(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】疾患の処置に関連する組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/21 20060101AFI20240209BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240209BHJP
C07K 14/52 20060101ALI20240209BHJP
C12N 15/21 20060101ALN20240209BHJP
【FI】
A61K38/21 ZNA
A61P31/12
C07K14/52
C12N15/21
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513245
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 GB2022050406
(87)【国際公開番号】W WO2022175651
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520440065
【氏名又は名称】アイエルシー セラピューティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ILC THERAPEUTICS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100175477
【氏名又は名称】高橋 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム スティムソン
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084DA22
4C084NA14
4C084ZB331
4C084ZB332
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA16
4H045EA29
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、ウイルス感染の予防または処置に使用するための、IFN-α10およびIFN-α14のハイブリッドであるインターフェロンアルファ(IFN-α)サブタイプを含む組成物、ならびに、前記IFN-α14ハイブリッドを用いたウイルス感染の処置および/または予防方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス感染の処置および/または予防のための方法であって、
前記方法は、
(i)それを必要とする対象に、治療有効量のハイブリッド2またはそのフラグメントもしくはバリアントを投与するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記ウイルスは、
チクングニアウイルス(CHIKV)
コクサッキーウイルス
デングウイルス(DENV)
エボラウイルス(EBOV)
エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)
B型肝炎ウイルス(HBV)
C型肝炎ウイルス(HCV)
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)
ヒトパピローマウイルス(HPV)
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)
ヒトライノウイルス(HRV)
単純ヘルペスウイルス(HSV)
A型インフルエンザウイルス(IAV)
B型インフルエンザウイルス(IBV)
ラッサウイルス(LASV)
麻疹ウイルス(MeV)
中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)
おたふく風邪ウイルス(MuV)
ニパウイルス(NiV)
ポリオウイルス(PV)
狂犬病ウイルス(RABV)
ロタウイルス(RV)NSP1 Enhances
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)
ワクシニアウイルス(VACV)
ウエストナイルウイルス(WNV)
黄熱ウイルス(YFV)
ジカウイルス(ZIKV)
から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウイルス感染は、直接注入により、または適切な場合には、例えば呼吸器系の問題を引き起こすウイルスの場合には肺への直接エアロゾルにより、ハイブリッド2(配列番号3)またはそのフラグメントもしくはバリアントを提供することによって処置される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウイルス感染は、コロナウイルス感染、特に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-1(SARS-CoV-1)、ヒトコロナウイルスNL63、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2またはCovid19)からの感染から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ウイルス感染は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)および単純ヘルペスウイルス(HSV)から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
治療上有用な量の追加の抗ウイルス処置を投与するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記抗ウイルス処置が、リバビリン、レムデシビル、LAM-002A、デキサメタゾン、アビガン(favilavir)または別のインターフェロンサブタイプである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ウイルスまたはウイルス感染の処置および/または予防に使用するためのインターフェロンアルファサブタイプ、ハイブリッド2またはそのフラグメントもしくはバリアント。
【請求項9】
ウイルスまたはウイルス感染の処置および/または予防のための薬剤の調製におけるHYBIRD2またはそのフラグメントもしくはバリアントの使用。
【請求項10】
前記ウイルスまたはウイルス感染は、
チクングニアウイルス(CHIKV)
コクサッキーウイルス
デングウイルス(DENV)
エボラウイルス(EBOV)
エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)
B型肝炎ウイルス(HBV)
C型肝炎ウイルス(HCV)
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)
ヒトパピローマウイルス(HPV)
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)
ヒトライノウイルス(HRV)
単純ヘルペスウイルス(HSV)
A型インフルエンザウイルス(IAV)
B型インフルエンザウイルス(IBV)
ラッサウイルス(LASV)
麻疹ウイルス(MeV)
中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)
おたふく風邪ウイルス(MuV)
ニパウイルス(NiV)
ポリオウイルス(PV)
狂犬病ウイルス(RABV)
ロタウイルス(RV)NSP1 Enhances
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)
ワクシニアウイルス(VACV)
ウエストナイルウイルス(WNV)
黄熱ウイルス(YFV)
ジカウイルス(ZIKV)
から選択される、請求項8に記載のウイルス感染の処置および/または予防に使用するためのインターフェロンアルファサブタイプ、ハイブリッド2またはそのフラグメントもしくはバリアント、または請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記ウイルス感染は、直接注入により、または適切な場合には、例えば呼吸器系の問題を引き起こすウイルスの場合には肺への直接エアロゾルにより、ハイブリッド2(配列番号3)またはそのフラグメントもしくはバリアントを提供することによって処置される、請求項8に記載のウイルス感染の処置および/または予防に使用するためのインターフェロンアルファサブタイプ、ハイブリッド2またはそのフラグメントもしくはバリアント、または請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記ウイルス感染は、コロナウイルス感染、特に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-1(SARS-CoV-1)、ヒトコロナウイルスNL63、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2またはCovid19)からの感染から選択される、請求項8に記載のウイルス感染の処置および/または予防に使用するためのインターフェロンアルファサブタイプ、ハイブリッド2またはそのフラグメントもしくはバリアント、または請求項9に記載の使用。
【請求項13】
前記ウイルスまたはウイルス感染は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)および単純ヘルペスウイルス(HSV)から選択される、請求項8に記載のウイルス感染の処置および/または予防に使用するためのインターフェロンアルファサブタイプ、ハイブリッド2またはそのフラグメントもしくはバリアント、または請求項9に記載の使用。
【請求項14】
治療上有用な量の追加の抗ウイルス処置をさらに含む、請求項8に記載のウイルス感染の処置および/または予防に使用するためのインターフェロンアルファサブタイプ、ハイブリッド2またはそのフラグメントもしくはバリアント、または請求項9に記載の使用。
【請求項15】
治療上有用な量の追加の抗ウイルス処置をさらに含み、
前記抗ウイルス処置が、リバビリン、レムデシビル、LAM-002A、デキサメタゾン、アビガン(favilavir)または別のインターフェロンサブタイプである、請求項8に記載のウイルス感染の処置および/または予防に使用するためのインターフェロンアルファサブタイプ、ハイブリッド2またはそのフラグメントもしくはバリアント、または請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染を予防または処置するための組成物および方法に関する。本発明は、NK細胞およびT細胞の応答性を誘導することにより、ウイルス感染による感染を予防または処置するための組成物に及ぶ。本発明は、さらに、ヒトおよび獣医学的治療のためのウイルス感染の処置および/または予防のための組成物および本発明の組成物の使用にも及ぶ。
【背景技術】
【0002】
インターフェロン-アルファ(IFN-アルファ)は、重症急性呼吸器症候群(SARS)、慢性B型肝炎、慢性C型肝炎、およびHIVなどのさまざまなウイルスの処置に成功し、臨床的および商業的に使用されている(例えば、ロフェロンA(登録商標)、イントロンA(登録商標)、ペガシス(登録商標)、ペグイントロン(登録商標)など)。IFN-アルファは、自然免疫応答の一部として抗原提示細胞から放出される最も初期のサイトカインの1つである。それは、NK細胞とT細胞の応答性に直接関与している。
【0003】
さまざまな病原体がin vitroでさまざまなインターフェロンアルファ(IFN-α)サブタイプを誘導し、IFN-αサブタイプはさまざまな抗ウイルス活性、抗増殖活性、および免疫調節活性を有することが知られている。IFN-α、特に個々のIFN-αサブタイプの作用機序は、まだ部分的にしか理解されていない。さまざまな経路による感染は、異なるサブタイププロファイルを誘導することが示されている。IFN-αサブタイプは同じ受容体に結合し、共通のシグナル伝達経路を活性化し、同様の免疫機能を持つと予想されていた。すべてのIFN-αサブタイプは、定義上、抗ウイルス活性を有するが、この文脈での絶対的な効力はかなり異なる可能性がある。さらに、免疫調節および抗増殖作用を含む他の多くの生物学的特性が報告されているが、その効力はまちまちである。このような多面的な作用は、受容体鎖との異なる相互作用と、一連のエフェクター分子への異なる細胞内経路を介したシグナル伝達によるものと思われる。I型IFN受容体は、IFNR1とIFNR2の2つの鎖からなる。12種類のIFN-αサブタイプのそれぞれについて、異なる受容体鎖との結合親和性に幅がある。IFNα-14は、2つのインターフェロン受容体の両方に対して最も高い親和性を有するため、他の11種類のサブタイプと比較して活性が高い。
【0004】
現在、IFNアルファ2サブタイプのみからなる組換えインターフェロンが、抗ウイルス適応症の市場を席巻している。主な組み換えアルファIFN製品には、Schering Plough社のイントロンA(商標)(IFN-アルファ2b)とRoche社のロフェロン(商標)(IFN-アルファ2a)の2つがある。これらの単一サブタイプ製品とは対照的に、異なるサブタイプの混合物からなるいくつかのアルファIFN製剤がある。これらのマルチサブタイプIFNアルファ製品は、ウイルスからの刺激に応答してヒト白血球によって産生される(Viragen社またはその子会社のマルチフェロン(商標)、Interferon Sciences/Hemispherix社のアルフェロン-N(商標)など)か、またはバーキットリンパ腫患者から培養されたヒトリンパ芽球様細胞によって産生される(住友社のスミフェロン(商標)など)。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、特に呼吸器ウイルス疾患、胃腸ウイルス疾患、発疹性ウイルス疾患、肝臓ウイルス疾患、皮膚ウイルス疾患、出血性ウイルス疾患、神経ウイルス疾患などのウイルス状態、特に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-1(SARS-CoV-1)、ヒトコロナウイルスNL63、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2またはCovid19)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)および単純ヘルペスウイルス(HSV)を予防または処置するための組成物および方法に関する。本発明はさらに、治療上有用な量の本発明のインターフェロンを、治療上有用な量の適切な抗ウイルス化合物とともに、処置を必要とする対象に投与することに及ぶ。
【0006】
特定のウイルス、特に新興ウイルスを標的とするワクチンがない場合、効果的な抗ウイルス薬が、好適にはSARs、インフルエンザ(特にH5N1)、ジカウイルス、WNVおよびEBOVの発生に関連して、特に有利となる。
【0007】
したがって、本発明の第一の態様は、ウイルス感染の処置および/または予防のための方法であって、前記方法は、(i)それを必要とする対象に、治療有効量のハイブリッド2を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0008】
広範な実験の後、本発明の発明者は、驚くべきことに、本明細書に記載のインターフェロンアルファ14のバリアントであるハイブリッド2(配列番号3)またはそのバリアントもしくはフラグメントを投与すると、ウイルス感染の影響が抑制または阻害されることを発見した。本発明者は予想外に、ハイブリッド2がウイルス感染に起因する細胞変性効果を直接阻害できることを決定した。細胞変性効果(cytopathic effectまたはcytopathogenic effect)とは、ウイルスの侵入によって引き起こされる宿主細胞の構造変化を指す。本発明者は、ハイブリッド2がウイルス感染に関連するプラーク形成も阻害することを実証した。
【0009】
本発明者は、SARS-CoV-1およびSARS-CoV-2の感染の結果として引き起こされる細胞変性効果およびプラーク形成に基づくモデル系を使用して、合成アルファ-インターフェロンハイブリッド2がウイルス感染を阻害する能力を調べた。本発明者はまた、抗ウイルス化合物であるリバビリンおよびマルチサブタイプのインターフェロンであるマルチフェロン(商標)と比較して、細胞変性効果の阻害を調べた。
【0010】
さらに、本発明者は、HIVおよびRSVモデルを利用して、ハイブリッド2の抗ウイルス効果を実証した。本発明者は、HIVおよびHRSVに対するハイブリッド2の抗ウイルス活性を実証するために、異なる接着細胞系を利用した。各抗ウイルスアッセイについて、抗ウイルスアッセイで試験したのと同じ濃度の阻害剤を使用して、生存率試験を並行してセットアップした。生存率アッセイを使用して、ウイルスの非存在下における化合物による細胞毒性効果を決定した。世界中で3,700万人以上がHIVに感染している。RSV感染は乳児の入院の最も重要な原因であり、乳児死亡率の主要な原因の1つである。呼吸器ウイルスの1つとして、インフルエンザ、リオウイルスおよびコロナウイルスとともに、それ自体が興味深いものであると同時に、指標となるモデルを提供する。本発明者は、初代ヒトケラチノサイトをハイブリッド2で処置すると、単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)感染が減少することも実証した。適切には、前記ウイルス感染は、直接注入により、または適切な場合には、例えば呼吸器系の問題を引き起こすウイルスの場合には肺への直接エアロゾルにより、ハイブリッド2(配列番号3)またはそのフラグメントもしくはバリアントを提供することによって処置され得る。適切には、1回の投与につき104~107IUの範囲の用量が使用され得る。適切には、ハイブリッド2(配列番号3)は、舌下処置として提供され得る。舌下処置としてハイブリッド2またはそのバリアントもしくはフラグメントを投与すると、以前の抗ウイルス薬と比較して、ウイルス活性が大幅に低下または阻害される可能性がある。さらに、本発明者らは、非常に低用量のハイブリッド2、例えば1日当たり104~5×106IUまでが使用され得ることを確認した。
【0011】
これにより、発明者は、ウイルス感染の処置および/または予防に有用な改善された治療用組成物を特定するに至った。
【0012】
適切には、前記ウイルス感染は、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルスを含むフラビウイルス科のメンバー(例えば、フラビウイルス、ペスチウイルス、およびヘパシウイルス属のメンバー);Gadgets Gullyウイルス、Kadamウイルス、キャヌサル森林病ウイルス、ランガットウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ポワッサンウイルス、Royal Farn1ウイルス、Karshiウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、Neudoerflウイルス、Sofjinウイルス、跳躍病ウイルおよびネギシウイルスなどのダニ媒介ウイルス;Meabanウイルス、Saumarez Reefウイルス、およびTyuleniyウイルスなどの海鳥ダニ媒介ウイルス;Arnaウイルス、デングウイルス、Kedougouウイルス、Cacipacoreウイルス、Koutangoウイルス、日本脳炎ウイルス、マリーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ウスツウイルス、ウエストナイルウイルス、Yammdeウイルス、ココベラウイルス、バガザウイルス、イルヘウスウイルス、イスラエル七面鳥髄膜脳炎ウイルス、ウンタヤウイルス、Tembusuウイルス、ジカウイルス、Bariziウイルス、Bouboui vims、エッジヒルウイルス、Jugraウイルス、Saboyaウイルス、Sepikウイルス、ウガンダSウイルス、ヴェセルスブロンウイルス、黄熱ウイルスなどの蚊媒介ウイルス;Entebbeコウモリウイルス、ヨコセウイルス、アポイウイルス、カウボーンリッジウイルス、Jutiapaウイルス、モドックウイルス、Sal Viejaウイルス、San Perlitaウイルス、ブカラサコウモリウイルス、カレー島ウイルス、ダカールコウモリウイルス、モンタナ筋炎白質脳炎ウイルス、プノンペンコウモリウイルス、リオブラボーウイルス、Tamanaコウモリウイルス、および細胞融合ウイルス(Cell fusing agent virus)から選択されるウイルスから選択され得る。
【0013】
別の実施形態において、前記ウイルスは、Ippyウイルス、ラッサウイルス(Josiah、LP、またはGA391株など)、リンパ性脈絡膜髄膜炎ウイルス(LCMV)、Mobalaウイルス、Mopeiaウイルス、アマパリウイルス、Flexalウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラチノウイルス、マチュポウイルス、Oliverosウイルス、パラナウイルス、ピチンデウイルス、Piritalウイルス、サビアウイルス、タカリベウイルス、タミアニウイルス、Whitewater Arroyoウイルス、Chapareウイルス、およびルジョウイルスを含むアレナウイルス科のメンバー;から選択され得る。
【0014】
さらに他の実施形態において、前記ウイルスは、ハンタンウイルス、シンノンブルウイルス、ジュグベウイルス、ブニヤムウェラウイルス、Rift Valley出血熱ウイルス、ラクロスウイルス、Punta Toroウイルス(PTV)、カリフォルニア脳炎ウイルス、およびクリミア・コンゴ出血熱(CCHF)ウイルスを含むブニヤウイルス科のメンバー(例えば、ハンタウイルス、ナイロウイルス、オルソブニヤウイルス、およびフレボウイルス属のメンバー)、エボラウイルス(例えば、ザイール、スーダン、コートジボワール、レストン、およびウガンダ株)およびマールブルグウイルス(例えば、アンゴラ、Ci67、ムソケ、ポップ、レイヴン、およびレイクビクトリア株)を含むフィロウイルス科のウイルス;から選択され得る。
【0015】
実施形態において、前記ウイルスは、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、東部ウマ脳炎ウイルス(EEE)、西部ウマ脳炎ウイルス(WEE)、シンドビスウイルス、風疹ウイルス、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、バーマフォレストウイルス、オニョンニョンウイルス、およびチクングニアウイルスを含むトガウイルス科のメンバー(例えば、アルファウイルス属のメンバー);天然痘ウイルス、牛痘、鉤痘ウイルス、およびワクシニアウイルスを含むポックスウイルス科のメンバー(例えば、オルソポックスウイルス属のメンバー);単純ヘルペスウイルス(HSV;1、2、および6型)、ヒトヘルペスウイルス(例えば、7型および8型)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)、水痘帯状疱疹ウイルス、およびカポジ肉腫関連-ヘルペスウイルス(KSHV)を含むヘルペスウイルス科のメンバー;から選択され得る。
【0016】
別の実施形態において、前記ウイルスは、H5N1トリインフルエンザウイルスまたはH1N1ブタインフルエンザなどのインフルエンザウイルス(A、B、およびC)を含むオルトミクソウイルス科のメンバー;重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスを含むコロナウイルス科のメンバー;狂犬病ウイルスおよび水疱性口内炎ウイルス(VSV)を含むラブドウイルス科のメンバー;ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ニューカッスル病ウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、麻疹ウイルス、牛疫ウイルス、犬ジステンパーウイルス、センダイウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス(例:1、2、3、および4)、ライノウイルス、およびおたふく風邪ウイルスを含むパラミクソウイルス科のメンバー;から選択され得る。
【0017】
実施形態において、前記ウイルスは、ポリオウイルス、ヒトエンテロウイルス(A、B、C、およびD)、A型肝炎ウイルス、およびコクサッキーウイルスを含むピコルナウイルス科のメンバー;B型肝炎ウイルスを含むヘパドナウイルス科のメンバー;から選択され得る。
【0018】
実施形態において、前記ウイルスは、ヒトパピローマウイルスを含むパピローマウイルス科のメンバー;アデノ随伴ウイルスを含むパルボウイルス科のメンバー;アストロウイルスを含むアストロウイルス科のメンバー;JCウイルス、BKウイルス、およびSV40ウイルスを含むポリオーマウイルス科のメンバー;から選択され得る。
【0019】
実施形態において、前記ウイルスは、ノーウォークウイルスを含むカリシウイルス科のメンバーから選択され得る。
【0020】
実施形態において、前記ウイルスは、ロタウイルスを含むレオウイルス科のメンバーから選択され得る。
【0021】
実施形態において、前記ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV;例えば、1型および2型)、ならびにヒトTリンパ好性ウイルス1型およびII型(それぞれ、HTLV-1およびHTLV-2)を含むレトロウイルス科のメンバーから選択され得る。
【0022】
実施形態において、前記ウイルスは、アテリウイルス、パポバウイルス、およびエコーウイルスから選択され得る。
適切には、前記ウイルスは、1型IFN応答に拮抗することが知られているタンパク質をコードするウイルスから選択され得る:
チクングニアウイルス(CHIKV)
コクサッキーウイルス
デングウイルス(DENV)
エボラウイルス(EBOV)
エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)
B型肝炎ウイルス(HBV)
C型肝炎ウイルス(HCV)
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)
ヒトパピローマウイルス(HPV)
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)
ヒトライノウイルス(HRV)
単純ヘルペスウイルス(HSV)
A型インフルエンザウイルス(IAV)
B型インフルエンザウイルス(IBV)
ラッサウイルス(LASV)
麻疹ウイルス(MeV)
中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)
おたふく風邪ウイルス(MuV)
ニパウイルス(NiV)
ポリオウイルス(PV)
狂犬病ウイルス(RABV)
ロタウイルス(RV)NSP1 Enhances
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)
ワクシニアウイルス(VACV)
ウエストナイルウイルス(WNV)
黄熱ウイルス(YFV)
ジカウイルス(ZIKV)
【0023】
適切には、前記ウイルスは、エンベロープウイルスによって引き起こされるウイルス疾患から選択され得、好ましくはヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-l)、ヒト免疫不全ウイルス2型(HIV-2)、ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、ヘルペスウイルス2型(HSV-2)、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ジカウイルス(ZKV)、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、ラッサウイルス、エボラウイルス、Lloviuウイルス、ブンディブギョウイルス、レストンウイルス、スーダンウイルス、タイフォレストウイルス、マールブルグウイルス、Ravnウイルス(RAW)、ニューモウイルス、フニンウイルス、Rift Valley出血熱ウイルス、ラクロスウイルス、ブタ繁殖・呼吸器障害症候群ウイルス、ポックスウイルス、ウシウイルス性下痢症ノロウイルス、SARSコロナウイルス、チクングニアウイルス、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、シュマレンベルクウイルス、アフリカブタコレラウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、牛痘ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ニパウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎(RSSE)ウイルス、黄熱ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ウイルス(BVDV)、パラインフルエンザウイルス5型(PIV5)、ヒツジのボーダー病ウイルス(BDV)、ブタコレラウイルス(CSFV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)およびHSV-2アシクロビル耐性(HSV-2 Acy R)からなる群から選択され得、より好ましくは前記エンベロープウイルスは、HIV-l、HSV-l、HSV-2、HCMV、RSV、VSV、H1N1、DENV-2およびZKVからなる群から選択され得る。
【0024】
実施形態において、前記ウイルス感染は、コロナウイルス感染、特に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-1(SARS-CoV-1)、ヒトコロナウイルスNL63、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2またはCovid19)からの感染から選択され得る。
【0025】
実施形態において、前記ウイルス感染は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)および単純ヘルペスウイルス(HSV)から選択され得る。
【0026】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2は、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的に活性なフラグメントもしくはバリアントを含むか、またはそれらからなる。
【0027】
実施形態において、前記投与方法は経口投与である。実施形態において、前記投与方法は注入である。実施形態において、前記投与方法は肺へのエアロゾル送達によるものである。
【0028】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2の治療有効量は低用量である。実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2の治療有効量は、104~5×106IU単位/mlである。実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2の治療有効量は、コロナウイルス感染に対する現在の全身処置よりも低い。
【0029】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2は、5IU/ml、10IU/ml、50IU/ml、1×102IU/ml、1×103IU/ml、1×104IU/ml、1×105IU/ml、1×106IU/mlまたは1×107IU/mlの用量で投与される。
【0030】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2は、0.1mg~1mgの間、適切には1ng~50マイクログラムの用量で投与される。例えば、ヒトへの適用では、5×104IU/ml単位以下が使用され得る。
【0031】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2は、舌下投与によって投与される。実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプは、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回投与され得る。適切には、舌下投与では、毎日、単回用量が提供され得る。
【0032】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2は、ウイルスの活動を妨害し、例えば、細胞変性効果またはウイルスのプラーク形成を阻害する。
【0033】
典型的には、前記対象は哺乳動物、特にヒトである。実施形態において、前記対象は鳥であり得る。実施形態において、前記対象は動物であり得る。
【0034】
特定の実施形態において、前記方法は、治療上有用な量の適切な抗ウイルス化合物を投与するステップを含む。実施形態において、前記抗ウイルス化合物はリバビリンである。前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2と組み合わせた実施形態において、さらなる処置は、レムデシビル、LAM-002A(apilimod - 選択的PIKfyveキナーゼ阻害剤)、デキサメタゾン、およびアビガン(favilavir)または別のインターフェロンサブタイプから選択され得る。
【0035】
本発明の第二の態様によれば、ウイルス感染の処置および/または予防に使用するためのインターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2が提供される。
【0036】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2は、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的に活性なフラグメントもしくはバリアントを含むか、またはそれらからなる。
【0037】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2は、呼吸器ウイルス疾患、胃腸ウイルス疾患、発疹性ウイルス疾患、肝臓ウイルス疾患、皮膚ウイルス疾患、出血性ウイルス疾患、神経ウイルス疾患の処置および/または予防に使用するためのものである。
【0038】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-1(SARS-CoV-1)、ヒトコロナウイルスNL63、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2またはCovid19)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)および単純ヘルペスウイルス(HSV)の処置および/または予防に使用するためのものである。
【0039】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)または単純ヘルペスウイルス(HSV)の処置および/または予防に使用するためのものである。
【0040】
実施形態において、前記ハイブリッド2の治療有効量は低用量である。実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2の治療有効量は、104~5×106IU単位/mlである。実施形態において、前記ハイブリッド2の治療有効量は、コロナウイルス感染に対する現在の全身処置よりも低い。
【0041】
実施形態において、ハイブリッド2は、5IU/ml、10IU/ml、50IU/ml、1×102IU/ml、1×103IU/ml、1×104IU/ml、1×105IU/ml、1×106IU/mlまたは1×107IU/mlの用量で投与される。
【0042】
実施形態において、ハイブリッド2は、0.1mg~1mgの間、適切には1ng~50マイクログラムの用量で投与される。例えば、ヒトへの適用では、5×104IU/ml単位以下が使用され得る。動物、例えばイヌでは、舌下使用は、例えば1mlのPBSで104IU/Kgとすることができる。
【0043】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプは、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回投与され得る。適切には、舌下投与では、単回用量が毎日提供され得る。
【0044】
ハイブリッド2と組み合わせた実施形態において、さらなる処置は、レムデシビル、LAM-002A(apilimod - 選択的PIKfyveキナーゼ阻害剤)、デキサメタゾン、およびアビガン(favilavir)から選択され得る。
【0045】
本発明の第三の態様によれば、ウイルス感染の処置および/または予防のための薬剤の調製におけるハイブリッド2またはその組み合わせの使用が提供される。
【0046】
本発明のさらなる態様によれば、コロナウイルス感染の処置および/または予防に使用するための、ハイブリッド2を含む組成物が提供される。
【0047】
本発明のさらなる態様によれば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)または単純ヘルペスウイルス(HSV)の処置および/または予防に使用するための、ハイブリッド2を含む組成物が提供される。
【0048】
本発明のさらなる態様によれば、ウイルス感染の処置および/または予防に使用するための、ハイブリッド2を含む医薬組成物が提供される。
【0049】
実施形態において、前記ウイルス感染は、コロナウイルス感染、特に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-1(SARS-CoV-1)、ヒトコロナウイルスNL63、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2またはCovid19)からの感染から選択され得る。
【0050】
実施形態において、前記ウイルス感染は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)または単純ヘルペスウイルス(HSV)から選択され得る。
【0051】
実施形態において、前記医薬組成物はさらなる処置と組み合わせたハイブリッド2を提供することができ、前記さらなる処置が、レムデシビル、LAM-002A(apilimod - 選択的PIKfyveキナーゼ阻害剤)、デキサメタゾン、およびアビガン(favilavir)から選択され得る。
【0052】
本発明のさらなる態様によれば、免疫応答の調節に使用するためのハイブリッド2が提供される。
【0053】
実施形態において、前記インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2と、レムデシビル、LAM-002A(apilimod - 選択的PIKfyveキナーゼ阻害剤)、デキサメタゾンおよびアビガン(favilavir)から選択されるさらなる処置との組み合わせは、免疫応答を調節するために使用され得る。
【0054】
本発明のさらなる態様によれば、ウイルス、特に重症急性呼吸器系(SARS)コロナウイルス-1(SARS-CoV)もしくは重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2またはCovid19)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)または単純ヘルペスウイルス(HSV)による感染の処置または予防のための、ハイブリッド2またはその組み合わせと抗ウイルス化合物の使用が提供される。
適切には、ウイルスは、
チクングニアウイルス(CHIKV)
コクサッキーウイルス
デングウイルス(DENV)
エボラウイルス(EBOV)
エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)
B型肝炎ウイルス(HBV)
C型肝炎ウイルス(HCV)
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)
ヒトパピローマウイルス(HPV)
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)
ヒトライノウイルス(HRV)
単純ヘルペスウイルス(HSV)
A型インフルエンザウイルス(IAV)
B型インフルエンザウイルス(IBV)
ラッサウイルス(LASV)
麻疹ウイルス(MeV)
中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)
おたふく風邪ウイルス(MuV)
ニパウイルス(NiV)
ポリオウイルス(PV)
狂犬病ウイルス(RABV)
ロタウイルス(RV)NSP1 Enhances
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)
ワクシニアウイルス(VACV)
ウエストナイルウイルス(WNV)
黄熱ウイルス(YFV)
ジカウイルス(ZIKV)
から選択され得る。
【0055】
上記で概説した本発明の態様の実施形態では、インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2は、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的に活性なフラグメントもしくはバリアントを含むか、またはそれらからなる。
【0056】
上記で概説した本発明の態様の実施形態では、インターフェロンアルファサブタイプハイブリッド2は、配列番号3のアミノ酸配列、または配列番号3と少なくとも90%相同、さらにより好ましくは配列番号3と少なくとも95%相同、さらにより好ましくは配列番号3と少なくとも96%相同、さらにより好ましくは配列番号3と少なくとも97%相同、最も好ましくは配列番号3と少なくとも98%相同なアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
【0057】
上記で概説した本発明の態様の実施形態では、組成物または医薬組成物は舌下投与される。これは、獣医学的処置にとって特に有利であり得る。実施形態では、投与方法は経口投与である。実施形態では、投与方法は注入である。
【0058】
上記で概説した本発明の態様の実施形態では、ハイブリッド2は、5IU/ml、10IU/ml、50IU/ml、1×102IU/ml、1×103IU/ml、1×104IU/ml、1×105IU/ml、1×106IU/mlまたは1×107IU/mlの用量で投与される。
【0059】
上記で概説した本発明の態様の実施形態では、ハイブリッド2は、0.1mg~1mgの間、適切には1ng~50マイクログラムの間の用量で投与される。例えば、ヒトへの適用では、5×104IU/ml単位またはそれ以下が使用され得る。
【0060】
上記で概説した本発明の態様の実施形態では、インターフェロンアルファサブタイプは、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回投与される。適切には、舌下投与では、単回用量が毎日提供され得る。
【0061】
上記で概説した本発明の態様の特定の実施形態では、IFN-αサブタイプは、配列番号3のアミノ酸配列(ハイブリッド2)またはそのバリアントもしくはフラグメントを含むか、またはそれらからなる。本発明のさらなる態様では、配列番号3またはそのフラグメントもしくはバリアントを含むかまたはそれらからなる組換えポリペプチドが提供される。本発明は、配列番号3のアミノ酸配列に由来する核酸配列に及ぶ。実施形態では、ハイブリッド2はグリコシル化され得る。
【0062】
[発明の詳細な説明]
当技術分野におけるIFNアルファの組換え型と、マルチサブタイプ型との間には多くの違いがある。最も明らかな違いは、それぞれが有するIFNアルファサブタイプの数である。組換え型はアルファ2サブタイプのみを含み、イントロンA(商標)(Schering Plough社)はアルファ2b型、Roferon(商標)(Roche社)はアルファ2a型である。IFNアルファのマルチサブタイプ型は、IFNアルファの多くのサブタイプを含む。IFNアルファのマルチサブタイプ型は広域薬物であり、IFNアルファサブタイプのいずれかが抗ウイルス活性をより多く、またはより少なく有するということはない。マルチサブタイプ型と組換え型の別の違いは、マルチサブタイプ型の製造プロセスでヒト細胞によって産生されたIFNアルファ2がグリコシル化されているのに対し、組換え型は細菌発酵により産生されるという点でグリコシル化されていないことである。グリコシル化は、半減期、生物活性、免疫原性など、タンパク質産物の多くの機能において主要な役割を果たす。したがって、産物のグリコシル化は、投与後の体内での持続時間、治療的に適切な用量の活性、および産物自体に対する忍容性に影響を与える可能性があるため、治療的または予防的処置を開発する際に重要な考慮事項となる。
【0063】
配列番号3(本発明のハイブリッド2)は、以下のアミノ酸配列を有する:
【化1】
【0064】
特に、本発明者は、ハイブリッド2(配列番号3)またはそのバリアントもしくはフラグメントが、細胞変性効果およびプラーク形成を阻害し、抗ウイルス活性を示すことを発見した。細胞変性効果(cytopathic effectまたはcytopathogenic effect)とは、ウイルスの侵入によって引き起こされる宿主細胞の構造変化を指す。
【0065】
本発明者はまた、組換えIFNハイブリッド分子ハイブリッド2(配列番号3)がインターフェロン受容体に対して高い結合親和性を有することを確立した。
【0066】
理論に拘束されることを望まないが、本発明者は、IFN-α10のアミノ酸配列を含むタンパク質はインターフェロン受容体2(IFNR2)に対してより大きな親和性を有し、IFN-α14のアミノ酸配列を含むタンパク質はインターフェロン受容体1(IFNR1)に対してより大きな親和性を有すると考えている。したがって、IFN-α10のアミノ酸配列を含むタンパク質を、インターフェロン受容体1に結合可能なIFN-α14のアミノ酸で置換する、あるいはIFN-α14のアミノ酸配列を含むタンパク質を、インターフェロン受容体2に結合可能なIFN-α10のアミノ酸で置換すると、IFN-α10またはIFN-α14単独よりもインターフェロン受容体1および2の双方に対してより強い結合親和性を有するはずのIFN-α10 IFN-α14ハイブリッドタンパク質が提供されると考えられる。IFN-α10およびIFN-α14の一次インターフェロン受容体結合部位を含むとは、ハイブリッドが、IFN-α14サブタイプのインターフェロン受容体2への結合能力を向上させるために、IFN-α10から選択されIFN-α14アミノ酸配列中に置換されたアミノ酸を含むこと、および/または、ハイブリッドが、IFN-α10サブタイプのインターフェロン受容体1への結合能力を向上させるために、IFN-α14から選択されIFN-α10アミノ酸配列中に置換されたアミノ酸を含むことを意味する。ハイブリッドD2は、ウイルスの処置において特に有利であると考えられる。
【0067】
実施形態では、IFN-α10-IFN-α14ハイブリッドは、実質的にIFN-α10のアミノ酸配列を有することができるが、(IFN-α10配列のナンバーリングを用いて)アミノ酸残基80から150の間の領域、または適切にはアミノ酸残基84から144の間の領域、または適切にはアミノ酸残基92から115、または適切にはアミノ酸残基90から110の間の領域で改変されて、IFN-α14配列によってもたらされるアミノ酸を提供することができる。これらの領域またはこれらの領域の一部のアミノ酸残基が、インターフェロン受容体1へのIFN-α14の結合をもたらすと考えられている。特に、ハイブリッド配列は、IFN-α14配列の対応する残基またはその保存変異を提供するために、IFN-α10配列の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個または少なくとも11個の改変を含み得る。実施形態では、太字で示されたアミノ酸によって示されるように、11個の改変が提供される。
【化2】
【0068】
機能的に活性とは、IFN-α10およびIFN-α14の一次インターフェロン結合部位を含むIFN-α10-IFN-α14ハイブリッドポリペプチドであって、対象へのペプチドの投与または対象におけるペプチドの発現がウイルス感染に対する免疫応答の抑制を促進する、ハイブリッドポリペプチドを意味する。さらに、機能的活性は、ウイルス感染に対する免疫応答を抑制するハイブリッドペプチドの能力によって示され得る。
【0069】
フラグメントは、配列番号3からの少なくとも50個、好ましくは100個、より好ましくは150個以上の連続するアミノ酸を含むことができ、機能的に活性である。適切には、フラグメントは、例えばcDNAのC末端連続欠失を使用して決定され得る。次いで、前記欠失構築物を適切なプラスミドにクローニングすることができる。次いで、これらの欠失変異体の活性を、本明細書に記載の生物学的活性について試験することができる。
【0070】
バリアントとは、配列番号3と少なくとも90%相同、さらにより好ましくは配列番号3と少なくとも95%相同、さらにより好ましくは配列番号3と少なくとも96%相同、さらにより好ましくは配列番号3と少なくとも97%相同、最も好ましくは配列番号3と少なくとも98%相同なアミノ酸配列を意味する。バリアントは、アミノ酸の置換、特にタンパク質の生物学的活性または立体配置、またはフォールディングの有意な改変をもたらさない可能性が高いことが知られている置換(複数可)を含む、配列番号3のポリペプチド配列を包含する。これらの置換は、典型的には保存置換として知られ、当技術分野で知られている。例えば、アルギニン、リジン、およびヒスチジンのグループは、交換可能な塩基性アミノ酸として知られている。例えば、アルギニン、リジンおよびヒスチジンのグループは、交換可能な塩基性アミノ酸として知られている。適切には、実施形態において、同じ電荷、サイズまたは疎水性のアミノ酸は互いに置換され得る。適切には、配列をアラインメントしたときに他のアルファサブタイプの類似または同一の位置に存在するアミノ酸へのアミノ酸置換をもたらすように、任意の置換をインターフェロンアルファサブタイプのアミノ酸配列アラインメントの分析に基づいて選択することができる。ハイブリッド、ならびにそのバリアントおよびフラグメントは、当技術分野で知られている適切な分子生物学的方法を使用して生成することができる。適切には、相同性は配列同一性によって記述され得る。配列同一性は、当技術分野で知られている方法、例えばBLASTによって決定することができる。
【0071】
本発明者は、ハイブリッド2(配列番号3)またはそのバリアントもしくはフラグメントの投与により、ハイブリッド2(配列番号3)またはそのバリアントもしくはフラグメントが投与されていないコントロールと比較して、細胞変性効果もしくはプラーク形成などのウイルス活性または抗ウイルスアッセイにおいて、10%、好ましくは20%、好ましくは30%、好ましくは40%、好ましくは50%、好ましくは60%、好ましくは70%と、好ましくは80%、より好ましくは90%超の低下がもたらされることを発見した。
【0072】
本発明者は、ハイブリッド2(配列番号3)またはそのバリアントもしくはフラグメントの投与により、これまでの抗ウイルス薬と比較して、細胞変性効果もしくはプラーク形成などのウイルス活性または抗ウイルスアッセイにおいて、10%、好ましくは20%、好ましくは30%、好ましくは40%、好ましくは50%、好ましくは60%、好ましくは70%と、好ましくは80%、より好ましくは90%超の低下がもたらされることを発見した。
【0073】
ハイブリッド2の投与は、細胞変性効果またはプラーク形成を、50%、好ましくは60%、好ましくは70%、好ましくは80%、好ましくは90%、好ましくは91%、好ましくは92%、好ましくは93%、好ましくは94%、好ましくは95%、好ましくは96%、好ましくは97%、より好ましくは98%低下させることができる。
【0074】
定義
【0075】
フラグメント
フラグメントは、配列番号1、配列番号2または配列番号3からの少なくとも50個、好ましくは100個、より好ましくは150個以上の連続するアミノ酸を含むことができ、機能的に活性である。適切には、フラグメントは、例えばcDNAのC末端連続欠失を使用して決定され得る。次いで、前記欠失構築物を適切なプラスミドにクローニングすることができる。次いで、これらの欠失変異体の活性を、本明細書に記載の生物学的活性について試験することができる。フラグメントは、当技術分野で知られている適切な分子生物学的方法を用いて生成することができる。
【0076】
バリアント
バリアントとは、配列番号3と少なくとも90%相同、さらにより好ましくは配列番号3と少なくとも95%相同、さらにより好ましくは配列番号3と少なくとも96%相同、さらにより好ましくは配列番号3と少なくとも97%相同、最も好ましくは配列番号3と少なくとも98%相同なアミノ酸配列を意味する。バリアントは、アミノ酸の置換、特にタンパク質の生物学的活性または立体配置、またはフォールディングの有意な改変をもたらさない可能性が高いことが知られている置換(複数可)を含む、配列番号3のポリペプチド配列を包含する。これらの置換は、典型的には保存置換として知られ、当技術分野で知られている。例えば、アルギニン、リジン、およびヒスチジンのグループは、交換可能な塩基性アミノ酸として知られている。例えば、アルギニン、リジンおよびヒスチジンのグループは、交換可能な塩基性アミノ酸として知られている。適切には、実施形態において、同じ電荷、サイズまたは疎水性のアミノ酸は互いに置換され得る。適切には、配列をアラインメントしたときに他のアルファサブタイプの類似または同一の位置に存在するアミノ酸へのアミノ酸置換をもたらすように、任意の置換をインターフェロンアルファサブタイプのアミノ酸配列アラインメントの分析に基づいて選択することができる。バリアントは、当技術分野で知られている適切な分子生物学的方法を使用して生成することができる。
【0077】
対象
本明細書で定義するように、「対象」は、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ)などの哺乳動物;マウス、ウサギ、ラット、モルモットなどの実験動物;イヌ、ネコなどの伴侶動物(companion animals)を含み、包含する。
【0078】
処置/治療
「処置」という用語は、本明細書では、ヒトまたはヒト以外の動物に利益をもたらすことができる任意のレジメンを指すために使用される。処置はウイルス感染に関するものであり得、処置は予防的(予防的処置)であり得る。処置には、治癒効果または緩和効果が含まれる場合がある。本明細書における「治療的」および「予防的」処置への言及は、その最も広い文脈で考慮されるべきである。「治療的」という用語は、対象が完全に回復するまで処置されることを必ずしも意味しない。同様に、「予防的」とは、対象が最終的に疾患状態に陥らないことを必ずしも意味しない。したがって、治療的および/または予防的処置には、ウイルス感染の症状の改善、またはウイルス感染を発症するリスクの予防もしくは低減が含まれる。「予防的」という用語は、特定の状態の重症度または発症を軽減するものと見なすことができる。「治療」は、既存の状態の重症度を軽減することもある。
【0079】
投与
本明細書に記載のハイブリッド2(配列番号3)は、同じ対象に別々に、任意に順次投与され得るか、または医薬組成物もしくは免疫原性組成物として同時に共投与され得る。
【0080】
活性成分は、任意の適切な経路を介して処置を必要とする患者に投与され得る。正確な用量は、以下でより詳細に説明するように、多くの要因に依存する。
【0081】
いくつかの適切な投与経路には、(限定されるものではないが)経口、直腸、経鼻、局所(頬および舌下を含む)、膣もしくは非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内および硬膜外を含む)投与、または経口もしくは鼻吸入による投与が含まれる。
【0082】
組成物は、注入可能な組成物として送達可能であり、経口投与され、経口または鼻吸入によりエアロゾルとして肺に投与される。
【0083】
1つの適切な投与経路は舌下であり、例えば、対象の舌下に適用される。
【0084】
経口または鼻吸入経路による投与の場合、好ましくは、活性成分は適切な医薬製剤であり、吸入器またはネブライザー装置を含むがこれらに限定されない機械的形態を使用して送達され得る。
【0085】
さらに、経口または鼻吸入経路が使用される場合、SPAG(小粒子エアロゾルジェネレーター)による投与が使用され得る。
【0086】
静脈内注入の場合、活性成分は、パイロジェンフリーで、適切なpH、等張性および安定性を有する、非経口的に許容される水溶液の形態である。当業者であれば、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液などの等張ビヒクルを用いて適切な溶液を調製することは十分に可能である。必要に応じて、保存剤、安定剤、緩衝液、酸化防止剤、および/またはその他の添加剤を含めることができる。
【0087】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末または液体の形態であり得る。錠剤は、ゼラチンまたはアジュバントなどの固体担体を含んでもよい。液体医薬組成物は、一般に、水、石油、動物油または植物油、鉱油または合成油などの液体担体を含む。生理食塩水、デキストロースもしくは他の糖類溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールが含まれてもよい。
【0088】
組成物は、血液を含む特定の組織に配置されるミクロスフェア、リポソーム、その他の微粒子送達システムまたは徐放性製剤を介して投与することもできる。徐放性担体の適切な例には、共有物、例えば座薬またはマイクロカプセルの形態の半透性ポリマーマトリックスが含まれる。埋め込み型またはマイクロカプセル型の徐放性マトリックスには、L-グルタミン酸とガンマエチル-L-グルタメートのポリラクチドコポリマー、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)またはエチレンビニルアセテートが含まれる。
【0089】
上記の技法およびプロトコル、ならびに本発明に従って使用され得る他の技法およびプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第16版、Oslo, A.(編)、1980年)に記載されている。
【0090】
医薬組成物
上述のように、本発明は、コロナウイルス感染の処置のための医薬組成物に及ぶ。
【0091】
本発明による、および本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性成分に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝安定剤、または当業者によく知られている他の材料を含み得る。そのような材料は、非毒性であるべきであり、活性成分の効力を妨げないものでなければならない。担体または他の材料の正確な性質は、例えば、経口、静脈内、鼻腔内、または経口もしくは鼻吸入による投与経路に依存する。製剤は、pH6.8~7.6の非リン酸緩衝液を含む生理食塩水などの液体であってもよいし、凍結乾燥粉末またはフリーズドライ粉末であってもよい。
【0092】
用量
組成物は、好ましくは「治療有効量」または「所望の量」で個体に投与され、これは個体に利益を示すのに十分である。本明細書で定義されるように、「有効量」という用語は、所望の反応を少なくとも部分的に得るのに必要な量、または処置される特定の状態の発症を遅らせるか、進行を阻害するか、または発症もしくは進行を完全に止めるのに必要な量を意味する。その量は、処置される対象の健康状態および身体的状態、処置される対象の分類群、望まれる保護の程度、組成物の処方、医学的状況の評価、および他の関連要因に応じて変化する。その量は比較的広い範囲に収まることが予想され、日常的な試行により決定される可能性がある。処置の処方、例えば投与量の決定などは、最終的には一般開業医、医師またはその他の医師の責任および裁量によるものであり、通常、処置すべき疾患、個々の患者の状態、送達部位、投与方法および開業医に既知のその他の要因を考慮する。最適な用量は、例えば、年齢、性別、体重、処置される状態の重症度、投与される活性成分および投与経路を含む多くのパラメータに基づいて、医師が決定することができる。幅広い用量を適用できる可能性がある。ヒト患者への経口投与を考慮すると、例えば、約10μg~約1000μgの薬剤が、ヒト1回当たり、任意で3~4回分投与され得る。投与計画は、最適な治療反応を提供し、副作用を軽減するために調整され得る。例えば、いくつかの分割用量を、毎日、毎週、毎月、または他の適切な時間間隔で投与することができ、または状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に減らすことができる。
【0093】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】
図1は、3つのインターフェロン、すなわちハイブリッド2、インターフェロン-ベータ1aおよびインターフェロン-アルファ2aを比較した研究のベロ細胞を用いたプラーク阻害アッセイの結果を示す。
【
図2】
図2は、ハイブリッド2によるIL-17A合成の抑制を示す。
【
図3】
図3は、ハイブリッド2によるIL 17Fの抑制を示す。
【
図4】
図4は、ヒト白血球からのCXCL10の産生に対するハイブリッド2の効果を示す。
【
図5】
図5は、免疫細胞およびハイブリッド2の画像を示す。
【
図6】
図6は、ハイブリッド2がアポトーシスを誘導できることを示す。
【
図8】
図8は、ハイブリッド2によるNK細胞の直接的な活性化を示す。
【
図9】
図9は、ハイブリッド2のヒトRSVを用いたプラークアッセイの阻害を示す。
【
図10】
図10Aは、インターフェロン-アルファ2a(サンプルA)およびハイブリッド2(サンプルB)およびコントロール阻害剤によるHIV-1 LAI感染性を示す(RLU)。
図10Bは、HIV-1 LAI感染性アッセイを示す(パーセンテージ値)。
【
図12】
図12Aおよび
図12Bは、コントロール抗ウイルス剤についてのHIV-1感染性のIC50値の決定を示す。
【
図13】
図13は、HeLa-CD4-βgal細胞による生存率アッセイを示す(パーセンテージ値)。
【
図15】
図15Aおよび
図15Bは、HeLa-CD4-βgal細胞によるコントロール抗ウイルス剤についてのCC50値の決定を示す(パーセンテージ値)。
【
図16】
図16は、インターフェロン-α2a(サンプルA)およびハイブリッド2(サンプルB)によるHRSV阻害を示す(A490)。
【
図17】
図17は、HRSV感染性アッセイを示す(パーセンテージ値)。
【
図20】
図20は、試験品インターフェロン-アルファ14(サンプルA)、ハイブリッド2(サンプルB)およびインターフェロン-ベータ1a(サンプルC)ならびにコントロール阻害剤によるHIV-1 LAI感染性を示す(RLU)。
【
図21】
図21は、試験品インターフェロン-アルファ14(サンプルA)、ハイブリッド2(サンプルB)およびインターフェロン-ベータ1a(サンプルC)についてのHIV-1 LAI感染性アッセイを示す(パーセンテージ値)。
【
図22】
図22A(インターフェロン-アルファ14)、
図22B(ハイブリッド2)および
図22C(インターフェロン-ベータ1a)は、HIV-1感染性についてのIC50値の決定を示す。
【
図23】
図23は、試験品インターフェロン-アルファ14(サンプルA)、ハイブリッド2(サンプルB)およびインターフェロン-ベータ1a(サンプルC)についてのHeLa-CD4-βgal細胞による生存率アッセイを示す(パーセンテージ値)。
【
図24】
図24は、HeLa-CD4-βgal細胞におけるサンプルA(
図24A)、サンプルB(
図25B)およびサンプルC(
図24C)についてのCC50値の決定を示す(パーセンテージ値)。
【
図25】
図25は、ハイブリッド1、ハイブリッド2、インターフェロンアルファ-14、インターフェロンアルファ-2aおよびインターフェロンベータ-1aで処置したときのベロ細胞における単純ヘルペス1ウイルスの組織培養感染用量を示す。
【
図26】
図26は、プラーク形成単位(PFU)に変換されたTCIDの中央値を示す。
【0095】
実験データ
【0096】
実験1:SARS-CoV-1コロナウイルス感染後の細胞変性効果に対するIFNα-14およびハイブリッドの効果
SARS-CoV-1感染後の細胞変性効果を阻害するハイブリッドの有効性を、細胞変性エンドポイントアッセイで試験した。すべてのエンドポイントアッセイは、マルチサブタイプのマルチフェロンおよびIFN-α14、ならびに比較のための抗ウイルスリバビリンを使用して実施された。
【0097】
抗ウイルス処置の調製
他のウイルス-宿主の組み合わせに一般的に使用される阻害用量を含む広範囲の濃度(10倍希釈によって得られた)が試験された。化合物をハンクス緩衝生理食塩水に溶解した。
【0098】
プラークアッセイでは、以下に示すように増殖培地を使用して5倍の薬物希釈液を調製した。SARS-CoV-1産生および感染アフリカミドリザル(Vero E6)細胞(American Type Culture Collection、マナサス、バージニア州、米国)を、10%ウシ胎児血清(FCS;Biological Industries、イスラエル)を添加した199培地(Sigma、セントルイス、米国)からなる増殖培地を含む75cm細胞培養フラスコで増殖させた。SARS-HCoV2003VA2774(シンガポールのSARS患者からの分離株)は、Vero E6細胞で増殖された。簡単に説明すると、2mlのストックウイルスをVero E6細胞のコンフルエントな単層に添加し、37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。次いで、5%FCSを添加した13mlの199培地を加えた。培養物を5%CO2中37℃でインキュベートし、倒立顕微鏡で各ウェルを観察することにより、細胞変性効果の阻害を測定した。48時間後に75%以上の阻害が観察された場合、上清を回収した。上清を2500rpmで清澄化し、凍結バイアルに分注し、使用するまで-80℃で保存した。
【0099】
ウイルスのハンドリングおよび滴定
凍結培養上清中のウイルス力価は、二重に実施されたプラークアッセイを用いて決定された。簡単に説明すると、10倍連続希釈の100マイクロリットルのウイルスを、24ウェルプレートのVero E6細胞の単層に加えた。5%CO2中、37℃で1時間インキュベーションした後、5%FCSを添加したウイルス199培地を加えた。細胞を10%(v/v)ホルマリンで固定し、2%(w/v)クリスタルバイオレットで染色した。プラークを目視で計数し、1mlあたりのプラーク形成単位(pfu/ml)でウイルス力価を算出した。
【0100】
細胞変性エンドポイントアッセイ
各抗ウイルス処置の効果は、4連で試験された。簡単に説明すると、各処置の連続10倍希釈液100マイクロリットルを100マイクロリットルのVero E6細胞とインキュベートして、96ウェルプレートのウェルあたり20,000細胞の最終細胞数を得た。インキュベーションは、インターフェロン製剤については5%CO2中37℃で一晩、0.5の感染率(MOI)(細胞あたりのウイルス粒子)については1時間であった。プレートを5%CO2中、37℃で3日間インキュベートし、細胞変性効果についてプレートを毎日観察した。エンドポイントは、4つのセットアップすべてで細胞変性効果を阻害する希釈濃度であった。
【0101】
細胞毒性を測定するために、各処置の連続10倍希釈液100マイクロリットルを100マイクロリットルのVeroE6細胞とインキュベートし、ウイルスチャレンジなしで、96ウェルプレートのウェルあたり20,000細胞の最終細胞数を得た。次いで、プレートを5%CO2中37℃で3日間インキュベートし、倒立顕微鏡を使用して毒性効果を観察した。
【0102】
次いで、10,000pfu/ウェルの濃度のウイルス10マイクロリットルを各試験ウェルに添加した。これは、感染多重度(MOI)(細胞あたりのウイルス粒子)0.5に相当する。プレートを37℃、5%CO2で3日間インキュベートし、細胞変性効果についてプレートを毎日観察した。エンドポイントは、4つのセットアップすべてで細胞変性効果を阻害する希釈濃度であった(CIA100)。
【0103】
細胞毒性を測定するために、各処置の連続10倍希釈液100マイクロリットルを100マイクロリットルのVeroE6細胞とインキュベートし、ウイルスチャレンジなしで、96ウェルプレートのウェルあたり20,000細胞の最終細胞数を得た。次いで、プレートを5%CO2中37℃で3日間インキュベートし、倒立顕微鏡を使用して毒性効果を観察した。完全な阻害を示したインターフェロンは、より低いウイルス力価である103および102pfu/ウェルでさらに試験された。
【0104】
実験2:SARS-CoV-1コロナウイルス感染後のプラーク形成に対するハイブリッドの効果
SARS-CoV-1感染後のプラーク形成を抑制するハイブリッドの有効性を、プラーク減少アッセイで試験した。
【0105】
プラークアッセイはウイルスストックの10倍希釈液を使用して行い、0.1mlのアリコートを感受性細胞単層に接種した。ウイルスが細胞に付着するのを可能にするインキュベーション期間の後、単層を、ゲルの形成を引き起こす物質、通常は寒天、を含む栄養培地で覆った。プレートのインキュベーション後、元の感染細胞はウイルスの子孫を放出した。新しいウイルスの拡散は、ゲルによって隣接する細胞に制限される。その結果、各感染性粒子は、プラークと呼ばれる感染細胞の円形ゾーンを生成した。最終的に、プラークは肉眼で見えるほど大きくなった。生細胞とプラークの間のコントラストを高めるために、生細胞を染色する色素が使用された。細胞に目に見える損傷を引き起こしたウイルス、つまりSARS-CoV-1のみがこの方法で分析された。
【0106】
これらの結果は、SARS-CoV-1の感染の結果として引き起こされる細胞変性効果とプラーク形成を阻害するハイブリッド2の能力を明確に示している。結果は、抗ウイルス化合物リバビリンおよびマルチサブタイプインターフェロンでであるマルチフェロン(商標)と比較して、細胞変性効果の阻害を示している。
【0107】
実験3:IL-17、グランザイムB、インターフェロンガンマ、インターフェロンアルファ、NK細胞に関するアッセイ
主要な免疫モジュレーターに関するインターフェロンアルファ14およびハイブリッド2を利用したアッセイは、当技術分野で理解されるように行われた。
【0108】
免疫細胞殺傷に対するハイブリッド2の効果
ハイブリッド組換えインターフェロンの効果は、IncuCyte ZOOMプラットフォームでの免疫細胞殺傷の生細胞イメージングアッセイで試験された。
【0109】
この研究では、核を赤色で標識したSK-OV-3卵巣癌細胞(SK-OV-3 NucLightレッド)を標的細胞として使用した。免疫細胞殺傷のために、細胞をナチュラルキラー(NK)細胞と共培養し、陽性コントロールはIL-2およびIL-12で処置した細胞で構成した。アポトーシスは、カスパーゼ3/7陽性オブジェクトを染色することによって検出され、細胞数は赤色の核の計数によって決定された。共培養モデルの結果を、SK-OV-3 NucLight Red細胞のみからなる単一培養モデルの結果と比較した。
【0110】
標的細胞とエフェクター細胞の4つの比率をテスト試験する最初の最適化実験を実施した。これらの結果から、96ウェルプレートのウェルあたり5,000個のナチュラルキラー細胞と2,000個のSK-OV-3 NucLightレッド細胞が、免疫細胞殺傷を検出するための適切なアッセイウィンドウを提供することが決定された。
【0111】
10IU/ml~3×106IU/mlの範囲のハイブリッド組換えインターフェロンの8つの用量が、免疫細胞殺傷に対する効果について試験された。結果を無処置コントロール、ビヒクル処置コントロールおよびIL-2/IL-12処置細胞と比較した。すべての条件は、共培養(SK-OV-3 NucLightおよびNK細胞)および単一培養(SK-OV-3 NucLight Red)の細胞を用いて試験された。
【0112】
IncuCyte ZOOMを使用して細胞を4日間モニタリングし、IncuCyteソフトウェアを使用して緑色(アポトーシス)および赤色(細胞数)のオブジェクト数を経時的に測定した。曲線下面積(AUC)分析を使用して、経時的なアポトーシスおよび細胞数を定量化した。
【0113】
IL-17、Il-6、CCL-5、および免疫応答は、Covid-19感染後に調節されることが決定されており、特にCovid-19による急性呼吸窮迫症候群ではIL-17炎症が重要であることが指摘されている。
【0114】
ハイブリッド組換えインターフェロンは共培養モデルでアポトーシスを強力に誘導し、ビヒクルコントロールの200からハイブリッド組換えインターフェロンの最高用量では1174までAUCが増加した。アポトーシス誘導のEC50は1.5×106IU/mlであった。対照的に、単一培養の細胞は、ハイブリッドrIFNに対してごくわずかな応答しか示さなかった。
【0115】
ハイブリッド組換えインターフェロンはまた細胞数の減少を引き起こした。細胞数のAUC値は、ビヒクルコントロールの39921からハイブリッドrIFNの最高用量では19501に低下した。細胞数の減少について、1.3×106IU/mlのIC50値が測定された。
【0116】
ハイブリッドrIFNによるナチュラルキラー細胞の非常に強力な直接活性化の証拠があり、NK細胞単一培養モデルにおいてハイブリッド組換えインターフェロン処置に応答してNK細胞の細胞クラスタリングが観察された。
【0117】
ハイブリッド2は、Il-17(17AおよびFの両方を非常に強力に阻害する)、Il-6、CCL-5、およびCCl-2を調節し、抗ウイルスNK応答をもたらすことが実証されている。
【0118】
実験4:HIVおよびHRSVに対するインターフェロン-アルファ2a(サンプルA)およびハイブリッド2(サンプルB)の抗ウイルス活性の評価
試験品インターフェロン-アルファ2a(サンプルA)およびハイブリッド2(サンプルB)について、総用量(full-dose)抗ウイルス試験を実施した。これらの試験品は、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)LAI株およびヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)Long株で試験された。すべての試験品は固体で提供され、そこから0.25mg/mL(サンプルA)および0.10mg/mL(サンプルB)がddH2Oで調製され、分注され、凍結融解サイクルの繰り返しを防ぐために-80℃で保存された。
【0119】
このプロジェクトでは、さまざまな接着細胞株を利用して、さまざまなウイルスに対する試験品の抗ウイルス活性を評価した。RVXで実行される標準的なアッセイが、各ウイルスに使用された。簡単に説明すると、試験品は、標的細胞とプレインキュベートするか(HIVアッセイ)、または、HRSVアッセイでは、ウイルスと阻害剤の混合物を細胞に添加する前に、推定阻害剤をウイルスと30分間プレインキュベートした。阻害剤は、感染期間中、細胞培養培地に存在していた(下記参照)。各抗ウイルスアッセイについて、抗ウイルスアッセイで試験したのと同じ濃度の阻害剤を使用して、生存率試験を並行してセットアップした。生存率アッセイを使用して、ウイルスの非存在下における化合物による細胞毒性効果を決定した。細胞生存率は、XTT法によって決定された。生存率アッセイは、対応する抗ウイルスアッセイで評価したのと同じ期間実施された。試験品の9つの濃度(HIV-1)および8つの濃度(HRSV)が、二重で評価された。10μg/mLから始まる10倍連続希釈を評価した。可能であれば、GraphPad Prismソフトウェアを使用して、各アッセイについて阻害剤のIC50値およびCC50値を決定した。
【0120】
HIV-1アッセイ
HIVに対する抗ウイルス活性は、ベータ-ガラクトシダーゼ活性を明らかにするキットにより生成された相対発光を用いて評価された。HIVに対する活性を測定するために、HIV感染によりベータ-ガラクトシダーゼの発現が誘導されるHeLa-CD4-ベータgal細胞を使用した。感染の2日後に感染の程度をモニターした。
【0121】
HRSVアッセイ
Hep-2細胞を用いたHRSVに対する抗ウイルス活性は、ウイルスに感染した細胞におけるウイルス抗原の発現をモニターするイムノアッセイで評価された。異なる濃度のコントロールまたは試験阻害剤の存在下で、細胞をウイルスでチャレンジした。ウイルス抗原のレベルを比色読み出しで定量化することにより、感染の3日後に感染の程度をモニターした。
【0122】
試験品A(インターフェロンアルファ2a)および試験品B(ハイブリッド2)の抗ウイルス活性
全体として、試験品AおよびBは、HIV-LAIおよびHRSV-Longに対して抗ウイルス活性を示した。HIVに対するIC50値は、AおよびBでそれぞれ0.3ng/mLおよび0.009ng/mLであり、HRSVに対するIC50値は、それぞれ0.2ng/mLおよび0.03ng/mLであった(表1)。
【0123】
両方の試験品で処置したHeLa-CD4-beta-gal細胞で、細胞生存率の低下が観察された。最も高い細胞生存率阻害(10μg/mLで観察)は、細胞培養物の30~33%超には影響をせず(
図6、15頁)、抗HIV活性の選択指数はいずれも極めて高い値を示した。注目すべきは、どの阻害剤もHIV感染を完全に阻止するものではなかったことである。培養物の一部(約25%と推定)が阻害剤の活性に感応しなかった可能性がある。しかし、並行して評価されたコントロール阻害剤は、HIV感染を完全にブロックしている。同様のプロファイル(完全阻害の欠如)は、抗HRSVアッセイでも観察されたが、今回は阻害剤が約94%をブロックした。また、完全阻害の欠如のため、GraphPad Prismで生成されたIC50値は、阻害効果の50%が観察される濃度と異なる場合があることに留意することが重要である。
【0124】
HEp-2細胞でも化合物による細胞毒性が観察されたが、試験した最高濃度(10μg/mL)でも細胞生存率の低下は培養物の50%に達することはなかった(
図12、23頁)。HRSVでも優れた選択性指数が観察された。
【0125】
以下に示すように、複数の抗ウイルス阻害剤をコントロールとして使用し、試験品AおよびBと並行して実施した。研究に含まれる阻害剤コントロールは、HIVのヌクレオチド逆転写酵素阻害剤であるTAF(テノホビルアラフェナミド)、HIVの侵入をブロックする融合阻害剤ペプチドであるT20(エンフビルチド(enfuvirtide))、およびHRSVに対するものを含む幅広い抗ウイルス活性を有するグアノシン類似体であるリバビリンであった。すべての阻害剤が予想通りにそれぞれの標的ウイルスをブロックし、本研究で使用したアッセイの感度を検証した。
【0126】
阻害剤とクオリティコントロール
感染性アッセイのクオリティコントロールをすべてのプレートで実施し、i)シグナル対バックグラウンド(S/B)値、ii)既知の阻害剤による阻害、およびiii)すべてのレプリケート試験品データポイントの変動係数(C.V.)によって測定されるアッセイの変動を決定した。すべてのコントロールは、各アッセイで予想どおりに機能した。既知のHIV用抗ウイルス剤(TAFおよびT20)は、試験したいくつかの濃度で99%超の感染をブロックし、総用量反応曲線で評価すると、文献で報告されているようにウイルスの複製をブロックした。HRSVアッセイで使用した抗ウイルスコントロールである広域抗ウイルス薬剤リバビリンは、50μMで99%超の感染をブロックした。XTT細胞毒性アッセイで使用した生存率コントロール(エメチン)は、試験したすべての細胞タイプで85%超の阻害を示した。感染アッセイの全体的な変動は4.4%(HIV)および4.9%(HRSV)であり、生存率アッセイの全体的な変動は3.7%(HIV)および4.6%(HRSV)であった。感染アッセイにおけるシグナル対バックグラウンド(S/B)は、HIVアッセイでは366倍、HRSVアッセイでは3.4倍であった。生存率アッセイのシグナル対バックグラウンド(S/B)は、両方のアッセイで10倍であった。
【0127】
【0128】
1.シグナル対バックグラウンドレベルは、感染性アッセイにおいて、ビヒクルのみの存在下で感染した細胞のシグナルを、非感染細胞(「モック感染」)のシグナルで割ることによって算出した。細胞毒性アッセイのシグナル対バックグラウンドレベルは、ビヒクルのみ(培地のみ)の存在下における細胞のシグナルを、細胞を含まないウェル(「細胞なし」)のシグナルで割ることによって算出した。
2.アッセイのC.V.は、すべてのレプリケート試験品データポイントについて決定されたC.V.値の平均として算出する。
3.選択性指数(S.I.)は、CC50値をIC50値で割ることによって算出する。
【0129】
表1.結果のまとめ。IC50(感染性)、CC50(細胞生存率)、および選択性指数(S.I.)の値が、各ウイルスと各試験品について示されている。シグナル対バックグラウンド比(S/B)やすべてのレプリケート試験品データポイントの平均変動係数(C.V.)など、各アッセイのクオリティコントロールも示されている。試験した最高濃度で阻害の程度が50%に達しなかったアッセイの生存率(CC50)および感染性(IC50)の値は、>10μg/mL(生存率または感染性)として示されている。場合によっては、既知の抗ウイルスコントロールを総用量反応曲線と並行して評価し、得られたIC50値およびCC50値を示している。
【0130】
実験手順-β-ガラクトシダーゼ読み出しによる抗ウイルスアッセイ
HIV-1感染性アッセイ
感染性アッセイは、試験品の存在下または非存在下で、HeLa-CD4-βgal細胞をHIV-1 LAIでチャレンジすることによって実施した。HeLa-CD4-βgal細胞は、HIV-1 LTRプロモーターの制御下でベータ-ガラクトシダーゼを発現する。HIVに感染し、ウイルスのTatタンパク質を発現すると、ベータ-ガラクトシダーゼの発現が誘導される。HeLa-CD4-βgal細胞を、白色のTC処理96ウェル平底プレートにウェルあたり12,000細胞で播種し、10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したDMEM(以下、DMEM10と称する)で維持した。試験品は、DMEM10を使用してU底プレートで10倍に希釈した。試験物質の希釈液は、最終濃度の1.25倍で調製した。細胞を1.25倍希釈した試験物質とともに37℃、5%CO2で30分間インキュベートした(1ウェルあたり80μL)。試験物質のプレインキュベーションに続いて、DMEM10で調製したHIV-LAIウイルスを細胞に添加し(ウェルあたり20μL)、プレートを5%CO2の加湿インキュベーターにて37℃で48時間インキュベートした。各ウェルには100μLの最終容量が含まれていた。アッセイで使用するウイルスの量は、既知のHIV-1阻害剤であるTAFおよびT20によって阻害される線形範囲でシグナルを生成するように予め決定されていた。感染は重複反応で行った。感染の2日後、Galacton-Star(登録商標)キット(ThermoFisher社)を使用して細胞をベータ-ガラクトシダーゼ活性についてモニターした。Galacto-Star試験は、哺乳動物細胞ライセート中のベータ-ガラクトシダーゼを検出する感度の高い化学発光アッセイである。発光は、1秒の読み出しで測定された。0.0001ng/mL~10μg/mLの範囲で、試験品の連続10倍希釈液の複製からの9つのデータポイントが評価された。コントロールには、ウイルスなしでインキュベートした細胞(「モック感染」)、ビヒクルのみ(DMEM10)で感染およびインキュベートした細胞、またはTAFとT20(HIV感染の既知の阻害剤)の存在下で、20μMから始まる総用量反応(単一データポイント)または0.5μMで感染させた細胞が含まれていた。
【0131】
HIV-1感染性アッセイのクオリティコントロール(QC)
アッセイにおける平均S/Bは366(バックグラウンドは「モック感染」細胞を用いて決定したバックグラウンド)であったが、すべてのデータポイントの平均変動は4.4%(C.V.値)および3.6%(50%を超える感染を示すすべてのウェルのC.V.値)であった。ウイルスの非存在下におけるモック感染細胞で観察されたバックグラウンドレベルは、すべてのサンプルから差し引かれた。このアッセイで使用したコントロール抗ウイルス剤(TAF 0.5μMおよびT-20 0.5μM)は、感染をほぼ100%ブロックした。
【0132】
実験手順 - 抗ウイルスアッセイ(免疫染色手順)
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)に対する抗ウイルス活性を決定するために、免疫染色アッセイを用いて感染の程度をモニターした。このタイプのアッセイでは、感染細胞を固定した後、抗RSV抗体のカクテルを用いて、比色読み出しでウイルス抗原の量を定量化する。
【0133】
HRSV感染性アッセイ
HRSV感染性アッセイでは、HRSVのLong株を用いて、HEp-2細胞(ヒト子宮頸部上皮腺癌)に感染させた。細胞は、播種手順のために10%ウシ胎児血清(FBS)を含むMEM中で維持した。感染の前日、細胞を12,000細胞/ウェルで96ウェル透明平底プレートに播種し、37℃で24時間インキュベートした。感染当日、2%ウシ胎児血清(FBS)を含むMEM(以下、MEM2と称する。)を用いて、試験品をU底プレートで連続希釈(10倍)した。希釈液は、最終濃度の2倍で調製した。MEM2で希釈した等量(30μL)のLongウイルスを、30μLの2倍濃縮の試験品と共に室温で30分間インキュベートした。アッセイで使用するウイルスの量は、ウイルスRNA合成とウイルスmRNAキャッピングをブロックするヌクレオシド類似体に代謝されるプロドラッグであるリバビリンによって阻害される線形範囲でシグナルを生成するように予め決定されていた。30分間のプレインキュベーション後、細胞をMEM2で洗浄し、50μLのウイルス/サンプル混合物を細胞に加え、プレートを5%CO2の加湿インキュベーターにて37℃で1時間インキュベートした。ウイルスの侵入を可能にした後、MEM2中の対応する試験品またはコントロール阻害剤の追加量を各ウェルに加えた。インキュベーションは、5%CO2の加湿インキュベーターにて37℃で3日間行った。
【0134】
MEM2による連続10倍希釈を用いて、試験品を二重に評価した。コントロールには、ウイルスなしでインキュベートした細胞(「モック感染」)、ビヒクルのみで感染およびインキュベートした細胞(MEM2)、および50μMのリバビリン(広域スペクトル抗ウイルス剤)の存在下で感染した細胞が含まれていた。感染の3日後、感染レベルを定量化するために、さまざまな抗HRSV抗体のカクテルを使用した免疫染色プロトコルで細胞を染色した。次に、細胞を洗浄して固定し、ウイルス抗原の量を、いくつかのウイルス抗原に対するマウスモノクローナル抗体のカクテルを利用したHRSV特異的免疫染色アッセイで推定した。アッセイのバックグラウンドレベルを決定するために、ビヒクルのみの存在下でウイルスとインキュベートした細胞、コントロール阻害剤であるリバビリンの存在下でウイルスとインキュベートした細胞、またはウイルスの非存在下でインキュベートした細胞(「モック感染」コントロール)を含む、一連のコントロールを各96ウェルプレートで実行した。ビヒクルのみと比較した活性パーセントを算出する前に、すべてのデータポイントからバックグラウンドを差し引いた。
【0135】
HRSV感染性アッセイのクオリティコントロール(QC)
感染性は、490nmの吸光度をモニターすることによって決定した。アッセイにおけるシグナル対バックグラウンド比(S/B)は3.4であり、MEM2のみで処置した感染細胞のパーセンテージと、「モック感染」細胞のパーセンテージを比較したものとして決定された。すべての反復試験品データポイントの平均変動は4.9%(すべてのC.V.値の平均)、および6.3%(50%を超える感染を示すすべての試験品ウェルのC.V.値)であった。
【0136】
実験手順-細胞毒性アッセイ
化合物による細胞毒性を評価するための生存率アッセイ(XTT)
非感染細胞を、感染性アッセイで使用した濃度よりも1用量高い試験品濃度を使用して、試験品またはコントロールの生存率阻害剤希釈液とインキュベートした。インキュベーション温度とインキュベーション期間は、対応する感染性アッセイの条件を反映させた。細胞生存率はXTT法で評価した。テトラゾリウム塩(XTT)は、活性なミトコンドリアを有する生存細胞でのみ発生する反応を通じて、オレンジ色のホルマザン色素に切断される。ホルマザン色素は、走査マルチウェル分光光度計を使用して直接定量化される。細胞なしのウェルから得られたバックグラウンドレベルは、すべてのデータポイントから差し引かれた。490nmで吸光度を測定することにより、生存率をモニターした。
【0137】
細胞毒性データのクオリティコントロール(QC)および分析
細胞を含まないウェルで得られた平均シグナルをすべてのサンプルから差し引いた。読み出し値は、ビヒクルのみ(培地のみ)で処置した非感染細胞で観察された平均シグナルのパーセンテージとして与えられた。得られたシグナル対バックグラウンド(S/B)は、10.2(48時間インキュベートしたHeLa-CD4-βgal細胞)、10.4(3日間インキュベートしたHEp-2細胞)であった。エメチンは、生存率アッセイにおいて細胞毒性化合物コントロールとして使用され、1μMで90%超の細胞生存率を阻害した。
【0138】
結果-ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)抗ウイルス活性
【0139】
【0140】
表2.HIV-1 LAI感染性アッセイ(RLU)。個々のβ-ガラクトシダーゼ発光RLU値が、評価された各データポイントについて示されている。「モック」と示されたものを除いて、すべてのサンプルが感染した。TAFおよびT20で処置したサンプルも示されている。さまざまな濃度のTAFおよびT20も評価した。試験品の濃度はナノグラム/ミリリットルで示され、コントロール抗ウイルス剤はμMで示されている。
【0141】
図10Aは、サンプルA(インターフェロン-アルファ2a)およびサンプルB(ハイブリッド2)ならびにコントロール阻害剤(RLU)によるHIV-1 LAI感染性を示す。データは、ビヒクル単独またはさまざまな濃度の試験品の存在下で感染させたHeLa-CD4-βgal細胞を含むウェルにおける相対発光単位(RLU)値として示されている(重複の平均と標準偏差)。非感染細胞は「モック」として表示される。TAFおよびT20は、抗ウイルスコントロールとして含まれている(総用量反応における単一データポイント、または0.5μMにおける重複データポイントの平均)。
【0142】
【0143】
表3.HIV-1 LAI感染性アッセイ(ビヒクルに対するパーセンテージ)。データは、ビヒクルのみ(DMEM10)で処置したウェルから得られた値のパーセンテージとして、(ベータ-ガラクトシダーゼ発光によって測定される)HIV感染のパーセンテージを表す。各プレートの非感染細胞から得られた平均値が、ビヒクルのみに正規化する前に、すべての生の値(raw values)から差し引かれた。試験品とビヒクルについて、それぞれ2重レプリケートまたは6重レプリケートの平均とその標準偏差が示されている。TAFおよびT20の用量反応曲線については単一データポイントを、0.5μM濃度については重複データポイントを示している。
【0144】
図10Bは、HIV-1 LAI感染性アッセイを示す(パーセンテージ値)。結果は、48時間でのベータ-ガラクトシダーゼアッセイ(発光読み出し)によって決定されたHIV-1 LAI感染の程度を示す。データは、試験品の非存在下(ビヒクルのみ)における細胞で観察された活性に対して正規化されている。試験品の結果は、二重データポイントの平均および標準偏差(s.d.)を示す。また、TAFおよびT20で観察された用量反応(単一データポイント)も含まれている。
【0145】
図11Aおよび
図11Bは、サンプルA(
図11A)およびサンプルB(
図11B)のHIV-1感染性についてのIC50値の決定を示す。値は、ビヒクルのみでインキュベートしたサンプルと比較したHIV感染性のパーセンテージを示す。結果は、重複データポイントの平均と標準偏差(s.d.)を示す。データはシグモイド関数に調整され、IC50値はGraphPad Prismソフトウェアを用いて、傾きが可変の用量反応曲線(4パラメーター)にフィッティングさせて算出した。IC50値を表1にまとめる。
【0146】
図12Aおよび
図12Bは、コントロール抗ウイルス剤のHIV-1感染性についてのIC50値の決定を示す。値は、ビヒクルのみでインキュベートしたサンプルと比較したHIV-1感染性のパーセンテージを示す。結果は、コントロール抗ウイルス剤の単一データポイントを示す。データはシグモイド関数に調整され、IC50値はGraphPad Prismソフトウェアを用いて、傾きが可変の用量反応曲線(4パラメーター)にフィッティングさせて算出した。IC50値を表1にまとめる。
【0147】
結果-ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)に対する細胞毒性アッセイ
【0148】
【0149】
表4.XTTアッセイによって決定された、試験品の存在下におけるHeLa-CD4-βgal細胞の生存率(A490)。HeLa-CD4-βgal細胞を、さまざまな濃度の試験品の存在下で、またはビヒクルのみ(培地のみ)とともにインキュベートした。各データポイントについて、個々の生データを表示する(490nmの吸光度値)。下の表は、コントロールサンプルの生データ値を示す。
【0150】
【0151】
表5.XTTアッセイにおけるHeLa-CD4-βgal細胞の生存率(パーセント値)。データは、48時間後にビヒクル(培地のみ)で処置した非感染HeLa-CD4-ベータ-gal細胞から得られた値のパーセンテージとして生存率を表す。バックグラウンドウェルから得られた平均値は、ビヒクルに正規化する前にすべての生の値(raw values)から差し引かれた。データは、該当する場合、重複の平均および標準偏差を表す。
【0152】
図13は、HeLa-CD4-βgal細胞を用いた生存率アッセイを示す(パーセント値)。結果は、48時間インキュベートしたHeLa-CD4-ベータ-gal細胞における化合物による細胞毒性の程度を示しており、生存率のXTT読み出し(吸光度490nm読み出し)によって決定される。データは、試験品の非存在下でビヒクルのみ(培地のみ)における細胞で観察された値に正規化されている。結果は、試験品についての重複データポイントの平均および標準偏差(s.d)を示す。TAFおよびT20で観察された用量反応も含まれている(単一データポイント)。
【0153】
図14Aおよび
図14Bは、HeLa-CD4-βgal細胞におけるサンプルA(
図14A)およびサンプルB(
図14B)についてのCC50値の決定を示す(パーセント値)。結果は、48時間インキュベートしたHeLa-CD4-ベータ-gal細胞における試験品による細胞毒性の程度を示しており、生存率のXTT読み出し(吸光度490nm読み出し)によって決定される。値は、ビヒクルのみ(培地のみ)でインキュベートしたサンプルで観察された生存率に対するパーセンテージとして推定される%生存率を示す。結果は、重複データポイントの平均を示す。データはシグモイド関数に調整され、CC50値はGraphPad Prismソフトウェアを用いて、傾きが可変の用量反応曲線(4パラメーター)にフィッティングさせて算出した。生存率が50%に達しなかった場合、報告されたCC50値は10μg/mL超であった。CC50値を表1に示す。
【0154】
図15Aおよび
図15Bは、HeLa-CD4-βgal細胞を用いたコントロール抗ウイルス剤についてのCC50値の決定を示す(パーセント値)。結果は、48時間インキュベートしたHeLa-CD4-ベータ-gal細胞における試験品による細胞毒性の程度を示しており、生存率のXTT読み出し(吸光度490nm読み出し)によって決定される。値は、ビヒクルのみ(培地のみ)でインキュベートしたサンプルで観察された生存率に対するパーセンテージとして推定される%生存率を示す。結果は単一データポイントを示す。データはシグモイド関数に調整され、CC50値はGraphPad Prismソフトウェアを用いて、傾きが可変の用量反応曲線(4パラメーター)にフィッティングさせて算出した。生存率が50%に達しなかった場合、報告されたCC50値は20μM超であった。CC50値を表1に示す。
【0155】
結果-ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)抗ウイルス活性
【0156】
【0157】
表6.HRSV感染性アッセイ(A490)。個々の生存率の値(490nmで測定された吸光度によって定量化)が、各テスト条件について示されている。感染細胞は、吸光度レベルの上昇を示す。各試験品濃度について、A490の値が重複して示されている。「モック」と示されたものを除いて、すべてのサンプルが感染した。リバビリン(Rib)50μMで処置したサンプルも示されている。試験品の濃度はナノグラム/ミリリットルで示され、RibはμMで示されている
【0158】
図16は、試験品によるHRSV阻害を示す(A490)。データは、ビヒクルのみまたはさまざまな濃度の試験品の存在下で感染したHEp-2細胞を含むウェルのA490値として示される(重複の平均と標準偏差)。非感染細胞は「モック」として表示される。バックグラウンドレベルは、細胞を含まないウェル(「細胞なし」)で示されている。Rib 50μMは、コントロール抗ウイルス剤として示されている。
【0159】
【0160】
表7.HRSV感染性アッセイ(パーセント値)。データは、ビヒクルのみ(培地のみ)で処置した感染ウェルから得られた値のパーセンテージとして感染性を表す。「モック」と示されたものを除いて、以下に示すすべてのサンプルが感染した。一部のサンプルは、コントロール抗ウイルス剤であるリバビリン(Rib 50μM)で処置されている。試験品の濃度はナノグラム/ミリリットルで示され、抗ウイルス剤の濃度はμMで示される。試験品について表示されたデータは、重複の平均および標準偏差を表す。非感染細胞(「モック」)と「ビヒクル」については、平均および標準偏差はそれぞれ4回の複製から得られた。
【0161】
図17は、HRSV感染性アッセイを示す(パーセンテージ値)。結果は、72時間後の感染性について490nmでの免疫染色の読み出しによって、HRSV感染の程度を示している。データは、試験品の非存在下(ビヒクルのみ)における細胞で観察された活性に対して正規化されている。試験品の結果は、重複データポイントの平均と標準偏差を示す。
【0162】
図18Aおよび
図18Bは、HRSV感染性におけるサンプルA(
図18A)およびサンプルB(
図18B)についてのIC50値の決定を示す(パーセント値)。結果は、ビヒクルのみ(培地のみ)でインキュベートしたサンプルと比較した、72時間でのHRSV感染の程度を示す。結果は、重複データポイントの平均を示す。可能な場合、データはシグモイド関数に調整され、IC50値はGraphPad Prismソフトウェアを用いて、傾きが可変の用量反応曲線(4パラメーター)にフィッティングさせて算出した。IC50値を表1にまとめる。
【0163】
結果-ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)に対する細胞毒性アッセイ
【0164】
【0165】
表8.XTTアッセイによって決定される、試験品の存在下におけるHEp-2細胞の生存率(A490)。HEp-2細胞は、さまざまな濃度の試験品の存在下で、またはビヒクルのみ(培地のみ)とともにインキュベートされた。各試験品について重複データポイントが表示されている。個々の生データが表示されている(490nmの吸光度値)。下の表は、コントロールサンプルの生データ値を示す。
【0166】
【0167】
表9.XTTアッセイにおけるHEp-2の生存率(パーセント値)。データは、72時間後にビヒクル(培地のみ)で処置した非感染HEp-2細胞から得られた値のパーセンテージとして生存率を表す。バックグラウンドウェルから得られた平均値は、ビヒクルに正規化する前にすべての生の値(raw values)から差し引かれた。試験品について、重複の平均とその標準偏差を示す。ビヒクル(培地のみ)の場合、平均および標準偏差は6回の複製から導出された。
【0168】
図19Aおよび
図19Bは、HEp-2細胞を用いたサンプルA(
図19A)およびサンプルB(
図19B)についてのCC50値の決定(パーセント値)を示す。結果は、72時間インキュベートしたHEp-2細胞における試験品による細胞毒性の程度を示しており、生存率のXTT読み出し(吸光度490nm読み出し)によって決定される。値は、ビヒクルのみ(培地のみ)でインキュベートしたサンプルで観察された生存率に対するパーセンテージとして推定される%生存率を示す。データは、各試験品の重複データポイントを表す。データはシグモイド関数に調整され、CC50値はGraphPad Prismソフトウェアを用いて、傾きが可変の用量反応曲線(4パラメーター)にフィッティングさせて算出した。細胞生存率の低下が50%に達しなかった場合、報告されたCC50値は10μM超として示された。CC50値も表1に示す。
【0169】
実験5:HIVに対するインターフェロン-アルファ14(サンプルA)、ハイブリッド2(サンプルB)およびインターフェロン-ベータ1a(サンプルC)の抗ウイルス活性の評価
試験品であるインターフェロン-アルファ1(サンプルA)、ハイブリッド2(サンプルB)、およびインターフェロン-ベータ1a(サンプルC)について、総用量(Full-dose)抗ウイルス試験を実施した。これらの試験品は、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)LAI株で試験された。すべての試験品は固体で提供され、そこから0.25mg/mL(サンプルA)、1.0mg/mL(サンプルB)、および0.02mg/mL(サンプルC)をddH2Oで調製し、分注し、そして凍結融解サイクルの繰り返しを防ぐために-80℃で保存した。
【0170】
HIV抗ウイルスアッセイは、HeLa-CD4-βgal細胞を利用してHIV-1感染の阻害を評価する。HIVに感染すると、ベータ-ガラクトシダーゼの発現が誘導される。HeLa-CD4-βgal細胞を、異なる濃度の試験品の存在下でHIV LAIに感染させた。HIV LAIウイルスストックは、プロウイルスDNAを293T細胞にトランスフェクトすることによって生成され、48時間後に収集され、感染まで凍結された。このプロジェクトでは、HIV LAIウイルスを細胞に添加する前に、試験品を標的細胞と37℃で30分間プレインキュベートした。阻害剤は、感染期間中、細胞培養培地中に存在していた。HeLa-CD4-βgal細胞の感染の程度は、ベータ-ガラクトシダーゼ活性を評価し、値をビヒクルのみ(組織培養培地)で処置した細胞と比較することにより、48時間後にモニターした。
【0171】
生存率試験は、抗ウイルスアッセイで評価したものと同じ濃度の試験品を用いて並行して設定された。生存率アッセイを使用して、ウイルスの非存在下における試験品による細胞毒性効果を決定した。細胞生存率は、XTT法によって決定した。生存率アッセイは、抗ウイルスアッセイで評価した期間と同じ期間で実施した。
【0172】
試験品の9つの濃度が、重複して評価された。10μg/mLから始まる10倍連続希釈を評価した。可能であれば、GraphPad Prismソフトウェアを用いて、各アッセイについて阻害剤のIC50値およびCC50値を決定した。
【0173】
試験品A(インターフェロン-アルファ14)、試験品B(ハイブリッド2)および試験品C(インターフェロン-ベータ1a)の抗ウイルス活性
すべての試験品A、BおよびCは、HIV-LAIに対する抗ウイルス活性を示した。GraphPadソフトウェアで生成されたIC50値は、A、BおよびCについて、それぞれ、0.04ng/mL、0.03ng/mLおよび113.1ng/mLであった(表1)。試験品AおよびBはHIV感染性を完全にブロックするわけではなく、試験した最高濃度(10μg/mL)でも感染シグナルの約25%が観察された。この理由は不明であるが、培養物の一部が試験品AおよびBの活性に感応しない可能性がある。並行して評価したコントロール阻害剤T-20(エンフビルチド(enfuvirtide))は、細胞生存率の低下を最小限に抑えつつHIV感染を完全にブロックした。T-20は、HIVの侵入をブロックする融合阻害ペプチドである。
【0174】
試験品AおよびBについて観察された阻害プロファイルは、HIV感染性の50%阻害をもたらす濃度とは異なるIC50値につながる可能性があることに注意することが重要である。GraphPad Prismによって生成された値は、50%阻害を達成する濃度よりも低かった。
【0175】
試験品CでHeLa-CD4-ベータ-gal細胞を処置すると、試験した最高濃度(10μg/mL)で細胞生存率がわずかに低下した(~25%)(
図6、11頁)。細胞毒性の用量依存的な傾向は、試験品Aでも観察された。抗HIV活性の選択性指数は、試験品Cと比較して、試験品AおよびBで有意に高かった。
【0176】
コントロール阻害剤とクオリティコントロール
感染性アッセイのクオリティコントロールをすべてのプレートで実施し、i)シグナル対バックグラウンド(S/B)値、ii)既知の阻害剤による阻害、およびiii)すべてのレプリケート試験品データポイントの変動係数(C.V.)によって測定されるアッセイの変動を決定した。すべてのコントロールは、各アッセイで予想どおりに機能した。既知のHIV用抗ウイルス剤(T20)は、0.5μMで99%超の感染をブロックし、XTT細胞毒性アッセイで使用した生存率コントロール(エメチンおよび10%DMSO)は95%超の細胞生存率を阻害した。感染アッセイの全体的な変動は5.7%であり、生存率アッセイの全体的な変動は6.2%であった。感染アッセイにおけるシグナル対バックグラウンド(S/B)は255倍、生存率アッセイにおけるシグナル対バックグラウンド(S/B)は7.8倍であった。
【0177】
【0178】
1.シグナル対バックグラウンドレベルは、感染性アッセイにおいて、ビヒクルのみの存在下で感染した細胞のシグナルを、非感染細胞(「モック感染」)のシグナルで割ることによって算出した。細胞毒性アッセイのシグナル対バックグラウンドレベルは、ビヒクルのみ(培地のみ)の存在下における細胞のシグナルを、細胞を含まないウェル(「細胞なし」)のシグナルで割ることによって算出した。
2.アッセイのC.V.は、すべてのレプリケート試験品データポイントについて決定されたC.V.値の平均として算出する。
3.選択性指数(S.I.)は、CC50値をIC50値で割ることによって算出する。
【0179】
表9.結果のまとめ。IC50(感染性)、CC50(生存率)、および選択性指数(S.I.)の値が、各試験品について示されている。シグナル対バックグラウンド比(S/B)やすべてのレプリケート試験品データポイントの平均変動係数(C.V.)など、各アッセイのクオリティコントロールも示されている。試験した最高濃度で阻害の程度が50%に達しなかったアッセイの生存率(CC50)の値は、>10μg/mLとして示されている。
【0180】
実験手順-β-ガラクトシダーゼ読み出しによる抗ウイルスアッセイ
HIV-1感染性アッセイ
感染性アッセイは、試験品の存在下または非存在下で、HeLa-CD4-βgal細胞をHIV-1 LAIでチャレンジすることによって実施した。HeLa-CD4-βgal細胞は、HIV-1 LTRプロモーターの制御下でベータ-ガラクトシダーゼを発現する。HIVに感染し、ウイルスのTatタンパク質を発現すると、ベータ-ガラクトシダーゼの発現が誘導される。HeLa-CD4-βgal細胞を、白色のTC処理96ウェル平底プレートにウェルあたり12,000細胞で播種し、10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したDMEM(以下、DMEM10と称する)で維持した。試験品は、DMEM10を使用してU底プレートで10倍に希釈した。試験物質の希釈液は、最終濃度の1.25倍で調製した。細胞を1.25倍希釈した試験物質とともに37℃、5%CO2で30分間インキュベートした(1ウェルあたり80μL)。試験物質のプレインキュベーションに続いて、DMEM10で調製したHIV-LAIウイルスを細胞に添加し(ウェルあたり20μL)、プレートを5%CO2の加湿インキュベーターにて37℃で48時間インキュベートした。各ウェルには100μLの最終容量が含まれていた。アッセイで使用するウイルスの量は、既知のHIV-1阻害剤であるTAF(テノホビルアラフェナミド)およびT20(エンフビルチド)によって阻害される線形範囲でシグナルを生成するように予め決定されていた。感染は重複反応で行った。感染の2日後、Galacton-Star(登録商標)キット(ThermoFisher社)を使用して細胞をベータ-ガラクトシダーゼ活性についてモニターした。Galacto-Star試験は、哺乳動物細胞ライセート中のベータ-ガラクトシダーゼを検出する感度の高い化学発光アッセイである。発光は、1秒の読み出しで測定された。
【0181】
0.0001ng/mL~10μg/mLの範囲で、試験品の連続10倍希釈液の複製からの9つのデータポイントが評価された。コントロールには、ウイルスなしでインキュベートした細胞(「モック感染」)、ビヒクルのみ(DMEM10)で感染およびインキュベートした細胞、または0.5μMのT20(HIV感染の既知の阻害剤)の存在下で感染した細胞が含まれていた。
【0182】
HIV感染性アッセイのクオリティコントロール(QC)
アッセイの平均S/Bは255(「モック感染」細胞で決定されたバックグラウンド)であったが、すべてのデータポイントの平均変動は5.7%(C.V.値)および5.8%(50%超の感染を示すすべてのウェルについてのC.V.値)であった。ウイルスの非存在下におけるモック感染細胞で観察されたバックグラウンドレベルが、すべてのサンプルから差し引かれた。このアッセイで使用したコントロール抗ウイルス剤(0.5μMのT-20)は、感染をほぼ100%ブロックした。
【0183】
実験手順-細胞毒性アッセイ
試験品による細胞毒性を評価するための生存率アッセイ(XTT)
非感染細胞を、感染性アッセイで使用したものと同じ試験品濃度を使用して、試験品またはコントロール生存率阻害剤の希釈液とともにインキュベートした。インキュベーション温度とインキュベーション期間は、対応する感染性アッセイの条件を反映させた。細胞生存率はXTT法で評価した。テトラゾリウム塩(XTT)は、活性なミトコンドリアを有する生存細胞でのみ発生する反応を通じて、オレンジ色のホルマザン色素に切断される。ホルマザン色素は、走査マルチウェル分光光度計を使用して直接定量化される。細胞なしのウェルから得られたバックグラウンドレベルは、すべてのデータポイントから差し引かれた。490nmで吸光度を測定することにより、生存率をモニターした。
【0184】
細胞毒性データのクオリティコントロールおよび分析
細胞なしのウェルで得られた平均シグナルをすべてのサンプルから差し引いた。読み出し値は、ビヒクルのみ(培地のみ)で処置した非感染細胞で観察された平均シグナルのパーセンテージとして与えられた。得られたシグナル対バックグラウンド(S/B)は7.8であった。エメチン(10μM)および10%DMSOが生存率アッセイの細胞毒性コントロールとして使用され、95%超の細胞生存率を阻害した。
【0185】
結果-ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)抗ウイルス活性
【0186】
【0187】
表10.HIV-1 LAI感染性アッセイ(RLU)。個々のβ-ガラクトシダーゼ発光RLU値が、評価された各データポイントについて示されている。「モック」と示されたものを除いて、すべてのサンプルが感染した。T20(0.5μM)で処置されたサンプルも示されている。試験品の濃度はナノグラム/ミリリットルで示され、コントロール抗ウイルス剤はμMで示されている。
【0188】
図20は、試験品のインターフェロン-アルファ1(サンプルA)、ハイブリッド2(サンプルB)およびインターフェロン-ベータ1a(サンプルC)ならびにコントロール阻害剤(RLU)によるHIV-1 LAI感染性を示す。データは、ビヒクルのみまたはさまざまな濃度の試験品の存在下で感染させたHeLa-CD4-βgal細胞を含むウェルにおける相対発光単位(RLU)値として示されている(重複の平均と標準偏差)。非感染細胞は「モック」として表示される。T20は、抗ウイルスコントロールとして含まれている(0.5μMでの重複データポイントの平均)。
【0189】
【0190】
表11.HIV-1 LAI感染性アッセイ(ビヒクルに対するパーセンテージ)。データは、ビヒクルのみ(DMEM10)で処置したウェルから得られた値のパーセンテージとして、(ベータ-ガラクトシダーゼ発光によって測定される)HIV感染のパーセンテージを表す。各プレートの非感染細胞から得られた平均値が、ビヒクルのみに正規化する前に、すべての生の値(raw values)から差し引かれた。試験品とビヒクルについて、それぞれ2重レプリケートまたは8重レプリケートの平均とその標準偏差が示されている。T20コントロール(0.5μM)は重複データポイントとして表示されている。
【0191】
図21は、HIV-1 LAI感染性アッセイを示す(パーセンテージ値)。結果は、48時間でのベータ-ガラクトシダーゼアッセイ(発光読み出し)によって決定されたHIV-1 LAI感染の程度を示す。データは、試験品の非存在下(ビヒクルのみ)における細胞で観察された活性に対して正規化されている。試験品およびコントロール抗ウイルス剤の結果は、二重データポイントの平均および標準偏差(s.d.)を示し、ビヒクルは8つのレプリケートの平均およびs.d.を示す。
【0192】
図22A(インターフェロン-アルファ14)、
図22B(ハイブリッド2)および
図22C(インターフェロン-ベータ1a)は、HIV-1感染性のIC50値の決定を示す。値は、ビヒクルのみでインキュベートしたサンプルと比較したHIV感染性のパーセンテージを示す。結果は、二重データポイントの平均および標準偏差(s.d.)を示す。データはシグモイド関数に調整され、IC50値はGraphPad Prismソフトウェアを用いて、傾きが可変の用量反応曲線(4パラメーター)にフィッティングさせて算出した。IC50値を表10にまとめる。
【0193】
結果-ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)アッセイの細胞毒性
【0194】
【0195】
表12.XTTアッセイによって決定される、試験品の存在下におけるHeLa-CD4-βgal細胞の生存率(A490)。HeLa-CD4-βgal細胞は、さまざまな濃度の試験品の存在下で、またはビヒクルのみ(培地のみ)とともにインキュベートされた。各データポイントについて、個々の生データが表示されている(490nmの吸光度値)。下の表は、コントロールサンプルの生データ値を示す。
【0196】
【0197】
表13.XTTアッセイにおけるHeLa-CD4-βgal細胞の生存率(パーセント値)。データは、48時間後にビヒクル(培地のみ)で処置した非感染HeLa-CD4-ベータ-gal細胞から得られた値のパーセンテージとして生存率を表す。バックグラウンドウェルから得られた平均値が、ビヒクルに正規化する前にすべての生の値(raw values)から差し引かれた。データは、該当する場合、重複の平均および標準偏差を表す。
【0198】
図23は、HeLa-CD4-βgal細胞を用いた生存率アッセイを示す(パーセント値)。結果は、48時間インキュベートしたHeLa-CD4-ベータ-gal細胞における化合物による細胞毒性の程度を示しており、生存率のXTT読み出し(吸光度490nm読み出し)によって決定される。データは、試験品の非存在下でビヒクルのみ(培地のみ)における細胞で観察された値に正規化されている。結果は、試験品ならびにコントロールのT20(0.5μM)、エメチン10μMおよび10%DMSOについての重複データポイントの平均および標準偏差(s.d)を示す。
【0199】
図24は、HeLa-CD4-βgal細胞における、サンプルA(
図24A)、サンプルB(
図24B)およびサンプルC(
図24C)についてのCC50値の決定を示す(パーセント値)。結果は、48時間インキュベートしたHeLa-CD4-ベータ-gal細胞における試験品による細胞毒性の程度を示しており、生存率のXTT読み出し(吸光度490nm読み出し)によって決定される。値は、ビヒクルのみ(培地のみ)でインキュベートしたサンプルで観察された生存率に対するパーセンテージとして推定される%生存率を示す。結果は重複データポイントの平均を示す。データはシグモイド関数に調整され、CC50値はGraphPad Prismソフトウェアを用いて、傾きが可変の用量反応曲線(4パラメーター)にフィッティングさせて算出した。生存率が50%に達しなかった場合、報告されたCC50値は、試験した最高濃度である10μg/mLよりも高かった。CC50値を表10に示す。
【0200】
実験6:単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)に対するインターフェロンアルファハイブリッドの効果
ハイブリッドインターフェロンによる初代ヒトケラチノサイトの処置がHSV1感染を低下させるかどうかを決定するために実験を行った。使用したインターフェロンは、ハイブリッド1、ハイブリッド2、インターフェロンアルファ-14、インターフェロンアルファ-2a、およびインターフェロンベータ-1aでした。
【0201】
図25は、ハイブリッド1、ハイブリッド2、インターフェロンアルファ-14、インターフェロンアルファ-2aおよびインターフェロンベータ-1aで処置したときのベロ細胞における単純ヘルペスウイルス1型の組織培養感染用量(TCID)を示す。
【0202】
図26は、プラーク形成単位(PFU)に変換されたTCIDの中央値を示す。
【0203】
材料および方法
1.凍結ストックからのベロ細胞の増殖(1)
2.凍結ストックからの初代成人ヒト表皮ケラチノサイト(HEKa細胞)の増殖
3.HSV1によるHEKa細胞の感染
4.インターフェロンの投与
5.細胞上清のプラークアッセイ(2)
6.FACS、ICC、RT-qPCRのための感染したHEKa細胞の処理
7.ベロ細胞の凍結
8.ケラチノサイトの凍結
【0204】
凍結ストックからのベロ細胞の増殖
材料:
アフリカミドリザル腎臓ベロ細胞(Merck 84113001-1VL;ATCC CCL-81)、細胞培養インキュベーター(37℃、95%空気、5%CO2)、1×PBS(カルシウムまたはマグネシウムなし)(Sigma D8537)、トリプシン-EDTA(0.25%トリプシン、0.02%EDTA)(Sigma T4049)、細胞培養培地(高グルコース、DMEM、10%FBS、2mMグルタミン、1%Pen/Strep)、25cm2および75cm2ベント式細胞培養フラスコ、ウォーターバス(37℃)、遠心分離機、および15ml遠心チューブ
【0205】
方法:
凍結ストックからの細胞の播種
液体窒素または超低温フリーザーからクライオバイアルを取り出し、37℃のウォーターバスですばやく解凍する。解凍したら、10mlの予熱した細胞培養培地を含む15ml遠心チューブにすぐに移す。200gを室温(RT)で5分間遠心分離する。上清を捨てる。5mlの細胞培養培地で再懸濁し、25cm2のベント付き細胞培養フラスコに入れる。細胞が90%超コンフルエントになるまで、3~4日ごとに培地を交換する。ベロ細胞は凍結後にゆっくりと回復し、コンフルエントになるまでに1週間超かかる場合がある。細胞が通常の増殖速度に達するまでに、2~3回継代する必要がある場合がある。
【0206】
細胞の継代(25cm2フラスコについての容量、75cm2フラスコの場合は×2)
培地を除去する。5mlの1×PBSで細胞を洗浄する。2.5mlのトリプシン-EDTAを加え、37℃で2~3分間、または細胞が剥離してストリークが出始めるまでインキュベートする。フラスコを軽くタップ/シェイクして、剥離しやすくしする。必要に応じて、使用するトリプシンを減らし、より長くインキュベートできる。2.5mlの培地を加えて、ピペットで細胞を洗浄し、塊をほぐす。15ml遠心チューブに移し、室温(RT)にて200gで5分間遠心分離する。上清を捨て、10mlの培地に再懸濁する。維持のために1:5~1:10の間で分割できる。プラークアッセイ用に12ウェルプレートにウェルあたり2×10^5細胞を播種する。
【0207】
細胞上清のプラークアッセイ
材料:
ベロ細胞、ベロ細胞培地、上清、1×PBS中の1.5%メチルセルロース(Sigma M6385-100G)、1:1比率のMeOH:H2O中の1%クリスタルバイオレット(Sigma C0775-25G)
【0208】
方法:
-2日目:1.5%メチルセルロースの調製
1.5gのメチルセルロースを100mlの1×PBSに加える。液体サイクルで45分間オートクレーブする。冷ます。ベロ細胞培地350mlを加える。4℃で一晩撹拌する。
-1日目:ベロ細胞の播種
条件ごとに1枚の12ウェルプレートにラベルを付ける。前述のように細胞を分割する。12ウェルプレートのウェルあたり2×10^5のベロ細胞を播種する。インキュベーターに戻す前に、15~30分間静置する。
0日目:ベロ細胞の感染
ベロ細胞がコンフルエントであることを確認する。細胞培養培地で上清の段階希釈液を調製する。希釈は10^-2~10^-7の間の範囲で行う必要がある。各ウェルあたり200μlの希釈液が必要で、二重に実施する。ベロ細胞培地を除去する。各ウェルに適切な希釈液200μlを加える。インキュベーターに入れる。15分ごとにプレートを1時間振とうする。ウイルスを吸引し、1.5mlのメチルセルロースでオーバーレイする。3~5日間、またはプラークが見えるまでインキュベートする。オーバーレイを除去し、2mlのクリスタルバイオレットを加える。室温(RT)で10~20分間インキュベートする。ステインを吸引し、水道水で軽くすすぐ。乾燥させる。(プラーク数)/(接種量(ml))*(希釈)=pfu/ml。
【0209】
ベロ細胞の凍結
材料:
1 75cm2フラスココンフルエントベロ細胞、凍結培地(高グルコースDMEM、20%FBS)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、DPBS(カルシウム・マグネシウムなし)、トリプシン-EDTA、クライオバイアル、15ml遠心チューブ、クライオセル凍結容器、イソプロパノール
【0210】
方法:
1mlのDMSOを9mlの凍結培地に加え、取っておく。10個のクライオバイアルに、日付、細胞の種類、および継代数のラベルを付ける。フラスコから培地を除去する。10mlのDPBSで洗浄する。5mlのトリプシン-EDTAを加え、37℃で2~3分間インキュベートする。5mlの凍結培地を加え、細胞を洗浄し、塊をほぐす。細胞を15ml遠心チューブに移す。200gで5分間遠心分離する。上清を捨て、DMSO-凍結培地10mlに再懸濁する。各クライオバイアルに1mlの細胞を加え、すぐにイソプロパノールを含む凍結チャンバーに移す。-80℃で一晩保存する。長期保存のために液体窒素に移す。
【0211】
本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の記載された実施形態に対する様々な修正および変形が当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明されたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者に明らかな、本発明を実施するための記載された態様の様々な変更は、本発明によってカバーされることが意図されている。
【配列表】
【国際調査報告】