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特表2024-507226シリコン金属を含むシリコンオキシカーバイドセラミック材料のためのシステム及び方法
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  • 特表-シリコン金属を含むシリコンオキシカーバイドセラミック材料のためのシステム及び方法 図1
  • 特表-シリコン金属を含むシリコンオキシカーバイドセラミック材料のためのシステム及び方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】シリコン金属を含むシリコンオキシカーバイドセラミック材料のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 4/10 20160101AFI20240208BHJP
   C23C 4/134 20160101ALI20240208BHJP
   C04B 35/571 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C23C4/10
C23C4/134
C04B35/571
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550084
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022017002
(87)【国際公開番号】W WO2022178265
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/152,147
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515084719
【氏名又は名称】シックスケー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホルマン,リチャード ケー.
(72)【発明者】
【氏名】プーレン,エイドリアン
【テーマコード(参考)】
4K031
【Fターム(参考)】
4K031CB45
4K031DA04
(57)【要約】
シリコン金属を含むシリコンオキシカーバイドを含む、ポリマー由来のセラミック材料を合成するためのシステム及び方法の提供。いくつかの実施形態において、シリコン金属は、熱処理の際に炭素熱還元によって形成される。いくつかの実施形態において、熱処理は、マイクロ波プラズマ処理を含む。いくつかの実施形態において、シリコン金属は、シリコンオキシカーバイドセラミック材料の構造内にナノドメインを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンオキシカーバイド(SiOC)セラミック材料であって:
シリコン金属を含み、前記シリコン金属が、プレセラミックポリマーの熱処理の際の前記プレセラミックポリマーの炭素熱還元によって形成され、
前記熱処理が、前記シリコンオキシカーバイドセラミック材料を形成するために使用される、シリコンオキシカーバイドセラミック材料。
【請求項2】
前記シリコンオキシカーバイドセラミック材料が、アモルファス微細構造を有する、請求項1に記載のシリコンオキシカーバイドセラミック材料。
【請求項3】
前記シリコンオキシカーバイドセラミック材料が、SiOCのセル構造を有し、
前記シリコン金属が、前記セル構造と一体化している、請求項1に記載のシリコンオキシカーバイドセラミック材料。
【請求項4】
前記セル構造が、オープンセル結晶構造を有する、請求項3に記載のシリコンオキシカーバイドセラミック材料。
【請求項5】
前記セル構造が、クローズドセル結晶構造を有する、請求項3に記載のシリコンオキシカーバイドセラミック材料。
【請求項6】
シリコンオシカーバイド及び前記シリコン金属の相が、微細構造のシリコンオキシカーバイドセラミック材料内で連続している、請求項1に記載のシリコンオキシカーバイドセラミック材料。
【請求項7】
前記シリコンオキシカーバイドセラミック材料が、複数のシリコン金属ナノドメインを有する、請求項1に記載のシリコンオキシカーバイドセラミック材料。
【請求項8】
前記複数のシリコン金属ナノドメインのそれぞれが、50nm以下の直径を有する、請求項7に記載のシリコンオキシカーバイドセラミック材料。
【請求項9】
前記熱処理が、マイクロ波プラズマ処理を含む、請求項1に記載のシリコンオキシカーバイドセラミック材料。
【請求項10】
ポリマー由来セラミックを製造するための方法であって:
1つ以上のプレセラミックポリマーをマイクロ波プラズマトーチに導入する工程;及び
前記1つ以上のプレセラミックポリマーを前記マイクロ波プラズマトーチ内で加熱してポリマー由来セラミックを形成する工程
を含む方法。
【請求項11】
前記ポリマー由来セラミックが、シリコンオキシカーバイドセラミック材料を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シリコンオキシカーバイドセラミック材料が、シリコン金属を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シリコン金属が、前記1つ以上のプレセラミックポリマーの加熱の際の前記1つ以上のプレセラミックポリマーのin situでの炭素熱還元によって形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シリコンオキシカーバイドセラミック材料が、複数のシリコン金属ナノドメインを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のシリコン金属ナノドメインのそれぞれが、50nm以下の直径を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上のプレセラミックポリマーが、フェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルシロキサン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上のプレセラミックポリマーが、架橋フェニルシロキサンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上のプレセラミックポリマーが、前記1つ以上のプレセラミックポリマーを前記マイクロ波プラズマトーチに導入する際に固体である、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記マイクロ波プラズマが、マイクロ波プラズマトーチのプラズマプルーム又はマイクロ波プラズマトーチの排気を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上のプレセラミックポリマーが、1ms~25sの間の継続時間で加熱される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願の参照による援用
この出願は、2021年2月22日に出願された米国仮特許出願第63/152147号の、米国特許法第119条(e)の下での優先権の利益を主張するものであり、その全開示を参照により本出願に援用する。
【0002】
本開示のいくつかの実施形態は、マイクロ波プラズマ処理を使用した、シリコンオキシカーバイドセラミック材料のためのシステム及び方法に向けたものである。
【背景技術】
【0003】
シリコンオキシカーバイドは、いわゆる「プレセラミックポリマー」の焼結によって典型的に作製されるアモルファスセラミックである。これらの材料は、結晶成長及び粗大化に起因する弱化に耐える高温用途において使用される。これらの材料のアモルファスの性質は、これらの材料が酸化ケイ素及び炭化ケイ素に結晶化する高い温度に至るまで維持される。
【0004】
これらの材料は、ある特定のポリマーが焼結セラミック内において純炭素のナノドメインの発生を可能にするリチウムイオン電池用途に使用されてきた。これらの炭素ドメインは、その他の抵抗性のシリコンオキシカーバイドのバルクを通しての電気伝導及びリチウム伝導を可能にする。
【発明の概要】
【0005】
本要約の目的として、本発明のある特定の態様、利点及び新規の特徴を本明細書に記載する。全てのかかる利点が本発明のいずれの特定の実施形態によって必ずしも達成され得るということではないことが理解されるべきである。そのため、例えば、当業者であれば、本明細書において教示又は示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書において教示されている一つの利点又は利点群を達成するように本発明を具現化又は実施され得ることを認識するであろう。
【0006】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、シリコンオキシカーバイド(SiOC)材料であって、SiOCセラミック材料;及びSiOCセラミック材料内の遊離シリコンの複数のナノドメイン;を含む、シリコンオキシカーバイド材料を対象とする。
【0007】
いくつかの実施形態において、複数のナノドメインのそれぞれが、50nm未満の寸法を有する。いくつかの実施形態において、SiOCセラミック材料内の遊離シリコンの複数のナノドメインは、炭素熱還元によってin situで形成される。いくつかの実施形態において、SiOC材料は、前駆体材料をマイクロ波プラズマに供することによって形成される。いくつかの実施形態において、前駆体は、架橋フェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン若しくはメチルシロキサン又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、前駆体は、固体前駆体を含む。いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマは、マイクロ波プラズマトーチのプルーム又はマイクロ波プラズマトーチの排気を含む。いくつかの実施形態において、SiOC材料は、オープンセル構造を含む。いくつかの実施形態において、SiOC材料は、クローズドセル構造を含む。いくつかの実施形態において、SiOC材料は、複数のひずみ耐性粒子を含む。
【0008】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、シリコンオキシカーバイド(SiOC)セラ
ミック材料であって、シリコン金属を含み、シリコン金属が、プレセラミックポリマーの熱処理の際のプレセラミックポリマーの炭素熱還元によって形成され、熱処理が、SiOCセラミック材料を形成するために使用される、上記シリコンオキシカーバイドセラミック材料を対象とする。
【0009】
いくつかの実施形態において、SiOCセラミック材料は、アモルファス微細構造を有する。いくつかの実施形態において、SiOCセラミック材料は、SiOCのセル構造を有し、シリコン金属は、セル構造と一体化している。いくつかの実施形態において、セル構造は、オープンセル結晶構造を有する。いくつかの実施形態において、セル構造は、クローズドセル結晶構造を有する。いくつかの実施形態において、SiOC及びシリコン金属の相は、微細構造のSiOCセラミック材料内で連続している。いくつかの実施形態において、SiOCセラミック材料は、複数のシリコン金属ナノドメインを有する。いくつかの実施形態において、複数のシリコン金属ナノドメインのそれぞれが、50nm以下の直径を有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、熱処理は、マイクロ波プラズマ処理を含む。
【0011】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、ポリマー由来セラミックを製造するための方法であって、1つ以上のプレセラミックポリマーをマイクロ波プラズマトーチに導入する工程;及び1つ以上のプレセラミックポリマーをマイクロ波プラズマトーチ内で加熱してポリマー由来セラミックを形成する工程を含む方法を対象とする。
【0012】
いくつかの実施形態において、ポリマー由来セラミックは、シリコンオキシカーバイド(SiOC)セラミック材料を含む。いくつかの実施形態において、SiOCセラミック材料は、シリコン金属を含む。いくつかの実施形態において、シリコン金属は、1つ以上のプレセラミックポリマーの加熱の際の1つ以上のプレセラミックポリマーのin situでの炭素熱還元によって形成される。いくつかの実施形態において、SiOCセラミック材料は、複数のシリコン金属ナノドメインを有する。いくつかの実施形態において、複数のシリコン金属ナノドメインのそれぞれが、50nm以下の直径を有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、1つ以上のプレセラミックポリマーは、フェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルシロキサン、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のプレセラミックポリマーは、架橋フェニルシロキサンを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のプレセラミックポリマーは、1つ以上のプレセラミックポリマーをマイクロ波プラズマトーチに導入する際に固体である。
【0014】
いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマは、マイクロ波プラズマトーチのプラズマプルーム又はマイクロ波プラズマトーチの排気を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のプレセラミックポリマーは、1ms~25sの間の継続時間で加熱される。
【0015】
図面は、実施形態の例を示すために提供されるものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。本明細書に記載されているシステム及び方法のより良好な理解は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照して認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本明細書におけるいくつかの実施形態によるマイクロ波プラズマプロセスを使用して合成されたシリコンオキシカーバイドのX線粉末回折(XRD)プロットを示す。
図2図2は、本明細書におけるいくつかの実施形態による例示的なマイクロ波プラズマシステムを示す。
図3図3A及び3Bは、本開示の側部供給ホッパーの実施形態による、材料の製造において使用され得るマイクロ波プラズマトーチの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ある特定の好ましい実施形態及び例を以下に開示するが、発明の主題は、具体的に開示されている実施形態を超えて、他の代替の実施形態及び/又は使用並びにこれらの変更及び等価物まで及ぶ。そのため、本明細書に添付されている特許請求の範囲は、以下に記載されている特定の実施形態によって限定されるものではない。例えば、本明細書に開示されているいずれの方法又は工程においても、当該方法又は工程の作用又は操作は、いずれの好適な順番で実施されてもよく、必ずしも特定の開示されている順番に限定されない。種々の操作が、ある特定の実施形態を理解する際に役立ち得るように、順に複数の別々の操作として記載されている場合があるが、記載の順序は、これらの操作が順序に依存することを暗示すると解釈されるべきではない。加えて、本明細書に記載されている構造、システム、及び/又は装置は、一体化された構成要素として又は別個の構成要素として具現化されてよい。種々の実施形態を比較する目的で、これらの実施形態のある特定の態様及び利点を記載する。必ずしも、このような態様又は利点の全てが特定の実施形態によって達成されるとは限らない。そのため、例えば、種々の実施形態が、本明細書においても教示又は示唆され得る他の態様又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書において教示されている一つの利点又は利点群を達成又は最適化するように実施されてよい。
【0018】
本明細書に開示されている装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態について記載する。これらの実施形態の1つ以上の例を添付の図面に示す。当業者は、本明細書に具体的に記載され、添付の図面に示されている装置及び方法が、非限定的な例示的な実施形態であること、並びに、本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されていることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態と併せて示され又は記載されている特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてよい。かかる変更及び変形は、本技術の範囲内に含まれることが意図されている。
【0019】
マイクロ波プラズマプロセスを使用して製造される材料であって、プレセラミックポリマーがプラズマプロセスへの供給原料として使用され得る、上記材料の実施形態を本明細書において開示する。本開示で使用されるプレセラミックポリマーは、1つ以上のポリマー化合物を含み、(概して酸素の非存在下での)適切な条件下での熱分解を通して、高い熱安定性及び化学的安定性を有するセラミック化合物に転換される。プレセラミックポリマーの熱分解から得られるセラミックは、ポリマー由来セラミック、又はPDCとして一般に知られている。いくつかの実施形態において、PDCは、ケイ素(Si)を含むことができ、炭化ケイ素(SiC)、シリコンオキシカーバイド(SiOC)、窒化ケイ素(SiN)、及び酸窒化ケイ素(SiON)を包含し得る。いくつかの実施形態において、かかるPDCは、アモルファスであり、長期の結晶秩序を欠失していてよい。いくつかの実施形態において、プレセラミックポリマーは、ポリカルボシラン及びポリシロキサンを含むことができ、これらは熱分解を通してSiC及びSiOC型セラミックにそれぞれ変換する。いくつかの実施形態において、プレセラミックポリマーは、フェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルシロキサン、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、プレセラミックポリマーは、架橋されていてよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、プレセラミックポリマーは、プラズマ、例えば、水素プラズマに対して横方向に供給されてよい。他の実施形態において、プレセラミックポリマーは、頂部供給又は他の供給配向を使用してマイクロ波プラズマに供給されてよい。いくつかの実施形態において、プラズマは、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、空気、又は水素プラズマを含んでいてよい。理論によって限定されることなく、いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマプロセスは、時間に対して非常に高い温度勾配によって特徴付けられてよく、得られるPDCにおいて、動力学的に安定化された相を合成することを可能にする。いくつかの実施形態において、このような動力学的に安定化されたシリコン金属の相は、プレセラミックポリマーから形成されるシリコンオキシカーバイド内に形成され得る。従来の熱的プロセス下では、プレセラミックポリマー内の炭素から炭素熱還元反応によって生成されたシリコン金属が、過剰の炭素によって消滅(すなわち、反応)して炭化ケイ素を形成し得る。しかし、本明細書に記載されているマイクロ波プラズマプロセスの時間尺度において、シリコン金属は、シリコンオキシカーバイドセラミック内に残存している。いくつかの実施形態において、シリコン金属は、ナノメートルスケールでのナノドメイン又はクラスタの形態でシリコンオキシカーバイドセラミック内に残存し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているプロセスは、不活性な炭化ケイ素の量を最小にすることができ、且つ、遊離炭素の量を最大にすることができる。かかる材料は、プラズマプロセス及びポリマーの最適化によって製造される。
【0021】
いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマにおけるプレセラミックポリマー原料の滞留時間は、約1ms~約25sの間であってよい。例えば、いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマにおけるプレセラミックポリマー原料の滞留時間は、約1ms、約5ms、約10ms、約20ms、約30ms、約40ms、約50ms、約100ms、約200ms、約300ms、約400ms、約500ms、約600ms、約700ms、約800ms、約900ms、約1s、約2s、約3s、約4s、約5s、約6s、約7s、約8s、約9s、約10s、約15s、約20s、約25s、又は上記の値の間の任意の値であってよい。より長い時間尺度を用いた従来の処理方法では遊離シリコン金属が炭化ケイ素を形成していた一方で、理論によって限定されることなく、本明細書に記載されている時間尺度においてプレセラミックポリマー原料のプラズマ処理を実施することにより、PDC材料における遊離シリコン金属ドメインの形成を容易にする。
【0022】
いくつかの実施形態において、PDCにおけるシリコン金属ドメインのサイズは、一般にナノスケールである。本明細書に開示されているように、PDC類は、マイクロ波プラズマトーチにおいてある特定の原材料を処理することによって、又は他の処理方法によって形成され得る。上記処理は、原料を、マイクロ波プラズマトーチ、マイクロ波プラズマトーチのプラズマプルーム、及び/又はマイクロ波プラズマトーチの排気に供給することを含み得る。供給場所は、使用する原料の種類に応じて変わり得る。さらに、原料は、種々の要件に基づいて生成又は選択され得る。要件の例は、アスペクト比、粒度分布(PSD)、化学的性質、密度、直径、球形度、酸素化、及び孔径である。上記処理は、処理された原料を、制御された冷却速度によって冷却することをさらに含み得る。
【0023】
図1は、本明細書におけるいくつかの実施形態によるマイクロ波プラズマプロセスを使用して合成されたシリコンオキシカーバイドに関するX線粉末回折(XRD)プロットを示す。シリコン金属の形跡は図1におけるXRDスペクトルに示されており、遊離シリコン金属は、28°におけるピークによって表される。28°におけるシリコンピークは、35°におけるSiCの逆関数を示し、プラズマ処理条件、例えば、プレセラミックポリマー原料の滞留時間によってそれぞれ駆動される。SiCは、高温で焼成されたときにPDC材料において発達することが知られているが、シリコンオキシカーバイド材料内におけるin situでの遊離シリコン金属相の形成は、これまでに文書化されていない。
【0024】
本明細書に記載されている材料は、ポリマーの焼結前にシリコン金属がポリマーに添加される、従来作製されている材料、例えば、リチウムイオンアノードの目的で作製されたものとは異なり且つこれらより優れていることに注意されるべきである。アノード用途に
有用であるシリコン領域は、理想的には、数十ナノメートルの寸法という、非常に小さくなければならない。かかる材料の作製及び取り扱いは、高価であり且つ扱いにくい。そのため、本明細書における実施形態により、炭素熱還元を介してセラミック内でインサイチュにおいてシリコンを形成して、リチウムイオン(Liイオン)電池用途に有用であるシリコン金属ナノドメインを得るという劇的な利益がある。いくつかの実施形態において、シリコンオキシカーバイド構造は、Si金属に結合していてよい。いくつかの実施形態において、Si金属は、シリコンオキシカーバイドによって与えられる構造と一体であってよい、なぜなら、インサイチュで形成されるからである。例えば、Si金属は、シリコンオキシカーバイドのオープンセル又はクローズドセル構造に一体に結合していてよい。いくつかの実施形態において、シリコンオキシカーバイド及びシリコン金属の様々な相は、金属の構造内で連続していてよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、シリコン金属は、炭素熱還元を介して形成され、ナノドメインの形態でシリコンオキシカーバイドに存在する。いくつかの実施形態において、シリコンオキシカーバイドは、シリコン金属ナノドメインを含むオープンセル又はクローズドセル構造で形成される。上記で考察されているように、いくつかの実施形態において、Liイオン電池用途に有用であるためには、シリコンオキシカーバイド内のシリコン金属のドメインは、約50nm以下の寸法を有していてよい。いくつかの実施形態において、シリコン金属のドメインは、約50nm以下、約45nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、約5nm以下、約1nm以下、又は上記の値の間のいずれかのサイズの寸法を有していてよい。いくつかの実施形態において、寸法は、シリコン材のドメインの直径を有していてよい。
【0026】
マイクロ波プラズマ装置
いくつかの実施形態において、SiOC材料は、少なくとも1つのプレセラミックポリマーをマイクロ波プラズマに供することによって形成される。いくつかの実施形態において、プレセラミックポリマーは、架橋ポリシロキサンを含む。いくつかの実施形態において、プレセラミックポリマーは、固体プレセラミックポリマーを含む。いくつかの実施形態において、プレセラミックポリマーは、液体としてプラズマに噴霧され、これにより、プラズマに供給する前又は間に架橋が起こる。いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマは、マイクロ波プラズマトーチのプルーム又は排ガスを含む。
【0027】
図2は、本明細書におけるいくつかの実施形態によるPDC材料の生成において使用され得るマイクロ波プラズマトーチ200の実施形態を示す。いくつかの実施形態において、プレセラミックポリマー原料は、1つ以上の原料注入口202を介してマイクロ波プラズマ204に導入され得る。いくつかの実施形態において、同伴ガス流及び/又はシース流は、マイクロ波プラズマアプリケータ205に注入されて、マイクロ波放射源206を介してプラズマ204の点火前にプラズマアプリケータ内に流動状態を作り出すことができる。いくつかの実施形態において、同伴流及びシース流は、両方が軸対称且つ層流であるが、他の実施形態において、これらのガス流は旋回している。いくつかの実施形態において、原料は、マイクロ波プラズマトーチ200に導入されてよく、ここで、原料は、プラズマ204に向かって材料を方向付けるガス流に同伴してよい。
【0028】
上記で考察されているように、ガス流は、周期表の希ガス列、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴンなど、又は酸素、窒素、空気、若しくは水素を含み得る。上記のガスが使用されてよいが、所望の材料及び処理条件に応じて様々なガスが使用され得ることが理解されるべきである。いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマ204内で、原料は、物理的及び/又は化学的変換を経てよい。注入口202は、プロセスガスを導入して、原料をプラズマ204に向かって同伴及び加速するように使用され得る。いくつかの実施形態において、第2ガス流は、プラズマアプリケータ205の内壁及び反応チャンバ210にシージングを与えて、これらの構造を、プラズマ204からの熱放射に起因する溶融から保護するように作られ得る。
【0029】
プラズマアプリケータ205によって作られる、マイクロ波プラズマ204の様々なパラメータは、所望の材料を得るために、手動又は自動で調整されてよい。これらのパラメータは、例えば、動力、プラズマガス流量、プラズマガスの種類、延長チューブの存在、延長チューブ材料、反応チャンバ又は延長チューブの絶縁レベル、延長チューブのコーティングのレベル、延長チューブの幾何学的形状(例えば、テーパ状/段付き)、フィード材料サイズ、フィード材料挿入速度、フィード材料注入口の場所、フィード材料注入口の配向、フィード材料注入口の数、プラズマ温度、滞留時間及び冷却速度を含んでいてよい。得られた材料は、プラズマを出て、材料が急冷された後に収集されるシールされたチャンバ122に入ってよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、原料は、マイクロ波プラズマトーチの「プルーム」又は「排ガス」における処理のためのマイクロ波プラズマアプリケータの後に注入される。そのため、マイクロ波プラズマトーチのプラズマは、プラズマトーチコアチューブ208の出口端、又はさらなる下流において引き込まれる。いくつかの実施形態において、調整可能な下流供給は、温度レベル及び滞留時間の正確な目標化を通して、原料の最適な溶融に好適な温度で下流にプラズマプルームを引き込むことを可能にする。注入口の場所及びプラズマの特性を調整することにより、材料の特性のさらなるカスタマイズを可能にし得る。さらに、いくつかの実施形態において、動力、ガス流量、圧力、及び機器構成を調整する(例えば、延長チューブを導入する)ことにより、プラズマプルームの長さが調整され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、供給構成は、プラズマプルームを包囲する1つ以上の個々の供給ノズルを含んでいてよい。原料は、いずれの方向からプラズマに入ってもよく、注入口202の配置及び配向に応じてプラズマの周囲の360°で供給され得る。さらに、原料は、具体的な温度が測定されていて且つ得られる材料の所望の特性を付与するように滞留時間が確立されている場合、注入口202の配置を調整することによってプラズマ204の長さに沿って特定の位置でプラズマに入ってよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、プラズマ204に対する注入口202の角度は、原料がプラズマ204に対していずれの角度でも注入され得るように調整されてよい。例えば、注入口202は、原料がプラズマ204の方向に対して、約0度、約5度、約10度、約15度、約20度、約25度、約30度、約35度、約40度、約45度、約50度、約55度、約60度、約65度、約70度、約75度、約80度、約85度、若しくは約90度、又は上記値のいずれかの間の角度でプラズマに注入され得るように調整されてよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、下流注入方法の実施は、下流の旋回又は急冷を使用してよい。下流の旋回は、プラズマアプリケータから下流に導入されて、アプリケータ205、反応チャンバ210、及び/又は延長チューブ214の壁から粉末を避けるようにすることができる追加の旋回成分を指す。
【0034】
いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマ装置の反応チャンバ210の長さは、約1フィート、約2フィート、約3フィート、約4フィート、約5フィート、約6フィート、約7フィート、約8フィート、約9フィート、約10フィート、約11フィート、約12フィート、約13フィート、約14フィート、約15フィート、約16フィート、約17フィート、約18フィート、約19フィート、約20フィート、約21フィート、約22フィート、約23フィート、約24フィート、約25フィート、約26フィート、約27フィート、約28フィート、約29フィート、若しくは約30フィート、又は上記の値の間の任意の値であってよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、プラズマ204の長さは、種々の処理条件及び機器構成を調整することによって延長されてよく、約1フィート、約2フィート、約3フィート、約4フィート、約5フィート、約6フィート、約7フィート、約8フィート、約9フィート、約10フィート、約11フィート、約12フィート、約13フィート、約14フィート、約15フィート、約16フィート、約17フィート、約18フィート、約19フィート、約20フィート、約21フィート、約22フィート、約23フィート、約24フィート、約25フィート、約26フィート、約27フィート、約28フィート、約29フィート、若しくは約30フィート、又は上記の値の間の任意の値であってよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、原料粒子は、マイクロ波発生プラズマ内において4,000~8,000Kの間における均一(又は非均一)な温度プロファイルに暴露される。いくつかの実施形態において、粒子は、マイクロ波発生プラズマ内において3,000~8,000Kの間における均一な温度プロファイルに暴露される。プラズマトーチ内では、原料粒子が容易に加熱される。
【0037】
アモルファス材は、PDC内で処理され次いで分子が結晶状態を達成するのを防止するのに充分な速度で冷却された後に生成され得る。冷却速度は、高速ガスストリームにおける処理の0.05~2秒以内に材料を急冷することによって達成され得る。高速ガスストリーム温度は、-200℃~40℃の範囲であり得る。有利には、冷却処理パラメータの変動が、最終の粒子の特徴的な微細構造を変更することが見出された。より高い冷却速度は、より微細な構造を結果として生じさせ得る。非平衡構造は、高い冷却速度を介して達成され得る。
【0038】
冷却処理パラメータとして、限定されないが、冷却ガス流量、ホットゾーンにおける球形化粒子の滞留時間、及び冷却ガスの組成又は構成が挙げられる。例えば、粒子の冷却速度又は急冷速度は、冷却ガスの流れの速度を増加させることによって増加され得る。冷却ガスが、プラズマを出る粒子を通り過ぎて速く流れるほど、急冷速度が高くなり、これにより、ある特定の所望の微細構造、例えば、遊離シリコンナノドメインを形成及び保持させることができる。プラズマのホットゾーン内の粒子の滞留時間もまた、得られる微細構造に対しての制御を付与するように調整され得る。滞留時間は、ホットゾーン内の粒子注入速度並びに流量(及び状態、例えば、層流又は乱流)としてのかかる操作可変値を調整することによって調整され得る。機器の変更もまた、滞留時間を調整するのに使用され得る。例えば、滞留時間は、ホットゾーンの断面積を変更することによって調整され得る。
【0039】
変動又は制御され得る別の冷却処理パラメータは、冷却ガスの組成である。ある特定の冷却ガスは、他よりも熱伝導性である。例えば、ヘリウムは、高度に熱伝導性のガスであるとされている。冷却ガスの熱伝導率が高いほど、粒子がより速く冷却/急冷され得る。冷却ガスの組成を制御することにより(例えば、より低い熱伝導性のガスに対する高い熱伝導性のガスの量又は比を制御することにより)、冷却速度が制御され得る。
【0040】
プロセスパラメータは、原料の初期状態に応じて所望の材料及び微細構造を得るように最適化され得る。各原料特性について、プロセスパラメータが、特定の成果のために最適化され得る。米国特許出願公開第2018/0297122号、米国特許第8748785 B2号、及び米国特許第9932673 B2号は、具体的にはマイクロ波プラズマ処理のための、開示されているプロセスにおいて使用され得るある特定の処理技術を開示している。したがって、米国特許出願公開第2018/0297122号、米国特許第8
748785 B2号、及び米国特許第9932673 B2号は、その全体及び技術が参照により組み込まれる。
【0041】
いくつかの実施形態において、頂部供給マイクロ波プラズマトーチは、本開示の実施形態による、材料の生成に使用され得る。いくつかの実施形態において、プレセラミックポリマー材料は、マイクロ波発生プラズマを持続させる、マイクロ波プラズマトーチ内に導入され得る。一例の実施形態において、同伴ガス流、及びシース、旋回、又は作業の線状の流れ(下流矢印)は、注入口を通して注入されて、マイクロ波放射源を介してプラズマの点火の前にプラズマトーチ内に流動状態を作り出すことができる。プレセラミックポリマー材料は、マイクロ波プラズマトーチ内に軸方向に導入され、ここで、当該材料が、当該材料をプラズマのホットゾーンの方に向けるガス流に同伴される。ガス流は、周期表の希ガス列、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどからなり得る。
【0042】
マイクロ波発生プラズマ内で、プレセラミックポリマー材料は、物理的及び/又は化学的変換を経てPDCを形成する。注入口は、プロセスガスを導入して粒子をプラズマに向かって軸に沿って同伴及び加速させるために使用され得る。いくつかの実施形態において、原料粒子は、プラズマトーチ内で環状ギャップを通して作り出されるコア層流又は乱流ガス流を使用する同伴によって加速される。第2層流は、層流のシージングを誘電性トーチの内壁に付与してこれをプラズマからの熱放射に起因する溶融から保護するように第2環状ギャップを通して作られ得る。例示的な実施形態において、層流は、粒子を、上記の軸にできるだけ近接して通路に沿ってプラズマの方に向けて、粒子をプラズマに暴露させる。いくつかの実施形態において、好適な流動状態は、粒子が、プラズマの付着が起こり得るプラズマトーチの内壁に達することを避けるために存在する。粒子は、それぞれ熱処理を経たマイクロ波プラズマに向かってガス流によって案内される。
【0043】
マイクロ波発生プラズマの様々なパラメータ、並びに粒子パラメータは、所望の結果を得るために調整されてよい。これらのパラメータは、マイクロ波力、フィード材料サイズ、フィード材料挿入速度、ガス流量、プラズマ温度、滞留時間、プラズマガス組成、及び冷却速度を含んでいてよい。上記で考察されているように、この特定の実施形態において、ガス流は層流である;しかし、代替の実施形態において、旋回流又は乱流は、フィード材料をプラズマの方に向けるように使用されてよい。
【0044】
図3A~Bは、側部供給ホッパーを含むことにより、下流供給を可能にする例示的なマイクロ波プラズマトーチを示す。そのため、この実施において、原料は、マイクロ波プラズマトーチの「プルーム」又は「排ガス」における処理のためのマイクロ波プラズマトーチアプリケータの後に注入される。そのため、マイクロ波プラズマトーチのプラズマは、プラズマトーチの出口端において引き込まれて、頂部供給(又は上流供給)とは対照的に、原料の下流供給を可能にする。この下流供給は、ホットゾーンがホットゾーンライナーの壁におけるいずれの材料堆積物からも無制限に保護されつつ、トーチの寿命を有利に延長し得る。さらに、上記供給は、温度レベル及び滞留時間の正確な目標化を通して、粉末の最適な溶融に好適な温度で下流にプラズマプルームを引き込むことを可能にする。例えば、マイクロ波粉末を使用するプルームの長さ、ガス流、及びプラズマプルームを収容する冷却器における圧力を調節する能力がある。
【0045】
概して、下流供給は、安定なプラズマプルームを確立させる2つの主なハードウェア構成を利用することができる:全体が参照により本明細書に組み込まれる、例えば、米国特許出願公開第2018/0297122号に記載されている環状トーチ、又は、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8748785 B2号及び米国特許第9932673 B2号に記載されている旋回トーチ。プラズマトーチの出口においてプラズマプルームと密に連結されている供給システムは、原料を軸対称に供給してプロセス均一性を保持するように使用される。
【0046】
他の供給構成は、プラズマプルームを包囲する1つ又は数個の個々の供給ノズルを含んでいてよい。原料は、ある点においていずれの方向からプラズマに入ってもよく、プラズマ内の当該点に、プラズマの周囲の360°でいずれの方向から供給されてもよい。原料粉末は、具体的な温度が測定されていて且つ粒子の充分な溶融のために滞留時間が確立されているプラズマプルームの長さに沿って具体的な位置でプラズマに入ってよい。溶融した粒子は、プラズマを出て、当該粒子が急冷された後に収集されるシールされたチャンバ内に入る。
【0047】
フィード材料314は、マイクロ波プラズマアプリケータ302に導入され得る。ホッパー306は、フィード材料314をマイクロ波プラズマアプリケータ302、プルーム及び/又は排ガス318内に供給する前に、フィード材料314を保管するのに使用され得る。フィード材料314は、プラズマアプリケータ302の長手方向に対していずれの角度、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、又は55度で注入されてもよい。いくつかの実施形態において、原料は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、又は55度を超える角度で注入され得る。いくつかの実施形態において、原料は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、又は55度を超える角度で注入され得る。代替の実施形態において、原料は、プラズマトーチの長手軸に沿って注入され得る。
【0048】
マイクロ波放射は、導波路304を通してプラズマアプリケータ302にもたらされ得る。フィード材料314は、プラズマチャンバ310に供給され、プラズマアプリケータ302によって発生するプラズマと接触する。プラズマ、プラズマプルーム、又はプラズマ排ガス318と接触しているとき、原料は、物理的及び/又は化学的変換を経る。原料314は、依然としてプラズマチャンバ310にある間に、冷却及び固化した後、容器312に収集される。代替的には、原料314は、排出口312を通ってプラズマチャンバ310を出て、プラズマチャンバの外側で冷却及び固化することができる。いくつかの実施形態において、急冷チャンバが使用されてよく、陽圧を使用してもしなくてもよい。図3A及び3Bの実施形態は、図2とは別個に記載されているが、図2の実施形態と同様の特徴及び条件を使用することが理解される。
【0049】
マイクロ波プラズマプロセスにおいて、原料は、不活性及び/又は他のガス環境において同伴されて、マイクロ波プラズマ、マイクロ波プラズマプルーム、又はマイクロ波プラズマ排ガスに注入されてよい。ホットプラズマ(又はプラズマプルーム若しくは排ガス)への注入の際、原料は、物理的及び/又は化学的変換(例えば、球形化)を経てよい。処理後、得られた材料は、不活性ガスで満たされたチャンバに放出されてよく、また、当該材料が保管される密閉ドラムへと方向付けられてよい。このプロセスは、大気圧において、部分真空中で、又は、大気圧よりも僅かに高い圧力において実施され得る。
【0050】
代替の実施形態において、プロセスは、低、中、又は高真空環境において実施され得る。プロセスは、バッチ式で又は連続的に行うことができ、ドラムは、処理された材料によって満タンになるときに置き換えられる。プロセスパラメータ、例えば、冷却ガス流量、滞留時間、プラズマ状態、冷却ガスの組成を制御することによって、種々の材料特性が制御され得る。
【0051】
プラズマのホットゾーン内の粒子の滞留時間もまた、得られる材料特性に対しての制御を付与するように調整され得る。すなわち、粒子がプラズマに暴露される時間の長さは、原料粒子の溶融の程度(すなわち、粒子の最も内側部分又はコアと比較して溶融された粒子の表面)を決定する。滞留時間は、ホットゾーン内の粒子注入速度並びに流量(及び状
態、例えば、層流又は乱流)のかかる操作可変値を調整することによって調整され得る。機器の変更もまた、滞留時間を調整するのに使用され得る。例えば、滞留時間は、プラズマの断面積を変化させることによって、例えば、プラズマを拡大することによって調整され得る。いくつかの実施形態において、プラズマを拡大することは、延長チューブをマイクロ波プラズマ装置に組み込むことを含んでいてよい。
【0052】
追加の実施形態
上記の明細書において、本発明をその具体的な実施形態を参照して説明している。しかし、種々の変更及び変化が、本発明のより広範な精神及び範囲から逸脱することなくなされてよいことが明白であろう。明細書及び図は、したがって、制限的な意味よりもむしろ例示的であると見なされるべきである。
【0053】
実際、本発明を、ある特定の実施形態及び例の文脈において開示しているが、本発明は、具体的に開示されている実施形態を超えて、他の代替の実施形態、並びに/又は、本発明並びにその自明の変更及び等価物の使用までに及ぶことが当業者によって理解されるであろう。加えて、本発明の実施形態のいくつかの変形を示して詳述しているが、本発明の範囲内にある他の変更が、本開示に基づいて当業者に容易に明らかであろう。実施形態の具体的な特徴及び態様の種々の組み合わせ又はサブコンビネーションがなされてよく、また、依然として本発明の範囲内にあるとこも企図される。開示されている実施形態の様々な特徴及び態様は、開示されている発明の実施形態の変化形態を形成するために互いに組み合わされ又は置換され得ることが理解されるべきである。本明細書に開示されているいずれの方法も、列挙されている順序で実施される必要はない。そのため、本明細書に開示されている本発明の範囲は、上記の特定の実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0054】
本開示のシステム及び方法は、それぞれが、いくつかの革新的な態様を有しており、そのうちのいずれの1つも、本明細書に開示されている望ましい属性に専ら関与するということではなく又は当該属性を必須とするものでもないことが認識されるであろう。上記の様々な特徴及びプロセスは、互いに独立して使用されてよく、又は、様々な方法で組み合わされてよい。全ての起こり得る組み合わせ及びサブコンビネーションが、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0055】
別個の実施形態の文脈で本明細書において記載されているある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて実施されてもよい。逆に、単一の実施形態の文脈で記載されている様々な特徴もまた、別個で複数の実施形態において、又は、任意の好適なサブコンビネーションで実施されてよい。また、特徴が、ある特定の組み合わせにおいて作用するとして上記に記載されていて、且つ、まさに最初に、それ自体で特許請求されている場合があるが、特許請求されている組み合わせからの1つ以上の特徴が、当該組み合わせから削除される場合があってよく、特許請求されている組み合わせが、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形を対象としていてもよい。いずれの単一の特徴又は特徴群も、ありとあらゆる実施形態に必要又は必須であるというわけではない。
【0056】
本明細書において使用されている条件付きの言葉、例えば、とりわけ、「できる、得る(can)」、「できる、得る(could)」、「だろう(might)」、「であってよい(may)」、「例えば」などは、別途具体的に記述されていない限り又は使用されている文脈内で別途理解されていない限り、ある特定の実施形態が、他の実施形態は含んでいないが、ある特定の特徴、要素及び/又はステップを含むことを伝達することが概して意図されることも認識されるであろう。そのため、かかる条件付きの言葉は、特徴、要素及び/若しくはステップが何らかの点において1つ以上の実施形態に必要とされること、又は、1つ以上の実施形態が、著者が入力又は指示していようがいまいが、これらの
特徴、要素及び/若しくはステップがいずれか特定の実施形態に含まれているか若しくは当該実施形態において実施されるべきかを決定するための論理を必ずしも含むということを暗示することは概して意図されていない。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などは、同意語であり、オープンエンドで包含的に使用され、追加の要素、特徴、作用、操作などを排除しない。加えて、用語「又は(若しくは)(or)」は、包含的意味で使用され(且つ排除的意味ではない)、その結果、例えば、要素のリストを接続するために使用されるとき、用語「又は(若しくは)(or)」は、当該リストにおける要素の1つ、いくつか又は全てを意味することとなる。加えて、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、本出願及び添付の特許請求の範囲において使用されているとき、別途指定されていない限り、「1つ以上の」又は「少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきである。同様に、操作が特定の順序で図において示されている場合があるが、所望の結果を達成するために、かかる操作が、示されているこの特定の順序で若しくは逐次的な順番で実施される必要はないこと、又は、全ての記載されている操作が実施されることが認識されるべきである。さらに、図は、フローチャートの形態でもう1つの例のプロセスを模式的に示している場合がある。しかし、示されていない他の操作が、模式的に示されている例としての方法及びプロセスに組み込まれてよい。例えば、1つ以上の追加の操作が、示されている操作のいずれかの前、後、同時又は間に実施されてよい。加えて、操作は、他の実施形態において再配置されても並べ替えられてもよい。ある特定の状況において、並行作業及び並行した処理が有利である場合がある。また、上記の実施形態における様々なシステムの構成要素の分離は、全ての実施形態においてかかる分離を必要とするとして理解されるべきではなく、記載されているプログラム構成要素及びシステムが、概して、単一のソフトウェア製品において一体化されていてもよく、又は、複数のソフトウェア製品にパッケージングされていてもよいことが理解されるべきである。加えて、他の実施形態が、以下の特許請求の範囲内にある。いくつかの場合において、特許請求の範囲に列挙されている作用は、異なる順序で実施されて、且つ、依然として所望の結果を達成することができる。
【0057】
さらに、本明細書に記載されている方法及びデバイスは、種々の変更及び代替の形態の影響を受けやすい場合があるが、これらの具体例は、図に示されており、本明細書において詳述されている。しかし、本発明は、開示されている特定の形態又は方法に限定されるべきではないが、それどころか、本発明は、記載されている様々な実施及び添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある全ての変更、等価物、及び改変をカバーするということが理解されるべきである。さらに、実施又は実施形態と併せた、いずれの特定の特徴、態様、方法、性質、特性、量、属性、要素などの本明細書における開示も、本明細書に記載されている全ての他の実施又は実施形態において使用され得る。本明細書に開示されているいずれの方法も、列挙されている順序で実施される必要はない。本明細書に開示されている方法は、実行者によってなされるある特定の動作を含んでいてよい;しかし、当該方法はまた、明確に又は暗示によりのいずれかで、これらの動作のいずれの第三者の指示も含むことができる。本明細書に開示されている範囲はまた、ありとあらゆる重複、サブ範囲及びこれらの組み合わせも包含する。例えば、「最大で」、「少なくとも」、「超」、「未満」、「間」などの言葉は、列挙されている数を含む。例えば「約」又は「およそ」という用語が先行している数は、列挙されている数を含み、状況に基づいて解釈されるべきである(例えば、状況下で合理的な範囲でできるだけ正確に、例えば±5%、±10%、±15%など)。例えば、「約3.5mm」は「3.5mm」を含む。例えば「実質的」という用語が先行している句は、列挙されている句を含み、状況に基づいて解釈されるべきである(例えば、状況下で合理的な範囲でできるだけ多く)。例えば、「実質的に一定」は「一定」を含む。別途記述されていない限り、全ての測定は、温度及び圧力を含めて標準状態におけるものである。
【0058】
本明細書において使用されているとき、項目リストのうちの「少なくとも1つ」を指す句は、単一のメンバーを含めた、これらの項目のいずれの組み合わせも指す。例として、「A、B、又はCの少なくとも1つ」は、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、並びにA、B、及びCをカバーすることが意図される。結合した言葉、例えば、句「X、Y及びZの少なくとも1つ」は、別途具体的に記述されていない限り、項目、用語などが、X、Y又はZの少なくとも1つであってよいことを伝達するのに一般に使用される文脈としてさもなければ理解される。そのため、かかる結合した言葉は、ある特定の実施形態が、少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、及び少なくとも1つのZがそれぞれ存在することを必要とすることを暗示することは概して意図されていない。本明細書に提供されている見出しは、存在する場合には、単に便宜上のものであり、本明細書に開示されているデバイス及び方法の範囲及び意味に必ずしも影響しない。
【0059】
したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示されている実施形態に限定されることは意図されていないが、本明細書に開示されている本開示、原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲で与えられるべきである。
図1
図2
図3
【国際調査報告】