(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】プロセス
(51)【国際特許分類】
C12N 15/53 20060101AFI20240208BHJP
C12P 15/00 20060101ALI20240208BHJP
C12N 9/02 20060101ALI20240208BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240208BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240208BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240208BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240208BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C12N15/53
C12P15/00 ZNA
C12N9/02
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572045
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 AU2022050077
(87)【国際公開番号】W WO2022170385
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523302496
【氏名又は名称】サン・ファーマシューティカル・インダストリーズ・オーストラリア・プロプライエタリ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】リ,シー
(72)【発明者】
【氏名】グラス,サリー・ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー,ギャリック・ウェストリー・カイル
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AE41
4B064CA19
4B064CA21
4B064CB01
4B064CC24
4B064CD04
4B065AA26X
4B065AA88Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BC01
4B065BD34
4B065CA18
4B065CA28
(57)【要約】
本開示は、粗製ケシ抽出物、又はオピエート若しくはオピオイドアルカロイドの精製又は半精製源を使用して、1つ以上のオピエート又はオピオイドアルカロイドを産生するための生体内変換、酵素をコードする核酸分子を含むベクター、該酵素をコードする核酸を発現し、増強された活性を有する修飾酵素を含む微生物細胞に関する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のオピエートアルカロイド又は合成オピオイドアルカロイド又はそれらの誘導体の生体内変換のための方法であって、
1つ以上のオピエートアルカロイド又は合成オピオイドアルカロイド又はそれらの誘導体の、1つ以上の異なるオピエートアルカロイド又は半合成オピオイドアルカロイド又はそれらの誘導体への変換において、少なくとも1つの反応を触媒することができる、1つ以上のポリペプチドをコードする1つ以上の核酸分子で形質転換された宿主細胞を含む調製物を形成するステップと、
前記反応をインキュベートして、1つ以上のオピエートアルカロイド又は半合成オピオイドアルカロイド又はそれらの誘導体の変換を可能にするステップと、任意選択で、
前記1つ以上の変換された異なるオピエートアルカロイド又は半合成オピオイドアルカロイド又はそれらの誘導体を、前記調製物から抽出するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記核酸分子が、
i)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15に記載のヌクレオチド配列、
ii)ヌクレオチド配列であって、前記配列が、(i)で定義された前記ヌクレオチド配列に対する遺伝子コードの結果として縮退する、ヌクレオチド配列、
iii)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15に記載の配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする相補鎖のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、前記核酸分子が、コデイン3-O-デメチラーゼをコードする、核酸分子、
iv)配列番号19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又は31で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
v)アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記アミノ酸配列が、上記iv)に表される少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾されており、コデイン3-O-デメチラーゼ活性を有する、ヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号3に記載されるか、又は配列番号3と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号8に記載されるか、又は配列番号8と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリペプチドが、配列番号21に記載のアミノ酸配列、又は配列番号21と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Dを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリペプチドが、配列番号26に記載のアミノ酸配列、又は配列番号26と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Gを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記核酸分子が、
i)配列番号37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、又は52に記載のヌクレオチド配列、
ii)ヌクレオチド配列であって、前記配列が、(i)で定義された前記ヌクレオチド配列に対する遺伝子コードの結果として縮退する、ヌクレオチド配列、
iii)配列番号37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、又は52の配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする相補鎖のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、前記核酸分子が、コデイン3-O-デメチラーゼをコードする、核酸分子、
iv)配列番号53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、又は68で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
v)アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記アミノ酸配列が、上記iv)に表される少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾されており、コデイン3-O-デメチラーゼ活性を有する、ヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号63に記載されるか、又は配列番号63と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号59に記載されるか、又は配列番号59と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号68に記載されるか、又は配列番号68と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号67に記載されるか、又は配列番号67と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号66に記載されるか、又は配列番号66と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリペプチドが、配列番号63に記載のアミノ酸配列、又は配列番号63と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5K及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリペプチドが、配列番号59に記載のアミノ酸配列、又は配列番号59と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5Kを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリペプチドが、配列番号68に記載のアミノ酸配列、又は配列番号68と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換P4A、I5K、E259G、及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリペプチドが、配列番号67に記載のアミノ酸配列、又は配列番号67と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換P4A、E259G、及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリペプチドが、配列番号66に記載のアミノ酸配列、又は配列番号66と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5K、E259G、及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記核酸分子が、
i)配列番号16に記載のヌクレオチド配列、
ii)ヌクレオチド配列であって、前記配列が、(i)で定義された前記ヌクレオチド配列に対する遺伝子コードの結果として縮退する、ヌクレオチド配列、
iii)配列番号16の配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする相補鎖のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、前記核酸分子が、テバイン6-O-デメチラーゼをコードする、核酸分子、
iv)配列番号32で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
v)アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記アミノ酸配列が、上記iv)に表される少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾されており、テバイン6-O-デメチラーゼ活性を有する、ヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記核酸分子が、
i)配列番号18に記載のヌクレオチド配列、
ii)ヌクレオチド配列であって、前記配列が、(i)で定義された前記ヌクレオチド配列に対する遺伝子コードの結果として縮退する、ヌクレオチド配列、
iii)配列番号18の配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする相補鎖のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、前記核酸分子が、コデイノンレダクターゼをコードする、核酸分子、
iv)配列番号34で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
v)アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記アミノ酸配列が、上記iv)に表される少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾されており、コデイノンレダクターゼ活性を有する、ヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記核酸分子が、
i)配列番号17に記載のヌクレオチド配列、
ii)ヌクレオチド配列であって、前記配列が、(i)で定義された前記ヌクレオチド配列に対する遺伝子コードの結果として縮退する、ヌクレオチド配列、
iii)配列番号17の配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする相補鎖のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、前記核酸分子が、ネオピノンイソメラーゼをコードする、核酸分子、
iv)配列番号33で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
v)アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記アミノ酸配列が、上記iv)に表される少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾されており、ネオピノンイソメラーゼ活性を有する、ヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞が、真核細胞である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞が、原核細胞である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記オピエートアルカロイドが、粗製ケシ抽出物から取得され、Papaver植物から取得される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記Papaver植物が、修飾され、前記植物が、配列番号1若しくは37に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子、又は配列番号1若しくは37に記載のヌクレオチド配列と95~99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされる1、2、又は3個の連結されたコデイン3-O-デメチラーゼ遺伝子について欠失又は変異される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記Papaver植物が、各コデイン3-O-デメチラーゼ遺伝子について欠失され、コデイン3-O-デメチラーゼ活性が、検出不能である、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記Papaver植物が、配列番号16に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子、又は配列番号16に記載のヌクレオチド配列と95~99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされる1、2、3、4、又は5個の連結されたテバイン6-O-デメチラーゼ遺伝子について欠失又は変異される、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記Papaver植物が、各テバイン6-O-デメチラーゼ遺伝子について欠失され、テバイン6-O-デメチラーゼ活性が、検出不能である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記Papaver植物が、修飾され、
コデイン3-O-デメチラーゼをコードする1、2、又は3個の遺伝子に対するゲノム修飾、
テバイン6-O-デメチラーゼをコードする1、2、3、4、又は5個の遺伝子に対するゲノム修飾を含み、
コデイン3-O-デメチラーゼの発現又はコデイン3-O-デメチラーゼの活性が、低減されるか、又は検出不能であり、更に、前記テバイン6-O-デメチラーゼの発現又はテバイン6-O-デメチラーゼの活性が、低減されるか、又は検出不能であり、前記修飾植物が、野生型Papaver somniferum植物と比較した場合にテバインのレベルが上昇しており、コデイン3-O-デメチラーゼをコードする機能遺伝子及びテバイン6-O-デメチラーゼをコードする機能遺伝子を含む、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドであって、前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドの活性が、非修飾コデイン3-O-デメチラーゼと比較した場合に改変される、修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項30】
前記修飾が、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対するものであり、前記ポリペプチドが、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾され、前記コデイン3-O-デメチラーゼが、改変された活性を有する、請求項29に記載の修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項31】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、アミノ酸259位及び/若しくはアミノ酸260位で修飾されているか、又は配列番号19と少なくとも90%同一であり、アミノ酸残基259及び/若しくはアミノ酸残基260に対する修飾を含む、アミノ酸配列を含む、請求項29又は30に記載の修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項32】
前記修飾が、配列番号53に記載のアミノ酸配列に対するものであり、前記ポリペプチドが、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾され、前記コデイン3-O-デメチラーゼが、改変された活性を有する、請求項29に記載の修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項33】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、3、4、5、7、259、357、及び/若しくは360、又はそれらの組み合わせから選択される1つ以上のアミノ酸位置で修飾されるか、あるいは配列番号53と少なくとも90%同一であり、3、4、5、7、259、357、及び/若しくは360、又はそれらの組み合わせから選択される1つ以上のアミノ酸残基位置のコドンに対する修飾を含む、アミノ酸配列を含む、請求項29又は32に記載の修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項34】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、配列番号20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又は31から選択される、請求項29又は30に記載の修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項35】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、配列番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、又は68から選択される、請求項29又は32に記載の修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項36】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、配列番号19又は53に記載のアミノ酸配列で表される野生型コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドと比較した場合に、増強された活性を有する、請求項29~35のいずれか一項に記載のコデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項37】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、配列番号21に記載のアミノ酸配列で表される、請求項29~36のいずれか一項に記載のコデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項38】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、配列番号26に記載のアミノ酸配列で表される、請求項29~36のいずれか一項に記載のコデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項39】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、配列番号63に記載のアミノ酸配列で表される、請求項29~36のいずれか一項に記載のコデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項40】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、配列番号59に記載のアミノ酸配列で表される、請求項29~36のいずれか一項に記載のコデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項41】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、配列番号68に記載のアミノ酸配列で表される、請求項29~36のいずれか一項に記載のコデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項42】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、配列番号67に記載のアミノ酸配列で表される、請求項29~36のいずれか一項に記載のコデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項43】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、配列番号66に記載のアミノ酸配列で表される、請求項29~36のいずれか一項に記載のコデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド。
【請求項44】
請求項29~43のいずれか一項に記載の修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離核酸分子。
【請求項45】
前記核酸分子が、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、若しくは15に記載のヌクレオチド配列を含むか、又は配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、若しくは15と少なくとも90%同一であり、修飾コデイン3-O-デメチラーゼ活性を有する、ヌクレオチド配列を含む、請求項44に記載の単離核酸分子。
【請求項46】
修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号8に記載されるか、又は配列番号8と少なくとも90%同一であり、アミノ酸残基259及び任意選択でアミノ酸残基260のコドンに対する修飾を含む、ヌクレオチド配列を含む、請求項45に記載の単離核酸分子。
【請求項47】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号21と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Dを含む、アミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする、請求項46に記載の単離核酸分子。
【請求項48】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号26と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Gを含む、アミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする、請求項46又は47に記載の単離核酸分子。
【請求項49】
前記核酸分子が、配列番号38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、若しくは52に記載のヌクレオチド配列を含むか、又は配列番号38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、若しくは52と少なくとも90%同一であり、修飾コデイン3-O-デメチラーゼ活性を有する、ヌクレオチド配列を含む、請求項44に記載の単離核酸分子。
【請求項50】
修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号43に記載されるか、又は配列番号43と少なくとも90%同一であり、アミノ酸残基5並びに任意選択でアミノ酸残基360、259、3、7、357、及び/若しくは4のコドンに対する1つ以上の修飾を含む、ヌクレオチド配列を含む、請求項49に記載の単離核酸分子。
【請求項51】
修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号51に記載されるか、又は配列番号51と少なくとも90%同一であり、アミノ酸残基4、360、259並びに任意選択でアミノ酸残基3、7、357、及び/若しくは5のコドンに対する1つ以上の修飾を含む、ヌクレオチド配列を含む、請求項49に記載の単離核酸分子。
【請求項52】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号59と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5Kを含む、アミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする、請求項49又は50に記載の単離核酸分子。
【請求項53】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号63と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5K及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする、請求項49又は50に記載の単離核酸分子。
【請求項54】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号66に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号66と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5K、E259G、及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする、請求項49又は50に記載の単離核酸分子。
【請求項55】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号67と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換P4A、E259G、及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする、請求項49又は51に記載の単離核酸分子。
【請求項56】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号68に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号68と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換P4A、I5K、E259G、及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする、請求項49又は51に記載の単離核酸分子。
【請求項57】
前記核酸分子が、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、前記遺伝コードのために縮重し、請求項29~43のいずれか一項に記載の修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする、請求項44~56のいずれか一項に記載の単離核酸分子。
【請求項58】
請求項44~57のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項59】
請求項44~58のいずれか一項に記載の核酸分子又はベクターで形質転換された、細胞。
【請求項60】
第1のオピエート又はオピオイドアルカロイドの第2のオピエート又はオピオイドアルカロイドへの生体内変換のためのプロセスであって、
請求項29~43のいずれか一項に記載の修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、及び粗製ケシ抽出物、あるいは選択されたオピエート若しくはオピオイドアルカロイドの精製又は半精製源を含む、調製物を形成することと、
前記調製物をインキュベートして、1つ以上のオピエート又はオピオイドアルカロイドの変換を可能にすることと、任意選択で、
前記調製物から前記1つ以上の変換されたオピエート又はオピオイドアルカロイドを抽出することと、を含む、プロセス。
【請求項61】
前記修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが、請求項59に記載の細胞によって発現される、請求項60に記載のプロセス。
【請求項62】
前記第1のオピエートアルカロイドが、テバインであり、前記第2のオピエートアルカロイドが、オリパビンである、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項63】
前記第1のオピエートアルカロイドが、コデインであり、前記第2のオピエートアルカロイドが、モルヒネである、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項64】
前記第1のオピエートアルカロイドが、コデイノンであり、前記第2のオピエートアルカロイドが、モルヒノンである、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項65】
前記第1の半合成オピオイドアルカロイドが、オキシコドンであり、前記第2の半合成オピオイドアルカロイドが、オキシモルホンである、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項66】
前記第1の半合成オピオイドアルカロイドが、ヒドロコドンであり、前記第2の半合成オピオイドアルカロイドが、ヒドロモルホンである、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項67】
前記第1の半合成オピオイドアルカロイドが、ジヒドロコデインであり、前記第2の半合成オピオイドアルカロイドが、ジヒドロモルヒネである、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項68】
前記第1の半合成オピオイドアルカロイドが、14-ヒドロキシコデインであり、前記第2の半合成オピオイドアルカロイドが、14-ヒドロキシモルヒネである、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項69】
前記第1の半合成オピオイドアルカロイドが、ノルオキシコドンであり、前記第2の半合成オピオイドアルカロイドが、ノルオキシモルホンである、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項70】
前記第1の半合成オピオイドアルカロイドが、ノルオキシコデイノンであり、前記第2の半合成オピオイドアルカロイドが、ノルオキシモルヒノンである、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項71】
前記第1の半合成オピオイドアルカロイドが、14-ヒドロキシノルコデイノンであり、前記第2の半合成オピオイドアルカロイドが、14-ヒドロキシノルモルヒノンである、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項72】
前記第1の半合成オピオイドアルカロイドが、14-ヒドロキシコデイノンであり、前記第2の半合成オピオイドアルカロイドが、14-ヒドロキシモルヒノンである、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項73】
前記第1の半合成オピオイドアルカロイドが、ブプレノルフィン中間体(N-シクロプロピルメチル-7α-(2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-2-ブチル)-6,14-エンドエタノ-6,7,8,14-テトラヒドロノルテバイン)であり、前記第2の半合成オピオイドアルカロイドが、ブプレノルフィン((2S)-2-[17-(シクロプロピルメチル)-4,5α-エポキシ-3-ヒドロキシ-6-メトキシ-6α,14-エタノ-14α-モルフィナン-7α-γl]-3,3-ジメチルブタン-2-オール)である、請求項60又は61に記載のプロセス。
【請求項74】
前記第1の半合成オピオイドアルカロイドが、ブプレノルフィン中間体(7-アセチル-6,14-エンドエテノ-6,7,8,14-テトラヒドロテバイン)であり、前記第2の半合成オピオイドアルカロイドが、エトルフィン中間体である、請求項60又は61に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1つ以上のオピエート又はオピオイドアルカロイドを産生するためのプロセスであって、該プロセスが、半合成オピオイドアルカロイドを含むオピエートアルカロイドの変換において、少なくとも1つの反応を触媒する酵素をコードする1つ以上の核酸分子で形質転換された宿主細胞を含む反応混合物を形成することと、混合物を反応させて、該オピエートアルカロイド又は半合成オピオイドアルカロイドを更なるオピエート又はオピオイドアルカロイドへ変換することと、任意選択で、反応混合物の生成物を抽出することと、を含む、プロセスと、該核酸分子を含むベクターと、ポリペプチド及び改変された又は増強された活性を有する修飾ポリペプチドをコードする核酸を発現する宿主細胞と、に関する。
【背景技術】
【0002】
コデイン及びモルヒネなどのオピエートは強力な鎮痛剤であり、中程度から強い痛みを治療するために頻繁に使用される。オキシコドン、オキシモルホン、ナルブフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、又はエトルフィンなどの半合成オピオイドは、コデイン及びモルヒネと比較して低い副作用プロファイルを有することが多いため、貴重な疼痛管理代替をもたらす。
【0003】
モルフィナンアルカロイドの生合成経路は十分に確立されており、ドーパミン及び4-ヒドロキシフェニルアセトアルデヒドから始まり、その後テバインに変換されるR-レチクリンの合成に至る一連の酵素的ステップが含まれる。次いで、テバインは、コデイン3-O-デメチラーゼ(CODM)によってオリパビンに変換されるか、又はテバイン-6-O-デメチラーゼ(T6ODM)の活性を伴ういくつかのステップでコデインに変換される。続いて、コデインは、CODMによる脱メチル化によってモルヒネに変換される。
【0004】
テバインは、一部の半合成オピオイド合成の出発物質である。オピエートアルカロイドは、ラテックスから抽出する、アヘンケシの緑色の種子のさやから、又は乾燥した成熟植物であるケシガラから収穫することができるが、オピエートアルカロイドの需要は一般に利用可能な天然供給量を超えており、高価な化学合成が必要となる。コデイン、モルヒネ、及び半合成オピオイドの化学前駆体であるテバインは、植物内で容易に変換されるため、野生型ケシ植物におけるテバインのレベルは低い。
【0005】
WO2017/122011は、参照によりその全体が組み込まれ、Papaver somniferumにおけるCODM遺伝子をコードするゲノム遺伝子座の特徴付けを開示する。遺伝子座は、ゲノム配列レベルで約99%同一である、3個の密接に関連したCODM遺伝子を含む。酵素活性に影響を及ぼすCODM遺伝子における変異は、コデインの上昇と関連し、CODM遺伝子の各々が欠失している植物では、植物は非常に高いレベルのコデインを有する。EP3398430は、参照によりその全体が組み込まれ、T6ODM遺伝子をコードするゲノム遺伝子座の特徴付けを開示する。座位は、5個のT6ODM遺伝子を含む。T6ODM遺伝子の変異と組み合わせたCODMの3個の遺伝子クラスターの両方で変異を保有するP.somniferum植物では、結果として生じる二重変異は、高いレベルのテバインを示す。CODM及びT6ODMの発現又は活性が検出不能である場合、結果として生じる植物は非常に高いレベルのテバインを有する。
【0006】
例えば、オピエート生体内変換に関与する酵素、又は半合成オピオイドの合成に関与する酵素、例えば、オキシコドン、オキシモルホン、ナルブフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、又はエトルフィンをコードする1つ以上の核酸で形質転換された細菌、真菌、又は植物細胞などの宿主細胞を含む調製物を形成することを含む、1つ以上のオピエート又はオピオイドアルカロイドの1つ以上のオピエート又はオピオイド中間体への変換のためのプロセスを開示する。
【0007】
また、ケシ、例えばP.sominferumから得られる粗製ケシ抽出物の使用、生体内変換を得るために調製物をインキュベートすること、及び任意選択で、形質転換調製物から1つ以上のオピエート又はオピオイドアルカロイドを抽出することを開示する。本開示は、Papaver種からのオピエートアルカロイドのインプランタ抽出の代替として、オピエートアルカロイドのスケール変換を提供する。また、改変又は増強されたCODM活性をもたらすアミノ酸修飾を担持するCODMポリペプチドも開示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一態様によれば、1つ以上のオピエートアルカロイド又は合成オピオイドアルカロイドの生体内変換のための方法であって、
1つ以上のオピエートアルカロイド又は合成オピオイドアルカロイドの、1つ以上の異なるオピエートアルカロイド又は半合成オピオイドアルカロイドへの変換において、少なくとも1つの反応を触媒する、1つ以上のポリペプチドをコードする1つ以上の核酸分子で形質転換された宿主細胞を含む調製物を形成するステップと、
反応をインキュベートして、1つ以上のオピエートアルカロイド又は半合成オピオイドアルカロイドの変換を可能にするステップと、任意選択で、
該1つ以上の変換された異なるオピエートアルカロイド又は半合成オピオイドアルカロイドを、該調製物から抽出するステップと、を含む、方法が提供される。
【0009】
本発明の好ましい方法では、該調製物は、天然起源のオピエートアルカロイドを含む。
【0010】
本発明の別の好ましい方法では、該調製物は、半合成オピオイドアルカロイドを含む。
【0011】
本発明の好ましい方法では、該調製物は、天然オピエートアルカロイド、例えば、コデイン、テバイン、コデイノン、及びモルヒノンを含む、粗製ケシ抽出物を含む。
【0012】
好ましい方法では、該調製物は、テバイン、オリパビン、コデイン、モルヒノン、ネオモルヒノン、ネオピノン、及びコデイノンからなる群から選択されるオピエートアルカロイド、好ましくはテバイン及びコデインを含む。
【0013】
好ましい方法では、該調製物は、コデイン又はテバインを含む。
【0014】
好ましい方法では、該1つ以上の変換されたオピエートアルカロイドは、オリパビン、コデイン、モルヒノン、ネオモルヒノン、ネオピノン、及びコデイノンからなる群から選択され、好ましくはテバイン及びコデインである。
【0015】
好ましい方法では、該1つ以上の変換された異なるオピエートアルカロイドは、オリパビン及びモルヒネである。
【0016】
本発明の別の方法では、該オピオイドアルカロイドは、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ:14-ヒドロキシコデイン、14-ヒドロキシモルヒネ、ノルオキシコドン、ノルオキシモルホン、ノルオキシコデイノン、ノルオキシモルヒノン、14-ヒドロキシノルコデイノン、14-ヒドロキシノルモルヒノン、14-ヒドロキシコデイノン、14-ヒドロキシモルヒノン、ブプレノルフィン中間体、例えば、N-シクロプロピルメチル-7α-(2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-2-ブチル)-6,14-エンドエタノ-6,7,8,14-テトラヒドロノルテバイン又は7-アセチル-6,14-エンドエテノ-6,7,8,14-テトラヒドロテバイン、ブプレノルフィン((2S)-2-[17-(シクロプロピルメチル)-4,5α-エポキシ-3-ヒドロキシ-6-メトキシ-6α,14-エタノ-14α-モルフィナン-7α-γl]-3,3-ジメチルブタン-2-オール)、及びエトルフィン中間体からなる群から選択される半合成オピオイドアルカロイドである。
【0017】
半合成オピオイドアルカロイドの更なる例は、US2019/0144900に開示されており、その全体が参照により組み込まれる。
【0018】
本発明の好ましい方法では、該核酸分子は、
i)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15に記載のヌクレオチド配列、
ii)ヌクレオチド配列であって、該配列が、(i)で定義されたヌクレオチド配列に対する遺伝子コードの結果として縮退する、ヌクレオチド配列、
iii)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15の配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする相補鎖のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該核酸分子が、コデイン3-O-デメチラーゼをコードする、核酸分子、
iv)配列番号19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又は31で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
v)アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、該アミノ酸配列が、上記iv)に表される少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾されており、コデイン3-O-デメチラーゼ活性を有する、ヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列は、配列番号3に記載されるか、又は配列番号3と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0020】
配列相同性は、本明細書に開示される完全長ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列との90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性である。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列は、配列番号8に記載されるか、又は配列番号8と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列は、配列番号1、2、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、及び15からなる群から選択されるか、又は配列番号1、2、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、及び15と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号19に記載されるアミノ酸配列、又は配列番号19と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号20に記載のアミノ酸配列、又は配列番号20と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Kを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号21に記載のアミノ酸配列、又は配列番号21と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Dを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号22に記載のアミノ酸配列、又は配列番号22と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Hを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号23に記載のアミノ酸配列、又は配列番号23と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Qを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号24に記載のアミノ酸配列、又は配列番号24と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Aを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号25に記載のアミノ酸配列、又は配列番号25と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Sを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号26に記載のアミノ酸配列、又は配列番号26と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Gを含む、アミノ酸配列を含むコデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドを含む。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号27に記載のアミノ酸配列、又は配列番号27と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換R260Tを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号28に記載のアミノ酸配列、又は配列番号28と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259G及びR260Tを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号29に記載のアミノ酸配列、又は配列番号29と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換R260Kを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号30に記載のアミノ酸配列、又は配列番号30と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259D及びR260Kを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号31に記載のアミノ酸配列、又は配列番号31と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259G及びR260Kを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0036】
本発明の好ましい方法では、該核酸分子は、
i)配列番号37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、又は52に記載のヌクレオチド配列、
ii)ヌクレオチド配列であって、該配列が、(i)で定義されたヌクレオチド配列に対する遺伝子コードの結果として縮退する、ヌクレオチド配列、
iii)配列番号37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、又は52の配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする相補鎖のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該核酸分子が、コデイン3-O-デメチラーゼをコードする、核酸分子、
iv)配列番号53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、又は68で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
v)アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、該アミノ酸配列が、上記iv)に表される少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾されており、コデイン3-O-デメチラーゼ活性を有する、ヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列は、配列番号37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、及び52からなる群から選択されるか、又は配列番号37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、及び52からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列は、配列番号47に記載されるか、又は配列番号47と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列は、配列番号43に記載されるか、又は配列番号43と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列は、配列番号52に記載されるか、又は配列番号52と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列は、配列番号51に記載されるか、又は配列番号51と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列は、配列番号50に記載されるか、又は配列番号50と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0043】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号53に記載されるアミノ酸配列、又は配列番号53と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0044】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号54に記載のアミノ酸配列、又は配列番号54と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換T3K、P4A、I5K、及びI7Mを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号55に記載のアミノ酸配列、又は配列番号55と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換Y357S及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号56に記載のアミノ酸配列、又は配列番号56と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換T3K、P4A、I5K、I7M、Y357S、及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号57に記載のアミノ酸配列、又は配列番号57と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換T3Kを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号58に記載のアミノ酸配列、又は配列番号58と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換P4Aを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号59に記載のアミノ酸配列、又は配列番号59と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5Kを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号60に記載のアミノ酸配列、又は配列番号60と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I7Mを含む、アミノ酸配列を含むコデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドを含む。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号61に記載のアミノ酸配列、又は配列番号61と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換Y357Sを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0052】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号62に記載のアミノ酸配列、又は配列番号62と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換M360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0053】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号63に記載のアミノ酸配列、又は配列番号63と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5K及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0054】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号64に記載のアミノ酸配列、又は配列番号64と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5K及びE259Gを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0055】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号65に記載のアミノ酸配列、又は配列番号65と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259G及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号66に記載のアミノ酸配列、又は配列番号66と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5K、E259G、及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0057】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号67に記載のアミノ酸配列、又は配列番号67と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換P4A、E259G、及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0058】
本発明の好ましい実施形態では、該コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号68に記載のアミノ酸配列、又は配列番号68と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換P4A、I5K、E259G、及びM360Iを含む、アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0059】
本発明の好ましい方法では、該核酸分子は、
i)配列番号16に記載のヌクレオチド配列、
ii)ヌクレオチド配列であって、該配列が、i)で定義されたヌクレオチド配列に対する遺伝子コードの結果として縮退する、ヌクレオチド配列、
iii)配列番号16の配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする相補鎖のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該核酸分子が、テバイン6-O-デメチラーゼをコードする、核酸分子、
iv)配列番号32で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
v)アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、該アミノ酸配列が、上記iv)に表される少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾されており、テバイン6-O-デメチラーゼ活性を有する、ヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0060】
本発明の好ましい方法では、該核酸分子は、
i)配列番号18に記載のヌクレオチド配列、
ii)ヌクレオチド配列であって、該配列が、i)で定義されたヌクレオチド配列に対する遺伝子コードの結果として縮退する、ヌクレオチド配列、
iii)配列番号18の配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする相補鎖のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該核酸分子が、コデイノンレダクターゼをコードする、核酸分子、
iv)配列番号34で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
v)アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、該アミノ酸配列が、上記iv)に表される少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾されており、コデイノンレダクターゼ活性を有する、ヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0061】
本発明の本発明の好ましい方法では、該核酸分子は、
i)配列番号17に記載のヌクレオチド配列、
ii)ヌクレオチド配列であって、該配列が、i)で定義されたヌクレオチド配列に対する遺伝子コードの結果として縮退する、ヌクレオチド配列、
iii)配列番号17の配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする相補鎖のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該核酸分子が、ネオピノンイソメラーゼをコードする、核酸分子、
iv)配列番号33で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
v)アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、該アミノ酸配列が、上記iv)に表される少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾されており、ネオピノンイソメラーゼ活性を有する、ヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0062】
核酸分子のハイブリダイゼーションは、2つの相補的な核酸分子が互いにある程度の水素結合を受けるときに生じる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、核酸の周囲の環境条件、ハイブリダイゼーション方法の性質、及び使用される核酸分子の組成及び長さに応じて変化し得る。特定の程度のストリンジェンシーを達成するために必要なハイブリダイゼーション条件に関する計算については、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,2001)、及びTijssen,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes Part I,Chapter 2(Elsevier,New York,1993)に記載される。Tmは、核酸分子の所与の鎖の50%がその相補鎖とハイブリダイズする温度である。以下は、ハイブリダイゼーション条件の例示的なセットであり、限定するものではない。
非常に高いストリンジェンシー(少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を共有する配列のハイブリダイズが可能)
ハイブリダイゼーション:5xSSC、65℃、16時間
2回洗浄:2xSSC、室温(RT)、各15分間
2回洗浄:0.5xSSC、65℃、各20分間
高いストリンジェンシー(少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、又は89%の同一性を共有する配列のハイブリダイズが可能)
ハイブリダイゼーション:5x~6xSSC、65℃~70℃、16~20時間
2回洗浄:2xSSC、室温、各5~20分間
2回洗浄:1xSSC、55℃~70℃、各30分間
低いストリンジェンシー(少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、又は79%の同一性を共有する配列のハイブリダイズが可能)
ハイブリダイゼーション:6xSSC、室温~55℃、16~20時間
少なくとも2回洗浄:2x~3xSSC、室温~55℃、各20~30分間。
【0063】
本発明の好ましい方法では、該宿主細胞は、真核細胞である。
【0064】
本発明の好ましい方法では、該真核細胞は、植物細胞、例えば、Papaver種植物細胞、例えば、P.somniferum細胞である。
【0065】
本発明の好ましい方法では、該真核細胞は、微生物細胞、例えば、Saccharomyces cerevisiae細胞又はPichia pastoris細胞である。
【0066】
本発明の別の好ましい方法では、該宿主細胞は、原核細胞である。
【0067】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、該原核細胞は、細菌細胞、例えば、Escherichia coli(E.coli)細胞である。
【0068】
本発明によるプロセスにおいて微生物が生物として使用される場合、それらは、宿主生物に応じて、当業者が精通している方法で増殖又は培養される。微生物は、通常は糖の形態の炭素源、通常は酵母抽出物などの有機窒素源の形態の窒素源、又は硫酸アンモニウムなどの塩、鉄、マンガン、及びマグネシウムの塩などの微量元素を含む液体培地中で、必要に応じて、ビタミンを、0℃~100℃、好ましくは10℃~60℃の温度で、酸素中でガス補給しながら増殖する。
【0069】
液体媒体のpHは、培養期間中に一定に維持されてもよく、調節されてもよく、又はそうでなくてもよい。培養物は、バッチ式、半バッチ式、又は連続的に増殖させることができる。栄養素は、発酵の開始時に提供されてもよく、又は半連続的に若しくは連続的に供給されてもよい。これらの生成物は、当業者に公知のプロセス、例えば、酸又は塩基を用いたpH調整による生成物の可溶性の操作による、水相から不混和性有機溶媒中への、及び不混和性有機溶媒からの外への選択的抽出によって、上述のように生物から単離することができる。溶液の温度、極性、溶液のpH、標的化合物の塩の形成を使用して、標的化合物の溶解性を変化させることによる、吸着剤及び又は結晶の形成を使用した精製により、所望の生成物の単離を可能にする。この目的のために、生物体は有利に事前に破壊され得る。このプロセスにおいて、pH値は、有利には4~12、好ましくはpH6~9、特に好ましくはpH7~8に維持される。
【0070】
既知の栽培方法の概要は、Chmielによる教科書(BioprozeBtechnik 1.Einfuhrung in die Bioverfahrenstechnik [Bioprocess technology 1.Introduction to Bioprocess technology](Gustav Fischer Verlag,Stuttgart,1991))又はStorhasによる教科書(Bioreaktoren und periphere Einrichtungen[Bioreactors and peripheral equipment](Vieweg Verlag,Brunswick/Wiesbaden,1994))に見出すことができる。
【0071】
使用する培地は、問題の菌株の要件を満たす必要がある。様々な微生物の培養培地の説明は、米国細菌学会の教科書「Manual of Methods for General Bacteriology」(Washington D.C.,USA,1981)に記載されている。
【0072】
上述したように、本発明に従って使用できるこれらの培地は、通常、1つ以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン及び/又は微量元素を含む。
【0073】
好ましい炭素源は、単糖類、二糖類、又は多糖類などの糖類である。炭素源の例は、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプン、又はセルロースである。糖は、糖蜜又は精製糖からの他の副産物などの複雑な混合物を介して培地に添加され得る。様々な炭素源の混合物の添加も有利であり得る。他の可能性のある炭素源は、油脂、例えば、大豆油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、及び/若しくはココナッツ脂肪、脂肪酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、及び/若しくはリノール酸、アルコール及び/又は多価アルコール、例えば、グリセロール、メタノール、及び/若しくはエタノール、並びに/又は有機酸、例えば、酢酸及び/若しくは乳酸である。
【0074】
窒素源は通常、有機若しくは無機の窒素化合物、又はこれらの化合物を含む材料である。窒素源の例は、液体若しくは気体形態のアンモニア、又はアンモニウム塩、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、若しくは硝酸アンモニウム、ナイトレート、尿素、アミノ酸、又は複合窒素源、例えば、コーンスティープリカー、大豆ミール、大豆タンパク質、酵母抽出物、肉エキスなどを含む。窒素源は、個別に又は混合物として使用することができる。
【0075】
培地中に存在し得る無機塩化合物には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅、及び鉄の塩化物、リン、並びに硫酸塩が含まれる。
【0076】
無機硫黄含有化合物、例えば、サルフェート、サルファイト、ジチオナイト、テトラチオネート、チオスルファト、スルフィドなど、又は有機硫黄化合物、例えば、メルカプタン及びチオールは、硫黄含有ファインケミカル、特にメチオニンの産生のための硫黄源として使用され得る。
【0077】
リン酸、リン酸二水素カリウム、若しくはリン酸水素二カリウム、又は対応するナトリウム含有塩をリン源として使用することができる。
【0078】
金属イオンを溶液中に維持するために、キレート剤を培地に添加してもよい。特に好適なキレート剤は、カテコール又はプロトカテコールなどのジヒドロキシフェノール、及びクエン酸などの有機酸を含む。
【0079】
微生物を培養するために本発明に従って使用される発酵培地は、通常、例えば、ビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテナート、及びピリドキシンを含む、ビタミン又は成長促進剤などの他の成長因子も含む。成長因子及び塩は、酵母抽出物、糖蜜、コーンスティープリカーなどの複合培地成分に由来することが多い。更に、好適な前駆体を培養培地に添加することが可能である。培地化合物の正確な組成は、特定の実験に大きく依存し、それぞれの特定の事例について個別に決定される。メディアの最適化に関する情報は、教科書「Applied Microbiol. Physiology,A Practical Approach」(Editors P.M.Rhodes,P.F. Stanbury,IRL Press(1997)pp.53-73,ISBN 0 19 963577 3)に見出すことができる。成長培地はまた、例えば、標準1(Merck)又はBHI(脳心臓注入、DIFCO)など商業供給業者から取得することができる。
【0080】
全ての培地成分は、熱(1.5バール及び121℃で20分)又はフィルター滅菌のいずれかによって滅菌される。成分は、一緒に又は必要に応じて、別々に滅菌されてもよい。全ての培地成分は、培養の開始時に存在してもよく、又は必要に応じて、連続的に若しくはバッチ式で添加されてもよい。
【0081】
培養温度は通常、15℃~45℃、好ましくは25℃~40℃であり、一定に維持されてもよく、又は実験中に変更されてもよい。媒体のpHは、5.0~8.5、好ましくは7.0の範囲内である必要がある。培養のためのpHは、培養中に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、及び水性アンモニアなどの塩基性化合物、又はリン酸、酢酸、若しくは硫酸などの酸性化合物を添加することにより制御することができる。発泡は、例えば、脂肪酸ポリグリコールエステルなどの消泡剤を用いることによって制御することができる。プラスミドの安定性を維持するために、選択的効果を有する好適な物質、例えば、抗生物質を培地に添加することが可能である。好気的条件は、酸素又は酸素含有ガス混合物、例えば、周囲空気を培養物に導入することによって維持される。培養温度は、通常20℃~45℃、好ましくは25℃~40℃である。培養は、所望の生成物の形成が最大になるまで継続される。この目標は、通常10~160時間以内に達成される。
【0082】
このようにして得られる多価不飽和脂肪酸を含む発酵ブロスは、通常、7.5重量%~25重量%の乾燥質量を含む。
【0083】
その後、発酵ブロスを更に処理することができる。バイオマスは、必要に応じて、例えば、遠心分離、濾過、デカント、又はこれらの方法の組み合わせなどの分離方法によって、発酵ブロスから完全に又は部分的に除去されてもよく、又は該ブロスに完全に残されてもよい。その分離後にバイオマスを処理することが有利である。
【0084】
しかしながら、発酵ブロスは、例えば、回転式蒸発器、薄膜蒸発器、流下膜式蒸発器、逆浸透又はナノ濾過などの公知の方法を使用して、細胞を分離することなく濃厚又は濃縮することができる。最後に、この濃縮発酵ブロスを処理して、その中に存在するオピエートアルカロイドを得ることができる。
【0085】
本発明の好ましい方法では、該粗製ケシ抽出物は、Papaver somniferum又はPapaver bracteatum植物から取得される。
【0086】
抽出方法の最適化に関する情報は、教科書「Natural Product Extraction,Principles and Applications」(M Rostagno and J Prado編集,RSC出版(2013),ISBN 978 1 84973 606 0)に見出すことができる。
【0087】
好ましくは、該Papaver種は、1つ以上のオピエートアルカロイドを高いレベルで、天然で含む。
【0088】
本発明の別の好ましい方法では、該Papaver種は、修飾され、該修飾は、ゲノム修飾であり、該ゲノム修飾は、オピエートアルカロイド含量の上昇と関連する。
【0089】
本発明の好ましい方法では、該Papaver種は、P.somniferumであり、該修飾は、1つ以上のコデイン3-O-デメチラーゼにおける変異である。
【0090】
本発明の好ましい方法では、該P.somniferum植物は、修飾され、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子、又は配列番号1に記載のヌクレオチド配列と95~99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされる1、2、又は3個の連結されたコデイン3-O-デメチラーゼ遺伝子について欠失又は変異される。
【0091】
本発明の好ましい方法では、該P.somniferum植物は、修飾され、配列番号37に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子、又は配列番号37に記載のヌクレオチド配列と95~99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされる1、2、又は3個の連結されたコデイン3-O-デメチラーゼ遺伝子について欠失又は変異される。
【0092】
本発明の好ましい方法では、該P.somniferum植物は、配列番号35に記載のヌクレオチド配列を含む、若しくはそれからなる核酸分子の全部又は一部を欠失させることによって修飾され、1、2、又は3個の連結されたコデイン3-O-デメチラーゼ遺伝子が、欠失又は変異される。
【0093】
本発明の好ましい方法では、該P.somniferum植物は、各コデイン3-O-デメチラーゼ遺伝子について欠失され、コデイン3-O-デメチラーゼ活性が、検出不能である。
【0094】
「遺伝子」という用語は、オープンリーディングフレームに限定されず、プロモーター領域及び他の制御配列にも拡張され得る。例えば、酵素の活性は、欠失又は変異された制御領域に起因して検出不能とすることができ、それにより、遺伝子発現、及びその後の酵素活性の欠如がもたらされる。
【0095】
本発明の好ましい方法では、該P.somniferum植物は、修飾を含み、該修飾は、1つ以上のテバイン6-O-デメチラーゼにおける欠失又は変異である。
【0096】
本発明の好ましい方法では、該P.somniferum植物は、修飾され、配列番号16に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子、又は配列番号16に記載のヌクレオチド配列と95~99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされる1、2、3、4、又は5個の連結されたテバイン6-O-デメチラーゼ遺伝子について欠失又は変異される。
【0097】
本発明の好ましい方法では、該P.somniferum植物は、配列番号36に記載のヌクレオチド配列を含む、若しくはそれからなる核酸分子の全部又は一部を欠失させることによって修飾され、1、2、3、4、又は5個の連結されたテバイン6-O-デメチラーゼ遺伝子が、欠失又は変異される。
【0098】
本発明の好ましい方法では、該P.somniferum植物は、各テバイン6-O-デメチラーゼ遺伝子について欠失され、6-O-デメチラーゼ活性が、検出不能である。
【0099】
本発明の好ましい方法では、該P.somniferum植物は、修飾され、
コデイン3-O-デメチラーゼをコードする1、2、又は3個の遺伝子に対するゲノム修飾、
テバイン6-O-デメチラーゼをコードする1、2、3、4、又は5個の遺伝子に対するゲノム修飾を含み、
コデイン3-O-デメチラーゼの発現又はコデイン3-O-デメチラーゼの活性は、低減されるか、又は検出不能であり、更に、該テバイン6-O-デメチラーゼの発現又はテバイン6-O-デメチラーゼの活性は、低減されるか、又は検出不能であり、修飾植物は、野生型P.somniferum植物と比較した場合にテバインのレベルが上昇しており、コデイン3-O-デメチラーゼをコードする機能遺伝子及びテバイン6-O-デメチラーゼをコードする機能遺伝子を含む。
【0100】
本発明の更なる態様によれば、修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドが提供され、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドの活性は改変される。
【0101】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対するものであり、該ポリペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾される。
【0102】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸259位で修飾される。
【0103】
本発明の別の実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸260位で修飾される。
【0104】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸259位及び260位で修飾される。
【0105】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又は31からなる群から選択される。
【0106】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾は、配列番号53に記載のアミノ酸配列に対するものであり、該ポリペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって修飾される。
【0107】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸3位で修飾される。
【0108】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸4位で修飾される。
【0109】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸5位で修飾される。
【0110】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸7位で修飾される。
【0111】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸259位で修飾される。
【0112】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸357位で修飾される。
【0113】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸360位で修飾される。
【0114】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸3位、4位、5位、7位、259位、357位、及び/若しくは360位、又はそれらの組み合わせで修飾され、任意選択で、i)357及び360、ii)5及び360、iii)5及び259、iv)259及び360、v)5、259、及び360、vi)4、259、及び360、vii)4、5、259、及び360、viii)3、4、5、及び7、並びにix)3、4、5、7、357、及び360からなる群から選択される位置で修飾される。
【0115】
好ましくは、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、アミノ酸3位、4位、5位、7位、259位、260位、357位、及び/若しくは360位、又はそれらの組み合わせで修飾される。
【0116】
本発明の別の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、又は68からなる群から選択される。
【0117】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号19に記載のアミノ酸配列によって表される野生型コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドと比較した場合に、増強された活性を有する。
【0118】
本発明の好ましい実施形態では、該増強されたコデイン3-O-デメチラーゼ活性は、配列番号19に記載のアミノ酸配列によって表される野生型コデイン3-O-デメチラーゼと比較した場合に、少なくとも10%高い。
【0119】
本発明の好ましい実施形態では、該増強されたコデイン3-O-デメチラーゼ活性は、配列番号19に記載のアミノ酸配列によって表される野生型コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドと比較した場合に、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%高い。
【0120】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号21に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0121】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号26に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0122】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号22、23、24、25、27、28、29、30、及び31に記載の配列からなる群から選択されるアミノ酸配列によって表される。
【0123】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号53に記載のアミノ酸配列によって表される野生型コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドと比較した場合に、増強された活性を有する。
【0124】
本発明の好ましい実施形態では、該増強されたコデイン3-O-デメチラーゼ活性は、配列番号53に記載のアミノ酸配列によって表される野生型コデイン3-O-デメチラーゼと比較した場合に、少なくとも10%高い。
【0125】
本発明の好ましい実施形態では、該増強されたコデイン3-O-デメチラーゼ活性は、配列番号53に記載のアミノ酸配列によって表される野生型コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドと比較した場合に、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%高い。
【0126】
コデイン及びテバインは、コデイン 3-O-デメチラーゼ ポリペプチドの基質である。コデイン及びテバインに対するコデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドの基質特異性が、特定の変異に応じて変化し得ることを開示する。これは、野生型酵素を使用した場合に得られる収量と比較した場合、及びモルヒネ収量と比較した場合のオリパビン収量の低減によって測定可能である。例えば、
図5を参照されたい。4時間後、I7M株のオリパビンに対するテバインの収率の平均はわずか6%であったのに対し、WT CODM発現株では47%であった。一方、コデインからモルヒネへの収率の平均は、I7M及びWT CODM発現株でそれぞれ32%及び47%であった。
【0127】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号53又は19に記載のアミノ酸配列によって表される野生型コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドと比較した場合に、改変された基質特異性を有する。
【0128】
本発明の好ましい実施形態では、該改変された基質特異性は、野生型の収率と比較した場合のオリパビンの収率の増加又は減少によって表される。
【0129】
本発明の好ましい実施形態では、該改変された基質特異性は、野生型の収率と比較した場合のモルヒネの収率の増加又は減少によって表される。
【0130】
本発明の好ましい実施形態では、配列番号54、55、56、60、及び61は、コデインと比較した場合、及び野生型と比較した場合に、テバインに対してより高い基質特異性を示す。
【0131】
本発明の好ましい実施形態では、配列番号57、58、59、62、63、64、65、66、67、及び68は、テバインと比較した場合、及び野生型と比較した場合に、コデインに対してより高い基質特異性を示す。
【0132】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、67、及び68からなる群から選択されるアミノ酸配列によって表される。
【0133】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号49に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0134】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号55に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0135】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号56に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0136】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号57に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0137】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号58に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0138】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号59に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0139】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号60に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0140】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号61に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0141】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号62に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0142】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号65に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0143】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号64に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0144】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号68に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0145】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号67に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0146】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号66に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0147】
本発明の好ましい実施形態では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、配列番号63に記載のアミノ酸配列によって表される。
【0148】
本発明の更なる態様によれば、本発明による修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離核酸分子が提供される。
【0149】
本発明の好ましい実施形態では、該核酸分子は、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、若しくは15に記載のヌクレオチド配列を含むか、又は配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、若しくは15と少なくとも90%同一であり、修飾コデイン3-O-デメチラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする配列を含む、ヌクレオチド配列を含む。
【0150】
本発明の好ましい実施形態では、該核酸分子は、配列番号38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、若しくは52に記載のヌクレオチド配列を含むか、又は配列番号38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、若しくは52と少なくとも90%同一であり、修飾コデイン3-O-デメチラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む。
【0151】
本発明の好ましい実施形態では、該核酸分子は、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含み、該配列は、修飾され、該修飾は、アミノ酸残基259及び/又は260のコドンに対するものである。
【0152】
本発明の好ましい実施形態では、該核酸分子は、配列番号37に記載のヌクレオチド配列を含み、該配列は、修飾され、該修飾は、アミノ酸残基3、4、5、7、259、357、及び/又は360のコドンに対するものである。
【0153】
本発明の好ましい実施形態では、該核酸分子は、配列番号3に記載の修飾コデイン3-O-デメチラーゼをコードするヌクレオチド配列を含むか、又は配列番号3と少なくとも90%同一であり、アミノ酸残基259、及び任意選択で更に、260のコドンに対する修飾を含む、ヌクレオチド配列を含む。
【0154】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号8に記載の修飾コデイン3-O-デメチラーゼをコードするか、又は配列番号8と少なくとも90%同一であり、アミノ酸残基259、及び任意選択で更に、260のコドンに対する修飾を含む、ヌクレオチド配列を含む。
【0155】
本発明の好ましい実施形態では、該核酸分子は、配列番号2、4、5、6、7、10、12、13、14、及び15からなる群から選択される修飾コデイン3-O-デメチラーゼをコードするヌクレオチド配列を含むか、又は配列番号2、4、5、6、7、10、12、13、14、及び15からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一であり、アミノ酸残基259、及び任意選択で更に、260のコドンに対する修飾を含む、ヌクレオチド配列を含む。
【0156】
本発明の好ましい実施形態では、該核酸分子は、配列番号9及び11からなる群から選択される修飾コデイン3-O-デメチラーゼをコードするヌクレオチド配列を含むか、又は配列番号9及び11からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一であり、アミノ酸残基260、及び任意選択で更に、259のコドンに対する修飾を含む、ヌクレオチド配列を含む。
【0157】
本発明の好ましい実施形態では、修飾コデイン3-O-デメチラーゼをコードする該ヌクレオチド配列は、配列番号38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、及び52からなる群から選択されるか、又は配列番号38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、及び52からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一であり、3、4、5、7、259、357、及び360からなる群から選択されるアミノ酸残基のコドン、並びに任意選択で、i)357及び360、ii)5及び360、iii)5及び259、iv)259及び360、v)5、259、及び360、vi)4、259、及び360、vii)4、5、259、及び360、viii)3、4、5、及び7、並びにix)3、4、5、7、357、及び360からなる群から選択されるそれらの組み合わせに対する修飾を含む、ヌクレオチド配列を含む。
【0158】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号20と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Kを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0159】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号21と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Dを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0160】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号22と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Hを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0161】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号23と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Qを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0162】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号24に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号24と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Aを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0163】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号25と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Sを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0164】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号26と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259Gを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0165】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号27と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換R260Tを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0166】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号28と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259G及びR260Tを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0167】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号29と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換R260Kを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0168】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号30と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259D及びR260Kを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0169】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号31と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259G及びR260Kを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0170】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号54に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号54と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換T3K、P4A、I5K、及びI7Mを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0171】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号55と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換Y357S及びM360Iを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0172】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号56と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換T3K、P4A、I5K、I7M、Y357S、及びM360Iを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0173】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号57に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号57と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換T3Kを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0174】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号58に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号58と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換P4Aを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0175】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号59と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5Kを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0176】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号60と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I7Mを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0177】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号61に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号61と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換Y357Sを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0178】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号62と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換M360Iを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0179】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号63と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5K及びM360Iを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0180】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号64と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5K及びE259Gを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0181】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号65に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号65と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換E259G及びM360Iを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0182】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号66に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号66と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換I5K、E259G、及びM360Iを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0183】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号67と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換P4A、E259G、及びM360Iを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0184】
本発明の好ましい実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号68に記載のアミノ酸配列を含む修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、又は配列番号68と少なくとも90%同一であり、アミノ酸置換P4A、I5K、E259G、及びM360Iを含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードする。
【0185】
本発明の好ましい実施形態では、該核酸分子は、ヌクレオチド配列を含み、該ヌクレオチド配列は、遺伝コードのために縮重し、本発明による修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドをコードする。
【0186】
本発明の更なる態様によれば、本発明による核酸分子を含む発現ベクターが提供される。
【0187】
本発明の好ましい実施形態では、該発現ベクターは、該核酸分子と作動可能に連結されたプロモーターを含む。
【0188】
本発明の好ましい実施形態では、該プロモーターは、構成的プロモーターである。
【0189】
本発明の代替的な好ましい実施形態では、該プロモーターは、制御可能である。
【0190】
好ましくは、該プロモーターは、作動可能に連結された核酸の誘導発現を提供するように誘導可能である。
【0191】
好ましくは、該発現ベクターは、微生物宿主細胞における発現に適合される。
【0192】
本発明の態様によれば、本発明による核酸分子又はベクターで形質転換された細胞が提供される。
【0193】
本発明の好ましい実施形態では、該宿主細胞は、真核細胞である。
【0194】
本発明の好ましい実施形態では、該真核細胞は、植物細胞、例えば、Papaver種植物細胞、例えば、P.somniferumである。
【0195】
本発明の好ましい実施形態では、該真核細胞は、微生物細胞、例えば、Saccharomyces cerevisiae細胞又はPichia pastoris細胞である。
【0196】
本発明の別の好ましい実施形態では、該宿主細胞は、原核細胞である。
【0197】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、該原核細胞は、細菌細胞、例えば、Escherichia coli細胞である。
【0198】
本発明の更なる態様によれば、本発明による細胞を含む細胞培養物が提供される。
【0199】
本発明の更なる態様によれば、本発明による細胞培養を含む発酵槽が提供される。
【0200】
本発明の更なる態様によれば、第1のオピエート又はオピオイドアルカロイドの第2のオピエート又はオピオイドアルカロイドへの生体内変換のためのプロセスであって、
本発明による修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチド、及び粗製ケシ抽出物、あるいは選択されたオピエート若しくはオピオイドアルカロイドの精製又は半精製源を含む、調製物を形成することと、
調製物をインキュベートして、1つ以上のオピエート又はオピオイドアルカロイドの変換を可能にすることと、任意選択で、
該調製物から該1つ以上の変換されたオピエート又はオピオイドアルカロイドを抽出することと、を含む、プロセスが提供される。
【0201】
本発明の好ましい方法では、該修飾コデイン3-O-デメチラーゼポリペプチドは、本発明による細胞によって発現される。
【0202】
本発明の好ましい方法では、該第1のオピエートアルカロイドは、天然のオピエートアルカロイドである。
【0203】
本発明の別の方法では、該第1のオピエートアルカロイドは、半合成オピオイドアルカロイドである。
【0204】
本発明の好ましい方法では、該第1のオピエートアルカロイドは、テバインであり、該第2のオピエートアルカロイドは、オリパビンである。
【0205】
本発明の別の好ましい方法では、該第1のオピエートアルカロイドは、コデインであり、該第2のオピエートアルカロイドは、モルヒネである。
【0206】
本発明の更に別の方法では、該第1のオピエートアルカロイドは、コデイノンであり、該第2のオピエートアルカロイドは、モルヒノンである。
【0207】
本発明の更に別の方法では、該第1の半合成オピオイドアルカロイドは、オキシコドンであり、該第2の半合成オピオイドアルカロイドは、オキシモルホンである。
【0208】
本発明の更に別の方法では、該第1の半合成オピオイドアルカロイドは、ヒドロコドンであり、該第2の半合成オピオイドアルカロイドは、ヒドロモルホンである。
【0209】
本発明の更に別の方法では、該第1の半合成オピオイドアルカロイドは、ジヒドロコデインであり、該第2の半合成オピオイドアルカロイドは、ジヒドロモルヒネである。
【0210】
本発明の更に別の方法では、該第1の半合成オピオイドアルカロイドは、14-ヒドロキシコデインであり、該第2の半合成オピオイドアルカロイドは、14-ヒドロキシモルヒネである。
【0211】
本発明の更に別の方法では、該第1の半合成オピオイドアルカロイドは、ノルオキシコドンであり、該第2の半合成オピオイドアルカロイドは、ノルオキシモルホンである。
【0212】
本発明の更に別の方法では、該第1の半合成オピオイドアルカロイドは、ノルオキシコデイノンであり、該第2の半合成オピオイドアルカロイドは、ノルオキシモルヒノンである。
【0213】
本発明の更に別の方法では、該第1の半合成オピオイドアルカロイドは、14-ヒドロキシノルコデイノンであり、該第2の半合成オピオイドアルカロイドは、14-ヒドロキシノルモルヒノンである。
【0214】
本発明の更に別の方法では、該第1の半合成オピオイドアルカロイドは、14-ヒドロキシコデイノンであり、該第2の半合成オピオイドアルカロイドは、14-ヒドロキシモルヒノンである。
【0215】
本発明の更に別の方法では、該第1の半合成オピオイドアルカロイドは、ブプレノルフィン中間体(N-シクロプロピルメチル-7α-(2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-2-ブチル)-6,14-エンドエタノ-6,7,8,14-テトラヒドロノルテバイン)であり、該第2の半合成オピオイドアルカロイドは、ブプレノルフィン((2S)-2-[17-(シクロプロピルメチル)-4,5α-エポキシ-3-ヒドロキシ-6-メトキシ-6α,14-エタノ-14α-モルフィナン-7α-γl]-3,3-ジメチルブタン-2-オール)である。
【0216】
本発明の更に別の方法では、該第1の半合成オピオイドアルカロイドは、ブプレノルフィン中間体(7-アセチル-6,14-エンドエテノ-6,7,8,14-テトラヒドロテバイン)であり、該第2の半合成オピオイドアルカロイドは、エトルフィン中間体である。
【0217】
半合成オピエートアルカロイドの更なる例は、US2019/0144900に開示されており、その全体が参照により組み込まれる。
【0218】
本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む(comprise)」及び「含有する(contain)」並びにこれらの語の変化形態、例えば、「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含む(includes)」、「含むがこれらに限定されない」ことを意味し、他の部分、添加物、構成要素、整数、又はステップを除外するようには意図されていない(かつ除外しない)。「本質的になる」とは、必須整数を有するが、必須整数の関数に重大な影響を与えない整数を含むことを意味する。
【0219】
本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通じて、文脈上別段の解釈を必要としない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈上別段の解釈を必要としない限り、明細書は、複数の単数性を企図するものとして理解されるべきである。
【0220】
本発明の特定の態様、実施形態、又は実施例と併せて記載される特徴、整数、特徴、化合物、化学的部分、又は基は、矛盾しない限り、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態、又は実施例に適用されると理解されるべきである。
【0221】
ここで、本発明の実施形態は、以下の図及び表を参照しながら、例示のみで説明される:
【図面の簡単な説明】
【0222】
【
図1】Papaver somniferumにおけるテバインからモルヒネへの変換経路;
【
図2】A)野生型(WT)CODMで得られた収率と比較してCODM変異発現によって産生されたオリパビン及びモルヒネの収率。259位での異なるアミノ酸を有するCODM変異体、又はWT CODMを発現する株を使用して、オリパビンの場合は4時間、モルヒネの場合は30分間、生体内変換を実施した。データは、3つの独立した複製の平均±標準偏差である。B)WT CODM及びCODM変異発現の代表的なSDS-PAGE画像。値は、デンシオメトリック分析によって決定されたWT CODMに対する相対的な発現を示し、データは、3つの独立した複製の平均±標準偏差である;
【
図3】A)野生型(WT)CODMで得られた収率と比較してCODM変異発現によって産生されたオリパビン及びモルヒネの収率。259位、260位、若しくは259位及び260位の両方での異なるアミノ酸を有するCODM変異体、又はWT CODMを発現する株を使用して、オリパビンの場合は4時間、モルヒネの場合は30分間、生体内変換を実施した。データは、3つの独立した複製の平均±標準偏差である。B)WT CODM及びCODM変異発現の代表的なSDS-PAGE画像。値は、デンシオメトリック分析によって決定されたWT CODMに対する相対的な発現を示し、データは、3つの独立した複製の平均±標準偏差である;
【
図4】生体内変換の関数としてのオリパビンの産生は、基質として純粋なテバイン又はテバイン粗抽出物、及び野生型CODMを発現する細胞を使用して進行する。データは、2つの独立した複製の平均±標準偏差である。
【
図5】A)野生型(WT)CODMで得られた収率と比較してCODM変異発現によって産生されたオリパビン及びモルヒネの収率。単一アミノ酸残基変化(T3K、P4A、I5K、I7M、Y357S、又はM360I)、又は複数部位での変異;1)T3K+P4A+I5K+I7M、2)Y357S+M360I、及び3)T3K+P4A+I5K+I7M+Y357S+M360Iを有するCODM変異体、又はWT CODMを発現する株を使用して、生体内変換を実施した。オリパビンの収率を4時間後、モルヒネを30分後にアッセイした。データは、3つの独立した複製の平均±標準偏差である。B)WT CODM及びCODM変異タンパク質発現の代表的なSDS-PAGE画像。値は、デンシオメトリック分析によって決定されたWT CODMに対する相対的な発現を示し、データは、3つの独立した複製の平均±標準偏差である。
【
図6】A)野生型(WT)CODMで得られた収率と比較してCODM変異発現によって産生されたオリパビン及びモルヒネの収率。P4A、I5K、E259G、及びM360I変異の組み合わせ、若しくはI5K単一変異を有するCODM変異体、又はWT CODMを発現する株を使用して、生体内変換を実施した。オリパビンの収率を4時間後、モルヒネを30分後にアッセイした。データは、3つの独立した複製の平均±標準偏差である。B)WT CODM及びCODM変異タンパク質発現の代表的なSDS-PAGE画像。値は、デンシオメトリック分析によって決定されたWT CODMに対する相対的な発現を示し、データは、3つの独立した複製の平均±標準偏差である。
【
図7】A)単一I5K変異、単一M360I変異、二重I5K+M360I変異、又は野生型(WT)CODMのいずれかでCODMを発現する細胞による生体変換中に時間の関数として産生されるオリパビンの収率。オリパビンを、9時間の間は1時間毎にアッセイし、その後は24時間が経過するまで3時間毎にアッセイした。B)単一I5K変異、単一M360I変異、二重I5K+M360I変異、又は野生型(WT)CODMのいずれかでCODMを発現する細胞による生体変換中に時間の関数として産生されるモルヒネの収率。モルヒネを、2時間が経過するまで15分毎にアッセイした。データは、3つの独立した複製の平均±標準偏差である。
【0223】
材料及び方法
化学物質及び試薬
抗生物質、分析グレードグリセロール、イソプロピル β-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)、塩化ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコース、硫酸鉄七水和物、HPLCグレードアセトニトリル、メタノール、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジクロロメタン(DCM)、及び酢酸を、Merck(USA)から購入した。制限酵素、Phusion High Fidelity DNA Polymerase、NEBuilder HiFi DNA Assembly、E.coli 5-アルファコンピテントセル、及びE.coli BL21(DE3)コンピテントセル(E.coli B 株誘導体)を、New England BioLabs Inc.、USAから購入した。培地調製用の酵母抽出物及びトリプトンを、Oxiod、Thermo Scientific、UKから購入した。全ての実験で使用する水を、比抵抗が18.2MΩ.cm以上になるまで精製した。テバイン、オリパビン、コデイン、及びモルヒネを、Sun Pharmaceutical Industries Australia Pty Ltd.から得た。
【0224】
プラスミド及び染色
本研究で使用したプラスミドを、表1に列挙し、プライマー及び合成配列を、表2及び3に列挙した。合成gBlock配列は、E.coli B株での発現用にコドンが最適化され、Integrated DNA Technologies(IDT、USA)に注文した。NEBuilder HiFi DNA Assemblyによるアセンブリのための十分なベクター相同性(約20bp)をgBlockに設計し、構築物の作製を高速化した。T7ポリメラーゼ発現ベクターpET24b-6H-MBP(Merck、USA)を使用して、目的の遺伝子の発現を制御した。各オープンリーディングフレーム(ORF)を、N末端で、6つのヒスチジンタグ(6H)及びマルトース結合タンパク質(MBP)に融合した。加えて、ORFは、T7プロモーター及びT7ターミネーターの転写制御下であった。E.coli 5-アルファコンピテントセルをプラスミドのクローニング及び維持に使用し、E.coli BL21(DE3)コンピテントセルを生体内変換及びタンパク質発現に使用した。構築した構築物を、プライマーUM13/UM03(表2を参照)を使用して配列決定(Australian Genome Research Facility、Australia)により検証した。
【0225】
E.coliコドン使用法を採用したCODM(UniProtKB:D4N502)(比較しやすいように、ここではWT CODMと呼ぶ)発現プラスミドpGWKS100は、NEBuilderを使用して1.1kb CODM gBlock(UMg4)をBamHI及びXhoIで線形化したpET24b-6H-MBP骨格に組み込むことによって作製した。
【0226】
いくつかの発現ベクター(pGWKS101、119~126、表1を参照)を、同じ手順を使用して作製し、野生型残基を、PCR増幅によって適切な残基で置換し(表2を参照)、次いでNEBuilderを使用して線形化pET24b-6H-MBP発現ベクターにクローニングした。例えば、内因性CODM E259Kバリアント(NCBI参照配列:XP_026416234.1)の発現ベクターpGWKS101を構築するために、CODM WTアイソフォーム内に存在するグルタミン酸(E)残基を、PCR増幅(UM15/UM05及びUM06/UM18)によりリジン(K)残基で置換し、NEBuilderを介して2つの断片を線形化pET24b-6H-MBPに組み込んだ。
【0227】
残りの発現ベクター(pGWSK127~129、131~146)(表1を参照)は、それぞれの1.1 kb ORF gBlock(UMg8-26)(表3を参照)をNEBuilderを使用して線形化されたpET24b-6H-MBP骨格に組み込むことによって作製した。
【0228】
細胞培養及びタンパク質発現
細胞を、カナマイシン(50μg/mL)を補充した溶原培養培地(0.5%酵母抽出物、1%トリプトン、及び1%NaCl)中で37℃で一晩培養した。1mLの一晩細胞培養物を、カナマイシン(50μg/mL)及び1mLのグリセロールを補充した50mLの2-YT培地(1%酵母抽出物、1.6%トリプトン、及び0.5%NaCl)を含む三角フラスコに接種した。タンパク質発現は、OD600(600nmで測定される光学密度)が0.4~0.8に達し、18℃で22時間継続したときにIPTG添加(0.1 mM)によって誘導された。タンパク質発現後、3,000gで15分間遠心分離することにより細胞ペレットを収集し、生体内変換のためにOD600が100になるまで15%グリセロールに再懸濁した。
【0229】
全細胞生体内変換
生体変換を、20mL体積で行い、示されたアルカロイド(1mMのテバイン、1mMのコデイン、又はテバインの粗製ケシ抽出物)、100mMのリン酸緩衝液(pH6.0)、0.5%w/wのグルコース、10μMの硫酸鉄(II)(FeSO4)、及び10mMのアスコルビン酸ナトリウム、並びに10のOD600のE.coli細胞からなる。反応を24℃で220rpmで振盪しながら行った。試料を、異なる時間間隔で定期的に採取した。採取した試料を、16,000gで7分間遠心分離し、上清を、アルカロイド定量化のために液体クロマトグラフィー-質量分析計により分析した。CODM変異生体内変換については3回、テバイン粗抽出物生体内変換については2回の独立した複製を実施した。
【0230】
タンパク質発現分析
タンパク質発現によって産生される可溶性タンパク質を、製造元によって提供されるBugBuster(商標)プロトコルを使用したSDS-PAGE分析によって決定した。簡潔に述べると、可溶性タンパク質画分を、ベンゾナーゼを含有するBugBuster(商標)タンパク質抽出試薬(25単位/mLのBugBuster(商標)試薬)(Merck、Germany)に再懸濁することによって、OD600が1である、凍結細胞ペレットから遊離した。次いで、不溶性細胞片及び可溶性タンパク質含有上清を、16,000gで20分間及び4℃で遠心分離することによって分離した。可溶性タンパク質画分を、プレキャストBolt 8% Bis-Tris Plus Gels(ThermoFisher Scientific、USA)上でMOPSランニング緩衝液中で、120Vで60分間実行した。タンパク質のサイズを、Precision Plus protein(商標)Kaleidoscope(商標)Prestained Protein Standard(Bio-Rad Laboratories、USA)を使用して推定した。Image Labソフトウェア(Bio-Rad Laboratories、USA)を使用して、バンド強度(バックグラウンド強度が低く、75kDaの分子量バンドに対して正規化された)を計算した。可溶性タンパク質発現を、CODM変異アッセイの独立した各複製について決定した。
【0231】
粗製ケシ抽出物の調製
抽出方法の最適化は、教科書「Natural Product Extraction,Principles and Applications」(M Rostagno and J Prado編集,RSC出版(2013),ISBN 978 1 84973 606 0)に見出すことができる。抽出物は、天然産物抽出の技術分野で精通している者によって調製され、抽出物は、0℃~100℃の温度で、適切な酸性又はアルカリ性試薬を使用してpH(pH2~pH14)に調整された、水性及び/又は炭化水素系液体系を含み得る。
【0232】
アルカロイドのLC-MS分析
アルカロイドの定量は、Shimadzu LCMS-2020液体クロマトグラフ質量分析計を使用して実施した。分析を、0~20%緩衝液Bの直線勾配で、流速を28℃で10分間かけて1mL/分から2.5 mL/分に増加させて、Onyx Monolithic C18 カラム(100×4.6mm、Phenomenex Australia Pty Ltd)上で実施した[緩衝液A:水中0.1%TFA、緩衝液B:アセトニトリル中0.1%のTFA]。検出器の波長を285nmに設定し、参照波長を360nmに設定した。生体内変換試料中のアルカロイド化合物は、保持時間[モルヒネ4.3分、コデイン6.9分、オリパビン7.5分、及びテバイン10.1分]及び質量電荷比(m/z)[モルヒネ286、コデイン300、オリパビン298、及びテバイン312]の両方を参照して、アルカロイド標準と比較することによって同定した。Shimadzu LabSolutionsソフトウェアを使用して、25μg/mL~500μg/mLの範囲の濃度のアルカロイド標準系列のピーク面積を参照して、各化合物のピーク面積を積分して、各試料のアルカロイドの濃度を定量した。分析のために、試料を5μLの注入量でLC-MSに注入した。
【0233】
実施例1
純粋なテバインと比較した、生体内変換基質としてのテバイン粗製ケシ抽出物の適合性を、24時間にわたって評価した。0.2g/Lテバイン及び0.5g/Lテバインに相当する2つの濃度のテバイン粗抽出物をアッセイした。粗抽出物を、純粋なテバインの代わりに反応混合物に加え、他の全ての成分を一定に維持した。
図4に見られるように、テバイン粗製抽出物は、反応の進行の変化を最小限に抑えながら純粋なテバインを置き換えることができる。更に、いくつかの濃度のテバイン粗抽出物を生体内変換基質として使用して、より高濃度のオリパビンを産生することができる。
【0234】
実施例2
CODMの259番目のアミノ酸残基(E259K、-D、-H、-Q、-A、-S、及び-G)に変異を含む7個の株を生成し、CODMの260番目の残基(R260T及び-K)に変異を含む2個の株を生成した。CODMの259番目及び260番目の残基(E259G+R260T、E259D+R260K、及びE259G+R260K)の両方に変異を含む3個の二重変異株を作製した。CODM変異株の性能は、
図2~3に示すように、生体内変換を介して評価し、モルヒネ収率は30分後にアッセイし、オリパビン収率は4時間後にアッセイした。
図2~3に示すように、これらの条件下での可溶性タンパク質の発現をSDS-PAGE分析によってアッセイした。
【0235】
調査した7個の259残基変異株のうち、E259D及びE259G変異体のみが、生成物収率の改善を示し、野生型(WT)CODMと比較して、モルヒネ収率が、それぞれ約30%及び約24%、並びにオリパビン収率がそれぞれ約38%及び約27%改善された。更に、これらの変異は、WT CODMと比較して、約2.1倍以上の可溶性E259D、及び約1.5倍以上の可溶性E259Gが産生されることを伴って、可溶性タンパク質の発現量を改善するようであった。比較すると、E259K、-H、-Q、-A、及び-S CODM変異体による生体内変換は、
図2~3に示すように、可溶性タンパク質発現の発現の低減と一致して、WT CODMと比較して少なくとも20%の産物収率の低減をもたらす。
【0236】
R260T発現株は、WT CODMよりもモルヒネが約28%少なく、オリパビンが約29%少なく、可溶性タンパク質が約63%少なくなり、
図3を参照されたい。比較すると、R260K発現株は、WT CODM株と同様のレベルの両方の産物を産生し、WT CODM株と同様の量の可溶性タンパク質を産生し、
図3を参照されたい。
【0237】
E259G変異の組み込みにより、E259G+R260T二重変異株におけるR260T変異の性能が回復し、WT CODM株への同様のレベルの変換が生成された(
図3)。比較すると、E259D+R260K、及びE259G+R260K二重変異株の性能は、WT CODM染色と比較して改善され、E259D及びE259G単一変異株と同等の性能及びタンパク質発現レベルを有した(
図3)。
【0238】
実施例3
WT CODMの3番目、4番目、5番目、7番目、357番目、又は360番目の残基のいずれかに単一のアミノ酸変異:T3K、P4A、I5K、I7M、Y357S、又はM360Iを含む6個の株を作製した。以下の変異の組み合わせを用いて、3個の追加の株を生成した:1)T3K+P4A+I5K+I7M、2)Y357S+M360I、及び3)T3K+P4A+I5K+I7M+Y357S+M360I。CODM変異株の性能は、
図5Aに示すように、生体内変換を介して評価し、モルヒネ収率は30分後にアッセイし、オリパビン収率は4時間後にアッセイした。
図5Bに示すように、これらの条件下での可溶性タンパク質の発現をSDS-PAGE分析によってアッセイした。
【0239】
調査した6個の単一変異株のうち、I5K株及びM360I株の両方が、生成物収率の改善を示し、WT CODM株と比較して、モルヒネ収率はそれぞれ約58%及び約29%、オリパビン収率はそれぞれ約79%及び約33%改善された(
図5A)。I5K変異は、WT CODMよりも約2.9倍多く可溶性タンパク質の発現量を改善するようであったが、M360I株では、WT CODMと比較して、タンパク質発現のわずかな変化のみが観察された(
図5B)。
【0240】
4個の他の単一変異株(T3K、P4A、I7M、又はY357S)は、WT CODM株と比較して、産物収率(例えば、T3K又はP4A)のわずかな改善、又は産物収率の少なくとも約22%(例えば、I7M又はY357S)の低減のいずれかをもたらした。これは、タンパク質発現のレベルにおけるわずかな変化(例えば、T3K、P4A、Y357S、又はI7M)と一致した(
図5B)。
【0241】
組み合わせた変異体を含む3個の株は全て、WT CODM株と比較して、2個の所望の産物のうちの少なくとも1個について生体内変換収率が低かった。これは、3個の株全てのタンパク質発現レベルの増加と一致し、これは、T3K+P4A+I5K+I7K株(約3.2倍)及びT3K+P4A+I5K+I7M+Y357S+M360I株(約4倍)で最も顕著であった。
【0242】
実施例4
P4A、I5K、E259G、及びM360変異の様々な組み合わせを含む6個の追加の株を生成し、これらの有益な変異が、修飾CODM酵素の可溶性タンパク質発現の収率及びレベルに与える影響を評価した。本事例では、
図6Aに示すように、モルヒネ産生は15分後(実施例3では30分と比較)に測定し、オリパビンは2時間後(実施例3では4時間と比較)に測定した。これは、これらの変異体に対する反応速度の加速によるものであった。
【0243】
6個の株全てが、生体内変換によるモルヒネ及びオリパビンの両方の産生、並びにWT CODMと比較して検出された可溶性タンパク質発現のレベルに対する収率の改善を示した(
図6A及びB)。I5K+M360I変異の両方を含む株は、全ての変異株で最も高い収率を産生し、WT CODM株と比較して、モルヒネ収率が2.3倍、オリパビン収量が2.76倍増加し(
図6A)、WT CODMと比較して、可溶性タンパク質が約5.5倍増加した(
図6B)。
【0244】
実施例5
単一変異I5K又はM360I、又は二重変異I5K+M360Iを含む株の性能を、テバイン又はコデインの脱メチル化反応全体の時間経過にわたってWT CODMと比較した。オリパビンを、最初の9時間の間は1時間毎にアッセイし、その後は24時間が経過するまで3時間毎にアッセイした。より速いコデイン脱メチル化反応を、2時間にわたって15分毎にモルヒネを測定することによって評価した。
【0245】
I5K+M360I二重変異を含む株は、基質としてテバインを用いて最も速い生体内変換を実施し、約5時間後にオリパビンに対するテバインの収率が約95%に達した(
図7A)。単一変異を有する株も、WT CODMを有する株よりも速く実施された。生物変換反応は、WT CODM株の少なくとも12時間前に、3個の変異株全てについて、完全な変換に近づいた。
【0246】
2個の株は、コデインを基質として同様の速い生体内変換速度を示し、単一変異I5K又は二重変異I5K+M360Iを含み、1時間後に約94%のモルヒネの収率を達成し、WT CODM対照よりもより速かった(
図7B)。単一変異体M360Iは、WT CODM対照よりも速かったが、他の2個の変異株ほど速くはなかった。全ての3個の変異体は、2時間でほぼ完全な変換を達成した。
【0247】
全ての株をpET24b-6H-MBPで作製した
【表1】
【0248】
pGWKS134は、pGWKS100プラスミド内のWT CODM酵素と同一のタンパク質をコードするが、2番目(GAG→GAA)、6番目(TTG→CTG)、及び118番目(CGC→CGT)のコドンで使用されるコドンのみが異なる。pGWKS127-129及びpGWKS135-145は、pGWKS134と同等のコドン使用を含み、pGWKS134株をこれらのアッセイにおける対照WT CODMとして使用した。この対照を、対照WT CODMとしてpGWKS100株を使用した、実施例1~3ではなく、実施例4~6に記載の実験に使用した。
【表2】
【0249】
「Δ」プライマーは汎用であるため、全ての断片1及び2の増幅に対してそれぞれ上部プライマー(UM15)及び下部プライマー(UM18)を使用した。
【0250】
R260K、E259D+R260K、及びE259G+R260K発現プラスミドは、PCR変異誘導を介してではなく合成配列を使用して作製した。材料及び方法のセクションを参照されたい。
【0251】
クローニングに使用した合成配列はUMgXで示され、IDTに注文し、E.coli B株での発現のためにコドン最適化されている。
相同性領域
CCTGAAAGACGCGCAGACTGGATCC及びCTCGAGCACCACCACCACCACCACTGAGATCCGGCTGCTA
【0252】
及び他の同様の配列は、NEBuilder組み立てを促進するために各合成配列の上流及び下流にそれぞれ含まれており、本発明によるタンパク質をコードする核酸分子に関しては任意である。
【表3】
【配列表】
【国際調査報告】