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特表2024-507265サンプルチューブのための蓋アセンブリ、それを使用して磁気ビーズを収集する方法、およびサンプル処理キット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】サンプルチューブのための蓋アセンブリ、それを使用して磁気ビーズを収集する方法、およびサンプル処理キット
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20240208BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240208BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G01N35/02 B
G01N1/10 V
G01N35/04 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550630
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 GB2022050464
(87)【国際公開番号】W WO2022180376
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】2102573.9
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519340400
【氏名又は名称】インペリアル・カレッジ・イノベーションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IMPERIAL COLLEGE INNOVATIONS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】カヴート マシュー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ペニーシ イヴァナ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス マンツァーノ ヘスス
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジウ パンテリス
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AB20
2G052AD26
2G052BA19
2G052BA24
2G052DA02
2G052DA08
2G052DA12
2G052DA27
2G052GA29
2G052JA07
2G058AA09
2G058CA02
2G058CB15
(57)【要約】
サンプルチューブから磁気ビーズを収集し、続いてビーズを放出するためのサンプルチューブ用の蓋アセンブリであって、蓋アセンブリは、閉鎖部であって、サンプルチューブを閉鎖するために、サンプルチューブの開口部に閉鎖部を取り外し可能に取り付けるための手段と、閉鎖部がサンプルチューブに取り付けられたときにサンプルチューブの開口部内またはその上方に配置されるように構成されたビーズ捕集プラットフォームであって、ビーズ捕集プラットフォームが、使用中にサンプルチューブ内の液体と接触するための一方の側のビーズ捕集面と、ビーズ捕集面の背後の他方の側の磁石収納空洞とを有する、ビーズ捕集プラットフォームと、を含む閉鎖部と、磁石を備える磁石保持部であって、磁石がビーズ捕集面に向かって磁石収納空洞内に取り外し可能に挿入可能であり、その結果、磁石が磁石収納空洞内に存在するとき、磁石がビーズ捕集面に対して磁気ビーズを保持することができ、磁石が磁石収納空洞内に存在しないとき、蓋アセンブリがビーズ捕集面に対して磁気ビーズを磁気的に保持することができない、磁石保持部を備える。
サンプルチューブ内の液体から磁気ビーズを収集するためにそのような装置を使用する方法、ならびに関連するキットおよび付属品も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルチューブから磁気ビーズを収集し、続いて前記ビーズを放出するためのサンプルチューブ用の蓋アセンブリであって、
前記蓋アセンブリが、
閉鎖部であって、
前記閉鎖部を前記サンプルチューブの前記開口部に取り外し可能に取り付けて、前記サンプルチューブを閉鎖するための手段と、
前記閉鎖部が前記サンプルチューブに取り付けられたときに前記サンプルチューブの前記開口内または上方に位置するように配置されたビーズ捕集プラットフォームであって、使用中に前記サンプルチューブ内の液体と接触するための一方の側のビーズ捕集面と、前記ビーズ捕集面の背後の他方の側の磁石収納空洞とを有する、ビーズ捕集プラットフォームと、
を含む閉鎖部と、
磁石を備える磁石保持部であって、前記磁石が前記磁石収納空洞内に存在するとき、前記磁石が前記ビーズ捕集面に対して磁気ビーズを保持することができ、前記磁石が前記磁石収納空洞内に存在しないとき、前記蓋アセンブリが前記ビーズ捕集面に対して磁気ビーズを磁気的に保持することができないように、前記磁石が前記ビーズ捕集面に向かって前記磁石収納空洞内に取り外し可能に挿入可能である、磁石保持部と、
を備える、サンプルチューブ用の蓋アセンブリ。
【請求項2】
前記磁石保持部が、前記閉鎖部から分離可能である、請求項1に記載の蓋アセンブリ。
【請求項3】
前記磁石が前記磁石収納空洞内で前記ビーズ捕集面に向かって、または前記ビーズ捕集面から離れるように移動することを可能にしながら、前記磁石保持部が前記閉鎖部に結合される、請求項1に記載の蓋アセンブリ。
【請求項4】
前記磁石保持部が、前記磁石が取り付けられるユーザ把持可能部をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項5】
前記ユーザ把持可能部が、前記磁石保持部を上下逆向きに支持するためのスタンドとして機能できるような断面プロファイルを有する、請求項4に記載の蓋アセンブリ。
【請求項6】
前記磁石収納空洞が、前記磁石保持部の少なくとも前記磁石を受け入れるように成形されたソケットの形態である、請求項1~5のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項7】
前記磁石保持部が、前記ソケット内で回転可能である、請求項6に記載の蓋アセンブリ。
【請求項8】
前記磁石が前記磁石収納空洞に挿入されると、前記磁石保持部と前記閉鎖部とが互いに係合可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項9】
前記磁石保持部が、1つまたは複数の半径方向突出部を備え、前記1つまたは複数の半径方向突出部が係合可能な1つまたは複数の相補的なチャネルを前記ソケットが備える、請求項7に従属する場合の請求項8に記載の蓋アセンブリ。
【請求項10】
前記磁石保持部および前記ソケットが、互いに係合可能なねじ山を備える、請求項7に従属する場合の請求項8に記載の蓋アセンブリ。
【請求項11】
前記ソケットが、前記磁石保持部を把持するための把持手段を備える、請求項6または7に記載の蓋アセンブリ。
【請求項12】
前記閉鎖部を前記サンプルチューブの前記開口部に取り外し可能に取り付けるための前記手段が、前記サンプルチューブの前記開口部と係合するように適合された圧入嵌合部を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項13】
前記圧入嵌合部が、前記ビーズ捕集プラットフォームである、請求項12に記載の蓋アセンブリ。
【請求項14】
前記閉鎖部を前記サンプルチューブの前記開口部に取り外し可能に取り付けるための前記手段が、スナップ嵌合機構を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項15】
前記閉鎖部が、上方から見たときに、細長い形状を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項16】
前記閉鎖部が、前記閉鎖部の両側に第1および第2のフィンガータブを備え、使用時にユーザの親指と指で握れるようにする、請求項1~15のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項17】
前記第1および第2フィンガータブが、前記ビーズ捕集面の下方に延在し、前記閉鎖部から分離されたときに直立した向きで前記蓋アセンブリを支持するためのスタンドとして機能することができる、請求項16に記載の蓋アセンブリ。
【請求項18】
前記第1および第2のフィンガータブが、前記ビーズ捕集面の上方に延在し、前記蓋アセンブリを上下逆向きに支持するためのスタンドとして機能することができる、請求項16または請求項17に記載の蓋アセンブリ。
【請求項19】
前記ビーズ捕集プラットフォームが、前記第1および第2のフィンガータブと平行に、かつ前記第1および第2のフィンガータブから分離して延在する、請求項16から18のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項20】
前記ビーズ捕集面が、凹状または窪み領域を組み込んでいる、請求項1~19のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項21】
前記ビーズ捕集面が凸状である、請求項1~19のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項22】
前記ビーズ捕集面が、へこみ部または凹部のアレイを組み込んでいる、請求項1~21のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項23】
前記ビーズ捕集面が、流体ウィッキング部材を組み込んでいる、請求項1~22のいずれか一項に記載の蓋アセンブリ。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の蓋アセンブリと、少なくとも第1のサンプルチューブと、任意選択でピペットと、および/またはスワブと、および/またはさらなるサンプル採取チューブと、を備えるキット。
【請求項25】
互いに接続された複数のサンプルチューブを有する、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
前記サンプルチューブの最後が、脆弱接続部によってその隣接するサンプルチューブに接続される、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
第1、第2および第3のサンプルチューブを有する、請求項24~26のいずれか一項に記載のキット。
【請求項28】
前記第1のサンプルチューブが、溶解/結合緩衝液を収容し、
前記第2のサンプルチューブが、洗浄液を収容し、かつ、
前記第3のサンプルチューブが、溶出液を収容する、
請求項27に記載のキット。
【請求項29】
前記第1のサンプルチューブが、磁気ビーズで予め充填されている、請求項24~28のいずれか一項に記載のキット。
【請求項30】
前記サンプルチューブ(複数可)を支持するための1つもしくは複数の凹部または空洞と、前記蓋アセンブリが配置される凹部とを組み込んだトレイをさらに備え、したがって、前記トレイが、前記チューブ(複数可)のためのスタンドとして機能し、前記蓋アセンブリのためのプラットフォームまたは乾燥領域を提供する、請求項24~29のいずれか一項に記載のキット。
【請求項31】
閉鎖可能なキャップを有するサンプルチューブであって、前記キャップが試薬を収容する区画を備え、前記区画が、その中に前記試薬を密封するための取り外し可能なカバーを有する、閉鎖可能なキャップを有するサンプルチューブ。
【請求項32】
前記キャップが前記サンプルチューブを閉じるときに前記区画が前記サンプルチューブ内に位置するように、前記区画が、前記キャップの内側にある、請求項31に記載のサンプルチューブ。
【請求項33】
前記キャップが可撓性ヒンジによって前記チューブに取り付けられている、請求項31または請求項32に記載のサンプルチューブ。
【請求項34】
前記試薬がビーズの形態である、請求項31~33のいずれか一項に記載のサンプルチューブ。
【請求項35】
前記ビーズが前記区画に圧入嵌合されている、請求項34に記載のサンプルチューブ。
【請求項36】
前記試薬が検出試薬である、請求項31~35のいずれか一項に記載のサンプルチューブ。
【請求項37】
前記サンプルチューブの少なくとも1つが、請求項31~36のいずれか一項に記載のサンプルチューブである、請求項24~30のいずれか一項に記載のキット。
【請求項38】
前記第3のサンプルチューブが、請求項31~36のいずれか一項に記載のサンプルチューブである、請求項27または請求項28に従属する場合の請求項37に記載のキット。
【請求項39】
サンプルチューブ内の液体から磁気ビーズを収集する方法であって、前記方法が、
請求項1~23のいずれか一項に記載の蓋アセンブリの前記閉鎖部、または請求項24~30もしくは37もしくは38のいずれか一項に記載のキットの蓋アセンブリの前記閉鎖部を、前記サンプルチューブの前記開口部に取り付けるステップと、
前記磁気ビーズが前記ビーズ捕集面と接触し、前記磁石によって前記ビーズ捕集面に対して保持されるように、前記磁石が前記磁石収納空洞内に挿入された状態で前記液体を攪拌するステップと、
を備える、サンプルチューブ内の液体から磁気ビーズを収集する方法。
【請求項40】
前記サンプルチューブが、第1の液体を収容する第1のサンプルチューブであり、前記方法が、
前記磁石が前記磁石収納空洞に挿入され、前記磁気ビーズが前記ビーズ捕集面に対して前記磁石によって保持された状態で、前記蓋アセンブリを前記第1のサンプルチューブから取り外すステップと、
前記蓋アセンブリの前記閉鎖部を、第2の液体を収容する第2のサンプルチューブの前記開口部に取り付けるステップと、
前記磁石ビーズがもはや前記磁石によって前記ビーズ捕集面に対して保持されず、前記第2の液体に懸濁されるように、前記磁石を前記磁石収納空洞から取り外すステップと、
を備える、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記磁石を前記磁石収納空洞内に再挿入するステップと、
前記磁気ビーズが前記ビーズ捕集面と接触し、前記ビーズ捕集面に対して前記磁石によって保持されるように、前記第2の液体を攪拌するステップと、
前記磁石が前記磁石収納空洞に挿入され、前記磁気ビーズが前記ビーズ捕集面に対して前記磁石によって保持された状態で、前記蓋アセンブリを前記第2のサンプルチューブから取り外すステップと、
前記蓋アセンブリの前記閉鎖部を、第3の液体を収容する第3のサンプルチューブの前記開口部に取り付けるステップと、
前記磁石ビーズがもはや前記磁石によって前記ビーズ捕集面に対して保持されず、前記第3の液体に懸濁されるように、前記磁石を前記磁石収納空洞から取り外すステップと、
をさらに備える、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記磁石を前記磁石収納空洞内に再挿入するステップと、
前記磁気ビーズが前記ビーズ捕集面と接触し、前記ビーズ捕集面に対して前記磁石によって保持されるように、前記第3の液体を攪拌するステップと、
前記磁石が前記磁石収納空洞に挿入され、前記磁気ビーズが前記ビーズ捕集面に対して前記磁石によって保持された状態で、前記蓋アセンブリを前記第3のサンプルチューブから取り外すステップと、
次いで、任意選択的に、前記蓋アセンブリおよび/または前記磁気ビーズを配置するステップと、
をさらに備える、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
標的生体分子の抽出のために、
前記第1の液体が、前記生体分子を前記磁気ビーズに結合させるための溶解/結合緩衝液であり、
前記第2の液体が洗浄液であり、かつ、
前記第3の液体が、前記生体分子を溶出するための溶出液である、
請求項41または請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記標的生体分子が核酸を備える、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
検出試薬を前記溶出液に導入するステップと、前記標的生体分子の存在または非存在を判定するために、必要に応じて加熱を適用するステップと、をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第3のサンプルチューブが、請求項36に記載のものであり、前記検出試薬を導入するステップが、前記サンプルチューブの前記区画から前記検出試薬を放出するステップを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
複数のサンプルチューブを保持し、それらを同時に手動で攪拌または反転させることを可能にするハンドヘルド装置であって、
前記装置は、
ハンドル部と、
各々がそれぞれのサンプルチューブを保持するための複数のサンプルチューブ保持クリップと、
を備える、ハンドヘルド装置。
【請求項48】
複数の拘束アームをさらに備え、各拘束アームがそれぞれ一つの前記保持クリップの上方に延在する、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
各拘束アームが、前記それぞれの保持クリップの一方の側にオフセットされている、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
複数のサンプルチューブを同時に手動で攪拌または反転させる方法であって、前記サンプルチューブを請求項47~49のいずれか一項に記載の装置に挿入するステップと、前記ハンドル部を操作するステップと、を備える方法。
【請求項51】
前記サンプルチューブの少なくとも1つが、請求項1~23のいずれか一項に記載の蓋アセンブリに取り付けられる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記サンプルチューブの少なくとも1つが、請求項31~36のいずれか一項に記載のサンプルチューブである、請求項50または請求項51に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、国立衛生研究所の国立アレルギー感染症研究所によって授与された賞番号R01AI128765の下で米国政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、サンプルチューブ内の液体から磁気ビーズを収集するように適合されたサンプルチューブ用の蓋アセンブリ、およびそのような装置を使用する関連する方法に関する。装置および方法は、磁気分離を使用して固体または液体サンプルから標的生体分子の抽出を実施するのに特に適しているが、決して限定されない。このような装置を含むサンプル処理キットも、いくつかの付属品と共に提供される。
【0003】
本明細書で使用される「磁気ビーズ」という用語は、広く解釈されるべきである。第1に、「磁気」という用語は、「常磁性」を包含するように広く解釈されるべきである。さらに、用語「ビーズ」はまた、ナノ粒子(すなわち、直径1μm未満の粒子)、ミクロンサイズ粒子(すなわち、直径1~500μm程度のもの)、およびより大きな粒子(場合によっては直径約1mm程度まで)を含む様々なサイズの粒子を包含するように広く解釈されるべきである。当業者が理解するように、本開示の原理は、磁気「ビーズ」の任意の特定のサイズまたは組成に限定されず、任意の所与の用途について、当業者は適切なサイズおよび組成のビーズを使用することが理解されよう。
【背景技術】
【0004】
磁気ビーズを使用する磁気分離は、サンプルから標的生体分子を抽出するための確立された技術である。
【0005】
磁気ビーズは、典型的には、2つの成分からなる。磁気材料(多くの場合、鉄、ニッケルまたはコバルト)と、ビーズに機能性を提供し、それによりビーズが生体分子または他の化学的種もしくは生物学的種に付着することを可能にする化学成分とからなる。そのような種には、核酸(例えば、RNAまたはDNA)などのポリヌクレオチド、タンパク質、生物学的細胞、および他の化学的分子または生物学的分子が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0006】
磁気ビーズ抽出の原理は、例えば米国特許第4,554,088号明細書および米国特許第5,705,628号明細書で十分に確立され、概説されており、これらはそれ自体、この技術に関するさらなる背景技術を参照する。
【0007】
より最近では、米国特許出願公開第2015/0196905A1号明細書は、液体中の懸濁液中の磁気ビーズを分離するために、その蓋に磁石を一体化し、4つの取り外し可能な構成要素、すなわち、遠心分離可能な液体容器、小型の取り外し可能な磁石、中空円筒形コネクタキャップ、および開いた蓋アダプタを備える遠心分離可能な液体容器を提案している。使用中、構成要素はねじ山によって一緒に取り付けられる。
【0008】
米国特許出願公開第2015/0196905A1号明細書の容器が特に遠心分離可能であるという事実は、実際には、意図された機能を十分に実行するために遠心分離がしばしば必要であり得ることを示唆している。しかしながら、遠心分離機の使用は、容器の使用を、検査室または少なくとも電力が利用可能な場所に制限する。これにより、電力源がない現場での使用、または遠心分離機の使用が不可能な現場での使用に容器は、適さない。
【0009】
米国特許出願公開第2015/0196905A1号明細書に開示されている装置の他の潜在的な欠点は、構成要素間のねじ山の使用が装置を幾分扱いにくくし、使用に時間がかかると考えられることである。実際、構成成分は、迅速かつ容易な使用には役立たないようであり、これは、特に容器間で磁気ビーズを移送するときに、磁気ビーズの汚染のリスクを増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,554,088号明細書
【特許文献2】米国特許第5,705,628号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0196905A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、磁気ビーズを使用してサンプルからの標的生体分子に関して迅速で、簡単で、低コストで、電力を使用しない抽出プロセスを実行することを可能にするために、上記の問題の少なくともいくつかに対処する装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、添付の特許請求の範囲の請求項1に記載の蓋アセンブリが提供される。
【0013】
したがって、サンプルチューブから磁気ビーズを収集し、続いてビーズを放出するためのサンプルチューブ用の蓋アセンブリが提供され、蓋アセンブリは、閉鎖部であって、閉鎖部をサンプルチューブの開口部に取り外し可能に取り付けて、サンプルチューブを閉鎖するための手段と、閉鎖部がサンプルチューブに取り付けられたときにサンプルチューブの開口部内または上方に配置されるように構成されたビーズ捕集プラットフォームであって、使用中にサンプルチューブ内の液体と接触するための一方の側のビーズ捕集面と、ビーズ捕集面の背後の反対側に磁石収納空洞とを有する、ビーズ捕集プラットフォームと、を含む閉鎖部と、磁石を備える磁石保持部であって、磁石が磁石収納空洞内に存在するとき、磁石がビーズ捕集面に対して磁気ビーズを保持することができ、磁石が磁石収納空洞内に存在しないとき、蓋アセンブリは、ビーズ捕集面に対して磁気ビーズを磁気的に保持することができないように、磁石がビーズ捕集面に向かって磁石収納空洞内に取り外し可能に挿入可能である、磁石保持部と、を備える。
【0014】
当業者が本開示から理解するように、本明細書で使用される「サンプルチューブ」という用語は、サンプルまたはサンプルの派生物を収容または処理するために使用され得る任意の適切なチューブを包含するように広く解釈されるべきである。
【0015】
磁石が磁石収納空洞に取り外し可能に挿入可能であることにより、蓋アセンブリの状態は、磁気ビーズがビーズ捕集面上の吸着状態からそのようなビーズの放出状態に、電力の使用を必要とせずに、迅速かつ容易に変更することができる。これはまた、専門家の訓練を必要とせずに、装置を遠隔地の場所で良好に使用するのに役立つ。
【0016】
さらに、本明細書に記載されるように、プラットフォーム状であることにより、ビーズ捕集プラットフォームは、有利には、蓋アセンブリがサンプルチューブから取り外されたときに、収集された磁気ビーズを周囲の空気に実質的に露出されるように保持することができ、したがって、使用中に収集されたビーズの乾燥を助ける。
【0017】
現在好ましい実施形態では、磁石保持部は閉鎖部から完全に分離可能であり、それにより装置を使用しやすくし、製造が簡単で安価になり、したがってエンドユーザに容易に提供できる。
【0018】
しかしながら、他の変形例では、磁石保持部は閉鎖部に結合されてもよく、磁石は磁石収納空洞内でビーズ捕集面に向かって、またはビーズ捕集面から離れるように移動できる。
【0019】
好ましくは、磁石保持部は、磁石が取り付けられるユーザ把持可能部をさらに備え、それにより、ユーザが磁石を磁石収納空洞に操作して挿入し、その後、磁石を磁石収納空洞から取り外すことが容易になる。
【0020】
ユーザ把持可能部は、比較的薄く平坦な形状を有することができ、ユーザの親指と人差し指との間で容易に握ることができる。あるいは、ユーザ把持可能部は、(任意選択的に閉鎖部およびサンプルチューブが取り付けられた状態で)磁石保持部を上下逆向きに支持するためのスタンドとして機能できるような断面プロファイルを有してもよい。
磁石収納空洞は、磁石保持部の少なくとも磁石を受け入れるように成形されたソケットの形態であってもよい。
任意選択的に、磁石保持部は、ソケット内で回転可能であってもよい。
【0021】
特定の実施形態では、磁石保持部および閉鎖部は、磁石が磁石収納空洞に挿入されたときに相互に係合可能であってもよい。したがって、磁石は、磁石収納空洞内の適所に可逆的にロックされてもよく、それにより、蓋アセンブリのビーズ吸着状態を確実に維持し、磁石保持部が誤って脱落するのを防止する。これは、蓋アセンブリが取り付けられた状態でサンプルチューブを反転させる場合、または1つのサンプルチューブから別のサンプルチューブに磁気ビーズを輸送するために蓋アセンブリを使用する場合に特に有益であり得る。
【0022】
例えば、磁石保持部は、任意選択的に1つまたは複数の半径方向突出部を備えてもよく、ソケットは、1つまたは複数の半径方向突出部が係合可能な1つまたは複数の相補的なチャネルを備えてもよい。あるいは、磁石保持部およびソケットは、互いに係合可能なねじ山を備えてもよい。
代替的に、または追加的に、ソケットは、磁石保持部を握るための把持手段(例えば、突出部または隆起部)を備えてもよい。
【0023】
有利には、迅速かつ簡単な使用のために、閉鎖部をサンプルチューブの開口部に取り外し可能に取り付けるための手段は、サンプルチューブの開口部と係合するように適合された圧入嵌合部を備えてもよい。現在好ましい実施形態では、圧入嵌合部はビーズ捕集プラットフォームである。
代替的な実施形態では、閉鎖部をサンプルチューブの開口部に取り外し可能に取り付けるための手段は、スナップ嵌合機構を備えてもよい。
【0024】
様々な実施形態では、閉鎖部は、上方から見た場合に、ヒンジ付きキャップを有するサンプルチューブと組み合わせて良好に機能することが分かっているため、細長い形状を有してもよい。
【0025】
閉鎖部は、使用時にユーザの親指および指で握れるように、閉鎖部の両側に第1および第2のフィンガータブ(任意選択的に窪みまたはテクスチャ加工された外面を有する)を備えてもよい。
【0026】
特定の実施形態では、第1および第2のフィンガータブは、ビーズ捕集面の下に延在し、閉鎖部から分離されたときに蓋アセンブリを直立した向きで支持するためのスタンドとして機能できる。
【0027】
代替的に、または追加的に、第1および第2のフィンガータブは、ビーズ捕集面の上方に延在してもよく、蓋アセンブリを(任意選択的にサンプルチューブが取り付けられた状態で)上下逆向きの向きで支持するためのスタンドとして機能できる。
【0028】
ビーズ捕集プラットフォームは、第1および第2のフィンガータブと平行に延在し、第1および第2のフィンガータブから分離してもよい。とりわけ、そのような構成は、蓋アセンブリがサンプルチューブから取り外されたときにビーズ捕集プラットフォームの周りの空気流を促進し、したがって、その上に収集された任意の磁気ビーズ(そのようなビーズは実質的に空気に露出されている)の乾燥を促進し、一方でビーズ捕集面をユーザの指による偶発的な接触から保護する。
【0029】
任意選択的に、ビーズ捕集面は、磁気ビーズの収集を促進するために、凹状または窪み領域を組み込んでもよい。あるいは、ビーズ捕集面は、収集された磁気ビーズの乾燥を助けるために凸状であってもよい。
【0030】
代替的に、または追加的に、ビーズ捕集面は、ビーズ捕集面にわたって磁気ビーズの均一な分布を促進するために、へこみ部または凹部のアレイを組み込むことができる。
任意選択的に、ビーズ捕集面は、流体ウィッキング部材(例えば、ウィッキングスパイク)を組み込み、ビーズ捕集面からの液体の除去を促進する。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による蓋アセンブリと、少なくとも第1のサンプルチューブと、任意選択的にピペットと、および/またはスワブと、および/またはさらなるサンプル採取チューブと、を含むキットが提供される。
【0032】
一実施形態では、キットは、必要な順序でのチューブの使用を容易にするために、例えば並んで互いに接続された複数のサンプルチューブを有してもよい。任意選択的に、最後のサンプルチューブは、脆弱接続部によってその隣接するサンプルチューブに接続されてもよく、他のチューブから離れた最後のチューブの内容物の後続の処理を可能してもよい。
【0033】
特定の実施形態では、キットは、第1、第2および第3のサンプルチューブを有してもよい。例えば、第1のサンプルチューブは溶解/結合緩衝液を収容し、第2のサンプルチューブは洗浄液を収容し、第3のサンプルチューブは溶出液を収容してもよい。キット内のチューブは、そのような液体で予め充填されてもよい。追加的または代替的に、第1のサンプルチューブには磁気ビーズが予め充填されてもよい。しかしながら、代替的に、磁気ビーズは、別個の容器、サシェ、ブリスターパック、成形同時充填チューブなどに提供されてもよい。
【0034】
有利には、キット(サンプルチューブ(複数可)、蓋アセンブリ、および任意選択的に他の構成要素を含む)のためのパッケージは、使用中にキットの内容物のためのスタンド/ステーションとして機能するように構成されてもよく、それにより、チューブ棚などの追加の検査室機器に置き換わる。より具体的には、キットは、サンプルチューブ(複数可)を支持するための1つまたは複数の凹部または空洞を組み込んだトレイと、蓋アセンブリが配置される凹部とを備えてもよい。したがって、パッケージは、処理ステップの間に/各チューブを配置するための専用領域と、蓋アセンブリを配置して液体をビーズ捕集面に保持された磁気ビーズから蒸発させることができる専用空間とを提供できる。パッケージはまた、抽出手順中にサンプル採取/スワブチューブが残ることができる専用の空間を提供することができ、したがってサンプルを抽出キットと効果的に連結できる。パッケージはまた、いったん使用されると、サンプルチューブおよびキットの他の内容物のための廃棄物容器として、または一時的な中間準備領域として機能できるカバーを含んでもよい。
【0035】
本発明の第3の態様によれば、閉鎖可能なキャップを有するサンプルチューブが提供され、キャップは試薬を収容する区画を含み、区画はその中に試薬を密封するための取り外し可能なカバーを有する。特に、区画は、キャップがサンプルチューブを閉じるときに区画がサンプルチューブ内に位置するように、キャップの内側にあってもよい。このキャップ区画により、そのようなチューブは、サンプルチューブ内の液体への所定量の所定の試薬の導入を容易にする。試薬は、湿式および/または凍結乾燥式でもよく、例えば、サンプルチューブ内の液体内に存在する抽出された分析物の増幅、検出またはバイオセンシングに使用されてもよい。
キャップは、可撓性ヒンジによってチューブに取り付けられてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、試薬はビーズの形態であってもよく、それにより、区画への試薬の装填を容易にし、試薬全体を1つとして、例えば区画から滴下することによって、区画から出てチューブ内に渡すことができる。しかしながら、他の実施形態では、ビーズが偶然脱落するのを防止するために、ビーズを区画に圧入嵌合されてもよい。
【0037】
特定の実施形態では、試薬は、凍結乾燥比色検出試薬でもよい。当業者には理解されるように、他の実施形態では、試薬は凍結乾燥され、比色されなくてもよいが、さらに別の実施形態では、試薬は凍結乾燥されず、比色されなくてもよい。したがって、より一般的には、試薬は任意の適切な検出試薬であり得る。
【0038】
上述の第2の態様のキットは、特に上述の第3のサンプルチューブとして機能するために、第3の態様による少なくとも1つのサンプルチューブを含むことができる。
本発明の第4の態様によれば、(液体中にビーズを懸濁させることができる)サンプルチューブ内の液体から磁気ビーズを収集する方法であって、本方法は、
上述の蓋アセンブリの閉鎖部をサンプルチューブの開口部に取り付けるステップと、
磁気ビーズがビーズ捕集面と接触し、磁石によってビーズ捕集面に対して保持されるように、磁石が磁石収納空洞に挿入された状態で液体を攪拌する(例えば、穏やかに振盪または反転する)ステップと、を備える。
そのようなプロセスは、迅速かつ容易に実行され、電気、遠心分離機、または専門家の訓練の使用を必要としない。
サンプルチューブは、第1の液体を収容する第1のサンプルチューブであってもよく、本方法は、
磁石が磁石収納空洞に挿入され、磁気ビーズがビーズ捕集面に対して磁石によって保持された状態で、蓋アセンブリを第1のサンプルチューブから取り外すステップと、
蓋アセンブリの閉鎖部を、第2の液体を収容する第2のサンプルチューブの開口部に取り付けるステップと、
磁石ビーズがもはや磁石によってビーズ捕集面に対して保持されず、第2の液体に懸濁されるように、磁石を磁石収納空洞から取り外すステップと、を備える。
【0039】
したがって、これにより、蓋アセンブリによって、磁気ビーズを第1のサンプルチューブ内の第1の液体から、第2のサンプルチューブ内の第2の液体に、迅速かつ容易に移送することが可能になる。
さらに、ビーズをさらに移送するために、本方法は、
磁石収納空洞内に磁石を、(蓋アセンブリの閉鎖部が依然として第2のサンプルチューブの開口部に取り付けられている状態で)再挿入するステップと、
磁気ビーズがビーズ捕集面と接触し、ビーズ捕集面に対して磁石によって保持されるように、第2の液体を攪拌するステップと、
磁石が磁石収納空洞に挿入され、磁気ビーズがビーズ捕集面に対して磁石によって保持された状態で、蓋アセンブリを第2のサンプルチューブから取り外すステップと、
蓋アセンブリの閉鎖部を、第3の液体を収容する第3のサンプルチューブの開口部に取り付けるステップと、
磁石ビーズがもはや磁石によってビーズ捕集面に対して保持されず、第3の液体に懸濁されるように、磁石を磁石収納空洞から取り外すステップと、を備える。
任意選択的に、第3の液体から磁気ビーズを最終的に除去するために、本方法は、
磁石収納空洞内に磁石を(蓋アセンブリの閉鎖部が依然として第3のサンプルチューブの開口部に取り付けられている状態で)再挿入するステップと、
磁気ビーズがビーズ捕集面と接触し、ビーズ捕集面に対して磁石によって保持されるように、第3の液体を攪拌するステップと、
磁石が磁石収納空洞に挿入され、磁気ビーズがビーズ捕集面に対して磁石によって保持された状態で、蓋アセンブリを第3のサンプルチューブから取り外すステップと、
次いで、任意選択的に、蓋アセンブリおよび/または磁気ビーズを配置するステップと、を備える。
【0040】
特定の実用的な実施態様では、本方法は、標的生体分子(例えば、特定のウイルスの特徴的な核酸(例えば、RNAまたはDNA)-例えばSARS-CoV-2だが、これに限定されない)の抽出のためのものであってもよく、ここで、
第1の液体は、標的生体分子を溶解し、それによってそれらを溶液中に放出し、生体分子を磁気ビーズに結合させるための溶解/結合緩衝液であり、
第2の液体は洗浄液であり、
第3の液体は、生体分子を溶出するための溶出液である。
したがって、標的生体分子は核酸を含んでもよい。
【0041】
本方法は、検出試薬(例えば、比色検出試薬)を溶出液に導入するステップと、必要に応じて加熱を適用して標的生体分子の存在または非存在を判定するステップを、さらに備えてもよい。
【0042】
第3のサンプルチューブ(溶出液を収容する)は、上述の第3の態様に係るサンプルチューブであってもよく、キャップ区画に保持された試薬は検出試薬であり、検出試薬を溶出液に導入するステップは、サンプルチューブのキャップ区画からそれを放出するステップを備える。
【0043】
本原理に基づく方法は、3個以外のいくつかのサンプルチューブ、および特定の生体分子の抽出に必要な任意の数の処理ステップを使用することができることが理解されよう。
【0044】
本発明の第5の態様によれば、複数のサンプルチューブを保持し、それらを同時に手動で攪拌または反転させできるハンドヘルド装置が提供され、本装置は、ハンドル部と、それぞれがそれぞれのサンプルチューブを保持するための複数のサンプルチューブ保持クリップとを備える。
【0045】
装置は、複数の拘束アームをさらに備えてもよく、各拘束アームは、装置が反転したときにサンプルチューブが保持クリップから脱落するのを防止するために、保持クリップのそれぞれの1つの上方に延在する。各拘束アームは、それぞれの保持クリップの一方の側にオフセットされてもよい。
【0046】
本発明の第6の態様によれば、複数のサンプルチューブを同時に手動で攪拌または反転させる方法が提供され、サンプルチューブを第5の態様による装置に挿入するステップと、ハンドル部を操作するステップと、を備える。
【0047】
任意選択的に、サンプルチューブの少なくとも1つは、第1の態様による蓋アセンブリに取り付けられてもよい。また、任意選択的に、サンプルチューブの少なくとも1つは、第3の態様によるサンプルチューブであってもよい。
ここで、本発明の実施形態を、単なる例として、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】(a)閉鎖部と係合する磁石保持部を備える、サンプルチューブ用の蓋アセンブリの斜視図である。(b)磁石が取り付けられたユーザ把持可能部を有する磁石保持部の斜視図である。(c)磁石保持部の分解図である。(d)第1および第2のフィンガータブと、ビーズ捕集プラットフォームと、ソケットの形態の磁石収納空洞とを含む閉鎖部の斜視図である。
図2】ビーズ捕集プラットフォームの下面のビーズ捕集面と、任意選択のウィッキング部材(この場合は中央のウィッキングスパイク)とを示す、図1の閉鎖部の下面の斜視図である。
図3】任意選択のウィッキング部材を有さない、図2の閉鎖部の変形例の下面の斜視図である。
図4】ビーズ捕集面上に磁気ビーズが存在しない、側面に置かれた図1の蓋アセンブリの図である。
図5図4と同様に、ビーズ捕集面上に磁気ビーズが存在する、側部に置かれた図1の蓋アセンブリの図である。
図6】磁石保持部の磁石によってビーズ捕集面に対して保持されている磁気ビーズを示す、図1の蓋アセンブリの側面図である。
図7図1の磁石保持部をそれぞれの閉鎖部から係合解除および分離するプロセスを示す図である。
図8図1の蓋アセンブリおよびサンプルチューブ、ならびに閉鎖部をサンプルチューブの開口部に取り付けるプロセスを示す図である。
図9図8のサンプルチューブに取り付けられている図1の蓋アセンブリをさらに示す図である。
図10】閉鎖部がサンプルチューブに取り付けられた状態で、図8の蓋アセンブリの磁石保持部をそれぞれの閉鎖部から係合解除および分離するプロセスを示す図である。
図11図10の(a)係合解除プロセス、および(b)分離プロセスの断面側面図である。
図12図1の蓋アセンブリと、3つのサンプルチューブと、ピペット(この場合、正確な容積ピペット)とを備えるキットの斜視図である。
図13】さらなるサンプル採取チューブを含む、図12のキットの変形例の斜視図である。
図14】カバーおよびバッキングパネルを備えた、図12または図13のようなキットのさらなる斜視図である。
図15図1の蓋アセンブリと共に、互いに接続された3つのサンプルチューブの斜視図である。
図16】第1のサンプルチューブ内の第1の液体から磁気ビーズを収集し、続いて第2のサンプルチューブ内の第2の液体にビーズを移送する方法のステップ(a)~(l)を示す図である。
図17図1の蓋アセンブリの変形例を、(a)斜視図、(b)閉鎖部の切欠き図、および(c)閉鎖部の平面図によって示す図であり、この場合、磁石収納空洞が、磁石保持部を把持するための把持隆起部を備えることを示している。
図18】磁石保持部およびソケットが、互いに係合可能なねじ山を備え、図1の蓋アセンブリの別の変形例の(a)係合断面図および(b)係合解除斜視図である。
図19】閉鎖部の第1および第2のフィンガータブが、サンプルチューブが取り付けられている状態で、蓋アセンブリを上下逆向きに支持するためのスタンドとして機能するように配置されている、図1の蓋アセンブリの変形例を示す図である。
図20】磁石保持部のユーザ把持可能部が、蓋アセンブリおよび取り付けられたサンプルチューブを上下逆向きの向きで支持するためのスタンドとして機能するように構成されている、サンプルチューブに取り付けられた図1の蓋アセンブリの別の変形例を示す図である。
図21】キャップが取り外し可能なカバーを有し、試薬ビーズを収容する区画を含む、閉鎖可能なキャップを有するサンプルチューブの斜視図を示す図である。
図22図21のサンプルチューブの(a)斜視断面図および(b)断面図である。
図23】試薬ビーズがサンプルチューブ内の液体に放出されて比色分析を実行し、液体中の標的種の有無を判定する、図21のサンプルチューブを使用する方法を示す図である。
図24図1の蓋アセンブリが取り付けられた所定の位置にある1つのそのようなサンプルチューブを用いて、複数のサンプルチューブを保持し、かつそれらを同時に手動で攪拌または反転させることを可能にするためのハンドヘルド装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図面において、同様の要素は、全体を通して同様の参照番号で示されている。
本実施形態は、本発明を実施する本出願人に知られている最良の方法を表す。しかしながら、これを達成することができる唯一の方法ではない。
【0050】
概要
本開示では、液体(または固体)サンプルからの標的生体分子に関して、迅速で低コストの無電力抽出処理を実行できる。標的生体分子は、核酸(例えば、RNAまたはDNA)などのポリヌクレオチドであり得る。例えば、標的生体分子は、SARS-CoV-2などの特定のウイルスの特徴的なRNAであり得るが、これらに限定されない。この処理は、高価な検査室装置(遠心分離機、ボルテックスミキサーまたはマイクロピペットなど)、電力源、または詳細な事前訓練を必要とせず、ポイントオブケアなどの実質的に任意の場所(すなわち、検査室から離れている)で実行できる。初期サンプル(スワブ、唾液、組織または血液など)から抽出された生体分子(例えば、タンパク質、RNAまたはDNA)までの全処理は、十分に訓練されていないユーザによって5分未満で行うことができる。この処理は、磁気ビーズ(「磁気ビーズ」という用語は、上で概説したように、広く解釈されるべきである)を用いた磁気分離に基づく。本抽出処理の原理は、他の磁気ビーズ抽出キットの原理と同様であり、磁気ビーズの特定のサイズまたは組成に限定されない。実際、任意の所与の用途について、当業者は適切なサイズおよび組成のビーズを使用することが理解されよう。
【0051】
最初に図8を参照すると、本開示は、サンプルチューブ30用の蓋アセンブリ100を提供する。サンプルチューブ30は、エッペンドルフ社(Eppendorf AG)によって製造され、一般にエッペンドルフチューブ(RTM)と呼ばれるものなどの既存のサンプルチューブであってもよく、図示のチューブは、ヒンジ付きキャップを有し、それらに基づいている。しかしながら、本開示の原理は、エッペンドルフチューブ(RTM)での使用に決して限定されず、ヒンジ付きキャップを有さないチューブを含む、異なる幾何学的形状および寸法のサンプルチューブに適用されてもよいことに留意されたい。とは言え、本蓋アセンブリ100の実際の実装形態は、サンプルチューブの特定の直径に適合するように設計されているが、蓋アセンブリ100の実装形態が適合するように成形され得るサンプルチューブの直径に関して、(合理的な範囲内で)制限はない。典型的には、そのようなサンプルチューブは、長さが数センチメートル程度、直径が約1センチメートルであり、0.5~2ミリリットル程度の容量を有する。使用時、サンプルチューブ30は、磁気ビーズが懸濁された液体を収容する。蓋アセンブリ100を使用して、液体から磁気ビーズを収集し、続いてビーズを、典型的には異なる液体を収容する異なるチューブに放出できる。
【0052】
以下に詳細に説明するように、蓋アセンブリ100は、2つの主要部、すなわち閉鎖部20および磁石保持部10を備える。磁石保持部10は、閉鎖部20から可逆的に取り外し可能であり、本発明者らの現在好ましい実施形態ではネオジム磁石である磁石を組み込んでいるが、他の磁性材料を代わりに使用してもよい。閉鎖部20は、ビーズ捕集面26を有する。使用時に、サンプルチューブ30内の液体から磁気ビーズを抽出し、ビーズ捕集面26によって捕捉させるために、磁石保持部10は閉鎖部20内の磁石収納空洞に導入され、それによって磁石をビーズ捕集面26の背後に位置決めされる。磁石がこの位置にあるとき、(そして、実際には、典型的には、チューブの穏やかな反転に続いて)、サンプルチューブ30内の磁気ビーズは、磁石の磁場の影響下で、磁石によって吸着され、ビーズ捕集面26に対して保持される。続いて、磁石保持部10を閉鎖部20から取り外し、それによって磁場を取り除くことによって、磁気ビーズをビーズ捕集面26から解放できる。
【0053】
蓋アセンブリ100は、上から見た場合、典型的には、約2~3センチメートル×約1~2センチメートルの設置面積を有することができ、その全体の高さ(磁石保持部10が閉鎖部20に取り付けられている場合)は、約2~4センチメートルであってもよいが、これらの測定値は単なる近似値であり、単なる例である。任意の所与の場合において、蓋アセンブリ100の寸法は、それが嵌合するように設計されているサンプルチューブ30の寸法に依存する。蓋アセンブリ100の寸法はまた、ユーザの異なる手のサイズに適合するように設計されてもよい。したがって、蓋アセンブリ100は、様々なサンプルチューブに適合し、様々なユーザにとって便利で快適であるように、様々なサイズの範囲で作製できる。
【0054】
以下では、蓋アセンブリ100について、磁石保持部10が閉鎖部20に挿入されて係合される機構および方法を含めて、最初に詳細に説明する。次に、蓋アセンブリ100をサンプルチューブ30に取り付けて使用することができる方法を説明する。次いで、蓋アセンブリ100およびサンプルチューブ30を含むいくつかのサンプル処理キットが提示され、続いて、例えば磁気分離を使用して固体または液体サンプルから標的生体分子の抽出を行うために、本装置を使用する方法が提示される。最後に、本装置のいくつかの変形例、および付属品について説明する。
【0055】
蓋アセンブリ
最初に図1を参照して、本開示による蓋アセンブリ100の一例をここで詳細に説明する。
図1(a)は、磁石保持部10が閉鎖部20と係合した状態の蓋アセンブリ100を示す。
【0056】
-磁石保持部10
図1(b)は、例えば閉鎖部20から取り外された(またはまだ挿入されていない)磁石保持部10を単独で示し、図1(c)は同じ構成要素の分解図である。磁石保持部10は、磁石18を備え、有利にはネオジム磁石であり得るが、代わりに他の磁性材料が使用されてもよい。図示の例では、磁石18は円筒形状であるが、異なる形状も可能である。
【0057】
磁石保持部10は、プラスチック材料(例えば、射出成形または三次元印刷によって)で作ることができる本体部12をさらに備える。磁石18は、例えば接着剤によって本体部12に取り付けられる。磁石18を受け入れ、取り付けのために磁石を正確に位置合わせするために、本体部12の下面に凹部を設けることができる。他の変形例では、凹部および磁石18は、圧入嵌合方式で互いに係合するように構成することができ、それによって磁石を定位置に保持するための接着剤の必要性をなくすことができる。あるいは、磁石18は、その周りにオーバーモールドされた本体部12を有してもよく、したがって磁石は本体部12の内側全体に融着される。
【0058】
本体部12は、主に、使用時に磁石保持部10を操作するために、ユーザが、典型的には親指と人差し指との間で把持することができるユーザ把持可能部13を備える。
【0059】
磁石保持部10の図示の例では、ユーザ把持可能部13と磁石18との間の本体部12の下部領域は、第1および第2の半径方向突出部16a、16bを有する円筒形シャフト14の形態である。以下でさらに説明するように、円筒形シャフト14および半径方向突出部16a、16bは、磁石保持部10が閉鎖部20と回転可能に係合できるようにする。
【0060】
-閉鎖部20
図1(d)および図2は、閉鎖部20を単独で示している。閉鎖部20は、プラスチック材料で(例えば、射出成形または三次元印刷によって)作られてもよく、上部21(平坦または実質的に平坦)と、使用中に閉鎖部をユーザが握って操作することができる第1および第2のフィンガータブ24a、24bと、上部21から下方に延在する中央ビーズ捕集プラットフォーム25とを備える。任意選択的に、フィンガータブ24a、24bは、ユーザによる把持を向上させるために窪みまたはテクスチャ加工された外面を有してもよい。「上部」(および同様に「上方」)という用語は、閉鎖部20が図1および図8に示す向きにある、すなわち閉鎖部20をサンプルチューブ30に取り付けるときのような状況にあるのに対して、「下部」(および同様に「下方」)は「上部」および「上方」に対して反対方向にあることが理解されよう。
【0061】
ビーズ捕集プラットフォーム25は、一方の側にビーズ捕集面26を有し、他方の側に磁石収納空洞22を有し、両方とも閉鎖部20の中心と位置合わせされる。ビーズ捕集プラットフォーム25は、閉鎖部20がサンプルチューブ30に取り付けられたときにサンプルチューブ30の開口内に(あるいは、潜在的に、代替的な実施形態では、上方に)位置するように配置され、その結果、ビーズ捕集面26は、使用中にサンプルチューブ30内の液体と接触可能である。磁石収納空洞22は、実質的に円筒形(軸方向)ソケットの形態で、(図11の断面に示すように)ビーズ捕集面26の背後に延び、その主な機能は、必要に応じて、磁石保持部10の磁石18を受け入れることである。
【0062】
したがって、磁石保持部10、特に磁石18は、ビーズ捕集面26に向かって、磁石収納空洞22に取り外し可能に挿入可能である。磁石18および磁石保持部10のシャフト14の両方の円筒形状(すなわち、円形断面)は、磁石保持部10が下方に挿入され、また空洞22内で回転できるようにする。
【0063】
図示の例では、磁石収納空洞22は、磁石保持部10の半径方向突出部16a、16bを収容するように成形された一対の対向する長手方向チャネル22’と、磁石18が空洞22内に完全に挿入されると、半径方向突出部16a、16bが、スプリング付きでないバヨネット式マウント方式で広く係合するように回転できる一対の円周方向チャネル23とをさらに備える。
【0064】
したがって、磁石保持部10は、半径方向突出部16a、16bが長手方向チャネル22’と整列した状態で、直線的に(非回転的に)磁石収納空洞22に、最初に挿入される。次に、磁石18が空洞22内に完全に挿入されると、ユーザは、半径方向突出部16a、16bが円周方向チャネル23に沿って移動するように、磁石保持部10を閉鎖部20に対して回転させることによって、磁石保持部10を閉鎖部20と係合させることができる。図示の例では、磁石保持部10は、上方から見て、閉鎖部20に対して時計回りに回転し、係合プロセスを実行する。
【0065】
図示されているように、円周方向チャネル23は各々、空洞22の周囲に90°延びてもよく、その結果、半径方向突出部16a、16bは、磁石保持部10が閉鎖部20に対して90°回転すると停止部に達する。円周方向チャネル23は、半径方向突出部16a、16bがそれぞれの円周方向チャネル23の端部に到達または接近するときにユーザに触覚フィードバックを提供するように、および/または、円周方向チャネル23の端部(または端部付近)で突出部16a、16bを軽く可逆的にロックするように、小さな窪みまたは戻り止め(またはクリック)機構を組み込むことができる。例えば、一実施形態では、機構は、磁石保持部10が閉鎖部20に対して45°回転すると発生する「クリック」効果をユーザに提供してもよい。このような「クリック」効果は、小さな突起(各半径方向突出部16a/16bに一つ、および各チャネル23にそれぞれ一つ)が互いに通過し、磁石保持部10が回転するときに一時的に干渉することによってもたらされ得る。
【0066】
このような磁石保持部10および閉鎖部20の操作は、ユーザが一方の手で磁石保持部10のユーザ把持可能部13を握り、他方の手で閉鎖部20のフィンガータブ24a、24bを握り、磁石保持部10および閉鎖部20を互いに対して移動させることによって行われる。
【0067】
図2は、図1の閉鎖部20の下面を示す。ビーズ捕集プラットフォーム25の下面のビーズ捕集面26は、隆起した外側リム29(その直径はビーズ捕集プラットフォーム25の残りの部分よりもわずかに大きい)と、使用中に磁気ビーズを収集するための凹状または窪み領域28と、中央に任意選択のウィッキング部材27(この場合はウィッキングスパイクの形態)と、を有することが分かる。
【0068】
ウィッキングスパイク27は、特に蓋アセンブリ100が磁気ビーズをあるサンプルチューブから別のサンプルチューブに移送するために使用されている場合に、(そのような場合、ビーズが収集された液体のいずれかを移送することは一般に望ましくないので)、流体の持ち越しおよびビーズ捕集面26上の液体の保持を防止するのに役立つ。この効果は、ウィッキングスパイク27が任意のそのような液体の表面張力を破壊し、液体をスパイク27へ押し下げ、かつ、閉鎖部20およびその上に保持された任意のビーズを取り除くように促す、ことによって達成される。この効果を達成するために遠心分離は必要ない。
【0069】
図3は、図2の閉鎖部の変形例20’の下面を示す。変形例20’は、図2のものと同じであるが、任意選択のウィッキング部材がない。したがって、閉鎖部20’は、より大きな中央の凹状または窪み領域28を有し、潜在的に、より多くの量の磁気ビーズを収集することができる。そうでなければ、閉鎖部20’は閉鎖部20と同じ特徴および機能を有し、両者は実際には交換可能に使用され得る。したがって、本明細書における閉鎖部20へのその後の言及は、代わりに閉鎖部20’を使用する可能性を包含するものとして理解されるべきである。
【0070】
図2および図3に示す変形例の代替的な変形例では、領域28は、凹状プロファイルではなく、凸状(またはドーム状)プロファイルを有してもよい。そのような凸状(またはドーム状)プロファイルは、ビーズを循環する周囲空気により多く露出することによって、表面上に収集されたときの磁気ビーズの乾燥を促進することができる。
【0071】
例えば、図8および図11を参照すると、閉鎖部20は、サンプルチューブ30を閉じるために、閉鎖部20をサンプルチューブ30の開口部に取り外し可能に取り付けるための手段を備える。図示の実施形態では、閉鎖部20をサンプルチューブ30の開口部に取り外し可能に取り付けるための手段は、ビーズ捕集プラットフォーム25によって提供され、これは、広く栓のように、圧入嵌合方式でサンプルチューブ30の開口部にぴったりと嵌合するように成形され、それにより、サンプルチューブ30に対する蓋アセンブリ100の迅速かつ容易な取り付け(およびその後の取り外し)を可能にする。
【0072】
サンプルチューブ30の開口による閉鎖部20の封止はまた、ビーズ捕集プラットフォーム25の残りの部分よりもわずかに大きい直径を有するビーズ捕集面26のリム29によって強化され、本質的に圧入嵌合方式でサンプルチューブ30の内壁との圧縮嵌合を形成する。したがって、リム29は、有利には、凹状領域28内に磁気ビーズを保持すること、サンプルチューブ30の内壁との圧縮嵌合を形成すること、の2つの機能を提供する。
【0073】
閉鎖部20の他の変形例では、閉鎖部20をサンプルチューブ30の開口部に取り外し可能に取り付けるための代替手段を設けることができる。例えば、閉鎖部20は、サンプルチューブの相補的な機構と係合するために、スナップ嵌合機構またはねじ山構成を組み込むことができる。
【0074】
上部21の中心から下方に延びるビーズ捕集プラットフォーム25は、閉鎖部20がサンプルチューブ30に取り付けられていないとき、その周り全体に空気を有することが理解されよう。これにより、ビーズ捕集面26は、サンプルチューブから離脱した際に、磁気ビーズ42を空気に大きく露出されるように保持することができる(しかし、ビーズ捕集プラットフォーム25に平行に延びるが、ビーズ捕集プラットフォームから分離している第1および第2のフィンガータブ24a、24bによって依然として保護される)。これにより、ビーズを次の液体に再懸濁する前に、ビーズ上のどんな液体でも迅速に蒸発できるので、それにより、先行する液体による次の液体の汚染が回避される。そのような蒸発は、通常、約30秒しかかからず、追加の乾燥装置は必要とされない。
【0075】
さらに、ビーズ捕集面26が後続のサンプルチューブ30に挿入されると、ビーズ捕集面26の遮られていない性質により、磁石18が存在しない状態でチューブを穏やかに振盪するかまたは反転させることによって、磁気ビーズ42を蓋アセンブリ10から容易に取り外して、その後続のチューブ30内に収容される液体に再懸濁することができる。
【0076】
例えば、図4図5図8、および図10を参照すると、閉鎖部20の上部21は、上方または下方から見たときに細長い形状を有することが好ましく、ヒンジ付きキャップ34(例えば図8を参照)を有するサンプルチューブ30に、ヒンジ36またはキャップ34を汚すことなく快適に嵌合することを可能にする。
【0077】
より具体的には、図4および図5に示すように、閉鎖部20の上部21は、上方または下方から見たときに、第1および第2のフィンガータブ24a、24bによって形成された2つの対向する側面と、4つのさらなる側面22a、22b、22c、22dとを有する細長い不規則な六角形の形状であってもよい。側面22aおよび22b、ならびに同様に側面22cおよび22dは、鈍角で交わる。これにより、閉鎖部20、および実際には蓋アセンブリ100全体を、図4および図5に示すように、転がり落ちることなく表面40上のその面に置くことができる。図示の細長い不規則な六角形は、閉鎖部の1つの可能な形状にすぎないが、例えば長方形または半円などの他の形状も実現可能である。
【0078】
図5および図6は、図1図2および図4の蓋アセンブリ100の図であり、具体的には、凹状または窪み領域28内のビーズ捕集面26上に磁気ビーズ42が存在する。図6の側面図は、第1および第2のフィンガータブ24a、24bが、蓋アセンブリ100が立てられた表面40上で蓋アセンブリ100を直立に支持するためのスタンドとしても使用され得ることを示している。したがって、第1および第2のフィンガータブ24a、24bは、ビーズ捕集面26の下方に(かつウィッキング部材27を越えて)延在し、その結果、磁気ビーズ42は表面40から離れたままであり、表面によって汚染されない。
【0079】
したがって、第1および第2のフィンガータブ24a、24bは、ビーズ捕集面26上の磁気ビーズ42を、表面40および(少なくともある程度)ユーザの指と偶発的に接触することから保護する。
【0080】
磁石18が磁石収納空洞22内に存在する(すなわち、中に挿入されている)場合、磁石18は、磁気ビーズをビーズ捕集面26に対して保持できる。すなわち、ビーズ捕集面26を使用して、サンプルチューブ30内の液体に懸濁された磁気ビーズ42を収集できる。これは、磁石の磁場の影響下で磁気ビーズ42が磁石18に向かって吸着され、結果として、ビーズ42がビーズ捕集面26に対して保持される。
【0081】
逆に、磁石18が磁石収納空洞22内に存在しない(すなわち、中に挿入されていないか、または取り外されている)場合、蓋アセンブリ20は、ビーズをビーズ捕集面26に対して引っ張るための上述の磁場が存在しないので、磁気ビーズをビーズ捕集面26に対して磁気的に保持できない。したがって、磁石18を磁石収納空洞22から取り外すことによって、ビーズ捕集面26に保持された磁気ビーズ42をビーズ捕集面26から解放できる。
【0082】
磁気ビーズ42に対する磁石18の(空洞22に挿入された場合の)引っ張り効果を最大にし、それらをビーズ捕集面26に対して保持するために、ネオジム磁石などの強力な磁石(すなわち、強い磁場を生成するもの)が、好ましくは使用される。
【0083】
-磁石保持部10の閉鎖部20からの取り外し
磁石保持部10は、上述した挿入および係合プロセスを逆にすることによって、閉鎖部20から係合解除および分離することができる。そのような係合解除および分離プロセスが図7に示されている。最初に(a)磁石保持部10を閉鎖部20に対して矢印Rのように反時計回りに90°回転させて、第1および第2の半径方向突出部16a、16bをそれぞれの円周方向チャネル23から係合解除し、したがって第1および第2の半径方向突出部16a、16bをそれぞれの長手方向チャネル22’(図1(d))と位置合わせする。次に(b)磁石保持部10は、矢印Uの方向に、磁石収納空洞22から上方に持ち上げられる。これにより、(c)磁石保持部10が閉鎖部20から分離された状態となる。以上のように、磁石保持部10および閉鎖部20の操作は、ユーザが一方の手で磁石保持部10のユーザ把持可能部13を握り、他方の手で閉鎖部20のフィンガータブ24a、24bを握り、磁石保持部10および閉鎖部20を互いに対して移動させることによって行われる。
【0084】
-蓋アセンブリ100をサンプルチューブ30に取り付けるステップ
図8に示すように、本蓋アセンブリ100は、サンプルチューブ30、例えばエッペンドルフチューブ(RTM)に取り付けることができる。そのようなチューブ30は、リム35によって囲まれた上部に開口部33を有する、直線状領域31およびテーパ状端部領域32を含む本体を有する。図示のように、サンプルチューブ30は、可撓性ヒンジ36によってチューブのリム35に接続された開閉可能なキャップ34を有してもよい。その閉位置にあるとき、キャップ34はチューブの開口部33を封止する。キャップ34は、ユーザがキャップを開くように促すことができるフィンガータブ37と、キャップが閉じられたときにチューブのリム35内に位置する内部プラグ部38とを有する。
【0085】
使用時に、本蓋アセンブリ100をチューブ30に取り付けるために、チューブ30のキャップ34(存在する場合)が最初に開かれ、次いで、蓋アセンブリ100が矢印Dの方向の位置にされ、チューブ30の開口部33内のビーズ捕集プラットフォーム25と圧入嵌合方式で係合し、ビーズ捕集面26のリム29がチューブ30の内壁と圧縮嵌合を形成する。図9に示すように、蓋アセンブリ100の操作は、ユーザが1つの他の手で閉鎖部20のフィンガータブ24a、24bを握り、他方の手でチューブ30を保持し、両者を一緒にすることによって行われる。この圧入嵌合方式の取り付け方法は迅速かつ容易であることに留意されたい。
【0086】
図10は、蓋アセンブリ100の磁石保持部10をそれぞれの閉鎖部20から係合解除および分離するプロセスを示し、閉鎖部20はサンプルチューブ30に取り付けられたままである。最初に(a)磁石保持部10は、図7に関連して上述したように、矢印Rのように、閉鎖部20に対して反時計回りに90°回転される。次いで、(b)磁石保持部10を、矢印Uの方向に、磁石収納空洞22から上方に後退させる。その結果、(c)磁石保持部10が閉鎖部20から分離される。上記のように、磁石保持部10および閉鎖部20のこのような操作は、ユーザが一方の手で磁石保持部10のユーザ把持可能部13を握り、他方の手で(閉鎖部20がチューブ30を把持した状態で)閉鎖部20のフィンガータブ24a、24bを握り、磁石保持部10および閉鎖部20を互いに対して移動させることによって行われる。
【0087】
あるいは、ユーザは、一方の手で(閉鎖部20が取り付けられた状態で)サンプルチューブ30を単に握り、他方の手で磁石保持部10を回転および後退させることができる。現場にあるときに、サンプルチューブ30上で磁石保持部10を閉鎖部20に導入して係合させる場合には、逆の手順を採用することができる。
【0088】
図11は、図10の(a)係合解除プロセス、および(b)分離プロセスの断面側面図である。また、ここでは、磁石18、ビーズ捕集プラットフォーム25、ビーズ捕集面26、および磁石収納空洞22の断面形状も注目に値する。
【0089】
磁石18および磁石収納空洞22は、磁石保持部10が閉鎖部20と係合すると、磁石18が空洞22の底部に接触する(または非常に近くなる)ように寸法決めされていることが分かる。さらに、磁石18がビーズ捕集面26に可能な限り近づくようにし、それによりチューブ30内の磁気ビーズ42に対する磁石の磁場の影響を最大にできるようにするために、ビーズ捕集面26と磁石収納空洞22との間の材料の厚さは、可能な限り薄くして、同時に信頼できるレベルの強度および堅牢性を保持することが好ましい。
【0090】
ビーズ捕集面26の断面プロファイルも見ることができ、その隆起した外側リム29、磁気ビーズを収集するための凹状または窪み領域28、および任意選択のウィッキング部材27が中央にある。
【0091】
閉鎖部20の代替的な変形例では、ビーズ捕集面26は、平坦な外形を有してもよく、または凸状であってもよい。ビーズ捕集面26の全体的なプロファイルに関係なく、さらに別の可能性は、磁気ビーズ42が表面26に吸着され保持されるへこみ部または凹部のアレイを、そこに組み込むことである。これは、ビーズが凝集するのを阻止するように、ビーズ捕集面26にわたってビーズの均一な分布を達成することを目的としており、その結果、乾燥する能力が向上し、磁石18が取り外されたときに表面26からのその後の放出も容易になる。
【0092】
キット
図12図14を参照すると、本開示はまた、上述のような蓋アセンブリ100と、1つまたは複数のサンプルチューブ30と、任意選択で、ピペット54および/またはスワブ、および/またはさらなるサンプル採取チューブ55(図13)とを含むキットを提供する。
【0093】
例えば、図12は、蓋アセンブリ100、3つのサンプルチューブ30、およびピペット54(この場合、正確な容積のピペット)を含むキット50を示す。キット50は、成形(例えば熱成形)プラスチックで作られた安価であるが有用なパッケージトレイ52を含み、サンプルチューブ30および蓋アセンブリ100のためのスタンドとしても機能する。より具体的には、トレイ52は、サンプルチューブ30が配置される複数の専用の凹部または空洞51(トレイの成形に一体的に形成される)、および蓋アセンブリ100が配置される専用の凹部51’を組み込んでおり、したがってサンプルチューブ30および蓋アセンブリ100を直立した向きに保持し、チューブ棚などの追加の検査室設備の必要性を排除している。実際、本キットは原則として、着座時のユーザの膝を含む任意の表面で使用できるため、ベンチまたはテーブル天板も必要としない。
トレイ52はまた、トレイ52の全体的な剛性を高める外側に延びるリム53を有する。
【0094】
この図では、続いて、チューブ30はA、BおよびCとラベル付けされ、これらのラベルは、例えば磁気分離を使用してサンプルから標的生体分子の抽出を実行するために、蓋アセンブリ100と共にそのようなチューブを使用する方法を説明するときに参照される。
【0095】
図13は、図12のキットの変形例50’の斜視図である。図示のように、キット50’は、サンプル不活性化チューブとしても機能し得るさらなるサンプル採取チューブ55をさらに含んでもよい(または受け入れるように設計されてもよい)。チューブ55を直立した向きに保持するために、さらなる専用の凹部または空洞51”をトレイ52に形成してもよい。チューブ55は、キット50’の一部として提供されるのではなく、外部から得られてもよい。チューブ55を専用の凹部または空洞51”に挿入することにより、ユーザは所与のサンプルをキット50’の残りの部分と空間的に相関させることができ、したがって所与のサンプルのすべてのチューブを一緒に保持し、別の近くのキットからのチューブとのいかなる取り違えの可能性も低減する。
キット50’は、取り外し可能なバッキングシート58(段ボールまたはプラスチック製であってもよい)を適所に備えて示されていることも分かる。
【0096】
図14に示すように、そのようなキットはまた、チューブ30および蓋アセンブリ100ならびに他の内容物の上に延びる、やはり成形(例えば熱成形)プラスチックで作られた取り外し可能なカバー56を備えてもよい。カバー56は、製造中にバッキングシート58に取り付けられ、輸送目的のためにトレイ52のリム53をバッキングシート58に対して保持し、その中の構成要素を滅菌して適所に保持するリム57を有する。カバー56はまた、キットが閉じられたときに蓋アセンブリ100の磁石保持部10の周りに適合し、輸送中に蓋アセンブリ100を定位置に保持する成形特徴部59を組み込む。使用時に取り外された場合、カバー56は、いったん使用されると、サンプルチューブ30およびキットの他の内容物のための廃棄物容器として、または一時的な中間準備領域として機能できる。図示のように、カバー56は、リム57の一部である剥離コーナ57’を組み込んでいる。剥離コーナ57’は、リム57の残りの部分に対して持ち上げられ、カバー56の容易な開放およびバッキングシート58からのカバー56の取り外しを可能にし、したがってキットを開き、使用のためにトレイ52を解放する。当業者には理解されるように、カバー56およびトレイ52の熱成形プロセスの一部として一体的に形成される、例えばカバー56とトレイ52との間のスナップ嵌合機構によって、カバー56をトレイ52に取り外し可能に取り付ける他の手段が可能である。
【0097】
図15に示すように、本開示によって提供される別のキット60は、接続部品62によって並んで互いに接続された複数のサンプルチューブ30(この場合は3つ)を含む。チューブ30をこのように互いに接続することにより、チューブからチューブへの磁気ビーズの段階的な処理を容易にできる。キット60はまた、任意のチューブ30(好都合には、蓋アセンブリを順次に、すなわちAからBに、次いでCに、チューブからチューブに移動させることにより)と共に使用することができる蓋アセンブリ100を含む。任意選択的に、サンプルチューブ30の最後(この場合、チューブC)は、最後のチューブ(C)を他のチューブから容易に取り外し、その後の処理のために別々に取り出すことができるように、脆弱接続部64によってその隣接するチューブ(チューブB)に接続されてもよい。もちろん、必要に応じて、そのような脆弱接続部64を接続されたチューブ30のいずれかの間に設けることができることも理解されよう。
【0098】
上記のすべてのキット(50、50’および60)では、サンプルチューブ30は、様々な液体(その例は後述する)を既に収容して供給され得る。さらに、第1のサンプルチューブ30内の液体には、磁気ビーズ42が予め充填されていてもよい。
【0099】
しかしながら、第1のサンプルチューブ30の液体中の磁気ビーズ42の長期安定性に問題がある場合には、磁気ビーズ42のみを第1のサンプルチューブ30内に予め充填しておき、液体を別の容器に入れてもよい。例えば、液体は、別個のチューブ(例えば、必ずしもそうとは限らないが、成形同時充填チューブ)内に、または必要に応じてそこから液体を第1のサンプルチューブ30内に移送され(例えば圧搾され)得る使い捨ての引き裂き開封サシェ、カプセルまたはブリスターパック内に提供することができる。そのようなブリスターパックは、第1のサンプルチューブ30の開口部に予め取り付けられて設けられてもよく、その結果、ユーザは、磁気ビーズ42と混合するために、ブリスターパックを押してその下面(例えば、フィルムまたは箔からなる)を破裂させ、液体を第1のサンプルチューブ30内に放出させるだけでよい。次いで、ブリスターパックを第1のサンプルチューブ30の開口部から取り外すことができる。
【0100】
あるいは、問題となっている液体は、第1のサンプルチューブ30内に供給されてもよく、磁気ビーズ42は、別個の容器、サシェ、カプセル、ブリスターパックまたは成形同時充填チューブ内に提供されてもよく、そこから、上記の液体と同様の方法で、必要に応じて第1のサンプルチューブ30内に移送されてもよい。
サンプルチューブ内の液体から磁気ビーズを収集する方法
【0101】
図16、および最初にそのステップ(a)から(f)を参照すると、本開示は、液体44にビーズ42が懸濁されているサンプルチューブ30内の液体44から磁気ビーズ42を収集するために、本蓋アセンブリ100を使用する方法を提供する。明確にするために、図16の参照番号はステップごとに繰り返されないが、特に明記しない限り、同じ項目がステップごとに使用されることを理解されたい。蓋アセンブリの特徴は、先行する図面に割り当てられた参照番号を使用して参照される。
本方法は、図16のステップ(a)から開始して、サンプルチューブA内の液体44から磁気ビーズ42を収集することに関して説明される。
【0102】
ステップ(a)に示すように、本方法は、まず、ユーザがサンプルチューブ30を開くステップを含む(実際にはチューブがキャップによって閉じられている場合である。本方法は、キャップを有さず、したがって既に開いているチューブでの使用にも等しく適用可能であり、この場合、ステップ(a)は省略される)。
【0103】
次に、ステップ(b)に示すように、本方法は、蓋アセンブリ100の閉鎖部20をサンプルチューブ300の開口部33に取り付けるステップを含み、これにより、ステップ(c)に示す構成となる。上述したように、現在好ましい実施形態では、取り付け方法は、チューブ30の開口部33内のビーズ捕集プラットフォーム25を圧入嵌合方式で係合させることによるものであり、ビーズ捕集面26のリム29は、チューブ30の内壁と圧縮嵌合を形成する。この段階で、磁石保持部10、より具体的には磁石18は、閉鎖部20の磁石収納空洞22内に挿入される(上記のようなロック機構が設けられている場合には、任意選択的にロックされる)ことに留意されたい。
【0104】
次に、ステップ(d)に示すように、本方法は、例えばサンプルチューブ30を穏やかに反転させるか、または液体44を穏やかに振盪することによって液体44を穏やかに攪拌することを含み、その結果、磁気ビーズ44がビーズ捕集面26と接触し、磁石18によってビーズ捕集面26に対して保持される。ステップ(d)の図は、ビーズ捕集面26に向かって集中する磁気ビーズ42の傾きを示す。実際には、ビーズ捕集面26上に磁気ビーズ42を収集するプロセスは数秒かかる。
【0105】
次に、ステップ(e)に示すように、磁気ビーズ42は、蓋アセンブリのビーズ捕集面26上に収集されている。その結果、チューブ内の液体は今や透明である(すなわち、ビーズがない)。
【0106】
ここでステップ(f)以降を参照すると、本方法は、磁石18が依然として磁石収納空洞22に挿入され、磁気ビーズ42が磁石18によってビーズ捕集面26に対して保持された状態で、ユーザが蓋アセンブリ100をサンプルチューブAから取り外すステップを、さらに含むことができる。
【0107】
サンプルチューブAは、第1のサンプルチューブであると考えられてもよく、その中に収容される液体44は、第1の液体であると考えられてもよい。磁気ビーズ42を放出して再懸濁すること望まれる第2の液体46を収容する、少なくとも第2のサンプルチューブ30(ここではサンプルチューブBと示す)が存在してもよい。したがって、本方法は、サンプルチューブBを開くステップ(ステップ(g)に示すように、サンプルチューブBが実際には閉じている場合)をさらに含むことができ、次いで、ステップ(h)に示すように、蓋アセンブリ100の閉鎖部20を、第2の液体46を収容する第2のサンプルチューブ(チューブB)の開口部33に取り付けるステップをさらに含むことができる。この段階で、磁気ビーズ42は、蓋アセンブリ100のビーズ捕集面26に対して保持されたままである。
【0108】
次いで、ステップ(i)および(j)に示すように、磁気ビーズ42をビーズ捕集面26から放出するために、本方法は、磁気ビーズ42がもはや磁石18によってビーズ捕集面26に対して保持されないように、ユーザが磁石収納空洞22から磁石18を取り外すステップをさらに含む。図10および図11を参照して上で概説したように、磁石18の取り外しは、ユーザが最初にステップ(i)に示すように磁石保持部10を(例えば、反時計回り方向Rに)回転させ、次いで磁石保持部10を(U方向に)上方に後退させて閉鎖部20から分離することを必要とし得る。この段階では、磁石18が存在しないため、磁気ビーズ42はもはやビーズ捕集面26に対して磁気的に保持されない。
【0109】
ステップ(k)に示すように、磁気ビーズ42を第2の液体46に再懸濁するために、ユーザは、例えばサンプルチューブBを穏やかに反転させるか、または液体46を穏やかに振盪することによって液体46を穏やかに攪拌することができ、その結果、磁気ビーズ42は液体46と接触し、ビーズ捕集面26から一掃され、液体に再懸濁される。この段階では、液体のそのような攪拌が必要とされることなく、ビーズ42の少なくとも一部が液体46中に落ちることが可能であるが、液体46中のビーズ42の再懸濁は、そのような攪拌が行われる場合、より迅速かつ完全に行われる。これにより、ステップ(l)に示す構成が得られ、ここで磁気ビーズ42は、チューブB内の第2の液体46に懸濁される。
【0110】
上記の方法を続けて、チューブBから磁気ビーズ42を抽出し、第3の液体を収容する第3のサンプルチューブ(例えば、上記キットに例示されるチューブC)などに移送することができることが理解されよう。したがって、上記のステップ(l)に続いて、本方法は、
磁石18を磁石収納空洞22内に再挿入するステップと、
磁気ビーズ42がビーズ捕集面26と接触し、磁石18によってビーズ捕集面26に対して保持されるように第2の液体46を攪拌するステップと、
磁石が磁石収納空洞22内に挿入され18、磁気ビーズ42が磁石によってビーズ捕集面26に対して保持された状態で、蓋アセンブリ100を第2のサンプルチューブ(チューブB)から取り外すステップと、
蓋アセンブリ100の閉鎖部20を、第3の液体を収容する第3のサンプルチューブ(チューブC)の開口部に取り付けるステップと、
磁気ビーズ42がもはや磁石18によってビーズ捕集面26に対して保持されず、第3の液体中に懸濁されるように(必要に応じてビーズ捕集面26に対して第3の液体が攪拌された後に)、磁石18を磁石収納空洞22から取り外すステップと、をさらに備える。
【0111】
上記の方法は、特に、蓋アセンブリ100を様々なサンプルチューブ30に取り付ける圧入嵌合方式、および、蓋アセンブリ100をサンプルチューブから取り外すことができる対応する容易さ考慮して、さらに、磁石保持部10を閉鎖部20から取り外し、または閉鎖部20に取り付けることができる単純な方法考慮して、迅速かつ容易に実行できることが理解されよう。
【0112】
本装置の使いやすさは、使用中に様々な構成要素のためのスタンドとして機能するトレイ52によってさらに向上し、したがって、他のチューブ棚またはスタンドを必要とせずに本構成要素を完全に手動で使用することが容易になり、ユーザが外部表面に何も置く必要がなくなる。これは、外部表面上に開いたチューブを配置すると内容物の汚染のリスクが高まるため、チューブが開いた状態のとき、磁気ビーズの移送の間にあるときに特に重要である。トレイ/スタンド52を含む本装置はまた、有利には、装置の片手使用を容易にし、これは時には有益であり得る。
【0113】
磁気分離を用いてサンプルから標的生体分子を抽出する方法
本発明の蓋アセンブリ100および実際の状況における上記の方法の利点を説明するために、磁気分離を使用して液体(または固体)サンプルから標的生体分子の抽出を実行する方法が、本蓋アセンブリ100および磁気ビーズ42(この場合、特に磁性ナノ粒子)を使用して、説明する。本方法について、再び図16を参照して説明する。
【0114】
本方法を最初に要約すると、DNA/RNA/タンパク質などの標的生体分子が溶解緩衝液を介してサンプルから最初に放出され、次いで結合緩衝液で磁性ナノ粒子に結合される。次いで、これらのビーズは洗浄液を使用して洗浄され、前のステップからの汚染物質/化学物質ならびに望ましくない生物学的分子が除去される。ビーズが洗浄されると、精製された分析物は、溶出緩衝液(例えば、分子グレードの水、またはTris-EDTA(TE)緩衝液)を介してビーズから溶出(放出)される。次いで、溶出された分析物(例えばRNA)は、ユーザの要求に従って、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)処理、等温増幅などの下流の分子用途に使用することができる。「Tris」はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの略記であり、EDTAはエチレンジアミン四酢酸の略語であることが理解されよう。
【0115】
したがって、本方法を実行するために、第1、第2および第3の液体をそれぞれ収容する第1、第2および第3のサンプルチューブ(例えば、上記キットのチューブA、BおよびC)が使用される。一般的な意味では、第1の液体は、標的生体分子を溶解し、それによってそれらを溶液中に放出し、生体分子を磁気ビーズに結合させるための溶解/結合緩衝液である。第2の液体は洗浄液である。第3の液体は、生体分子を溶出するための溶出液である。
より詳細には、図16を参照すると、本方法は以下のステップを含む。
【0116】
予備ステップ1:
生物学的サンプル(例えば、SARS-CoV-2粒子などのウイルス粒子を含有することが疑われる鼻分泌物)は、鼻咽頭スワブを使用して収集され、不活性化緩衝液を収容するサンプル採取チューブ55(例えば、いわゆるeNAT(RTM)チューブ)に入れられる。
【0117】
予備ステップ2:
ピペット54(有利には正確な容積の使い捨てピペットでもよい)を使用して、スワブから溶出したウイルス粒子を含有する一定量の不活化緩衝液をサンプル採取チューブ55から第1のサンプルチューブ30、すなわち図16のチューブAに移し、混合物を穏やかに振盪する。チューブAには、溶解/結合緩衝液(例えば、チオシアン酸グアニジニウムをベースとし、任意選択的にイソプロパノールまたはエタノールなどの溶媒を含む)、および磁気ビーズ42が予め充填されており、ここでスワブから溶出したウイルス粒子も含有する。磁気ビーズ42は、ウイルス粒子からの核酸に結合するシリカコーティングを有する。
【0118】
ここで図16を参照すると、
ステップ(a):チューブAの蓋を開ける。
ステップ(b):蓋アセンブリ100(磁石保持部10が閉鎖部20と係合した状態)をチューブAまで持ち上げる。
ステップ(c):蓋アセンブリ100をチューブAに取り付ける。
ステップ(d):蓋アセンブリ100が取り付けられたチューブAを穏やかに反転させて、磁気吸着を介してビーズ捕集面26上に磁気ビーズ42を収集する。
ステップ(e):磁気ビーズ42は、蓋アセンブリ100のビーズ捕集面26上に収集される。その結果、チューブ内の液体は今や透明である(ビーズがない)。
ステップ(f):磁気ビーズ42を保持した蓋アセンブリ100をチューブAから取り外す。
ステップ(g):第2のサンプルチューブ30、すなわち図16のチューブBを開く。チューブBは、洗浄液(例えば80%エタノールの溶液)を収容している。
ステップ(h):磁気ビーズ42を保持した蓋アセンブリ100をチューブBに取り付ける。
ステップ(i)および(j):磁石保持部10が閉鎖部20から係合解除され取り外され、その結果、磁気ビーズ42がもはやビーズ捕集面26に対して磁気的に保持されない。
ステップ(k):磁気ビーズ42がビーズ捕集面26から離れ、チューブBを穏やかに反転または振盪することによって洗浄液に再懸濁され、それによってビーズが洗浄され、前のステップからの汚染物質/化学物質、および、望ましくない生物学的分子が除去される。これにより、ステップ(l)に示す構成が得られる。
【0119】
ステップ(l)に続いて、本方法は、以下のステップをさらに含む。
【0120】
ステップ(m):磁石保持部10が、(依然としてチューブBに取り付けられている)閉鎖部20の磁石収納空洞22内に再挿入される。
ステップ(n):蓋アセンブリ100が取り付けられたチューブBを穏やかに反転させて、磁気吸着を介してビーズ捕集面26上に磁気ビーズ42を収集する。
ステップ(o):磁気ビーズ42を保持した蓋アセンブリ100をチューブBから取り外す。
ステップ(p):取り外された蓋アセンブリ100上の磁気ビーズ42を30秒間空気に露出して、洗浄液(この場合、エタノール溶液)を蒸発させる。図12に示すようなキット50が使用される場合、蓋アセンブリ100は、有利には、この段階で専用凹部51’内に配置されて、蓋アセンブリ100およびビーズ42を潜在的な汚染源から遠ざけながら磁気ビーズ42を乾燥させることができる。
ステップ(q):溶出液を収容した第3のサンプルチューブ(チューブC)の開口部に、磁気ビーズ42を保持した蓋アセンブリ100を取り付ける。
ステップ(r):磁石保持部10が閉鎖部20から係合解除され取り外され、その結果、磁気ビーズ42がもはやビーズ捕集面26に対して磁気的に保持されない
ステップ(s):磁気ビーズ42がビーズ捕集面26から離れ、チューブCを穏やかに反転させることによって溶出液に再懸濁されて、その後の処理のために、問題となっている分析物(例えば、上記ウイルス粒子の特徴的なRNA)の溶出を引き起こす。
【0121】
任意選択的に、溶出液から磁気ビーズ42を除去するために、方法は、以下の追加のステップをさらに含んでもよい。
【0122】
ステップ(t):磁石保持部10を閉鎖部20(まだチューブCに取り付けられている)の磁石収納空洞22に再挿入し、チューブCを穏やかに反転させることによって溶出液から磁気ビーズ42を抽出し、それによって磁気吸着を介してビーズ捕集面26上に磁気ビーズ42を回収する。その結果、溶出した分析物(例えば、上記ウイルス粒子の特徴的なRNA)のみが、その後の処理のために溶出液中に残る。
ステップ(u):ここで、蓋アセンブリ100をチューブCから取り外し、使用済み磁気ビーズ42と共に廃棄できる。磁石保持部10は、必要に応じて保管して再利用してもよい。
【0123】
サンプル(例えば、鼻咽頭スワブ、唾液または血液)から抽出されたRNAまでの全プロセスは、ポイントオブケアの実質的に訓練されていないユーザによって5分未満で行うことができる。
【0124】
-上記方法の実験的検証
上記の技術を実験的に実施し、Qiagen:QIAampウイルスRNAミニキットの「ゴールドスタンダード」カラムベースの抽出方法を使用して比較試験を実施した。培養SARS-CoV-2(10PFU/mL)を含む合計6つのサンプルを両方の方法で分析し、抽出されたRNAが、E遺伝子が標的とするRT-qPCRによって定量化された。回収結果は、Qiagenキットおよび本技術についてそれぞれ平均3×1010および1.4×1010の総RNAコピーで、同等の性能を示した。これらの有望な結果は、本発明の質素で迅速かつ容易な抽出方法が、高価な設備および電気を必要とし、30分を超える遅延を招く従来の検査室ベースの抽出技術と、非常に有利に競争することができることを示している。
【0125】
-上記の方法および装置の利点
従来、サンプル調製は、分析科学において重要な役割を果たす。本方法は、臨床サンプルの異なる供給源(例えば、異なる種類のスワブおよび生物学的サンプル)からの異なる分子の迅速な(5分未満の)抽出プロセスを可能にする新しいアプローチを提供することによって、既存の高価で時間がかかる複雑な分子抽出キットに関する制限を克服する。現在開示されている方法および装置は、最小限のステップ/時間および試薬を必要とし、遠心分離またはボルテックスを必要とせず、電気を必要とせず、高価な機器を使用せず、詳細な事前訓練も必要とせず、低リソースまたは遠隔設定で容易に実施可能な、使い捨てに適した費用対効果が高く、堅牢で安全なキットを提供する。
上記の利点および他の利点は、以下によって得られる。
【0126】
・磁気ビーズ42を収集し、1つまたは複数の後続のサンプル調製ステップ(例えば溶解/結合、洗浄、溶出)を通して磁気ビーズに付着した標的粒子を移送するための使い捨て(例えば、エッペンドルフ(RTM))サンプルチューブのための上記の制御可能で磁化可能な蓋アセンブリ100の利用。
・任意のチューブの種類(例えば、ねじ頂部、スナップ頂部など)またはサイズ(例えば、0.5ml、1ml、1.5mlなど)に適合可能な蓋アセンブリ。
・必要に応じて各ステップでビーズの容易な再懸濁を可能にするために閉鎖部20から取り外し可能な磁石18。
・ビーズを収容する単一のチューブへ/から化学物質または溶液を添加/除去するのではなく、複数の予め充填されたチューブを通して磁気ビーズ42を移動させる能力。
・磁気ビーズ42を偶発的な表面接触またはユーザ接触から(例えば、図5および図6に示す)保護するための蓋アセンブリの設計。
・表面張力による液体保持を防止するために、ビーズ捕集面26上にウィッキング部材(例えば、ウィッキングスパイク)を任意選択的な設定。
【0127】
既存の技術と比較して、本蓋アセンブリの使用は、以下を達成または可能にする。
・電気機器(遠心分離機、ボルテックスミキサー、商用電源接続型ヒーター、安全キャビネットなど)の必要性を排除する。
・液体を移送するための高価なマイクロピペットの必要性を排除する。
・生成物を精製するためにシリカ系膜の使用を必要としない。
・市販のキットで必要とされる少なくとも30分の最小抽出時間を、5分未満に短縮する。
・検査室ベースの環境および商用電源の必要性を排除し、したがって遠隔地でのポイントオブケア抽出方法として使用可能である。
・現在説明されているキット(パッケージ/トレイがスタンドとして機能する)では、他のチューブ棚またはスタンドは必要なく、ユーザは外部表面に何も置く必要がなく、したがって検査装置および液体の汚染のリスクを低減する。実際、本キットは原則として、着座時のユーザの膝を含む任意の表面で使用できるため、ベンチまたはテーブル天板も必要としない。
・キットは室温保存が適している(冷凍庫不要)。
・高度な熟練者が抽出を行う必要がない。
・極めて質素、通常、1サンプル当たり1GBP未満である。
【0128】
改変例、代替例および付属品
詳細な実施形態およびいくつかの可能な代替形態が上に記載されている。当業者には理解されるように、上記の実施形態に対していくつかの改変およびさらなる代替を行うことができるが、その中に具体化された本発明から依然として利益を得る。
【0129】
蓋アセンブリ100の上述の実施形態では、磁石保持部10は、閉鎖部20から完全に分離可能であり、閉鎖部20の磁石収納空洞22に挿入可能であり、磁石18をビーズ捕集面26の背後に近づけて配置して、磁気ビーズ42をビーズ捕集面26に向かっておよびその上に引き付ける。
【0130】
しかしながら、蓋アセンブリの代替的な構成は、磁石をビーズ捕集面の後側に近づけて、必要に応じて磁気ビーズをビーズ捕集面の前側(液体に面する)側に吸着することと、ビーズを表面に引き付ける必要がない場合(すなわち、磁気ビーズが放出される場合)に、磁石をビーズ捕集面の後側から離れるように移動させることと、の原理に依然として基づいて想定されてもよい。
【0131】
例えば、磁石は、完全に分離可能な磁石保持部の一部である必要はない。代わりに、磁石または磁石保持部は、ビーズ捕集面の後側に向かって、または後側から離れるように制御可能に移動可能でありながら、閉鎖部に結合されたままであり得る。そのような一例では、磁石保持部は閉鎖部に繋がれてもよい。別の例では、磁石保持部がビーズ捕集面の後側に向かって、またはそこから離れるように移動することを依然として可能にしながら、閉鎖部からの磁石保持部の着脱性が拘束機構によって制限されてもよい。そのような移動は、直線的であってもよい(が、そうである必要はない)。例えば、別の変形例では、磁石は、ロッカースイッチ機構によって、ビーズ捕集面の後側に向かって、またはビーズ捕集面の後側から離れるように移動可能であり得る。ビーズ捕集面の後側に対して磁石を制御可能に前進または後退させるための別の構成は、格納式ボールペンのものと広く同様の押しボタン機構を使用することができる。
【0132】
蓋アセンブリ100の上述の実施形態では、磁石保持部10と閉鎖部20との係合プロセスは、磁石保持部10を閉鎖部20の空洞22に直線的に挿入し、続いて磁石保持部10を閉鎖部20に対して回転させて(例えば90°まで)、それぞれの円周方向チャネル23に沿って第1および第2の半径方向突出部16a、16bを係合させることを含む。
【0133】
しかしながら、図17に示すように、蓋アセンブリ100aの変形例は、回転係合原理および関連する特徴を省略し、(図17(a)の両矢印によって示されるように)、磁石保持部10aを閉鎖部20aと係合させるために直線挿入のみを使用してもよい。したがって、磁石保持部10aのシャフト14は滑らかであり、図1の半径方向突出部16a、16bがない。同様に、図17(b)および図17(c)に示すように、閉鎖部20aの磁石収納空洞22には、図1の円周方向チャネル23がない。しかしながら、一定の係合を提供するために、閉鎖部20aは、磁石保持部10aを握るための把持手段(この場合、長手方向の突出部/隆起部47)を磁石収納空洞22内に組み込んでもよい。他のすべての材料の点で、蓋アセンブリ100aの特徴は、上述の蓋アセンブリ100(例えば、図1に示すように)の特徴と同じである。
【0134】
磁石保持部10と閉鎖部20との回転係合が必要とされない装置の場合、磁石保持部10のシャフト14は円筒形である必要はなく、代わりに回転させない断面形状(例えば、正方形の形状)を有してもよい。
【0135】
なお、磁石保持部10と閉鎖部20との直線的な挿入、およびその後の回転係合を提供する上述の蓋アセンブリ100であっても、ユーザが希望する場合、例えばプロセスをさらに促進するために、磁石18が空洞22に挿入された後に、回転ステップを省略できることにも留意されたい。しかしながら、そのような状況下では、ユーザは、例えば、磁石保持部10を所定の位置に保持するために磁石保持部10の上に穏やかな圧力を加えることによって、不適切な瞬間に磁石保持部が閉鎖部20から偶発的に離れないように注意する必要がある。
【0136】
図18は、図1の蓋アセンブリの別の変形例100bの(a)係合断面図および(b)係合解除斜視図を示し、磁石保持部10bおよび閉鎖部20bは、互いに係合可能なねじ山48(任意選択的に多条ねじであってもよい)を含む。他のすべての材料の点で、蓋アセンブリ100bの特徴は、上述の蓋アセンブリ100(例えば、図1に示す)の特徴と同じである。
【0137】
蓋アセンブリ100の上述の実施形態に関して、第1および第2のフィンガータブ24a、24bは、ビーズ捕集面26の下方に延び、したがって、(図6に示すように)表面40上で直立した向きで蓋アセンブリ100を支持するためのスタンドとして使用できることが説明された。しかしながら、いくつかの状況下では、例えば、重力がビーズ捕集面26上の磁気ビーズ42の収集を助けられるようにするために、サンプルチューブ30を取り付けた状態で、蓋アセンブリを上下逆向きに支持することができることが有利であり得る。この目的のために、図19は、図1の蓋アセンブリの別の変形例100cを示し、閉鎖部20cの第1および第2のフィンガータブ24a’、24b’は、サンプルチューブ30が取り付けられた状態で、(同様にまた代替的に、サンプルチューブが取り付けられていない直立した状態で)、蓋アセンブリ100cを上下逆向きに支持するためのスタンドとして機能するのに十分な程度まで、ビーズ捕集面26の下方および上方の両方に延在する。他のすべての材料の点で、蓋アセンブリ100cの特徴は、上述の蓋アセンブリ100(例えば、図1に示す)の特徴と同じである。
【0138】
さらに別の変形例(図示せず)では、閉鎖部の第1および第2のフィンガータブは、蓋アセンブリを上下逆向きに(任意選択的にサンプルチューブを取り付けて)しか支持することができないスタンドとして機能できるのに十分な程度まで、ビーズ捕集面(すなわち、図6の反対側)の上方にのみ延在してもよい。
【0139】
図20は、図1の蓋アセンブリの別の変形例100dを示しており、磁石保持部10’のユーザ把持可能部13’は、磁石保持部10’を上下逆向きに支持するためのスタンドとして機能できるような広い断面プロファイル(この場合、十字形)を有する。これは、図1のように比較的薄く平坦な形状を有し、磁石保持部10を上下逆向きにして補助なしで安定して支持するのには適していない、ユーザ把持可能部13の代わりである。好ましくは、図20に示すように、ユーザ把持可能部13’の図示の変形例の断面プロファイルは、必要に応じて、取り付けられた閉鎖部20および取り付けられたサンプルチューブ30を上下逆向きに支持することもできるように、十分に安定したスタンドを提供する。
【0140】
-改変サンプルチューブおよび使用方法
図21および図22に示すように、本開示はまた、上述のサンプルチューブ30の変形例である改変サンプルチューブ30’を提供する。
【0141】
上述のような従来のサンプルチューブと同様に、改変サンプルチューブ30’は、リム35によって囲まれた上部に開口部33を有する、直線状領域31およびテーパ状端部領域32を含む本体を有する。(改変されたサンプルチューブ30’の他の幾何学的形状も可能であること、すなわち、図示のように必ずしも直線状領域31またはテーパ状端部領域32を有する必要はないことが理解されよう。)サンプルチューブ30’は、可撓性ヒンジ36によってチューブのリム35に接続された開閉可能なキャップ34をさらに備える。キャップ34は、ユーザがキャップを開くように促すことができるタブ37を有する。
【0142】
しかしながら、従来のサンプルチューブとは対照的に、改変サンプルチューブ30’のキャップ34は、ある量の試薬(これは、図示されているように、ビーズ70または錠剤の形態でもよい)を収容する区画38’をさらに含む。区画38’は、区画38’の内容物を密封する、例えば箔またはプラスチックフィルムで作られた取り外し可能なカバー39を有する。カバー39には、必要に応じてカバー39の迅速かつ容易な取り外しを可能にするために、最初にカバー39の残りの部分に折り畳まれる一体的な引抜き可能タブ39’が設けられてもよい。区画38’はキャップ34の内側にあり、キャップが閉じられたときにチューブ30’のリム35内に位置することが理解されよう。
【0143】
試薬(例えば、ビーズ70)は、製造設備において、区画38’に挿入され、カバー39が取り付けられる。製造中、区画38’は、好ましくは、試薬の寿命を最大にするために、低酸素環境においてカバー39によって密封されてもよい。
【0144】
図示されているように、試薬は、有利にはビーズ70または錠剤の形態であってもよく、それにより、区画38’内への試薬の装填を容易にし、長期の室温貯蔵を可能にし、試薬の全体を1つとして、区画38’から出てチューブの本体内に渡すことができる。しかしながら、代替的に、試薬は、乾燥粉末、または液体もしくはゲルの形態であってもよい。
【0145】
使用時にカバー39が区画38’から取り外され、キャップ34がチューブ30’の開口部33上に閉じられると、試薬がチューブの本体内に、およびその中の任意の液体内に単に落下するように、試薬は、区画38’内で緩い状態であってもよい。このような試薬の落下は、上記で概説したように、試薬がビーズ70または錠剤の形態である場合に促進され得る。
【0146】
あるいは、試薬は、ビーズ70または錠剤(または固まり)の形態である場合、例えばそれを区画38’内の成形凹部に圧入嵌合することによって、確実に区画38’内に取り付けることができ、それにより、カバー39が取り外されてキャップ34がその閉位置に移動されているときに、試薬ビーズ70が区画から(例えば、床の上に)不注意に脱落するのを防止する。カバー39が区画38’から取り外され、キャップ34がチューブ30の本体上に閉じられると、ユーザは、このような圧入嵌合された試薬の量を用いて、チューブ30’を反転させることによって、チューブ内の液体を使用して区画38’からの試薬ビーズ70を洗い流す/溶解する必要がある場合がある。
【0147】
試薬(例えば、ビーズ70)は、どのような化学物質であってもよい。とは言え、磁気分離を使用してサンプルから標的生体分子(特定のウイルスの特徴的なRNAなど)の抽出を行う上記の方法に続いて、試薬は有用には凍結乾燥比色検出試薬であってもよく、これは、溶出された標的生体分子を含有する(または潜在的に含有する)溶出液に導入され、比色分析を介して標的生体分子の存在または非存在を判定してもよい。
【0148】
したがって、上記の方法では、チューブC(溶出液を収容する)は、改変されたサンプルチューブ30’であってもよく、試薬ビーズ70は、好ましくはビーズまたは錠剤形態の凍結乾燥された比色検出試薬である。溶出液が予め充填され、チューブのキャップ34の内側の密封区画38’内の凍結乾燥比色検出試薬ビーズ70で予め調製されたそのようなチューブCは、上述のキット(例えば、図12図15に示す)のうちの1つの一部を形成し得る。
【0149】
図23は、この比色分析プロセスを示す。ステップ(a)として、試薬ビーズ70がサンプルチューブ30’のキャップ区画38’から解放され、その結果、ステップ(b)として、試薬ビーズ70がサンプルチューブの本体内の溶出液72に入る。この段階で、試薬ビーズ70は迅速に溶解し、溶出液72と混合する。標的生体分子(例えばウイルスRNA)の核酸増幅(例えば、PCRまたはLAMP)を実行するために必要なすべての化学的種が現在存在し、本研究により、実質的に訓練されていないユーザによる遠隔地での使用に適したキット形態で提供することができることが理解されよう。
【0150】
比色増幅プロセスを行わせるために、サンプルチューブ30’の内容物を例えば約63℃に加熱し、そのような温度で約20分などの期間保持することが必要な場合がある。これは、存在する場合、標的核酸を増幅させ、それによって液体の色を変化させる。これは、図23のステップ(d)として示されている。
一方、標的核酸が存在しない場合、図23のステップ(c)として示されるように、増幅は起こらず、結果として、液体の色は変化しない。
【0151】
電源から離れた遠隔地で実行される場合、上記の加熱は、化学ヒートパック(例えば、これは活性化するために「スナップ」され、発熱反応を生じさせ、熱を放出する)によって、または、サンプルチューブ30’を挿入することができる小型の電池式もしくは太陽光式ヒーターブロックによって提供できる。
したがって、本開示のすべての態様は、遠隔地の場所での使用に適していることが理解されよう。
【0152】
-試薬
より一般的には、上述の試薬(例えば、ビーズ70)は、様々な核酸増幅方法に必要な様々な化学的種または他の種(例えば、酵素、プライマーなど)、および、それらの混合物を含み得る。
【0153】
例えば、核酸増幅方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT-PCR)、定量的PCR(qPCR)、逆転写qPCR(RT-qPCR)、ネステッドPCR、マルチプレックスPCR、非対称PCR、タッチダウンPCR、ランダムプライマーPCR、ヘミネステッドPCR、ポリメラーゼサイクリングアセンブリ(PCA)、コロニーPCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)、デジタルPCR、メチル化特異的PCR(MSP)、低変性温度での共増幅PCR(COLD-PCR)、対立遺伝子特異的PCR、配列間特異的PCR(ISS-PCR)、全ゲノム増幅(WGA)、逆PCR、または熱非対称インターレースPCR(TAIL-PCR)を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、核酸増幅反応は、核酸等温増幅法であり得る。等温増幅は、増幅反応中の標的核酸の熱変性に依存せず、したがって複数の急速な温度変化を必要としない核酸増幅の一形態である。したがって、等温核酸増幅法は、検査室環境の内部または外部で行うことができる。鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ローリングサークル増幅(RCA)、ラミネーション増幅(RAM)、ヘリカーゼ依存性等温DNA増幅(HDA)、環状ヘリカーゼ依存性増幅(cHDA)、ループ介在等温増幅(LAMP)、単一プライマー等温増幅(SPIA)、RNA技術のシグナル介在増幅(SMART)、自己増幅配列複製(3SR)、ゲノム指数増幅反応(GEAR)および等温多重置換増幅(IMDA)を含むがこれらに限定されない、多くの等温核酸増幅方法が開発されている。そのような増幅化学のさらなる例は、例えば、「ポイントオブケア診断のための等温核酸増幅技術:重要な総説」(Pascal Craw and Wamadeva Balachandrana Lab Chip,2012,12,2469-2486,DOI:10.1039/C2LC40100b)に記載されている。
【0154】
特定の現在好ましい実施形態では、試薬(例えば、ビーズ70)は、pHベースの検出または比色検出(例えばpH-LAMP)に適合する上述の増幅化学のいずれかを作製するための成分を含んでもよい。これは、例えば、(おそらくトリス塩酸がないことで)緩衝能を低下させることによって達成され得る。
試薬(例えば、ビーズ70)は、増幅指示を提供する、標的種の視覚的(または他の)検出のための広範囲の化学を包含し得る。
【0155】
例えば、特定の実施形態では、増幅指示物質は、溶液(そのようなもの、例えば、特定の核酸の存在または非存在)の含有量を視覚的に判定することができるように核酸増幅反応混合物に添加される有機または無機化合物であり得る。
【0156】
特定の実施形態では、増幅指示薬物質は、金属イオン指示薬(錯滴定指示薬またはメタロクロミック指示薬とも呼ばれる)であってもよく、これは、未錯化指示薬(例えば、Ca2+、Mg2+、Zn2+、および他の金属イオンなどだが、これらに限定されない)の色とは異なる色を有する金属イオン錯体を形成した後に色を変化させる物質である。
【0157】
当業者によく知られている他の増幅指示薬物質、例えば、ヒドロキシナフトールブルー、エリオクロムブラックt、カルマガイト、クルクミン、ファーストスルホンブラック、ヘマトキシリン、ムレキシド、キシレノンオレンジ、BAPTA、BAPTA AM、BTC、BTC AM、カルセイン、カルセインAM、カルセインBlue、カルシウムグリーン1、カルシウムグリーン2、カルシウムグリーン5N、セレンテラジン、セレンテラジンcp、セレンテラジンf、セレンテラジンh、セレンテラジンhcp、セレンテラジンn、コロナグリーン、コロナグリーンAM、コロナレッド、DAF FM、Fluo 3、Fluo 3 AM、PBFI AM、Phen Green SK、Quin 2、Quin 2 AM、およびRhodZin 3などが可能であるが、これらに限定されない。
【0158】
他の実施形態では、増幅指示薬物質はpH指示薬であり得る。当業者が理解するように、pH指示薬は、ヒドロニウムイオン(H)または水素イオン(H)の化学検出器である。通常、指示薬は、溶液の色をpHに応じて変化させる。指示薬はまた、他の物理的特性の変化を示すことができる。例えば、嗅覚指示薬は、それらのにおいの変化を示す。
【0159】
他の可能な増幅指示薬物質としては、例えば、ゲンチアナバイオレット、マラカイトグリーン、チモールブルー、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、コンゴーレッド、メチルオレンジ、スクリーニングされたメチルオレンジ(第1の遷移)、スクリーニングされたメチルオレンジ(第2の遷移)、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、メチルパープル、アゾリトミンレッド、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、クレゾールフタレイン、フェノールフタレイン、チモルフタレイン、アリザリンイエローRイエロー、およびインジゴカルミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
他の実施形態では、増幅指示薬物質は、特定の電極電位で明確な色変化を受ける指示薬色素であるレドックス指示薬(酸化還元指示薬とも呼ばれる)であってもよい。レッドクス指示薬には、2つの一般的なタイプがある。pH非依存性レドックス指示薬およびpH依存性レドックス指示薬である。
【0161】
pH非依存性レドックス指示薬としては、2,2’-ビピリジン、ニトロフェナントロリン、N-フェニルアントラニル酸、1,10-フェナントロリン硫酸鉄(II)錯体、N-エトキシクリソイジン、2,2’-ビピリジン、5,6-ジメチルフェナントロリン、o-ジアニシジン、ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルベンジジン、ジフェニルアミンおよびビオロゲンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
pH依存性レドックス指示薬としては、ナトリウム2,6-ジブロモフェノール-インドフェノール、ナトリウムo-クレゾールインドフェノール、チオニン、メチレンブルー、インジゴテトラスルホン酸、インジゴトリスルホン酸、インジゴカルミン、インジゴモノスルホン酸、フェノサフラニン、サフラニンおよびニュートラルレッドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
上記の議論では、試薬は、改変サンプルチューブ30’のキャップ区画38’に取り付けられたビーズ70の形態であると説明されているが、適切な時間に溶出液に導入するために、ある量の試薬(例えばビーズ70の形態で)を他の方法で提供できることが理解されよう。例えば、試薬ビーズ70(または別の形態の試薬の量)は、別個のチューブ(例えば、必ずしもそうとは限らないが、成形同時充填チューブ)、容器または引き裂きパケット/サシェ内に提供されてもよく、これは、適切な時間に開かれて、試薬が溶出液を収容するサンプルチューブ内に移送できるようしてもよい。試薬を収容するそのようなチューブ、容器または引き裂きパケット/サシェは、本明細書に記載のキットの1つの一部として提供され得る。
【0164】
-複数のサンプルチューブを手動で攪拌または反転させるためのハンドヘルド装置
最後に、実際には、時間を節約するために、(本蓋アセンブリ100を取り付けた状態または取り付けていない状態で)複数のサンプルチューブ30/30’を同時に手動で攪拌または反転させることが望ましい場合がある。これを達成するために、図24は、複数のサンプルチューブ30/30’を保持し、電力を必要とせずにそれらを同時に手動で攪拌または反転できるためのハンドヘルド装置80を示す。このようなサンプルチューブ30の一つが、本蓋アセンブリ100が取り付けられた状態で、所定の位置に保持されて示されている。
【0165】
より詳細には、装置80は、ハンドル部82と、それぞれのサンプルチューブ30/30’を保持するための複数のサンプルチューブ保持クリップ84とを備える。複数の保持クリップ84は、ハンドル部82に対して垂直に、かつその両側に延在する横材86に取り付けられている。
【0166】
装置80は、複数の拘束アーム88をさらに備え、各拘束アーム88は、保持クリップ84のそれぞれの上方に延在する。拘束アーム88は、装置80が反転したときにサンプルチューブ80/80’が保持クリップ84から脱落するのを防止するのに役立つ。
【0167】
図24から、各拘束アーム88は、それぞれの保持クリップ84の一方の側にオフセットされていることが理解されよう。これは、本蓋アセンブリ100が取り付けられるサンプルチューブ80/80’を収容するためである。このようにオフセットされることにより、(さらに図1に戻って参照すると、例えば)、各拘束アーム88は、蓋アセンブリ100の磁石保持部10(具体的には、ユーザ把持可能部13)を汚さず、代わりに、磁石保持部10の一方の側に、閉鎖部20の上部21に対して作用する。
【0168】
保持クリップ84および拘束アーム88を含む装置80は、例えば射出成形または三次元印刷によって、プラスチック材料から一体構造として形成できる。図示された装置80は、9つのサンプルチューブ80/80’を支持する能力を有するものとして示されているが、これは単なる例であり、他の数の保持クリップ84および拘束アーム88も当然可能である。
【0169】
したがって、本開示はまた、複数のサンプルチューブ30/30’を同時に攪拌または反転させる手動方法であって、サンプルチューブ30/30’を装置80に挿入することと、ハンドル部82を操作してチューブを同時に攪拌または反転させることと、を含む方法を提供する。任意選択的に、サンプルチューブの少なくとも一方は、上述の蓋アセンブリ100に取り付けられてもよい。また、任意選択的に、サンプルチューブの少なくとも一方は、上述の改変サンプルチューブ30’であってもよい。サンプルチューブ30/30’を同時に攪拌または反転させるこの手動方法を実行するために電力は必要とされず、したがって、遠隔地の場所または低リソースの設定での使用に適していることが理解されよう。

図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図1(d)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図8
図9
図10(a)】
図10(b)】
図10(c)】
図11(a)】
図11(b)】
図12
図13
図14-1】
図14-2】
図15
図16
図17(a)】
図17(b)】
図17(c)】
図18(a)】
図18(b)】
図19
図20
図21(a)】
図21(b)】
図21(c)】
図22(a)】
図22(b)】
図23
図24
【国際調査報告】