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特表2024-507268セルスタックタイプの電解槽の動作方法及び電解槽装置
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  • 特表-セルスタックタイプの電解槽の動作方法及び電解槽装置 図1
  • 特表-セルスタックタイプの電解槽の動作方法及び電解槽装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】セルスタックタイプの電解槽の動作方法及び電解槽装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 15/023 20210101AFI20240208BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20240208BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240208BHJP
   C25B 9/65 20210101ALI20240208BHJP
   C25B 9/70 20210101ALI20240208BHJP
【FI】
C25B15/023
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/65
C25B9/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550679
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022053866
(87)【国際公開番号】W WO2022179920
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】21158756.3
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516042103
【氏名又は名称】ヒタチ ゾウセン イノバ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドール, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘリング, アルフレッド
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BB03
4K021BC09
4K021CA01
4K021CA03
4K021CA05
4K021CA15
(57)【要約】
本発明は、セルスタックタイプの電解槽を動作させる方法に関し、セルスタックの少なくとも二つの異なるセルのそれぞれのセル電圧が測定され、前記少なくとも二つのセルが自動化を可能にするように固定配線され、 少なくとも二つの異なるセルの測定のために割り当てられた配線からの信号は、特に自動スイッチングによって、共通の配線経路セグメントを介して相互に時間シフトして伝達される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルスタックタイプの電解槽を動作させる方法であって、前記セルスタックの少なくとも二つの異なるセルのそれぞれのセル電圧が測定され、
前記少なくとも二つのセルが、自動測定を可能にするように固定配線されていること、及び、前記少なくとも二つの異なるセルの測定のために割り当てられた前記配線からの信号が、特に自動スイッチングによって、共通の配線経路セグメントを介して互いに時間シフトして伝達されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記スイッチングが、機械的スイッチングである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スイッチングが、マルチプレクスすることによる電子スイッチングである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記配線が、前記電解槽の複数の、特にすべての電極に接続される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記スイッチングが第1の場所で実行され、前記測定結果の取得が、離れた、特に前記第1の場所よりも前記電解槽からより離れた第2の場所で実行される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
全てのセル電圧の測定が、規則的又は選択可能な間隔で繰り返し実行され、測定結果がモニターされ、特に記憶され、特に分析モジュールに送信される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
セルスタックタイプの電解槽(10)及びセルスタックの少なくとも二つの異なるセルのセル電圧を測定する測定デバイス(40)を備える電解槽装置(100)であって、
前記測定デバイスとの接続のためにセルの電極(4)を接続する配線(20、34)と、
特に異なるセルの測定のために割り当てられた測定信号を、共通の配線経路セグメント(34)を介して互いに時間シフトする方法で伝達する自動スイッチ(30)と、
を特徴とする、電解槽装置。
【請求項8】
前記配線は、複数の、特に全ての電極、特に二つの隣接するセルフレーム(3)のそれぞれの間に配置されたバイポーラプレートに、接続される、請求項7に記載の電解槽配置。
【請求項9】
前記スイッチ(30)が、機械式スイッチ、特にロータリースイッチである、請求項7又は8に記載の電解槽装置。
【請求項10】
前記スイッチ(30)が電子マルチプレクサである、請求項7又は8に記載の電解槽装置。
【請求項11】
前記スイッチが、第1の場所でカプセル化(38)された周囲部(37)内に配置される、請求項7から10のいずれかに記載の電解槽装置。
【請求項12】
前記カプセル化された周囲部(37)と前記電解槽との間の前記配線が保護される、請求項11に記載の電解槽装置。
【請求項13】
前記共通の配線経路セグメントの少なくとも一部(34b)が保護される、請求項11又は12に記載の電解槽装置。
【請求項14】
前記共通の配線経路セグメントが前記測定デバイス(40)の入力に接続される、請求項7から13のいずれかに記載の電解槽装置。
【請求項15】
前記測定デバイスが、特に前記第1の場所よりも前記電解槽からより離れた第2の場所に配置され、特にプログラマブルロジックコントローラによって形成される、請求項7から14のいずれかに記載の電解槽装置。
【請求項16】
前記配線が、前記電解槽のエンドプレート(1)から前記測定デバイスへの前記スイッチをバイパスする電気的な接続線を含み、前記接続線が、好ましくは少なくとも部分的に保護され、好ましくは前記カプセル化された周囲部(37)を横切る、請求項7から15のいずれかに記載の電解槽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルスタックの少なくとも二つの異なるセルのそれぞれのセル電圧が測定されるセルスタックタイプの電解槽を動作させる方法、並びにそのような電解槽及びセル電圧測定デバイスを有する電解槽装置に関する。
【0002】
セルスタックタイプのこのような電解槽は周知であり、例えば独国特許出願公開第10 2014 010 813号明細書に開示されている。さらに、このような電解槽の性能はセルの劣化が起きた場合に低下する可能性があり、セル電圧の降下で認識できることが知られている。
【0003】
このため、およそ1ヶ月に1回又は2ヶ月ごとに、電解槽のセル電圧が測定される。
【0004】
本発明は、セル電圧を測定するための測定デバイスを有する電解槽装置の改良を目的とする。
【0005】
この目的は、最初に紹介した方法を更に発展させた方法に関する本発明により解決され、これは本質的に、少なくとも二つのセルが自動測定を可能にするように固定配線されること、少なくとも二つの異なるセルの測定のために割り当てられた配線からの信号が、特に自動スイッチングによって、共通の配線経路セグメントを介して互いに時間シフトして伝達されることを特徴とする。
【0006】
これにより、セル電圧を測定するためのより信頼性が高くより容易に実行可能なアプローチを提供することができ、電解槽の長期性能が向上する。
【0007】
セルとその電極がそれぞれ固定配線されているため、オペレータが携帯型測定デバイスで直接電極にアクセスする必要なく、セル電圧測定が可能になる。むしろ、この配線は、離れた場所からのセル電圧の測定を可能にする。さらに、共通の配線経路セグメントを有することによって、測定デバイスに必要なアナログ入力の数がより少なくなり、配線の手間が省かれ、測定デバイスのより簡単な構成が可能となる。
【0008】
好ましい実施形態では、電解槽は水を電気分解して水素を生成する。セル電圧の測定は、このような動作中に実行できる。
【0009】
一般に、スイッチの切替えは手動で行うことができる。しかしながら、スイッチングは、予め設定されたシーケンスに従って行われることも想定される。このようなシーケンスは、例えばエンドプレートに最も近い電極から開始し、例えばカソード側のエンドプレートが例えば接地され、その後、一方のエンドプレートから他方のエンドプレートまで配置の順に従って電極をたどってもよい。
【0010】
好ましい実施形態では、電解槽のセルの数は、30より大きく、好ましくは50より大きく、特に60より大きい。しかしながら、80個以上、100個以上、又は120個以上のセルを有するさらに大きな電解槽を使用することも想定される。128個以上、150個以上、さらには192個以上のセルを有するさらに大きな電解槽が想定される。
【0011】
可能な実施形態では、スイッチングは、例えばロータリースイッチによる、機械的スイッチングである。しかしながら、特に大型の電解槽の場合、またはその他の場合には、マルチプレクスによる電子スイッチングが好ましい。そして、100セル以上の配線間を切り替えて、それらの信号を同じ共通経路セグメント上に送信することも想定される。
【0012】
一つの電極から共通の配線経路セグメントに測定信号を送信してから、別の電極から共通の配線経路セグメントに測定信号を送信するまでのスイッチング時間は、30分未満が好ましく、10分未満がより好ましく、5分未満が特に好ましい。また、より短いスイッチング時間、例えば1分以下、40秒以下、さらには20秒以下を用いることができる。
【0013】
さらなる実施形態では、配線は、電解槽の複数の、特にすべての電極に接続される。さらに好ましい実施形態では、一つのスイッチ及び一つのみの共通の配線経路セグメントが使用される。しかしながら、代替の実施形態では、二つの共通の配線経路セグメントのために二つのスイッチが、又は複数のそれらがあってもよい。例えば、電解槽の電極は、二つ、三つ、四つ、又はそれ以上のグループに割り当てることができ、各グループに一つのスイッチ及び一つの共通の配線経路が存在する。これは、プログラマブルロジックコントローラのフレームワークで提供できる測定デバイスのアナログ入力の数を、さらに減少させる。これは、複数のデバイスの提供に対する多重化の複雑さを低減させる可能性がある。例えば、グループは、64個以下のセル、32個以下のセル、又は16個以下のセルを含むことができる。
【0014】
好ましい実施形態では、スイッチングは第1の場所で実行され、測定結果の取得は、離れた、特に第1の場所よりも電解槽からより離れた第2の場所で実行される。これにより、電解槽の電極とスイッチとの間の配線の総配線長をさらに短くできる可能性がある。
【0015】
高さ軸が電解槽のステープル軸である円筒座標系において、スイッチの高さ位置は、各エンドプレートの高さ位置よりも電解槽の中心の高さ位置に近いことが好ましい。さらに、高さ軸からの半径方向距離は、セルステープルの有効直径(円形構成の場合には真の直径に、そうでない場合にはステープル軸に直交する投影におけるステープルの面積の4/π倍の平方根に対応する有効直径)の2倍よりも、特に1倍よりも小さいことが好ましい。好ましくは、配線のための各単一ケーブルは、5m以下、特に3m以下の長さを有する。
【0016】
可能な実施形態では、電圧測定自体は、スイッチの近くで実行することができ、スイッチと共に同じハウジング内に収容することもできるが、好ましい実施形態では、別々のユニットが異なる位置に設けられる。さらに、電圧測定の場所の距離は、スイッチングの場所よりも電解槽から離れているのが好ましい。
【0017】
好ましい実施形態では、すべてのセル電圧の測定は、特に規則的な間隔又は選択可能な間隔で繰り返し実行され、測定結果がモニターされ、特に記憶され、特に分析モジュールに送信される。これは、セルの状態の信頼できる監視を実現する。さらに、実際のセル電圧だけでなく、閾値と組み合わせたそれらの1次導関数及び場合によっては2次導関数も考慮する外挿手段により、一つ又は複数のセルがいつメンテナンスに供されるべきか、又は例えば有害なセルをブリッジングするなどの他の手段がいつ取られるべきかについて、予測をすることができる。
【0018】
全てのセルのセル電圧測定は、少なくとも2ヶ月に1回、好ましくは少なくとも1ヶ月に1回、より好ましくは少なくとも2週間に1回行うことが好ましい。しかしながら、さらにより好ましいのは、少なくとも週に1回、少なくとも3日に1回、少なくとも1日に1回の測定シーケンスである。操作が容易であるため、このシステムは、測定シーケンスを少なくとも12時間に1回、少なくとも8時間に1回、さらには少なくとも4時間に1回にすることで、セルに悪影響を及ぼす特異な事象の診断としても使用することができる。また、セルを通る一つのシーケンスが2時間未満の遅延で前のものに続く、連続的な監視も想定される。
【0019】
さらに、本発明は、セルスタックタイプの電解槽と、セルスタックの少なくとも二つの異なるセルのセル電圧を測定する測定デバイスとを備える電解槽装置を提供し、これは本質的に、セルの電極を測定デバイスと接続する配線であって電極に固定的に接続される配線と、異なるセルの測定のために割り当てられた測定信号を共通の配線経路セグメントを介して互いに時間シフトする方法で伝達する自動スイッチと、によって特徴付けられる。電解槽は、金属電極で接続された一定数の絶縁ポリマーセルによって、構築することができる。
【0020】
この装置の利点は、前述した本方法の利点から、認識することができる。好ましい実施形態では、電極は、二つの隣接するセルフレームのそれぞれの間に配置されたバイポーラプレートによって形成される。即ち、例えば独国特許出願公開第102014010813号明細書に開示されている電解槽構造を使用することができる。しかしながら、本発明は、そのような種類の電解槽に限定されず、上記文献独国特許出願公開第102014010813号明細書は電解槽セルの一般的な構造/機能及び配置に関して(すなわち、単一要素の詳細に関係なく)参照として組み込まれ、またステープルタイプの他の種類の電解槽も、この電解槽装置の電解槽を形成することができる。
【0021】
既に述べたように、スイッチは、好ましくは電子マルチプレクサであり、電解槽のセルの割り当てられたサブグループごとに一つずつ、複数のマルチプレクサを使用することも想定される。
【0022】
好ましい実施形態では、スイッチは、カプセル化された周囲部に配置される。特に、防爆ハウジングが設けられ、このハウジング内にスイッチング用の電子機器が収容されている。好ましい実施形態では、ATEX2014/34/EUに準ずる防爆性は、爆発グループIICをカバーしている。さらに、少なくともゾーン2、場合によってはゾーン1、又はゾーン0に適合することが好ましい。ハウジングは、認可機関によって認証されることができ、最初の状態において認可されたことを示し、ハウジングの変更によって不可逆的に変化した状態を想定できる要素を含むことができる。
【0023】
これにより、電解槽の近くで電解槽のための外側ハウジング内に配置された場合でも、感知用電子機器が保護される。
【0024】
さらに好ましい実施形態では、カプセル化された周囲部と電解槽との間の配線が保護される。前記保護は、好ましくは二重絶縁及び/又は短絡防止ケーブルによって提供され、好ましくは、NSGFOUケーブルの保護レベルに劣らない保護レベルを有する。ケーブルは、VDE0250-602に準拠した難燃性絶縁体を有する場合がある。スイッチングの出力からの配線、特に共通の配線経路セグメントは、少なくとも部分的に保護されてもよく、好ましくは上記のように完全に保護されてもよいことが理解される。
【0025】
電圧測定自体は、スイッチングとは異なる場所(第2の場所)に設けることができ、プログラマブルロジックコントローラのフレームワークで実施することができる。このPLCは、電解槽の全体制御装置又は電解槽だけでなく、電解槽に接続された整流器とこの整流器を電解槽に接続する接続システムとを備える拡張システムに組み込むことができる。さらなる好ましい実施形態では、電解槽は(外側)ハウジング内に収容され、好ましくはマルチプレクサも前記ハウジング内に収容され、例えばPLCのフレームワーク内での電圧測定は、前記ハウジングの外側にある。電解槽を収容する前記ハウジングには、上述の防爆特性が適用されうる。
【0026】
電圧測定のために、例えば電解槽のエンドプレートの基準電位を使用でき、これは特に接地された電解槽の陰極側エンドプレートであり、それぞれの配線を前記エンドプレートから電圧測定部まで存在させることができる。さらに好ましい実施形態では、セル電圧は、隣接セルに対して測定される。
【0027】
本発明のさらなる特徴、詳細、及び利点は、添付の図面を参照した例示的な実施形態の以下の説明から明らかなになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、一実施形態に係る電解槽装置の構成を示す
図2図2は、図1の構成を部分的により詳細にした図である。
【0029】
図1の上部には、電解槽装置100の電解槽10が示されている。この電解槽10はステープル式であり、電解槽10の二つのエンドプレート1、2の間に延在するステープル軸に沿ってスタックされた、多数のn個のセルを備える。スタックにおいて、セルフレーム3は、セルフレーム3の外殻から少なくとも部分的に半径方向に延びる電極4と、交互に配置される。各電極4は、本実施形態ではバイポーラプレートによって形成されており、配線されている。電解槽10の構造および通常の動作は、当技術分野で周知であり、ここではさらに説明しない。特に独国特許出願公開第102014010813明細書に開示されているような、ステープルタイプの典型的な電解槽を参照されたい。
【0030】
図示の実施形態では、各電極4-i (i=1、...、n)は、ワイヤ24-iによってマルチプレクサ30のそれぞれのU入力に接続されている。マルチプレクサ30は、前記U入力からの信号が一度に一つだけ配線経路セグメント34を介して送信されるようにして、前記電極の電圧を、電解槽のエンドプレート(図2)の電圧、特に接地とすることができる基準値に対して、測定できるようにする。これにより、電解槽10の各セルのセル電圧を、順次に測定することができる。例えば、マルチプレクサ30は、電圧決定に十分な時間、例えば10秒毎に、一つのU入力から次のU入力へのスイッチングを行うことができる。
【0031】
セル電圧測定自体は、プログラマブルロジックコントロール(PLC)40内で行われる。電解槽10とPLC40との間に設定されたマルチプレクサ30により、PLC40は多数のアナログ入力を備える必要がない。例えば、64個のセルを有する電解槽10と64個のU入力をマルチプレクスするマルチプレクサの場合、これら64個のセル電圧に対して一つのアナログ入力だけが必要である。このシステムは、セル電圧をモニターする図示されていない(長期の)データロギングシステムをさらに備える。これにより、各セルのセル電圧は、より短い時間スケールで、特に、マルチプレクサ30のすべてのU入力を通してマルチプレクスするのに必要な時間スケールで連続的に、例えば64個のセル及び10秒のスイッチング時間の場合、例えば約10分ごとにモニターすることができる。しかし、このような緊密なメッシュにするかは任意であり、例えば毎時1回のチェック、数時間ごとに1回のチェック、又は1日1回のチェックなど、他の適切な間隔を選択することができる。
【0032】
図2では、一方で電子マルチプレクサの原理を示し他方でスイッチの機械的実装を示すために図2ではロータリースイッチとして示されているマルチプレクサ30が、防爆ハウジング38内に配置されていることが、さらに示されている。これにより、電解槽10に問題が生じた場合に、マルチプレクサ30/スイッチは、電解槽の問題に起因する爆発のリスクから保護される。この目的のために、ハウジング38によってカプセル化されたマルチプレクサ30の周囲部37への、及びそこからの配線も保護され、図示の実施形態では、短絡防止ケーブル、例えばNSGAFOUケーブルが使用される。
【0033】
従って、電解槽10、配線20、及びハウジング38を含むマルチプレクサ30を備える電解槽装置の少なくとも一部を、爆発の危険エリア(EXエリア、EX IIC)に配置することができる。
【0034】
PLC40を用いた本実施形態では、電圧測定自体は、周囲部37内と同じ場所で行うことができ、同じハウジング38によってカプセル化することもできる。
【0035】
しかし、さらに好ましい実施形態では、図2に示すように、電圧測定、ここではPLC40は、ハウジング38から離れた別の場所、特にハウジング38よりも電解槽から遠い場所で行われる。
【0036】
また、PLC40に至る共通の配線経路セグメント34の一部34bも、例えばNSGAFOUケーブルによって提供することができる。
【0037】
さらに、図2には、スイッチ30の出力端子からPLC40に至る接続線36bが示されており、他方側36aは電解槽10のエンドプレート、例えば接地された陰極側エンドプレートに接続されている。
【0038】
接続線36は、図2に示す実施形態では、ハウジング38内の周囲部37を通り抜けている。しかし、接続線36は、ハウジング38をバイパスしてPLC40に直接入力することもできる。
【0039】
図2では、電解槽10の電極とマルチプレクサ30の入力端子との接続のための幾つかの配線24-iのみが示されている。しかしながら、マルチプレクサ30が一つだけ設けられている図示の実施形態では、すべての電極がマルチプレクサ30の一つの入力端子にそれぞれ接続されていることを理解されたい。
【0040】
しかしながら、図示されていないさらなる実施形態では、二つ以上のマルチプレクサを設けることもでき、このマルチプレクサは、特に、64個を超える、又は128個を超えるセルを有する電解槽に有用であり得る。その場合、電圧測定用により多くのアナログ入力をPLCに提供することができる。さもなければ、図1の実施形態に示されるようにPLCのアナログ入力の数を最小限に抑えたい場合、電解槽10の電極に接続された一つ以上のマルチプレクサに、さらなる直列のマルチプレクスを前記二つ以上のマルチプレクサの出力に適用することができる。
【0041】
本発明は、例示的な実施形態に示された詳細に、限定されない。むしろ、上記の説明の特徴及び後続の特許請求の範囲の特徴は、それに沿って、又は組み合わせて、本発明に必須であり得る。
図1
図2
【国際調査報告】