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特表2024-507272改善された性能を有するイソシアネートアミンベースの接着系アンカー及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】改善された性能を有するイソシアネートアミンベースの接着系アンカー及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/32 20060101AFI20240208BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240208BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20240208BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20240208BHJP
   C04B 26/16 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C08G18/32 025
C08K3/36
C08L75/04
C08G18/08 038
C04B26/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551082
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2022055588
(87)【国際公開番号】W WO2022194573
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】21162918.3
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100,9494 Schaan,Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン プレンク
(72)【発明者】
【氏名】メメット-エミン クムル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ビュルゲル
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4J002CK051
4J002DJ006
4J002FD010
4J002FD016
4J002FD337
4J002GL00
4J034BA02
4J034CA14
4J034CA15
4J034CA16
4J034CA17
4J034CB02
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB05
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC61
4J034CC65
4J034CC67
4J034CD05
4J034CD08
4J034CD09
4J034CD13
4J034HA01
4J034HA07
4J034HB05
4J034HB07
4J034HB08
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC34
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034MA04
4J034QA03
4J034QB13
4J034QB14
4J034RA10
(57)【要約】
本発明は、建設要素を化学的に留め付けるためのイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物を生成するための多成分樹脂系に関する。本発明はまた、多成分樹脂系から生成されるイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物を含む。本発明はまた、鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるための方法、及び鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるためのイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多成分樹脂系であって、2以上の平均NCO官能価を有する少なくとも1つの脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネートを含むイソシアネート成分と、イソシアネート基に反応性であり、2以上の平均NH官能価を有する少なくとも1つのアミンを含むアミン成分と、を含有し、前記多成分樹脂系が、ポリアスパラギン酸エステルを含まないことを条件とし、前記イソシアネート成分及び/又は前記アミン成分が、少なくとも1つの充填剤及び少なくとも1つのレオロジー添加剤を含み、前記イソシアネート成分と前記アミン成分とを混合することによって生成されるモルタル組成物の総充填レベルが、30~80重量%の範囲であり、
前記イソシアネート成分及び/又は前記アミン成分は、加えて、モレキュラーシーブを含有する、
ことを特徴とする多成分樹脂系。
【請求項2】
前記モレキュラーシーブがゼオライトである、ことを特徴とする請求項1に記載の多成分樹脂系。
【請求項3】
前記ゼオライトが、
ゼオライトA(Na12((AlO12(SiO12)・27 HO、K12((AlO12(SiO12)・27 HO)、
ゼオライトX(Na86[(AlO86(SiO106]・264 HO)、
ゼオライトY(Na56[(AlO56(SiO136]・250 HO)、
ゼオライトL(K[(AlO(SiO27]・22 HO)、
モルデナイト(Na8.7[(AlO8.7(SiO39.3]・24 HO)、
ゼオライトZSM 5(Na0.33.8[(AlO4.1(SiO91.9])及び
ゼオライトZSM 11(Na0.11.7[(AlO1.8(SiO94.2])
からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項2に記載の多成分樹脂系。
【請求項4】
前記モレキュラーシーブが、粉末、粒状物、又はペーストとして存在する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項5】
前記モレキュラーシーブが、前記多成分樹脂系の総重量に基づいて、0.1~60重量%の量で含有される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項6】
前記イソシアネート成分及び前記アミン成分の両方が、前記少なくとも1つの充填剤及び前記少なくとも1つのレオロジー添加剤を含む、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項7】
前記イソシアネート成分の充填レベル及び前記アミン成分の充填レベルが、前記イソシアネート成分及び前記アミン成分それぞれの総重量に基づいて、各場合に10~70重量%である、ことを特徴とする請求項6に記載の多成分樹脂系。
【請求項8】
前記ポリイソシアネート及び前記アミンが、前記アミンの前記平均NH官能価に対する前記ポリイソシアネートの前記平均NCO官能価の比が0.3~2.0である量比で存在する、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項9】
前記イソシアネート成分が、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-及び/又は2,6-トルイレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレンメタン-2,4’-及び/又は-4,4’-ジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、ビス-及びトリス-(イソシアナトアルキル)-ベンゼン、トルエン、並びにキシレン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートを含む、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項10】
前記イソシアネート成分が、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルHDI(TMDI)、ペンタンジイソシアネート(PDI)2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート(MPDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチル-シクロヘキシルイソシアネート(IMCI)、並びに4,4’-ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートを含む、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項11】
前記総充填レベルが、前記多成分樹脂系の総重量に基づいて、35~65重量%の範囲である、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項12】
イソシアネート基に反応性である前記アミンが、4,4’-メチレン-ビス[N-(1-メチルプロピル)フェニルアミン]、6-メチル-2,4-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミンと2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミンとの異性体混合物、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(N-sec-ブチルシクロヘキサンアミン)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、及び2,4,6-トリメチル-m-フェニレンジアミン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項13】
前記多成分樹脂系が、二成分樹脂系である、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の多成分樹脂系の前記イソシアネート成分と前記アミン成分とを混合することによって生成されるモルタル組成物。
【請求項15】
掘削孔内の建設要素を化学的に留め付けるための方法であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の多成分樹脂系又は請求項14に記載のモルタル組成物が、前記化学的に留め付けのために使用される、方法。
【請求項16】
化学アンカーの引き抜き値を増加させるために、化学的に留め付けるためのイソシアネートアミン付加物ベースの多成分樹脂系における、モレキュラーシーブの使用。
【請求項17】
鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるための請求項1~13のいずれか一項に記載の多成分樹脂系又は請求項14に記載のモルタル組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設要素を化学的に留め付ける(接着系アンカー)ためのイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物を生成するための多成分樹脂系に関する。本発明はまた、多成分樹脂系から生成されるイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物を含む。本発明はまた、鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるための方法、及び鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるためのイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
メタクリレート樹脂などのラジカル硬化化合物ベース又はアミン硬化剤と反応させたエポキシ樹脂ベースの結合剤系は、通常、掘削孔内にアンカーロッド、鉄筋、及びネジなどの建設要素を化学的に留め付けさせるためのモルタル組成物を生成するために使用される。これらの結合剤系ベースの多くの市販の製品が存在する。
【0003】
しかしながら、既知の結合剤系は、特に高温、清浄されていない掘削孔、湿っているか又は水で満たされた掘削孔、ダイヤモンド穿孔された掘削孔、ひびの入ったコンクリートの掘削孔などの厳しい外部条件下では、不十分な特性を有する。
【0004】
そのため、既存の結合剤系の開発及び改善に加えて、上述されたもの以外の結合剤系を、化学的留め付け(接着系アンカー)のためのモルタル組成物のベースとしてのそれらの適合性に関して調査する努力もなされている。例えば、特許文献1には、ポリイソシアネート成分及びポリアスパラギン酸エステル成分を含む多成分組成物から生成される接着系アンカーが記載されている。2つの成分が混合されると、重付加反応でポリ尿素が形成され、これがモルタル組成物の結合剤を形成する。
【0005】
これらのモルタル組成物は、使用されるポリアスパラギン酸エステルが不十分な架橋をもたらし、かつ80℃の温度ですでに高度に軟化するようになり、したがって高温ではうまく機能しないという点において不利である。加えて、硬化した試験片は、ベース安定性ではない。
【0006】
これらの欠点を克服するために、特許文献2に説明されているように、ポリアスパラギン酸エステルの代わりに2以上の平均NH官能価を有するアミンを使用する多成分樹脂系が、特許文献1から開発された。
【0007】
しかしながら、この系は、化学的留め付けにおけるいくつかの目的及び用途に必要とされる高負荷をまだ提供していない。
【0008】
したがって、特許文献2から既知である系と比較して、より優れた性能を発揮する、すなわち、高い引き抜き値及び負荷値を有するイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物もまた必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3447078号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第20164633.8号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、改善された引き抜き強度、すなわち、より高い引き抜き値を提供し、したがって高負荷での留め付けに好適である、イソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、請求項1に記載の多成分樹脂系によって達成される。本発明による多成分樹脂系の好ましい態様は、従属請求項に提示されており、これらは、任意選択的に互いと組み合わされ得る。
【0012】
本発明はまた、建設要素の化学的留め付けのための、かつ本発明による多成分樹脂系から生成される、請求項14に記載のモルタル組成物に関する。
【0013】
本発明はまた、鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるための請求項15に記載の方法、接着系アンカーの引き抜き値を増加させるために、化学的に留め付けるための請求項16に記載のイソシアネートアミン付加物ベースの多成分樹脂系におけるモレキュラーシーブの使用、及び鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるための本発明による多成分樹脂系又は請求項17に記載のそれから生成されるモルタル組成物の使用に関する。
【0014】
本発明は、第一に、多成分樹脂系であって、2以上の平均NCO官能価を有する少なくとも1つの脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネートを含むイソシアネート成分と、イソシアネート基に反応性であり、2以上の平均NH官能価を有する少なくとも1つのアミンを含むアミン成分と、を含有し、多成分樹脂系が、ポリアスパラギン酸エステルを含まないことを条件とし、イソシアネート成分及び/又はアミン成分が、少なくとも1つの充填剤及び少なくとも1つのレオロジー添加剤を含み、イソシアネート成分とアミン成分とを混合することによって生成されるモルタル組成物の総充填レベルが、30~80%の範囲であり、イソシアネート成分及びアミン成分が、モレキュラーシーブを含有することを特徴とする、多成分樹脂系に関する。
【0015】
化学的留め付けのためのモルタル組成物に使用されるイソシアネートアミンベースの結合剤系におけるポリアスパラギン酸エステルの存在は、硬化したモルタル組成物の耐熱性に悪影響を与えることがわかっている。特に、対応する系は、80℃などの高温での結合応力が大幅に減少する。
【0016】
多成分樹脂系、特に多成分樹脂系のアミン成分が、ポリアスパラギン酸エステルを含まないことも不可欠である。本出願に係る発明における「ポリアスパラギン酸エステルを含まない」という表現は、多成分樹脂系におけるポリアスパラギン酸エステルの割合が、多成分樹脂系の総重量に基づいて、各場合に好ましくは2重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、更により好ましくは0.1重量%未満であることを意味する。前述の重量パーセント範囲内のポリアスパラギン酸エステルの存在は、潜在的な不純物に起因し得る。しかしながら、多成分樹脂系におけるポリアスパラギン酸エステルの割合は、多成分樹脂系の総重量に基づいて、特に好ましくは0.0重量%である。
【0017】
本発明をよりよく理解するために、本明細書で使用される用語の以下の説明が有用であると考えられる。本発明の意味の範囲内に於いては:
【0018】
-「多成分樹脂系」は、互いとは別個に貯蔵された複数の成分、一般的には樹脂成分及び硬化剤成分を含み、その結果、全ての成分が混合された後にのみ硬化が起こる、反応樹脂系である。
【0019】
-「イソシアネート」は、官能性イソシアネート基-N=C=Oを有し、構造単位R-N=C=Oを特徴とする化合物である。
【0020】
-「ポリイソシアネート」は、少なくとも2つの官能性イソシアネート基-N=C=Oを有する化合物である。ポリイソシアネートの定義によっても網羅されるジイソシアネートは、例えば、構造O=C=N-R-N=C=Oを特徴とし、したがって、2のNCO官能価を有する。
【0021】
-「平均NCO官能価」は、化合物のイソシアネート基の数を表す。イソシアネートの混合物の場合、「平均NCO官能価」は、混合物中のイソシアネート基の平均数を表し、式に従って計算される:平均NCO官能価(混合物)=Σ平均NCO官能価(イソシアネートi)/n、すなわち、個々の成分の平均NCO官能価の合計を個々の成分の数で割ったもの。
【0022】
-「イソシアネート成分」又は成分Aは、少なくとも1つのポリイソシアネート、並びに任意選択的に少なくとも1つの充填剤及び/又は少なくとも1つのレオロジー添加剤及び/又は更なる添加剤を含む、多成分樹脂系の成分である。
【0023】
-「アミン」は、官能性NH基を有し、1個又は2個の水素原子を炭化水素基で置き換えることによってアンモニアから誘導され、一般構造RNH(一級アミン)及びRNH(二級アミン)を有する、化合物である(A.D.McNaught and A.Wilkinson,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1997)によって編集されたIUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd ed.(the”Gold Book”)を参照されたい)。ポリアスパラギン酸エステルの化合物クラスは、本発明の文脈においてアミンという用語から明示的に除外される。これらは、ポリアスパラギン酸エステルという用語の下で別個に定義される。
【0024】
-「NH官能価」は、アミノ基中のイソシアネート基と反応することができる活性水素原子の数を表す。
【0025】
-「平均NH官能価」は、アミン中のイソシアネート基と反応することができ、化合物、すなわちアミン中に含有されるアミノ基の数及びNH官能価から生じる活性水素原子の数を表す。アミンの混合物の場合、「平均NH官能価」は、混合物中の活性水素原子の平均数を表し、式に従って計算される:平均NH官能価(混合物)=Σ平均NH官能価(アミンi)/n、すなわち、個々の成分の平均NH官能価の合計を個々の成分の数で割ったもの。
【0026】
-「ポリアスパラギン酸エステル」という用語は、以下の一般式の化合物を指し、
【化1】
式中、
及びRは、同じであり得るか又は異なり得、イソシアネート基に対して不活性である有機基を表し、
Xは、イソシアネート基に対して不活性であるn価の有機基を表し、
nは、少なくとも2、好ましくは2~6、より好ましくは2~4、特に好ましくは2の整数を表す。
【0027】
-「アミン成分」又は成分Bは、少なくとも1つのアミン、並びに任意選択的に少なくとも1つの充填剤及び/又は少なくとも1つのレオロジー添加剤及び/又は更なる添加剤を含む、多成分樹脂系の成分である。
【0028】
-「イソシアネートアミン付加物」は、イソシアネートのアミンとの重付加反応によって形成されるポリマーである。本発明によるイソシアネートアミン付加物は、好ましくは、-[-NH-R-NH--NH-R’-NH-]という形態の少なくとも1つの構造要素を含む、ポリ尿素である。
【0029】
-「脂肪族化合物」は、芳香族化合物を除く、非環式又は環式の飽和又は不飽和炭素化合物である。
【0030】
-「脂環式化合物」は、ベンゼン誘導体又は他の芳香族系を除く、炭素環構造を有する化合物である。
【0031】
-「芳香脂肪族化合物」は、官能化された芳香脂肪族化合物の場合、存在する官能基が化合物の芳香族部分ではなく脂肪族に結合しているような芳香族主鎖を有する脂肪族化合物である。
【0032】
-「芳香族化合物」は、ヒュッケル則(4n+2)に従う化合物である。
【0033】
-「二成分反応樹脂系」は、2つの別個に貯蔵された成分、この場合はイソシアネート成分及びアミン成分を含み、その結果、2つの成分が混合された後にのみ硬化が起こる、反応樹脂系を意味する。
【0034】
-「モルタル組成物」という用語は、イソシアネート成分とアミン成分とを混合することによって得られ、かつ化学的に留め付けるのに直接使用することができるような組成物を指す。
【0035】
-「充填剤」という用語は、有機又は無機、特に無機の化合物を指す。
【0036】
-「レオロジー添加剤」という用語は、貯蔵、塗布、及び/又は硬化中に、イソシアネート成分、アミン成分、及び多成分樹脂系の粘度挙動に影響を与えることができる添加剤を指す。レオロジー添加剤は、とりわけ、ポリイソシアネート成分及び/又はアミン成分における充填剤の沈降を防止する。これはまた、成分の混和性を改善し、かつ可能性のある相分離を防止する。
【0037】
-「耐熱性」という用語は、参照結合応力と比較した、高温での硬化したモルタル組成物の結合応力の変化を指す。本発明において、耐熱性は、特に、参照応力に対する80℃での結合応力の比として規定される。
【0038】
-例えば「充填剤」という単語の前など、あるクラスの化合物の前の項目としての「a」又は「an」は、このクラスの化合物に含まれる1つ以上の化合物、例えば様々な充填剤が意図され得る。
【0039】
-「少なくとも1つ」とは、数値的に「1つ以上」を意味する。好ましい態様では、この用語は数値的に「1つ」を意味する。
【0040】
-「含む(contain)」、及び「含む(comprise)」は、言及された構成成分に加えて、更なる構成成分が存在し得ることを意味する。これらの用語は包括的であることを意味し、したがって、「からなる」もまた含む。「からなる」は排他的に意味され、更なる構成成分が存在し得ないことを意味する。好ましい態様では、「含む(contain)」及び「含む(comprise)」という用語は、「からなる」という用語を意味する。
【0041】
このテキストに引用される全ての標準(例えば、DIN標準)は、本出願の提出日の時点で最新であるバージョンが使用された。
【0042】
イソシアネート化合物
本発明による多成分樹脂系は、少なくとも1つのイソシアネート成分及び少なくとも1つのアミン成分を含む。使用前に、イソシアネート成分及びアミン成分は、反応を阻害する様式で、互いとは別個に提供される。
【0043】
イソシアネート成分は、少なくとも1つのポリイソシアネートを含む。当業者に既知であり、個別に若しくは互いとの任意の混合物で2以上の平均NCO官能価を有する全ての脂肪族及び/又は芳香族イソシアネートを、ポリイソシアネートとして使用することができる。平均NCO官能価は、NCO基がポリイソシアネートにいくつ存在するのかを示す。ポリイソシアネートは、2つ以上のNCO基が化合物に含有されていることを意味する。
【0044】
好適な芳香族ポリイソシアネートは、ジイソシアナトベンゼン、トルエンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジイソシアナトナファタレン、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族結合イソシアネート基を有するものだけでなく、ビス-及びトリス-(イソシアナトアルキル)ベンゼン、トルエン、並びにキシレンなどのメチレン基などのアルキレン基を介して芳香族基に結合するイソシアネート基を有するものである。
【0045】
芳香族ポリイソシアネートの好ましい例は、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルイレンジイソシアネート、2,5-トルイレンジイソシアネート、2,6-トルイレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、テトラメチル-1,3-キシリレンジイソシアネート、テトラメチル-1,4-キシリレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、エチルフェニルジイソシアネート、2-ドデシル-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4,6-トリイソプロピル-m-フェニレンジイソシアネート、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、ジフェニレンメタン-2,4’-ジイソシアネート、ジフェニレンメタン-2,2’-ジイソシアネート、ジフェニレンメタン-4,4’-ジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、5-(p-イソシアナトベンジル)-2-メチル-m-フェニレンジイソシアネート、4,4-ジイソシアナト-3,3,5,5-テトラエチルジフェニルメタン、5,5’-ウレイレンジ-o-トリルジイソシアネート、4-[(5-イソシアナト-2-メチルフェニル)メチル]-m-フェニレンジイソシアネート、4-[(3-イソシアナト-4-メチルフェニル)メチル]-m-フェニレンジイソシアネート、2,2’-メチレン-ビス[6-(o-イソシアナトベンジル)フェニル]ジイソシアネートである。
【0046】
3~30個の炭素原子、好ましくは4~20個の炭素原子の炭素骨格を(NCO基を含有せずに)有する脂肪族イソシアネートが、好ましくは使用される。脂肪族ポリイソシアネートの例は、ビス(イソシアナトアルキル)エーテル又はアルカンジイソシアネート、例えばメタンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、ヘプタンジイソシアネート(例えば、2,2-ジメチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート(例えば、通常、2,4,4-及び2,2,4-異性体の混合物としてのトリメチルHDI(TMDI))、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート(MPDI)、ノナントリイソシアネート(例えば、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、5-メチルノナンジイソシアネート)、デカンジイソシアネート、デカントリイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、ドデカントリイソシアネート、1,3-及び1,4-ビス-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、ビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、ビス-(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)又は3(4)-イソシアナトメチル-1-メチル-シクロヘキシルイソシアネート(IMCI)、オクタジドロ-4,7-メタノ-1H-インデンジメチルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、5-イソシアナト-1-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、ウレイレン-ビス(p-フェニレンメチレン-p-フェニレン)ジイソシアネートである。
【0047】
特に好ましいイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルHDI(TMDI)、ペンタンジイソシアネート(PDI)、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート(MPDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-及び1,4-ビス-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ビス-(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチル-シクロヘキシルイソシアネート(IMCI)、並びに/若しくは4,4’-ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、又はこれらのイソシアネートの混合物である。
【0048】
更により好ましくは、ポリイソシアネートは、プレポリマー、ビウレット、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、ウレトジオン及び/又はアロファネートとして存在し、これは、二官能性イソシアネートをオリゴマー化することによって、又はイソシアネート化合物をポリオール若しくはポリアミンと個別に又は混合物として反応させることによって生成することができ、かつ2以上の平均NCO官能価を有する。
【0049】
好適な市販のイソシアネートの例は、Desmodur(登録商標)N 3900、Desmodur(登録商標)N 100、Desmodur(登録商標)Ultra N 3200、Desmodur(登録商標)Ultra N 3300、Desmodur(登録商標)Ultra N 3600、Desmodur(登録商標)N 3800、Desmodur(登録商標)XP 2675、Desmodur(登録商標)2714、Desmodur(登録商標)2731、Desmodur(登録商標)N 3400、Desmodur(登録商標)XP 2679、Desmodur(登録商標)XP 2731、Desmodur(登録商標)XP 2489、Desmodur(登録商標)E 3370、Desmodur(登録商標)XP 2599、Desmodur(登録商標)XP 2617、Desmodur(登録商標)XP 2406、Desmodur(登録商標)XP 2551、Desmodur(登録商標)XP 2838、Desmodur(登録商標)XP 2840、Desmodur(登録商標)VL、Desmodur(登録商標)VL 50、Desmodur(登録商標)VL 51、Desmodur(登録商標)ultra N 3300、Desmodur(登録商標)eco N 7300、Desmodur(登録商標)E23、Desmodur(登録商標)E XP 2727、Desmodur(登録商標)E 30600、Desmodur(登録商標)E 2863 XPDesmodur(登録商標)H、Desmodur(登録商標)VKS 20 F、Desmodur(登録商標)44V20I、Desmodur(登録商標)44P01、Desmodur(登録商標)44V70 L、Desmodur(登録商標)N3400、Desmodur(登録商標)N3500(全てCovestro AGから入手可能)、Tolonate(商標)HDB、Tolonate(商標)HDB-LV、Tolonate(商標)HDT、Tolonate(商標)HDT-LV、Tolonate(商標)HDT-LV2(Vencorexから入手可能)、Basonat(登録商標)HB 100、Basonat(登録商標)HI 100、Basonat(登録商標)HI 2000 NG(BASFから入手可能)、Takenate(登録商標)500、Takenate(登録商標)600、Takenate(登録商標)D-132N(NS)、Stabio(登録商標)D-376N(全てMitsuiから入手可能)、Duranate(登録商標)24A-100、Duranate(登録商標)TPA-100、Duranate(登録商標)TPH-100(全てAsahi Kasaiから入手可能)、Coronate(登録商標)HXR、Coronate(登録商標)HXLV、Coronate(登録商標)HX、Coronate(登録商標)HK(全てTosohから入手可能)である。
【0050】
1つ以上のポリイソシアネートは、イソシアネート成分の総重量に基づいて、好ましくは20~100重量%の割合で、より好ましくは30~90重量%の割合で、更により好ましくは35~65重量%の割合でイソシアネート成分に含有される。
【0051】
アミン化合物
反応を阻害する様式で多成分樹脂系のイソシアネート成分とは別個に提供されるアミン成分は、イソシアネート基に反応性であり、アミノ基、好ましくは少なくとも2つのアミノ基を官能基として含む、少なくとも1つのアミンを含む。本発明によれば、アミンは、2以上の平均NH官能価を有する。平均NH官能価は、アミンの窒素原子に結合している水素原子の数を示す。したがって、例えば、一級モノアミンは、2の平均NH官能価を有し、一級ジアミンは、4の平均NH官能価を有し、3つの二級アミノ基を有するアミンは、3の平均NH官能価を有し、1つの一級アミノ基及び1つの二級アミノ基を有するジアミンは、3の平均NH官能価を有する。平均NH官能価はまた、アミン供給者によって提供される情報に基づく場合があり、実際に示されるNH官能価は、本明細書で理解されているような理論上の平均NH官能価とは異なる可能性がある。「平均」という表現は、それが化合物のNH官能価であり、化合物に含有されるアミノ基のNH官能価ではないことを意味する。アミノ基は、一級又は二級アミノ基であり得る。アミンは、一級若しくは二級アミノ基のいずれかのみ、又は一級及び二級アミノ基の両方を含有することができる。
【0052】
本発明の好ましい態様によれば、イソシアネート基に反応性であるアミンは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、及び芳香族アミンからなる群から、特に好ましくは、脂環式及び芳香族アミンからなる群から選択される。
【0053】
イソシアネート基に反応性であるアミンは、原則的に当業者に既知である。イソシアネート基に反応性である好適なアミンの例を、本発明の範囲を制限することなく以下に示す。これらは、個別に又は互いとの任意の混合物でのいずれかで使用することができる。例は、1,2-ジアミノエタン(エチレンジアミン)、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(ネオペンタンジアミン)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、1,3-ジアミノペンタン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン及びそれらの混合物(TMD)、1,3-ビス(アミノメチル)-シクロヘキサン、1,2-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジアミン(HMD)、1,2-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン(1,2-DACH及び1,4-DACH)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ジエチレントリアミン(DETA)、4-アザヘプタン-1,7-ジアミン、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキスンデカン(trioxundecane)、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン、1,5-ジアミノ-メチル-3-アザペンタン、1,10-ジアミノ-4,7-ジオキサデカン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、1,13-ジアミノ-4,7,10-トリオキサトリデカン、4-アミノメチル-1,8-ジアミノオクタン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ジアミノペンタン、N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、1,3-ベンゼンジメタンアミン(m-キシリレンジアミン、mXDA)、1,4-ベンゼンジメタンアミン(p-キシリレンジアミン、pXDA)、5-(アミノメチル)ビシクロ[[2.2.1]ヘプト-2-イル]メチルアミン(NBDA、ノルボルナンジアミン)、ジメチルジプロピレントリアミン、ジメチルアミノプロピルアミノプロピルアミン(DMAPAPA)、2,4-ジアミノ-3,5-ジメチルチオ-トルエン(ジメチルチオ-トルエンジアミンDMTDA)、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン(IPDA))、ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33ダプソン)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44ダプソン)、混合多環式アミン(MPCA)(例えばAncamine 2168)、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン(Laromin C260)、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、(3(4),8(9)ビス(アミノメチルジシクロ[5.2.1.02,6]デカン(異性体の混合物、三環式一級アミン、TCDジアミン)、メチルシクロヘキシルジアミン(MCDA)、N,N’-ジアミノプロピル-2-メチル-シクロヘキサン-1,3-ジアミン、N,N’-ジアミノプロピル-4-メチル-シクロヘキサン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)シクロヘキシルアミン、並びに2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)プロパン-1,3-ジアミンである。
【0054】
特に好ましいアミンは、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)、2,4-ジアミノ-3,5-ジメチルチオトルエン(ジメチルチオ-トルエンジアミン、DMTDA)、4,4’-メチレン-ビス[N-(1-メチルプロピル)フェニルアミン]、6-メチル-2,4-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミン及び2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミンの異性体混合物(Ethacure(登録商標)300)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(N-sec-ブチルシクロヘキサンアミン)(Clearlink(登録商標)1000)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33ダプソン)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44ダプソン)、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン及び2,4,6-トリメチル-m-フェニレンジアミン、4,4’-メチレンビス(N-(1-メチルプロピル)-3,3’-ジメチルシクロヘキサンアミン(Clearlink(登録商標)3000)、2-プロペンニトリルの3-アミノ-1,5,5-トリメチルシクロヘキサンメタンアミン(Jefflink(登録商標)745)との反応混合物、並びに3-((3-(((2-シアノエチル)アミノ)メチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル)アミノ)プロピオノニトリル(Jefflink(登録商標)136又はBaxxodur(登録商標)PC136)である。
【0055】
最も特に好ましいアミンは、4,4’-メチレン-ビス[N-(1-メチルプロピル)フェニルアミン]、6-メチル-2,4-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミン及び2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミン(Ethacure(登録商標)300)の異性体混合物、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(N-sec-ブチルシクロヘキサンアミン)(Clearlink(登録商標)1000)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33ダプソン)、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、及び2,4,6-トリメチル-m-フェニレンジアミンである。
【0056】
1つ以上のアミンは、アミン成分の総重量に基づいて、好ましくは20~100重量%の割合で、より好ましくは30~70重量%の割合で、更により好ましくは35~70重量%の割合でアミン成分に含有される。
【0057】
多成分樹脂系のポリイソシアネートとアミンとの量比は、好ましくは、アミンの平均NH官能価に対するポリイソシアネートの平均NCO官能価の比が0.3~2.0、好ましくは0.5~1.8、より好ましくは0.5~1.5、更により好ましくは0.7~1.5、最も好ましくは0.7~1.3であるように選択される。
【0058】
異なるポリイソシアネート及び/又は異なるアミンの混合物を使用して、硬化速度を調整することができる。この場合、それらの量比は、アミン混合物の平均NH官能価に対するイソシアネート混合物の平均NCO官能価の比が、0.3~2.0、好ましくは0.5~1.8、より好ましくは0.5~1.5、更により好ましくは0.7~1.5、最も好ましくは0.7~1.3であるように選択される。
【0059】
充填剤及び添加剤
本発明によれば、多成分樹脂系は、多成分樹脂系の性能(引き抜き値)を増加させるために、モレキュラーシーブ、特にゼオライトを充填剤として含有する。
【0060】
本発明で使用されるゼオライトは、合成又は天然ゼオライトであり得、一般的には組成Mn+ x/n[(AlO (SiO]・zHOによって特徴付けられ、式中、Nは、Mの電荷であり、通常1又は2であり、Mは、アルカリ又はアルカリ土類金属のカチオン、特にNa、K、Ca2+、及びMg2+である。
【0061】
以下をゼオライトとして使用することができる:
ゼオライトA(Na12((AlO12(SiO12)・27 HO、K12((AlO12(SiO12)・27 HO)、
ゼオライトX(Na86[(AlO86(SiO106]・264 HO)、
ゼオライトY(Na56[(AlO56(SiO136]・250 HO)、
ゼオライトL(K[(AlO(SiO27]・22 HO)、
モルデナイト(Na8.7[(AlO8.7(SiO39.3]・24 HO)、
ゼオライトZSM 5(Na0.33.8[(AlO4.1(SiO91.9])、
ゼオライトZSM 11(Na0.11.7[(AlO1.8(SiO94.2])。これらのうち、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトY、並びにゼオライトZSM 5及びゼオライトZSM 11が好ましい。
【0062】
モレキュラーシーブ、特にゼオライトは、粉末、粒状物、又はペースト(例えば、ひまし油中に分散した48~50%の粉末)として使用することができる。
【0063】
合成ゼオライトは、好ましくは、最大250μm、特に5μm~24μmの粒子径を有する粒子を含む合成ゼオライトである。合成ゼオライトは、特に好ましくは、約5Å~約10Å、特に約3Å~約4Åの細孔径を有する。
【0064】
ゼオライト粒子の比表面積(BET)は、好ましくは、800m/g~1000m/gである。
【0065】
ゼオライトの残留水含量は、2.5%w/w未満、好ましくは1.5%w/w未満であり、吸水容量は、22~24%w/w未満である。
【0066】
2つ以上の異なるタイプのゼオライトの混合物を使用することが可能である。
【0067】
モレキュラーシーブ、特にゼオライトは、多成分樹脂系の総重量に基づいて、好ましくは0.1~60重量%の量で、特に好ましくは1~35重量%の量で、非常に特に好ましくは2~5重量%の量で使用される。
【0068】
モレキュラーシーブを使用することによって、硬化したイソシアネート-アミンベースの化学アンカーマスの性能(負荷レベル)は、モレキュラーシーブを含有しないアンカーマスと比較して、5~10%増加させることができた。
【0069】
モレキュラーシーブは、多成分樹脂系の2つの成分のうちの1つ、又は両方の成分に含有され得る。
【0070】
モレキュラーシーブはまた、イソシアネート成分のための乾燥剤として働くことができ、したがって、イソシアネート成分の貯蔵安定性、及びしたがってイソシアネート成分を含む多成分樹脂系の貯蔵安定性を改善することができる。
【0071】
モレキュラーシーブが乾燥剤として使用される場合、イソシアネート成分は、モレキュラーシーブ又は少なくともその一部を含有し、モレキュラーシーブがイソシアネート成分中に含有される最小量は、イソシアネート成分の重量に基づいて、3重量%である。特に、貯蔵安定性の追加の増加が望まれる場合、モレキュラーシーブは、イソシアネート成分の重量に基づいて、各場合に3重量%~35重量%、好ましくは3重量%~20重量%、及び特に好ましくは3重量%~5重量%の量でイソシアネート成分中に含有される。
【0072】
モレキュラーシーブに加えて、本発明によるイソシアネート成分及び/又はアミン成分は、少なくとも1つの充填剤及び少なくとも1つのレオロジー添加剤を含有し、2つの成分のうちの少なくとも1つが充填剤及びレオロジー添加剤の両方を含有することが、本発明にとって不可欠である。イソシアネート成分及びアミン成分の両方が、各々、少なくとも1つの充填剤及び少なくとも1つのレオロジー添加剤を含有することが好ましい。
【0073】
多成分樹脂系のイソシアネート成分とアミン成分とを混合することによって生成される、モレキュラーシーブを含むモルタル組成物の総充填レベルは、本発明によれば、モルタル組成物の総重量に基づいて30~80重量%の範囲内であり、好ましくは35~65重量%の範囲で、より好ましくは35~60重量%の範囲内である。モルタル組成物の総充填レベルは、イソシアネート成分及びアミン成分の総重量に基づく、モレキュラーシーブを含む充填剤、及びレオロジー添加剤の重量パーセントに関連している。好ましい態様では、イソシアネート成分の充填レベルは、イソシアネート成分の総重量に基づいて、最大80重量%、好ましくは10~70重量%、より好ましくは35~65重量%である。アミン成分の充填レベルは、アミン成分の総重量に基づいて、各場合に好ましくは最大80重量%、より好ましくは10~70重量%、更により好ましくは35~65重量%である。
【0074】
無機充填剤、特に、ポルトランドセメント又はアルミン酸セメントなどのセメント、並びに他の水硬性無機物質、石英、ガラス、コランダム、磁器、陶器、重晶石、ライトスパー(light spar)、石膏、タルク、及び/又はチョーク、並びにそれらの混合物が、好ましくは充填剤として使用される。無機充填剤は、砂、粉末、又は成形体の形態、好ましくは繊維又はボールの形態で添加することができる。タイプ及び粒子径分布/(繊維)長さに関する充填剤の好適な選択を使用して、レオロジー挙動、押出力、内部強度、引張強度、引き抜き力、及び衝撃強度など、用途に関連する特性を制御することができる。特に好適な充填剤は、Millisil(登録商標)W3、Millisil(登録商標)W6、Millisil(登録商標)W8、及びMillisil(登録商標)W12、好ましくはMillisil(登録商標)W12などの、表面処理されていない石英粉末、微細石英粉末、及び超微細石英粉末である。シラン化石英粉末、微細石英粉末、及び超微細石英粉末も使用することができる。これらは、例えば、Quarzwerke製のSilbond(登録商標)製品シリーズで市販されている。製品シリーズSilbond(登録商標)EST(エポキシシラン修飾)及びSilbond(登録商標)AST(アミノシラン処理)が特に好ましい。更に、Denka(Japan)製のASFPタイプ(d50=0.3μm)、又はタイプ指定45(d50<0.44μm)、07(d50>8.4μm)、05(d50<5.5μm)、及び03(d50<4.1μm)を有するDAW若しくはDAMなどのグレードの酸化アルミニウム超微細充填剤などの酸化アルミニウムベースの充填剤が可能である。更に、Hoffman Mineral製のAktisil AMタイプ(アミノシラン処理、d50=2.2μm)及びAktisil EM(エポキシシラン処理、d50=2.2μm)の表面処理された微細及び超微細充填剤を使用することができる。充填剤は、個別に又は互いとの任意の混合物で使用することができる。
【0075】
流動特性は、本発明によれば、イソシアネート成分及び/又はアミン成分に使用されるレオロジー添加剤を添加することによって調整される。好適なレオロジー添加剤は、ラポナイト、ベントン、若しくはモンモリロナイトなどのフィロシリケート、ノイブルク珪質土、ヒュームドシリカ、多糖類;ポリアクリレート、ポリウレタン、又はポリ尿素増粘剤、及びセルロースエステルである。最適化のために、湿潤剤及び分散剤、表面添加剤、消泡剤及び脱気剤、ワックス添加剤、接着促進剤、粘度低下剤、又は加工添加剤もまた、添加することができる。
【0076】
イソシアネート成分中の1つ以上のレオロジー添加剤の割合は、イソシアネート成分の総重量に基づいて、好ましくは0.1~3重量%、より好ましくは0.1~1.5重量%である。アミン成分中の1つ以上のレオロジー添加剤の割合は、アミン成分の総重量に基づいて、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.5~3重量%である。
【0077】
多成分樹脂系の一態様では、イソシアネート成分及び/又はアミン成分は、接着促進剤として少なくとも1つのシランを含有する。
【0078】
シランを使用することによって、掘削孔壁のモルタル組成物との架橋が改善され、それによって、硬化状態での接着が増加する。
【0079】
好適な接着促進剤は、少なくとも1つのSi結合加水分解性基を有するシランの群から選択される。シランは、イソシアネート基又はアミノ基などのSi結合加水分解性基に加えて、更なる官能基を含む必要はない。それにもかかわらず、シランは、Si結合加水分解性基に加えて、1つ以上の同一又は異なる更なる官能基、例えば、アミノ、メルカプト、エポキシ、イソシアナト、アルケニル、(メタ)アクリロイル、アンヒドリド、又はビニル基を含み得る。Si結合加水分解性基は、好ましくは、C~Cアルコキシ基であり、非常に特に好ましくは、メトキシ又はエトキシ基である。
【0080】
好適なシランは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン及び3-アミノプロピルトリエトキシシランなどの、3-アミノプロピルトリアルコキシシラン;3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどの、3-グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン;グリシジルオキシメチルトリメトキシシラン;3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン;ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン及びビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミンなどの、ビス-(3-トリアルコキシシリルプロピル)アミン;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどの、3-メルカプトプロピルトリアルコキシシラン;3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどの、3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシラン;3-(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、及び3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン;ビニルアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランなどの、アルケニルアルコキシシラン;テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、及びテトラプロポキシシランなどの、テトラアルコキシシラン;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチル-ジエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル-トリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される。
【0081】
特に好適なシランは、3-アミノプロピルトリアルコキシシラン、3-グリシジルオキシアルキルトリアルコキシシラン、ビス-(3-トリアルコキシシリルプロピル)アミン、3-メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシラン、アルケニルアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される。
【0082】
最も特に好適なシランは、3-グリシドキシプロピルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、及びビニルトリメトキシシランである。
【0083】
シランは、多成分樹脂系の総重量に基づいて、最大10重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは1.0~2.5重量%の量で多成分樹脂系に含有され得る。シランは、完全に1つの成分、すなわち、イソシアネート成分若しくはアミン成分に含有され得るか、又は2つの成分の間で分割され得る、すなわち、イソシアネート成分とアミン成分との間で分割され得る。
【0084】
本発明はまた、多成分樹脂系のイソシアネート成分とアミン成分とを混合することによって生成されるモルタル組成物に関する。
【0085】
多成分樹脂系は、好ましくは、イソシアネート成分及びアミン成分が反応を阻害する様式で別個に配置される、2つ以上の別個のチャンバを備えることを特徴とする、カートリッジ又はフィルムパウチ内に存在する。
【0086】
多成分樹脂系の意図される使用のために、イソシアネート成分及びアミン成分は、別個のチャンバから排出され、好適なデバイス、例えば、スタティックミキサ又は溶解器で混合される。次いで、イソシアネート成分とアミン成分との混合物(モルタル組成物)は、既知の注入デバイスの手段によって、任意選択的に事前に清浄された掘削孔内に導入される。次いで、留め付けられる留め付け要素をモルタル組成物内に挿入し、位置合わせする。イソシアネート成分の反応性構成成分は、重付加によってアミン成分のアミノ基と反応し、それによって、モルタル組成物は所望の期間内、好ましくは数分又は数時間以内に、環境条件下で硬化する。
【0087】
本発明によるモルタル組成物又は本発明による多成分樹脂系は、好ましくは建設目的に使用される。「建設目的」という表現は、コンクリート/コンクリート、鋼/コンクリート、若しくは鋼/鋼、又は当該材料のうちの1つと他の鉱物材料とを構造的に接着させること、コンクリート、レンガ、及び他の鉱物材料で作製された構成要素を構造的に強化すること、繊維強化ポリマーを用いて建築物を強化する用途、コンクリート、鋼、又は他の鉱物材料で作製された表面を化学的に留め付けること、特に、(強化)コンクリート、レンガ、他の鉱物材料、金属(例えば、鋼)、セラミック、プラスチック、ガラス、及び木材などの様々な基材の掘削孔内に建設要素及び留め付け手段、例えばアンカーロッド、アンカーボルト、(ネジ山付き)ロッド、(ネジ山付き)スリーブ、鉄筋、ネジなどを化学的に留め付けることを指す。最も特に好ましくは、本発明によるモルタル組成物及び本発明による多成分樹脂系は、留め付け手段を化学的に留め付けるために使用される。
【0088】
本発明はまた、掘削孔内に建設要素を化学的に留め付けるための方法、建設要素を化学的に留め付けるために上記のように使用されている本発明によるモルタル組成物又は本発明による多成分樹脂系に関する。本発明による方法は、コンクリート/コンクリート、鋼/コンクリート、若しくは鋼/鋼、又は当該材料のうちの1つと他の鉱物材料とを構造的に接着させること、コンクリート、レンガ、及び他の鉱物材料で作製された構成要素を構造的に強化すること、繊維強化ポリマーを用いて建築物を強化する用途、コンクリート、鋼、又は他の鉱物材料で作製された表面を化学的に留め付けること、特に、(強化)コンクリート、レンガ、他の鉱物材料、金属(例えば鋼)、セラミック、プラスチック、ガラス、及び木材などの様々な基材の掘削孔内に建設要素及び留め付け手段、例えばアンカーロッド、アンカーボルト、(ネジ山付き)ロッド、(ネジ山付き)スリーブ、鉄筋、ネジなどを化学的に留め付けることに、特に好適である。本発明による方法は、非常に特に好ましくは、留め付け手段の化学的に留め付けるために使用される。
【0089】
本発明はまた、鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるための本発明による多成分樹脂系又はモルタル組成物の使用に関する。
【0090】
本発明はまた、本発明の掘削孔による多成分樹脂系から生成される接着アンカーの引き抜き強度を改善するための、本発明による多成分樹脂系又は本発明によるモルタル組成物の使用に関する。これには、特に、よく清浄された掘削孔における引き抜き強度の増加が含まれ、よく清浄されたとは、掘削孔が圧縮空気を繰り返し吹き付けられ、次いで掘削孔壁に付着している掘削粉じん及び繰粉を取るためにブラシで払われ、次いで圧縮空気を再び繰り返し吹き付けられることを意味する。
【0091】
本発明はまた、引き抜き値を増加させるための、化学的に留め付けるための多成分樹脂系におけるモレキュラーシーブの使用に関する。
【0092】
本発明は、実施例に基づいて以下により詳細に説明されるが、この実施例は、限定的な意味で理解されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0093】
以下の化合物を使用して、比較組成物及び本発明による組成物を調製した。
【表1】
【0094】
イソシアネート成分及びアミン成分の比較組成物及び本発明による組成物を、以下の表1に示す。
【表2】
【0095】
比較モルタルマス1を生成するために、イソシアネート成分及びアミン成分を、各々最初に個別に生成した。この目的のために、表1に示す構成成分を組み合わせ、スピードミキサー(Hauschild製のDAC-600)内で、1500rpmで30秒間混合した。次いで、イソシアネート成分及びアミン成分を互いに組み合わせ、スピードミキサー内で、1500rpmで30秒間混合した。このようにして得られたモルタル組成物を単一成分硬質カートリッジに充填し、押し出しデバイスを使用して掘削孔に注入した。
【0096】
比較モルタル組成物2及び本発明によるモルタル組成物を生成するために、イソシアネート成分及びアミン成分を各々最初に個別に生成した。この目的のために、表1に示す構成成分を組み合わせ、溶解機(PC Laborsystem GmbH、8分、3500rpm)内で、真空下(80mbar)で均質化して、気泡を含まないペースト状組成物を形成した。次いで、イソシアネート成分及びアミン成分を互いに組み合わせ、スピードミキサー内で、1500rpmで30秒間混合した。このようにして得られたモルタル組成物を各々硬質カートリッジに充填し、押し出しデバイスを使用して掘削孔に注入した。
【0097】
モルタル組成物で達成した結合応力を決定するために、高強度のネジ山付きアンカーロッドM12を使用し、これを、C20/25コンクリートスラブにおいて、本発明によるニ成分モルタル組成物を用いて、14mmの直径及び60mmの掘削孔深さを有するハンマードリルされた掘削孔の中にダボ接合した。基準接着応力を決定するために、23℃の温度で24時間の硬化時間の後、破壊負荷を、ネジ山付きアンカーロッドをしっかりと支えて中央に引き抜くことによって決定した。平均破壊負荷を、5つのアンカーの結果から決定した。
【0098】
上記のモルタル配合を使用して得られた結合応力を、表1に列挙する。
【0099】
3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを含まない配合物(比較例1、実施例1)及び3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを含む配合物(比較例2、実施例2)の両方は、2%のゼオライト粉末を添加することによって約10%の接着応力における改善を示す。
【国際調査報告】