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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】バルーンカテーテルリトラクタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20240208BHJP
   A61B 17/24 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A61M25/10 510
A61M25/10 540
A61B17/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550035
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 CN2021109615
(87)【国際公開番号】W WO2022174557
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】202110190768.X
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520327995
【氏名又は名称】上海科▲賜▼医▲療▼技▲術▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI KECI MEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room408-1, 4th Floor, Building 3, No. 55 Rongyang Rd, Songjiang District Shanghai 201613 China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼智超
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼長生
(72)【発明者】
【氏名】董建▲増▼
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160AA11
4C160MM43
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB28
4C267CC20
4C267EE03
4C267EE11
(57)【要約】
本発明は、バルーンカテーテル及びバルーンカテーテルに固定されたバルーンを含み、バルーンに流体が注入されると、バルーンが湾曲するとともに、バルーンカテーテルが対応して湾曲するバルーンカテーテルリトラクタであって、バルーンに径方向の位置制限を設定することにより、バルーンが一定の直径に膨張すると、径方向に膨張しない、ことを特徴とするバルーンカテーテルリトラクタを提供する。本発明は、湾曲能力を向上させるとともに、湾曲性能を保持する特性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンカテーテル及びバルーンカテーテルに固定されたバルーンを含み、バルーンに流体が注入されると、バルーンが湾曲するとともに、バルーンカテーテルが対応して湾曲するバルーンカテーテルリトラクタであって、バルーンに径方向の位置制限を設定することにより、バルーンが一定の直径に膨張すると、径方向に膨張しない、ことを特徴とするバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項2】
前記バルーンは、半順応性バルーンで製造され、軸線に対して偏心したバルーンである、ことを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項3】
前記バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側には、固定長の制限部が設けられ、バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の外側には、制限部が設けられない、ことを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項4】
前記バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側の固定長の制限部は、バルーンの湾曲方向の内側の補強リブである、ことを特徴とする請求項3に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項5】
前記バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側の固定長の制限部は、バルーンの湾曲方向の内側にバルーンに固定された糸である、ことを特徴とする請求項3に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項6】
前記バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側の固定長の制限部は、バルーンの両端に固定された糸である、ことを特徴とする請求項3に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項7】
前記バルーンの径方向の位置制限は、直径が一定のメッシュ生地、スリーブ又は別のバルーンを設けることにより行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項8】
前記バルーンの径方向の位置制限は、バルーンの一部の領域を変性させてバルーンの一部の領域のモジュラス及び剛性を向上させることにより行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項9】
前記バルーンの径方向の位置制限は、バルーンの外周の編組メッシュにより行われ、前記編組メッシュは、径方向における引張特性と軸方向における引張特性とが異なる、ことを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項10】
前記編組メッシュの縦糸は、弾性率が高く、引っ張りにくいため、直径が一定であり、前記編組メッシュの横糸は、優れた弾性を有するため、編組メッシュが軸方向に引張特性を有する、ことを特徴とする請求項9に記載の湾曲バルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項11】
前記編組メッシュの編組方法は、縦糸を密にし、横糸を疎にして編組することである、ことを特徴とする請求項9に記載の湾曲バルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項12】
前記編組メッシュの両端は、バルーンの両端に固定され、メッシュ及びバルーンが折り畳まれて巻き取られた形態を初期状態とし、使用時に、バルーンカテーテル内部のバルーンが膨張し湾曲するにつれて、編組メッシュがそれと共に湾曲し、バルーンの直径が編組メッシュの所定の直径になった後、バルーンが充填され続けても、バルーンの直径が変化しない、ことを特徴とする請求項9に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項13】
前記編組メッシュの横糸は、多段の短い系からなるため、編組メッシュは、多段編組メッシュの構造を形成する、ことを特徴とする請求項9に記載の湾曲バルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項14】
前記多段編組メッシュのいくつかの完全な横糸は、バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側の固定長の制限部である、ことを特徴とする請求項13に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項15】
前記編組メッシュにおいて、バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側の1本又は内側の近くの複数本の編組メッシュの横糸は、縦糸の材質と同じ材質に置き換えられる、ことを特徴とする請求項9に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項16】
前記バルーンの径方向の位置制限は、前記バルーンの材料として、軸方向における弾性率が低く、径方向における弾性率が高い異方性材料を用いることにより行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項17】
前記バルーンの径方向の位置制限は、バルーン成形後に、その外部に一連の径方向の補強リブ又は補強メッシュを被覆することにより行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項18】
前記径方向の補強リブ又は補強メッシュの外部には、補強リブ又は補強メッシュを固定するためのポリマーフィルムが被覆される、ことを特徴とする請求項17に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項19】
前記バルーンの径方向の位置制限は、前記バルーンに編組メッシュをはめこむことにより行われ、バルーンの内側とバルーンの外側は、いずれも熱可塑性エラストマー材料であり、編組メッシュを被覆する、ことを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項20】
前記バルーンの径方向の位置制限は、前記バルーンの外部に形状記憶形態が収縮形態の形状記憶金属メッシュを外嵌することにより行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項21】
前記形状記憶金属メッシュの直径は、元の状態に収縮する、ことを特徴とする請求項20に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【請求項22】
バルーンの形状記憶金属メッシュは、バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側に、少なくとも1本の固定長の形状記憶金属ワイヤを保持するものである、ことを特徴とする請求項20に記載のバルーンカテーテルリトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に関し、特にバルーンカテーテルリトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バルーンを用いて食道をリトラクションするリトラクタは、以下の2つの手段を有する。
【0003】
非順応性材料を用いてC字型形状のバルーンを製造し、使用前に吸引によりバルーン内の残留空気を排出するとともに、硬質ストレートガイドワイヤーによりバルーン軸線を通って、しぼんだ後のC字型バルーンを直線に調整する。使用時に、バルーンを食道腔に入れて、硬質ストレートガイドワイヤーを引き出してから、液体を注入するとともに、一定の液体圧力(4気圧よりも大きい)を保持すると、バルーンは、既製のC字型の構造に戻り、支持力を提供することにより、リトラクションする目的を達成する。しかしながら、この方式では、非順応性バルーンが用いられるため、バルーンの初期直径が太く、通常、8ミリメートルよりも大きく、そして、バルーンが食道腔に入るときに、通過時の形態を保証するために硬質ストレートガイドワイヤーをはめ込む必要がある。したがって、この手段において、このようなリトラクタは、口腔でしか食道腔に入らず、鼻腔から食道腔に到達することができない。また、口腔を通過しなければならないので、患者の感受性への影響が大きいため、全身麻酔(感覚がない)の患者のみに使用し、感覚がはっきりしている患者に使用できない。
【0004】
他方のリトラクタは、半順応性バルーンを用いたものであり、バルーンの軸線が偏心するとともに、部分的に補強される、ことを特徴とする。それにより、バルーンが膨張するときに、バルーン軸線の両側の膨張率が異なるため、バルーンは、湾曲する。膨張するにつれて、バルーンは、最後にC字型の構造を形成して、食道をトラクションする目的を達成する。しかしながら、この手段において、膨張するにつれて、バルーンは、材料が薄くなり、バルーンのトラクション力は、大きくなってから小さくなり、また、バルーンの径方向の膨張によりバルーンの軸方向の膨張が阻害されるため、バルーンの湾曲方向における膨張率の差が小さくなり、湾曲効果が低下する。したがって、この手段において、バルーンのトラクション力は、時間が経つにつれて小さくなり、実際の使用中に、湾曲力が維持できないため、臨床ニーズを満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のバルーンカテーテルリトラクタの、患者の感受性への影響が大きく、湾曲力が維持できないという問題を解決するために、湾曲能力を向上させるとともに、湾曲性能を保持する特性を向上させることができる、バルーンカテーテルリトラクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、バルーンカテーテルリトラクタを提供する。該バルーンカテーテルリトラクタは、バルーンカテーテル及びバルーンカテーテルに固定されたバルーンを含み、バルーンに流体が注入されると、バルーンが湾曲するとともに、バルーンカテーテルが対応して湾曲し、バルーンに径方向の位置制限を設定することにより、バルーンが一定の直径に膨張すると、径方向に膨張しない。
【0007】
バルーンは、半順応性バルーンで製造され、軸線に対して偏心したバルーンである。バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側には、固定長の制限部が設けられ、バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の外側には、制限部が設けられない。バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側の固定長の制限部は、バルーンの湾曲方向の内側の補強リブである。バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側の固定長の制限部は、バルーンの湾曲方向の内側にバルーンに固定された糸である。バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側の固定長の制限部は、バルーンの両端に固定された糸である。バルーンの径方向の位置制限は、直径が一定のメッシュ生地、スリーブ又は別のバルーンを設けることにより行われる。バルーンの径方向の位置制限は、バルーンの一部の領域を変性させてバルーンの一部の領域のモジュラス及び剛性を向上させることにより行われる。
【0008】
好ましくは、バルーンの径方向の位置制限は、バルーンの外周の編組メッシュにより行われ、前記編組メッシュは、径方向における引張特性と軸方向における引張特性とが異なる。編組メッシュの縦糸は、弾性率が高く、引っ張りにくいため、直径が一定であり、前記編組メッシュの横糸は、優れた弾性を有するため、編組メッシュが軸方向に引張特性を有する。編組メッシュの編組方法は、縦糸を密にし、横糸を疎にして編組することである。編組メッシュの両端は、バルーンの両端に固定され、メッシュ及びバルーンが折り畳まれて巻き取られた形態を初期状態とし、使用時に、バルーンカテーテル内部のバルーンが膨張し湾曲するにつれて、編組メッシュがそれと共に湾曲し、バルーンの直径が編組メッシュの所定の直径になった後、バルーンが充填され続けても、バルーンの直径が変化しない。編組メッシュの横糸は、多段の短い系からなるため、編組メッシュは、多段編組メッシュの構造を形成する。多段編組メッシュのいくつかの完全な横糸は、バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側の固定長の制限部である。編組メッシュにおいて、バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側の1本又は内側の近くの複数本の編組メッシュの横糸は、縦糸の材質と同じ材質に置き換えられる。バルーンの材料としては、軸方向における弾性率が低く、径方向における弾性率が高い異方性材料を用いる。バルーン成形後にその外部に一連の径方向の補強リブ又は補強メッシュを被覆する。径方向の補強リブ又は補強メッシュの外部には、補強リブ又は補強メッシュを固定するためのポリマーフィルムが被覆される。
【0009】
さらに、バルーンの径方向の位置制限は、前記バルーンに編組メッシュをはめこむことにより行われ、バルーンの内側とバルーンの外側は、いずれも熱可塑性エラストマー材料であり、編組メッシュを被覆する。
【0010】
また、バルーンの径方向の位置制限は、前記バルーンの外部に形状記憶形態が収縮形態の形状記憶金属メッシュを外嵌することにより行われる。形状記憶金属メッシュの直径は、元の状態に収縮する。形状記憶金属メッシュは、バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側に、少なくとも1本の固定長の形状記憶金属ワイヤを保持するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有益な効果は、バルーンに径方向の位置制限を増加させ、軸方向に制限部を設けないようにすることにより、バルーンが既定の直径に膨張すると、径方向に膨張し続けない目的を達成し、それにより、バルーンの膨張傾向は、その軸方向の膨張に、より多く集中し、バルーンの湾曲度及び湾曲剛性を向上させる目的を達成することである。本発明は、バルーンの湾曲力を大幅に向上させるとともに、時間が経つにつれて、バルーンの湾曲力が低下しないため、バルーンにより食道をトラクションする効果が確保されるという意義を有する。
【0012】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明確かつ分かりやすくするために、以下、好ましい実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術における技術手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は、本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0014】
図1】本発明の一実施例の概略図である。
図2】本発明の一実施例の断面図である。
図3】本発明の一実施例の編組メッシュの部分的な格子の拡大概略図である。
図4】本発明の実施例2の概略図である。
図5】本発明の実施例2の編組メッシュの拡大形態を示す概略図である。
図6】本発明の実施例3の概略図である。
図7】本発明の実施例4の概略図である。
図8】本発明の実施例4の断面図である。
図9】本発明の実施例5の概略図である。
図10】本発明の形状記憶金属メッシュの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。通常、本明細書の図面に説明され示される本発明の実施例の構成要素は、様々な構成で配置され設計されてもよい。したがって、以下に図面に提供される本発明の実施例の詳細な説明は、特許請求される本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の選択された実施例のみを表すものである。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で得られる他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0016】
本発明の解決手段としては、バルーンに径方向の位置制限を増加させ、軸方向に制限を設けないようにすることにより、バルーンが既定の直径に膨張すると、径方向に膨張し続けないという目的を達成し、それにより、バルーンの膨張傾向は、その軸方向の膨張に、より多く集中し、バルーンの湾曲度及び湾曲剛性を向上させる目的を達成することである。
【0017】
手段としては、まず、半順応性バルーンを用いて、軸線に対して偏心したバルーンを製造し、その後にバルーンに径方向に直径制限部を設け、バルーンが所望の膨張終了直径に膨張すると、バルーンは、径方向に膨張し続けなくなるが、軸方向の膨張が制限されず、バルーンは、湾曲し続けることである。時間が経つにつれて、この手段により、バルーンは、湾曲度及び湾曲力を保持することができる。
【0018】
別の手段としては、まず、半順応性バルーンを用いて、軸線に対して偏心したバルーンを製造し、その後にバルーンに径方向に制限部を設けるとともに、バルーンの所望の湾曲方向の内側に固定長の制限部を設け、バルーンの所望の湾曲方向の外側に制限部を設けず、このようにして、バルーンの直径が所定の直径に増加した後、編組チューブは、バルーンの直径を制限するとともに、湾曲方向の内側の長さを補強して制限することにより、湾曲力を向上させる目的を達成することである。
【0019】
上記バルーンの直径を制限することは、直径が一定のメッシュ生地、スリーブ又は別のバルーンを設けることであり、また、バルーンの一部の領域を変性させてバルーンの一部の領域のモジュラス及び剛性を向上させることである。バルーンの軸方向部分の制限部は、補強リブであってもよく、バルーンに固定された系、又はバルーンの両端に固定された糸であってもよい。
【0020】
以下、本発明をさらに詳細に説明することにより、当業者であれば、明細書を参照して実施することができる。
【0021】
まず、図1に示すように、図1は、本発明の一実施例の概略図である。図1は、バルーンカテーテルリトラクタ1を示し、バルーンカテーテルリトラクタ1は、中心には、偏心したバルーン12があり、バルーン12の外周には、一層の編組メッシュ15がある。編組メッシュ15に対して、縦糸横糸の材料の属性(例えば、材料の弾性率、破断伸度)及び編組方法(縦糸及び横糸の疎密)を調整することにより、編組メッシュで形成されたパイプは、径方向における引張特性と軸方向における引張特性とが異なる。
【0022】
次に、図2に示すように、図2は、本発明の一実施例の断面図である。図2に示すように、該実施例の内から外への3層の断面であり、それぞれ、最内層のバルーンカテーテル13、バルーンカテーテル13の外層に嵌着されたバルーン12、及びバルーン12に被覆された最外層の編組メッシュ15である。
【0023】
さらに、図3に示すように、図3は、本発明の一実施例の編組メッシュの部分的な格子の拡大概略図である。バルーンカテーテルの軸線10に平行な系を編組メッシュの横糸51として定義し、それに垂直な系を編組メッシュの縦糸52として定義する。編組メッシュの縦糸52は、高いモジュラスを有し、引っ張りにくいため、直径が一定であり、編組メッシュの横糸51は、優れた弾性を有し、長さ方向に引張特性を有することを特徴とする。
【0024】
編組メッシュ15の両端をバルーン12の両端に固定するとともに、バルーン12内の流体を全部排出してからバルーンを折り畳んで巻き取る方法で、メッシュ及びバルーンが折り畳まれて巻き取られた形態を初期状態とする。このようにして、バルーンカテーテル13の使用前にバルーンの通路における輸送要求を満たすことができることが確保される。また、このような手段において、使用時に、バルーンカテーテル13内部のバルーンが膨張し湾曲するにつれて、編組メッシュは、それと共に湾曲する。また、バルーンの直径が編組メッシュの所定の直径になった後、バルーンが充填され続けても、バルーンの直径が変化せず、バルーンの径方向における膨張を制限する役割を果たすため、その軸方向における伸びが向上する。
【0025】
図4は、本発明の実施例2の概略図である。図4は、バルーンカテーテルリトラクタ2を示し、バルーンカテーテルリトラクタ2は、中心には、偏心したバルーン12があり、バルーン12の外周には、一層の編組メッシュ25がある。
【0026】
図5は、本発明の実施例2の編組メッシュの拡大形態を示す概略図である。図5は、編組メッシュ25の拡大形態を示し、バルーンカテーテルの軸線10に平行な系を編組メッシュの横糸61として定義し、それに垂直な系を編組メッシュの縦糸62として定義する。編組メッシュ25の縦糸62は、高いモジュラスを有し、引っ張りにくいため、直径が一定であり、編組メッシュの横糸は、多段の短い系からなるため、編組メッシュは、多段構造を形成する。
【0027】
バルーンは、伸び側において、横糸が多段の短い系からなり、一体の横系による束縛がないため、バルーン12が充填されて膨張し湾曲するにつれて、軸方向に自由に膨張することができ、バルーンは、径方向に膨張して編組メッシュ25の縦糸61に接触すると、径方向に制限されるため、バルーンの軸方向の膨張は、より大きな変形が発生して、バルーンが湾曲度及び剛性を保持することができる。
【0028】
図6は、本発明の実施例3の概略図である。図6は、バルーンカテーテルリトラクタ3を示し、バルーンカテーテルリトラクタ3は、中心には、径方向に補強されたバルーン32がある。このバルーン32は、径方向に既定の直径に膨張すると、継続して膨張して直径を増加させることはないが、軸方向に制限されずに自由に膨張できる、ことを特徴とする。具体的な手段は、バルーン32の材料としては、軸方向における弾性率が低く、径方向における弾性率が高いことを特徴とする異方性材料を用いること、或いは、バルーン32成形後にその外部に一連の径方向の補強リブ又は補強メッシュを被覆してから、補強リブ又は補強メッシュの外部に補強リブ又は補強メッシュを固定するためのポリマーフィルムを被覆することにより、その外面を滑らかにし、かつ内部の補強リブ又は補強メッシュを相対的に固定することを含む。
【0029】
図7は、本発明の実施例4の概略図である。図7は、バルーンカテーテルリトラクタ4を示し、バルーンカテーテルリトラクタ4は、中心には、編組メッシュをはめこんで補強されたバルーン42がある。このバルーン42は、径方向に膨張する過程において、軸方向に僅かに収縮し、径方向に所望の直径に膨張すると、形態が変化しないため、バルーン全体が径方向に膨張し続けなくなるが、軸方向に膨張する、ことを特徴とする。その具体的な構造については、図8を参照し、図8は、本発明の実施例4の断面図である。図8に示すように、バルーン42は、バルーン内側43、中間層編組メッシュ44及びバルーン外層45に分けられる。バルーン内側43及びバルーン外側45は、いずれも熱可塑性エラストマー材料であり、編組メッシュ44を被覆する。バルーンが径方向に膨張するにつれて、編組メッシュ44は、変形するが、編組メッシュ44の格子間は、熱可塑性エラストマーの存在により、変形が終了するため、径方向に膨張し続けなくなるが、軸方向に継続して膨張するという効果を達成する。変形過程において、編組メッシュの格子の形状は、変化する傾向があるが、その内部の高分子材料が元の形状を保持する傾向があり、このようにして対抗が発生するため、編組メッシュの変形は、限られている。
【0030】
図9は、本発明の実施例5の概略図である。図9は、バルーンカテーテルリトラクタ5を示し、バルーンカテーテルリトラクタ5は、中心には、偏心したバルーン12があり、バルーンの外部には、形状記憶金属メッシュ91が外嵌され、この形状記憶金属メッシュ91は、その形状記憶形態が収縮形態である、ことを特徴とする。バルーン12が膨張するにつれて、形状記憶金属メッシュ91は、径方向にバルーン12の表面に密着して膨張するが、長さ方向に膨張しない。形状記憶金属メッシュ91は、変形するにつれて、径方向の環が最後に円環になるように引っ張られることによりバルーンの直径の膨張を制限するが、径方向の長さが変化せず、また、バルーンの伸び側には、バルーンの延長を制限する金属線がないため、バルーン12が湾曲した後に、その直径が形状記憶金属メッシュ91によって制限されるが、その湾曲が制限されないため、バルーンの湾曲力と、湾曲形態を保持する性能とを向上させる目的を達成する。本手段の別の利点としては、バルーン12の収縮につれて、形状記憶金属メッシュ91は、その形状記憶属性により、直径が元の状態に収縮することにより、バルーンカテーテルに被覆する効果を達成し、収縮後の機器の体積を減少させ、その後退時の通過性を向上させることである。
【0031】
本発明のさらに好ましい補強手段は、上記手段において、バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側に固定長のリブを追加することである。それにより、バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側にバルーンに対する固定長の制限部を追加する。
【0032】
図1図3に示すように、第1種のバルーンカテーテルリトラクタの手段である。この手段において、バルーン12の軸方向の所望の湾曲方向の内側18の1本又は内側の近くの複数本の編組メッシュの横糸51を、縦糸52の材質と同じ材質に置き換えることにより、メッシュの軸方向の所望の湾曲方向の内側18の長さが変化しないことを実現し、外部からバルーンの湾曲効果を向上させる。バルーンの膨張につれて、バルーンと編組メッシュ15は、相互に押し付けて大きな摩擦力を発生させて、相対的に固定される。バルーンの湾曲につれて、その軸方向の所望の湾曲方向の内側18の長さは、バルーンカテーテル13及び軸方向の所望の湾曲方向の内側18の横糸の両方により変化しないため、バルーンの軸方向の所望の湾曲方向の内側18と伸び側17との長さ差は、時間が経つにつれて小さくならないことを確保することにより、バルーンカテーテル1の湾曲形状及び湾曲力を保持する能力を実現する。
【0033】
再び図4及び図5を参照する。この手段において、多段編組メッシュ25の軸方向の所望の湾曲方向の内側18のいくつかの横糸51を補強することにより、その軸方向の所望の湾曲方向の内側がより延長しにくいという特性を実現し、バルーンの湾曲効果を向上させる。
【0034】
再び図9及び図10を参照する。図10は、本発明の形状記憶金属メッシュの概略図である。この手段において、形状記憶金属は、直線方向の延性が高分子材料に比べてより低いため、その軸方向の所望の湾曲方向の内側18に少なくとも1本の固定長の形状記憶金属ワイヤを保持すると、バルーンカテーテル13は、湾曲過程において、その軸方向の所望の湾曲方向の内側18が延性がなく、その伸び側17の延性が保持されるため、より高い湾曲効果を達成する。
【0035】
本発明の実施形態は、以上に説明されたが、明細書及び実施形態に挙げられたものに限定されるものではない。それは、本発明に適する様々な分野に完全に適用することができる。当業者であれば、他の修正を容易に実現することができる。したがって、特許請求の範囲及びその均等の範囲によって規定される一般的な概念から逸脱することなく、本発明は、特定の詳細及びここに示されて説明された示例に限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】