(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】移植片対宿主病の治療のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/22 20060101AFI20240209BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240209BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240209BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240209BHJP
A61K 51/00 20060101ALI20240209BHJP
C07K 14/605 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
A61K38/22
A61P37/06
A61P1/04
A61K45/00
A61K51/00 100
C07K14/605 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544229
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 US2022014349
(87)【国際公開番号】W WO2022165204
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522480296
【氏名又は名称】ベクティブバイオ エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリアドウ,ヴィオレッタ
(72)【発明者】
【氏名】ユーセフ,ナダー エヌ.
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA12
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084DB37
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4C084MA66
4C084NA05
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4C084ZC712
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA18
4H045CA40
4H045DA30
4H045EA27
(57)【要約】
本出願は、アプラグルチドを使用した、移植片対宿主病(GvHD)、特に、急性GvHDおよび急性消化管GvHDを治療する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における移植片対宿主病(GvHD)の治療または予防において使用するための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項2】
対象におけるGvHDを治療または予防する方法であって、前記対象にアプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む、方法。
【請求項3】
前記GvHDが、急性GvHDである、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項4】
前記GvHDが、急性消化管GvHDである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項5】
前記GvHDが、慢性GvHDである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項6】
前記GvHDが、ステロイド抵抗性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項7】
前記GvHDが、ステロイド未感作である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項8】
前記GvHDが、MAGICスケールによるグレードII~IVのGvHDである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項9】
前記アプラグルチドが、
(a)前記対象が、移植される前;または
(b)前記対象が、移植に関連して放射線療法、化学療法、または放射線様療法が投与される前に、前記対象に投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項10】
前記対象が、既に移植されており、好ましくは、前記アプラグルチドが、前記対象が移植された後、前記対象に投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項11】
前記対象が、移植に関連して放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを既に投与されており、好ましくは、前記アプラグルチドが、前記対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを投与された後、前記対象に投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項12】
前記アプラグルチドが、前記対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを投与された後、および前記対象が、移植される前、前記対象に投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項13】
前記アプラグルチドが、
(a)移植と同時;または
(b)移植に関連して放射線療法、化学療法、放射線様療法、もしくはその任意の組み合わせと同時に、前記対象に投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項14】
アプラグルチドの前記投与が、
(a)移植;
(b)条件づけ療法および移植後、対象における結腸長の減少を防止および/または減弱する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項15】
前記移植が、骨髄、末梢血、臍帯血またはその任意の組み合わせに由来する造血幹細胞を含み、好ましくは、前記移植が、T細胞を含み、好ましくは、
前記T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項16】
前記放射線療法が、全身照射を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項17】
アプラグルチドの前記医薬的に許容可能な塩が、アプラグルチドのナトリウム塩である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩が、皮下注射によって投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩が、約1mg~約10mgの量で投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記アプラグルチドが、約2.5mgの量で投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記アプラグルチドが、約5mgの量で投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記アプラグルチドが、約10mgの量で投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
(a)前記対象が、約50kg未満の体重を有し、前記アプラグルチドが、約2.5mgの量で投与される;
(b)前記対象が、約50kg~約60kgの体重を有し、前記アプラグルチドが、約2.5mgもしくは約5mgの量で投与される;
(c)前記対象が、約60kg~約80kgの体重を有し、前記アプラグルチドが、約4mgもしくは約7.5mgの量で投与される;または
(d)前記対象が、約80kg超の体重を有し、前記アプラグルチドが、約5mgもしくは約10mgの量で投与される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項24】
前記移植が、
(a)同種移植;または
(b)自家移植である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、少なくとも一つの抗GvHD療法を既に投与されており、好ましくは、前記少なくとも一つの抗GvHD療法が、ステロイド療法を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年1月28日に出願された米国仮特許出願第63/142,905号、および2021年9月24日に出願された米国仮特許出願第63/248,074号の優先権および利益を主張するものである。前述の特許出願の各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提出され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2022年1月28日に作成された当該ASCIIコピーは、「VECT-003_001WO_SeqList」と名付けられ、サイズは約849バイトである。
【背景技術】
【0003】
移植片対宿主病(GvHD)は、対象の移植後に生じる状態である。GvHDは、血液癌の治療のための造血幹細胞移植(AHCT)を含む同種移植の状況で最もよく観察される。しかしながら、GvHDが自家移植との関連で生じるという証拠が増加している(Hammami et al.,Gastroenterol Res.,2018,11(1):52-57;Cogbill et al.Modern Pathology,2011,24:117-125)。GvHDは、同種移植中に存在する免疫細胞が、移植レシピエントの組織を外来として認識し、レシピエントの組織を攻撃するのを進めるとき生じる。GvHDは、急性GvHDまたは慢性GvHDのいずれかとして現れることがある。急性GvHDは、典型的には、皮膚、口腔ならびに生殖器粘膜、眼、腸、肝臓、肺、関節、および筋肉の炎症および組織損傷によって特徴付けられる。慢性GvHDは、同じタイプの損傷を誘発することができるが、より長い期間にわたって、外分泌腺の結合組織の損傷、組織線維症および関節運動性の制限、肺および肝臓の線維症、免疫調節異常ならびに自己免疫も引き起こし得る。特に、消化管の急性GvHDは、重度の腸の炎症、粘膜の脱落、重度の下痢、腹痛、吐き気および嘔吐をもたらし得る。急性消化管GvHDの重度の症状は、移植後の予後がより不良な患者にしばしば見られる。急性消化管GvHDの第一線の治療は、典型的には、全身性および/または経口非吸収性コルチコステロイドの使用を含む。しかしながら、多数の患者が、第一線の治療に応答しない。したがって、当該技術分野において、AHCTを投与された対象における、GvHD、より具体的には、急性消化管GvHDの治療および予防に向けられた組成物および方法が必要である。本開示は、その必要に対処する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、対象において移植片対宿主病(GvHD)を治療または予防する方法を提供し、方法は、対象に少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。GvHDは、急性GvHDであり得る。GvHDは、急性消化管GvHDであり得る。GvHDは、慢性GvHDであり得る。GvHDは、ステロイド抵抗性であり得る。GvHDは、ステロイド未感作であり得る。
【0005】
一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が移植される前に、対象に投与することができる。
【0006】
一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が移植に関連して放射線療法、化学療法、または放射線様療法を投与される前に、投与することができる。
【0007】
一部の態様では、対象は、既に移植されたことがある。
【0008】
一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が移植された後に、対象に投与されていてもよい。
【0009】
一部の態様では、対象は、移植に関連して、放射線療法、化学療法、放射線様療法、またはその任意の組み合わせを既に投与されていてもよい。
【0010】
一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が放射線療法、化学療法、放射線様療法、またはその任意の組み合わせを投与された後に、対象に投与することができる。
【0011】
一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを投与された後、対象が、移植をされる前に、対象に投与することができる。
【0012】
一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、移植と同時に対象に投与することができる。
【0013】
一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチド、移植に関連して、放射線療法、化学療法、放射線様療法、またはその任意の組み合わせと同時に対象に投与することができる。
【0014】
一部の態様では、アプラグルチドの投与は、移植後、対象における結腸長の減少を防止および/または減弱することができる。
【0015】
一部の態様では、アプラグルチドの投与は、条件づけ療法および移植後、対象における結腸長の減少を防止および/または減弱することができる。
【0016】
一部の態様では、移植は、骨髄、末梢血、臍帯血またはその任意の組み合わせに由来する造血幹細胞を含むことができる。移植は、T細胞を含むことができる。T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞であり得る。
【0017】
一部の態様では、放射線療法は、全身照射を含むことができる。
【0018】
一部の態様では、アプラグルチドの医薬的に許容可能な塩は、アプラグルチドのナトリウム塩であり得る。
【0019】
一部の態様では、アプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩は、皮下注射によって投与することができる。
【0020】
一部の態様では、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、約1mg~約10mgの量で投与することができる。
【0021】
一部の態様では、アプラグルチドは、約2.5mgの量で投与することができる。
【0022】
一部の態様では、アプラグルチドは、約5mgの量で投与することができる。
【0023】
一部の態様では、アプラグルチドは、約10mgの量で投与することができる。
【0024】
一部の態様では、移植は、同種移植であってもよい。一部の態様では、移植は、自家移植であってもよい。
【0025】
一部の態様では、対象は、少なくとも一つの抗GvHD療法を既に投与されていてもよい。一部の態様では、少なくとも一つの抗GvHD療法は、ステロイド療法を含むことができる。
【0026】
上記の態様、または本明細書に記載される任意の他の態様のいずれかは、本明細書に記載される任意の他の態様と組み合わせることができる。
【0027】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において、単数形はまた、文脈が別途明確に示さない限り、複数形を含み、例として、用語「a」、「an」、および「the」は、単数形または複数形であると理解され、用語「or」は、包括的であると理解される。例として、「要素」は、一つまたは複数の要素を意味する。本明細書全体を通して、語句「含むこと」または「含む」もしくは「含むこと」などの変形は、指定された要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群の包含を暗示するが、いかなる他の要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群の排除を暗示するものではないと理解されるであろう。文脈上別段の明らかにならない限り、本明細書に提供されるすべての数値は、用語「約」によって修飾される。文脈上、具体的に記載されるか、または明白でない限り、本明細書で使用される場合、用語「または」は、包括的であると理解され、「または」と「および」の両方をカバーする。
【0028】
本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料は、本開示の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料が、以下に記載される。本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書に引用される参考文献は、請求される発明の先行技術であるとは認められない。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法、および例は、例示に過ぎず、限定であることを意図するものではない。本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
上記およびさらなる特徴は、添付の図面と併せて取得されるとき、以下の詳細な説明からより明確に理解されるであろう。
【0030】
【
図1】
図1は、アプラグルチドを用いた処置後の急性GvHDマウスモデルにおける結腸長を示す一連のグラフである。
【0031】
【
図2a】
図2a~2bは、アプラグルチドを用いた処置後の急性GvHDマウスモデルの腸の様々な組織学的分析の結果を示す一連のグラフである。
【0032】
【
図3】
図3a~3bは、アプラグルチドを用いた処置後の急性GvHDマウスモデルにおける結腸長および小腸長を示す一連のグラフである。データは、腸結腸の平均±SEM長さとして示される。N-5~10/群。各ドットは、1匹のマウスについてのデータを表す。データは、TBI/BMT動物の結腸の長さは、ビヒクル群またはアプラグルチドで処置したBMT/TBI群と比較して有意に短いことを示す(Kruskal-Wallis非パラメータ検定、続いて多重比較のためのダン検定)(
*p<0.05、
***<0.001)。ビヒクル群とアプラグルチドで処置したTBI/BMT動物との間に差異を観察しなかった。BMT=骨髄移植、ns=有意ではない、SEM=平均の標準誤差、TBI=全身照射。
【0033】
【
図4】
図4は、NOG照射マウスにおけるヒトPBMCの生着に対するアプラグルチドの影響を示す一連のグラフである。
【0034】
【
図5】
図5は、アプラグルチドがBALB/cJマウスを急性GVHD誘発性腸損傷から保護することを示す一連のグラフである。
【0035】
【
図6】
図6は、アプラグルチドが、小腸に対する化学療法誘発性損傷から保護することを示す一連のグラフである。
【0036】
【
図7】
図7は、血漿シトルリンレベルによって示される、アプラグルチドと化学療法の組み合わせが、腸重量を保存することを示す一連のグラフである。
【0037】
【
図8】
図8は、アプラグルチドが、化学療法誘導性体重減少を減少させることを示す一連のグラフである。
【0038】
【
図9】
図9は、アプラグルチドと化学療法の組み合わせが、動物の生存を改善することを示す一連のグラフである。
【0039】
【
図10a】
図10aは、アプラグルチドが化学療法中に糞便微生物相の組成を維持することを示す一連のグラフである。F=ファーミキューテスおよびB=バクテロイデス門。データは、便/条件の中の門レベルでの分類の相対的存在量の%として提示される。
【
図10b】
図10bは、アプラグルチドが、化学療法によって大きく改変された腸内微生物叢の多様性(門レベルでの糞便中の相対的平均存在量)を安定化することを示す一連のグラフである。
【0040】
【
図11a】
図11aは、アプラグルチドが、シタラビンの抗腫瘍効果を減少させないことを示す一連のグラフである。
【0041】
【
図11b】
図11bは、ヒト白血病細胞を注射したマウスにおける、骨髄および脾臓のhCD45陽性細胞に対するビヒクルまたはシタラビン±アプラグルチド処置の影響を示す一連のグラフである。
【0042】
【
図12】
図12は、シタラビン(平均/群±SEM)によって誘発される免疫抑制活性に対するアプラグルチド作用を示す一連のグラフである。
【0043】
【
図13】
図13は、メルファラン(平均/群±SEM)によって誘発される免疫抑制活性に対するアプラグルチド作用を示す一連のグラフである。
【0044】
【
図14】
図14は、アプラグルチドを用いた処置が、TBI/BMT処置動物の動物生存を改善することを示す一連のグラフである。カプラン・マイヤー曲線線-動物生存を、毎日モニタリングした。各処置群について時間=0でN=10。TBI/BMTの前に開始したアプラグルチドで処置した動物の生存は、ログランク(Mantel-Cox)検定
*p<0.03によって決定した、TBI/BMT動物と比較して有意差を示したが、対照動物と比較して有意ではなかった(ns)。対照群と比較したとき、TBI/BMTの生存は、有意に異なっていた###p=0.0007。BMT=骨髄移植、TBI=全身照射。
【0045】
【
図15】
図15aは、アプラグルチドが、急性GvHDの誘導後の全体的な病理学的スコアを改善することを示す一連のグラフである。
図15bは、アプラグルチドが、急性GvHDの誘導後の病理学的腸スコアを改善することを示す一連のグラフである。
【0046】
【
図16a】
図16a~cは、TBI/BMT処置動物における体重減少パーセントに対するアプラグルチドの作用を示す一連のグラフである。
【0047】
【
図17】
図17は、シタラビン処置後の動物生存に対するアプラグルチドの用量依存性作用を示す一連のグラフである。
【0048】
【
図18】
図18は、化学療法後の動物の体に対するアプラグルチドの用量依存性作用を示す一連のグラフである。
【0049】
【
図19】
図19は、シタラビン処置後の血清シトルリン濃度に対するアプラグルチドの用量依存性作用を示す一連のグラフである。
【0050】
【
図20】
図20は、化学療法後の多形核細胞数に対するGP-2Rアゴニストの用量依存性作用を示す一連のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示は、対象においてGvHDを治療または予防する方法を提供し、方法は、対象に少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。
【0052】
本開示は、対象においてGvHDを治療する方法を提供し、方法は、対象に少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。
【0053】
本開示は、対象においてGvHDを予防する方法を提供し、方法は、対象に少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。
【0054】
本開示は、対象においてGvHDを治療または予防する方法を提供し、方法は、対象にアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。
【0055】
本開示は、対象においてGvHDを治療する方法を提供し、方法は、対象にアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。
【0056】
本開示は、対象においてGvHDを予防する方法を提供し、方法は、対象にアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。
【0057】
本開示は、対象におけるGvHDの治療または予防における使用のためのアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を提供し、ここで、アプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも一つの治療上有効量で対象に投与するためのものである。
【0058】
本開示は、対象におけるGvHDの治療または予防における使用のためのアプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0059】
本開示は、対象におけるGvHDの治療における使用のためのアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を提供し、ここで、アプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも一つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0060】
本開示は、対象におけるGvHDの治療における使用のためのアプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0061】
本開示は、対象におけるGvHDの予防における使用のためのアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を提供し、ここで、アプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも一つの治療有効量で対象に投与するためのものである。
【0062】
本開示は、対象におけるGvHDの予防における使用のためのアプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0063】
本開示は、対象におけるGvHDの治療または予防用の医薬の製造における、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供し、ここで、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも一つの治療上有効量で対象に投与するためのものである。
【0064】
本開示は、対象におけるGvHDの治療または予防用医薬の製造における、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0065】
本開示は、対象におけるGvHDの治療用の医薬の製造における、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供し、ここで、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも一つの治療上有効量で対象に投与するためのものである。
【0066】
本開示は、対象におけるGvHDの治療用医薬の製造における、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0067】
本開示は、対象におけるGvHDの予防用の医薬の製造における、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供し、ここで、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも一つの治療上有効量で対象に投与するためのものである。
【0068】
本開示は、対象におけるGvHDの予防用医薬の製造における、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0069】
アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩が、GvHDを治療または予防するため対象に使用または投与することができる、適切な治療上有効量も提供される。本開示は、GvHDと既に診断された対象においてGvHD誘導性腸損傷を治療する方法を提供し、方法は、対象に少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。本開示は、GvHDと既に診断された対象においてGvHD誘導性腸損傷を治療する方法を提供し、方法は、対象にアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。一部の態様では、対象は、既にGvHDと診断されており、GvHDは、アプラグルチドの投与時に進行中である。一部の態様では、対象は、既にGvHDと診断されており、GvHDは、アプラグルチドの投与前に十分に治療されている。
【0070】
本明細書に記載される方法および使用の一部の態様では、対象は、65歳超である。一部の態様では、対象は、18~64歳である。一部の態様では、対象は、18歳未満である。
【0071】
本明細書に記載される方法および使用の一部の態様では、対象は、50kg超の重さである。一部の態様では、対象は、50kg~40kgの重量である。一部の態様では、対象は、40kg未満の重量である。本開示は、対象におけるGvHD誘導性腸損傷の治療における使用のためのアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を提供し、ここで、アプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも一つの治療有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、対象におけるGvHD誘導性腸損傷の治療における使用のためのアプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。一部の態様では、対象は、既にGvHDと診断されており、GvHDは、アプラグルチドの投与時に進行中である。一部の態様では、対象は、既にGvHDと診断されており、GvHDは、アプラグルチドの投与前に十分に治療されている。
【0072】
本開示は、対象におけるGvHD誘導性腸損傷の治療用の医薬の製造における、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供し、ここで、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも一つの治療上有効量で対象に投与するためのものである。本開示は、対象におけるGvHD誘導性腸損傷の治療用医薬の製造における、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。一部の態様では、対象は、既にGvHDと診断されており、GvHDは、アプラグルチドの投与時に進行中である。一部の態様では、対象は、既にGvHDと診断されており、GvHDは、アプラグルチドの投与前に十分に治療されている。
【0073】
一部の態様では、GvHD誘発性腸損傷は、吸収不良、下痢、腹痛、粘膜炎、粘膜潰瘍形成、吐き気、結腸の短縮、小腸の短縮、および当技術分野で公知の任意の他のGvHD誘発性胃腸合併症を含み得るが、これらに限定されない。
【0074】
本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、急性GvHDであり得る。一部の態様では、急性GvHDは、後期急性GvHDであり得る。一部の態様では、急性GvHDは、急性消化管GvHDである。
【0075】
本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、ステロイド抵抗性GvHDであり得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、ステロイド未感作GvHDであり得る。
【0076】
本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、ステロイド抵抗性急性GvHDであり得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、ステロイド未感作急性GvHDであり得る。
【0077】
本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、ステロイド抵抗性急性消化管GvHDであり得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、ステロイド未感作急性消化管GvHDであり得る。
【0078】
本開示では、GvHDは、後期急性GvHDなどの急性GvHDであり得る。急性GvHDは、ステロイド未感作急性GvHDであり得る。あるいは、急性GvHDは、ステロイド抵抗性急性GvHDであってもよい。急性GvHDは、ステロイド抵抗性急性消化管GvHDなどの急性消化管GvHDであってもよい。例えば、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、対象における消化管GvHDなどの急性GvHDの予防に使用されてもよい。例えば、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、対象におけるステロイド抵抗性急性消化管GvHDなどの、ステロイド抵抗性急性GvHDの治療に使用されてもよい。
【0079】
本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、慢性GvHDであり得る。
【0080】
本開示の方法および使用の一部の態様では、慢性GvHDは、慢性消化管GvHDであり得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、ステロイド抵抗性慢性消化管GvHDであり得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、ステロイド未感作慢性消化管GvHDであり得る。
【0081】
本開示では、GvHDは、後期慢性GvHDなどの慢性GvHDであり得る。慢性GvHDは、ステロイド未感作慢性GvHDであってもよい。あるいは、慢性GvHDは、ステロイド抵抗性慢性GvHDであってもよい。慢性GvHDは、ステロイド抵抗性慢性消化管GvHDなどの慢性消化管GvHDであってもよい。例えば、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、対象における消化管GvHDなどの慢性GvHDの予防に使用されてもよい。例えば、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、対象におけるステロイド抵抗性慢性消化管GvHDなどの、ステロイド抵抗性慢性GvHDの治療に使用されてもよい。
【0082】
本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、オーバーラップ症候群であり得る。
【0083】
本開示では、GvHDは、オーバーラップ症候群であり得る。
【0084】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、MAGICスケールによるグレードII~IVのGvHDを有する。一部の態様では、対象は、MAGICスケールによるグレードIII~IVのGvHDを有する。一部の態様では、対象は、MAGICスケールによるグレードII~IIIのGvHDを有する。一部の態様では、対象は、MAGICスケールによるグレードII、IIIまたはIVのGvHDを有する。
【0085】
本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、上部腸移植片対宿主病である。
【0086】
本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、中部腸移植片対宿主病である。
【0087】
本開示では、GvHDは、肝GvHDであり得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、GvHDは、肝GvHDである。例えば、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、対象における肝GvHDの予防または治療に使用されてもよい。
【0088】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、癌と診断され得る。一部の態様では、癌は、血液癌である。一部の態様では、癌は、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、慢性骨髄性白血病、T細胞非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性B細胞非ホジキンリンパ腫(非バーキット)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、胚細胞性腫瘍、ユーイング肉腫、軟部組織肉腫、ニューロブラストーマ、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、髄芽腫、急性前骨髄球性白血病、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、形質芽細胞性、慢性リンパ性白血病、乳癌および腎臓癌の少なくとも一つである。
【0089】
本開示では、対象は、癌と診断され得る。癌は、血液癌であってもよい。癌は、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、慢性骨髄性白血病、T細胞非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性B細胞非ホジキンリンパ腫(非バーキット)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、胚細胞性腫瘍、ユーイング肉腫、軟部組織肉腫、ニューロブラストーマ、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、髄芽腫、急性前骨髄球性白血病、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、形質芽細胞性、慢性リンパ性白血病、乳癌および腎臓癌の少なくとも一つであり得る。例えば、対象は、癌と診断され、同種移植を受けるよう指定され得る。あるいは、対象は、癌と診断され得、既に自家移植を受けたことがある。あるいは、対象は、癌と診断され得、既に同種移植を受けたことがある。あるいは、対象は、癌と診断され得、既に自家移植を受けたことがある。一部の態様では、移植は、例えば、骨髄線維症を有する対象においてである。一部の態様では、移植は、多発性骨髄腫を有する対象における自家移植である。
【0090】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、疾患または障害と診断され得る。一部の態様では、疾患または障害は、異常ヘモグロビン症、先天性異常ヘモグロビン症、β重症型サラセミア(TM)、鎌状赤血球症(SCD)、重症再生不良性貧血、ファンコニ貧血、先天性角化異常症、ブラックファン・ダイアモンド貧血、サラセミア、先天性無巨核球性血小板減少症、重症複合免疫不全症、T細胞免疫不全、T細胞免疫不全-SCIDバリアント、ウィスコット・アルドリッチ症候群、血球貪食性障害、リンパ増殖性疾患、重症先天性好中球減少症、慢性肉芽腫症、食細胞障害、IPEX症候群、若年性関節リウマチ、全身性硬化症、自己免疫異常、免疫調節不全障害、ムコ多糖症、MPS-I、MPS-VI、大理石骨病、代謝性疾患、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ)、異染性白質ジストロフィー、脳X連鎖副腎白質ジストロフィー、骨髄線維症疾患、骨髄増殖性疾患、形質細胞障害、肥満細胞症、分類不能型免疫不全症、慢性肉芽腫症、多発性硬化症、全身性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、クローン病および多発性筋炎-皮膚筋炎の少なくとも一つであり得る。
【0091】
本開示では、対象は、疾患または障害と診断され得る。疾患または障害は、異常ヘモグロビン症、先天性異常ヘモグロビン症、β重症型サラセミア(TM)、鎌状赤血球症(SCD)、重症再生不良性貧血、ファンコニ貧血、先天性角化異常症、ブラックファン・ダイアモンド貧血、サラセミア、先天性無巨核球性血小板減少症、重症複合免疫不全症、T細胞免疫不全、T細胞免疫不全-SCIDバリアント、ウィスコット・アルドリッチ症候群、血球貪食性障害、リンパ増殖性疾患、重症先天性好中球減少症、慢性肉芽腫症、食細胞障害、IPEX症候群、若年性関節リウマチ、全身性硬化症、自己免疫異常、免疫調節不全障害、ムコ多糖症、MPS-I、MPS-VI、大理石骨病、代謝性疾患、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ)、異染性白質ジストロフィー、脳X連鎖副腎白質ジストロフィー、骨髄線維症疾患、骨髄増殖性疾患、形質細胞障害、肥満細胞症、分類不能型免疫不全症、慢性肉芽腫症、多発性硬化症、全身性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、クローン病および多発性筋炎-皮膚筋炎の少なくとも一つであってもよい。例えば、対象は、疾患または障害と診断され、同種移植を受けるよう指定され得る。例えば、対象は、疾患または障害と診断され、自家移植を受けるよう指定され得る。あるいは、対象は、疾患または障害と診断され得、既に同種移植を受けたことがある。あるいは、対象は、疾患または障害と診断され得、既に自家移植を受けたことがある。
【0092】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、癌と診断され、癌を治療するために移植を受けるよう指定され得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、癌と診断され得、癌を治療するために移植を既に受けている。
【0093】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、癌と診断され、癌を治療するために同種移植を受けるよう指定され得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、癌と診断され得、癌を治療するために同種移植を既に受けている。
【0094】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、癌と診断され、癌を治療するために自家移植を受けるよう指定され得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、癌と診断され得、癌を治療するために自家移植を既に受けている。
【0095】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、疾患または障害と診断され、疾患または障害を治療するために移植を受けるよう指定され得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、疾患または障害と診断され得、疾患または障害を治療するために移植を既に受けている。
【0096】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、疾患または障害と診断され、疾患または障害を治療するために同種移植を受けるよう指定され得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、疾患または障害と診断され得、疾患または障害を治療するために同種移植を既に受けている。
【0097】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、疾患または障害と診断され、疾患または障害を治療するために自家移植を受けるよう指定され得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、疾患または障害と診断され得、疾患または障害を治療するために自家移植を既に受けている。
【0098】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、既に移植を受けていてもよい。したがって、一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が移植された後に、対象に投与することができる。
【0099】
本開示では、対象は、既に移植を受けていてもよい。したがって、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、移植された後に対象に投与することができる。
【0100】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、既に同種移植を受けていてもよい。したがって、一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が同種移植された後に、対象に投与することができる。
【0101】
本開示では、対象は、既に同種移植を受けていてもよい。したがって、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、同種移植された後に対象に投与することができる。
【0102】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、既に自家移植を受けていてもよい。したがって、一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が自家移植された後に、対象に投与することができる。
【0103】
本開示では、対象は、既に自家移植を受けていてもよい。したがって、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、対象が、自家移植された後に対象に投与することができる。
【0104】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、移植に関連して既に条件づけ療法を受けていてもよい。本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、同種移植に関連して既に条件づけ療法を受けていてもよい。本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、自家移植に関連して条件づけ療法を既に受けていてもよい。一部の態様では、条件づけ療法は、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせの投与を含み得る。一部の態様では、放射線療法は、全身照射を含むことができる。
【0105】
条件づけ療法は、同種移植に関連して行われてもよい。条件づけ療法は、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせからなるなど、含むことができる。放射線療法は、全身照射を含むことができる。
【0106】
したがって、一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が、移植に関連して条件づけ療法を受けた後、対象に投与することができる。一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が同種移植に関連して条件づけ療法を受けた後、対象に投与することができる。一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が自家移植に関連して条件づけ療法を受けた後、対象に投与することができる。一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを受けた後、対象に投与することができる。
【0107】
したがって、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、対象が、移植に関連して条件づけ療法を受けた後、対象に投与することができる。したがって、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、対象が、同種移植に関連して条件づけ療法を受けた後、対象に投与することができる。したがって、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、対象が、自家移植に関連して条件づけ療法を受けた後、対象に投与することができる。
【0108】
本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が移植を受ける前、対象に投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が移植に関連して放射線療法、化学療法、または放射線様療法を投与される前に、投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを受けた後、対象が移植を受ける前、対象に投与される。
【0109】
本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドは、対象が移植を受ける前、対象に投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドは、対象が移植に関連して放射線療法、化学療法、または放射線様療法を投与される前に、投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドは、対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを受けた後、対象が移植を受ける前、対象に投与される。
【0110】
本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドは、対象が臓器移植を受ける前、対象に投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドは、対象が臓器移植に関連して放射線療法、化学療法、または放射線様療法を投与される前に、投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドは、対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを受けた後、対象が臓器移植を受ける前、対象に投与される。
【0111】
本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が同種移植を受ける前、対象に投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が同種移植に関連して放射線療法、化学療法、または放射線様療法を投与される前に、投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを受けた後、対象が同種移植を受ける前、対象に投与される。
【0112】
本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドは、対象が同種移植を受ける前、対象に投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドは、対象が同種移植に関連して放射線療法、化学療法、または放射線様療法を投与される前に、投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドは、対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを受けた後、対象が同種移植を受ける前、対象に投与される。
【0113】
本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が自家移植を受ける前、対象に投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が自家移植に関連して放射線療法、化学療法、または放射線様療法を投与される前に、投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを受けた後、対象が自家移植を受ける前、対象に投与される。
【0114】
本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が自家移植を受ける前、対象に投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が自家移植に関連して放射線療法、化学療法、または放射線様療法を投与される前に、投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを受けた後、対象が自家移植を受ける前、対象に投与される。
【0115】
本開示では、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、対象が同種移植を受ける前、対象に投与することができる。例えば、これは、対象が、同種移植に関連して放射線療法、化学療法、放射線様療法もしくはその任意の組み合わせを受ける前、または対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法もしくはその任意の組み合わせを受けた後だが、対象が、同種移植を受ける前であり得る。
【0116】
本開示では、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、対象が自家移植を受ける前、対象に投与することができる。例えば、これは、対象が、自家移植に関連して放射線療法、化学療法、放射線様療法もしくはその任意の組み合わせを受ける前、または対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法もしくはその任意の組み合わせを受けた後だが、対象が、自家移植を受ける前であり得る。
【0117】
本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、移植と同時に、対象に投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、同種移植と同時に、対象に投与することができる。本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、自家移植と同時に、対象に投与することができる。
【0118】
本開示では、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、移植と同時に対象に投与することができる。本開示では、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、同種移植と同時に対象に投与することができる。本開示では、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、自家移植と同時に対象に投与することができる。
【0119】
本開示の方法および使用の一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドは、条件づけ療法と同時に、対象に投与することができる。一部の態様では、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチド、最少の一つの治療上有効量のアプラグルチドは、放射線療法、化学療法、放射線様療法、またはその任意の組み合わせと同時に対象に投与することができる。
【0120】
本開示では、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、上で定義された条件づけ療法などの、条件づけ療法と同時に対象に投与することができる。
【0121】
本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、GvHDと既に診断され、一次GvHD治療を受けていてもよい。一部の態様では、一次GvHD治療は、抗GvHD治療の投与を含むことができる。一部の態様では、抗GvHD治療は、ステロイド療法の投与を含むことができる。したがって、本開示の方法および使用の一部の態様では、対象は、既にステロイド療法を受けていてもよい。当業者によって理解されるように、ステロイド療法は、少なくとも一つのコルチコステロイドの投与を含むことができる。当業者によって理解されるように、ステロイド療法は、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニドまたはその任意の組み合わせの投与を含み得る。
【0122】
本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドの投与は、同種移植後、対象における結腸長の減少を防止および/または減弱することができる。一部の態様では、アプラグルチドの投与は、条件づけ療法および移植後、対象における結腸長の減少を防止および/または減弱する。一部の態様では、アプラグルチドの投与は、条件づけ療法および同種移植後、対象における結腸長の減少を防止および/または減弱する。一部の態様では、アプラグルチドの投与は、条件づけ療法および自家移植後、対象における結腸長の減少を防止および/または減弱する。
【0123】
本開示によるアプラグルチドの投与は、移植後、対象における結腸長の減少を防止および/または減弱することができる。アプラグルチドの投与は、条件づけ療法および同種移植後、対象における結腸長の減少を防止および/または減弱し得る。本開示によるアプラグルチドの投与は、同種移植後、対象における結腸長の減少を防止および/または減弱することができる。アプラグルチドの投与は、条件づけ療法および自家移植後、対象における結腸長の減少を防止および/または減弱し得る。
【0124】
本開示によるアプラグルチドの投与は、本明細書の実施例に記載される、腸内微生物叢を安定化することができる。
【0125】
本開示は、GvHDと既に診断された対象においてGvHD誘導性腸損傷を治療する方法を提供し、方法は、対象に少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。一部の態様では、対象は、既にGvHDと診断されており、GvHDは、アプラグルチドの投与時に進行中である。一部の態様では、対象は、既にGvHDと診断されており、GvHDは、アプラグルチドの投与前に十分に治療されている。一部の態様では、本開示は、対象におけるGvHD誘発性腸損傷を治療する方法を提供し、方法は、治療上有効量の免疫抑制療法の投与の前、同時、または後に、対象に治療上有効量のアプラグルチドを投与することを含む。本開示の一部の態様では、免疫抑制療法は、例えば、ルキソリチニブ、全身性コルチコステロイドである。一部の態様では、本開示は、対象におけるGvHD誘発性腸損傷を治療する方法を提供し、方法は、治療上有効量のカルシニューリン阻害剤の投与の前、同時、または後に、対象に治療上有効量のアプラグルチドを投与することを含む。
【0126】
本開示は、GvHDと既に診断された対象においてGvHD誘導性腸損傷を治療する方法を提供し、方法は、対象にアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。一部の態様では、対象は、既にGvHDと診断されており、GvHDは、アプラグルチドの投与時に進行中である。一部の態様では、対象は、既にGvHDと診断されており、GvHDは、アプラグルチドの投与前に十分に治療されている。一部の態様では、本開示は、対象におけるGvHD誘発性腸損傷を治療する方法を提供し、方法は、治療上有効量の免疫抑制療法の投与の前、同時、または後に、対象にアプラグルチドを投与することを含む。本開示の一部の態様では、免疫抑制療法は、例えば、ルキソリチニブ、全身性コルチコステロイドである。一部の態様では、本開示は、対象におけるGvHD誘発性腸損傷を治療する方法を提供し、方法は、治療上有効量のカルシニューリン阻害剤の投与の前、同時、または後に、対象にアプラグルチドを投与することを含む。
【0127】
本開示は、対象に、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩、および少なくとも一つの化学療法の組み合わせを投与することを含む、癌を治療する方法を提供する。
【0128】
一部の態様では、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩の投与は、対象における化学療法誘発性腸損傷を治療することができる。したがって、本開示は、対象における化学療法誘発性腸損傷を治療する方法を提供し、方法は、対象に、少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。本開示は、それを必要とする対象における化学療法誘発性腸損傷を治療する方法を提供し、方法は、対象に、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む。本開示は、対象における化学療法誘発性腸損傷の治療における使用のためのアプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0129】
本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、治療上有効量の条件づけ療法の投与の前、同時、または後に、対象に治療上有効量のアプラグルチドを投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、治療上有効量の条件づけ療法の投与の前、同時、または後に、対象にアプラグルチドを投与することを含む。本開示の一部の態様では、条件づけ療法は、例えば、化学療法である。一部の態様では、化学療法は、併用療法を含む。
【0130】
本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量のアプラグルチド;およびb)移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量の条件づけ療法;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)療上有効量の放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)移植を投与することを含む。
【0131】
本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)アプラグルチド;およびb)移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)条件づけ療法;b)アプラグルチド;およびc)移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)アプラグルチド;およびc)移植を投与することを含む。
【0132】
本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量のアプラグルチド;およびb)同種移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量の条件づけ療法;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)同種移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)療上有効量の放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)同種移植を投与することを含む。
【0133】
本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)アプラグルチド;およびb)同種移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)条件づけ療法;b)アプラグルチド;およびc)同種移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)アプラグルチド;およびc)同種移植を投与することを含む。
【0134】
本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量のアプラグルチド;およびb)自家移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量の条件づけ療法;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)自家移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)療上有効量の放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)自家移植を投与することを含む。
【0135】
本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)アプラグルチド;およびb)自家移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)条件づけ療法;b)アプラグルチド;およびc)自家移植を投与することを含む。本開示は、対象における癌を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)アプラグルチド;およびc)自家移植を投与することを含む。
【0136】
GvHDに対するアプラグルチドの本開示の効果は、抗癌療法の文脈において有用であり得る。この文脈で生じるGvHDは、抗癌療法関連GvHDと呼ぶこともできる。アプラグルチドの本開示の効果から利益を得ることができる典型的な抗癌療法は、条件づけ療法の投与、および同種移植または自家移植のその後の投与などの、同種移植または自家移植の対象への投与を含むものである。この文脈において、アプラグルチドをさらに投与することが有利であり得る。例えば、アプラグルチドは、条件づけ療法の投与と、対象への同種移植または自家移植の投与の間など、同種移植または自家移植の投与前に投与することができる。
【0137】
したがって、本開示は、対象における抗癌療法関連GvHDの治療または予防における使用のためのアプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0138】
本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量のアプラグルチド;およびb)移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量の条件づけ療法;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)療上有効量の放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)移植を投与することを含む。
【0139】
本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)アプラグルチド;およびb)移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)条件づけ療法;b)アプラグルチド;およびc)移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)アプラグルチド;およびc)移植を投与することを含む。
【0140】
【0141】
本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量のアプラグルチド;およびb)同種移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量の条件づけ療法;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)同種移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)療上有効量の放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)同種移植を投与することを含む。
【0142】
本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)アプラグルチド;およびb)同種移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)条件づけ療法;b)アプラグルチド;およびc)同種移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)アプラグルチド;およびc)同種移植を投与することを含む。
【0143】
本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量のアプラグルチド;およびb)自家移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)治療上有効量の条件づけ療法;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)自家移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)療上有効量の放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)治療上有効量のアプラグルチド;およびc)自家移植を投与することを含む。
【0144】
本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)アプラグルチド;およびb)自家移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)条件づけ療法;b)アプラグルチド;およびc)自家移植を投与することを含む。本開示は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、a)放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせ;b)アプラグルチド;およびc)自家移植を投与することを含む。
【0145】
本明細書に記載される使用方法のいずれかにおいて、アプラグルチドへの言及は、アプラグルチドの医薬的に許容可能な塩も包含する。
【0146】
本明細書に記載される方法または使用の一部の態様では、対象は、アプラグルチドの投与の前、ルキソリチニブを既に投与されていてもよい。
【0147】
本明細書に記載される方法または使用のいずれかにおいて、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、少なくとも一つの第二の有効な剤と組み合わせて投与することができる。一部の態様では、少なくとも一つの第二の有効な剤は、ルキソリチニブであり得る。一部の態様では、少なくとも一つの第二の有効な剤は、カルシニューリン阻害剤であり得る。
【0148】
本明細書に記載される方法および使用の一部の態様では、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、本明細書に記載される別の治療的介入(例えば、移植、条件づけ療法、化学療法、第二の有効な剤など)と近い時間に投与することができる。
【0149】
本開示の方法および使用の一部の態様では、移植は、造血幹細胞を含むことができる。一部の態様では、造血幹細胞は、骨髄、末梢血、臍帯血またはその任意の組み合わせに由来し得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、移植は、同種移植または自家移植であり得る。
【0150】
本開示の方法および使用の一部の態様では、同種移植は、同種造血幹細胞を含むことができる。一部の態様では、同種造血幹細胞は、骨髄、末梢血、臍帯血またはその任意の組み合わせに由来し得る。
【0151】
本開示の方法および使用の一部の態様では、自家移植は、造血幹細胞を含むことができる。一部の態様では、自家造血幹細胞は、骨髄、末梢血、臍帯血またはその任意の組み合わせに由来し得る。
【0152】
本開示の方法および使用の一部の態様では、移植は、T細胞を含むことができる。一部の態様では、T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞であり得る。
【0153】
本開示の方法および使用の一部の態様では、同種移植は、同種T細胞を含むことができる。一部の態様では、同種T細胞は、同種キメラ抗原受容体(CAR)T細胞であり得る。本開示の方法および使用の一部の態様では、自家移植は、自家T細胞を含むことができる。一部の態様では、自家T細胞は、自家キメラ抗原受容体(CAR)T細胞であり得る。
【0154】
本開示では、同種移植は、同種造血幹細胞の移植を含むことができる。同種造血幹細胞は、骨髄、末梢血、臍帯血またはその任意の組み合わせに由来し得る。
【0155】
本開示では、同種移植は、同種T細胞の移植を含むことができる。同種T細胞は、同種キメラ抗原受容体(CAR)T細胞であり得る。
【0156】
本開示では、自家移植は、自家造血幹細胞の移植を含むことができる。自家造血幹細胞は、骨髄、末梢血、臍帯血またはその任意の組み合わせに由来し得る。
【0157】
本開示では、自家移植は、自家T細胞の移植を含むことができる。自家T細胞は、同種キメラ抗原受容体(CAR)T細胞であり得る。
【0158】
本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドの医薬的に許容可能な塩は、アプラグルチドのナトリウム塩であり得る。
【0159】
本開示では、アプラグルチドの医薬的に許容可能な塩は、アプラグルチドのナトリウム塩などの、塩基付加塩であり得る。
【0160】
本開示の方法および使用の一部の態様では、アプラグルチドは、医薬組成物の一部として投与することができる。アプラグルチドの医薬組成物は、任意の医薬的に許容可能な担体および/または賦形剤を含み得る。医薬的に許容可能な担体および/または賦形剤の非限定的な例としては、マンニトール、グリシン、L-ヒスチジンまたはその任意の組み合わせが挙げられる。
【0161】
したがって、本明細書に記載される方法および使用の一部の態様では、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩は、医薬組成物の一部として投与され、医薬組成物は、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩、マンニトール、グリシンおよびL-ヒスチジンを含む。
【0162】
本開示では、アプラグルチドは、医薬組成物の一部であり得る。医薬組成物は、任意の医薬的に許容可能な担体および/または賦形剤をさらに含むことができる。医薬的に許容可能な担体および/または賦形剤の非限定的な例としては、マンニトール、グリシン、L-ヒスチジンまたはその任意の組み合わせが挙げられる。
【0163】
定義
別途明示的に示されない限り、用語「アプラグルチド」は、以下の構造を有する化合物を指す:
【化1】
【0164】
当業者によって理解されるように、アプラグルチドは、His-Gly-Asp-Gly-Ser-Phe-Ser-Asp-Glu-Nle-D-Phe-Thr-Ile-Leu-Asp-Leu-Leu-Ala-Ala-Arg-Asp-Phe-Ile-Asn-Trp-Leu-Ile-Gln-Thr-Lys-Ile-Thr-Asp(配列番号1)(式中、Nleは、ノルロイシンであり、D-Pheは、D-アミノ酸フェニルアラニンである)のアミノ酸配列を有するGLP-2アゴニストである。
【0165】
アプラグルチドおよびその調製物は、PCT出願公開第2011/050174号、米国特許第8,580,918号、米国特許出願公開第2022-0000985 A1号およびPCT出願公開第2021/252659号に開示されている。これらの刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0166】
別途明示的に示されない限り、用語「およそ」および「約」は、同義語である。一部の態様では、「およそ」および「約」は、列挙された量、値、または持続時間±5%、±4.5%、±4%、±3.5%、±3%、±2.5%、±2%、±1.75%、±1.5%、±1.25%、±1%、±0.9%、±0.8%、±0.7%、±0.6%、±0.5%、±0.4%、±0.3%、±0.2%、±0.1%、±0.09%、±0.08%、±0.07%、±0.06%、±0.05%、±0.04%、±0.03%、±0.02%、または±0.01%を指す。一部の態様では、「およそ」および「約」は、列挙された量、値、または持続時間±2.5%、±2%、±1.75%、±1.5%、±1.25%、±1%、±0.9%、±0.8%、±0.7%、±0.6%、±0.5%を指す。一部の態様では、「およそ」および「約」は、列挙された量、値、または持続時間±1%を指す。一部の態様では、「およそ」および「約」は、列挙された量、値、または持続時間±0.5%を指す。一部の態様では、「およそ」および「約」は、列挙された量、値、または持続時間±0.1%を指す。
【0167】
当業者によって理解されるように、用語「移植片対宿主病」または「GvHD」は、同種移植または自家移植(例えば、HSCT)後に対象で生じる状態を指し、ここで、同種移植または自家移植材料(「移植片」と呼ばれる)に提示される免疫細胞が、移植レシピエント自身の組織を攻撃する。当業者によって理解されるように、GvHDは、Biol Blood Marrow Transplant.2016;22(1):4-10に記載される、MAGIC類別スケールを使用して分類されてもよい。
【0168】
当業者によって理解されるように、「急性移植片対宿主病」、「急性GvHD」、「古典的急性移植片対宿主病」および「古典的急性GvHD」という用語は、移植後約100日以内に移植レシピエントで生じ、皮膚、口腔および生殖器粘膜、目、腸、肝臓、肺、関節、ならびに筋肉における炎症および組織損傷を含むが、これらに限定されない、急性移植片対宿主病と典型的には関連する臨床的特徴を呈する移植片対宿主病を指す。
【0169】
当業者によって理解されるように、「後期急性移植片対宿主病」または「後期急性GvHD」という用語は、急性移植片対宿主病の臨床的特徴を呈するが、移植後100日以上経過している、移植片対宿主病の形態である、持続性急性移植片対宿主病、再発性急性移植片対宿主病、および/または新規発症急性移植片対宿主病の状態を指す。
【0170】
当業者によって理解されるように、「急性胃腸移植片対宿主病」および「急性消化管GvHD」という用語は、下痢、腹痛、粘膜炎、粘膜潰瘍、吐き気、結腸の短縮、小腸の短縮を含むが、これに限定されない、胃腸症状および/または損傷を有する対象に現れる、上記の急性GvHDの任意の形態を指す。
【0171】
当業者によって理解されるように、「ステロイド抵抗性」、「ステロイド抵抗性GvHD」、および「SR-GvHD」という用語は、ステロイド療法を使用して既に治療されたが、ステロイド療法に対して不応性となっているGvHDを指す。したがって、非限定的な例では、ステロイド抵抗性急性消化管GvHDは、ステロイド療法を使用して既に治療されたが、ステロイド療法に不応性になっている急性消化管GvHDを指す。一部の態様では、ステロイド抵抗性GvHDを有する対象は、ルキソリチニブを含む医薬組成物を投与される。一部の態様では、ステロイド抵抗性GvHDを有する対象は、アプラグルチドを含む医薬組成物を投与される。一部の態様では、ステロイド抵抗性GvHDを有する対象に、治療上有効量の免疫抑制療法の投与の前、同時、または後に、治療上有効量のアプラグルチドが投与される。一部の態様では、ステロイド抵抗性GvHDを有する対象に、治療上有効量のルキソリチニブおよび/または全身性ステロイドの投与の前、同時、または後に、治療上有効量のアプラグルチドが投与される。
【0172】
当業者によって理解されるように、「ステロイド未感作」という用語は、ステロイド療法を使用して既に治療されていないGvHDを指す。したがって、非限定的な例では、ステロイド未感作急性消化管GvHDは、ステロイド療法を使用して既に治療されていない急性消化管GvHDを指す。
【0173】
当業者によって理解されるように、「慢性移植片対宿主病」または「慢性GvHD」という用語は、移植の100日より後に発症し、外分泌腺の結合組織への損傷、組織線維症および関節の運動性の制限、肺および肝臓の線維症、免疫調節異常ならびに自己免疫を含むが、これらに限定されない、慢性移植片対宿主病と典型的には関連する臨床的特徴を呈する移植片対宿主病を指す。
【0174】
当業者によって理解されるように、「慢性胃腸移植片対宿主病」および「慢性消化管GvHD」という用語は、下痢、腹痛、粘膜炎、粘膜潰瘍、吐き気、結腸の短縮、小腸の短縮を含むが、これに限定されない、胃腸症状および/または損傷を有する対象に現れる、上記の慢性GvHDの任意の形態を指す。
【0175】
当業者によって理解されるように、「オーバーラップ症候群」という用語は、移植後いつでも存在し得、急性移植片対宿主病と慢性移植片対宿主病の両方の臨床的特徴を呈する、移植片対宿主病を指す。
【0176】
当業者によって理解されるように、「上部腸移植片対宿主病」、「上部腸GvHD」、「上部腸GvHD表現型」および「GvHDの上部腸表現型」は、様々な量の下痢を伴う、持続的な食欲喪失、満腹感、吐き気、嘔吐、および体重減少を呈する、移植片対宿主病を指す。症状は緩徐であり得、1mg/kg/日の用量のプレドニゾンおよび局所経口コルチコステロイドを用いた療法が有効である。一部の態様では、上部腸GvHD表現型は、中下部腸GvHD表現型には進行しない。一部の態様では、上部腸GvHD表現型は、GvHDのグレードIに限定される。
【0177】
当業者によって理解されるように、「中下部腸移植片対宿主病」、「中下部腸GvHD」、「中下部腸GvHD表現型」および「GvHDの中下部腸表現型」という用語は、腸膨張から生じる分泌性タンパク質豊富および胆汁酸塩の下痢および腹痛を呈する移植片対宿主病を指す。一部の態様では、中下部腸GvHDは、重度であり、小腸および結腸全体が、対象は、より大きな下痢体積ならびに粘膜潰瘍および出血の証拠を伴う、浮腫性および炎症を呈する。一部の態様では、重度の中下部腸GvHDを有する対象は、完全非経口栄養および疼痛制御を含む支持療法のための長期入院を必要とする。一部の態様では、重度の中下部腸GvHDを有する対象は、他の免疫抑制療法を伴うかまたは伴わないプレドニゾンを含む標準的な初期療法を必要とする。
【0178】
当業者によって理解されるように、用語「GI-aGVHD応答」は、割り当てられたアプラグルチド処置の中断、新しい全身療法の開始、または死亡の介入性事象のないGI-aGVHDの徴候および症状の一つのステージの減少を指す。一部の態様では、完全なGI-aGVHD応答は、割り当てられたアプラグルチド処置の中断、新規の全身療法の開始、または死亡の介入性事象を伴わない、すべてのGI-aGVHDの徴候および症状のGVHDの消失を指す。一部の態様では、部分応答は、aGVHDの早期進行、混合応答または非応答のためのさらなる全身療法を投与することなく、他の器官または部位での進行を伴わない、aGVHDの徴候または症状に関与する一つまたは複数の器官における1つのステージの改善を指す。一部の態様では、GI-aGVHD紅斑は、初期応答後>24時間持続し、再漸増の免疫抑制療法(例えば、コルチコステロイド、カルシニューリン阻害剤、および/またはルキソリチニブ投与)を必要とするGI-aGVHDの徴候または症状の任意の増加を指す。
【0179】
用語「対象」は、GvHDを有するか、またはGvHDを発症するリスクがある任意の生きている生物を含む。一部の態様では、用語「対象」は、GvHDを有する、またはGvHDを発症するリスクがある哺乳動物を指す。一部の態様では、用語対象は、GvHDを有する、またはGvHDを発症するリスクがあるヒトを指す。GvHDを発症するリスクがあるヒトは、移植(同種または自家)を受けるべきである、現在受けている、または既に受けたヒトであり得る。GvHDを発症するリスクがあるヒトは、HSCTに関連して条件づけ療法を受けるべきである、現在受けている、または既に受けたヒトであり得る。
【0180】
用語「患者」は、明示的に別段の示されない限り、「対象」と同義であり、互換的に使用され得る。
【0181】
用語「同種」は、レシピエントに移植されるべきドナーから単離された生物学的物質を指し、ドナーおよびレシピエントは、二つの異なる対象である。
【0182】
用語「自家」は、レシピエントに移植されるべきドナーから単離された生物学的物質を指し、ドナーおよびレシピエントは、同じ対象である。
【0183】
用語「条件づけ療法」は、HSCTの前に対象に通常投与される全身照射、化学療法、または放射線様療法などの放射線療法の使用を指す。当業者によって理解されるように、条件づけ療法の目的は、a)HSCTによる使用で治療されるべき基礎疾患(例えば、癌、血液癌)の根絶、b)ドナー幹細胞が生着するための骨髄内の空間の生成、およびc)宿主細胞によるドナー細胞の拒絶のリスクを減少させるための免疫抑制を含む。本明細書において使用される場合、条件づけ療法は、全身照射を含むが、これらに限定されない、当該技術分野で公知の任意の条件づけ療法を指すことができる。用語「放射線様療法」は、放射線の作用を模倣する当該技術分野で公知の任意の薬物、化合物または処置を指す。当業者によって理解されるように、化学療法は、治療上有効量の少なくとも一つの化学療法剤の投与を含む。一部の態様では、少なくとも一つの化学療法剤は、アクチノマイシン、全てのトランスレチノイン酸、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブチル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンを含み得るが、これらに限定されない。一部の態様では、少なくとも一つの化学療法剤は、シタラビンを含む。一部の態様では、少なくとも一つの化学療法剤は、メルファランを含む。
【0184】
本明細書において使用される場合、用語「治療すること」または「治療する」は、疾患、状態、または障害と闘う目的の対象の管理およびケアを記載し、疾患、状態もしくは障害の症状または合併症を緩和するか、または疾患、状態もしくは障害を排除するための、本開示の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩、多形もしくは溶媒和物の投与を含む。用語「治療する」はまた、インビトロまたは動物モデルでの細胞の治療を含み得る。
【0185】
「治療すること」または「治療」への言及は、状態の確立した症状の軽減を含むことは理解されるべきである。したがって、状態、障害または状態の「治療すること」または「治療」は、(1)状態、障害もしくは状態に罹患するか、素因となり得るが、状態、障害もしくは状態の臨床症状または無症状をまだ経験していないヒトにおいて発症する状態、障害もしくは状態の臨床症状の出現を遅延させること、(2)状態、障害もしくは状態を阻害すること、すなわち、疾患もしくはその再発(管理治療の場合)またはその少なくとも一つの臨床症状もしくは無症状の発症を停止させる、低減するか、もしくは遅延させること、あるいは(3)疾患を軽減することまたは減弱すること、すなわち、状態、障害もしくは状態またはその臨床症状もしくは無症状の少なくとも一つの退縮を引き起こすことを含む。
【0186】
本明細書において使用される場合、用語「予防すること」、「予防する」または「対して保護すること」は、このような疾患、状態または障害の症状または合併症の発症を低減または除去することを記載する。
【0187】
本明細書において使用される場合、用語「治療上有効量」は、特定された疾患もしくは状態、例えば、GvHDを治療もしくは予防するか、または検出可能な治療もしくは阻害作用を呈するための、医薬剤、例えば、アプラグルチドなどの量を指す。作用は、当該技術分野で公知の任意のアッセイ方法によって検出することができる。対象のための正確な有効量は、対象の体重、サイズ、および健康;状態の性質および程度;ならびに投与のため選択された治療剤または治療剤の組み合わせに依存する。所定の状況についての治療上有効量は、臨床医の技能および判断の範囲内にある日常的な実験によって決定することができる。
【0188】
任意の化合物について、治療上有効量は、動物モデル、通常、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、またはブタにおいて推定することができる。動物モデルを使用して、適切な濃度範囲および投与経路を決定してもよい。次いで、このような情報を使用して、ヒトにおける投与に有用な用量および経路を決定することができる。治療/予防的有効性および毒性は、細胞培養または実験動物における標準的な医薬的手法、例えば、ED50(集団の50%における治療上有効な用量)およびLD50(集団の50%に致死的な用量)によって決定されてもよい。毒性と治療効果の間の用量比は、治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。投薬量は、用いられる投薬形態および対象の感受性に応じて、この範囲内で変化し得る。
【0189】
本明細書で使用される場合、用語「投与する」、「投与すること」、「投与」などは、所望の生物学的作用部位への組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法は、関節内(関節中)、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、経口、局所的、くも膜下腔内、吸入、経皮、直腸などを含むが、これらに限定されない。本明細書に記載される薬剤および方法と共に利用され得る投与技術は、例えば、Goodman and Gilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,current ed.;Pergamon;and Remington’s,Pharmaceutical Sciences(current edition),Mack Publishing Co.,Easton,Paにおいて見出される。
【0190】
さらに、アプラグルチドは、他の治療剤と同時投与することができる。本明細書において使用される場合、用語「同時投与」、「組み合わせて投与される」、およびそれらの文法的に同等なものは、単一の対象への二つ以上の治療剤の投与を包含することを意味し、薬剤が、同一もしくは異なる投与経路によって、または同一もしくは異なる時間に投与される治療レジメンを含むことが意図される。一部の態様では、アプラグルチドは、他の薬剤と同時投与される。これらの用語は、薬剤および/またはその代謝産物の両方が、対象に同時に存在するように、対象への二つ以上の薬剤の投与を含む。これらは、別個の組成物における同時投与、別個の組成物における異なる時間点での投与、および/または両方の薬剤が存在する組成物(すなわち、共製剤)における投与を含む。したがって、本明細書に記載される化合物および他の薬剤は、単一の組成物において投与されてもよい。
【0191】
特定の投与方法および投与レジメンは、症例の詳細(例えば、対象、疾患、関与する疾患状態、特定の治療)を考慮して、担当医によって選択される。治療は、数日から数ヶ月、または数年の期間にわたる一日もしくは複数日または一日未満(例えば、週一回もしくは月一回など)の用量を含むことができる。しかしながら、当業者であれば、限定されるものではないが、短腸症候群を含む、他の疾患および状態の治療に使用されるアプラグルチドの投薬量を調べる適切および/または同等の用量をすぐに認識するであろう。
【0192】
用量は、概して、約1週間~約100週間の間、一週間当たり約1mg~約10mgの範囲である。一部の態様では、週の用量は、約1mg~10mgである。一部の態様では、対象は、約1週間~約100週間、約1週間~約80週間、約1週間~約60週間、約1週間~約48週間、約1週間~約26週間、約1週間~約13週間、約1週間~約8週間、約2週間~約24週間、約2週間~約20週間、または約2週間~約16週間投与される。一部の態様では、対象は、約1mg~約30mgの週の用量範囲を投与されてもよい。一部の態様では、対象は、約1mg~約28.4mgの週の用量範囲を投与されてもよい。一部の態様では、対象は、約10mg週に一回投与されてもよい。一部の態様では、対象は、約5mg週に一回投与されてもよい。一部の態様では、対象は、約2.5mg週に一回投与されてもよい。一部の態様では、対象は、約1mg週に一回投与されてもよい。例えば、対象は、週に約一回用量を投与されてもよい。対象は、二週間に約一回または月に約二回、用量を投与されてもよい。二週間に約一回または月に約二回。体重が50kg未満の患者に2.5mgの量でアプラグルチドを投与して、高曝露を防止することができる。一部の態様では、体重が50kg以上の患者は、5mg以上の量でアプラグルチドを投与することができる。
【0193】
一部の態様では、体重が50kg~60kgの対象は、約2.5mg~約5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が50kg~60kgの対象は、約2.5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が50kg~60kgの対象は、約5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。
【0194】
一部の態様では、体重が50kg~60kgの対象は、一週間当たり約2.5mg~約5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が50kg~60kgの対象は、一週間当たり約2.5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が50kg~60kgの対象は、一週間当たり約5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。
【0195】
一部の態様では、体重が60kg~80kgの対象は、約3.75mg~約7.5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が60kg~80kgの対象は、約4mg~約7.5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が60kg~80kgの対象は、約3.75mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が60kg~80kgの対象は、約4mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が60kg~80kgの対象は、約7.5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。
【0196】
一部の態様では、体重が60kg~80kgの対象は、一週間当たり約3.75mg~約7.5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が60kg~80kgの対象は、一週間当たり約4mg~約7.5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が60kg~80kgの対象は、約3.75mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が60kg~80kgの対象は、一週間当たり約4mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が60kg~80kgの対象は、一週間当たり約7.5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。
【0197】
一部の態様では、体重が80kg以上の対象は、約5mg~約10mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が80kg以上の対象は、約5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が80kg以上の対象は、約10mgの量でアプラグルチドを投与することができる。
【0198】
一部の態様では、体重が80kg以上の対象は、一週間当たり約5mg~約10mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が80kg以上の対象は、一週間当たり約5mgの量でアプラグルチドを投与することができる。一部の態様では、体重が80kg以上の対象は、一週間当たり約10mgの量でアプラグルチドを投与することができる。
【0199】
一部の態様では、対象は、約1mg~約60mgの単一用量範囲を投与されてもよい。一部の態様では、対象は、約1mg~約56.9mgの単一用量範囲を投与されてもよい。
【0200】
一部の態様では、アプラグルチドは、少なくとも約0.5、または少なくとも約1mg、または少なくとも約1.5mg、または少なくとも約2mg、または少なくとも約2.5mg、または少なくとも約3mg、または少なくとも約3.5mg、または少なくとも約4mg、または少なくとも約4.5mg、または少なくとも約5mg、または少なくとも約5.5mg、または少なくとも約6mg、または少なくとも約6.5mg、または少なくとも約7mg、または少なくとも約7.5mg、または少なくとも約8mg、または少なくとも約8.5mg、または少なくとも約9mg、または少なくとも約9.5mg、または少なくとも約10mg、または少なくとも約10.5mg、または少なくとも約11mg、または少なくとも約11.5mg、または少なくとも約12mg、または少なくとも約12.5mg、または少なくとも約13mg、または少なくとも約13.5mg、または少なくとも約14mg、または少なくとも約14.5mg、または少なくとも約15mg、または少なくとも約15.5mg、または少なくとも約16mg、または少なくとも約16.5mg、または少なくとも約17mg、または少なくとも約17.5mg、または少なくとも約18mg、または少なくとも約18.5mg、または少なくとも約19mg、または少なくとも約19.5mg、または少なくとも約20mgの量で対象に投与することができる。
【0201】
一部の態様では、アプラグルチドは、約0.5、または約1mg、または約1.5mg、または約2mg、または約2.5mg、または約3mg、または約3.5mg、または約4mg、または約4.5mg、または約5mg、または約5.5mg、または約6mg、または約6.5mg、または約7mg、または約7.5mg、または約8mg、または約8.5mg、または約9mg、または約9.5mg、または約10mg、または約10.5mg、または約11mg、または約11.5mg、または約12mg、または約12.5mg、または約13mg、または約13.5mg、または約14mg、または約14.5mg、または約15mg、または約15.5mg、または約16mg、または少なくとも約16.5mg、または約17mg、または約17.5mg、または約18mg、または約18.5mg、または約19mg、または約19.5mg、または約20mgの量で対象に投与することができる。
【0202】
一部の態様では、アプラグルチドは、一日一回、一日二回、二日一回、三日に一回、四日に一回、五日に一回、六日に一回、7日に一回(一週間に一回)、8日に一回、9日に一回、10日に一回、11日に一回、12日に一回、13日に一回、14日に一回(二週間に一回)、15日に一回、16日に一回、17日に一回、18日に一回、19日に一回、20日に一回、21日に一回(三週間に一回)、22日に一回、23日に一回、24日に一回、25日に一回、26日に一回、27日に一回、28日に一回(四週間に一回)、または一ヶ月に一回対象に投与することができる。
【0203】
アプラグルチドおよび/またはその医薬的に許容可能な塩を含む医薬組成物は、少なくとも一つの医薬的に許容可能な担体をさらに含んでもよい。一部の態様では、少なくとも一つの医薬的に許容可能な担体は、医薬的に許容可能なビヒクルおよび医薬的に許容可能なアジュバントから選択される。一部の態様では、少なくとも一つの医薬的に許容可能な担体は、医薬的に許容可能な充填剤、崩壊剤、界面活性剤、結合剤、潤滑剤から選択される。本明細書で使用される場合、用語「少なくとも一つの医薬的に許容可能な担体」は、所望の特定の投薬形態に好適な任意およびすべての溶媒、希釈剤、他の液体ビヒクル、分散補助剤、懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存剤、固体結合剤、および滑沢剤を含む。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,2005,ed.D.B.Troy,Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphia,and Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988-1999,Marcel Dekker,New Yorkは、医薬組成物の製剤に使用される様々な担体およびその調製のための公知の技術を開示している。任意の従来の担体が、任意の望ましくない生物学的作用を産生すること、またはそうでなければ医薬組成物の任意の他の成分(複数可)と有害な様式で相互作用することによって、アプラグルチドと不適合である場合を除き、その使用は、本開示の範囲内であることが企図される。適切な医薬的に許容可能な担体の非限定的な例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、およびソルビン酸カリウムなど)、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩、ならびに電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、および亜鉛塩など)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ウール脂肪、糖(ラクトース、グルコースおよびスクロースなど)、デンプン(トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなど)、セルロースおよびその誘導体(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど)、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、賦形剤(ココアバターおよび座剤ワックスなど)、油(ピーナッツ油、綿実油、サフラン油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油など)、グリコール(プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなど)、エステル(オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど)、寒天、緩衝剤(水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど)、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、無毒性の適合性滑沢剤(ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど)、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、保存剤、ならびに酸化防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。一部の態様では、少なくとも一つの医薬的に許容可能な担体は、グリシン、L-ヒスチジン、マンニトール、および水酸化ナトリウムから選択される。
【0204】
本明細書に教示される化合物または対応する医薬組成物は、当業者によって理解されるように、選択された投与経路に応じて様々な形態で患者に投与することができる。本教示の化合物は、例えば、経口、非経口、口腔、舌下、鼻、直腸、パッチ、ポンプまたは経皮投与およびそれに応じて製剤化された医薬組成物によって投与されてもよい。非経口投与には、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮的、経鼻、肺内、くも膜下腔内、直腸および局所投与様式が含まれる。非経口投与は、選択された期間にわたる持続点滴によって行うことができる。
【0205】
本出願の医薬組成物は、その意図される投与経路に適合するように製剤化される。組成物は、ヒトへの静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻腔内、または局所投与に適合した医薬組成物として、日常的な手法に従って製剤化されてもよい。好ましい態様では、医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化される。
【0206】
経口治療投与は、賦形剤と共に組み込まれてもよく、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウエハなどの形態で使用されてもよい。
【0207】
非経口投与は、一般に、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中で調製されてもよい。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSOおよびアルコールの有無に関わらずその混合物、および油中で調製することができる。通常の保存および使用条件下で、これらの調製物は、微生物の成長を防止するための保存剤を含有する。
【0208】
注射可能な投与は、滅菌水溶液またはその分散液として調製されてもよく、滅菌注射溶液または分散液の即時調製のためのアプラグルチドの滅菌粉末が、適切である。
【0209】
アプラグルチドは、皮下注射を介して投与することができる。例えば、アプラグルチドは、単回用量のボーラス皮下注射を介して投与することができる。
【0210】
アプラグルチドは、二つのチャンバーのシリンジまたは二重カートリッジの注入器を介して投与することができる。このようなシリンジの一例は、PCT/EP2012/000787に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0211】
GLP-2アゴニスト、例えば、アプラグルチドは、例えば、注射によって非経口投与されてもよい。非経口投与に適した製剤としては、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にさせる溶質を含有し得る水性および非水性等張等調滅菌注射液、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および保存剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。注射用溶液用の液体担体としては、例として、水、生理食塩水、水性デキストロースおよびグリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0212】
アプラグルチドは、医薬組成物の一部として投与することができる。アプラグルチドの医薬組成物は、任意の医薬的に許容可能な担体および/または賦形剤を含み得る。アプラグルチドの医薬組成物は、グリシン、L-ヒスチジン、マンニトール、および任意のその組み合わせを含み得る。
【0213】
用語「癌」および「癌性」は、典型的には非制御性細胞増殖によって特徴付けられる哺乳類の生理学的状態を指すか、または記載する。この定義には、良性および悪性の癌が含まれる。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、白血病および胚細胞性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。このような癌のより具体的な例としては、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、新純性乳癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管細胞癌、腸腺癌、リンパ系新生物びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道癌、多形神経膠芽腫、頭頸部扁平上皮癌、腎臓非染色性細胞、腎淡明細胞癌、腎乳頭細胞癌、急性骨髄性白血病、脳の低いグレードのグリオーマ、肝細胞癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵腺癌、褐色細胞腫、傍神経節腫、前立腺癌、直腸腺癌、肉腫、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣胚細胞腫瘍、甲状腺癌腫、胸腺腫、子宮癌肉腫、ぶどう膜黒色腫が挙げられる。他の例としては、乳癌、肺癌、リンパ腫、メラノーマ、肝臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、腎臓癌または胃癌が挙げられる。癌のさらなる例としては、神経内分泌癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、胆道癌、食道癌、肛門癌、唾液腺癌、外陰癌、子宮頸癌、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎腫瘍、肛門癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、腸癌、脳腫瘍、乳癌、原発不明癌(CUP)、骨に広がった癌、脳に広がった癌、肝臓に広がった癌、肺に広がった癌、カルチノイド、子宮頸癌、小児癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸癌、耳の癌、子宮内膜癌、目の癌、濾胞樹状細胞肉腫、胆嚢癌、胃癌、胃食道接合部癌、胚細胞性腫瘍、妊娠性絨毛性疾患(GIT))、ヘアリーセル白血病、頭頸部癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、白血病、胃形成性胃炎、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、悪性シュワン細胞腫、縦隔胚細胞性腫瘍、メラノーマ皮膚癌、男性の癌、メルケル細胞皮膚癌、中皮腫、奇胎妊娠、口および中咽頭癌、ミエローマ、鼻および副鼻腔癌、鼻咽頭癌、ニューロブラストーマ、神経内分泌腫瘍、非ホジキンリンパ腫(NHL)、食道癌、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、存続絨毛症および絨毛癌、褐色細胞腫、前立腺癌、腹膜偽粘液腫、直腸癌、網膜芽細胞腫、唾液腺癌、二次癌、印環細胞癌、皮膚癌、小腸癌、軟部組織肉腫、胃癌、T細胞小児非ホジキンリンパ腫(NHL)、精巣癌、胸腺腺癌、甲状腺癌、舌癌、扁桃癌、副腎腫瘍、子宮癌、膣癌、外陰部癌、ウィルムス腫瘍、子宮癌、および婦人科癌が挙げられる。癌の例としてはまた、血液系腫瘍、リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、抹消T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、胆道癌、肝細胞癌、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、甲状腺癌腫、腎細胞癌腫、膵臓癌、膀胱癌、皮膚癌、悪性黒色腫、メルケル細胞癌、ブドウ膜黒色腫または多形神経膠芽腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
一部の態様では、癌は、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、白血病、脳癌、乳癌、血液癌、骨癌、肺癌、皮膚癌、肝臓癌、卵巣癌、膀胱癌、腎臓癌、腎臓癌、胃癌、甲状腺癌、膵臓癌、食道癌、前立腺癌、子宮頸癌、子宮癌、胃癌、軟部組織癌、喉頭癌、小腸癌、精巣癌、肛門癌、外陰癌、関節癌、口腔癌、咽頭癌または結腸直腸癌である。
【0215】
一部の態様では、癌は、血液癌である。
【0216】
一部の態様では、癌は、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、慢性骨髄性白血病、T細胞非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性B細胞非ホジキンリンパ腫(非バーキット)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、胚細胞性腫瘍、ユーイング肉腫、軟部組織肉腫、ニューロブラストーマ、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、髄芽腫、急性前骨髄球性白血病、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、形質芽細胞性、慢性リンパ性白血病、乳癌および腎臓癌である。
【0217】
一部の態様では、疾患または障害は、異常ヘモグロビン症、先天性異常ヘモグロビン症、β重症型サラセミア(TM)、鎌状赤血球症(SCD)、重症再生不良性貧血、ファンコニ貧血、先天性角化異常症、ブラックファン・ダイアモンド貧血、サラセミア、先天性無巨核球性血小板減少症、重症複合免疫不全症、T細胞免疫不全、T細胞免疫不全-SCIDバリアント、ウィスコット・アルドリッチ症候群、血球貪食性障害、リンパ増殖性疾患、重症先天性好中球減少症、慢性肉芽腫症、食細胞障害、IPEX症候群、若年性関節リウマチ、全身性硬化症、自己免疫異常、免疫調節不全障害、ムコ多糖症、MPS-I、MPS-VI、大理石骨病、代謝性疾患、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ)、異染性白質ジストロフィー、脳X連鎖副腎白質ジストロフィー、骨髄線維症疾患、骨髄増殖性疾患、形質細胞障害、肥満細胞症、分類不能型免疫不全症、慢性肉芽腫症、多発性硬化症、全身性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、クローン病または多発性筋炎-皮膚筋炎である。
【0218】
本明細書で使用される場合、用語「時間的近接」は、ある治療組成物(例えば、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩)の投与が、ある治療剤の治療効果が、別の治療剤の治療効果と重複するように、別の治療組成物(例えば、移植、条件づけ療法、第二の有効な剤)の投与前または後の期間に生じることを指す。一部の実施形態では、ある治療剤の治療効果は、他の治療剤の治療効果と完全に重複する。一部の実施形態では、「時間的近接」は、ある治療剤の投与が、ある治療剤と他の治療剤の間に相乗効果があるように、別の治療剤の投与の前または後の期間に生じることを意味する。「時間的近接」は、治療剤が投与される対象の年齢、性別、体重、遺伝的背景、病状、病歴、および治療歴;治療または改善されるべき疾患または状態;達成されるべき治療結果;治療剤の投薬量、投薬頻度、および投薬持続時間;治療剤の薬物動態および薬力学;ならびに治療剤が投与される経路(複数可)を含むが、これらに限定されない、様々な要因に応じて変化し得る。一部の実施形態では、「時間的近接」は、15分以内、30分以内、一時間以内、二時間以内、四時間以内、六時間以内、八時間以内、12時間以内、18時間以内、24時間以内、36時間以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、6日以内、一週間以内、2週間以内、3週間以内、4週間以内、6週間以内、または8週間以内を意味する。一部の実施形態では、一つの治療剤の複数回の投与は、別の治療剤の単回投与との時間的近接で行うことができる。一部の実施形態では、時間的近接は、治療サイクルの間または投与レジメン内で変化してもよい。
【0219】
例示的実施形態
実施形態1.
対象における移植片対宿主病(GvHD)を治療または予防する方法であって、対象に少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドまたはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む、方法。
【0220】
実施形態2.
GvHDが、急性GvHDである、実施形態1に記載の方法。
【0221】
実施形態3.
GvHDが、急性消化管GvHDである、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
【0222】
実施形態4.
GvHDが、慢性GvHDである、実施形態1に記載の方法。
【0223】
実施形態5.
GvHDが、ステロイド抵抗性である、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0224】
実施形態6.
GvHDが、ステロイド未感作である、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0225】
実施形態7.
少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドが、対象が移植される前、対象に投与される、実施形態1~6のいずれか一つに記載の方法。
【0226】
実施形態8.
少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドが、対象が、移植に関連して放射線療法、化学療法、または放射線様療法を投与される前、投与される、実施形態1~7のいずれか一つに記載の方法。
【0227】
実施形態9.
対象が、既に移植されている、実施形態1~6のいずれか一つに記載の方法。
【0228】
実施形態10.
少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドが、対象が、移植された後、対象に投与される、実施形態9に記載の方法。
【0229】
実施形態11.
対象が、移植に関連して放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを既に投与されている、実施形態1~6および9~10のいずれか一つに記載の方法。
【0230】
実施形態12.
少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドが、対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを投与された後、対象に投与される、実施形態11に記載の方法。
【0231】
実施形態13.
少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドが、対象が、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを投与された後、対象が、移植される前、対象に投与される、実施形態11に記載の方法。
【0232】
実施形態14.
少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドが、移植と同時に対象に投与される、実施形態1~6のいずれか一つに記載の方法。
【0233】
実施形態15.
少なくとも一つの治療上有効量のアプラグルチドが、移植に関連して放射線療法、化学療法、放射線様療法、またはその任意の組み合わせと同時に対象に投与される、実施形態1~6のいずれか一つに記載の方法。
【0234】
実施形態16.
アプラグルチドの投与が、移植後の対象における結腸長の減少を防止および/または減弱する、実施形態1~15のいずれか一つに記載の方法。
【0235】
実施形態17.
アプラグルチドの投与が、条件づけ療法および移植後の対象における結腸長の減少を防止および/または減弱する、実施形態1~16のいずれか一つに記載の方法。
【0236】
実施形態18.
移植が、骨髄、末梢血、臍帯血またはその任意の組み合わせに由来する造血幹細胞を含む、実施形態1~17のいずれか一つに記載の方法。
【0237】
実施形態19.
移植が、T細胞を含む、実施形態1~18のいずれか一つに記載の方法。
【0238】
実施形態20.
T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞を含む、実施形態19に記載の方法。
【0239】
実施形態21.
放射線療法が、全身照射を含む、実施形態1~20のいずれか一つに記載の方法。
【0240】
実施形態22.
アプラグルチドの医薬的に許容可能な塩が、アプラグルチドのナトリウム塩である、実施形態1~21のいずれか一つに記載の方法。
【0241】
実施形態23.
アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩が、皮下注射によって投与される、実施形態1~22のいずれか一つに記載の方法。
【0242】
実施形態24.
アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩が、約1mg~約10mgの量で投与される、実施形態1~23のいずれか一つに記載の方法。
【0243】
実施形態25.
アプラグルチドが、約2.5mgの量で投与される、実施形態1~24のいずれか一つに記載の方法。
【0244】
実施形態26.
アプラグルチドが、約5mgの量で投与される、実施形態1~25のいずれか一つに記載の方法。
【0245】
実施形態27.
アプラグルチドが、約10mgの量で投与される、実施形態1~26のいずれか一つに記載の方法。
【0246】
実施形態28.
移植が、同種移植である、実施形態1~27のいずれか一つに記載の方法。
【0247】
実施形態29.
移植が、自家移植である、実施形態1~28のいずれか一つに記載の方法。
【0248】
実施形態30.
対象が、少なくとも一つの抗GvHD療法を既に投与されている、実施形態1~29のいずれか一つに記載の方法。
【0249】
実施形態31.
少なくとも一つの抗GvHD療法が、ステロイド療法を含む、実施形態30に記載の方法。
【0250】
実施形態32.
対象における移植片対宿主病(GvHD)を治療または予防するために使用するための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0251】
実施形態33.
使用が、GvHDを予防するためである、実施形態32に記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0252】
実施形態34.
GvHDが、急性GvHDである、実施形態32または33に記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0253】
実施形態35.
GvHDが、急性消化管GvHDである、実施形態34に記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0254】
実施形態36.
使用が、治療するためであり、GvHDが、ステロイド抵抗性急性消化管GvHDである、実施形態35に記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0255】
実施形態37.
続いて同種移植が投与されるよう指定された対象における、実施形態32~36のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0256】
実施形態38.
続いて同種移植に関連して放射線療法、化学療法、または放射線様療法が投与されるよう指定された対象における、実施形態6に記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0257】
実施形態39.
同種移植が既に投与された対象における、実施形態32~36のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0258】
実施形態40.
対象が、同種移植に関連して、放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを既に投与されている、実施形態32~35および38~39のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0259】
実施形態41.
放射線療法、化学療法、放射線様療法またはその任意の組み合わせを投与され、続いて同種移植が投与されるよう指定された対象における、実施形態40に記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0260】
実施形態42.
同種移植が同時に投与されるよう指定された対象における、実施形態32~36のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0261】
実施形態43.
同種移植に関連して放射線療法、化学療法、放射線様療法、またはその任意の組み合わせと同時に投与されるよう指定された対象における、実施形態32~36のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0262】
実施形態44.
GvHDの治療または予防が、続いて同種移植を投与されるよう指定されるか、または同種移植を既に投与された対象における結腸長の減少を防止および/または減弱することを含む、実施形態32~43のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0263】
実施形態45.
GvHDの治療または予防が、続いて条件づけ療法および同時移植を投与されるよう指定されるか、または条件づけ療法および同時移植を既に投与された対象における結腸長の減少を防止および/または減弱することを含む、実施形態32~44のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0264】
実施形態46.
同種移植が、骨髄、末梢血、臍帯血またはその任意の組み合わせに由来する同種造血幹細胞の移植を含む、実施形態37~45のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0265】
実施形態47.
同種移植が、同種T細胞の移植を含む、実施形態37~45のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0266】
実施形態48.
同種T細胞が、同種キメラ抗原受容体(CAR)T細胞である、実施形態47に記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0267】
実施形態49.
放射線療法が、全身照射を含む、実施形態38~48のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0268】
実施形態50.
アプラグルチドの医薬的に許容可能な塩が、アプラグルチドのナトリウム塩である、実施形態32~49のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0269】
実施形態51.
アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩が、皮下注射によって投与される、実施形態32~50のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0270】
実施形態52.
アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩が、約1mg~約10mgの量で投与される、実施形態32~51のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0271】
実施形態53.
アプラグルチドが、約2.5mgの量で投与される、実施形態32~52のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0272】
実施形態54.
アプラグルチドが、約5mgの量で投与される、実施形態32~53のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【0273】
実施形態55.
アプラグルチドが、約10mgの量で投与される、実施形態32~54のいずれか一つに記載の使用のための、アプラグルチド、またはその医薬的に許容可能な塩。
【実施例】
【0274】
実施例
【0275】
以下の非限定的な実施例は、腸損傷が、ヒト対象においてAHCTの前に典型的に使用される条件づけレジメンをシミュレートすることを意図したマウスの全身照射によって誘発されたマウスモデルにおける急性消化管GvHDの予防および/または治療のためのアプラグルチドの使用の試験を対象とする実験を記載する。
【0276】
実施例1
【0277】
第一の実験では、BALB/cJオスマウスを、群Aおよび群Bの二つの群に分けた。各群は、10匹のマウスから構成した。
【0278】
群Aのマウスは、-9日目~+7日目まで二日毎(日:-9、-7、-5、-3、-1、+1、+3、+5、+7)に、3mg/kg/マウスの量(300μlのビヒクル中で投与)でアプラグルチドの皮下注射を受けた。
【0279】
群Bのマウスは、-9日目~+7日目まで二日毎(日:-9、-7、-5、-3、-1、+1、+3、+5、+7)に、300μlのビヒクル対照の皮下注射を受けた。
【0280】
実験の-1日目に、群Aおよび群Bのすべてのマウスを、リニアックX線源を使用して8.5Gyで照射した。
【0281】
実験の0日目に、C57BL/6Jマウス由来の骨髄およびT細胞を収集、調製し、群Aおよび群Bのマウスに移植した。群Aおよび群Bのマウスに、C57BL/6Jマウスの大腿骨から抽出した1000万個の骨髄細胞およびC57BL/6Jマウスから抽出した250万個の脾臓細胞を静脈内注射した。マウス#3(群A)、#13(群B)および#20(群B)には、静脈内ではなく皮下注射によって細胞を投与した。マウス#5(群B)および#10(群B)は、静脈内注射により細胞の半分を、皮下注射により細胞の半分を投与した。
【0282】
群Aおよび群Bのマウスにおいて、罹患率、死亡率、体重、臨床徴候(下痢、外観および行動)、腸セグメントの長さ、ならびに腸、皮膚、脾臓および肝臓の病理組織をモニターした。遅くとも+14日目にすべてのマウスを屠殺した。
【0283】
急性GvHDの誘発を、体重減少および組織学的解析、特に、リンパ球浸潤によって示す、移植後の群Aおよび群Bのマウスで観察した。
【0284】
マウスを屠殺後、群Aおよび群のマウス、ならびにBALB/cマウス(未処置)の対照群の結腸長を測定した。この分析の結果を、
図1に示す。
図1に示すように、アプラグルチドで処置されたマウスは、対照マウスとほぼ同じである結腸長の増加を示したため、群Bと比較して群Aで明らかな結腸長の差があった。したがって、アプラグルチドを用いた処置は、典型的には、急性消化管GvHDによって引き起こされる炎症に起因する、群Aのマウスを結腸長の減少から守った。
【0285】
単細胞壊死レベル、全陰窩の壊死、毛様体の短縮、陰窩過形成(再生)、細胞浸潤、および陰窩膿瘍を含む、空腸の様々な組織学的パラメータも測定した。これらの組織学的パラメータを、標準的な組織学的類別システム(1~3)で類別した。組織学的分析の結果を、
図2a~2cに示す。アプラグルチドで処置したマウスでは、粘膜変性/炎症性変化(毛様体の短縮[毛様萎縮]、固有層/陰窩内上皮における単核球[リンパ組織球]/好中球浸潤、陰極および陰極膿瘍の数の減少)の全体的な平均重症度スコアは、ビヒクルで処置した動物と比較して空腸でわずかに減少した。さらに、ビヒクルで処置し動物と比較したとき、再生陰窩過形成の平均重症度スコアはわずかに増加した。これらは、アプラグルチドの投与が、照射およびGvHDによって誘発される空腸粘膜損傷に対して有効な保護を有することを示す。
【0286】
第二の実験では、BALB/cJオスマウスを、群A、群Bおよび群Cの三つの群に分けた。群AおよびBは、10匹のマウスからなり、群Cは、5匹のマウスからなっていた。
【0287】
群Aのマウスは、-9日目~+7日目まで二日毎(日:-9、-7、-5、-3、-1、+1、+3、+5、+7)に、3mg/kg/マウスの量(300μlのビヒクル中で投与)でアプラグルチドの皮下注射を受けた。
【0288】
群Bのマウスは、-9日目~+7日目まで二日毎(日:-9、-7、-5、-3、-1、+1、+3、+5、+7)に、300μlのビヒクル対照の皮下注射を受けた。
【0289】
群Cのマウスは、-9日目~+7日目まで二日毎(日:-9、-7、-5、-3、-1、+1、+3、+5、+7)に、300μlのビヒクル対照の皮下注射を受けた。
【0290】
実験の-1日目に、群Aおよび群Bのすべてのマウスを、リニアックX線源を使用して7.0Gyで照射した。群Cは、照射しなかったが、ビヒクルのみを注射した。
【0291】
実験の0日目に、C57BL/6Jマウス由来の骨髄およびT細胞を収集、調製し、群Aおよび群Bのマウスに移植した。群Aおよび群Bの各マウスに、C57BL/6Jマウスの大腿骨から抽出した1000万個の骨髄細胞およびC57BL/6Jマウスから抽出した250万個の脾臓細胞を静脈内注射した。
【0292】
アプラグルチドで処置した群Aの照射マウスは、群Bの照射していない無処置のマウスと比較して、生存の向上を示した。群Aは、9日間の生存期間中央値を有し、群Bは、8.5日間の生存期間中央値を有していた。さらに、アプラグルチドで処置したマウスの40%が、実験の9日目以降に生存した。群Cのマウスは、ビヒクルのみを受け、生存すると予想した。
図14
【0293】
群A、群Bおよび群Cのマウスにおいて、罹患率、死亡率、体重、臨床徴候(下痢、外観および行動)、腸セグメントの長さ、ならびに腸、皮膚、脾臓および肝臓の病理組織をモニターした。遅くとも+14日目にすべてのマウスを屠殺した。
【0294】
マウスの下痢、外観および行動を、病理学的スコア(最も重症度が低い0から、最も重症度が高い4)にコード化した(
図15a)。肉眼的には、群Aの10匹のマウスのうち4匹が、群Bの単一マウスのみと比較して、病理学的スコア0を示した(
図15b)。
【0295】
体重減少を、三つの群すべてでモニタリングした。群Aと群Bの間で、体重減少の有意差を観察しなかった。群Aにおいて、9日目以降生存しているマウスは、体重を取り戻したが、群Cのマウスは、体重増加しなかった(
図16a~c)。
【0296】
マウスを屠殺後、群A、群Bおよび群Cのマウスの結腸長および小腸長を測定した。この分析の結果を、
図3に示す。
図3に示すとおり、アプラグルチドで処置したマウスは、群Cのマウスとほぼ同じである結腸長の増加を示したため、群Bと比較して、群Aの結腸長に明らかな差があった。したがって、アプラグルチドを用いた処置は、群Aのマウスを結腸長の減少から保護し、これは、理論によって結び付けられることを望まないが、急性消化管GvHDによって引き起こされる炎症に典型的には関与し、上記の実験の結果は、アプラグルチドを使用して、急性消化管GvHDを治療することができることを示している。
図3に示すように、三つの群のいずれかにおいて、小腸の長さに差異を観察しなかった。理論によって結びつけられることを望まないが、上記の実験の結果は、アプラグルチドを使用して、急性消化管GvHDを治療することができることを示している。具体的には、アプラグルチドは、放射線照射および同種移植によって誘発される急性消化管GvHDとの関連で、腸の病変および結腸長の減少から保護する。
【0297】
実施例2
【0298】
第一の実験では、全身照射(TBI)(1.44Gy)免疫不全(NOG)マウス(0日目)に、ヒト末梢血単核細胞(hPBMC;3×107;2日目)を注射し、-6~18日目にアプラグルチド3.3mg/kgまたはビヒクルで処置した。生着速度を、血液、骨髄および脾臓におけるCD45発現を介して決定した。
【0299】
第二の実験では、TBI誘発性腸損傷BALB/cJマウスは、同種移植を受け、-9、-7、-5、-3、-1、+1、+3、+5、+7日目にアプラグルチド(3.3mg/kg)またはビヒクルで処置した。GvHDを示す腸損傷(組織学的変化、長さ、出血、炎症)、体重、および生存を評価した。
【0300】
最初の実験では、hPBMCの生着に成功した。血液、脾臓および骨髄における生着率は、アプラグルチドによって影響を受けなかった(D20で血中の22.2~47.6%の範囲)。hCD45+細胞浸潤を、アプラグルチドとビヒクルの間の差なしで、腸壁において観察した(
図4)。
【0301】
第二の実験では、リンパ球生着を、アプラグルチド処置したマウスとビヒクルで処置したマウスの両方で首尾よく達成した。体重減少および生存期間中央値は、両群において類似していたが、アプラグルチド処置したマウスは、+9日目にビヒクルと比較して有意に高い全生存期間を達成した(それぞれ、40%対0%、p=0.0134)。死後組織学的検査により、アプラグルチド処置したマウスにおいてビヒクルと比較して、粘膜の変性/炎症性変化(毛様体萎縮、固有層/陰窩内上皮における単核/好中球の浸潤、クリプト壊死)が少ないことが明らかになった。アプラグルチド群の平均結腸長(8.6±0.35cm)は、照射または移植を受けなかったマウス(9.6±0.33cm)と同等であったのに対し、ビヒクル群(7.19±0.10cm;p<0.05)では有意な減少が明白であった(
図5)。
【0302】
理論により結びつけられることを望まないが、上記の実験の結果は、免疫不全マウスにおける同種移植前のアプラグルチド処置が、成功した生着または生着率に影響を与えなかったことを示す。さらに、アプラグルチドは、TBIおよび同種移植誘導性GvHDにおいて有意な保護効果を示し、これは、減少した毛様体萎縮、結腸短縮を最小化し、腸損傷の重症度を低くし、生存上の利点を示した。これらの所見は、GI損傷を低減し、GvHDによる死亡率を制限するうえでのアプラグルチドの有益な役割を支持する。理論により結び付けられることを望まないが、上記の実験の結果は、アプラグルチドが、生着に影響を与えることなく同種移植後の急性胃腸移植片対宿主病(GI-GvHD)からの腸損傷の重症度を減少させることを裏付けている。
【0303】
実施例3
【0304】
第一の実験では、Balb/cマウスの4つの群:(A)ビヒクルのみ;(B)5~9日目にシタラビンを投与し、アプラグルチドは投与せず;(C)5~9日目にシタラビン、5~18日目にアプラグルチド;(D)5~9日目にシタラビン、1、3日目にアプラグルチド前処置、ならびに5、8、11、14、および17日目に併用療法として継続した。治療群に、30mg/kgのシタラビンおよび/またはアプラグルチド3.3mg/kgを投与した。
【0305】
第二の実験では、Balb/cマウスの3つの処置群:(A)ビヒクルのみ;(B)9日目にメルファラン、アプラグルチドなし;(C)9日目にメルファラン、1日目、3日目、5日目、7日目に前処置のアプラグルチド、9日目、11日目、および13日目に併用療法として継続した。
【0306】
両方のモデルにおいて、処置を受けずビヒクルを投与したマウスは、対照として役立った。腸組織の組織学、体重、生存、および総粘膜量および腸成長のマーカーである血漿シトルリンを、両方のモデルで評価した。
【0307】
組織学的検査により、シタラビンまたはメルファランによって引き起こされる変性腸変化(毛様体および陰窩萎縮)は、アプラグルチドの併用投与によって低減されたことが示された(
図6)。これは、ビヒクルで処置したマウスとアプラグルチドで処置したマウスとの間の組織形態の類似性によって実証された。さらに、十二指腸、回腸および空腸は、アプラグルチドと共に重量が増加した。アプラグルチドの腸保護効果は、ビヒクル処置した物と同程度のレベルを有するアプラグルチド処置したマウスを用いた血漿シトルリン(腸重量を示す)の保存によってよってさらに支持された(
図7)。アプラグルチドは、化学療法誘発性体重減少を減弱させ(
図8)、ビヒクルのみまたは化学療法のみの群と比較して全生存期間を改善した(
図9)。化学療法前の前治療としてアプラグルチドを投与したとき、アプラグルチドの効果は最適であった。
【0308】
理論によって結び付けられることを望まないが、顕微鏡検査の結果は、アプラグルチドが、化学療法を受けているマウスにおいて、化学療法誘発性損傷からGI上皮構造を保護し、生存を改善し、重度の体重減少を防止したことを示した。アプラグルチドはまた、化学療法を受けなかったマウスに匹敵する血漿シトルリンレベルを維持することによって示される、腸重量を保持した。
【0309】
理論によって結び付けられることを望まないが、上記の実験の結果は、アプラグルチド処置が、マウスにおける化学療法誘発性胃腸(GI)損傷を低減し、化学療法中の細胞の完全性を保存することを支持する。
【0310】
実施例4
【0311】
最初の実験では、Balb/cマウスに、5~9日目にシタラビン30mg/kgおよび1~18日目にアプラグルチド3.3mg/kgを投与した。対照マウスは、1~18日目にビヒクルを受けた。処置前および予定した処置終了の前日、ならびに死亡を確認した動物または終了前に屠殺した動物について、約24時間にわたって細菌表現型検査のため糞便試料を採取した。微生物叢組成を、16S分類学的メタシーケンシングにより決定した。バクテロイデス門およびファーミキューテス門は、特定した2つの主要な細菌株であった(
図10aおよび
図10b)。シタラビンを用いた化学療法は、細菌種の組成に有意な変化をもたらし、バクテロイデス門集団を増加させ、ファーミキューテス門の細菌の割合を減少させた。0日目~18日目までのバクテロイデス門およびファーミキューテス門の細菌のレベルの変化は、ビヒクルと比較して、シタラビンのみとシタラビン+アプラグルチドのマウスの両方で有意に大きかった(表1aおよび表1b)。しかし、この効果は、アプラグルチドの併用投与により低下した。シタラビンのみの群とシタラビン+アプラグルチド群との間の変化の差は、バクテロイデス門(0.2486;p<0.0001)とファーミキューテス門(0.2037;p<0.0001)の両方について統計的有意に達した。さらに、存在するバクテロイデス門の細菌とファーミキューテス門の細菌との比は、シタラビンのみの群よりもシタラビン+アプラグルチドでより一定であった。
【0312】
表1a:アプラグルチド処置は、糞便の細菌組成における化学療法誘発性変化を低減する
【表1】
各分類について、統計モデルにおける固定因子としての処置、日および日毎の処置の相互作用を含む、反復測定(反復ANOVA)に対する分散分析を行った。事後検定を行い、複数の試験について、テューキー調整を使用して、0日目(処置前)および18日目(処置後)に処置群のペアワイズ比較を行った。
【0313】
表1b:アプラグルチド処置は、腸内微生物叢の多様性における化学療法誘発性変化を安定化する
【表2】
対照と比較して*p<0.005、シタラビン単独と比較して
#p<0.001、B、バクテロイデス種(Gram
-ve、日和見病原体株を含む嫌気性細菌);F、ファーミキューテス種(Gram
+ve、好気性および嫌気性細菌);RX、処置
【0314】
化学療法を用いたマウスの処置は、腸内の細菌のホメオスタシスに大きな影響を与え、日和見病原体集団の顕著な増加を伴った。アプラグルチドを化学療法と併用したとき、糞便中の異なる細菌門の割合は、正常に近いままの傾向があった。理論によって結び付けられることを望まないが、上記の実験の結果は、アプラグルチドを用いた処置が、アプラグルチドが化学療法剤と併用投与されたときに観察される臨床結果の改善(体重減少、生存の増加)に寄与する可能性が高い腸内微生物叢の全般的な恒常性環境の保存をもたらしたことを示す。さらに、当業者によって理解されるように、腸内微生物叢における不均衡は、GvHDの病因の駆動であることが知られている(Fredricks,J.Clin.Invest.2019,129(5):1808-1817を参照)。したがって、腸内微生物叢を安定化させるアプラグルチドの能力は、GvHDを有効に処置および予防するために使用できることを示す。
【0315】
実施例5
【0316】
第一の実験では、シタラビンの抗腫瘍作用を、白血病NOD/SCIDマウスで評価した(
図11a)。アプラグルチドまたはビヒクルを、-4日目~4日目に投与した。シタラビンまたはビヒクルを、0~4日目に投与した。7日目に骨髄および脾臓試料を採取し、hCD45+細胞の割合を決定した。処置後の、シタラビン+ビヒクルおよびシタラビン+アプラグルチドで処置した群間で、骨髄または脾臓試料で検出したhCD45細胞の%に有意差はなかった(
図11b)。
【0317】
第二の実験では、免疫抑制を誘発するシタラビンの能力に対するアプラグルチドの効果を評価した。実験は、Balb/cマウスの三つの群:(A)ビヒクル;(B)5~9日目にシタラビン;(C)5~9日目にシタラビン、5~18日目にアプラグルチドを併用投与を含んでいた。RBC、血小板、WBC、NEUおよびリンパ液を評価した。コホートを4週間生存させ、免疫抑制回復に対するアプラグルチドの効果を評価した(
図12)。
【0318】
第三の実験では、メルファラン誘導性免疫抑制に対するアプラグルチドの効果を評価した(
図13)。Balb/cマウスの三つの群を含んでいた:(A)ビヒクル;(B)9日目にメルファラン;(C)9日目にメルファラン、1日目、3日目、5日目、7日目に前処置のアプラグルチド、9日目、11日目、および13日目に併用療法として継続。WBC、NEUおよびリンパ液を評価した。
【0319】
最初の実験では、ヒト白血病細胞の減少は、シタラビンのみとシタラビン+アプラグルチドとの間で有意差はなく、ビヒクルよりも有意に大きかった。化学療法後の骨髄におけるhCD45の割合は、シタラビンのみでは35.5±4、シタラビン+アプラグルチドでは33.9±4.2であった。
【0320】
第二の実験の処置期間終了時の白血球の劇的な減少は、アプラグルチド併用投与によってシタラビン誘発性免疫抑制が損なわれなかった(シタラビン+アプラグルチドとシタラビンのみの両方でリンパ球の91%の減少)ことを示した(表2)。アプラグルチドは、処置終了4週間後の血液学的パラメータの回復に影響を与えなかった。
【0321】
表2.アプラグルチドはシタラビンの免疫抑制には影響しない。
【表3】
aシタラビン処置開始の4日前からシタラビン処置終了の9日後まで投与
【0322】
第三の実験は、メルファランが白血球減少によって示される免疫抑制を誘発したことを示す。アプラグルチドあり、またはなしでメルファランで処置したマウスは、ビヒクルと比較してWBCおよびリンパ液の重度の減少を示した。
【0323】
理論によって結び付けられることを望まないが、上記の実験の結果は、インビボでヒト白血病細胞を破壊する際に、アプラグルチドの前および併用がシタラビンの有効性を損なわないことを示す。さらに、アプラグルチドとの併用は、シタラビンまたはメルファラン誘導性免疫抑制にマイナスの影響をもたらさなかった。アプラグルチドのこの薬理作用は、腸に特異的であり、シタラビンまたはメルファランの抗腫瘍効果または免疫抑制効果に影響を与えなかった。アプラグルチドは、マウスにおける条件づけ化学療法の抗腫瘍有効性および免疫抑制有効性に影響しない。
【0324】
実施例6
【0325】
第一の実験では、BALB/cJメスマウスを用量応答試験のため六つの群に分け、皮下投与した漸増量のアプラグルチド(0.11、0.3および1.1mg/kg)の薬理学的効果を評価した。シタラビンを、30mg/kgで一日二回、5日間腹腔内投与した(0~+4日目)。アプラグルチドを、合計で9日間、化学療法の投与前に4日間および投与中に5日間(-4日目~+4日目)毎日投与した。アプラグルチド効果を、0.60mg/kgの名目用量で-4日目~+4日目まで一日二回投与し、シタラビンと組み合わせた改変していないhGLP-2と比較した。動物の生存の結果は、シタラビンのみと比較して、動物の生存の有意な改善を示した(
図17)。
【0326】
漸増用量のアプラグルチドを用いた動物の生存は、0.11mg/kgで11/16、0.33mg/kgで14/16、1.1mg/kgで16/16であった。動物の生存の改善は、すべてのアプラグルチド処置群で統計的に有意であった。0.11mg/kgのアプラグルチドまたはhGLP-2とシタラビンの併用を用いた処置は、開始体重減少を減少させなかったが、シタラビン処置から回復したこのような動物では、体重増加および生存の増加傾向であった(
図18)。
【0327】
アプラグルチドの腸保護効果を、シタラビンをアプラグルチド(0.33mg/kgおよび1.1mg/kg)と併用投与したとき、シトラビン濃度の改善を伴う血漿シトルリン(腸重量を示す)の保存によって、シタラビン単独処置動物と比較して支持した(
図19)。
【0328】
シタラビンの免疫抑制効果に対するアプラグルチドの用量依存性の影響を評価した。多形核(PMN)細胞数に対するシタラビン処置の効果を決定した(
図20)。シタラビンのみで処置した動物は、枯渇したPMN数を示し、これはhGLP-2またはアプラグルチド併用療法によって逆転せず、動物生存および体重の改善が好中球顆粒球数の改善の結果ではなく、GIの完全性の維持の結果であることを示唆する。別の試験では、動物は、シタラビンのみまたはシタラビンの前に開始したアプラグルチドとの併用処置を受け(-4日目~+12日目)、さらに4週間生存した。
【0329】
実施例7
【0330】
第一の実験では、最良の利用可能な療法におけるグレードII~IV(MAGIC)ステロイド抵抗性胃腸(GI)急性移植片対宿主病を有する対象におけるアプラグルチドの安全性および有効性を、無作為化二重盲検試験で評価する。
【0331】
アプラグルチドの無作為化、二重盲検、第II相試験の選択基準:
1.参加者は、同意時に12歳以上であり、かつ体重が40kg以上である。
2.骨髄、末梢血幹細胞、または臍帯血を使用して、任意のドナー源(対応する無関係なドナー、兄弟姉妹、ハプロ同一)からalloSCTを受けている参加者。非骨髄破壊的、骨髄破壊的、および強度低減条件づけのレシピエントが適格である。
3.参加者は、明らかに骨髄および血小板の生着(治験薬開始前に確認):a)絶対好中球数>1000/mm3;およびb)血小板≧20,000/mm3を有する。
4.成長因子の補充(顆粒球コロニー刺激因子および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)ならびに輸血支援の参加者の使用を許容する。
5.スクリーニング時(ルキソリチニブ開始時およびアプラグルチド開始前の臨床的に確認したSR GI-aGVHDを伴う)に、組織学的にGI-aGVHDと診断した参加者を、SSを単独で投与するか、またはカルシニューリン阻害剤(CNI)と組み合わせて投与する対象として定義し、以下のいずれかと定義する:
a)2mg/kg±CNIの3日間の全身メチルプレドニゾロン(MP)後の器官評価に基づく疾患進行;または
b)MP 2mg/kg/日で7日間の治療後に改善しなかった;または
c)皮膚および上部GI-aGVHDに対するMP 2mg/kg/日での治療後に新たな器官に進行した;または
d)ステロイドテーパ中またはステロイドテーパ後に再発した。
すべての対象は、登録時にステージ1~4のより低いGI-aGVHDを有する必要がある。
6.参加者を、全身ステロイド(SS)とルキソリチニブ(RUX)(推奨用量でRUXを0~3日間、一日2回投与)で処置してもよい。カルシニューリン阻害剤は、必要に応じて、併用薬として許容する。
【0332】
体重が50.0kg以上の参加者を、二つの処置群(三つの体重帯内で低用量または高用量)のいずれかに無作為化する。各来院時に受ける正確な用量は、それらがいる体重帯により異なる(表3)。体重40.0~49.9kgの参加者は、アプラグルチド2.5mgの投与を受ける。アプラグルチドは、週に一回、8~13週間皮下投与する。対象がアプラグルチドの投与の継続から利益を得る場合、最大26週間投与することができる。
表3:処置群および体重に基づく治験薬の用量
【表4】
【0333】
当初、参加者は、14日間のスクリーニング期間中にスクリーニング評価を受け、インフォームドコンセントを得る。スクリーニング評価は、バイタルサイン、身長および体重、結腸鏡検査、腸生検、既往歴などの解析を含むが、これらに限定しない。
【0334】
この試験は、BATの投与を受けているグレードII~IVのSR GI-aGVHDを有する対象におけるアプラグルチドの安全性および有効性を評価するための、無作為化、二重盲検、反復投与試験である。34名の対象が、SSのバックグラウンドで0~3日間RUXの投与を受けており、週一回、8週間または13週間、アプラグルチドSCの投与を受ける。低用量または高用量のアプラグルチドSCを週に一回8週間または13週間投与するように無作為化したN=30の対象(三つの体重帯に基づく)に加えて、体重40.0~49.9kgの対象最大4名の別個の非無作為化コホートを、アプラグルチド2.5mgの投与に割り当てる。すべての対象は、試験薬の初回投与から17週目(120(±7)日後)に安全性追跡来院を完了する。安全性および有効性のフォローアップ評価は、アプラグルチドの初回投与後2年間(104週目)にわたって継続する。
【0335】
主要目的は、SSおよびRUXで0~3日間処置する、中下部GI管のSR GI-aGVHDを有する対象におけるアプラグルチドの安全性および忍容性を評価することである。主要有効性評価項目は、SSおよびRUX単独と比較して、アプラグルチド、SS、およびRUXで処置したGI-aGVHDを有する対象において56日目の胃腸-aGVHD応答を評価することである。
【0336】
前述の考察は、本開示の例示的実施形態のみを開示し、記載する。当業者は、このような考察ならびに添付の図面および特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲に定義される本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更、修正および変形をその中に行うことができることを、容易に認識するであろう。
【0337】
配列表
本開示の一つまたは複数の実施形態の詳細は、上記の添付の説明に記載されている。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料は、本開示の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料が、ここで記載される。本開示の他の特徴、目的、および利点は、説明および特許請求の範囲から明らかであろう。本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形は、文脈が別途明確に示さない限り、複数の参照を含む。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において引用される全ての特許および刊行物は、参照により組み込まれる。
【0338】
前述の説明は、例示の目的でのみ提示されており、本開示の正確な形態に限定することを意図するものではないが、本明細書に添付される特許請求の範囲によって意図されている。
【配列表】
【国際調査報告】