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特表2024-507248ディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法および分析装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法および分析装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240208BHJP
【FI】
G06T7/00 630
G06T7/00 350C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550323
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 KR2021004727
(87)【国際公開番号】W WO2022181879
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0024360
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512196600
【氏名又は名称】サムソン ライフ パブリック ウェルフェア ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョンミ
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA13
5L096DA01
5L096DA02
5L096EA03
5L096EA43
5L096FA23
5L096FA32
5L096GA51
5L096HA11
5L096KA04
5L096MA03
(57)【要約】
ディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法は、分析装置がターゲット組織に対する第1染色イメージの入力を受ける段階、前記分析装置が前記第1染色イメージを学習されたディープラーニングモデルに入力して第2染色イメージを生成する段階、前記分析装置が前記第1染色映像に対する第1の2進イメージを生成する段階、前記分析装置が前記第2染色映像に対する第2の2進イメージを生成する段階および前記分析装置が前記第1の2進イメージおよび前記第2の2進イメージを基準として前記ターゲット組織の腫瘍-ストロマ比率を算出する段階を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置がターゲット組織に対する第1染色イメージの入力を受ける段階;
前記分析装置が前記第1染色イメージを学習されたディープラーニングモデルに入力して第2染色イメージを生成する段階;
前記分析装置が前記第1染色イメージに対する第1の2進イメージを生成する段階;
前記分析装置が前記第2染色イメージに対する第2の2進イメージを生成する段階;および
前記分析装置が前記第1の2進イメージおよび前記第2の2進イメージを基準として前記ターゲット組織の腫瘍-ストロマ比率を算出する段階を含む、ディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項2】
前記第1染色イメージはヘマトキシリン-エオシン(Hematoxylin & Eosin)染色イメージであり、前記第2染色イメージはサイトケラチン(cytokeratin)染色イメージである、請求項1に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項3】
前記ディープラーニングモデルは真性第1染色イメージの入力を受けて仮想の第2染色イメージを生成する生成モデルおよび生成モデルが出力する前記第2染色イメージが真性であるかどうかを分類する判別モデルを含むものの、前記判別モデルはPatchGANである、請求項1に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項4】
前記ディープラーニングモデルは
第1染色イメージを一定の大きさのパッチで区分し、前記第1染色イメージのパッチに対応する前記第2染色イメージのパッチを生成し、
前記第1染色イメージのパッチと前記第2染色イメージのパッチの中で対応するパッチ対を基準として真性の有無を判別する方式で学習される、請求項1に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項5】
前記ディープラーニングモデルは学習データを利用して学習され、
前記学習データは同一組織切片に対する真性第1染色イメージと真性第2染色イメージを含み、
前記真性第1染色イメージと前記真性第2染色イメージはピクセル水準で全体イメージを基準として全域的に整列され、全体イメージを構成する複数の領域別に地域的に整列されるデータである、請求項1に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項6】
前記全域的整列と前記地域的整列それぞれは
整列対象である二つのイメージをカラーデコンボリューションする段階;
カラーデコンボリューションされた二つのイメージを2進化する段階;
2進化された二つのイメージに対する交差相関関係ヒートマップを生成する段階;および
前記ヒートマップで最大値を基準としてシフトベクトルを演算する段階を含む、請求項5に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項7】
前記地域的整列は
前記複数の領域それぞれに対して前記複数の領域に対するシフトベクトルの平均値と前記全域的伝令のシフトベクトル値を合算した値を基準として整列される、請求項6に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項8】
前記ディープラーニングモデルはHED(Hematoxylin-Eosin-DAB)カラー空間に対する損失関数をさらに利用して学習される、請求項1に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項9】
ターゲット組織に対する第1染色イメージの入力を受ける入力装置;
第1染色イメージを基準として第2染色イメージを生成する敵対的生成モデルを保存する保存装置;および
前記入力された第1染色イメージを2進化して第1の2進イメージを生成し、前記入力された第1染色イメージを前記敵対的生成モデルに入力して仮想の第2染色イメージを生成し、前記仮想の第2染色イメージを2進化して第2の2進イメージを生成し、前記第1の2進イメージおよび前記第2の2進イメージを基準として前記ターゲット組織の腫瘍-ストロマ比率を算出する演算装置を含む。腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【請求項10】
前記演算装置は前記第1の2進イメージから前記第2の2進イメージを減算して全体領域でストロマ比率を算出する、請求項9に記載の腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【請求項11】
前記第1染色イメージはヘマトキシリン-エオシン(Hematoxylin & Eosin)染色イメージであり、前記第2染色イメージはサイトケラチン(cytokeratin)染色イメージである、請求項9に記載の腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【請求項12】
前記敵対的生成モデルはドロップアウト階層を使わなかったU-net構造の生成モデルおよびパッチ単位で真性の有無を判別するPatchGANである判別モデルを含む、請求項9に記載の腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【請求項13】
前記敵対的生成モデルは学習データを利用して学習され、
前記学習データは同一組織切片に対する真性第1染色イメージと真性第2染色イメージを含み、
前記真性第1染色イメージと前記真性第2染色イメージはピクセル水準で全体イメージを基準として全域的に整列され、全体イメージを構成する複数の領域別に地域的に整列されるデータである、請求項9に記載の腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【請求項14】
前記敵対的生成モデルはHED(Hematoxylin-Eosin-DAB)カラー空間に対する損失関数をさらに利用して学習される、請求項9に記載の腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下で説明する技術は、ディープラーニングモデルを利用してがん組織の腫瘍-ストロマ比率を予測する技法である。
【背景技術】
【0002】
腫瘍-ストロマ比率はがん組織(cancer tissue)で腫瘍関連ストロマの比率を意味する。高い腫瘍-ストロマ比率は多数の腫瘍で悪い予後を示す因子と立証された。すなわち、正確な腫瘍-ストロマ比率評価は腫瘍診断、予後予測および治療に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
伝統的に、病理学者が患者の組織サンプルを分析して腫瘍-ストロマ比率を推定した。この方法は主観的判断によったもので、正確度が担保されない。さらに、最近ではコンピュータを利用したストロマ定量方法が登場した。ただし、この方法も医療スタッフの判断を助ける水準であって腫瘍-ストロマ比率を正確に評価する技法ではない。
【0004】
以下で説明する技術は、ディープラーニングモデルを利用して患者の組織を分析して腫瘍-ストロマ比率を正確に算出する技法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法は、分析装置がターゲット組織に対する第1染色イメージの入力を受ける段階、前記分析装置が前記第1染色イメージを学習されたディープラーニングモデルに入力して第2染色イメージを生成する段階、前記分析装置が前記第1染色イメージに対する第1の2進イメージを生成する段階、前記分析装置が前記第2染色イメージに対する第2の2進イメージを生成する段階および前記分析装置が前記第1の2進イメージおよび前記第2の2進イメージを基準として前記ターゲット組織の腫瘍-ストロマ比率を算出する段階を含む。
【0006】
腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置は、ターゲット組織に対する第1染色イメージの入力を受ける入力装置、第1染色イメージを基準として第2染色イメージを生成する敵対的生成モデルを保存する保存装置および前記入力された第1染色イメージを2進化して第1の2進イメージを生成し、前記入力された第1染色イメージを前記敵対的生成モデルに入力して仮想の第2染色イメージを生成し、前記仮想の第2染色イメージを2進化して第2の2進イメージを生成し、前記第1の2進イメージおよび前記第2の2進イメージを基準として前記ターゲット組織の腫瘍-ストロマ比率を算出する演算装置を含む。
【発明の効果】
【0007】
以下で説明する技術は、患者の組織に対する一つの染色イメージのみを基準として自動で腫瘍-ストロマ比率を算出する。以下で説明する技術は、短時間で客観的に正確度が高い腫瘍-ストロマ比率を提供して腫瘍の診断および治療に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】腫瘍-ストロマ比率を予測するシステムに対する例である。
【0009】
図2】腫瘍-ストロマ比率を予測する過程に対する例である。
【0010】
図3】敵対的生成モデルに対する例である。
【0011】
図4】概略的な敵対的生成モデルの学習過程に対する例である。
【0012】
図5】H&EイメージとCKイメージを整列する過程に対する例である。
【0013】
図6】H&EイメージとCKイメージを利用した敵対的生成モデルの学習過程の例である。
【0014】
図7】分析装置に対する例である。
【0015】
図8】敵対的生成モデルを利用して生成した仮想のCK映像の例である。
【0016】
図9】ディープラーニングモデルを利用したTSR予測結果の正確度を評価した例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下で説明する技術は、多様な変更を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定実施例を図面に例示して詳細に説明しようとする。しかし、これは以下で説明する技術を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、以下で説明する技術の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0018】
第1、第2、A、Bなどの用語は多様な構成要素を説明するのに使われ得るが、該当構成要素は前記用語によって限定されはせず、ただし一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、以下で説明する技術の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。および/またはという用語は、複数の関連した記載された項目の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目のいずれかの項目を含む。
【0019】
本明細書で使われる用語で単数の表現は、文脈上明白に異なって解釈されない限り複数の表現を含むものと理解されるべきであり、「含む」等の用語は説明された特徴、個数、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在することを意味し得、一つまたはそれ以上の他の特徴や個数、段階動作構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を排除しないものと理解されるべきである。
【0020】
図面に対する詳細な説明に先立ち、本明細書での構成部に対する区分は各構成部が担当する主機能別に区分したものに過ぎないことを明確にしようとする。すなわち、以下で説明する2個以上の構成部が一つの構成部で合わせられたりまたは一つの構成部がより細分化された機能別に2個以上に分化して備えられてもよい。そして、以下で説明する構成部それぞれは、自身が担当する主機能以外にも他の構成部が担当する機能のうち一部又は全部の機能を追加的に遂行してもよく、構成部それぞれが担当する主機能のうち一部の機能が他の構成部によって専担されて遂行されてもよいことはいうまでもない。
【0021】
また、方法または動作方法を遂行するにおいて、前記方法をなす各過程は文脈上明白に特定の順序を記載しない以上、明記された順序と異なって遂行され得る。すなわち、各過程は明記された順序と同一に遂行されてもよく、実質的に同時に遂行されてもよく、反対の順で遂行されてもよい。
【0022】
以下で説明する技術は、特定サンプルに対する腫瘍-ストロマ比率(Tumor-stroma ratio、TSR)を予測する技術である。TSR分析のために伝統的に組織染色イメージを使った。
【0023】
以下で説明する技術は、二つの互いに異なる種類の染色イメージを利用する例である。第1染色イメージはヘマトキシリンとエオシン(Haematoxylin and eosin、以下、H&Eという)イメージを使った。第2染色イメージはサイトケラチン(cytokeratin、以下、CKという)イメージを使った。もちろん、以下で説明する技術が特定の染色方式に限定されるものではなく、一つの染色が組織(stroma)を他の一つは腫瘍(tumor)を識別できるのであればよい。したがって、以下で説明する技術は、特定の第1染色イメージを基準として自動で第2染色イメージを生成してTSRを予測する方式と言える。ただし、説明の便宜のために第1染色イメージはH&Eイメージであり、第2染色イメージはCKイメージであると前提する。
【0024】
以下で説明する技術は、学習モデルを利用して第1染色イメージから第2染色イメージを生成する。学習モデルは機械学習(machine learning)モデルを意味する。学習モデルは多様な類型のモデルを含む意味である。例えば、学習モデルはデシジョンツリー、ランダムフォレスト(random forest)、KNN(K-nearest neighbor)、ナイーブベイズ(Naive Bayes)、SVM(support vector machine)、人工ニューラルネットワーク(artificial neural network)等がある。
【0025】
人工ニューラルネットワークは生物のニューラルネットワークを模倣した統計学的学習アルゴリズムである。多様なニューラルネットワークモデルが研究されている。最近ディープラーニングニューラルネットワーク(deep learning network、DNN)が注目されている。DNNは入力層(input layer)と出力層(output layer)の間に複数個の隠れ層(hidden layer)からなる人工ニューラルネットワークモデルである。DNNは一般的な人工ニューラルネットワークと同様に複雑な非線形関係(non-linear relationship)をモデリングすることができる。DNNは多様な類型のモデルが研究された。例えば、CNN(Convolutional Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)、RBM(Restricted Boltzmann Machine)、DBN(Deep Belief Network)、GAN(Generative Adversarial Network)、RL(Relation Networks)等がある。
【0026】
以下で説明する技術は、入力される第1染色イメージから第2染色イメージを生成するディープラーニングモデルを活用する。多様な種類の生成モデル(generative model)が活用され得る。ただし、説明の便宜のために敵対的生成モデルであるGANを中心に説明する。
【0027】
以下、組織の染色イメージを利用して腫瘍-ストロマ比率を分析する装置を分析装置と命名する。分析装置はデータ処理が可能な装置であって、PC、スマート機器、サーバーなどの形態であり得る。
【0028】
図1は、腫瘍-ストロマ比率を予測するシステム100に対する例である。図1で分析装置はコンピュータ端末150およびサーバー250である例を図示した。
【0029】
図1(A)は、使用者Rがコンピュータ端末150を利用してTSRを予測するシステム100である。染色イメージ生成装置110は組織スライドに対する染色をし、染色された結果をスキャンして染色イメージを生成する装置である。染色イメージ生成装置110は第1染色イメージ(H&E染色イメージ)を生成する。
【0030】
染色イメージ生成装置110は有線または無線ネットワークを通じてコンピュータ端末150にH&E染色イメージを伝達する。コンピュータ端末150はH&E染色イメージを基準として第2染色イメージ(CK染色イメージ)を生成する。コンピュータ端末150は同一組織に対するH&E染色イメージとCK染色イメージを利用してTSRを算出することができる。詳しいTSR算出過程は後述する。コンピュータ端末150は分析結果を使用者Rに提供する。
【0031】
図1は、染色イメージ生成装置110とコンピュータ端末150を別個の客体で図示した。ただし、染色イメージ生成装置110とコンピュータ端末150は物理的に一つの装置または連結された装置で具現されてもよい。
【0032】
図1(B)は、使用者が使用者端末270で分析サーバー250に接続してTSRを予測するシステム200である。染色イメージ生成装置110は組織スライドに対する染色をし、染色された結果をスキャンして染色イメージを生成する装置である。染色イメージ生成装置110は第1染色イメージ(H&E染色イメージ)を生成する。
【0033】
染色イメージ生成装置110は有線または無線ネットワークを通じて分析サーバー250にH&E染色イメージを伝達する。
【0034】
分析サーバー250はH&E染色イメージを基準として第2染色イメージ(CK染色イメージ)を生成する。分析サーバー250は同一組織に対するH&E染色イメージとCK染色イメージを利用してTSRを算出することができる。詳しいTSR算出過程は後述する。
【0035】
分析サーバー250は分析結果を使用者端末270に伝送することができる。また、分析サーバー250は分析結果を病院のEMRシステム260に伝送してもよい。
【0036】
図2は、腫瘍-ストロマ比率を予測する過程300に対する例である。図2は、TSR予測過程に対する概略的な例である。図2は、染色イメージ生成装置110/210と分析装置150/250で遂行される過程を示す。
【0037】
染色イメージ生成装置110/210は特定サンプルの組織に対するH&Eイメージを生成する310.
【0038】
分析装置150/250はH&Eイメージを受信し、2進H&Eイメージを生成する320.分析装置150/250は受信したH&Eイメージを基準として事前に学習された生成モデルGを利用してCKイメージを生成する(330)。分析装置150/250はCKイメージを2進化する(340)。
【0039】
分析装置150/250は2進H&Eイメージと2進CKイメージを基準としてTSRを決定する。分析装置150/250は2進H&Eイメージから2進CKイメージを減算して全体領域でストロマの比率を算出することができる(350)。
【0040】
図3は、敵対的生成モデル400に対する例である。図3は、GAN400に対する例である。GANは教師なし学習モデルに該当する。GANは生成モデルG(Generator、410)および判別モデルD(Discriminator、420)を含む。生成モデルG(410)は入力情報に基づいてデータを生成するモデルである。判別モデルD(420)は分類を担当するモデルである。GANはデータを生成する生成モデルG(410)と作られたデータを評価する判別モデルD(420)が互いに対立的に学習しながら性能を次第に改善する概念から出発した。生成モデルG(410)と判別モデルD(420)はそれぞれ多様な機械学習モデルのうちいずれか一つを利用して生成され得る。例えば、生成モデルG(410)はU-net、オートエンコーダなどのようなモデルを通じて具現され得る。
【0041】
判別モデルDは生成されたデータが本物であるかまたは偽物であるかを分類する。生成モデルGは潜在コードzの入力を受けてデータを生成するものの、判別モデルDを騙すための情報を生成するように学習される。生成者モデルGはG(z)データを生成し、判別モデルDはG(z)に対する判別結果D(G(z))を生成する。生成者モデルGは1-D(G(z)を最小化する目的関数を有する。つまり、D(G(z))が1である場合に最小となるが、生成者モデルGは判別モデルD(420)がG(z)を本来の原本データと錯覚することができるように学習される。
【0042】
cGANは生成モデルG(410)と判別モデルD(420)にそれぞれ一定の条件情報(c)が追加に入力される。
【0043】
図4は、概略的な敵対的生成モデルの学習過程500の例である。
【0044】
開発者は前述した分析装置を利用して学習過程を遂行できる。または開発者は別途のコンピュータ装置を利用して学習過程を遂行してもよい。学習過程はコンピュータ装置が遂行すると仮定する。
【0045】
学習過程は、大きく学習データを設ける過程および学習データを利用した敵対的生成モデルを学習する過程に区分される。
【0046】
学習データを生成する過程を説明する。学習データは特定組織に対するH&E映像とCK映像を含む。したがって、まずH&E映像とCK映像をそれぞれ生成する過程が必要である(510)。H&E映像とCK映像は同一組織に対する一対の映像である。学習データは複数のサンプルそれぞれに対するH&E映像とCK映像の対(すなわち、複数のイメージ対)で構成される。
【0047】
研究者が学習データを設けた過程を説明する。
【0048】
369名の胃腺癌(gastric adenocarcinoma)患者がコホート(cohort)に選択された。コホートは病期II~IVである患者である。コホートは2014年~2015年サムスンソウル病院で治療手術を受けた患者である。コホートに属した患者は先行坑癌化学療法(Neoadjuvant chemotherapy)を受けておらず、手術後30日以内に死亡しなかった。コホートに属した患者は手術当時遠隔転移または他の腫瘍が確認されなかった状態であった。後述する表1はコホートに対する臨床情報を含む。
【0049】
染色のためのスライドはホルマリン固定後に製作したパラフィン組織切片を3μmに切断した。FFPE(formalin-fixed paraffin-embedded)サンプル369個それぞれはH&E自動染色装置を使って染色した。369個のサンプルはそれぞれ369名の患者を代表するサンプルを意味する。患者を代表するサンプルは腫瘍で最も深い浸潤を示すスライドを選択し、これを通じて該当患者の病期を判断した。
【0050】
FFPEサンプルはそれぞれIHC(immunohistochemistry)染色をした。研究者はサイトケラチン(cytokeratin、CK)染色を使った。研究者はBond-MAX自動免疫染色装置(Leica Biosystem社製品)を使って商用試薬(Novocastra社製品)でスライドを染色した。研究者はCK染色されたスライドに対してデジタルスキャナ(Aperio Technologies社製品)で200倍拡大した映像(組織0.032μm/ピクセル)を生成した。CK染色イメージをCK WSI(whole slide image)と命名する。
【0051】
同じサンプルを再びH&E染色するために、研究者はCK染色されたスライドを蒸溜水で洗浄した後、H&E染色をした。H&E染色過程は一定濃度のエタノールと過マンガン酸カリウム(KMnO)でインキュベーションし染色試薬で染色する過程を経た。H&E染色は一般的なプロセスであるため、詳細な説明は省略する。また、H&E染色されたスライドもデジタルスキャナで映像を生成した。H&E染色イメージをH&E WSIと命名する。
【0052】
前述した通り、研究者は正確に同一の組織切片に対してH&E WSIおよびCK WSIを設けた。研究者は同一の組織切片に対するH&E WSIおよびCK WSIが非線形的な変形を有してはいないが、H&E WSIおよびCK WSIの間に一定の垂直および水平シフト(shift)が発生することを確認した。したがって、研究者は同一切片に対するH&E WSIおよびCK WSI対を一定の前処理過程を通じて、ピクセル水準でできるだけH&E WSIおよびCK WSI対が同じ領域を示すように整列した(520)。
【0053】
コンピュータ装置は整列されたH&E WSIおよびCK WSI対を利用して敵対的生成モデルを学習させる(530)。簡略に説明すると、cGANで生成モデルが潜在コードの入力を受けてCK WSIを生成する。生成モデルはH&E WSIの入力を受けてCK WSIを生成するように学習される。生成モデルに入力される条件(c)は精巧なCK WSIを生成するようにする情報である。判別モデルは生成された(fake)CK WSIと実際のCK WSIの入力を受けて生成されたCK WSIを判別する。判別モデルも条件(c)の入力を受ける。この過程を繰り返しながら生成モデルと判別モデルはパラメータが最適化されて敵対的生成モデルが学習されることになる。
【0054】
図5は、H&EイメージとCKイメージを整列する過程600に対する例である。
【0055】
イメージ整列過程は全域(global)過程と地域(local)過程で構成される。全域過程は全域的シフトベクトルを演算して同一切片に対するWSI対を概略的に(coarsely)整列する過程である。地域過程は正確な整列のために各地域領域別に地域的シフトベクトルを演算して整列する過程である。
【0056】
全域シフトベクトル演算過程610を説明する。
【0057】
コンピュータ装置はH&E WSIおよびCK WSIをそれぞれ一定にダウンサンプリング(down-sampling)することができる(611)。研究者は同一組織切片に対するH&E WSIおよびCK WSIは32倍ダウンサンプリングした。
【0058】
コンピュータ装置はダウンサンプリングされた各イメージをカラーデコンボリューション(color deconvolution)する(612)。ここで、カラーデコンボリューションはH&E WSIおよびCK WSIそれぞれをRGBカラー空間からHED(Hematoxylin-Eosin-DAB)カラー空間に変換する。CK抗体は細胞質を主に染色するので、H&Eイメージでエオシンチャネルを抽出し、CKイメージでDABチャネルを抽出することができる。
【0059】
コンピュータ装置は色空間が変換された両チャネルイメージを2進化する(613)。この時、コンピュータ装置は2進化のための基準となる臨界値を使う。臨界値は実験的に適切な値が使われ得る。臨界値はイメージ全体ではなく全体イメージを構成する小さい領域別に設定されてもよい。例えば、臨界値は隣の領域(ブロック)のピクセル値加重平均で特定オフセット(offset)値を減算した値が使われてもよい。
【0060】
一方、コンピュータ装置はイメージを2進化した後、無視しても良い小さい客体を除去してもよい。
【0061】
コンピュータ装置は2個の2進イメージの2D交差相関関係ヒートマップ(cross-correlation heatmap)を生成することができる(614)。交差相関関係はFFT(Fast Fourier Transform)アルゴリズムを適用して演算され得る。コンピュータ装置は交差相関関係ヒートマップで最大値の位置を基準として全域シフトベクトルを決定することができる(615)。すなわち、コンピュータ装置は一つのイメージを基準として他の一つのイメージを整列するための全域的情報を獲得することができる。
【0062】
コンピュータ装置は全域シフトベクトルを基準として、一つのイメージを基準としてH&E WSIおよびCK WSIを整列(全域整列)することができる。より精巧な整列のために、全域整列後にコンピュータ装置は地域整列を遂行できる。または場合により、コンピュータ装置は全域整列をせずに、各パッチ別地域シフトベクトルを決定し、パッチ別に地域整列のみをしてもよい。
【0063】
地域シフトベクトル演算過程620を説明する。
【0064】
全体イメージは一定大きさのパッチ(patch)単位で区分され得る。一つのパッチは一定の横×縦の大きさ(ピクセル)を有することができる。地域整列はパッチ単位で整列を遂行する過程である。例えば、全体イメージが10240×10240ピクセルの大きさであれば、コンピュータ装置は1024×1024ピクセル大きさのパッチを基準として地域整列をすることができる。コンピュータ装置は白色の背景を有するパッチを除き、各パッチを全域整列と同じ方法で整列することができる。すなわち、コンピュータ装置は一つのパッチ単位でH&E WSIおよびCK WSIをダウンサンプリングし(621)、カラーデコンボリューションし(622)、2進化(623)した後、相関関係ヒートマップでの最大値を基準として地域シフトベクトルを演算(624)することができる。図5は、パッチに対する相関関係ヒートマップを図示してはいない。
【0065】
コンピュータ装置は各パッチ別に地域シフトベクトルを決定することができる(624)。コンピュータ装置は複数のパッチに対する平均地域シフトベクトルを演算することができる(625)。この過程でコンピュータ装置は異常値(outlier)を有する地域シフトベクトルを除去した後、平均地域シフトベクトルを演算することができる。コンピュータ装置は平均地域シフトベクトルと全域シフトベクトルを足した値を最終的な地域シフトベクトルを決定することができる(626)。
【0066】
一方、地域シフトベクトルを決定するための多様な方法があり得る。例えば、(i)コンピュータ装置は各パッチ別に地域シフトベクトルを演算して該当パッチ別に地域的整列をすることができる。(ii)コンピュータ装置は各パッチ別に地域シフトベクトルを演算し、地域シフトベクトルに全域シフトベクトルを合算して各パッチ別に最終地域シフトベクトルを演算してもよい。(iii)または前述した通り、コンピュータ装置が各パッチ別に地域シフトベクトルを演算し、平均値を算出した後に全域シフトベクトルを合算して最終地域シフトベクトルを演算してもよい。この場合、コンピュータ装置は最終地域シフトベクトルを基準としてそれぞれのパッチを整列する。
【0067】
図6は、H&EイメージとCKイメージを利用した敵対的生成モデルの学習過程700の例である。図6は、図5でH&E WSIとCK WSIがパッチ単位で整列された後の学習過程であり得る。研究者はcGANモデルのうちPix2Pix cGANを利用した。Pix2Pixは客体の外観線の映像を生成モデルGに入力して目標とする映像を生成する。もちろん、これは一例に過ぎず、H&E WSIからCK WSIを生成するための生成モデルは多様であり得る。
【0068】
全体CK WSIは対をなす全体H&E WSIを基準として全域整列となり得る(711)。CK WSIの各パッチは最終的な地域シフトベクトルが決定され得る。CK WSIの各パッチは地域整列される(712)。これは図5で説明した前処理過程に該当する。
【0069】
敵対的生成モデルは生成モデル(generator)Gと判別モデル(discriminator)Dを含む。生成モデルGはU-net構造を有するネットワークを使うことができる。判別モデルDはパッチ別に生成された映像に対する真偽の有無を判別するPatchGANを利用することができる。
【0070】
同一組織切片に対するH&E WSIとCK WSI対はそれぞれ同じパッチで区分され得る。コンピュータ装置はH&E WSIをパッチ別に抽出する(720)。コンピュータ装置はH&E WSIの各パッチを生成モデルGに入力して仮想のCKパッチを生成する(730)。コンピュータ装置はH&Eパッチイメージxを生成モデルGに入力して仮想のCKイメージG(x)を生成する。
【0071】
コンピュータ装置は整列されたCK WSIをパッチ別に抽出する(740)。コンピュータ装置は仮想のCKパッチとこれに対応する実際のCKパッチを判別モデルDに入力する(750)。コンピュータ装置は判別モデルを各パッチ別に判別することができる(760)。実際のCKイメージをyとしよう.判別モデルDは{x、y}対と{x、G(x)}対を分類するように学習される。生成モデルGは真性CKイメージと生成された仮想のCKが区別されないように学習される。
【0072】
Pix2Pix構造は生成モデルGに本来のドロップアウト(dropout)階層を含む。ドロップアウト階層は入力されたノイズが高い確率的(highly stochastic)結果物で生成されるようにする。しかし、CKイメージを生成するモデルは、より予測可能で決定論的結果物が要求される。したがって、生成モデルGはドロップアウト階層を使わないことがある。
【0073】
cGANの目的関数は下記の数学式1のように表現することができる。
【0074】
[数学式1]
【0075】
生成モデルGは前記目的関数を最小化する方向に学習され、判別モデルDは逆に目的関数を最大化する方向に学習される。生成モデルGは判別モデルからの損失を減らすことだけでなく、L1損失を使って仮想分布が実際の分布に近いようにする。この時、RGBカラー空間のL1損失だけでなく、HEDカラー空間のL1損失も考慮しなければならない。下記の数学式2はRGBカラー空間のL1損失関数であり、数学式3はHEDカラー空間のL1損失関数である。
【0076】
[数学式2]
【0077】
[数学式3]
【0078】
したがって、敵対的生成モデルの最終損失関数は下記の数学式4のように表現され得る。
【0079】
[数学式4]
【0080】
図7は分析装置800に対する例である。分析装置800は前述した分析装置(図1の150および250)に該当する。分析装置800は物理的に多様な形態で具現され得る。例えば、分析装置800はPCのようなコンピュータ装置、ネットワークのサーバー、データ処理専用チップセットなどの形態を有することができる。
【0081】
分析装置800は保存装置810、メモリ820、演算装置830、インターフェース装置840、通信装置850および出力装置860を含むことができる。
【0082】
保存装置810は特定サンプルのターゲット組織に対する第1染色イメージを保存することができる。
【0083】
保存装置810はイメージを2進化するプログラム乃至コードを保存することができる。
【0084】
保存装置810は第1染色イメージを基準として第2染色イメージを生成するディープラーニングモデルを保存することができる。ディープラーニングモデルは前述した敵対的生成モデルであり得る。
【0085】
保存装置810はディープラーニングモデルが算出する第2染色イメージを保存することができる。
【0086】
保存装置810はイメージ処理のための他のプログラム乃至コードを保存することができる。
【0087】
また、保存装置810は前述したような過程でTSRを算出する過程に対する命令語乃至プログラムコードを保存することができる。
【0088】
保存装置810は分析結果であるTSRを保存することができる。
【0089】
メモリ820は分析装置800がTSRを算出する過程で生成されるデータおよび情報などを保存することができる。
【0090】
インターフェース装置840は外部から一定の命令およびデータの入力を受ける装置である。インターフェース装置840は物理的に連結された入力装置または外部保存装置から第1染色イメージの入力を受けることができる。第1染色イメージはH&E染色イメージであり得る。
【0091】
通信装置850は有線または無線ネットワークを通じて一定の情報を受信して伝送する構成を意味する。通信装置850は外部客体から第1染色イメージを受信することができる。または通信装置850は分析結果を使用者端末のような外部客体に送信してもよい。
【0092】
インターフェース装置840および通信装置850は使用者または他の物理的客体から一定の情報およびイメージの入力を受ける構成であるので、包括的に入力装置とも命名することができる。または入力装置は通信装置850で受信される第1染色イメージや要請を分析装置800の内部に伝達する経路のインターフェースを意味してもよい。
【0093】
出力装置860は一定の情報を出力する装置である。出力装置860はデータ処理過程に必要なインターフェース、分析結果などを出力することができる。
【0094】
演算装置830は保存装置810に保存された命令語乃至プログラムコードを利用してTSRを予測することができる。
【0095】
演算装置830は保存装置810に保存されたディープラーニングモデルを利用して第1染色イメージ基準として仮想の第2染色イメージを生成することができる。仮想の第2染色イメージはCK染色イメージであり得る。
【0096】
演算装置830は第1染色イメージを2進化して第1の2進イメージを生成することができる。
【0097】
演算装置830は仮想の第2染色イメージを2進化して第2の2進イメージを生成することができる。
【0098】
演算装置830は第1の2進イメージおよび第2の2進イメージを基準としてTSRを演算することができる。
【0099】
演算装置830は第1の2進イメージで白色である領域から第2の2進イメージで白色である領域を除去した結果を基準として、全体組織でストロマ領域を識別することができる。以後、演算装置830は全体組織の面積でストロマ領域が占める面積の比率を計算してTSRを算出することができる。
【0100】
演算装置830は学習された生成モデルを利用してH&E WSIを仮想のCK WSIに変換することができる。演算装置830はH&E WSIのパッチをそれぞれCK WSIのパッチに変換することができる。演算装置830は各パッチ別に腫瘍領域とストロマ領域を決定し、最終的に全体イメージを対象にTSRを演算することができる。または演算装置830はパッチを結合して一つのH&E WSIと一つのCK WSIを生成し、H&E WSIおよびCK WSIを基準としてTSRを演算することができる。
【0101】
演算装置830はH&E WSI(または個別のパッチ)を2進化し、CK WSI(または個別のパッチ)を2進化する。演算装置830は2進H&E WSI映像の白色領域(組織領域、stroma area)から2進CK WSIの白色領域(腫瘍領域、tumor area)を減算(除去)する。演算装置830は全体組織領域で腫瘍組織が除去された領域の比率を決定してTSRを演算することができる。すなわち、演算装置830は下記の数学式5のようにTSRを演算することができる。
【0102】
[数学式5]
【0103】
演算装置830はデータを処理し、一定の演算を処理するプロセッサ、AP、プログラムがエンベデッドされたチップのような装置であり得る。
【0104】
図8は、敵対的生成モデルを利用して生成した仮想のCK映像の例である。図8は真性H&EイメージAを基準として仮想のCKイメージCを生成した結果を示す。真性CKイメージBと仮想のCKイメージCを比較すると、仮想のCKイメージで分散した腫瘍細胞がほぼ正確に染色されたことが分かる。
【0105】
図9は、ディープラーニングモデルを利用したTSR予測結果の正確度を評価した例である。研究者は提案したTSR予測方法(Proposed method)を利用して前述したコホート(369名の患者サンプル)に対してTSRを演算した。また、専門的な病理学者が該当サンプルを評価した。敵対的生成モデルに基づいた結果と実際の病理学者が評価した結果を比較した。TSRは比率で測定されるが、各測定値ごとに正確度を評価し難い側面があるので、TSR低いとTSR高いに区分して評価した。図9で使ったデータは、胃(Stomach)、大腸(Colon)および胃+大腸(Stomach+Colon)である。
【0106】
図9(A)はHEDカラー空間の損失関数(数学式3)を使わなかったモデルの結果であり、図9(B)はHEDカラー空間の損失関数を使用したモデルの結果である。全般的にHEDカラー空間の損失関数を考慮した場合がAUC(いずれも0.9以上)が高かった。もちろん、HEDカラー空間の損失関数を使用しなかった場合も相当高い評価結果を示した。
【0107】
また、前述したような仮想のCK映像生成方法およびTSR演算方法は、コンピュータで実行され得る実行可能なアルゴリズムを含むプログラム(またはアプリケーション)で具現され得る。前記プログラムは一時的または非一時的読み取り可能媒体(non-transitory computer readable medium)に保存されて提供され得る。
【0108】
非一時的読み取り可能媒体とは、レジスタ、キャッシュ、メモリなどのように短い瞬間の間データを保存する媒体ではなく半永久的にデータを保存し、機器によって読み取り(reading)が可能な媒体を意味する。具体的には、前述した多様なアプリケーションまたはプログラムはCD、DVD、ハードディスク、ブルーレイディスク、USB、メモリカード、ROM(read-only memory)、PROM(programmable read only memory)、EPROM(Erasable PROM、EPROM)またはEEPROM(Electrically EPROM)またはフラッシュメモリなどのような非一時的読み取り可能媒体に保存されて提供され得る。
【0109】
一時的読み取り可能媒体はスタティックラム(Static RAM、SRAM)、ダイナミックラム(Dynamic RAM、DRAM)、シンクロナスディーラム(Synchronous DRAM、SDRAM)、2倍速SDRAM(Double Data Rate SDRAM、DDR SDRAM)、増強型SDRAM(Enhanced SDRAM、ESDRAM)、同期化DRAM(Synclink DRAM、SLDRAM)および直接ラムバスラム(Direct Rambus RAM、DRRAM)のような多様なRAMを意味する。
【0110】
本実施例および本明細書に添付された図面は前述した技術に含まれる技術的思想の一部を明確に示しているものに過ぎず、前述した技術の明細書および図面に含まれた技術的思想の範囲内で当業者が容易に類推できる変形例と具体的な実施例はすべて前述した技術の権利範囲に含まれるものと言える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
人工ニューラルネットワークは生物のニューラルネットワークを模倣した統計学的学習アルゴリズムである。多様なニューラルネットワークモデルが研究されている。最近ディープラーニングニューラルネットワーク(deep learning network、DNN)が注目されている。DNNは入力層(input layer)と出力層(output layer)の間に複数個の隠れ層(hidden layer)からなる人工ニューラルネットワークモデルである。DNNは一般的な人工ニューラルネットワークと同様に複雑な非線形関係(non-linear relationship)をモデリングすることができる。DNNは多様な類型のモデルが研究された。例えば、CNN(Convolutional Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)、RBM(Restricted Boltzmann Machine)、DBN(Deep Belief Network)、GAN(Generative Adversarial Network)、R(Relation Networks)等がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
図1は、腫瘍-ストロマ比率を予測するシステム100、200に対する例である。図1で分析装置はコンピュータ端末150およびサーバー250である例を図示した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
図1(A)は、染色イメージ生成装置110とコンピュータ端末150を別個の客体で図示した。ただし、染色イメージ生成装置110とコンピュータ端末150は物理的に一つの装置または連結された装置で具現されてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
図1(B)は、使用者が使用者端末270で分析サーバー250に接続してTSRを予測するシステム200である。染色イメージ生成装置10は組織スライドに対する染色をし、染色された結果をスキャンして染色イメージを生成する装置である。染色イメージ生成装置10は第1染色イメージ(H&E染色イメージ)を生成する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
染色イメージ生成装置10は有線または無線ネットワークを通じて分析サーバー250にH&E染色イメージを伝達する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
コンピュータ装置は各パッチ別に地域シフトベクトルを決定することができる(624)。コンピュータ装置は複数のパッチに対する平均地域シフトベクトルを演算することができるこの過程でコンピュータ装置は異常値(outlier)を有する地域シフトベクトルを除去した後、平均地域シフトベクトルを演算することができる。コンピュータ装置は平均地域シフトベクトルと全域シフトベクトルを足した値を最終的な地域シフトベクトルを決定することができる(62)。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置がターゲット組織に対する第1染色イメージの入力を受ける段階;
前記分析装置が前記第1染色イメージを学習されたディープラーニングモデルに入力して第2染色イメージを生成する段階;
前記分析装置が前記第1染色イメージに対する第1の2進イメージを生成する段階;
前記分析装置が前記第2染色イメージに対する第2の2進イメージを生成する段階;および
前記分析装置が前記第1の2進イメージおよび前記第2の2進イメージを基準として前記ターゲット組織の腫瘍-ストロマ比率を算出する段階を含む、ディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項2】
前記第1染色イメージはヘマトキシリン-エオシン(Hematoxylin & Eosin)染色イメージであり、前記第2染色イメージはサイトケラチン(cytokeratin)染色イメージである、請求項1に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項3】
前記ディープラーニングモデルは真性第1染色イメージの入力を受けて仮想の第2染色イメージを生成する生成モデルおよび生成モデルが出力する前記仮想の第2染色イメージが真性であるかどうかを分類する判別モデルを用いて学習され、前記判別モデルはPatchGANである、請求項1に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項4】
前記ディープラーニングモデルは
複数のパッチに区分される第1染色イメージの入力を受けて各パッチに仮想の第2染色イメージを生成する生成モデルおよび前記真性第1染色イメージ及び前記仮想の第2染色イメージの中で対応するパッチ対を用いて前記仮想の第2染色イメージを分類する判別モデルを用いて学習される、
請求項1に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項5】
前記ディープラーニングモデルは学習データを利用して学習され、
前記学習データは同一組織切片に対する真性第1染色イメージと真性第2染色イメージを含み、
前記真性第1染色イメージと前記真性第2染色イメージはピクセル水準で全体イメージを基準として全域的に整列され、全体イメージを構成する複数の領域別に地域的に整列されるデータである、請求項1に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項6】
前記全域的整列と前記地域的整列それぞれは
整列対象である二つのイメージをカラーデコンボリューションする段階;
カラーデコンボリューションされた二つのイメージを2進化する段階;
2進化された二つのイメージに対する交差相関関係ヒートマップを生成する段階;および
前記ヒートマップで最大値を基準としてシフトベクトルを演算する段階を含む、請求項5に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項7】
前記地域的整列は
前記複数の領域それぞれに対して前記複数の領域に対するシフトベクトルの平均値と前記全域的伝令のシフトベクトル値を合算した値を基準として整列される、請求項6に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項8】
前記ディープラーニングモデルはHED(Hematoxylin-Eosin-DAB)カラー空間に対する損失関数をさらに利用して学習される、請求項1に記載のディープラーニングモデル基盤の腫瘍-ストロマ比率予測方法。
【請求項9】
ターゲット組織に対する第1染色イメージの入力を受ける入力装置;
第1染色イメージを基準として第2染色イメージを生成する敵対的生成モデルを保存する保存装置;および
前記入力された第1染色イメージを2進化して第1の2進イメージを生成し、前記入力された第1染色イメージを前記敵対的生成モデルに入力して仮想の第2染色イメージを生成し、前記仮想の第2染色イメージを2進化して第2の2進イメージを生成し、前記第1の2進イメージおよび前記第2の2進イメージを基準として前記ターゲット組織の腫瘍-ストロマ比率を算出する演算装置を含む。腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【請求項10】
前記演算装置は前記第1の2進イメージから前記第2の2進イメージを減算して全体領域でストロマ比率を算出する、請求項9に記載の腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【請求項11】
前記第1染色イメージはヘマトキシリン-エオシン(Hematoxylin & Eosin)染色イメージであり、前記第2染色イメージはサイトケラチン(cytokeratin)染色イメージである、請求項9に記載の腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【請求項12】
前記敵対的生成モデルはドロップアウト階層を使わなかったU-net構造の生成モデルおよびパッチ単位で真性の有無を判別するPatchGANである判別モデルを含む、請求項9に記載の腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【請求項13】
前記敵対的生成モデルは学習データを利用して学習され、
前記学習データは同一組織切片に対する真性第1染色イメージと真性第2染色イメージを含み、
前記真性第1染色イメージと前記真性第2染色イメージはピクセル水準で全体イメージを基準として全域的に整列され、全体イメージを構成する複数の領域別に地域的に整列されるデータである、請求項9に記載の腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【請求項14】
前記敵対的生成モデルはHED(Hematoxylin-Eosin-DAB)カラー空間に対する損失関数をさらに利用して学習される、請求項9に記載の腫瘍-ストロマ比率を予測する分析装置。
【国際調査報告】