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特表2024-507185結晶化ガラス、その調製方法および使用
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  • 特表-結晶化ガラス、その調製方法および使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】結晶化ガラス、その調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C03C 10/00 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
C03C10/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549050
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 CN2022109031
(87)【国際公開番号】W WO2023006081
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】202110866102.1
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521475495
【氏名又は名称】重慶▲シン▼景特種玻璃有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 昊
(72)【発明者】
【氏名】汪 ▲ギョク▼博
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼ 双
(72)【発明者】
【氏名】談 宝権
(72)【発明者】
【氏名】胡 偉
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA11
4G062BB01
4G062CC04
4G062CC10
4G062DA06
4G062DA07
4G062DB03
4G062DC03
4G062DD02
4G062DD03
4G062DE01
4G062DF01
4G062EA04
4G062EB02
4G062EB03
4G062EC01
4G062ED01
4G062EE01
4G062EF01
4G062EG01
4G062FA01
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4G062FC03
4G062FD01
4G062FE01
4G062FF01
4G062FG01
4G062FH01
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4G062FK01
4G062FL01
4G062GA01
4G062GA10
4G062GB01
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4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
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4G062HH07
4G062HH09
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4G062HH15
4G062HH17
4G062HH20
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4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
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4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM12
4G062NN01
4G062NN29
4G062NN33
(57)【要約】
本開示は、結晶化ガラスの調製方法、この方法により調製された結晶化ガラスおよびその使用を提供する。結晶化ガラスの調製方法は、ステップ(1):ガラスシートに対して核生成を行い、そして一次結晶化を行い、前記一次結晶化の温度をx、一次結晶化の時間をtとし、前記一次結晶化の温度xと一次結晶化の時間tは以下の条件を満たし、(i)-a×t+652≦x≦-a×t+667で、ただし、aは定数であり、且つ0.1≦a≦0.25となり、tは10~300分間であり、(ii)y=0.0029x+bで、ただし、yは一次結晶化後のガラス密度であり、且つ2.440g/cm≦府統合y≦2.490g/cmとなり、bは定数であり、且つ0.55<b<0.60となると、ステップ(2):一次結晶化後のガラスシートに対して二次結晶化を行うと、を含む。本開示は、二次結晶化が必要なガラスシートに対して一次結晶化の温度と時間を制御することにより、二次結晶化時の変形量を低減し、作られた結晶化ガラスが優れた光透過率を有し、製品の歩留まりを向上させる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ(1):ガラスシートに対して核生成を行い、そして一次結晶化を行い、前記一次結晶化の温度をx、一次結晶化の時間をtとし、
前記一次結晶化の温度xと一次結晶化の時間tは以下の条件を満たし、
(i)-a×t+652≦x≦-a×t+667
ただし、aは定数であり、且つ0.1≦a≦0.25となり、tは10~300分間であり、結晶化温度xの単位は℃であり、
(ii)y=0.0029x+b
ただし、yは一次結晶化後のガラス密度であり、且つ2.440g/cm≦y≦2.490g/cmとなり、bは定数であり、且つ0.55<b<0.60となると、
ステップ(2):一次結晶化後のガラスシートに対して二次結晶化を行うと、を含む
ことを特徴とする結晶化ガラスの調製方法。
【請求項2】
前記一次結晶化後のガラス密度は、2.447g/cm≦y≦2.490g/cmを満たし、好ましくは2.455g/cm≦y≦2.490g/cm、より好ましくは2.460g/cm≦y≦2.490g/cm、さらに好ましくは2.481g/cm≦y≦2.490g/cmである
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記核生成の温度は、520~580℃であり、好ましくは545~575℃、より好ましくは550~570℃であり、核生成の時間は、180~360分間であり、好ましくは200~280分間、より好ましくは220~250分間である
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
前記二次結晶化のプロセスにおいて、昇温段階と、熱成形段階と、降温段階とを順に含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項5】
前記昇温段階は、室温から10~60℃/minの速度で第1目標温度に昇温し、
前記第1目標温度は、650~750℃である
ことを特徴とする請求項4に記載の調製方法。
【請求項6】
前記昇温段階における昇温速度は20~50℃/s、好ましくは30~40℃/sである
ことを特徴とする請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
前記熱成形段階は、第1目標温度から第2目標温度に昇温し、昇温速度は、15~50℃/minであり、前記第2目標温度は、680~850℃である
ことを特徴とする請求項4に記載の調製方法。
【請求項8】
前記降温段階は、第2目標温度から10~50℃の速度で室温に降温する
ことを特徴とする請求項4に記載の調製方法。
【請求項9】
前記ガラスシートは、リチウムアルミノシリケート系ガラスであり、
好ましくは、前記ガラスシートは、3~7mol%のAl、0.5~5のmol%のZrO、10~25mol%のLiO、0.5~5mol%のNaO、0.5~2mol%のP、0.1~2mol%のB、65~72mol%のSiOを含有する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法により調製された結晶化ガラス。
【請求項11】
携帯電話カバー、腕時計カバー、タブレットカバー、車載ディスプレイカバーのいずれかに用いられる
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の方法により調製された結晶化ガラスの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス調製分野に属し、具体的には結晶化ガラス、その調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化時代の到来により、スマートデバイスの携帯性や使いやすさが特に重要視され、携帯電話は現在最も有望なスマート端末機器となっている。スマートフォンの設計および製造に使用される新素材がどんどん増えており、カバーガラスはそのうちの1つである。携帯電話のカバーガラスは、2Dから始まり、2.5Dの時代を経て、新たな3D時代に突入し、携帯電話の外観を美しくするだけでなく、ユーザーの触覚体験も大幅に向上させた。
【0003】
ガラスは、優れた機械特性と光の透過性を有するため、スクリーンカバーに最適である。しかしながら、従来のガラスで作られたカバーは人々の要求を満足できなくなり、カバーガラスの新たな発展となる結晶化ガラスが誕生した。新しい素材は、新しい経験だけでなく、新しい挑戦ももたらす。
【0004】
所定形状を有するカバー(例えば丸みを有する)について、二次加熱による結晶化が必要になることが多い。二次結晶化において、結晶化ガラスは、不規則な変形が起こりやすくなり、歩留まりの低下や材料の浪費を招くことがある。
二次結晶化で調製された結晶化ガラスの変形量をいかに抑制するかは、本分野で解決すべき技術的問題である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、結晶化ガラスの調製方法を提供することを目的の一とする。前記方法は、以下のステップを含む。
ステップ(1):ガラスシートに対して核生成を行い、そして一次結晶化を行い、前記一次結晶化の温度をx、一次結晶化の時間をtとし、
前記一次結晶化の温度xと一次結晶化の時間tは以下の条件を満たし、
(i)-a×t+652≦x≦-a×t+667
ただし、aは定数であり、且つ0.1≦a≦0.25となり、tは10~300分間であり、結晶化温度xの単位は℃であり、
(ii)y=0.0029x+b
ただし、yは一次結晶化後のガラス密度であり、且つ2.440g/cm≦y≦2.490g/cmとなり、
bは定数であり、且つ0.55<b<0.60となる。
ステップ(2):一次結晶化後のガラスシートに対して二次結晶化を行う。
【0006】
本開示は、二次結晶化が必要なガラスシートに対して一次結晶化の温度と時間を制御することにより、一次結晶化後の密度yが2.440g/cm≦y≦2.490g/cmを満たし、二次結晶化後の密度に近づくように、所望の結晶相の種類と結晶の成長速度を得る。よって、二次結晶化時の変形量を低減し、製品の歩留まりを向上させる。
【0007】
その原理は、ガラスが一次結晶化を経て対応する密度に達すると、ガラス内部の結晶成長が比較的に緩くなり遅滞段階に入り、マクロな視点でガラスが大幅に膨張しない、と推測される。一次結晶化後の密度が2.440g/cm未満の場合、ガラス内部の結晶相は十分に成長、転移されず、二次結晶化によって結晶化ガラスの変形率が大きくなる。一次結晶化後の密度が2.490g/cm以上の場合、ガラス内部の結晶相は完全に成長、転移されているが、二次結晶化後に結晶相の過度な成長が起こる。この場合、ガラスの変形率が低くなるが、ガラスの光透過率などの光学特性が悪化する。
【0008】
前記ガラスシートは、ガラスの原料から溶融、成形および低温処理後に得られるガラスシートとして理解することができる。具体的な調製プロセスは、典型的には、ガラスの原料の秤量と混合を含むが、これらに限定されない。ガラスの溶融成形において、その成形方法は、フロート法、オーバーフロー法、ロールアウト法、流し込み法などを含むが、これらに限定されない。成形されたガラス板をアニールして低温処理し、同じサイズのガラスシートを得る。
【0009】
好ましい技術案として、前記一次結晶化の時間tは、10~300分間(例えば25分間、40分間、55分間、70分間、95分間、110分間、135分間、155分間、195分間、210分間、240分間、270分間、290分間など)であり、好ましくは50~200分間、より好ましくは80-150分間、さらに好ましくは90~120分間である。前記一次結晶化後のガラス密度は、2.447g/cm≦y≦2.455g/cmを満たし、好ましくは2.455g/cm≦y≦2.460g/cm、より好ましくは2.460g/cm≦y≦2.481g/cm、さらに好ましくは2.481g/cm≦y≦2.490g/cmを満たす。
【0010】
一次結晶化後のガラス密度は、2.440g/cm≦y≦2.455g/cmを満たせば、二次結晶化ガラスの変形率を1.2%~1.8%に制御するという効果をさらに得ることができる。一次結晶化後のガラス密度は、2.455g/cm≦y≦2.460g/cmを満たせば、二次結晶化ガラスの変形率を1.0%~1.2%に制御するという効果をさらに得ることができる。一次結晶化後のガラス密度は、2.460g/cm≦y≦2.481g/cmを満たせば、二次結晶化ガラスの変形率を0%~1.0%に制御するという効果をさらに得ることができる。一次結晶化後のガラス密度は、2.481g/cm≦y≦2.490g/cmを満たせば、二次結晶化ガラスの変形率を0.0%~0.5%に制御するという効果をさらに得ることができる。
【0011】
好ましい技術案として、前記核生成の温度は、520~580℃(例えば525℃、530℃、535℃、540℃、545℃、550℃、560℃、565℃、570℃、575℃など)であり、好ましくは545~575℃、より好ましくは550~570℃である。好ましくは核生成の時間は180~360分間(例えば190分間、195分間、205分間、225分間、240分間、245分間、260分間、280分間、300分間、310分間、320分間、330分間など)であり、より好ましくは200~280分間、さらに好ましくは220~250分間である。
【0012】
適切な核生成の温度により、均一な核生成を実現できる。
【0013】
好ましい技術案として、前記二次結晶化のプロセスにおいて、昇温段階と、熱成形段階と、降温段階とを順に含む。
【0014】
二次結晶化のプロセスで段階的に処理することで、各段階の温度に対して精確に制御することができる。よって、加工設備の不安定による材料の性能への影響を減少ないし除去し、加工完成品の一貫性をさらに向上させ、製品の歩留まりを向上させる。
【0015】
好ましい技術案として、前記昇温段階は、室温から10~60℃/sの速度で第1目標温度に昇温する。昇温速度は好ましくは20~50℃/s、より好ましくは30~40℃/sである。前記第1目標温度は650~750℃、好ましくは670~730℃、より好ましくは680~710℃である。
【0016】
好ましい技術案として、前記熱成形段階は、第1目標温度から第2目標温度に昇温する。昇温速度は、15~50℃/min、好ましくは20~40℃/min、より好ましくは30~40℃/minである。
【0017】
前記第2目標温度は680~800℃、好ましくは700~780℃、より好ましくは720~750℃、さらに好ましくは730~740℃である。
【0018】
好ましい技術案として、前記降温段階は、第2目標温度から30~50℃/sの速度で室温に降温する。降温速度は好ましくは35~45℃/s、より好ましくは38~40℃/sである。
【0019】
適切な温度変化曲線は、加工設備によるガラスへの影響を減少することができる。一方では、急冷と急熱によるガラスの割れを防ぎ、他方では、昇温と降温が遅すぎることによる作業時間の増加や、生産効率の低下を防ぐ。また、温度変化曲線を制御することで、ガラスの光学特性も改善することができる。
【0020】
好ましい技術案として、前記ガラスシートは、リチウムアルミノシリケート系ガラスである。
【0021】
好ましくは、前記ガラスシートは、3~7mol%のAl、0.5~5mol%のZrO、10~25mol%のLiO、0.5~5mol%のNaO、0.5~2mol%のP、0.1~2mol%のB、65~72mol%のSiOを含有する。
【0022】
好ましい技術案として、ガラスシートのAlの含有量は4~6mol%であり、好ましくは4.5~5.5mol%である。
【0023】
好ましい技術案として、ガラスシートのZrOの含有量は1~4mol%であり、好ましくは2.5~3.5mol%である。
【0024】
好ましい技術案として、ガラスシートのLiOの含有量は14~20mol%であり、好ましくは16~19mol%、好ましくは17~18mol%である。
【0025】
好ましい技術案として、ガラスシートのNaOの含有量は0.7~3.2mol%であり、好ましくは1.0~2.5mol%である。
【0026】
好ましい技術案として、ガラスシートのPの含有量は0.8~1.5mol%であり、好ましくは1~1.3mol%である。
【0027】
好ましい技術案として、ガラスシートのBの含有量は0.5~1.5mol%であり、好ましくは0.8~1.2mol%である。
【0028】
好ましい技術案として、ガラスシートのSiOの含有量は67~71mol%であり、好ましくは68~70mol%である。
【0029】
本開示は、目的の一に記載された方法により調製された結晶化ガラスを提供することを目的の二とする。
【0030】
本開示は、携帯電話カバー、腕時計カバー、タブレットカバー、車載ディスプレイカバーのいずれかに用いられることを特徴とする目的の二に記載された方法により調製された結晶化ガラスの使用を提供することを目的の三とする。
【0031】
従来技術と比べて、本開示は、少なくとも以下の有益な効果を有する。
本開示は、二次結晶化が必要なガラスシートに対して一次結晶化の温度と時間を制御することにより、一次結晶化後の密度yが2.440g/cm≦y≦2.490g/cmを満たし、二次結晶化後の密度に近づくようにする。よって、二次結晶化時の変形量を低減し、作られたガラスが優れた光透過率を有し、製品の歩留まりを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】二次結晶化後のガラスのサイズ変化を測定する際に、測定する位置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、具体的な実施形態を参照しながら本開示に係る技術案をさらに説明する。
当業者であればわかるように、実施例は、本開示をよりよく理解させるためのものにすぎず、本開示を限定するものではない。
【0034】
実施例1
結晶化ガラスは、以下の方法で調製される。
ステップ(1):5mol%のAl、2.7mol%のZrO、14.9mol%のLiO、2.1mol%のNaO、1.6mol%のP、0.75mol%のB、残部であるSiOを含有するガラスレシピに基づいて、ガラスの原料を秤量して混合し、原料混合物を得た。
【0035】
ステップ(2):前記原料混合物を成形、冷却してガラスシートを得た。成形方法は、1650℃で5時間溶融した後、200℃に予熱された金型に流し、成形する。冷却方法は、580℃で24時間アニールした後、アニール炉を室温まで冷却する。作られたガラスシートのサイズは、159×74×0.60mmである。
【0036】
ステップ(3):前記ガラスシートに対して、555℃で280分間核生成を行い、そして645℃で100分間一次結晶化を行った。
【0037】
ステップ(4):一次結晶化後のガラスシートに対して二次結晶化を行い、結晶化ガラスを得た。前記二次結晶化は、室温から20℃/sの速度で700℃に昇温し、700℃から25℃/sの速度で800℃に昇温し、800℃から20℃/sの速度で室温まで降温するように行われた。
【0038】
実施例2
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が640℃であり、一次結晶化時間が100分間である。
【0039】
実施例3
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が635℃であり、一次結晶化時間が100分間である。
【0040】
実施例4
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が650℃であり、一次結晶化時間が100分間である。
【0041】
実施例5
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が637℃であり、一次結晶化時間が90分間である。
【0042】
実施例6
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が642℃であり、一次結晶化時間が90分間である。
【0043】
実施例7
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が647℃であり、一次結晶化時間が90分間である。
【0044】
実施例8
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が652℃であり、一次結晶化時間が90分間である。
【0045】
実施例9
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が635℃であり、一次結晶化時間が120分間である。
【0046】
実施例10
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が640℃であり、一次結晶化時間が120分間である。
【0047】
実施例11
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が655℃であり、一次結晶化時間が100分間である。
【0048】
実施例12
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が636℃であり、一次結晶化時間が300分間である。
【0049】
実施例13
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が650℃であり、一次結晶化時間が10分間である。
【0050】
実施例14
実施例1との違いは、ステップ(1)のガラスレシピは、7.0mol%のAl、0.5mol%のZrO、25.0mol%のLiO、0.5mol%のNaO、2.0mol%のP、2.0mol%のB、残部であるSiOを含有するようになる。
【0051】
実施例15
実施例1との違いは、ステップ(1)のガラスレシピは、3.0mol%のAl、5.0mol%のZrO、10mol%のLiO、5.0mol%のNaO、0.5mol%のP、0.1mol%のB、残部であるSiOを含有するようになる。
【0052】
実施例16
実施例1との違いは、ステップ(3)における核生成の温度が520℃であり、核生成の時間が360分間である。
【0053】
ステップ(4)において、室温から10℃/sの速度で650℃に昇温し、650℃から15℃/sの速度で680℃に昇温し、680℃から10℃/sの速度で室温まで降温する。
【0054】
実施例17
実施例1との違いは、ステップ(3)における核生成の温度が580℃であり、核生成の時間が180分間である。
【0055】
ステップ(4)において、室温から60℃/sの速度で750℃に昇温し、750℃から50℃/sの速度で850℃に昇温し、680℃から50℃/sの速度で室温まで降温する。
【0056】
比較例1
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が630℃であり、一次結晶化時間が150分間である。
【0057】
比較例2
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が675℃であり、一次結晶化時間が100分間である。
【0058】
比較例3
実施例1との違いは、ステップ(3)における一次結晶化温度が635℃であり、一次結晶化時間が50分間である。
【0059】
性能試験:
(1)密度測定:測定方法として、測定対象のガラスシートをエタノール:純水=1:1の混合溶液に30分間浸漬した後、超音波洗浄器(XDQ 5090ST、東莞市興達強超声波設備有限公司)で10分間洗浄し、表面の液体を無塵布できれいに拭き取り、密度計で(ELECTRONIC DEN DENSIMEETER SD-200L、Japan)密度を測定する。一次結晶化後の密度と二次結晶化後の密度を測定する。
【0060】
(2)サイズ変化:試験方法として、二次元画像測定機(MY-YXCL-4030(±0.01mm))を用いて二次結晶化処理後のガラスの二次元のサイズを測定する。具体的に、試験方法として、長辺の1/4、1/2、3/4の位置(図1に測定する位置の模式図を示す)で3組のデータを測定する。10枚の試験シートから30個のデータを得て、このうちの最大値(Lmax、mm)と最小値(Lmin、mm)を取り、最大値と最小値の差を算出してサイズ変化y(mm)とし、
で変形率を算出する。変形率は、該ロットのガラスの二次結晶化後のサイズ変化の集中度を表す。変形率が大きいほどサイズ変化が大きく、変形率が小さいほどサイズ変化が小さいことを意味する。
【0061】
(3)光透過率:試験方法として、結晶化後のガラスシートを、洗浄時間:5-10分間、使用される洗浄剤:10倍希釈の一般洗剤、洗浄温度:45℃-65℃、洗浄周波数:20KHZ-40KHZである洗浄条件で、超音波洗浄器で洗浄し、ヘイズメーターを用いて「GB/T7962.12-2010 無色光学ガラスのテスト方法 第12部分:分光透過率」に準拠して結晶化ガラスの波長別の光透過率を測定する。本開示で使用されるヘイズメーターは日本コニカミノルタ社製の分光測色計CM-3600Aである。
【0062】
表1は一次結晶化の関連するパラメータおよび試験結果を示す。
【表1】
【0063】
表1によれば以下のことが分かる。
実施例1~17において実施された一次結晶化の温度xと時間tはいずれも以下の条件を満たす。
【0064】
条件(i):-a×t+652≦x≦-a×t+667。ただし、aは定数であり、且つ0.1≦a≦0.25となり、tは10~300分間であり、結晶化温度xの単位は℃である。
【0065】
条件(ii):y=0.0029x+b。ただし、yは一次結晶化後のガラス密度であり、且つ2.440g/cm≦y≦2.490g/cmとなる。bは定数であり、且つ0.55<b<0.60となる。作られた結晶化ガラスの変形率はいずれも1.5%未満で、光透過率は89%以上である。また、限定された一次結晶化後のガラス密度の範囲内において、密度が高くなるにつれて、二次結晶化後のガラスの変形率は徐々に小さくなり、対応する光透過率は高くなる。
【0066】
比較例1において、一次結晶化の温度と時間は条件(i)を満たすが、温度と一次結晶化後の密度は条件(ii)を満たさない。二次結晶化後のガラスの変形率が1.58%まで大きくなり、光透過率が悪いことがわかる。
【0067】
比較例2において、一次結晶化の温度と時間は条件(i)と(ii)を満たさず、一次結晶化後の密度が2.490g/cmを超えた。比較的小さい変形率を得られるが、光透過率が悪くなることがわかる。
【0068】
比較例3において、一次結晶化の温度と時間は条件(i)と(ii)を満たさない。二次結晶化後のガラスの変形率が1.53%まで大きくなり、光透過率が悪いことがわかる。
【0069】
以上説明される実施例は、本開示の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。本開示の実施例に対する詳細な説明は、本開示の選択された実施例を示すものにすぎず、保護しようとする本開示の範囲を限定するものではない。本開示の実施例をもとに、当業者が発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属する。

図1
【手続補正書】
【提出日】2023-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ(1):ガラスシートに対して核生成を行い、そして一次結晶化を行い、前記一次結晶化の温度をx、一次結晶化の時間をtとし、
前記一次結晶化の温度xと一次結晶化の時間tは以下の条件を満たし、
(i)-a×t+652≦x≦-a×t+667
ただし、aは定数であり、且つ0.1≦a≦0.25となり、tは10~300分間であり、結晶化温度xの単位は℃であり、
(ii)y=0.0029x+b
ただし、yは一次結晶化後のガラス密度であり、且つ2.440g/cm≦y≦2.490g/cmとなり、bは定数であり、且つ0.55<b<0.60となると、
ステップ(2):一次結晶化後のガラスシートに対して二次結晶化を行うと、を含む
ことを特徴とする結晶化ガラスの調製方法。
【請求項2】
前記一次結晶化後のガラス密度は、2.447g/cm≦y≦2.490g/cmを満たし、好ましくは2.455g/cm≦y≦2.490g/cm、より好ましくは2.460g/cm≦y≦2.490g/cm、さらに好ましくは2.481g/cm≦y≦2.490g/cmである
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記核生成の温度は、520~580℃であり、好ましくは545~575℃、より好ましくは550~570℃であり、核生成の時間は、180~360分間であり、好ましくは200~280分間、より好ましくは220~250分間である
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
前記二次結晶化のプロセスにおいて、昇温段階と、熱成形段階と、降温段階とを順に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項5】
前記昇温段階は、室温から10~60℃/minの速度で第1目標温度に昇温し、
前記第1目標温度は、650~750℃である
ことを特徴とする請求項4に記載の調製方法。
【請求項6】
前記熱成形段階は、第1目標温度から第2目標温度に昇温し、昇温速度は、15~50℃/minであり、前記第2目標温度は、680~850℃である
ことを特徴とする請求項4に記載の調製方法。
【請求項7】
前記降温段階は、第2目標温度から10~50℃/minの速度で室温に降温する
ことを特徴とする請求項4に記載の調製方法。
【請求項8】
前記ガラスシートは、リチウムアルミノシリケート系ガラスであり
記ガラスシートは、3~7mol%のAl、0.5~5のmol%のZrO、10~25mol%のLiO、0.5~5mol%のNaO、0.5~2mol%のP、0.1~2mol%のB、65~72mol%のSiOを含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の方法により調製された結晶化ガラス。
【請求項10】
携帯電話カバー、腕時計カバー、タブレットカバー、車載ディスプレイカバーのいずれかに用いられる
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の方法により調製された結晶化ガラスの使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
好ましい技術案として、前記昇温段階は、室温から10~60℃/minの速度で第1目標温度に昇温する。昇温速度は好ましくは20~50℃/min、より好ましくは30~40℃/minである。前記第1目標温度は650~750℃、好ましくは670~730℃、より好ましくは680~710℃である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
好ましい技術案として、前記降温段階は、第2目標温度から30~50℃/minの速度で室温に降温する。降温速度は好ましくは35~45℃/min、より好ましくは38~40℃/minである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本開示は、携帯電話カバー、腕時計カバー、タブレットカバー、車載ディスプレイカバーのいずれかに用いられることを特徴とする目的のに記載された方法により調製された結晶化ガラスの使用を提供することを目的の三とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
ステップ(4):一次結晶化後のガラスシートに対して二次結晶化を行い、結晶化ガラスを得た。前記二次結晶化は、室温から20℃/minの速度で700℃に昇温し、700℃から25℃/minの速度で800℃に昇温し、800℃から20℃/minの速度で室温まで降温するように行われた。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
ステップ(4)において、室温から10℃/minの速度で650℃に昇温し、650℃から15℃/minの速度で680℃に昇温し、680℃から10℃/minの速度で室温まで降温する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
ステップ(4)において、室温から60℃/minの速度で750℃に昇温し、750℃から50℃/minの速度で850℃に昇温し、850℃から50℃/minの速度で室温まで降温する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
表1は一次結晶化の関連するパラメータおよび試験結果を示す。
【表1】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
比較例1において、一次結晶化の温度と時間は条件(i)を満たすが、温度と一次結晶化後の密度は条件(ii)を満たさない。二次結晶化後のガラスの変形率が1.8%まで大きくなり、光透過率が悪いことがわかる。
【国際調査報告】