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特表2024-507273改善された性能を有するイソシアネートアミンベースの接着系アンカー及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】改善された性能を有するイソシアネートアミンベースの接着系アンカー及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/32 20060101AFI20240208BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20240208BHJP
   C04B 26/16 20060101ALI20240208BHJP
   C04B 24/42 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C08G18/32 025
C08G18/28 090
C04B26/16
C04B24/42 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551084
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2022055589
(87)【国際公開番号】W WO2022194574
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】21162925.8
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100,9494 Schaan,Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】メメット-エミン クムル
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン プレンク
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ビュルゲル
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA02
4J034CA13
4J034CA14
4J034CA15
4J034CA16
4J034CA17
4J034CB02
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB05
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC05
4J034CC12
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034CD15
4J034CD16
4J034HA01
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB05
4J034HB07
4J034HB08
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC34
4J034HC35
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034MA04
4J034QB13
4J034QB14
4J034QB17
4J034RA10
(57)【要約】
本発明は、建設要素を化学的に留め付けるためのイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物を生成するための多成分樹脂系に関する。本発明はまた、多成分樹脂系から生成されるイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物を含む。本発明はまた、鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるための方法、及び鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるためのイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多成分樹脂系であって、
-2以上の平均NCO官能価を有する少なくとも1つの脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネートを含むイソシアネート成分と、
-イソシアネート基に反応性であり、2以上の平均NH官能価を有する少なくとも1つのアミンを含むアミン成分と、を含有し、
前記多成分樹脂系は、ポリアスパラギン酸エステルを含まないことを条件とし、前記イソシアネート成分及び/又は前記アミン成分は、少なくとも1つの充填剤及び少なくとも1つのレオロジー添加剤を含み、前記イソシアネート成分と前記アミン成分とを混合することによって生成されたモルタル組成物の総充填レベルは、30~80重量%の範囲であり、
前記イソシアネート成分及び/又は前記アミン成分が、少なくとも1つの添加剤を含有することを特徴とし、前記添加剤は、
-式Iの化合物
(L)(X) (式I)、
(式中、
Aは、リン、ホウ素、アルミニウム、チタン、若しくはジルコニウムであり、
Xは、同じであっても若しくは異なっていてもよく、アルコキシ基、アリールオキシ基、若しくはアシルオキシ基であり、
Lは、同じであっても若しくは異なっていてもよく、少なくとも1つのリガンドであり、
nは、Aの原子価であり、
pは、1~nの整数であり、
mは、0若しくは1~n-1の整数であり、
n=m+pである)、
又は
-イソシアネートへの付加反応が可能であるが、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有しない、少なくとも1つの官能基を有するシロキサン
である多成分樹脂系。
【請求項2】
前記式Iの化合物において、Xが、アルコキシ基-OR又はアシルオキシ基-O(C=O)Rであることを特徴とし、式中、Rは、各場合に、1~24個の炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖又は分岐のアルキル基である、請求項1に記載の多成分樹脂系。
【請求項3】
Xが、-O-CH、-OC、-OC、-OC、-OC11、-O-(CO)-CH、-O-(CO)-C、-O-(CO)-C、-O-(CO)-C、及び-O-(CO)-C11からなる群から選択される基である、ことを特徴とする請求項2に記載の多成分樹脂系。
【請求項4】
Xが、-O-CH、-OC、-OC、及び-OCからなる群から選択される基である、ことを特徴とする請求項3に記載の多成分樹脂系。
【請求項5】
前記式Iの化合物において、Xが同じである、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項6】
前記式Iの化合物において、前記リガンドLが、アセトアセテート、ホスフェート、ホスファイト、サルフェート、サルファイト、CO、CN、シクロペンチル、及びペンタメチルシクロペンチルからなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項7】
前記式Iの化合物が、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリエチルボレート、トリエチルアルミネート、トリイソプロピルボレート、トリブチルボレート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラエチルジルコネート、及びテトラブチルジルコネートからなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項8】
前記式Iの化合物が、前記多成分樹脂系の総重量に基づいて、0.001~10重量%の量で存在する、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項9】
前記シロキサンにおいて、イソシアネート基との付加反応が可能な前記官能基が、末端基である、ことを特徴とする請求項1に記載の多成分樹脂系。
【請求項10】
前記官能基が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、二級アミノ基、メルカプト基、イソシアナト基、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基、アンヒドリド基、及びエポキシ基からなる群から、好ましくはエポキシ基及びアミノ基からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項9に記載の多成分樹脂系。
【請求項11】
前記シロキサンが、構造
Si-[O-Si(R-O-SiRを有することを特徴とし、
式中、
nは、0又は1以上1000以下の整数であり、
R及びRは、互いに独立して、各場合に、任意選択的にヘテロ原子を含み、かつ任意選択的にイソシアネート基との付加反応が可能な少なくとも1つの基を含む、C~C20-アルキル基又はアラルキル基である、請求項1、9、又は10のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項12】
前記シロキサンが、イソシアネート基との付加反応が可能な2つ以上の同一又は異なる、好ましくは2つの同一の末端官能基を含む、ことを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項13】
前記シロキサンが、1,3-ビス(2-アミノエチルアミノエチル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、トリス(グリシドキシプロピルジメチルシロキシ)フェニルシラン、3-メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ポリ(アクリルオキシプロピルメチル)シロキサン、1,3-ビス[(アクリルオキシプロピルメチル)シロキサン、1,3-ビス(3-メタクリルオキシプロピル)テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3-ビス(3-メタクリルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ポリ[ジメチルシロキサン-co-(3-(モノメタクリルオキシ)プロピル)メチルシロキサン]、1,3-ビス(4-メタクリルオキシブチル)テトラメチルジシロキサン、(メタクリルオキシプロピル)メチルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、ドデカメチルペンタシロキサン、1,1,1,3,5,7,7,7-オクタメチル-3,5-ビス(トリメチルシラニルオキシ)テトラシロキサン、トリメチルシリル末端ポリ(メチルヒドロ-シロキサン)、ビス(ヒドロキシアルキル)末端ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ジメチルシロキサン-co-(2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル)メチルシロキサン]、ジグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ジメチルシロキサン-co-[3-(2-(3-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピル]メチルシロキサン、及びモノグリシジルエーテル末端ポリ(ジ-メチルシロキサン)からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1又は9~12のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項14】
前記シロキサンの割合が、前記多成分樹脂系の総重量に基づいて、0.5~20重量%である、ことを特徴とする請求項1又は9~13のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項15】
前記イソシアネート成分及び前記アミン成分の両方が、少なくとも1つの充填剤及び少なくとも1つのレオロジー添加剤を含む、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項16】
前記イソシアネート成分の充填レベル及び前記アミン成分の充填レベルが、各場合に前記イソシアネート成分及び前記アミン成分それぞれの総重量に基づいて、10~70重量%である、ことを特徴とする請求項15に記載の多成分樹脂系。
【請求項17】
前記イソシアネート成分及び前記アミン成分が、NCO基の、前記NCO基に対して反応性であるアミン基に対する当量比が0.3~2.0である量比で存在する、ことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項18】
前記イソシアネート成分が、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-及び/又は2,6-トルイレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレンメタン-2,4’-及び/又は-4,4’-ジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、ビス-及びトリス-(イソシアナトアルキル)-ベンゼン、トルエン、並びにキシレン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートを含む、ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項19】
前記イソシアネート成分が、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルHDI(TMDI)、ペンタンジイソシアネート(PDI)2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート(MPDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチル-シクロヘキシルイソシアネート(IMCI)、並びに4,4’-ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートを含む、ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項20】
前記総充填レベルが、前記多成分樹脂系の総重量に基づいて、35~65重量%の範囲である、ことを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項21】
イソシアネート基に反応性である前記アミンが、4,4’-メチレン-ビス[N-(1-メチルプロピル)フェニルアミン]、6-メチル-2,4-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミンと2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミンとの異性体混合物(Ethacure 300)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(N-sec-ブチルシクロヘキサンアミン)(Clearlink 1000)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(ダプソン)、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン及び2,4,6-トリメチル-m-フェニレンジアミン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1~20のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項22】
二成分樹脂系である、ことを特徴とする請求項1~21のいずれか一項に記載の多成分樹脂系。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の多成分樹脂系の前記イソシアネート成分と前記アミン成分とを混合することによって生成される、モルタル組成物。
【請求項24】
掘削孔内に建設要素を化学的に留め付けるための方法であって、請求項23に記載のモルタル組成物又は請求項1~22のいずれか一項に記載の多成分樹脂系が、前記化学的留め付けのために使用される、方法。
【請求項25】
化学アンカーの引き抜き値を改善するための、請求項23に記載のモルタル組成物又は請求項1~22のいずれか一項に記載の多成分樹脂系の使用。
【請求項26】
清浄化された掘削孔における引き抜き強度を改善するための、請求項25に記載の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設要素を化学的に留め付ける(接着系アンカー)ためのイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物を生成するための多成分樹脂系に関する。本発明はまた、多成分樹脂系から生成されるイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物を含む。本発明はまた、鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるための方法、及び鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるためのイソシアネートアミン付加物ベースのモルタル組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ネジ山付きアンカーロッド、鉄筋、ネジ山付きスリーブ、及びネジなどの構成要素を、コンクリート、天然石、又はプラスターなどの鉱物基材に堅く留め付けるために、最初に留め付けられる構成要素を受け入れるための掘削孔が適切な寸法で鉱物基材に掘削される。次いで、掘削ダストが掘削孔から除去され、二成分モルタル組成物が、樹脂成分を硬化剤成分と混合した後、掘削孔に導入される。次いで、留め付けられる構成要素が、モルタル組成物で充填された掘削孔に挿入され、調整される。樹脂成分と硬化剤成分との反応によってモルタル組成物が硬化した後、構成要素は鉱物基材中にしっかりと保持される。
【0003】
このようにして留め付けられた構成要素の耐荷重挙動は、通常、内部の変動要素及び外部の変動要素として分類されるいくつかの影響を与える変動要素に依存する。影響を与える内部の変動要素には、モルタル組成物の化学組成、その生成プロセス、及び典型的には2つの別個の容器内に存在する成分を含むモルタル組成物の包装が含まれる。
【0004】
影響を与える外部の変動要素には、ボアホールの清浄のタイプ、例えばコンクリートなどの鉱物基材の品質、その湿気及び温度、並びにボアホールの生成のタイプが含まれる。
【0005】
また、硬化したモルタル組成物の機械的特性は、掘削孔清浄の質及び鉱物基材中の水分によって著しく影響を与えられることも知られている。湿り気のある掘削孔及び/又は掘削ダストの清浄が不十分な掘削孔では、性能が大幅に低下し、硬化したモルタル組成物の荷重値の低減に反映される。
【0006】
そのため、既存の結合剤系の開発及び改善に加えて、上述されたもの以外の結合剤系を、化学的留め付けのためのモルタル組成物のベースとしてのそれらの適合性に関して調査する努力もなされている。例えば、特許文献1は、ポリイソシアネート成分及びポリアスパラギン酸エステル成分を含む多成分組成物から生成される化学アンカーについて記載している。2つの成分が混合されると、重付加反応でポリ尿素が形成され、これがモルタル組成物の結合剤を形成する。
【0007】
特許文献2は、アンカー留め付け手段のモルタル固着のために使用され、穴又は間隙内の1つ以上のエポキシ系硬化性反応性樹脂ベースの留め付けモルタル系であって、この系が、1つ以上のシランを含有し、これらのシランが、任意選択的に、エポキシ系反応性樹脂との重合に関与することができる反応性基、及びいずれの場合もケイ素結合加水分解性基を有する、留め付けモルタル系に関する。ハロゲン基、ケトキシメート基、アミノ基、アミノキシ基、メルカプト基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、及び特にアルキルオキシ基が、1つ以上のシラン中のケイ素結合加水分解性基として使用される。
【0008】
特許文献3は、アンカー留め付け手段のモルタル固着に使用される付加重合によって硬化可能である合成モルタル系のための硬化剤組成物であって、分子当たり平均して少なくとも1つの有機基を有するオリゴマーシロキサンを含有する、硬化剤組成物に関する。有機基は、イソシアネート基又はエポキシ基との付加反応において反応性である1つ以上の二級及び/若しくは一級アミノ基並びに/又はチオール基を有する。シロキサンはまた、1つ以上の加水分解性ケイ素結合基を有する。硬化剤組成物はまた、1つ以上の更なる従来の添加剤を含有することができる。
【0009】
先行技術から知られているこれらのモルタル組成物は、湿潤掘削孔における荷重値の改善を既に示しているが、乾燥掘削孔においてはほとんど示していない。しかしながら、先行技術で使用されるシラン及びシロキサン添加剤の生成は、複雑かつ高価である。更に、加水分解性基、特にケイ素結合基を有するモノマーシランは、使用中の加水分解において大量の揮発性有機化合物(volatile organic compounds、VOC)、例えばアルコールを放出し、生成が難しく高価であるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3447078号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/113533号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102015109125号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、先行技術に関連して、加工が容易であり、かつ生成が単純で安価である添加剤を含有する乾燥掘削孔、特によく清浄化された掘削孔において良好な接着性を有する二成分モルタル組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、請求項1に記載の多成分樹脂系を提供することによって達成される。本発明による多成分樹脂系の好ましい実施形態は、従属請求項に提供されており、これらは、任意選択的に互いと組み合わされ得る。
【0013】
本発明はまた、建設要素の化学的留め付けが意図されており、かつ本発明による多成分樹脂系から生成される、請求項23に記載のモルタル組成物に関する。
【0014】
本発明はまた、鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるための請求項24に記載の方法、及び鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるための請求項25に記載の本発明による多成分樹脂系又はそれから生成されるモルタル組成物の使用に関する。
【0015】
本発明は、第1に、多成分樹脂系であって、2以上の平均NCO官能価を有する少なくとも1つの脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネートを含むイソシアネート成分と、イソシアネート基に反応性であり、2以上の平均NH官能価を有する少なくとも1つのアミンを含むアミン成分と、を含有し、多成分樹脂系は、ポリアスパラギン酸エステルを含まないことを条件とし、イソシアネート成分及び/又はアミン成分は、少なくとも1つの充填剤及び少なくとも1つのレオロジー添加剤を含み、イソシアネート成分とアミン成分とを混合することによって生成されたモルタル組成物の総充填レベルは、30~80重量%の範囲であり、イソシアネート成分及び/又はアミン成分が、少なくとも1つの添加剤を含有することを特徴とし、添加剤は、
-式Iの化合物、
(L)(X) (式I)、
(式中、
Aは、リン、ホウ素、アルミニウム、チタン、若しくはジルコニウムであり、
Xは、同じであっても若しくは異なっていてもよく、アルコキシ基、アリールオキシ基、若しくはアシルオキシ基であり、
Lは、同じであっても若しくは異なっていてもよく、少なくとも1つのリガンドであり、
nは、Aの原子価であり、
pは、1~nの整数であり、
mは、0、若しくは1~n-1の整数であり、
n=m+pである)、
又は
- イソシアネートへの付加反応が可能であるが、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有しない、少なくとも1つの官能基を有するシロキサンである、多成分樹脂系に関する。
【0016】
驚くべきことに、イソシアネート-アミン系化学アンカーにおける添加剤としての式Iの有機金属化合物の使用又はシロキサンの使用は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシランと同様に、乾燥コンクリートにおける結合応力を増加させることが見出された。
【0017】
また、多成分樹脂系、特に多成分樹脂系のアミン成分が、ポリアスパラギン酸エステルを含まないことが、本発明に不可欠である。本出願の文脈における「ポリアスパラギン酸エステルを含まない」という表現は、多成分樹脂系におけるポリアスパラギン酸エステルの割合が、各場合に多成分樹脂系の総重量に基づいて、好ましくは2重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、更により好ましくは0.1重量%未満であることを意味する。前述の重量パーセント範囲内のポリアスパラギン酸エステルの存在は、潜在的な不純物に起因し得る。しかしながら、多成分樹脂系におけるポリアスパラギン酸エステルの割合は、多成分樹脂系の総重量に基づいて、特に好ましくは0.0重量%である。
【0018】
本発明をよりよく理解するために、本明細書で使用される用語の以下の説明が有用であると考えられる。本発明の意味の範囲内に於いては:
【0019】
-「多成分樹脂系」は、互いとは別個に貯蔵された複数の成分、一般的には樹脂成分及び硬化剤成分を含み、その結果、全ての成分が混合された後にのみ硬化が起こる、反応樹脂系である。
【0020】
-「イソシアネート」は、官能価イソシアネート基-N=C=Oを有し、構造単位R-N=C=Oを特徴とする化合物である。
【0021】
-「ポリイソシアネート」は、少なくとも2つの官能性イソシアネート基-N=C=Oを有する化合物であり、ポリイソシアネートの定義によっても網羅されるジイソシアネートは、例えば、構造O=C=N-R-N=C=Oを特徴とし、したがって、2のNCO官能価を有する。
【0022】
-「平均NCO官能価」は、化合物中のイソシアネート基の数を説明し、イソシアネートの混合物の場合、「平均NCO官能価」は、混合物中のイソシアネート基の平均数を説明し、式に従って計算される:平均NCO官能価(混合物)=Σ平均NCO官能価(イソシアネートi)/n、すなわち、個々の成分の平均NCO官能価の合計を個々の成分の数で割ったもの。
【0023】
-「イソシアネート成分」又は成分Aは、少なくとも1つのポリイソシアネート、並びに任意選択的に少なくとも1つの充填剤及び/又は少なくとも1つのレオロジー添加剤及び/又は更なる添加剤を含む、多成分樹脂系の成分を表す。
【0024】
-「アミン」は、官能性NH基を有し、1個又は2個の水素原子を炭化水素基で置き換えることによってアンモニアから誘導され、一般構造RNH(一級アミン)及びRNH(二級アミン)を有する、化合物である(A.D.McNaught and A.Wilkinson,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1997)によって編集されたIUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd ed.(the”Gold Book”)を参照されたい)。ポリアスパラギン酸エステルの化合物クラスは、本発明の文脈においてアミンという用語から明示的に除外される。これらは、ポリアスパラギン酸エステルという用語の下で別個に定義される。
【0025】
-「NH官能価」は、アミノ基中のイソシアネート基と反応することができる活性水素原子の数を表す。
【0026】
-「平均NH官能価」は、アミン中のイソシアネート基と反応することができ、化合物、すなわちアミン中に含有されるアミノ基の数及びNH官能価からもたらされる活性水素原子の数を表す。アミンの混合物の場合、「平均NH官能価」は、混合物中の活性水素原子の平均数を表し、次の式に従って計算される:平均NH官能価(混合物)=Σ平均NH官能価(アミンi)/n、すなわち、個々の成分の平均NH官能価の合計を個々の成分の数で割ったもの。
【0027】
-「ポリアスパラギン酸エステル」という用語は、以下の一般式の化合物を指し、
【化1】
式中、
及びRは、同じであっても又は異なっていてもよく、イソシアネート基に対して不活性である有機基を表し、
Xは、イソシアネート基に対して不活性であるn価の有機基を表し、
nは、少なくとも2、好ましくは2~6、より好ましくは2~4、特に好ましくは2の整数を表す。
【0028】
-「アミン成分」又は成分Bは、少なくとも1つのアミン、並びに任意選択的に少なくとも1つの充填剤及び/又は少なくとも1つのレオロジー添加剤及び/又は更なる添加剤を含む、多成分樹脂系の成分を表す。
【0029】
-「イソシアネートアミン付加物」は、イソシアネートのアミンとの重付加反応によって形成されるポリマーである。本発明によるイソシアネートアミン付加物は、好ましくは、-[-NH-R-NH--NH-R’-NH-]という形態の少なくとも1つの構造要素を含む、ポリ尿素である。
【0030】
-「脂肪族化合物」は、芳香族化合物を除く、非環式又は環式の飽和又は不飽和炭素化合物である。
【0031】
-「脂環式化合物」は、ベンゼン誘導体又は他の芳香族系を除く、炭素環構造を有する化合物である。
【0032】
-「芳香脂肪族化合物」は、官能化された芳香脂肪族化合物の場合、存在する官能基が化合物の芳香族部分ではなく脂肪族に結合しているような芳香族主鎖を有する脂肪族化合物である。
【0033】
-「芳香族化合物」は、ヒュッケル則(4n+2)に従う化合物である。
【0034】
-「二成分反応樹脂系」は、2つの別個に貯蔵された成分、この場合はイソシアネート成分及びアミン成分を含み、その結果、2つの成分が混合された後にのみ硬化が起こる、反応樹脂系を意味する。
【0035】
-「モルタル組成物」という用語は、イソシアネート成分とアミン成分とを混合することによって得られ、かつ化学的留め付けに直接使用することができるような組成物を指す。
【0036】
-「充填剤」という用語は、有機又は無機、特に無機の化合物を指す。
【0037】
-「レオロジー添加剤」という用語は、貯蔵、塗布、及び/又は硬化中に、イソシアネート成分、アミン成分、及び多成分樹脂系の粘度挙動に影響を与えることができる添加剤を指す。レオロジー添加剤は、とりわけ、ポリイソシアネート成分及び/又はアミン成分における充填剤の沈降を防止する。これはまた、成分の混和性を改善し、かつ可能性のある相分離を防止する。
【0038】
-「耐熱性」という用語は、参照結合応力と比較した、高温での硬化したモルタル組成物の結合応力の変化を指す。本発明の文脈において、耐熱性は、特に、参照応力に対する80℃での結合応力の比として規定される。
【0039】
-例えば「充填剤」という単語の前など、あるクラスの化合物の前の冠詞としての「a」又は「an」は、このクラスの化合物に含まれる1つ以上の化学化合物、例えば様々な「充填剤」が意図され得る。
【0040】
-「少なくとも1つ」とは、数値的に「1つ以上」を意味する。好ましい態様では、この用語は数値的に「1つ」を意味する。
【0041】
-「含有する(contain)」、「含む(comprise)」は、言及された構成成分に加えて、更なる構成成分が存在し得ることを意味する。これらの用語は包括的であることを意図しており、したがって、「からなる」もまた含む。「からなる」は排他的であることを意味しており、更なる構成成分が存在し得ないことを意味する。好ましい態様では、「含有する(contain)」及び「含む(comprise)」という用語は、「からなる」という用語を意味する。
【0042】
このテキストに引用される全ての標準(例えば、DIN標準)は、本出願の提出日の時点で最新であるバージョンが使用された。
【0043】
イソシアネート化合物
本発明による多成分樹脂系は、少なくとも1つのイソシアネート成分及び少なくとも1つのアミン成分を含む。使用前に、イソシアネート成分及びアミン成分は、反応を阻害する様式で、互いとは別個に提供される。
【0044】
イソシアネート成分は、少なくとも1つのポリイソシアネートを含む。当業者に既知であり、個別に若しくは互いとの任意の混合物で2以上の平均NCO官能価を有する全ての脂肪族及び/又は芳香族イソシアネートを、ポリイソシアネートとして使用することができる。平均NCO官能価は、NCO基がポリイソシアネートにいくつ存在するのかを示す。ポリイソシアネートは、2つ以上のNCO基が化合物に含有されていることを意味する。
【0045】
好適な芳香族ポリイソシアネートは、ジイソシアナトベンゼン、トルエンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジイソシアナトナファタレン(diisocyanatonaphathalenes)、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族結合イソシアネート基を有するものだけでなく、ビス-及びトリス-(イソシアナトアルキル)ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどのメチレン基などのアルキレン基を介して芳香族基に結合するイソシアネート基を有するものである。
【0046】
芳香族ポリイソシアネートの好ましい例は、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルイレンジイソシアネート、2,5-トルイレンジイソシアネート、2,6-トルイレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、テトラメチル-1,3-キシリレンジイソシアネート、テトラメチル-1,4-キシリレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、エチルフェニルジイソシアネート、2-ドデシル-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4,6-トリイソプロピル-m-フェニレンジイソシアネート、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、ジフェニレンメタン-2,4’-ジイソシアネート、ジフェニレンメタン-2,2’-ジイソシアネート、ジフェニレンメタン-4,4’-ジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、5-(p-イソシアナトベンジル)-2-メチル-m-フェニレンジイソシアネート、4,4-ジイソシアナト-3,3,5,5-テトラエチルジフェニルメタン、5,5’-ウレイレンジ-o-トリルジイソシアネート、4-[(5-イソシアナト-2-メチルフェニル)メチル]-m-フェニレンジイソシアネート、4-[(3-イソシアナト-4-メチルフェニル)メチル]-m-フェニレンジイソシアネート、2,2’-メチレン-ビス[6-(o-イソシアナトベンジル)フェニル]ジイソシアネートである。
【0047】
3~30個の炭素原子、好ましくは4~20個の炭素原子の炭素骨格を(NCO基を含有せずに)有する脂肪族イソシアネートが、好ましくは使用される。脂肪族ポリイソシアネートの例は、ビス(イソシアナトアルキル)エーテル又はアルカンジイソシアネート、例えばメタンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、ヘプタンジイソシアネート(例えば、2,2-ジメチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート(例えば、通常、2,4,4-及び2,2,4異性体の混合物としてのトリメチルHDI(TMDI))、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート(MPDI)、ノナントリイソシアネート(例えば、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、5-メチルノナンジイソシアネート)、デカンジイソシアネート、デカントリイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、ドデカントリイソシアネート、1,3-及び1,4-ビス-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、ビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、ビス-(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)又は3(4)-イソシアナトメチル-1-メチル-シクロヘキシルイソシアネート(IMCI)、オクタジドロ-4,7-メタノ-1H-インデンジメチルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、5-イソシアナト-1-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、ウレイレン-ビス(p-フェニレンメチレン-p-フェニレン)ジイソシアネートである。
【0048】
特に好ましいイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルHDI(TMDI)、ペンタンジイソシアネート(PDI)、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート(MPDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-及び1,4-ビス-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ビス-(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチル-シクロヘキシルイソシアネート(IMCI)、並びに/若しくは4,4’-ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、又はこれらのイソシアネートの混合物である。
【0049】
更により好ましくは、ポリイソシアネートは、プレポリマー、ビウレット、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、ウレトジオン及び/又はアロファネートとして存在し、これは、二官能性イソシアネートをオリゴマー化することによって、又はイソシアネート化合物をポリオール若しくはポリアミンと個別に又は混合物として反応させることによって生成することができ、かつ2以上の平均NCO官能価を有する。
【0050】
好適な市販のイソシアネートの例は、Desmodur(登録商標)N 3900、Desmodur(登録商標)N 100、Desmodur(登録商標)Ultra N 3200、Desmodur(登録商標)Ultra N 3300、Desmodur(登録商標)Ultra N 3600、Desmodur(登録商標)N 3800、Desmodur(登録商標)XP 2675、Desmodur(登録商標)2714、Desmodur(登録商標)2731、Desmodur(登録商標)N 3400、Desmodur(登録商標)XP 2679、Desmodur(登録商標)XP 2731、Desmodur(登録商標)XP 2489、Desmodur(登録商標)E 3370、Desmodur(登録商標)XP 2599、Desmodur(登録商標)XP 2617、Desmodur(登録商標)XP 2406、Desmodur(登録商標)XP 2551、Desmodur (登録商標)XP 2838、Desmodur(登録商標)XP 2840、Desmodur(登録商標)VL、Desmodur(登録商標)VL 50、Desmodur(登録商標)VL 51、Desmodur(登録商標)ultra N 3300、Desmodur(登録商標)eco N 7300、Desmodur(登録商標)E23、Desmodur(登録商標)E XP 2727、Desmodur(登録商標)E 30600、Desmodur(登録商標)E 2863 XPDesmodur(登録商標)H、Desmodur(登録商標)VKS 20 F、Desmodur(登録商標)44V20I、Desmodur(登録商標)44P01、Desmodur(登録商標)44V70 L、Desmodur(登録商標)N3400、Desmodur(登録商標)N3500(全てCovestro AGから入手可能)、Tolonate(商標)HDB、Tolonate(商標)HDB- LV、Tolonate(商標)HDT、Tolonate(商標)HDT-LV、Tolonate(商標)HDT-LV2(Vencorexから入手可能)、Basonat(登録商標)HB 100、Basonat(登録商標)HI 100、Basonat(登録商標)HI 2000 NG(BASFから入手可能)、Takenate(登録商標)500、Takenate(登録商標)600、Takenate(登録商標)D-132N(NS)、Stabio(登録商標)D-376N(全てMitsuiから入手可能)、Duranate(登録商標)24A-100、Duranate(登録商標)TPA-100、Duranate(登録商標)TPH-100(全てAsahi Kasaiから入手可能)、Coronate(登録商標)HXR、Coronate(登録商標)HXLV、Coronate(登録商標)HX、Coronate(登録商標)HK(全てTosohから入手可能)である。
【0051】
1つ以上のポリイソシアネートは、イソシアネート成分の総重量に基づいて、好ましくは20~100重量%の割合で、より好ましくは30~90重量%の割合で、更により好ましくは35~65重量%の割合でイソシアネート成分に含有される。
【0052】
アミン化合物
反応を阻害する様式で多成分樹脂系のイソシアネート成分とは別個に提供されるアミン成分は、イソシアネート基に反応性であり、アミノ基、好ましくは少なくとも2つのアミノ基を官能基として含む、少なくとも1つのアミンを含む。本発明によれば、アミンは、2以上の平均NH官能価を有する。平均NH官能価は、アミンの窒素原子に結合している水素原子の数を示す。したがって、例えば、一級モノアミンは、2の平均NH官能価を有し、一級ジアミンは、4の平均NH官能価を有し、3つの二級アミノ基を有するアミンは、3の平均NH官能価を有し、1つの一級アミノ基及び1つの二級アミノ基を有するジアミンは、3の平均NH官能価を有する。平均NH官能価はまた、アミン供給者によって提供される情報に基づく場合があり、実際に示されるNH官能価は、本明細書で理解されているような理論上の平均NH官能価とは異なる可能性がある。「平均」という表現は、それが化合物のNH官能価であり、化合物に含有されるアミノ基のNH官能価ではないことを意味する。アミノ基は、一級又は二級アミノ基であり得る。アミンは、一級若しくは二級アミノ基のいずれかのみ、又は一級及び二級アミノ基の両方を含有することができる。
【0053】
本発明の好ましい態様によれば、イソシアネート基に反応性であるアミンは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、及び芳香族アミンからなる群から、特に好ましくは、脂環式及び芳香族アミンからなる群から選択される。
【0054】
イソシアネート基に反応性であるアミンは、原則的に当業者に既知である。イソシアネート基に反応性である好適なアミンの例を、本発明の範囲を制限することなく以下に示す。これらは、個別に又は互いとの任意の混合物でのいずれかで使用することができる。例は、1,2-ジアミノエタン(エチレンジアミン)、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(ネオペンタンジアミン)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、1,3-ジアミノペンタン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン及びそれらの混合物(TMD)、1,3-ビス(アミノメチル)-シクロヘキサン、1,2-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジアミン(HMD)、1,2-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン(1,2-DACH及び1,4-DACH)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ジエチレントリアミン(DETA)、4-アザヘプタン-1,7-ジアミン、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキシウンデカン(trioxundecane)、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン、1,5-ジアミノ-メチル-3-アザペンタン、1,10-ジアミノ-4,7-ジオキサデカン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、1,13-ジアミノ-4,7,10-トリオキサトリデカン、4-アミノメチル-1,8-ジアミノオクタン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ジアミノペンタン、N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、1,3-ベンゼンジメタンアミン(m-キシリレンジアミン、mXDA)、1,4-ベンゼンジメタンアミン(p-キシリレンジアミン、pXDA)、5-(アミノメチル)ビシクロ[[2.2.1]ヘプト-2-イル]メチルアミン(NBDA、ノルボルナンジアミン)、ジメチルジプロピレントリアミン、ジメチルアミノプロピルアミノプロピルアミン(DMAPAPA)、2,4-ジアミノ-3,5-ジメチルチオ-トルエン(ジメチルチオ-トルエンジアミン DMTDA)、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン(IPDA))、ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33ダプソン)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(ダプソン)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44ダプソン)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(ダプソン)混合多環式アミン(MPCA)(例えばAncamine 2168)、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン(Laromin C260)、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、(3(4),8(9)ビス(アミノメチルジシクロ[5.2.1.02,6]デカン(異性体の混合物、三環式一級アミン、TCDジアミン)、メチルシクロヘキシルジアミン(MCDA)、N,N’-ジアミノプロピル-2-メチル-シクロヘキサン-1,3-ジアミン、N,N’-ジアミノプロピル-4-メチル-シクロヘキサン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)シクロヘキシルアミン、並びに2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)プロパン-1,3-ジアミンである。
【0055】
特に好ましいアミンは、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)、2,4-ジアミノ-3,5-ジメチルチオトルエン(ジメチルチオ-トルエンジアミン、DMTDA)、4,4’-メチレン-ビス[N-(1-メチルプロピル)フェニルアミン]、6-メチル-2,4-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミンと2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミンの異性体混合物(Ethacure(登録商標)300)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(N-sec-ブチルシクロヘキサンアミン)(Clearlink(登録商標)1000)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33ダプソン)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44ダプソン)、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン及び2,4,6-トリメチル-m-フェニレンジアミン、4,4’-メチレンビス(N-(1-メチルプロピル)-3,3’-ジメチルシクロヘキサンアミン(Clearlink(登録商標)3000)、2-プロペンニトリルの3-アミノ-1,5,5-トリメチルシクロヘキサンメタンアミン(Jefflink(登録商標)745)との反応混合物、並びに3-((3-(((2-シアノエチル)アミノ)メチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル)アミノ)プロピオノニトリル(Jefflink(登録商標)136又はBaxxodur PC136)である。
【0056】
特に好ましいアミンは、4,4’-メチレン-ビス[N-(1-メチルプロピル)フェニルアミン]、6-メチル-2,4-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミンと2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)フェニレン-1,3-ジアミンとの異性体混合物(Ethacure 300)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(N-sec-ブチルシクロヘキサンアミン)(Clearlink 1000)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(ダプソン)、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン及び2,4,6-トリメチル-m-フェニレンジアミンである。
【0057】
1つ以上のアミンは、アミン成分の総重量に基づいて、好ましくは20~100重量%の割合で、より好ましくは30~70重量%の割合で、更により好ましくは35~70重量%の割合でアミン成分に含有される。
【0058】
ポリイソシアネートとアミンの量比は、好ましくは、アミンの平均NH官能価に対するポリイソシアネートの平均NCO官能価の比が、0.3~2.0、好ましくは0.5~1.8、より好ましくは0.5~1.5、更により好ましくは0.7~1.5、最も好ましくは0.7~1.3であるように選択される。
【0059】
異なるイソシアネート及び/又は異なるアミンの混合物を使用して、硬化速度を調整することができる。この場合、それらの量比は、アミン混合物の平均NH官能価に対するイソシアネート混合物の平均NCO官能価の比が、0.3~2.0、好ましくは0.5~1.8、より好ましくは0.5~1.5、更により好ましくは0.7~1.5、最も好ましくは0.7~1.3であるように選択される。
【0060】
充填剤及び添加剤
本発明によれば、多成分樹脂系は、添加剤として、式Iの化合物A(L)(X)、又はイソシアネート基への付加反応が可能であるが、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有しない、特にアルコキシ基を有しない少なくとも1つの官能基を有するシロキサンを含有する。
【0061】
本発明による添加剤は、個々に又は添加剤の混合物として存在することができる。
【0062】
本発明による添加剤は、ケイ素結合加水分解性基を有するシラン若しくはシロキサンの使用を不要にするか、又は既知の加水分解性シラン及びシロキサンオリゴマーの全部又は一部を置き換えることができる。驚くべきことに、これにより、ケイ素結合置換基が存在しないにもかかわらず、境界表面であっても化学モルタルの良好で迅速な硬化が導かれる。
【0063】
本発明による添加剤の場合、対応する添加剤を含まないモルタル組成物と比較して、ハンマー掘削及びダイヤモンド掘削された掘削孔のための、特によく清浄化された掘削孔のための乾燥コンクリートにおけるモルタルの性能の改善が可能である。本発明による多成分樹脂系を使用する留め付け構成要素は、清浄化された乾燥掘削孔において高い荷重値をもたらし、これは、先行技術のシラン又はシロキサンオリゴマーに頼ることなく、シロキサンを含まない、又は場合によってはシランを含有する材料と比較して増加する。
【0064】
驚くべきことに、硬化したモルタルのコンクリート表面への改善された接着性、及びアンカー、ネジ山付きネジ、及びボルトなどの、建設部門で一般的に使用されるキャストイン留め付け手段の改善された荷重値が、湿潤及び乾燥コンクリートにおいて、モルタル組成物中の添加剤の割合が低い場合であっても達成され得ることが見出された。
【0065】
本発明によれば、第1の代替形態では、多成分樹脂系は、添加剤として式Iの化合物を含有し、
(L)(X) (式I)
式中、
Aは、リン、ホウ素、アルミニウム、チタン、若しくはジルコニウムであり、
Xは、同じであっても若しくは異なっていてもよく、アルコキシ基、アリールオキシ基、若しくはアシルオキシ基であり、
Lは、同じであっても若しくは異なっていてもよく、少なくとも1つのリガンドであり、
nは、Aの原子価であり、
pは、1~nの整数であり、
mは、0、若しくは1~n-1の整数であり、
n=m+pである。
【0066】
リガンドLは、アセトアセテート、アルキル、ハライド、ホスフェート、ピロホスフェート、ホスファイト、サルフェート、サルファイト、CN、シクロペンタジエニル及びペンタメチルシクロペンタジエニル、テトラヒドロフランなどのエーテル、ピリジン、並びにモルホリンからなる群から選択され得る。ホスフェート、ピロホスフェート、ホスファイト、サルフェート、及びサルファイトという用語はまた、アルコール、特に1~24個の炭素原子を有するアルコキシ化合物とのそれらのエステル及び半エステルを含む。
【0067】
式Iの化合物の好ましい態様では
(L)(X) (式I)
Xは、アルコキシ基-OR又はアシルオキシ基-O(C=O)Rであり、式中、Rは、1~24個の炭素原子を有する、好ましくは1~18個の炭素原子を有する、及び特に好ましくは1~8個の炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖又は分岐のアルキル基である。
【0068】
Xは、特に好ましくは、-O-CH、-OC、-OC、-OC、-OC11、-O-(CO)-CH、-O-(CO)-C、-O-(CO)-C、-O-(CO)-C、及び-O-(CO)-C11からなる群から、好ましくは-O-CH、-OC、-OC、及び-OCからなる群から選択されるアルコキシ又はアシルオキシ基である。
【0069】
基Xは、同じであっても又は異なっていてもよい。本発明の好ましい態様では、Xは同じである。
【0070】
好ましくは、m=0及びn=pである。
【0071】
更に好ましい態様では、式Iの化合物は、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリエチルボレート、トリイソプロピルボレート、トリブチルボレート、トリエチルアルミネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラエチルジルコネート、テトラブチルジルコネート、トリス(イソオクタデカノアート-O)(プロパン-2-オラト)チタネート(CAS番号:61417-49-0)、イソプロピルジメタクリロイルイソステアロイルチタネート(CAS番号:61548-33-2)、トリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキシドチタネート(CAS番号:61417-55-8)、イソプロピルトリ(ジオクチルホスファート)チタネート(CAS番号:65345-34-8)、トリメタクリレートメトキシエトキシエトキシドチタネート(CAS番号:61436-48-4)、イソプロピルチタントリ(ジオクチルピロホスフェート)(CAS番号:68585-78-4)、イソプロピルトリアクリロイルチタネート(CAS番号:61436-49-5)、ビス(2-((2-アミノエチル)アミノ)エタノラート)(2-((2-アミノエチル)アミノ)エタノラート-O)(プロパン-2-オラト)チタネート(CAS番号:65380-84-9)、テトライソプロポキシチタン(CAS番号:68585-67-1)、テトラオクチル-ジ(ジトリデシルホスファイト)チタネート(CAS番号:68585-68-2)、及びテトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート(CAS番号:64157-14-8)からなる群から選択される。
【0072】
とりわけKenrich-Chemicals Inc.から入手可能であるイソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート又はテトラオクチルチタネートビス(ジトリデシルホスファイト)は、式Iの錯体化合物として特に好適である。
【0073】
好ましい態様では、少なくとも1つの式Iの化合物は、多成分樹脂系の総重量に基づいて、0.01~10重量%の割合で、より好ましくは0.01~5重量%の割合で、更により好ましくは0.1~5重量%の割合で、及び特に好ましくは0.1~3重量%の割合で存在する。
【0074】
本発明によれば、第2の代替形態では、多成分樹脂系は、添加剤として、イソシアネート基への付加反応が可能であるが、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有しない、特にアルコキシ基を有しない少なくとも1つの官能基を有する少なくとも1つのシロキサンを含有する。
【0075】
本発明による多成分樹脂系は、好ましくは、ケイ素結合加水分解性基を有するシロキサンを含有しない。ケイ素結合加水分解性基は、ハロゲン原子、ケトキシメート、アミノ、アミノキシ、メルカプト、アシルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ(=アリールアルコキシ)などの基、又は特にヘテロ原子を介してケイ素原子に結合するアルキルオキシ(アルコキシ)基である。
【0076】
本発明に於いては、シロキサンは、シロキサン単位から構成された化合物を意味すると理解される。これらのシロキサン単位では、酸素との結合を形成するためにオクテット(電子殻)に到達することができないケイ素原子は、有機基で飽和される。(ポリ)シランとは対照的に、ケイ素原子は、互いに連結していないが、正確に1個の酸素原子によってそれらの隣接するケイ素原子に連結している:Si-O-Si。
【0077】
シロキサン単位は、酸素上の空の原子価の数に依存して、1~4個の更なる置換基を有することができる:RSiO(4-n)/2(n=0、1、2、3)、すなわち、シロキサン単位は、遊離したままである酸素上の原子価の数に依存して、1~4個の更なる置換基を有することができる。したがって、シロキサン単位は、単官能性、二官能性、三官能性、及び四官能性であり得、以下の略語が通常使用される:[M]=RSiO1/2、[D]=RSiO2/2、[T]=RSiO3/2、及び[Q]=SiO4/2
【0078】
直鎖(ポリ)シロキサンは、一般式RSi-[O-SiRn-O-SiRに対応する構成[MDM]を有し、式中、Rは、水素原子又は有機基、例えばアルキル基であり得、nは、0又は整数であり得る。直鎖ポリシロキサンの例は、ポリ(ジメチルシロキサン)である。
【0079】
分岐要素として三官能性又は四官能性シロキサン単位を有する分岐ポリシロキサンは、構成[M]を有し、式中、n及びmは、整数である。分岐点は、鎖又は環のいずれかに構築される。環状ポリシロキサンは、構成[D]を有する二官能性シロキサン単位から環の形態で構成され、式中、nは、3以上の整数である。この群の架橋ポリシロキサンは、三官能性及び四官能性シロキサン単位によって連結して、平面又は三次元ネットワークを形成する鎖又は環の形状の分子である。
【0080】
シロキサン主鎖は、様々な炭化水素基を含むことができ、ケイ素結合官能基及び有機官能基が存在し得る。しかしながら、本発明に従って使用されるシロキサン中にケイ素官能基は存在しない。したがって、本発明の目的のために、官能基又は基は、常に、有機官能基、すなわち炭素に結合した官能基を意味する。
【0081】
本発明によるシロキサンは、ケイ素結合加水分解性基を有するシラン若しくはシロキサンの使用を不要にするか、又は既知の加水分解性シラン及びシロキサンの全部又は一部を置き換えることができる。本発明に従って使用されるシロキサンは、モルタル表面を十分に疎水性にして、モルタルによる水の吸収、又はモルタル-掘削孔境界表面で、アミンなどの硬化剤の水層への拡散を低減すると想定される。驚くべきことに、これにより、ケイ素結合加水分解性基が存在しないにもかかわらず、境界表面であっても化学モルタルの良好な硬化が導かれる。
【0082】
ハンマー掘削及びダイヤモンド掘削された掘削孔のための乾燥コンクリート及び水飽和コンクリートの両方において、加水分解性ケイ素結合基を含まない本発明によるシロキサンは、望ましくないVOCを形成することなく、臨界掘削孔条件下でモルタルの性能を改善することができる。本発明による二成分モルタル組成物を使用する留め付け構成要素は、特に清浄化された乾燥掘削孔において、非常に特に非常によく清浄化された掘削孔において、高い荷重値をもたらし、荷重値は、VOCの形成を通して環境を汚染する先行技術のシラン又はシロキサンオリゴマーに頼ることなく、シロキサンを含まない、又は場合によってはシランを含有する材料と比較して増加する。
【0083】
好ましい態様では、二成分モルタル組成物は、イソシアネート基との付加反応が可能な少なくとも1つの官能性末端基を有する少なくとも1つのシロキサンを含有する。シロキサンは、より好ましくは、イソシアネート基との付加反応が可能な2つ以上の同一又は異なる、特に好ましくは2つの同一の末端官能基を含む。本発明によるシロキサンの官能化は、シロキサンがポリマー構造中にしっかりと組み込まれることを可能にし、官能基が例えばアミノ基である場合、任意選択的に、樹脂のための硬化剤として働くことも可能にする。
【0084】
本発明の上述の態様のうちの1つにおいてイソシアネート基との付加反応が可能な好ましい官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、二級アミノ基、メルカプト基、イソシアナト基、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基、アンヒドリド基、エポキシド基、ウレタン基、及び尿素基からなる群から、好ましくはイソシアナト基及びアミノ基からなる群から選択される。
【0085】
本発明による二成分モルタル組成物の更に好ましい態様では、シロキサンは、構造RSi-[O-Si(Rn-O-SiRを有し、式中、nは、0又は1以上1000以下の整数、好ましくは0又は1~5であり、R及びRは、互いに独立して、各場合に、任意選択的にヘテロ原子を含有し、かつ任意選択的にイソシアネート基との付加反応が可能な少なくとも1つの基を含む、任意選択的に置換されたC~C20アルキル基又はアラルキル基である。Rは、好ましくは非置換C~Cアルキル基、特にメチル基である。
【0086】
ヘテロ原子は、好ましくは酸素原子である。基R及びRは、各々、炭素原子を介してケイ素に結合する。
【0087】
この実施形態では、シロキサンは、好ましくは、1つ、及びより好ましくは2つ以上の置換C~C20アルキル基又はアラルキル基を含み、置換基は、トリアルキルシリル(例えばトリメチルシリル)基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、二級アミノ基、メルカプト基、イソシアナト基、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基、アンヒドリド基、及びエポキシ基からなる群から、好ましくはイソシアナト基、(メタ)アクリロイル基、トリメチルシリル基、及びアミノ基からなる群から、特に好ましくはイソシアナト基及びアミノ基からなる群から選択される。
【0088】
特に、シロキサンは、1,3-ビス(2-アミノエチルアミノエチル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、トリス(グリシドキシプロピルジメチルシロキシ)フェニルシラン、3-メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ポリ(アクリルオキシプロピルメチル)シロキサン、1,3-ビス[(アクリルオキシプロピルメチル)シロキサン、1,3-ビス(3-メタクリルオキシプロピル)テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3-ビス(3-メタクリルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ポリ[ジメチルシロキサン-co-(3-(モノメタクリルオキシ)プロピル)メチルシロキサン]、1,3-ビス(4-メタクリルオキシブチル)テトラメチルジシロキサン、(メタクリルオキシプロピル)メチルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、ドデカメチルペンタシロキサン、1,1,1,3,5,7,7,7-オクタメチル-3,5-ビス(トリメチルシラニルオキシ)テトラシロキサン、トリメチルシリル末端ポリ(メチルヒドロシロキサン)、ビス(ヒドロキシアルキル)末端ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ジメチルシロキサン-co-(2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル)メチルシロキサン]、ジグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ジメチルシロキサン-co-[3-(2-(3-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピル]メチルシロキサン、及びモノグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0089】
特に好ましい例は、1,3-ビス(2-アミノエチルアミノエチル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、及びトリス(グリシドキシプロピルジメチルシロキシ)フェニルシラン、並びにそれらの混合物である。
【0090】
本発明によって使用されるシロキサンは、個々に又は混合物として、かつ総多成分樹脂系に基づいて、0.5~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、及び特に好ましくは1.5~5重量%の重量割合で存在し得る。
【0091】
イソシアネート成分及びアミン成分の両方は、少なくとも1つの充填剤及び少なくとも1つのレオロジー添加剤を含有し得、2つの成分のうち少なくとも1つが充填剤及びレオロジー添加剤の両方を含有することが、本発明に不可欠である。イソシアネート成分及びアミン成分の両方が、各々、少なくとも1つの充填剤及び少なくとも1つのレオロジー添加剤を含有することが好ましい。
【0092】
多成分樹脂系のイソシアネート成分とアミン成分とを混合することによって生成されるモルタル組成物の総充填レベルは、本発明によれば、モルタル組成物の総重量に基づいて30~80重量%の範囲内であり、好ましくは35~65重量%の範囲で、より好ましくは35~60重量%の範囲内である。モルタル組成物の総充填レベルは、イソシアネート成分及びアミン成分の総重量に基づく充填剤及びレオロジー添加剤の重量パーセントに関連している。好ましい実施形態では、イソシアネート成分の充填レベルは、イソシアネート成分の総重量に基づいて、最大80重量%、好ましくは10~70重量%、より好ましくは35~65重量%である。アミン成分の充填レベルは、各場合にアミン成分の総重量に基づいて、好ましくは最大80重量%、より好ましくは10~70重量%、更により好ましくは35~65重量%である。
【0093】
無機充填剤、特に、ポルトランドセメント又はアルミン酸セメントなどのセメント、並びに他の水硬性無機物質、石英、ガラス、コランダム、磁器、陶器、重晶石、ライトスパー(light spar)、石膏、タルク、及び/又はチョーク、並びにそれらの混合物が、好ましくは充填剤として使用される。無機充填剤は、砂、粉末、又は成形体の形態、好ましくは繊維又はボールの形態で添加することができる。タイプ及び粒子径分布/(繊維)長さに関する充填剤の好適な選択を使用して、レオロジー挙動、押出力、内部強度、引張強度、引き抜き力、及び衝撃強度など、用途に関連する特性を制御することができる。特に好適な充填剤は、Millisil(登録商標)W3、Millisil(登録商標)W6、Millisil(登録商標)W8、及びMillisil(登録商標)W12、好ましくはMillisil(登録商標)W12などの、表面処理されていない石英粉末、微細石英粉末、及び超微細石英粉末である。シラン化石英粉末、微細石英粉末、及び超微細石英粉末も使用することができる。これらは、例えば、Quarzwerke製のSilbond(登録商標)製品シリーズで市販されている。製品シリーズSilbond(登録商標)EST(エポキシシラン修飾)及びSilbond(登録商標)AST(アミノシラン処理)が特に好ましい。更に、Denka(Japan)製のASFPタイプ(d50=0.3μm)、又はタイプの名称が45(d50<0.44μm)、07(d50>8.4μm)、05(d50<5.5μm)、及び03(d50<4.1μm)であるDAW若しくはDAMなどのグレードの酸化アルミニウム超微細充填剤などの酸化アルミニウムベースの充填剤が可能である。更に、Hoffman Mineral製のAktisil AMタイプ(アミノシラン処理、d50=2.2μm)及びAktisil EM(エポキシシラン処理、d50=2.2μm)の表面処理された微細及び超微細充填剤を使用することができる。充填剤は、個別に又は互いとの任意の混合物で使用することができる。
【0094】
流動特性は、本発明によれば、イソシアネート成分及び/又はアミン成分に使用されるレオロジー添加剤を添加することによって調整される。好適なレオロジー添加剤は、ラポナイト、ベントン、若しくはモンモリロナイトなどのフィロシリケート、ノイブルク珪質土、ヒュームドシリカ、多糖類;ポリアクリレート、ポリウレタン、又はポリ尿素増粘剤、及びセルロースエステルである。最適化のために、湿潤剤及び分散剤、表面添加剤、消泡剤及び脱気剤、ワックス添加剤、接着促進剤、粘度低下剤、又は加工添加剤もまた、添加することができる。
【0095】
イソシアネート成分中の1つ以上のレオロジー添加剤の割合は、イソシアネート成分の総重量に基づいて、好ましくは0.1~3重量%、より好ましくは0.1~1.5重量%である。アミン成分中の1つ以上のレオロジー添加剤の割合は、アミン成分の総重量に基づいて、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.5~3重量%である。
【0096】
一態様では、多成分樹脂系は、充填剤としてモレキュラーシーブ、特にゼオライトを含有する。
【0097】
一般に組成Mn x/n[(AlO (SiO]・zHOを特徴とする合成又は天然ゼオライト(式中、nは、Mの電荷であり、通常1又は2であり、Mは、アルカリ又はアルカリ土類金属のカチオン、特にNa、K、Ca2+、及びMg2+である)をゼオライトとして使用することができる。
【0098】
以下をゼオライトとして使用することができる:
ゼオライトA(Na12[(AlO)12(SiO12]・27HO;K12[(AlO12(SiO12]・27HO)、
ゼオライトX(Na86[(AlO86(SiO106]・264HO)、
ゼオライトY(Na56[(AlO56(SiO136]・250HO)、
ゼオライトL(K[(AlO(SiO27]・22HO)、
モルデナイト(Na8.7[(AlO8.7(SiO39.3]・24HO)、
ゼオライトZSM 5(Na0.33.8[(AlO4.1(SiO91.9])及び
ゼオライトZSM 11(Na0.11.7[(AlO1.8(SiO94.2])。
【0099】
これらのうち、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトY、並びにゼオライトZSM 5及びゼオライトZSM 11が好ましい。
【0100】
モレキュラーシーブ、特にゼオライトは、粉末、粒状物、又はペースト(例えば、ひまし油中に分散した48~50%の粉末)として使用することができる。
【0101】
合成ゼオライトは、好ましくは、最大250μm、特に5μm~24μmの粒子径を有する粒子を含む合成ゼオライトである。合成ゼオライトは、特に好ましくは、約5Å~約10Å、特に約3Å~約4Åの細孔径を有する。
【0102】
ゼオライト粒子の比表面積(BET)は、好ましくは、800m/g~1000m/gである。
【0103】
ゼオライトの残留水含量は、2.5%w/w未満、好ましくは1.5%w/w未満であり、吸水容量は、22~24%w/w未満である。
【0104】
2つ以上の異なるタイプのゼオライトの混合物を使用することが可能である。
【0105】
モレキュラーシーブ、特にゼオライトは、多成分樹脂系の総重量に基づいて、好ましくは0.1~60重量%の量で、特に好ましくは1~35重量%の量で、非常に特に好ましくは2~5重量%の量で使用される。量は、一般に、上述の充填剤の量に考慮され、モレキュラーシーブの量は、充填剤の量に考慮される。
【0106】
モレキュラーシーブは、多成分樹脂系の2つの成分のうちの1つ、又は両方の成分に含有され得る。
【0107】
本発明はまた、多成分樹脂系のイソシアネート成分とアミン成分とを混合することによって生成されるモルタル組成物に関する。
【0108】
多成分樹脂系は、好ましくは、イソシアネート成分及びアミン成分が反応を阻害する様式で別個に配置される、2つ以上の別個のチャンバを備えることを特徴とする、カートリッジ又はフィルムパウチ内に存在する。
【0109】
多成分樹脂系の意図される使用のために、イソシアネート成分及びアミン成分は、別個のチャンバから排出され、好適なデバイス、例えば、スタティックミキサ又は溶解器で混合される。次いで、イソシアネート成分とアミン成分の混合物(モルタル組成物)は、既知の注入デバイスの手段によって、事前に清浄化された掘削孔内に導入される。次いで、留め付けられる成分をモルタル組成物内に挿入し、位置合わせする。イソシアネート成分の反応性構成成分は、重付加によってアミン成分のアミノ基と反応し、それによって、モルタル組成物は所望の期間内、好ましくは数分又は数時間以内に、環境条件下で硬化する。
【0110】
本発明によるモルタル組成物又は本発明による多成分樹脂系は、好ましくは建設目的に使用される。「建設目的」という表現は、コンクリート/コンクリート、鋼/コンクリート、若しくは鋼/鋼、又は当該材料のうちの1つと他の鉱物材料とを構造的に接着させること、コンクリート、レンガ、及び他の鉱物材料で作製された構成要素を構造的に強化すること、繊維強化ポリマーを用いて建築物を強化する用途、コンクリート、鋼、又は他の鉱物材料で作製された表面を化学的に留め付けること、特に、(強化)コンクリート、レンガ、他の鉱物材料、金属(例えば鋼)、セラミック、プラスチック、ガラス、及び木材などの様々な基材の掘削孔内に建設要素及び留め付け手段、例えばアンカーロッド、アンカーボルト、(ネジ山付き)ロッド、(ネジ山付き)スリーブ、鉄筋、ネジなどを化学的に留め付けることを指す。最も特に好ましくは、本発明によるモルタル組成物及び本発明による多成分樹脂系は、留め付け手段を化学的に留め付けるために使用される。
【0111】
本発明はまた、掘削孔内に建設要素を化学的に留め付けるための方法、建設要素を化学的に留め付けるために上記のように使用されている本発明によるモルタル組成物又は本発明による多成分樹脂系に関する。本発明による方法は、コンクリート/コンクリート、鋼/コンクリート、若しくは鋼/鋼、又は当該材料のうちの1つと他の鉱物材料とを構造的に接着させること、コンクリート、レンガ、及び他の鉱物材料で作製された構成要素を構造的に強化すること、繊維強化ポリマーを用いて建築物を強化する用途、コンクリート、鋼、又は他の鉱物材料で作製された表面を化学的に留め付けすること、特に、(強化)コンクリート、レンガ、他の鉱物材料、金属(例えば鋼)、セラミック、プラスチック、ガラス、及び木材などの様々な基材の掘削孔内に建設要素及び留め付け手段、例えばアンカーロッド、アンカーボルト、(ネジ山付き)ロッド、(ネジ山付き)スリーブ、鉄筋、ネジなどを化学的に留め付けることに、特に好適である。最も特に好ましくは、本発明による方法は、留め付け手段を化学的に留め付けるために使用される。
【0112】
本発明はまた、鉱物基材において建設要素を化学的に留め付けるための本発明によるモルタル組成物又は多成分樹脂系の使用に関する。
【0113】
本発明はまた、本発明の掘削孔による多成分樹脂系から生成される接着アンカーの引き抜き強度を改善するための、本発明によるモルタル組成物又は本発明による多成分樹脂系の使用に関する。これには、特に、よく清浄化された掘削孔における引き抜き強度の増加が含まれ、よく清浄化されたとは、掘削孔が圧縮空気を繰り返し吹き付けられ、次いで掘削孔壁に付着している掘削粉じん及び繰粉を取るためにブラシで払われ、次いで圧縮空気を再び繰り返し吹き付けられることを意味する。
【0114】
本発明は、実施例に基づいて以下により詳細に説明されるが、この実施例は、限定的な意味で理解されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0115】
以下の化合物を使用して、比較組成物及び本発明による組成物を調製した。
【表1】
【0116】
イソシアネート成分及びアミン成分の比較組成物及び本発明による組成物を、以下の表1に示す。
【表2】
【0117】
モルタル組成物を生成するために、イソシアネート成分及びアミン成分を、各々最初に個別に生成した。この目的のために、表1に示された構成成分を、溶解器(PC Laborsystem GmbH、8分;3500rpm)内で、真空下(80mbar)で均質化して、気泡を含まないペースト状組成物を形成した。次いで、イソシアネート成分及びアミン成分を互いに組み合わせ、スピードミキサー内で、1500rpmで30秒間混合した。このようにして得られたモルタル組成物を単一成分硬質カートリッジに充填し、押し出しデバイスを使用して掘削孔に注入した。
【0118】
硬化した留め付け組成物の結合応力(荷重値)を決定するために、アンカーネジ山付きロッドHilti HAS-M12を、直径14mm及び掘削孔深さ72mmのC20/25乾燥コンクリートのハンマー掘削された掘削孔内に挿入した。ここで、掘削孔を最初に圧縮空気(6bar)で2回、次いで清浄ブラシで2回、次いで再び圧縮空気(6bar)で2回、清浄化した。次いで、このようにして清浄化された掘削孔に、比較組成物及び本発明による組成物を半分まで充填し、アンカーネジ山付きロッドを、埋め込み深さ60mmまで挿入した。結合応力は、アンカーネジ山付きロッドを中央に引き抜くことによって決定した。各場合において、5本のアンカーネジ山付きロッドを挿入し、約21℃で24時間硬化させた後、結合応力を測定した。留め付け組成物を、スタティックミキサ(HIRT-RE-Mミキサ、Hilti Aktiengesellschaft)を介してカートリッジから吐出させ、掘削孔内に注入した。
【0119】
乾燥及びよく清浄化された掘削孔についての、上記のモルタル配合を使用して得られた結合応力を以下の表2に列挙する。
【表3】
【0120】
結果は、本発明による組成物が、接着促進剤を含有しない組成物と比較して、よく清浄化された乾燥掘削孔においてより高い性能を有することを示す。更に、これらの結果は、特許請求された添加剤が、比較例2のシラン添加剤に匹敵する値を示すことを示す。

【国際調査報告】