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特表2024-507178表面実装金属酸化物バリスタデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】表面実装金属酸化物バリスタデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/108 20060101AFI20240208BHJP
   H01C 1/14 20060101ALI20240208BHJP
   H01C 1/034 20060101ALI20240208BHJP
   H01C 1/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H01C7/108
H01C1/14 Z
H01C1/034
H01C1/02 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548896
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2021077912
(87)【国際公開番号】W WO2022178763
(87)【国際公開日】2022-09-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522092284
【氏名又は名称】ドングアン リテルヒューズ エレクロトニクス、カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ドンジアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーラー、ウェルナー
(72)【発明者】
【氏名】グ、リアン
(72)【発明者】
【氏名】ル、リビン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン、シャオロン
【テーマコード(参考)】
5E028
5E034
【Fターム(参考)】
5E028AA10
5E028BA23
5E028BB11
5E028CA03
5E028CA12
5E028CA16
5E028EA03
5E028EA13
5E028EB01
5E028JA12
5E028JB03
5E034CA10
5E034CB01
5E034DA03
5E034DA05
5E034DC02
(57)【要約】
その対向する側に配置される第1及び第2の電極を有するMOVチップ、第1の電極に電気的に接続される第1の接触タブ及び第1の接触タブと連続し、MOVチップから離れるように延びる第1のリードを含む第1のリードフレーム部、第2の電極に電気的に接続される第2の接触タブ及び第2の接触タブと連続し、MOVチップから離れるように延びる第2のリードを含む第2のリードフレーム部、及びMOVチップ、第1の接触タブ、第2の接触タブ、及び第1及び第2のリードの一部を入れるデバイス本体、ここで第1及び第2のリードがデバイス本体から延びており、デバイス本体の底面と平らに接するよう曲げられる、を備える、金属酸化物バリスタ(MOV)デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物バリスタ(MOV)デバイスであって:
その対向する側に配置される第1の電極及び第2の電極を有するMOVチップ;
前記第1の電極に電気的に接続される第1の接触タブ;及び
前記第1の接触タブと連続し、回路の中で前記MOVデバイスを接続するために前記MOVチップから離れるように延びる第1のリード
を含む第1のリードフレーム部;
前記第2の電極に電気的に接続される第2の接触タブ;及び
前記第2の接触タブと連続し、前記回路の中で前記MOVデバイスを接続するために前記MOVチップから離れるように延びる第2のリード
を含む第2のリードフレーム部;及び
前記MOVチップ、前記第1の接触タブ、前記第2の接触タブ、及び前記第1のリード及び前記第2のリードの一部を入れるデバイス本体、ここで前記第1のリード及び前記第2のリードが前記デバイス本体から外に延びており、前記デバイス本体の底面と平らに接するよう曲げられる、
を備える、金属酸化物バリスタ(MOV)デバイス。
【請求項2】
前記第1のリード及び前記第2のリードの一部は、前記デバイス本体の前記底面に形成された相補的な凹部の中に配置され、前記デバイス本体の前記底面と同じ平面上にある、請求項1に記載のMOVデバイス。
【請求項3】
前記MOVデバイスの底面は、平坦である、請求項1または2に記載のMOVデバイス。
【請求項4】
前記デバイス本体は、耐熱ポリマーで形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のMOVデバイス。
【請求項5】
前記デバイス本体は、液晶ポリマー及びポリフェニレンサルファイドのうちの1つで形成されている、請求項4に記載のMOVデバイス。
【請求項6】
前記第1の接触タブ及び前記第2の接触タブのうちの少なくとも1つは、曲げられて、前記MOVチップの縁から離れて配置されるねじれ部を画定する、請求項1から5のいずれか一項に記載のMOVデバイス。
【請求項7】
前記ねじれ部は、前記MOVチップの前記縁から少なくとも0.70ミリメートルだけ離れて配置されている、請求項6に記載のMOVデバイス。
【請求項8】
前記第1のリード及び前記第2のリードのそれぞれは、前記デバイス本体の側部に沿って、且つ前記デバイス本体の前記底面に沿って前記MOVチップから離れるように延びる「C」の形状に曲げられる、請求項1から7のいずれか一項に記載のMOVデバイス。
【請求項9】
前記第1のリードフレーム部及び前記第2のリードフレーム部の前記第1のリード及び前記第1の接触タブの接合点の折り返しは、その内部に形成されたエンボス加工されたリブを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のMOVデバイス。
【請求項10】
前記第1のリードが前記デバイス本体から延びる領域の上方で前記デバイス本体に形成されるスロットをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のMOVデバイス。
【請求項11】
金属酸化物バリスタ(MOV)デバイスであって:
その対向する側に配置される第1の電極及び第2の電極を有するMOVチップ;
前記第1の電極に電気的に接続される第1の接触タブ;及び
前記第1の接触タブと連続し、回路の中で前記MOVデバイスを接続するために前記MOVチップから離れるように延びる第1のリード
を含む第1のリードフレーム部;
前記第2の電極に電気的に接続される第2の接触タブ;及び
前記第2の接触タブと連続し、回路の中で前記MOVデバイスを接続するために前記MOVチップから離れるように延びる第2のリード
を含む第2のリードフレーム部;及び
前記MOVチップ、前記第1の接触タブ、前記第2の接触タブ、及び、前記第1のリード及び前記第2のリードの一部を入れるプラスチックのデバイス本体、ここで前記第1のリード及び前記第2のリードが前記デバイス本体から外に延びており、前記デバイス本体の底面と平らに接するよう曲げられ、前記第1のリード及び前記第2のリードの一部が前記底面に形成された相補的な凹部の中に配置されている、
を備える、金属酸化物バリスタ(MOV)デバイス。
【請求項12】
金属酸化物バリスタ(MOV)デバイスを製造する方法であって、
第1のリードフレーム部及び第2のリードフレーム部を金属のシートから打ち抜く段階、前記第1のリードフレーム部及び前記第2のリードフレーム部は「L」の形状であり、それぞれの第1のフレーム部材及び第2のフレーム部材から延びている;
前記第1のリードフレーム部を前記第2のリードフレーム部から分離する段階;
前記第1のリードフレーム部及び前記第2のリードフレーム部を曲げて、それぞれの第1の接触タブ及び第2の接触タブを画定する段階;
前記第1のリードフレーム部及び前記第2のリードフレーム部を、前記第1のリードフレーム部の前記第1の接触タブが前記第2のリードフレーム部の前記第2の接触タブと対向する並行関係に配置された鏡像関係に配置する段階;
前記第1の接触タブ及び前記第2の接触タブの間にMOVチップを配置し、前記第1の接触タブ及び前記第2の接触タブを前記MOVチップのそれぞれの第1の電極及び第2の電極と電気的に接続する段階;
デバイス本体を、前記MOVチップ、前記第1の接触タブ及び前記第2の接触タブ、及び前記第1のリードフレーム部及び前記第2のリードフレーム部の第1のリード及び第2のリードの一部の上にオーバーモールドする段階;
前記第1のフレーム部材及び前記第2のフレーム部材から前記第1のリード及び前記第2のリードを切り落とす段階;及び
前記第1のリード及び前記第2のリードを、前記デバイス本体の底面と平らに接するよう曲げる段階
を備える、方法。
【請求項13】
前記第1のリード及び前記第2のリードを曲げる段階は、前記デバイス本体の前記底面における相補的な凹部の中に前記第1のリード及び前記第2のリードの一部を配置し、前記第1のリード及び前記第2のリードが、前記デバイス本体の前記底面と同じ平面上にあるようにする段階を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記デバイス本体は、耐熱ポリマーで形成されている、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記デバイス本体は、液晶ポリマー及びポリフェニレンサルファイドのうちの1つで形成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の接触タブ及び前記第2の接触タブのうちの少なくとも1つを曲げて、前記MOVチップの縁から離れて配置されるねじれ部を画定する段階をさらに備える、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ねじれ部は、前記MOVチップの前記縁から少なくとも0.70ミリメートルだけ離れて配置されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のリード及び前記第2のリードのそれぞれは、前記デバイス本体の側部に沿って、且つ前記デバイス本体の前記底面に沿って前記MOVチップから離れるように延びる「C」の形状に曲げられる、請求項12から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
第1のリードフレーム部及び第2のリードフレーム部を打ち抜く段階は、前記第1のリードフレーム部の前記第1のリード及び前記第1の接触タブの接合点の折り返しにおいてエンボス加工されたリブを形成する段階を有する、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のリードが前記デバイス本体から延びる領域の上方で前記デバイス本体にスロットを形成する段階をさらに備える、請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、電圧抑制デバイスの分野に関し、より具体的には、温度耐性があり、スペースを節約し、高速な製造及び設置のプロセスに対応可能である、表面実装金属酸化物バリスタデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物バリスタ(MOV)は、過渡的な電圧抑制を設けるための電子回路において一般に利用されている、電圧依存の非線形デバイスである。従来式のMOVデバイスは、電極が両側に配置された金属酸化物セラミックチップ(MOV)を含む。導電性ワイヤリードが、回路の中でMOVデバイスの電気接続を容易にする金属電極に接続され(例えば、はんだ付けされ)得る。MOV、金属電極、及び電極に接続されるリードの一部は、典型的には、これらのコンポーネントを環境的汚染から保護するために、及び周囲の電気デバイスとの干渉を防ぐために、エポキシで覆われる。
【0003】
上に記載した類の従来式MOVデバイスは、いくつかの欠点に関連付けられる。例えば、設置している間、従来式MOVデバイスのワイヤリードが、プリント回路基板(PCB)の貫通孔に挿入される。ワイヤリードは、その後、PCBの表側及び裏側の両方にはんだ付けされなければならず、高速、自動組立てを成し遂げるために必要な設置手順は、ピックアンドプレースプロセスと相いれないものになる。さらに、従来式MOVデバイスは、相当長くしてPCBに立たせており、そのことが、完成した電子デバイスの望ましくないほど大きなフォームファクタを必要とし得る。依然としてさらに、保護エポキシで従来式MOVデバイスを覆うと、AEC-Q200ストレス耐性規格を満たすのに必要な高い動作温度(例えば、摂氏125度まで)に耐えることができない。
【0004】
上記を鑑みて、高速のピックアンドプレースプロセスを用いる設置に対応可能なMOVデバイスを提供することが所望されている。従来式MOVデバイスと比較してコンパクトなフォームファクタを有するこのようなMOVデバイスを提供することが、さらに所望されている。AEC-Q200ストレス耐性規格を満たすのに必要な高い動作温度(例えば、摂氏125度まで)に耐えることができるこのようなMOVデバイスを提供することが、さらに所望されている。これらの考慮事項及び他の考慮事項に関しては、本改善が役立つであろう。
【発明の概要】
【0005】
この概要は、発明を実施するための形態において以下でさらに説明される概念の一部を、簡略化した形態で紹介するために提供される。この概要には、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定する意図はなく、また特許請求される主題の範囲を決定するにあたり、その支援を行う意図もない。
【0006】
本開示に係る金属酸化物バリスタ(MOV)デバイスの例示的な実施形態は、その対向する側に配置される第1及び第2の電極を有するMOVチップ、第1の電極に電気的に接続される第1の接触タブ、及び第1の接触タブと連続し、回路の中でMOVデバイスを接続するためにMOVチップから離れるように延びる第1のリードを含む第1のリードフレーム部、第2の電極に電気的に接続される第2の接触タブ及び第2の接触タブと連続し、回路の中でMOVデバイスを接続するためにMOVチップから離れるように延びる第2のリードを含む第2のリードフレーム部、及びMOVチップ、第1の接触タブ、第2の接触タブ、及び第1及び第2のリードの一部を入れるデバイス本体、ここで第1及び第2のリードがデバイス本体から延びており、デバイス本体の底面と平らに接するよう曲げられる、を備え得る。
【0007】
本開示に係るMOVデバイスの別の例示的な実施形態は、対向する側に配置される第1及び第2の電極を有するMOVチップ、第1の電極に電気的に接続される第1の接触タブ及び第1の接触タブと連続し、回路の中でMOVデバイスを接続するためにMOVチップから離れるように延びる第1のリードを含む第1のリードフレーム部、第2の電極に電気的に接続される第2の接触タブ及び第2の接触タブと連続し、回路の中でMOVデバイスを接続するためにMOVチップから離れるように延びる第2のリードを含む第2のリードフレーム部、及びMOVチップ、第1の接触タブ、第2の接触タブ、及び第1及び第2のリードの一部を入れるプラスチックのデバイス本体、ここで第1及び第2のリードがデバイス本体から延びており、デバイス本体の底面と平らに接するよう曲げられ、第1及び第2のリードの一部が底面に形成された相補的な凹部の中に配置されている、を備え得る。
【0008】
本開示に係る金属酸化物バリスタ(MOV)デバイスを製造する方法の例示的な実施形態は、第1及び第2のリードフレーム部を金属のシートから打ち抜く段階、第1及び第2のリードフレーム部は「L」の形状であり、それぞれの第1及び第2のフレーム部材から延びている、第1のリードフレーム部を第2のリードフレーム部から分離する段階、第1及び第2のリードフレーム部を曲げて、それぞれの第1及び第2の接触タブを画定する段階、第1及び第2のリードフレーム部を、第1のリードフレーム部の第1の接触タブが第2のリードフレーム部の第2の接触タブと対向する並行関係に配置された鏡像関係に配置する段階、第1及び第2の接触タブの間にMOVチップを配置し、第1及び第2の接触タブをMOVチップのそれぞれの第1及び第2の電極と電気的に接続する段階、デバイス本体を、MOVチップ、第1及び第2の接触タブ、及び第1及び第2のリードフレーム部の第1及び第2のリードの一部の上にオーバーモールドする段階、第1及び第2のフレーム部材から第1及び第2のリードを切り落とす段階、及び、第1及び第2のリードを、デバイス本体の底面と平らに接するよう曲げる段階を備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本開示の例示的な実施形態に係るMOVデバイスを示す斜視上面図である。
【0010】
図1B図1Aに示すMOVデバイスを例示する斜視底面図である。
【0011】
図2A】デバイス本体が除去されている、図1Aに示すMOVデバイスを示す斜視上面図である。
【0012】
図2B】デバイス本体が除去されている、図1Aに示すMOVデバイスを示す底面図である。
【0013】
図3図1Aに示すMOVデバイスを製造する例示的な方法を示すフロー図である。
【0014】
図4図3に記載されている製造方法に係る、実行される様々なプロセスを示す一連の図のうちの一つである。
図5図3に記載されている製造方法に係る、実行される様々なプロセスを示す一連の図のうちの一つである。
図6図3に記載されている製造方法に係る、実行される様々なプロセスを示す一連の図のうちの一つである。
図7図3に記載されている製造方法に係る、実行される様々なプロセスを示す一連の図のうちの一つである。
図8図3に記載されている製造方法に係る、実行される様々なプロセスを示す一連の図のうちの一つである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示に係る金属酸化物バリスタ(MOV)デバイス及びその製造のための方法の実施形態が、ここで、添付図面を参照してより完全に記載され、そこに本開示の好ましい実施形態が提示されている。しかし、本開示のMOVデバイス及び付随する方法は、多くの異なる形式で具現化され得、本明細書に記載されている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、本開示がMOVデバイス及び付随の方法の特定の例示的な態様を当業者に伝えるように、それらの実施形態が提供されている。図面では、他に記載されない場合、同様の数字は全体を通して同様の要素に言及している。
【0016】
図1A及び図1Bを参照すると、本開示に係る金属酸化物バリスタ(MOV)デバイス10(以降、「デバイス10」)の例示的な実施形態の斜視上面及び底面図が示されている。簡便性及び明瞭性のために、例えば「前部」、「後部」、「上」、「底」、「上に」、「下に」、「上方」、「下方」などの用語は、図1A及び図1Bに出現しているとき、それぞれデバイス10の幾何学的形状及び向きに関して、デバイス10の様々な構成要素の相対的な配置及び向きを記載するために本明細書で用いることがある。上記用語には、具体的に言及された単語、その派生語、及び同義語が含まれてよい。
【0017】
デバイス10は、全体がモノリシックな外観のプラスチックのデバイス本体12を含み得る。導電性の第1及び第2のリード14、16は、デバイス本体12の対向する側(例えば、前部及び後部の側)から延びることができ、第1及び第2のリード14、16の端の部分を、デバイス本体12の底面26に形成される相補的な凹部22、24の中に配置して、デバイス本体12下側の周囲で折り返すか又は曲げることができる。そして、第1及び第2のリード14、16の底面は、底面26と実質的に同じ平面上にあり得る。
【0018】
図2A及び図2Bを参照すると、デバイス10の斜視上面図及び底面図が、デバイス本体12が除去された状態で示されている。デバイス10は、その両側に第1及び第2の電極30、32が配置されているMOVチップ28を含み得る。MOVチップ28の1つの側のみが図2Aで見えるが、図の中にはないMOVチップ28の対向する側の第2の電極32は、第1の電極30と実質的に同じであることが理解されよう。MOVチップ11は、当技術分野で公知のいずれかのMOV組成で形成され得、限定されるものではないが、セラミックに埋め込んだ酸化亜鉛の顆粒を含む。第1及び第2の電極30、32は、いずれかの適した導電性物質で形成され得、限定されるものではないが、アルミニウム、銅、銅で覆われたアルミニウム、銀、錫、ニッケルなどを含む。MOVチップ28及び第1及び第2の電極30、32は、円又は円盤の形状として描かれているが、これは重要ではない。MOVチップ28及び第1及び第2の電極30、32のうち1又は複数が、本開示の範囲から逸脱することなく、例えば長方形、三角形、不規則な形などの異なる形状を有し得ることが企図されている。
【0019】
デバイス10は、上に記載されている第1及び第2のリード14、16がそれぞれ部分になっている第1及び第2のリードフレーム部36、38をさらに含むことができる。示されているように、第1及び第2のリード14、16は、MOVチップ28から離れるように、デバイス本体12から及びデバイス本体12の底の周囲に延びる「C」の形状を画定するよう、曲げる又は折り返すことができる(図1A及び図1B参照)。第1及び第2のリード14、16に加えて、第1及び第2のリードフレーム部36、38は、第1及び第2のリード14、16に連続する第1及び第2の接触タブ40、42を含むことができる。第1及び第2の接触タブ40、42は、MOVチップ28の対向する側の周囲に延びるように曲げる又は折り返すことができ、例えば高い温度のはんだで、それぞれ第1及び第2の電極30、32に固定され得る。本開示は、これについて限定されない。
【0020】
様々な実施形態では、第1及び第2の接触タブ40、42は、MOVチップ28の縁部に隣接して位置付けられるそれぞれの第1及び第2のねじれ部44、46を画定するように、曲げる又は折り返すことができる。第1及び第2のねじれ部44、46はMOVチップ28の表面に沿って第1及び第2の接触タブ40、42及び対向する第1及び第2の電極30、32の距離を増加させる(すなわち、第1及び第2の接触タブ40、42が全体的に平坦で、MOVチップ28の縁部へとMOVチップ28の側面に沿ってねじれずに延びる構成に対して、距離を増加させる)。この距離の増加は、第1及び第2の接触タブ40、42及び対向する第1及び第2の電極30、32の間でフラッシュオーバするリスクを軽減する。様々な実施形態で、第1及び第2の接触タブ40、42及びそれぞれの隣接する第1及び第2の電極30、32の間の空隙(すなわち、間の離れている距離)は、例えば約0.70ミリメートルから約0.90ミリメートルと測定され得る。本開示は、これについて限定されない。
【0021】
MOVチップ28、第1及び第2の電極30、32、及び第1及び第2のリードフレーム部36、38の第1及び第2の接触タブ40、42は、上に記載されているようにデバイス本体12から、且つ底面26の周囲に第1及び第2のリード14、16が延びた状態で、デバイス本体12(図1A及び図1B参照)の中に、全体的に入れることができる。様々な実施形態で、デバイス本体12は、良好な防湿層を提供するとともに、融解した場合(例えば型に入れて作る間)には高い流動性を有する耐熱ポリマーで形成され得る。このようなポリマーの例は、液晶ポリマー(LCP)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)を含む。本開示は、これについて限定されない。
【0022】
図1A及び図1Bについて再び言及すると、デバイス10は実質的に平坦な底面26を有し、第1及び第2のリード14、16の底面が底面26と実質的に同じ平面上にあるようにすることができる。そして、デバイス10は、高速のピックアンドプレースプロセスを用いてPCBに平らに配置され得る点、及び第1及び第2のリード14、16が例えばリフロー又はウェーブはんだ付けプロセスを用いてPCBにはんだ付けされ得る(PCBの表側のみはんだ付けすることを必要とする)という点で、デバイス10は従来式MOVデバイスに対して利点を設ける。デバイス10は、従来式MOVデバイスと比較して、コンパクトなフォームファクタ(例えば、PCB上により短い高さで立つ)を有するという点で、さらなる利点を設ける。デバイス10は、プラスチックのデバイス本体12がAEC-Q200ストレス耐性規格を満たすのに必要な高い動作温度(例えば、摂氏125度にまで至る)にデバイスが耐え得るのを可能にするという点で、従来式MOVデバイスに対してさらなる利点を設ける。
【0023】
図3を参照すると、本開示に係る上に記載されたMOVデバイス10を製造するための例示的な方法を示すフロー図が示されている。方法は、ここで、図3に示されているフロー図と、方法の一部として実行される様々なプロセスを示す図4図8に示される一連の外観とを合わせて記載されている。
【0024】
例示的な方法のブロック100で、図4に示すように、複数の第1のリードフレーム部361~4及び第2のリードフレーム部381~4は、打ち抜く、又はそうでない場合はシート状の金属から切ることができる。第1及び第2のリードフレーム部361~4、381~4は、「L」の形状であってよく、(まだ上に記載した方式で曲げていない)第1及び第2のリード141~4、161~4及び第1及び第2の接触タブ401~4、421~4をそれぞれ画定できる。様々な実施形態で、第1及び第2のリードフレーム部361~4、381~4は、それぞれの第1及び第2のフレーム部材50、52から延び得る。これは、継続的なリールトゥリール打ち抜きプロセスを容易にでき、これにより大量のフレーム部材(すなわち4つの描写されているものより多数のフレーム部材)が、シート状金属の継続的なロールから素早く打ち抜かれ得る。
【0025】
例示的な方法のブロック110で、図5に示されているように、第1及び第2のリードフレーム部361~4、381~4は互いに分離でき、第1及び第2のリードフレーム部361~4、381~4のそれぞれの第1及び第2の接触タブ401~4、421~4は、上に記載した最終的な形状へと曲げる/折り返すことができる(第1のリードフレーム部361~4のみ図5で描写されているが、第2のリードフレーム部381~4は第1のリードフレーム部361~4と同じであると理解されよう)。特に、対応する第1及び第2のリード141~4、161~4に近接している第1及び第2の接触タブ401~4、421~4の一部は、鉛直に上方に延びるように曲げられてもよく、対応する第1及び第2のリード141~4、161~4から遠位の第1及び第2の接触タブ401~4、421~4の一部は、対応する第1及び第2のフレーム部材50、52から離れるように水平に延びるように曲げることができ、それぞれの第1及び第2のねじれ部441~4、461~4を内部に形成する。様々な実施形態で、第1及び第2のリードフレーム部361~4、381~4は、第1及び第2のリード141~4、161~4、及び第1及び第2の接触タブ401~4、421~4の接合点でエンボス加工されたリブ391~4(上に記載した打ち抜きプロセスで形成)を含み得て、このような接合点に形成される折り返しを設けて、後続の成形プロセス(下に記載)に耐えられるように強度を増強する。
【0026】
例示的な方法のブロック120で、図6に示すように、第1のリードフレーム部361~4の第1の接触タブ401~4を第2のリードフレーム部381~4の第2の接触タブ421~4と対面的並列関係で配置して、第1及び第2のリードフレーム部361~4、381~4は、対面的「鏡像」関係で配置できる。MOVチップ281~4は、その後、対面的な第1及び第2の接触タブ401~4、421~4の間に配置でき、第1及び第2の接触タブ401~4、421~4はMOVチップ281~4の第1及び第2の電極301~4、321~4にはんだ付けされ得る。
【0027】
例示的な方法のブロック130で、図7に示すように、各MOVチップ281~4及び対応する第1及び第2の接触タブ401~4、421~4は金型の中に配置され(不図示)、プラスチックのデバイス本体121~4が上にオーバーモールドされ得て、第1及び第2のリードフレーム部361~4、381~4のそれぞれの第1及び第2のリード141~4、161~4が、デバイス本体121~4から水平に延びる(依然、それぞれの第1及び第2のフレーム部材50、52に取り付けられる)。
【0028】
例示的な方法のブロック140で、図8に示すように、それぞれの第1及び第2のリードフレーム部361~4、381~4の第1及び第2のリード141~4、161~4は、それぞれの第1及び第2のフレーム部材50、52から切り落とすことができ、それぞれのデバイス本体121~4の下側の周りに曲げる又は折り返すことができ、デバイス本体121~4の底面に形成された相補的な凹部の中に配置されて(例えば上に記載され、図1Bに示すように)、完成したデバイス101~4を形成する。様々な実施形態で、第1及び第2のリード141~4、161~4を屈曲する又は折り返す前に、凹部又はスロット601~4は、第1及び第2のリード141~4、161~4がデバイス本体121~4から延びる領域の直接上に、デバイス本体121~4の前面及び後面に形成できる(デバイス本体121~4の前面のスロット601~4のみ図8で見えるが、同じスロットがデバイス本体121~4の後面に形成されることが理解されよう)。スロット601~4は、第1及び第2のリード141~4、161~4の幅と等しい、又はそれより大きな幅を有し得る。スロット601~4は、第1及び第2のリード141~4、161~4上方に空所を設ける。これによって、第1及び第2のリード141~4、161~4が最終的な構成に曲げられる又は折り返される場合に、第1及び第2のリード141~4、161~4の直接上方のデバイス本体121~4の部分は、空所が設けられない場合にデバイス本体121~4にひびを生じさせ得る応力にさらされない。
【0029】
本明細書において使用するとき、単数形で記載され、「一」又は「1つ」という語の後にある要素又は段階は、複数の要素又は段階を除外しないものとして理解されるべきである。ただし、そのような除外が明示的に記載されている場合を除く。さらに、本開示の「一実施形態」への言及は、記載された特徴をも組み込む追加の実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図するものではない。
【0030】
本開示は、特定の実施形態に言及している一方、添付の特許請求の範囲で定義されるような本開示の領域及び範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に対する多くの改変、修正、及び変更を行うことが可能である。したがって、本開示は、説明した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の文言及びその均等物により定義される完全な範囲を有することが意図されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】