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特表2024-507215主電源並列動作における分割された中間回路に接続されたDC電圧源の絶縁抵抗を測定する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】主電源並列動作における分割された中間回路に接続されたDC電圧源の絶縁抵抗を測定する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20240208BHJP
   G01R 27/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R27/02 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550028
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2022054253
(87)【国際公開番号】W WO2022179984
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021104289.5
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】プッツ,マーティン
【テーマコード(参考)】
2G014
2G028
【Fターム(参考)】
2G014AA17
2G014AB03
2G014AB29
2G014AB61
2G014AC18
2G028AA05
2G028BE04
2G028CG03
(57)【要約】
分割された中間回路(2)に接続されたDC電圧源(7)の絶縁抵抗(Riso)を測定するために、DC電圧源(7)の中間点電位が、2つの電圧コンバータ(11、12)の異なる動作によってシフトされ、2つの電圧コンバータ(11、12)によってDC電圧源(7)の2つの極(9、10)がそれぞれ分割された中間回路(2)の2つの部分(3、4)のうちの1つに接続される。この方法では、DC電圧源(7)の中間点電位のシフトに起因して、DC電圧源(7)から中間回路(2)を横切って流れる電流を伝送するすべてのライン(25、26;28、29)にわたる残留電流の変化(I_delta)が測定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割された中間回路(2)に接続されたDC電圧源(7)の絶縁抵抗(Riso)を測定する方法であって、
前記DC電圧源(7)の中間点電位がシフトされ、
前記DC電圧源(7)の前記中間点電位の前記シフトに起因して、前記DC電圧源(7)から前記中間回路(2)を横切って流れる電流を伝送するすべてのライン(25、26;28、29)にわたる残留電流の変化(I_delta)を測定する、方法において、
前記DC電圧源(7)の前記中間点電位は、2つの電圧コンバータ(11、12)の異なる動作によってシフトされ、前記2つの電圧コンバータ(11、12)によって前記DC電圧源(7)の2つの極(9、10)がそれぞれ前記分割された中間回路(2)の2つの部分(3、4)のうちの1つに接続され、前記中間点電位は、前記中間回路(2)の2つの部分(3、4)の間の電圧中間点(5)に対してシフトされることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記残留電流は、前記DC電圧源(7)のすべての出力ライン、および/または前記中間回路(2)のすべての出力ライン、および/または前記中間回路(2)に入力側で接続されたインバータ(14)のすべての出力ライン(28、29)にわたって測定され、前記残留電流は、好ましくは加算変流器(27)を用いて測定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電圧源(7)の両極(9、10)と前記中間回路(2)の前記電圧中間点(5)との間で電圧が測定され、前記2つの電圧コンバータ(11、12)の異なる動作に起因する前記中間点電位の電位シフト(U_delta)が、2つの電圧値の半分の差の変化として検出されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記中間回路(2)の前記電圧中間点(5)の固定接地基準の場合には、前記絶縁抵抗(Riso)が、ITネットワーク(31)内の中間回路(2)の場合には、合計絶縁抵抗が、前記電位シフト(U_delta)と差動電流の結果として生じる変化(I_delta)の商として計算されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記中間回路(2)の前記電圧中間点(5)の固定接地基準の場合には、前記絶縁抵抗(Riso)が、ITネットワーク(31)内の中間回路(2)の場合には、合計絶縁抵抗が、
前記DC電圧源(7)の前記中間点電位がシフトする時間周期(T)にわたる前記電位シフトの瞬時値(u(t))の2乗の積分と、前記電位シフトの前記瞬時値(u(t))と、同じ時間周期(T)にわたる結果として生じる差動電流の変化の瞬時値(i(t))との積の積分、または、
前記電位シフトの前記瞬時値(u(T))と、前記DC電圧源(7)の前記中間点電位がシフトする周期(T)にわたる結果として生じる前記残留電流の変化の瞬時値(i(T))との積の積分と、
同じ期間(T)にわたる結果として生じる前記残留電流の変化の前記瞬時値(i(T))の2乗の積分との商として計算されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ITネットワーク(31)内の前記中間回路(2)の場合、前記DC電圧源(7)の前記中間点電位の前記シフトから生じる、前記中間回路(2)の前記電圧中間点(5)と接地(17)との間の接地電圧の電圧変化が検出され、前記絶縁抵抗(Riso)と、合計が前記合計絶縁抵抗であるITネットワークの絶縁抵抗(Riso_AC)が、
ITネットワークの絶縁抵抗/合計絶縁抵抗=電圧変化/電位シフト
の関係から決定され、
好ましくは、電圧変化および電位シフトのRMS値、または前記DC電圧源の前記中間点電位がシフトするのと同じ時間周期(T)にわたる前記電圧変化および前記電位シフトの瞬時値の積分が、前記電圧変化および前記電位シフトとして使用されることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
ITネットワーク(31)内の前記中間回路(2)の場合、前記電位シフト、および前記DC電圧源(7)の前記中間点電位の前記シフトから生じる前記中間回路(2)の前記電圧中間点(5)と接地(17)間の接地電圧の電圧変化が、既知の抵抗率の基準抵抗器(Rs)がITネットワークの絶縁抵抗器(Riso_AC)に並列接続されているときに1回と、前記基準抵抗器(Rs)が前記ITネットワークの絶縁抵抗器(Riso_AC)に並列接続されていないときに1回、それぞれ2回測定されることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
前記分割された中間回路(2)の前記2つの部分(3、4)にわたって降下する2つの部分電圧間の差が、前記2つの電圧コンバータ(11、12)の異なる動作中であっても能動的に補償されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
インバータ(14)が入力側で前記中間回路(2)に接続され、前記インバータ(14)は、好ましくは、出力側でACネットワーク(16)に接続されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記中間点電位は、前記中間回路(2)の電圧中間点(5)に対して、前記インバータ(14)から出力されるAC電流の周期長の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍の長さの周期長で周期的にシフトされることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記絶縁抵抗(Riso)は、前記インバータ(14)の主電源並列動作中に検出されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記インバータ(14)が出力側で接続される前記ACネットワーク(16)が、前記インバータ(14)によって提供されることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記インバータ(14)を介した前記DC電圧源(7)からのエネルギーの流れの方向が逆転されることを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を実行するための装置(1)であって、
2つの部分(3、4)と、前記2つの部分(3、4)間の電圧中間点(5)を有する分割された中間回路(2)と、
DC電圧源(7)の2つの極(9、10)用の2つの入力端子(21、22)と、
それぞれ入力側が2つの入力端子(21、22)のうちの1つに接続され、出力側が前記中間回路(2)の前記2つの部分(3、4)のうちの1つに接続されている2つの電圧コンバータ(11、12)と、
2つの電圧コンバータ(11、12)用の制御装置(34)と、
前記DC電圧源(7)から前記中間回路(2)を横切って流れる電流を伝送するすべてのライン(25、26;28、29)にわたって残留電流を検出するための残留電流検出装置と、
を備える装置(1)において、
前記制御装置(34)は、絶縁抵抗測定モードにおいて、前記入力端子(21、22)に接続されたDC電圧源(7)の中間点電位を、前記2つの電圧コンバータ(11、12)の異なる動作によって、前記中間回路の前記電圧中間点(5)に対してシフトさせるように設計されており、前記残留電流検出装置は、前記DC電圧源(7)の前記中間点電位の前記シフトに起因する前記残留電流の変化(I_delta)を検出するように設計されていることを特徴とする、装置(1)。
【請求項15】
前記残留電流検出装置は、前記入力端子(21、22)と前記中間回路(2)との間のすべてのライン(25、26)、および/または前記中間回路のすべての出力ライン、および/または入力側で前記中間回路(2)に接続されている前記装置(1)のインバータ(14)のすべての出力ライン(28、29)にわたる差動電流を検出するように設計および接続されており、差動電流検出装置は、好ましくは、加算変流器(27)を有することを特徴とする、請求項14に記載の装置(1)。
【請求項16】
第1の電圧測定装置(19、20)が、前記入力端子(21、22)の両方と前記中間回路(2)の前記電圧中間点(5)との間の電圧を測定するように設計され接続されていることを特徴とする、請求項14または15に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記装置(1)の中間回路バランサ(13)が、前記分割された中間回路(2)の前記2つの部分(3,4)にわたって降下する2つの部分電圧間の差を均等化するように設計および接続されていることを特徴とする、請求項14~16のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項18】
前記中間回路の前記電圧中間点(5)は、接地されていることを特徴とする、請求項14~17のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項19】
第2の電圧測定装置(30)が、前記中間回路(2)の前記電圧中間点(5)と接地(17)との間の接地電圧を測定するように設計および接続されていることを特徴とする、請求項14~17のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項20】
スイッチ(32)と抵抗率が既知の基準抵抗器(Rs)が、前記装置(1)の電圧伝送出力ライン(28)のうちの1つと接地端子との間に直列に接続されていることを特徴とする、請求項19に記載の装置(1)。
【請求項21】
前記装置(1)のインバータ(14)が入力側で前記中間回路(2)に接続されていることを特徴とする、請求項14~19のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項22】
前記インバータ(14)は、出力側に接続されたACネットワーク(16)を提供するように設計されていることを特徴とする、請求項21に記載の装置(1)。
【請求項23】
前記インバータ(17)は、双方向電力コンバータであることを特徴とする、請求項21または22に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割された中間回路に接続されたDC電圧源の絶縁抵抗を測定する方法、およびそのような方法を実行する装置に関する。より正確には、本発明は、独立請求項1の前文の構成を有する方法、および独立請求項14の前文の構成を有する装置に関する。
【0002】
中間回路は、特に、インバータを介してDC電圧源がACネットワークに接続されるインバータの入力における中間回路とすることができる。DC電圧源には、双方向インバータを介してACネットワークに接続された電池を使用できる。電流は、電池からACネットワークに流れることができ、そして電流は、双方向インバータを介してACネットワークから電池に流れることもできる。DC電圧源は、ACネットワークに一方向に電流を供給する太陽光発電機とすることもできる。
【0003】
各DC電圧源がネットワークに接続されている場合、機能と安全性を監視するために、DC電圧源の絶縁抵抗を定期的に測定することが重要である。特に興味深いのは、主電源の並列動作で、つまり、DC電圧源と電力ネットワークの間の電流の流れを必要以上に中断することなく、この測定を可能にする方法である。これは、インバータを介してDC電圧源をACネットワークに接続するインバータがACネットワークのグリッド形成装置として提供される場合に特に当てはまる。
【背景技術】
【0004】
インバータの絶縁抵抗を測定する方法、および絶縁抵抗を測定するための装置を備えたインバータは、DE 10 2012 104 752 B3から知られている。この方法および装置では、インバータのハーフブリッジのスイッチング素子間に位置する中間点が、接地スイッチを閉じることによって接地点に接続される。接地点に接続された中間点は、ハーフブリッジのスイッチング素子によって、ハーフブリッジに印加されるインバータの中間回路電圧の2つの非接地極に連続的に接続され、電流はこの接続を通って接地点に流れる電流が測定される。既知のインバータの既知の方法および装置は、インバータのハーフブリッジのスイッチング素子を、主電源並列動作においてその用途から逸脱した方法で利用しているため、インバータの主電源並列動作における絶縁抵抗の測定には適していない。
【0005】
DE 10 2018 126 235 235 A1から、DC電圧中間回路と、ブリッジ中間点にわたって交流を駆動するためにDC電圧中間回路に接続されたブリッジ回路とを有する、インバータにおける絶縁抵抗測定が知られている。ブリッジ中間点は接地点に接続され、接地点に接続されたブリッジ中間点は、ブリッジ回路を介して非接地直流電圧中間回路の2つの電圧差点に順次接続される。この場合、2つの電圧差点から接地点に流れる電流が測定される。非接地DC電圧中間回路の2つの電圧差点は、2つの電圧差点と接地との間に印加される電圧が所定の制限値を超えないように点のグループから選択される。この選択が行われる点のグループは、2つの端点に加えて、非接地DC電圧中間回路の少なくとも1つの中間電圧点を含む。このようにして、直流電圧中間回路が、インバータのブリッジ回路のスイッチング素子の、特に測定回路のハードウェアコンポーネントの公称電圧定格を大幅に超える中間回路電圧に充電された場合でも、信頼性の高い絶縁抵抗測定が可能になる。しかしながら、インバータの動作中、特に主電源並列動作では、この既知の絶縁抵抗測定さえも不可能である。
【0006】
本発明に最も近いWO2014/079775A1から、所定の接地基準を有するAC電圧出力でAC電流を出力する、動作中のトランスレスインバータと、接地を基準としたDC電圧入力に接続されたDC電圧源との、DC電圧入力の絶縁抵抗を測定するための方法が知られている。既知の方法では、インバータが動作しているときに、DC電圧入力における電圧に変調されるように、AC電流の周波数よりも低い周波数を有する周期的な試験電圧信号が、AC電圧出力の所定の接地基準に対して生成される。試験電圧信号によって生じる接地電流が検出される。周期的な試験電圧信号は、インバータのAC電圧出力とその接地基準の間の別の電圧源によって、またはその交流電圧出力の接地基準に対してインバータ自体によって生成される。後者の場合、試験電圧信号は、インバータのインバータブリッジ用の制御信号を変更することによって生成される。いずれの場合も、試験電圧信号の周波数は、動作中のインバータがAC出力で出力するAC電流の周波数よりも少なくとも5倍、多くの場合10倍低い。試験電圧信号によって生じる接地電流は、AC電圧出力にわたる合計電流の一部としてインバータのAC電圧出力で検出される。合計電流は、加算変流器を使用することによって、または個々のラインを流れる電流を測定して、これらの電流を加算することによって検出される。絶縁抵抗は、接地に対するDC電圧入力に印加される総電圧をさらに測定することにより、試験電圧信号と合計電流から決定できる。この既知の方法は、原理的には主電源並列動作で実行できるが、それでもインバータの動作に直接介入するため、少なくともグリッドがインバータと同時に形成される場合には破壊的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、分割された中間回路に接続されたDC電圧源の絶縁抵抗を測定する方法、および入力側の中間回路に接続されたインバータを、その出力に接続されたACネットワークの中断のないグリッド形成に使用できる範囲で干渉することなくDC電圧源から電流が流れることを可能にする、この方法を実行するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、独立請求項1の構成を有する方法、および独立請求項14の前文の構成を有する方法を実行するための装置によって達成される。本発明に係る方法および本発明に係る装置の有利な実施形態は、従属請求項で定義される。
【0009】
分割された中間回路に接続されたDC電圧源の絶縁抵抗を測定するための本発明に係る方法では、DC電圧源の中間点電位は、2つの電圧コンバータの異なる動作によって、その2つの部分間の分割された中間回路の電圧中間点に対してシフトされ、2つの電圧コンバータを介してDC電圧源が分割された中間回路の2つの部分の1つにそれぞれ接続される。中間点電位のシフトに起因する残留電流の変化は、DC電圧源から中間回路を流れる電流を伝送するすべてのラインにわたって検出される。
【0010】
中間点電位では、DC電圧源の1つおきの電位も中間回路の電圧中間点に対してシフトし、したがって接地に対してもシフトする。中間回路の固定接地基準は、接地に対する電位のシフトに影響を与えるが、中間回路の固定接地基準は、このシフトが発生するための必要条件では全くない。一方、本発明に係る方法を実行する場合、DC電圧源の2つの極は、直接の接地基準を持たなくてもよい。
【0011】
特に、DC電圧源がそれぞれ分割された中間回路の2つの部分のうちの1つに接続される、2つの電圧コンバータを備えたトポロジがすでに存在する場合、本発明に係る方法は、設備に費用をほとんどまたはまったくかけずに実行することができる。
【0012】
更なる手段がなければ、本発明に係る方法は、分割された中間回路の2つの部分の充電において非対称性をもたらす可能性がある。しかしながら、この非対称性は、入力側の中間回路に接続されるインバータのグリッド形成機能を一般的に問題にするものではない。さらに、本発明に係る方法にとって、分割された中間回路の2つの部分が異なるように充電されることは重要ではない。むしろ、中間回路は、本発明に係る方法の実行中に継続的にバランスを取ることもできる。この目的のために、分割された中間回路の2つの部分にわたって降下する部分電圧間の差異は、2つの電圧コンバータの異なる動作中であっても、アクティブに継続的に補償することができる。
【0013】
2つの電圧コンバータの異なる動作に起因する中間回路の電圧中間点に対する中間点電位の電位シフトは、電圧中間点の接地基準が固定されている場合、接地に対して同様に大きな電位シフトを伴う。電位シフトは、絶縁抵抗を介した残留電流の変化に関連付けられた電圧差に直接対応するため、その検出が可能になる。しかしながら、固定接地基準がなくても、接地に対する中間点電位の電位シフトは、中間回路の電圧中間点に対する電位シフトに関連する。
【0014】
結果として生じる残留電流の変化は、DC電圧源から中間回路を流れる電流を伝送するすべてのラインにわたる様々な点で検出できる。ここで、「すべてのライン」とは、DC電圧源から中間回路を流れる電流を伝送するラインの完全なセットを意味する。特に、これらは、DC電圧源自体のすべての出力ライン、中間回路のすべての出力ライン、または入力側で中間回路に接続されたインバータのすべての出力ライン、またはさらには中間点またはそれに続く点におけるすべてのラインとすることができる。
【0015】
中間回路の電圧中間点に対するDC電圧源の中間点電位の電圧を検出するために、電圧源の2つの極と電圧中間点の間の電圧が測定できる。2つの電圧の値の差の半分が、中間回路の中間電位と電圧中間点の間の電圧である。本発明に係る方法の実行においては、2つの電圧コンバータの異なる動作から生じる中間点電位の電位シフトが重要である。これは、2つの電圧の値の差の半分の変化として検出できる。
【0016】
中間回路の固定接地基準、したがって特に中間回路の接地電圧中間点の場合、絶縁抵抗は、電位シフトと、その結果生じる残留電流の変化との商として計算できる。一方、固定接地基準のないITネットワークの中間回路の場合、後で詳しく説明するように、電位シフトと、その結果として生じる残留電流の変化との商によって、合計絶縁抵抗が得られる。
【0017】
絶縁抵抗のリアクタンス成分の影響を排除するために、絶縁抵抗または合計絶縁抵抗は、DC電圧源の中間点電位がシフトする時間周期にわたる電位シフトの瞬時値の二乗の積分と、同じ時間周期にわたる電位シフトの瞬時値および結果として生じる残留電流の変化の瞬時値の積の積分との商として計算することもできる。これは、絶縁抵抗Riso、電位シフトの瞬時値u(t)、結果として生じる残留電流の変化の瞬時値i(t)、および時間周期Tを含む式:
に対応する。ここで、
である。言葉による説明とは対照的に、相殺する係数1/Tに、DC電圧源の中間点電位がシフトする周期の期間Tが追加されている。したがって、Uは、電位シフトのRMS値に対応し、Pは、電位シフトから生じる接地電流の実効電力に対応する。
【0018】
あるいはまた、絶縁抵抗または合計絶縁抵抗は、電位シフトの瞬時値と、DC電圧源の中間点電位がシフトする周期にわたる結果として生じる残留電流の変化の瞬時値との積の積分と、同じ周期にわたる結果として生じる残留電流の変化の瞬時値の2乗の積分との商として計算することができる。数式に直すと、これは、
に相当し、ここで、
である。したがって、ここで、Iは、結果として生じる残留電流の変化のRMS値である。
【0019】
ITネットワークの中間回路では、DC電圧源の中間点電位のシフトから生じる、中間回路の電圧中間点と接地間の接地電圧の電圧変化を、さらに検出でき、この目的のために、この接地電圧が、中間点電位のシフト前およびシフト中に測定される。絶縁抵抗とITネットワークの絶縁抵抗(その合計が合計絶縁抵抗)は、次の関係:
ITネットワークの絶縁抵抗/合計絶縁抵抗=電圧変化/電位シフト
から決定できる。
【0020】
ここでも、電圧変化または電位シフトのRMS値、またはDC電圧源の中間点電位がシフトするのと同じ周期にわたる電圧変化および電位シフトの瞬時値の対応する積分値が、好ましくは、電圧変化および電位シフトとして使用される。
【0021】
ITネットワークの中間回路の場合、電位シフト、およびDC電圧源の中間点電位のシフトから生じる中間回路の電圧中間点と接地間の接地電圧の電圧変化がまた、それぞれ2回、つまり、既知の抵抗率の基準抵抗器がITネットワークの絶縁抵抗器に並列接続されているときに1回と、基準抵抗器がITネットワークの絶縁抵抗器に並列接続されていないときに1回、測定され得る。ITネットワークの絶縁抵抗と特に重要な絶縁抵抗は、基準抵抗の既知の値を使用して合計絶縁抵抗から決定できる。
【0022】
本発明に係る方法では、絶縁抵抗を検出するための中間点電位を中間回路の電圧中間点に対して一定値だけシフトさせることができる。しかしながら、中間点電位は、周期的に、特に正弦波的にシフトすることもできる。インバータが入力側で中間回路に接続されている場合、中間点電位は、インバータから出力されるAC電流の周期長の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍の長さの周期長で周期的にシフトされることが好ましい。これにより、インバータの動作に対する本発明に係る方法の補償不可能な影響と同様に、絶縁抵抗の決定に対する交流電流の影響が回避される。
【0023】
絶縁抵抗は、本発明に係る方法を用いて、主電源並列動作において、特に交流電流をACネットワークに出力するインバータの主電源並列動作において検出できることは既に述べた。これにより、インバータが出力側に接続されるACネットワークをインバータによって提供することができる。AC電圧源からインバータを介したエネルギーの流れの方向を逆転することも同様に可能である。このような逆のエネルギーの流れの方向であっても、本発明に係る方法は実行可能である。
【0024】
本発明に係る方法を実行するための本発明に係る装置は、2つの部分と、2つの部分間の電圧中間点を有する分割された中間回路と、DC電圧源の2つの極用の2つの入力端子と、それぞれ入力側が2つの入力端子のうちの1つに接続され、出力側が中間回路の2つの部分のうちの1つに接続されている2つの電圧コンバータと、2つの電圧コンバータ用の制御装置と、DC電圧源から中間回路を横切って流れる電流を伝送するすべてのラインにわたって残留電流を検出するための残留電流検出装置と、を備え、制御装置は、絶縁抵抗測定モードにおいて、入力端子に接続されたDC電圧源の中間点電位を、2つの電圧コンバータの異なる動作によって、中間回路の電圧中間点に対してシフトさせるように設計されており、残留電流検出装置は、DC電圧源の中間点電位のシフトに起因する残留電流の変化を検出するように設計されている。複数のDC電圧源を、それぞれ2つの別個の電圧コンバータを介して分割された中間回路の2つの部分に接続することもできる。次に、これらのDC電圧源のそれぞれについて、本発明に係る方法を本発明に係る装置を用いて個別に実行することができる。
【0025】
残留電流検出装置は、入力端子と中間回路の間のすべてのライン、および/または中間回路のすべての出力ライン、および/または入力側で中間回路に接続されたインバータのすべての出力ラインにわたる残留電流を検出するように設計および接続することができる。残留電流検出装置は、加算変流器を有することができる。あるいはまた、残留電流検出装置は、個々のラインを流れる個々の電流を検出し合計することができる。
【0026】
電圧測定装置は、2つの入力端子と中間回路の電圧中間点の間の電圧を測定するように設計および接続できる。
【0027】
装置の中間回路バランサは、分割された中間回路の2つの部分にわたって降下する2つの部分電圧間の差を均等化するように設計および接続することができる。
【0028】
中間回路の固定接地基準を提供するために、中間回路の電圧中間点を接地することができる。
【0029】
中間回路の固定接地基準がない場合、中間回路の電圧中間点と接地との間の接地電圧を測定するように第2の電圧測定装置を設計および接続することができる。さらに、電圧伝送出力ラインの1つ、特に入力側の中間回路に接続されたインバータの電圧伝送出力ラインと接地端子の間に、スイッチと抵抗率が既知の基準抵抗を直列に接続することができる。
【0030】
装置のインバータは、入力側で中間回路に接続することができる。このインバータは、出力側で接続されたACネットワークを提供するように設計できる。中間回路の入力側に接続されたインバータは、双方向電力コンバータにすることもできる。これにより、電池をACネットワークに接続するように装置を設計ことができる。
【0031】
本発明の有利な展開は、特許請求の範囲、説明、および図面から得られる。
【0032】
説明で述べた構成の利点およびいくつかの構成の組み合わせは、単なる例示であり、本発明に係る実施形態によって必ずしも達成される利点がなくても、代替的または累積的に効果を発揮することができる。
【0033】
原出願書類および特許の開示内容(保護の範囲ではない)に関しては、以下が適用される:追加の構成は、図面、特に図示された幾何学的形状、いくつかの構成要素の互いに対する相対的な寸法、ならびにそれらの相対的な配置および操作上の接続に見出すことができる。本発明の異なる実施形態の構成または異なる請求項の構成の組み合わせも、請求項の選択された後方参照から逸脱して可能であり、これにより推奨される。これは、別個の図面に示されている、またはその説明で言及されている構成にも当てはまる。これらの構成は、異なる請求項の構成と組み合わせることもできる。同様に、特許請求の範囲に列挙された構成は、本発明の他の実施形態では省略することができるが、これは付与された特許の独立請求項には適用されない。
【0034】
特許請求の範囲および説明で言及される構成は、副詞「少なくとも」の明示的な使用を必要とせずに、正確にこの数または言及される数よりも大きい数が存在するように、その数に関して理解されるべきである。例えば、DC電圧源が主題である場合、正確に1つのDC電圧源、2つのDC電圧源、またはそれ以上のDC電圧源が存在することが理解されるべきである。特許請求の範囲に引用された構成は、追加の構成によって補足することもできるし、それぞれの方法またはそれぞれの装置に含まれる唯一の構成とすることもできる。
【0035】
特許請求の範囲に含まれる符号は、特許請求の範囲によって保護される主題の範囲を限定するものではない。それらは単に特許請求の範囲を理解しやすくするという目的を果たすだけである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明は、図に示される好ましい例示的な実施形態を参照して以下にさらに説明され記載される。
【0037】
図1図1は、接地された中性線を用いて外部ACネットワークに接続された、インバータを備える本発明に係る装置を示す。
図2図2は、ITネットワークに接続された、インバータを備える本発明に係る装置を示す。
図3図3は、本発明に係る方法を説明するための、図2に係る装置の第1の等価回路図である。
図4図4は、図3の詳細を示しており、接地につながる装置のスイッチが開いている。
図5図5は、スイッチが閉じた状態の図4の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に示される装置1には、2つの部分3および4と電圧中間点5を備えた分割された中間回路2がある。中間回路2の2つの部分3および4はそれぞれ、好ましくは等しい静電容量を有し、それはそれぞれ少なくとも1つのコンデンサ6によって提供される。DC電圧源7は、中間回路2に接続されており、この場合中間回路2は電池8である。具体的には、DC電圧源7の2つの異なる名前の極9および10のそれぞれは、それぞれ電圧コンバータ11および12を介して中間回路2の2つの部分3および4のうちの1つに接続される。この場合、電圧コンバータ11および12はそれぞれ、電圧中間点5にも接続される。さらに、中間回路バランサ13が中間回路2に設けられており、これにより、部分3および4の均等な充電が継続的に確保され、したがって中間回路2の部分3および部分4の両端間の電圧が均等になる。インバータ14は、中間回路2の入力側に接続されている。出力側では、インバータ14は、主電源スイッチ15を介してACネットワーク16に接続される。ここで、電圧中間点5は、ACネットワーク16の中性線Nを介して接地17に接続されている。接地17に対するDC電圧源7の絶縁抵抗Risoを計算するために、装置1の制御装置34の絶縁抵抗測定モードにおいて、DC電圧源7の電位中間点18の中間点電位は、2つの電圧コンバータ11および12の異なる動作によって、中間回路2の電圧中間点5に対して、したがって接地17に対してシフトされる。この電位シフトU_deltaに関連する、DC電圧源7から中間回路2を流れる電流を伝送する全ラインにわたる残留電流の変化I_deltaが検出される。その結果、絶縁抵抗Risoは、U_deltaとI_deltaとの商になる。図2および以下の図における絶縁抵抗Risoは、一例としてDC電圧源7の電位中間点18で描かれているが、絶縁欠陥およびその結果生じる有限の絶縁抵抗Risoを介した接地への故障電流が、DC電圧源7の2つの極9と10の間の任意の点で発生する可能性がある。本発明を使用すると、その発生場所とは無関係に、絶縁欠陥またはその結果生じる故障電流が検知される。制御装置34の絶縁抵抗測定モードにおけるDC電圧源7のすべての点の電位は、中間回路2の電圧中間点5に対して、したがって接地17に対して同じ程度にシフトするので、実際の空間場所は、決定された絶縁抵抗Risoには影響しない。特に、絶縁欠陥は、DC電圧源7のいくつかの異なる位置で発生する可能性があるか、または絶縁欠陥は、DC電圧源7の領域全体にわたって空間的に分布する可能性がある。しかしながら、両方とも、空間的に集中した等価絶縁抵抗Risoによって説明することができ、図に示されるように、これはDC電圧源の電位中間点18にあると仮定することができる。したがって、本発明は、DC電圧源の電位中間点18の位置における絶縁抵抗Risoの測定に決して限定されない。
【0039】
電位シフトU_deltaを決定するために、2つの電圧計19および20の形態の電圧測定装置を使用して、DC電圧源の極9および10が接続されている装置1の入力端子21および22と電圧中間点5との間の電圧を測定する。そして、2つの電圧コンバータ11および12の異なる動作から生じる電位シフトU_deltaは、2つの測定された電圧の値の差の半分の変化として生じる。残留電流、または電位シフトU_deltaから生じる残留電流の変化を決定するための2つの可能性が図1に示されている。まず、入力端子21、22と、中間回路2の部分3、4につながる電圧コンバータ11、12との間のライン25、26を通る電流を測定する電流計23、24が設けられる。残留電流は、これらの電流の合計、またはこれらの電流値の差のゼロからの偏差である。さらに、図1は、インバータ14がACネットワーク16に接続されるインバータ14のすべての出力ライン28および29にわたる電流の合計を検出する加算変流器27を示す。加算変流器27は、電位シフトU_deltaから生じる変化I_deltaを有する残留電流を直接出力する。
【0040】
好ましくは、絶縁抵抗Risoは、U_deltaのRMS値の2乗と、絶縁抵抗Risoを流れる電流I_deltaの有効電力との商、またはこの有効電力と、電流I_deltaのRMS値の2乗との商から次のように決定される。ここで、インバータ14が出力する交流電流の周期長の倍数の時間周期Tを基準とし、u(t)およびi(t)は、U_deltaおよびI_deltaの瞬時値である。
【0041】
電位シフトU_deltaは固定値になる必要はなく、低周波数の正弦波形を有することもできる。この正弦波形の周期長は、インバータ14が出力する交流電流の周期長よりも倍数分長いことが好ましい。
【0042】
電位シフトU_deltaを誘発するための電圧コンバータ11および12の異なる動作は、原則として、その2つの部分3および4にわたる中間回路2の非対称充電を引き起こすことになる。しかしながら、これは、インバータ14の動作が、電位シフトU_deltaを誘発しながら絶縁抵抗Risoの測定によって影響されないように、中間回路バランサ13によって防止することができる。特に、インバータ14によるACネットワーク16の中断のない提供を含めて、インバータ14の中断のない主電源並列動作が可能である。
【0043】
図1に係る装置では、主電源スイッチ15が閉じているとき、中間回路2は、中間回路2の電圧中間点5が接地されている点で、固定接地基準を有する。これにより、接地に対して電位シフトU_deltaが発生する。図2に示されるように、接地基準のないITネットワーク内の中間回路2では、電位シフトU_deltaによって、接地17に対する電圧中間点5の電位もシフトする。このシフトは、図2に従って、中間回路2の電圧中間点5と接地17との間の接地電圧を電圧計30で測定することによって検出される。それ以外の点では、図2に係る装置1は、ITネットワーク31に、すなわち、固定接地基準を持たないACネットワーク16に接続するために設けられているが、既知の抵抗率の基準抵抗器Rsと、インバータ14の電圧伝送出力ライン28の1つと接地17との間のスイッチ32との直列接続を有する点で異なる。図2に示されるさらなる電圧計33は、任意選択である。
【0044】
図2に係る装置1では、電位シフトU_detlaは、電圧計19および20で測定された電圧値の半分の差からも生じる。スイッチ32が開いているとき、U_deltaの商と、電流計23および24または残留変流器27で検出される残留電流の結果としての変化は、この場合、絶縁抵抗RisoとIT主電源絶縁抵抗Riso_ACとの絶縁抵抗の合計に相当し、これによりこの商は、実効値または有効電力を使用して上記のように決定できる。これは、中間回路2、制御装置35を備えた電圧コンバータ11および12、中間回路バランサ13、および装置1の電圧計19および20がユニット35内に組み合わされており、インバータ14が時間の経過とともに平均的に短絡しているとみなされる、図3から理解することができる。ここで想定される220Vの電位シフトU_deltaは、ここで想定される100kΩの絶縁抵抗Risoと、ここで想定される300kΩの主電源絶縁抵抗Riso_ACの値に応じて、絶縁抵抗RisoとIT主電源絶縁抵抗Riso_ACの両端において55Vと165Vの示された割合で降下する。
【0045】
図4に係る図から分かるように、スイッチ32が開いているときに電圧計30で接地電圧を測定することによって、IT主電源絶縁抵抗Riso_ACの両端の電圧降下を測定することができ、したがって絶縁抵抗Risoを合計絶縁抵抗から決定することもできる。接地されたシステムでは、主電源絶縁抵抗は、存在しないか、または換言すれば、Riso_ACは非常に小さいため、その両端の電圧降下はごくわずかである。したがって、ここでの合計絶縁抵抗は、DC電圧源の絶縁抵抗Risoと本質的に等しい。逆に、IT主電源絶縁抵抗Riso_ACが非常に高く、Riso_AC両端の電圧降下がそれに応じて大きい場合、電圧計30で測定される接地電圧のみに基づくRisoの正確な決定は不正確になる可能性がある。この場合、図5に示されるようにスイッチ32を閉じることができ、それにより既知の抵抗率の基準抵抗Rs、この場合は200kΩが主電源絶縁抵抗Riso_ACと並列に接続される。これによって、Risoの両端の電圧降下は、ここで100Vに増加し、それに応じて合計絶縁抵抗内の絶縁抵抗の部分も増加する。したがって、既知の基準抵抗Rsを使用することによって、ITシステム31の厳格な接地なしで、高い主電源絶縁抵抗Riso_ACを有するITネットワーク31であっても、DC電圧源7の絶縁抵抗Risoを決定することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 装置
2 中間回路
3 中間回路2の一部
4 中間回路2の一部
5 中間回路2の電圧中間点
6 コンデンサ
7 DC電圧源
8 電池
9 DC電圧源7の極
10 DC電圧源7の極
11 電圧コンバータ
12 電圧コンバータ
13 中間回路バランサ
14 インバータ
15 主電源スイッチ
16 ACネットワーク
17 接地
18 電位中間点
19 電圧計
20 電圧計
21 入力端子
22 入力端子
23 電流計
24 電流計
25 ライン
26 ライン
27 加算変流器
28 出力ライン
29 出力ライン
30 電圧計
31 ITネットワーク
32 スイッチ
33 電圧計
34 制御装置
35 ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】