(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】RNAウイルス感染の処置のためのDHODH阻害性NEUROLAENA葉に基づく治療組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/28 20060101AFI20240208BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A61K36/28
A61P31/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572055
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2022053144
(87)【国際公開番号】W WO2022171682
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2022-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523303404
【氏名又は名称】フィトボカズ
【氏名又は名称原語表記】PHYTOBOKAZ
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ,アンリ
【テーマコード(参考)】
4C088
【Fターム(参考)】
4C088AB26
4C088AC05
4C088BA10
4C088CA08
4C088CA11
4C088MA17
4C088MA23
4C088MA35
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZB33
(57)【要約】
ヒトジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)を阻害する薬物としての使用のための「Neurolaena」属及び「lobata」種の植物の葉抽出物のマザーチンキを含む治療組成物が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RNAゲノムウイルスのウイルス感染の処置においてヒトジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)を阻害する薬物として使用するための、「Neurolaena」属及び「lobata」種の植物の葉抽出物のマザーチンキを含む治療組成物であって、前記RNAゲノムウイルスが、以下のリスト:
-コロナウイルス科のウイルス、
-C型肝炎の原因であるウイルス、黄熱病の原因であるウイルス又はフラビウイルス科のジカウイルス、
-トガウイルス科のチクングニアの原因であるウイルス
のウイルスから選択されることを特徴とする、治療組成物。
【請求項2】
前記RNAゲノムウイルスが、Covid-19の原因であるSARS-CoV-2ウイルスであることを特徴とする、請求項1に記載の治療組成物。
【請求項3】
Neurolaena lobataの乾燥葉の希釈されたマザーチンキの乾燥抽出物を調製するための方法であって、
i)50°のサトウキビアルコール中のNeurolaena lobataの乾燥葉の混合物を調製する工程であり、前記混合物が15~20g/Lの質量濃度を有する工程、
ii)前記混合物を撹拌下で約21日間浸軟させる工程、
iii)浸軟後、混合物を多孔度50~75μmの「カートリッジ」上で濾過し、Neurolaena lobataの乾燥葉のマザーチンキに相当する液体濾液及び固体残余分を得る工程、
iv)水溶液を添加することによって前記液体マザーチンキを1/4に希釈し、このようにして水性アルコール溶液を得る工程、
v)水溶液が得られるまで、この溶液に含まれるアルコールをロータリーエバポレーターによって蒸発させる工程、
vi)このようにして得られた水溶液を固化し、次いで凍結乾燥して、Neurolaena lobataの乾燥葉の希釈されたマザーチンキの乾燥抽出物を得る工程
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項4】
工程i)で調製された混合物が、50°のサトウキビアルコール1リットル(L)当たり16~17g、好ましくは16g/Lに等しいNeurolaena lobataの乾燥葉に含まれる質量濃度を有することを特徴とする、先行する請求項に記載のNeurolaena lobataの乾燥葉の希釈されたマザーチンキから乾燥抽出物を調製する方法。
【請求項5】
工程iv)の間に、0.75Lに等しい体積の濾液と2.25Lに等しい体積の水を混合することによって前記マザーチンキを希釈することを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載のNeurolaena lobataの乾燥葉の希釈されたマザーチンキから乾燥抽出物を調製する方法。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか一項に記載の方法によって得られたNeurolaena lobataの乾燥葉の凍結乾燥希釈マザーチンキの乾燥抽出物から液体溶液を調製する方法であって、前記液体溶液が、前記乾燥抽出物を水又は薬学的に許容される水性溶媒に希釈することによって得られ、前記液体溶液が、水性溶媒1mL当たり6,500~20,000ng、好ましくは6,667~20,000ng/mLの乾燥抽出物の濃度を有することを特徴とする、方法。
【請求項7】
Covid-19の原因であるSARS-CoV-2ウイルスによるウイルス感染の処置におけるその使用のためのNeurolaena lobataの乾燥葉の希釈されたマザーチンキ抽出物、特にマザーチンキの1/4に希釈され、凍結乾燥されたマザーチンキ抽出物であって、溶液中にあり、6,500~20,000ng/mLの最終濃度(希釈されたマザーチンキの凍結乾燥された乾燥抽出物の質量/水溶液の体積)を有する、希釈されたマザーチンキ抽出物。
【請求項8】
Covid 19の原因であるSARS-CoV-2ウイルスによる重篤な形態のウイルス感染の処置において、サイトカイン、特にIL-6及びIP-10の産生を減少させる医薬として使用するための、先行する請求項に記載のNeurolaena lobata葉のマザーチンキ抽出物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
RNAゲノムウイルスは、例えば、インフルエンザ、デング熱、C型肝炎、はしか、乳児気管支炎、又はより最近ではCovid-19コロナウイルスなどの多数のヒト病態の原因である。
【0002】
RNAゲノムウイルスに対する従来の治療手段は、ウイルスサイクルにおける必須ウイルスタンパク質の活性を標的とすることからなる。このような必須タンパク質は、特に、RNAポリメラーゼ、インテグラーゼ、ヘリカーゼ又はプロテアーゼからなり得る。しかし、これらのウイルスタンパク質は、いくつかのRNAゲノムウイルスにおいて保存され得るが、異なるウイルスに対して活性な広域スペクトル治療分子の開発は、比較的限られたままである。
【0003】
更に、ウイルスゲノムの可塑性、並びにRNAゲノムウイルスの適応及び変化する能力は、エスケープ変異体の迅速な出現を促進する。これらの変異体は、ウイルスのサイクルに必須のウイルスタンパク質を標的とする広域スペクトル治療分子による処置を無効にする。
【0004】
治療標的変異のこれらの問題を克服するために、ウイルス自体ではなく宿主細胞を標的とする新規の治療アプローチが近年開発されている。この新規のアプローチの原理は、RNAゲノムウイルスに感染した細胞における自然免疫応答を刺激することによってウイルス増殖を防止するために、ウイルス複製に必須の細胞機構を遮断することである。
【0005】
ウイルス複製に必須の既知の細胞機構の1つは、ピリミジン生合成サイクルである。実際、ピリミジンは、特にヒト細胞が病原体の宿主細胞、特にRNAゲノムウイルスの宿主細胞である場合に、ヒト細胞の生存にとって重要である。
【0006】
より詳細には、哺乳動物及びヒト細胞において、ピリミジンの合成は、2つの生合成経路:「デノボピリミジン経路」、及び特定の生理学的条件下で行われる別の「サルベージ経路」によって行われる。ほとんどのヒト寄生虫は、ピリミジンを合成するための「サルベージ経路」を有していない。しかしながら、ピリミジンはピリミジンヌクレオチドの製造に必要である。これらのピリミジンヌクレオチドは、細胞生存及び細胞増殖に必須である。したがって、「デノボピリミジン経路」の遮断は、ヒト宿主及びその正常な細胞機能に影響を及ぼすことなく、ヒト寄生虫を選択的に標的化するのに有効な治療手段であると考えられる。
【0007】
言い換えれば、RNAゲノムウイルスを含む全てのヒト病原体は、ピリミジン生合成のための「サルベージ経路」が欠損している。したがって、宿主細胞の「デノボピリミジン経路」は、これらの病原体を排除するための、特に宿主細胞におけるRNAウイルスの複製を防止するための治療における標的経路である。
【0008】
デノボピリミジン生合成経路は、いくつかの連続工程で行われる合成経路である。この経路及びその様々な工程は、添付図面の
図1に示されている。
【0009】
より詳細には、デノボピリミジン生合成経路の第4の工程は、オロト酸「ORO」の形成をもたらす「DHO」と呼ばれるジヒドロオロト酸の脱水素からなる。
【0010】
ジヒドロオロト酸の脱水素反応を触媒する酸化還元酵素型の酵素は、「DHODH」としても知られるジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼである。
【0011】
DHOのOROへの脱水素中、2つの補因子の間に電子移動が存在し、その一方は電子供与体であり、他方は電子受容体である。例えば、ジヒドロオロト酸のこの脱水素反応中の電子移動は、フラビンモノヌクレオチド酸化還元対FMN/FMNH2とユビキノン対QH2/Q又はニコチンアミドアデニン対NAD+/NADHによって行われる。DHODHは、ユビキノンと共にそのFMN補因子に結合して、ジヒドロオロト酸のオロト酸への酸化を触媒する。
【0012】
ピリミジンのデノボ生合成経路は、UMPとも呼ばれるウリジン5-一リン酸の合成を確実にする。UMPは、他のピリミジンヌクレオチドの前駆体として働く。これらのヌクレオチドは、細胞分裂及びRNAゲノムウイルスに感染した宿主細胞の代謝活性に必要かつ必須である。したがって、宿主細胞のDHODHを阻害すると、感染細胞中のピリミジンの量が減少し、それにより抗ウイルス自然免疫応答が増幅されることが実証されている。
【0013】
既知の方法で、DHODH酵素は、クラス1のDHODH及びクラス2のDHODHの2つの群に分けられる。これらの2つのクラスのDHODHは、それらの配列類似性、それらの結合部位、それらの細胞位置及びそれらの好ましい基質に応じて確立される。
【0014】
DHODHクラス1は、原生動物型の病原体に存在する細胞質酵素である。
【0015】
DHODHクラス2は、真核生物ミトコンドリアの内膜に結合する単量体タンパク質型酵素である。
【0016】
言い換えれば、ヒトでは、DHODHはクラス2に属し、ミトコンドリア内膜の外表面に位置するミトコンドリアタンパク質である。ヒトDHODHは、活性部位を含有するアルファ/ベータバレルドメイン及びアルファヘリックスドメインからなる2つのドメインを有する。後者は、活性部位につながるトンネルの開口部を形成する。
【0017】
現在までに、ブレキナール、テリフルノミド又はレフルノミドなどのヒトDHODHのいくつかの公知の阻害剤が存在する。
【0018】
例えば、レフルノミドは、関節リウマチ又は多発性硬化症を処置するために使用される。レフルノミドの免疫抑制効果は、T細胞に対するピリミジンの付加の枯渇、又はより複雑なインターフェロン若しくはインターロイキン媒介経路に起因していた。レフルノミドによるヒトDHODHの阻害は、DHODHの活性部位につながるトンネルの開口部を形成するアルファヘリックスドメインへのレフルノミドの結合によるものである。レフルノミドは、医薬中の活性成分として市販されているが、患者の1%~10%において副作用、特に下痢、悪心、嘔吐、アフタ、腹痛、結腸の炎症、頭痛、腱の炎症、自然脱毛の増強、湿疹、乾燥肌、トランスアミナーゼの増加、又は白血球数の低下をもたらす。
【0019】
ブレキナールによるヒトDHODHの阻害は、活性部位に至るトンネルの開口部を考慮して、レフルノミドと同じ機構によって行われる。ブレキナールは、1980年代後半に抗癌処置として使用された。それにもかかわらず、複数の望ましくない副作用の原因であるため、医薬として受け入れられていない。更に、ブレキナールは、ヒト細胞に対して非常に毒性であると認識されている。その結果、ウイルス感染に対抗するための治療においてブレキナールを使用するという発想は、医学界によって非常に早く放棄された。
【0020】
したがって、RNAゲノムウイルスによるウイルス感染に関連する病態の発症の場合、DHODHの公知の阻害剤は、特にそれらの副作用及び細胞に対する細胞毒性効果のために、細胞の種類を区別することなく、患者のウイルス症状を処置するのに不適切であると思われる。
【0021】
これが、ウイルス感染、特にRNAウイルスによる感染の場合に、DHODHの公知の阻害剤、例えばブレキナール、テリフルノミド又はレフルノミドに対する代替的な解決策を見出すことが望ましい理由である。この代替的な解決策は、DHODHの酵素活性の阻害によってデノボピリミジン経路を防止することに加えて、全てのヒト細胞に対して非細胞毒性であり、医薬として服用された場合に最小限の副作用を有することが望ましい。
【0022】
更に、現在の状況では、ほとんどの患者は、医薬の起源及び設計様式に注意を払っている。一般に、患者は、医薬中の合成成分の割合を最小限にすることを望む。これらの合成成分は、活性成分と同様に副作用の原因となり得る。結果として、ヒトDHODHを阻害することに加えて、本発明の目的はまた、RNAウイルス感染及び関連する症状を処置しながら副作用を制限するために、可能な限り天然起源であり、簡素な設計であり、カーボンフットプリントが少ないDHODH阻害剤を見出すことからなる。
【発明の概要】
【0023】
本発明の目的は、ヒトジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)を阻害する薬物として使用するための「Neurolaena」属、この場合「lobata」に属する植物の葉抽出物のマザーチンキを含む治療組成物を提案することにより、先行技術の欠点を克服することである。
【0024】
この治療組成物は、DHODHの活性を阻害する活性成分として、Neurolaena lobataの当該マザーチンキを有するという利点を有する。このマザーチンキは、有利には、工業規模で安価に容易かつ迅速に調製することができる。更に、本発明の治療組成物の当該マザーチンキは、有利には天然起源、すなわち非合成であるが、文献ではin vivoで非細胞毒性であると認識されている。
【0025】
結果として、当該治療組成物は、天然及び非細胞毒性起源のその活性成分に関連する副作用をほとんど又は全く有さない。患者による摂取後、本発明の当該治療組成物は、細胞毒性効果を有することなくDHODHの活性を阻害する。当該マザーチンキを含む当該治療組成物の設定は、免疫系が病原体又は任意の他の疾患によって弱まっている患者における自然免疫応答の増加をもたらす。
【0026】
更に、本発明の他の特徴によれば、当該治療組成物は、RNAゲノムウイルスのウイルス感染に関連する症状の処置における医薬として使用するためのものである。
【0027】
DHODHの活性を阻害し、デノボピリミジン合成経路を妨げる特性を有するNeurolaena lobataのマザーチンキを含む当該治療組成物は、RNAウイルス、特に陽性RNAによるウイルス感染の場合に適している。
【0028】
実際に、RNAウイルスは「ピリミジンサルベージ経路」を欠損している。RNAウイルスは、その感染機構のために、細胞複製機構に必要な、言い換えればウイルス増殖に必要なピリミジンを合成するために宿主の「デノボ経路」を使用しなければならない。したがって、宿主細胞のデノボ経路の阻害は、細胞複製、すなわちRNAウイルスのウイルス複製を防止する。これが、RNAゲノムウイルスのウイルス感染に関連する症状を処置するための医薬としての本発明の当該治療組成物の使用が適切である理由である。
【0029】
好ましい実施形態によれば、本発明の治療組成物は、以下のリスト:コロナウイルス科、フラビウイルス科、オルトミクソウイルス科、又はトガウイルス科のウイルス科から選択されるRNAゲノムウイルスのウイルス感染に関連する症状の処置における薬物として使用される。
【0030】
最も優先的には、本発明はまた、Neurolaena lobataの乾燥葉の希釈されたマザーチンキの乾燥抽出物を調製する方法であって、
i)50°のサトウキビアルコール中のNeurolaena lobataの乾燥葉の混合物を調製する工程であり、当該混合物が15~20g/Lの質量濃度を有する工程、
ii)当該混合物を撹拌下で約21日間浸軟させる工程、
iii)浸軟後、混合物を多孔度50~75μmの「カートリッジ」上で濾過し、Neurolaena lobataの乾燥葉のマザーチンキに相当する液体濾液及び固体残余分を得る工程、
iv)水溶液を添加することによって当該液体マザーチンキを1/4に希釈し、このようにして水性アルコール溶液を得る工程、
v)水溶液が得られるまで、この溶液に含まれるアルコールをロータリーエバポレーターによって蒸発させる工程、
vi)このようにして得られた水溶液を固化し、次いで凍結乾燥して、Neurolaena lobataの乾燥葉の希釈されたマザーチンキの乾燥抽出物を得る工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0031】
有利には、工程i)で調製された混合物は、50°のサトウキビアルコール1リットル(L)当たり16~17g、好ましくは16g/Lに等しいNeurolaena lobataの乾燥葉の質量濃度を有する。
【0032】
最も優先的には、工程iv)の間に、当該マザーチンキは、0.75Lに等しい体積の濾液と2.25Lに等しい体積の水を混合することによって希釈される。
【0033】
本発明はまた、Neurolaena lobataの乾燥葉の凍結乾燥希釈マザーチンキの乾燥抽出物から液体溶液を調製する方法であって、当該乾燥抽出物が上記の方法に従って得られ、当該液体溶液が、当該乾燥抽出物を水又は薬学的に許容される水性溶媒に希釈することによって得られ、当該液体溶液が水性溶媒1mL当たり乾燥抽出物6,500~20,000ng、好ましくは6,667~20,000ng/mLの濃度を有する方法に関する。
【0034】
本出願において、薬学的に許容される溶媒は、医薬組成物の調製において使用することができ、非毒性であり、獣医学的使用並びにヒトの薬学的使用のために生物学的に許容されるという特徴を有する溶媒を意味すると理解される。
【0035】
本出願はまた、Covid-19の原因であるSARS-CoV-2ウイルスによるウイルス感染の処置におけるその使用のためのNeurolaena lobataの乾燥葉の希釈されたマザーチンキ抽出物、特にマザーチンキの1/4に希釈され、凍結乾燥されたマザーチンキ抽出物であって、溶液中にあり、6,500~20,000ng/mL(希釈されたマザーチンキの凍結乾燥された乾燥抽出物の質量/水溶液の体積)の最終濃度を有する希釈されたマザーチンキ抽出物に関する。
【0036】
上記のように希釈されたNeurolaena lobataの当該乾燥葉マザーチンキ抽出物は、上記の方法に従って得ることができる。
【0037】
Neurolaena lobata葉のマザーチンキ抽出物は、Covid-19の原因であるSARS-CoV-2ウイルスによる重篤な形態のウイルス感染の処置において、サイトカイン、特にIL-6及びIP-10の産生の減少における薬物としての使用に特に適応される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、本発明の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、ヒト細胞におけるデノボピリミジンの合成経路の工程を概略的に示し、その第4の工程は、脱水素反応、すなわち、ジヒドロオロト酸「DHO」をオロト酸OROに変換するジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ酵素「DHODH」の作用からなる。
【
図2】
図2は、RNAゲノムウイルスに感染したヒト宿主細胞内のミトコンドリアヒトDHODHに対する本発明の当該組成物の阻害作用を概略的に表す。
【
図3】
図3は、DHODHとその基質の間の接触時間の関数としての、ブレキナール、又は「H1」と呼ばれるNeurolaena lobataの葉抽出物のマザーチンキ、又は「H2」と呼ばれるNeurolaena lobataの葉抽出物の別のマザーチンキのいずれかからなる0.01μg/mLの濃度の試料の600nmで測定された光学密度の傾向曲線を示す。
【
図4】
図4は、DHODHとその基質の間の接触時間の関数としての、ブレキナール又は「H1」又は「H2」のいずれかからなる0.1μg/mLの濃度の試料の600nmで測定された光学密度の変化曲線を示す。
【
図5】
図5は、DHODHとその基質の間の接触時間の関数としての、ブレキナール又は「H1」又は「H2」のいずれかからなる1μg/mLの濃度の試料の600nmで測定された光学密度の変化曲線を示す。
【
図6】
図6は、試料H1又はH2の濃度の関数としての、試料の存在下で0~275秒の間で観察された、その基質に対するDHODHの活性の阻害パーセンテージの変化の曲線を示す。
【
図7】
図7は、試料H1、H2又はブレキナールの濃度の関数としての、試料の存在下で0~275秒の間で観察された、その基質に対するDHODHの活性の阻害パーセンテージの変化の曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、ヒトジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)を阻害する薬物としての使用のための、「Neurolaena」属、この場合「lobata」に属する植物の葉抽出物のマザーチンキを含む治療組成物に関する。
【0040】
図1は、いくつかの工程を含むピリミジンを合成するためのデノボ経路を概略的に示し、工程4は、ヒトジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ「DHODH」の作用を含む。
【0041】
ピリミジンを合成するためのデノボ経路において、ピリミジン核の前駆体は、グルタミン、アスパラギン酸及びCO
2である。
図1に見ることができるように、第1の工程では、カルバミルリン酸がカルバミルリン酸合成酵素によって形成される。第2の工程では、アスパラギン酸トランスカルバモイラーゼがカルバミルアスパラギン酸の形成を触媒する。後者は、第3の工程で、ジヒドロオロターゼによってジヒドロオロト酸「DHO」に変換される。次いで、第4の工程では、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ「DHODH」が「DHO」のオロト酸「ORO」への変換を触媒し、これがウリジン一リン酸「UMP」を得るための反応前駆体として使用される。UMPは、細胞増殖に必要なRNAとの重合機構において有用である。
【0042】
本発明によれば、「Neurolaena」属、この場合「lobata」に属する植物の葉抽出物のマザーチンキは、有利には天然起源のものである。実際、Neurolaena lobataは、アンティル諸島及び中央アメリカ、特にグアドループに見出されるキク科に属する植物である。これらの土地では、農業生態学的条件及び土壌気候条件が好ましいため、この植物は容易に栽培及び収穫される。
【0043】
したがって、その天然起源により、Neurolaena lobataの抽出物の使用は、有利には疾患を処置するための治療組成物内でのその使用中の副作用のリスクを低減することを可能にする。
【0044】
加えて、この発想を強化するために、いくつかの科学的研究及び刊行物が、Neurolaena lobataの抽出物がin vivoでいかなる毒性も有さないことを実証している(Gracioso J.S.ら、J.Pharm.Pharmacol.1998,50:1425-1429;Gracioso J.S.ら、Phytomedecine、2000年、第7巻(4)、283~289頁)。特に、マウスにおいて、Neurolaena lobataの苗条のヒドロ-アルコール抽出物5000mg/kgの用量を経口経路によって摂取した後、数日後に生理的毒性は観察されなかった。
【0045】
結果として、その天然起源に加えて、DHODHの活性を阻害することを目的とする治療組成物の活性成分としてのNeurolaena lobataの抽出物の選択は、有利には選択された濃度で、全てのヒト細胞、特に免疫応答に関与する細胞に対して非細胞毒性であるという本発明の目的に合致する。
【0046】
本発明によれば、Neurolaena lobataの葉抽出物の当該マザーチンキは、ヒドロアルコール溶液からなる。
【0047】
好ましい実施形態によれば、マザーチンキは、Neurolaena lobata植物の葉のみの抽出物から生成される。
【0048】
本発明によれば、当該治療組成物は、経口摂取用の剤形である。例えば、当該治療組成物は、液体形態、例えばシロップの形態、又は固体形態、例えば錠剤の形態である。
【0049】
本発明によれば、当該治療組成物は、活性成分として、DHODHの活性に対して阻害効果を有するNeurolaena lobataの当該マザーチンキ、及びその投与製剤化を可能にする他の賦形剤を含む。これらの賦形剤と当該マザーチンキとの間に存在し得る相互作用は、DHODHの阻害効果に影響を及ぼさず、影響を与えない。
【0050】
好ましくは、本発明の当該治療組成物は、Neurolaena lobataの当該マザーチンキを含む製剤中にある場合、ほとんど又は全く副作用を生じない天然起源の賦形剤のみを含む。
【0051】
好ましい実施形態によれば、当該治療組成物は、ウイルス感染に関連する症状の処置における薬物として使用される。
【0052】
より具体的には、本発明の当該治療組成物は、以下のリスト:コロナウイルス科、フラビウイルス科、又はトガウイルス科のウイルス科から選択されるRNAゲノムウイルスによる感染に関連する症状の処置における薬物として使用される。
-コロナウイルス科のうち、Covid-19の原因であるSARS-CoV-2が言及され、
-フラビウイルス科のうち、その唯一の代表がC型肝炎の原因であるウイルスであるヘパシウイルス属、及びフラビウイルス属において、黄熱病の原因であるウイルス又はジカウイルスが言及され、
-トガウイルス科のうち、チクングニアの原因であるウイルスが言及される。
【0053】
実際、宿主内でのそれらのウイルス複製のために、RNAウイルスは、宿主細胞のピリミジンを合成するためのデノボ経路が機能的であることを必要とする。これらのウイルスはピリミジン合成経路を欠いている。しかし、この細胞経路がDHODHの活性を阻害する本発明の治療組成物の使用によって遮断される場合、宿主細胞はデノボ経路とピリミジン合成サルベージ経路の両方を欠くため、宿主細胞内でのRNAウイルスのウイルス複製はもはや不可能である。
【0054】
図2は、RNAゲノムウイルスに感染したヒト細胞におけるDHODHの阻害に対する本発明の組成物の作用機構を示す。本発明の組成物のNeurolaena lobataの葉抽出物のマザーチンキのために、ミトコンドリアにおいてDHODHによって行われる脱水素反応は起こらない。ピリミジンの合成のためのデノボ経路は遮断され、それを欠くウイルスはサルベージ経路を使用することができない。ヌクレオチドのUMP及びピリミジン塩基は、ウイルス複製を開始するためにRNAウイルスによって使用することができない。
【0055】
その結果、ウイルスRNAゲノムを当該宿主細胞内に導入した後であっても、宿主細胞によってビリオンを製造することができない。DHODHの阻害は、RNAゲノムウイルスのウイルス増殖を防止し、宿主の細胞膜の外側でのビリオンの産生及び排出を防止する。したがって、DHODHの活性を阻害する作用を有する本発明の組成物の使用は、ウイルス増殖及び生物内の病原体の存在に関連する症状の発症を防止する。したがって、本発明の組成物は、特にRNAゲノムによるウイルス感染を処置するのに有効な治療手段を構成する。
【0056】
結果として、RNAゲノムウイルスによる感染に関連する症状の処置における薬物としての本発明の治療組成物の使用は、感染に対抗し、ウイルス増殖を制限するための解決策からなる。
【0057】
本発明の治療組成物は、DHODHの阻害を標的とするウイルス疾患を処置するための既存の解決策に対する良好な代替物である。この特定の使用は、デノボピリミジン合成経路を阻害することによって宿主細胞内のウイルス複製を防止することを可能にし、一方で防御細胞による免疫応答を増加させ、細胞毒性効果を伴わない。
【0058】
したがって、本発明の治療組成物は、病原体に対する免疫応答に関与する細胞に侵襲的及び破壊的であることなくDHODHを阻害すること、すなわちRNAウイルスの複製に必要なピリミジンのデノボ合成経路を遮断することを可能にする代替的な解決策からなる。
【0059】
本発明の治療組成物はまた、製造が容易である一方で、それを使用する消費者及び患者から見て可能な限り自然であるという利点を有する。
【0060】
以下の実験の結果は、本発明の治療組成物によるDHODHを阻害する効果を示すことを意図する。
【0061】
以下に詳述するin vitroで得られた実験の他の結果は、特に、特にCovid-19の原因であるSARS-CoV-2ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる重篤な形態に対する本発明の治療組成物の作用を示す。
【0062】
実際、これらの結果は、SARS-CoV-2ウイルスによる感染後に細胞によって放出される特定のサイトカインの量の減少に対する、Neurolaena lobataの葉抽出物のマザーチンキを含む本発明の治療組成物の特に興味深い作用を実証する。
【0063】
サイトカインは、病原体による感染後の免疫応答を媒介するために免疫細胞によって天然に合成されるタンパク質である。それらは、感染した生物が病原体に対して防御することを可能にする天然の炎症反応を促進する。
【0064】
しかし、SARS-CoV-2感染の特定の場合において、特に肺細胞におけるサイトカインの放出は非常に重要であるため、「サイトカインストーム」を誘発する。この免疫系の暴走は、組織を破壊するか、生理学的悪化を引き起こす可能性がある急性呼吸窮迫症候群を引き起こすか、あるいはこの反応が誘発された人にとって致死的になる傾向がある過剰炎症反応を引き起こす。
【0065】
Neurolaena lobata植物の葉抽出物のマザーチンキを含む本発明による治療組成物に対してin vitroで行われた以下に示す試験の結果は、サイトカイン産生が当該組成物の作用によって実質的に減少され得ることを実証する。
【0066】
ここでDHODHの作用の阻害に関する試験の結果に戻ると、Neurolaena lobata植物の葉抽出物のマザーチンキを含む本発明の治療組成物に対して試験を行った。
【0067】
このマザーチンキは、試験される試料を構成する。基質に対するDHODHの作用の阻害の測定は、透明な壁を有する従来のマルチウェルプレートで行われる。ウェルは、試験される試料、DHODH及びその基質を含む。
【0068】
試料によるDHODHの阻害を評価するために、「OD」と呼ばれる光学密度のパラメータが使用される。実際、各ウェルにおいて、「OD」は600nmの波長で、いくつかの時間間隔で5分間の持続時間にわたって測定される。
【0069】
より具体的には、各ウェルは、希釈又は非希釈試料、DHODHの酵素、及び試験緩衝液中に希釈されたその比色基質を含む。当該比色基質は、DHODHの作用によってOROに変換され得るDHOを含む。
【0070】
経時的に、酵素DHODHによる比色基質DHOの消費は、ODの低減をもたらす。この減少は、DHODHの活性による着色DHOの無着色OROへの変換を示す。言い換えれば、DHOが消費され、DHODHの活性によってOROに還元され、これが測定されるODの変化を引き起こす。
【0071】
試料によってDHODHの活性が阻害されると、ODは経時的に安定なままである。実際、阻害された場合、比色DHO基質はDHODHによってOROに変換されず、したがってODは最初のDHOのODのままである。
【0072】
実験を行うために、以下のものを使用した:
-「ヒト組換えDHODH」を表す「rh DHODH」と呼ばれるクラス1酵素の溶液
-50mM Tris、150mM KCl及び0.1%Triton(登録商標)X-100からなるpH8の試験緩衝液
-試験緩衝液中に「DHO」と呼ばれる2mMのL-ジヒドロオロト酸、「Q」と呼ばれる0.2mMのデシルユビキノン、及び「DPIP」と呼ばれる0.12mMの2,6-ジクロロインドフェノールナトリウム塩水和物を含むDHODHの基質混合物
-「DMSO」と呼ばれるジメチルスルホキシドからなる希釈緩衝液で希釈された、又は希釈されていないNeurolaena lobata植物の葉抽出物のマザーチンキ試料。
【0073】
DHODHの基質の混合物において、「DHO」と呼ばれるL-ジヒドロオロト酸は、脱水素反応中にDHODHによって使用される比色基質を構成することに留意すべきである。
【0074】
基質混合物において、「Q」と呼ばれるデシルユビキノン及び「DPIP」と呼ばれるジクロロインドフェノールナトリウム塩水和物は、電子受容体及び供与体である。これらの電子の移動は、酸化還元酵素DHODHによる脱水素反応を行うことを可能にする。
【0075】
試料H1を構成するNeurolaena lobata植物の葉抽出物のマザーチンキの調製:
Neurolaena lobata植物の葉抽出物のH1マザーチンキは、以下の方法工程を実行することによって得られる:
・Neurolaena lobataの葉を収穫する、
・当該葉を乾燥させる、
・当該乾燥葉を粉末が得られるまで粉砕する、
・粉末をサトウキビアルコール溶液中で21日間、浸軟物が得られるまで浸軟し、量の割合は、サトウキビアルコール溶液62.5mL毎に粉末1gである、
・H1と呼ばれる濾液が得られるまで当該浸軟物を濾過する。
【0076】
上述の方法において、好ましい実施形態によれば、葉は、6~9、好ましくは6.5~9%程度の残留含水量を有するまで、好ましくは40℃未満の温度でおよそ120時間、熱気流中で乾燥させることができる。
【0077】
含水量は、当業者に公知の任意の適切な方法によって決定される。例えば、含水量は、40℃未満の温度を有し、85%未満の相対湿度比を有する部屋に設置されたデシケータを使用して、太陽光線、気流又は振動に直接曝露することなく決定することができる。
【0078】
例えば、高分解能で1mgの標準精度、及び1℃刻みで30℃~230℃の範囲の温度範囲を有するフランスのPRECISA MOLENによって市販されている製品コードXM60のデシケータを、葉の残留含水量を測定するために使用することができる。
【0079】
好ましくは、上記プロトコルにおいて、粉末は、サトウキビアルコール溶液中で、25℃~30℃、好ましくは30℃の温度でおよそ21日間、毎日12時間ゆっくり撹拌しながら浸軟される。
【0080】
試料H2を構成するNeurolaena lobata植物の葉抽出物のマザーチンキの調製
Neurolaena lobataの葉抽出物のH2マザーチンキは、以下の方法工程を実行することによって得られる:
-Neurolaena lobataの葉を収穫する、
-当該葉を乾燥させる、
-100gの乾燥葉を1Lの純粋なエタノール溶液中で7日間、浸軟物が得られるまで浸軟する、
-当該浸軟物を、濾液が得られるまでセライト上で濾過する、
-当該濾液をロータリーエバポレーターによって濃縮する。
【0081】
当該濃縮濾液は、試料H2が得られるまで、特にシュレンクラインを使用して加圧下で乾燥される。
【0082】
本発明の組成物によるDHODHの阻害を分析するためのプロトコル。
本発明の治療組成物によるDHODHの阻害を検証するために、それぞれH1及びH2と呼ばれる2つのストック溶液を調製した。
【0083】
母液H1は、Neurolaena lobata植物の葉を収穫した後、上述の方法を実施することによって得られる。
【0084】
H2ストック溶液は、前述の方法を実施することによって得られる。
【0085】
DHODHの阻害に対する試料の影響を試験し、「用量応答効果」を把握するために、各試料H1及びH2をDMSO緩衝液中に希釈した。
【0086】
H1及びH2試料の希釈により、以下の濃度を得ることが可能になった:試料のμg/ウェル中の全溶液のmL単位で:以下の表1及び表2に示される0.01μg/mL;0.1μg/mL;1μg/mL;10μg/mL;100μg/mL;1000μg/mL。
【0087】
プロトコルを開始するために、試料H1又はH2の各希釈物を、ウェル内のrh DHODH酵素及び基質の混合物の存在下に置いた。H1又はH2の試料濃度について測定されたODの平均を得るために、H1及びH2の希釈濃度のそれぞれについて三連測定を行った。
【0088】
より具体的には、以下の結果を得るために、プロトコルの以下の工程を実施した:
-H1又はH2試料の希釈物を含む各ウェルに、同日に調製したrh DHODH酵素を試験緩衝液中で添加する。
-酵素及び試料を互いの存在下で37℃で6分間放置する、
-次いで、50μLの上述の着色基質混合物を添加し、これが時間0からなり、
-ODを600nmで、55秒毎の規則的な間隔で275秒間直ちに読み取ることにより、各ウェル中で測定する。
【0089】
各ウェルに添加される酵素の量は同じである。プロトコルでは、0.06μgのrh DHODH酵素/ウェル中の全溶液のmLの濃度を有するように、酵素をウェルに添加する。
【0090】
以下の表1は、試料H1について得られた結果を示す。
【0091】
【0092】
表1において、第1列は、600nmにおけるODの測定値取得時間間隔を示す。言い換えれば、これは、基質混合物の存在下での試料H1とrh DHODHとの接触時間に対応する。
【0093】
表1において、2行目は、ウェル中の試料H1の濃度を示す。この濃度は、試料H1のμg/ウェル中の全溶液のmLで表される。
【0094】
表1の各列は、同じ試料濃度のH1について、並びにrh DHODH及びその基質との規定の接触時間についての三連測定の600nmで測定された平均OD値を示す。
【0095】
例えば、表1に見られるように、0.1μg/mLの濃度の試料H1、rh DHODH、及び着色基質の混合物の間の110秒間の接触後、同一容量の3つのウェルで測定されたODの平均値は0.315である。
【0096】
表1の記号Δの行は、試料H1、rh DHODH及びその基質の間の存在0秒で測定されたODの平均値と、存在275秒で測定された平均OD値との間の差を示す。
【0097】
記号Δは、存在0秒と275秒との間のODの減少、すなわち、DHODHの有効活性によってDHOをOROに変換する能力を表す。
【0098】
表1において、最後の2行は、H1の各試料濃度について、rh DHODHの活性による着色DHOのOROへの変換の活性のパーセンテージ、並びに試料H1によるrh DHODHの活性の阻害のパーセンテージを示す。
【0099】
活性%は、所与の試料濃度のH1(続いてH2)について、以下のように計算される:
活性%=(ΔH1×100)/陰性対照のΔ。
例えば、0.01μg/mLまでの試料H1の場合:活性%=(0.092×100)/0.208=44.231。
【0100】
阻害%は、以下の式によって計算される:100-活性%の値。
【0101】
実験中にそのDHO基質を形質転換するrh DHODHの有効活性を検証するために、陰性対照を二連で行った。この陰性対照は、その基質に対するDHODHの活性を検証し、試料の活性%及び阻害%を決定するために必須である。
【0102】
陰性対照の列は、秒単位の様々な測定間隔で600nmで測定された平均OD値を示す。
【0103】
陰性対照は、0.06μg/ウェル中の全溶液のmLの濃度で表1において「E」と示されるrh DHODHと、「S」と示される着色基質の混合物50μLと、試料H1の代替として「T」と示されるDMSO緩衝液の溶液のみを含有する。
【0104】
結果は、0~275秒の間に、600nmで測定されたODの平均値が減少することを示す。
【0105】
その結果、着色基質DHOは、酵素rh DHODHによる還元活性により、実際にOROに変換される。酵素rh DHODHは、基質混合物に関して実際に機能的である。また、DMSO緩衝液もDHO基質が希釈された試験緩衝液も、酵素rh DHODHによる脱水素活性に影響を及ぼさない。
【0106】
表1に見ることができるように、本発明の試料H1は、その基質に対するDHODHの活性を阻害する。試験した全てのH1濃度について、阻害パーセンテージは51%~56%である。また、試験した濃度では、試料H1の濃度の増加は、DHODHの活性に対する阻害パーセンテージの値の増加と同義ではないことが見出される。
【0107】
同じプロトコル及び同じOD測定により、試料H2の阻害パーセンテージを定量することが可能になった。
【0108】
以下の表2は、試料H2の様々な試験濃度について得られた結果を示す。
【0109】
【0110】
表2から見ることができるように、本発明の試料H2は、DHODHの活性を阻害する。
【0111】
試験した全てのH2濃度について、阻害パーセンテージは48%~67%である。
【0112】
試料H1とは異なり、用量応答効果があるように思われる。実際、1000μg/mLの濃度では、阻害パーセンテージは0.01μg/mLの濃度の場合よりも有意に高いように思われる。
【0113】
言い換えれば、酵素の存在下で試料H2の濃度が増加すると、阻害パーセンテージが増加する。試験体H2は、Neurolaena lobata葉抽出物調製プロトコルが試料H1と異なる。したがって、rh DHODHの阻害活性の原因である要素は葉に集中しており、葉のマザーチンキの調製の様式に応じて阻害活性は異なるように思われる。
【0114】
図3~5は、所与の濃度のH1、H2又はブレキナールの試料について、経時的に600nmで測定した光学密度の傾向を示す。
【0115】
図3の曲線は、0.01μg/ウェル中のmLの総濃度の試料についての、経時的な600nmでのOD値の測定を示す。
【0116】
同様に、
図4の曲線は0.1μg/mLの濃度の試料についてのものであり、
図5の曲線は1μg/mLの濃度の試料についてのものである。
【0117】
いずれの場合も、試料の濃度にかかわらず、DHODHの既知の阻害剤であるブレキナールについては、600nmでのODが経時的に実質的に安定なままであることに留意すべきである。したがって、ブレキナールはDHODHの阻害剤である。
【0118】
試料H1及びH2について、600nmで測定されたODの低減が観察される。この減少はrh DHODHの活性と同義である。しかし、各試料について、ODの低減は、接触して110秒から明らかであることが分かる。
【0119】
0~110秒では、600nmで測定されたODはかなり安定している。この観察は、DHODH酵素が直ちに活性ではないことを意味するように思われる。最初の110秒において、DHODHは、試料H1又はH2の存在下にある場合、脱水素反応を行わないか、又はほとんど行わない。したがって、試料H1及びH2は、その基質に関してDHODH活性の開始を遅らせるように思われる。
【0120】
酵素rh DHODHのその基質を還元する活性を有効に検証するために、陽性対照も二連で行った。陽性対照ウェルは、希釈試料H1又はH2の代替として、DHODHの活性の既知の阻害剤であるブレキナールを含む。
【0121】
試料のOD測定と並行して、DMSO緩衝液で希釈したブレキナールの溶液のODをrh DHODH及びその基質の存在下で測定した。
【0122】
試料と同様にして、rh DHODHの阻害に対する異なる濃度のブレキナール溶液の作用を測定した。
【0123】
その基質に対するrh DHODHの活性を検証するために、ブレキナールによるDHODHの阻害を測定するためのプロトコルと並行して陽性対照を三連で行う。陽性対照ウェルは、「E」と呼ばれるrh DHODH、及び「T」と呼ばれる基質のその混合物、並びにブレキナールの代わりに「T」と呼ばれるDMSO緩衝液を含む。
【0124】
以下の表3は、種々の試験濃度のブレキナール試料について得られた結果を示す。
【0125】
【0126】
表3では、その基質を変換するrh DHODHの活性を陽性対照によって検証する。実際、経時的に、600nmで測定されるODの低減が効果的に観察される。この減少は、rh DHODHの脱水素活性による、DHOのOROへの変換をもたらす。DMSO緩衝液も試験緩衝液もrh DHODH酵素の活性に影響を与えない。したがって、rh DHODH酵素は、ブレキナールによるDHODHの阻害を測定するためのこのプロトコルにおいて機能的である。
【0127】
表3は、試験した種々の濃度のブレキナールが、92%~100%のrh DHODHの阻害活性を示すことを示す。
【0128】
試料H1及びH2の阻害活性を強調するために、
図6は、DHODHとその基質を275秒接触させた後の、それらの濃度の関数としての互いに対する試料H1及びH2の阻害パーセンテージの曲線を示す。
【0129】
図6では、0.01~1000μg/mLの範囲の濃度で、H1は比較的安定したrh DHODHの阻害パーセンテージを有することが注目される。
【0130】
対照的に、H2は、100μg/mLを超える濃度で、その阻害パーセンテージが有意に増加する。特に、1000μgのH2/ウェル中の総溶液のmLの濃度では、rh DHODHの阻害パーセンテージは有利には66.3%に達する。
【0131】
同様に、
図7は、DHODH及びその基質と275秒接触した後の、それらの濃度の関数としてのH1、H2及びブレキナール試料の阻害パーセンテージの変化を示す。試料H1及びH2は、ブレキナールと同様に、基質に対するDHODHの活性の阻害剤であることに留意されたい。実際、試料H1及びH2によるDHODHの阻害は100%ではなく、ブレキナールほど有効ではないが、存在する。
【0132】
したがって、得られた結果に関して、天然起源のNeurolaena lobata H1及びH2のマザーチンキの試料は、実際に、そして有意に、DHODH酵素に対する阻害活性を有する。
【0133】
したがって、「Neurolaena」属、この場合は「lobata」に属する植物の葉抽出物のマザーチンキを含む本発明の治療組成物は、DHODHの活性を阻害する効果を有する。
【0134】
結果として、これらの試料のいずれかを含む治療組成物、すなわちNeurolaena lobataの葉ベースのマザーチンキは、その治療標的がDHODHの不活化である疾患を処置するための有望な非毒性の天然生成物である。
【0135】
特に、本発明の治療組成物は、ウイルス病原体、特にRNAゲノムウイルスによる感染から生じる疾患を処置するための考えられる経路である。
【0136】
また、in vitro試験を行って、Neurolaena lobataのマザーチンキベースの治療組成物の抗ウイルス及び殺ウイルス効果を実証し、更に特定のサイトカインの放出に対する阻害効果を決定した。
【0137】
試験される試料の調製:
これらの試験を行うために、いくつかの試料を植物Neurolaena lobataの葉から調製した。
【0138】
試料を「TOTUM」と示す。
【0139】
「TOTUM 3」は、Neurolaena lobataの葉から得られるマザーチンキに相当する。以下の方法で調製した:
i)質量3.6kgのNeurolaena lobataの乾燥葉を体積225Lの50°のサトウキビアルコールと混合し、これはサトウキビアルコール1リットル当たり16gのNeurolaena lobataの乾燥葉の質量濃度に相当する。より一般的には、50°のサトウキビアルコール1リットル当たり15~20g/L、好ましくは16~17g/L、より好ましくは16gのNeurolaena lobataの乾燥葉に等しい質量濃度を有する混合物を調製する。
優先的には、上述の試料H1の調製に関して、葉は、それらが6~7%程度の残留含水量を有するまで、好ましくは40℃未満の温度で、およそ120時間熱気流下で乾燥され得る。含水量は、H1の場合と同様に決定することもできる。
ii)混合物を、毎日12時間ゆっくりと撹拌しながら、30℃程度の温度でおよそ21日間撹拌しながら放置して浸軟させる。
iii)浸軟後、混合物を、50~75μmの多孔度を有する「カートリッジ」又は濾過ポケットで濾過し、濾液及び残余分を得る。
iv)体積3Lの濾液を収集する
v)その中に含まれるアルコールを、水溶液がおよそ1Lに等しい体積を有するまで、ロータリーエバポレーターによって3つの期間で蒸発させる。
vi)このようにして得られた水溶液を凍結し、次いで凍結乾燥する。
【0140】
最終的に、12.3gに等しい質量を有する凍結乾燥物が得られる。
【0141】
「TOTUM 4」は、マザーチンキから希釈された試料である。
【0142】
より具体的には、この試料を得るために、以下のTOTUM 3を得るためのプロトコルの工程iv)において、3Lの濾液を収集する代わりに0.75Lの濾液を収集し、これを2.25Lの水に等しい体積で希釈する。次いで、3Lに等しい総体積を有するヒドロ-アルコール溶液を得る。一般に、上記工程iii)で得られた液体濾液又はマザーチンキは、1/4に希釈される。
【0143】
次に、TOTUM 4を得るための以下の工程は、TOTUM 3を得るために使用され、かつ上述されたものと同様であり、すなわち:
v)好ましくは3Lに等しい体積を有するヒドロ-アルコール溶液中に含有されるアルコールを、およそ1Lに等しい体積を有し得る水溶液が得られるまで、例えば、3つの期間でロータリーエバポレーターによって蒸発させる。
vi)このようにして得られた水溶液を凍結し、次いで凍結乾燥する。
【0144】
最後に、Neurolaena lobataの乾燥葉を(4分の1に)希釈したマザーチンキの乾燥抽出物に相当する、5.6gに等しい質量を有する凍結乾燥物を得る。
【0145】
陰性対照として、「TOTUM 2」と呼ばれる試料を乾燥バナナパルプMusa sapientumから調製した。
【0146】
より具体的には、この試料を得るために、150gの乾燥バナナパルプを50°の5Lの容量のサトウキビアルコールで希釈した。
【0147】
混合物を1日2~3時間撹拌しながら約5日間浸軟させた後、多孔度10~20μmの紙で濾過して、4Lのヒドロ-アルコール濾液を得る。
【0148】
次いで、濾液を、6gに等しい質量を有する乾燥抽出物が得られるまでロータリーエバポレーターによって蒸発させる。
【0149】
TOTUM2、3及び4によるヒト肺上皮細胞(Calu-3)及び腎細胞(VeroE6-TMPRSS2)の処理中のCovid-19の原因であるSARS-CoV2ウイルスの増殖の阻害の評価。
これらの試験の運転中に使用されたSARS-CoV2ウイルス株は、Slovakia/SK-BMC5/2020と示されるSARS-CoV-2株に対応する欧州株(D614Gにおける元のWuhan株の変異)である。
【0150】
ウイルス株は、European Virus Archive goes Global(Evag)プラットフォーム(https://www.european-virus-archive.com/)によって提供された。
【0151】
SARS-Cov2のウイルス株を増幅し、Vero E6 TMPRSS2細胞系上でOncodesignによって力価測定した。
【0152】
これらの評価試験では2つの細胞系を使用した:これらは以下の系である:
-Calu-3、ヒト肺腺癌(ATCC-American Type Culture Collectionから);
-Vero E6-TMPRSS2、非ヒト霊長類腎臓上皮細胞(NIBSC-National Institute for Biological Standards and Controls、英国から)。
【0153】
Calu-3細胞モデルは、SARS-CoVに関する文献に既に十分に記載されている(C.-T.K.Tseng,J.Tseng,L.Perrone,M.Worthy,V.Popov,and C.J.Peters,「Apical entry and release of severe acute respiratory syndrome-associated coronavirus in polarized Calu-3 lung epithelial cells,」J Virol,vol.79,no.15,pp.9470-9479,Aug.2005,doi:10.1128/JVI.79.15.9470-9479.2005を参照されたい)。
【0154】
Calu-3細胞を、対応する細胞培養培地(MEM+1%ピルビン酸塩+1%グルタミン+10%ウシ胎児血清)中、加湿雰囲気(5%CO2、95%空気)中37℃で単層培養した。
【0155】
Vero E6-TMPRSS2細胞を、対応する細胞培養培地(DMEM+1%ピルビン酸塩+抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン及びジェネティシン)の1%カクテル+2%ウシ胎児血清)中、加湿雰囲気(5%CO2、95%空気)中37℃で単層培養した。
【0156】
これら2つの細胞系の細胞をプラスチックフラスコ上に付着させる。細胞継代手順のために、トリプシン-ベルセンで20分間(Calu系の細胞について)及び5分間(Vero系の細胞について)処理することによって細胞を培養瓶から取り出し、完全培養培地を添加することによって中和した。研究のために、細胞を96ウェルプレート上に置いた。
【0157】
細胞を計数し、Vi-cellカウンターを使用してそれらの生存率を評価した。
【0158】
「CAS1」と示される第1の系列の試験では、2つの前述の細胞系の細胞を、試験される化合物(特にTOTUM 2、3及び4)と24時間接触させ、その後SARS-CoV-2のウイルス株に曝露する。この第1の系列「CAS1」は、抗ウイルス効果を研究することを可能にし、言い換えれば、細胞を化合物によって処理した後に感染させる。
【0159】
「CAS2」と示される第2の系列の試験では、SARS-CoV-2のウイルス株を、TOTUM2、3及び4を含む試験される種々の化合物と室温で30分間接触させ、その後細胞をウイルスと接触させる。この第2の系列「CAS2」は、殺ウイルス効果を研究することを可能にし、言い換えれば、ウイルスを化合物と接触させた後に細胞と接触させる。
【0160】
細胞系Calu-3及びVero E6 TMPRSS2を用いたCAS1試験のための試験プロトコル
細胞を計数し、細胞分析装置Vi-CELLを使用してそれらの生存率を評価した。
【0161】
細胞をコンフルエンスに到達するまで播種した:
-Vero E6 TMPRSS2-30,000細胞/ウェル;
-Calu-3-90,000細胞/ウェル。
【0162】
TOTUM2、3及び4の凍結乾燥物及び乾燥抽出物から、ストック溶液をDMSO中10mg/mLで調製する。これらのストック溶液から、7つの濃度の試験化合物を完全増殖培地中で調製し、細胞に添加した:10000、3333、1111、370、123、41、14ng/mL。
【0163】
第1の生物学的反復(N=1)をこれらの濃度で行った。
【0164】
第2の生物学的反復(N=2)を異なる濃度で行った。実際、試験した濃度は、第1の生物学的反復の結果を分析した後に調整した。
【0165】
したがって、反復N=2については、以下の濃度を使用した:TOTUM 3について100000、33333、11111、3704、1235、412及び137ng/mL、並びにTOTUM2及び4について20000、6667、2222、741、247、82及び27ng/mL。
【0166】
参照対照化合物又は陽性対照として、レムデシビルの活性代謝産物を使用した。7つのレムデシビル濃度(20000、6667、2222、741、247、82、27nM)を調製し、細胞に添加した。
【0167】
レムデシビルの活性代謝産物は、DMSO中20mMの母液の形態で、Oncodesignによって提供された。
【0168】
プレートを37℃で24時間インキュベートした。
【0169】
次に、MOI(感染多重度)=0.01に相当する体積10μLのウイルス調製物を添加し、37℃で、VeroE6 TMPRSS2細胞については48時間、Calu-3細胞については72時間インキュベートした。
【0170】
上清の画分(50μL)を収集し、-20℃に等しい温度で保存してウイルス量を決定した。
【0171】
上清の画分(3つのアリコートで約200μL:2×50μL+残りの体積)を収集し、サイトカインアッセイのために-20℃に等しい温度で保存した。
【0172】
細胞系Calu-3及びVero E6 TMPRSS2を用いたCAS2試験のための試験プロトコル
細胞を計数し、細胞分析装置Vi-CELLを使用してそれらの生存率を評価した。
【0173】
細胞をコンフルエンスに到達するまで播種した:
-Vero E6 TMPRSS2-35,000細胞/ウェル;
-Calu-3-80,000細胞/ウェル。
【0174】
TOTUM2、3及び4の乾燥凍結乾燥物及び抽出物から、7つの濃度の試験化合物を新鮮な増殖培地中で調製した:10000、3333、1111、370、123、41、14ng/mL。
【0175】
第1の生物学的反復(N=1)をこれらの濃度で行った。
【0176】
CAS1と同様に、第2の生物学的反復(N=2)を異なる濃度で行った。
【0177】
したがって、反復N=2については、以下の濃度を使用した:TOTUM 3について100000、33333、11111、3704、1235、412及び137ng/mL、並びにTOTUM2及び4について20000、6667、2222、741、247、82及び27ng/mL。
【0178】
同様に、7つの濃度の参照対照又は陽性対照、レムデシビルの活性代謝産物(20000、6667、2222、741、247、82、27nM)を調製した。
【0179】
MOI=0.01に相当する体積10μLのウイルス調製物を試験化合物と混合し、室温で30分間インキュベートした。
【0180】
次いで、化合物/ウイルス混合物を細胞に添加した。
【0181】
細胞を、Vero6-TMPRSS2細胞については37℃で48時間、Calu-3細胞については72時間インキュベートした。
【0182】
上清の画分(50μL)を収集し、ウイルス量を決定するために-20℃で保存した。
【0183】
上清の画分(3つのアリコートで約200μL:2×50μL+残りの体積)を収集し、サイトカインアッセイのために-20℃で保存した。
【0184】
注記:両方の細胞型に対して試験した化合物の細胞毒性を評価するために、ウイルスを含まないプレートを調製した。細胞生存率を、製造業者の推奨(Promega、G7570)に従い、全ての条件についてCellTiter Glo試験によって評価した。
【0185】
CAS1及びCAS2については、ORF1abウイルス遺伝子を標的とするRTqPCRによるウイルス量の定量を実験の最後に行った。
【0186】
ウイルスRNAの抽出をMacherey Nagel Viral RNAキットによって行い、RT-qPCRを行うまでRNAを-80℃で凍結した。
【0187】
SuperScript(商標)On-Step qRT-PCR Systemキットを使用して、ORF1ab遺伝子を標的とするプライマー及びqRT-PCR条件を使用して完全なRT-qPCRを行った。増幅は、Bio-Rad CFX384(商標)装置及び対応するソフトウェアを用いて行った。
【0188】
また、CAS1及びCAS2について、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率試験又は細胞毒性試験を対照プレート(ウイルスなし)と処理及び感染したプレートの両方で行い、試験される試料の細胞毒性を評価した。
【0189】
CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率試験は、代謝的に活性な細胞の指標である、存在するATPの定量に基づいて培養中の生存細胞の数を決定するための均一な方法である。
【0190】
方法をウイルスの非存在下でVeroE6-TMPRSS2及びCalu-3細胞に使用して、試験した各化合物の細胞毒性を確立した。
【0191】
方法はまた、細胞変性効果(活性ウイルスの存在)の場合、感染の48時間後にウイルスの存在下でVeroE6-TMPRSS2細胞に使用された。Vero細胞モデルにおけるウイルスの存在は、細胞機構の使用後に細胞変性効果をもたらすが、Caluモデルではウイルスが連続的に産生される。
【0192】
試験は、供給者のプロトコルに従って行った。
【0193】
PCR反応及びサイトカインアッセイのために全上清を除去した後、100μLの新鮮な細胞培地を100μLの試薬に添加し、発光が記録されるまで、混合後少なくとも15分インキュベートする。
【0194】
CAS1及び2については、MCP1及びIP10のサイトカイン、より具体的にはIL6の量決定を、Vero細胞系及びCalu-3についてそれぞれ感染後48時間及び72時間で収集した細胞培養上清で、市販のキットを使用してELISAによって行った。
【0195】
結果:TOTUM(ウイルスなし)の細胞毒性の評価
ウイルスに曝露されていないCalu-3細胞に対する「TOTUM」試験試料及びレムデシビルの活性代謝産物の毒性を、化合物への曝露の96時間後に細胞生存率を測定することによって評価した。
【0196】
結果を以下の表に示し、細胞生存率は、細胞系Calu-3の化合物に曝露した後の未処理細胞に対する%として表され、SDは標準偏差に相当する:
【0197】
【0198】
【0199】
レムデシビルの活性代謝産物で処理した後、結果は生物学的反復間で類似しており、平均細胞生存率は91%(27nM、N=1)~116%(247nM及び20000nM、N=1)の範囲である。
【0200】
生物学的反復N=1の間、14ng/mL~10,000ng/mLの範囲の7つの濃度について、TOTUM2、3及び4による処理後の生存率は、レムデシビルの活性代謝産物による処理後に得られた生存率と同様であった。
【0201】
生物学的反復N=2の間に、137ng/mL~100,000ng/mLの範囲の試験濃度について、TOTUM2及び4で同様の結果が得られた(以下の表を参照されたい)。
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
しかし、100,000ng/mLの濃度で、TOTUM 3で細胞生存率の低減が観察されたことに留意すべきである。
【0206】
ウイルスに曝露されていないVeroE6-TMPRSS2細胞に対するTOTUM2、3及び4並びにレムデシビルの活性代謝産物の毒性も、化合物への曝露の72時間後の細胞生存率を測定することによって評価した。
【0207】
結果を以下の表に示し、細胞生存率は、細胞系Vero E6の化合物に曝露した後の未処理細胞に対する%として表され、SDは標準偏差に対応する。
【0208】
【0209】
レムデシビルの活性代謝産物で処理した後、結果は生物学的反復間で類似しており、平均生存率は92%(27nM、N=1、表の左上)~109%(20,000nM、N=2、表の右側)の範囲である。
【0210】
N=1の間、14ng/mL~10,000ng/mLの範囲の7つの濃度について、TOTUM2、3及び4による処理後の細胞生存率は、レムデシビルの活性代謝産物による処理後に得られた生存率と同様であった。
【0211】
【0212】
N=2の間に、137ng/mL~100,000ng/mLの範囲の試験濃度について、TOTUM2及び4で同様の結果が得られた。
【0213】
【0214】
【0215】
更に、TOTUM 3では、33,333ng/mL及び100,000ng/mLの濃度で細胞毒性が存在する。
【0216】
結果:CAS1-化合物の抗ウイルス効果
これらの試験の目的は、分析されなければならない化合物の抗ウイルス効果を評価することであり、言い換えれば、細胞を化合物で処理した後に感染させる。
【0217】
最初に、細胞系Calu-3において、ORF1ab遺伝子を標的化することによるウイルスRNAの定量によってウイルス量を評価した。感染細胞対照は参照の100%である。
【0218】
レムデシビルの活性代謝産物で処理した後、結果は生物学的反復間で同様である。ウイルス量は、化合物の濃度が増加すると減少し、以下を伴う:
-N=1において、27nMのレムデシビルの84%から2,222nM、6,667nM及び20,000nMの0%(検出不能なウイルス量)までの範囲の感染した未処理細胞に対するパーセンテージ。
【0219】
【0220】
-N=2において、55nMのレムデシビルの92%から4,444nM、13,333nM及び40,000nMの0%(検出不能なウイルス量)までの範囲の感染した未処理細胞に対するパーセンテージ。
【0221】
【0222】
試験した化合物について、N=1の間、ウイルス量は67%(370ng/mLのTOTUM 3)~280%(10,000ng/mLのTOTUM 2)の範囲であった。
【0223】
【0224】
N=2の間、7つの濃度について、TOTUM 2でN=1と同様の結果が観察された。6,667ng/mL及び20,000ng/mLのTOTUM 4では、59%及び49%のウイルス量が観察された。
【0225】
【0226】
更に、100,000ng/mLのTOTUM 3では、検出不能なウイルス量(0%)が観察された。
【0227】
【0228】
3種のサイトカイン(IL6、IP10及びMCP1)の量決定を、SARS-CoV-2を接種したCalu3肺細胞系の細胞培養上清で行った(ng/mL単位)。細胞を試験生成物で24時間処理した後、ウイルス株を72時間接種した。化合物の濃度は、レムデシビルの活性代謝産物についてはnMで、試験されたTOTUMについてはng/mLで示される。
【0229】
IL6は炎症促進性サイトカインであり、300pg/mLの基底量で発現される。感染の場合、その量は2,000pg/mL程度で大幅に増加する。ケモカインIP10は炎症過程に関与しており、基底量では検出できない。感染の場合、その量は400pg/mL程度で大幅に増加する。
【0230】
サイトカインMCP1は、行われた研究において検出することができなかった。サイトカインは一過性発現を有する。したがって、アッセイが行われる時点で、Vero及びCaluモデルについて感染後48時間及び72時間でそれぞれ単一の読み取り点が行われ、動態読み取りが行われないことを考えると、サイトカインは既に発現されているか、又はその後に発現される。
【0231】
IL6(以下の表の第1の反復N=1については左、第2の反復N=2については右)に関して、予想通り、レムデシビルの活性代謝産物について用量応答効果が観察され、化合物の濃度が増加するとサイトカインの濃度が減少した。
【0232】
【0233】
ケモカインIP10(以下の表の反復N=1については左、反復N=2については右)についても、用量応答効果が観察される。
【0234】
【0235】
同様の結果、すなわち用量応答効果が、IL6のアッセイ中にN=1でTOTUM3及び4について観察されたことに留意することは特に興味深い。
【0236】
【0237】
同じことがN=2にも当てはまる。
【0238】
【0239】
用量応答効果はまた、IP10の量決定のためのN=1についてのTOTUM3及び4を用いた試験中に、反復N1で顕著である。
【0240】
【0241】
同じことがN=2にも当てはまる:
【0242】
【0243】
TOTUM 2については、IL6の量決定の状況であろうとIP10の量決定の状況であろうと、用量応答効果は観察されない(結果は示さず)。
【0244】
細胞系VeroE6-TMPRSS2において、ORF1ab遺伝子を標的化することによるウイルスRNAの定量によってウイルス量を評価した。
【0245】
レムデシビルの活性代謝産物で処理した後、結果は生物学的反復間で同様である。ウイルス量は、化合物の濃度が増加すると減少し、以下を伴う:
-N=1において、27nMのレムデシビルの101%から6,667nM及び20,000nMの0%(検出不能なウイルス量)までの範囲の感染した未処理細胞に対するパーセンテージ、
【0246】
【0247】
-N=2において、27nMのレムデシビルの70%から6,667nM及び20,000nMの0%(検出不能なウイルス量)までの範囲の感染した未処理細胞に対するパーセンテージ:
【0248】
【0249】
N=1の間、14ng/mL~10,000ng/mLの範囲の7つの濃度について、TOTUM2、3及び4で処理した後の感染した未処理細胞に対するウイルス量は、レムデシビルの活性代謝産物の最低用量で処理した後に得られたウイルス量と同様であるか、又はそれより大きかった。抗ウイルス活性は低減しないように思われる。
これらの結果についてはここでは説明しない。
【0250】
N=2の間、137ng/mL~100,000ng/mLの範囲の7つの濃度について、TOTUM 2でN=1と同様の結果が観察された(ウイルス量の減少は誘導されず、したがってTOTUM 2の抗ウイルス活性はなかった)。
【0251】
更に:
-33,333ng/mL及び100,000ng/mLの濃度のTOTUM 3による処理後、それぞれ9%及び0%のウイルス量が観察され、言い換えれば検出不能であった:
【0252】
【0253】
-6,667ng/mLのTOTUM 4による処理後、未処理の感染細胞に対して78%のウイルス量が観察され、20,000ng/mLの濃度による処理の場合、40%のウイルス量の低減が観察された:
【0254】
【0255】
TOTUM 3は、33,333ng/mL及び100,000ng/mLの濃度でウイルス量の有意な低減を誘導するか、又はそれを検出不能にさえする。
【0256】
TOTUM 4は、20,000ng/mLの濃度でウイルス量の実質的な減少を誘導する。
【0257】
結果:CAS2-化合物の殺ウイルス効果
これらの試験の目標は、分析されなければならない化合物の殺ウイルス効果の評価であり、言い換えれば、ウイルスを化合物と共に30分間インキュベートし、その後細胞を前処理された接種物と共に培養した。
【0258】
最初に、細胞系Calu-3において、ORF1ab遺伝子を標的化することによるウイルスRNAの定量によってウイルス量を評価した。
【0259】
レムデシビルの活性代謝産物で処理した後、結果は生物学的反復間で同様である。ウイルス量は、化合物の濃度が増加すると減少し、以下を伴う:
-N=1において、27nMのレムデシビルの113%から6,667nM及び20,000nMの0%までの範囲の感染した未処理細胞に対するパーセンテージ:
【0260】
【0261】
-N=2において、27nMのレムデシビルの109%から2222nM、6667nM及び20,000nMの0%までの範囲の感染した未処理細胞に対するパーセンテージ:
【0262】
【0263】
N=1の間、14ng/mL~10,000ng/mLの範囲の7つの濃度について、TOTUM2、3及び4で処理した後の感染した未処理細胞に対するウイルス量は、レムデシビルの活性代謝産物の最低用量で処理した後に得られたウイルス量と同様であるか、又はそれより大きかった(結果は示さず)。
【0264】
N=2の間、27ng/mL~20,000ng/mL及び14ng/mL~10,000ng/mLの範囲の7つの濃度について、TOTUM 2でN=1と同様の結果が観察された。
【0265】
更に:
-100,000ng/mLの濃度のTOTUM 3で処理した後、0%のウイルス量(検出不能なウイルス量)が観察された;
-2,222ng/mL及び6,667ng/mLの濃度のTOTUM 4で処理した後、それぞれ46%及び43%のウイルス量が観察された。
【0266】
【0267】
3種のサイトカインの量決定を、細胞培養上清の試料に対してIL6及びIP10について行った。
【0268】
IL6については、反復N=1(下の表の左)及び反復N=2(下の表)について、レムデシビルの活性代謝産物について用量応答効果が観察され、化合物濃度が増加するとサイトカイン濃度が減少した。
【0269】
【0270】
IL6のアッセイの状況では、N=1についてTOTUM3及び4で同様の結果が観察された:
【0271】
【0272】
同じことが反復N=2にも当てはまる。
【0273】
【0274】
IP10については、反復N=1(下の表の左)及び反復N=2(下の表の右)で、ウイルスをレムデシビルと共にインキュベートした場合にも用量応答効果が認められる。
【0275】
【0276】
同様の結果、すなわち用量応答効果が、IP10の量決定中にN=1についてTOTUM3及び4で観察された。
【0277】
【0278】
同じことが反復N=2にも当てはまる。
【0279】
【0280】
ここで、細胞系VeroE6-TMPRSS2において、ORF1ab遺伝子を標的化することによるウイルスRNAの定量によってウイルス量を評価した。
【0281】
レムデシビルの活性代謝産物で処理した後、結果は生物学的反復間で同様である。ウイルス量は、化合物の濃度が増加すると減少し、以下を伴う:
-N=1において、27nMのレムデシビルの97%から、それぞれ6,667nM及び20,000nMの0%及び1%(検出不能なウイルス量)までの範囲の感染していない未処理細胞に対するパーセンテージ:
【0282】
【0283】
-N=2において、27nMのレムデシビルの100%から2,222nM、6,667nM及び20,000nMの0%(検出不能なウイルス量)までの範囲の感染していない未処理細胞に対するパーセンテージ。
【0284】
【0285】
N=1の間、14ng/mL~10,000ng/mLの範囲の7つの濃度について、TOTUM2、3及び4で処理した後の感染した未処理細胞に対するウイルス量は、レムデシビルの活性代謝産物の最低用量で処理した後に得られたウイルス量と同様であったか、又はそれより大きかった(結果は示さず、殺ウイルス効果を有さないと仮定した)。
【0286】
N=2の間、27ng/mL~20,000ng/mLの範囲の7つの濃度について、TOTUM 2についてN=1と同様の結果が観察された(結果は示さず、TOTUM 2の殺ウイルス効果はない)。
【0287】
更に:
-33333ng/mLの濃度のTOTUM 3での処理後、16%のウイルス量が観察される;100,000ng/mLの濃度では、検出不能なウイルス量(0%)が観察された。
【0288】
【0289】
20,000ng/mLの濃度のTOTUM 4での処理後、47%のウイルス量が観察された。
【0290】
【0291】
結論
得られた結果から、以下のことを実証することができる:
一方で、SARS-CoV-2ウイルスに対する参照活性代謝産物としてin vitroで試験された化合物レムデシビルは、明らかな細胞毒性なしに、当該ウイルスに対する抗ウイルス及び殺ウイルス活性を明確に示す。CAS1及びCAS2についてレムデシビル濃度が増加すると、ウイルス量は減少する。更に、サイトカインIL6及びIP10については、レムデシビルの活性代謝産物について用量応答効果が観察され、予想通り、当該代謝産物の濃度が増加するとサイトカインの濃度が減少する。これらの結果は、使用された試験プロトコルを検証することを可能にする。
【0292】
とは言え、レムデシビルは、SARS-CoV-2ウイルスに対してインビトロで興味深い活性を有するが、Covidに罹患している患者にとって有害であることが証明され得る顕著な腎毒性効果も有する。
【0293】
TOTUM 2と呼ばれる試料は、乾燥バナナパルプから得た。実施した試験の間に得られた結果は、そのような抽出物が抗ウイルス又は殺ウイルス効果を示さないことを実証している。更に、サイトカインの放出に対する用量応答効果は、この試料で観察することができなかった。
【0294】
ここでも、否定的であると予想されるこれらの試験結果は、実施されたプロトコルを強化する。
【0295】
TOTUM 3と呼ばれる試料に関しては、濃縮されたNeurolaena lobataのマザーチンキから得られるが、TOTUM 4の名称で言及される試料は、上述のこれらのTOTUM 3及び4を得るためのプロトコルの詳細な説明から明らかなように、当該TOTUM 3も得ることを可能にしたマザーチンキの希釈物に対応する。
【0296】
TOTUM 3を用いて得られ、上記で詳述された結果は、一方では、14~10,000ng/mLの範囲の化合物濃度で、Calu-3及びVero E6細胞に対して毒性が認められないことを実証する。
【0297】
しかし、Calu-3系の細胞に対して100,000ng/mLの濃度で顕著な細胞毒性がある。同じことが、細胞毒性が存在するVero E6系の細胞に対する33,333ng/mL及び100,000ng/mLの濃度にも当てはまる。
【0298】
並行して、TOTUM 3では、100,000ng/mLの濃度で、細胞系Calu-3について検出不能なウイルス量が観察される。とは言え、この濃度は細胞毒性効果を有すると実証された。Vero E6細胞系では、33,333ng/mL及び100,000ng/mLの濃度で検出不能なウイルス量が観察された。したがって、ここでも細胞毒性が存在する。
【0299】
この試料中の活性化合物の濃度は高すぎて、細胞に対する細胞毒性をもたらすように思われる。
【0300】
上述のTOTUM 3に対して4分の1までマザーチンキを希釈したものからなるTOTUM 4を用いて得られた結果は、その点で特に有利である。
【0301】
記録として、試料調製方法において、TOTUM 3を得るためのプロトコルの工程iv)におけるマザーチンキの濾過の工程に従い、0.75Lの濾液を2.25Lの水に等しい体積で抜き出す。次いで、Neurolaena lobataの乾燥葉のマザーチンキの1/4希釈に相当する、3Lに等しい総体積を有するヒドロ-アルコール溶液を得る。
【0302】
このTOTUM 4を用いて得られた結果は、一方では、試験した濃度にかかわらず、最も高い濃度であってもモデル細胞系に対して細胞毒性を示さないことを実証する。
【0303】
この細胞毒性の欠如と並行して、濃度6,667ng/mL及び20,000ng/mLでTOTUM 4の抗ウイルス活性が実証され、これらの濃度で観察されたウイルス量は、細胞系Calu-3についてそれぞれ59%及び49%である。6,667まで、10,000ng/mL及び20,000ng/mLのTOTUM 4で処理した後、Vero E6系でも抗ウイルス活性が検出され、これらの濃度についてそれぞれ78%、66%及び40%のウイルス量が観察された。
【0304】
特に有利な方法では、CAS1及びCAS2について行われたサイトカインIL6及びIP10のアッセイ中に、TOTUM 4で用量応答効果が観察され、化合物の濃度が増加するとサイトカインの濃度が減少することにも留意すべきである。
【0305】
上記の結果、特に肺細胞におけるIL6及びIP10サイトカインのアッセイに関する結果として、6,500~20,000ng/mL(凍結乾燥されたマザーチンキ抽出物の質量/水溶液の体積)、好ましくは6,667~20,000ng/mLの濃度を有する液体溶液中のNeurolaena lobataの葉の希釈されたマザーチンキ抽出物、特に1/4に希釈され、凍結乾燥されたマザーチンキは、Covid-19の原因であるSARS-CoV-2ウイルスに対する抗ウイルス活性及び殺ウイルス活性を有し、この疾患の重症型に対抗する効力を示すと主張することが可能である。
【0306】
実際に、結果は、IL-6及びIP10サイトカインの放出に対するTOTUM 4の用量依存的な用量効果を実証するため、Neurolaena lobataのそのようなマザーチンキ抽出物は、ウイルスによる感染に応答して、特に重症型のCovidに罹患している患者の肺で生じる可能性が高いサイトカインストームを回避するために、光学で特に適応される。
【0307】
ここで、「重症型のCovid-19に罹患している患者」とは、Covid-19に対抗するために入院し、酸素療法を受けている患者を意味すると理解される。
【国際調査報告】