(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法及び装置
(51)【国際特許分類】
F22B 37/00 20060101AFI20240208BHJP
F22B 37/38 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
F22B37/00 A
F22B37/38 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551118
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2022129680
(87)【国際公開番号】W WO2023083099
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111327974.7
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520455014
【氏名又は名称】西安熱工研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】Xi’an Thermal Power Research Institute CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.136 Xingqing Road,Beilin District,Xi’an City,Shaanxi Province,China
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ, ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ソン, フェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュウ, ジン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, トン
(72)【発明者】
【氏名】カオ, ソンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジア, ルオフェイ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ, ヤンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジア, ミンシャン
(72)【発明者】
【氏名】マ, ツェンツェン
(57)【要約】
火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法及び装置であって、方法は、ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するステップと、ユニットの起動段階におけるボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定し、対応するボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するステップと、累積流量と鉄含有量平均値とに基づいて、予め設定された総鉄量フィッティング式により、ユニットの起動段階における総鉄含有量を算出するステップと、総鉄含有量を評価指標として、ユニットの今回の起動前のボイラ使用停止保護による防食効果を評価するステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するステップと、
前記ユニットの前記起動段階におけるボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定し、対応する前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するステップと、
前記累積流量と前記鉄含有量平均値とに基づいて、予め設定された総鉄量フィッティング式により、前記ユニットの前記起動段階における総鉄含有量を算出するステップと、
前記総鉄含有量を評価指標として、前記ユニットの今回の起動前のボイラ使用停止保護による防食効果を評価するステップと、
を含む、火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項2】
前記ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するステップが、
前記ユニットの、前記復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量を測定するステップと、
前記ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量を測定するステップと、
を含む、請求項1に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項3】
前記ユニットの前記起動段階におけるボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定するステップが、
復水の鉄含有量、給水の鉄含有量、ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量、及び過熱蒸気の鉄含有量を測定するステップを含む、請求項1又は2に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項4】
前記対応する前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するステップが、
検出周期内に、前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の前記鉄の質量含有量に基づいて、前記鉄含有量平均値を算出するステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項5】
前記予め設定された総鉄量フィッティング式は以下のとおりであり、
M
総鉄量=V
熱洗浄終了時×c
復水の鉄含有量平均値+V
熱洗浄終了時×c
給水の鉄含有量平均値+V
熱洗浄終了時×c
ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値+V
蒸気タービンのローター回転段階から併入まで×c
過熱蒸気の鉄含有量平均値、
M
総鉄量は、ユニットの起動段階における総鉄含有量であり、V
熱洗浄終了時は、ユニットの、復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量であり、V
蒸気タービンのローター回転段階から併入までは、ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量であり、c
復水の鉄含有量平均値は、復水の鉄含有量平均値であり、c
給水の鉄含有量平均値は、給水の鉄含有量平均値であり、c
ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値は、ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値であり、c
過熱蒸気の鉄含有量平均値は、過熱蒸気の鉄含有量平均値である、請求項1から4のいずれか一項に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項6】
前記起動段階に復水にアンモニアを添加するステップと給水にアンモニアを添加するステップとを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項7】
火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置であって、請求項1から6のいずれか一項に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法に基づいて、
ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するための累積流量測定モジュール(110)と、
前記ユニットの前記起動段階における前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定するための鉄含有量測定モジュール(120)であって、対応する前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するための計算ユニットを備える鉄含有量測定モジュール(120)と、
前記累積流量と前記鉄含有量平均値とに基づいて、予め設定された総鉄量フィッティング式により、前記ユニットの前記起動段階における総鉄含有量を算出するための総鉄含有量計算モジュール(130)と、
前記総鉄含有量を評価指標として、前記ユニットの今回の起動前のボイラ使用停止保護による防食効果を評価するための評価モジュール(140)と、
を備える、火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置。
【請求項8】
前記累積流量測定モジュール(110)が、
前記ユニットの、前記復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量を測定するための第1段階測定モジュール(111)と、
前記ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量を測定するための第2段階測定モジュール(112)と、
を備える、請求項7に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置。
【請求項9】
前記鉄含有量測定モジュール(120)が、
復水の鉄含有量を測定するための第1測定モジュール(121)と、
給水の鉄含有量を測定するための第2測定モジュール(122)と、
ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量を測定するための第3測定モジュール(123)と、
測定過熱蒸気の鉄含有量を測定するための第4測定モジュール(124)と、
を備える、請求項7又は8に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置。
【請求項10】
復水にアンモニアを添加する装置と給水にアンモニアを添加する装置とを備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互引用】
【0001】
本出願は出願番号が202111327974.7で、出願日が2021年11月10日である中国特許出願に基づいて提出され、該中国特許出願の優先権を主張し、該中国特許出願のすべての内容は援用により参考として本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示はボイラ防食技術分野に属し、具体的に、火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、原子力発電、水力発電、風力発電及び太陽光発電ユニットが次々と投入されるにつれて、火力発電ユニットは、運転時間が厳格にコントロールされ、ますます長くなる停止状態やますます多くなる起動停止回数に直面している。そのため、石炭焚きボイラの使用停止期間に大量の腐食が発生することを回避し、ユニットの石炭焚きボイラがいつでも安全かつ確実に起動することを確保し、かつ長期にわたって正常、安全かつ安定的な運転を維持し、使用停止時の腐食により石炭焚きボイラの運転中に配管破裂などの事故が発生することを回避するために、火力発電ユニットの石炭焚きボイラの使用停止保護における防食要求もますます厳しくなる。
【0004】
現在、火力発電ユニットの石炭焚きボイラの使用停止保護における防食方法について、関連基準において多く記録されているが、石炭焚きボイラの使用停止保護における防食効果を評価する方法がないため、石炭焚きボイラの使用停止保護における防食効果を評価することができず、使用停止保護状態での巨大な石炭焚きボイラ水蒸気システムの防食状況を把握できず、採用した石炭焚きボイラの使用停止保護方法が確実で信頼的であるか否かを表すことができず、使用停止保護が不適切であることにより石炭焚きボイラが腐食し、後続の運転中に配管破裂が発生するリスクを生じる。
【発明の概要】
【0005】
関連技術に存在する問題を解決するために、本開示の実施例は、火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法及び装置を提供し、操作しやすくて実施しやすく、ボイラ使用停止保護状態での巨大な石炭焚きボイラ水蒸気システムの配管内の防食状況を効果的に把握し、かつ現在採用されている石炭焚きボイラ使用停止保護方法が信頼的で効果的であるか否かを判断することができる。
【0006】
上記目的を実現するために、本開示は以下の技術案を提供する。
【0007】
本開示の第1態様の実施例は、ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するステップと、前記ユニットの前記起動段階におけるボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定し、対応する前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するステップと、前記累積流量と前記鉄含有量平均値とに基づいて、予め設定された総鉄量フィッティング式により、前記ユニットの前記起動段階における総鉄含有量を算出するステップと、前記総鉄含有量を評価指標として、前記ユニットの今回の起動前のボイラ使用停止保護による防食効果を評価するステップと、を含む火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法を提供する。
【0008】
いくつかの実施例では、前記ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するステップは、前記ユニットの、前記復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量を測定するステップと、前記ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量を測定するステップと、を含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記ユニットの前記起動段階におけるボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定するステップは、復水の鉄含有量、給水の鉄含有量、ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量、及び過熱蒸気の鉄含有量を測定するステップを含む。
【0010】
いくつかの実施例では、対応する前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するステップは、検出周期内に、前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の前記鉄の質量含有量に基づいて、前記鉄含有量平均値を算出するステップを含む。
【0011】
いくつかの実施例では、前記予め設定された総鉄量フィッティング式は以下のとおりであり、
M総鉄量=V熱洗浄終了時×c復水の鉄含有量平均値+V熱洗浄終了時×c給水の鉄含有量平均値+V熱洗浄終了時×cボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値+V蒸気タービンのローター回転段階から併入まで×c過熱蒸気の鉄含有量平均値、
M総鉄量は、ユニットの起動段階における総鉄含有量であり、V熱洗浄終了時は、ユニットの、復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量であり、V蒸気タービンのローター回転段階から併入までは、ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量であり、c復水の鉄含有量平均値は、復水の鉄含有量平均値であり、c給水の鉄含有量平均値は、給水の鉄含有量平均値であり、cボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値は、ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値であり、c過熱蒸気の鉄含有量平均値は、過熱蒸気の鉄含有量平均値である。
【0012】
いくつかの実施例では、前記火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法は、前記起動段階に復水にアンモニアを添加するステップと給水にアンモニアを添加するステップをさらに含む。
【0013】
本開示の第2態様の実施例は、ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するための累積流量測定モジュールと、前記ユニットの前記起動段階における前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定するための鉄含有量測定モジュールであって、前記鉄含有量測定モジュールが、対応する前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するための計算ユニットを含む鉄含有量測定モジュールと、前記累積流量と前記鉄含有量平均値とに基づいて、予め設定された総鉄量フィッティング式により、前記ユニットの前記起動段階における総鉄含有量を算出するための総鉄含有量計算モジュールと、前記総鉄含有量を評価指標として、前記ユニットの今回の起動前のボイラ使用停止保護による防食効果を評価するための評価モジュールと、を備える火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置を提供する。
【0014】
いくつかの実施例では、前記累積流量測定モジュールは、前記ユニットの、前記復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量を測定するための第1段階測定モジュールと、前記ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量を測定するための第2段階測定モジュールと、を備える。
【0015】
いくつかの実施例では、前記鉄含有量測定モジュールは、復水の鉄含有量を測定するための第1測定モジュールと、給水の鉄含有量を測定するための第2測定モジュールと、ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量を測定するための第3測定モジュールと、過熱蒸気の鉄含有量を測定するための第4測定モジュールと、を備える。
【0016】
いくつかの実施例では、前記火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置は、復水にアンモニアを添加する装置と給水にアンモニアを添加する装置とをさらに備える。
【発明の効果】
【0017】
関連技術と比べると、本開示はの以下な有益な効果を有する。
本開示の実施例は火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法及び装置を提供し、いずれか1つのボイラ使用停止保護方法を用いてユニットを一定時間保護した後、ユニットを起動してその防食保護効果の評価を行うことができ、適用範囲が広く、起動の各段階の累積流量及び石炭焚きボイラの主な受熱面の各水蒸気システムの鉄含有量を測定し且つフィッティング計算してシステム内の対応する総鉄含有量を取得することで、石炭焚きボイラの各水蒸気システムの使用停止保護の防食状況を非常に効果的に表し、データ精度が高く、結果が直観的かつ明確であり、装置の構造が簡単で、操作を実施しやすく、総鉄含有量により、ボイラ使用停止保護状態での巨大な石炭焚きボイラの水蒸気システムの配管内の防食状況を効果的に把握し、かつ現在採用されている石炭焚きボイラ使用停止保護方法が信頼的で効果的であるか否かを判断することができ、石炭焚きボイラの使用停止により腐食から生じる安全上のリスクを回避することができる。
【0018】
本開示の実施例によると、起動段階に随時、復水にアンモニアを添加し且つ給水にアンモニアを添加し、かつユニットの今回の起動過程ではいかなる精密処理装置を投入しないことにより、給水のpH値が適切な範囲内に制御されること、即ち導電率が好ましい範囲内に制御されることを確保することができ、起動中の投薬による水蒸気の制御や精密処理装置の規定について、各種類の石炭焚きボイラ使用停止保護方法及び毎回の石炭焚きボイラ使用停止保護の防食効果の相互比較を容易にするように、前提条件を一括規範化することができ、同じ保護方法の使用停止時間の変化に伴う防食効果の変化を比較観察することで、その保護の持続能力を判断することができ、同じ使用停止期間内の異なる保護方法の保護効果を比較することにより、より好ましい保護方法を選択することができ、そして保護方法をさらに最適化することができ、実用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の実施例に係る評価装置の工程フローチャートである。
【
図2】本開示の実施例に係る評価方法のフローチャートである。
【
図3】本開示の実施例に係る評価方法の実施フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、具体的な実施例に合わせて本開示をさらに詳しく説明し、説明されるのは、本開示を解釈するものであり、本発明を限定するものではない。
【0021】
本開示の実施例は、火力発電ユニットの冷態起動における水蒸気品質の検出データ分析と試験研究成果を基に、火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法及び装置を提供し、前記監視と制御方法は、火力発電ユニットの石炭焚きボイラの起動段階の各受熱面の排水水蒸気における総鉄含有量を用いて石炭焚きボイラ使用停止保護による防食効果を表し、総鉄含有量が低いほど、石炭焚きボイラ使用停止保護による防食効果がよくなる。
【0022】
具体的に、
図2に示すように、本開示の実施例は、火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法を提供し、評価する前に、いずれか1つのボイラ使用停止保護方法を選択して、ユニットに対して予め設定されたボイラ停止時間の保護を行うステップと、ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するステップと、ユニットの起動段階におけるボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定し、対応するボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するステップと、累積流量と鉄含有量平均値とに基づいて、予め設定された総鉄量フィッティング式によりユニットの起動段階における総鉄含有量を算出するステップと、総鉄含有量を評価指標として、ユニットの今回の起動前のボイラ使用停止保護による防食効果を評価するステップであって、総鉄含有量が高いほど、該ボイラ使用停止保護方法の防食効果が悪いステップと、を含む。
【0023】
本開示の実施例により提供される火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法及び装置は、いずれか1つのボイラ使用停止保護方法を用いてユニットを一定時間保護した後、ユニットを起動してその防食保護効果の評価を行うことができ、適用範囲が広く、起動の各段階の累積流量及び石炭焚きボイラの主な受熱面の各水蒸気システムの鉄含有量を測定し且つフィッティング計算してシステム内の対応する総鉄含有量を取得することで、石炭焚きボイラの各水蒸気システムの使用停止保護の防食状況を非常に効果的に表し、データ精度が高く、結果が直観的かつ明確であり、装置の構造が簡単で、操作を実施しやすく、総鉄含有量により、ボイラ使用停止保護状態での巨大な石炭焚きボイラの水蒸気システムの配管内の防食状況を効果的に把握し、かつ現在採用されている石炭焚きボイラ使用停止保護方法が信頼的で効果的であるか否かを判断することができ、石炭焚きボイラの使用停止により腐食から生じる安全上のリスクを回避することができる。
【0024】
図3に示すように、さらに、ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するステップは、ユニットの、復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量を測定するステップと、ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量を測定するステップと、を含む。
【0025】
具体的に、熱洗浄終了時と蒸気タービンのローター回転開始時とは同一の時間である。
【0026】
さらに、ユニットの起動段階におけるボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量を測定するステップは、復水の鉄含有量、給水の鉄含有量、ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量、及び過熱蒸気の鉄含有量を測定するステップを含む。
【0027】
本開示の実施例では、ユニットの起動段階におけるボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を測定するステップは、検出周期内に、ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量に基づいて鉄含有量の算術平均値を計算するステップを含む。
【0028】
いくつかの実施例では、検出周期は1時間、2時間又は3時間などであってもよく、実際の状況に応じて検出周期を決定する。
【0029】
本開示の実施例では、検出周期内に、ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量に基づいて鉄含有量平均値を算出するステップは、復水の鉄含有量平均値、給水の鉄含有量平均値、ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値、及び過熱蒸気の鉄含有量平均値を計算するステップを含む。
【0030】
本開示の実施例では、予め設定された総鉄量フィッティング式は以下のとおりであり、
M総鉄量=V熱洗浄終了時×c復水の鉄含有量平均値+V熱洗浄終了時×c給水の鉄含有量平均値+V熱洗浄終了時×cボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値+V蒸気タービンのローター回転段階から併入まで×c過熱蒸気の鉄含有量平均値、
ここで、M総鉄量は、ユニットの起動段階における総鉄含有量であり、V熱洗浄終了時は、ユニットの、復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量であり、V蒸気タービンのローター回転段階から併入までは、ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量であり、c復水の鉄含有量平均値は、復水の鉄含有量平均値であり、c給水の鉄含有量平均値は、給水の鉄含有量平均値であり、cボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値は、ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値であり、c過熱蒸気の鉄含有量平均値は、過熱蒸気の鉄含有量平均値である。
【0031】
さらに、本開示の実施例の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法は、起動段階に復水にアンモニアを添加するステップと給水にアンモニアを添加するステップとをさらに含む。
【0032】
本開示の実施例によると、起動段階に随時、復水にアンモニアを添加し且つ給水にアンモニアを添加し、かつユニットの今回の起動過程ではいかなる精密処理装置を投入しないことにより、給水のpH値が9.5±0.1に制御されること、即ち導電率が6.8μS/cm~10.8μS/cmの範囲内に制御されることを確保することができ、起動中の投薬による水蒸気の制御や精密処理装置の規定について、各種類の石炭焚きボイラ使用停止保護方法及び毎回の石炭焚きボイラ使用停止保護の防食効果の相互比較を容易にするように、前提条件を一括規範化することができ、同じ保護方法の使用停止時間の変化に伴う防食効果の変化を比較観察することで、その保護の持続能力を判断することができ、同じ使用停止期間内の異なる保護方法の保護効果を比較することにより、より好ましい保護方法を選択することができ、そして保護方法をさらに最適化することができ、実用性が高い。
【0033】
図1は、本開示の実施例に係る評価装置の工程フローチャートであり、
図1に示すように、該火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置は、評価する前に、いずれか1つのボイラ使用停止保護方法を選択して、ユニットに対して予め設定されたボイラ停止時間の保護を行うための選択モジュール100と、ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するための累積流量測定モジュール110と、ユニットの起動段階におけるボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定するための鉄含有量測定モジュール120であって、前記鉄含有量測定モジュール120が、対応するボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するための計算ユニットを含む鉄含有量測定モジュール120と、累積流量と鉄含有量平均値とに基づいて、予め設定された総鉄量フィッティング式により、ユニットの起動段階における総鉄含有量を算出するための総鉄含有量計算モジュール130と、総鉄含有量を評価指標として、ユニットの今回の起動前のボイラ使用停止保護による防食効果を評価するための評価モジュール140と、を備えてもよい。
【0034】
本開示の実施例では、前記累積流量測定モジュール110は、ユニットの、復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量を測定するための第1段階測定モジュール111と、ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量を測定するための第2段階測定モジュール112と、を備える。
【0035】
本開示の実施例では、前記鉄含有量測定モジュール120は、復水の鉄含有量を測定するための第1測定モジュール121と、給水の鉄含有量を測定するための第2測定モジュール122と、ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量を測定するための第3測定モジュール123と、過熱蒸気の鉄含有量を測定するための第4測定モジュール124と、を備える。
【0036】
本開示の実施例では、計算ユニットはさらに、検出周期内に、ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量に基づいて鉄含有量の算術平均値を計算するために使用される。
【0037】
本開示の実施例では、前記火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置は、運転中の復水にアンモニアを添加する装置と給水にアンモニアを添加する装置とをさらに備える。
【0038】
本開示の実施例により提供される方法と装置は具体的に火力発電ユニットの石炭焚きボイラ使用停止保護による防食効果の評価を数値化し、最後で得られた総鉄含有量の具体的なデータを用いて、本ユニットのこれまでの各回の使用停止保護による防食効果を比較することができ、異なる使用停止保護方法における防食効果の比較に使用することができ、同じ種類のユニットにおける使用停止保護による防食効果の比較に採用されていることもでき、これは、データを直接比較できる評価方法であり、また、本開示の実施例により提供される方法と装置は、ユニット起動過程における水蒸気品質の監視についてより明確かつ具体的な要件と監視があり、従うべき規則や制度がある。
【0039】
[実施例1]
本実施例1では、ある超々臨界の660MW貫流ボイラを選択し、それに対してボイラ使用停止保護を行い、石炭焚きボイラのボイラ使用停止保護方法は、給水pH値を高める方法で保護を行う。ある起動過程では、本開示の実施例の評価方法及び装置を用いて異なるボイラ使用停止保護時間における石炭焚きボイラ使用停止保護による防食効果の評価を行い、具体的には、起動過程において、ユニット精密処理高速混床を運転させず、復水にアンモニアを添加する装置と給水にアンモニアを添加する装置を運転し、これにより、給水pH値を9.5±0.1の間に維持し、導電率を7.0μS/cm~10.0μS/cmの間に制御し、コールドフラッシュからユニット併入までの全体の起動段階では、2時間ごとに、及び点火、ローター回転開始、併入の重要な時に、各水蒸気のサンプル内の鉄含有量などの指標をサンプリングして検出し、ユニット併入まで、復水ポンプの出口に設置される累積流量計によって復水の累積流量を読み取って記録する。
【0040】
第1回では、ユニットが170日間のボイラ使用停止保護後に再起動する過程では、本開示の実施例に係る評価方法で得られた測定結果は以下のとおりであり、熱洗浄終了時、復水ポンプの出口の累積流量は9014tであり、復水の鉄含有量平均値は111.8μg/Lであり、給水の鉄含有量平均値は82μg/Lであり、起動分離器排水の鉄含有量平均値は102.1μg/Lであり、蒸気タービンのローター回転段階から併入まで、復水ポンプの出口の累積流量は3765tであり、過熱蒸気の鉄含有量平均値は30.3μg/Lであり、本開示の実施例により提供されるフィッティング式で計算して得られた総鉄含有量は2781.3kgである。
【0041】
第2回では、ユニットが8日間のボイラ使用停止保護後に再起動する過程では、本開示の実施例に係る評価方法で得られた測定結果は以下のとおりであり、熱洗浄終了時、復水ポンプの出口の累積流量は7514tであり、復水の鉄含有量平均値は24μg/Lであり、給水の鉄含有量平均値は9.5μg/Lであり、起動分離器排水の鉄含有量平均値は12.5μg/Lであり、蒸気タービンのローター回転段階から併入まで、復水ポンプの出口の累積流量は5327tであり、過熱蒸気の鉄含有量平均値は5.5μg/Lであり、本開示の実施例により提供されるフィッティング式で計算して得られた総鉄含有量は375.0kgである。
【0042】
評価から分かるように、明らかに、ユニットは長時間のボイラ停止時間内の腐食量は短いボイラ停止時間内の腐食量を遥かに上回り、これは、本開示の実施例により提供される方法がより直観的に使用停止保護による防食効果を認識できることを示しており、これに基づいてボイラ使用停止保護の方法を改善することができる。
【0043】
[実施例2]
中国のある超々臨界の660MW貫流ボイラは、石炭焚きボイラが前後二回のボイラ停止ではそれぞれ窒素を充填すること及び給水pH値を高めることで保護される。二回の使用停止保護後の起動過程では、いずれも本方法を用いて石炭焚きボイラ使用停止保護による防食効果の評価を行う:起動過程では、ユニット精密処理高速混床を運転させず、復水にアンモニアを添加する装置と給水にアンモニアを添加する装置を運転させ、給水pHが9.5±0.1の間に制御され、導電率が7.0μS/cm~10.0μS/cmの間に制御されることを確保し、コールドフラッシュからユニット併入までの過程で、2時間ごとに、及び点火、ローター回転開始、併入の重要な時に、各水蒸気や水のサンプル内の鉄含有量などの指標をサンプリングして検出し、同時に、ユニット併入まで、復水の累積流量を記録する。
【0044】
窒素を充填する保護方法を採用されていると、ユニットの約179日間のボイラ使用停止保護後の起動過程は以下のとおりであり、熱洗浄終了時に、復水ポンプの出口の累積流量は8173tであり、復水の鉄含有量平均値は86.9μg/Lであり、給水の鉄含有量平均値は71.3μg/Lであり、起動分離器排水の鉄含有量平均値は80.9μg/Lであり、蒸気タービンのローター回転段階から併入までの復水ポンプの出口の累積流量は3019tであり、過熱蒸気の鉄含有量平均値は26.1μg/Lである。本方法により提供されるフィッティング式で得られた総鉄含有量は2033.0kgである。
【0045】
給水pH値を高める保護方法を採用されていると、ユニットの170日間のボイラ使用停止保護後の起動過程は以下のとおりであり、熱洗浄終了時、復水ポンプの出口の累積流量は9014tであり、復水の鉄含有量平均値は111.8μg/Lであり、給水の鉄含有量平均値は82μg/Lであり、起動分離器排水の鉄含有量平均値は102.1μg/Lであり、蒸気タービンのローター回転段階から併入までの復水ポンプの出口の累積流量は3765tであり、過熱蒸気の鉄含有量平均値は30.3μg/Lである。本方法により提供されるフィッティング式で得られた総鉄含有量は2781.3kgである。
【0046】
評価結果から分かるように、明らかに、同一のユニットは同じボイラ停止時間内に、窒素を充填するボイラ使用停止保護方法を採用されている腐食量が、給水pH値を向上させるボイラ使用停止保護方法を採用されている腐食量より小さく、これは、窒素を充填するボイラ使用停止保護方法はボイラ使用停止保護による防食効果がより優れ、本開示の実施例により提供される方法は、異なるボイラ使用停止保護方法による防食効果の比較に使用することにより、より好ましいボイラ使用停止保護方法を選択することができる。
【0047】
以上に記載されたのは本開示の具体的な実施形態に過ぎず、本開示の保護範囲はこれに限らず、本開示で開示された技術範囲から逸脱しない変化又は入れ替えは当業者とっていずれも容易に想到し得るものであり、これらはいずれも本開示の保護範囲内に含まれる。
【0048】
本開示のすべての実施例はいずれも独立して実行され、または他の実施例に合わせて実行され、これらはいずれも本開示が保護しようとする範囲として見なされる。
【符号の説明】
【0049】
100 選択モジュール
110 累積流量測定モジュール
111 第1段階測定モジュール111
112 第2段階測定モジュール
120 鉄含有量測定モジュール
121 第1測定モジュール
122 第2測定モジュール
123 第3測定モジュール
124 第4測定モジュール
130 総鉄含有量計算モジュール
140 評価モジュール
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するステップと、
前記ユニットの前記起動段階におけるボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定し、対応する前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するステップと、
前記累積流量と前記鉄含有量平均値とに基づいて、予め設定された総鉄量フィッティング式により、前記ユニットの前記起動段階における総鉄含有量を算出するステップと、
前記総鉄含有量を評価指標として、前記ユニットの今回の起動前のボイラ使用停止保護による防食効果を評価するステップと、
を含む、火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項2】
前記ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するステップが、
前記ユニットの、前記復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量を測定するステップと、
前記ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量を測定するステップと、
を含む、請求項1に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項3】
前記ユニットの前記起動段階におけるボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定するステップが、
復水の鉄含有量、給水の鉄含有量、ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量、及び過熱蒸気の鉄含有量を測定するステップを含む、請求項
1に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項4】
前記対応する前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するステップが、
検出周期内に、前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の前記鉄の質量含有量に基づいて、前記鉄含有量平均値を算出するステップを含む、請求項
1に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項5】
前記予め設定された総鉄量フィッティング式は以下のとおりであり、
M
総鉄量=V
熱洗浄終了時×c
復水の鉄含有量平均値+V
熱洗浄終了時×c
給水の鉄含有量平均値+V
熱洗浄終了時×c
ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値+V
蒸気タービンのローター回転段階から併入まで×c
過熱蒸気の鉄含有量平均値、
M
総鉄量は、ユニットの起動段階における総鉄含有量であり、V
熱洗浄終了時は、ユニットの、復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量であり、V
蒸気タービンのローター回転段階から併入までは、ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量であり、c
復水の鉄含有量平均値は、復水の鉄含有量平均値であり、c
給水の鉄含有量平均値は、給水の鉄含有量平均値であり、c
ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値は、ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量平均値であり、c
過熱蒸気の鉄含有量平均値は、過熱蒸気の鉄含有量平均値である、請求項
1に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項6】
前記起動段階に復水にアンモニアを添加するステップと給水にアンモニアを添加するステップとを含む、請求項
1に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法。
【請求項7】
火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置であって、請求項1から6のいずれか一項に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法に基づいて、
ユニットの起動段階における復水ポンプの出口の累積流量を測定するための累積流量測定モジュー
ルと、
前記ユニットの前記起動段階における前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄の質量含有量を測定するための鉄含有量測定モジュー
ルであって、対応する前記ボイラ受熱面に関連する水蒸気内の鉄含有量平均値を算出するための計算ユニットを備える鉄含有量測定モジュー
ルと、
前記累積流量と前記鉄含有量平均値とに基づいて、予め設定された総鉄量フィッティング式により、前記ユニットの前記起動段階における総鉄含有量を算出するための総鉄含有量計算モジュー
ルと、
前記総鉄含有量を評価指標として、前記ユニットの今回の起動前のボイラ使用停止保護による防食効果を評価するための評価モジュー
ルと、
を備える、火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置。
【請求項8】
前記累積流量測定モジュー
ルが、
前記ユニットの、前記復水ポンプの起動後の定常運転開始から熱洗浄終了までの段階の第1累積流量を測定するための第1段階測定モジュー
ルと、
前記ユニットの、蒸気タービンのローター回転開始から蒸気タービンの発電ユニットの併入までの段階の第2累積流量を測定するための第2段階測定モジュー
ルと、
を備える、請求項7に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置。
【請求項9】
前記鉄含有量測定モジュー
ルが、
復水の鉄含有量を測定するための第1測定モジュー
ルと、
給水の鉄含有量を測定するための第2測定モジュー
ルと、
ボイラ水又は起動分離器排水の鉄含有量を測定するための第3測定モジュー
ルと、
測定過熱蒸気の鉄含有量を測定するための第4測定モジュー
ルと、
を備える、請求項
7に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置。
【請求項10】
復水にアンモニアを添加する装置と給水にアンモニアを添加する装置とを備える、請求項
7に記載の火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
本開示はボイラ水蒸気システムの腐食を防止する技術分野に属し、具体的に、火力発電ユニットのボイラ使用停止保護による防食効果の評価方法及び装置に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
[実施例1]
本実施例1では、ある超々臨界の660MW貫流ボイラを選択し、それに対してボイラ使用停止保護を行い、石炭焚きボイラのボイラ使用停止保護方法は、給水pH値を高める方法で保護を行う。ある起動過程では、本開示の実施例の評価方法及び装置を用いて異なるボイラ使用停止保護時間における石炭焚きボイラ使用停止保護による防食効果の評価を行い、具体的には、起動過程において、ユニット精密処理高速混床を運転させず、復水にアンモニアを添加する装置と給水にアンモニアを添加する装置を運転し、これにより、給水pH値を9.5±0.1の間に維持し、導電率を7.0μS/cm~10.0μS/cmの間に制御し、冷洗浄からユニット併入までの全体の起動段階では、2時間ごとに、及び点火、ローター回転開始、併入の重要な時に、各水蒸気のサンプル内の鉄含有量などの指標をサンプリングして検出し、ユニット併入まで、復水ポンプの出口に設置される累積流量計によって復水の累積流量を読み取って記録する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
[実施例2]
中国のある超々臨界の660MW貫流ボイラは、石炭焚きボイラが前後二回のボイラ停止ではそれぞれ窒素を充填すること及び給水pH値を高めることで保護される。二回の使用停止保護後の起動過程では、いずれも本方法を用いて石炭焚きボイラ使用停止保護による防食効果の評価を行う:起動過程では、ユニット精密処理高速混床を運転させず、復水にアンモニアを添加する装置と給水にアンモニアを添加する装置を運転させ、給水pHが9.5±0.1の間に制御され、導電率が7.0μS/cm~10.0μS/cmの間に制御されることを確保し、冷洗浄からユニット併入までの過程で、2時間ごとに、及び点火、ローター回転開始、併入の重要な時に、各水蒸気や水のサンプル内の鉄含有量などの指標をサンプリングして検出し、同時に、ユニット併入まで、復水の累積流量を記録する。
【国際調査報告】