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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】清掃装置、自動車および方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B60S1/62 120B
B60S1/62 110A
B60S1/62 110B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549848
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 NL2022050094
(87)【国際公開番号】W WO2022177437
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】2027610
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510126416
【氏名又は名称】エムシーアイ(ミラー コントロールズ インターナショナル)ネザーランド ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】ウィジンジェッツ, ヤニック ダニエル
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AC02
(57)【要約】
自動車の光学機器(200)の外面(211)を清掃する清掃装置は、光学機器の外面に洗浄液を供給する洗浄液供給部(500)を備える。清掃装置は、光学機器の少なくとも外面を一時的に覆うためのカバー(400)をさらに備える。カバーは光学機器の外面に対して移動可能である。清掃装置は、カバーが外面を覆う被覆位置と、カバーで外面が覆われていない部分が存在する開放位置との間で、カバーを移動させるように構成されており、カバーが被覆位置から開放位置へと移動する際又は開放位置から被覆位置へと移動する際、カバーが光学機器の外面の第1の部分を被覆し外面の第2の部分を覆わないない状態にする連続的な複数の中間位置にカバーは位置することができ、被覆位置及び連続的な中間位置を含む位置群のうちの少なくとも1つの位置において、清掃装置は、カバーの少なくとも一部と光学機器の外面の少なくとも一部との間を洗浄液が流れるように、カバーの少なくとも一部と光学機器の外面の少なくとも一部との間に流路を画定するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の光学機器の外面を清掃する清掃装置であって、
前記光学機器の外面に洗浄液を供給する洗浄液供給部を備え、
前記清掃装置は、前記光学機器の少なくとも前記外面を一時的に覆うカバーを更に備え、
前記カバーは、前記光学機器の外面に対して移動可能であり、前記清掃装置は、前記カバーが前記外面を覆う被覆位置と、前記カバーで前記外面が覆われていない部分が存在する開放位置との間で、前記カバーを移動させるように構成されており、
前記カバーが前記被覆位置から前記開放位置へと移動する際又は前記開放位置から前記被覆位置へと移動する際、前記カバーが前記光学機器の外面の第1の部分を被覆し前記外面の第2の部分を覆わないない状態にする連続的な複数の中間位置に前記カバーは位置することができ、
前記被覆位置及び前記連続的な中間位置を含む位置群のうちの少なくとも1つの位置において、前記清掃装置は、前記カバーの少なくとも一部と前記光学機器の外面の少なくとも一部との間を洗浄液が流れるように、前記カバーの前記少なくとも一部と前記光学機器の前記外面の前記少なくとも一部との間に流路を画定するように構成される、清掃装置。
【請求項2】
前記清掃装置は、前記洗浄液を前記光学機器の前記外面の少なくとも一部にわたって、例えば実質的に下方向に流すように構成される、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記洗浄液供給部は、前記光学機器の前記外面の上方に位置する少なくとも1つの流出口を有する、請求項1または2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記光学機器は、カメラであるまたはカメラを備える、請求項1から3の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項5】
前記光学機器の前記外面は、レンズ、特にカメラレンズで形成されている、請求項1から4の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項6】
前記レンズによって形成される前記外面は、コーティングされた外面であり、好ましくは、傷防止および/または反射防止コーティングによってコーティングされている、請求項5に記載の清掃装置。
【請求項7】
前記清掃装置は、前記流路に供給された後に前記光学機器の前記外面上を流れた前記洗浄液の少なくとも一部を回収するように構成される、請求項1から6の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項8】
前記光学機器の前記外面は、湾曲している、凸形状である、特に実質的に円筒状の表面領域または球状の表面領域として形成される、請求項1から6の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項9】
前記カバーの裏面は、前記被覆位置および前記連続的な複数の中間位置のうちの少なくとも1つにおいて、前記光学機器の前記外面に向かい合い、
前記カバーの前記裏面は、実質的に湾曲しており、特に実質的に凹形状であり、特に実質的に球状の表面領域として形成されている、請求項8に記載の清掃装置。
【請求項10】
前記光学機器は、ライダー機器であるまたはライダー機器を含み、
前記光学機器の外面は実質的に平坦であり、
前記外面は、例えば実質的に鉛直方向である上方向に延在する、請求項1から9の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項11】
前記カバーの裏面は、前記被覆位置および前記連続的な複数の中間位置のうちの少なくとも1つにおいて、前記光学機器の前記外面に向かい合い、前記カバーの前記裏面が、流径路に影響を与えるパターン部を有し、
前記裏面は平滑面であり、前記裏面は、スタッドのような1つ以上の流れ阻止要素を有し、
当該流れ阻止要素は、特に、前記外面上の実質的に直線又は湾曲した経路である実質的な最短ルートとは異なるように、前記流径路に影響を与えることができ、前記流径路影響パターン部は、前記洗浄液の流れに影響を与えるように構成され、前記洗浄液の流れが少なくともある程度乱流になるようにおよび/または前記流経路が経時的に変化するように構成される、請求項1から10の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項12】
前記清掃装置は、前記被覆位置および前記連続する複数の中間位置のうちの少なくとも1つにおいて、前記光学機器の前記外面のそれぞれの部分を覆う前記裏面の少なくとも一部が、前記外面の前記部分と実質的に平行に延在するように構成される、請求項1から11の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項13】
カメラ及び/又はライダーセンサのようなセンサを含む光学機器を備える自動車であって、
前記自動車が、前記光学機器の前記外面を清掃するための請求項1から12のいずれか一項に記載の清掃装置を備え、
前記清掃装置と前記光学機器とが少なくとも部分的に一体化されている、自動車。
【請求項14】
自動車の光学機器の少なくとも外面を清掃する方法であって
前記外面の少なくとも一部と、少なくとも前記外面を一時的に覆うための可動カバーの少なくとも一部との間に画定された流路に洗浄液を供給する工程を備え、
供給された前記洗浄液は前記流路を通って前記外面上を流れる、方法。
【請求項15】
請求項1から12の何れか一項に記載の前記清掃装置および/または請求項13に記載の前記自動車を使用する工程を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カバーは、前記洗浄液が前記流路に供給される間および/または前記洗浄液が前記流路を流れる間、前記外面に対して、前記外面と実質的に平行な方向に移動する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記洗浄液は前記流路に間欠的に供給される、請求項14から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記カバーが前記外面を実質的に完全に覆う閉位置にある時に、前記外面の汚れを浸漬させるのを可能にする第1の量の洗浄液を供給する工程を備える、請求項14から17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
第2の量の洗浄液を前記流路に供給する後続の工程であって、好ましくは、前記第2の量を、前記第1の量の洗浄液が供給された時よりも長い時間および/またはより高い圧力および/またはより高い流量で供給する工程を備える、を更に備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記流路内に供給された後に前記光学機器の前記外面上を流れた前記洗浄液の少なくとも一部が、前記光学機器の前記外面の下端、その近傍又はその下方において回収され、
回収された前記洗浄液が、前記外面から洗い流された汚れと共に、貯蔵容器内に貯蔵される、請求項14から19の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の光学機器の外面を清掃するための清掃装置に関し、特に、光学機器の外面に洗浄液を供給する洗浄液供給装置を備える清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の光学機器の外面を清掃するための清掃装置が知られている。
【0003】
例えば、自動車のルーフに取り付けられたカメラの窓ガラスの外面を清掃するための従来の清掃装置は、外面に洗浄液を噴射するための1つまたは複数のノズルを備える。
【0004】
このような従来の構成を有する装置の欠点は、噴霧によって外面を洗浄するには、比較的高い圧力が必要になることである。これは、比較的多くの洗浄液を使用することにつながる。これに代えてまたは加えて、通常、特に複雑な装置を用いない態様で、外面の全領域に到達して比較的良好に洗浄することは難しい。
【0005】
これに加えてまたは代えて、このような従来の構成の別の欠点として、洗浄液の一部が、例えば、走行中の風によって吹き飛ばされ、洗浄されるべき外面に到達しないことが挙げられる。これは、洗浄液の浪費につながるだけでなく、洗浄液が比較的早く無くなる可能性がある、および/または、使用する比較的多量の洗浄液を貯蔵するために比較的大きな洗浄液貯蔵器が必要となる。また、洗浄液が外部環境に蓄積する可能性があり、望ましくない大気汚染および/または水質汚染につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、自動車の光学機器の外面を清掃するための従来の装置に代わる清掃装置を提供することである。特に、本発明の目的は、光学機器の外面に洗浄液を供給するための洗浄液供給部を備える、自動車の光学機器の外面を清掃するための清掃装置であって、より詳細には、従来の清掃装置の欠点の少なくとも1つが解決された清掃装置を提供することである。さらに詳細には、本発明は、洗浄液が無駄に使用されるのを抑えることができる清掃装置、および/または、比較的多量の洗浄液が環境中に混入すること防ぐことができる清掃装置、および/または、比較的効果的および/または比較的効率的な方法で光学機器の外面を清掃し得る清掃装置を提供することを目的とする。
【0007】
そこで、本発明は、自動車の光学機器の外面を清掃するための清掃装置を提供する。清掃装置は、光学機器の外面に洗浄液を供給する洗浄液供給部を備え、清掃装置は、光学機器の少なくとも外面を一時的に覆うためのカバーをさらに備える。当該カバーは光学機器の外面に対して移動可能である。清掃装置は、前記カバーが前記外面を覆う被覆位置と、前記カバーで前記外面が覆われていない部分が存在する開放位置との間で、前記カバーを移動させるように構成されている。前記カバーが前記被覆位置から前記開放位置へと移動する際または前記開放位置から前記被覆位置へと移動する際、前記カバーが前記光学機器の外面の第1の部分を被覆し前記外面の第2の部分を覆わないない状態にする連続的な複数の中間位置に前記カバーは位置することができ、前記被覆位置および前記連続的な中間位置を含む位置群のうちの少なくとも1つの位置において、前記清掃装置は、前記カバーの少なくとも一部と前記光学機器の外面の少なくとも一部との間を洗浄液が流れるように、前記カバーの前記少なくとも一部と前記光学機器の前記外面の前記少なくとも一部との間に流路を画定するように構成される。
【0008】
前記清掃装置は、前記カバーの前記少なくとも一部と前記光学機器の前記外面の前記少なくとも一部との間に前記流路を画定する前記少なくとも1つの位置において、供給された洗浄液が前記流路を通って前記外面の前記一部上を流れるように構成される。
【0009】
これに加えてまたは代えて、清掃装置が、前記カバーの前記少なくとも一部と前記光学機器の前記外面の前記少なくとも一部との間の前記流路を画定する前記少なくとも1つの位置において、好ましくは、流路が小さなスロット状の空間として形成される場合に、洗浄液を前記外面に比較的長い距離にわたって押し付けることができ、前記外面の前記一部上を流れる洗浄液の経路に沿った複数の異なる位置において汚れに力を加えることができるように構成される。したがって、従来のカメラスプレーシステムの場合のように、洗浄液が外面と最初に接触する単一の場所の汚れに力を加えるだけでなく、外面の前記部分上を流れる洗浄液の経路に沿ったさまざまな場所の汚れに洗浄液が力を加えることが容易になり得る。
【0010】
被覆位置および複数の中間位置の少なくとも1つにおいて、好ましくは上記位置のうちの複数において、より好ましくは上記位置の各々において、カバーの少なくとも一部と光学機器の外面の少なくとも一部との間に流路を画定するように構成される。この場合、清掃装置は、外面をすすぐために、カバーの少なくとも一部と光学機器の外面の少なくとも一部との間に洗浄液を流すことができる。特に、光学機器の外面の少なくとも一部を覆い、その間を洗浄液が流れるようにすることで、例えば走行風などの風によって洗浄液が不用意に飛ばされることを防ぐことができる。
【0011】
洗浄液を、例えば細長い管路、分割された形状の空洞またはその他の任意の適切な形態として形成され得る流路を介して外面に供給することによって、比較的多くの洗浄液が実際に洗浄されるべき外面に到達することが促進され得るが、これは、例えば自動車のフロントガラスにウインドシールドウォッシャー液を噴霧するために通常使用される噴霧器システムや、自動車のルーフマウントカメラを洗浄するために使用される噴霧器システムのような噴霧器システムではそうならないことが多い。
【0012】
上記に加えてまたは代えて、カバーと清掃される外面との間の流路、特に小さなスロット状の空間を経由して洗浄液を外面に供給することにより、洗浄液を比較的長い距離にわたって前記外面に押し付けることができ、洗浄液の経路に沿って異なる複数の位置に存在する汚れに力を加えることができる。このため、従来のカメラ噴霧装置のように、洗浄液が最初に外面に接触した一箇所の汚れだけに力が加えられるということはない。
【0013】
したがって、例えば、本発明は、比較的少量の洗浄液で済むことを容易にする一方で、例えば、従来のカメラ噴霧システムと比較して、比較的効果的な洗浄を容易にできる。
【0014】
好ましくは比較的高い変動率を有する間欠的な流れを供給することにより、効果および/または効率をさらに高めることができる。
【0015】
特に、前記カバーが前記外面を覆っている時に前記光学機器の外面に向かい合う裏面に、少なくとも一部が予め定められた流路を画定し、押圧された態様で洗浄液を前記予め定められた流路を介して前記外面の少なくとも一部にわたって流すことによって、洗浄液が前記外面上に比較的良好に分配され得ること、および/または、洗浄液が前記外面上に存在する汚れに対して比較的高い力および/またはせん断応力を印加し得ることが促進され得る。
【0016】
上記に加えてまたは代えて、カバーの裏面に、洗浄液流経路に影響を与えるパターン部を設けてもよく、特に、外面上の実質的に直線または湾曲した最短ルートとは異ならせるように、流路に影響を及ぼし得る。
【0017】
好ましくは、洗浄液流経路に影響を与えるパターン部は、前記流経路が時間の経過とともに変化し得る態様で、洗浄液の流れに影響を与えてもよい。
【0018】
この場合、例えば、洗浄液流経路に影響を与えるパターン部は、相対的に乱流と見なされる乱流の導入を可能にすることができ、例えば乱流によりまたは せん断応力を増加により、外面の少なくとも一部の比較的効果的な洗浄が可能になる可能性がある。
【0019】
例えば、実施形態では、カバーの裏面に、流径路に影響を与えるパターン部を設けることができ、これは、例えば、スタッド、リブ等の1つまたは複数の流れ阻止要素によって少なくとも部分的に形成することができる。
【0020】
実施形態において、前記カバーの裏面は、前記被覆位置および前記連続的な複数の中間位置のうちの少なくとも1つにおいて、前記光学機器の前記外面に向かい合い、前記カバーの前記裏面が、流径路に影響を与えるパターン部を有し、前記裏面は、スタッドのような1つ以上の流れ阻止要素を有し、当該流れ阻止要素は、特に、前記外面上の実質的に直線または湾曲した経路である実質的な最短ルートとは異なるように、前記流径路に影響を与える。
【0021】
望ましい実施形態では、少なくとも、清掃装置がカバーの少なくとも一部と光学機器の外面の少なくとも一部との間の流路を画定する一つ以上の位置において、カバーの裏面は、光学機器の前記外面に接触しておらず、好ましくは、被覆位置でも連続する複数の中間位置でも接触していない。
【0022】
裏面がスタッド等の1つ以上の流れ阻止要素から構成される実施形態では、前記1つ以上の流れ阻止要素は、好ましくは、清掃装置がカバーの少なくとも一部と光学機器の外面の少なくとも一部との間の流路を画定する位置にある時、カバーは光学機器の外面からオフセットされる、すなわち、前記外面に接触しないようにされてもよい。
【0023】
実施形態において、カバーと洗浄される外面との間の流路、特に小さなスロット状の空間は、カバーの裏面と洗浄される外面との間の最小距離が少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mm、例えば少なくとも2mmとなるように配置されてもよい。カバーの裏面にスタッド等の1つ以上の流れ阻止要素が設けられている場合、前記最小距離は、そのような流れ阻止要素の位置に配置することができる。カバーの流路画定位置において、1つ以上の流れ阻止要素は、したがって、光学機器の外面から少なくとも0.1mm、好ましくは少なくとも0.2mm、より好ましくは少なくとも0.5mm、例えば少なくとも1mmまたは少なくとも2mmの間隔をあけて配置されてもよい。
【0024】
上記に加えてまたは代えて、カバーと洗浄される外面との間の流路、特に小さなスロット状の空間は、例えば、多すぎる洗浄液、特に洗浄液が1つ以上の流れ阻止要素の下方、すなわち流れ遮断要素の各々と清掃される外面との間に流れることを防ぐために、カバーの裏面と清掃される外面との間の最小距離が制限されるように構成されてもよい。
【0025】
例えば、カバーが、清掃装置がカバーの少なくとも一部と光学機器の外面の少なくとも一部との間の流路を画定する位置にある時、カバーの裏面とクリーニングされる外面との間の最小距離は、5mm以下、好ましくは2mm以下、例えば1mm以下または0.5mm以下であってもよい。
【0026】
上記に加えてまたは代えて、例えば、前記カバーの後面と洗浄される外面との間の空間を画定する流路を満たすために使用される洗浄液の量を制限するために、前記カバーの後面と前記外面との間の最大距離を制限してもよい。例えば、カバーの裏面と洗浄される外面との間の最大の距離は、最大で15mm、好ましくは最大で10mm、例えば最大で5mm、または最大で2mmであってよい。前記最大距離は、例えば、カバーの裏面において、流路阻止要素がない位置に位置してもよい。特に、幾つかの実施形態において、前記最大の距離は、間隔を空けて配置された隣接する2つの流径路阻止要素の間の位置に見出され、一方、前記最小の距離は、流径路阻止要素が設けられた位置に見出され得る。
【0027】
上記に加えてまたは代えて、カバーが、清掃装置がカバーの少なくとも一部と光学機器の外面の少なくとも一部との間の流路を画定する位置にある時、カバーの裏面と清掃されるべき光学機器の外面との間の最大距離は、清掃されカバーによって覆われる光学機器の外面の長さの最大20%、好ましくは最大15%、例えば最大10%であってよい。清掃される光学機器の外面の前記長さは、前記外面に沿って、好ましくは実質的に直線または単一の曲線に沿っておよび/またはカバーが移動可能な方向と実質的に平行な方向に測定され得る。および/または洗浄液が実質的に流れる主方向と実質的に平行な方向であり、その主方向は、好ましくは、実質的に直線(例えば、洗浄される平坦な外面の場合)または単一の曲線(例えば、洗浄される外面が湾曲している場合)に対応し得る。
【0028】
好ましい実施形態において、前記流径路影響パターン部は、前記洗浄液の流れに影響を与えるように構成され、前記洗浄液の流れが少なくともある程度乱流になるようにおよび/または前記流経路が経時的に変化するように構成される。
【0029】
これに代えてにまたは加えて、洗浄液流径路影響パターン部は、1つ以上の流路画定管、および/または、1つ以上のその他の要素を備えてもよい。その他の要素としては、例えば、少なくとも一部が予め画定された経路、例えば、蛇行する経路で洗浄液が流れるように案内または誘導することができる溝またはリブが挙げられる。これらの要素は経時的に変化する必要はないが、実施形態では、実質的に一定の流径路を形成する。
【0030】
本発明はまた、自動車の光学機器の少なくとも外面を清掃する方法に関する。外面の少なくとも一部と、少なくとも前記外面を一時的に覆う可動カバーの少なくとも一部との間に画定された流路内に洗浄流体を供給する工程を備える。供給された洗浄流体は、前記流路を通って前記外面上を流れる。
【0031】
本発明に係る有利な実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の実施形態を、非限定的な例として添付の図を参照して説明する。
【0033】
図1A】異なる位置における本発明の態様に係る清掃装置の実施形態の概略斜視図である。
図1B】異なる位置における本発明の態様に係る清掃装置の実施形態の概略斜視図である。
図1C】異なる位置における本発明の態様に係る清掃装置の実施形態の概略斜視図である。
図2A図1Aの位置における清掃装置の概略断面図である。
図2B図1Bの位置における清掃装置の概略断面図である。
図2C図1Cの位置における清掃装置の概略断面図である。
図3図1A図2Cの清掃装置のフレーム部分の概略斜視図である。
図4図1A図2Cの清掃装置のカバー部分の概略斜視裏面図である。
図5図1Cおよび図2Cの閉位置における図1A図2Cの清掃装置の概略切断上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図には、本発明に係る態様および要素の好ましい実施形態が示されているに過ぎないことに留意されたい。図において、同一もしくは類似の参照符号または番号は、等しいまたは対応する部分を指す。
【0035】
図1A図2Cは、本発明の一態様に係る清掃装置100の一実施形態を示す。清掃装置100は、例えば、自律型または半自律型の自動車であってもよい乗用車やトラック等の自動車の光学機器200の外面211を清掃するように構成されいる。
【0036】
特に、光学機器200は、カメラ、例えば、少なくとも駐車支援に用いられる自動車のリアビューカメラであってもよい、または、そのようなカメラを備えてもよい。これに代えてまたは加えて、カメラは、その他の目的に用いられてもよい。例えば、カメラは、一般的に自動車の後部に設置されるリアビューカメラの位置とは別の場所に設置されてもよく、例えば、前方視界を容易にする、および/または、自動車に取り付けられた複数のカメラを使用する「オムニビュー」または、いわゆる「サラウンドビュー」技術の一部であってもよい。別の例として、カメラはバックアップ用、または、ウイングミラーの機能を代替するものであってもよい。
【0037】
これに代えてまたは加えて、光学機器200は、カメラ以外のその他の要素であってもよい、または、その他の要素を含んでもよい。例えば、光学機器200は、例えば、距離測定および/または障害物検出および/またはその他の目的のために使用され得る光学センサ機器、例えば、ライダー機器であってもよいし、これらを備えてもよい。
【0038】
実施形態において、例えば、光学機器200がライダー機器および/もしくは別のセンサ機器である、または、これらから構成される場合、清掃装置100によって清掃される外面211は、例えば、少なくとも部分的に透明な窓ガラス、例えば、センサ部分を覆う窓ガラスであってもよい。
【0039】
例えば、図1A図2Cに示される実施形態のようなその他の実施形態では、光学機器200の外面211はレンズ210によって形成されており、図2A図2Cでは破線によって概略的に描かれている。レンズ210は、レンズ自体の外面が光学機器200の外面211を形成していてもよく、特に、例えば、リアビューカメラ用のカメラレンズであってもよい。上記のレンズ、特にカメラレンズは、単一の光学レンズによって形成されてもよいし、これに代えて光学レンズのアセンブリであってもよい。
【0040】
好ましい実施形態では、レンズ210によって形成される外面211は、コーティングされた外面であってもよい。特に、コーティングされた外面は、傷防止コーティングおよび/または反射防止コーティングによってコーティングされてもよい。このような場合、本発明の清掃装置100は、例えば、比較的無害でありながら比較的効果的な方法でそのようなレンズの清掃を容易にすることができるため、非常に有利であると考えられる。これに加えてまたは代えて、コーティングは撥水性および/または疎水性であってもよい。これにより、好ましくは水性である、使用される洗浄液の一部が、洗浄された後に意図せずに外面211に残留することを防ぐことができる。これに加えてまたは代えて、例えば、洗浄液の液滴が一部、外面上に残留する場合であっても、撥水性および/または疎水性コーティングであれば、例えば、走行による風によって、および/または、実施形態では、清掃装置100および/または自動車に備えられている送風装置または送風機(図示せず)によって、液滴が外面から比較的容易に吹き飛ばされる。
【0041】
光学機器200および当該光学機器の外面を清掃する清掃装置100は、実施形態では、2つの別個の装置または機器として形成されてもよいことに留意されたい。しかしながら、例えば、ここに示す実施形態においてもそうであるように、清掃装置100または少なくともその一部は、光学機器200に一体化されていてもよい。したがって、少なくとも幾つかの実施形態において、本発明はまた、光学機器の外面を清掃するための清掃装置を備える光学機器に関する。
【0042】
これに加えてまたは代えて、光学機器200および清掃装置100は、当該光学機器および清掃装置からなるアセンブリの2つの要素を構成していると考えることができる。
例えば、これら2つの要素のうちの一方の1つ以上の部品は、前記2つの要素のうちの他方の1つ以上の部品と一体的に形成されていてもよい。
【0043】
例えば、図2A図2Cの断面図に見られるように、清掃装置100は、光学機器200の外面211に洗浄液を供給するための洗浄液供給部500を備える。ここに示す実施形態では、単一の洗浄液供給部500が設けられているが、別の実施形態では、複数の洗浄液供給部が存在してもよい。
【0044】
洗浄液供給部500は、少なくとも1つの洗浄液供給管路503であるまたはこれを備えてもよく、例えば、ポンプ(いずれも図示せず)を介して、洗浄液リザーバ(図示せず)と流体連通していてもよい。例えば、自動車および/または清掃装置100は、専用の流体リザーバを備えてもよい。しかしながら、別の実施形態では、流体リザーバおよび/またはそこに貯蔵された洗浄液は、例えば、フロントガラス、リアウィンドウ、1つ以上のヘッドライトおよび/または1つ以上のその他のライトおよび/または自動車の1つ以上のその他の部分を洗浄する等、その他の目的にも使用可能である。
【0045】
洗浄液は、任意の適切な液体であってよく、例えば、フロントガラスウォッシャー液もしくは同様な液体であるまたはこれらを含むことが理解されよう。いくつかの実施形態では、洗浄液は、水であってもよいし、少なくとも水を含んでもよい。さらに、例えば、1つ以上の洗剤、溶剤、および/または、アルコール等の凍結防止成分など、その他の成分を含んでいてもよい。
【0046】
さらに、外面211を清掃するために使用される洗浄液は、特に洗浄効率を高めるために、ある程度加熱されてもよいことに留意されたい。例えば、清掃装置100、洗浄液供給部500および洗浄液リザーバ(図示せず)からなる群のうちの1つ以上が、洗浄液を加熱するためのヒータを備えていてもよい。これに代えてまたは加えて、洗浄液を加熱するためのヒータは、少なくとも部分的に、外面211自体および/またはカバー400に設けられてもよい。
【0047】
清掃装置100は、光学機器200の少なくとも外面211を一時的に覆うためのカバー400をさらに備える。例えば、カバー400は、少なくとも実施形態において、例えば、光学機器200が使用されない時、および/または、自動車が使用されない時、例えば駐車されている時に、光学機器200を少なくとも部分的に遮蔽するためのものであってもよい。
【0048】
カバー400は、光学機器200の外面211に対して、好ましくは実質的に下方向および実質的に反対方向に移動可能である。例えば、以下に記す実施形態の場合のように、カバー400は、外面211に対して、例えば、実質的に水平な軸を中心として回転可能または枢動可能であってもよく、例えば、図1A図1Cおよび図2A図2Cに示すように、カバーは実質的に上下に枢動可能に設けられている。例えば、カバー400は、移動可能に、特に枢動可能にフレーム部品300に連結されていてもよい。実施形態において、フレーム部品300は、光学機器200の一部であってもよい、および/または、光学機器200のハウジング320の少なくとも一部を形成してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、清掃装置100は、カバー400を駆動するための駆動部140を備えてもよい。駆動部140は、電気モータ141またはその他のモータから構成されてもよく、このモータは、例えば、カバー400を直接駆動してもよいし、図5に示すように、本実施形態のような複数の歯車143から構成される動力伝達装置142を介して駆動してもよい。実施形態において、図3および図5に示すように、モータ141および/または例えば動力伝達装置142のような駆動部140のその他の部品はフレーム部品300によって保持されてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において駆動部140は電動式であってもよいが、別の実施形態においてカバー400はその他の様式で移動されてもよい。例えば、洗浄液を供給するためのポンプおよび/または洗浄液の流体圧を利用して、カバー140を、例えば、カバーがその閉位置に移動する第1の方向に移動させてもよい。カバー140を反対方向である第2の方向、例えば開方向に移動させるのに、ばねを利用してもよい。洗浄液および/またはポンプがカバー140を第1の方向に押す時に、ばねが縮むように構成されてもよい。あるいは、カバーが第2の方向に移動する時にも、洗浄液および/またはポンプを利用することができる。
【0051】
カバー400を移動させるべく、例えば、空気圧系統、油圧系統および/または電磁弁、形状記憶金属もしくは合金を含む機構等のような、例えば、開閉させるその他の機構も使用できることが理解されよう。
【0052】
以下の実施形態では、フレーム部品300を示す図3およびカバー400を形成する部品を示す図4に示されるように、フレーム部品300およびカバー400は、カバー400をフレーム部品300にヒンジ式に取り付けるための協働するヒンジ部品390、490を有する。例えば、カバーおよびフレーム部品のうちの一方、好ましくはカバー400は、少なくとも1つ、好ましくは2つのヒンジ軸490を備え、これらヒンジ軸は、カバーおよびフレーム部品のうちの他方に設けられた1つ以上の対応する取り付け穴399に取り付けられる、好ましくは爪部を係合させることによりまたはスナップ止めされることにより取付けられる。例えば、取り付けを容易にするために、逃げ面391を有するスナップ手段を設けてもよい。
【0053】
カバー400は別の方法で取り付けられてもよいことが理解されよう。実際、カバーが必ずしも光学機器200の外面211に対して枢同可能に設けられなくてもよい。例えば、別の実施形態では、カバー400は、平行移動可能な態様で、好ましくは実質的に上方向および実質的に下方向にスライド可能であってもよい。カバー400は、光学機器200の外面211に対して任意の適切な方法で移動可能であってもよい。
【0054】
特に、清掃装置100は、カバー400を、外面211を覆う被覆位置(図1C図2Cおよび図5参照)と、外面211を覆わず露出させる開放位置(図1Aおよび図2Aを参照)との間で、移動させるように構成されている。
【0055】
被覆位置から開放位置へまたはその逆へ移動する際には、図1Bおよび図2Bに示されるように、カバー400が、光学機器200の外面211の第1の部分211Aを覆い外面211の第2の部分211Bを覆わない状態にする、連続的な移動における中間位置に存在する。カバー400が被覆位置またはいわゆる閉位置に移動すると、既に覆われている第1の部分211Aは大きくなり、一方、まだ覆われていない第2の部分211Bは小さくなることは理解されよう。反対に、カバーがその開放位置、いわゆる開位置に向かって移動すると、第1の部分211Aの面積は小さくなり、第2の部分211Bは大きくなる。
【0056】
本発明によれば、清掃装置100は、被覆位置および中間位置の少なくとも1つにおいて、好ましくは上記位置のうちの複数において、より好ましくは上記位置の各々において、カバー400の少なくとも一部と光学機器200の外面211の少なくとも一部との間に流路600を画定するように構成される。
【0057】
この場合、清掃装置100は、外面211をすすぐために、カバー400の少なくとも一部と光学機器200の外面211の少なくとも一部との間に洗浄液を流すことができる。
【0058】
清掃装置100は、洗浄液を光学機器200の外面211の少なくとも一部にわたって、特に実質的に下方向に流すように構成できることが理解されよう。この場合、例えば、洗浄される外面211の上端部、その近傍および/またはその上方の位置に洗浄液を供給してもよい。
【0059】
この場合、例えば、洗浄液供給部500は、本実施形態の場合のように、清掃装置100によって清掃される外面211の上端、好ましくは光学機器200の外面211の上方の位置、その近傍および/または上方に位置する少なくとも1つの流出開口部502を有してもよく、図2A図2Cおよび図3に示されている。
【0060】
清掃装置100は、光学機器200の外面211の少なくとも一部にわたって実質的に下方向に洗浄液を流すように構成されてもよい。別の実施形態では、洗浄液は、例えば、実質的に横方向、実質的に斜め方向および/または実質的に上方向等の別の方向に流してもよい。
【0061】
流す方向は、外面211の少なくとも一部にわたって一定である必要はなく、流す方向はその経路に沿って変化してもよい。例えば、湾曲した態様でおよび/または実質的に蛇行した態様で流れてもよく、これは、詳細には後述する1つ以上の流遮断要素430によって少なくとも部分的に実現され、使用中に、比較的直線的なまたは直接的な流れを阻止し、流れを方向付けるまたは案内し、特にそれによって流経路の少なくとも一部を画定できる。
【0062】
少なくとも1つの洗浄液供給管503で構成されるまたは備える洗浄液供給部500については、当該供給管503の少なくとも一部350がフレーム部300によって形成されてもよいことに留意されたい。しかしながら、供給管503またはその少なくとも一部850は、例えば供給管800のような別の要素によって形成されてもよい。
【0063】
複数の流出開口部の場合、当該複数の流出開口部のうちの1つまたは複数、好ましくは1つの流出開口部は、清掃装置100によって清掃される光学機器の外面211の上方に設けられてもよい。しかしながら、1つ以上の流出開口部のうちの1つまたは複数が、その他の位置、例えば外面211の側方に設けられてもよい。
【0064】
有利には、流路600に供給された後に光学機器200の外面211上を流れた洗浄液の少なくとも一部を回収するように清掃装置100は構成されてもよい。好ましくは、清掃装置100は、光学機器200の外面211の下方、下端その近傍の位置で、洗浄液の少なくとも一部を回収するように構成されてもよい。
【0065】
特に、清掃装置100は、使用された、特に汚染された洗浄液を受容および/または収集するための洗浄液収集装置700を備えることができる。収集装置700は、例えば、液体を収集するための収集面710を備えてもよく、この収集面は、好ましくは、漏斗または漏斗形状部720の一部であってもよい。実施形態において、収集面710および/または漏斗もしくは漏斗形状部720は、例えば、それに接続された排水管(図示せず)によって形成された排水管路と流体連通していてもよい。
【0066】
実施形態では、漏斗または漏斗形状部720の一部であってもよい収集面710は、図1A図1Cおよび図2A図2Cに見られるように、ハウジング部900、特に、光学機器200のハウジング320の少なくとも一部を形成してもよいフレーム部300が少なくとも部分的に収容され得るハウジング部によって形成されいてもよい。いくつかの実施形態において、ハウジング部900によって形成され得る収集面710は、カバー400がある位置から別の位置に移動する時に可動カバー400を案内するためのガイド910を兼ねる当該ハウジングの部分910によって形成され得る。
【0067】
この場合、流路600を部分的に画定し、光学機器200の外面211に沿って洗浄液を案内することができるカバー400は、洗浄液を洗浄液収集装置700に向けて、例えばその収集面710および/または漏斗若しくは漏斗形状部720に向けて案内することができることが理解されよう。
【0068】
さらに、清掃装置100は、収集された洗浄液を、好ましくは、外面から洗い名流された汚れおよび/またはごみと共に、例えば、収集面710および/または漏斗または漏斗形状部分720の下方に設けられ得る、および/またはそれと流体連通し得る、および/または排水管または他の排水管路と流体連通し得る、貯蔵容器(図示せず)内に貯蔵することを可能にし得ることが理解されよう。
【0069】
実施形態において、光学機器200の外面211は、湾曲、凸状、特に実質的に円筒状の表面領域または球状の表面領域として形成され得る。しかしながら、別の実施形態では、例えば、外面211がライダー機器、特にその保護窓ガラスによって形成される場合、外面211は実質的に平坦で上方向に延在してもよく、例えば実質的に鉛直方に延在してもよい。特に、外面211が実質的に円筒状または球状に湾曲している実施形態では、カバー400が回転可能であることが有利であり得る。
【0070】
例えばそのような実施形態では、被覆位置および連続する中間位置の少なくとも一方において光学機器200の外面211に向かい合うカバー400の裏面410は、実質的に凹面であってもよく、例えば光学機器200の外面211に対応するように湾曲していてもよい。特に、カバー400の裏面410は、例えば、図4に示されるように、実質的に球状の表面領域として形成されてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、被覆位置または閉位置において、カバー400の裏面410は、光学機器200の外面211と実質的に平行に延在してよく、好ましくは、外面211から実質的にオフセットしていてもよい。
【0072】
例えば、そのような実施形態において、清掃されるべき外面211に対して実質的に横方向に見た場合、流路600は深さ660を有しており、深さが変化する場合には最大深さ660を有してよく、この最大深さ660は比較的小さくてもよい。例えば、清掃されるべき外面212の長さまたは高さ212よりも小さく、および/または、外面212の幅213よりも小さくてもよい。特に、流路600の深さまたは最大深さ660は、長さまたは高さ212および/または幅213の50%以下、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは10%以下であってもよい。比較的深さが小さい流路600の場合、比較的少ない洗浄液が使用され得る。これに加えてまたは代えて、比較的浅いまたは表面に近い流路600は、そこを流れる洗浄液が比較的速い速度および/または比較的高い圧力で流れることを容易にし、洗浄効果に有益であり得る。
【0073】
有利な実施形態では、カバー400の裏面410は、洗浄液流径路影響パターン部420を備えてもよい。特に、裏面410は、例えば図4に示されるように、滑らかな表面でなくてもよい。裏面410は、例えば、1つまたは複数の流れ阻止要素430を備えてもよい。1つまたは複数の流れ阻止要素430は、使用時に、自由な流れを阻止し、それにより洗浄液を案内して、特に洗浄液が相対的に乱流となるようなコースで流れるようにする態様で、カバー400の少なくとも一部と光学機器200の外面211の少なくとも一部との間の流路600を部分的に画定する。例えば、ここに示す実施形態の場合のように、裏面410の中または上に設けられた阻止要素430は、例えば球形状またはスタッド430のような突起として構成されてもよい。しかしながら、流れを阻止する要素430は、これに代えてにまたは加えて、例えば、リブまたはスプラインのような1つまたは複数の異なる形状の要素を含み得る。
【0074】
外面211上の実質的に直線または曲線経路のような実質的な最短ルートとは異ならせるように流径路が影響を与え得る洗浄液流径路影響パターン部420は、好ましくは、洗浄液を相対的に乱流の態様で、より好ましくは、流径路が経時的に変化し得る態様で流動させる。これに代えてにまたは加えて、洗浄液流径路影響パターン部420は、1つまたは複数の流径路画定管路、および/または、1つまたは複数のその他の要素を備えてもよい。その他の要素としては、例えば、少なくとも一部が予め画定された経路、例えば、蛇行する経路で洗浄液が流れるように案内または誘導することができる溝またはリブ(図示せず)が挙げられる。これらの要素は経時的に変化する必要はないが、実施形態では、実質的に一定の流径路を形成する。
【0075】
カバー400によって部分的に画定され清掃される外面211によって部分的に画定される流路600は、好ましくは、幅を有してもよく、本実施形態ではわずかに湾曲しているが、この幅は図2A図2Cの図面を実質的に横断する方向であり、この幅は、洗浄される外面211の幅と少なくとも実質的に同じ幅であってもよいことが理解されよう。
【0076】
本開示はまた、自動車の光学機器200の少なくとも外面211を清掃する方法に関する。好ましくは、本明細書に開示されるような清掃装置の実施形態を使用して実行され得る方法において、洗浄液は、少なくとも外面211を一時的に覆うための可動カバー400の少なくとも一部と外面211の少なくとも一部との間に画定された流路600内に供給される。供給された洗浄液は、流路600を通って外面211上を流れる。
【0077】
有利には、自動車が静止している時、例えば駐車している時、および/または、清掃装置100が自動車の駐車モードに対応し得る駐車モードにあるとき、カバー400は、例えば、降水、汚れ等から遮蔽するために光学機器200の外側表面211を覆ってもよい。実施形態では、外面211の清掃は自動車が走行を開始する前に行われてもよい。
【0078】
例えば、第1のステップ、例えば、浸漬ステップは、カバー400が外面を実質的に完全に覆う被覆位置にある時に、第1の量の洗浄液をカバー400と外面211との間に流すことによって実行されてもよい。このステップは、外面211上に存在する汚れを浸すために実行されてもよい。
【0079】
本方法の実施形態では、第2の量の洗浄液が流路600に供給される第2のステップを備えてもよい。好ましくは、第2の量は、第1の量の洗浄液が供給された時よりも長い時間および/または高い圧力および/または高い流量で供給されてもよい。比較的長い期間および/または比較的高い流量および/または比較的高い圧力の結果として、汚れまたはごみが比較的効果的に洗い流される可能性があり、一方、第1のステップにおける比較的短い期間および/または低い流量および/または比較的低い圧力の結果として、比較的少ない洗浄液が使用される可能性がある。この文脈では、汚れまたはごみを濡らすためにおよび/または浸すために、比較的短い時間だけ洗浄液を外側表面211上に流してもよい。一方、浸された汚れまたはごみが外面211から洗い流される第2のステップは、例えば、比較的多くの汚れまたはごみを洗い流すことを容易にするために、より長い時間がかかる可能性があることに留意されたい。
【0080】
いくつかの実施形態において、すすぎステップであってもよい第2のステップは、カバー400がまだ実質的に完全に閉じられている時に少なくとも部分的に実行されてもよい。第2のステップは、これに加えてにまたは代えて、カバー400が、光学機器200の外面211の第1の部分211Aを覆い外面211の第2の部分211Bを覆わない状態である中間位置にある時に、少なくとも部分的に実行されてもよい。例えば、第2のステップは、カバー400が開かれている最中に少なくとも部分的に実行されてもよい。
【0081】
汚れまたはごみを浸漬させるために、第1のステップにおいて第1の量の洗浄液が提供され得ることに留意されたい。しかしながら、方法の浸漬部分または洗浄サイクルの浸漬部分は、1つ以上の更なる浸漬ステップを含んでもよく、この浸漬ステップでは、特に第2のステップが実行される前に、更なる量の洗浄液が供給される。このような1つ以上のさらなる浸漬ステップは、第1のステップと第2のステップとの間に実行される中間ステップを形成し得る。
【0082】
1つまたは複数の中間ステップに加えてまたは代えて、1つ以上のすすぎステップも、方法または洗浄サイクル内で可能であることが理解されよう。例えば、1つ以上の追加のすすぎステップの各々において、追加の量の洗浄液が供給されてもよい。追加量は、例えば、第2ステップの量に対応してもよく、および/または、追加量は第1ステップおよび/または中間ステップ(もしあれば)で使用される量によりも相対的に多くてもよい。
【0083】
実際には、カバー400と清掃される外面211との間の流路600を一定量の洗浄液を流すと同時に、カバー400を、例えば、閉位置から開位置へ向かう方向にまたはその逆に、移動させることが有利であり得る。特に、カバー400を移動させることにより、洗浄液が相対的に乱流で外面211上を流れるようにすることができる可能性がある。特に、これは、例えば、カバー400の裏面410が流径路に影響を及ぼす場合、例えば、裏面上に設けられた流体流径路影響パターン部420に起因して、カバー400の移動によって流径路が外面211に対して相対的に移動する可能性があるため、比較的有利であり得る。このように、外面410が、流径路が時間変化する洗浄液に曝されることが促進され、これにより、外面が比較的効果的な方法で洗浄および/または清掃されることが可能になる。
【0084】
水が流路600を通って流れている間にカバー400が移動する時、カバー400は好ましくは、外面211に対して外面211と実質的に平行な方向に移動してもよいことが理解されよう。また、洗浄液が供給されておよび/または前記流路600を通って流れる間に、カバー400が移動した結果、流路600の長さ、形状および/または位置が変化し得ることが理解されよう。
【0085】
上述の第1および第2のステップに加えて、本方法または洗浄サイクルの1回は、さらなる量の洗浄液が1回以上供給される1つまたは複数のさらなるステップを含んでもよいことに留意されたい。例えば、本方法または洗浄サイクルは、1つ以上の浸漬ステップ、好ましくは、1回量の洗浄液または1ショットの洗浄液が供給される1つの浸漬ステップを備えてもよく、1つ以上のすすぎステップ、好ましくは、その後に、一定量の洗浄液またはショットの洗浄液が供給される複数のすすぎステップを更に含んでもよい。しかしながら、本方法または洗浄サイクルは、必ずしも1つ以上の浸漬ステップを含む必要はなく、本方法は、例えば、1つ以上のすすぎステップのみを備えてもよいおよび/または先行する専用の浸漬ステップを備えなくてもよい。
【0086】
さらに、清掃は、自動車が走行モードまたは走行状態になる前、間または直後に実行される必要はなく、例えば、自動車が使用中である時および/または駆動モードにある時に実行されてもよいことに留意されたい。例えば、自動車の走行中に、外面211を清掃してもよい。実施形態では、外面211は、自動車の運転中、比較的長い時間閉じられていてもよいが、別の実施形態では、外面211は、運転中、比較的長い時間あるいはほとんどの時間、覆われていないままであってもよい。走行中に外面211が清掃される場合、外面211は、最初はカバー400によって覆われていなくてもよい。
【0087】
例えば、外面211が覆われている時間および/または光学機器200の視界が遮られている時間を比較的短くするために、洗浄液は、カバー400の閉鎖中および/またはその後のカバー400の開放中に外面上に供給され得る。
【0088】
例えば、外面211に対してカバー400を移動させながらカバーの上に洗浄液を流すことは、特に乱流を促進するのに有利であり得る。例えば、清掃装置100がここに示した実施形態とは異なる態様で具現化される場合、カバー400は外面211の清掃中に複数回開閉してもよく、カバーを複数回上下に移動させることによってまたは任意のその他の適切な移動態様によって複数回開閉してもい。
【0089】
さらに、驚くべきことに、カバー400が外面211を完全に覆っておらず、例えば、外面211の少なくとも半分、少なくとも3分の1または少なくとも4分の1のみを覆っている場合であっても、カバー400と外面211との間に供給され外面211の覆われている第1の部分211A上を流れる洗浄液の大部分が外面211に沿って流れ続け、カバー400の下側を流れる時、特に外面211を完全に覆っていないカバー400の下端において、外面211の第2の部分211B上を洗浄液が流れる可能性があることが見出されていることに留意されたい。これは特に、外面が比較的滑らかである場合、例えば、実質的に湾曲している場合、特に球形のような実質的に凸状である場合、および/または、外面211が実質的に下方向に向かって下降している場合に起こる。驚くべきことに、洗浄液を外面211、特に凸状に湾曲した外面に沿っておよび/または使用済みの洗浄液を回収するための任意の回収装置700に向かって導くために、清掃される外面211をカバー400によって完全に覆う必要はない。
【0090】
外面を清掃するのに使用される洗浄液が複数回異なる時に供給される、つまり、洗浄液が供給され、その後洗浄液が供給されず、再び洗浄液が供給されるといったように、一回おきに供給される。
【0091】
この場合、洗浄液はパルス的に供給することができ、例えば、一回おきに洗浄液のショットを供給してもよい。これに代えてまたは加えて、流量および/または圧力を変動させながら、洗浄液を流路600に供給することもできる。これによっても、洗浄液を間欠的に流径路内に供給することができる。
【0092】
洗浄液を一回おきに供給することによって、および/または、例えばカバー400を移動させることによって、流量および/または圧力および/または流径路の方向を変動させることによって、例えば、乱流および/または変動する流れによって、外面211を比較的効率的な方法で清掃することができる。
【0093】
これに加えてまたは代えて、本方法は、流路600に供給され、光学機器200の外面211上を流れた洗浄液の少なくとも一部を回収する工程を備え、例えば、回収された洗浄液を、好ましくは外面から洗い流された汚れと共に、保管容器内に保管することを可能にする。これにより、例えば、使用済みの洗浄液が環境に混入することを防止することができ、大気汚染および/または水質汚濁を防止することができる。好ましくは、回収は、例えば、清掃中に洗浄液が実質的に下方向に流れることを容易にするように、外面211の下端部、その近傍またはその下方で行ってもよい。
【0094】
自動車の光学機器200の少なくとも外面211を洗浄するための方法に関して、少なくとも実施形態において、洗浄サイクル、特に単一の洗浄サイクルに対応する本方法は、任意の適切な瞬間に実行または実行され得ることに留意されたい。例えば、清掃装置100、自動車および/または光学機器200は、例えば、自動車および/または光学機器200が停止している時もしくは停止されるであろう時、および/または、停止させるような入力を受けた時、例えば、自動車が駐車している時など、特定の瞬間に、例えば自動的に、本方法を開始または実行するように構成されてもよい。これに代えてまたは加えて、清掃装置100、自動車および/または光学機器200は、自動車および/または光学機器200が始動された時または始動されるような入力を受け取った時に、方法を開始または実行するように構成されてもよい。しかしながら、方法または洗浄サイクルは、これに代えてにまたは加えて、その他の理由および/またはその他の瞬間に開始または実行されてもよい。例えば、本方法または洗浄ステップは、例えば、光学機器200に属するまたは関連するソフトウェアによって、例えば外面211上のごみまたは汚れが検出された時である、自動車および/もしくはその光学機器200が洗浄サイクルが望ましいことを検出した時に生成される入力に応答して実行または開始されてもよい。別の例として、洗浄サイクルまたは洗浄方法は、その他の入力、例えば、自動車の運転手によって供給されてもよい人間の入力に基づいて開始または実行されてもよい。
【0095】
光学機器200の外面211の清掃または清掃に使用されるカバー400は、複数の目的を有してもよく、カバー400は、例えば、光学機器200が使用されていない時、例えば、自動車が駐車されている時に、外面211を一時的に遮蔽または覆うためにも使用され得ることが理解されよう。
【0096】
明瞭化および簡潔な説明のために、特徴は同じまたは別個の実施形態の一部として本明細書に記載されるが、本開示の範囲は、記載された特徴の全てまたは一部の組み合わせを有する実施形態を含み得ることが理解されるであろう。
【0097】
さらに、本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されることを意図していない。多くの変形が可能であることは明らかである。そのような変形は、当業者にとって明らかであり、以下の特許請求の範囲に定式化された本発明の範囲内にあるものと考えられる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
【国際調査報告】