(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】フェイルセーフバッテリ蓄電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240209BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240209BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H02J7/00 302C
H02J7/02 F
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548944
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2022053342
(87)【国際公開番号】W WO2022171784
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523307055
【氏名又は名称】ステイブル エナジー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】STABL Energy GmbH
【住所又は居所原語表記】Baierbrunner Strasse 30, 81379 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アートゥア ズィンガー
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA18
5G503EA05
5G503EA08
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
フェイルセーフバッテリ蓄電システムは、バッテリモジュールの複数のストリングを有する。それぞれのストリング内でバッテリモジュールは直列接続されており、ストリングは並列接続されている。複数の期間にわたり、バッテリモジュールの異なる組み合わせは、バッテリが接続されて接続状態にあり、この間に残りのバッテリモジュールは開状態にあり、これにより、電力状態がより高いバッテリモジュールは、電力状態がより低いバッテリモジュールよりも接続状態にある時間が長くなる。さらに、複数の期間にわたり、ストリングの異なる組み合わせは、接続状態にあり、この間に残りのストリングは開状態にあり、これにより、バッテリモジュールの電力状態がより高いストリングは、電力状態がより低いストリングよりも接続状態にある長い時間が長くなる。バッテリ蓄電システムにより、故障したバッテリモジュールはバイパス状態にされ、かつ/または故障したストリングは開状態にされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリモジュール(200)の複数のストリング(110,120,130)を有するフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)であって、
それぞれのストリング(110,120,130)は、直列接続された複数のバッテリモジュール(200)を有し、
それぞれのストリング(110,120,130)は、第1バッテリシステムコネクタ(141)と第2バッテリシステムコネクタ(142)との間で別のストリング(110,120,130)に接続されており、
それぞれのバッテリモジュール(200)には少なくとも、
バッテリ(210)と、
前記第1バッテリシステムコネクタ(141)と前記第2バッテリシステムコネクタ(142)との間で、前記バッテリ(200)を接続するかまた切り離すように構成された直列スイッチ(220)と、
閉じている場合、前記第1バッテリシステムコネクタ(141)と前記第2バッテリシステムコネクタ(142)との間で、前記バッテリモジュール(200)をバイパスするように構成された並列スイッチ(230)と、が含まれており、
それぞれのバッテリモジュール(200)は、次に対して、すなわち、
前記直列スイッチ(220)が開いておりかつ前記並列スイッチ(230)が閉じている接続状態と、
前記直列スイッチ(220)が開いておりかつ前記並列スイッチ(230)が閉じているバイパス状態と、
前記直列スイッチ(220)および前記並列スイッチ(230)が開いている開状態と、に対して構成可能であり、
それぞれのストリング(110,120,130)は、次に対して、すなわち、
前記ストリングの少なくとも1つのバッテリモジュール(200)が接続状態にありかつ残りの前記バッテリモジュール(200)がバイパス状態にある接続状態と、
少なくとも1つのバッテリモジュールが開状態にある開状態とに対して構成可能である、フェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)において、
前記バッテリ蓄電システム(100)は、少なくとも1つのストリング(110,120,130)内で、複数の期間にわたり、接続状態に対し、残りの前記バッテリモジュール(200)がバイパス状態にある間に、バッテリモジュール(200)の異なる組み合わせを選択し、これにより、前記バッテリ蓄電システム(100)の放電中、電力状態がより高い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つは、電力状態がより低い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、かつ/または前記バッテリ蓄電システム(100)の充電中、電力状態がより低い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つは、電力状態がより高い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、
前記バッテリ蓄電システム(100)は、複数の期間にわたり、接続状態に対し、残りの前記ストリング(110,120,130)が開状態にある間に、前記ストリング(110,120,130)の異なる組み合わせを選択し、これにより、前記バッテリ蓄電システム(100)の放電中、バッテリモジュール(200)の電力状態がより高い前記ストリング(110,120,130)は、前記バッテリモジュール(200)の電力状態がより低い前記ストリング(110,120,130)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、かつ/または前記バッテリ蓄電システム(100)の放電中、バッテリモジュール(200)の電力状態がより低い前記ストリング(110,120,130)の少なくとも1つは、バッテリモジュール(200)の電力状態がより高い前記ストリング(110,120,130)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、
前記バッテリ蓄電システム(100)は、故障したバッテリモジュール(200)をバイパス状態にし、かつ/または故障したストリング(110,120,130)を開状態にするように構成されている、ことを特徴とする、フェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項2】
バッテリモジュール(200)の少なくとも1つのストリング(110)を有するフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)であって、
少なくとも1つの前記ストリング(110)は、直列接続された複数のバッテリモジュール(200)を有し、
第1バッテリシステムコネクタ(141)と第2バッテリシステムコネクタ(142)との間に接続されており、
それぞれのバッテリモジュール(200)には少なくとも、
バッテリ(210)と、
前記第1バッテリシステムコネクタ(141)と前記第2バッテリシステムコネクタ(142)との間で、前記バッテリ(200)を接続するかまた切り離すように構成された直列スイッチ(220)と、
閉じている場合、前記第1バッテリシステムコネクタ(141)と前記第2バッテリシステムコネクタ(142)との間で、前記バッテリモジュール(200)をバイパスするように構成された並列スイッチ(230)と、が含まれており、
それぞれのバッテリモジュール(200)は、次に対して、すなわち、
前記直列スイッチ(220)が開いておりかつ前記並列スイッチ(230)が閉じている接続状態と、
前記直列スイッチ(220)が開いておりかつ前記並列スイッチ(230)が閉じているバイパス状態と、
前記直列スイッチ(220)および前記並列スイッチ(230)が開いている開状態と、に対して構成可能である、フェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)において、
前記バッテリ蓄電システム(100)は、少なくとも1つの前記ストリング(110)内で、複数の期間にわたり、接続状態に対し、残りの前記バッテリモジュール(200)がバイパス状態にある間に、バッテリモジュール(200)の異なる組み合わせを選択し、これにより、前記バッテリ蓄電システム(100)の放電中、電力状態がより高い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つは、電力状態がより低い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、前記バッテリ蓄電システム(100)の充電中、電力状態がより低い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つは、電力状態がより高いバッテリモジュール(200)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、かつ/または前記バッテリ蓄電システム(100)の充電中、電力状態がより低い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つは、電力状態がより高いバッテリモジュール(200)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、
前記バッテリ蓄電システム(100)は、故障したバッテリモジュール(200)をバイパス状態にし、かつ/または故障したストリング(110,120,130)を開状態にするように構成されている、ことを特徴とする、フェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項3】
前記バッテリ蓄電システム(100)は、DC電圧の出力および/または入力のために構成されている、ことを特徴とする、請求項1または2記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項4】
複数の前記ストリング(110,120,130)の少なくとも1つには、前記ストリングの前記バッテリモジュール(200)に直列接続されたインダクタ(119,129,139)が含まれる、ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項5】
複数の前記ストリング(110,120,130)の少なくとも1つには、前記ストリングに並列接続されるダイオード(118,128,138)が含まれており、これにより、前記ダイオード(118,128,138)は前記ストリングの通常の出力電圧では導通しない、ことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項6】
前記第1バッテリシステムコネクタ(141)と前記第2バッテリシステムコネクタ(142)との間に負荷および/または電源が接続されている、ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項7】
前記バッテリ蓄電システム(100)は、故障したバッテリモジュール(200)をバイパス状態にし、かつ/または故障したストリング(110,120,130)を開状態にするように構成されている、ことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項8】
前記バッテリ蓄電システム(100)は、故障状態がもはや存在しなくなった後、故障したバッテリモジュール(200)および/または故障したストリング(110,120,130)を通常動作に戻すように構成されている、ことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項9】
前記バッテリモジュール(200)の前記電力状態には、充電状態、最大電流容量、電圧、温度、健康状態またはこれらの組み合わせの少なくとも1つが含まれる、ことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項10】
前記バッテリモジュールには、前記バッテリモジュールの電力供給容量および/または充電容量が、所定の量だけ、同じ前記ストリングにおける別の前記モジュールの平均容量を下回って、または所定の閾値を下回って低下した場合かつ/または前記バッテリモジュールが、同じ前記ストリングにおける別の前記モジュールよりも高い温度または低い健康状態を有する場合、故障状態が割り当てられる、ことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項11】
少なくとも1つのバッテリモジュール(200)には、少なくとも1つの別のスイッチが含まれており、少なくとも1つの前記バッテリモジュールの前記スイッチはさらに、バッテリセルもしくはバッテリモジュールの並列スイッチングまたはバッテリセルの極性逆転の少なくとも1つに対して構成可能である、ことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項12】
前記フェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)は、少なくとも1つの故障したバッテリモジュール(200)に起因して公称出力電圧を維持するために、使用できない第1ストリングの出力電圧の値に残りの前記ストリングの電圧を適合するように構成されている、ことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の2つのフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)を含む3相フェイルセーフバッテリ蓄電システムにおいて、
第1相コネクタ(311)と第2相コネクタ(312)との間には、第1フェイルセーフバッテリ蓄電システム(321,322)が接続されており、
前記第2相コネクタ(312)と第3相コネクタ(313)との間に、第2フェイルセーフバッテリ蓄電システム(323,324)が接続されている、ことを特徴とする、3相フェイルセーフバッテリ蓄電システム。
【請求項14】
バッテリモジュール(200)の少なくとも1つのストリング(110)を有するフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)を動作させる方法であって、前記バッテリモジュール(200)の少なくとも2つは、それぞれのストリング内で直列接続されており、
前記方法には、次のステップ、すなわち、
少なくとも1つの前記ストリング(110)内で、複数の期間にわたり、前記バッテリモジュールの前記バッテリ(210)が直列接続されている接続状態に対し、残りの前記バッテリモジュール(200)が、切り離されたバッテリ(210)によってバイバス状態にある間に、バッテリモジュール(200)の異なる組み合わせを選択するステップが含まれる、ことを特徴とする、方法。
【請求項15】
バッテリモジュール(200)の複数のストリング(110,120,130)を有するフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)を動作させる方法であって、前記ストリングは、並列接続されており、前記バッテリモジュール(200)の少なくとも2つは、それぞれのストリング内で直列接続されており、
前記方法には、次のステップ、すなわち、
それぞれのストリング(110,120,130)内で、複数の期間にわたり、前記バッテリモジュールの前記バッテリ(210)が直列接続されている接続状態に対し、残りの前記バッテリモジュール(200)が、切り離されたバッテリ(210)によってバイパス状態にある間に、バッテリモジュール(200)の異なる組み合わせを選択するステップと、
複数の期間にわたり、前記ストリング(110,120,130)が並列接続されている接続状態に対し、残りの前記ストリング(110,120,130)が開状態において切断されている間に、前記ストリング(110,120,130)の異なる組み合わせを選択するステップと、を有する、ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野
本発明は、航空宇宙技術のような重要な用途のためのフェイルセーフバッテリ蓄電システムに関する。フェイルセーフバッテリ蓄電システムより、1つまたは複数のバッテリモジュールが故障した場合であっても電力の供給が維持される。
【0002】
関連技術の説明
装置の機能安全性は、例えば、全ての産業に適用可能な国際標準IEC61508によって定められている。この規格により、それぞれの安全機能について達成すべき目標を提供する4つの安全度水準(SIL:safety integrity level)が定められている。
【表1】
【0003】
類似の規格は、例えば、自動車装置について(ISO 26262(ASIL))および航空宇宙装置(DO178B)について存在する。
【0004】
特に、航空宇宙用途については、バッテリ蓄電装置は、最高水準の要件(SIL 4、ASIL A、DAL A)を満たさなければならないことがある。ほとんどの場合、バッテリ蓄電システムには、直列接続可能な複数のバッテリセルが含まれていてよい。直列接続されたシステムにおいて1つのバッテリセルに故障が発生すると、システム全体が故障してしまう。したがって、このようなシステムは、単一のバッテリセルよりも著しく高い故障率を有する。
【0005】
米国特許出願公開第2013/0234667号明細書には、それぞれのバッテリ管理ユニットにバッテリセル、絶縁素子およびバイパス素子が含まれているバッテリ管理システムが開示されている。これにより、個々のバッテリセルを活性化または切り離すことができる。
【0006】
米国特許出願公開第2014/0049230号明細書には、複数のバッテリをスイッチングすることによってAC信号を生成するためのマルチレベルコンバータトポロジが開示されている。
【0007】
発明の概要
本発明が解決しようとする課題は、信頼性が高くかつ故障率が低いバッテリおよびバッテリ蓄電システムを提供することである。このようなバッテリおよびバッテリ蓄電システムは、航空宇宙用途に使用できる可能性がある。
【0008】
上述の課題の解決手段は、独立請求項に記載されている。従属請求項は、本発明のさらなる改良に関する。
【0009】
1つの実施形態では、バッテリ蓄電システムには、複数のバッテリモジュールが含まれており、それぞれのモジュールには、閉じたときに、(接続状態と称される)別のバッテリおよび/またはモジュールにモジュールのバッテリを直列接続するように構成されたスイッチが含まれている。直列スイッチであってよいスイッチはまた、開いたときに、別のバッテリおよび/またはモジュールからバッテリを切り離すように構成されてもよい。閉じたときに、バッテリモジュールをバイパスするための並列スイッチが、バッテリモジュールに設けられていてもよい。この状態をバイパス状態と称する。両方のスイッチが開いている場合、バッテリモジュールは開状態にある。さらなるスイッチング状態を提供することができるより多くの個数のスイッチが存在してよい。バッテリには、1つまたは複数のバッテリセルが含まれていてよい。高電力用途に対しては、より高い電圧を得るために、バッテリセルのグループを(例えば、ハードワイヤードで)直列接続することができる。
【0010】
整数N個(ただしN≧2)のモジュールがストリングに接続され、整数M個(ただしM≧2)のストリングが一緒に接続される。個々のストリングは、個別の個数N1,N2,N3,…のモジュールを有していてよい。これらのストリングは、並列回路によって一緒に接続可能である。ストリングには、電流分布を改善するために、かつ/またはストリング間を流れる不所望の電流を回避するために、インダクタおよび/またはダイオードが含まれていてよい。電流はストリングの接続状態と開状態との間のパルス幅変調(PWM)スイッチングによって制御可能であるため、インダクタにより、ストリングの電流制御を改善することができる。またインダクタには、十分な長さの接続ケーブルが含まれていてもよい。バッテリ蓄電システムは、負荷にDC電圧を供給するように構成されていてよい。バッテリ蓄電システムはまた、接続状態のバッテリモジュールの個数の変更するスイッチングにより、正弦波または別の任意の波形を近似することにより、AC電圧を供給するように構成されていてもよい。
【0011】
ストリングは、そのバッテリモジュールのバランシングを行うように構成可能である。通常、ストリング内のバッテリモジュールの個数Nは、このストリングがその公称出力電圧よりも高い出力電圧を供給できるように選択される。したがって、通常、全てのバッテリモジュールがそれぞれ公称出力電圧を供給する必要はなく、全てのバッテリモジュールが接続状態にあるわけではない。残りのバッテリモジュールは、バイパス状態にあり、電力を供給しないため、接続されたバッテリモジュールのバッテリのみが放電されるのに対し、バイパス状態にあるモジュールのバッテリの充電量は維持される。時間と共にバッテリモジュールのバランシングを行うために、ストリングにおけるバッテリモジュールは、異なる状態に、例えば、接続状態からバイパス状態に、またはバイパス状態から接続状態に構成可能であり、これにより、全てのバッテリは、共通の電力状態、例えば、充電状態に放電される。バッテリ蓄電システムは、ストリング内で、複数の期間および/または時間区間にわたり、接続状態に対し、残りのバッテリモジュールがバイパス状態にある間に、バッテリモジュールの異なる組み合わせを選択するように構成可能である。バッテリ蓄電システムの放電中、電力状態がより高いバッテリモジュールの少なくとも1つは、電力状態がより低いバッテリモジュールの少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長くなり得る。
【0012】
基本的に、ストリングのバッテリモジュールが充電される場合も同じことが当てはまる。この際には、全てのバッテリモジュールが類似または同じ電力状態を有するように、バッテリモジュールの状態は随時交換可能である。バッテリ蓄電システムの充電中、電力状態がより低いバッテリモジュールの少なくとも1つは、電力状態がより高いバッテリモジュールの少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長くなり得る。
【0013】
電力状態は、バッテリまたはバッテリモジュールの供給可能な電力の指標であってよく、これには、充電状態、最大電流容量、電圧、温度、健康状態またはこれらの組み合わせの少なくとも1つが含まれていてよい。
【0014】
バッテリモジュールが、故障しているか、不良であるかまたは使用不能であると考えられる場合、これをバイパスすることにより、充電または電力供給に使用されるモジュールからこれを除外することができる。スイッチングは、固定周波数または適応型周波数で行われてよい。
【0015】
さらに、ストリング間のバランシングを行うことができる。これは、ストリング内でのバッテリモジュール間のバランシングに類似しているが、より高いレベルのストリングにおいて行われる。ストリングは、接続状態または開状態になるように構成可能である。開状態は、バッテリモジュールの少なくとも1つが開状態にあり、これにより、電流がストリングを通って流れないことがないような状態であってよい。ストリング間の開状態および接続状態の分配は、全てのストリングが、それらのバッテリモジュールの類似または同じ電力状態を有するように制御可能である。電力状態がより高いストリングは、電力状態がより低いストリングに比べて、より長い接続状態間隔を有していてよい。バッテリ蓄電システムは、複数の期間および/または時間区間にわたり、接続状態に対し、残りのストリングが開状態にある間に、ストリングの異なる組み合わせを選択するように構成可能である。バッテリ蓄電システムの放電中、バッテリモジュールの電力状態がより高いストリングの少なくとも1つは、バッテリモジュールの電力状態がより低いストリングよりも接続状態にある時間が長くなり得る。さらに、電力状態がより高いストリングは、充電状態がより低いストリングと比較して、より多くの電流を供給するように構成可能である。ストリングがインダクタを含む場合、電流は、ストリングの接続状態および開状態により、パルス幅変調(PWM)によって制御可能である。充電中、電力状態がより低いストリングは、電力状態がより高いストリングに比べて、接続状態にある期間が長くなり得る。また充電電流もPWMによって制御されてもよい。
【0016】
バッテリ蓄電システムの放電中、バッテリモジュールの電力状態がより低いストリングの少なくとも1つは、バッテリモジュールの電力状態がより高いストリングの少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長くなり得る。ストリングの電力状態は、バッテリモジュールの電力状態を足し合わせることによって特定可能である。SOH、電圧または容量のようなバッテリ特性を考慮することができる電力状態の重み付けがあってよい。
【0017】
ストリングのバランシングおよび/またはストリング内のバッテリモジュールのバランシングは、上述のようにバッテリモジュールの電力状態に依存し得る。これはまた、温度であってよい動作状態のような別のパラメータに依存してもよい。例えば、より温度が高いバッテリモジュールは、より長いバイパス状態を有してもよいか、またはより温度が高いストリングは、温度がより低いバッテリモジュールまたはストリングと比較して、より長い開状態を有してよく、これにより、これらのバッテリモジュールは、時間と共に冷却可能である。
【0018】
本明細書で開示されるバッテリモジュールおよびストリングのバランシングは、先を見越して行われるバランシングと見なすことができる。というのは、このバランシングは、アンバランスなストリングまたはバッテリモジュールを時間と共にバランス状態に移行させることができるか、またはこのバランシングにより、極めて小さなアンバランスであってもストリングまたはバッテリモジュールは反応し得るために、これらがアンバランスになることが防止され得るからである。このバランシングは、バッテリモジュールおよびストリングの全負荷下で実行可能であり、バランシングのためのアイドル時間を一切必要としない。さらに、このタイプのバランシングは、従来技術から公知の抵抗性の、またはエネルギ散逸的なバランシングのようなバランシング損失をまったく生じない。このようなバランシングにより、信頼性および可用性が向上する。バッテリ蓄電システムの完全なバランス状態では、全てのバッテリモジュールは、それらが同一である場合、同じ電力状態を有することができる。異なるバッテリモジュールを用いる場合、全てのバッテリモジュールは、最大達成可能な電力状態を有することができ、この最大達成可能な電力状態は、それぞれのバッテリモジュールの能力およびバッテリ蓄電システムの全体的な充電状態によって決定することできる。バランスのとれたバッテリモジュールを用いる場合、故障したバッテリモジュールを別の任意のモジュールと交換することが容易になり得る。
【0019】
本明細書で開示されるバランシングは、異なるバッテリモジュールの組み合わせで、例えば、バッテリサイズおよび/またはタイプが異なるバッテリモジュールだけでなく、または異なるストリングで、例えば容量が異なりかつ/または定格電流が異なるバッテリモジュールの組み合わせで動作する。このことは、フェイルセーフシステムにとって極めて重要である。例えば、同一のバッテリモジュールが使用されるバッテリ蓄電システムでは、1つまたは複数のバッテリモジュールが、時間と共に故障する可能性がある。故障したバッテリモジュールを有するストリングでは、故障したバッテリモジュールは、永続的に、またはその故障状態の持続時間の間、バイパス状態に設定可能である。ストリングは、残りのモジュールの直列接続に基づいて、その公称出力電圧を供給し続けることになる。ストリングが故障した場合、このストリングは、永続的に、またはその故障状態の持続時間の間、バイパス状態に設定可能である。バランシング処理は、上述のように残りのバッテリモジュールおよび/またはストリングを用いて継続されることになる。バッテリモジュールの電力供給容量および/または充電容量が、所定の量だけ、同じストリング内の別のモジュールの平均容量を下回って、またはバッテリモジュールが、同じストリング内の別のモジュールよりも高い温度または低い健康状態を有する場合、バッテリモジュールは故障していると見なすことができる。例えば、公称容量の50%を有するモジュールは故障していると見なすことができる。温度または健康状態のような別の故障判定基準があってよい。完全に故障していないこのような容量の小さいバッテリモジュールが引き続いて使用可能である緊急モードが設けられていてよい。
【0020】
以下では、上で概説したバッテリ蓄電システムの利点を1つの実施例によって示す。バッテリシステムには、それぞれ400Vおよび100Aに対して構成可能である4つのストリングが含まれていてよい。それぞれのストリングは、それぞれ50Vの電圧を供給する最小8つのバッテリモジュールを有していてよい。それぞれのストリングに付加的なモジュールが設けられている場合、ストリングは、1つのモジュールが故障した場合、バッテリモジュール間で、先を見越したその内部的なバランシングを維持しながら完全な電力を供給可能である。2つのバッテリモジュールが故障した場合、または1つの実施形態により、1つの付加的なバッテリモジュールだけがストリングに設けられており、ストリングの1つのバッテリモジュールが故障した場合、このストリングは、引き続いて最大電力を供給できるが、内部的なバランシングを継続できず、これにより、ストリングにおけるバッテリモジュールの劣化が時間と共に生じ得る。第1の故障により、従来技術から公知のストリングは、公称出力電圧をもはや供給できないため、切り離さなければならないのに対し、ストリング内で完全な動作を維持できることは重要である。例えば航空機では、バッテリモジュールが故障し、ストリングが引き続いて全電力を供給できるが、バランシングが行われない場合、飛行を安全に終了させることができ、欠陥のあるバッテリモジュールは、バランシング能力の欠如に起因してストリングの性能が低下する前に交換可能である。
【0021】
別のバッテリモジュールが故障して、ストリングがその公称出力電圧を供給できない第2の故障の場合、従来技術によれば、このようなストリングは、別のストリングから切り離されなければならない。本明細書で開示されるバッテリ蓄電システムでは、欠陥のあるストリングは、400Vの代わりに7×50V=350Vであり得る、低減された出力電圧を供給するために使用されることになる。別の3つのストリングも、同様に350Vをそれぞれ供給するように構成可能であり、これにより、全体のシステム電圧はわずかに低下するが、全体的な電流供給能力は維持される。
【0022】
まとめると、1つのストリング当たりに1つの付加的なバッテリモジュールを有する実施形態では、第1の故障ケースにおいて利用可能な電力は、低下せず、4×400V×100A=160kWを維持する。第2の故障ケースでは、異なるストリングにおいて故障が発生した場合、引き続いて低下はなく、また同じストリングにおいて故障が発生した場合、利用可能な電力は、4×350V×100A=140kWである。400Vおよび100Aにおいて残りの3つのストリングだけで動作する従来技術による同等のシステムにより、3×400V×100A=120kWだけが供給可能である。別のストリングにおける第2の故障ケースでは、最大電力は2×400V×100A=80kWとなる。
【0023】
したがって、本明細書で開示されるバッテリ蓄電システムにより、バッテリモジュールの少なくとも第1の故障および第2の故障の間、より大きな出力電力が供給可能である。
【0024】
それぞれのバッテリモジュールが100Ahの容量を有すると仮定すると、全体システムは160kWの容量を有する。本発明のシステムにおいて1つの故障が発生すると、1つのバッテリモジュールの容量が失われる(50V×100Ah=5kWh)。ゆえに、使用可能な容量は、155kWhに減少してしまうことになる。同等のシステムでは、ストリング全体または40kWhが失われることになり、結果として、120kWhだけが残る。欠陥のある第2のモジュールは、(どのストリングにおいて第2の故障が発生するのかに関係なく)本発明のシステムでは5kWhの別の容量低下につながることになるのに対し、同等のシステムは、(すでにバイパスされたストリングでは、モジュールは使用されていないため、別のバッテリモジュールが故障しないものと仮定して)別のストリングまたはここでも40kWhが失われることになる。これらの値を以下の表にまとめる。
【表2】
【0025】
相対電力および相対容量は、完全動作状態についてのものである。
【0026】
例えば、ストリングの、またはストリング内の1つもしくは複数のバッテリモジュールの比較的高い温度によって生じ得る減少された電流供給能力をストリングが有する場合、このストリングにおける負荷を低減させるために、このストリングの接続状態の持続時間を短縮することができる。温度が比較的高い場合、このストリングは冷却され、別のストリングと同じ接続状態時間に戻ることができる。
【0027】
1つの実施形態では、インダクタがストリングに直列接続され、これにより、ストリングの出力電流がインダクタを通って流れる。インダクタは、ストリングに含まれていてよい。バッテリ蓄電システムのそれぞれのストリングには、インダクタが含まれていてよい。インダクタを流れる電流は、次式により、すなわち
【数1】
によって与えられ、インダクタを流れる電流は、インダクタの両端の電圧が高くなるのに伴って増大し、時間と共に電圧が印加される。このことは、ストリングの出力電流を制御するために使用可能である。この動作は、バックコンバータに匹敵し得る。1つの実施形態では、このバックコンバータは、固有のスイッチを必要としない。なぜならば、スイッチはすでにストリングおよびそれらのバッテリモジュールの一部であるからである。
【0028】
ストリングの出力電圧がバッテリ蓄電システムの出力電圧よりも高い限り、電流は、インダクタを通ってバッテリ蓄電システムの出力部に流れることができ、ストリングに戻ることはない。これにより、ストリング間を流れる不所望な電流が回避される。例えば、ストリングを充電するために電流が必要とされる場合、例えば、その直列接続におけるバッテリモジュールの個数を少なくすることにより、電流がバッテリモジュールに流れることができるように、ストリング出力電圧をより低い値に設定しなければならない。ここでも同様に、接続状態とバイパス状態との間でバッテリモジュールを、またはストリング全体を開状態にスイッチングすることによって電流を制御することができる。
【0029】
ストリングに直列接続されたインダクタを有する実施形態では、スイッチング方式をわずかに変更することができる。第1の変更は、タイミングであってよい。なぜならば負荷に異なる電流を供給できるからである。さらに、ストリングはまず、インダクタの両端に電圧を供給して、インダクタを通る電流を増大させるために接続状態にあってよい。電流が最大値に達すると、ストリングは、バイパス状態または開状態のいずれかにされる。バイパス状態では、インダクタを流れる電流が急速に減少するように、インダクタは全負荷電圧が反転される。開状態では、インダクタは依然として電流の流れを維持しようと試み、ストリング電圧に対して逆方向の電圧を供給することになり、この電流は、ストリングの両端に設けられたダイオードを通って、またはストリング内の寄生ダイオードを通って流れることができる。このこともまた、インダクタを流れる電流を急速に減少させる。インダクタを流れる電流が必ずしも0まで減少されなくてもよい所定の時間後、ストリングは、接続状態に対し、インダクタに正の電圧を供給し、電流の流れを再び増大させるように構成可能である。このサイクルは連続して反復可能である。
【0030】
モジュールを制御するために、それぞれのモジュールには、モジュールコントローラが含まれていてよい。モジュールコントローラは、モジュールのスイッチを制御することができる。モジュールコントローラは、バッテリと直列接続された直列スイッチを制御することができ、またモジュールの第1モジュールコネクタと第2モジュールコネクタとの間に接続される並列スイッチを制御することができ、これにより、モジュールのバイパス状態が提供される。モジュールコントローラはさらに、動作条件を測定し、コンポーネントまたはバッテリモジュールの状態を検出するための測定手段を有していてよい。このような状態は、直列スイッチおよび/または並列スイッチのスイッチング状態、バッテリ温度および/またはスイッチ温度のような温度であってよい。バッテリモジュールコントローラはさらに、バッテリまたはバッテリモジュールの電力状態を特定するための手段を有していてよい。このような電力状態は、バッテリまたはバッテリモジュールの供給可能な電力の指標であってよく、これには、充電状態、最大電流容量、電圧、電流、温度、健康状態またはこれらの組み合わせの少なくとも1つが含まれていてよい。
【0031】
本明細書では、「バッテリ」という語は、バッテリモジュールのバッテリに使用される。このようなバッテリには、複数のバッテリセルが含まれていてよい。このようなバッテリセルは、モジュールコントローラにより、個別にまたはグループで監視可能である。モジュールコントローラは、例えば、独立して動作する2つのモジュールコントローラを含む冗長構成を有していてよい。さらに、モジュールコントローラは、マスタコントローラおよび/または別のバッテリモジュールのさらなるモジュールコントローラと通信するために制御バスに接続可能である。制御バスは、2つの物理的な制御バス構造または通信手段を含む冗長的なものであってよい。マスタコントローラはまた、2つ以上のコントローラを含む冗長コントローラであってもよい。例えば、2つのコントローラはまた、独立した制御バスシステムによって、マスタコントローラと通信するように構成されていてもよい。モジュールコントローラは、互いに通信し、バッテリ蓄電システムの制御を調整するように構成されていてよい。モジュールコントローラおよび/またはマスタコントローラにより、コントローラ構造が形成される。
【0032】
マスタコントローラおよびモジュールコントローラは、モジュールを連続して監視するように構成可能である。バッテリモジュールが故障した場合、バッテリモジュールはバイパス状態に設定可能である。モジュールが、前に過熱によって故障した場合に、例えば冷却によって回復すれば、このモジュールは再び多重化スキームに加わるように構成可能である。
【0033】
1つの実施形態では、バッテリ蓄電システムのストリングは、次のように構成されている。すなわち、ストリングには、全てのバッテリがその最小動作電圧(Vmin)にある場合に、公称出力電圧を供給するのに十分である少なくともNmin個のバッテリが含まれていてよい。満充電されたバッテリによると、ストリングの出力電圧は、満充電されたバッテリ(Vmax)の電圧のN倍であってよい。ストリングにおけるバッテリモジュールの個数に依存して、N×(Vmax-Vmin)がバッテリモジュールの電圧の約半分よりも大きい場合には、バッテリモジュールの少なくとも1つは、出力電圧を下げるためにバイパス状態にされてよい。そうでない場合には、ストリングの出力電圧はやや高くなる。ストリングと直列にインダクタが設けられている場合、接続状態とバイパス状態との間でストリングを連続してスイッチングすることにより、比較的高い出力電圧を下げることができる。択一的には、バッテリ蓄電システムの負荷は、異なる出力電圧を許容するように構成可能である。
【0034】
1つの実施形態では、バッテリモジュールに異なるスイッチ構成が設けられていてよい。上述のハーフブリッジ回路、AC出力を供給するように構成可能なフルブリッジ(Hブリッジ)、またはマルチレベルコンバータの別の任意の既知のトポロジが設けられていてよい。複数のトポロジが存在し、これらのトポロジにより、バッテリモジュール出力電圧を反転させることができ(例えばHブリッジトポロジ)、または個々のバッテリモジュールを並列接続させることができる(例えばバッテリモジュールに付加的なコネクタを有するダブルHブリッジトポロジ)。これによってさらに、可用性および信頼性を向上させることができる。欠点は、比較的高価でありかつスペースを必要とするスイッチの個数が多いことである。本明細書で開示される実施形態は、最小で2つのスイッチを必要とし、したがって安価かつ小型に構成可能である。
【0035】
1つの実施形態では、バッテリシステムは、3相ACシステムとして構成されている。第1相コネクタと第2のコネクタとの間には、第1フェイルセーフバッテリ蓄電システムが接続可能であり、第2相コネクタと第3相コネクタとの間には、第2フェイルセーフバッテリ蓄電システムが接続可能である。
【0036】
1つの実施形態では、バッテリシステムは、3相グリッドまたは負荷に接続されており、3×M個のストリング(ただしM>1である)を含む。DC負荷について上で定めたのと同じ利点が当てはまる。この実施形態では、バッテリモジュールの故障によって、バッテリ蓄電システムの容量と、3相グリッドの特定の相に接続されたストリングの電力とがわずかに減少するだけである。非対称電流注入が許容される場合、別のストリングにより、その1つのストリングにおける電力の損失が補償可能である。従来技術では、バッテリモジュールの故障は、結果として、3相バッテリシステム全体を停止させてしまうことになる。
【0037】
1つの実施形態では、改善されたフェイルセーフティを備えた三相グリッドを形成するための最小数のストリングは4である(3×Mではなく2*M、ただしM>1)。この場合のトポロジは、次の通りである。すなわち、相グリッドA接続点-1*M個の並列のストリング、相グリッドB接続点-1*M個の並列のストリング-相グリッド相接続点である。グリッドの3相は、インダクタを介してグリッド接続点A,BまたはCに接続可能である。それぞれのストリングは、1つまたは複数のインダクタに直列接続可能である。
【0038】
バッテリモジュールは、任意のコンポーネント、モジュールコントローラおよび/またはマスタコントローラとの通信が故障した場合に、スイッチが安全状態に移行するように構成可能である。このような安全状態は、バッテリが接続されておらずまたモジュールが電力を全く供給していないにもかかわらず、バッテリモジュールを介してなお電流を流すことを可能にするバイパス状態であってよい。バイパス状態にある単一のモジュールにより、ストリングの別のモジュールはなお電力を供給可能である。
【0039】
1つの実施形態では、バッテリ蓄電システムの動作パラメータをロギングしかつ/または調べるための手段を設けることができる。コンポーネントのパラメータ、とりわけバッテリおよび/またはバッテリセルのパラメータは、監視および/またはロギング可能である。これにより、信頼性および/または必要とされるメンテナンスが予測可能になり得る。
【0040】
1つの実施形態では、バッテリ蓄電システムは、公称値よりも、より低い出力電圧および/もしくはより高い出力電圧、および/またはより小さい電流および/もしくはより大きい電流、および/またはより小さな電力および/もしくはより大きな電力を供給するように構成可能である。例えば、航空機には、離陸中にはより大きな電力が要求され得るのに対し、水平飛行中にはより小さな電力が供給可能である。特に、離陸するためには出力電圧は、ストリングの最大の正の出力電圧に設定可能であるのに対し、この出力電圧は、水平飛行に対してはより低いレベル、例えば、公称値の75%に低減可能であり、これにより、航空機のエンジンは、より高い効率で動作可能である。
【0041】
1つの実施形態では、複数の異なるバッテリが使用可能である。ストリング内でのバッテリの動的なスイッチングと、ストリング間のスイッチングとに起因して、バッテリモジュールの個々のバッテリの電圧は、このバッテリが必要な電流を供給できる限り、重要ではない。これにより、異なるタイプのバッテリを組み合わせることが可能になり得る。また、古いバッテリは、システムにおいて新しいバッテリまたは交換したバッテリと組み合わせ可能である。したがって、単一のバッテリモジュールにおける単一のバッテリが故障した場合、このバッテリモジュールだけを交換する必要がある。通常、複数のバッテリが一緒に整合されるため、従来技術では必要とされ得るストリング全体を交換する必要はない。ストリングにおけるバッテリが、公称電流であって、ストリングがこれに対して設計されている公称電流を供給できない場合であっても、このストリングは、より小さな電流で動作可能であるのに対し、別のストリングは、より大きな電流によってこれを補償することができる。定格電流がより小さいストリングの容量が、定格電流がより大きいストリングの容量と同程度である場合、ストリングのオン時間は相応に修正可能であり、これにより、定格電流がより小さいストリングは、定格電流がより大きいストリングと比べてより長いオン時間を有する。
【0042】
バッテリモジュールには、本明細書でさらに説明するように、少なくとも1つのバッテリおよびスイッチが含まれていてよい。バッテリモジュールはさらに、これを完全に封入することができるハウジングを有していてよい。これにより、バッテリモジュールのコンポーネントを周囲の影響から保護することが可能となり得る。バッテリモジュールにはさらに、バッテリ温度および/もしくはスイッチ温度のような温度、ハウジング圧力、バッテリ圧力、周囲圧力のような圧力、電圧および/または電流を検出するためのセンサに接続可能なバッテリ管理システムが含まれていてよい。バッテリモジュールには、冷却装置および/または冷却媒体、例えば冷却流体または冷却ガスを導くための手段が含まれていてよい。1つの実施例では、バッテリモジュールは、直列接続された8個~16個のバッテリセルに基づいてよい24V~60Vの範囲の電圧を有していてよい。さらに、定格電流を増大させるために複数のバッテリセルが並列接続されていてよい。ここでは、わかりやすくするために、バッテリモジュールにおける状態、例えばバッテリの充電の状態に言及する場合もバッテリモジュールに言及する。バッテリモジュールはまた、より高い電圧またはより低い電圧を有してもよい。
【0043】
それぞれのストリングには、直列接続された任意の個数のサブストリングが含まれていてよい。サブストリングは、ストリングと同じ構造を有することができ、コントローラ、インダクタおよび/またはダイオードを含んでいてよい。
【0044】
本明細書で使用される「コネクタ」という語は、バッテリモジュールおよび/またはストリングを接続および/または切り離すように構成可能な物理コネクタに関連していてよい。またこの語は、プリント回路板上のトレースのような導電接続部を指すこともでき、これは必ずしも、切り離すように構成されなければならないわけではない。むしろ、このようなコネクタは、回路の境界を定める回路図内のコネクタのようなものである。
【0045】
1つの方法は、バッテリモジュールの少なくとも1つのストリングを含むフェイルセーフバッテリ蓄電システムを動作させることに関し、ここではバッテリモジュールの少なくとも2つが、少なくとも1つのストリング内で直列接続されている。バッテリ蓄電システムにはまた、本明細書で開示されるバッテリ蓄電システムの任意の実施形態も含まれていてよい。
【0046】
この方法には、少なくとも1つのストリング内で、複数の期間にわたり、バッテリに接続されている状態に対して、バッテリモジュールの異なる組み合わせを選択するステップが含まれている。バッテリモジュールが接続された状態では、これらは直列接続されている。さらに、残りのバッテリモジュールは、バッテリが切り離されてバイパス状態にある。
【0047】
別の方法は、バッテリモジュールの複数のストリングを含むフェイルセーフバッテリ蓄電システムを動作させることに関し、ストリングは並列に接続され、バッテリモジュールの少なくとも2つは、それぞれのストリング内で直列接続されている。バッテリ蓄電システムにはまた、本明細書で開示されるバッテリ蓄電システムの任意の実施形態も含まれていてよい。
【0048】
この方法には、それぞれのストリング内で、複数の時間にわたり、バッテリと接続される状態に対し、バッテリモジュールの異なる組み合わせを選択するステップが含まれている。バッテリモジュールが接続された状態では、これらは直列接続されている。さらに、残りのバッテリモジュールは、バッテリが切り離されてバイパス状態にある。
【0049】
別のステップでは、複数の期間にわたり、ストリングが並列接続されている接続状態に対し、ストリングの異なる組み合わせを選択する。さらに、残りのバッテリモジュールは、開状態において切り離される。
【0050】
方法ステップは個別に、または任意の順序で反復可能である。これらのステップはまた同時に実行可能である。
【0051】
図面の説明
以下では、一般的な発明概念を限定することなく、図面を参照し、実施形態の複数の実施例について、例として本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図4】バッテリモジュールの開いたスイッチング状態の詳細を示す図である。
【
図5】バッテリモジュールの接続されたスイッチング状態を示す図である。
【
図6】バッテリモジュールのバイパススイッチング状態を示す図である。
【
図9】バッテリ蓄電システムの低負荷におけるスイッチング状態遷移図である。
【
図10】より高い負荷条件下でのスイッチング状態を示す図である。
【
図11】ストリング間のバランシングを有するスイッチング図である。
【
図12】1つの実施形態におけるストリングの出力電流を示す図である。
【0053】
図1には、バッテリ蓄電システム100の1つの実施形態の回路図が示されている。バッテリ蓄電システム100には、バッテリモジュールの複数のストリングが含まれている。この図には、並列接続された3つのストリング110,120,130が示されている。また2つのストリングまたはより多くの任意の個数のストリングが設けられていてもよい。
【0054】
バッテリモジュールから成るそれぞれのストリング110,120,130には、直列接続可能な複数のバッテリモジュールが含まれている。この実施例では、例示的に3つのバッテリモジュールが示されている。この代わりに、少なくとも2つのバッテリモジュールおよび任意のより多くの個数のバッテリモジュールが設けられていてよい。それぞれのバッテリモジュールには、少なくとも1つのバッテリと、バッテリを切り離すための1つのスイッチと、バッテリモジュールをブリッジするための別のスイッチとが含まれていてよい。この図では、第1ストリング110には、直列接続された3つのバッテリモジュール111,112,113が含まれている。第1ストリングは、第1バッテリモジュール111に接続された第1コネクタ114と、この実施形態では第3バッテリモジュール113であるこのストリングの最後のバッテリモジュールに接続された第2コネクタ115とを有していてよい。同じことは第2ストリング120にも当てはまり、第2ストリング120には、バッテリモジュール121,122および123が含まれており、これらは、第2ストリングの第1コネクタ124と、第2ストリングの第2コネクタ125とに接続されている。第3ストリング130には、バッテリモジュール131,132および133が含まれており、これらは、第3ストリングの第1コネクタ134および第3ストリング第2のコネクタ135に接続されている。
【0055】
第1コネクタ114,124および134は、共通の第1バッテリ蓄電システムコネクタに一緒に接続可能である。さらに、第2コネクタ115,125および135も第2バッテリシステムのコネクタ142に一緒に接続可能である。この実施形態では、バッテリ蓄電システム100は、第1バッテリシステムコネクタ141および第2システムバッテリコネクタ142において電力を供給することができる。バッテリ蓄電システム100はまた、これらのコネクタを介して充電可能でもある。
【0056】
それぞれのストリングは、任意の個数のバッテリを直列接続することにより、異なる出力電圧を供給するように構成可能である。バッテリが接続されていない場合、出力電圧はゼロであってよい。少なくとも1つのバッテリモジュールが開状態にある場合には、高インピーダンスであってもよい。
【0057】
図2には、バッテリ蓄電システム100のブロック図が示されている。個々のバッテリモジュールはブロックとして示されている。さらに、制御手段が示されている。第1ストリングコントローラ161は、制御バス164を介して、第1ストリングのバッテリモジュール111,112および113を制御することができる。ストリングの個々のバッテリモジュールは、バッテリモジュールのスイッチング状態に応じて可変の電位になり得るため、バスに対して絶縁されていければならない。これは、バッテリモジュールにおける絶縁バスカプラによって行うことができる。択一的には、個々の絶縁バスラインをストリングコントローラとストリングのバッテリモジュールとの間に設けることができる。
【0058】
第2ストリングは、第2制御バス165を介して第2ストリングコントローラ162によって制御され、第3ストリングは、第3制御バス166を介して第3ストリングコントローラ163によって制御される。
【0059】
ストリングコントローラは、マスタ制御バス167を介してマスタコントローラ160によって制御可能である。択一的には、マスタコントローラおよびストリングコントローラの機能を含む単一のコントローラを設けることができる。独立して動作することができ、さらに自律的に動作することができる複数の個別のストリングコントローラにより、システムの信頼性を向上させることができる。マスタコントローラが故障してしまうような場合、個々のストリングコントローラは、以前の構成または標準的なフェイルセーフ構成に戻ることがある。モジュールコントローラおよび/またはマスタコントローラにより、コントローラ構造が形成される。
【0060】
またバックアップマスタ制御バス177を介して、ストリングコントローラと通信可能なバックアップマスタコントローラ170が設けられていてもよい。またストリング内にはバックアップストリングコントローラおよび/またはバックアップ制御バスが設けられていてもよい。
【0061】
図3には、バッテリモジュール200の詳細が示されている。前に示した個別のバッテリモジュール111~113,121~123および131~133のそれぞれは、同じまたは類似の構造を有してよい。バッテリモジュール200には、バッテリ210が含まれていてよい。このようなバッテリは、電気的なDC電力の任意の供給源であってよい。通常、このようなバッテリは、LiPo、LiFe、Liイオン、NiCd、NiMHのような再充電可能な技術に基づいていてよい。これにはまた、燃料電池が含まれていてもよい。バッテリモジュール200にはさらに、直列スイッチ220が含まれていてよく、この直列スイッチ220は、バッテリに直列接続可能であり、またこのバッテリを接続するか、またはこのバッテリが別のバッテリから切り離される切断状態を提供するためにこのバッテリを切断するように構成可能である。直列スイッチ220が閉じていると、バッテリは接続状態になる。バッテリ210は、直列スイッチ220と共に、第1モジュールコネクタ240と第2モジュールコネクタ250との間に接続可能である。図示した実施形態では、バッテリの正極(+)は第2モジュールコネクタ250に接続されているのに対し、バッテリの負極(-)は第1モジュールコネクタ240に接続されている。さらに、第1モジュールコネクタ240と第2モジュールコネクタ250との間に同様に接続可能な並列スイッチ230が設けられていてよい。並列スイッチ230は、本明細書においてバイパス状態と称される閉状態において、第1モジュールコネクタ240と第2モジュールコネクタ250との間に短絡を形成するように構成可能である。並列スイッチ230が閉じていると、バッテリの短絡を回避するために直列スイッチ220が開き得る。バッテリモジュール200はさらに、直列スイッチ220および並列スイッチ230が開いている開状態を形成するように構成可能である。このような状態では、電流は、バッテリモジュールを流れることができず、したがってバッテリモジュールが組み込まれたストリングを流れることができない。このことは、バッテリ蓄電システムにおいてこのストリングが、別のストリングから切断されることを意味する。
【0062】
まとめると、バッテリ蓄電システム100の3つの異なる状態、すなわち、接続状態、バイパス状態および開状態が存在し得る。
【0063】
スイッチを制御するために、モジュールコントローラ260を設けることができる。このモジュールコントローラ260は、直列スイッチ制御ライン261を介して直列スイッチ220を制御することができる。これはさらに、並列スイッチ制御ライン262によって、並列スイッチ230を制御することができる。バッテリ温度、バッテリ電圧、バッテリ電流、または充電状態もしくは健康状態のようなバッテリパラメータを受け取るためのバッテリ信号ラインまたはバス263を設けることもできる。これらのパラメータに基づき、モジュールコントローラによってスイッチを制御することができる。
【0064】
モジュールコントローラ260は、バスコネクタ270によってストリングコントローラの制御バスに接続可能である。モジュールコントローラは、ストリングコントローラから、スイッチを制御するための命令を受け取ることができ、またストリングコントローラにスイッチおよび/またはバッテリのステータス情報を転送することができる。
【0065】
図4には、バッテリモジュールの開いたスイッチング状態が詳細に示されている。直列スイッチ220および並列スイッチ230は開いている。
【0066】
図5には、バッテリモジュールの接続されたスイッチング状態が詳細に示されている。直列スイッチ220は閉じており、並列スイッチ230は開いている。これにより、バッテリが放電される場合、電流は方向281に流れることができる。バッテリを充電するために、電流は、反対の方向に流れている。
【0067】
図6には、バッテリモジュールのバイパススイッチング状態が詳細に示されている。直列スイッチ220は開いており、並列スイッチ230は閉じている。これにより、電流は方向282またはこれと逆方向に流れることができる。
【0068】
図7には、多重接続されたストリングが示されている。この図では、複数のストリング110,120および130はそれぞれ、第1コネクタ114,124,134によって第1バッテリシステムコネクタ141に接続されている。これらはさらに、インダクタ119,129,139を介し、第2コネクタ115,125,135によって第2バッテリシステムコネクタ142に接続されている。インダクタは、ストリングに含まれていてよい。第1バッテリシステムコネクタ141および第2バッテリシステムコネクタ142に接続された負荷および/または電源190を設けることができる。
図7では、
図1および
図2の単純な並列接続と比較して、インダクタが、それぞれのストリングの第2コネクタに直列接続されている。この実施形態でも、バッテリモジュールの少なくとも2つのストリングが設けられていてよく、また任意のより多くの個数のこのようなストリングが設けられていてよい。
【0069】
インダクタにより、複数のストリングの並列接続が単純化される。複数のストリングがこのようなインダクタなしに接続されており、かつこれらのストリング上のモジュール電圧の一部がわずかにだけ異なる場合、ストリング間に大電流が流れ、第1バッテリシステムコネクタ141と第2バッテリシステムコネクタ142との間に接続可能な負荷には流れない可能性がある。インダクタがあれば、インダクタを流れる電流は、インダクタの両端の電圧の時間積分の関数である。したがって、インダクタを流れる電流の時間区間を制限することにより、インダクタを流れる電流を制限することができる。これに応じて、導体における電圧をパルス化することによって電流を制御することができ、さらに、個々のストリング間に大電流が流れることを回避することができる。しかしながら必要であれば、定められた電流がストリング間で流れるように、ストリングのスイッチングを行うことができる。このことは、バッテリ蓄電システムの低負荷状態中に低充電レベルを有し得るストリングを充電するために有効になることがあり、これにより、このストリングは、高負荷状態下でフルの出力電流を供給することができる。
【0070】
さらに、それぞれのストリングに対して逆平行にダイオード118,128,138が設けられていてよく、これにより、ダイオードは、ストリングの通常の出力電圧によって導通しない。ダイオードはまた、ストリングに組み込み可能である。ダイオードは、ストリングによって通常の出力電圧が供給される場合にこのダイオードが通常、導通するように接続可能である。ストリングが開状態になった後、インダクタにおける電圧が反転した場合、このようなダイオードにより、ストリングを保護することができる。基本的には、MOSFETまたは類似の半導体が使用される場合、ストリングのバッテリモジュールは、寄生ダイオードによってそれ自体を保護する。この寄生ダイオードは、ストリングに対して並列ダイオードと同じ作用を有し得る。ストリングに対して並列なストリングは、MOSFETのより多くの個数の寄生ダイオードよりも高速でありかつより低い順方向電圧を有し得るという利点を有する。
【0071】
図8には、3相フェイルセーフバッテリ蓄電システムが示されている。これは、3相コネクタ311,312,313によって接続されている。第1相コネクタ311と第2相コネクタ312との間には、ストリング321,322を含む第1フェイルセーフバッテリ蓄電システムが接続可能である。さらに、第2相コネクタ312と第3相コネクタ313との間には、第2フェイルセーフバッテリ蓄電システムが接続可能である。機能は基本的に同じであり、バランシングおよび/またはスイッチングは、それぞれのフェイルセーフバッテリ蓄電システム内で実行される。それぞれのフェイルセーフバッテリ蓄電システムには、少なくとも2つのストリングが含まれていてよい。
【0072】
図9には、バッテリ蓄電システム100の低負荷時における単純な多重化方式のスイッチング状態遷移図が示されている。スイッチング図は、並列回路で一緒に接続されている、バッテリモジュールの4つのストリングを有するバッテリ蓄電システムに基づいている。この特定の実施形態にインダクタは使用可能であるが必須ではない。この図には、それぞれのストリングのスイッチング状態が示されているのに対し、曲線511には、第1ストリングのスイッチング状態が示されており、曲線512には、第2ストリングの状態が示されており、曲線513には、第3ストリングの状態が示されており、曲線514には、第4ストリングの状態が示されている。ローレベルはストリングの開状態を示し、ハイレベルは接続状態を示す。
【0073】
区間521では、第4ストリング514だけが接続状態にあり、別のストリングは開状態にある。したがって、第4ストリングだけが、第2バッテリシステムコネクタ142と第1バッテリシステムコネクタ141との間の出力部に電圧および電流を供給している。次の区間522では、第3ストリングだけが接続状態にあるのに対し、別のストリングはバイパス状態にある。このシーケンスは、第2ストリングだけが接続状態にある区間523と、第4ストリングだけが接続状態にある区間524とによって継続される。区間524の後、このシーケンスは間隔521で再び開始される。
【0074】
この図に示したように、一時点にただ1つのストリングだけが、接続状態にあり、したがってその出力部に電圧および/または電流を供給する。例えば、同じ個数のバッテリモジュールが接続状態になるように、バッテリモジュールのスイッチを構成することにより、全てのストリングを同じ電圧に設定することができる。ストリング内でバランシングを行うために、接続状態にあるバッテリモジュールは変更可能である。このような変更は、ストリングの状態を変更するときに行うことができるが、ストリングが接続状態にある時間の間にも行うことできる。
【0075】
ストリングスイッチングの任意のシーケンスまたはランダムなシーケンスが設けられていてよい。このことは、別の全ての図についても当てはまる。
【0076】
図10には、より高い負荷条件下でのスイッチング状態が示されている。この図では、負荷により大きな電流を供給するために、常に3つのストリングが同時に接続状態にある。この実施形態では、ストリングに対する直列インダクタは、個々のストリング間で大電流を回避するためにより重要である。この図には、それぞれのストリングのスイッチング状態が示されているのに対し、曲線611には、第1ストリングのスイッチング状態が示されており、曲線612には、第2ストリングの状態が示されており、曲線613には、第3ストリングの状態が示されており、曲線614には、第4ストリングの状態が示されている。ローレベルはストリングの開状態を示し、ハイレベルは接続状態を示す。
【0077】
この図では、時間区間621において、曲線611によって示されているように、第1ストリングはバイパス状態にある。区間622では第2ストリングがバイパス状態に切り換えられ、区間623では第3ストリングがバイパス状態に切り換えられ、区間624では第4ストリングがバイパス状態に切り換えられる。一時点にただ1つのストリングだけがバイパス状態になるのに対し、別のストリングは接続状態にあり、電力を供給する。別の任意の組み合わせが設けられていてよく、例えば、2つのストリングが同時に接続状態にあり、この際に別のストリングはバイパス状態にある。このような組み合わせはまた、随時変更可能である。
【0078】
図11には、ストリング間のバランシングを有するスイッチング図が示されている。このスイッチング図は、高負荷条件を有する前のスイッチング図に相当する。この図には、それぞれのストリングのスイッチング状態が示されているのに対し、曲線711には、第1ストリングのスイッチング状態が示されており、曲線712には、第2ストリングの状態が示されており、曲線713には、第3ストリングの状態が示されており、曲線714には、第4ストリングの状態が示されている。ローレベルはストリングの開状態を示し、ハイレベルは接続状態を示す。
【0079】
この図では、時間区間721では第4ストリングがバイパス状態にあり、区間722では第3ストリングがバイパス状態にあり、間隔723では第2ストリングがバイパス状態にあり、間隔724では第1ストリングはバイパス状態にある。この図では、区間724の時間は別の区間の時間よりも著しく短い。このことが意味するのは、第1ストリングがより長いオン時間を有することである。したがって、第1ストリングのバッテリは、別のバッテリよりも多く放電されることになる。このような構成は、第1ストリングのバッテリにおける充電量が、別のストリングのバッテリにおける充電量よりも多い場合に有効になり得る。オン時間のこのような適合は、ストリングの現在の充電状態に従って、それぞれのストリングについて行うことができる。これらの時間の調整は、マスタコントローラによって行うことができる。
【0080】
図12には、3つのストリングと、ストリングの間にインダクタとを備えた、1つの実施形態におけるストリングの出力電流が示されている。この図には、それぞれのストリングのスイッチング状態が示されているのに対し、曲線811には第1ストリングのスイッチング状態が示されており、曲線812には第2ストリングの状態が示されており、曲線813には第3ストリングの状態が示されている。ローレベルはストリングの開状態を示し、ハイレベルは接続状態を示す。
【0081】
この図では、第1ストリングは、曲線811に従い、間隔824においてバイパス状態にある。第2ストリングは、曲線812に従い、区間822においてバイパス状態にあり、また第3ストリングは、曲線813に従い、区間826においてバイパス状態にある。別の全ての時間において、ストリングは接続状態にある。
【0082】
出力
図814では、曲線815により、第1ストリングの出力電流が示されている。バイパス状態824に続き、状態825では、第1ストリングが接続状態に切り換えられる。この接続状態は、区間825,826,821,822および823にわたって維持される。これらの区間の間、ストリングの電圧は、ストリングに接続されたインダクタにおいて維持され、このインダクタにより、曲線815によって示したように電流が増加する。第1ストリングがバイパス状態にある間隔824の間、インダクタを流れる電流は、これが増大したときよりも急速に減少する。区間825において第1ストリングが接続状態に切り換えられた後、電流は再び増加する。同じことは、第2ストリングの電流816および第3ストリングの電流817にも当てはまる。第2バッテリシステムコネクタ142および第1バッテリシステムコネクタ141において、ストリングの電流は足し合わされ、したがって、この多重化方式により、単一のストリングの個々の電流よりもリップルの小さな全体電流が供給される。
【0083】
図13には、方法の流れ図が示されている。この方法は、411で始まる。第1ステップ412は、それぞれのストリング(110,120,130)内で、複数の期間にわたり、バッテリモジュールのバッテリ210が直列接続されている接続状態に対し、残りのバッテリモジュール200が、切り離されたバッテリ210によってバイパス状態にある間に、バッテリモジュール200の異なる組み合わせを選択することである。
【0084】
第2ステップ413は、複数の期間にわたり、ストリングが並列接続にある接続状態に対し、残りのストリング110,120,130が開状態において切断されている間に、ストリング110,120,130の異なる組み合わせを選択することである。この方法は、ステップ414において終了する。
【0085】
第1方法ステップおよび第2方法ステップは個別にまたは任意の順序で反復可能である。これらのステップはまた同時に実行可能である。
【符号の説明】
【0086】
100 バッテリ蓄電システム
110 第1ストリング
111~113 第1ストリングのバッテリモジュール
114 第1ストリングの第1コネクタ
115 第1ストリングの第2コネクタ
118 第1ダイオード
119 第1インダクタ
120 第2ストリング
121~123 第2ストリングのバッテリモジュール
124 第2ストリングの第1コネクタ
125 第2ストリングの第2コネクタ
128 第2ダイオード
129 第2インダクタ
130 第3ストリング
131~133 第3ストリングのバッテリモジュール
134 第3ストリングの第1コネクタ
135 第3ストリングの第2コネクタ
138 第3ダイオード
139 第3インダクタ
141 第1バッテリシステムコネクタ
142 第2バッテリシステムコネクタ
150 通信バス
160 マスタコントローラ
161 第1ストリングコントローラ
162 第2ストリングコントローラ
163 第3ストリングコントローラ
164 第1制御バス
165 第2制御バス
166 第3制御バス
167 マスタ制御バス
170 バックアップマスタコントローラ
177 バックアップマスタ制御バス
190 負荷または電力源
200 バッテリモジュール
210 バッテリ
220 直列スイッチ
230 並列スイッチ
240 第1モジュールコネクタ
250 第2モジュールコネクタ
260 モジュールコントローラ
261 直列スイッチ制御ライン
262 並列スイッチ制御ライン
263 バッテリ信号ライン
270 バスコネクタ
281 電流方向-バッテリ接続状態
282 電流方向-短絡
300 3相システム
311~313 3相コネクタ
321~324 3相システムにおけるストリング
411~414 方法ステップ
511~514 4つの並列ストリングのスイッチング状態
521~524 時間区間
611~614 負荷の高い4つの接続ストリングのスイッチング状態
621~624 時間区間
711~714 ストリングがバランシングされた4つの接続ストリングのスイッチング状態
721~724 時間区間
811~814 3つの接続ストリングのスイッチング状態
814 出力電流図
815 第1ストリングの出力電流
816 第2ストリングの出力電流
817 第3ストリングの出力電流
821~826 時間区間
815 第1ストリングのストリング電流
816 第2ストリングのストリング電流
817 第3ストリングのストリング電流
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
区間521では、第4ストリング514だけが接続状態にあり、別のストリングは開状態にある。したがって、第4ストリングだけが、第2バッテリシステムコネクタ142と第1バッテリシステムコネクタ141との間の出力部に電圧および電流を供給している。次の区間522では、第3ストリングだけが接続状態にあるのに対し、別のストリングはバイパス状態にある。このシーケンスは、第2ストリングだけが接続状態にある区間523と、第2ストリングだけが接続状態にある区間524とによって継続される。区間524の後、このシーケンスは間隔521で再び開始される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
100 バッテリ蓄電システム
110 第1ストリング
111~113 第1ストリングのバッテリモジュール
114 第1ストリングの第1コネクタ
115 第1ストリングの第2コネクタ
118 第1ダイオード
119 第1インダクタ
120 第2ストリング
121~123 第2ストリングのバッテリモジュール
124 第2ストリングの第1コネクタ
125 第2ストリングの第2コネクタ
128 第2ダイオード
129 第2インダクタ
130 第3ストリング
131~133 第3ストリングのバッテリモジュール
134 第3ストリングの第1コネクタ
135 第3ストリングの第2コネクタ
138 第3ダイオード
139 第3インダクタ
141 第1バッテリシステムコネクタ
142 第2バッテリシステムコネクタ
160 マスタコントローラ
161 第1ストリングコントローラ
162 第2ストリングコントローラ
163 第3ストリングコントローラ
164 第1制御バス
165 第2制御バス
166 第3制御バス
167 マスタ制御バス
170 バックアップマスタコントローラ
177 バックアップマスタ制御バス
190 負荷または電力源
200 バッテリモジュール
210 バッテリ
220 直列スイッチ
230 並列スイッチ
240 第1モジュールコネクタ
250 第2モジュールコネクタ
260 モジュールコントローラ
261 直列スイッチ制御ライン
262 並列スイッチ制御ライン
263 バッテリ信号ライン
270 バスコネクタ
281 電流方向-バッテリ接続状態
282 電流方向-短絡
300 3相システム
311~313 3相コネクタ
321~324 3相システムにおけるストリング
411~414 方法ステップ
511~514 4つの並列ストリングのスイッチング状態
521~524 時間区間
611~614 負荷の高い4つの接続ストリングのスイッチング状態
621~624 時間区間
711~714 ストリングがバランシングされた4つの接続ストリングのスイッチング状態
721~724 時間区間
811~814 3つの接続ストリングのスイッチング状態
814 出力電流図
815 第1ストリングの出力電流
816 第2ストリングの出力電流
817 第3ストリングの出力電流
821~826 時間区間
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリモジュール(200)の複数のストリング(110,120,130)を有するフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)であって、
それぞれのストリング(110,120,130)は、直列接続された複数のバッテリモジュール(200)を有し、
それぞれのストリング(110,120,130)は、第1バッテリシステムコネクタ(141)と第2バッテリシステムコネクタ(142)との間で別のストリング(110,120,130)に接続されており、
それぞれのバッテリモジュール(200)には少なくとも、
バッテリ(210)と、
前記第1バッテリシステムコネクタ(141)と前記第2バッテリシステムコネクタ(142)との間で、前記バッテリ(200)を接続するかまた切り離すように構成された直列スイッチ(220)と、
閉じている場合、前記第1バッテリシステムコネクタ(141)と前記第2バッテリシステムコネクタ(142)との間で、前記バッテリモジュール(200)をバイパスするように構成された並列スイッチ(230)と、が含まれており、
それぞれのバッテリモジュール(200)は、次に対して、すなわち、
前記直列スイッチ(220)が
閉じておりかつ前記並列スイッチ(230)が
開いている接続状態と、
前記直列スイッチ(220)が開いておりかつ前記並列スイッチ(230)が閉じているバイパス状態と、
前記直列スイッチ(220)および前記並列スイッチ(230)が開いている開状態と、に対して構成可能であり、
それぞれのストリング(110,120,130)は、次に対して、すなわち、
前記ストリングの少なくとも1つのバッテリモジュール(200)が接続状態にありかつ残りの前記バッテリモジュール(200)がバイパス状態にある接続状態と、
少なくとも1つのバッテリモジュールが開状態にある開状態とに対して構成可能である、フェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)において、
前記バッテリ蓄電システム(100)は、少なくとも1つのストリング(110,120,130)内で、複数の期間にわたり、接続状態に対し、残りの前記バッテリモジュール(200)がバイパス状態にある間に、バッテリモジュール(200)の異なる組み合わせを選択し、これにより、前記バッテリ蓄電システム(100)の放電中、電力状態がより高い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つは、電力状態がより低い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、かつ/または前記バッテリ蓄電システム(100)の充電中、電力状態がより低い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つは、電力状態がより高い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、
前記バッテリ蓄電システム(100)は、複数の期間にわたり、接続状態に対し、残りの前記ストリング(110,120,130)が開状態にある間に、前記ストリング(110,120,130)の異なる組み合わせを選択し、これにより、前記バッテリ蓄電システム(100)の放電中、バッテリモジュール(200)の電力状態がより高い前記ストリング(110,120,130)は、前記バッテリモジュール(200)の電力状態がより低い前記ストリング(110,120,130)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、かつ/または前記バッテリ蓄電システム(100)の
充電中、バッテリモジュール(200)の電力状態がより低い前記ストリング(110,120,130)の少なくとも1つは、バッテリモジュール(200)の電力状態がより高い前記ストリング(110,120,130)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、
前記バッテリ蓄電システム(100)は、故障したバッテリモジュール(200)をバイパス状態にし、かつ/または故障したストリング(110,120,130)を開状態にするように構成されている、ことを特徴とする、フェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項2】
バッテリモジュール(200)の少なくとも1つのストリング(110)を有するフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)であって、
少なくとも1つの前記ストリング(110)は、直列接続された複数のバッテリモジュール(200)を有し、
第1バッテリシステムコネクタ(141)と第2バッテリシステムコネクタ(142)との間に接続されており、
それぞれのバッテリモジュール(200)には少なくとも、
バッテリ(210)と、
前記第1バッテリシステムコネクタ(141)と前記第2バッテリシステムコネクタ(142)との間で、前記バッテリ(200)を接続するかまた切り離すように構成された直列スイッチ(220)と、
閉じている場合、前記第1バッテリシステムコネクタ(141)と前記第2バッテリシステムコネクタ(142)との間で、前記バッテリモジュール(200)をバイパスするように構成された並列スイッチ(230)と、が含まれており、
それぞれのバッテリモジュール(200)は、次に対して、すなわち、
前記直列スイッチ(220)が
閉じておりかつ前記並列スイッチ(230)が
開いている接続状態と、
前記直列スイッチ(220)が開いておりかつ前記並列スイッチ(230)が閉じているバイパス状態と、
前記直列スイッチ(220)および前記並列スイッチ(230)が開いている開状態と、に対して構成可能である、フェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)において、
前記バッテリ蓄電システム(100)は、少なくとも1つの前記ストリング(110)内で、複数の期間にわたり、接続状態に対し、残りの前記バッテリモジュール(200)がバイパス状態にある間に、バッテリモジュール(200)の異なる組み合わせを選択し、これにより、前記バッテリ蓄電システム(100)の放電中、電力状態がより高い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つは、電力状態がより低い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、前記バッテリ蓄電システム(100)の充電中、電力状態がより低い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つは、電力状態がより高いバッテリモジュール(200)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、かつ/または前記バッテリ蓄電システム(100)の充電中、電力状態がより低い前記バッテリモジュール(200)の少なくとも1つは、電力状態がより高いバッテリモジュール(200)の少なくとも1つよりも接続状態にある時間が長く、
前記バッテリ蓄電システム(100)は、故障したバッテリモジュール(200)をバイパス状態にし、かつ/または故障したストリング(110,120,130)を開状態にするように構成されている、ことを特徴とする、フェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項3】
前記バッテリ蓄電システム(100)は、DC電圧の出力および/または入力のために構成されている、ことを特徴とする、請求項1または2記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項4】
複数の前記ストリング(110,120,130)の少なくとも1つには、前記ストリングの前記バッテリモジュール(200)に直列接続されたインダクタ(119,129,139)が含まれる、ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項5】
複数の前記ストリング(110,120,130)の少なくとも1つには、前記ストリングに並列接続されるダイオード(118,128,138)が含まれており、これにより、前記ダイオード(118,128,138)は前記ストリングの通常の出力電圧では導通しない、ことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項6】
前記第1バッテリシステムコネクタ(141)と前記第2バッテリシステムコネクタ(142)との間に負荷および/または電源が接続されている、ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項7】
前記バッテリ蓄電システム(100)は、故障したバッテリモジュール(200)をバイパス状態にし、かつ/または故障したストリング(110,120,130)を開状態にするように構成されている、ことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項8】
前記バッテリ蓄電システム(100)は、故障状態がもはや存在しなくなった後、故障したバッテリモジュール(200)および/または故障したストリング(110,120,130)を通常動作に戻すように構成されている、ことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項9】
前記バッテリモジュール(200)の前記電力状態には、充電状態、最大電流容量、電圧、温度、健康状態またはこれらの組み合わせの少なくとも1つが含まれる、ことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項10】
前記バッテリモジュールには、前記バッテリモジュールの電力供給容量および/または充電容量が、所定の量だけ、同じ前記ストリングにおける別の前記モジュールの平均容量を下回って、または所定の閾値を下回って低下した場合かつ/または前記バッテリモジュールが、同じ前記ストリングにおける別の前記モジュールよりも高い温度または低い健康状態を有する場合、故障状態が割り当てられる、ことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項11】
少なくとも1つのバッテリモジュール(200)には、少なくとも1つの別のスイッチが含まれており、少なくとも1つの前記バッテリモジュールの前記スイッチはさらに、バッテリセルもしくはバッテリモジュールの並列スイッチングまたはバッテリセルの極性逆転の少なくとも1つに対して構成可能である、ことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項12】
前記フェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)は、少なくとも1つの故障したバッテリモジュール(200)に起因して公称出力電圧を維持するために、使用できない第1ストリングの出力電圧の値に残りの前記ストリングの電圧を適合するように構成されている、ことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の2つのフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)を含む3相フェイルセーフバッテリ蓄電システムにおいて、
第1相コネクタ(311)と第2相コネクタ(312)との間には、第1フェイルセーフバッテリ蓄電システム(321,322)が接続されており、
前記第2相コネクタ(312)と第3相コネクタ(313)との間に、第2フェイルセーフバッテリ蓄電システム(323,324)が接続されている、ことを特徴とする、3相フェイルセーフバッテリ蓄電システム。
【請求項14】
バッテリモジュール(200)の少なくとも1つのストリング(110)を有するフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)を動作させる方法であって、前記バッテリモジュール(200)の少なくとも2つは、それぞれのストリング内で直列接続されており、
前記方法には、次のステップ、すなわち、
少なくとも1つの前記ストリング(110)内で、複数の期間にわたり、前記バッテリモジュールの前記バッテリ(210)が直列接続されている接続状態に対し、残りの前記バッテリモジュール(200)が、切り離されたバッテリ(210)によってバイバス状態にある間に、バッテリモジュール(200)の異なる組み合わせを選択するステップが含まれる、ことを特徴とする、方法。
【請求項15】
バッテリモジュール(200)の複数のストリング(110,120,130)を有するフェイルセーフバッテリ蓄電システム(100)を動作させる方法であって、前記ストリングは、並列接続されており、前記バッテリモジュール(200)の少なくとも2つは、それぞれのストリング内で直列接続されており、
前記方法には、次のステップ、すなわち、
それぞれのストリング(110,120,130)内で、複数の期間にわたり、前記バッテリモジュールの前記バッテリ(210)が直列接続されている接続状態に対し、残りの前記バッテリモジュール(200)が、切り離されたバッテリ(210)によってバイパス状態にある間に、バッテリモジュール(200)の異なる組み合わせを選択するステップと、
複数の期間にわたり、前記ストリング(110,120,130)が並列接続されている接続状態に対し、残りの前記ストリング(110,120,130)が開状態において切断されている間に、前記ストリング(110,120,130)の異なる組み合わせを選択するステップと、を有する、ことを特徴とする、方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】