(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具およびこれによって製造されるステント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/86 20130101AFI20240208BHJP
【FI】
A61F2/86
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550651
(86)(22)【出願日】2021-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 KR2021004176
(87)【国際公開番号】W WO2022186420
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0028385
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521311805
【氏名又は名称】セウン メディカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEWOON MEDICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】60,Dorim-gil,Ipjang-myeon Seobuk-gu Cheonan-si Chungcheongnam-do 31061,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジェ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ムン、ス ジョン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA44
4C267AA45
4C267AA47
4C267AA50
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB06
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB26
4C267BB31
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC08
4C267CC20
4C267CC22
4C267GG02
4C267HH01
4C267HH08
(57)【要約】
【要約】治具シャフト部;前記治具シャフト部の一端に固定結合される第1ブロック部;前記第1ブロック部と対向配置され、前記治具シャフト部の外周面に沿ってスライディングされて可変的に配置される第2ブロック部;および、前記治具シャフト部、前記第1ブロック部および前記第2ブロック部のうち少なくとも一つ以上に表面粗さが形成される表面領域;を含む表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治具シャフト部;
前記治具シャフト部の一端に固定結合される第1ブロック部;
前記第1ブロック部と対向配置され、前記治具シャフト部の外周面に沿ってスライディングされて可変的に配置される第2ブロック部;および、
前記治具シャフト部、前記第1ブロック部および前記第2ブロック部のうち少なくとも一つ以上に表面粗さが形成される表面領域;を含む
ことを特徴とする表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具。
【請求項2】
前記第2ブロック部は前記治具シャフト部のいずれか一位置に固定され、
前記第1ブロック部と前記第2ブロック部の間の離隔距離は連続的に変更可能となる
請求項1に記載の表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具。
【請求項3】
前記治具シャフト部、前記第1ブロック部および前記第2ブロック部にはコーティング液が塗布されるコーティング領域が形成され、
前記コーティング領域以外の非コーティング領域に配置され、前記第2ブロック部の位置を固定させるストッパー部;をさらに含む
請求項1に記載の表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具。
【請求項4】
前記第2ブロック部は、
回転軸方向に貫通ホールが形成されて両端が連通する回転体部;および、
前記貫通ホールと同心で前記回転体部の下端に形成されるリング状溝部;を含む
請求項1に記載の表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具。
【請求項5】
前記溝部に収容配置されて前記第2ブロック部の位置を固定させるストッパー部;をさらに含む
請求項4に記載の表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具。
【請求項6】
前記表面領域は無秩序に形成される不規則性の陰刻溝によって形成される
請求項1に記載の表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具。
【請求項7】
前記表面粗さは数十~数百μm以内の範囲を有する
請求項1に記載の表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具。
【請求項8】
前記表面粗さはサンドブラスト工程またはエッチング工程によって形成される
請求項1に記載の表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載された表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具を利用したコーティング工程を通じてメンブレン部が形成される
ことを特徴とするステント。
【請求項10】
前記メンブレン部の内側面には微細粗面が形成され、前記メンブレン部の間の粘着性を減少させる
請求項9に記載のステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステント用コーティング治具に関し、特にコーティング液を塗布してステントに薄い膜であるメンブレンを形成する時に使われる表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは人体の長期や血管の狭窄、胆道の狭窄などを防止するために臨床で広く使われる機構である。ステントはステントが挿入される部位を強制的に拡張させて長期の伝達物質(体液、血液などの流体、気体および食物または酵素など)の円滑な流れを有するようにする。一方、このようなステントにはステントの外部で腫瘍および癌細胞などの浸透を防止するために薄い皮膜、すなわちメンブレンが形成されている。ここで、ステントのメンブレンはコーティング治具を利用したコーティング工程で形成される。しかし、ステントは人体の使用部位により多様な形態と大きさを有するようになる。これに伴い、コーティング治具も多数個が備えられなければならない。これは非常に高い工程費用と、設置空間を要求する問題点があった。
【0003】
また、従来のメンブレンは材質的な特性により粘着性(stickness)を有していた。一方、ステントはカテーテルなどの挿入器具に挿入された状態で施術する時、病変部位に展開される。したがって、ステントは挿入器具に予め入れておいた状態で保管する。この時、ステントには外力が作用し、ステントの直径は最小化される。その結果、ステントは長く伸びることになり、メンブレンは互いに接した状態で長時間保管されることになる。
【0004】
このように、メンブレンの内側面はその材質的特性、外部環境などによって挿入器具で展開される時、部分的に互いにくっついて本来の形状に復元されないという問題点があった。そして、これを防止するために、従来のステントの製造工程は生産過程で生体適合性が検証された高価なシリコンパウダーやオイルなどを使ってメンブレンに処理する工程をさらに含んでいた。しかし、これは粘着性による既存の問題点を効果的に解決できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例は前記のような問題点を解決するために案出されたもので、多様な形態と、大きさを有するステントに汎用的に使用可能なステント用可変型コーティング治具を提供しようとする。これを通じて、従来のコーティング工程に必要とされた非常に高い工程費用を減らし、コーティング治具によって占有されていた設置空間を最小化しようとする。
【0006】
また、従来のステントを製作する過程で別途の工程を追加せず、メンブレン部の粘着性を減少させることができる表面粗さを有するステント用コーティング治具を提供することができる。
【0007】
また、高価なシリコンパウダーやオイルなどを塗布する工程を追加せず、既存のステントの生産工程を改善できる表面粗さを有するステント用コーティング治具を提供しようとする。これを通じて、ステントの生産費用を減らして価格競争力を向上させようとする。
【0008】
また、カテーテルなどにステントが長時間保管された場合にも、施術する時に本来の形状に効果的に復元され得るステントを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例は前記のような課題を解決するために、治具シャフト部;前記治具シャフト部の一端に固定結合される第1ブロック部;前記第1ブロック部と対向配置され、前記治具シャフト部の外周面に沿ってスライディングされて可変的に配置される第2ブロック部;および前記治具シャフト部、前記第1ブロック部および前記第2ブロック部のうち少なくとも一つ以上に表面粗さが形成される表面領域;を含む表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具を提供する。
【0010】
前記第2ブロック部は前記治具シャフト部のいずれか一位置に固定され、前記第1ブロック部と前記第2ブロック部の間の離隔距離は連続的に変更可能であることが好ましい。
【0011】
前記治具シャフト部、前記第1ブロック部および前記第2ブロック部にはコーティング液が塗布されるコーティング領域が形成され、前記コーティング領域以外の非コーティング領域に配置され、前記第2ブロック部の位置を固定させるストッパー部;をさらに含むことが好ましい。
【0012】
前記第2ブロック部は、回転軸方向に貫通ホールが形成されて両端が連通する回転体部;および前記貫通ホールと同心で前記回転体部の下端に形成されるリング状溝部;を含むことが好ましい。
【0013】
前記溝部に収容配置されて前記第2ブロック部の位置を固定させるストッパー部;をさらに含むことが好ましい。
【0014】
前記表面領域は無秩序に形成される不規則性の陰刻溝によって形成されることが好ましい。
【0015】
前記表面粗さは数十~数百μm以内の範囲を有することが好ましい。
【0016】
前記表面粗さはサンドブラスト工程またはエッチング工程によって形成されることが好ましい。
【0017】
表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具を利用したコーティング工程を通じてメンブレン部が形成されるステントを提供する。
【0018】
前記メンブレン部の内側面には微細粗面が形成され、前記メンブレン部の間の粘着性を減少させることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上で詳察したような本発明の課題解決手段によると、次のような事項を含む多様な効果を期待することができる。ただし、本発明は下記のような効果をすべて発揮してこそ成立するものではない。
【0020】
本発明の一実施例に係るステント用可変型コーティング治具は多様な形態と、大きさを有するステントに汎用的に使用可能である。これを通じて、従来コーティング工程に必要とされた非常に高い工程費用を減らし、コーティング治具によって占有されていた設置空間を最小化することができる。
【0021】
また、本発明の一実施例に係る表面粗さを有するステント用コーティング治具は、ステントを製作する従来過程で別途の工程を追加せず、メンブレン部の粘着性を減少させることができる。
【0022】
また、本発明の一実施例に係る表面粗さを有するステント用コーティング治具は、既存のステントの生産工程を改善して価格競争力を向上させることができる。
【0023】
また、本発明の一実施例に係るステントは、カテーテルなどにステントが長時間保管された場合にも、施術する時に本来の形状に効果的に復元され得る。
【0024】
本発明の効果は以上で言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は請求の範囲の記載から当業者に明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例に係る表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具の斜視図である。
【
図3】第1ブロック部と第2ブロック部に対する多様な組み合わせを示す例示図である。
【
図4】第2ブロック部の位置が連続的に変更されることを表現する図面である。
【
図5】
図1のコーティング治具によってメンブレン部が形成されることを示す図面である。
【
図6】
図1のコーティング治具によって形成されたメンブレン部の内側面を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の構成および効果を十分に理解するために、添付した図面を参照して本開示の好ましい実施例を説明する。しかし、本開示は以下で開示される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で具現され得、多様な変更を加えることができる。以下、本発明を説明するにおいて、関連した公知の機能に対して、この分野の技術者に自明な事項であって本発明の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0027】
第1、第2等の用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われ得る。例えば、本開示の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。
【0028】
本出願で、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするもので、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解される。
【0029】
本出願で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本開示の実施例で使われる用語は異なって定義されない限り、該当技術分野で通常の知識を有する者に通常的に知られている意味で解釈され得る。
【0030】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例に係る表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具の斜視図であり、
図2は、
図1の分解斜視図である。
図3は第1ブロック部と第2ブロック部に対する多様な組み合わせを示す例示図であり、
図4は第2ブロック部の位置が連続的に変更されることを表現する図面である。
図1~
図4を参照すると、本発明の一実施例に係る表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具Jは、治具シャフト部10、第1ブロック部20、第2ブロック部30、表面領域40、ストッパー部50等を含む。
【0031】
まず、ステントSは1)ワイヤが網のようにジグザグ形態で製織されてメッシュ構造が形成されるボディ部100と、2)メッシュ構造によってワイヤの間に存在する空き空間、すなわち通孔に薄い膜形態で形成されるメンブレン部200を含む。ボディ部100は中空の円筒状である円筒管部110と円筒管部110のいずれか一端または両端に形成される拡管部120を含む。この時、一実施例に係るコーティング治具Jはボディ部100にメンブレン部200が形成される過程で、メンブレン部200に微細粗面300が共に形成されるようにする(
図5および
図6参照)。
【0032】
治具シャフト部10は断面が一定の半径r1を有する円形であり、長さ方向に長く延びる棒状の被回動要素である。治具シャフト部10はコーティング治具Jの外部に配置される回転駆動装置Dに結合され、軸回動され得る。また、治具シャフト部10の一端には軸方向に突出形成され、外周面に雄ねじ山が形成される第1a結合部12が形成されている。このような第1a結合部12に対応して、第1ブロック部20の先端には雌ねじ山溝形態の第1b結合部が形成されている。また、治具シャフト部10の他端には治具シャフト部10が回転駆動装置Dに着脱可能に結合され得るように溝形態の第2結合部14が形成されている。
【0033】
第1ブロック部20は治具シャフト部10の一端に固定結合される。具体的には、第1ブロック部20は治具シャフト部10とねじ結合され得る。これを通じて、第1ブロック部20の位置は固定される。これとは異なり、第2ブロック部30は第1ブロック部20と対向配置され、治具シャフト部10の外周面に沿ってスライディングされて可変的に配置される。一実施例に係る第1ブロック部20と第2ブロック部30はフランジ形状F1およびフレア形状F2のうちいずれか一つであることを特徴とする。この時、選択可能な第1ブロック部20と第2ブロック部30の組み合わせは総4となる。これとは異なり、第1ブロック部20と第2ブロック部30は多様な回転体の形状のうちいずれか一つで設計変更され得る。
【0034】
ここで、フランジ形状F1は一定の半径r2を有する円柱状を意味する。この時、r2はr1より大きいことが好ましい。そして、フレア形状F2は円錐台の形状を意味する。フレア形状F2で、下面の半径r3と上面の半径r4はr1よりそれぞれ大きいことが好ましい。
【0035】
第2ブロック部30は回転軸方向に貫通ホール34が形成されて両端が連通する回転体部32と、貫通ホール34と同心で回転体部32の下端に形成されるリング状溝部36を含むことができる。この時、治具シャフト部10の外周面と貫通ホール34により第2ブロック部30に形成される内周面の間には微細な隙間が存在し得る。第2ブロック部30が治具シャフト部10の他端で貫通ホール34を通じて治具シャフト部10に差し込まれると、第2ブロック部30は治具シャフト部10の長さ方向にスライディング移動され得る。
【0036】
一実施例に係る第2ブロック部30は治具シャフト部10のいずれか一位置に固定され、第1ブロック部20と第2ブロック部30の間の離隔距離Lは連続的に変更可能である。前述した通り、第2ブロック部30は第1ブロック部20と互いに対向して配置される。第1ブロック部20および/または第2ブロック部30がフレア形状F2の場合、第1ブロック部20および/または第2ブロック部30はフレア形状F2の上面が先に治具シャフト部10のいずれか一端に差し込まれる方向に結合されることが好ましい。
【0037】
また、一実施例に係るコーティング治具Jは第2ブロック部30の位置を固定させるストッパー部50をさらに含むことができる。ただし、ストッパー部50の配置位置はいずれか一領域に制限され得る。一実施例に係るコーティング治具Jで治具シャフト部10、第1ブロック部20および第2ブロック部30にはコーティング液Cが塗布されるコーティング領域C1が形成される。コーティング液Cはボディ部100にメンブレン部200を形成する時に使われる液状材料である。コーティング領域C1はボディ部100がコーティング治具Jに装着される時、コーティング治具Jのうちボディ部100が接触される接触領域を含むことができる。
【0038】
コーティング領域C1は第1ブロック部20の側面で、側面の全部または側面の一部を含むことができる。コーティング領域C1は第2ブロック部30の側面で、側面の全部または側面の一部を含むことができる。コーティング領域C1は治具シャフト部10の側面で、特に第1ブロック部20と第2ブロック部30の間に配置される治具シャフト部10の外周面全部を含むことができる。したがって、コーティング治具Jにはコーティング領域C1以外の非コーティング領域C2が形成され得る。非コーティング領域C2はコーティング工程でコーティング液Cが塗布されない領域である。
【0039】
一実施例に係るストッパー部50はコーティング領域C1以外の非コーティング領域C2に配置されることが好ましい。一方、ストッパー部50は摩擦係数が高い材質例えば、合成樹脂などのゴム材質で形成され得る。また、ストッパー部50は非コーティング領域C2のうち、特に第2ブロック部30の溝部36に収容配置され得る。この時、ストッパー部50はオーリング(O-ring)形状であり得る。この時、ストッパー部50は治具シャフト部10と溝部36の間に形成される空間に圧入されて、第2ブロック部30の位置を固定させることができる。
【0040】
これを通じて、本発明の一実施例に係るステント用可変型コーティング治具Jは、多様な形態と、大きさを有するステントSに汎用的に使うことができる。また、従来コーティング工程に必要とされた非常に高い工程費用を減らし、コーティング治具Jにより占有されていた設置空間を最小化することができる。
【0041】
また、一実施例に係るコーティング治具Jは治具シャフト部10、第1ブロック部20および第2ブロック部30のうち少なくとも一つ以上に表面粗さが形成される表面領域40をさらに含むことができる。表面領域40は無秩序に形成される複数の不規則性の陰刻溝によって形成され得る。このような陰刻溝はその形状、模様が一定でない。一実施例に係る表面領域40は反復的であり、規則的な特性を有するいずれか一形態のパターンによって形成されるものを除く。
【0042】
一方、表面領域40はコーティング治具Jの表面、すなわちコーティング治具Jの外側面全部に形成され得る。例えば、表面領域40は治具シャフト部10に第1ブロック部20と第2ブロック部30がそれぞれ組立、結合された状態で形成され得る。また、表面領域40は治具シャフト部10、第1ブロック部20および第2ブロック部30が分離されてそれぞれ個別的に存在する状態で、その外側面全部に形成され得る。
【0043】
表面領域40の表面粗さ(粗度)は数値を通じてその程度を区分することができる。具体的には、コーティング治具Jで表面粗さは数十~数百マイクロメートル(μm)大きさ以内の範囲を有することが好ましい。コーティング治具Jで表面粗さは例えば、30~300μm大きさ以内の範囲を有することが好ましい。このような表面粗さはコーティング液Cの成分、粘度などにより変わり得る。
【0044】
コーティング治具Jでメンブレン部200を形成するコーティング工程が終了した以後、ステントSはコーティング治具Jから回収され得る。この時、表面領域40の表面粗さが300μm大きさを超過する場合、コーティング治具JからステントSを分離する回収工程が難しくなる。これは、メンブレン部200の内側面に形成される微細粗面300により、ステントSがコーティング治具Jの表面から容易に分離離脱されないためである。また、表面領域40の表面粗さが30μm大きさ未満の場合、メンブレン部200の内側面間には粘着(stickiness)現象による従来の問題点が現れることになる。
【0045】
コーティング治具J(またはコーティング治具の表面)は合成樹脂例えば、ポリマー材質で形成され得る。これとは異なり、コーティング治具J(またはコーティング治具の表面)は金属材質で形成され得る。ここで、治具シャフト部10、第1ブロック部20および第2ブロック部30は同一材質で形成され得る。コーティング治具Jがポリマー材質である場合、コーティング治具J(または分離された状態にある治具シャフト部、第1ブロック部および第2ブロック部)にはサンドブラスト(Sand blasting)工程または研磨剤ブラスト(Abrasive blasting)工程によって表面粗さが形成され得る。本来、サンドブラスト工程は多様な材質の微細粒子を圧縮空気で噴射して表面をきれいに処理する工程である。ところが、本発明の一実施例において、サンドブラスト工程はコーティング治具Jに表面粗さを形成するための目的で実施される。
【0046】
サンドブラスト工程はコーティング治具Jの材質、厚さなどにより噴射剤、噴射圧力、噴射時間などの条件を異にすることができる。ここで、噴射剤は例えば、HA(Hydroxy Apatite)またはZirconiaおよびGlass Bidなどであり得る。このようなサンドブラスト工程は表面粗さの偏差を最小化するために少なくとも一回以上実施され得る。
【0047】
一方、コーティング治具Jが金属材質である場合、コーティング治具J(または分離された状態にある治具シャフト部、第1ブロック部および第2ブロック部)にはエッチング工程によって表面粗さが形成され得る。コーティング治具Jは複数の段階からなるエッチング工程経ながら表面処理され得る。このようなエッチング工程は複数の前処理および後処理段階をさらに含むことができる。一実施例に係るエッチング工程は酸性溶液でエッチングするアシッドエッチング(acid etching)であり得る。このために、エッチング液はエッチング槽に準備され得る。その次、コーティング治具Jは予め設定される温度および時間条件でエッチング槽に浸漬されてその表面がエッチングされ得る。これとは異なり、エッチング液は例えば、噴霧方式でコーティング治具Jの表面に向かって噴霧され得る。
【0048】
その結果、コーティング治具Jには表面領域40以内に30~300μm大きさ以内の均一な範囲を有する表面粗さが形成され得る。その他に、表面粗さを形成するために機械的、化学的表面加工法が使われ得る。機械的表面加工法は例えば、マイクロナーリング工程であり得る。
【0049】
治具シャフト部10の他端が回転駆動装置Dに結合されると、コーティング治具Jは治具シャフト部10を基準として軸回動され得る。一方、回転駆動装置Dは少なくとも一つ以上の電動モータMを含んで駆動力を提供する。ボディ部100がコーティング治具Jにマウンティングされると、コーティング治具Jが軸回動されてボディ部100にポリマー材質の材料が均一に塗布され得る。
【0050】
図5は、
図1のコーティング治具によってメンブレン部が形成されることを示す図面である。
図5を参照すると、回転駆動装置Dは予め設定される回転速度、回転周期などによって制御され得る。コーティング工程を開始するために、まずコーティング治具Jにはボディ部100が装着される。そして、コーティング治具Jが回転されると、ポリマー材質のコーティング液Cがボディ部100に塗布される。このようなコーティング液Cはホッパーなどの収容部に保管、貯蔵され得る。コーティング液Cはノズルを通じて液状で噴射されるかまたはスプレー方式で噴射され得る。この時、コーティング液Cはコーティング治具Jの軸回動による遠心力で、ボディ部100に全体的にスプレッドされ得る。これを通じて、コーティング液Cはボディ部100に均一に塗布され得る。
【0051】
本発明の一実施例に係るステントSは表面粗さを有するステント用可変型コーティング治具Jを利用したコーティング工程を通じて製造され得る。コーティング工程で、コーティング液Cは予め設定される温度雰囲気に露出される。そして、コーティング液Cは一定時間が経過すれば硬化する。その結果、ボディ部100にはメンブレン部200が形成される。一実施例に係るコーティング工程はコーティング治具Jのスピニング(spinning)動作を含む。
【0052】
コーティング工程で、メンブレン部200の内側面には微細粗面300が形成されてメンブレン部200の間の粘着性を減少させる。微細粗面300はメンブレン部200が硬化する工程で形成される。すなわち、微細粗面300は1)コーティング液Cが先にエアゾール(Aerosol State)や液体状態(liqid state)の形態で、ボディ部100が装着されたコーティング治具Jに塗布されると、2)その次、コーティング治具Jが予め設定される回転速度等でスピニングされる動作で、3)コーティング治具Jに塗布されたコーティング液Cが固体状態(solid state)であるメンブレン部200として形成される過程でメンブレン部200とともに形成され得る。
【0053】
これを通じて、本発明の一実施例に係る表面粗さを有するステント用コーティング治具Jは、ステントSを製作する従来過程で別途の工程を追加せず、メンブレン部200の粘着性を減少させることができる。
【0054】
図6は、
図1のコーティング治具によって形成されたメンブレン部の内側面を示す写真である。
図6を参照すると、メンブレン部200が形成されるステントSはボディ部100、メンブレン部200および微細粗面300を含むことになる。ここで、メンブレン部200は変形に強く、外力が除去されると本来の形状に容易に復元できる高弾性であることが好ましい。また、メンブレン部200は表面がなめらかで摩擦係数が極めて低い材質的特性を有することが好ましい。
【0055】
ここで、微細粗面300は表面領域40に対応してメンブレン部200の内側面全部または少なくともいずれか一部に形成され得る。すなわち、一実施例に係る微細粗面300はメンブレン部200の外側面に形成されない。また、メンブレン部200の内周面には微細粗面300が形成された第1領域と微細粗面300が形成されていない第2領域が反復的に形成され得る。
【0056】
ここで、微細粗面300は無秩序に形成される複数の不規則性の陽刻突起によって形成され得る。また、微細粗面300は複数の不規則性の凹凸、複数の不規則性のエンボス、複数の不規則性の模様などによって形成され得る。すなわち、一実施例に係る微細粗面300は反復的であり、規則的な特性を有するいずれか一形態のパターン(pattern)により形成されるものを除く。
【0057】
一実施例に係る微細粗面300の表面粗さ(surface roughness)は数十~数百マイクロメートル(μm)大きさ以内の範囲を有することができる。一実施例に係る微細粗面300の表面粗さは30~300μm大きさ以内の範囲を有することが好ましい。その結果、本発明の一実施例に係る微細粗面300はメンブレン部200の内側面の粘着性を減少させることができる。
【0058】
このような微細粗面300はステントSが挿入器具に保管される時、メンブレン部200の内側面の間の面接触を減少させる。その結果、微細粗面300はボディ部100の内側空間に接触面積が増加して粘着性が増加することを効果的に遮断することができる。また、本発明の一実施例に係るステントSはメンブレン部200の粘着性の減少現象を通じてカテーテルなどにステントSが長時間保管された場合にも、本来の形状に効果的に復元され得る。
【0059】
以上では本発明の好ましい実施例を例示的に説明したが、本発明の範囲はこのような特定の実施例にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範疇内で適切に変更可能なものである。
【国際調査報告】