(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】分離要素
(51)【国際特許分類】
F15B 1/00 20060101AFI20240209BHJP
B32B 27/08 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
F15B1/00 Z
B32B27/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527751
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022050109
(87)【国際公開番号】W WO2022171367
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】102021000744.1
(32)【優先日】2021-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト ベーバー
【テーマコード(参考)】
3H086
4F100
【Fターム(参考)】
3H086AA30
3H086AB03
3H086AB04
3H086AD07
3H086AD14
3H086AD24
3H086AD25
3H086AD33
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK28B
4F100AL06A
4F100AL06C
4F100AN02A
4F100AN02C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA08
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100EJ06
4F100EJ17
4F100EJ41
4F100EJ42
4F100GB51
4F100JB01A
4F100JB01C
4F100JD02B
(57)【要約】
少なくとも2種類のプラスチック材料層からなる分離要素であって、それらの内の1つの種類の層は鉱油に対して耐媒体性を有し、他の種類の層は気体に対して低透過性又は不透過性を有し、これらの少なくとも2種類の層は直接的に接触すると互いに固く結合されて弾性的に可撓な分離要素12を生じる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類のプラスチック材料層からなる分離要素において、
前記少なくとも2種類の内の1つの種類の層(28)は鉱油に対して耐媒体性を有し、
前記少なくとも2種類の内の他の種類の層(30)は気体に対して低透過性又は不透過性を有し、
前記少なくとも2種類の層(28,30)が直接的に接触すると互いに固く結合されて弾性的に可撓な分離要素(12)を生じる分離要素。
【請求項2】
前記1つの種類の2層(28)の間に前記他の種類の1層(30)が、全面的に収容されていることを特徴とする、請求項1に記載の分離要素。
【請求項3】
3つ以上の層(28、30、28)が交互の順序で互いに結合されており、好ましくは複合体の最も外側の層(28)が鉱油に対して耐媒体性を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の分離要素。
【請求項4】
前記1つの種類の層(28)がエピクロロヒドリンゴム製であり、前記他の種類の層(30)がイソブテンイソプレンゴム製であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の分離要素。
【請求項5】
互いに結合された前記少なくとも2種類の層(28、30)がシェル体を、好ましくはハーフシェル(32)の形態で形成することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の分離要素。
【請求項6】
ハーフシェル状の層複合体は、その自由端に、前記1つの種類の層(28)から形成された、厚くされた縁部(22)を有し、前記他の種類の層(30)がその自由端でその中に延びていることを特徴とする請求項5に記載の分離要素。
【請求項7】
それぞれの種類の層(28、30)がウェブ材料として存在し、前記層(28、30)が熱成形によって互いに結合されてシェル体を形成することを特徴とする、請求項5又は6に記載の分離要素の製造方法。
【請求項8】
それぞれの種類の層(28、30)が熱成形によって部分体としてシェル体の形状を得、次いでこれらの部分体が加硫により互いに結合されて全体としてシェル体を形成することを特徴とする、請求項5又は6に記載の分離要素の製造方法。
【請求項9】
熱成形若しくは加硫の後に、アニーリングの製造工程が続くことを特徴とする、請求項7又は8に記載の分離要素の製造方法。
【請求項10】
アキュムレータ、特にダイヤフラムアキュムレータにおいて、
作動油などの鉱油で満たされる液体室(13)を、窒素気体などの作動ガスで満たされる気体室(14)から分離するために、請求項1から6のいずれか一項に記載の分離要素(12)が用いられ、アキュムレータハウジング(10)内で前記分離要素(12)の1つの種類の層(28)が、鉱油を保持する前記液体室(13)に隣接して配置されていることを特徴とするアキュムレータ。
【請求項11】
少なくとも2種類のプラスチック材料層からなる分離要素において、
前記少なくとも2種類のプラスチック材料層の内の1つの種類の層(28)は鉱油に対して耐媒体性を有し、
前記少なくとも2種類のプラスチック材料層の内の他の種類の層(30)は気体に対して低透過性又は不透過性を有し、
前記少なくとも2種類の層(28,30)は直接的に接触すると互いに固く結合されて弾性的に可撓な分離要素(12)を生じ、
2つの前記1つの種類の外側層(28)は、エピクロロヒドリンゴム製であり、それらの間に前記他の種類の層(30)を収容している、分離要素において、
前記1つの種類の2層(28)の間の前記他の種類の層(30)がイソブテンイソプレンゴム製であり、
全ての前記少なくとも2種類の層(28,30)がそれぞれ単層で構成されており、
それぞれの種類の層(28、30)が、熱成形によって部分体としてのシェル体の形状にされており、
次いで3つの個々の部分体が加硫により互いに結合されて全体としてのシェル体を形成することを特徴とする分離要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にダイヤフラムアキュムレータなどのアキュムレータに使用するための分離要素に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(独国特許出願公開第102014000358号明細書)により、媒体室の間の可動分離要素を形成する、互いに隣り合う異なる材料の層から構成されたダイヤフラムを備えたアキュムレータが知られている。好適な一実施形態において、ダイヤフラムは順番に、
粘着性ゴムをコーティングしたニトリルゴム(NBR)の層、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)のバリア層、
ポリ酢酸ビニル(PVAc)の含浸層、
ベース構造、
ポリビニルアセテート(PVAc)の含浸層、
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)のバリア層
粘着ゴム層、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)のバリア層、
ポリビニルアセテート(PVAc)の含浸層、
第二ベース構造、
ポリビニルアセテート(PVAc)の含浸層、
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)のバリア層、
ニトリルゴム(NBR)の層にコーティングした接着性ゴムを有する。
層複合体にそれぞれ使用されるベース構造は若干のフィラメントを有しており、含浸層が浸透することによってフィラメントの包囲が行われ、気体を透過しない含浸とベース構造のフィラメントとの間に、一定の高い透過抵抗を有する緊密な分離不能の結合が達成される。このようにして、運転時にアキュムレータ内でダイヤフラムが必然的に行う屈曲運動によって、運転期間中に亀裂が生じ、その結果、気体を透過しない含浸がベース構造から剥離又は剥落する危険性に効果的に対処する。ベース構造がプラスチック製の織物、編物又は不織布から形成されていると特に有利であり、この場合、フィラメントから形成されたポリアミド(PA6.6)製のプラスチック布が使用される。
【0003】
弾性的に可撓な分離要素のための公知の多層構造による解決策は、アキュムレータに使用する文脈において、アキュムレータ内に貯蔵された窒素気体などの作動ガスが、鉱油と共にアキュムレータの液体側に到達できないことを確保しようとする。さもなければ、窒素は、最初に分離要素のエラストマー材料内に拡散することによって、意図せずアキュムレータの油側に到達し、次いでアキュムレータの液体側に向かって蒸発しながら環境中に逃げる。このようにして、アキュムレータシステム内に存在する気体量が減少し、その機能性が急速に低下し、それによりアキュムレータシステムは使用不能となり、通常は再利用することもできず、むしろ廃棄処分しなければならない。
【0004】
コーティングも層材料に含めた多層構造は、相応に高い透過抵抗若しくは気体不透過性が達成されるが、公知の解決策は、製造が極めて複雑であり、層と皮膜の数が多いという理由だけでも剥離プロセスを排除できず、少なくとも長期的にはダイヤフラム状の分離要素を使用不能にする。
【0005】
その他の分離要素は、特許文献2(欧州特許出願公開第927631号明細書)、特許文献3(米国特許第5653263号明細書)、特許文献4(独国特許出願公開第1600621号明細書)、特許文献5(独国実用新案公開第8226197号明細書)、特許文献6(独国特許出願公開第3219530号明細書)、特許文献7(米国特許第5618629号明細書)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014000358号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第927631号明細書
【特許文献3】米国特許第5653263号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第1600621号明細書
【特許文献5】独国実用新案公開第8226197号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第3219530号明細書
【特許文献7】米国特許第5618629号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、この先行技術に基づき、一方では耐媒体性を有し、他方では高い透過抵抗を有しながら製造が簡単で安価な分離要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、請求項1の特徴をその全体において有する分離要素によって解決される。
【0009】
本発明による分離要素は、2種類のプラスチック材料層からなり、
2種類の内の1つの種類の層は鉱油に対して耐媒体性を有し、
2種類の内の他の種類の層は気体に対して低透過性又は不透過性を有し、
これら2種類の層は直接的に接触すると互いに固く結合されて弾性的に可撓な分離要素を生じる。
【0010】
このように、2種類のみの層材料を用いてコスト効率の良い方法で分離要素を構成することができ、分離要素の壁厚は公知の解決策と比較して相応に薄くなっており、分離要素の弾性を向上させる。特に、分離要素をダイヤフラムアキュムレータなどのアキュムレータに使用した場合に激しい屈曲動作において、2種類の個々の層の剥離が意図せず発生することがないため、分離要素の長期間の使用が保証されている。
【0011】
本発明による分離要素の好適な実施形態では、1つの種類の2層の間に他の種類の1層が、全面的に収容されている。このようにして、気体に対して低透過性又は不透過性を有する敏感な層が損傷から保護される。特に、耐媒体性を有する1つの種類の隣接層が意図せずに裂けたり剥離したりすることを回避できる。必要であれば分離要素の密閉性を高めるために、3層以上を交互の順序で互いに結合することができ、その際にやはり複合体の最も外側の層に鉱油に対する耐媒体性を持たせることが好ましい。
【0012】
この場合、耐媒体性を有する1つの種類の層は、鉱油に対して優れた耐性があるエピクロロヒドリンゴムからなることが好ましい。NBRゴムは圧縮永久歪みが小さいため、気体に対する高い透過抵抗も達成される。この層の硬さ範囲は40~90ショアAである。
【0013】
耐気体透過性の高い他の種類の層は、イソブテンイソプレンゴムからなることが好ましい。このようなゴムは、専門用語では短くブチルゴム(ブチル)とも呼ばれ、合成ゴムのグループに属するポリマーである。このゴム材料の硬度は、通常40~85ショアAである。気体透過性が小さいことに加えて、この層は特に低温で極めて弾性的に挙動することが有利である。難点は、油脂に対する耐性がほとんどないことであるが、中間層がエピクロロヒドリンゴム(ECO)の層で覆われているので問題ではない。
【0014】
本発明による分離要素を相応のダイヤフラムアキュムレータに使用するために、互いに結合された種類の層がシェル体を、好ましくはハーフシェルの形態で形成することが好適である。さらに、分離要素をダイヤフラムアキュムレータに固定するために、ハーフシェル状の層複合体は、その自由端に、1つの種類の層からなる厚くされた縁部を有し、他の種類の層がその自由端でその中に延びていることが好適である。この厚くされた縁部により、ダイヤフラムアキュムレータ内に分離要素に対する固定支持部が実現されている。その他のダイヤフラム部分は、ダイヤフラムアキュムレータの内部で自由に動くことができ、アキュムレータハウジング内で液体室を気体室から媒体密に分離する。
【0015】
上記のような分離要素を製造するための好適な方法は、それぞれの種類の層がウェブ材料として存在し、それらの層が熱成形によって互いに結合されてシェル体を形成するものである。このような熱成形は、様々な層を互いに結合させる加硫工程を含む。シェル形状への成形は、後に分離要素が使用されるダイヤフラムアキュムレータの内部輪郭を模して行われる。
【0016】
本発明による製造方法の別の形態は、それぞれの種類の層が熱成形によって部分体として形成すべきシェル体の形状を得て、次いでこのようにして得られた個々の部分体が加硫により互いに結合されて全体としてのシェル体を形成するようになっている。
【0017】
いずれの場合も、熱成形若しくは加硫の後に、アニーリングの製造工程を続けると好都合であることが分かった。これは一般に材料、ここでは層複合体を比較的長時間にわたって加熱して、部品内に万が一に発生する機械的応力を取り除くことを意味する。このようなアニーリングの形での熱処理により、層複合体内の個々の層が剥離する可能性に効果的に対処する。
【0018】
既に説明したように、分離層はダイヤフラムアキュムレータなどのアキュムレータにおいて特に好適に使用され、分離要素は、作動油などの鉱油で満たすことができる液体室を、窒素気体などの作動ガスで満たされた液体室から分離する働きをする。
【0019】
従来技術では、多層構造によって透過抵抗を高めた弾性的な気体不透過性の高いプラスチックダイヤフラムを作る試みが繰り返しなされ、そのために通常は含浸層のブレードコーティング、吹き付け、注ぎ込み又は塗布を用いなければならなかったが、ここではそのような含浸層なしに、基本的に2層構造、又は好ましくは3層構造だけで、あらゆる種類のアキュムレータに長期間使用できる機能的なダイヤフラムをコスト効率の良い方法で得ることができる。従来技術にこれと同等のものはない。
【0020】
以下に、本発明による分離要素を図面による実施形態例に基づいて詳細に説明する。図面は原理図であり、縮尺通りに表現されていない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、分離要素が挿入されたダイヤフラムアキュムレータの側面図、一部縦断面図である。
【
図2】
図2は、
図1にXで示した分離要素の壁部分の拡大図(5:1)である。
【0022】
図1は、溶接構造として形成されたアキュムレータハウジング10を備えた、いわゆるダイヤフラムアキュムレータの形態の蓄圧機若しくはアキュムレータを示しており、アキュムレータハウジング10の中で多層構造のダイヤフラム12が可動分離要素として液体側13を気体側14から分離している。気体側14は、充填ポート16を介して、窒素気体のような作動ガスを充填することができる。充填ポート16は、エンドキャップ18によって覆われている。液体側13には、図示しない油圧システムと接続する液体ポート20がある。このようにして鉱油などの油圧媒体は、油圧システムの側からアキュムレータハウジング10の液体側13に到達する。ダイヤフラム12の中央領域には、液体ポート20に面した側に、万が一に液体側13が空になりそれに応じてダイヤフラム12が引き伸ばされると、液体ポート20を閉じる弁体(図示せず)があってもよい。
図1は、ダイヤフラム12若しくは分離要素を、液体側13にある程度の量の液体が鉱油として導入された位置で示しており、液体が弾性ダイヤフラム12を介してアキュムレータの気体側14の貯蔵気体を圧縮している。
【0023】
この種類のアキュムレータは、いわゆるダイヤフラムアキュムレータの形態も含めて、従来技術であり、油圧システムで油圧回路の圧力サージを弱めるためのショックアブソーバーや脈動ダンパーとして油圧システムで使用できる。さらに、ポンプのない非常用回路のエネルギー源として使用でき、例えば車両の油圧圧縮ばね及びこれに類するものとしても適している。総じてアキュムレータの気体側14の貯蔵気体をアキュムレータによって圧縮することにより油圧エネルギーを蓄積できる。
【0024】
分離要素の形態のダイヤフラム12は、その上部自由端が縁隆起部22で厚くされている。アキュムレータハウジング10の均一に延びる壁厚は、この縁隆起部22の箇所だけ壁凹部を備えており、これに縁隆起部22の外周側が突入係合している。縁隆起部22は、それ以外にも内側に延びる弾性的に可撓な金属クリップ24によってこの位置に保持されている。このようにして、ダイヤフラム12の縁隆起部22の接触により、全体としてアキュムレータハウジング10内にダイヤフラム12に対する固定支持部26が作られている。
【0025】
ダイヤフラムアキュムレータの分離要素であるダイヤフラム12は、弾性的に可撓である。層複合体は、
図2に拡大されて示されている。特に、
図2の表現によれば、ダイヤフラム12のために3層複合体が実現されており、2つの外側層28は鉱油に対して耐媒体性を有する1つの種類をなしている。厚さが等しい2つの層28は、それらの間に、気体に対して低透過性、好ましくは不透過性を有する他の種類の層30を包囲している。そのような層30も、壁厚で見れば、層30を外側に向かって閉じている2つの外側層28と厚さはほぼ同じである。
【0026】
ここで、1つの種類のそれぞれ耐媒体性を有する層28は、エピクロルヒドリンゴムから形成されており、他の種類の層30はイソブテンイソプレンゴムから形成され、この
図2に示す複合層では気体不透過性とみなされる。層28と層30は、加硫により互いに固く結合されている。層間若しくは層複合体内に万が一に発生する応力は、相応のアニーリングによって取り除かれている。ダイヤフラム12をシェル体として成形することは、熱成形により一種のハーフシェル32を形成することによって達成できる。さらに、
図1に示すように、最も外側に位置する層28から形成された縁隆起部22は収容部として成形されていて、その中から中間層30の上部自由端が進出するように、しかしいかなる場合も縁隆起部22の壁材がこのように自由な縁部を依然として覆うように形成されている。異なるエラストマー層28及び30に対して、以下の仕様を選択することが特に有利である。
硬さ50~70ショアA
破断伸び>400%(400~700%)
強度>10N/mm
2
耐寒性<-10℃
【0027】
異なる温度と可撓性に対する要件の下で様々な液体を使用することにより、ダイヤフラム材料に対して異なる要件が課され、それらは一部矛盾することもある。例えば低温用には、可撓性が要求されるために、たいてい透過率が高い材料が使用される。これに対し、低い透過率で低温可撓性を実現する材料は、特定の媒体に対する耐性の点で問題が生じることがあり、その場合は使用できない。2種類の材料(化合物)を組み合わせて1つの製品にすることにより、鉱油に対する耐媒体性の良いECOと、気体透過性の低いブチルを使用した場合に、鉱油に対する耐媒体性と、窒素気体などの易揮発性の高い作動ガスに対して最も広い意味で気体不透過性を有する高可撓性ダイヤフラム12が得られる。従来技術にこれと同等のものはない。
【国際調査報告】