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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】炉制御
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/24 20060101AFI20240208BHJP
   C03B 5/235 20060101ALI20240208BHJP
   C03B 1/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C03B5/24
C03B5/235
C03B1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549060
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 FR2022050347
(87)【国際公開番号】W WO2022180345
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】2101878
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ ギレ
(72)【発明者】
【氏名】メルワーヌ マイザ
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AA00
4G014AF00
(57)【要約】
ミネラルウール、カレット、テキスタイルガラス糸及び/又は板ガラス若しくは容器ガラス製品を得るのに適した、原料組成物(5)を溶融するためのプラント(1)を制御する方法であって、プラント(1)が上記組成物(5)を溶融するのに適した溶融チャンバー(8)を有しており:上記組成物(5)が、ミネラルウール及び/又はバイオマスの少なくとも1種の湿潤混合物(20)を含むこと、並びに、上記方法が、上記溶融チャンバー(8)の産生量に影響を及ぼす少なくとも1つの物理的変数を制御する、少なくとも1つのステップを含み、上記制御ステップが、上記溶融チャンバー(8)内への上記組成物及び/又は上記湿潤混合物の導入前に測定される、上記組成物(5)及び/又は上記湿潤混合物(20)の含水率の関数として実行されること、を特徴とする、方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラルウール、カレット、テキスタイルガラス糸、及び/又は板ガラス若しくは容器ガラス製品を得るのに適した、原料組成物(5)を溶融するためのプラント(1)の制御方法であって、プラント(1)が、前記組成物(5)を溶融するのに適した溶融チャンバー(8)を有しており:
前記組成物(5)が、ミネラルウール及び/又はバイオマスの少なくとも1種の湿潤混合物(20)を含むこと、並びに、
前記方法が、前記溶融チャンバー(8)の産生量に影響を及ぼす少なくとも1つの物理的変数を制御する、少なくとも1つの制御ステップを含み、前記制御ステップが、前記溶融チャンバー(8)内への前記組成物及び/又は前記湿潤混合物の導入前に測定される、前記組成物(5)及び/又は前記湿潤混合物(20)の含水率の関数として実行されること、を特徴とする、
制御方法。
【請求項2】
前記溶融チャンバー(8)の産生量に影響を及ぼす少なくとも1つの前記物理的変数は、前記溶融チャンバー(8)内への前記組成物(5)の供給速度であることを特徴とする、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記プラント(1)が、少なくとも1つのバーナー(2A)、好ましくはサブマージ型のバーナー(2A)、及び/又は少なくとも1つのバブラー(2B)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記組成物(5)が、少なくとも部分的にガラス浴の高さよりも下に供給されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記溶融チャンバー(8)の産出量に影響を及ぼす少なくとも1つの前記物理的変数は、前記少なくとも1つのバーナー(2A)の出力であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の制御方法であって、複数のバーナー(2A)を実装していること、及び、出力を制御する前記ステップが、主に、前記原料組成物(5)を前記溶融チャンバー(8)内に供給する点に最も近い位置に配置されている1又は複数のバーナーに対して実施されることを特徴とする、制御方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の制御方法であって、前記組成物(5)及び/又は前記湿潤混合物(20)の含水率の、直接又は間接的な、好ましくは少なくとも1つのレーダー型センサーによる測定の、少なくとも1つのステップを含むことを特徴とする、制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の制御方法であって、前記湿潤混合物(20)を圧搾する、好ましくはスクリュープレス(21)によって圧搾する、少なくとも1つのステップ(ステップS1)を含み、かつ、圧搾された前記湿潤混合物の含水率を、前記原料組成物(5)内への圧搾された前記湿潤混合物(20)の取り込み(ステップS3)後に測定し(ステップM3)、かつ/又は好ましくは前に測定する(ステップM2)、後続ステップを含むことを特徴とする、制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の制御方法であって、前記湿潤混合物(20)の含水率を、圧搾する(ステップS1)前に、測定する先行ステップ(ステップM1)を含むことを特徴とする、制御方法。
【請求項10】
ガラス化可能な材料が、前記溶融チャンバー(8)内に、1日当たり10トン以上、好ましくは1日当たり25トン以上、好ましくは1日当たり50トン以上、好ましくは1日当たり100トン以上の速度で供給されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記制御ステップが、測定された前記含水率に基づいて、前記溶融チャンバー(8)の産出量に影響を及ぼす前記物理的変数を変化させるPID制御器を実装することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記含水率が、3質量%~50質量%、好ましくは4質量%~30質量%、好ましくは5質量%~15質量%、好ましくは6質量%~10質量%であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項13】
通信ネットワークからダウンロード可能であり、かつ/又は記録媒体に記録されている、プロセッサーによって実行されるのに適した、コンピュータープログラムであって、請求項1~11のいずれか一項に記載の制御方法を実施するための命令コードを有する、コンピュータープログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータープログラムが記録されている、コンピューター記録媒体。
【請求項15】
ミネラルウール、カレット、テキスタイルガラス糸、及び/又は板ガラス若しくは容器ガラス製品を得るのに適した、ミネラルウール及び/又はバイオマスの湿潤混合物(20)を少なくとも含む原料組成物(5)を溶融するためのプラント(1)であって、前記プラント(1)は、前記組成物(5)を溶融するのに適した溶融チャンバー(8)、及び請求項1~12のいずれか一項に記載の制御方法を実施するのに適した制御システム(30)、を有するプラント(1)。
【請求項16】
請求項15に記載のプラント(1)であって、少なくとも1つのバーナー(2A)、好ましくはサブマージ型のバーナー(2A)、及び/若しくは少なくとも1つのバブラー(2B)を備え、かつ/又は前記原料組成物(5)をガラス浴(3)の高さ(6)よりも下に供給するのに適していること、を特徴とするプラント(1)。
【請求項17】
ガラス若しくはロックミネラルウール、カレット、テキスタイルガラス糸、及び/又は板ガラス若しくは容器ガラス製品の製造方法であって、請求項15又は16に記載のプラント(1)を実施する製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱遮断用又は音遮断用のミネラルウール系のガラス繊維、カレット、いわゆる強化テキスタイルガラス糸、及び/又は板ガラス若しくは容器ガラス製品を得るのに適した、原料組成物を溶融するためのプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書では、これらの「原料」は、まず、ガラス若しくはロック(岩石)又はケイ酸塩系の、目的とする鉱物組成を得ることを可能にする、ガラス化可能な材料を含む。これらのガラス化可能な材料は、珪砂だけではなく、全ての添加物(炭酸ナトリウム、石灰石、ドロマイト、アルミニウムなど)、及び任意のタイプのカレットも含む。本明細書では、「液体ガラス」及び「ガラス溶融物」という用語は、これらのガラス化可能な材料の溶融生成物を指す。また、原料組成物として、リサイクル可能な材料が挙げられ、これらは、(有機)燃料要素、例えば、サイジング処理された鉱物繊維の廃棄物などを含み、(熱遮断若しくは音響遮断に用いられる、又はプラスチック材料の強化に用いられるタイプの)バインダーを有し、上記繊維の生産プラント(工場)、作業現場(建設若しくは解体)、及び/又はリサイクルの流れであって、最終製品からそのような繊維を回収することが可能なリサイクルの流れから、それらが用いられたか否かにかかわらず、採取される。このような鉱物繊維は、特には、ガラス及び/又はロック(岩石)から成りうる。そして、それらは、それぞれ、ガラスウール及びロックウールとして知られている。また、積層ガラス張りユニットも挙げられ、これらは、層状のポリビニルブチラール系のポリマー、例えばウィンドシールド、ガラス瓶(家庭用カレット)、又は任意のタイプの「複合」材料であって、特定の瓶などのガラス材及びプラスチック材を組み合わせた「複合」材料など、を含む。また、下記もリサイクル可能である:「ガラス-金属複合物又は金属化合物」、例えば、エナメル層、金属層及び/又は様々な接続要素でコーティングされた、ガラス張りユニットなど。また、原料として、全てのバイオマス形態が挙げられ、これは植物、動物、細菌、又は真菌由来の有機物であり、これらは主に燃料として用いられうるだけではなく、製造されるガラス化可能な材料の組成に影響を与える原料としても機能しうる;なぜなら、その灰分が一般的にゼロではないためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
リサイクルの流れに由来する材料を原料として用いることは、否定できない利点、例えば、原料及びエネルギーの消費を削減する点、より一般的には製造方法全体のカーボンフットプリントを削減する点など、の否定できない利点を有する。
【0004】
しかしながら、このようなリサイクル可能な廃棄物は、特には、重大な、大きく変動しうる湿気レベルを有する。本明細書において、含水率とは、リサイクル可能な廃棄物の「湿潤」混合物であって、一般にミネラルウール及び/又はバイオマスから成る混合物、内に含まれる水の質量百分率を意味すると理解される。ミネラルウールは、使用者によって廃棄物として扱われているままであるため、それらは乾燥条件下で保管されないことが一般的である。ミネラルウールの疎水性を考慮しても、このようにして、覆われずに屋外で保管されているミネラルウールのスクラップは、20~70%の湿気を含むと予想してよく、これは無視できるものではない。
【0005】
しかしながら、本発明者によって得られた実地経験は、この湿気が、二重の悪影響を有し、これは、炉の温度における瞬間的な低下を引き起こし、かつその産生量の不安定性の一因ともなる、ことを示す。実際、燃焼チャンバー内に導入された水は、水蒸気の形態で排出されるはずであり、そのように、ガラス浴によって発生した熱の一部を消費する。従って、この水の蒸発は、一時的かつ局所的な温度の損失を引き起こし、その結果、産生量の不安定性を引き起こす。この水はまた、炉内に供給される原料のバッチ組成物の全体質量の不可欠な部分でもある。したがって、一定の供給速度では、含水率を変化させることは、実際に供給されるガラス化可能な原料の質量における変動を発生させ、その結果、炉の産生量の変動又は不安定性を発生させる。単位時間当たりの(例えば、1日当たりトンでの)炉の排出口での溶融したガラス化可能な原料の量は、産生量と呼ばれる。このような炉の瞬間的な産生量における変動は、成形後に得られるガラス製品の品質に対して悪影響を及ぼす。特にはミネラルウールの製造の場合、このような産生量の変動は、このようにして、繊維化の不安定性につながり、これは、より多くの廃棄物を発生させる。もう一つの欠点は、ある瞬間に生成される繊維の量も変化し、これは、得られる製品の密度制御に悪影響を及ぼすことである。しかしながら、これは、品質を評価する際の主要な特徴である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、本明細書で前述した欠点に対する技術的解決策を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の特定の実施形態による、原料組成物を溶融するためのプラントの概略断面図である。
【0008】
図2図2は、本発明による製造方法によって実施されるような、供給される原料組成物を生成するためのユニットの概略断面図である。
【0009】
図3図3は、プラント、例えば図1に示すようなプラントなどを、監視するためのシステムの概略的表現である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
より詳細には、少なくとも1つの実施形態において、提案される技術は、ミネラルウール、カレット、テキスタイルガラス糸、及び/又は板ガラス若しくは容器ガラス製品を得るのに適した、原料組成物を溶融するためのプラントを制御する方法であって、このプラントが上記組成物を溶融するのに適した溶融チャンバーを有する、以下を特徴とする方法に関する:上記組成物が、ミネラルウール及び/又はバイオマスの少なくとも1種の湿潤混合物を含むこと、並びに、上記方法が、溶融チャンバーの産生量に影響を及ぼす少なくとも1つの物理的変数を制御する、少なくとも1つのステップを含み、上記制御ステップが、溶融チャンバー内への上記組成物及び/又は上記湿潤混合物の導入前に測定される、上記組成物及び/又は上記湿潤混合物の含水率の関数として実行されること。
【0011】
本発明による制御方法は、影響を及ぼす様々な物理的変数、すなわち炉の産生量に直接的又は間接的な影響を与える様々な物理的変数が、供給される上記湿潤組成物/混合物の含水率の関数として制御(調節)され、従来のように複数の変数を有する複雑な熱力学モデルから決定されるような、溶融チャンバー内で到達すべき設定温度のみに基づかないという点で、新規かつ独創的である。当然ながら、ガラス炉内での溶融は、非常に小さな慣性を有し、又は換言すれば、そのような反応性を有するので、そのような設定温度は、特別な制御を行わなくても、非常に迅速に達成される。逆に、含水率における任意の変化は、炉からの即座の反応につながり、このようにして、溶融プロセス、及びその産生量を不安定にする。
【0012】
従って、本発明による制御方法は、組成物/湿潤混合物の含水率が炉に及ぼす悪影響を、非常に反応的に予測することを可能にし、それによって、炉の産生量を安定させるのに役立ち、このようにして、究極的には、形成されるガラス製品の品質を向上させるのに役立つ。
【0013】
特定の実施形態によれば、ミネラルウール及び/又はバイオマスの湿潤混合物は、原料組成物の1~50重量%、好ましくは10~40重量%を占める。
【0014】
特定の実施形態によれば、溶融チャンバーの産生量に影響を及ぼす上記少なくとも1つの物理的変数は、溶融チャンバー内への上記組成物の供給速度である。
【0015】
明細書に詳述されているように、原料組成物を一定速度で炉内に供給しているときに、含水率を変化させることは、実際に供給されるガラス化可能な材料の質量に変動を発生させ、その結果、炉の産生量の変動又は不安定性を発生させる。従って、供給速度をこの含水率の関数として調整することは、この問題を克服することを可能にし、それによって、産生量を安定させるのに役立つ。
【0016】
特定の実施形態によれば、設備は、少なくとも1つのバーナー、好ましくはサブマージ型のバーナー、及び/又は少なくとも1つのバブラーを備える。
【0017】
サブマージバーナーは、ガス及び空気が供給され、一般的に、それらが溶融チャンバーの床面と面一になるように配置され、それによって、炎は、液化されている原料の集まりの中で発生する。これらのバーナーを、それらのガス供給ラインが、それらが通過する壁と面一になるように、してよい。いくつかの実施形態によれば、燃焼から生じるガスのみを注入することを選んでもよく、その燃焼は溶解チャンバー自体の外部で実行される。
【0018】
サブマージバーナー炉の高い反応性、従ってそこから生じうる産生量不安定性を考慮すると、本発明による方法は、この種の炉に特に適している。
【0019】
特定の実施形態によれば、上記組成物は、少なくとも部分的にガラス浴のレベルの下に供給される。
【0020】
供給が、少なくとも部分的にガラス浴の高さよりも下で実行される、又は換言すれば、溶融しているガラス化可能な材料内で実行される炉の高い反応性、従ってそこから生じうる産生量の不安定性を考慮すると、本発明による方法は、この種の炉に特に適している。
【0021】
特定の実施形態によれば、溶融チャンバーの産生量に影響を及ぼす上記少なくとも1つの物理的変数は、上記少なくとも1つのバーナーの出力である。
【0022】
本明細書に詳述されているように、炉内に導入された水の放出は、一時的かつ局所的な温度の損失を発生させ、その結果産出量の不安定性を発生させる。従って、1又は複数のバーナーによるガラス浴の加熱出力を、一般的にKwh単位で表し、この含水率の関数として調整することは、この問題を事前に克服することを可能にし、それによって、産出量の不安定性を防止かつ回避する。
【0023】
特定の実施形態によれば、制御方法は、複数のバーナーを実装し、出力を制御する上記ステップは、主に、上記原料組成物を溶融チャンバー内に供給する点に対して最も近くに配置されている(1つ又は複数の)バーナーで、実施される。
【0024】
本発明の意味において、出力を制御する上記ステップの実施は、原料の導入点に対していわゆる「近位」に配置されている(1つ又は複数の)バーナーを中心とし、(1つ又は複数の)近位のバーナーに適用される出力偏差の、他のバーナーに適用される出力偏差に対する比率は、75%超、好ましくは90%超、好ましくは95%超である。
【0025】
本発明者によって、供給された組成物の水分によって引き起こされる温度低下が、炉の投入口に局在することが観察された。従って、出力制御を、この供給点に対して可能な限り近くに集中させることが好ましい。
【0026】
特定の実施形態によれば、制御方法は、上記組成物及び/又は上記湿潤混合物の含水率を、直接的又は間接的に測定する、好ましくは少なくとも1つのレーダー型センサーによって測定する、少なくとも1つのステップを含む。
【0027】
含水率の測定は、産出量の安定性を目的として、目標とする1又は複数の物理的変数をリアルタイムで適合させることを可能にする。
【0028】
本発明者によって実行された実証試験は、この含水率の測定に特に適しているようなレーダー型センサーを特定することを可能にした。このようなセンサーは、評価された湿潤組成物/混合物に電界を適用するように適合されており、それによって、その電気誘電率を測定し、そこからその含水率を推測する。
【0029】
特定の実施形態によれば、制御方法は、上記湿潤混合物を圧搾する、好ましくはスクリュープレスによって圧搾する、少なくとも1つのステップ、及び、上記圧搾された湿潤混合物を上記原料組成物内に取り込ませた後かつ/又は好ましくは取り込ませる前に、上記圧搾された湿潤混合物の含水率を測定する後続ステップ、を含む。
【0030】
上記湿潤混合物を事前に圧搾することは、その含水率を低下させることを可能とし、従って、その水分が溶融プロセスに与える悪影響を低減することを可能にする。圧搾された湿潤混合物を原料組成物内に取り込ませる前の含水率の測定は、減少した材料の体積で実行され、従って、より信頼性が高い。取り込み後に行われる同様の測定は、供給された組成物全体の含水率を考慮することを可能にする。最後に、これら2つの測定を組み合わせることは、湿潤混合物を除いた組成物の含水率を推測することを可能にする。
【0031】
特定の実施形態によれば、制御方法は、圧搾する前に上記湿潤混合物の含水率を測定する先行ステップを含む。
【0032】
圧搾前かつ圧搾後に実行された測定の比較は、含水率における変化への圧搾の効果を評価すること、好ましくは、圧搾工具、一般的にはスクリューの設定を調整すること、を可能にし、それによって、目標能率値を達成かつ維持する。
【0033】
特定の実施形態によれば、ガラス化可能な材料は、溶融チャンバー内に、1日当たり10トン以上、好ましくは1日当たり25トン以上、好ましくは1日当たり50トン以上、好ましくは1日当たり100トン以上の速度で供給される。
【0034】
特定の実施形態によれば、産出量に影響を及ぼす物理的変数を制御するステップは、上記測定された含水率に基づいて、この物理的変数を変化させるPID制御器を実装する。
【0035】
特定の実施形態によれば、上記測定された含水率は、3質量%~50質量%、好ましくは4質量%~30質量%、好ましくは5質量%~15質量%、好ましくは6質量%~10質量%である。
【0036】
溶融チャンバー内に導入される組成物及び/又は湿潤混合物の含水率が低いほど、そこで発生する不安定性は、より限定される。
【0037】
本発明はまた、通信ネットワークからダウンロード可能でありかつ/又は記録媒体に記録されている、コンピューターによって読み取られるのに適しておりかつ/又はプロセッサーによって実行されるのに適している、コンピュータープログラム、に関し、これは、上述の制御方法を実施するための命令コードを有する。
【0038】
本発明はまた、このようなコンピュータープログラムが記録されている、コンピューター記録媒体にも関する。
【0039】
本発明はまた、ミネラルウール、カレット、テキスタイルガラス糸、及び/又は板ガラス若しくは容器ガラス製品を得るのに適した、少なくともミネラルウール及び/又はバイオマスの湿潤混合物を含む原料組成物を溶融するためのプラントに関し、上記プラントは、上記組成物を溶融するのに適した溶融チャンバー、及びこのような制御方法を実施するのに適した制御システム、を有する。
【0040】
特定の実施形態によれば、上記プラントは、少なくとも1つのバーナー、好ましくはサブマージ型のバーナー、及び/若しくは少なくとも1つのバブラーを備え、かつ/又は、上記原料組成物をガラス浴の高さよりも下に供給するのに適している。
【0041】
本発明はまた、このようなプラントを実装する、ガラス若しくはロックミネラルウール、カレット、テキスタイルガラス糸、及び/又は板ガラス若しくは容器ガラス製品の製造方法に関する。
【0042】
本発明による方法によって製造されるガラス化可能な材料は、鉱物材料、一般的には酸化物系の鉱物材料であり、一般的には少なくとも30質量%のシリカ、例えば、ガラス若しくは岩石(ロック)、又はアルカリ及び/若しくはアルカリ土類珪酸塩などの珪酸塩、などを含む。
【0043】
ガラス又は岩石(ロック)は、一般的に以下を含む:
SiO2:30~75重量%、
CaO+MgO:5~40重量%、
Na2O+K2O:0~20重量%、
Al2O3:0~30重量%、
酸化鉄:0~15重量%。
【0044】
そして、ガラスを作製する場合、製造されるガラス化可能な材料の組成は、一般的に以下を含む:
SiO2:50~75重量%、
CaO+MgO:5~20重量%、
Na2O+K2O:12~20重量%、
Al2O3:0~8重量%、
酸化鉄:0~3重量%、
B2O3:2~10重量%。
【0045】
岩石(ロック)(当業者には「黒色ガラス」とも呼ばれる)を作製する場合、製造されるガラス化可能な材料の組成は、一般に以下を含む:
SiO2:30~50重量%、
CaO+MgO:20~40重量%、
Al2O3:10~26重量%、
酸化鉄:3~15重量%。
【0046】
本発明に従って製造された、溶融したガラス化可能な鉱物材料は、冷却によって適切な形態で固化するために、炉から取り出される。特には、それを、繊維化装置において直接用いて強化糸又はミネラルウールを形成するために、溶融炉から取り出してよい。このようにして、ガラス化可能な鉱物材料は、炉から取り出されてよく、繊維化装置において繊維化させられてよい。繊維化用途では、ガラス化可能な材料は、一般的にはガラス又はロック(岩石)である。
【0047】
本発明はまた、グラスウール若しくはロックミネラルウール、カレット、テキスタイルガラス糸、及び/又は板ガラスを製造するためのラインに関し、これは以下を有する:
- 原料組成物を生成するためのユニット、及び、
- 上述したようにこの組成物を溶融するためのプラントであって、上記炉は供給機器を有する、プラント。
【0048】
供給される組成物を生成するためのユニットによって実行される、混合物の個別かつ事前の生成は、炉の運転とは無関係に、この混合物の様々な成分を注意深く分析(アッセイ)することができるという利点を有する。この予め形成された混合物は、時期が来たときに炉内に導入する前に、保管されうる。一般的に、この種の予め形成された混合物はまた、様々な成分を同時に供給機器内に導入する場合よりも均質でありうる。
【0049】
本発明のさらなる特徴及び利点は、単に例示的かつ非限定的な例として与えられる、特定の実施形態の以下の説明、及び添付の図から明らかになるであろう。これに対して:
【0050】
図1は、本発明の特定の実施形態による、原料組成物を溶融するためのプラントの概略断面図であり、
【0051】
図2は、本発明による製造方法によって実施されるような、供給される原料組成物を生成するためのユニットの概略断面図であり、
【0052】
図3は、プラント、例えば図1に示すようなプラントなどを、監視するためのシステムの概略的表現である。
【0053】
図に示されている様々な要素は、必ずしも実際の縮尺で示されているわけではなく、本発明の一般的な運用を表すことに、より重点が置かれている。様々な図において、特に指示がない限り、同一の表現である参照番号は、類似又は同一の要素を表す。
【0054】
本発明は、記載かつ/又は描写された特定の実施形態によって決して限定されるものではなく、他の実施形態も完全にありうることが、さらに理解される。
【0055】
図1は、本発明の文脈で用いうるサブマージバーナー炉(プラント)を、側面から見た断面で、概略的に示している。炉1は、バーナー2A及びバブラー2Bを有しているのがわかりうる。これらは、一般的に1200℃~1700℃の温度で、溶融しているガラス化可能な材料の浴3に浸漬されている。エンドレススクリュー13は、原料組成物5を、炉内で溶融している材料の表面6の下に押し込む。ディスペンサー17は、予め形成された混合物を分析し、供給ホッパー7に供給し、これは、その後、ケーシング4内で回転しているエンドレススクリュー13に供給する。従って、ディスペンサー17は、瞬間の供給速度を管理する。予め形成された混合物は、供給点とも呼ばれるオリフィス12を介して炉内に導入される。炉の内部は、溶融したガラス化可能な材料の浴3を含むタンク8を有する。形成された鉱物材料は、排出口11を介して溶融した材料の高さよりも下に排出される。燃焼ガスは、煙突16を介して抜ける。
【0056】
図2は、図1に記載されている炉1内に供給される原料組成物を生成するためのユニットを、断面で概略的に示している。まず、ミネラルウール及び/又はバイオマスの湿潤混合物20の含水率が測定され(ステップM1)、その後、混合物がスクリュープレス21を用いて加圧される(ステップS1)。その後、圧搾された湿潤混合物の含水率が、貯蔵サイロ22内に移送される前に再度測定される(ステップM2)。湿潤混合物20は、その後、今まで専用サイロ23内に保管されていた、残りの原料内に取り込まれる(ステップS2)。その後、このようにして得られた組成物20の含水率は、その組成物がサイロ24内に保管される前に測定され(ステップM3)、一方で、炉1内に供給されるのを、かつそこで溶融されるのを、待っている(ステップS3)。
【0057】
本発明はまた、プラント1、例えば本文に記載されているようなものを制御するためのシステム30に関する。図3によって示されるように、このような制御システム30は、処理モジュールの機能を有するプロセッサー31、記憶装置ユニット32、インターフェースユニット33、及び含水率を測定するための少なくとも1つの機器34を有し、これらはコンピューターバス35によって接続されている。
【0058】
プロセッサー31は、炉1、特には供給スクリュー13の装入及び供給速度、並びにバーナー2Aの出力を制御する。記憶装置ユニット32は、プロセッサー31によって実行される少なくとも1つのプログラム、及び様々なデータを記憶し、様々なデータとして、(1つ又は複数の)測定機器34によって収集されるデータ、プロセッサー31によって行われる計算によって用いられるパラメータ、又はプロセッサー31によって行われる計算の中間データが挙げられる。プロセッサー31は、任意の公知若しくは適切なハードウェア若しくはソフトウェアによって、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって、形成されてよい。記憶装置ユニット32は、プログラム及びデータをコンピューター読み取り可能な様式で記憶するための、任意の適切な記憶装置又は手段によって形成されてよい。プログラムは、制御方法、例えば本文に記載したような制御方法を、プロセッサー31に実行させる。
【0059】
インターフェースユニット33は、制御システム30と外部装置との間のインターフェースを提供する。インターフェースユニット33は、特に、ケーブル又は無線通信を介して外部装置と通信していることもありうる。この実施形態では、外部装置は、供給スクリュー13及び/又は第一バーナー2Aでありうる。この場合、測定機器34によって測定された値は、インターフェースユニット33を通ってシステム30内に入力されてよく、その後、記憶装置ユニット32内に記憶されてよい。
【0060】
図3には単一のプロセッサー31が示されているが、当業者は、このようなプロセッサー31が、制御システム30によって実行される機能を実装する、様々なモジュール及びユニットを有しうることを、理解するであろう。また、これらの機能は、互いに通信する複数のプロセッサー31によって実行されうる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】