(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】冷却用フィルタ及びそれを含む喫煙物品
(51)【国際特許分類】
A24D 3/04 20060101AFI20240209BHJP
A24D 3/10 20060101ALI20240209BHJP
A24D 3/16 20060101ALI20240209BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20240209BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/10
A24D3/16
A24D3/17
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511555
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 KR2022019987
(87)【国際公開番号】W WO2023128383
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0193585
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フワン、ミン-ヒー
(72)【発明者】
【氏名】オー、キョウン フワン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ムーン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ヨンミ
(72)【発明者】
【氏名】セオ、マン セオク
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA03
4B045BA08
4B045BC15
(57)【要約】
本発明は、冷却用フィルタ及びそれを含む喫煙物品に関し、より具体的に、内部に中空が形成されたチューブ形状及び本体部を含む冷却用フィルタであって、前記中空の表面にコーティング層が形成されたものであり、前記コーティング層はアルカリ金属塩化物を含む冷却用フィルタとそれを含む喫煙物品に関する。前記フィルタを使用することによって効果的な冷却機能と同時に、タバコの風味、喫味の持続性を増進させた喫煙物品を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却用フィルタであって、
前記冷却用フィルタはコーティング層を含み、
前記コーティング層はアルカリ金属塩化物を含む、冷却用フィルタ。
【請求項2】
前記コーティング層は、フィルタ秤量に対して1から30%の秤量を有し、アルカリ金属塩化物を含む、請求項1に記載の冷却用フィルタ。
【請求項3】
前記アルカリ金属塩化物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化リチウムからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の冷却用フィルタ。
【請求項4】
前記冷却用フィルタは、内部に中空が形成された管状を有するもので、前記中空の表面にコーティング層が形成されたものである、請求項1に記載の冷却用フィルタ。
【請求項5】
前記コーティング層は、セルロース、セルロース誘導体、アルコール樹脂及び糖類からなる群より選択される1種以上をさらに含む、請求項1に記載の冷却用フィルタ。
【請求項6】
前記セルロース誘導体は、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及び寒天からなる群より選択される1種以上である、請求項5に記載の冷却用フィルタ。
【請求項7】
前記アルコール樹脂はポリビニルアルコールである、請求項5に記載の冷却用フィルタ。
【請求項8】
前記セルロース、セルロース誘導体、アルコール樹脂又は糖類は、フィルタ秤量に対して0.1から15%の含量でコーティングされたものである、請求項5に記載の冷却用フィルタ。
【請求項9】
前記冷却用フィルタは、紙、高分子、及びアセチルセルロースからなる群より選択される1種以上の素材を含む、請求項1に記載の冷却用フィルタ。
【請求項10】
前記冷却用フィルタは、5mm以上の長さ及び14から27mmの周縁を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の冷却用フィルタ。
【請求項11】
前記冷却用フィルタは、1mm当たり0.1から3.5mmH
2Oの吸引抵抗を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の冷却用フィルタ。
【請求項12】
喫煙物質部と、
前記喫煙物質部の下流に位置する請求項1から8のいずれか一項に記載の冷却用フィルタを含む冷却部と、
前記冷却部の下流に位置するマウスピース部と、
を含む、喫煙物品。
【請求項13】
前記喫煙物品は、加熱式タバコであり、巻タバコ型である、請求項12に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却用フィルタ及びそれを含む喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱型スティック製品の場合、媒質部(刻草などタバコ原料及び香料などが含まれた喫味及びエアゾール生成物品を含む)の喫味発現のために専用デバイスを活用した加熱が必須である。喫味発現のために、今まで開発された加熱型スティック専用デバイスの場合、媒質部の内部までの熱伝達を考慮して高温加熱できるように温度プログラムが設計されている。加熱温度は、普通200℃~400℃レベルであり、刻草を燃やして吸入する伝統的な巻タバコとは異なり、デバイスを介して媒質部のスティックを加熱するとき多量の水蒸気が共に発現される。加熱を介して媒質部の内部で発現する温度レベルは100℃~200℃レベルである。媒質部の内部で生成される気流温度も類似しており、媒質部の下流に冷却素材がなければ、熱い熱気を喫煙者が吸入することがある。
【0003】
そのため、新しい加熱型スティックの経済性及び機能を改善させ得る、冷却素材の開発のための研究が活発に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
公開特許第2021-0104501号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記言及した問題を解決するために、相転移によって冷却効果に優れ、廃棄するとき分解が容易な冷却用フィルタを提供することにある。
【0006】
本発明は、本発明に係る冷却用フィルタを含む喫煙物品を提供することにある。
【0007】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及したものなどに制限されることなく、言及されない更なる課題は下記の記載によって当該の分野当業者にとって明確に理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態により、冷却用フィルタであって、前記フィルタはコーティング層を含み、前記コーティング層はアルカリ金属塩化物を含む冷却用フィルタに関する。
【0009】
本発明の一実施形態に係る前記コーティング層は、フィルタ秤量に対して1~30%の秤量を有し、アルカリ金属塩化物を含むことができる。
【0010】
本発明の一実施形態に係る前記アルカリ金属塩化物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化リチウムからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る前記コーティング層は、セルロース、セルロース誘導体、アルコール樹脂及び糖類からなる群より選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0012】
本発明の一実施形態に係る前記セルロース誘導体は、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及び寒天からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る前記アルコール樹脂はポリビニルアルコールであってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る前記糖類は、糖アルコール、単糖類、二糖類、オリゴ糖、及び多糖類からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態により前記セルロース、セルロース誘導体、アルコール樹脂又は糖類は、フィルタ秤量に対して0.1~15%の含量でコーティングされたものであってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態に係る前記フィルタは、内部に中空が形成された管状を有するものとして、前記中空の表面にコーティング層が形成されたものであってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係る前記フィルタは、紙、高分子、及びアセチルセルロースからなる群より選択される1種以上の素材を含むことができる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る前記冷却用フィルタは、5mm以上の長さ及び14~27mmの周縁を有してもよい。
【0019】
本発明の一実施形態に係る前記冷却用フィルタは、1mm当たり0.1~3.5mmH2Oの吸引抵抗を有してもよい。
【0020】
本発明の一実施形態により、喫煙物質部と、前記喫煙物質部の下流に位置する、本発明に係る冷却用フィルタを含む冷却部と、前記冷却部の下流に位置するマウスピース部とを含む喫煙物品に関する。
【0021】
本発明の一実施形態に係る前記喫煙物品は、加熱式タバコであり、巻タバコ型であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、吸熱及び吸湿性のある素材がコーティングされた冷却用フィルタを喫煙物品の喫煙物質部の下流に挿入し、効果的な冷却機能と同時に、タバコの風味、喫味の持続性を増進させた喫煙物品を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態により、本発明に係る冷却用フィルタを例示的に示す。
【
図2】本発明の他の実施形態により、本発明に係る冷却用フィルタが適用された喫煙物品を例示的に示す。
【
図3】本発明の実施形態及び比較例に係る冷却用フィルタの冷却効果を確認した結果を示したのである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付する図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の説明において、関連する公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合にその詳細な説明は省略する。また、本明細書で使用される用語は、本発明の好適な実施形態を適切に表現するために使用される用語として、これは、ユーザ、運用者の意図又は本発明が属する分野の慣例などによって変わり得る。従って、本用語に対する定義は本明細書全般にわたった内容に基づいて行われなければならないのであろう。各図面に提示された同じ参照符号は同じ部材を示す。
【0025】
明細書の全体において、いずれかの部材が他の部材「上に」位置しているとするとき、これはいずれかの部材が他の部材に接している場合だけでなく、2つの部材間に更なる部材が存在する場合も含む。
【0026】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0027】
明細書の全体において、用語「上流」及び「下流」は、ユーザが喫煙物品を用いて外気を吸入するとき、喫煙物品の外部から内部に空気が入ってくる部分が「上流」であり、喫煙物品の内部から外部に空気が出て行く部分が「下流」である。用語「上流」及び「下流」は、喫煙物品を構成している部分又はセグメント間の相対的な位置又は方向を示すために使用される。
【0028】
以下、本発明の冷却用フィルタ及び前記冷却用フィルタを含む喫煙物品について実施形態及び図面を参照して具体的に説明する。しかし、本発明がこのような実施形態及び図面に制限されることはない。
【0029】
本発明は、冷却用フィルタ120であって、前記フィルタはコーティング層を含み、前記コーティング層はアルカリ金属塩化物を含む冷却用フィルタ120に該当する。
【0030】
本発明の冷却用フィルタ120は、
図1に示したように、内部に中空120Hが形成されている管(tube)状を有してもよい。前記内部の中空の表面、即ち、上流で流入された気体が通過する通路にコーティング層が形成される。
【0031】
本発明の一実施形態に係る前記コーティング層は、フィルタ秤量に対して1~30%の秤量を有し、アルカリ金属塩化物を含むもので、前記アルカリ金属塩化物をフィルタ内部の中空表面にコーティングすることによって、前記アルカリ金属塩化物は、喫煙物品の加熱時に発生した水分によって溶解されながら吸熱反応を起こし、気流冷却の効果を提供することができる。また、前記アルカリ金属塩化物の場合、土壌に分解されやすい素材であるため、環境的にも環境にやさしい冷却フィルタとして活用されることができる。
【0032】
本発明の一実施形態に係るアルカリ金属塩化物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び塩化リチウムからなる群より選択される1種以上であってもよい。前記アルカリ金属塩化物として、好ましくは、塩化ナトリウムが使用されることが好ましい。前記塩化ナトリウムは、喫煙時に気流に含まれている湿気を吸湿することができ、吸湿による吸熱反応が生じて主流煙の温度を低くすることから有利な性質を有する。
【0033】
本発明の一実施形態に係るコーティング層は、セルロース、セルロース誘導体、アルコール樹脂及び糖類からなる群より選択される1種以上をさらに含んでもよく、前記セルロース誘導体は、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及び寒天からなる群より選択される1種以上であってもよく、前記アルコール樹脂はポリビニルアルコールであってもよいが、これに限定されることはない。前記糖類は、糖アルコール、単糖類、二糖類、オリゴ糖及び多糖類からなる群より選択される1種以上であってもよいが、これに制限されることはない。前記糖アルコールは、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール又はラクチトールなどであってもよく、単糖類は、果糖、ブドウ糖、又は、ガラクトースなどであってもよく、二糖類は、スクロース、乳糖又は麦芽糖であってもよく、多糖類は、デンプン、食物繊維、又は、グリコーゲンなどであってもよい。
【0034】
前記セルロース、セルロース誘導体、アルコール樹脂、又は糖類は、喫煙時に発生する気流温度レベルで相転移が生じ、これによって吸熱可能である。したがって、前記素材をアルカリ金属塩化物に加えて使用すれば、冷却効果がさらに向上される。
【0035】
本発明の一実施形態に係る前記セルロース、セルロース誘導体、アルコール樹脂又は糖類は、前記フィルタ秤量に対して1%~15%の秤量を有するようにコーティングされてもよく、好ましくは0.5~1.5%の秤量でコーティングされてもよい。前記範囲内に含まれれば、冷却の効果がさらに加えられる。
【0036】
前記冷却用フィルタ120は、紙、高分子、又はアセチルセルロース素材で製造されたものであってもよい。好ましくは紙であってもよいが、これに制限されることはない。前記冷却用フィルタは、適用される喫煙用品に応じて形態、厚さ、長さなどが変形され、好ましくは、5mm以上の長さ及び14~27mmの周縁を有しているものであってもよい。前記長さ及び周縁を有するものが、喫煙物質が加熱して発生する気体の温度を効率よく低下させると共に、喫煙の喫味に影響を及ぼさない。
【0037】
本発明の一実施形態に係る前記冷却用フィルタは紙の素材であってもよく、具体的には紙管が含まれてもよい。前記紙管に使用される紙は、10~500g/m2の秤量を有するが、前記範囲に制限されることはない。より好ましくは、30~300g/m2の秤量を有してもよい。
【0038】
本発明の一実施形態により前記冷却用フィルタは、1mm当たり0.1~3.5mmH2Oの吸引抵抗を有してもよい。前記範囲の吸引抵抗を有することで本発明の喫煙物品は吸引性の面で優れた効果を有する。
【0039】
本発明は、本発明に係る冷却用フィルタを含む喫煙物品に関する。本発明において、「喫煙物品」(smoking article)とは、タバコ、タバコの派生物、膨脹処理タバコ(expanded tobacco)、再生タバコ(reconstituted tobacco)、又は、タバコ代用物に基づいているかに関係なく、喫煙可能な任意の製品又は喫煙体験を提供できる任意の製品を意味する。特に、本発明において、前記喫煙物品は、加熱式電子タバコのようなエアゾールを発生させ得る喫煙可能な物品を意味する。
【0040】
本発明の一実施形態に係る前記喫煙物品100は、喫煙物質部110と、前記喫煙物質部の下流に位置する本発明に係る冷却用フィルタ120を含む冷却部と、前記冷却部の下流に位置するマウスピース部130とを含む。
【0041】
前記喫煙物質部110と、冷却用中空フィルタ120を含む冷却部と、マウスピース部130は、長手方向に連結されたものであってもよい。即ち、前記マウスピース部130は喫煙物質部110で最も下流、即ち、喫煙者と最も近い方向に位置し、喫煙物質部は喫煙者と最も上流、即ち、喫煙者と最も遠い方向(上流方向)に配置する。
【0042】
図2を参照すると、前記喫煙物品は、冷却部に中空フィルタを含む喫煙物品であり、上記のように本発明に係る中空フィルタが冷却部の構成にすることは例示として、前記中空フィルタの他に異なる冷却要素をさらに含んでもよい。
【0043】
本発明の一実施形態に係る前記喫煙物品はエアゾール生成物質を含む。前記エアゾール生成物質は、エアゾール(aerosol)を発生させ得る物質を意味し、固体又は液相であってもよい。
【0044】
例えば、固体のエアゾール生成物質は、シートタバコ、刻草、再構成タバコなどタバコの原料を基礎にする固体物質を含み、液相のエアゾール生成基材は、ニコチン、タバコ抽出物及び/又は様々な香味剤を基礎にする液相組成物を含んでもよい。しかし、本発明の範囲が前記挙げられた例示に限定されることはない。
【0045】
より具体的な例として、液相のエアゾール生成物質は、プロピレングリコール(PG)及びグリセリン(GLY)のうち少なくとも1つを含んでもよく、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びオレイルアルコールのうち少なくとも1つをさらに含んでもよい。異なる例として、エアゾール生成物質は、ニコチン、水分及び加香物質のうち少なくとも1つをさらに含んでもよい。更なる例として、エアゾール生成物質は、シナモン、カプサイシンなどの様々な添加物質をさらに含んでもよい。エアゾール生成物質は、流動性が大きい液体物質だけでなく、ジェル又は固形分の形態の物質を含んでもよい。このように、エアゾール生成物質の組成成分は実施形態により多様に選択され、その組成比率も実施形態に応じて変わり得る。以下の明細書において、液相は、液相のエアゾール生成物質を称するものである。
【0046】
本発明の一実施形態により、喫煙物質部には固体のエアゾール生成物質が含まれるものであるか、前記固体のエアゾール生成物質と液相のエアゾール生成物質を全て含まれたものであってもよい。前記喫煙物質部の長さは概略15mm~75mmであってもよい。
【0047】
前記喫煙物質部は、熱伝導性ラッパーによって包まれた構造を有する。前記熱伝導性ラッパーは、可燃性の熱源から発生した熱をタバコ物質に伝達するもので、前記ラッパーは、アルミホイルラッパー、スチルラッパー、鉄ホイールラッパー及び銅ホイールラッパーのような金属ホイールラッパーと、金属合金ホイールラッパーであってもよく、熱を効率よく伝達できる素材であれば、前記素材に制限されない。
【0048】
前記喫煙物質部及び冷却部は、外部の巻タバコ紙によって包まれることができる。例えば、紙又はセルロース巻紙から形成されてもよい。但し、本開示がこれに必ず制限されることはない。
【0049】
本発明の一実施形態に係る前記喫煙物品はマウスピース部を含む。例えば、前記マウスピース部は、モノフィルタ、二重フィルタ又は三重フィルタであってもよい。また、前記マウスピース部は多孔性マトリックス構造、チューブ構造及び紙管構造(paper tube)のうち少なくとも1つ以上のフィルタを含んでもよい。前記フィルタは、高分子、紙、アセチルセルロース、活性炭及び炭素のうち少なくとも1つを含む繊維状、フィラメント状、又はこの2つを含むフィルタートウを含んでもよい。しかし、これに限定されることはない。数個の実施形態において、フィルタ物質は、炭素を含む吸着剤、活性炭などのように当技術分野で幅広く知られている少なくとも1つのフィルタ物質をさらに含んでもよい。また、前記マウスピース部は、フィルタを包むチップペーパー及び/又はフィルタ巻紙をさらに含んでもよく、前記チップペーパーとフィルタ巻紙は、例として紙の素材であってもよいが、これに限定されることはない。
【0050】
以下、添付の図面を参照して実施形態を詳細に説明する。しかし、実施形態には様々な変更が加えられ得るため、特許出願の権利範囲がその実施形態によって制限されたり限定されたりすることはない。実施形態に対するすべての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれるものと理解されなければならない
【0051】
異なる定義がされない限り、技術的であるか科学的な用語を含み、ここで使用される全ての用語は、実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願で明らかに定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0052】
[実施形態1]
実施形態のために試験用で製造された、
図2に示された喫煙物品100のように喫煙物質部、中空型フィルタ、及びマウスピース部の構造を有する加熱式巻タバコを使用するが、中空型フィルタとして内部にポリビニルアルコール1%にコーティング処理された紙管フィルタを使用した。マウスピースは、約6mgのメンソール香液が加香処理されたTJNS(Transfer Jet Nozzle System)フィルタが使用された。
【0053】
[実施形態2]
中空型フィルタを紙管内にカルボキシメチルセルロース1%にコーティング処理された紙管フィルタを使用した点を除外しては、実施形態1と同じ加熱式巻タバコを製造した。
【0054】
[実施形態3]
中空型フィルタを紙管内に塩化ナトリウム9%にコーティング処理された紙管フィルタを使用した点を除外しては、実施形態1と同じ加熱式巻タバコを製造した。
【0055】
[実施形態4]
中空型フィルタを紙管内に塩化ナトリウム1%にコーティング処理された紙管フィルタを使用した点を除外しては、実施形態1と同じ加熱式巻タバコを製造した。
【0056】
[実施形態5]
中空型フィルタを紙管内に塩化ナトリウム6%にコーティング処理された紙管フィルタを使用した点を除外しては、実施形態1と同じ加熱式巻タバコを製造した。
【0057】
[実施形態6]
中空型フィルタを紙管内に塩化ナトリウム15%にコーティング処理された紙管フィルタを使用した点を除外しては、実施形態1と同じ加熱式巻タバコを製造した。
【0058】
[比較例1]
中空型のフィルタを紙管内にコーティング処理されていない紙管フィルタを使用した点を除外しては、実施形態1と同じ加熱式巻タバコを製造した。
【0059】
<冷却効果の確認>
上記の実施形態及び比較例で製造された加熱式巻きタバコの冷却効果を確認するために、パフ時の主流煙の最高温度を測定し、下記の表1及び
図3に示した。
【0060】
【0061】
その結果、コーティングされた紙管を用いた実施形態1~6で顕著な初期温度の減少効果が確認された。特に、塩化ナトリウムコーティングを使用する実施形態3~6で特に優れた温度減少の効果が確認された。
【0062】
<官能特性確認>
比較例1と、冷却効果に優れるものと確認された塩化ナトリウムの濃度による官能特性を確認するために、比較例1及び実施形態3~6による初期パフ時の熱感、煙霧量、吸引性に対する官能評価を実施し、その結果を表2に示した。官能評価は、製造後に2週が経過した実施形態ごとの巻タバコを使用して25人の評価パネルを対象に実施し、合計5点満点を基準とした。
【0063】
【0064】
上記の結果から、コーティングされていない紙管と煙霧量及び吸引性においては差がないか、類似のレベルであり、塩化ナトリウムの含量が高まるほど初期パフ時の熱感が著しく減少することが分かった。
【0065】
上述したように実施形態がたとえ限定された実施形態及び図面によって説明されたが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順実行されたり、及び/又は説明された構成要素が説明された方法とは異なる形態に結合又は組み合わせられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。従って、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されて定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
【符号の説明】
【0066】
100:喫煙物品
110:喫煙物質部
120:冷却用フィルタ
120H:中空
130:マウスピース部
【国際調査報告】