層(30)として使用する、アノードレス固体電池であって、電解質層が、正電流コレクタ(34)上に形成された複合カソード層(32)と、負電流コレクタ(38)とを分離する、アノードレス固体電池の模式図。複合カソード層(32)は、陰極液の形態のスタッフされたアルジロダイトを含有していてもよい。
【0057】
本明細書の構造、並びに本明細書の構造を製造及び使用するための方法に関する更なる詳細が、以下の通り記載される。以下の詳細な記載は、過剰量の硫黄又は過剰量の硫化リチウムを有するアルジロダイト構造に主に焦点を当てているが、原理は、非アルジロダイト構造及び硫黄以外の過剰量のカルコゲン又は硫化リチウム以外の過剰量のカルコゲナイドを有する構造に当てはまる。
【0058】
過剰量の硫黄の場合、過剰量の硫黄は、アルジロダイトを、高温下、硫黄又は硫化水素(HS)の高蒸気圧で処理することによって実現することができる。過剰量の硫黄を使用して、硫黄欠損を充填するか、又は格子間硫黄を形成するか、又は超格子積層欠陥を形成することができる。超格子積層欠陥は、硫黄-リチウム規則格子及び硫黄-リチウム欠陥対の混合物によって形成することができる。
【0059】
過剰量の硫化リチウムの場合、過剰量は、更なる硫化リチウムをアルジロダイト組成物に添加することによって実現することができる。過剰量の硫化リチウムは、1つ又は複数のLiS層の超格子積層欠陥を形成しうる。超格子積層欠陥は、高圧及び/又は高温処理を使用して形成することができる。
【0060】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、アルジロダイトの電子伝導性を低下させるか、アルジロダイトを電解質として使用する二次電池の電気化学ウィンドウを拡大するか、又はアルジロダイトのイオン伝導性を増加させうる。
【0061】
アルジロダイト構造化固体電解質は、それらの高室温イオン伝導性のために、二次電池、特に固体電池において有利である。しかしながら、硫黄欠損は、アルジロダイトの電子伝導性を増加させえ、貫通して電池のショートにつながることがある金属デンドライトの成長がもたらされる。硫黄欠損はまた、アルジロダイトを電解質として使用する電池の電気化学ウィンドウを制限しえ、エネルギー密度が制限される。電池性能は、アルジロダイトの硫黄欠損を過剰量の硫黄で充填することによって強化することができる。
【0062】
ある実施形態において、アルジロダイト固体電解質材料は、一般式:Li12-m-x(Mm+ 2-)Y2-x 2- 又はLi18-2m-x(M m+ 2-)Y2-x 2-x-(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y2-=S2-であり、いくつかの場合には、O2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せとの組合せであってもよく;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲である)を有していてもよい。
【0063】
別の実施形態において、過剰量の硫黄がアルジロダイト材料に統合されてもよく、硫黄がスタッフされたアルジロダイト構造が形成される。ある態様において、過剰量の硫黄は、アルジロダイト中の硫黄欠損を充填し、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成するために使用することができる。別の態様において、過剰量の硫黄は、アルジロダイト中の格子間硫黄を形成し、硫黄スタッフアルジロダイトを形成するために使用することができる。
【0064】
なお別の態様において、過剰量の硫黄は、アルジロダイト構造中の超格子積層欠陥を形成し、硫黄スタッフアルジロダイトを形成するために使用することができる。超格子積層欠陥は、硫黄-リチウム規則格子を有する硫黄-リチウム欠陥対によって形成することができる。
【0065】
なお別の態様において、過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、X線回折パターンにおいてLiSに対応する単一(111)ピークとして現れえ、これは、リチウム及び硫黄原子の最密面(close-pack plane)である。或いは、そのような構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)又は高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)を使用して観察することができる。
【0066】
なお別の態様において、硫黄又は硫化水素(HS)蒸気圧を増加させ、アルジロダイトに過剰量の硫黄を押し入れ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成するために、高圧処理方法を使用することができる。
【0067】
なお別の態様において、アルジロダイトに過剰量の元素硫黄を押し入れ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成するために、高温処理方法を使用することができる。
【0068】
なお別の実施形態において、過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイト構造は、一般式:Li12-m-xm+(6-x)+n又はLi18-2m-x m+(9-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=S2-であり、いくつかの場合には、O2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せとの組合せであってもよく;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)を有していてもよい。
【0069】
ある態様において、過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、リン及び1種又は複数のハロゲンからなるアルジロダイト配合物を有しうる。
【0070】
別の態様において、過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、リン混合物及び1種又は複数のハロゲンからなるアルジロダイト配合物を有しうる。
【0071】
なお別の態様において、過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、非リン元素及び1種又は複数のハロゲンからなるアルジロダイト配合物を有しうる。
【0072】
なお別の態様において、過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、非リン混合物及び1種又は複数のハロゲンからなるアルジロダイト配合物を有しうる。
【0073】
なお別の実施形態において、過剰量の硫化リチウムがアルジロダイト材料に統合されてもよく、硫黄がスタッフされたアルジロダイト構造が形成される。
【0074】
ある態様において、過剰量の硫化リチウムがアルジロダイト材料に統合されてもよく、過剰量の硫化リチウムは、1つ又は複数のLiS層の超格子積層欠陥を形成しうる。
【0075】
ある態様において、超格子積層欠陥の平面は、X線回折パターンにおいてLiSに対応する単一(111)ピークとして現れえ、これは、リチウム及び硫黄原子の最密面である。或いは、そのような構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)又は高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)を使用して観察することができる。
【0076】
別の態様において、硫化リチウム蒸気圧を増加させ、アルジロダイト構造に過剰量の硫化リチウムを押し入れるために、高圧処理方法を使用することができる。
【0077】
なお別の態様において、アルジロダイト構造に過剰量の硫化リチウムを押し入れるために、高温処理方法を使用することができる。
【0078】
なお別の実施形態において、過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイト構造は、一般式:Li12-m-x+2nm+(6-x)+n又はLi18-2m-x+2n m+(9-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=S2-であり、いくつかの場合には、O2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せとの組合せであってもよく;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)を有していてもよい。
【0079】
ある態様において、過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、リン及び1種又は複数のハロゲンからなるアルジロダイト配合物を有しうる。
【0080】
別の態様において、過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、リン混合物及び1種又は複数のハロゲンからなるアルジロダイト配合物を有しうる。
【0081】
なお別の態様において、過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、非リン元素及び1種又は複数のハロゲンからなるアルジロダイト配合物を有しうる。
【0082】
なお別の態様において、過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、非リン混合物及び1種又は複数のハロゲンからなるアルジロダイト配合物を有しうる。
【0083】
なお別の実施形態において、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、二次電池、特に固体電池の性能を強化するために使用することができる。
【0084】
ある態様において、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、固体電解質の電子伝導性を低下させるために使用することができる。
【0085】
別の態様において、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、固体電解質のイオン伝導性を増加させるために使用することができる。
【0086】
なお別の態様において、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、アルジロダイトを固体電解質として使用する二次電池の電気化学能ウィンドウを拡大するために使用することができる。
【0087】
なお別の態様において、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、アルジロダイトと二次電池の活性カソード材料及び他の材料との化学適合性(compatibly)を強化するために使用することができる。
【0088】
なお別の態様において、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、リチウムデンドライトの貫通を遮断するために使用することができ、二次電池サイクル寿命が強化される。
【0089】
なお別の態様において、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、固体電解質の臨界電流密度を強化するために使用することができ、したがって、固体二次電池のパワーレートが増加する。
【0090】
本開示は、固体電解質材料に関する。
【0091】
固体電解質は、固体イオン伝導性材料を含んでも、又はそれから形成されてもよい。固体イオン伝導性材料は、以下の特徴を有しうる材料として記載することができる:
【0092】
固体イオン伝導性材料は、電界又は化学電位、例えば濃度差の存在下で特定の荷電元素を選択的に通過させることができる材料の種類である。
【0093】
この固体イオン伝導性材料は、イオンが移動することは可能である一方、電子は容易には通過させえない。
【0094】
イオンは、1、2、3、4以上の正電荷を有していてもよい。荷電イオンの例としては、例えば、H、Li、Na、K、Ag、Mg2+、Zn2+、Al3+、Fe3+等が挙げられる。
【0095】
対応するイオンのイオン伝導性は、好ましくは10-7S/cm超である。より低い電子伝導性(10-7S/cm未満)を有することが好ましい。
【0096】
固体イオン伝導性材料には、例えば、一般式:Li12-m-x(Mm+ 2-)Y2-x 2- 又はLi18-2m-x(M m+ 2-)Y2-x 2-x-
[a)式中、Mm+には、ホウ素(B3+)、ガリウム(Ga3+)、アルミニウム(Al3+)、アンチモン(Sb3+)、ケイ素(Si4+)、ゲルマニウム(Ge4+)、リン(P5+)、ヒ素(As5+)又はそれらの組合せが含まれうる。
b)式中、Y2-は、硫黄(S2-)であり、いくつかの場合には、他の非金属カルコゲン元素、例えば、酸素(O2-)、セレン(Se2-)、テルル(Te2-)又はそれらの組合せとの組合せであってもよい。
c)式中、Xは、ハロゲン、例えばフッ素(F)、塩素(Cl)、臭化物(Br)、ヨウ素(I)又はそれらの組合せであり、xは、0≦x≦2の範囲である]
のアルジロダイト材料が含まれうる。
【0097】
本開示は、過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトの処理に関する。
【0098】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成には、例えば、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成する合成の前に、過剰量の元素硫黄をセラミック粉末混合物に添加する、固相反応が含まれうる。
【0099】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成には、例えば、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成する合成の前に、過剰量の元素硫黄を溶液に添加する、溶液ベースの反応を含みうる。
【0100】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成には、例えば、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成する合成の前に、過剰量の元素硫黄を溶媒ベースの溶液に添加する、溶媒ベースの反応が含まれうる。
【0101】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成には、例えば、密閉合成ベッセル中で高圧により硫黄蒸気圧を増加させて、過剰量の硫黄をアルジロダイト構造に入れるか又は押し入れ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成することが含まれうる。
【0102】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成には、例えば、密閉合成ベッセル中で高圧により硫化水素蒸気圧を増加させて、過剰量の硫黄をアルジロダイト構造に入れるか又は押し入れ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成することが含まれうる。
【0103】
蒸気圧は、1<p≦100atmの範囲であってもよい。
【0104】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成には、例えば、高温により過剰量の硫黄をアルジロダイト構造に入れるか又は押し入れ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成することが含まれうる。
【0105】
温度は、100≦T≦1000℃の範囲であってもよい。
【0106】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成は、過剰量の硫黄をアルジロダイト構造に統合し、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成するのに十分なパラメーターを有することができる。
【0107】
開示されていない任意の合成方法により、過剰量の硫黄を使用して硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成することができ、このとき、合成方法のパラメーターは、過剰量の硫黄をアルジロダイト構造に入れるか又は押し入れて、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成するのに十分である。
【0108】
本開示は、過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトの組成物に関する。
【0109】
アルジロダイト構造に統合される、過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、一般式:
Li12-m-xm+(6-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=S2-であり、いくつかの場合には、O2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せとの組合せであってもよく;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)
を有していてもよい。
【0110】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li7-xPS(6-x)+n(式中、Xは、ハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、リン及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、LiPS5+nCl、Li6.25PS5.25+nBr0.75、Li5.75PS4.75+n1.25等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0111】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li7-x’-x’’PS(6-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、リン及び2種以上のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、LiPS5+nCl0.5Br0.5、Li5.75PS4.75+nCl0.750.5、Li6.25PS5.25+n0.5Br0.25等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0112】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li12-((5+m)/2)-x m+1-y(6-x)+n(式中、Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有するリン混合物及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、LiSb1-y5+nCl、Li6.5Si1-y5+nBr、LiSn1-y4.5+nCl1.5、LiAs1-y5+nI等(式中、yは、0.001≦y≦0.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0113】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li12-((5+m)/2)-x’-x’’ m+1-y(6-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲンであり、x’+x’’≦2である)を有する、リン混合物及び2種以上のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li1-y5+nCl0.5Br0.5、Li6.75Sb1-y4.75+nCl0.50.75、LiSi1-y4.5+nCl0.75Br0.75、Li6.5Sn1-y5+nBr0.50.5等(式中、yは、0.001≦y≦0.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0114】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li12-m-xm+(6-x)+n(式中、Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、単一のハロゲンを含む単一非リンアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、LiBS5+nCl、Li7.5SbS4.5+nBr1.5、LiSiS5+nI、Li7.25SnS5.25+nCl0.75、Li5.75AsS4.75+nBr1.25等(nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0115】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、例えば、式:
Li12-m-x’-x’’m+(6-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、2種以上のハロゲンを含む単一非リンアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、LiSbS5+nCl0.5Br0.5、Li6.75SiS4.75+nCl0.75Br0.5、LiSnS5+nCl0.5Br0.5、Li5.5AsS4.5+nBr0.750.75等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0116】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li12-((m’+m’’)/2)-x m’1-y m’’(6-x)+n(式中、Mm’及びMm’’は、リン以外の2種の異なる正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、非リン混合物及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、LiSb1-y5+nCl、Li7.2SbSi1-y4.7+nBr1.3、Li7.25SiSn1-y5.25+n0.75、Li6.5As1-y4.5+nCl1.5、Li6.25SiAs1-y4.75+nBr1.25等(式中、yは、0.001≦y≦0.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0117】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li12-((m’+m’’)/2)-x’-x’’ m’1-y m’’(6-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、Mm’及びMm’’は、リン以外の2種の異なる正荷電イオンであり、X’及びX’’は2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、非リン混合物及び2種以上のハロゲンを含む以下の式を有するアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、LiGaSb1-y5+nCl0.5Br0.5、Li7.25SbSi1-y4.75+nCl0.75Br0.5、LiSiGe1-y5+nCl0.50.5、Li6.85SnSi1-y4.85+nCl0.70.45、LiAsSn1-y4.5+n0.75Br0.75(式中、yは、0.001≦y≦0.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0118】
アルジロダイト構造に統合される、過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、一般式:
Li18-2m-x m+(9-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=S2-であり、いくつかの場合には、O2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せとの組合せであってもよく;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)
を有していてもよい。
【0119】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li8-x(9-x)+n(式中、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、リン及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li8+nCl、Li7.258.25+nBr0.75、Li6.757.75+n1.25等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0120】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li8-x’-x’’(9-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、リン及び2種以上のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li8+nCl0.5Br0.5、Li6.757.75+nCl0.750.5、Li7.258.25+n0.5Br0.25等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0121】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-(5+m)-x m+2-y(9-x)+n(式中、Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、リン混合物及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、LiSb2-y8+nCl、LiSi2-y8+nBr、Li7.5Sn2-y7.5+nCl1.5、LiAs2-y8+nI等(式中、yは、0.001≦y≦1.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0122】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-(5+m)-x’-x’’ m+2-y(9-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲンであり、x’+x’’≦2である)を有する、リン混合物及び2種以上のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li2-y8+nCl0.5Br0.5、Li8.75Sb2-y7.75+nCl0.50.75、Li7.5Si2-y3.5+nCl0.75Br0.75、LiSn2-y8+nBr0.50.5等(式中、yは0.001≦y≦1.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0123】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-2m-x m+(9-x)+n(式中、Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは0≦x≦2の範囲である)を有する、単一のハロゲンを含む単一非リンアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li118+nCl、Li10.5Sb7.5+nBr1.5、LiSi8+nI、Li9.25Sn8.25+nCl0.75、Li6.75As7.75+nBr1.25等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0124】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-2m-x’-x’’ m+(9-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、2種以上のハロゲンを含む単一非リンアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li11Sb8+nCl0.5Br0.5、Li8.75Si7.75+nCl0.75Br0.5、LiSn8+nCl0.5Br0.5、Li6.5As7.5+nBr0.750.75等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0125】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-(m’+m’’)-x m’2-y m’’(9-x)+n(式中、Mm’及びMm’’は、リン以外の2種の異なる正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、非リン混合物及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li11Sb2-y8+nCl、Li9.7SbSi2-y7.7+nBr1.3、Li9.25SiSn2-y8.25+n0.75、Li8.5As2-y7.5+nCl1.5、Li7.75SiAs2-y7.75+nBr1.25等(式中、yは、0.001≦y≦1.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0126】
過剰量の硫黄により硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-(m’+m’’)-x’-x’’ m’2-y m’’(9-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、Mm’及びMm’’は、リン以外の2種の異なる正荷電イオンであり、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、非リン混合物及び2種以上のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li11GaSb2-y8+nCl0.5Br0.5、Li9.75SbSi2-y7.75+nCl0.75Br0.5、LiSiGe2-y8+nCl0.50.5、Li8.85SnSi2-y7.85+nCl0.70.45、Li7.5AsSn2-y7.5+n0.75Br0.75(式中、yは、0.001≦y≦1.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦1の範囲である)が含まれうる。
【0127】
本開示は、過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトの処理に関する。
【0128】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成には、例えば、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成する合成の前に、過剰量の硫化リチウムをセラミック粉末混合物に添加する、固相反応が含まれうる。
【0129】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成には、例えば、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成する合成の前に、過剰量の硫化リチウムを溶液に添加する、溶液ベースの反応が含まれうる。
【0130】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成には、例えば、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成する合成の前に、過剰量の硫化リチウムを溶媒ベースの溶液に添加する、溶媒ベースの反応が含まれうる。
【0131】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成には、例えば、密閉合成ベッセル中で高圧により硫化リチウム蒸気圧を増加させて、過剰量の硫化リチウムをアルジロダイト構造に入れるか又は押し入れ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成することが含まれうる。
【0132】
蒸気圧は、1<p≦1000atmの範囲であってもよい。
【0133】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成には、例えば、高温により過剰量の硫化リチウムをアルジロダイト構造に入れるか又は押し入れ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成することが含まれうる。
【0134】
温度は、100≦T≦1000℃の範囲であってもよい。
【0135】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトの合成は、過剰量の硫化リチウムをアルジロダイト構造に統合し、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成するのに十分なパラメーターを有することができる。
【0136】
開示されていない任意の合成方法により、過剰量の硫化リチウムを使用して硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成することができ、このとき、合成方法のパラメーターは、過剰量の硫化リチウムをアルジロダイト構造に入れるか又は押し入れて、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを形成するのに十分である。
【0137】
本開示は、過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトの組成物に関する。
【0138】
過剰量の硫化リチウムは、アルジロダイト構造中の1つ又は複数のLiS層の超格子積層欠陥を形成しえ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトが形成される。
【0139】
アルジロダイト構造に統合される、過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、以下の一般式:
Li12-m-x+2nm+(6-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=S2-であり、いくつかの場合には、O2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せとの組合せであってもよく、X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)
を有していてもよい。
【0140】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li7-x+2nPS(6-x)+n(式中、Xは、ハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、リン及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li6+2nPS5+nCl、Li6.25+2nPS5.25+nBr0.75、Li5.75+2nPS4.75+n1.25等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0141】
過剰量の硫黄により硫化リチウムがスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li7-x’-x’’+2nPS(6-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、リン及び2種以上のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li6+2nPS5+nCl0.5Br0.5、Li5.75+2nPS4.75+nCl0.750.5、Li6.25+2nPS5.25+n0.5Br0.25等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0142】
過剰量の硫化リチウムがスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li12-((5+m)/2)-x+2n m+1-y(6-x)+n(式中、Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、リン混合物及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li7+2nSb1-y5+nCl、Li6.5+2nSi1-y5+nBr、Li6+2nSn1-y4.5+nCl1.5、Li6+2nAs1-y5+nI等(式中、yは、0.001≦y≦0.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0143】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li12-((5+m)/2)-x’-x’’+2n m+1-y(6-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲンであり、x’+x’’≦2である)を有する、リン混合物及び2種以上のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li7+2n1-y5+nCl0.5Br0.5、Li6.75+2nSb1-y4.75+nCl0.50.75、Li6+2nSi1-y4.5+nCl0.75Br0.75、Li6.5+2nSn1-y5+nBr0.50.5等(式中、yは、0.001≦y≦0.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0144】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li12-m-x+2nm+(6-x)+n(式中、Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、単一のハロゲンを含む単一非リンアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li8+2nBS5+nCl、Li7.5+2nSbS4.5+nBr1.5、Li7+2nSiS5+nI、Li7.25+2nSnS5.25+nCl0.75、Li5.75+2nAsS4.75+nBr1.25等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0145】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li12-m-x’-x’’+2nm+(6-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、2種以上のハロゲンを含む単一非リンアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li8+2nSbS5+nCl0.5Br0.5、Li6.75+2nSiS4.75+nCl0.75Br0.5、Li7+2nSnS5+nCl0.5Br0.5、Li5.5+2nAsS4.5+nBr0.750.75等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0146】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li12-((m’+m’’)/2)-x+2n m’1-y m’’(6-x)+n(式中、Mm’及びMm’’リン以外の2種の異なる正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、非リン混合物及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li8+2nSb1-y5+nCl、Li7.2+2nSbSi1-y4.7+nBr1.3、Li7.25+2nSiSn1-y5.25+n0.75、Li6.5+2nAs1-y4.5+nCl1.5、Li6.25+2nSiAs1-y4.75+nBr1.25等(式中、yは、0.001≦y≦0.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0147】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li12-((m’+m’’)/2)-x’-x’’+2n m’1-y m’’(6-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、Mm’及びMm’’は、リン以外の2種の異なる正荷電イオンであり、X’及びX’’は2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、非リン混合物及び2種以上のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li8+2nGaSb1-y5+nCl0.5Br0.5、Li7.25+2nSbSi1-y4.75+nCl0.75Br0.5、Li7+2nSiGe1-y5+nCl0.50.5、Li6.85+2nSnSi1-y4.85+nCl0.70.45、Li6+2nAsSn1-y4.5+n0.75Br0.75(式中、yは、0.001≦y≦0.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0148】
アルジロダイト構造に統合される、過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、一般式:
Li18-2m-x+2n m+(9-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=S2-であり、いくつかの場合には、O2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せとの組合せであってもよく;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)
を有していてもよい。
【0149】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li8-x+2n(9-x)+n(式中、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、リン及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li7+2n8+nCl、Li7.25+2n8.25+nBr0.75、Li6.75+2n7.75+n1.25等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0150】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li8-x’-x’’+2n(9-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、リン及び2種以上のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li7+2n8+nCl0.5Br0.5、Li6.75+2n7.75+nCl0.750.5、Li7.25+2n8.25+n0.5Br0.25等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0151】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-(5+m)-x+2n m+2-y(9-x)+n(式中、Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、リン混合物及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li9+2nSb2-y8+nCl、Li8+2nSi2-y8+nBr、Li7.5+2nSn2-y7.5+nCl1.5、Li7+2nAs2-y8+nI等(式中、yは、0.001≦y≦1.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0152】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-(5+m)-x’-x’’+2n m+2-y(9-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、リン混合物及び2種以上のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li9+2n2-y8+nCl0.5Br0.5、Li8.75+2nSb2-y7.75+nCl0.50.75、Li7.5+2nSi2-y3.5+nCl0.75Br0.75、Li8+2nSn2-y8+nBr0.50.5等(式中、yは、0.001≦y≦1.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0153】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-2m-x+2n m+(9-x)+n(式中、Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、単一のハロゲンを含む単一非リンアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li11+2n8+nCl、Li10.5+2nSb7.5+nBr1.5、Li9+2nSi8+nI、Li9.25+2nSn8.25+nCl0.75、Li6.75+2nAs7.75+nBr1.25等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0154】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-2m-x’-x’’+2n m+(9-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、Mm+は、リン以外の正荷電イオンであり、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、2種以上のハロゲンを含む単一非リンアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li11+2nSb8+nCl0.5Br0.5、Li8.75+2nSi7.75+nCl0.75Br0.5、Li9+2nSn8+nCl0.5Br0.5、Li6.5+2nAs7.5+nBr0.750.75等(式中、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0155】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-(m’+m’’)-x+2n m’2-y m’’(9-x)+n(式中、Mm’及びMm’’は、リン以外の2種の異なる正荷電イオンであり、Xはハロゲン元素であり、xは、0≦x≦2の範囲である)を有する、非リン混合物及び単一のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li11+2nSb2-y8+nCl、Li9.7+2nSbSi2-y7.7+nBr1.3、Li9.25+2nSiSn2-y8.25+n0.75、Li8.5+2nAs2-y7.5+nCl1.5、Li7.75+2nSiAs2-y7.75+nBr1.25等(式中、yは、0.001≦y≦1.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0156】
過剰量の硫化リチウムにより硫黄がスタッフされたアルジロダイトには、例えば、式:
Li18-(m’+m’’)-x’-x’’+2n m’2-y m’’(9-x’-x’’)+nX’x’X’’x’’(式中、Mm’及びMm’’は、リン以外の2種の異なる正荷電イオンであり、X’及びX’’は、2種の異なるハロゲン元素であり、x’+x’’≦2である)を有する、非リン混合物及び2種以上のハロゲンを含むアルジロダイト組成物が含まれうる。配合物には、例えば、Li11+2nGaSb2-y8+nCl0.5Br0.5、Li9.75+2nSbSi2-y7.75+nCl0.75Br0.5、Li9+2nSiGe2-y8+nCl0.50.5、Li8.85+2nSnSi2-y7.85+nCl0.70.45、Li7.5+2nAsSn2-y7.5+n0.75Br0.75(式中、yは、0.001≦y≦1.999の範囲であり、nは、0超、好ましくは0<n≦20の範囲である)が含まれうる。
【0157】
本開示は、硫黄がスタッフされたアルジロダイトの特徴に関する。
【0158】
硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物は、過剰量の硫黄又は硫化リチウムを含まないアルジロダイトと定義することができる。
【0159】
過剰量の硫黄は、アルジロダイト中の硫黄欠損を充填するために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも少ない数の硫黄欠損を有する。
【0160】
過剰量の硫黄は、アルジロダイト中の格子間硫黄を形成するために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも多くの格子間硫黄を有する。
【0161】
過剰量の硫黄は、超格子積層欠陥を形成するために使用することができ、超格子積層欠陥は、硫黄-リチウム規則格子及び硫黄-リチウム欠損対の混合物によって形成され、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも多くの硫黄-リチウム格子及び硫黄-リチウム欠損対を有する。
【0162】
過剰量の硫化リチウムは、1つ又は複数のLiS層の超格子積層欠陥を形成するために使用することができ、硫黄スタッフアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも多くの、超格子積層欠陥の形態のLiS層を有する。
【0163】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、アルジロダイトの電子伝導性を低下させるために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも低い電子伝導性を有する。
【0164】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、アルジロダイトのイオン伝導性を増加させるために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも高いイオン伝導性を有する。
【0165】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、二次電池におけるリチウムデンドライトの増殖を遮断するために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを固体電解質として使用する二次電池は、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物を使用する二次電池よりも高いサイクル寿命を有する。
【0166】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、アルジロダイト材料の臨界電流密度を増加させるために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも高い臨界電流密度を有する。
【0167】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、二次電池のパワーレートを増加させるために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを固体電解質として使用する二次電池は、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物を使用する二次電池よりも高いパワーレートを有する。
【0168】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、二次電池の電気化学ウィンドウを拡大するために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトを固体電解質として使用する二次電池は、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物を使用する二次電池よりも幅広い電気化学ウィンドウを有する。
【0169】
二次電池には、例えば、固体電池、ハイブリッド固体電池、セミハイブリッド固体電池、リチウム金属電池、ハイブリッドリチウム金属電池、セミハイブリッドリチウム金属電気、アノードレス電池、アノードレスリチウム金属電池、ハイブリッドアノードレスリチウム金属電池、セミハイブリッドアノードレスリチウム金属電池、リチウム空気電池、リチウム一次電池、マイクロ電池、薄膜電池、リチウム硫黄電池等が含まれうる。
【0170】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、アルジロダイトの電気化学ウィンドウを拡大するために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトをカソード材料と化学的に適合させる。
【0171】
カソード材料には、例えば、層状YMO、富Y層状Y1+x1-x、スピネル型YM、オリビン型YMPO、シリケート型YMSiO、ボレート型YMBO、タボライト型YMPOF(式中、MはFe、Co、Ni、Mn、Cu、Cr等である)、(式中、Yは、Li、Na、K、Mg、Zn、Al等である)、酸化バナジウム、硫黄、硫化リチウム、FeF、LiSeが含まれうる。
【0172】
リチウムインターカレーションの場合、カソード材料には、例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)及びニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(LiNiCoMn、0.95≧x≧0.5、0.3≧y≧0.025、0.2≧z≧0.025)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(LiNiCoAl、0.95≧x≧0.5、0.3≧y≧0.025、0.2≧z≧0.025)、リチウムニッケルマンガンスピネル(LiNi0.5Mn1.5)等が含まれうる。
【0173】
カソードは、硫黄がスタッフされたアルジロダイト間の反応を防止するために、保護層でコーティングされてもよく、この場合、高電圧が必要であるが、電気化学ウィンドウは十分には拡大されない。保護層は、例えば、ホウ酸リチウム、アルミン酸リチウム(LiAlO)、タングステン酸リチウム(LiWO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、リン酸リチウム(LiPO)、リチウムオキシスルフィド(LiAlSO、LiPO-LiS-SiS)、リチウムオキシニトリド(LiPON)等で構成されてもよい。
【0174】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、陰極液の形態でカソードにおいて使用され、複合カソードを形成することができる。硫黄がスタッフされたアルジロダイトを、複合体に混合又は活性カソード材料と一緒にミリングして、コア-シェル構造を形成してもよく、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、シェルの、すべてではないが大部分を構成する。
【0175】
硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、リチウム硫黄電池においてカソードとして使用することができ、過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、リチウム硫黄電池において活性カソード材料として役立ちえ、アルジロダイト構造の残りは陰極液として役立ち、硫黄がスタッフされたアルジロダイトにより、希電解質が可能になる。
【0176】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードとの化学適合性を改善するために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードとの化学安定性が高い。合金金属には、例えば、インジウム、亜鉛、マグネシウム、マンガン等が含まれうる。
【0177】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、電流コレクタ、例えば銅との化学適合性を改善するために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも、電流コレクタとの化学安定性が高い。
【0178】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、炭素又は電子伝導性添加剤、例えば、カーボンブラックとの化学適合性を改善するために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも、電子伝導性添加剤との化学安定性が高い。
【0179】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、アノード材料、例えば、グラファイト又はケイ素との化学適合性を改善するために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも、アノード材料との化学安定性が高い。
【0180】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、液体電解質、例えば、炭酸ベースの有機液体電解質又は室温イオン性液体電解質との化学適合性を改善するために使用することができ、硫黄スタッフアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも、液体電解質との化学安定性が高い。
【0181】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、固体電解質に包埋された加熱可能材料との化学適合性を改善するために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも、包埋された加熱可能材料との化学安定性が高い。包埋材料は、抵抗、誘導又は誘電加熱法を使用して加熱することができる。
【0182】
過剰量の硫黄又は硫化リチウムは、固体電解質に包埋された加熱可能材料の電子絶縁コーティングとの化学適合性を改善するために使用することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物よりも、絶縁コーティングとの化学安定性が高い。包埋材料は、抵抗、誘導又は誘電加熱法を使用して加熱することができる。
【0183】
硫黄スタッフアルジロダイトは、陽極液の形態で、アノードにおいて使用し、複合アノードを形成することができる。
【0184】
本開示の図は、硫黄がスタッフされたアルジロダイト材料を更に記載する。
【0185】
図1:a)硫黄がスタッフされたアルジロダイト、及びb)硫黄がスタッフされていない又は公称化学量論のアルジロダイト配合物についてのX線回折パターン。硫黄がスタッフされたアルジロダイトパターンは、27°において(111)-硫化リチウムピークに対応する単一硫化リチウムピークを示す。単一ピークは、複数の硫化リチウムピークが存在することが予期されるであろう過剰量の前駆体とは反対に、超格子積層欠陥の形態の硫化リチウムの統合を更に示す。或いは、そのような構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)又は高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)を使用して観察することができる。
【0186】
図2:公称化学量論の(標準)アルジロダイト配合物(上側)の電子伝導性を上回る、硫黄がスタッフされたアルジロダイト(下側)配合物についての電子伝導性の一桁の大きさの低下を示す、0.3Vの定電圧におけるHebb-Wagner分極曲線。評価は、250mgの固体電解質材料(厚さ0.1mm)を使用し、PEEK型スプリットセル(1.13cm)において、330MPaの圧力下、室温で行った。3.8×10-8及び4.4×10-7S/cmの電子伝導性値を、それぞれ、硫黄がスタッフされたアルジロダイト及び標準又は公称化学量論のアルジロダイト配合物について記録した。
【0187】
上記の系及び方法は、硫黄がスタッフされたアルジロダイト、例えば、硫黄富化アルジロダイト、硫黄が豊富なアルジロダイト、硫黄が十分なアルジロダイト、硫黄充填(packed)アルジロダイト、硫黄充填(filled)アルジロダイト、硫黄強化アルジロダイト等以外の用語に帰することができる。
【0188】
上記の系及び方法は、硫黄以外のカルコゲン元素、例えば、酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せを含むアルジロダイト材料に帰することができる。そのような材料は、例えば、酸素がスタッフされたアルジロダイト、セレンがスタッフされたアルジロダイト又はテルルがスタッフされたアルジロダイトと呼ばれうる。
【0189】
上記の系及び方法は、アルジロダイト構造を有さないが、なお比較的高い室温イオン伝導性(10-5S/cm以上)を有し、元素リチウム、硫黄を含有するスルフィドベースの固体電解質材料に帰することができ、カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性構造は、アルジロダイト構造又は非アルジロダイト構造を有しうる。カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性非アルジロダイト構造は、比較的高い室温イオン伝導性(例えば、10-5S/cm以上)を有し、好ましくは、元素リチウム、硫黄及びリン(又はリンと非リン元素との混合物)を含有するべきである。例としては、チオ-LISCON Li10GeP12+n(式中、nは、過剰量の硫黄に対応し、n>0である)が挙げられる。別の例としては、チオ-LISCON Li10+2nGeP12+n(式中、nは、過剰量の硫化リチウムに対応し、n>0である)が挙げられる。加えて又は代わりに、カルコゲナイドベース又はスルフィドベースのイオン伝導性非アルジロダイトは、元素リチウム、硫黄、リン(又はリンと非リン元素の混合物)及び1種又は複数のハロゲンを含有する。例としては、Li9.54Si1.741.4411.7+nCl0.3(式中、nは、過剰量の硫黄に対応し、n>0である)が挙げられる。別の例としては、Li9.54+2nSi1.741.4411.7+nCl0.3(nは、過剰量の硫化リチウムに対応し、n>0である)が挙げられる。他の式は、当業者には明らかとなろう。
【0190】
上記の系及び方法は、アルジロダイト配合物、例えば、Li24-3m-x(M m+10 2-)Y2-x 2-(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=S2-であり、いくつかの場合には、O2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せとの組合せであってもよく;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲である)に帰することができる。更に、Li24-3m-x m+(12-x)+n及びLi24-3m-x+2n m+(12-x)+nの配合物は、それぞれ、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムに対応しえ、n>0である。例としては、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムについてそれぞれ、Li11+nCl及びLi8+2n11+nClを挙げることができる。他のアルジロダイトの式は、当業者には明らかとなろう。
【0191】
上記の系及び方法は、リチウムイオン以外の化学による硫黄がスタッフされたアルジロダイト材料に帰することができ、これには、例えば、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、カリウムイオン等が含まれうる。
【0192】
上記の系及び方法は、市販利用可能性のための、硫黄がスタッフされたアルジロダイト粉末又は他の形態に帰することができる。
【0193】
上記の系及び方法は、例えば、粉末、ナノ粉末、ミクロ粉末、複合体、ペレット、ディスク、プレート、膜、薄膜等の形態の、硫黄がスタッフされたアルジロダイトに帰することができる。
【0194】
上記の系及び方法は、セラミック-ポリマー複合固体電解質膜に帰することができ、硫黄スタッフアルジロダイトはセラミック材料であり、セラミック添加量は、0.1<p<99.99%の範囲の質量パーセンテージを有する。セラミック-ポリマー複合固体電解質は、布支持体上に担持されてもよい。
【0195】
上記の系及び方法は、硫黄がスタッフされたアルジロダイトで構成された固体電解質膜に帰することができ、膜は、高スループット処理技術、例えば、冷間噴霧、超音速粒子堆積、溶射、炎溶射、プラズマ噴霧等を使用して形成される。膜は、電流コレクタ、アノード、複合アノード、リチウム又は金属合金アノード、カソード、複合カソード等の上に形成されてもよい。処理は、大気中、真空下又は不活性環境中で行うことができる。
【0196】
上記の系及び方法は、硫黄がスタッフされたアルジロダイトで構成された固体電解質膜に帰することができ、膜は、物理的高真空処理方法、例えば、パルスレーザー堆積、スパッタリング等を使用して形成される。膜は、電流コレクタ、アノード、複合アノード、リチウム又はリチウム金属合金アノード、カソード、複合カソード等の上に形成されてもよい。
【0197】
上記の系及び方法は、例えば、固体電池、ハイブリッド固体電池、セミハイブリッド固体電池、リチウム金属電池、ハイブリッドリチウム金属電池、セミハイブリッドリチウム金属電気、アノードレス電池、アノードレスリチウム金属電池、ハイブリッドアノードレスリチウム金属電池、セミハイブリッドアノードレスリチウム金属電池、リチウム空気電池、リチウム一次電池、マイクロ電池、薄膜電池、リチウム硫黄電池等を含む二次電池に帰することができる。
【0198】
上記の系及び方法は、様々な二次電池設計、例えば、パウチセル、コインセル、ボタンセル、円筒形セル、角形セル等に帰することができる。
【0199】
上記の系及び方法は、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、モバイルデバイス、ハンドヘルド電子機器、家庭用電気機械器具、医療機器(medical)、医療用ウェアラブル及びポータブルエネルギー貯蔵用ウェアラブル等の最終使用適用を有する二次電池に帰することができる。
【0200】
上記の系及び方法は、グリッドスケールのエネルギー貯蔵バックアップシステムのための二次電池に帰することができる。
【0201】
上記の系及び方法は、宇宙、例えば、宇宙ステーション、自然及び人工衛星の両方、並びに火星等の惑星体を含む、地球近傍以外の位置で使用することができる。
【0202】
上記の系及び方法は、長寿命、より高いエネルギー密度及び電力密度、並びに改善された安全性のための二次電池に帰することができる。
【0203】
上記の系及び方法は、陽極液及び陰極液の間の分離膜としてのレドックスフロー又はフロー電池に帰することができる。
【0204】
上記の系及び方法は、非電池適用、例えば、上流のリチウム採掘又は下流の使用済み電池のリサイクルに帰することができ、硫黄がスタッフされたアルジロダイトは、ブライン又は使用済み電池排液等の溶液を含有するリチウムからリチウムを抽出するために使用されるち密膜の形態である。
【0205】
上記の系及び方法は、電池又は非電池適用のいずれかのための多孔質基材、例えば、アルミニウムフォーム又はニッケルメッシュ上への、硫黄がスタッフされたアルジロダイトの形成に帰することができる。
【0206】
以下の項目は、本明細書の特徴のある特定の組合せを強調するために含まれる。本明細書の発明は、それらに限定されない。
【0207】
1. リチウム、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄及びカリウムのうちの1種又は複数;硫黄、酸素、セレン及びテルルのうちの1種又は複数;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;並びにカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造に組み込まれた過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を含むカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造を備える、固体電解質材料。
【0208】
2. 過剰量のカルコゲンが、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の欠損内に配置されている、項目1の固体電解質材料。
【0209】
3. 過剰量のカルコゲンが、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の格子間内に配置されている、項目1~2のいずれか1つの固体電解質材料。
【0210】
4. 過剰量のカルコゲンが、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造内の超格子積層欠陥の形態で存在する、項目1~3のいずれか1つの固体電解質材料。
【0211】
5. 過剰量のカルコゲナイドが、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造内のカルコゲナイド層の形態で存在する、項目1~4のいずれか1つの固体電解質材料。
【0212】
6. 過剰量のカルコゲナイドが、カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造内の複数のカルコゲナイド層の超格子積層欠陥の形態で存在する、項目1~5のいずれか1つの固体電解質材料。
【0213】
7. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造が、X線回折パターンにおいて、過剰量のカルコゲナイドに対応する可視(111)ピークを有する、項目1~6のいずれか1つの固体電解質材料。
【0214】
8. 過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性未満である、項目1~7のいずれか1つの固体電解質材料。
【0215】
9. 過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性の半分未満である、項目1~8のいずれか1つの固体電解質材料。
【0216】
10. 過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性の4分の1未満である、項目1~9のいずれか1つの固体電解質材料。
【0217】
11. 過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性のおよそ10分の1である、項目1~10のいずれか1つの固体電解質材料。
【0218】
12. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-7S/cm未満である、項目1~11のいずれか1つの固体電解質材料。
【0219】
13. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-8S/cm未満である、項目1~12のいずれか1つの固体電解質材料。
【0220】
14. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-9S/cm未満である、項目1~13のいずれか1つの固体電解質材料。
【0221】
15. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-10S/cm未満である、項目1~14のいずれか1つの固体電解質材料。
【0222】
16. 過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも高い、項目1~15のいずれか1つの固体電解質材料。
【0223】
17. 過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも10%高い、項目1~16のいずれか1つの固体電解質材料。
【0224】
18. 過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも20%高い、項目1~17のいずれか1つの固体電解質材料。
【0225】
19. 過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも30%高い、項目1~18のいずれか1つの固体電解質材料。
【0226】
20. 過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有するカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量のカルコゲン及び過剰量のカルコゲナイドのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のカルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも40%高い、項目1~19のいずれか1つの固体電解質材料。
【0227】
21. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.2mA/cm超である、項目1~20のいずれか1つの固体電解質材料。
【0228】
22. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.4mA/cm超である、項目1~21のいずれか1つの固体電解質材料。
【0229】
23. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.6mA/cm超である、項目1~22のいずれか1つの固体電解質材料。
【0230】
24. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.8mA/cm超である、項目1~23のいずれか1つの固体電解質材料。
【0231】
25. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、1.0mA/cm超である、項目1~24のいずれか1つの固体電解質材料。
【0232】
26. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、2.0mA/cm超である、項目1~25のいずれか1つの固体電解質材料。
【0233】
27. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、3.0mA/cm超である、項目1~26のいずれか1つの固体電解質材料。
【0234】
28. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、4.0mA/cm超である、項目1~27のいずれか1つの固体電解質材料。
【0235】
29. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、5.0mA/cm超である、項目1~28のいずれか1つの固体電解質材料。
【0236】
30. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造が、リチウムを含む、項目1~29のいずれか1つの固体電解質材料。
【0237】
31. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造が、硫黄を含む、項目1~30のいずれか1つの固体電解質材料。
【0238】
32. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造が、リンを含む、項目1~31のいずれか1つの固体電解質材料。
【0239】
33. 過剰量のカルコゲンが、過剰量の硫黄を含む、項目1~32のいずれか1つの固体電解質材料。
【0240】
34. 過剰量のカルコゲナイドが、過剰量の硫化リチウムを含む、項目1~33のいずれか1つの固体電解質材料。
【0241】
35. カルコゲナイドベースのイオン伝導性構造が、アルジロダイト構造を有する、項目1~34のいずれか1つの固体電解質材料。
【0242】
36. アルジロダイト構造が、2種以上のハロゲンを有する、項目35の固体電解質材料。
【0243】
37. リチウム;任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた硫黄;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;並びにスルフィドベースのイオン伝導性構造に組み込まれた、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を含むスルフィドベースのイオン伝導性構造を備える、固体電解質材料。
【0244】
38. 過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性構造の欠損内に配置されている、項目37の固体電解質材料。
【0245】
39. 過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性構造の格子間内に配置されている、項目37~38のいずれか1つの固体電解質材料。
【0246】
40. 過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性構造内の超格子積層欠陥の形態で存在する、項目37~39のいずれか1つの固体電解質材料。
【0247】
41. 過剰量の硫化リチウムが、スルフィドベースのイオン伝導性構造内の硫化リチウム層の形態で存在する、項目37~40のいずれか1つの固体電解質材料。
【0248】
42. 過剰量の硫化リチウムが、スルフィドベースのイオン伝導性構造内の複数の硫化リチウム層の超格子積層欠陥の形態で存在する、項目37~41のいずれか1つの固体電解質材料。
【0249】
43. スルフィドベースのイオン伝導性構造が、X線回折パターンにおいて、過剰量のカルコゲナイドに対応する可視(111)ピークを有する、項目37~42のいずれか1つの固体電解質材料。
【0250】
44. 過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性未満である、項目37~43のいずれか1つの固体電解質材料。
【0251】
45. 過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量のイオン及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性の半分未満である、項目37~44のいずれか1つの固体電解質材料。
【0252】
46. 過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性の4分の1未満である、項目37~45のいずれか1つの固体電解質材料。
【0253】
47. 過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性のおよそ10分の1である、項目37~46のいずれか1つの固体電解質材料。
【0254】
48. スルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-7S/cm未満である、項目37~47のいずれか1つの固体電解質材料。
【0255】
49. スルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-8S/cm未満である、項目37~48のいずれか1つの固体電解質材料。
【0256】
50. スルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-9S/cm未満である、項目37~49のいずれか1つの固体電解質材料。
【0257】
51. スルフィドベースのイオン伝導性構造の電子伝導性が、10-10S/cm未満である、項目37~50のいずれか1つの固体電解質材料。
【0258】
52. 過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも高い、項目37~51のいずれか1つの固体電解質材料。
【0259】
53. 過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも10%高い、項目37~52のいずれか1つの固体電解質材料。
【0260】
54. 過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも20%高い、項目37~53のいずれか1つの固体電解質材料。
【0261】
55. 過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも30%高い、項目37~54のいずれか1つの固体電解質材料。
【0262】
56. 過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有するスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄及び過剰量の硫化リチウムのうちの少なくとも1種を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度よりも少なくとも40%高い、項目37~55のいずれか1つの固体電解質材料。
【0263】
57. スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.2mA/cm超である、項目37~56のいずれか1つの固体電解質材料。
【0264】
58. スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.4mA/cm超である、項目37~57のいずれか1つの固体電解質材料。
【0265】
59. スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.6mA/cm超である、項目37~58のいずれか1つの固体電解質材料。
【0266】
60. スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、0.8mA/cm超である、項目37~59のいずれか1つの固体電解質材料。
【0267】
61. スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、1.0mA/cm超である、項目37~60のいずれか1つの固体電解質材料。
【0268】
62. スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、2.0mA/cm超である、項目37~61のいずれか1つの固体電解質材料。
【0269】
63. スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、3.0mA/cm超である、項目37~62のいずれか1つの固体電解質材料。
【0270】
64. スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、4.0mA/cm超である、項目37~63のいずれか1つの固体電解質材料。
【0271】
65. スルフィドベースのイオン伝導性構造の臨界電流密度が、5.0mA/cm超である、項目37~64のいずれか1つの固体電解質材料。
【0272】
66. スルフィドベースのイオン伝導性構造が、リンを含む、項目37~65のいずれか1つの固体電解質材料。
【0273】
67. スルフィドベースのイオン伝導性構造が、アルジロダイト構造を有する、項目37~66のいずれか1つの固体電解質材料。
【0274】
68. アルジロダイト構造が、2種以上のハロゲンを有する、項目67の固体電解質材料。
【0275】
69. リチウム;任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた硫黄;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;1種又は複数のハロゲン;並びにスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造に組み込まれた過剰量の硫黄を含むスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造
を備える、固体電解質材料。
【0276】
70. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、一般式:Li12-m-xm+(6-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超である)を有する、項目69の固体電解質材料。
【0277】
71. nが、0<n≦1の範囲である、項目70の固体電解質材料。
【0278】
72. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、一般式:Li18-2m-x m+(9-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超である)を有する、項目69の固体電解質材料。
【0279】
73. nが、0<n≦1の範囲である、項目72の固体電解質材料。
【0280】
74. 過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の欠損内に配置されている、項目69~73のいずれか1つの固体電解質材料。
【0281】
75. 過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の格子間に配置されている、項目69~74のいずれか1つの固体電解質材料。
【0282】
76. 過剰量の硫黄が、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造内の超格子積層欠陥の形態で存在する、項目69~75のいずれか1つの固体電解質材料。
【0283】
77. 過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性未満である、項目69~76のいずれか1つの固体電解質材料。
【0284】
78. 過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性の半分未満である、項目69~77のいずれか1つの固体電解質材料。
【0285】
79. 過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性の4分の1未満である、項目69~78のいずれか1つの固体電解質材料。
【0286】
80. 過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性のおよそ10分の1である、項目69~79のいずれか1つの固体電解質材料。
【0287】
81. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-7S/cm未満である、項目69~80のいずれか1つの固体電解質材料。
【0288】
82. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-8S/cm未満である、項目69~81のいずれか1つの固体電解質材料。
【0289】
83. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-9S/cm未満である、項目69~82のいずれか1つの固体電解質材料。
【0290】
84. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-10S/cm未満である、項目69~83のいずれか1つの固体電解質材料。
【0291】
85. 過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも高い、項目69~84のいずれか1つの固体電解質材料。
【0292】
86. 過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも10%高い、項目69~85のいずれか1つの固体電解質材料。
【0293】
87. 過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも20%高い、項目69~86のいずれか1つの固体電解質材料。
【0294】
88. 過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも30%高い、項目69~87のいずれか1つの固体電解質材料。
【0295】
89. 過剰量の硫黄を有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫黄を有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも40%高い、項目69~88のいずれか1つの固体電解質材料。
【0296】
90. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.2mA/cm超である、項目69~89のいずれか1つの固体電解質材料。
【0297】
91. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.4mA/cm超である、項目69~90のいずれか1つの固体電解質材料。
【0298】
92. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.6mA/cm超である、項目69~91のいずれか1つの固体電解質材料。
【0299】
93. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.8mA/cm超である、項目69~92のいずれか1つの固体電解質材料。
【0300】
94. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、1.0mA/cm超である、項目69~93のいずれか1つの固体電解質材料。
【0301】
95. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、2.0mA/cm超である、項目69~94のいずれか1つの固体電解質材料。
【0302】
96. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、3.0mA/cm超である、項目69~95のいずれか1つの固体電解質材料。
【0303】
97. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、4.0mA/cm超である、項目69~96のいずれか1つの固体電解質材料。
【0304】
98. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、5.0mA/cm超である、項目69~97のいずれか1つの固体電解質材料。
【0305】
99. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、リンを含む、項目69~98のいずれか1つの固体電解質材料。
【0306】
100. アルジロダイト構造が、2種以上のハロゲンを有する、項目99の固体電解質材料。
【0307】
101. リチウム;任意選択で酸素、セレン、テルル又はそれらの組合せと組み合わせた硫黄;ホウ素、ガリウム、アンチモン、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン及びヒ素のうちの1種又は複数;1種又は複数のハロゲン;並びにスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造に組み込まれた過剰量の硫黄を含むスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造
を備える、固体電解質材料。
【0308】
102. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、一般式:Li12-m-x+2nm+(6-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超である)を有する、項目101の固体電解質材料。
【0309】
103. nが、0<n≦20の範囲である、項目102の固体電解質材料。
【0310】
104. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、一般式:Li18-2m-x+2n m+(9-x)+n(式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、Sn4+、P5+、As5+又はそれらの組合せであり;Y=任意選択でO2-、Se2-、Te2-又はそれらの組合せと組み合わせたS2-であり;X=F、Cl、Br、I又はそれらの組合せであり;xは、0≦x≦2の範囲であり;nは、0超である)を有する、項目101の固体電解質材料。
【0311】
105. nが、0<n≦20の範囲である、項目104の固体電解質材料。
【0312】
106. 過剰量の硫化リチウムが、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造内の硫化リチウム層の形態で存在する、項目101~105のいずれか1つの固体電解質材料。
【0313】
107. 過剰量の硫化リチウムが、スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造内の複数の硫化リチウム層の超格子積層欠陥の形態で存在する、項目101~106のいずれか1つの固体電解質材料。
【0314】
108. 過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性未満である、項目101~107のいずれか1つの固体電解質材料。
【0315】
109. 過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性の半分未満である、項目101~108のいずれか1つの固体電解質材料。
【0316】
110. 過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性の4分の1未満である、項目101~109のいずれか1つの固体電解質材料。
【0317】
111. 過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性のおよそ10分の1である、項目101~110のいずれか1つの固体電解質材料。
【0318】
112. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-7S/cm未満である、項目101~111のいずれか1つの固体電解質材料。
【0319】
113. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-8S/cm未満である、項目101~112のいずれか1つの固体電解質材料。
【0320】
114. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-9S/cm未満である、項目101~113のいずれか1つの固体電解質材料。
【0321】
115. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の電子伝導性が、10-10S/cm未満である、項目101~114のいずれか1つの固体電解質材料。
【0322】
116. 過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも高い、項目101~115のいずれか1つの固体電解質材料。
【0323】
117. 過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも10%高い、項目101~116のいずれか1つの固体電解質材料。
【0324】
118. 過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも20%高い、項目101~117のいずれか1つの固体電解質材料。
【0325】
119. 過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも30%高い、項目101~118のいずれか1つの固体電解質材料。
【0326】
120. 過剰量の硫化リチウムを有するスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、過剰量の硫化リチウムを有さない公称化学量論のスルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度よりも少なくとも40%高い、項目101~119のいずれか1つの固体電解質材料。
【0327】
121. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.2mA/cm超である、項目101~120のいずれか1つの固体電解質材料。
【0328】
122. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.4mA/cm超である、項目101~121のいずれか1つの固体電解質材料。
【0329】
123. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.6mA/cm超である、項目101~122のいずれか1つの固体電解質材料。
【0330】
124. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、0.8mA/cm超である、項目101~123のいずれか1つの固体電解質材料。
【0331】
125. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、1.0mA/cm超である、項目101~124のいずれか1つの固体電解質材料。
【0332】
126. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、2.0mA/cm超である、項目101~125のいずれか1つの固体電解質材料。
【0333】
127. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、3.0mA/cm超である、項目101~126のいずれか1つの固体電解質材料。
【0334】
128. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、4.0mA/cm超である、項目101~127のいずれか1つの固体電解質材料。
【0335】
129. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造の臨界電流密度が、5.0mA/cm超である、項目101~128のいずれか1つの固体電解質材料。
【0336】
130. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、リンを含む、項目101~129のいずれか1つの固体電解質材料。
【0337】
131. スルフィドベースのイオン伝導性アルジロダイト構造が、2種以上のハロゲンを含む、項目101~130のいずれか1つの固体電解質材料。
【0338】
本開示の固体電解質材料の様々な実施形態を示し、記載してきたが、本明細書を読むことで当業者は変更を行うことができる。本出願はそのような変更を含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0339】
2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28 ユニットセル
30 固体電解質層
32 複合カソード層
34 正電流コレクタ
36 複合アノード層
38 負電流コレクタ
40 リチウム金属アノード層
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】