(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】高炉プラントの運転方法
(51)【国際特許分類】
C21B 5/00 20060101AFI20240209BHJP
C21B 7/18 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
C21B5/00 311
C21B7/18 306
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023543307
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2022051185
(87)【国際公開番号】W WO2022157221
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513200003
【氏名又は名称】ポール ワース エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トカート,ポール
(72)【発明者】
【氏名】フランツィクス,ルトヴィン
(72)【発明者】
【氏名】リース,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ショーン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァイツァー,マーク
【テーマコード(参考)】
4K012
4K015
【Fターム(参考)】
4K012BC01
4K015GA10
(57)【要約】
本発明は、高炉(10)と、上部シール弁(21)及び下部シール弁(22)を有する、高炉(10)に原料を装入するための少なくとも1つの材料ホッパ(20)と、高炉(10)用の熱風を生成する少なくとも1つの熱風炉(30)と、を含む高炉プラント(1)を運転する方法であって、上部シール弁(21)を開弁させるステップと、原料を材料ホッパ(20)に導入するステップと、上部シール弁(21)を閉弁させるステップと、材料ホッパと高炉炉頂圧との均圧ステップと、下部シール弁(22)を開弁させて原料を高炉(10)に排出するステップと、を有する少なくとも1つの装入サイクルを含む方法に関する。炉頂装入システムの動作中の爆発の危険性を最小限に抑えるための費用効果の高い方法を提供するために、本発明は、少なくとも1つの熱風炉(30)からのオフガスを移送システム(40)によって少なくとも1つの材料ホッパ(20)に移送し、下部シール弁(22)が開弁される前に、オフガスを材料ホッパ(20)に注入することを可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉(10)と、上部シール弁(21)及び下部シール弁(22)を有する、前記高炉(10)に原料を装入するための少なくとも1つの材料ホッパ(20)と、前記高炉(10)用の熱風を生成する少なくとも1つの熱風炉(30)と、を備える高炉プラント(1)を運転する方法であって、前記方法は、
前記上部シール弁(21)を開弁させるステップと、
原料を前記材料ホッパ(20)に導入するステップと、
前記上部シール弁(21)を閉弁させるステップと、
前記材料ホッパと高炉炉頂圧との均圧ステップと、
前記下部シール弁(22)を開弁させて前記原料を前記高炉(10)に排出するステップと、
を有する少なくとも1つの装入サイクルを含み、
前記少なくとも1つの熱風炉(30)からのオフガスが、移送システム(40)によって前記少なくとも1つの材料ホッパ(20)に移送され、前記オフガスは前記材料ホッパ(20)に注入され、前記材料ホッパは、前記下部シール弁(22)が開弁されて前記原料が前記高炉に排出される前に高炉炉頂圧まで加圧される、方法。
【請求項2】
前記下部シール弁(22)が開弁されると、前記オフガスが、前記材料ホッパ(20)内のガスの少なくとも70v/v%を構成するように注入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記下部シール弁(22)が開弁されると、前記材料ホッパ(20)内の前記ガスのO
2濃度が4.5v/v%未満となるように前記オフガスが注入されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記下部シール弁(22)を開弁させた後に、前記材料ホッパ(20)内のガスが、少なくとも5v/v%のH
2濃度を有する前記高炉(10)からの高炉ガスと少なくとも部分的に混合されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記オフガスは2v/v%未満のO
2濃度を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記上部シール弁(21)を閉弁させてから前記下部シール弁(22)を開弁させるまでの間に、前記材料ホッパ(20)の内部に過圧が発生することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記オフガスは、前記原料が前記材料ホッパ(20)に導入される前に少なくとも部分的に注入されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記オフガスは、前記下部シール弁(22)と下部材料ゲート(23)との間に少なくとも部分的に注入されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記オフガスは、前記原料が前記材料ホッパ(20)に導入されている間に少なくとも部分的に注入されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各熱風炉(30)が、前記オフガスを発生させる燃焼によって前記熱風炉(30)が加熱される加熱段階と、前記熱風炉(30)が熱風を発生させる吹き込み段階とを交互に通過し、加熱段階が開始してから次の送風段階が開始するまでの間に、前記熱風炉(30)からオフガスが回収されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記移送システム(40)は、各熱風炉(30)用の回収管(41)と、各材料ホッパ(20)用の排出管(60)と、各回収管(41)を各排出管(60)に接続する中間部分(50)とを含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
熱風炉(30)から回収された前記オフガスは、前記材料ホッパ(20)に注入される前に冷却装置(52)によって冷却されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記オフガスは、送風機ユニット(54)によって前記移送システム(40)を通って推進されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記オフガスは、分配弁ユニット(62)によって複数の材料ホッパ(20)のうちの少なくとも1つに選択的に導かれることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
高炉(10)と、上部シール弁(21)及び下部シール弁(22)を有する、前記高炉(10)に原料を装入するための少なくとも1つの材料ホッパ(20)と、前記高炉(10)用の熱風を生成するように適合された少なくとも1つの熱風炉(30)と、を備える高炉プラント(1)であって、前記高炉プラント(1)は、
前記上部シール弁(21)を開弁させるステップと、
原料を前記材料ホッパ(20)に導入するステップと、
前記上部シール弁(21)を閉弁させるステップと、
前記材料ホッパと高炉炉頂圧との均圧ステップと、
前記下部シール弁(22)を開弁させて原料を前記高炉(10)に排出するステップと、
を含む少なくとも1つの装入サイクルを実行するように構成され、
前記高炉プラント(1)は、前記少なくとも1つの熱風炉(30)から前記少なくとも1つの材料ホッパ(20)にオフガスを移送するように適合された移送システム(40)を更に備え、前記高炉プラント(1)は、前記オフガスを前記材料ホッパ(20)に注入するように構成され、前記材料ホッパは、前記下部シール弁(22)が開弁されて前記原料が前記高炉に排出される前に高炉炉頂圧まで加圧される、高炉プラント(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉プラントの運転方法及び高炉プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の高炉は、電気アーク炉内でのスクラップ溶融又は直接還元などの代替方法があるものの、依然として鉄鋼生産に最も広く使用されているプロセスである。高炉設備の問題の1つは、高炉から出る高炉ガスである。このガスは高炉の頂部から出るので、一般に「炉頂ガス」とも呼ばれる。高炉ガス中の1つの成分はCO2であるが、これは環境に有害であり、多くの場合、工業用途には役に立たない。高炉から出る高炉ガスは、20%~30%の量(v/v)の高濃度のCO2を含み得る。これとは別に、高炉ガスは通常、かなりの量のN2、CO、H2O及びH2を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
CO2排出量の削減に関連して、高炉の操業のための炭素質燃料の使用を削減する努力がなされている。代替として、水素濃度を高めた燃料が使用されている。また、鉄鉱石の還元ガスとして、コークス炉ガスのような燃料を用いることもできる。しかしながら、還元ガスを完全に酸化することは不可能であり、このため反応生成物中に多量の水素ガスが存在する。また、炉頂装入システムの材料ホッパが配置されている高炉頂部領域のH2濃度も増加する。現代の高炉では、材料ホッパは通常、40~120m3の容積を有する。原料が材料ホッパに装入されると、周囲空気も導入されて高炉炉頂ガスと混合し、(周囲空気からの)多量の酸素と(炉頂ガスからの)水素とを含有するガス混合物が生じる。生じた混合物は、可燃性、ひいては爆発性であるおそれがあり、炉頂装入設備の運転に高い安全リスクをもたらす。そのようなリスクを回避するために、N2(又はN2富化ガス混合物)を投入材料と共に又はその直後に材料ホッパに注入することが提案されている。このような窒素による不活性化は有効であるが、回収又は再利用することができないN2の消費量が多くなる。そのため、高炉プラントの運転費用が増加する。また、N2又はN2富化ガスが常に入手可能であるとは限らない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明の目的は、炉頂装入システムの運転中の火災リスク及び爆発の危険性を最小限に抑えるための費用効果の高い方法を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1に記載の方法及び請求項15に記載の高炉プラントによって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項によって網羅される。
【0006】
特に、高炉と、上部シール弁及び下部シール弁を有する、原料を高炉に装入するための少なくとも1つの材料ホッパと、高炉用の熱風を生成する少なくとも1つの熱風炉(30)と、を含む高炉プラントの運転方法が提供される。本方法は、以下のステップ:
上部シール弁を開弁させるステップと、
原料を材料ホッパに導入するステップと、
上部シール弁を閉弁させるステップと、
下部シール弁を開弁させて原料を高炉に排出するステップと、
を有する少なくとも1つの装入サイクルを含み、
少なくとも1つの熱風炉からのオフガスが、移送システムによって少なくとも1つの材料ホッパに移送され、オフガスは、下部シール弁が開弁されて原料が高炉に排出される前に材料ホッパに注入される。
【0007】
高炉と、上部シール弁及び下部シールを有する、高炉に原料を装入するための少なくとも1つの材料ホッパと、高炉用の熱風を生成するように適合された少なくとも1つの熱風炉とを含む高炉プラントであって、
上部シール弁を開弁させるステップと、
原料を材料ホッパに導入するステップと、
上部シール弁を閉弁させるステップと、
下部シール弁を開弁させて原料を高炉に排出するステップと、
を含む少なくとも1つの装入サイクルを実行するように適合され、
少なくとも1つの熱風炉から少なくとも1つの材料ホッパにオフガスを移送するように適合された移送システムを更に含み、下部シールが開弁されて原料が高炉に排出される前にオフガスを材料ホッパに注入するように適合されている、
高炉プラントも提供される。
発明の一般的説明
【0008】
本発明は、高炉プラントを運転するための方法を提供する。高炉プラントは高炉を備える。この方法は、鉛又は銅のような他の金属の製造に適用することができるが、高炉は通常、銑鉄を製造するために使用される。一般に、高炉は、通常は耐火ライニングを有する外壁を有する適切な垂直シャフト又は炉を有する。これは、原料がシャフトに導入される上部開口部と、スラグ及び原料金属(例えば、銑鉄)が取り出される下部開口部とを有する。高炉の下部では、シャフトは通常、環状のバッスル管によって囲まれ、そこから複数の羽口が始まる。羽口を通して熱風がシャフトに注入される。これに関連して、「熱風」は、熱気を指すが、他のO2含有ガス又はガス混合物、例えば酸素富化空気もしくは(ほとんど)純粋な酸素も指す。任意選択的に、他の固体成分(粒状石炭など)又はガス(コークス炉ガス、天然ガスもしくは合成ガスなど)を、羽口レベル又はシャフトレベル(羽口レベルよりも上方)のいずれかでシャフトに注入することができる。羽口レベルは、高炉の溶融ゾーンに対応し、一方、シャフトレベルは、通常は溶融ゾーンよりも著しく温度の低い高炉の還元ゾーンに大部分が対応する。
【0009】
高炉プラントは、原料を高炉に装入するための少なくとも1つの材料ホッパを更に備える。原料は、装入材料又は投入材料とも呼ばれ得る。これは、様々なサイズの粒子を含み得る粒状バルク材料である。原料はまた、様々な化学組成の粒子を含んでもよい。したがって、厳密に言えば、そのような材料は材料混合物と呼ぶことができる。簡潔化のために、この文脈では「材料」という用語が使用される。以下で更に説明するように、高炉プラントは、通常、異なる原料用の複数の材料ホッパを備える。原料は、例えば、鉄鉱石もしくは別の鉄含有材料、燃料、又は石炭、コークス、炭素質材料、木材、木炭、あるいはそれらの混合物などの還元材料であってもよい。
【0010】
材料ホッパは、ロックホッパとも呼ばれ、上部シール弁と下部シール弁とを含む。上部シール弁は、頂部シール弁とも呼ばれ得るが、材料ホッパの上端又はその付近に配置され、下部シール弁は、底部シール弁とも呼ばれ得るが、材料ホッパの下端又はその付近に配置されることが理解されよう。各シール弁は、材料ホッパの開口部を密閉するように適合されている。これに対応して、ホッパは、原料を受け入れる上部開口部と、原料を高炉に排出する下部開口部とを含む。各シール弁は気密シールを提供するが、シール弁を通る少量のガス漏れは許容可能である。ホッパは、上部シール弁及び下部シール弁に加えて、下部材料ゲートを含んでもよい。この材料ゲートの機能は、気密シールを提供することではなく、下部開口部を通る高炉への原料の流れを調整することである。少なくとも1つの材料ホッパは、通常、高炉プラントのいわゆる「ベルレストップ」装入システムの一部である。
【0011】
高炉プラントは、高炉用の熱風を生成する少なくとも1つの熱風炉を更に備える。上述のように、「熱風」は、この文脈では、任意の加熱されたO2含有ガス、通常は熱気であってもよい。ホットブラストストーブ、カウパー炉又はカウパーとも呼ばれる熱風炉は、燃焼段階又は加熱段階中に加熱され、熱を蓄え、熱は次いで、吹き込み段階又はブラスト段階中に冷風(すなわち、冷気又は別のO2含有ガス)に伝導される、再生熱交換器又は再生器である。以下に説明するように、高炉プラントは、通常、高炉に熱風をほぼ一定に供給するためにそれぞれの吹き込み段階を交互に通過することの可能な、複数の熱風炉を備える。加熱段階中に、燃料ガスが燃焼されて熱が発生し、熱は次いで、熱風炉(通常は炉内のチェッカー煉瓦)によって(部分的に)蓄えられる。燃料ガスの燃焼は、多くの場合無視できる発熱量又は熱量、特に非常に低いO2濃度を有するオフガスを生成する。しかしながら、その高温は、熱交換器内で熱を伝導させるために利用することができる。従来技術では、オフガスは通常、例えば高炉プラントの煙突を通って環境に放出される。
【0012】
提案する方法は、少なくとも1つの装入サイクルを含む。通常、複数の装入サイクルが順次行われる。各装入サイクルは、1つの材料ホッパを指す。高炉プラントが通常のように複数の材料ホッパを含む場合、異なる材料ホッパの装入サイクルは、順次及び/又は同時に実行されてもよい。各装入サイクルは、以下のステップ、すなわち、上部シール弁を開弁させるステップと、原料を材料ホッパに導入するステップと、上部シール弁を閉弁させるステップと、材料ホッパを高炉の炉頂圧と均等化するステップと、下部シール弁を開弁させて原料を高炉に排出するステップとを含む。原料は、上部シール弁に関連する上述の上部開口部を通して導入され、下部シール弁に関連する上述の下部開口部を通して高炉に排出されることが理解される。これらのステップは、通常、装入サイクル中の任意の時点で少なくとも1つのシール弁が閉弁されるように、言及されている順序で実行されることに留意されたい。上述していないが、上部シール弁を開弁させる前に、材料ホッパ内の圧力が大気に解放されることが理解されよう。また、下部シール弁が閉弁している状態で上部シール弁が開弁されるので、原料が高炉に排出されると、下部シール弁は次の装入サイクルのために閉弁される。したがって、材料ホッパを介した高炉と環境との間の自由なガス交換が常に防止される。高炉は、高炉ガスが外部に自由に逃げないように、通常は環境に対して過圧で運転される。
【0013】
上部シール弁の閉弁と下部シール弁の開弁との間にかなりの時間間隔があってもよく、その間に原料が材料ホッパ内に貯留されることが理解されよう。また、上部シール弁を再び開弁させて新しい原料を材料ホッパに導入する前に、下部シール弁を数回開閉して原料を繰り返し排出することができる。
【0014】
本発明によれば、少なくとも1つの熱風炉からのオフガスが、移送システムによって少なくとも1つの材料ホッパに移送され、オフガスは、下部シール弁が開弁される前に材料ホッパに注入される。移送システムは、熱風炉から材料ホッパにオフガスを移送するように適合されている。最も単純な場合、移送システムは、熱風炉を材料ホッパに接続する単一の管を含むことができるが、制御された効率的な移送のためには追加の要素が必要であり、そのいくつかは以下で説明されることが理解されよう。オフガスは、当然、熱風炉の加熱段階中の上述の燃焼から生じるガス(又はガス混合物)である。オフガスが材料ホッパに注入される前又はその間に、オフガスが他のガスと組み合わされるか又は混合されることは、本発明の範囲内である。オフガスは燃焼から生じるため、そのO2濃度は一般には低く、無視できるほどでさえある。そのため、オフガスは不活性ガスとみなすことができる。オフガスを材料ホッパに導入することにより、O2濃度を大幅に低下させることができ、理想的には材料ホッパ内を不活性化することができる。したがって、下部シール弁が開弁されて材料ホッパの内部からのガスが高炉に由来する高炉ガスと混合した時に爆発性の混合物を形成するリスクが大幅に低減される。これは、特に、O2との爆発性混合物(一般に「酸水素」又は「ナールガス」と呼ばれる)を形成し得るかなりの量のH2を高炉ガスが含む状況で適用される。
【0015】
高炉プラントの正常な運転により豊富に入手可能なガスを不活性ガスとして利用することは、提案された方法に関して非常に有益である。オフガスは大量に入手可能であり、追加コストがないため、材料ホッパの効果的で安価な不活性化を達成することができる。
【0016】
オフガスの組成及び高炉ガスの組成などの様々な要因によっては、材料ホッパの部分的な不活性化で十分であろう。しかしながら、下部シール弁の開弁時には、オフガスは、好ましくは50v/v%を超えるガスを構成するように材料ホッパ内に注入されることが好ましい。換言すれば、材料ホッパ内の元の雰囲気は、下部シール弁が開弁される前に、好ましくは50v/v%を超えるオフガスで置き換えられている。例えば、材料ホッパ内の元の雰囲気が約21v/v%のO2濃度を有する空気からなり、空気がO2をほとんど含まないオフガスで70v/v%だけ置き換えられる場合、得られたガス混合物は、爆発のリスクを回避するために許容可能であり得る約6v/v%のO2濃度を有する。
【0017】
また、下部シール弁の開弁時に、原料ホッパ内のガスのO2濃度が4.5v/v%未満となるようにオフガスを注入することが好ましい。それぞれのO2濃度は更に低くてもよく、例えば3v/v%未満であってもよい。
【0018】
101kPa(1気圧)での空気中の水素の体積パーセントに基づく可燃限界は、4.0及び75.0である。101kPaでの酸素中の水素の体積パーセントに基づく可燃限界は、4.0及び94.0である。空気中の水素の爆発性の限界は、18.3~59体積%である。管又は構造の集合体の中及び周囲の炎は、全体的な閉じ込めがない場合であっても、爆燃を爆発に発展させる乱流を生成する可能性がある。
【0019】
本方法は、特に、鉄鉱石の還元ガスとして使用されるコークス炉ガスのような燃料で高炉が運転される場合に使用することができる。上記で説明したように、これは高炉ガス中の有意なH2濃度をもたらす。このような実施形態では、下部シール弁を開弁させた後に、材料ホッパ内のガスは、少なくとも5v/v%のH2濃度を有する高炉からの高炉ガスと少なくとも部分的に混合する。ここで、「材料ホッパ内のガス」は、「材料ホッパ内の雰囲気」とも称され得る。高炉ガスのH2濃度は更に高く、例えば少なくとも7v/v%であり得る。下部シール弁を開くことにより、材料ホッパ内のガスと高炉ガスとの間の障壁が除去され、2つのガスが少なくとも部分的に互いに混合することが理解されよう。少なくとも5v/v%のH2濃度が少なくとも4.5v/v%の酸素を含有する雰囲気と組み合わされると、少なくとも可燃性混合物、又は爆発性混合物さえももたらされ得る。しかしながら、材料ホッパ内のガスが本発明の方法で不活性化されると、可燃性混合物又は爆発性混合物の形成が抑制され得る。
【0020】
上記で説明したように、オフガスは、燃焼前に存在していた酸素の大部分を通常は消費する熱風炉内の燃焼の結果である。好ましくは、オフガスは、2v/v%未満、より好ましくは1v/v%未満のO2濃度を有する。このような状況下では、オフガスは実質的に酸素を含まないと考えることができ、したがって、内部のガスの十分な部分をオフガスで置き換えれば、材料ホッパを効果的に不活性化することができる。
【0021】
上部弁を閉じてから下部シール弁を開くまでの間に、材料ホッパ内に過圧が発生することが好ましい。これに関連して、「過圧」は、高炉プラントの周囲の大気圧を超える圧力を指す。通常は、高炉内にも過圧があり、したがって、材料ホッパが大気圧下にあると、かなりの量の高炉ガスが材料ホッパに入ることになる。過圧は、高炉内の圧力よりわずかに高い値、例えば約0mbar~100mbar以上に設定することができる。特に、この過圧は、高圧でオフガスを注入することによって、又は他の加圧ガスを使用することによって発生させることができる。
【0022】
オフガスが正確にいつ材料ホッパに注入されるかに関して様々な選択肢がある。1つの選択肢によれば、原料が材料ホッパに導入される前に、オフガスの一部が注入される。この段階で、材料ホッパ内のガスは、空気及びオフガスと、前の装入サイクルからの高炉ガスとを含み得る。高炉ガスもまた空気を材料ホッパに導入するため、新たな原料が導入される前に少なくとも大部分の高炉ガスを排出することが特に望ましい。この実施形態では、材料ホッパは、新たな原料が導入される前にオフガスで「フラッシング」されてもよい。「一部」とは、一装入サイクル中に注入されるオフガス全体のうちの少なくとも一部分又は少量が、原料が材料ホッパに導入される前に注入されることを意味する。
【0023】
典型的には、下部シール弁の近くは高炉に最も近い領域であるため、材料ホッパ内の高炉ガスの濃度は、下部シール弁の近くで最も高い。材料ホッパ内の高炉ガスを良好に除去するか又は少なくとも薄めるために、オフガスをこの領域に有利に注入することができる。特に、オフガスの一部は、下部シール弁と下部材料ゲートとの間に注入される。下部材料ゲートは、通常、材料ホッパから高炉への材料の流れを調整するために使用される。材料流調整ゲートなどと呼ばれることもある。下部材料ゲートは通常、下部シール弁に対して材料ホッパの内側、すなわち下部シール弁の上流側に配置される。
【0024】
原料が材料ホッパに導入される前の注入の代わりに、又はそれに加えて、原料が材料ホッパに導入されている間にオフガスの一部が注入されてもよい。これにより、原料とともに導入される周囲空気の量を低減することができる。この実施形態では、オフガスは、材料ホッパの上部、例えば上部シール弁又はその近くに注入されてもよい。
【0025】
既に上述したように、各熱風炉は、オフガスを生成する燃焼によって熱風炉が加熱される加熱段階と、熱風炉が熱風を生成する吹き込み段階とを交互に通過する。好ましい実施形態によれば、オフガスは、加熱段階の開始から次の吹き込み段階の開始までの間に、熱風炉から回収される。換言すれば、オフガスの回収は、各熱風炉の加熱段階及び吹き込み段階と同期される。吹き込み段階の開始前にオフガスの回収を停止することにより、熱風炉からオフガスの代わりに冷風又は熱風を回収するリスクが回避される。少量の冷風又は熱風を材料ホッパに移送するだけでも、不活性化を著しく損なう可能性があることが理解されよう。
【0026】
移送システム、すなわち、熱風炉から材料ホッパにオフガスを移送するシステムは、各熱風炉用の回収管と、各材料ホッパ用の排出管と、各回収管を各排出管に接続する中間部分とを含むことができる。各回収管は、熱風炉及び中間部分に接続されている。全ての熱風炉からのオフガスが中間部分に集められると言うこともできる。中間部分では、必要に応じて少なくとも1つの材料ホッパへの更なる移送に備えて、オフガスを一時的に貯留することができる。排出管は、中間部分から各材料ホッパに通じており、すなわち、材料ホッパごとに1つの排出管がある。したがって、オフガスは、熱風炉から回収管、中間部分、及び排出管を通って材料ホッパに移送される。
【0027】
好ましくは、熱風炉から回収されたオフガスは、材料ホッパに注入される前に冷却装置によって冷却される。このような冷却装置は、通常、熱交換器である。したがって、オフガスの温度は、例えば300℃~400℃の初期温度から、例えば30℃~80℃の温度まで低下させることができる。また、オフガスに含まれる熱は、他の媒体に伝導させることができ、したがって、高炉プラント又はその外部のプロセスを容易にするために利用することができる。オフガスを冷却することにより、例えば、熱による材料ホッパの損傷を防止することができる。また、可燃性ガス混合物が材料ホッパ内で、例えば局所的かつ一時的に形成されたとしても、材料ホッパ内の全体的な温度が低下すれば、そのような混合物が発火するリスクが低減される。通常、オフガスは、熱風炉から材料ホッパへの移送システム内で移送される間に冷却される。例えば、上述の中間部分は、単一の冷却装置を使用して全ての熱風炉からのオフガスを冷却することができるように、冷却装置を含むことができる。
【0028】
一実施形態では、オフガスは、受動的に、すなわち圧力差に従って、熱風炉から材料ホッパに移送することができる。しかしながら、そのような受動的な移送は効果的ではなく、予測不可能なオフガス供給につながる可能性がある。したがって、オフガスは、送風機ユニットによって移送システムを通って推進されることが好ましい。送風機ユニットは、移送システムの上述の中間部分内に組み込まれてもよい。送風機ユニットは、1つ以上の送風機を含むことができる。好ましくは、オフガスの流量は、少なくとも1つの送風機の出力を制御することによって適合される。各送風機は、可変速駆動装置を有することができる。送風機は平行に配置されてもよく、すなわち、中間部分は、オフガスの流れに対して平行な複数の送風管を含んでもよく、各送風管は1つの送風機を含む。送風機の並列配置は、冗長性によって動作上の安全性を高め、より高いガス流量に到達することを可能にする。再循環バイパスラインが、変化する負荷点に対する各送風機の応答挙動を改善するために各送風機に追加される。したがって、送風機は連続的な動作で動作し、異なる負荷点への適応が再循環バイパスラインによって行われる。
【0029】
高炉プラントが複数の材料ホッパを含む場合、異なる材料ホッパの装入サイクルは通常、同時に実行されない。したがって、オフガスは通常、一度に1つの材料ホッパでのみ必要とされる。したがって、オフガスは、分配弁ユニットによって複数の材料ホッパのうちの少なくとも1つに選択的に導かれることが好ましい。分配弁ユニットは、異なる排出管内に配置され得る1つ以上の弁を含んでもよい。例えば、2つの排出管がある場合、他の材料ホッパの排出管の弁を閉じることによって、オフガスを1つの材料ホッパに導くことができる。これとは別に、各排出管は、オフガスの望ましくない逆流を防止する逆止弁を備えてもよい。
【0030】
本発明はまた、高炉と、上部シール弁及び下部シール弁を有する、原料を高炉に装入するための少なくとも1つの材料ホッパと、高炉用の熱風を生成するように適合された少なくとも1つの熱風炉と、を備える高炉プラントを提供する。高炉プラントは、以下のステップ、すなわち、上部シール弁を開弁させるステップと、原料を材料ホッパに導入するステップと、上部シール弁を閉弁させるステップと、材料ホッパと高炉炉頂圧との均圧ステップと、下部シール弁を開弁させて原料を高炉に排出するステップと、を含む少なくとも1つの装入サイクルを実行するように適合されている。高炉プラントは、少なくとも1つの熱風炉から少なくとも1つの材料ホッパにオフガスを移送するように適合された移送システムを更に備え、高炉プラントは、下部シール弁が開弁される前にオフガスを材料ホッパに注入するように適合されている。換言すれば、本発明は、高炉と、それぞれ原料を装入して高炉に導入するための少なくとも1つの材料ホッパとを備える高炉プラントに関する。(材料)ホッパは、上部シール弁と下部シール弁とを含む。少なくとも1つの熱風炉が、高炉用の(高炉に導入される)熱風を生成する(ように構成されている)。高炉プラントは、少なくとも1つの装入サイクルをそれぞれ実行するように構成され、装入サイクルは、(以下の)ステップ、すなわち、上部シール弁を開弁させるステップと、上部シール弁を介して材料ホッパに原料を導入するステップと、上部シール弁を閉弁させるステップと、材料ホッパと高炉炉頂圧との均圧を実行するステップと、下部シール弁を開弁させて原料を高炉に排出するステップとを含む。高炉プラントは、オフガスを少なくとも1つの熱風炉から少なくとも1つの材料ホッパに移送する(ように構成された)移送システムを更に備え、高炉プラントは、オフガスを材料ホッパに注入するように構成されている。材料ホッパは、下部シール弁が開弁されて原料が高炉に排出される前に、それぞれ高炉炉頂圧まで加圧され得る。本発明による方法に関連して説明した実施形態及び効果は、本発明による高炉プラントにも適用されることに留意されたい。一実施形態では、ホッパの上部シール弁は、ホッパの上部開口部を密閉するように構成され、下部シール弁は、ホッパの下部開口部を密閉するように構成され、ホッパは、下部シール弁の上方に配置された材料ゲートを更に含む。「シール弁」は、一般に、隣接する環境に対して加圧(ガス)体積を封止するように構成された封止機構を指す。「材料ゲート」は、(高)炉に導入される材料の通過(並びに量)を調整/制御するための開閉可能な装置を指す。この配置は、オフガスを下部シール弁と下部材料ゲートとの間に少なくとも部分的に注入することを可能にする。
【0031】
これらの用語は全て、本発明の方法を参照して説明したので、再度説明しない。本発明の高炉の好ましい実施形態は、本発明の方法の実施形態に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の好ましい実施形態を、以下に添付図面を参照して例を挙げながら説明する。
【
図2】
図1の高炉プラントの一部分の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の方法に適合する本発明の高炉プラント1の概略図である。高炉プラントは高炉10を備え、その一般的な動作は当技術分野で知られているため、ここでは説明しない。そのうちの1つが
図2に概略的に示されている2つの材料ホッパ20が、高炉10の頂部の上方に配置されている。各材料ホッパ20は、上部開口部を密閉するための上部シール弁21と、下部開口部を密閉するための下部シール弁22と、下部シール弁22の上方に配置された材料ゲート23とを含む。動作中、材料ホッパ20の各々は、高炉10のための原料を受け入れる。例えば、一方の材料ホッパ20は鉄鉱石を受け入れ、他方の材料ホッパ20はコークスを受け入れてもよい。各原料は、高炉10に排出される前に、材料ホッパ20に一時的に貯留される。
【0034】
各材料ホッパ20は、複数の装入サイクルを順次通過する。各装入サイクルの開始時に、下部シール弁22及び材料ゲート23が閉じられ、上部シール弁21が開弁されるそして、上部シール弁21を介して材料ホッパ20に原料を充填することができる。所定量の原料が充填されると、上部シール弁21が閉弁されて、材料ホッパ20の外側に向かって気密シールを提供する。次に、材料ホッパ20内の圧力は、高炉10内の圧力を超える過圧に達するまで昇圧される。その後、下部シール弁22が開弁され、材料ゲート23は下部シール弁22が閉位置にある時であっても気密シールを提供しないため、高炉10の材料ホッパ20間のガス交換が可能になる。原料を高炉10に排出するために、材料ゲート23がある程度まで開かれ、これにより材料の流れが制御される。最後に、全ての原料が高炉10に排出されると、材料ゲート23及び下部シール弁22が閉じられる。次いで、材料ホッパ20内の圧力を周囲圧力に調整した後、上部シール弁21を再び開くことができ、新しい原料を充填することができる。
【0035】
工業的な構成では、半清浄BFガスが第1のステップで材料ホッパに注入されることが多く、これにより、半清浄BFガスはBFガス-0.15バールの圧力となる。これは一次平衡化と呼ばれ、その後、ホッパを(通常は窒素で行われる二次平衡化と同様に)BF炉頂圧にするために、熱風炉オフガスが注入される。
【0036】
一般的に言えば、高炉ガスの一部の成分は、周囲空気中の酸素と燃焼性/可燃性又は爆発性の混合物を形成する可能性がある。特に、高炉ガスは、O2と結合して可燃性混合物を形成する、相当濃度、例えば少なくとも7v/v%のH2を含み得る。この問題を最小限に抑えるか又は排除するために、以下で説明するように、オフガスが装入サイクルの特定の段階で材料ホッパ20に注入される。オフガスは、O2濃度が2v/v%未満であり、したがって不活性ガスと概ね見なすことができる。オフガスは、高炉10に熱風を供給するために一般に使用される複数の熱風炉30から回収される。各熱風炉30は、オフガスを生成する燃焼によって熱風炉が加熱される加熱段階と、熱風炉が熱風を生成する吹き込み段階とを交互に通過する。熱風炉30は、燃焼からの熱を一時的に蓄えるチェッカー煉瓦でライニングされている。熱風炉30内のオフガスが冷風(すなわち、周囲温度を有する空気又は別の酸素含有ガス)に置換されると、冷風に熱が伝わり熱風が発生する。燃焼に適した燃料ガスを、簡潔化の目的で図示されていない供給管によって熱風炉30に導入することができる。同様のことが、冷風を供給するための冷風管、及び熱風を熱風炉30から高炉10に移送するための熱風管にも当てはまる。
【0037】
オフガスは、オフガス管31を通って煙突33に部分的に移送され、そこから環境に放出される。最初は300℃~400℃の温度を有し得るオフガスの内部熱の一部が、オフガス管31内の第1の熱交換器32によって回収される。オフガスの別の部分は、以下で詳細に説明する移送システム40によって材料ホッパ20に移送される。回収管41が、各熱風炉30から始まる。各回収管41を通るガス流は、制御弁42によって制御することができる。制御弁42は、熱風炉30が加熱段階にあるときにのみオフガスが熱風炉30から回収され、一方、熱風炉30が吹き込み段階にあるときにはガスが熱風炉30から回収されないように動作し、それにより、酸素富化ガスの移送システム40への導入が回避される。各回収管41は、移送システム40の中間部分50、より具体的には中間管51に接続されている。第2の熱交換器52で、オフガスの内部熱が回収され、例えば45度の温度まで冷却される。第2の熱交換器52の下流で、オフガスは、ガス流を平滑化してガス中の残留水分の一部を凝縮させるために使用されるリザーバ53に到達し、そこで一時的に貯留することができる。そして、中間管51は、送風部54に到達し、そこで3本の送風管55に分岐している。各送風管55は、オフガスを移送システム40を通って推進させる送風機56を含む。各送風機56の出力は、オフガスの流量を適合させるために調整することができる。
【0038】
中間部分50は、それぞれが材料ホッパ20のうちの1つに接続された2つの排出管60に接続されている。各排出管60は、ガス流を監視することができる流量計61を含む。具体的には、送風機56を適切に制御するために、ガス流量計61からの情報を使用することができる。分配弁ユニット62が、2つの制御弁63、すなわち各排出管60に1つの制御弁を含む。分配弁ユニット62は、ガス流を調整し、特に、オフガスを対応する材料ホッパ20に注入する必要がない状況では、一方の排出管60を通るガス流を遮断することができる。更に、各分配ライン60は、逆止弁64と、逃し管67と、逃し管67の上流及び下流に配置された2つの遮断弁65、66とを含む。例えば、メンテナンスの目的で、ガスを排出管60から逃し管67を通して放出することができる。遮断弁65、66は、逃し管67が開く前に移送システム40の一部を隔離するために使用することができる。
【0039】
図2の断面図に示すように、排出管60は、下部シール弁22と材料ゲート23との間で材料ホッパ20に入る。全ての原料が高炉10に排出されると、上述のように下部シール弁22及び材料ゲート23が閉じられる。しかしながら、材料ゲート23は、材料ホッパ20の残りの部分に対して気密シールを提供しない。ここで、上部シール弁21が開弁される前に、排出管60を通じてオフガスが注入され、高炉ガス中の残留している可能性のあるH
2が材料ホッパ20の下部から排出される。材料ホッパ20内のガスの少なくとも90v/v%がオフガスで置換されるまで注入を継続することが可能である。材料ホッパ20に既に収容されているガスは、逃し弁(図示せず)を介して放出することができる。そして、上述のように上部シール弁21を介して原料を導入することができる。この時点で、材料ホッパ20内のH
2濃度は無視できるので、爆発性混合物は形成され得ない。しかしながら、周囲空気が原料と共に導入され、それによってかなりの量のO
2が材料ホッパ20に導入される。これは、下部シール弁22が再び開弁されたときに爆発を引き起こすリスクをもたらし得る。このリスクは、様々な方法で回避することができる。例えば、原料が導入された後、O
2を少なくとも材料ホッパの下部から移動させるために、排出管60を介したオフガス注入を継続することができる。代替的又は追加的に、材料ホッパ20の上部の上部シール弁21近傍にオフガスを注入するように配置された追加の排出管70が設けられてもよい。この排出管70により、原料を導入しながらオフガスを注入することができる。したがって、原料の周りの周囲空気は著しく薄くなる。したがって、材料ホッパ内のO
2濃度を、例えば5v/v%未満に低減させることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 高炉プラント
10 高炉
20 材料ホッパ
21 上部シール弁
22 下部シール弁
23 材料ゲート
30 熱風炉
31 オフガス管
32,52 熱交換器
33 煙突
40 移送システム
41 回収管
42 制御
50 中間部分
51 中間管
53 リザーバ
54 送風機ユニット
55 送風管
56 送風機
60,70 排出管
61 流量計
62 分配弁ユニット
63 制御弁
64 逆止弁
65,66 遮断弁
67 逃し管
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉(10)と、上部シール弁(21)及び下部シール弁(22)を有する、前記高炉(10)に原料を装入するための少なくとも1つの材料ホッパ(20)と、前記高炉(10)用の熱風を生成する少なくとも1つの熱風炉(30)と、を備える高炉プラント(1)を運転する方法であって、前記方法は、
前記上部シール弁(21)を開弁させるステップと、
原料を前記材料ホッパ(20)に導入するステップと、
前記上部シール弁(21)を閉弁させるステップと、
前記材料ホッパと高炉炉頂圧との均圧ステップと、
前記下部シール弁(22)を開弁させて前記原料を前記高炉(10)に排出するステップと、
を有する少なくとも1つの装入サイクルを含み、
前記少なくとも1つの熱風炉(30)からのオフガスが、移送システム(40)によって前記少なくとも1つの材料ホッパ(20)に移送され、前記オフガスは前記材料ホッパ(20)に注入され、前記材料ホッパは、前記下部シール弁(22)が開弁されて前記原料が前記高炉に排出される前に高炉炉頂圧まで加圧される、方法。
【請求項2】
前記下部シール弁(22)が開弁されると、前記オフガスが、前記材料ホッパ(20)内のガスの少なくとも70v/v%を構成するように注入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記下部シール弁(22)が開弁されると、前記材料ホッパ(20)内の前記ガスのO
2濃度が4.5v/v%未満となるように前記オフガスが注入されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記下部シール弁(22)を開弁させた後に、前記材料ホッパ(20)内のガスが、少なくとも5v/v%のH
2濃度を有する前記高炉(10)からの高炉ガスと少なくとも部分的に混合されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記オフガスは2v/v%未満のO
2濃度を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記上部シール弁(21)を閉弁させてから前記下部シール弁(22)を開弁させるまでの間に、前記材料ホッパ(20)の内部に過圧が発生することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記オフガスは、前記原料が前記材料ホッパ(20)に導入される前に少なくとも部分的に注入されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記オフガスは、前記下部シール弁(22)と下部材料ゲート(23)との間に少なくとも部分的に注入されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記オフガスは、前記原料が前記材料ホッパ(20)に導入されている間に少なくとも部分的に注入されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各熱風炉(30)が、前記オフガスを発生させる燃焼によって前記熱風炉(30)が加熱される加熱段階と、前記熱風炉(30)が熱風を発生させる吹き込み段階とを交互に通過し、加熱段階が開始してから次の送風段階が開始するまでの間に、前記熱風炉(30)からオフガスが回収されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記移送システム(40)は、各熱風炉(30)用の回収管(41)と、各材料ホッパ(20)用の排出管(60)と、各回収管(41)を各排出管(60)に接続する中間部分(50)とを含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
熱風炉(30)から回収された前記オフガスは、前記材料ホッパ(20)に注入される前に冷却装置(52)によって冷却されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記オフガスは、送風機ユニット(54)によって前記移送システム(40)を通って推進されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記オフガスは、分配弁ユニット(62)によって複数の材料ホッパ(20)のうちの少なくとも1つに選択的に導かれることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
高炉(10)と、上部シール弁(21)及び下部シール弁(22)を有する、前記高炉(10)に原料を装入するための少なくとも1つの材料ホッパ(20)と、前記高炉(10)用の熱風を生成するように適合された少なくとも1つの熱風炉(30)と、を備える高炉プラント(1)であって
、
前記高炉プラント(1)は、前記少なくとも1つの熱風炉(30)から前記少なくとも1つの材料ホッパ(20)にオフガスを移送するように適合された移送システム(40)を更に備え、
ここで、前記高炉プラント(1)は、前記オフガスを前記材料ホッパ(20)に注入
し、且つ、請求項1に記載の方法において定められた、少なくとも1つの装入サイクルを実行するように構成されている、高炉プラント(1)。
【国際調査報告】