(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】シャンクアダプタの楕円設計
(51)【国際特許分類】
E21B 12/00 20060101AFI20240209BHJP
E21B 1/00 20060101ALI20240209BHJP
B25D 17/08 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
E21B12/00
E21B1/00
B25D17/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549036
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2022053917
(87)【国際公開番号】W WO2022175376
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520344785
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション ツールズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤンソン, トマス
(72)【発明者】
【氏名】ノードベリ, アンデシュ
【テーマコード(参考)】
2D058
2D129
【Fターム(参考)】
2D058AA14
2D058BB15
2D129AA04
2D129BA19
2D129DA01
2D129EC14
(57)【要約】
ボーリングアセンブリの一部を形成するシャンクアダプタであって、第1の端部と第2の端部との間に軸方向に延在する本体と、外面がねじ式の部分、および本体とねじ式部分との軸方向中間に配置された非ねじ式シャンクを有する、第2の端部に設けられた雄差込み部分と、本体と雄差込み部分との軸方向中間に配置された半径方向に突出する肩部とを備え、シャンクが、肩部に隣接して第2の端部に配置された移行部分を有し、移行部分が、差込み部分から肩部に向けて増加する外径を有し、長手方向軸の面内での移行部分の外面の断面形状プロファイルが、軌道長半径(a)、軌道短半径(b)、および指数因子(n)を有する、方程式(式(I))による楕円の一部分を有するシャンクアダプタにおいて、軌道短半径に対する軌道長半径の比(a:b)が、範囲2b<a<8b内にあることを特徴とするシャンクアダプタを提供する。
(式(I))
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボーリングアセンブリの一部を形成するシャンクアダプタ(100)であって、
第1の端部(105)と第2の端部(106)との間に軸方向に延在する本体(101)と、
外面にねじが付いた部分(107)、および前記本体(101)と前記ねじ式部分(107)との軸方向中間に配置された非ねじ式シャンク(109)を有する、前記第2の端部(106)に設けられた雄差込み部分(108)と、
前記本体(101)と前記雄差込み部分(108)との軸方向中間に配置された半径方向に突出する肩部(110)と
を備え、
前記シャンク(109)が、前記肩部(110)に隣接して前記第2の端部(106)に配置された移行部分(206)を有し、前記移行部分(206)が、前記差込み部分(108)から前記肩部(110)に向けて増加する外径を有し、
長手方向軸(204)の面内での前記移行部分(206)の外面の断面形状プロファイルが、軌道長半径(a)、軌道短半径(b)、および指数因子(n)を有する、方程式
による楕円(214)の一部分を有するシャンクアダプタにおいて、
前記軌道短半径に対する前記軌道長半径の比(a:b)が、範囲2b<a<8b内にある
ことを特徴とするシャンクアダプタ。
【請求項2】
前記非ねじ式シャンク(109)が、ねじ式部分(107)に軸方向に最も近接して配置された直線部分(205)と、側面(203)に軸方向に最も近接して配置された湾曲移行部分(206)とに軸方向に分けられる、請求項1に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項3】
前記非ねじ式シャンク(109)が、側面(203)から前記ねじ式部分(107)まで全体に延在する湾曲移行部分(206)のみを有する、請求項1に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項4】
前記軌道短半径に対する前記軌道長半径の比(a:b)が、範囲2.5b<a<6b内にある、請求項1から3のいずれか一項に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項5】
前記軌道短半径(b)が、下記の方程式に従って、前記ねじ式部分(107)の直径に比例し、
式中、Diが、対向する谷部(208)間の前記ねじ式部分(107)の前記直径であり、Dyが、対向する螺旋稜部(207)間の前記ねじ式部分(107)の前記直径である、請求項1から4のいずれか一項に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項6】
前記指数因子(n)が範囲1≦n≦3内にある、請求項1から5のいずれか一項に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項7】
前記楕円(214)の頂点(215)が、前記肩部(110)の環状側面(203)との接線に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項8】
前記楕円(214)の頂点(215)が、前記肩部(110)の環状側面(203)の根元を刳り抜く、請求項1から6のいずれか一項に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項9】
前記楕円(214)のx軸が、長手方向軸(204)に平行である、請求項1から8のいずれか一項に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項10】
前記楕円(214)のx軸が、前記長手方向軸(204)に対して傾斜する、請求項1から8のいずれか一項に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項11】
前記長手方向軸(204)の面内での前記移行部分(206)の外面の前記断面形状プロファイルが、楕円(214)の1/4の部分からなる、請求項1から10のいずれか一項に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項12】
前記長手方向軸(204)の面内での前記移行部分(206)の外面の前記断面形状プロファイルが、楕円(214)の1/4より大きい部分からなる、請求項1から10のいずれか一項に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項13】
前記長手方向軸(204)の面内での前記移行部分(206)の外面の前記断面形状プロファイルが、楕円(214)の1/4より小さい部分からなる、請求項1から10のいずれか一項に記載のシャンクアダプタ(100)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のシャンクアダプタ(100)を備えるボーリングアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削岩シャンクアダプタに関し、詳細には、排他的ではないが、応力集中を最小限に抑えるように構成されたシャンクアダプタの結合部に関する。
【背景技術】
【0002】
パーカッションボーリングは、相互に連結された雄ねじ式端部と雌ねじ式端部とによって、端と端とを一体に結合した複数の細長いドリルストリングロッドを介して、長いボーリング孔を掘るために使用される。充分に確立した技法が、ドリルストリングの一端に装着された削岩ビットからボーリング孔の底の岩盤へ伝えられる打撃衝撃によって岩盤を破壊する。通常、岩盤を破壊するのに必要なエネルギーは、油圧駆動式ピストンによって発生し、そのピストンが、シャンクアダプタを介してドリルストリングの端部に接触して応力(または衝撃)波を生じさせ、その応力波がドリルストリングを通り、最終的に底の岩盤レベルへ伝搬する。シャンクアダプタは、一方の端部に、ドリルストリングに連結するためのねじ式雄連結部を有する本体を備え、本体は、反対側の第2の端部に、堅固な材質の端部部分を有し、その端部部分に対して、ボーリングマシンに組み込まれている衝撃ピストンが作用する。堅牢な端部部分については、シャンクアダプタおよびドリルストリングの捩り、または回転を可能にするために、一組のスプラインがさらに設けられている。
【0003】
シャンクアダプタのねじ式雄端部が、最も端のドリルロッドの雌ねじ式端部に結合されたとき、連結部は、通常、ボーリング中に曲げモーメントを受ける。これら曲げモーメントが、結合部を疲労させ、連結部のねじ式部分内に破損を生じることがある。通常、損傷を受け、結合部の作動寿命を決定するのはねじ式雄差込み部である。
【0004】
具体的には、ねじ式雄差込み部とシャンクアダプタの主要長さ部(または「肩部接触」結合の場合にはシャンクアダプタの環状肩部)との異なる直径間の移行部が、曲げモーメントおよび引張荷重による潜在的高応力集中の領域を生じる。従来、軸方向でねじ式雄差込み部と主要長さ部または肩部との間の移行部でのシャンクアダプタの外径は、2つの領域間に許容され得る限りの大きさの単一半径の湾曲を有する曲線形状プロファイルによって径方向外側へ広げられる。しかしながら、引張で200MPaの応力が掛かる通常のねじ式結合部では、移行領域は、約300MPaの応力レベルに達する。したがって、ボーリング作業に著しい混乱を生じる疲労および破損の恐れが大いにあり得る。したがって、これら問題に対処するシャンクアダプタの設計が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、シャンクアダプタの肩部と差込み部との間の移行領域における応力集中の可能性を最小限に抑えるように最適化して、シャンクアダプタの作動寿命を延長し、使用中の疲労および破損の危険性を最小限に抑える雄ねじ式結合部分を有するシャンクアダプタを提供することである。さらに特有な目的は、既存のボーリング装置および方法に適合し、大きな曲げモーメントおよび引張荷重に耐える増強された能力を備えるシャンクアダプタを提供することである。
【0006】
それら目的は、主要長さ部分の端部、または主要長さ部分の端部の環状肩部との軸方向境界に配置された移行領域を特別に構成することによって達成される。本発明は、既知の設計と比較して、主要長さ部分との雄差込み部の連結部での応力集中が低減している、ドリルロッドへのシャンクアダプタ結合部を提供し、その応力集中は、起こりがちな曲げモーメントまたは引張荷重の結果として生じる。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、ボーリングアセンブリの一部を形成するシャンクアダプタであって、第1の端部と第2の端部との間に軸方向に延在する本体と、外面がねじ式部分、および本体とねじ式部分との軸方向中間に配置された非ねじ式シャンクを有する、第2の端部に設けられた雄差込み部分と、本体と雄差込み部分との軸方向中間に配置された半径方向に突出する肩部とを備え、シャンクが、肩部に隣接して第2の端部に配置された移行部分を有し、移行部分が、差込み部分から肩部に向けて増加する外径を有し、長手方向軸の面内での移行部分の外面の断面形状プロファイルが、軌道長半径(a)、軌道短半径(b)、および指数因子(n)を有する、方程式
による楕円の一部分を有するシャンクアダプタにおいて、軌道短半径に対する軌道長半径の比(a:b)が、範囲2b<a<8b内にあることを特徴とするシャンクアダプタがある。
【0008】
有利には、これは、強化された剛性を示し、曲げモーメントおよび引張力に対する耐性のより高い雄結合端部を成立させる。移行部分は、差込み部が肩部から軸方向に突出する部分の応力集中をなくし、または少なくとも最小限に抑えるように構成されている。軌道短半径の長さに対する軌道長半径の長さの比がこれより大きいまたは小さい場合、応力集中が増加する。その結果、破損の危険性が減少し、したがって、シャンクアダプタの作動寿命が増加する。任意選択で、移行部分は、形状プロファイルが直線および/または異なる湾曲プロファイルである部分を備えてもよい。
【0009】
任意選択で、非ねじ式シャンクは、ねじ式部分に軸方向に最も近接して配置された直線部分と、側面に軸方向に最も近接して配置された湾曲移行部分とに軸方向に分けられる。肩部とねじ式部分との距離を増加させることが有利であり得る。この場合、直線部分を含めることもまた有益である。
【0010】
あるいは、非ねじ式シャンクは、側面からねじ式部分まで全体に延在する湾曲移行部分のみを有する。非ねじ式シャンクが短めの場合、湾曲移行部分のみが存在し、すなわち直線部分がないことが、応力集中を可能な限り低く保つことに役立つので、有利である。
【0011】
好ましくは、軌道短半径に対する軌道長半径の比(a:b)は、範囲2.5b<a<6b内にある。有利には、狭い比の範囲内では、差込み部が肩部から軸方向に突出する部分の応力集中がさらに低減され、それは、大きい曲げモーメントおよび引張応力に耐える能力が強化されることを意味する。
【0012】
好ましくは、軌道短半径(b)が、下記の方程式に従って、ねじ式部分の直径に比例し、
式中、Diは、対向する谷部間のねじ式部分の直径であり、Dyは、対向する螺旋稜部間のねじ式部分の直径である。軌道長半径(b)の長さが可能な限り長いことが、端部が鋭くなく、したがって最低の応力集中を有する楕円形状を成立させるので、有利である。ただし、軌道長半径(b)の長さが長すぎると、実質的に肩部がなくなり、その結果、エネルギーを、雄と雌との両端部間で有効に伝達することができず、ロッドの雌端部の破損を生じることになる。
【0013】
好ましくは、指数因子(n)は、範囲1≦n≦3内である。有利には、これは、最低の応力集中を有する楕円プロファイルを有する移行部分を成立させる。
【0014】
任意選択で、楕円の頂点は、肩部の環状側面との接線に配置される。別法では、楕円の頂点は、肩部の環状側面の根元を刳り抜いている。様々な荷重状態が、楕円の様々な形態によって益を受け得る。
【0015】
任意選択で、楕円のx軸は、長手方向軸に平行である。あるいは、楕円のx軸は、長手方向軸に対して傾斜している。様々な荷重状態が、楕円の様々な形態によって益を受け得る。
【0016】
任意選択で、長手方向軸の面内での移行部分の外面のプロファイルが、楕円の1/4の部分からなる。あるいは、長手方向軸の面内の移行部分の外面の断面形状プロファイルが、楕円の1/4より大きい部分からなる。あるいは、長手方向軸の面内での移行部分の外面の断面形状プロファイルが、楕円の1/4より小さい部分からなる。様々な荷重状態が、楕円の様々な形態によって益を受け得る。
【0017】
本明細書内で、「湾曲」という言及は、表面プロファイルの円滑または漸進的変化、および総体的に「曲げられた」形状プロファイルとみなすことができる、直径における複数の連続的線型増加(または減少)を含む。たとえば、用語「湾曲」は、各段階の端部または中間領域が総体的に曲線を形成すると考えることができるような比較的小さな線型の段階的変化を含む。
【0018】
好ましくは、シャンクアダプタは、主要長さ部分から半径方向に突出する肩部を備え、肩部の外径は、主要長さ部分およびシャンクの移行部分の外径より大きい。そのような構成は、雄差込み部と雌スリーブとの従来の「肩部接触」結合を可能にし、その肩部接触は、雄部分と雌部分との間の大きめの直径および表面積の接触による代替の「底部接触」より好ましい。
【0019】
好ましくは、移行部分と接している肩部の側面は、長手方向軸と実質的に垂直に整合する環状の半径方向外側領域を備える。したがって、湾曲した移行部分は、環状側面の半径長さ全体に亘って連続せずに、雌スリーブの環状端面が接触するための平坦な環状面を成立させる。
【0020】
任意選択で、ねじ式部分は、少なくとも1つの軸方向に延在する螺旋稜部および溝を備え、軸方向でねじ式部分と移行部分との間のシャンクの外径は、ねじ式部分の稜部に対応する軸方向および半径方向位置におけるねじ式部分の外径に実質的に等しい。任意選択で、ねじ式部分は、2重または3重螺旋などとして形成された複数のねじ山を備える。そのような構成は、所望の機械的および物理的特性を有する所望のねじ式プロファイルを得るように選択することができる。
【0021】
任意選択で、長手方向軸に垂直な面内において、シャンクの断面積は、ねじ式部分と主要長さ部分または肩部との間のシャンクの全軸長に亘って、主要長さ部分の断面積に少なくとも等しい。任意選択で、ねじ式部分の直径は、主要長さ部分の直径より僅かに小さい。したがって、シャンクは、曲げモーメントおよび引張荷重に際し、堅牢であるように構成されている。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、本明細書で言及されているシャンクアダプタを備えるボーリングアセンブリが提供される。
【0023】
次いで、本発明の特定の実行形態が、添付図面を参照して、単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】削岩装置の一部を形成するシャンクアダプタドリルストリングの外観図である。
【
図2】非ねじ式シャンクが、軸方向に直線部分と湾曲移行部分とに分けられている、本発明の特定の実行形態による雄結合部の領域における
図1のシャンクアダプタの一方の端部の外観側面図である。
【
図3】非ねじ式シャンクが、湾曲移行部分のみを有する、本発明の別の実行形態による雄結合部の領域における
図1のシャンクアダプタの一方の端部の外観側面図である。
【
図4】移行部分の楕円プロファイルの頂点が、肩部への接線にある、本発明の一実施形態による雄結合部のシャンク部分の拡大図である。
【
図5】移行部分の楕円プロファイルが、肩部の環状側面の根元を刳り抜いている、本発明の別の実施形態による雄結合部のシャンク部分の拡大図である。
【
図6】移行部分の楕円プロファイルが傾いている、本発明の別の実施形態による雄結合部のシャンク部分の拡大図である。
【
図7a-7g】従来技術(
図7a)を本発明の様々な実施形態(
図7b~g)と比較する安全係数の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、長手方向軸に関して前方端部103および後方端部104を有する本体101を備えるシャンクアダプタ100を示す。軸方向に平行な複数の細長いスプライン106が、本体101の後方領域で後方端部104に向かって、外面102から径方向外側へ突出している。スプライン106は、回転モータ(図示せず)の対応するスプラインによって係合されて、ボーリング作業中、軸109周りにアダプタ100を回転させるように構成されている。アダプタ100は、軸方向に両端部103、104間に配置され、外面102から、アダプタ100内に軸方向に延在する内部空洞または領域まで本体101の中を半径方向に延在する洗浄水孔(または内腔)105をさらに備える。シャンクアダプタ100は、細長いドリルストリングに結合され、掘削孔の最深領域に位置する掘削工具(図示せず)に応力波を伝播してパーカッションボーリング作動を起こさせることを可能にするように構成されている。具体的には、アダプタの前方端部103は、ドリルストリングの一部を形成する最後方の細長いドリルロッド107の後方端部に結合することができる。最後方のアダプタ端部104は、アダプタ100およびドリルストリング内に応力波を生成する油圧駆動ピストン108によって圧縮されるように構成されている。前方端部103は、雄差込み部108が軸方向にそこから突出する環状肩部110を備える。
【0026】
図2は、差込み部108が、最端部のねじ式部分107と、ねじ式部分107と肩部110との軸方向中間に配置された非ねじ式シャンク109とに軸方向に分けられていることを示す。シャンクアダプタの雄端部と隣接するドリルロッドの雌端部が結合されると、最後方の細長いドリルロッド107の軸方向最端部の環状面115が、肩部110に当接し(
図1に示されるように)、雄差込み部108の環状端面114が、最後方の細長いドリルロッド107のスリーブ(図示せず)内に完全に収容される。
【0027】
管状本体101は、肩部110に向かって径方向外側に広がって、肩部110に位置する円筒面202を終端とする環状凹形領域201を形成する円筒形外面200を備える。したがって、軸204に垂直な面内での面202の直径および断面積は、主要長さ面200の対応する直径または断面積(平行な面における)より大きい。肩部110、具体的には円筒面202は、差込み部側では、軸204に垂直な向きの環状側面203によって終わる。差込み部108は、面203の径方向内側領域から軸方向に突出し、本体101および環状肩部110と同軸に整合される。本体101の直径は、雄差込み部108の直径と同じまたはそれより小さくてもよい。本体101は、その長さに沿って直径が一定でも変化してもよい。
【0028】
ねじ式部分107は、特定の実行形態によれば、シャンク109から差込み部端部114まで軸方向に延在する1対の螺旋巻209を備える。具体的には、1対の螺旋稜部207と谷部208とが、部分107の軸方向全体に延在する。非ねじ式シャンク109は、ねじ式部分107に軸方向に最も近接して配置された直線部分205と、側面203に最も近接して配置された湾曲移行部分206とに軸方向に分けることができる。直線部分205の外面は、軸204に実質的に平行であり、一方、移行部分206の外面は、ねじ式部分107から環状側面203との接点に向かって、径方向外側へ傾いている。直線部分205と移行部分206とを併せた軸方向長さは、肩部面202の軸方向長さと同じか、それより長いか、またはそれより短いが、ねじ式部分107の軸方向長さより短くてもよい。したがって、直線部分205の直径または断面積は、移行部分206の直径または断面積より小さい。さらに、直線部分205の直径または断面積は、頂点部207の半径方向最外部分に対応する軸方向および半径方向位置におけるねじ式部分107の直径または断面積にほぼ等しい。
【0029】
図3は、別法として、非ねじ式シャンク109が、側面203からねじ式部分107まで全体に延在する湾曲移行部分206のみを有し得ることを示す。言い換えれば、直線長さ部分205はなくてもよい。
【0030】
図2および3を参照すると、移行部分206は、差込み部108と環状肩部110との間の移行領域と考えることができる。
図2および3に示されるように、移行部分206は、ねじ式部分107から肩部110まで直径および断面積が増加し、それによって、軸204に沿う面内での移行部分206の外面プロファイルは、楕円214の外周の1/4の部分に対応する、または楕円214の1/4の部分より僅かに大きい、または僅かに小さいプロファイルを有する漸進的湾曲に従って曲線を描く。楕円214は、軌道長半径(x)および軌道短半径(y)を有する。移行部分206の長さに沿って、第1の半径から第2の半径へ急激な変化がなく、その代わりに、移行部分206の長さに沿って半径に連続的かつ緩やかな変化があることが好ましい。任意選択で、移行部分206は、形状プロファイルが直線および/または異なる湾曲プロファイルである部分をさらに備え得、そのプロファイルは、楕円プロファイルのどちらの端部にも、または楕円プロファイルの途中の中断部分として配置することができる。
【0031】
楕円の方程式は、n=2のときのラメ曲線によって定義される。
式中、
xは、x軸上の座標であり、
yは、y軸上の座標であり、
aは、軌道長半径(x)であり、
bは、軌道短半径(y)であり、
nは、曲線の形状を決定する。n=2は通常の楕円を定義する。n<2は準楕円を定義し、n>2は超楕円を定義する。
【0032】
楕円プロファイル214が、
図4の移行部分206の拡大図に示される。
【0033】
本発明において、短軸に対する長軸の比(a:b)は、2b<a<8b、好ましくは2b<a<6b、より好ましくは2.5b<a<6b、さらにより好ましくは2.5b<a<5.75bの範囲内である。
【0034】
好ましくは、軌道短半径(b)は、可能な限り大きい。より好ましくは、軌道短半径(b)は、下記の方程式に従って、雄差込み部108のねじ式部分107の直径に比例している。
式中(
図4に示される通り)
Di=対向する谷部208間のねじ式部分107の直径であり、
Dy=対向する螺旋稜部207間のねじ式部分107の直径である。
【0035】
好ましくは、指数因子nは、範囲1≦n≦3内、好ましくは1.8≦n≦2.2、最も好ましくは2である。
【0036】
移行部分206の楕円プロファイルの方程式は、輪郭形状測定機を使用して測定することができる。輪郭形状測定機は、移行部分206の表面を針でなぞり、次いで、装置が、様々な幾何形状を当てはめてみて、その結果、測定された形状プロファイルの方程式をアウトプットする。
【0037】
軌道長半径(x)の各端点には、楕円214の頂点215があり、短軸(y)の各端点には、楕円214の共頂点216がある。任意選択で、楕円の頂点215は、
図4に示すように、肩部110の環状側面203との接線に配置される。
【0038】
図5は代替設計を示し、楕円214の頂点215が、肩部110の環状側面203の根本を刳り抜いている。
【0039】
任意選択で、楕円214のx軸は、
図4に示すように、長手方向軸204に平行である。
【0040】
図6は、楕円214のx軸が、長手方向軸204に対して傾いている代替形態を示す。
【0041】
頂点215の位置は、上記で説明された長手方向軸204に対するx軸の任意の配向と協調させることができることを理解されたい。
【0042】
移行部分206のプロファイルは、強化された剛性を示し、従来の結合部と比較して曲げモーメントおよび引張力に対する耐性のより高い雄結合端部を成立させる。さらに、移行部分206は、差込み部108が肩部110から軸方向に突出する部分において、応力集中を除去または少なくとも最小化するように構成されている。
【0043】
図7a~gは、表1に示された様々な移行部分206のプロファイルに関して、荷重事例として回転曲げを用いて、Dang van基準を使用して求めた安全係数画像を示す。
【0044】
不具合の危険性は、Dang van基準の値が低下するにつれて増加する。したがって、黒い色ほど不具合の危険性が高いことを意味する。
図7a(従来技術)を
図7b~g(本発明の実施形態)と比較することによって、不具合が生じる危険性が、本発明のプロファイルについて減少していることが分かる。応力画像は、LS-Dynaでの陰解法を使用して求め、Dang van基準はnCodeソフトウェアを使用して導き出した。表1は、このソフトウェアから導出された安全係数をさらに示し、高い安全係数ほど良好であり、より低い応力を示す。表1の結果から、全ての本発明によるサンプルが、従来技術のタイプに比較して、より高い安全係数を有することが分かる。
【国際調査報告】