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特表2024-507285混合プロセスを監視する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】混合プロセスを監視する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/82 20220101AFI20240208BHJP
   B01F 23/40 20220101ALI20240208BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20240208BHJP
【FI】
B01F35/82
B01F23/40
B01F35/71
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572053
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022052876
(87)【国際公開番号】W WO2022171568
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】102021103141.9
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523303792
【氏名又は名称】ヴィヴォニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ベスラー パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ヘム アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】エーベルライン シュテファン
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB36
4G035AE03
4G037AA02
4G037BC03
4G037BD07
4G037BE02
4G037EA01
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの液体と少なくとも1つの濃縮原料を混合することで医療用溶液を生成する装置(1)であって、少なくとも1つの液体と少なくとも1つの濃縮原料を供給することができる混合容器(2)と、制御装置(3)と、混合プロセス中に装置によって生成された混合物の少なくとも1つのパラメータ、好ましくは密度を測定するための測定装置(4)とを備える装置(1)に関する。また、本発明は、対応する方法に関する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの液体と少なくとも1つの濃縮原料とを混合することにより医療用溶液を調製するための装置であって、前記装置は、前記少なくとも1つの液体及び前記少なくとも1つの濃縮原料を供給することができる混合容器と、制御装置と、混合操作中に前記装置を用いて生成される混合物のパラメータ値、好ましくは密度を測定するための測定装置とを備え、前記測定装置は、前記装置を用いて実行される混合操作中に連続的に及び/又はオンラインで測定を行うように構成されている、装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記測定装置によって生成される前記パラメータ値に基づいて、及び/又は前記装置によって実行される傾向分析に基づいて、前記装置の操作、詳細には前記装置によって実行される混合操作を制御又は調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記測定装置によって測定された前記パラメータ値を設定値と比較し、前記設定値又は前記設定値を取り囲む許容範囲に達した場合に、前記装置によって実行される混合操作を終了するように及び/又はユーザに出力を送出するように構成されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御装置は、混合操作を実行するための第1の所定の期間の間、装置を操作させ、前記第1の所定の期間の経過後及び/又はその間に、前記測定装置によって測定された前記パラメータ値を好ましくは連続的に及び/又はオンラインで設定値と比較し、前記設定値又は前記設定値を取り囲む許容範囲に達していない場合、前記混合操作を第2の所定の期間だけ1回又は複数回延長するように、及び/又はユーザに出力を送出してこれにより、好ましくは、前記ユーザが、前記混合操作の延長を承認又は指示すること及び/又は前記混合物を承認することを要求されるように構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記測定装置によって連続的に及び/又はオンラインで測定された前記パラメータ値が、混合操作を実行するための期間が経過した後に、設定値又は前記設定値を取り囲む許容範囲に達しない場合、及び/又は、測定されたパラメータ値の時間的経過が、混合操作中の所定の時間間隔の間に、前記設定値又は許容範囲に十分近づかないか又は逸脱する場合、前記制御装置は、前記装置によって生成された混合物を廃棄するように、及び/又は、前記生成された混合物が廃棄される旨の出力をユーザに送出するように構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記測定装置は、撓み共振器であり、好ましくは前記装置によって生成された混合物は、前記撓み共振器を連続的に通過する、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記測定装置は、選択的イオン濃度に基づいて測定する装置、容積測定チャンバ及び/又は質量によって密度を測定する装置、超音波又はガンマ線によって密度を測定する装置、コリオリの原理によって密度を測定する装置、及び/又は光学的密度測定のための又は屈折によって密度を測定するための装置であるか又はそれらを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記測定装置によって決定された前記パラメータ値並びに好ましくはその時間履歴を電子的に文書化し、好ましくは電子ログブックに記録し、及び/又はさらなる装置、好ましくはマスターディスプレイ又は中央データベースシステムに送るようにさらに構成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの液体と少なくとも1つの濃縮原料を混合することにより医療用溶液を調製するための混合操作を監視するための方法であって、前記混合操作は、好ましくは、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置により実行され、前記方法は、
前記混合操作中に、好ましくは、前記混合操作を実行する前記装置に関連する測定装置により、前記装置により生成される混合物のパラメータ値、好ましくは密度を測定するステップを含む、方法。
【請求項10】
前記パラメータ値の測定は、連続的に及び/又はオンラインで実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記測定装置によって検出された前記パラメータ値に基づいて、前記装置の操作、詳細には前記装置によって実行される混合操作を制御又は調整するステップをさらに含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記測定装置によって検出された前記パラメータ値を、前記装置の予知保全に関連して、詳細には修理、構成要素の交換、及び/又は再較正の時間を決定及び/又はスケジューリングするために使用するステップをさらに含む、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの液体と少なくとも1つの濃縮原料を混合して医療用溶液を調製するための混合操作を監視する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療用途において、例えば溶液の組成に関して厳格な品質基準に適合させるために、使用前に処理する必要がある溶液が使用される。体外血液処理、詳細には透析では、例えば、血液処理機によって好ましくは液体透析液濃縮物から生成される透析液が使用される。透析液及び透析濃縮物はそれぞれ医療用溶液を構成する。透析液濃縮物は、少なくとも1つの液体、例えば透析水と少なくとも1つの濃縮原料を混合することにより生成されることが多い。
【0003】
濃縮原料は、例えば液体、固体、粉末、ペースト又はスラリーの形態で存在することができ、多くの場合、適切に処理された水、例えば純水、超純水、透析水又は逆浸透システムからの透過水と混合され、例えば体外血液治療、詳細には透析との関連で使用することができる医療用溶液を生成するようになっている。
【0004】
従来、濃縮原料と液体との混合操作は、例えば、常に所定の時間、例えば70分間混合操作を行うことによる、既定の予め設定されたスキームに従って行われる。少なくとも1つの濃縮原料と少なくとも1つの液体との混合操作の間、混合物が最初に形成され、ここでは、濃縮原料は、液体中に部分的に溶解し、部分的に未溶解の状態で存在する。従って、このような混合物は、好ましくは、濃縮原料及び液体が別々に存在する、すなわち濃縮原料が液体中に未溶解のまま存在する初期状態と、濃縮原料が液体中に溶解し所望の医療用溶液が存在する最終状態との間の、混合操作の中間生成物を形成する。例えば、所望の医療用溶液の目標仕様に到達すると、混合操作の生成物の呼称は、混合物(中間段階、まだ目標仕様を満たしていない)から医療用溶液(最終生成物、目標仕様を満たしている)に変わる。
【0005】
この所定の時間が経過した後、生成された混合物の品質管理は、通常、例えば密度測定又は実験室での分析測定によって手作業で行われる。
【0006】
混合物が目標仕様又は望ましい医療用溶液に適合しない場合、混合物は、通常廃棄され、資源が浪費される。最適な混合結果又は所望の医療用溶液が得られるまで混合プロセスを継続することは、多くの場合不可能である。
【0007】
さらに、多くの場合、所望の混合物を得るためには、より短い混合操作で十分であろう。従って、混合操作の持続時間を固定仕様に予め設定することは、このような場合に不必要な時間の浪費を招き、エネルギーの浪費となる。詳細には、所定の持続時間の経過後に混合プロセスを継続することが不可能な場合、これは厳密に、例えば資源の浪費を避けるために設定される大きなセキュリティバッファを伴う特に長い持続時間である。これは日常的に多くの時間とエネルギーを浪費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景から、本発明の根本的な目的は、従来技術の問題を軽減すること又は完全に解消することである。詳細には、本発明の根本的な目的は、混合操作による医療用溶液の生成を最適化し、資源の不必要な浪費を避けることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、独立クレームの特徴を有する装置及び方法によって達成される。本発明の有利なさらなる発展は、サブクレームの主題である。
【0010】
本発明の第1の態様は、少なくとも1つの液体と少なくとも1つの濃縮原料を混合して医療用溶液を調製するための装置であって、少なくとも1つの液体と少なくとも1つの濃縮原料を供給することができる混合容器と、制御装置と、混合操作中に装置によって生成された混合物の少なくとも1つのパラメータ、好ましくは密度を測定するための測定装置とを備える装置に関する。
【0011】
換言すれば、生成された混合物は、好ましくは、例えば密度測定によって、進行中の混合操作中に既に監視されている。このようにして、混合操作の進行状況を連続的に、好ましくはリアルタイム又はほぼリアルタイムで監視することができ、混合操作を必要に応じて柔軟に調整することができる。混合操作の生成物、すなわち医療用溶液のパラメータとしての密度は、例えば混合物の品質の指標とみなすことができる。
【0012】
原理的には、密度の測定に代わるものとして又は密度の測定に加えて、濃縮原料と液体の混合物の品質及び/又は混合操作の進捗状況を反映する1又2以上の追加のパラメータ、例えば混合物の導電率、光透過率などを監視することも考えられる。
【0013】
装置により生成される医療用溶液は、直接使用される医療用溶液(例えば、透析による腎代替療法の場合、透析液、透析物とも呼ばれる)、又はそのような溶液の生成の中間段階を形成する医療用溶液(例えば、濃縮液、透析による腎代替療法の場合、透析濃縮液又は透析液濃縮物とも呼ばれる)とすることができる。
【0014】
好ましくは、測定装置は、装置によって実行される混合操作の間、連続的に及び/又はオンラインで測定を行うように構成されている。
【0015】
これに関連して、オンラインで測定する測定装置は、好ましくは、測定装置が装置、例えば混合装置又は測定ユニットの進行中の操作に関連付けされ、例えば操作中、詳細には混合操作中に測定データを記録することを意味する。追加的に又は代替的に、オンライン測定装置は、測定装置がさらなるデータ処理装置に接続されているという意味で「オンライン」であり、例えば、測定装置は常に制御すること又はデータを交換することができるようになっている。
【0016】
有利な実施形態によれば、制御装置は、測定装置によって決定されたパラメータ値、例えば混合物の測定密度に基づいて、装置の操作、詳細にはこの装置によって実行される混合操作を制御又は調整するように構成されている。
【0017】
例示的には、これは測定値を既定の目標値及び/又は限界値又は誤差限界値と比較することによって行われる。代替的又は追加的に、過去の任意の区間(例えば、先週、先月、又は昨年から)のパラメータ値を制御に使用すること及び/又は予測(需要の変化、将来使用される他の濃縮原料又は溶液、予測可能な混合操作の完了)を考慮することができる。
【0018】
さらに、制御装置は、測定装置によって決定されたパラメータ値に基づいて、好ましくは進行中の混合操作中に、又は1つの混合操作又は複数の混合操作の履歴データに基づいて遡及的に、特定のパラメータの変化を検出する及び/又は溶解曲線の積分の形成による溶解プロセスの進行を決定する、例えば溶解プロセス及び/又は混合操作の速度の決定によって、例えば溶解曲線勾配の決定によって、混合操作の動特性を分析するように構成することができる。
【0019】
混合操作の調整又は制御は、好ましくは進行中の混合操作中に行われるので、生成される溶液が目標仕様を満たすように混合操作を柔軟に調整することができる。このように、予め設定された混合操作の終了を待たずに、この混合操作が所望の溶液をもたらすか否かをチェックするので、資源の不必要な浪費を防ぐことができる。
【0020】
さらに、制御装置は、測定装置によって測定されたパラメータ値と設定値とを比較し、設定値又はそれを取り囲む許容範囲に達した場合に、進行中の混合操作を終了すること、及び/又はユーザに出力を送出するように構成されていることが実際上有利であることが分かっている。
【0021】
この出力は、例えば信号ランプ又はラウドスピーカーによって、視覚的及び/又は音響的に行うことができる。追加的に又は代替的に、メッセージを表示装置に表示すること、又はメッセージをスマートフォン又はタブレットなどの外部端末装置に送ることもできる。さらに、代替的又は追加的に、ユーザへの出力は、ハードウェア及び/又はソフトウェアで実装された診療所ITシステム又は診療所マスターディスプレイを介して行うことができ、メッセージはローカルコンピュータ又はサーバー又は遠隔設置されたサーバーに送出することができる。
【0022】
例えば、所望のパラメータを持つ溶液は、通常は50分必要であるが、混合開始から20分後(例えば、異なる周囲条件又は入力条件に起因して)にすでに生成されている場合がある。この場合、本発明による装置によって、20分後に所望の溶液がすでに生成されていることが検出され、混合操作を終了することができる。これは、30分の不必要な混合を節約する。
【0023】
代替的に又は付加的に、生成された混合物が設定値又はそれを取り囲む許容範囲に達したことをユーザに出力することができる。次に、ユーザは入力によって混合操作を終了させることができる。また、混合操作の終了予測をユーザに知らせることもできる。
【0024】
さらに、制御装置が、混合操作を実行するために第1の所定の期間だけ装置を作動させ、所定の第1の期間の経過後及び/又はその間に、測定装置によって測定されたパラメータ値を設定値と比較し、設定値又はそれを取り囲む許容範囲に達していない場合、混合操作を第2の所定の期間だけ1回又は複数回延長するように、及び/又はユーザに出力を送出し、それによってユーザは、好ましくは混合操作の延長を承認又は指示するように要求されるように構成されることが、実際上有利であることが分かっている。あるいは、ユーザは、混合物が予め設定された設定値又は許容範囲に達しないが、それでも使用されるように入力することもできる。
【0025】
ここで、混合操作を延長するための第2の期間は、例えば10分から4時間の間の任意の値に設定することができ、混合操作の延長は、同じ期間又は異なる期間で、1回又は複数回延長することができる。混合操作の最大期間を設けることができ、混合操作は、1回又は複数回の延長にもかかわらず、この最大期間を超えることはできない。
【0026】
ユーザによる入力がなくても、特定の第2の期間による混合操作の自動延長が行われるように準備することもできる。
【0027】
また、制御装置が適応的混合時間延長のために構成され、好ましくは測定装置によって決定されたパラメータ値の時間経過に基づいて、特定の目標仕様を達成するために混合操作を延長すべきであろう第2の期間の特定の長さを提案することも考えられる。換言すれば、進行中の混合操作は、本発明による装置によって及び/又は混合物のパラメータに基づいてユーザとの対話によって自動的に最適化される。一態様によれば、混合時間延長の適応的予測が行われ、ユーザに出力される。さらなる進展又は代替案では、予測に対する調整はユーザに提案され、ユーザは承認又は拒否することができる。さらに別のさらなる進展又は代替案では、装置は、承認又は入力なしで、予測に従って混合時間の調整を自律的に実行する。それにもかかわらず、適応は随意的に指示することができる。さらに別のさらなる進展では、予測に対する適応的調整は、混合操作を通じて連続的に実行され、それにより、現在の値を使用する適合された最適化が可能になる。上述のすべての態様において、追加的に、測定値及び予測値のドキュメンテーションは、ローカル又はクラウドベースの記憶場所、電子ログブック、及び/又はマスターディスプレイにおいて提供することができる。上記の変形例の一態様によれば、過去の時間的傾向からの歴史的知識を使用することができ、例えば、より短い又はより長い持続時間は、典型的に特定の季節に発生する。追加的に又は代替的に、これは、毎日のパターン、毎週のパターン、毎月のパターンにも適用される。
【0028】
代替的に又は実行期間に加えて、混合操作の他のパラメータは、例えば貯蔵、予熱(例えば透過液の)又は出発原料の前投与などの測定値に基づいて、最適化することができる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態は、測定装置によって測定されたパラメータ値が、混合操作を実行するための期間が経過した後に、設定値又はそれを取り囲む許容範囲に到達しない場合、及び/又は、測定されたパラメータ値の時間的経過が、混合操作中の所定の時間間隔の間に、設定値又は許容範囲に十分近づかないか又は逸脱する場合、制御装置は、装置によって生成された混合物を廃棄するように、及び/又は、生成された混合物が廃棄される旨の出力を使用者に送出するように構成されている装置に関する。
【0030】
本発明の範囲内において、好ましくは撓み共振器の原理に基づく測定装置が使用され、好ましくはその装置によって生成された混合物又は溶液が連続的に通過する。撓み共振器システムは、U字型又はW字型の測定管を備えることができる。
【0031】
代替的に又は追加的に、測定装置は、選択的イオン濃度に基づいて密度を測定する装置、容積測定チャンバ及び/又は質量測定によって密度を測定する装置、超音波又はガンマ線によって密度を測定する装置、コリオリの原理によって密度を測定する装置、及び/又は光学的密度測定又は屈折によって密度を測定する装置とすることができるか又はそれを含むことができる。例えば、(質量)密度は、選択的イオン濃度及びイオン密度の1又は2以上に基づいて検出することができる。
【0032】
本技術的解決策の一態様による医療用溶液の一例である透析液濃縮物の密度測定値は、通常、25℃で1.14-1.22g/cm3の範囲である。混合に使用される液体、例えば、純水、透析水、又は逆浸透によって得られた純水(逆浸透透過水とも呼ばれる)の密度は、1未満である。従って、例えば、混合操作の開始時の密度測定値は、0.99-1g/cm3の範囲である。
【0033】
例えば、第1の例示的な医療用溶液(例えば透析液濃縮物)では、完成溶液の最小許容密度(すなわち混合操作の終了時)は1.197g/cm3であり、完成透析液濃縮物の目標値は1.200g/cm3であり、完成透析液濃縮物の最大許容密度は1.203g/cm3である。
【0034】
例えば、同じく透析液濃縮物である第2の例示的な溶液では、完成溶液の最小許容密度は1.195g/cm3、目標値は1.198g/cm3、最大許容密度は1.201g/cm3であり、いずれの場合も、良好な混合操作の終了時の最終混合溶液について例示的なものである。
【0035】
さらに、制御装置は、測定装置によって決定されたパラメータ値及び好ましくはそれらの時間履歴を電子的に記録し、好ましくはそれらを電子ログブックにファイルするように、及び/又はそれらを別の装置、好ましくはマスターディスプレイに送るように構成することができる。
【0036】
例えば、混合操作の実行(時間、持続時間、生成される溶液、使用される出発材料、例えば透析水及び濃縮原料など)、及び好ましくはプロセス中に決定された測定値も自動的にログブックに文書化/記録され、記録は、リモート接続によるデータ伝送を含むことができる。
【0037】
デジタルログブックは、混合装置、近傍のデータ環境(例えば、診療所のコントロールセンター)、又は遠隔地(例えば、サーバー又はデータクラウド)において局所的に記録することができる。記録は、手順の実行時間、継続時間、及び混合物の決定された密度値、ならびに他のデータを含むことができる。
【0038】
好ましくは、デジタルログブックは、例えばサービス技術者が遠隔地からアクセスすることができる。
【0039】
例えば、各混合操作の終了時に、混合操作に関するデータは自動的に保存することができる。また、混合操作中に所定の時間間隔で、決定されたパラメータ値は保存することができる、及び/又はこれらのパラメータ値は目的に対応するか否かを判定することができる。保存されたデータ及び/又はパラメータ値は、好ましくは、傾向を検出するためにさらに分析することができる。例えば、装置の予知保全との関連で、装置及び/又はその個々の構成要素、例えばセンサ、バルブなどの変化を検出することができる。修理、構成要素の交換、又は実際の故障の再較正は、例えば、装置の円滑な作動を保証するために、事前に的を絞った方法で実行することができる。
【0040】
基本的に、本発明による装置は、少なくとも1つの液体と少なくとも1つの濃縮原料を混合できる混合容器のみを必要とする。
【0041】
好ましくは、本発明による装置は、生成された混合物及び/又は生成された医療用溶液を受け入れる及び/又は貯蔵するための容器、及び/又は、医療用溶液を生成するための少なくとも1つの他の原料を貯蔵するための容器をさらに備える。
【0042】
複数の異なる医療溶液、例えば透析液濃縮物を生成することができる。各種類について、本発明による装置は、好ましくは、完成した溶液を貯蔵するための2つの重複する容器を備えるので、この種類の溶液が常に十分に利用可能であることが保証される。実際には、1から3種類が使用される。
【0043】
本発明による装置は、好ましくは、医療用溶液を生成するための原料を供給するための少なくとも1つのポンプと、原料の流れを制御又は調整するためのバルブとをさらに備える。
【0044】
原則として、本発明による装置は、装置によって生成され、測定装置によって目標仕様に及び/又はユーザが承認した仕様に適合することが検出されている医療用溶液が入った容器にラベル付けするためのラベル付け手段をさらに有することも考えられる。
【0045】
ラベル付け装置は、例えば、医療用溶液に関するデータを含むラベルを印刷する印刷機とすることができ、このラベルは、医療用溶液の容器に貼付することができる。あるいは、データは、容器に直接印刷することもできる。
【0046】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの液体と少なくとも1つの濃縮原料とを混合することによって医療用溶液を調製するための混合操作を監視するための方法に関し、混合操作は、好ましくは、本発明による装置によって実行され、本方法は、混合操作中に、好ましくは、混合操作を実行する装置に関連する測定装置により、装置により生成される混合物のパラメータ、好ましくは密度を測定するステップを含む。
【0047】
本発明による方法において、パラメータの測定は、好ましくは連続的に及び/又はオンラインで実行される。
【0048】
本発明による方法は、好ましくは、測定装置によって決定されたパラメータ値に基づいて、装置の操作、詳細には装置によって実行される混合操作を制御又は調整するステップを含む。
【0049】
本発明による方法は、本発明による装置との関連で上述した特徴及びステップを何らかの組み合わせで有することができるが、重複を避けるためにここでは再度記載しない。
【0050】
本発明のさらなる利点、特徴及び効果は、同一の参照文字が同一又は類似の構成要素または方法ステップを示す図面を参照する好ましい実施形態の以下の説明に起因する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明による方法のフローチャートである。
図2】本発明による別の方法のフローチャートである。
図3】本発明によるさらに別の方法のフローチャートである。
図4】本発明による別の方法のフローチャートである。
図5】本発明によるさらに別の方法のフローチャートである。
図6】本発明によるさらに別の方法のフローチャートである。
図7】本発明による装置である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1に示すように、ステップS1において、少なくとも1つの濃縮原料及び少なくとも1つの液体又は溶媒の混合操作が開始される。その後、一般に随意的であるステップS2において、測定装置、この場合は密度センサの機能が、例えば基準液体又は透過水を用いてチェックされる。
【0053】
随意的に、ステップS4において混合操作中の生成混合物の密度の好ましくは連続測定を開始する前に、ステップS3で所定の時間、例えば10分間待機することができる。ステップS3での待機時間により、例えば、混合物が目標仕様を満たさない可能性が高い時点で測定が行われることを回避することができる。加えて、混合操作の開始時に測定が不正確になることも回避される。
【0054】
ステップS4での測定は、混合操作中に連続的に行われるため、混合操作を特に正確に隔たりなく監視することができる。
【0055】
ステップS5において、ステップS4からの測定値が設定値に対応しているか否か、すなわち目標密度に達しているか否かがチェックされる。もしそうであれば、ステップS6において、ユーザに通知が送られ、ステップS7において、生成された混合物が貯蔵システム、例えば樽又はタンクに移送される。
【0056】
ステップS5とS6との間には、絶対最小目標密度での操作を回避するために、例えば10分間の随意的な追加の待機時間を設けることができる。このような追加の待機時間を設けると、混合物の密度は、適切な混合操作の間に、達成された最小目標密度を超えて増加し続けることが期待される。
【0057】
次に、ステップS8において、通知されたユーザが混合物又は医療用溶液を承認するか否かを待つ。もしそうであれば、ステップS9において、医療用溶液が承認され、その最終用途に使用される。
【0058】
ステップS5において、ステップS4からの測定値が設定値に一致しないことが検出された場合、ステップS10において、所定の時間、例えば70分が経過するまで混合操作が継続される。
【0059】
この予め設定された期間の中で、ステップS4及びS5を所定の間隔で定期的に実行して、所望の医療用溶液又はそのパラメータ目標値又は目標値範囲を得るために、全70分間の混合が実際に必要であるか否かをチェックすることができる。
【0060】
ステップ10での期間は、ステップS4、S5及びS10のループを通る最初のサイクルが、2番目、3番目、及びそれ以降の各サイクルとは異なる可能性があり、例えば、最初のサイクルは70分、それ以降の各サイクルは30分とすることができる。記載した値は一例であり、何らかの他の値が考えられる。
【0061】
ステップS10の予め設定された期間が経過した後、システムは、随意的に、ステップS11において、特定の期間、例えば10分だけユーザ入力を待つ。この期間の長さは必要に応じて設定できる。
【0062】
対応するユーザ入力が行われた場合又は入力が行われなかった場合、ステップS12において、混合操作を第2の予め設定された期間だけ継続するか否かが決定される。ユーザ入力がない場合、混合操作は自動的に延長することができる。予め設定された期間は、例えば30分である。
【0063】
ステップS12において混合操作を継続する必要があると決定された場合、ステップS4に従って密度が再度測定される。ステップS12において混合操作を継続すべきでないと決定された場合、混合物は、ステップS13に従って手動サンプリングのために貯蔵システムに移送されるか、又はステップS15に従って廃棄される。
【0064】
ステップS12とステップS13との間に、ユーザによる随意的な承認要求を介入させることができる。例えば、ステップS12において、ユーザが混合を延長すべきでないと決定した場合、又は、混合操作の所定の最大実行期間又は最大延長回数に達した場合、及び/又は、装置の制御装置が混合を延長すべきでないと決定した場合、混合物又は医療溶液、すなわち受け入れタンク(混合タンクとも称される)の内容物を貯蔵装置に移送すべきか否かの要求をユーザに送出することができる。
【0065】
ステップS14における手動サンプリングにより、混合物が目標仕様を満たすことが示された場合、プロセスはステップS8に進む。混合物が目標仕様を満たさない場合、ステップS15で廃棄される。
【0066】
最終のステップとして、混合装置はステップS16で透過水又は別の適切なリンス液で洗浄され、このようにして次の混合操作に備える。
【0067】
あるいは、ステップS16は、ステップS15の前に又はステップS15と部分的に同時に行うこともできる。
【0068】
図2は、本発明による方法のフローチャートを示しており、図1の方法に比べて方法ステップの数が減少している。
【0069】
図3は、本発明による方法のフローチャートを示し、これは図2による方法に基づくが、追加的にステップS2を含む。
【0070】
図4に示すフローチャートから分かるように、ステップS5で目標密度が決定された後、まずステップS8でユーザの承認を待つことができ、その後、承認が発生した場合にステップS7で混合物又は医療用溶液が貯蔵装置に移送される。あるいは、ステップS8において、ステップS5で混合物が目的の医療用溶液に対応することが検出された場合、例えば本発明による装置によって、承認が自動的に行われる場合もある。換言すれば、例えば、混合物が目標仕様を満たす場合、すなわち所望の医療溶液である場合、混合物は承認される。
【0071】
図5に示すように、本発明による方法は、ユーザ入力を必要とせずに自動的に実行することができる。例えば、この実施形態では、ステップS5で目標密度が達成されていないことが検出され、ステップS10で混合操作の第1の期間(この例では70分)が経過したことが検出された場合、目標密度に達するか又は例えば所定の最大期間の満了によりステップS15において混合物が廃棄されるまで、ステップS12において、混合操作を所定の第2の期間だけ1回又は複数回、自動的に延長することができる。換言すれば、例えば、混合物が目標仕様を満たさない場合、すなわち所望の医療用溶液に対応しない場合、混合物は廃棄される。
【0072】
図6は、本発明によるさらなる方法のフローチャートを示す。この実施形態では、混合物が所望の医療用溶液に対応するので混合物が貯蔵装置に供給されるステップS7と、ユーザによる混合物の承認を待つステップS8との間に、ステップS18が設けられ、このステップS18では、混合物又は医療用溶液が貯蔵装置に完全に供給され、貯蔵装置への移送が終了したか否かが検出される。
【0073】
ステップS8でユーザが肯定的に承認した後、混合液又は医療用溶液は、例えば透析液濃縮物として、その用途に供給される。さらに、ステップS16において、装置は透過水又は別の液体で洗浄される。
【0074】
加えて、この実施形態では、ステップS12で混合操作の延長に対する決定がなされた後、ステップS17で、混合物を貯蔵システムに移送すべきか否かの決定がなされる。ステップS17で肯定的な決定がなされると、ステップS7で混合物が貯蔵システムに移送され、ステップS18で移送が終了したか否かのチェックがなされる。
【0075】
ステップS17で否定的な決定がなされると、ステップS24で混合物を廃棄する必要があるか否かの決定がなされる。混合物を廃棄すべきでないと決定された場合、方法はステップS12に進む。ステップS24において混合物を廃棄する必要があると決定された場合、ステップS15において混合物が廃棄される。
【0076】
ステップS15又はS18の後、混合物のサンプルがステップS19に従って取得され、ステップS20において、例えば手動密度測定によって(例えば代替的な測定装置を用いて)テストされる。ステップS21において、ステップS20で決定された測定値が目標仕様に対応するか否かが決定される。
【0077】
ステップS21において、ステップS20で決定された測定値が目標に適合していないと決定された場合、ステップS22において、貯蔵システムからの混合物が廃棄される。
【0078】
ステップS21において、ステップS20で決定された測定値が目標仕様に対応すると決定された場合、ステップS23において、混合物の承認の確認がユーザに要求される。確認が肯定的である場合のみ、混合物は医療用溶液として最終的な目的用途に供給され、承認が与えられない場合、ユーザは承認を待つ。
【0079】
このように、ステップS19-S21における測定及び評価、及びステップS23における承認は、混合物が最終的な使用のために貯蔵システムから放出される前に、さらなる安全レベルをもたらす。
【0080】
図7は、少なくとも1つの液体と少なくとも1つの濃縮原料を供給することができる混合容器2と、制御装置3と、混合操作中に装置1によって生成された混合物の少なくとも1つのパラメータ、好ましくは密度を測定するための測定装置4とを用いて、混合容器2内で何らかの混合操作によって少なくとも1つの液体と少なくとも1つの濃縮原料とを混合することによって、医療用溶液を調製するための本発明による装置1を示す。装置1は、好ましくは2つの容器5を有し、これらの容器は同じ医療用溶液を収容し、重複して貯蔵し、ライン6を介して混合容器2に接続されている。例えば、容器5は生成された透析液濃縮物を貯蔵する役割を果たす。流体、例えば透過水は、ライン7を介して混合容器2に供給される。濃縮原料は、ライン8を介して混合容器に供給することができる。濃縮原料を入れた何らかの原料容器は、ライン8に接続することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】