IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴィヴィッド サージカル ピーティワイ エルティディの特許一覧

<>
  • 特表-術中定位ナビゲーションシステム 図1
  • 特表-術中定位ナビゲーションシステム 図2
  • 特表-術中定位ナビゲーションシステム 図3
  • 特表-術中定位ナビゲーションシステム 図4
  • 特表-術中定位ナビゲーションシステム 図5
  • 特表-術中定位ナビゲーションシステム 図6
  • 特表-術中定位ナビゲーションシステム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】術中定位ナビゲーションシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20240208BHJP
【FI】
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572044
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 AU2022050069
(87)【国際公開番号】W WO2022165561
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】2021900293
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523301754
【氏名又は名称】ヴィヴィッド サージカル ピーティワイ エルティディ
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100218224
【弁理士】
【氏名又は名称】長嶺 浩之
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター ウィリアム リンゼイ
(72)【発明者】
【氏名】マーズデン-ジョーンズ ダニエル
(57)【要約】
【課題】 手術環境内に位置する患者の解剖学的構造に対する外科用ツールの配向を決定するための術中定位ナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】 システム10は、視野FOV20を画定し、FOV20内の物体までの相対距離、物体への方向、及び物体の配向のうち少なくとも1つを決定するレーダベースセンサ18と、センサ18を患者26及びツール12のうちの一方に取り外し可能に固定して、他方がFOV20内にあることを可能にするように構成されたマウント(24)と、を含む。プロセッサ28は、レーダベースセンサ18と通信可能に接続可能であり、患者26及びツール12の少なくとも1つに関連する相対距離、方向及び/又は配向の情報のうち少なくとも1つをセンサ18から受信すること、並びに手術環境16に対する患者26の配向に関連する情報を受信することに応答して、ツール12の配向を決定する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術環境内に位置する患者の解剖学的構造に対する外科用ツールの配向を決定するための術中定位ナビゲーションシステムであって、前記システムは、
視野(FOV)を画定し、前記FOV内の1つ以上の物体までの相対距離、前記1つ以上の物体への方向、及び前記1つ以上の物体の配向のうちの少なくとも1つを決定するように動作可能なレーダベースセンサと、
前記レーダベースセンサを前記患者及び前記ツールのうちの一方に取り外し可能に固定して、前記患者及び前記ツールのうちの他方が前記FOV内にあることを可能にするように構成されたマウントと、
前記レーダベースセンサと通信可能に接続可能であり、前記患者及び前記ツールのうちの少なくとも1つに関連する相対距離、方向、及び配向の情報のうちの少なくとも1つを前記レーダベースセンサから受信すること、及び前記手術環境に対する前記患者の前記配向に関連する情報を受信すること、に応答して、前記ツールの前記配向を決定するように構成されたプロセッサと、を含む、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記患者の解剖学的構造又は前記ツールの一部によって画定される1つ以上の点に関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つを前記レーダベースセンサから受信することに応答して、前記ツールの前記配向を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも2つの点が、前記患者の解剖学的構造及び前記ツールのうちの1つによって画定され、前記少なくとも2つの点に関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つを前記レーダベースセンサから受信することに応答して、前記プロセッサは、前記少なくとも2つの点の間に画定されたベクトルを決定して、前記患者の解剖学的構造又は前記ツールの位置を決定するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも1つの点を画定し、前記患者、前記ツール、及び前記手術環境のうちの1つに取り付けられるように構成された少なくとも1つのトラッカを更に含み、前記プロセッサは、前記トラッカ又は各トラッカに関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つを前記レーダベースセンサから受信することに応答して、前記ツールの前記配向を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも2つの点が、前記少なくとも1つのトラッカによって画定され、前記少なくとも2つの点に関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つを前記レーダベースセンサから受信することに応答して、前記プロセッサは、前記少なくとも2つの点の間に画定されたベクトルを決定して、前記患者の解剖学的構造、前記ツール、又は前記手術環境の位置を決定するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記マウントは、前記レーダベースセンサを前記患者に取り外し可能に固定するように構成されており、前記トラッカ又は各トラッカは、前記ツールに取り付けられるように構成されている、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記マウントは、前記レーダベースセンサを前記外科用ツールに取り外し可能に固定するように構成されており、前記トラッカ又は各トラッカは、前記患者に取り付けられるように構成されている、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項8】
前記トラッカ又は各トラッカに関連する相対距離情報及び方向情報のうちの前記少なくとも1つを受信することに応答して、前記プロセッサは、前記外科用ツールの配向、前記外科用ツールの速度、前記外科用ツールの加速度、前記外科用ツールの角変位、前記外科用ツールの角速度、及び前記外科用ツールの角加速度のうちの少なくとも1つを決定するように構成されている、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
複数の前記トラッカを備え、前記トラッカのうちの少なくともいくつかは、前記手術環境に取り付けられるように構成されており、前記トラッカのうちの前記少なくともいくつかに関連する相対距離情報及び方向情報のうちの前記少なくとも1つを受信することに応答して、前記プロセッサは、前記手術環境に対する前記患者の前記配向を決定するように構成されている、請求項4~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記トラッカ又は各トラッカは、反射マーカである、請求項4~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサに通信可能に接続可能であり、前記手術環境に対する前記患者の前記配向を決定するように動作可能な配向センサを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記配向センサは、前記患者によって画定される少なくとも2つのベクトルを決定するように動作可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記配向センサは、前記レーダベースセンサ及び前記マウントのうちの1つに取り外し可能に固定可能である、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記配向センサ及び前記レーダベースセンサは、共通のハウジングに取り付けられている、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項15】
前記マウントは、前記レーダベースセンサを前記患者に取り外し可能に固定するように構成されており、更なるレーダベースセンサを前記ツールに取り外し可能に固定するように構成された更なるマウントと、複数の前記トラッカと、を含み、少なくとも1つのトラッカは、前記更なるマウント及び前記更なるレーダベースセンサのうちの1つに、前記レーダベースセンサの前記FOV内にあるように取り付けられるように構成されており、少なくとも1つの他のトラッカは、前記更なるレーダベースセンサの前記FOV内にあるように前記患者に取り付けられるように構成されており、前記プロセッサは、前記更なるレーダベースセンサに通信可能に接続され、相対距離情報を受信する、請求項4に記載のシステム。
【請求項16】
信号を発し、前記FOV内にあることを可能にするように前記患者、前記ツール、及び前記手術環境のうちの1つに取り付けられるように構成された少なくとも1つの更なるレーダベースセンサを更に含み、前記レーダベースセンサは、前記更なるレーダベースセンサから前記信号を受信するように動作可能であり、前記プロセッサは、前記更なるレーダベースセンサに関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つを前記レーダベースセンサから受信することに応答して、前記ツールの前記配向を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
手術環境内に位置する患者の解剖学的構造に対する外科用ツールの配向を決定するための術中定位ナビゲーションシステムであって、前記システムは、
視野(FOV)を画定し、前記FOV内の1つ以上の物体までの相対距離、前記1つ以上の物体への方向、及び前記1つ以上の物体の配向のうちの少なくとも1つを決定するように動作可能なレーダベースセンサと、
前記レーダベースセンサを前記環境に対して取り外し可能に固定するように構成されたマウントと、
複数のトラッカであって、各々が前記患者及び前記ツールのうちの1つに取り付けられて、各トラッカが前記FOV内にあることを可能にするように構成されている、複数のトラッカと、
前記レーダベースセンサと通信可能に接続され、前記トラッカの各々に関連する相対距離、方向、及び配向の情報のうちの少なくとも1つを受信することに応答して、前記ツールの前記配向を決定するように構成されたプロセッサと、を含む、システム。
【請求項18】
複数の前記レーダベースセンサと、それぞれの複数のマウントと、を備え、相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つを前記複数のレーダベースセンサから受信することに応答して、前記プロセッサは、前記レーダベースセンサのうちの2つ以上の相対位置を決定するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記2つ以上のレーダベースセンサの前記相対位置を決定することに応答して、前記ツールの前記配向を決定するように更に構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記マウントは、前記レーダベースセンサ又は各レーダベースセンサの一体化部である、請求項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
術中定位ナビゲーションシステムであって、
視野(FOV)を画定し、前記FOV内の1つ以上の物体までの相対距離、前記1つ以上の物体への方向、及び前記1つ以上の物体の配向のうちの少なくとも1つを決定するように動作可能なレーダベースセンサを含む外科用ツールと、
前記レーダベースセンサと通信可能に接続可能であり、前記患者の解剖学的構造及び前記ツールのうちの少なくとも1つに関連する相対距離、方向、及び配向の情報のうちの少なくとも1つを前記レーダベースセンサから受信すること、及び前記患者を取り巻く手術環境に対する前記患者の前記配向に関連する情報を受信すること、に応答して、前記患者の解剖学的構造に対する前記ツールの配向を決定するように構成されている、プロセッサと、を含む、システム。
【請求項22】
前記外科用ツールは、寛骨臼カップインパクタである、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記レーダベースセンサ又は各レーダベースセンサは、ミリ波センサである、請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記患者の解剖学的構造は、骨を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年2月8日に出願された豪州仮特許出願第2021/900293号の優先権を主張し、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、手術中にプロテーゼを患者に移植するために臨床医を誘導するために典型的に使用される術中ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
プロテーゼインプラントを伴う外科的処置では、移植時の患者の身体に対するプロテーゼの配向が処置の成功に重要であり得る。
【0004】
例えば、股関節形成術は、プロテーゼインプラントによる股関節の置換を伴う。インプラントは、寛骨臼(股関節ソケット)内に配置するように設計された寛骨臼カップを含む異なる部品からなり得る。寛骨臼カップは、寛骨臼カップインパクタを使用して所定の位置に配置され、寛骨臼カップインパクタは、一般に、細長いロッドの形態をとり、一端に取り外し可能に固定されたカップを有し、寛骨臼内にカップを挿入及び配向するために使用される。寛骨臼カップが正しく機能し、著しく摩耗しないか又は患者に損傷を与えないようにするには、カップが寛骨臼内で正確に配向及び配置されることが重要である。
【0005】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、物品などに関するいかなる説明も、これらの事項のいずれか又は全てが、従来技術の基礎の一部を形成するか、又は添付の特許請求の範囲の各々の優先日の前に存在した、本開示に関連する分野における技術常識であったことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様では、手術環境内に位置する患者の解剖学的構造に対する外科用ツールの配向を決定するための術中定位ナビゲーションシステムが提供され、このシステムは、視野(FOV)を画定し、FOV内の1つ以上の物体までの相対距離、1つ以上の物体への方向、及び1つ以上の物体の配向のうちの少なくとも1つを決定するように動作可能なレーダベースセンサと、患者及びツールのうちの他方がFOV内にあることを可能にするようにレーダベースセンサを患者及びツールのうちの1つに取り外し可能に固定するように構成されたマウントと、レーダベースセンサと通信可能に接続可能であり、患者及びツールのうちの少なくとも1つに関連する相対距離、方向、及び配向の情報のうちの少なくとも1つをレーダベースセンサから受信すること、及び手術環境に対する患者の配向に関連する情報を受信すること、に応答してツールの配向を決定するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0007】
プロセッサは、患者の解剖学的構造又はツールの一部によって画定される1つ以上の点に関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つをレーダベースセンサから受信することに応答して、ツールの配向を決定するように構成されてもよい。少なくとも2つの点は、患者の解剖学的構造及びツールのうちの1つによって画定されてもよく、少なくとも2つの点に関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つをレーダベースセンサから受信することに応答して、プロセッサは、少なくとも2つの点の間に画定されたベクトルを決定して、患者の解剖学的構造又はツールの位置を決定するように構成される。
【0008】
システムは、少なくとも1つの点を画定し、患者、ツール、及び手術環境のうちの1つに取り付けられるように構成された少なくとも1つのトラッカを更に含んでもよく、プロセッサは、トラッカ又は各トラッカに関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つをレーダベースセンサから受信することに応答してツールの配向を決定するように構成されてもよい。少なくとも2つの点は、少なくとも1つのトラッカによって画定されてもよく、少なくとも2つの点に関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つをレーダベースセンサから受信することに応答して、プロセッサは、少なくとも2つの点の間に画定されたベクトルを決定して、患者の解剖学的構造、ツール、又は手術環境の位置を決定するように構成される。マウントは、レーダベースセンサを患者に取り外し可能に固定するように構成されてもよく、トラッカ又は各トラッカは、ツールに取り付けられるように構成されてもよい。マウントは、レーダベースセンサを外科用ツールに取り外し可能に固定するように構成されてもよく、トラッカ又は各トラッカは、患者に取り付けられるように構成されてもよい。トラッカ又は各トラッカに関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つを受信することに応答して、プロセッサは、外科用ツールの配向、外科用ツールの速度、外科用ツールの加速度、外科用ツールの角変位、外科用ツールの角速度、及び外科用ツールの角加速度のうちの少なくとも1つを決定するように構成されてもよい。
【0009】
このシステムは、複数のトラッカを更に備えてもよく、トラッカのうちの少なくともいくつかは、手術環境に取り付けられるように構成されてもよく、トラッカのうちの少なくともいくつかに関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つを受信することに応答して、プロセッサは、手術環境に対する患者の配向を決定するように構成されてもよい。トラッカ又は各トラッカは、反射マーカであってもよい。
【0010】
システムは、プロセッサに通信可能に接続可能であり、手術環境に対する患者の配向を決定するように動作可能な配向センサを更に含んでもよい。配向センサは、患者によって画定される少なくとも2つのベクトルを決定するように動作可能であってもよい。配向センサは、レーダベースセンサ及びマウントのうちの1つに取り外し可能に固定可能であってもよい。配向センサ及びレーダベースセンサは、共通のハウジングに取り付けられてもよい。
【0011】
マウントは、レーダベースセンサを患者に取り外し可能に固定するように構成されてもよく、システムは、更なるレーダベースセンサをツールに取り外し可能に固定するように構成された更なるマウントと、複数のトラッカと、を含んでもよく、少なくとも1つのトラッカは、レーダベースセンサのFOV内にあるように更なるマウント及び更なるレーダベースセンサのうちの1つに取り付けられるように構成されてもよく、少なくとも1つの他のトラッカは、更なるレーダベースセンサのFOV内にあるように患者に取り付けられるように構成されてもよく、プロセッサは、更なるレーダベースセンサに通信可能に接続されて、相対距離情報を受信してもよい。
【0012】
システムは、信号を発し、FOV内にあることを可能にするように患者、ツール、及び手術環境のうちの1つに取り付けられるように構成された少なくとも1つの更なるレーダベースセンサを更に含んでもよく、レーダベースセンサは、更なるレーダベースセンサから信号を受信するように動作可能であり、プロセッサは、更なるレーダベースセンサに関連する相対距離情報及び方向情報のうちの少なくとも1つをレーダベースセンサから受信することに応答して、ツールの配向を決定するように構成される。
【0013】
本開示の別の態様では、手術環境内に位置する患者の解剖学的構造に対する外科用ツールの配向を決定するための術中定位ナビゲーションシステムが提供され、このシステムは、視野(FOV)を画定し、FOV内の1つ以上の物体までの相対距離、1つ以上の物体への方向、及び1つ以上の物体の配向のうちの少なくとも1つを決定するように動作可能なレーダベースセンサと、環境に対してレーダベースセンサを取り外し可能に固定するように構成されたマウントと、各トラッカがFOV内にあることを可能にするように各々が患者及びツールのうちの1つに取り付けられるように構成された複数のトラッカと、レーダベースセンサと通信可能に接続され、各トラッカに関連する相対距離、方向、及び配向の情報のうちの少なくとも1つを受信することに応答して、ツールの配向を決定するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0014】
本開示の更に別の態様では、術中定位ナビゲーションシステムが提供され、このシステムは、視野(FOV)を画定し、FOV内の1つ以上の物体までの相対距離、1つ以上の物体への方向、及び1つ以上の物体の配向のうちの少なくとも1つを決定するように動作可能なレーダベースセンサを含む外科用ツールと、レーダベースセンサと通信可能に接続可能であり、患者の解剖学的構造及びツールのうちの少なくとも1つに関連する相対距離、方向、及び配向の情報のうちの少なくとも1つをレーダベースセンサから受信すること、及び患者を取り巻く手術環境に対する患者の配向に関連する情報を受信すること、に応答して、患者の解剖学的構造に対するツールの配向を決定するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0015】
本開示の態様のいずれにおいても、マウントは、レーダベースセンサ又は各レーダベースセンサの一体化部であってもよく、外科用ツールは、寛骨臼カップインパクタであってもよく、レーダベースセンサ又は各レーダベースセンサは、ミリ波センサであってもよく、患者の解剖学的構造は、骨を含んでもよい。
【0016】
本開示の態様のいずれも、複数のレーダベースセンサ及びそれぞれの複数のマウントを備えてもよい。このような実施形態において、相対距離、方向、及び配向の情報のうちの少なくとも1つを複数のレーダベースセンサから受信することに応答して、プロセッサは、レーダベースセンサのうちの2つ以上の相対位置を決定するように構成されてもよい。そのような実施形態では、プロセッサは、2つ以上のレーダベースセンサの相対位置を決定することに応答して、ツールの配向を決定するように更に構成されてもよい。
【0017】
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変化形は、定められた要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を包含することを意味するが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を除外することを意味するものではないことが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここで、本開示の実施形態は、もっぱら以下の添付の図面を参照して一例として説明される。
【0019】
図1】術中定位ナビゲーションシステムの実施形態の概略図を示す。
図2】使用中の図1に示される術中定位ナビゲーションシステムの別の実施形態の斜視図を示す。
図3】使用中の図1に示される術中定位ナビゲーションシステムの別の実施形態の斜視図を示す。
図4】使用中の図1に示される術中定位ナビゲーションシステムの別の実施形態の斜視図を示す。
図5】使用中の図1に示される術中定位ナビゲーションシステムの別の実施形態の斜視図を示す。
図6】使用中の図1に示される術中定位ナビゲーションシステムの別の実施形態の斜視図を示す。
図7】使用中の図1に示される術中定位ナビゲーションシステムの別の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<例示的な実施形態の詳細な説明>
図面において、参照番号10は、一般に、手術環境16内に位置する患者の解剖学的構造に対する、寛骨臼カップインパクタなどの外科用ツール12の配向を決定するための術中定位ナビゲーションシステム10を示す。システム10は、視野(FOV)20(図2)を画定し、FOV20内の1つ以上の物体までの相対距離、1つ以上の物体への方向、及び1つ以上の物体の配向のうちの少なくとも1つを決定するように動作可能であるレーダベースセンサ18と、センサ18を患者26及びツール12のうちの一方に取り外し可能に固定して、患者26及びツール12のうちの他方がFOV20内にあることを可能にするように構成されたマウント24と、を含む。システム10は、レーダベースセンサ18と通信可能に接続可能なプロセッサ28を更に含み、患者26及びツール12のうちの少なくとも1つに関連する相対距離、方向、及び/又は配向の情報のうちの少なくとも1つをセンサ18から受信すること、及び手術環境16に対する患者26の配向に関連する情報を受信すること、に応答して、ツール12の配向を決定するように構成されている。
【0021】
図1は、システム10の概略図である。レーダベースセンサ18は、電磁(EM)信号21、27を送受信するように構成される。いくつかの実施形態では、センサ18は、送信された信号21がミリメートル範囲の波長、及び約24~300GHz、及び最も典型的には74GHzを超える周波数を有するように、「ミリメートル(mm)波」レーダセンサとして構成される。いくつかの実施形態において、レーダベースセンサ18は、周波数の範囲を含む信号21の「チャープ」を送信するように動作可能である。他の実施形態(図示せず)では、センサ18は、高周波電波センサなどの代替的なレーダ型センサとして構成される。
【0022】
センサ18は、図1に示すように、信号21を送信し、物体22からセンサ18に戻り反射される信号27などの信号27を受信するように動作可能な少なくとも1つのアンテナ(図示せず)を含む。いくつかの実施形態において、第2のセンサ18は、第1のセンサ18が第2のセンサ18から送信される信号21を受信し得るように、第1のセンサ18のFOV内に配置されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、センサ18は、互いに離間されるように配置された複数のアンテナを含む。複数のアンテナのこの配置は、ビーム形成などによってFOVを画定することを可能にする。FOVは、信号21、27が1つ以上のアンテナによって発信又は受信され得る領域であることを理解されたい。アンテナの数及び配置は、必要な角度分解能を達成するように構成され、特に、角度分解能及び測定精度に関して、より多くのアンテナがシステム性能を向上させるために使用されてもよい。例えば、アンテナは、カスケード接続されたレーダ配置として構成されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、プロセッサ28は、スマートフォン又はサーバなどのコンピューティングデバイスにおいてセンサ18から遠隔にホストされ、プロセッサ28及びセンサ18は、インターネットを介しているいくつかの実施形態において、無線又は有線接続によって通信可能に接続される。他の実施形態において、プロセッサ28は、センサ18の一体構成要素であるように構成されている。外科用ツール12は、寛骨臼カップインパクタ、リーマ、又は切断ブロックなど、患者26に対する配向、位置、速度などを決定することが有益と考えられる任意の好適なツールであってもよい。
【0025】
センサ18は、電磁信号21を送信し、FOV20内の物体22によって画定された1つ以上の点から反射された信号27を受信するように動作可能である。信号21は、パルス及び/又は周波数変調連続波(FMCW)として送信される。受信された信号27は、センサ18及び/又はプロセッサ28によって処理され、1つ以上の局在点とセンサ18との間の相対間隔(「範囲」とも称される)を決定する。センサ18及び/又はプロセッサ28は、2.5mm以内までの相対距離を決定するように構成される。いくつかの用途では、センサ18は、0.25mm以内、及び特定の用途では0.1mm以内、最大約2.5mの範囲で相対距離を決定するように構成される。
【0026】
相対距離は、パルス信号27の飛行時間を計算すること、送信された電磁信号21の位相及び受信された信号27の位相を比較すること、又はこれら及び他のアプローチの組み合わせなど、いくつかの従来の方法で決定され得ることを理解されたい。
【0027】
レーダベースセンサ18は、物体22によって画定される、及び/又は別のセンサ18からの信号伝送の位置によって画定されるなど、FOV内の1つ以上の点の相対距離を測定するように動作可能である。このようにセンサ18を動作させることにより、センサ18及び/又はプロセッサ28は、1つ以上の点に関連するベクトルを決定することができ、ベクトルは、大きさ及び方向を含み、その結果、物体22の位置及び/又は配向を決定することができる。例えば、2つの点がFOV内で識別される場合、センサ18及び/又はプロセッサ20は、センサ18と点のうちの1つとの間の第1のベクトルを決定して、物体22の位置、及び2つの点の間の第2のベクトルを決定して、物体22の配向を決定するように構成されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、レーダベースセンサ18は、物体22の速度を決定するように動作可能である。物体22の速度を計算することは、例えば、反射されたパルス信号27のドップラー効果を分析すること、経時的な位置の変化を計算すること、位相比較、飛行時間、又は位置の微分を適用することによって、従来のアプローチに従って達成され得ることを理解されたい。
【0029】
環境16に対する患者26の配向に関連するプロセッサ28によって受信される情報は、典型的には、長手方向軸など、患者26によって画定される少なくとも1つのベクトルを決定することを含む。少なくとも1つのベクトルは、患者の身体26を横切って、例えば、胸部又は骨盤を横切って、延びる横断ベクトルと、典型的には横断ベクトルに垂直である、患者の体26に沿った、例えば、頭から足までの長手方向ベクトルと、を含み得る。これらのベクトルは、患者26及び/又は環境16の1つ以上のセンサによる直接測定、臨床医によるデータの手動入力、並びに/又は蛍光透視システムなどの外部システムを用いた患者26の身体の走査からデータを取得することによってなどの、一連のアプローチによって取得され得る。
【0030】
いくつかの用途では、術前又は術中のイメージングを使用して、患者の解剖学的構造の三次元(3D)モデルを作成する。代替的に、患者の解剖学的構造の一般的な3Dモデルが用いられる。3Dモデルは、センサ18によって追跡されるポインタで解剖学的構造を探針すること、センサ18による解剖学的構造の直接視覚化、又は解剖学的構造に特異的に適合するように成形された患者固有の3D部分を使用することを含むいくつかの異なる方法によってセンサ18に登録され得る。
【0031】
患者26の直接測定は、患者26を横切って対称的に間隔を置いて横方向ベクトルを導出する2つの点の間を測定することと、多関節手術台又はプラットフォーム(図示せず)によって、プラットフォームの回転軸を中心に患者を回転させて長手方向ベクトルを導出することと、を含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ28は、横方向ベクトルと長手方向ベクトルとの間の外積関数を実行して、横方向ベクトル及び長手方向ベクトルによって定義される仮想平面に垂直である高さベクトルを生成するように構成される。言い換えれば、3つの直交ベクトルを測定及び/又は生成して、3つの直交軸を画定することを可能にする。このプロセスは、3つのベクトルの交点に原点を有する仮想三次元(3D)基準系を決定することを可能にする。次いで、これは、センサ18によって受信された反射信号27と併せて処理されて、例えば、患者26に対する空間内の物体22の位置及び配向を決定し得る。
【0032】
仮想3D基準系は、例えば、トラッカを装着したロッドなどの任意の好適な手段を使用して手術環境16によって画定される2つのベクトルを測定し、2つの測定されたベクトルの外積に基づいて第3の軸を生成することによって形成される所定の3D軸を使用することによって、配向センサなしで決定され得ることを理解されたい。また、仮想3D基準系は、トラッカ(図示せず)が装着されたポインタを使用して、手術環境16及び/又は患者の解剖学的構造によって画定される点を測定することによって判定され得ることも理解されるであろう。
【0033】
いくつかの実施形態では、システム10は、典型的には慣性測定ユニット(IMU)又は姿勢方位基準システム(AHRS)の形態の配向センサ29を含む。配向センサ29は、プロセッサ28に通信可能に接続され、いくつかの実施形態では、有線又は無線接続を介してレーダベースセンサ18にも接続される。配向センサ29は、典型的には、センサ18及びマウント24のうちの1つと取り外し可能に係合するように構成される、又は共通のハウジングによってセンサ18に固定されるなど、レーダベースセンサ18に対して固定可能である。配向センサ29は、手術環境16に対する患者26の配向が、典型的には、患者26、又は患者26の解剖学的構造の一部を軸を中心に回転させることと同時に、重力ベクトルを測定することによって決定されることを可能にするように動作可能である。これは、プロセッサ28によって、横方向ベクトルと組み合わせて処理され、長手方向ベクトルを決定する。配向センサ29は、代替的又は追加的に、複数のジャイロスコープ、加速度計などの任意の好適なセンサを含み得ることを理解されたい。
【0034】
物体22までの距離、物体22への方向、及び/又は物体22の速度を測定することに加えて、レーダベースセンサ18は、同じ物体22上の2つ以上の別個の位置でこれらの値を測定して、物体22の配向、加速度、角変位、角速度、及び角加速度を決定するように構成されてもよい。同様に、センサ18は、2つ以上の物体22の値を同時に測定するように構成され得ることを理解されたい。
【0035】
センサ18を動作させることにより、送信された信号21のうちのいくつかが、物体22によって吸収又は散乱される。信号の吸収及び散乱は、検出された反射信号27又は反射信号が無いことに応答して、プロセッサ28が物体22の異なる特徴又は領域の間を区別することを可能にする。例えば、物体22が異なる材料から形成され、異なる表面仕上げを画定し、又は可変の内部構造を有する場合、反射信号27は散乱され、したがってより拡散し得るか、又は送信された信号21を反射しない場合がある。手術環境では、これは、プロセッサ28が、装置及び患者と、組織、血液、及び骨などの患者の解剖学的構造の態様との間を区別することを可能にするのに有用であり得る。
【0036】
図2は、レーダベースセンサ18が、この実施形態では、マウント24を介して患者の骨14である患者の解剖学的構造に取り外し可能に固定されるように構成されるシステム10の一実施形態100を示す。この実施形態では、マウント24は、骨14と取り外し可能に係合することを可能にする骨ピン36を含む。配向センサ29及びプロセッサ28は、共通のハウジング23内のレーダベースセンサ18に対して固定される。2つ以上の骨ピン36を使用して、レーダベースセンサ18を骨14に取り外し可能に係合させ得ることを理解されたい。
【0037】
システム100は、センサ18のFOV20内に配置されるように外科用ツール12に取り付けられた複数の反射(受動)トラッカ38を更に含む。トラッカ38は、送信された信号21の反射を最適化して、センサ18によるトラッカ38までの相対距離、トラッカ38への方向、及び/又はトラッカ38の配向の決定を強化するように構成される。
【0038】
トラッカ38は、ツール12のシャフト40に固定可能なボーブル、リング、及び/又はカラーなどを含む、信号27の反射を強化するように様々な形態で構成可能である。いくつかの実施形態において、トラッカ38は、3つの垂直に配置された平面を画定して内部コーナを形成するコーナ反射器を含む。コーナ反射器は、入射方向に送信された信号21を反射するように構成され、センサ18による反射信号27の検出を強化することができる。
【0039】
図2に示されるようにセンサ18及びトラッカ38を取り付けることは、センサ18が実質的に静止した基準枠を有することを意味する一方、トラッカ38は、臨床医がツール12の位置を調整する場合に移動する。したがって、トラッカ38は、トラッカ38に関連する相対距離、方向、及び/又は配向の情報のうちの少なくとも1つをセンサ18から受信することに応答して、プロセッサ28が、ツール12の配向を決定及び監視することを可能にする、移動する基準点を画定する。プロセッサ28はまた、図2に示されるように取り付けられたセンサ18及びトラッカ38を用いて、ツール12の速度、位置、加速度、及び/又は他の前述のパラメータのいずれかを決定し得ることを理解されたい。
【0040】
ツール12は、一対のトラッカ38を携えるように示されているが、これは例示的な配置であり、より多くの又はより少ないトラッカ38がツール12に取り付けられて、センサ18によって取得された測定値からツール12の位置及び/又は配向を決定することを可能にし得ることを理解されたい。更に、受動トラッカ38は、能動信号発信トラッカ(図示せず)に置き換えられ得ることを理解されたい。そのような能動トラッカは、典型的には、電力供給され、EM信号を発してセンサ18による検出を可能にするように動作可能である。
【0041】
いくつかの実施形態(図示せず)において、追加のトラッカ38は、手術環境16に取り付けられる。これらがセンサ18のFOV20内に配置されると、これにより、プロセッサ28は、手術環境16に対する患者26の配向を決定することができる。これは典型的には、患者26が外科用プラットフォームによって画定された軸を中心に回転されるなどによって、環境16に取り付けられたトラッカ38に対する患者26の動きを検出することを含む。
【0042】
図3は、レーダベースセンサ18がマウント24を介してツール12のシャフト40に取り外し可能に固定されるように構成されるシステム10の別の実施形態200を示す。この実施形態では、マウント24は、センサ18の一体化部であり、ツール12を取り外し可能に把持するように動作可能なクランプ機構25を含む。配向センサ29(図示せず)は、レーダベースセンサ18とは別個であり、例えば、骨ピン型マウントを介して患者26に固定するように構成される。プロセッサ28は、センサ18から遠隔に位置し、センサ18に通信可能に接続される。
【0043】
トラッカ38は、例示される実施形態では、患者26に取り付けられるように構成されており、センサ18のFOV20内に配置されるように骨14に直接取り付け可能である。この実施形態では、センサ18が臨床医がツール12を動かすことに応答して移動可能な間も、トラッカ38は実質的に静止したままである。これは、実質的に、図2に示される実施形態100の逆配置であり、したがって、ツール22の配向が実質的に同じ方法でプロセッサ28によって決定されることを可能にする。
【0044】
いくつかの実施形態(図示せず)において、図3の実施形態200は、代替的に、レーダベースセンサ18及び任意にプロセッサ28がツール12と一体化され、マウント24が省略されるように構成される。しかしながら、このような実施形態は、統合された電子機器の機能を維持しながら、ツール12を清掃及び滅菌することが実用的かつ費用効果のある用途にのみ適している。
【0045】
図4は、一対のレーダベースセンサ18を含むシステム10の更なる実施形態300を示す。第1のセンサ302は、前述のように、患者の骨14に取り外し可能に固定され、第2のレーダベースセンサ304は、前述のように、ツール12に取り外し可能に固定される。この実施形態は、トラッカ38の2つのセットを含み、第1のセットのトラッカ306は、第1のセンサ302のFOV20内にあるように、センサ304又は関連するマウント24に直接など、第2のセンサ304に対して取り付けられ、第2のセットのトラッカ308は、第2のセンサ304のFOV20内にあるように患者26に取り付けられる。プロセッサ28は、センサ302とセンサ304との両方に通信可能に接続され、トラッカ306、308のいずれかに関連する相対距離、方向、及び配向の情報のうちの少なくとも1つを受信することを可能にするように構成される。
【0046】
実施形態300の代替の配置では、トラッカ306、308は存在せず、代わりに、第1のセンサ302及び第2のセンサ304のうちの1つは、信号を受信しないで送信のみを行うように動作可能である。このシナリオでは、送信専用センサ302、304は、送信専用センサ302、304から反射された信号からの相対距離を測定する他のセンサ302、304に加えて、他のセンサ302、304による角度測定を可能にするような能動トラッカを効果的に提供する。このように動作することは、送信専用センサ302、304の位置と配向との両方が決定されることを可能にする。そのような実施形態では、センサ302、304は、互いに通信するように構成されて較正を可能にし、その結果、送信専用センサ302から他のセンサ304に移動する信号の飛行時間を決定することが可能になり得る。
【0047】
図5は、図3に示される実施形態200と実質的に同一であるが、トラッカ38が省略されているシステム10の別の実施形態400を示す。この実施形態では、プロセッサ28は、骨14によって画定される1つ以上の局所化された点を検出するなど、患者の骨14に関連する相対距離情報を受信することに応答して、ツール12の配向を判定する。センサ18は、骨14から反射された信号27を検出するように動作され、プロセッサ28によって骨のトポグラフィを決定し、その結果、ツール12及び骨14の相対的な配向を決定することを可能にする。例えば、前上腸骨棘又は坐骨結節などの骨目印が、反射基準点として検出され得る。この配置では、センサ18は、EM信号21が骨質量によってのみ反射されるように、皮膚及び組織を通してEM信号21を送信するように動作可能である。
【0048】
図6は、センサ18を手術室(図示せず)の天井又は壁に固定するなど、マウント24がレーダベースセンサ18を手術環境16に対して固定するように構成されたシステム10の実施形態500を示す。任意に、トラッカ38は、患者26及び/又はツール12に取り付けられるように含まれ、構成される。この図では、一対のトラッカ38がツール12のシャフト40に取り付けられている。プロセッサ28は、センサ18に通信可能に接続され、トラッカ38によって画定されるような1つ以上の点に関連する相対距離、方向、及び配向の情報のうちの少なくとも1つを受信することに応答して、ツール12の配向を決定するように動作可能である。
【0049】
いくつかの用途について、センサ18は、送信されたEM信号21が手術環境を通って伝播するように動作可能である。図7に示される更なる実施形態600では、システム10は、複数のレーダベースセンサ18及びそれぞれのマウント24を含み、各センサ18は、プロセッサ28に通信可能に接続されている。いくつかの実施形態において、複数のレーダベースセンサ18及び/又はプロセッサ28の各々は、2つのセンサ18間の相対的な間隔を決定するように動作可能であり、結果として、2つ以上のセンサ18の相対位置及び/又は配向を決定することを可能にする。これは、例えば、EM信号21が侵入できない物体がセンサ18のうちの1つの前に配置される状況において、システム10の冗長性を有用に提供して操作範囲を増大させる。センサ18は、例えば、直接測定によって画定された位置により、又はユーザ入力から、手術環境16内の画定された位置に配置され得ることを理解されよう。
【0050】
システム10は、患者の骨14に対する外科用ツール12の配向を正確に決定するように構成される。これは、典型的には、センサ18から骨14及びツール12のうちの1つまでの距離及び/又は方向の組み合わせを決定し、及び手術環境16に対する患者26の配向を決定することによって達成される。したがって、プロセッサ28によってこれらの要因を処理することは、ツール12の配向を正確に識別すること及び監視することを可能にする。この配向の情報は、寛骨臼カップを寛骨臼と正しく位置合わせし、寛骨臼に挿入するなど、成功した外科的処置の実行を強化できるため、臨床医に有用なものであること示すことができる。
【0051】
レーダベースセンサ18は、送信された信号21の高周波及び結果として生じる反射信号27により、ミリメートルの数分の1ほどの小さな動きを検出するように動作可能である。有利にも、これは、システム10の使用により、ツール12の配向を約1ミリメートルの精度内で決定すること及び監視することを可能になることを意味する。したがって、システム10の精度は、外科用適用の成功を結果的に高め、患者26の改善された結果を提供することができる。
【0052】
システム10は、ツール12上の2つの点の位置のみを測定することによって、ツール12の角度位置を決定することができる。2点のみの測定値を処理することは、計算の複雑さを低減し、結果として、プロセッサ28の効率を高める。その結果、これは、患者26に対するツール12の配向の決定を強化することができる。
【0053】
本開示の広い一般的な範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に多数の変形及び/又は修正が行われ得ることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、本実施形態は、全ての点で例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】