(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】航空機用自立式蒸気サイクル冷凍システム
(51)【国際特許分類】
B64D 13/08 20060101AFI20240208BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B64D13/08
B60H1/00 102P
B60H1/00 102L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550555
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2022052303
(87)【国際公開番号】W WO2022175073
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523315441
【氏名又は名称】リリウム ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】LILIUM GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゲイル アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ディートリッヒ アクセル
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA51
3L211DA02
3L211DA21
3L211DA92
(57)【要約】
航空機用の蒸気サイクル冷凍システム(100)は、圧縮機(10)と、凝縮器ラジエータ(22)、凝縮器ファン(24)、凝縮器ファン(24)によって生成された空気の流れを凝縮器ラジエータ(22)に導くように構成されている凝縮器エアダクト(26)を有する凝縮器ユニット(20)と、膨張機(30)と、蒸発器ラジエータ(42)、蒸発器ファン(44)、蒸発器ファン(44)によって生成された空気の流れを蒸発器ラジエータ(42)に導くように構成されている蒸発器エアダクト(46)を有する蒸発器ユニット(40)と、圧縮機(10)、凝縮器ラジエータ(22)、膨張機(30)、蒸発器ラジエータ(42)を、冷媒用の閉回路内で接続している配管システム(50)と、を備え、圧縮機(10)、凝縮器ラジエータ(22)、凝縮器ファン(24)、膨張機(30)、蒸発器ラジエータ(42)、蒸発器ファン(44)、配管システム(50)のそれぞれは、システム(100)が自立する態様で、凝縮器エアダクト(26)と蒸発器エアダクト(46)の少なくとも一つによって、好ましくは凝縮器エアダクト(26)によって、直接的又は間接的に、完全に支持されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用の蒸気サイクル冷凍システム(100)であって、前記システムは、
圧縮機(10)と、
凝縮器ラジエータ(22)、凝縮器ファン(24)、前記凝縮器ファン(24)によって生成された空気の流れを前記凝縮器ラジエータ(22)に導くように構成されている凝縮器エアダクト(26)を有する凝縮器ユニット(20)と、
膨張機(30)と、
蒸発器ラジエータ(42)、蒸発器ファン(44)、前記蒸発器ファン(44)によって生成された空気の流れを前記蒸発器ラジエータ(42)に導くように構成されている蒸発器エアダクト(46)を有する蒸発器ユニット(40)と、
前記圧縮機(10)、前記凝縮器ラジエータ(22)、前記膨張機(30)、前記蒸発器ラジエータ(42)を、冷媒用の閉回路内で接続している配管システム(50)と、
を備え、
前記圧縮機(10)、前記凝縮器ラジエータ(22)、前記凝縮器ファン(24)、前記膨張機(30)、前記蒸発器ラジエータ(42)、前記蒸発器ファン(44)、前記配管システム(50)のそれぞれが、前記システム(100)が自立する態様で、前記凝縮器エアダクト(26)と前記蒸発器エアダクト(46)の少なくとも一つによって、好ましくは前記凝縮器エアダクト(26)によって、直接的又は間接的に、完全に支持されていることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記圧縮機(10)、前記凝縮器ラジエータ(22)、前記凝縮器ファン(24)、前記膨張機(30)、前記蒸発器ラジエータ(42)、前記蒸発器ファン(44)のそれぞれは、前記凝縮器エアダクト(26)又は前記蒸発器エアダクト(46)のいずれかによって完全に支持されており、それにより、前記システム(100)は2つの自立式モジュールに分離可能である、請求項1に記載の蒸気サイクル冷凍システム(100)。
【請求項3】
前記凝縮器エアダクト(26)の外表面又は前記蒸発器エアダクト(46)の外表面に取り付けられ、完全に支持されているコントローラ(60)をさらに備える、請求項1又は2に記載の蒸気サイクル冷凍システム(100)。
【請求項4】
前記コントローラ(60)のヒートシンク構造は、前記コントローラ(60)を支持する前記エアダクトの内部、特に、前記凝縮器エアダクト(26)の内部に突出している、請求項3に記載の蒸気サイクル冷凍システム(100)。
【請求項5】
前記凝縮器エアダクト(26)及び/又は前記蒸発器エアダクト(46)は、前記システムの他の構成要素を取り付けるために、取り付け突起の配列(27、47)を備え、好ましくは、前記取り付け突起は前記対応するエアダクトと一体成型される、先行する請求項のいずれかに記載の蒸気サイクル冷凍システム(100)。
【請求項6】
前記蒸発器ユニット(40)は、コンソール及び/又は支柱(82)を用いて、前記凝縮器エアダクト(26)に支持されている、先行する請求項のいずれかに記載の蒸気サイクル冷凍システム(100)。
【請求項7】
前記凝縮器エアダクト(26)及び/又は前記蒸発器エアダクト(46)は、繊維複合材料から作られている、先行する請求項のいずれかに記載の蒸気サイクル冷凍システム(100)。
【請求項8】
前記蒸発器エアダクト(46)は、前記蒸発器ラジエータ(42)の上流に、2つの異なる空気入口(43、45)と混合チャンバ(41)を備える、先行する請求項のいずれかに記載の蒸気サイクル冷凍システム(100)。
【請求項9】
前記圧縮機(10)は、前記凝縮器エアダクト(26)の傾斜面部(26i)に支持され、前記凝縮器ユニット(20)と前記蒸発器ユニット(40)との間に配置されている、先行する請求項のいずれかに記載の蒸気サイクル冷凍システム(100)。
【請求項10】
先行する請求項のいずれかに記載の蒸気サイクル冷凍システム(100)を備える航空機であって、前記蒸気サイクル冷凍システムの全ての構成要素が、前記凝縮器エアダクト(26)と前記蒸発器エアダクト(46)の少なくとも一つによって前記航空機に支持されるように、前記蒸気サイクル冷凍システム(100)が前記航空機に固定されている、航空機。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
蒸気サイクル冷凍は、多くの航空機において、客室空気の空調のために用いられている。
【0002】
特に、本発明は、航空機用の蒸気サイクル冷凍システム、略してVCRシステムに関するものであり、システムは、圧縮機と、凝縮器ラジエータ、凝縮器ファン、凝縮器ファンによって生成された空気の流れを凝縮器ラジエータに導くように構成されている凝縮器エアダクトを有する凝縮器ユニットと、膨張機と、蒸発器ラジエータ、蒸発器ファン、蒸発器ファンによって生成された空気の流れを蒸発器ラジエータに導くように構成されている蒸発器エアダクトを有する蒸発器ユニットと、圧縮機、凝縮器ラジエータ、膨張機、蒸発器ラジエータを冷媒用の閉回路において接続している配管システムと、を備える。
【0003】
従来のVCRシステムでは、上に列挙したさまざまなシステムの構成要素は、金属管で作られた別個のフレームに配置されて支持され、そして、フレームが航空機に固定されている。代替案としては、構成要素を支持する板金ボックスを使用することが知られている。
【0004】
このような背景に対して、本発明は、システムの重量を減らすことを目的とするものである。その結果、燃料消費量が減少すると共に飛行範囲が増加するであろうし、あるいはシステムを用いる航空機のペイロードが増加するであろう。
【0005】
この目的は、システムが自立する態様で、圧縮機、凝縮器ラジエータ、凝縮器ファン、膨張機、蒸発器ラジエータ、蒸発器ファン、配管システムのそれぞれが、凝縮器エアダクトと蒸発器エアダクトの少なくとも一つによって、直接的又は間接的に、完全に支持されるようにVCRシステムを設計することによって解決される。
【0006】
本発明の解決策は、構造部品の材料量を削減することと、高性能化合物にとって好ましい条件を提供する構成要素トポロジーにより、大幅な重量を節約する。特に、必要なシステムの構成要素が、従来のフレーム又はボックスの支持機能を追加的に担う基部構成要素として用いられるため、別個のフレーム又はボックスを省略することができる。
【0007】
本質的には、従来のVCRシステムから本発明の解決策への移行は、チューブラーフレームからカーボンファイバー複合材モノコックへの、フォーミュラ1の変化に匹敵する。
【0008】
当然ながら、VCRシステムは、追加の構成要素を備え得る。特に、凝縮器ラジエータと膨張機との間に設けられるレシーバドライヤである。この場合、追加の各構成要素も、システムが自立する態様で、凝縮器エアダクトと蒸発器エアダクトの少なくとも一つによって、直接的又は間接的に、完全に支持される。
【0009】
いくつかの実施形態では、膨張機は膨張弁、特に熱膨張弁を備え得る。しかし、他の実施形態では、膨張タービンも使用し得る。
【0010】
特に、凝縮器ラジエータと凝縮器ファンを接続する凝縮器エアダクトは、十分な量の空気を運ぶために必要な広い表面を有するため、相当量の材料を追加する必要性がなく、他の構成要素を取り付けることのできる基部構成要素として用いるのに、特に適している。
【0011】
各基部構成要素に取り付けられた構成要素は、他の部品を取り付けるための補助的構造要素として用いてもよく、それにより、他の部品は、基部構成要素によって間接的に支持されることになる。
【0012】
特定の実施形態によれば、圧縮機、凝縮器ラジエータ、凝縮器ファン、膨張機、蒸発器ラジエータ、蒸発器ファンのそれぞれは、凝縮器エアダクト又は蒸発器エアダクトのいずれかによって完全に支持されており、そのため、システムは2つの自立式モジュールに分離可能である。
【0013】
このように、凝縮器エアダクトによって支持されるモジュールと、蒸発器エアダクトによって支持されるモジュールは事前に組み立て可能であり、その後、2つのモジュールの異なる構成要素の間で配管システムの要素を接続することにより、結合し得る。
【0014】
異なるファンの回転速度などのシステムのパラメータ、及び/又は、圧縮機及び/又は膨張機のパラメータを制御するように構成されるコントローラは、凝縮器エアダクト又は蒸発器エアダクトの外表面に取り付けて、完全に支持することができる。
【0015】
特に、コントローラのヒートシンク構造、例えば加熱フィンの配列が、コントローラを支持するエアダクト、例えば凝縮器エアダクトの内部に突出するように、コントローラを配置し得る。このようにして、コントローラの電子的構成要素も、各エアダクトを流れる空気によって冷却し得る。
【0016】
あるいは、コントローラを、冷媒又は追加の空気流によって冷却し得る。
【0017】
システムの他の構成要素を取り付けるために、凝縮器エアダクト及び/又は蒸発器エアダクトは、それぞれ、取り付け突起の個別の配列を備え得るものであり、好ましくは、取り付け突起は対応するエアダクトと一体成型される。特に、これら取り付け突起は、エンボス又は取り付けアイレット(小穴)として成型し得る。
【0018】
特に、蒸発器ユニット又は少なくとも蒸発器ラジエータは、コンソール及び/又は支柱を用いて、凝縮器エアダクトに支持し得る。
【0019】
好ましくは、凝縮器エアダクト及び/又は蒸発器エアダクトは、炭素繊維強化ポリマー又はガラス繊維強化ポリマーなどの繊維複合材料から作られる。
【0020】
特定の実施形態によれば、蒸発器エアダクトは、蒸発器ラジエータの上流に、2つの別々の空気入口と、混合チャンバとを備え得る。客室からの再循環空気と、航空機外部からの新鮮な空気を、別々の空気入口を介して混合チャンバに誘導することができ、それにより、蒸発器ユニットの出口における冷却された客室空気が十分に新鮮な空気と、多過ぎないCO2を含むことを確実にする。
【0021】
別の実施形態によれば、混合チャンバはVCRシステムとは別に設けて、蒸発器ユニットに接続することができる。
【0022】
相当量の空気を搬送するには、エアダクトが大きな断面を有する必要があり、よって体積も必要であることから、エアダクトは、構成要素の集合体の骨格として用いるには十分である。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、凝縮器ラジエータの断面は凝縮器ファンの断面と異なっており、特に凝縮器ファンの断面より大きいため、凝縮器ラジエータを凝縮器エアダクトに接続する凝縮器エアダクトはテーパ状であり、結果として生じる傾斜面部を有する。この文脈での傾斜とは、具体的には、凝縮器ファンの中心軸に対して傾斜していることを意味する。
【0024】
圧縮機を凝縮器エアダクトのこの傾斜面部で支持し、凝縮器ユニットと蒸発器ユニットとの間に圧縮機を配置することによって、さまざまな構成要素をコンパクトに配置することが可能になる。
【0025】
最後に、上述したような本発明の蒸気サイクル冷凍システムを備える航空機であって、蒸気サイクル冷凍システムの全ての構成要素が、凝縮器エアダクト及び蒸発器エアダクトの少なくとも一つを介して航空機に支持される態様で、蒸気サイクル冷凍システムが航空機に固定されている航空機についても、保護が請求される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下に、添付図面に示される例示的な実施形態を用いて本発明を説明する。
【
図1】
図1は、蒸気サイクル冷凍の原理を模式的に示すものである。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態のVCRシステムの斜視図である。
【
図3】
図2における発明の対象の別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に概略的に示されるような蒸気サイクル冷凍の原理は、従来のシステムと本発明のシステムの両方に適用される。
【0028】
図1に示されるような蒸気サイクル冷凍システム100は閉ループシステムであり、少なくとも圧縮機10、凝縮器ユニット20、膨張機30、蒸発器ユニット40を備える。上に列挙した要素は、
図1において矢印線で示される配管システム50によって互いに接続されており、矢印は、冷媒の循環方向を示している。
【0029】
例としてテトラフルオロエタンのような冷媒を液状にしたものは、蒸発器ユニット40において、又はより正確には、その蒸発器ラジエータにおいて蒸発する。この相転移に必要なエネルギーは、蒸発器ラジエータコイルの外表面沿いに導かれる客室空気から、熱の形で抽出される。このようにして、空気は冷却され、客室に供給される。
【0030】
次に、結果として生じた冷媒ガスの圧力及び温度は、圧縮機10によって上昇させられる。その後、ガス状の冷媒は、外気によって冷却される凝縮器ユニット20の凝縮器ラジエータにおいて凝縮する。
【0031】
結果として生じた液冷媒は、凝縮器ユニット20を出て、膨張機30、特に熱膨張弁に入る。そこで液体の圧力が下げられた後、蒸発器ユニット40に再び入り、サイクルが再び始まる。
【0032】
システムのさまざまな構成要素、特に圧縮機とラジエータはかなり重い。したがって、従来のシステムでは、個々の構成要素は別個のフレーム上又は別個のボックス内に配置され、それから、構成要素を支持するフレーム又はボックスは航空機に固定される。
【0033】
大幅な重量削減を可能にする本発明の実施形態のVCRシステム100は、
図2から
図5に示されている。
図1の概略的に示されたシステムの特徴と同一又はそれに対応する実施形態の特徴は、同じ参照符号で指定されている。
【0034】
明確性のため、特に同一の特徴がいくつかある場合、各図において、参照符号が実施形態の特徴の各々に付されているわけではない。
【0035】
図2から
図5に示される実施形態では、VCRシステム100の全ての構成要素が、凝縮器ユニット20の凝縮器エアダクト26に直接的又は間接的に支持されている。
【0036】
この実施形態では、凝縮器エアダクト26は、例えば繊維強化複合材料から作られる略漏斗形状の中空要素である。凝縮器エアダクト26は、凝縮器ラジエータ22と凝縮器ファン24とを接続して、凝縮器ファン24によって生成され、方向P1に沿って凝縮器ユニット20に入る空気流が、凝縮器ラジエータ22の内部冷却コイルの外表面(図示せず)に沿って凝縮器ラジエータ22を貫流し、凝縮器エアダクト26を通過し、
図3に示す方向P2に沿って凝縮器出口29から出るようにする。
【0037】
凝縮器エアダクト26の断面は、凝縮器ラジエータ22に接続されている第1端部26e1(
図4参照)から、凝縮器ファン24に接続されている第2端部26e2に向かってテーパ状になり、一方、その断面形状は長方形から円形へと滑らかに変化する。
【0038】
凝縮器ラジエータ22と凝縮器ファン24は、任意の適切な方法、例えばボルト留め(図示しない)で、凝縮器エアダクト26に固定し得る。
【0039】
3つの取り付けアイレット25は、凝縮器エアダクト26の外表面から突出し、好ましくは凝縮器エアダクト26と一体成型される。2つのアイレットは、凝縮器ラジエータ22近くの、凝縮器エアダクト26の反対側の側壁部分26s(
図2参照)に設けられ、1つのアイレットは、凝縮器ファン24近くの上壁部分26tに設けられている。
【0040】
これらの取り付けアイレット25は、VCRシステム100を航空機(図示せず)に固定するために用いられる。アイレットの形状、位置、向き、数は、通常、システムの航空機に対する適合の一部である。
【0041】
他の構成要素を取り付けるために、凝縮器エアダクト26は、取り付け突起27のいくつかの配列を備え得る。
【0042】
特に、本実施形態において、隆起したエンボス加工27eの形状をした4つの取り付け突起27であって、特に雌ねじを備えたものが、圧縮機10を固定及び支持するために、凝縮器エアダクト26の傾斜上面部26i(
図4参照)上にあって、凝縮器エアダクト26と一体成型される。
【0043】
2つの同様の突起27が、VCRシステム100のいくつかのパラメータの制御に用いられるコントローラ60を取り付けるために、凝縮器エアダクト26の側壁部分26sに設けられている。
【0044】
ヒートシンク構造、例えば加熱フィン(図示せず)の配列が、凝縮器エアダクト26の側壁の開口部(図示せず)を通って突き出ていることにより、コントローラ60の電子的構成要素も、凝縮器エアダクト26を流れる空気によって冷却し得る。
【0045】
最後に、凝縮器エアダクト26は、蒸発器ユニット40を支持するために、2つの取り付け突起27を備え得るものであり、
図4ではそのうちの一つだけが見えている。2つの取り付け突起27は、
図4の描画面に垂直な横方向において互いに間隔を置いて配置され、上述した取り付けアイレット25と同様な三角アイレット27tの形状を有している。
【0046】
凝縮器ラジエータ22は、凝縮器エアダクト26の第1端部26e1に固定され、凝縮器ラジエータ22の側壁22sの上下端に設けられた、冷媒用の入口22iと出口22oを備える。
【0047】
凝縮器ラジエータの入口22iは、パイプ51を介して圧縮機10の出口10oに接続されている。パイプ51は、凝縮器エアダクト26の傾斜上壁部26iと蒸発器ユニット40の底壁40bとの間の空間に、少なくとも部分的に延びており、
図4と
図5において最もよく見える。
【0048】
凝縮器ラジエータの出口22oは、パイプ52を介して膨張機30の入口30iに接続されている。パイプ52は、まず凝縮器エアダクト26の側壁部分26sに沿って、次に蒸発器ラジエータ42の側壁部分42sに沿って上方へと延びている。
【0049】
膨張機30は、好ましくは熱膨張弁を備えるものであり、蒸発器ラジエータ42の側壁部分42sに固定され、蒸発器ラジエータ42の冷却コイル(図示せず)に内部接続されている。
【0050】
蒸発器ユニット40は、底壁40bに設けられている三角形のアイレット47tの形状をした2つの取り付け突起47を用いて、凝縮器エアダクト26の傾斜上面部26iに取り付けられる。2つの取り付け突起47は、凝縮器エアダクト26の対応する取り付け突起27に、締結具81を介して固定される(
図4参照)。
【0051】
また、蒸発器ユニット40は、膨張機30が取り付けられる側壁とは反対側の蒸発器ラジエータ42の側壁42sの上端部と、凝縮器ラジエータ22近傍の凝縮器エアダクト26の上部側壁部分とを連結する斜めの支柱82を用いて、凝縮器エアダクト26に支持されている。斜めの支柱82は、締結具81(
図4参照)によって画定される軸の周りで、蒸発器ユニット40が旋回するのを防止し、それにより凝縮器ユニット20に対する蒸発器ユニット40の向きを固定する。
【0052】
蒸発器エアダクト46は、蒸発器ラジエータ42の上流に配置された第1部分46.1と、蒸発器ラジエータ42の下流に配置され、蒸発器ラジエータ42を蒸発器ファン44に接続する第2部分46.2とを備える。蒸発器エアダクト46の第1部分46.1、蒸発器ラジエータ42、蒸発器エアダクト46の第2部分46.2、蒸発器ファン44は、任意の適切な手段、例えば、ボルト留め(図示せず)によって互いに固定され得る。
【0053】
蒸発器エアダクト46の第1部分46.1は、2つの円形の空気入口43及び45を有する混合チャンバ41を備えており、空気入口43及び45は、混合チャンバ41の反対側の側壁部分に設けられている。空気入口のうちの一つ、特に大入口43は、温かい、再循環した客室空気を方向P3に沿って混合チャンバ41内に誘導するために用いることができ、もう一つの入口、特に小入口45は、航空機外部からの新鮮な空気を方向P4に沿って混合チャンバ41内に誘導するために用いることができる。
【0054】
結果として生じる混合空気が、蒸発器ラジエータ42の内部コイル(図示せず)の外表面に沿って誘導され、コイル内を流れる液体冷媒を蒸発させるために使用されるとき、当該混合空気から熱が除去される。結果として生じる冷却された空気は、蒸発器ファン44によって、蒸発器エアダクト46の、ボトルネック形状をした第2部分46.2を通って吸い込まれ、方向P5に沿って、蒸発器ユニット42から出て行く。
【0055】
本実施形態において、冷媒は、蒸発器ラジエータ42で蒸発させられた後、出口30oを経由して蒸発器ユニット40から出て行く。出口30oは、膨張機30に設けることができ、管54によって圧縮機10の入口10iに接続される。蒸発器ラジエータ42の出口と膨張機30の出口30oとの間の内部接続は、図面には見えない。
【0056】
圧縮機10は、従来型の球面円柱形状を有し、4つの脚部11を備える。4つの脚部11は、凝縮器エアダクト26の傾斜上部26i上に設けられる4つの取り付け突起27に、適切な締結具12で固定されている。圧縮機10は、電力及び/又はデータ用のコネクタ13を備え得る。
【0057】
配管システム50は、上述の管51、52、及び54を備えており、適切な吸振器(図示せず)を備え得る。
【0058】
好ましくは繊維強化複合材料から作られる凝縮器エアダクト26は、軽量でありながら構造的に安定しており、システム100の他の構成要素すべてを支持するのに十分な大きさであるため、別個のフレーム又はボックスを省略することができる。結果として生じる自立式VCRシステム100は、さまざまな構成要素を支持する別個のフレーム又はボックスを持つ従来のシステムと比較してコンパクトであり、重量が大幅に軽減されている。
【国際調査報告】