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特表2024-507241エアロゾル送達製品用の包装材料及びそれを含むエアロゾル送達製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】エアロゾル送達製品用の包装材料及びそれを含むエアロゾル送達製品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20240208BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240208BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D1/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550304
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 IB2022051559
(87)【国際公開番号】W WO2022175925
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/152,140
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521190440
【氏名又は名称】エスダブリュエム ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファニ、ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ル・ベック、ラニグ
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA04
4B045AB11
(57)【要約】
本開示によれば、非燃焼加熱式スティックなどのエアロゾル送達製品への使用によく適した包装材料が提供される。本開示の包装材料は、充填材料粒子と組み合わされたセルロース繊維から作製された基材ウェブを含む。基材ウェブは、少なくともその一方の面を透気度低減組成物でコーティングするか、あるいは、難燃性塩で処理することができる。基材ウェブは、低燃性のエアロゾル送達製品を作製するために、所定の坪量、バルク、及び透気度を有するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非燃焼加熱式スティック用の包装材料であって、
セルロース系繊維と難燃性充填材料とを含有する基材ウェブであって、第1の面とその反対側の第2の面とを有する、該基材ウェブを含み、
前記難燃性充填材料は、前記基材ウェブに約15~55重量%の量で含有され、
前記基材ウェブは、約1.7cc/g未満のバルク、約30~85gsmの坪量、及び、約55mL/分以下の透気度を有する、包装材料。
【請求項2】
請求項1に記載の包装材料であって、
前記基材ウェブの前記第1の面に形成されたコーティングであって、透気度低減組成物を含有する、該コーティングをさらに含む、包装材料。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装材料であって、
前記難燃性充填材料は、ケイ酸塩粒子または粘土粒子を含む、包装材料。
【請求項4】
請求項1に記載の包装材料であって、
前記難燃性充填材料は、カオリン粒子を含む、包装材料。
【請求項5】
請求項1に記載の包装材料であって、
前記難燃性充填材料は、水酸化アルミニウム粒子を含む、包装材料。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の包装材料であって、
前記難燃性充填材料は、約0.1~30μm、または約2~15μmの平均粒径を有する、包装材料。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の包装材料であって、
前記基材ウェブは、カレンダ処理されている、包装材料。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の包装材料であって、
前記基材ウェブは、約1.3cc/g未満、または約1.1cc/g未満のバルクを有する、包装材料。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の包装材料であって、
前記基材ウェブは、約30mL/分未満、約20mL/分未満、約15mL/分未満、約10mL/分未満、または約5mL/分未満の透気度を有する、包装材料。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の包装材料であって、
前記基材ウェブは、約40~80gsmの坪量を有する、包装材料。
【請求項11】
請求項2に記載の包装材料であって、
前記透気度低減組成物を含有する前記コーティングは連続的に形成され、前記基材ウェブの前記第1の面の表面積の約20%超を覆う、包装材料。
【請求項12】
請求項2に記載の包装材料であって、
前記コーティングが形成された前記基材ウェブは、約20mL/分未満、約15mL/分未満、約10mL/分未満、または約5mL/分未満の透気度を有する、包装材料。
【請求項13】
請求項2または12に記載の包装材料であって、
前記コーティングは、前記コーティングが形成された領域において、約0.5~10gsmの坪量を有する、包装材料。
【請求項14】
請求項2、12、または13に記載の包装材料であって、
前記透気度低減組成物は、微結晶セルロース、アルギン酸塩、デンプン、カルボキシメチルセルロース、またはそれらの任意の組み合わせを含む、包装材料。
【請求項15】
請求項1または請求項6~14に記載の包装材料であって、
前記基材ウェブは、約45~75gsmの坪量を有し、
前記難燃性充填材料は、カオリン粒子、水酸化アルミニウム粒子、またはそれらの組み合わせを含む、包装材料。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載の包装材料であって、
当該包装材料は、単層である、包装材料。
【請求項17】
請求項1~15のいずれかに記載の包装材料であって、
当該包装材料は、複数の層を含み、
前記基材ウェブは、前記複数の層のうちの1つの層を構成する、包装材料。
【請求項18】
請求項1~17のいずれかに記載の包装材料であって、
リン系難燃剤をさらに含有する、包装材料。
【請求項19】
請求項18に記載の包装材料であって、
前記リン系難燃剤は、前記基材ウェブに含浸される、包装材料。
【請求項20】
請求項2に記載の包装材料であって、
前記コーティングは、リン系難燃剤をさらに含有する、包装材料。
【請求項21】
請求項18~20のいずれかに記載の包装材料であって、
前記リン系難燃剤は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、包装材料。
【請求項22】
非燃焼加熱式スティック用の包装材料であって、
セルロース系繊維と充填材料とを含有する基材ウェブであって、第1の面とその反対側の第2の面とを有する、該基材ウェブと、
前記基材ウェブの前記第1の面に形成されたコーティングであって、透気度低減組成物とリン系難燃剤とを含有する、該コーティングと、を含み、
前記充填材料は、前記基材ウェブに約5~55重量%の量で含有され、
前記基材ウェブは、約1.7cc/g未満のバルク、約30~85gsmの坪量、及び、約55mL/分以下の透気度を有する、包装材料。
【請求項23】
エアロゾル送達製品であって、
エアロゾル生成材料のカラムと、
請求項1~22のいずれかに記載の包装材料と、を含み、
前記エアロゾル生成材料の前記カラムが前記包装材料で包まれている、エアロゾル送達製品。
【請求項24】
請求項23に記載のエアロゾル送達製品であって、
前記エアロゾル生成材料は、タバコを含む、エアロゾル送達製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年2月22日出願の米国特許仮出願第63/152,140号に基づく優先権を主張するものである。上記出願の開示内容の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
タバコなどの喫煙物品は、従来、タバコのカラムを巻紙で包んで作製される。通常、喫煙物品は、その一方の端部に、喫煙物品を喫煙するためのフィルタを備える。フィルタは、白色の巻紙に接着されるチップペーパを使用して喫煙物品に取り付けられる。喫煙物品を構築するために使用される巻紙やチップペーパは、通常、木材または他のセルロース繊維から作製され、炭酸カルシウムなどの1種以上の充填材料(フィラー)を含むことができる。
【0003】
喫煙物品を喫煙すると、主流煙が生成され、フィルタを通して喫煙者に吸入される。主流煙は、味覚だけでなく嗅覚によっても感知される特定の風味を喫煙物品に付与する様々な成分を含むことができる。従来の喫煙物品では、主流煙に加えて、副流煙も生成される。喫煙者が吐き出す煙や副流煙を吸い込むことは、一般に、受動喫煙と呼ばれる。
【0004】
従来、当業者により、エアロゾルを生成することにより、受動喫煙を発生させることなく従来のタバコと同様の体験をユーザに提供する非燃焼加熱式タバコ製品が製造されている。このようなタイプの無煙製品は、一般に、非燃焼加熱式スティックと呼ばれる。非燃焼加熱式スティックをエアロゾル生成装置に入れ、低温で加熱することにより、スティックを燃焼させることなく、吸入可能なエアロゾルを生成することができる。例えば、非燃焼加熱式スティックは、燃焼させることなく加熱することによりエアロゾルを生成することができるタバコを含む。非燃焼加熱式スティックは、従来の喫煙物品と同様に、エアロゾル生成材料のカラムを包装材料(ラッパー)で包んだものを含む。エアロゾル生成材料は、紙巻きタバコと同様の様々なシートからの切断ストランド、ギャザーシート材料からの切断ストランド、または、単一シートからの切断ストランドなどの、様々な形態で作製することができる。非燃焼加熱式スティックは、該スティックを例えば約200~450°Cの低温に加熱する加熱装置内に入れられる。加熱装置は、例えば、電気素子を使用して、燃料を燃焼させるか、または化学反応を起こして、熱を生成する。
【0005】
従来の喫煙物品とは対照的に、非燃焼加熱式スティックは不燃性であるべきである。特に、非燃焼加熱式スティックは、直火または高温の加熱要素に曝されたときに、スティックの先端が点火した状態を維持できないようにすべきである。例えば、理想的には、非燃焼加熱式スティックは、従来のタバコのように火をつけて吸うことができないようにすべきである。加えて、非燃焼加熱式スティックは、加熱装置に入れたときに、燃焼生成物を大量に生成しないことが好ましい。さらに、現在、様々な政府規制により、非燃焼加熱式スティックは、従来のタバコとして使用できないことが求められている。
【0006】
上記の問題を解決するために、従来、非燃焼加熱式スティック用の包装材料は、ペーパ基材にアルミニウムをラミネートすることによって作製されていた。しかしながら、アルミニウムは、製品のコストを増大させる。また、アルミニウムは、生分解性ではない。
【0007】
上記の問題点を鑑みて、非燃焼加熱式スティック用の改良された包装材料が求められている。特に、非燃焼加熱式スティックを不燃性にすることができる改良された包装材料が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一般に、本開示は、非燃焼加熱式スティックなどのエアロゾル送達製品を作製するのに使用される包装材料(wrapper)に関する。一態様では、本開示の包装材料でタバコのカラムを包むことにより、そのカラムを従来の喫煙装置に入れて点火したときに不燃性の製品を構成することができる。本開示の包装材料は、主に生分解性材料から作製することができるため、環境に優しい。加えて、本開示の包装材料は、非燃焼加熱式スティックに含まれるエアロゾル生成材料のエアロゾル生成特性に悪影響を与えないように構成することができる。
【0009】
本開示によれば、不燃性製品を構成することができる包装材料を作製するために、包装材料の様々なパラメータを一定の許容範囲内に制御する。様々なパラメータの組み合わせを調節及び制御することによって、包装材料に所望の不燃性を付与できることが見出された。例えば、一実施形態では、包装材料は、難燃性充填材料とセルロース繊維とを含有するウェブを含む。ウェブ中に含まれる充填材料(filler)の量、ウェブの坪量、ウェブのバルク(bulk)、及び、ウェブの固有の透気度(permeability)により、非燃焼加熱式スティックまたは他のエアロゾル製品の作製に使用するのに特に適した包装材料が得られることが見出された。また、任意選択で、ウェブは、コーティング及び/またリン系難燃剤を含むことができる。あるいは、包装材料は、コーティングとリン系難燃剤とを含み、特定の特性を有するように作製される。リン系難燃剤は、ペーパ基材(ウェブ)に含浸させてもよいし、または、コーティングに組み込んでもよい。
【0010】
一態様では、本開示は、非燃焼加熱式スティックなどのエアロゾル送達製品用の包装材料に関する。本開示の包装材料は、セルロース繊維と難燃性充填材料と混合して構成した基材ウェブを含む。基材ウェブは、第1の面と、その反対側の第2の面とを有する。難燃性充填材料は、基材ウェブに、約15~55重量%、例えば約18~52重量%の量で含有される。一態様では、難燃性充填材料は、基材ウェブに、約50重量%未満の量で含有される。基材ウェブは、約2cc/g未満、例えば1.7cc/g未満、例えば1.5cc/g未満、例えば1.2cc/g未満、例えば1.1cc/g未満、または例えば1cc/g未満、かつ、約0.6cc超、例えば約0.7cc超のバルクを有する。一態様では、基材ウェブは、約0.85~1.05ccのバルクを有する。基材ウェブ(コーティングで覆われていない)は、約30~85gsm、例えば約40~80gsm、または例えば約45~75gsmの坪量を有する。
【0011】
基材ウェブは、約100mL/分未満、例えば85mL/分未満、例えば70mL/分未満、例えば55mL/分未満、例えば40mL/分未満、例えば30mL/分未満、例えば20mL/分未満、または例えば15mL/分未満の固有の透気度を有し得る。また、基材ウェブの固有の透気度は、5mL/分超、例えば10mL/分超、または例えば25mL/分超であり得る。
【0012】
基材ウェブは、約10CU(CU:コレスタ単位)未満、例えば約8CU未満、または例えば約5CU未満の固有の通気度(porosity)を有し得る。本明細書で使用するとき、「固有の」通気度または透気度とは、任意のコーティングまたは表面処理(例えば穿孔など)を施す前の基材ウェブの通気度または透気度を指す。
【0013】
本開示の包装材料は、任意選択で、基材ウェブの第1の面に形成されたコーティングをさらに含む。コーティングは、透気度低減組成物を含有する。透気度低減組成物は、微結晶セルロース、アルギン酸塩、デンプン、セルロース誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0014】
別の態様では、本開示の包装材料は、任意選択で、コーティングを含むかまたは含まない基材ウェブに含浸させたリン系難燃剤を含む。リン系難燃剤は、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸一アンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む。さらに別の実施形態では、リン系難燃剤は、基材ウェブに形成されたコーティングに組み込まれる。例えば、リン系難燃剤は、透気度低減組成物と組み合わされる。
【0015】
基材ウェブに含有される難燃性充填材料は、粘土粒子、ケイ酸塩粒子、金属水酸化物粒子などを含む。例えば、難燃性充填材料は、カオリン粒子、水酸化アルミニウム粒子、ケイ酸カルシウム粒子、またはそれらの任意の組み合わせを含む。難燃性充填材料は、約0.1~30μm、例えば約2~15μmの平均粒径を有する。本明細書で使用するとき、難燃性充填材料の粒径は、光散乱またはレーザ回折によって測定することができる。そのような粒径測定装置は、ホリバ・サイエンティフィック社(Horiba Scientific)からLA-960粒径測定装置として市販されている。
【0016】
透気度低減組成物のコーティングは、連続的なコーティングでもよいし、または、不連続的なコーティングであってもよい。本明細書で使用するとき、連続的なコーティングとは、基材ウェブ上のそれが形成された領域において連続しているコーティングである。一方、不連続的なコーティングとは、基材ウェブ上のそれが形成された領域において連続していないコーティングである。例えば、コーティング組成物によって形成された、互いに離間した複数の周方向バンド領域は、不連続コーティングである。
【0017】
コーティングが連続的なコーティングである場合、そのコーティングは、一般に、基材ウェブの第1の面の表面積の約20%超、例えば約40%超、例えば約65%超、例えば約80%超、例えば約85%超、例えば約90%超、または例えば約95%超を被覆し得る。コーティングは、基材ウェブ上のそれが形成された領域において、約0.5~10gsmの坪量を有し得る。
【0018】
コーティングで被覆された基材ウェブは、約25mL/分未満、例えば約18mL/分未満、例えば約15mL/分未満、例えば約12mL/分未満、例えば約10mL/分未満、例えば約8mL/分未満、例えば約6mL/分未満、または例えば約4mL/分未満の透気度を有し得る。また、基材ウェブの透気度は、約0mL/分超、例えば約0.1mL/分超、または例えば約1mL/分超であり得る。
【0019】
コーティングで被覆された基材ウェブは、約3CU未満、例えば約2CU未満の通気度を有し得る。
【0020】
リン系難燃剤を含む場合、リン系難燃剤は、本開示の包装材料の表面の実質的な全領域、または、選択された領域に含浸させることができる。例えば、リン系難燃剤は、本開示の包装材料のバンド領域または一部に含浸させることができる(例えば、或るパターンをなして適用される)。
【0021】
本開示の包装材料にリン系難燃剤が含浸される場合、リン系難燃剤は、基材ウェブの表面積の約20%超、例えば約40%超、例えば約65%超、例えば約80%超、例えば約85%超、例えば約90%超、または例えば約95%超に含浸され得る。リン系難燃剤は、本開示の包装材料に、約0.5~10gsmの坪量で含浸され得る。
【0022】
さらに別の実施形態では、リン系難燃剤を透気度低減組成物に組み込み、コーティングとして包装材料に適用することができる。コーティングは、天然ポリマーまたは合成ポリマーなどの透気度低減組成物と、リン系難燃剤とを含有することができる。包装材料に適用し乾燥させたコーティング中に、リン系難燃剤は、一般に、約0.5重量%超、例えば約1重量%超、例えば約2重量%超、例えば約5重量%超、例えば約10重量%超、例えば約20重量%超、または例えば約30重量%超の量、かつ、例えば約50重量%未満、例えば約40重量%未満、または例えば約30重量%未満の量で含有され得る。一方、透気度低減組成物は、乾燥したコーティング中に、約10~99重量%(その間の1重量%のすべての増分を含む)の量で含有され得る。
【0023】
本開示の包装材料がリン系難燃剤を含む場合、本開示の包装材料は、炭酸カルシウムや酸化マグネシウムなどの充填材料を含み、難燃性充填材料を含まなくてもよい。
【0024】
コーティングで覆われていない基材ウェブは、約0.8cm/s未満、例えば約0.7cm/s未満、または例えば約0.6cm/s未満の拡散率を有し得る。一方、コーティングで覆われた基材ウェブは、約0.2cm/s未満、例えば約0.15cm/s未満、または例えば約0.1cm/s未満の拡散率を有し得る。
【0025】
本開示の包装材料(ラッパー)は、単層(単層ラップ)であってもよいし、または、複数の層を含んでいてもよい。例えば、本開示の包装材料は、2つの層(二層ラップ)を含むことができる。本開示の包装材料が複数の層を含む場合、本開示の基材ウェブは、その複数の層のうちの1つの層を構成する。一態様では、例えば、基材ウェブは、二層ラップの内側層を構成してもよいし、または、二層ラップの外側層を構成してもよい。
【0026】
また、本開示は、非燃焼加熱式スティックなどのエアロゾル送達製品に関する。本開示の非燃焼加熱式スティックは、エアロゾル生成材料のカラムを含む。上述の本開示の包装材料は、エアロゾル生成材料のカラムを包む包装材料を含む。エアロゾル生成材料は、任意の適切な植物から作製することができる。例えば、一実施形態では、エアロゾル生成材料は、刻みタバコ、キャストリーフタバコ、または、製紙プロセスによって作製された再構成されたタバコ葉などのタバコである。エアロゾル生成材料は、整列されたまたは整列されていない切断ストランド、圧着シート、顆粒、ビーズ、スクラップ、または円筒形などの任意の適切な形態であってよい。エアロゾル生成材料は、加熱時にエアロゾルを生成するための保湿剤と組み合わせてもよい。本開示の包装材料を含む非燃焼加熱式スティックを所定の燃焼試験に従って試験したとき、その非燃焼加熱式スティックは不燃性を示す。非燃焼加熱式スティックは、約5~6mm、または約6.5~9.5mmの直径を有する場合に、上記の燃焼試験に合格することができる。
【0027】
本開示の他の特徴及び態様は、以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示の完全かつ実現可能な開示が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0029】
図1図1は、本開示による、非燃焼加熱式スティックが装填された非燃焼加熱式装置の一実施形態の平面図である。
図2図2は、非燃焼加熱式スティックが装填された非燃焼加熱式装置の別の実施形態の平面図であり、冷却機能及びフィルタ機能は加熱装置の一部である。
図3図3は、非燃焼加熱式スティックが装填された非燃焼加熱式装置のさらに別の実施形態の平面図であり、非燃焼加熱式スティックは、電気加熱要素ではなく、コールチップによって加熱される。
【0030】
本明細書及び図面において繰り返し用いられる参照符号は、本発明の同一または類似の特徴または要素を表すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、例示的な実施形態の説明のみを目的としており、本開示のより広範な態様を限定することを意図するものではないことは、当業者には理解できるであろう。
【0032】
一般に、本開示は、様々な種類のエアロゾル送達製品に組み込むことができる紙製品に関する。そのようなエアロゾル送達製品としては、非燃焼加熱式スティック、喫煙物品、タバコ、手巻きタバコなどが挙げられる。ある用途では、本開示の包装材料は、低燃性の製品を構成することができる。例えば、本開示の紙製品は、不燃性の非燃焼加熱式スティックの作製における、包装材料としての使用によく適している。
【0033】
セルロース系繊維から包装材料を作製することでエアロゾル送達製品の燃焼性を低くすることができるが、これには問題があった。従来、低燃性の包装材料を作製するために、紙製の包装材料は、アルミニウムフィルムなどの金属フィルムと組み合わされていた。しかしながら、本開示によれば、金属箔層を含まずに、低燃性のエアロゾル送達製品を作製することができる包装材料が提供される。包装材料の様々なパラメータの組み合わせを調節及び制御することにより、所望の特性を有する包装材料を作製することができる。例えば、本開示の包装材料は、難燃性充填材料を特定の量で含有するセルロース系基材ウェブから構成される。また、基材ウェブは、比較的高い坪量が有し、かつ低いバルク特性を有するように形成される。加えて、基材ウェブは、比較的低い固有の透気度を有し、任意選択で透気度低減組成物によって被覆される。
【0034】
特に有利な点は、非燃焼加熱式スティックにおけるエアロゾルの発生を妨げることなく、上記のような低燃性の包装材料を構成できることである。実際、本開示の包装材料は、従来の低燃性包装材料よりも優れた様々な利点及び利益を提供することができる。例えば、本開示の包装材料は、従来の様々な包装材料と比較して、非燃焼加熱式スティックの少なくとも1つの特性を向上させることができる。
【0035】
加えて、本開示のペーパ製品は、主に生分解性材料から作製することができ、これにより、非燃焼加熱の用途には望ましい不燃性を提供するとともに、包装材料を環境に優しいものにすることができる。
【0036】
図1を参照すると、本開示に従って使用することができるエアロゾル生成装置の一実施形態が示されている。エアロゾル生成装置10は、非燃焼加熱式スティック14を受容するための通路または開口12を含む。エアロゾル生成装置10は、非燃焼加熱式スティック14に含有されるエアロゾル生成材料を燃焼させることなく加熱する加熱装置16を含む。加熱装置16には、非燃焼加熱式スティック14を、エアロゾルを生成するのに十分な温度に加熱することができる任意の適切な加熱装置が含まれる。一態様では、加熱装置16は、コールチップ(coal tip)である。加熱装置16は、例えば、一実施形態では、エアロゾル生成材料の周囲または内部に配置され、電池によって駆動される、単一または複数の加熱要素から形成された電気加熱要素から構成される。あるいは、加熱装置16は、ブタンなどの燃料を燃焼させて熱を発生させるように構成してもよい。さらに別の実施形態では、加熱装置16は、複数の物質を互いに化学反応させて熱を発生させるように構成してもよい。
【0037】
図1に示すように、非燃焼加熱式スティック14は、従来のタバコと同様の外観を有し得る。所望であれば、非燃焼加熱式スティック14は、マウスピースまたはフィルタ20を含むことができる。フィルタ20は、セルロースアセテートのトウ(tow)から作製することができる。フィルタ20に加えて、非燃焼加熱式スティック14は、エアロゾル冷却セグメント24を含むことができる。エアロゾル冷却セグメント24は、非燃焼加熱式スティック14から生成されたエアロゾルの温度を下げるように設計されている。エアロゾル冷却セグメント24は、酢酸セルロースや捲縮ポリ乳酸(PLA)フィルムなどの様々な材料、または、穿孔された紙管から作製することができる。
【0038】
非燃焼加熱式スティック14は、エアロゾル生成材料22のカラムをさらに含む。例えば、エアロゾル生成材料22は、タバコ材料などの任意の適切な植物材料と組み合わせた保湿剤であり得る。タバコ材料は、単一の種類のタバコであってもよいし、または、様々な種類のタバコをブレンドしたものであってもよい。エアロゾル生成材料は、天然葉タバコ、キャストリーフタバコ、膨張させたタバコ、均質化タバコ、スラリータバコ、製紙再構成タバコ、またはそれらの任意の組み合わせから作製することができる。また、タバコ材料は、充填材料粒子などの他の様々な非タバコ材料と組み合わせることもできる。
【0039】
エアロゾル生成材料は、タバコ材料に加えて、様々な他の材料、例えば、様々な他の植物材料なども含むことができる。例えば、他の実施形態では、エアロゾル生成材料は、ヘンプ植物の芽や花を含むヘンプ(hemp)から作製することができる。さらに別の実施形態では、エアロゾル生成材料は、他の非タバコ植物材料、例えば、様々なハーブや花など(例えば、植物ブレンド)を含むことができる。
【0040】
エアロゾル生成材料は、整列されたまたは整列されていないカットストランド、捲縮シート、顆粒、ビーズ、スクラップ、または円筒形などの任意の適切な形態であってよい。
【0041】
本開示によれば、非燃焼加熱式スティック14は、少なくともエアロゾル生成材料22を覆う包装材料26をさらに含む。包装材料26は、本開示に従って作製され、低燃性を有する。包装材料26は、単層のペーパ(紙)であってもよいし、二層以上のペーパを含んでもよい。任意選択で、非燃焼加熱式スティック14は、フィルタ20、あるいは、エアロゾル冷却セグメント24を覆うチップペーパを含むことができる。
【0042】
図2を参照すると、エアロゾル生成装置110の別の実施形態が示されている。本実施形態では、フィルタ120及びエアロゾル冷却セグメント124は、エアロゾル生成装置110に組み込まれている。エアロゾル生成装置110は、使用者がエアロゾルを吸入することができる開口部112またはマウスピースを含む。エアロゾル生成装置110は、該装置に装填された非燃焼加熱式スティック114を、燃焼させることなく加熱する加熱装置116を含む。この実施形態では、非燃焼加熱式スティック114は、エアロゾル冷却セグメントまたはフィルタを含まない。その代わりに、非燃焼加熱式スティック114は、本開示の包装材料126によって包まれたエアロゾル生成材料122のカラムを含む。
【0043】
図3を参照すると、エアロゾル生成装置210のさらに別の実施形態が示されている。この実施形態では、非燃焼加熱式スティック14は、図1に示す実施形態と実質的に同じである。したがって、同様の参照番号は、同様の要素を示すために用いられる。非燃焼加熱式スティック14は、フィルタ20と、エアロゾル冷却セグメント24と、エアロゾル生成材料22とを含む。エアロゾル生成材料22は、本開示に従って作製された包装材料26によって包まれている。この実施形態では、エアロゾル生成装置210は、非燃焼加熱式スティック14を燃焼させることなく加熱する加熱要素、例えば、コールシステム(coal system)などを含む。
【0044】
エアロゾル生成材料は、様々な用途のために保湿剤を含有することができる。使用することができる保湿剤には、ポリオール、非ポリオール、またはそれらの組み合わせが含まれる。ポリオール保湿剤としては、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。非ポリオール保湿剤としては、乳酸、二酢酸グリセリル、三酢酸グリセリル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。エアロゾル生成材料は、1種以上の保湿剤を、約3~50重量%(その間の1重量%のすべての増分を含む)の量で含有し得る。例えば、非燃焼加熱式スティックを作製する場合、エアロゾル生成材料は、保湿剤を、約5重量%超、例えば約8重量%超、例えば約10重量%超、例えば約12重量%超、例えば約15重量%超、または例えば約17重量%超の量、かつ、一般に、約50重量%未満、例えば約30重量%未満、例えば約25重量%未満、または例えば約20重量%未満の量で含有し得る。
【0045】
本開示によれば、エアロゾル生成材料は、包装材料によって包まれる。エアロゾル生成材料を包装材料で包むと、非燃焼加熱式スティックは、一般に、約4~95mm、例えば約8~30mmの周方向長さを有し得る。非燃焼加熱式スティックの長さは、一般に、約1~25cm、例えば約12~20cmであり得る。非燃焼加熱式スティックの直径は、約4~30mm、例えば約5~9mmであり得る。一態様では、例えば、非燃焼加熱式スティックの直径は、約5~6mmであり得る。別の実施形態では、非燃焼加熱式スティックの直径は、約6.5~7.5mmであり得る。
【0046】
図示のように、本開示の包装材料は、様々なパラメータ及び特性の組み合わせを有して形成される。本開示の包装材料は、難燃性充填材料であり得る充填材料を含み、選択された坪量、バルク、透気度、及び充填材料の量を有するセルロース系基材ウェブから形成される。加えて、本開示の包装材料は、任意選択で、包装材料の透気度を低減させる透気度低減組成物のコーティングを含むことができる。また、本開示の包装材料は、任意選択で、リン系難燃剤を含むことができる。リン系難燃剤は、包装材料に含有させてもよいし、または、透気度低減組成物のコーティングに含有させてもよい。基材ウェブの形成方法に起因して、コーティング及び基材ウェブは、所望の低燃性を有する包装材料の作製に関して相乗的な関係があると考えられる。
【0047】
基材ウェブの作製に使用されるセルロース繊維は、針葉樹繊維、広葉樹繊維、靭皮繊維、またはそれらの任意の組み合わせなどから形成することができる。使用することができる靭皮繊維としては、例えば、亜麻繊維、麻繊維、またはそれらの組み合わせが挙げられる。一般に、基材ウェブを作製するために、任意の適切なセルロース繊維を使用することができる。セルロース繊維を叩解する程度は、特定の用途に応じて異なる。一態様では、セルロース繊維は高度に叩解されており、これにより、透気度が低いウェブが作製される。
【0048】
一実施形態では、基材ウェブを作製するために、セルロース繊維を難燃性充填材料と組み合わせて水性懸濁液を形成する。次いで、水性懸濁液を、ヘッドボックスを介して供給し、移動するフォーミングファブリック上に堆積させて初期ウェブを形成し、その後、初期ウェブを乾燥させる。
【0049】
本開示の基材ウェブに組み込まれる難燃性充填材料は、低燃性を有する粒子で構成される任意の適切な充填材料であり得る。例えば、難燃性充填材料は、熱を吸収すること、熱を反射すること、または、水を放出することによって、燃焼性を低下させることができる。本開示に従って使用することができる充填材料粒子の例としては、粘土粒子、金属水酸化物粒子、金属酸化物粒子、炭酸塩粒子、またはそれらの任意の組み合わせなどが挙げられる。一態様では、例えば、充填材料粒子は、粘土粒子を含み得る。本開示における使用に特に好適な粘土粒子としては、カオリン粒子が挙げられる。あるいは、充填材料粒子は、ケイ酸塩粒子を含み得る(例えば、ケイ酸塩粒子は粘土粒子とは見なされない)。例えば、ケイ酸塩粒子は、ケイ酸カルシウム粒子を含み得る。また、金属水酸化物粒子も本開示における使用に好適である。例えば、一態様では、充填材料粒子は、水酸化アルミニウム粒子を含み得る。他の実施形態では、カオリン粒子を、水酸化アルミニウム粒子及び/またはケイ酸塩粒子と組み合わせてもよい。一態様では、充填材料粒子は、炭酸カルシウム粒子、酸化マグネシウム粒子、塩化カルシウム粒子などをさらに含み得る。他の難燃性充填材料粒子としては、アルミナ三水和物粒子、水酸化マグネシウム粒子、ネスケホナイト粒子、塩基性炭酸マグネシウム粒子、ハイドロマグネサイト粒子、ドーソナイトナトリウム粒子、ベーマイト粒子、リン酸マグネシウム八水和物粒子、硫酸カルシウム二水和物粒子、及び、それらの任意の組み合わせが挙げられる。充填材料粒子は、一般に、約0.1μm超、例えば約2μm超、または例えば約3μm超、かつ、一般に、約30μm未満、例えば約20μm未満、または例えば約10μm未満の平均粒径を有し得る。
【0050】
基材ウェブに組み込まれる充填材料粒子の量は、(コーティングされていないウェブに基づいて)一般に、約15重量%超、例えば約18重量%超である。充填材料粒子は、一般に、約55重量%未満、例えば約52重量%未満、または例えば約50重量%未満の量で基材ウェブに含有される。一態様では、充填材料粒子は、約15~25重量%(その間の1重量%のすべての増分を含む)の量で基材ウェブに含有され得る。あるいは、充填材料粒子は、約25~50重量%(その間の1重量%のすべての増分を含む)の量で基材ウェブに含有され得る。基材ウェブに組み込まれる充填材料粒子の種類及び量は、基材ウェブの他の様々な特性及び物理的特性、基材ウェブに適用されるコーティングの種類、非燃焼加熱式スティックの直径、及び非燃焼加熱式スティックに組み込まれる充填材料の種類に依存する。
【0051】
基材ウェブの坪量は、約30~100gsmであり得る(その間の1重量%のすべての増分を含む)。例えば、基材ウェブの坪量は、約30~85gsm、例えば約40~80gsm、または例えば約45~75gsmであり得る。一態様では、基材ウェブの坪量は、約33~45gsmであり得る。あるいは、基材ウェブの坪量は、約45~60gsmであり得る。さらに別の実施形態では、基材ウェブの坪量は、約60~85gsm、例えば約65~75gsmであり得る。坪量は、ISO 536:2012の試験方法に従って測定することができる。基材ウェブは、測定前に、23°C、相対湿度50%でコンディショニングされる。
【0052】
上記の範囲内の坪量を有することに加えて、本開示の基材ウェブは、比較的低いバルクを有する。例えば、バルクは、約2.0cc/g未満、例えば約1.7cc/g未満、例えば約1.5cc/g未満、例えば約1.2cc/g未満、例えば約1.1cc/g未満、例えば約1cc/g未満、または例えば約0.95cc/g未満であり得る。バルクは、一般に、約0.6cc/g超、例えば約0.7cc/g超、または例えば約0.75cc/g超であり得る。バルクは、厚さ及び坪量から測定される。厚さは、ISO534:2011の試験方法に従って測定される。ウェブは、測定前に、23°C、相対湿度50%でコンディショニングされる。
【0053】
上記のような坪量及びバルクを有する基材ウェブを作製するために、様々な方法及び技術を用いることができる。一態様では、基材ウェブは、ウェットレイド法を用いて形成することができる。ウェブのバルクを低くするために、ウェブ形成中に、ウェブを圧縮するために、ウェブのドレイン中にウェブに大きな吸引力を加えることができる。さらに、ウェブの乾燥中に、ウェブのバルクを低くするために、ウェブを乾燥シリンダーに押し付けることができる。低バルク特性で形成されることに加えて、本開示の基材ウェブは、バルクを低くするためにカレンダ処理することもできる。例えば、カレンダ処理は、約800~1,200psi、例えば約500~2,000psiの圧力で行われ得る。
【0054】
また、基材ウェブの固有の透気度(permeability)は、約100mL/分未満、例えば約85mL/分未満、例えば約70mL/分未満、例えば約55mL/分未満、例えば約40mL/分未満、例えば約30mL/分未満、例えば約20mL/分未満、または例えば約15mL/分未満であり得る。本明細書で使用するとき、基材ウェブの「固有の」透気度とは、例えば、透気度低減組成物の適用前などのコーティングが形成されていない状態における基材ウェブの透気度を指す。また、基材ウェブの固有の透気度は、約5mL/分超、例えば約10mL/分超、または例えば約25mL/分超であり得る。透気度は、ISO 5636-3-2013の試験方法に従って測定することができ、ベントセン透気度とも呼ばれる。透気度は、ローレンツェン&ベットレー社(Lorentzen & Wettre Products)製のL&W空気透気度試験機(L & W Air Permeance Tester)を使用して測定することができる。
【0055】
基材ウェブの固有の通気度(porosity)は、一般に、約15CU未満である。本明細書で使用するとき、基材ウェブの「固有の」通気度または透気度とは、コーティングが形成されていない状態における基材ウェブの通気度を指す。基材ウェブの通気度または透気度は、様々な技術を用いて調節することができる。例えば、基材ウェブの通気度は、セルロース繊維を叩解する量を増加させること、及び/または、1種以上の充填材料の粒径を減少させることによって、低下させることができる。一態様では、基材ウェブの通気度を比較的低くすることにより、包装材料の不燃性をさらに向上させることができる。例えば、通気度は、約9CU未満、例えば約8CU未満、例えば約7CU未満、例えば約6CU未満、例えば約5CU未満、または例えば約4CU未満であり得る。また、通気度は、一般に、約0CU以上、例えば約2CU超であり得る。
【0056】
また、本開示の基材ウェブは、特性または特徴を改善するために、処理を施してもよいし、または、様々な添加剤を含めてもよい。あるいは、本開示の包装材料は、さらなる添加物や成分を含めることなく構築してもよい。例えば、本開示の包装材料は、カルボン酸のアルカリ金属塩、カルボン酸のアルカリ土類金属塩、またはそれらの組み合わせなどの燃焼制御剤を含んでいなくてもよい。
【0057】
本開示によれば、上記の基材ウェブは、任意選択で、透気度低減組成物でさらに処理することができる。例えば、基材ウェブの一方の面または両方の面に、透気度低減組成物をコーティングしてもよい。
【0058】
一般に、任意の適切な透気度低減組成物を基材ウェブに適用することができる。一実施形態では、例えば、透気度低減組成物は、天然ポリマーまたは合成ポリマーを含む。例えば、本開示に従って使用することができる透気度低減組成物としては、アルギン酸塩、グアーガム、ペクチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、デンプン、デンプン誘導体、及び、それらの任意の組み合わせが挙げられる。また、透気度低減組成物は、他のセルロース系材料、例えば、セルロース粒子、セルロース繊維、または微結晶セルロース(例えば、コロイド微結晶セルロース(ゲル))などを含むこともできる。
【0059】
特定の一実施形態では、透気度低減組成物は、アルギン酸塩を、単独で、またはデンプンと組み合わせて含み得る。一般に、アルギン酸塩は、褐藻類の褐海藻中に、カルシウム、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウムの不溶性混合塩として含まれる、酸性の多糖類またはガムの誘導体である。一般的に言えば、これらの誘導体は、D-マンヌロン酸及びL-グルロン酸の様々な割合からなる高分子量ポリサッカリドのカルシウム、ナトリウム、カリウム、及び/またはマグネシウムの塩である。アルギン酸の塩または誘導体の例としては、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、及び/またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0060】
一実施形態では、比較的低分子量のアルギン酸塩が使用される。例えば、アルギン酸塩は、25°Cで水溶液に3重量%の量で含有される場合、約500cP未満の粘度を有し得る。より詳細には、アルギン酸塩は、上記の条件で250cP未満の粘度、特に100cP未満の粘度、または、一実施形態では約20~60cPの粘度を有し得る。本明細書で使用するとき、粘度は、粘度に従って適切なスピンドルを有するブルックフィールドLVF粘度計によって測定される。上記の低粘度レベルでは、アルギン酸塩組成物は、より高い固形分含有量で形成されるが、それでも、従来の技術を用いて組成物を基材ウェブに適用することを可能にするのに十分に低い溶液粘度で形成することができる。例えば、本開示に従って作製されるアルギン酸塩溶液の固形分含有量は、約6重量%超、特に約10重量%超、より具体的には約10~20重量%であり得る。
【0061】
上記の固形分含有量では、アルギン酸塩組成物の溶液粘度は、約250cP超、好ましくは約500cP超、より好ましくは約800cP超、または、一実施形態では、25°Cで約1,000cP超であり得る。一般に、アルギン酸塩組成物の溶液粘度は、該組成物を基材ウェブに適用する方法に応じて調節することができる。例えば、アルギン酸塩組成物の溶液粘度は、該組成物がペーパ(紙)にスプレーされるか、または、ペーパに印刷されるかに応じて調節することができる。
【0062】
他の実施形態では、用途に応じて、比較的高分子量のアルギン酸塩を使用してもよいことを理解されたい。例えば、アルギン酸塩は、25°Cで水溶液中に3重量%の量で含有される場合、約500cPを超える粘度を有し得る。
【0063】
別の実施形態では、透気度低減組成物は、デンプン誘導体などのデンプンを含み得る。デンプンは、アミラムとも呼ばれ、高分子炭水化物である。
【0064】
さらに別の実施形態では、透気度低減組成物は、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体であり得る。
【0065】
使用することができる他のセルロース材料としては、セルロースラリーや微結晶セルロースなどのセルロースゲルが挙げられる。基材ウェブに適用されるセルロース材料は、繊維状セルロース、1種以上の充填材料、及び/またはセルロース粒子を含み得る。本明細書で使用するとき、セルロース繊維及びセルロース粒子は、カルボキシメチルセルロースなどの誘導体化セルロースとは区別される。例えば、セルロース繊維やセルロース粒子は、完全な水溶性ではない。
【0066】
一実施形態では、微結晶セルロースなどのセルロース材料は、上記の他の低延焼性物質の1つ、例えば、アルギン酸塩、デンプン、またはそれらの混合物などと組み合わせることができる。
【0067】
基材ウェブに適用される透気度低減組成物は、アルギン酸塩、デンプン、グアーガム、ペクチン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体、微結晶セルロース、セルロースの繊維もしくは粒子、デンプン誘導体、またはそれらの任意の組み合わせに加えて、他の様々な成分を含有することができる。例えば、一実施形態では、上述のように、透気度低減組成物は充填材料を含有することができる。充填材料は、例えば、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、グルコン酸カルシウムなどであり得る。カルシウム化合物に加えて、酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物や、粘土粒子などの他の様々な粒子を用いることができる。
【0068】
一実施形態では、透気度低減組成物はまた、リン系難燃剤を含有することができる。一般に、有機リン化合物などの任意の適切なリン系難燃剤を、透気度低減組成物から形成されたコーティングに組み込むことができる。コーティングに組み込む場合、リン系難燃剤は、水溶性であってもよいし水不溶性であってもよい。一態様では、リン系難燃剤は、リン酸塩、例えば、アルカリ塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、他の金属塩、及びそれらの任意の組み合わせなどであり得る。リン酸塩系難燃剤は、一リン酸塩、二リン酸塩、またはポリリン酸塩であり得る。さらに別の態様では、リン酸塩系難燃剤は、リン酸水素塩であり得る。例えば、リン系難燃剤としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及びリン酸アンモニウムなどが挙げられる。一態様では、リン系難燃剤は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、及び/またはトリカルボン酸のリン塩と、少なくとも1つのポリリン酸、ピロリン酸、及び/またはリン酸であり得る。さらに別の態様では、リン系難燃剤は、リン酸塩を形成する水酸化物であり得る。さらに別の実施形態では、リン系難燃剤は、リン酸化亜麻仁油またはリン酸化コーン油で修飾されたセルロースであり得る。
【0069】
リン系難燃剤の具体例としては、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。リン系難燃剤のさらに別の例としては、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、及び/またはポリリン酸アンモニウムが挙げられる。
【0070】
1種以上のリン系難燃剤を透気度低減組成物に組み込むことができ、そのような組成物から形成された乾燥コーティングは、1種以上のリン系難燃剤を、約0.5重量%超、例えば約1重量%超、例えば約2重量%超、例えば約3重量%超、例えば約5重量%超、例えば約10重量%超、例えば約15重量%超、例えば約20重量%超、例えば約25重量%超、例えば約30重量%超、例えば約35重量%超、例えば約40重量%超、または例えば約45重量%超の量で含有される。また、1種以上のリン系難燃剤は、乾燥したコーティング中に、一般に、約55%未満、例えば約50%未満、例えば約40%未満、例えば約30%未満、例えば約20%未満、例えば約10%未満、例えば約8%未満、例えば約5%未満、または例えば約3%未満の量で含有される。
【0071】
浸透性低下組成物で形成されたコーティングは、乾燥後、一般に、1種以上の透気度低減組成物を約3~100重量%(その間の1重量%のすべての増分を含む)の量で含有することができる。例えば、1種以上の透気度低減組成物は、乾燥したコーティング中に、約10重量%超、例えば約20重量%超、例えば約30重量%超、例えば約40重量%超、例えば約50重量%超、例えば約60重量%超、または例えば約70重量%超、かつ、一般に、約90重量%未満、例えば約80重量%未満、例えば約70重量%未満、例えば約60重量%未満、または例えば約50重量%未満の量で含有され得る。
【0072】
一実施形態では、透気度低減組成物は、水性であり得る。特に、透気度低減組成物は、水性分散液、水性ゲル、または水溶液を含み得る。あるいは、紙製の包装材料への適用前の透気度低減組成物は、非水性ゲル、溶液、または分散液を含み得る。この実施形態では、例えば、透気度低減組成物を包装材料に適用するためのアルコールが存在してもよい。
【0073】
コーティングを形成するために、任意の適切な技術を用いて、透気度低減組成物を基材ウェブに適用することができる。例えば、透気度低減組成物は、スプレー、ブラシング、可動オリフィスによる適用、または、印刷によって、基材ウェブに適用することができる。一態様では、透気度低減組成物は、グラビア印刷を用いて、基材ウェブに適用される。コーティングの形成は、透気度低減組成物を1回のパス操作で基材ウェブ上に適用するか、または複数回のパス操作で基材ウェブ上に適用することによって行うことができる。
【0074】
基材ウェブの一方の面に透気度低減組成物のコーティングを形成する量は、用途に応じて異なり得る。一実施形態では、基材ウェブの表面に、透気度低減組成物の連続的なコーティングが形成される。例えば、コーティングは、基材ウェブの一方の面の表面積の約20%超、例えば約40%超、例えば約50%超、例えば約65%超、例えば約80%超、例えば約85%超、例えば約90%超、例えば約95%超、または例えば約98%超を覆い得る。特定の一実施形態では、透気度低減組成物は、基材ウェブの一方の面の表面積の100%を覆い得る。
【0075】
あるいは、コーティングは、基材ウェブの一方の面の別個の領域に形成してもよい。この場合、基材ウェブの表面は、透気度低減組成物が適用されたコーティング領域と、透気度低減組成物が適用されていない非コーティング領域とを含むこととなる。例えば、透気度低減組成物は、基材ウェブの表面に、任意の特定のパターンで適用することができる。例えば、一実施形態では、透気度低減組成物は、約3~20mmの幅を有する周方向バンドの形態で基材ウェブに適用することができる。不連続的に適用される場合、透気度低減組成物は、基材ウェブの一方の面の表面積の約20%超、例えば約30%超、例えば約40%超、例えば約50%超、例えば約60%超、または例えば約70%超を覆い得る。あるいは、不連続的に適用される場合、透気度低減組成物は、基材ウェブの一方の面の表面積の約90%未満、例えば約80%未満を覆い得る。
【0076】
一般に、透気度低減組成物は、(乾燥コーティング重量で)約0.5gsm超の坪量で基材ウェブに適用され得る。上記の坪量は、基材ウェブにコーティングが形成された領域に関する。例えば、コーティングの坪量は、約1gsm超、例えば約4gsm超、例えば約6gsm超、または例えば約8gsm超、かつ、一般に、約10gsm未満、例えば約7gsm未満、または例えば約5gsm未満であり得る。一実施形態では、コーティングは、約1~5gsmの坪量を有する(基材ウェブに適用される場合)。
【0077】
透気度低減組成物のコーティングが形成された基材ウェブまたは包装材料は、透気度低減組成物による被覆領域内で比較的低い透気度を有する。例えば、被覆領域内では、基材ウェブの透気度は、約25mL/分未満、例えば約20mL/分未満、例えば約15mL/分未満、例えば約10mL/分未満、または例えば約5mL/分未満、かつ、一般に、約0mL/分超、例えば0.1mL/分超、または例えば1mL/分超であり得る。
【0078】
被覆領域内では、基材ウェブの通気度は、約3CU未満、例えば約2CU未満であり得る。
【0079】
基材ウェブまたは包装材料の被覆領域は、比較的低い通気度を有することに加えて、比較的低い拡散率も有する。拡散率は、室温(23°C)で測定される。一般に、基材ウェブまたは包装材料の被覆領域の23°Cにおける拡散率は、約0.2cm/s未満、例えば約0.15cm/s未満、例えば約0.1cm/s未満、例えば約0.08cm/s未満、または例えば約0.07cm/s未満である。また、被覆領域における拡散率は、0cm/sまたは0.02cm/s超であり、一態様では約0.1cm/s超である。拡散率は、Sodim社製のCO拡散率テスタを使用して測定される。コーティングされていないペーパ(紙)の拡散率は、一般に、約0.3cm/s超、例えば約0.4cm/s超、または例えば約0.5cm/s超であり、かつ、一般に、約0.8cm/s未満、例えば約0.7cm/s未満、または例えば約0.6cm/s未満であり得る。
【0080】
本開示に従って作製されたペーパ(紙)は、非燃焼加熱式スティック用の包装材料としての使用によく適している。上述のように、本開示のペーパは、不燃性を有するように構成される。本開示のペーパを包装材料として使用する場合、包装材料は、本開示のペーパから作製された単層(単層ラップ)であってもよいし、または、2つの層(二層ラップ)などの複数の層を含んでもよい。例えば、一実施形態では、包装材料は、内層と、内層を取り囲む外層との2つの層を含み、本開示のペーパは、包装材料の内層を構成する。あるいは、本開示のペーパは、包装材料の外層を構成してもよい。2層構造で使用される場合、本開示の包装材料は、坪量を減少させることができる。例えば、基材ウェブの坪量は、約20~100gsm(その間の1重量%のすべての増分を含む)であり得る。例えば、坪量は、約20~80gsmであり得る。
【0081】
2つ層を含む包装材料を形成するために本開示のペーパと共に使用される紙製の包装材料は、特定の状況及び所望する結果に応じて異なり得る。例えば、反対側の層は、セルロース系繊維から形成することができ、かつ、炭酸カルシウムや酸化マグネシウムから形成された白色の充填材料などの充填材料を含有することができる。また、本開示のペーパは、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、またはそれらの組み合わせなどの充填材料を含むことができる。また、本開示のペーパに、蛍光増白剤を組み込んでもよい。
【0082】
本開示の包装材料を非燃焼加熱式スティックに組み込んだ後、非燃焼加熱式スティックの燃焼性を試験した。
【0083】
さらに別の実施形態では、包装材料に適用されたコーティングに組み込まれる代わりに、包装材料を形成するために使用されるセルロース繊維と組み合わせることによって、包装材料の厚さ全体にリン系難燃剤を組み込むことができる。例えば、一実施形態では、1種以上のリン系難燃剤を包装材料に含浸させることができる。包装材料に含浸させる場合、リン系難燃剤は水溶性であり、包装材料の作製中に包装材料に水溶液として適用することができる。例えば、リン系難燃剤は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはリン酸アンモニウム(一リン酸塩、二リン酸塩、ポリリン酸塩を含む)であり得る。ただし、上記のリン系難燃剤のいずれも、セルロース繊維と共に包装材料に組み込むことができることを理解されたい。
【0084】
リン系難燃剤は、任意の適切な方法または技術を使用して包装材料に適用することができる。例えば、リン系難燃剤を水溶液に配合し、スプレー、ディッピング、または印刷(例えば、フレキソ印刷、グラビア印刷などを用いた印刷)によって適用することができる。特に、印刷技術を使用する場合、リン系難燃剤は、処理領域及び未処理領域を含むパターンに従って特定の領域に適用してもよいし、または、包装材料の表面全体に均一に適用してもよい。
【0085】
一実施形態では、リン系難燃剤を水溶液に含有させ、包装材料の形成時にサイズプレスを使用して包装材料に適用される。サイズプレスを用いてリン系難燃剤を包装材料に含有させることにより、様々な効率が得られ、リン系難燃剤を包装材料全体に確実に含浸させることができる。
【0086】
包装材料中に組み込まれる場合、包装材料に適用されるリン系難燃剤の量は、特定の用途及び所望する結果に応じて異なり得る。一般に、リン系難燃剤は、約1mg/m超~約10gsmの量で適用される。例えば、一実施形態では、リン系難燃剤は、約1~20mg/mの比較的少量で包装材料に組み込まれる。別の実施形態では、1種以上のリン系難燃剤が、約0.5gsm超、例えば約1gsm超、または例えば約1.5gsm超、かつ、一般に、約10gsm未満、例えば約8gsm未満、または例えば約6gsm未満の量で、包装材料に組み込まれる。
【0087】
上記の技術を用いて、本開示に従って様々な包装材料を作製することができる。
例えば、一実施形態では、本開示の包装材料は、リン系難燃剤と組み合わせた難燃性充填材料を含み、かつコーティングを含まない。別の実施形態では、包装材料は、透気度低減組成物から形成されたコーティングを含むことができる。このコーティングは、難燃性充填材料及びリン系難燃剤の一方または両方と組み合わせて使用することができる。この実施形態では、リン系難燃剤は、包装材料に含浸させるか、コーティングと一緒に適用するか、または、コーティングに含有させかつ包装材料に組み込むことができる。
【0088】
さらに別の代替実施形態では、本開示の包装材料は、少なくとも1種のリン系難燃剤と組み合わせた透気度低減組成物から形成されたコーティングを含む。リン系難燃剤は、コーティングに含有させるか、ペーパに含浸させるか、または、コーティング中に含有させるか、または、コーティングに含有させかつペーパに含浸させることができる。この実施形態では、包装材料は、難燃性充填材料を含まず、代わりに、炭酸カルシウムや酸化マグネシウムなどの他の充填材料を含むようにしてもよい。あるいは、包装材料は、難燃性充填材料を含んでもよい。
【0089】
一態様では、非燃焼加熱式スティックの燃焼性は、ISO 3308:2012の喫煙レジーム条件に従って試験することができる。燃焼性を試験するために、20本の非燃焼加熱式スティックを2セット、Borgwaldt社製のRM20キットマシンに入れて試験した。この喫煙装置は、35mL+0.3のパフ量で2秒間喫煙する。パフ頻度は、通気遮断なしで、60秒に1回であった。この喫煙装置のスティックホルダに非燃焼加熱式スティックを入れ、最初のパフのときに点火した。2回目のパフで燃焼が再開しない場合は、その非燃焼加熱式スティックは不燃性と見なされる。
【0090】
別の試験を、ISO 20778:2018の喫煙レジーム条件に従って実施した。この試験(HCL試験)では、パフ量は55mL+0.6であり、パフ頻度は30秒に1回であった。加えて、このHCl試験は、単層ラップのスティックではなく、二層ラップのスティックで行った。パフの持続時間は、通気遮断なしで2秒間であった。本開示に従って作製された非燃焼加熱式スティックは、上記の各試験の結果、不燃性と見なすことができた。
【0091】
本開示は、以下の実施例を参照することによって、より良く理解できるであろう。
【0092】
実施例1
【0093】
様々な種類のタバコの包装材料を作製し、非燃焼加熱式スティックに組み込んだ。
【0094】
この実施例では、非燃焼加熱式スティックに含まれるエアロゾル生成材料は、市販のタバコ材料であった。タバコ材料は、製紙再構成タバコであった。リーフレットを切断し、次いで、切断された充填材料(フィラー)を包装材料(ラッパー)で包んだ。非燃焼加熱式スティックは、直径が7mmであり、フィルタを含んでいない。
【0095】
本開示に従って、様々な種類の充填材料と組み合わせた木材パルプ繊維を含む包装材料を作製した。各基材ウェブの第1の面に、透気度低減組成物を含むコーティングを形成した。様々な透気度低減組成物を使用した。コーティングされた包装材料は、2CU未満の通気度を有し、1.1cc/g未満のバルクを有するようにカレンダ処理されている。
【0096】
下記の包装材料を作製した。
【0097】
【表1】
【0098】
非燃焼加熱式スティックを喫煙機に入れ、非燃焼加熱式スティックの燃焼特性を目視で観察した。上記の表のサンプルは、目視観察に従ってランク付けしたものである。すべての包装材料が低燃性を示したが、サンプル1~9が最も良い結果を示した。
【0099】
実施例2
【0100】
本開示に従ってさらに2つの包装材料を作製し、様々な特性について試験した。具体的には、下記の包装材料を作製し、下記の特性を測定した。
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
実施例3
【0104】
本実施例では、本開示に従って、木材パルプ繊維を含む追加の包装材料を作製した。より具体的には、包装材料にリン系難燃剤を含浸させること、及び、リン系難燃剤をコーティング材料と組み合わせること(サンプル番号27及び28)の利点及び利益のいくつかを実証するために、下記のサンプルを作製した。以下のサンプルを作製した。
【0105】
【表4】
【0106】
上記のように、サンプル番号22~24は、リン系難燃剤の量を増やすと、包装材料の不燃性が向上する。サンプル番号24及び25に示すように、コーティングを形成することで一般に不燃性が向上する。サンプル番号26は、リン系難燃剤を炭酸カルシウム充填材料と組み合わせて包装材料に含浸させた場合に、良好な不燃性を示すことを実証した。サンプル番号27及び28は、リン系難燃剤とコーティング材料との組み合わせも有効であることを実証した。試料No.27及び28は、リン系難燃剤とコーティング材との組み合わせも有効であることを実証した。
【0107】
本発明は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載した本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変更または変形が可能であることは、当業者であれば理解できるであろう。加えて、様々な実施形態の態様は、その全体またはその一部を相互に交換できることを理解されたい。さらに、当業者であれば、上記の詳細な説明は単なる例示であって、添付の特許請求の範囲に記載した本発明の範囲をいかなる意味でも限定することを意図していないことを理解できるであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】